まだまだ子どもだと思っていたのに、半袖の隙間からちらっとみえたわが子の毛にドキッ! 親であれば、そんなシーンがいつかはやってきます。気になる子どものムダ毛は、どんな方法でケアすればいいのでしょう。皮膚科のドクターにお聞きしました。お話をうかがったのは衣原 公美子先生美容外科・皮膚科 レイクリニック院長。肌コンディションに加え、思春期、妊娠出産期、更年期といったライフステージも鑑みて、人それぞれに適した丁寧な診察を心がける。一児のママ。 ■顔の産毛も濃く? 意外と知らない成長期の「毛」のメカニズム体が大人に近づくにつれ、少しずつ生えてくるわき毛や、濃くなりはじめる手足や顔の産毛。自然なことではあるけれど、そんなわが子の変化に戸惑うママも少なくないかもしれません。実際、お話をうかがった衣原先生のクリニックでは、わが子のムダ毛相談が増えているそう。「10歳前後~中学生くらいの子のママから、お子さんの毛に関するお悩みを相談されることが多いです。最近は女の子だけでなく、男の子のママからの相談も増えてきました」10歳前後といえば、第二次性徴期に入る子も増えてくる時期です。この時期にはホルモンの影響などから、体毛にもさまざまな変化があらわれるそう。「毛の生える順番やスピード、毛の質などは個人差が大きいため目安ではありますが、女の子の場合、まずはおでこや口周りといった顔の産毛が増え、少しずつわき、外陰部周辺の毛がはっきりしてきます。顔の産毛はホルモンバランスが安定すれば自然に薄くなりますので、過度に心配しなくても大丈夫です。男の子は、顔の産毛、外陰部周辺、そしてわきの毛が生えそろってきます。濃いヒゲが生えそろうのはゆっくりめで、20代中頃から少しずつ増えてきます」■まだまだ不安定な、成長期の毛周期ちなみに、成長期の毛は生え変わりのサイクル(毛周期)もまだ安定していないとのこと。「毛と毛をつくる毛包と呼ばれる組織構造は、成長期に少しずつ完成していきます。この構造が未熟なうちは、毛の太さがまばらだったり、毛周期が不安定だったりします。わきでいうと、毛周期が安定してくるのは20歳頃です」わきに毛が生えてきたり、顔の産毛が濃くなったりするのは成長の課程で誰もが通る道。そうはわかっていても、親としてはムダ毛をからかわれないか心配になったり、子ども自身が気にしていることもありそうです。「たしかに、第二次性徴期の子は心も揺れやすいものです。もしかすると、大人が思う以上に気にしている可能性もあります。お子さんがムダ毛に悩んでいる様子だったら、毛が生えてきたり、濃くなったりするのは普通のことなんだよと伝えてあげて、そのうえで剃ったりするなどのお手入れ方法を教えてあげましょう。一時的ではあっても毛がなくなることで、心理的な負担は少しやわらぐと思いますよ。また、ムダ毛は治療で減らすこともできます。気がかりがあれば、皮膚科に相談してみてくださいね」■お手入れのコツは? ムダ毛処理方法別、留意ポイント子ども自身の気がかりをやわらげるのはもちろん、身だしなみの意味でも適切なケアをしてあげたいところです。そこで、さまざまなムダ毛ケアの方法と気をつけたいポイントを、衣原先生に教えていただきました。【家庭でのセルフケア】▼カミソリで「剃る」気になったらいつでもお手入れができ、コストも低いため一般的にもよく行われている方法です。上手にケアすれば、肌への負担も少なく毛の処理ができます。ただし、剃ってもすぐに生えるため目立ちやすく、また、カミソリの刃のあて方によっては、皮膚を傷つけてしまうことも。お手入れのポイントは、カミソリの刃を皮膚にできるだけ水平にあて、毛だけを剃るように心がけること。肌を傷つけにくいアイテムを利用するのもよいでしょう。お手入れ後には、低刺激性のローションなどで皮膚を保護するとなお安心です。▼毛抜き・家庭用脱毛器・ワックスなどで「抜く」家で手軽にでき、剃るよりも毛のない状態がキープできます。しかし、毛を抜く際に毛包が傷つくため、毛包の中で炎症や感染が起こりやすくなったり、毛周期が崩れたりします。毛穴のブツブツや黒ずみ、皮膚の中に毛が埋まったままとどまる「埋没毛」になることもあります。ワックスの場合、毛包の炎症に加えて皮膚の表面も薄く剥がされるためバリア機能の低下にもつながります。子どもも大人も、毛を「抜く」方法はおすすめできません。▼除毛クリーム・ジェルで「溶かす」/脱色剤で「脱色する」いずれも、薬剤を使う処置方法です。