キス病ってご存じですか? もちろん、お酒を飲むとキスをしたくなってしまう、といったことではありません。キス病とは伝染性単核球症といって、ヘルペスウイルスの仲間のウイルスに感染することで起こる病気です。その名の通り、キスでうつってしまうのです。伝染性単核球症(キス病)のウイルスはヘルペスの仲間伝染性単核球症(キス病)とは、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)と呼ばれている、ヘルペスウイルスの仲間によって発症します。子ども時代に感染することも多く、小さいころは感染にも気づかず、ほとんど無症状のまま自然治癒することも多く、抗体ができます。大人になって初めてウイルスに感染をすると、抗体のないからだにはさまざまな症状があらわれます。しかし、その場合でも、ほとんどが数週間で自然に治るといわれています。風邪やインフルエンザと似た症状伝染性単核球症(キス病)に感染すると、のどの痛みや発熱、リンパの腫れなどが見られます。潜伏期間は4週間~6週間前後です。発症した後の発熱は、最初はゆるやか。5日前後をピークに高熱に変わってきます。風邪やインフルエンザなどと症状が似ているため、内科を受診することも多いそうです。症状がおさまったように見えても、ウイルスは血液のなかに潜んでいることもあるため、再発には気をつけましょう。まれに感染が広がり、脾臓の腫れなどの重篤な症状につながることもあります。伝染性単核球症(キス病)とは、身近な「キス」で感染してしまう病気です。もしも感染がわかったら、パートナーとのキスはがまんするようにして治療に専念しましょうね。情報提供元:あなたのオンライン婦人科 Rucora[ルコラ]
2016年06月17日認知症は、「自分には関係ないこと」と思う人がほとんどだと思います。でも実は、早ければ30代、40代からでも発症することがあるのです。「最近、物忘れが…」「あの人の名前はたしか…」と、ちょっと気になる人のために、若年性認知症について、のチェックポイントを紹介します。■若年性認知症とは若年性認知症は64歳以下で認知症と診断されることを指します。認知症は、圧倒的に80代以上の高齢者の発症が多いのですが、特に若いうちから発症するケースをこう呼びます。若年性認知症の発症年齢は、平均すると51.3歳であり、50歳未満で発症した人の割合は約3割です。実際には70代、80代で増加しますが、20代、30代でも発症者がみられます(2009年・厚生労働省若年性認知症の実態等に関する調査より)。■若年性認知症のチェックポイント若くても、次のような症状があれば注意が必要です。・日にちや曜日、季節が分からなくなることがある今日の日付や曜日、季節が思い出させなくなります。少し頭が混乱して時の流れがわからなくなったような状態になることもあります。・極端に物忘れがあり、日常生活に支障が出る何度も同じことを聞いたり、いつも一緒にいる人の名前を思い出せないことがあります。とても簡単な行動をメモするなどの行動がみられることもあります。・言葉につまることがある会話中に単語、物の名前、人の名前がすぐに出てこないことがあります。話そうともしても言葉につまり、会話が良く中断するようになります。・よく道に迷う約束の場所へいくはずか、自分がどこにいるか急にわからなくなったり、誰と約束していたかも忘れてしまうことがあります。いつも使っている電車やバスなどの経路がわからなくなり、よく道に迷うようになります。 ・日常動作ができなくなる例えば服を着るなどの身の回りの動作ができなくことがあります。服の前後ろ、裏表を反対に着たり、ズボンがはけないなど首尾よく動作ができなくなります。・物を良くなくすようになる物をしまった場所を忘れることが増えます。印鑑や通帳など大切なもののしまった場所がわからなくなり、時には誰かに盗まれたなどの被害妄想を抱くこともあります。・道具の使い方がわからなくなる毎日使っていた道具、例えば水道や料理道具などの使い方がわからなくなることがあります。ガスを消し忘れたり、水道を出しっぱなしにするなどの行動も見られます。・身だしなみに気をつかわなくなるこれまではオシャレできれい好きだった人が急に毎日洋服を変えなくなる、お風呂にあまり入りたがらなくなることがあります。・物事への興味がなくなるこれまで好きだった趣味への関心がなくなったり、楽しみにしていたテレビ番組や毎日読んでいた新聞を読まなくなるなどがあります。全体的に興味関心が低くなり、あまり外出したがらなくて、気分的の沈みがあることもあります。いくつか特徴的な症状や行動をあげましたが、初期の段階ではまだ若いと「まさか」ということが邪魔をして発見されにくいようです。このような症状が見られれば、早めの受診が勧められています。
2016年06月01日『ネムジム』では、これまでに寝ても寝ても眠い病気である「過眠症」について、いくつか取り上げてきました。同じ過眠症でもそれぞれ違ううので、このページでは過眠症の種類と特徴を紹介していきたいと思います。寝ても寝ても眠いと感じている方は、自分がどの過眠症を発症しているのか、一度よく考えてみましょう。寝ても寝ても眠い病気!過眠症とは?日本睡眠学会では、過眠症について以下のように定義しています。『日中に過剰な眠気または実際に眠り込むことが毎日の様に繰り返してみられる状態で、少なくとも1ケ月間は持続し、そのため社会生活または職業的機能が妨げられ、あるいは自らが苦痛であると感じるものです。ただし一回の持続期間が1ケ月より短くても繰り返して過眠期がみられるものも含みます』自分が過眠症かどうかを見分けるポイントは「日中に強い眠気を感じるか」というところにあります。夜は寝て日中は活動するという規則正しい生活をしているにもかかわらず、いつも昼間に強い眠気に襲われてしまう方は、いずれかの過眠症を疑ったほうがいいかもしれません。過眠症の種類と特徴それでは代表的な過眠症の種類と特徴について見ていきましょう。・ナルコレプシー過眠症のなかでも特に有名な、日中に強い眠気を引き起こす病気です。ナルコレプシーの場合、居眠りをする時間は長くても30分ほどで、目覚めたあと当人はスッキリするという特徴があります。世界的な有病率は「1000~2000人に1人」となっていて、特に10代の若者に発症しやすくなっています。・特発性過眠症長時間眠り込んでしまうこともある過眠症で、急激に眠くなるのではなく「徐々に眠気が強まる」という特徴があります。この特発性過眠症に夜間の睡眠時間は関係なく、なかには夜10時間以上寝ていても日中になると睡魔に襲われてしまう患者もいます。またこの「特発性」という言葉には「原因が判明していない」という意味があり、2016年現在では原因も治療法もまだハッキリとは分かっていないようです。・反復性過眠症1日に16~18時間、場合によっては20時間眠り込んでしまう過眠症です。この過眠症には長時間睡眠が続く「傾眠期」と、過眠症状がまったく現れない「間欠期」が繰り返されるという特徴があるため、「周期性過眠症」とも呼ばれています。傾眠期はだいたい3~10日間、間欠期は数カ月間で、一度傾眠期に入ると食事とトイレの時間以外はほとんど眠り続けるという状態になってしまう人もいるそうです。居眠りするのは病気のせいかもしれない!今回は寝ても寝ても眠い病気である過眠症の代表的な種類と特徴について紹介しました。皆さんのなかには仕事中や授業中に我慢しきれずに居眠りをしてよく怒られるという方もいるかと思いますが、実は日中に眠くなる原因は我慢が足りないからではなく、病気によるものかもしれないのです。もし、いつも昼間に異常なくらいの強い眠気に襲われているという方は、一度病院の睡眠外来で診断を受けてみてください。過眠症は専門の先生に診てもらうのが一番なので、睡眠のプロに相談してみましょう。その結果、過眠症の患者であると正式に認められれば、周囲からの理解も得やすくなるでしょう。photo by acworks
2016年05月27日花粉症で5月になってもマスクを手放せない人、いらっしゃいませんか?ひどい場合は、一年中症状に悩まされる人もいるという花粉症。花粉症の怖さの一つは、いつ発症するかわからないということ。今までは発症しなかった人も、明日はわが身かもしれません。今回は、他人事では済まされない花粉症対策についてご紹介します。5月や6月まで花粉症を引きずる人・引きずらない人関東地方の花粉飛散量は、2月から4月にかけてがピークだそう。特にスギやヒノキの花粉の飛散量は最大になるので、この季節に花粉症を発症する人は多いのです。鼻水やくしゃみ、目のかゆみなど、顔周りの症状は、特に女性には辛いですよね。実は花粉症は発症する前の対策が重要だってこと、ご存じでしょうか?一旦花粉症を発症してしまうと鼻の粘膜が過敏になり、少しの花粉にも反応しやすくなります。逆に初期の症状をうまく抑えれば、重症化や症状を長引かせずに済む可能性があるのだそう。これは初期療法と呼ばれる方法で、花粉の飛散が始まる2週間くらい前から薬を服用するのがポイントです。5月になると花粉の全体量は減ってはきますが、引き続きスギやヒノキの花粉は飛散しているので、一旦発症してしまった人はずるずると症状を引きずることに……。一方、初期療法を行った人は症状が軽く済むことに加えて、早めに症状を終息させることができるとのこと。今年は初期療法をしなかった人も、来年は1月下旬になったら耳鼻科に相談して準備を始めるのがおすすめです。一年中、花粉症になってしまう人も・・・実は花粉症に一年中悩まされる人もいます。正しくは「通年性アレルギー性鼻炎」と言われる症状で、花粉以外にもホコリやダニのフンなどが原因になります。この場合は先ほど紹介した初期療法もあまり効果がないので、総合的な鼻炎対策をする必要があります。まずは家の環境から整えましょう。外出先から戻ったら玄関で上着についた花粉やホコリを払うこと、花粉の飛散量が多い季節は洗濯物を室内干しにすることは、基本中の基本です。さらに家の中にホコリがたまらないようこまめに掃除をしたり、布団がダニの温床にならないよう定期的に掃除機をかけたりすることも心がけましょう。続いては、具体的な治療法です。薬を服用するのが一般的だと思いますが、鼻炎の薬は眠気が起こりやすいのがデメリット。仕事に集中できなかったり、中には婚活に支障があると訴える人もいるようです。確かに気になる男性の前で鼻をかんでばかりでは、自信がなくなってしまいますよね。最近認知度が上がっているのが、レーザー治療で鼻の粘膜の一部を焼き、鼻の通りを良くする方法です。治療の痛みはほとんどなく、治療時間は15~20分程度で、出血もほとんどないそうです。レーザー治療もアレルギー症状を改善できるわけではありませんが、薬の量を減らしたり通院の頻度を少なくできたりする点ではメリットが大きい方法です。ただ症状がひどいときにはレーザー治療は推奨されていないので、花粉症も併発している人は花粉症の時季に入る前に治療する方が良さそうですね。花粉症対策は「計画性」がキモ花粉症と通年性アレルギー性鼻炎に共通しているのは、症状が重くなってからでは対処が難しいということです。症状が治まるとつい辛かった日々を忘れてしまいがちですが、そんなときこそ対策のはじめどき。5月や6月はちょうど、花粉が少なくなり始める季節です。症状が軽くなってきた今こそ、本気の対策を始めてみませんか?