ここで心配なのが、薬のアレルギーによる接触性皮膚炎です。使用する場合は必ず目立たないところでパッチテストを行いましょう。もし赤みやかゆみなどのトラブルが起こったら使用を中止し、早めに皮膚科に相談しましょう。【エステ・医療機関などでのケア】▼レーザー脱毛毛の黒い部分(メラニン)に熱をあて、毛をつくる毛包を破壊する方法で、専門医のみが施術を行えます。脱毛が完了した後は、剃る、抜くといったケアをしなくてすむので、肌荒れを起こしにくい健康な皮膚を維持しやすくなります。治療にはやや痛みが伴い、脱毛後は毛包部がやけどを起こしている状態になるため、医師によるお薬の処方が必要です。医療機関を選ぶときは、知識と経験が豊富な医師がいるかどうか、事前の診察がじゅうぶんかどうかをチェックするとよいでしょう。▼光脱毛レーザー脱毛と同じようなメカニズムで、熱で毛包を破壊する脱毛方法です。レーザーより熱エネルギーの出力が弱いため、専門医だけでなくエステサロンなどでも受けられます。レーザーに比べると熱の吸収効率が落ちるぶん、脱毛効果はやや不安定で、細い毛は減りにくいことも。また、光は皮膚のメラニンにも吸収されるため、人によってはやけどのリスクがレーザーより高くなる可能性があります。▼ニードル脱毛毛の1本1本に沿って針を刺し、電気で毛包を破壊する方法です。施術に時間がかかることと、針と熱の痛みもともなうため、最近では行う施設が少なくなってきました。レーザーや光は毛の黒い部分に反応しますが、ニードルの場合は毛を目で認識できればよいので、どんな毛にも対応でき、脱毛結果は確実です。▼蓄熱式脱毛法医療脱毛のなかでも新しい治療方法です。痛みが少なく、治療時間が短い特徴がありますが、歴史が浅いのでデータもまだ少なめです。この点をきちんと考慮し、慎重に検討しましょう。■小学生でも脱毛できる? 子どもに安心なムダ毛ケアとはご紹介したように、どんなムダ毛のお手入れも一長一短があります。では、子どものデリケートな肌にも安心な方法は、つまるところどれなのでしょう。「じつは、最も肌にやさしいムダ毛ケアは、専門医によるレーザー脱毛だと考えています。レーザー脱毛以外は肌に負担がどうしてもかかってしまうことと、レーザーで脱毛が完了すればその後は剃ったりせずにすみ、肌への刺激が減ることがその理由です。ただし、先にもお伝えしたとおり、成長期の子どもの毛周期は安定していませんので、大人よりも治療の回数が増えますし、施術からずっと後になって発育が遅い毛が生えてくるケースもあります。また、治療には痛みが伴いますので、お子さんによっては恐怖心が生まれてしまうことも考えられます。これらをふまえると、小学生のうちはやさしく剃る方法でしばらく様子をみてあげるのが安心だと思います。とはいえ、レーザー脱毛治療に年齢制限はありませんので、10代であっても、お子さん本人の強い要望があり、また成長期の治療効果が一定ではないこと、痛みや副反応などが出る可能性もあることなどをご理解いただければ、治療は可能です。いずれにしても、親子でじゅうぶんに話し合ったうえで、きちんとした診察やカウンセリングを受け、慎重に検討していただくことが大切です」ちなみに、「抜く」方法で起こりやすい埋没毛は、ゆくゆくレーザー脱毛を行うときの治療の妨げにもなるそう。からだつきや体毛の変化はもちろん、毛に関する組織といった目にみえない部分も成長していく大切な時期だからこそ、後々のことも考慮しながら安心でやさしいケアを選んであげたいものですね。
2017年06月12日タレントの泰葉が19日・20日にオフィシャルブログを更新し、元夫の落語家・春風亭小朝と、精神科医の香山リカ氏を提訴すると宣言した。泰葉は先月、小朝から約20年にわたって暴行されていたとブログで告発。19日のブログでは「告訴と殺戮」と題し、「私 泰葉こと海老名泰葉は 春風亭小朝事花岡宏行を告訴する準備に入りました」と報告した。現在、弁護士と打合せをしていることを明かし、「民事、刑事どちらになるか 今後の弁護士先生との話し合いによって決まります」と状況を説明。この理由について、「虐待を受けているか弱い人間に対する犯行、犯罪への魂の抗議です」とつづっている。そして、翌20日のブログでは「告発と殺戮2」と題し、「精神科医 香山リカを民事提訴します」と宣言。香山氏は、女性自身(ウェブ版、5月11日付)で「泰葉さんは、比較的軽いII型の双極性障害といえるでしょう」とコメントしていたが、これに対し、泰葉は今月17日付のブログで「売名便乗ヤブ医者女」と題し、「メディア報道だけで診断あり?」「失礼千万極まりなし!」と怒りを露わにしていた。20日のブログでは、「私の家族 私の命 海老名家への著しい侮辱 小朝と同罪」「見てもいない患者に対し診断を下し しかも言語道断たる誤診 医師免許剥奪!」と、引き続き怒りをつづっており、最後は「皆様 強く熱い応援を! 泰葉勝ちます!」と、結んでいる。