2016年05月22日感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が、体内に入ることで発症する病気の総称です。妊娠中は、特に免疫機能が低下する傾向にあり、感染しやすいと言われています。妊娠初期においては、つわりによる体力低下も原因の一つです。妊娠中期以降は、子宮が大きくなるにしたがい、肺活量や心肺機能の低下が見られるため、感染症にかかりやすくなっています。感染症が引き起こす母子感染とはママが何らかのウイルスや細菌などに感染して、それが赤ちゃんに感染することを母子感染と言います。特に妊娠中の母子感染は流産や早産などを引き起こす可能性があり、赤ちゃんが直に影響をうけることもあるため、早期の治療と予防が欠かせません。胎内感染赤ちゃんがお腹の中にいるときに、へその緒や血流を介してウイルスや細菌に感染することを指します。産道感染お産時、赤ちゃんがお母さんの産道を通るときにウイルスや細菌に感染することを指します。母乳感染産後、母乳育児中に発生します。ウイルスや細菌に感染したママの母乳を介し、赤ちゃんがウイルスに感染します。感染症の種類赤ちゃんへの感染予防を兼ね、ママ自身がウイルスに感染しないよう注意が必要です。ウイルスによる感染症は、人の血液や体液などを介し、既存のウイルスに感染することによって発症します。インフルエンザウイルス気道感染症であるインフルエンザを引き起こすウイルスです。症状は一般のかぜと似ていますが、重くなりやすい疾患ととらえられています。また国内で使用されているインフルエンザワクチンは生ワクチンではないため、重い副作用を引き起こしにくく、妊娠中のすべての時期において、ママの体と赤ちゃんの発育に関して影響がないと言われています。万が一インフルエンザにかかってしまっても、タミフルやリレンザなどの薬は赤ちゃんの健康リスクも高くないため、処方されます。B型肝炎ウイルスB型肝炎ウイルスが主に血液・体液を介して感染しておきる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると持続感染状態になるリスクがかなり高くなり、症状が出なくとも、将来的に肝炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週前後に血液検査で検査を行います。C型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスが主に血液を介して感染して起きる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると、将来、肺炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週目に血液検査で検査を行います。HTLV-1(ヒト細胞白血病ウイルス)HTLV-1は、感染してもほとんどの場合で症状も現れないため、赤ちゃんに感染しても、同じくほとんどの場合に無症状だと言われています。しかし将来的に感染者全体のおよそ2.5~5%にATLと言う白血病の一種が発症することがあります。また、ごくまれにHAMという神経疾患などが発症することがあります。特にHTLV-1は母乳感染によって起きやすいことが分かっています。検査は妊娠30週ごろまでに、妊娠健診で抗体検査を行います。HIV(エイズウイルス/ヒト免疫不全ウイルス)進行状況によって数年~10年程度かけて免疫力が弱まり、健康な人であれば何ともない菌やウイルスによりさまざまな病気や疾患を引き起こすウイルスです。それら病気が、エイズ指標疾患に該当する場合“エイズを発症した”と診断されます。HIV検査は妊娠後の妊婦健診で受けることができますが、万が一ママがHIVに感染している場合、医師の治療を受けることにより、母子感染を防ぐ対策をとることも可能です。パルボB19ウイルスりんご病と呼ばれる伝染性紅班の原因となるウイルスで、妊婦さんが感染すると、およそ30%が赤ちゃんにも感染します。まれに流産や胎児水腫などを引き起こすことがあります。性器ヘルペス単純ヘルペスウイルスが原因とされる、性感染症の一つです。産道を通じて赤ちゃんに感染すると、重度の肺炎や脳炎を起こすことがあります。サイトメガロウイルス性器ヘルペスと同様、ヘルペスウイルス科のウイルスです。妊娠初期に初感染すると、流産を引き起こしたり、赤ちゃんに肝障がいや難聴などが発生する可能性があります。風疹ウイルス発熱や発疹、リンパ節の腫れなどを引き起こすウイルスです。妊娠20週頃までにママが感染すると赤ちゃんに母子感染し、聴力障害や視力障害、先天性心疾患などを引き起こす先天的風疹症候群になる可能性があると言われています。水痘(水ぼうそう)水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって生じる感染症です。赤い発疹が出ることが特徴で、水疱や膿疱になった後、かさぶたになって治ります。妊娠中に発感染があると、まれに赤ちゃんに眼の異常や皮膚の萎縮が生じることがあります。梅毒梅毒トレポネーマという病原菌が原因とされる感染症です。感染部位にしこりができたり、赤い発疹が起きたりします。赤ちゃんに感染すると、神経や骨などに異常をきたす先天梅毒になることがあります。性器クラミジアクラミジア・トラコマチスという菌が原因の性感染症です。赤ちゃんに感染すると、結膜炎や肺炎を起こすことがあります。B群溶血性レンサ球菌(GBS)膣内や肛門付近にいる細菌です。母体には影響はありませんが、赤ちゃんに感染すると、肺炎や髄膜炎、敗血症などの感染症を起こすことがあります。リステリア菌食品を介して感染する食中毒菌で、妊娠中は特に感染しやすくなります。赤ちゃんに影響が出ると、敗血症と同様の症状が現れる新生児リステリア症が発症することがあります。感染症を防ぐには感染症は、人との接触、空気感染のほか、食べ物や飲み物、ペットなどの動物の体などを介する感染などで発症します。日頃から感染症を予防することを心掛けておきましょうこまめな手洗い、うがいを行う帰宅した後や、調理をする前後、食べる前、トイレの後など、手洗い・うがいを行うことで接触感染や飛沫感染を防ぎます。アルコールを含む消毒液で手を消毒するのも有効です。マスクをするインフルエンザなどにかかった感染者の咳やくしゃみなどの飛沫感染を防ぎます。外出時にはマスクを着けましょう。キッチン周りの消毒と、食品の加熱処理調理用具や調理台はいつも清潔に整え、食品はしっかりと加熱して調理して食品感染を防ぎましょう。加熱すべき食材は、中心部までしっかりと火を通すことも大切です。予防接種を受けるインフルエンザや風疹など、予防接種を受けることで感染を防ぎます。妊娠前に受けるものと、妊娠中に受けてもよいものがあるため、健診医に相談しましょう。免疫力を高める免疫力の低下は感染の確率を高めます。十分な睡眠をとり、できるだけバランスの良い食事を1日3食摂って免疫力を高めましょう。ただしつわりがある時期は食べられるものを食べられる量だけで構いません。診断の仕方と、診断後の生活について妊娠期間中は、感染症にかかっていないかを調べるために妊婦健診で検査を受けます。もし検査で感染症が見つかった場合は、赤ちゃんへの感染を防ぐためにも、医師による保健指導が行われます。治療は、感染症の種類や妊娠週数によっても異なります。妊娠中に治療しお産に備える場合や、特に母体に影響がない場合は、妊娠中は治療しないものなどもあります。何らかの感染症が見つかったら、家族や健診医や分娩医などとよく相談して、早めに対処法を考えましょう。症状の現れ方によっては、緊急に処置が必要な場合もあります。分娩施設は24時間365日開いているので、自己判断せずに相談をするように心がけましょう。参照サイト 東京都多摩小平保健所「感染症とは」 厚生労働省「参考とした文献等の概要 4 妊娠中のおくすりに関する基本的な考え方 国立成育医療センター」(平成21年) 厚生労働省「母子感染を知っていますか?」 厚生労働省「母子感染を知っていますか? HTLV-1抗体検査を受けましょう」 国立感染症研究所「風疹とは」 厚生労働省「水痘 Q1水痘とはどんな病気ですか?」 厚生労働省「梅毒に関するQ&A」 国立感染症研究所 感染症情報センター 肝炎情報センター「B型肝炎について」 首相官邸「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」 東京都感染症情報センター「咳エチケット」
2016年04月04日【男性からのご相談】最近、ジカウイルスによるジカ熱感染が話題になっていますが、少し前にはデング熱などもありました。感染症の種類はさまざまありますが、どのような経路で感染していくのでしょうか?●A. ジカウイルス感染、デング熱ともに蚊による“節足動物媒介感染”です。ご相談ありがとうございます。理学療法士のOHSAWAです。感染症といえば、最近はやりの『ジカウイルス』や『デング熱』、身近なところでは『風邪』や『インフルエンザ』などが挙げられます。しかし、一口に“感染症”といっても原因や感染経路などはさまざまです。今回は感染症の種類や予防に関してご説明していきます。●感染症とは感染症とは、病気を引き起こすウイルスや細菌などの病原体が体の中に入り込んで増殖し、さまざまな症状を引き起こすこと をいいます。また、感染症には発症させる3つの条件があります。●(1)病原体の存在ウイルスや細菌をはじめ、カビの仲間の真菌、マラリアなどの原虫の存在がなければ感染症は起こりません。●(2)感染経路病原体は何らかの経路で体内に侵入してきます。たとえばインフルエンザは空気・飛沫感染 。食中毒などは食べ物を介しての経口感染 と、さまざまな感染経路を経て体内に入り込んできます。●(3)免疫力私たちの体には侵入してきた敵(ここでは病原体)と戦う“免疫力”があります。もし病原体が体の中に侵入してきても、感染するかどうかは免疫と病原体の力関係 で決まります。つまり、私たちの免疫力が病原体を上回れば感染しませんし、逆に負けてしまうと感染するということになります。●感染の種類とその対策感染症もさまざまな種類がありますが、今回はその中でも代表的な5つの感染症とその対策を紹介していきます。●(a)飛沫感染飛沫感染とは、咳やくしゃみ、会話によって飛散した直径5マイクロメートル以上の“飛沫”が原因となるものです。感染した人の飛沫にはウイルスや細菌などの病原体が含まれており、それを呼吸とともに鼻や口から吸いこむことにより、他の人にも感染します。代表的な疾患として、一般的な『風邪』や『インフルエンザ』『マイコプラズマ肺炎』などが挙げられます。●>予防と対策知らず知らずに吸い込んだウイルスや細菌を体の奥へ入れない一番の予防法としては、“うがい” があります。うがいには、喉まで押し戻された病原体を洗い流し、感染を防ぐ効果があります。原始的で一般的ですが、やはり大事な予防法なので、外出先から戻ったら手洗いとともに必ずうがいをしましょう。●(b)空気感染空気感染とは、飛沫感染と少し違い、直径5マイクロメートル以下 の微粒子に含まれるウイルスや細菌を吸い込むことによって起こる感染です。とても小さいため、風に舞って空気中を漂い続けて、それを吸い込むことで感染します。また、床や地面に落ちた飛沫核も空気中に舞い上がります。代表的な疾患は『結核』で、その他にも『はしか』『水ぼうそう』『帯状疱疹』なども飛沫または空気感染が主な感染経路です。●>予防と対策・微粒子用のマスクを装着して飛沫核を防ぐ。・感染した人と同じ部屋で生活しない。仕方ない場合は換気をこまめにする。・加湿をする。湿度を40%以上 に保つと喉や気管の防御機能が活発になります。・ワクチンを接種し、感染症を防ぐ予防をする。●(c)経口感染経口感染とは、口から摂取する水や食べ物を介して感染することです。多くは『食中毒』で、その大半は病原体が腸内で増殖する腸管感染症です。食中毒は一年中発生しますが、梅雨から夏は細菌による感染で、冬はノロウイルスによる割合が高くなります。●>予防と対策■菌をつけない食べ物を調理する人は必ず手を洗いましょう。手には食中毒の原因菌やウイルスがついている可能性が高いです。また、生肉や魚についた病原体が生野菜などに混入しないよう、肉や魚を切った包丁やまな板は必ず洗うようにしましょう。■菌を増やさない多くの細菌は高温多湿を好み、増殖しやすくなります。生鮮食品の購入後や調理後は速やかに冷蔵庫や冷凍庫で保存することが大切です。■殺菌する加熱によってほぼ全ての病原体は死滅します。肉や魚介類は80度以上で1分の加熱が目安 です。●(d)接触感染接触感染とは、病原体に手や皮膚・粘膜が直接触れたときや、感染した人が病原体の付いた手で触ったものを介して、感染した人と間接的に接触することでうつる感染経路です。代表的なものは『エボラ出血熱』をはじめとする『ウイルス性出血熱』、院内感染で問題となる『MRSA』『O157』『手足口病』『結膜炎』などです。●>予防と対策■マスクの着用病原体のついた手で鼻や口を触るのを避けることができます。■手洗い駅の階段、電車の手すり、公共施設の扉など、不特定多数が触れるものに触った後は病原体が付着している可能性があるので、必ず手を洗って病原体を洗い流しましょう。その他にも排泄後、調理前、食事前にも必ず手を洗い、家族や他の人に広めないようにしましょう。●(e)節足動物媒介感染節足動物媒介感染とは、吸血性の蚊やダニなどの節足動物が、動物や人が持っているウイルスなどの病原体を媒介することによって起こります。蚊により感染する代表的なものは『マラリア』『日本脳炎』『デング熱』で、マダニからは『日本紅斑熱』『ライム病』『Q熱』などが挙げられます。●>予防と対策蚊に関しては、外出時は肌の露出を抑えたり、虫よけスプレーなどを利用したりして、刺されることを予防しましょう。また、庭やベランダに溜まった雨水や鉢植えの受け皿の水は蚊の繁殖に繋がる ので放置しないようにしましょう。マダニは野山に多く生息するので、山に入る際は肌を露出しない格好をして対策をしましょう。【参考文献】・『図解 知っておくべき感染症33 原因・症状・予防法』今村顕史・著●ライター/OHSAWA(理学療法士)