2017年05月20日背中ニキビは皮膚科で治すのが最適といえるのですが、保険が適用された治療とそうではない治療というのがあります。皮膚科で行われるその背中ニキビの治療法について、解説していきます。背中ニキビを病院で治すタイミング背中のニキビは他の場所と違って見えにくいところにあるので、背中に違和感を覚えても確認することが困難です。気づいたときにはすでにニキビが大きくなっている、または炎症を引き起こしていることが多いとされています。背中ニキビに気をつけるため、外側だけでなく内側のケアを心がけても、治らない場合は皮膚科への受診が求められます。背中はニキビの発生率が高いです。背中に皮脂腺と呼ばれる皮脂の分泌腺が集中しているので皮脂の分泌量が多く、汗もかきやすく、衣服などで常に覆われているなど、さまざまな要因によってニキビができる環境が整っていると考えられます。上述したように、みえにくいのでケアも遅れがちになるのがほとんどです。ニキビができても、炎症や化膿などの重症化に至っていない場合は、日常的なケアなどで改善が見込めるでしょう。背中ニキビの皮膚科での治療方法と処方薬治療法を説明する前に、健康保険が適用されるかどうかについて、説明していきます。治療ですので基本的に健康保険が効きますので、経済的な負担も少なくて済みます。しかし、治療方法の種類によっては健康保険が効かず自由診療となります。保険適応の治療法と保険適応外の治療を次にあげて、解説していきます。保険適用の治療法毛穴につまっている皮脂などの内容物を取り除くという治療である面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)というのがあります。内容物を取り除くことによって、ニキビの治りを早くします。しかし、保険適用内に限定すると、一度に多くのニキビの面皰圧出ができないことが多く、5〜6個までが一般的とされています。外用薬は抗生物質が一般的に使われています。抗生物質で炎症を起こしたニキビの原因菌とされるアクネ菌を殺菌して治療します。もうひとつ、毛穴のつまりを解消してつまりにくくするという効果を持つ外用薬(アダパレンなど)があり、この外用薬もニキビの治療薬として使われています。内服薬も抗生物質が処方されますが、漢方製剤、また少ないのですが原因がホルモンバランスの乱れであることが判明している場合は、ホルモン治療として低用量ピルや抗男性ホルモン薬などが処方されます。ホルモンバランスの乱れによって、男性ホルモンが過剰に分泌され、男性ホルモンが持つ作用である、皮脂の過剰分泌や角栓の発生や毛穴の縮小などがあります。その作用の働きを抑えるには、ホルモンバランスを整えるなどの治療が求められます。しかし、ほとんどはホルモンバランスが崩れていないことが多いようです。改善のために皮脂のコントロールの意味で、ビタミン剤が処方されます。美容皮膚科などでは保険適用外の治療も一般的な治療法は、イオン導入、ケミカルピーリング、そしてレーザー治療などがあげられます。ほとんどの場合はクリニックで処置されます。イオン導入は微弱な電流を流して、ニキビに有効とされる成分を肌深くまで浸透させます。痛みなどはほとんどありませんが、ペースメーカーを装着している場合は、この治療を受けることができません。ケミカルピーリングは、簡単にいえば古い皮膚をはがして、新しい皮膚を蘇らせるという治療法です。これによって、ニキビやニキビ跡の改善、さらにシワやたるみなどにも効果が期待できるとされています。レーザー治療は、ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を殺菌し、ニキビ跡のケアなどを目的とした治療法です。ケミカルピーリングとレーザー治療は肌に負担がかかるので、肌の弱い人はクリニックで事前に申告し、受けられるかどうかを事前に相談するようにしましょう。背中ニキビの予防法食生活を含む生活習慣の乱れなどを改善することによって、背中ニキビの予防につながることに期待が持てますが、背中のケアも心がけることも求められます。入浴時、背中を洗うときにおすすめなのが一般の固形石けんです。抗菌作用のある石けんもありますが大きな効果の違いはありません。消臭効果もあるので、体臭の予防には効果的とされています。入浴後、汗をかかないようにすることが大切です。衣服など、背中に触れるものすべて清潔に保つことも求められます。また、背中の風通しのよい肌着や衣服の着用も心がけましょう。監修:馬野詠子
2017年04月25日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。いわゆる『カジノ解禁法案』の可決で話題になった言葉で『ギャンブル依存症』というものがあります。ギャンブルに伴う楽しさや高揚感の深みにはまり、抜け出せなくなってしまうことを指す言葉です。都内でメンタルクリニックを開院し、依存症に詳しい精神科医のT先生は、『単なる“ギャンブル好き”の人と“ギャンブル依存症”の患者さんとでは決定的な「次元の違い」があり、ギャンブルを好む人のことを一律にギャンブル依存症と呼ぶのは間違い です』(50代女性/都内メンタルクリニック院長、精神科医)と言います。また、『少々ギャンブル好きな人のことまで安易に病人扱いする必要はない』ともおっしゃっています。では、ただのギャンブル好きとギャンブル依存症の境界線とはどこにあるのか。ひとたびギャンブル依存症の域に足を踏み入れてしまった場合にはどうすべきなのか、一緒に考えてみましょう。●ギャンブル依存症の精神科での診断名は『病的賭博』。“借金してまで”が一つの目安『私たちはよくパチンコやスロット、競馬、競輪、宝くじの中でもギャンブル性の強いロトやスクラッチといったギャンブルが大好きな人のことを面白おかしく“ギャンブル依存症”などと呼んだりします。しかし、ギャンブル好きであっても別に仕事を休んでまでパチンコ屋に入り浸るとか、家族につらい思いをさせてまで競輪場に行ってしまうといったように日常の生活に問題をきたすような状態にまではなっていない というのであれば、「ギャンブル依存症」とまでは言えません。それは単なる「ギャンブル好き」です』(50代女性/前出・精神科医)T先生はこう言い、『ギャンブル依存症』と呼ぶには少なくとも下記のような要件を満たしていなければならないと言います。『常識的に考えて、経済的・社会的に「今はギャンブルをしない方がいいのではないか」と思われる状況であるにもかかわらず自己抑制が効かない ことが、ギャンブル依存症と呼ぶにあたっての必要要件です。そのような状態なのに“借金をしてまで”ギャンブルに手を染めてしまうといった症状が、ギャンブル依存症の一つの目安になるかと思います。専門的で複雑な診断基準は別にありますが、一般の人たちにも分かりやすい目安はその辺りです』(50代女性/前出・精神科医)先生によると、ギャンブル依存症の精神神経科での正式な診断名は『病的賭博(びょうてきとばく) 』というようで、1980年から正式な精神疾患として認定されているとのことでした。●身近にそんなにはいないように思えるギャンブル依存症患者だが、実は……こうしてT先生のお話を聞いていますと、自分を含めて私たちの身近にギャンブル依存症が疑われる人というのはそんなにはいないように思えます。けれど、厚生労働省の研究班が2014年に公表した調査結果では、わが国には536万人ものギャンブル依存症患者がいて、しかも国民全体のうちの有病率は4.8%と世界の先進各国の中で群を抜いて高い という結果が出ています。有病率についてさらに言うと、フランスは1.2%、米国(ルイジアナ州)で1.6%ですので、日本の有病率がいかに高いかがわかります。しかし、考えてみれば私たちは毎朝通勤の途中で開店前のパチンコ屋さんの店先に並ぶ人たちの長蛇の列を目撃しています。毎年夏になるとそのお店の駐車場に止めた車の中に長時間子どもを置きっ放しにして親が遊興に没頭し、子どもが熱中症で命を落とすといった悲痛なニュースにしょっちゅう触れているわけです。またパチンコだけでなく、競馬や宝くじといった“合法的なギャンブル”は、わが国では私たち一般庶民のすぐそばに、ごくごく身近で親しみのあるものとして存在しています。