2016年04月02日初対面で目を合わせた瞬間に「あなた貧血でしょう?」とか、握手する手を見ただけで「タンパク質をあまり食べてませんね?」などと指摘され、それがぴったり合っていたら驚きますよね。それが医師ならなおさらのこと!斎藤糧三先生は、まさにそんなドクター。専門は「機能性医学」という新しい医療です。海外ではすでに定着しつつあるこの「機能性医学」、一体どのようなものなのでしょう。根本原因を探り、生活改善で治す 「機能性医学」とは?機能性医学… 日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、おおまかに言えば「よくある慢性的な病気や原因不明の不調に対して、薬などの対症療法に頼らず、根本原因を探って生活改善によって治す」という考えに基づくもの。もう少し詳しく、先生にお話を伺いましょう。「機能性医学は、1990年にアメリカのジェフリー・ブランド博士が提唱した新しい医学です。アメリカではここ20年ほどで定着し、かなりポピュラーになってきました。熱があるから解熱剤を出し、咳が止まらないから咳止めを処方するというのではなく、熱や咳の原因を調べ、その原因を取り除くことで健康を取り戻す方式ですね。アメリカではもう、従来の投薬に重きを置いた対症療法では無理だと国民が気づいただけ。日本は保険制度が完備されていて、誰もが平等に医療が受けられるしくみが整っていますが、アメリカは、病気になったから治療を受けたのでは高額の治療費がかかる。知恵のある人はいかに病気を避け、病院に頼らない方法を追求する傾向があります。機能性医学が広く受け入れられる下地があったわけです」(斎藤先生)近年は日本でも、機能性医学が求められているはず。生活習慣病などの慢性病(治療が長引き、慢性の経過をたどるさまざまな病気)が、日本の医療費に占める割合はおよそ8割だからです。花粉アレルギーや、アトピー、うつ病、頭痛、冷え症、ぜんそく、蕁麻疹、リウマチ、便秘、糖尿病などは、多くの人が悩む慢性病の代表的なもの。学校へ行けないとか仕事を休まなくてはならないというほどひどくはないけれど、仕事や勉強の能率を著しく下げてしまうような病気が増え続けていることは、社会が抱える重大な問題です。最近では、ガンさえも生活習慣によるものと言われていること、見逃せません。病気は “医者に治してもらう” のでなく患者さんと医師が「一緒に」治すもの「多くの人が医者から処方された薬を飲み続けています。それでも治らない。その結果ドクターショッピング(あちこちの病院、さまざまな科、主治医を転々と変えること)をし、時間もお金も使ってしまう。対症療法でなく、症状の原因に目を向けて診断すると、その方が栄養バランスが悪かったり、病気を呼ぶような環境にいることがわかったりします。栄養の偏りを正したり、足りない栄養素を補ったりするだけで症状が軽くなる人が多く、中には何十年も苦しめられていた頑固な持病がすっかり治ってしまうケースもあるほど。『先生のように、私の生活の中に原因があるのではないかと探ってくれた医者は今までいなかった』と感謝されると、本当に良かったなと思いますよね」(斎藤先生)斎藤先生が機能性医学と出会ったのは、自分が長年悩んでいた花粉症をこの医学が治してくれたからでした。そもそもアンチエイジングに力を注ぐ医師でありながら、慢性疾患になすすべがない従来型の医療に疑問を感じていた先生は、2006年、うっかりカビの生えた燻製肉を食べたことがきっかけで、腸の調子が悪くなりました。お腹の張り、ガス、下痢などに散々悩まされた挙げ句、1カ月後に症状は全身に広がり、手のひらや足の裏にまで炎症が起こり、膝にはリウマチを思わせるような関節痛まで生じてしまったのです。なぜ、カビ毒からそんな全身の症状が引き起こされるのか、従来型の医療では説明がつかない。何かないのだろうか… と考えていたところ、アンチエイジングの国際学会の仕事をしていた折りに、腸と全身疾患の関係を解いた『機能性医学』というものを知り、急に興味を持ちました。2007年からは、アメリカで機能性医学のプログラムに参加し、この医学を系統的に学び、日本人として初めて「機能性医学認定医」の資格をアメリカで取得。日本ではまだ紹介されていなかった機能性医学研究所を設立します。そして2008年、機能性医学の底力を自ら体感するターニングポイントがやってきたのです。「その年の機能性医学のトピックのひとつがビタミンDだったのですが、機能性医学では、ビタミンDを“免疫系を整えるのに必須の栄養素”ととらえているんです。そこで『小さいときから抱えているアトピーや花粉症などのアレルギー疾患は、ビタミンDの慢性的な欠乏によるものかも』と思うようになりました。そして、実際にビタミンDを摂取することで自分の花粉症が治ってしまったんですよ。ほんとに、これだ! と思いましたね」(斎藤先生)「生活」を変えるのは、患者さん本人病気には「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つがあります。遺伝的な要素は両親から受け継いだものなので生涯変化しませんが、環境的なものは食生活などの生活習慣や、その人の置かれている生活環境によってコントロールが可能です。遺伝子に関わらず最大の健康を得るためには、生活習慣・生活環境を最適化することが大切。もちろん、人の体は代謝ひとつとっても十人十色。なので、一人一人に合わせた見極めも必要です。「日本人は『病気になったら病院で薬をもらって治してもらおう』という発想に陥りがちですが、生活を変えるのは患者さん本人。医者にはできません。医師と患者さんが二人三脚で疾病に立ち向かうこと。治してもらうのではなく、一緒に治すという気持ちを持ってもらうことも大切なんですよね」(斎藤先生)慢性病を改善するための「5つの習慣」機能性医学では、これまでとは全く違ったアプローチで原因を特定していきます。例えば、精神的な悩みにも栄養不足を疑ったり、頭痛であれば肝機能の低下を疑う、など。女性に多いむくみや冷え症はタンパク質不足が原因であることが少なくないのだそうです。「普通の医師ならばたいして深く注意を払わないような対人関係や、睡眠環境といった領域まで、聞き出すこともありますね。それも、機能性医学においては慢性病を治す上で欠かせないポイントなんですから」(斎藤先生)そして慢性病を改善するために「5つの習慣」を提案します。1:栄養精製糖や白い穀物を控えて、良質のたんぱく質・脂質をしっかり摂り、ビタミンやミネラルが不足しないように気をつけること2:ストレスと対処力置かれている状況を把握したうえで、ストレスを味方にするようなものの考え方をする3:運動と活動30分ほどの速歩や自宅で行える簡単な筋トレを取り入れるだけで、メタボもロコモも防げて、認知症リスクが下げられる4:睡眠と休息栄養状態を整えると同時に、光をコントロールし、睡眠時無呼吸症候群などにも対処5:家族とソーシャルネットレジャーや運動などを介して人とのつながりを増やすことが、それぞれの慢性疾患のリスク軽減これらはすべて、治療薬を飲み続けるよりも低コストでできること。患者さんにできそうなものから薦めますが、5つのなかでも要となるのは1つめの「栄養」。1日3回、無意識のうちに口にしている食事の中身(=栄養バランス)、これを整えるだけで、慢性疾患のリスクが下げられるためです。食生活を整える「ファンクショナル栄養学」機能性医学に基づく栄養の考え方は「ファンクショナル栄養学」と言われます。従来の栄養学が慢性病を招いているのだとしたら、それを予防する食事法が必要。これが「ケトジェニックダイエット」と呼ばれるものです。勘違いされがちなのですが、「ダイエット」とは、日本ではこの30年ほどの間に「減量」を指す言葉になってしまいました。そもそも英語では「食事法」という意味です。現代人には必要のない糖質の過剰摂取をやめ、栄養のバランスを考えたケトジェニックダイエットを広めるため、斎藤先生は2013年、「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」を立ち上げました。全米では、名門病院クリーブランド・クリニックにも2014年に機能性医学の外来が開設。全米から患者さんが殺到して、常に200人以上のウエイティングリストができているそうです。アメリカで広まりつつある機能性医学は、医療費がパンク状態の日本においても、近い将来、不可欠な医療になると考えられているのです。斎藤糧三先生 プロフィール1973年東京都生まれ。医師。1998年に日本医科大学を卒業後、産婦人科医に。現在、日本機能性医学研究所所長、一般財団法人日本ファンクショナルダイエット協会副理事長、サーモセルクリニック院長、ナグモクリニック東京・アンチエイジング外来医長。機能性医学をいち早く日本に紹介し、日本人として初めての機能性医学認定医に。栄養療法、アレルギーの根本治療、ケトジェニックダイエットの啓蒙・指導、更年期症候群の治療、アスリートの栄養管理など、得意分野は多岐に渡る。著書に『慢性病を根本から治す「機能性医学」の考え方』(光文社新書)。『スーパーフード事典 BEST50―栄養素、効能、おいしい食べ方がわかる』(監修/主婦の友社)。そして話題の新刊『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)が2月24日発売に。
2016年03月26日京都大学(京大)は3月25日、植物由来成分である「プテロシンB」が変形性関節症に効果があることを明らかにしたと発表した。同成果は、京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)/富山大学の大学院生 箭原康人氏、CiRA 妻木範行教授、医薬基盤・健康・栄養研究所 竹森洋プロジェクトリーダーらの研究グループによるもので、3月24日付けの英国科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。変形性関節症は、膝や足の付け根、肘、肩などの関節に痛みや腫れが現れる病気で、骨の末端を覆う関節軟骨が変性することにより起こる。変形性関節症のリスク要因としては、加齢や関節への過剰な負荷、メタボリックシンドロームがある。加齢によって関節軟骨が薄くなること、また加齢とともに変形性関節症の患者数が増えることはよく知られているが、軟骨が薄くなることが変形性関節症の原因となるかどうかは不明となっていた。これまでの研究で、変形性関節症の軟骨細胞は、通常の軟骨細胞に比べてより成熟した細胞(肥大軟骨細胞)の性質を持っていることがわかっていた。また、妻木教授らのグループはSik3遺伝子を欠失したマウスでは、軟骨細胞の成熟が抑制され、軟骨細胞が増えることを見いだしている。同研究グループは今回、変形性関節症患者の軟骨では、症状が重症であるほど活性型のSIK3が検出される細胞の数が多いことに着目。薬剤によりSik3遺伝子を欠失させたマウスの関節軟骨を観察した結果、軟骨層がより厚くなっていることを確認した。またマウスに変形性関節症が起こりやすくなる手術を行ったところ、Sik3欠失マウスはSik3遺伝子を持つマウスと比較して変形性関節症になりにくいことがわかった。また、植物成分由来の化合物ライブラリを調べ、プテロシンBがSik3の活性を抑制することを明らかにした。実際に変形性関節症モデルのマウスの関節にプテロシンBを注入すると、変形性関節症の症状を抑えることができた。さらに、ヒト健常者のiPS細胞から軟骨を作製し、軟骨細胞が肥大化する環境でプテロシンBを加えて4週間培養したところ、プテロシンBが軟骨細胞の肥大化を抑制していることがわかった。同研究グループは以上の結果より、変形性関節症の治療ターゲットとしてはSIK3が有用であり、プテロシンBは変形性関節症治療薬開発のヒントになりえるとしている。