つまり、今のわが国は、一見するとそれほど深刻なことには映らないようなギャンブル依存症が、静かに(しかし着実に)まん延している状態だと言うことができるのではないでしょうか。T先生がおっしゃるように、借金をしてまでギャンブルに手を染めてしまうのがギャンブル依存症かどうかの目安であるとするならば、普通の人が持っているクレジットカードで誰に咎められるでもなく、手軽にキャッシングできてしまうこの環境こそ、「見えないギャンブル依存症」の温床になっているというふうに言えるのかもしれません。●ギャンブル依存症が疑われる人がいたら家族や身近な人から専門医の受診を勧めてくださいそれでは、もし私たちの近くに「もしかしてギャンブル依存症なのでは?」と疑われるような人がいた場合、どうしたらいいのか。T先生は、『自分から自覚症状を訴えて来院できる人はほとんどいないので、ご家族や身近な人から専門医の受診を勧めてください』と言います。先生によれば依存症は精神科の専門分野なので、「もしかして、そうかな」と思ったときにはまず一番近くにある地元のメンタルクリニックにご本人を連れてきて、遠慮なく相談してほしいとのこと。その上で、精神科医の中にもそれぞれの得意領域があるので、より専門的な治療が必要な場合は連携している医療機関を紹介しますとのことでした。最後に、T先生によるとギャンブルで得られる快楽はある意味で性的な快楽に匹敵するほどの強いものであるがゆえに、ひとたびギャンブル依存症に陥ってしまった場合には、医療の手助けを借りずにそこから抜け出すことはなかなか難しい とのこと。また、職業別にみると勝負事の楽しさを知ってしまったスポーツ選手や自営業といった仕事の人に、昔も今も多く見られる傾向があるとのことでした。みなさんの身近には、ギャンブル依存症が疑われる人はおられますでしょうか?●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/ゆみ
2017年02月21日精神科医や科学者たちの研究で、毎日の行動がいろいろな幸せな気持ちにさせる良い影響を与えることがわかりました。では、その行動とは何なのでしょうか?毎日を幸せに過ごす女性が行っている10のアドバイスを見てみましょう。人生を変える。人生を変える。もしかしたら、悩みを抱えている人ならみんなが望んでることかもしれません。でも、人生から逃げることはできません。自分の力で変えるか、我慢して過ごすか。答えは頭の中で明確にどちらがいいかわかっているはず。「気分を変えること」は、人生を変える上でとても重要です。10つの小さなアクションで毎日を変えてみませんか?1.他人を大切にする自分の周りの人に優しくし、ケアをする事は自分への幸せとなります。他人を助ける事は、その人が喜ぶだけではありません。自分にとっても良いことがたくさんあります。人を助けることを惜しまないこと、感謝をすること、周りの人を褒めてあげる、笑わせてあげるなど、周りの人を幸せにしてあげる事は、自分の健康にとって心にも身体にも良いことです。周りの人のことを大切に思っていることを表現しましょう。2.人生の中の何かを変えてみるいつもそわそわしている、不安を感じている、中には明らかに幸せになるのに変化を怖がってしない人までいます。何か今の状況に満足をしていないなら、変化を与えなければいけません。家、学校、仕事、始めは不安に感じることがあったとしても、新しい可能性を見つけるきっかけになることがあります。今のままでは何も変わらないです。自分で変えなければいけません。3.自分の体を大切にする気持ちと身体はつながりがあります。体を鍛えると、不思議と気持ちまでポジティブな方向に向いてきます。人生を変えたいと思うなら、身体レベルも変えてみるのがオススメです。歩く量を増やす。食べ方を変える。水をたくさん飲む。これらの行動は、毎日の中でも簡単にできる変化ですよね。いろいろな方向から幸せになるために健康を手に入れること。身体を大切にすることが必要です。4.周りを眺めてみようしっかりと周りを見ていますか?「今の自分より、もっと幸せになることが周りにないか?」を考えた事はありますか。周りを見つめ直してみると、必ず何かいいことが見えてくるはずです。そして、その周りの見方も変えてみる必要があります。何気なく見ていても何も見つかりません。しっかりと時間をかけて観察し、見つめないといけません。小さな事でもしっかりと気に留めて評価することが大切です。5.いつも好奇心を持って過ごす!新しいアイディアを持ち、いつも好奇心を持って過ごす事は、毎日の生活にハリが出てきて、前向きな気持ちになります。「何か新しいことを覚えてみませんか?」新しいスポーツ、新しい料理のレシピなど、小さな事でも良いです。人生が豊かになり、新しい魅力を発見できます。もし、何も思い付かないのなら「語学」を覚えてみるのも1つのアイディアです。1つ語学を選び、習得すると新しい自分が待っています。想像してみてください。新しく習得した語学で仕事を見つけることも可能になります。もしかしたら生活の場が海外になることだってあるかもしれません。旅行に行くと語学ができるので快適です。新しい文化を知り、刺激になることもあります。もしかすると新しい出会いもあるかもしれません。6.目標をしっかりと持とう目標をしっかり持っていると、前向きになります。将来をポジティブに見せる事は幸せのためにとても大切なことです。毎日を充実して過ごすためには何か目標を決めて、それに向かって進んで行き、自分自身を奮い立たせることが必要です。毎日できるだけ満足できるように努め、不可能なことにとらわれないようにしましょう。7.助けてもらおう誰でもストレスを感じる時期はあります。時々、どうして私がそうならないといけないの?と聞きたくなることもあります。でも、失敗して屈辱を感じたり、それぞれ辛い時期を乗り越えて今の自分があります。もし、その真っ只中なら、超えるのに周りの人の手助けを恥ずかしがらずにお願いしてみましょう。きっと良いアドバイスをくれます。1人で煮詰まってはいけません。8.心の中は幸せでいようポジティブな感情は行動や効率まで改善してくれます。心の中が幸せで満たされることを追い求めるのではなく、いろいろ難しいことがある中でも1つでもいいことがあったら、それに満足を感じるように気持ちを変えるよう心がけましょう。9.自分に優しくなろう完璧な人なんていません。多くの人が自分に対する自己評価が低いことがあります。他人の良いところを並べて比べ、劣っていると思わないようにしましょう。自分の欠点ばかりを並べてしまうと、どんどん不幸せになってしまいます。自分に対してもっと優しくなり、欠点を責めるのではなく受け付けるようにしてみましょう。10.あなたの存在は誰かにとって「意味」を持っている「存在そのもの」に意味を感じる事はとても幸せなことです。この「意味」とはどこで見つけることができるのでしょうか。それは家族の中から出てきたり、パートナーと過ごす事から出てきたりします。中には、仕事から得る人もいるかもしれません。あなたは1人ではなく、何かの中の一部分で、あなたの存在は誰かにとって意味を持っているということを忘れてはいけません。
2017年02月14日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。20年来のつき合いで、個人的には筆者のバードウオッチング仲間でもあるN先生(50代男性/都内多摩地区のメンタルクリニック院長)は、精神科・心療内科の医師ですが、『最近、夫の悪口を喋りまくるために来院される奥様方、とくに専業主婦の方がとても多い』と言います。そう言われてみると、筆者が日頃よくお話しをする既婚女性の方々も、そのお立場がいわゆる“専業主婦”に近ければ近いほど、夫の悪口をおっしゃっているように思えます。精神科や心療内科などの診療所は伴侶への愚痴を「病気」と捉えて治療する場所ではありませんが、諸々の心身症的な症状が伴侶に対するストレスに起因したものであるとするならば、『精神科医として適切な処方箋は書かなければならない』とN先生は言います。今回はそんなお話をしたいと思います。●夫を嫌悪する妻たちの主訴は“夫への生理的嫌悪感”と“夫の行動への不快感と理解不能”N先生がおっしゃるに、主婦の方々が発する“夫の悪口”は、ザックリ言うと次のような内容のものが多いそうです。『まず、「夫が生理的に無理 」「気持ちが悪い」といった感覚のもの。次に、「休みの日や定年退職後の毎日を家でゴロゴロして過ごすだけの夫が不快」という内容のもの。そして、「夫の行動が理解できない」「妻や子にいろいろ悩み事があるときなのにフラッと出かけてしまう神経がわからない」といった内容のものが目立ちます』(50代男性/前出・医師)「生理的に無理」というのは男性としてはまことに哀しいかぎりですが、たしかに妻と出会ったころに比べたらお腹は出るは髪の毛は薄くなるはで、「気持ちが悪い」と言われてしまう理由もわからないではありませんね。