2016年03月25日●たった1回の行為でも子宮頸がんのリスクはある世間一般に、セックスの経験が豊富な女性は、子宮頸(けい)がんやSTD(性感染症)になりやすいというイメージがあるようです。実際のところはどうなのでしょうか。今回は、「セックスの回数の多さ」と病気に関する気になる疑問を検証します。○子宮頸がんの原因は「HPV感染」子宮頸がんの原因には、HPV(ヒトパピローマウィルス)というウイルスが関係していると言われています。HPVには約100種類の型があり、そのうち数種類の「ハイリスク型」と呼ばれるウイルスに感染すると、子宮頸がんを発症するリスクが高く、それとは別の数種類が、STDの一つである尖圭(せんけい)コンジローマの原因になることが分かっています。このHPVは主にセックスを介して感染するため、「セックスの経験が豊富な女性が子宮頸がんになりやすい」と言われることがありますが、この噂(うわさ)には誤解があります。○男性経験の豊富さは関係ない注意したいポイントは、HPVに感染したからと言って必ず子宮頸がんを発症するわけではないということ。HPV自体はよくあるウイルスで、セックス経験のある女性の約80%は、一生のうちに一度は感染すると言われているほど。しかしHPVに感染しても、ほとんどの場合、体の持つ免疫力のおかげで自然に消えてしまいます。感染者のうち、感染が持続するのは10%程度で、そのうちがんに進行するのは1~2%程度と言われています。確かに、セックスを経験した年齢が早く、不特定多数の人とセックスをしている女性は、HPVに感染するリスクや感染が持続するリスクは高いと言えます。しかし、感染からがんに進行するリスクが高いとは言えません。セックスを一度でも経験したことがある女性なら誰でも子宮頸がんにかかるリスクがある、ということを覚えておきましょう。●不特定多数との無防備な行為は性感染症のリスク大!○STDになりやすい人となりにくい人の違いではSTDの場合は、セックスの経験回数が多いほどリスクが高まるのでしょうか。まず結論から言うと、セックスの回数が多いからと言って、必ずしもSTDにかかるリスクが高まるというわけではありません。STDは、セックスを介してうつる病気の総称で、クラミジア感染症、梅毒、淋(りん)病、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、HIV感染症(エイズ)などの種類があります。病原体を持っている相手とセックスやオーラルセックスなどの性的接触を持つことで、感染・発症します。そのため、不特定多数の相手とセックスしている人は感染のリスクが高まります。一方、病原体を持たない人同士が毎回同じ相手とだけセックスする場合は、回数に関わらず感染のリスクはありません。○STDはコンドームで予防をSTDは、コンドームを使用することで、ある程度は感染を予防することができます。たとえ不特定多数の相手とセックスしていても、オーラルセックスのときも含め、毎回必ず正しい方法でコンドームを装着していれば、STDに感染する可能性は低いでしょう。逆にたった1回でも、病原体を持つ相手とコンドームをつけずにセックスすれば、感染する可能性は十分にあります。つまり、STDになりやすいのは「不特定多数の相手と無防備なセックスをする回数が多い人」であって、回数が多いだけでSTDになりやすいとは言えないのです。若者が10代から自由に恋愛やセックスを楽しむ現代社会では、HPVやクラミジアなどのセックスでうつるウイルスに感染することは、決して珍しいことではありません。自分自身の男性経験が少なくても、パートナーが不特定多数の相手とセックスすれば、途端に感染リスクは高まります。「自分には関係ない」なんて思わず、避妊やSTD予防、子宮頸がん検診などのリスク対策を心がけましょう。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 善方裕美医師日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。主な著書・監修書籍『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など
2016年03月16日厚生労働省は3月11日、ブラジルから帰国した愛知県在住の女性がジカ熱(ジカウイルス感染症)に感染していたことを確認したと発表した。ジカウイルスによるジカ熱は、主に蚊や性交渉を通じて感染する。厚生労働省によると、感染後は熱や頭痛、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠(けんたい)感などの症状が2~7日にわたって出るとのこと。現在、ジカ熱はブラジルをはじめとする中南米で流行拡大を続けており、同省によると国内でジカ熱患者が発生したのは5例目(すべて輸入症例)で、中南米での感染拡大後としては2例目となる。感染した女性はブラジルに2週間程度滞在し、2月22日に帰国。全身の発疹や発熱、関節痛などの症状が見られ、蚊に刺された痕跡も確認されたという。現在は自宅療養中で、発疹や関節痛の症状は認められるものの、熱も治まり「状態は安定しています」としている。ジカ熱の感染症状自体は軽度だが、ジカウイルス感染後のギラン・バレー症候群(手足のまひなどを伴う病気)発症や、ジカウイルス流行地域での小頭症の新生児増加が報告されるなどしており、その関連性が示唆されている。そのため、WHOは「妊娠中の女性へ継続的なジカウイルスの流行エリアに移動しないよう、助言する必要がある」などと、妊婦の流行地域への渡航自粛を勧告している。こういった現状を受け、厚生労働省は「流行地域へ渡航する場合は、長袖・長ズボンを着用したり、蚊の忌避剤(虫よけスプレー等)を使用したりして、蚊に刺されないように注意してください。特に、妊婦の方は、流行地域への渡航は控えてください」などと注意を呼びかけている。※写真と本文は関係ありません
2016年03月11日おじいちゃんやおばあちゃんが認知症になったとき、みなさんはどうするでしょうか。まずは医者に行って診断をしてもらい、お薬を受け取るのではないでしょうか?しかし、宅老所よりあい代表の村瀬孝生さんとフリーライター兼編集者の東田勉さんの共著書『認知症をつくっているのは誰なのか』(SBクリエイティブ)には、衝撃的な内容が書かれています。なんと、“認知症の問題行動の8割は薬のせいではないか”というのです。また、薬害認知症も認知症全体の3割はいるのではないか、という話も出ています。そこで今回は本書より抜粋した、「認知症の薬物療法を勧めない理由」をご紹介していきたいと思います。■知っておきたい認知症の「症状」まず、認知症には、大きくふたつの症状があるそうです。ひとつは、認知機能が障害されたことで出る中核症状。具体的には記憶障害(直前のことを忘れる、出来事全体を忘れる)、見当障害(ここがどこで、いまいつか、自分が誰だかわからなくなる)、実行機能障害(これまでできていた家事や趣味がなくなる)など。もうひとつが周辺症状で、かつては問題行動と呼ばれていたもの。現在は「BPSD」とも呼ばれているようです。具体的には徘徊、暴力、介護抵抗、失禁、不潔行為、昼夜逆転、幻覚、妄想、不穏などがこれにあたります。■認知症の薬物療法には問題がある筆者が問題提起するのは、この認知症の薬物療法です。中核症状については抗認知薬を、周辺症状については向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、精神安定剤、睡眠薬など)が使われるのが一般的だそう。最初に抗認知薬の問題点を上げてみましょう。(1)抗認知薬は認知症を治す薬ではない厚生労働省や医学会、医者、マスコミによる認知症キャンペーンでは、よく「早期受診・早期診断・早期治療」を勧めています。その後に必ず「進行を遅らせる薬があるから」といわれるそうです。しかし、アリセプトに代表される抗認知症薬は進行が止まるものではなく、飲み続けても緩やかに進行していきます。一部の人(4~6割)で9カ月~1年間は進行速度が弱まるものの、その時期を過ぎたら効かなくなるそうです。飲むのをやめれば飲まなかったのと同じ症状になってしまうとのこと。認知症を治す薬ではないので、効果に過剰な期待はしないほうがいいようです。(2)抗認知症薬のうち3種は興奮系の薬剤ということ確実に存在する“副作用”について見ていきましょう。抗認知症薬のうちメマリーという薬を除く3種は興奮系の薬剤で、「病的な怒り」を引き起こす点が大きな問題です。高齢者が認知症の薬を飲んで、興奮して暴れたという報告はものすごく多いとのこと。認知症の人を介護する側はこれらの薬によって、かなり大変なことになってしまうようです。(3)抗認知症薬には必ず増量規定があるそのような副作用が出るにも関わらず、抗認知症薬には増量規定があります。たとえばアリセプトという薬は1日3mgから服用を開始し、3週目からは5mgに増量しなければなりません。個人差があっても増量です。約20%に出てしまう“病的な怒り”にもお構いなく、医者は規定通りに増量しようとするそうです。それは、規定以外で処方すると、医者の診療報酬がカットされて保険診療にならず、薬代が病院・医院の自腹になる可能性があるから。抗認知症薬の副作用で大変な思いをした家族は医者にすがると、今度は多くの医者が増量規定を守りながら、お年寄りを鎮静させる「向精神薬」を処方します。これはつまり、アクセルとブレーキを両方踏むような薬物療法です。これが現在の70歳代、80歳代、90歳代のお年寄りに行われているのです。■問題行動の約8割が薬害性の疑い著者は「問題行動といわれるものの約8割は薬害性なのではないか」と疑っています。一昔前までは、認知症でも悩まず明るく、混乱もしていないお年寄りがいたそうです。しかし、いまでは「早期受診・早期診断・早期治療」で大量の薬を飲まされているから、“病的なボケ”が蔓延しているとのこと。お年寄りは医療では生活の支援が受けられず、著者の施設のような所へ来るのですが、みんな薬漬けになって来るそう。そして、薬によって元々もっている人間としての排泄や睡眠のリズムが崩れてしまいます。薬ではコントロールができていないのです。著者は経験として、薬を断ったお年寄りが心身ともに安定した例を多数見てきたこともあり、「できれば薬を使わない、減らしていくことが必要」と訴えています。また、著者と同じ考えで協力してくれる医者もいるとのことです。*自分の身近な人が認知症になったとき、医者の指示どおり、処方された薬を飲ませてしまう人は少なくないでしょう。しかし、薬はどんなものであっても、効き目には個人差があり、たくさん飲めば副作用も出てくるかもしれません。だからこそ、その時々で本人の様子を観察し、本当にこの薬でいいのか疑う目も必要なのではないでしょうか。認知症に関する疑問や興味がある人は、ぜひ読んでほしい本だと思います。(文/齊藤カオリ) 【参考】※村瀬孝生・東田勉(2016)『認知症をつくっているのは誰なのか』SBクリエイティブ
2016年03月01日新潟大学は2月3日、多発性硬化症および視神経脊髄炎の神経変性に関わる新たな仕組みを発見したと発表した。同成果は、同大学 脳研究所 神経内科 河内泉 講師、西澤正豊 教授、穂苅万李子 大学院生、横関明子 医師らの研究グループによるもので、2月2日付けの米科学誌「Annals of Neurology」に掲載された。多発性硬化症(MS)および視神経脊髄炎(NMO)は、視神経や脊髄、脳に炎症が起こることで、視力の障害、手足の麻痺、しびれや認知機能障害などの症状が現れる神経難病。異常な免疫反応により、MSでは神経軸索を覆うミエリンが破壊され、NMOでは神経細胞・軸索に隣接しサポートするアストロサイトが破壊される。この結果、神経機能が重度に障害される神経変性が起こる。MSとNMOでは異なる免疫制御治療が開発されており、異常な免疫因子をある程度制御することが可能となっているが、神経を保護する治療法は未だ開発されていない。今回、同研究グループは、MSとNMOでは視力障害がしばしば起こるが、NMOではMSに比較して、より重度で回復が不良な視力障害に進展すること、MSのミエリン障害、NMOのアストロサイト障害に加え、MS・NMOともに、視神経軸索と網膜の神経細胞が強く変性していることを明らかにした。また、MSでは「未知の異常な免疫因子」によるミエリンの破壊に引き続き神経変性が起こる一方で、NMOでは「アクアポリン4抗体」によるアストロサイトの破壊に引き続き神経変性が引き起こるが、MSとNMOで障害された神経軸索には、変性したミトコンドリアや陽イオンチャネル「transient receptor potential cation channel subfamily M member 4 (TRPM4)」が異常に集積しており、MSとNMOの神経軸索減少に関与していることがわかった。さらに神経軸索の障害は、網膜の神経細胞にも変化を及ぼすことがわかった。特にNMOではMSと比較してより多くの異常なミトコンドリアが、変性した神経軸索に含まれるため、疾患の早期から免疫制御治療を行うことに加え、神経保護治療を追加する必要があることが示唆された。同研究グループは、異常な免疫分子を制御する「免疫制御治療」と「神経保護治療」の組み合わせにより、患者のQOL向上が期待されるとしている。
2016年02月04日国立感染症研究所は2月2日、1月18~24日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中の全国のインフルエンザ患者報告数が前週の2.6倍以上となる5万人に達したことを明らかにした。同研究所の報告によると、2015/16年シーズンのインフルエンザ流行は、開始時期が例年より1カ月ほど遅れていた。しかし2015年末から継続的な増加が見られ、年が明けてからは、第1週(1月4~10日)が9,964人、第2週(1月11~17日)が2万369人、今回の第3週(1月18~24日)が5万2,226人と患者数が急増。厚生労働省は1月15日に全国的な流行期入りを発表していたが、第2週と第3週の患者数比は約2.6倍とインフルエンザの猛威を指し示している。定点医療機関あたりの1週間における患者報告数は、第2週は4.11だったが、第3週は10.56まで増加した。中でも新潟県(29.28)、沖縄県(18.22)、青森県(16.45)、千葉県(14.13)では極めて高い値となった。大都市圏で見ると、東京都は第2週が3.79だったのが第3週は11.17まで膨れ上がった。大阪府は同3.11だったのが9.19へ、愛知県は同4.33だったのが11.92へ、福岡県は同4.41だったのが13.68へと、いずれも3倍近く増えていることがわかる。インフルエンザは、学生にとっても社会人にとっても「集団感染」が懸念事項の1つ。同研究所や厚生労働省などでは、飛沫(ひまつ)感染対策として、マスクを着用して咳(せき)をするときはティッシュやハンカチで口をおおうといった「咳エチケット」をあげる。また、接触感染対策として、うがい手洗いなどの手指衛生の徹底が重要であることを呼びかけている。※画像と本文は関係ありません
2016年02月02日国立感染症研究所は1月26日、1月11~17日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中の全国のインフルエンザ患者が前週の2倍以上となる2万に達したことが明らかになった。インフルエンザの症状は「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などで、国内では例年12月から3月頃にかけて流行する。免疫力が低下している人や高齢者が感染すると、肺炎を併発するケースもみられる。一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染する点が特徴で、集団感染によって3月でも学級閉鎖がみられるケースがある。2015-2016年シーズンは流行期入りが遅れており、厚生労働省は1月15日に全国的な流行期入りを発表していた。全国約5,000カ所の定点医療機関から1月11~17日(第2週)の期間中に報告があった患者数は2万369人で、第1週(1月4~10日)の9,964人から倍以上となっている。さらに前週(2015年12月28~1月3日)は4,290人だったため、2週間で1週間あたりの感染者が約5倍にも膨れ上がっている計算となる。それに伴い、定点医療機関あたりの1週間における患者数も急伸。第1週は「2.02」だったが、第2週は4.11まで増加している。定点あたりの患者報告数が最も多かった都道府県は沖縄県(12.22)。以下に新潟県(11.8)、秋田県(8.94)、北海道(7.21)、青森県(7.12)と続き、沖縄県を除けば比較的北国が多く並ぶ。大都市圏でみると、東京都は第1週に1.67だったのが3.79へ、大阪府は同1.58だったのが3.11へと倍増しており、患者が急激に増えていることがうかがえる。愛知県も同1.94だったのが4.33にまで増えている。インフルエンザの主な感染経路は、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染。予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。ただ、感染しても特有の症状が出ないケースや検査タイミングによって正しい結果が出ないケースもあり、当人が知らないうちに感染を拡大させている可能性もあるため、注意が必要となる。※写真と本文は関係ありません
2016年01月26日国立感染症研究所は1月19日、1月4~10日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果より、一度は縮小の気配を見せたノロウイルス由来とみられる「感染性胃腸炎」の感染に対し、まだまだ警戒が必要なことがわかった。厚生労働省によると、ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生しているが、特に冬季に流行。「ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします」としている。国立感染症研究所は、全国約3,000カ所の定点医療機関から1月4~10日(2016年第1週)の期間中に報告があった患者数を集計。その数は2万4,300人にのぼったという。2015年の第50週から週間当たりの患者数は3万人を超え、第52週まで3万人台を維持していた。第53週(12月28日~1月3日)の患者は1万3,852人で、その前週の3万1,861人よりも半減以下に落ち込み、感染縮小の兆しをみせた。ところが、1月4~10日の期間に第53週の倍近い2万4,300人を記録。まだまだ感染に注意する必要があることが示された。また、第1週の時期における1医療機関ごとの患者数も、例年に比べて高水準だ。2016年の第1週時の定点当たり報告数は、7.74人。2011年から2015年間までの過去5年間と比較すると、2011年の7.98人に次ぐ2番目に高い数値で、2015年(3.47人)の倍以上となっている。2016年の第1週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは東京都で2,142人。2位以下は神奈川県(1,869人)、埼玉県(1,560人)、愛知県(1,324人)、大阪府(1,237人)と続く。大都市圏や関東圏において、依然として患者が多い傾向がみてとれる。厚労省は、ノロウイルスによる感染性胃腸炎を防ぐため、「食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう」「子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう」などの予防策をよびかけている。※写真と本文は関係ありません
2016年01月19日理化学研究所(理研)と熊本大学は1月18日、エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスである「HIV-1」が細胞から細胞へと感染拡大する際の新たなメカニズムを解明したと発表した。同成果は、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 粘膜システム研究グループの大野博司 グループディレクター、環境資源科学研究センター ケミカルバイオロジー研究グループの長田裕之 グループディレクターと熊本大学 エイズ学研究センター・国際先端医学研究拠点施設(鈴プロジェクト研究室)の鈴伸也 教授らの研究グループによるもので、1月15日付けの米科学誌「Journal of Immunology」に掲載された。免疫系細胞は、細胞膜が細長く伸びた細胞膜ナノチューブ(TNT:Tunneling NanoTube)を作り、離れた2つの細胞を物理的に連結して、細胞間で物質交換を素早く確実にやりとりする機能を持っているが、この性質を逆手に取り、エイズウイルスなどのウイルスやウイルスの病原タンパク質が細胞から細胞へと移動することで、感染を拡大させたり、免疫機能を抑制して病態を悪化させたりすることが知られている。HIV-1は、CD4という表面分子を持つTリンパ球(CD4+Tリンパ球)とマクロファージという2種類の免疫細胞に感染し、これらの免疫細胞の中で増殖。未感染のCD4+T細胞やマクロファージへと感染することで、免疫細胞の機能不全や減少を引き起こす。このようにHIV-1が感染拡大していく経路には、一度HIV-1が感染細胞の外に出て周囲の未感染細胞に感染する経路のほかに、TNTを介してHIV-1が感染細胞から未感染細胞に移る経路が知られていたが、そのメカニズムは明らかにされていなかった。今回の研究では、ヒト血液由来のマクロファージにHIV-1を感染させ、TNTの形成促進を観察した。この結果、ウイルスタンパク質であるNefを欠損した変異HIV-1を感染させるとTNTの形成促進は観察されなかった。一方、HIV-1をCD4+Tリンパ球に感染させても、このHIV-1によるTNTの形成促進は見られなかった。そこで同研究グループは、マクロファージには発現しているが、CD4+Tリンパ球には発現していないTNT形成因子「M-Sec」に着目。マクロファージ細胞株にNefを強制的に発現させるとTNTの形成促進が見られたが、M-Secの発現を抑制したマクロファージ細胞株では、Nefを強制的に発現させてもTNTの形成促進が見られなかったことから、NefによるTNTの形成にはM-Secが必要であることを明らかにした。同研究グループはさらに、理研の化合物バンクを用いて、6800の化合物の中から、M-SecによるTNT形成の抑制活性を指標として、TNT形成を可逆的に阻害する「NPD3064」という化合物を見いだした。この化合物を用いたTNT形成の抑制により、HIV-1の産生は約2分の1に減少したという。このメカニズムが解明されると、HIV-1の感染やそれによる病態形成の詳細がわかり、エイズの治療や発症予防に貢献すると考えられる。さらにTNTの形成阻害薬が、これまでの抗エイズ薬と異なる作用メカニズムにもとづく、新たなエイズの治療薬の開発につながる可能性があると同研究グループは説明している。
2016年01月18日国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「RSウイルス感染症」の患者が全国で6,000人近くになることが判明。過去10年間の同時期と比較しても、高い水準で患者が増え続けていることが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。通常、RSウイルスに感染してからの潜伏期間は2~8日で、典型的な潜伏期間は4~6日とされている。同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもがウイルスに感染し、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとのこと。厄介なことに、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった全国の患者数は5,756人。第50週の7,469人をピークに2週続けて減っており、感染縮小の兆しはみえてきている。ただ、2005年シーズンからの第52週時期における患者数と比較すると、5,756人は2番目に高い数字となる。2014年シーズンこそ第52週に6,110人を記録していたが、2009年からは5年連続で3,000人台で推移。この数字からも、今シーズンはRSウイルスが長期間にわたって猛威を振るっていることがわかる。12月21~27日の期間中において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の562人。2位以下は兵庫県(479人)、愛知県(345人)、東京都(277人)、北海道252人)と続く。RSウイルス感染症には特効薬やワクチンがないため、予防が肝要となる。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児。一方、再感染以降ではくしゃみ・鼻水といったような症状が出ていても、RSウイルス感染症であるとは気づかない年長児や成人もいる。そのため、厚生労働省は「咳等の呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防につながります」としている。※写真と本文は関係ありません
2016年01月13日国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中に4,000人近くが各地の医療機関でインフルエンザ感染を確認されたことが明らかになった。厚生労働省は、インフルエンザは「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状が突然現れ、日本では例年12月から3月頃にかけて流行が見られるとしている。一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染し、集団感染によって学級閉鎖などへとつながる。国立感染症研究所によると、全国5,000カ所の定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった感染者数は3,734。第51週は2,270人となっており、64%も1週間あたりの患者が増えた計算になる。第50週(1,690人)からの数値を見ると、1週間ごとの伸び率は34%、64%と推移しており、直近2週間で急伸していることがわかる。第52週において、都道府県別での患者が最も多かったのは北海道(532人)。以下は秋田県(359人)、東京都(304人)、神奈川県(231人)、大阪府(190人)となっている。感染増に伴い、全国の定点当たり報告数(1医療機関あたりの患者数)も増加。第51週は0.46にとどまっていたが、第52週は0.76まで急上昇。第50週(0.34)から2週間で2倍以上になっており、「流行開始」の指標となる「1.00」へと迫っている。なお、既に今シーズンは昨シーズンより1カ月以上も流行期入りが遅れている。インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となり、予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。また、感染しても特有の症状が出ないケースや検査タイミングによって正しい結果が出ないケースもあるため、十分に注意が必要となる。※写真と本文は関係ありません
2016年01月12日帝京平成大学はこのほど、不安症に共通する疾患感受性遺伝子2カ所を発見したと発表した。同成果は同大の音羽健司 教授と米国バージニア・コモンウェルス大学のジョン・ヘッテマ 准教授らの国際共同研究グループによるもの。1月12日(現地時間)の米科学誌「Molecular Psychiatry」に掲載された。不安症とは、不安反応が過剰に長期間持続するため日常生活に支障をきたす疾患のことで、これまで神経症と呼ばれていた。同疾患には全般性不安症、パニック症、社交不安症、恐怖症などがあり、比較的頻度の高い疾患として知られている。これまでの研究から遺伝的要因が関与していることが報告されていたが、確立して遺伝部位は発見されていなかった。今回の研究では、米国、欧州、豪州を中心とした研究者によるる国際共同研究グループを結成し、計1万8000人を対象とした全ゲノム関連解析のメタ解析を行い、不安症の発症に関与する遺伝子の探索を行った。解析は患者と健常者を比較する方法と、不安に固有の因子を用いて全対象者を調べる方法の2通りが実施された。解析の結果、患者・健常者を比較する方法では3番染色体に位置する非コードRNA領域上の特定の遺伝子変異が、また全対象者を調べる手法では2番染色体に位置するCAMKMT遺伝子上の特定の遺伝子変異が不安症のなりやすさに関係することがわかった。今後、これらの遺伝領域が不安症の発症に影響を与えるメカニズムを解明することで、新しい診断法や治療薬の開発、予防方法の解明につながることが期待される。
2016年01月12日カスペルスキーは1月5日、Microsoft Officeに含まれているメールソフト「Outlook」で新たに見つかった脆弱性について解説した。Outlookの「BadWinmail」という脆弱性は、メールを開かなくても、Outlookを起動しただけでウイルスに感染させる恐れがある。その名称は、発見したセキュリティリサーチャーのリー・ハイフェイ(Haifei Li)氏が付けたもの。原因となるのは「OLE(Object Linking and Embedding)」と呼ばれる機能。これは、MS Officeのファイルにオブジェクトを埋め込むための機能で、WordやExcelのファイルだけでなく、Outlookのメールにも埋め込むことが可能だ。OLEは、埋め込まれたすべてのオブジェクトを実行する仕様となっており、セキュリティ対策がほとんど考慮されていない。オブジェクト内に悪意あるコードが含まれていた場合でも実行してしまう。攻撃者は、OLEを悪用し、エクスプロイトが添付されたメールを送信する。Outlookは、標準でソフトの起動時にメールを受信する設定になっており、Outlookの起動と同時に悪意のあるメールを受信し、攻撃が実行されてしまう。カスペルスキーは、今回の件からOutlookのセキュリティ対策が不十分であることを指摘している。ブログでは、Flashを例に出し、セキュリティ対策を紹介している。Flashが「脆弱性の宝庫」であることは、セキュリティに詳しい人であれば周知の事実。そこで、多くの開発者は、自社のソフトウェアでFlashコンテンツを使う時は「サンドボックス」を利用する。サンドボックスとは、社内のネットワークから完全に切り離された仮想の環境であり、サンドボックス内であれば危険なコードを実行した場合でも外部が影響を受けることはない。Outlookは、危険性のあるオブジェクトに対してこのようなサンドボックスを使用していない。そのため、「埋め込みオブジェクトの中に悪意あるコードが含まれていても、PCにインストールされている他のソフトウェアと同じようにふるまえる」という。マイクロソフトは、発見したリー・ハイフェイ氏からの報告を受け、12月の月例アップデートで更新プログラムを配布した。Outlookをアップデートすることで、BadWinmailを悪用した攻撃を防ぐことができる。カスペルスキーは、まだアップデートをしていないユーザーへ注意を促している。
2016年01月06日東京大学は1月5日、動物モデルにおいて治療用転写因子のmRNAを関節内へ送達することで変形性関節症の進行を抑制することに成功したと発表した。同成果は同大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻のハイラトアニ 特任研究員、大庭伸介 特任准教授、鄭雄一 教授(医学系兼担)と医学系研究科附属疾患生命工学センターの位高啓史 特任准教授、片岡一則教授らの研究グループによるもの。※位高特任准教授の苗字「位高」の高ははしご高変形性関節症は関節軟骨がさまざまな原因により変性し「クッション」と「ちょうつがい」としての機能を失うことで発生する。患者は、膝関節だけで国内に2530万人以上いると推測されている。これまでの治療では、人工関節置換術などの外科的治療を除いて薬物により痛みを取り除いたり、炎症を抑えたりする対症療法が主となっている。一方、変形性関節症の分子病態が次第に明らかになるにつれ、関節軟骨細胞の内部でその発症や進行に働く分子を標的にした病態修飾薬剤の開発が期待されており、治療に有効な遺伝子発現を調節する転写因子を細胞内で発現させることが、直接的かつ効率的な病態修飾療法の1つであると考えられている。ゲノムDNAから始まる内因性の遺伝子発現においては、タンパク質の遺伝情報をコードするDNA領域がメッセンジャーRNA(mRNA)としてコピーされ、タンパク質合成の設計図として働くことから、DNAの段階を経ずに、目的とするタンパク質合成を細胞内で迅速に誘導するための新しい核酸医薬として、mRNAの応用が期待されている。今回の研究では、治療用転写因子mRNAを高分子ミセル型mRNA送達システムを用いて、マウスに投与した。まず、mRNA内包高分子ミセルをマウス正常膝関節内に投与したところ、投与24時間後から4日後まで、関節軟骨細胞におけるmRNA由来蛋白質の発現を確認することができた。次に、変形性膝関節症を発症するモデルマウスの膝関節内に、3日に1回のペースで1カ月間、軟骨形成に働く転写因子RUNX1のmRNAを内包した高分子ミセルを投与した。その結果、RUNX1 mRNA投与群の関節軟骨では、送達したmRNAに由来するタンパク質の発現を認め、コントロールmRNA投与群と比べて変形性関節症の進行が有意に抑制されました。さらに、主要な軟骨基質蛋白質の1つであるII型コラーゲン、軟骨形成に必須の転写因子SOX9、細胞増殖マーカーである増殖細胞核抗原の発現が高い度合いまで進んでいた。同研究グループはこれらの結果について「膝関節内に送達したmRNAに由来するRUNX1蛋白質が関節軟骨内部で治療用転写因子として働くことで、軟骨細胞としての形質の維持や増殖に関わる遺伝子群の発現を調節し、変形性関節症の進行が抑制されたことを示すものです。」と説明している。
2016年01月06日国立感染症研究所は1月5日、2015年12月14~20日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中に2,000人以上が各地の医療機関でインフルエンザ感染を確認されたことが判明した。インフルエンザは「のどの痛み」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状を伴う。日本では例年12月から3月頃にかけて流行が見られ、一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染する点が特徴だ。全国5,000カ所の定点医療機関から12月14~20日(第51週)の期間中に報告があった全国の感染者数は2,270。第50週は1,690人だったため、前週に比べて約34%患者が増えている計算になる。第51週に都道府県別での患者が最も多かったのは北海道(348人)。以下、東京都(231人)、秋田県(184人)、大阪府(123人)、神奈川県(122人)と続く。患者増に伴い、全国の定点当たり報告数(1医療機関あたりの患者数)も増加。第50週は0.34だったが、第51週は0.46まで数値がアップしている。なお、「流行開始」の指標となる数値「1.00」。ちなみに2014-2015シーズンにおいては、同研究所が2014年12月5日に定点報告数が「1.00」を上回ったことを明らかにしている。すなわち、今シーズンは昨シーズンより1カ月以上も流行期入りが遅れていることになる。都道府県別では秋田県(3.41)を筆頭に、北海道(1.54)、新潟県(1.26)、福島県(1.14)、沖縄県(1.00)、富山県と大分県(共に0.57)、東京都(0.56)、岡山県(0.52)などが上位に並ぶ。東京都だけで見ると、定点当たり報告数は0.19(第49週)、0.44(第50週)、0.56(第51週)と推移。患者数も第50週から第51週にかけて約28%増加しており、じわじわと感染が拡大していることがうかがえる。インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路。予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。※写真と本文は関係ありません
2016年01月06日国立感染症研究所は1月5日、2015年12月14~20日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「感染性胃腸炎」の患者が、2015年で最多だったことがわかった。感染性胃腸炎の症状としては、一般的に発熱を伴った下痢や腹痛、おう吐などがある。厚生労働省は、特に冬季は食品などを通じて感染するノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行するとしている。国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から12月14~20日(第51週)の期間中に報告があった全国の患者数は3万3,709人。第50週に2015年で初めて患者数が3万人を突破(3万2,022人)し、さらに第51週にも増加していた。また、1医療機関あたりの患者数も第50週に初めて10人を超えており、第51週には10.67人まで数値を伸ばしている。ただ、過去5年間の同時期の患者数と比較すると、2015年が最少。過去5年間では2013年が18.07で最多で、2012年が17と続いている。第51週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは東京都の3,957人。2位以下は神奈川県(3,139人)、埼玉県(2,016人)、愛知県(1,909人)、大阪府(1,904人)となっており、大都市圏にて患者が増えている傾向がみてとれる。全国的なウイルス感染拡大を受けて、Twitter上には「年明け早々息子のノロウイルス。看病疲れか私も風邪」「ノロウイルスの胃腸炎かかりました」「2年ぶり4回目のノロウイルス」などのコメントが多くみられる(コメントは原文)。※写真と本文は関係ありません
2016年01月05日日本IBMは12月22日、11月より確認しているランサムウェアへの感染を狙った攻撃が、12月に入ってからも行われていると同社のセキュリティブログで解説した。ランサムウェアの動向は、IBMの東京セキュリティー・オペレーション・センター(東京SOC)が確認したもの。攻撃経路の主流は、Web経由でのドライブ・バイ・ダウンロード攻撃と不正なファイルが添付されたメールを使ったものの2つ。メールによる攻撃は、添付された不正なJavaScriptを実行するもので、Wordファイル内に組み込まれた不正なマクロを実行すると、外部からマルウェアがダウンロードされる。一方のドライブ・バイ・ダウンロード攻撃は、Angler Exploit Kitを利用してAdobe Flash Playerの脆弱性を悪用するものであった。12月を週ごとに区切ると、12月7日の週は攻撃の発生件数が数件程度だったが、12月14日週は発生件数が増加している。攻撃サーバーへの誘導手法は、Webサイトが改ざんされ、ユーザーがページを閲覧すると不正なスクリプトが読み込まれ、バックグラウンドで攻撃サーバーに誘導されるものであった。改ざんに用いられた攻撃手法や脆弱性はわかっていないが、改ざんされたWebサイトはいずれもWordPressを使用しているサイトであった。そのため、Tokyo SOCではWordPress本体やプラグインの脆弱性を悪用して改ざんが行われている可能性が高いと推測している。ランサムウェア攻撃を防ぐためには以下の対策を推奨している。バックアップの定期的な取得アンチウィルスソフトの導入と、最新の定義ファイルへの更新心当たりのない不審なメールのリンクをクリックしない、添付ファイルを開かないブラウザのプラグイン無効化や、Click-to-Play機能の有効化OSやブラウザ、Microsoft Office、Adobe Flash Player、Adobe Reader、Java Runtime Environmentなどの修正プログラム(パッチ)適用Adobe Flash Playerの脆弱性への攻撃は今後も続くと予想されることから、Flashコンテンツの表示が必要でない環境ではAdobe Flash Playerのプラグイン無効化にするよう呼びかけている。一方でFlashコンテンツを表示させる必要のある環境では、リスクの緩和策としてFlashコンテンツの再生にユーザーのクリックが必要となるClick-to-Play機能を利用するように推奨している。万が一ランサムウェアへ感染した場合は、組織内のファイルサーバーが暗号化され、事業継続に影響を与える恐れがある。そのため、クライアントPC内のファイルのバックアップ先を常時接続されたファイルサーバーにしないなど、マルウェア感染を想定した対策が必要だという。また、感染時にネットワークドライブや外付けストレージのファイルまで暗号化されることを防ぐためには、該当のクライアントPCをネットワークから切り離したり、外付けストレージを取り外しておくことが有効だという。
2015年12月24日薬用せっけん「ミューズ」を販売するレキットベンキーザー・ジャパンはこのほど、インフルエンザやノロウィルスなどの感染症が流行しやすくなるシーズンに突入したことを受け、2次感染のリスクを減らす「ノータッチ手洗い」を提唱するリリースを発表した。感染症は、皮膚や粘膜の直接的な接触や、ドアノブ・手すり・便座などの表面を介しての接触によって病原体が付着することによる「接触感染」が約70%を占めるという。しかし、「感染症の最たる感染経路は、飛沫(まつ)感染である」と思い込んでいる人が約70%も存在しているとのこと(「ミューズ」調べ)。手から手を介して拡散する感染症を防ぐためには、せっけんを使った手洗いが大切といわれている。しかし、消費者庁の調べによると、家庭での食事前に手を必ず洗う人は52.6%。また、15.4%の人はトイレの後に手を洗わないという結果が出るなど、手洗いがきちんとできていない人が多くいる実情が明らかになっている。そこで「ミューズ」では、できるだけ汚れた場所を触らない手洗い、「ノータッチ手洗い」を提唱。それによると、他の人と共有で使用するタイプのせっけん、前に洗った人の手に付着していた汚れや、バイ菌・ウイルスが、せっけんやせっけんを入れてある網袋に付着している可能性があり、実は衛生的ではないことがある。そのため、せっけんを触らずに手を洗うことができるポンプ式や自動で泡が出るタイプのハンドソープなどが理想的だとしている。また、手を拭くタオルを共有で使っていたり、使い回していたりすると、タオル自体がバイ菌に汚染されている可能性があり、手洗い後に、汚れやバイ菌を再び手に付着させていることも考えられると警告。手洗い後に手を拭く際は、ペーパータオルなどを使うか、毎回タオルを交換するのが理想的とのこと。さらに、手の洗いの残しを防ぐための「徹底! 手洗い6つのステップ」も紹介。その内容は、「手のひらを合わせてよくこする」「手の甲を伸ばすようにこする」「指先やつめの間も念入りにこする」「指の間も十分に洗う」「親指と親指のつけ根を洗う」「手首を軽く握りながら洗う」となっている。その他に、「手を洗う前は、腕時計やアクセサリーは外す」「タオルはひとりずつ個人用に、清潔なものを用意する」「子どもが手を洗うときには、大人が付き添い、確認をすることが重要」との注意ポイントも付け加えている。
2015年12月07日国立感染症研究所は12月1日、11月16~22日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が、2015年で最多だったことがわかった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。ウイルスの典型的な潜伏期間は4~6日とされている。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後1歳までに半数以上の子どもが感染するとしており、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するという。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から11月16~22日(第47週)の期間中に報告があった全国の患者数は6,687人。第43週に1週間あたりの患者数が4,000人を超え、第47週に2015年になって初めて6,000人を突破した。直近5年間の同時期の患者数と比較しても、2015年が最も多い。2番目に同時期の患者数が多かったのが2014年で、その数は5,151人。最少だった2011年は2,389人となっているから、いかに今年の患者数が多いかがわかる。第47週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の580人。2位以下は北海道(499人)、愛知県(354人)、東京都(335人)、埼玉県(291人)と続く。第46週の患者数も大阪府、北海道、東京都、愛知県、埼玉県の順に多かったため、この5地域において患者が増加傾向にあることがうかがえる。また、ノロウイルス由来の患者が冬場に多くなる「感染性胃腸炎」も患者数が増加している。第47週における、1医療機関からの感染性胃腸炎患者の報告数は「7.18人」。第43週には4.33人だっただけに、1カ月間で約1.66倍にはねあがっている。※写真と本文は関係ありません
2015年12月02日冬になると毎年のように流行するインフルエンザ。悪寒や高熱などの症状が出た場合、インフルエンザと自覚できるがは、実は「感染に気付かないインフルエンザ」もあるのをご存じだろうか。○インフルエンザ特有の症状が出ない38度以上の発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が特徴のインフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となる。通常は、ウイルスの潜伏期間をへた後にこれらの症状が現れる、だが、中にはインフルエンザ特有の症状が出ない「不顕性(ふけんせい)感染」の人も少なからずいる。済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛医師によると、不顕性感染にはさまざまな要素が関わってくるという。「不顕性感染かどうかは、元々の体質の特性に加えて、そのときの体力の状態や感染しているウイルスのタイプなどが関わってきます。そのため、一概にどういう人が不顕性感染になりやすいということは言えません」。○不顕性感染の人が感染を拡大させる恐れ苦しい症状が出ないというのは、本人にとってはありがたいことだが周囲にとっては必ずしもそうではない。なぜなら、不顕性感染の人が媒介役となって、感染を拡大させる可能性があるからだ。「私たちが病院で診察する患者さんは、38度とか39度くらいの高い熱が出て『自分がインフルエンザだ』と思って来るわけです。ただ、中には『家族がインフルエンザになりました。私の熱は37度台なので、私はインフルエンザじゃなく鼻かぜだと思います』などと話されている人でも、検査するとインフルエンザであることもあります。症状が弱く出る人はいますので、そういう人がウイルス感染を広めている可能性はありますね」。国内で近年流行しているインフルエンザウイルスは、A型とB型だ。ウイルスには流行する時期があり、例年は3月頃にB型ウイルスの感染者が増えてくるが、この時期は小学校などでインフルエンザ感染が散発的にみられるタイミングでもある。この現象も不顕性感染が関係しているのではないかと十河医師は推測する。「例えば、B型のインフルエンザウイルスは比較的症状が穏やかなので、インフルエンザと気づかれずに『風邪かな』とご両親たちが思ってお子さんたちが学校に行っていたら、実はインフルエンザだったということもあります。そういったお子さんと遊んだ子や、近くにいた子も検査したらインフルエンザだったというのもよく聞く話です」。○飛沫対策をしっかりとろう一目で「インフルエンザだ」とわかるような症状を呈していないだけに、不顕性感染の人を見分けるのは困難と言っていい。ただ、飛沫感染であることは通常と変わらないため、厚生労働省は■普段からくしゃみを他の人に向けて発しないこと■せきやくしゃみが出るときはできるだけマスクをすること■手のひらでせきやくしゃみを受け止めたときはすぐに手を洗うことなどを対策として掲げている。自身が気づかないうちに家族や恋人、友人などを感染させてしまう可能性もあるため、寒い季節はこれらの対策を徹底するように努めよう。
2015年11月30日国立感染症研究所が11月24日に発表した感染症発生動向調査によると、直近の11月9~15日の期間中のインフルエンザ患者は全国で707人だった。まだ少数だが、昨シーズンは12月上旬で流行期入りが確認されており、今シーズンもこれから流行期にむかっていくことになる。頭痛や関節痛、倦怠(けんたい)感など複数の症状が出るインフルエンザだが、実際にはどの症状がどの程度現れるのだろうか。今回は、インフルエンザ感染を経験したことがあるマイナビニュース会員300名に「経験したことがあるインフルエンザの症状とその程度」について聞いたので、詳しく紹介しよう。Q. 経験したことがあるインフルエンザの症状を教えてください(複数回答可)1位: 悪寒(80.0%)2位: 発熱を伴う頭痛(58.3%)3位: 関節痛(51.3%)4位: 鼻水(43.3%)5位: 倦怠感(42.7%)6位: せき(35.0%)■悪寒・「とにかく毛布を何枚かぶっても寒かった」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「背筋がゾクゾクする感じ」(50歳以上男性/金融・証券/専門職)・「関節が痛くて動くのがつらいのと、震えが止まらず熱を測ると40度を超える熱が出ていた」(25歳女性/食品・飲料/専門職)・「ふとんにくるまっているのに寒くて仕方がない。ぶるぶるふるえながら寝、寒くなくなったと思ったら今度は暑くて汗。せきが出始めるとおなかと横隔膜あたりが痛いし、夜もとぎれとぎれしか寝られなくて大変だった」(34歳女性/自動車関連/秘書・アシスタント職)■発熱を伴う頭痛・「頭痛薬がないと眠れないくらい」(30歳女性/情報・IT/クリエイティブ職)・「喉の痛みから始まり悪寒や頭痛。病院でインフルに伴うぜんそくから肺炎になりかけていると言われた。点滴やレントゲンで治療費支払時に一万を超えてしまい、お金がたりなくてビックリした」(42歳女性/その他/その他)・「天井が回っているようでずっと酔っているようだった」(23歳男性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)・「朝起きたときから異様な頭痛でふらつきがひどい。病院にいざ行こうとしても寒気がひどく、歩くのも足が痛んで正直行くのも辛い」(32歳女性/医療・福祉/専門職)■関節痛・「関節が痛くなって、全く動けなくなって寝込んだことがあります」(44歳男性/情報・IT/技術職)・「最初は『筋肉痛かな? だるいし』と思っていたら、のどから始まりいろんなところが一気に来た」(29歳女性/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)・「身体の骨が痛くてだるすぎて動けなかったです」(37歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)・「非常に体が重くなって、節々が痛くなりました。寝ても寝ても治らない上に、痛くて寝転ぶのも起き上がるのもつらかったです」(25歳女性/情報・IT/技術職)■鼻水・「寒気がして、節々が痛くなると高熱が出たと感じる。そのあと、咳や鼻水、喉の痛みが止まらなくなり、黄色い痰が出ると熱っぽい感じがする」(26歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「まず、とにかく透明の鼻水が大量に出て、翌朝からドンドン熱が上がり頭痛と関節が痛くなりました」(36歳女性/団体・公益法人・官公庁/技術職)・「最高で39.3度の熱が出て、1日に50枚くらいティッシュを使うほど鼻水が出た」(33歳男性/医薬品・化粧品/技術職)・「いきができない」(33歳女性/自動車関連/事務系専門職)■倦怠感・「倦怠感がひどく何もする気になれなかった」(26歳男性/電機/技術職)・「気分が悪くて立ち上がれないほどしんどかったです」(31歳男性/食品・飲料/販売職・サービス系)・「最悪の二日酔いが3日くらい続いているような気だるさと吐き気、悪寒で死にそうだった」(25歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)■せき・「震えが止まらないほど寒い。せきが止まらず呼吸ができないほど」(47歳男性/電力・ガス・石油/技術職)・「勤務中に体調が悪くなりました。朝はいつも通りだったのですが、お昼ごろからのどが痛くなり、退社する頃には声が出なくなってしまいました。家に帰ってから熱を測ったら38.5度くらいあり、関節が痛かったです」(50歳以上女性/その他/その他)・「高熱が出て意識がもうろうとした。せきが止まらなかった」(34歳女性/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)■総評1位は80.0%の人が回答した「悪寒」だった。回答者の多くは「震え・寒さが止まらない」「体をどれだけ温めても寒い」「布団を何枚重ねても寒い」などの意見を寄せており、相当耐え難い寒さに苦しめられたことがうかがえる。58.3%で2位になったのは「発熱を伴う頭痛」。38度以上の高熱にうなされ、眠れないほどの激しい痛みや、頭をグルグルと回されているかのように感じる頭痛を経験した人が見られた。3位は51.3%の人が支持した「関節痛」だった。回答者の意見を総合すると、「最初は筋肉痛かとも思ったが、体の節々が異様に痛み出して動けないほどになり、痛みで眠れないときもあった」となる。そのほかでは「痰(たん)」(20.7%)、「吐き気」(20.3%)、「下痢」(14.0%)などの症状にさいなまれた人も見られ、まさに「脅威」の一言がふさわしいインフルエンザ。ワクチン接種が効果的な予防策だが、有効期間は接種から2週間~5カ月ほど。昨年の接種分による効果は期待できないため、気をつけよう。※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年10月29日~10月31日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月25日国立感染症研究所は11月24日、11月9~15日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、ノロウイルス感染由来とみられる感染性胃腸炎およびRSウイルス感染症の患者が全国的に増加していることが明らかになった。食品などを通じて感染するノロウイルスによって引き起こされる症状は、おう吐や下痢、腹痛などがある。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は通年で発生しているが、特に冬季に流行する傾向がある。同研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった感染性胃腸炎の患者数は2万1,696人。第42週(10月12~18日)は1万393人だったため、約1カ月の間に1週間あたりの患者数が約2.1倍に増加していることになる。第46週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは東京都(1,871人)だった。以下、大阪府(1,680人)、福岡県(1,561人)、神奈川県(1,323人)、兵庫県(1,235人)と続き、前週と同じ地域が上位5つに入っている。一方のRSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などを伴う症状が出るが、重度の場合は肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高いとしている。同じく、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった全国の感染者数は5,465人。第42週(10月12~18日)は3,861人だったため、1カ月間で1週間あたりの患者数は約1.4倍になっている。第46週に都道府県別での感染者が最も多かったのは、536人を記録した大阪府。以下、北海道(423人)、東京都(310人)、愛知県(258人)、埼玉県(250人)となっており、東京都はどちらも患者が多く報告されている。周囲でも感染者が増加していることを受けてか、Twitter上では「ノロウイルスは防げねえがな…」「ノロウイルスほんまにこわいよ~」「RSウイルスがこわい」などの不安な気持ちをつづったコメントが多数見られている(コメントは原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年11月24日アッヴィ合同会社はこのほど、「RSウイルス感染症と保育施設利用に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、2歳以下の子どもを保育施設に預けている両親(母親515名、父親515名)を対象とし、7月にマクロミル・ネットモニターを利用したオンライン調査によって実施された。まず、RSウイルス感染症を知っているのかを調べたところ、保育施設に子どもを預ける両親のうち、「RSウイルス感染症がどのような病気か知っている」と答えた両親は33.2%、「名前は聞いたことがある」と答えた両親は43.1%、「知らない」と答えた両親は23.7%を占めた。RSウイルス感染症をどのような病気か詳しく知らない両親が66.8%を占めることが明らかになった。次に、RSウイルス感染症の重症化のリスクを知っているのかを質問。「生後6カ月の乳児が感染すると重症化し、入院治療が必要になることがあることを知っていた」人は全体の21.5%、「重症化すると脳症や死に至る可能性があることを知っていた」人は全体の17.3%、「重症化すると将来的にぜんそくや喘鳴(ぜんめい)の症状が出る可能性をあることを知っていた人」は全体の16.7%であった。この1年間で、年長の子どもが病気の疑いがあっても保育施設を利用した経験があるのかをたずねると、「ある」と答えた両親は全体の56.9%であった。さらに、子どもがどのような体調のときに保育施設を利用したことがあるのかをきくと、「鼻水が出ている時」が70.6%、「微熱がある時」が63.5%、「咳(せき)をしている時」が52.2%となっている。子どもが病気の疑いがあるにも関わらず保育施設に預ける背景を調べたところ、78.7%の両親が、子どもが保育施設を休む場合やお迎えに行く場合に「母親が仕事を休んだ」と回答しているが、「子どもの病気やケガのためとはいえ仕事を休みづらい」と感じている両親は78.7%いることが分かった。さらに、子どもの病気やケガの際に早退・遅刻しやすくなったりするためには、職場の上司や同僚の理解が必要であると答えた人は約8割(75.1%)、配偶者のサポートを求める母親は5割以上(52.1%)となっている。同調査の監修を務めた、東京都保険医療公社 多摩北部医療センター 小児科の小保内俊雅部長は、「RSウイルス感染症は、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患などの基礎疾患をもっている乳幼児が感染すると症状が重症化しやすく、肺炎や細気管支炎や無呼吸を引き起こし、死に至る場合もあります。また、重症化すると将来的に喘息等の原因となることが知られています」とコメント。そして、「初期症状が出ているにも関わらず保育施設を利用することは、子どもの容態を悪化させるのみでなく、保育施設における感染の拡大につながります」としながら、予防法について次のように述べている。「重症化や感染拡大を防ぐためには、職場環境や家庭内での両親の育児の配分など、子どもの病気の際に両親が仕事を休みやすい環境が整えられることが必要です。また、RSウイルス感染症には予防ワクチンや治療薬がないため、両親や保育施設の職員など周囲の大人が、手洗いなどの基本対策でかからないように予防することが最も重要です」。
2015年11月20日