また、休みの日のゴロ寝にしても悩み事を相談したいのにフラッと出かけしまう習性にしても、夫族なら誰にでも思い当たるふしがありはしませんでしょうか。●専業主婦の女性に“夫を嫌悪する妻”が多い理由多かれ少なかれ世の夫たちに見られるこのような傾向を、“嫌悪”するほど許せなくなってしまうのは“専業主婦”の女性に多いというのが、冒頭でも紹介したN先生の実感です。では次に、なぜ専業主婦の女性たちはそれほどまでに夫に嫌悪感を抱いてしまうのかについて考えてみましょう。N先生はその理由を、“ストレスを発散できる場所の有無”に見出しています。『たとえば週に2~3日、1日3~4時間程度のパートやアルバイトでも、外に出て仕事をしていれば仲間ができます。同じ労働を通してできた仲間というのは言ってみれば“戦友”のようなものなので、かなりプライベートな問題まで聞いてもらえるお友だちが見つかる可能性があるのです。これに対して純然たる専業主婦の方にはそこまで深い話ができる友だちはできにくい。悩みを聞いてくれない夫に関する愚痴を吐き捨ててストレスを発散できる相手も場所も無い のです』(50代男性/前出・医師)●夫を嫌悪する妻たちへの処方箋は……そこで、夫への嫌悪感が原因で心身に不調をきたしている女性(主に、専業主婦の人たち)へのN先生が書く処方箋はどのようなものかということですが、もちろんそれぞれの患者さんを個別に診察してよくお話を聞いたうえでという大前提のもとに、おおむね次のように分類されるそうです。『第一に、うつ状態を呈している場合はうつの治療をします。お話をよく聞いたうえでの心理療法が基本ですが、必要があれば薬物療法も使用します。第二にストレス起因の身体症状が認められる場合、内科的な診療も行ったうえでやはり患者さんとの会話の中からストレスの緩和方法を模索します。第三に、これがいちばんケースとしては多いのですが、心身ともにさほど重大な問題点が認められない場合。この場合わたしは短時間でも外で働いてみること をすすめてみたり、何度でもいいので心が落ち着かれるまでわたしのクリニックに愚痴を吐き出しに来ること をおすすめしています。以上が、夫を嫌悪する奥さまたちへのわたしが書く処方箋の基本類型です』(50代男性/前出・医師)----------いかがでしょうか。結局、いちばん多いケースでは、ご本人が口で言うほどには夫のことを嫌悪しているわけではないのかもしれません。はじめはちょっとしたストレスでも発散する場所がない専業主婦の方々はそれを自分一人で抱え込んでしまったときに、いちばん身近な存在である夫への嫌悪感や不快感といった形をとって噴出する。ならば短時間でもいいので外で働いて愚痴を言い合える“戦友”をつくり、少しでも自由に使えるお金を得てストレスの解消に使ってみるのもいいのではないでしょうか。戦友たちとカラオケボックスで発散するのもいいものです。そして、諸般の事情で今は外で働けないという場合は、メンタルクリニックという密閉された空間で、“人の悩みを聞く専門家”である精神科のドクターに吐き出してみてください。ご本人が思っているほど旦那さまのことを嫌っていなかったことに気づくかもしれません。●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/杉村智子(まさとくん)
2016年12月20日精神障害者保健福祉手帳とは?出典 : 精神障害者保健福祉手帳とは、所持している人が一定程度の精神障害がある状態であることを認定するものです。精神障害のある方が自立し、社会参加を積極的に行えるよう、様々な制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。精神障害者保健福祉手帳は1995年10月に制定されました。療育手帳、身体障害者手帳より比較的新しくつくられた制度です。各都道府県と政令指定都市によって発行され、平成24年度末の統計で69.5万人を超える人が交付を受けています。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律精神障害者保健福祉手帳の交付者数l 内閣府精神障害者保健福祉手帳は、療育手帳や身体障害者手帳と比べて受けられる制度の条件が厳しかったり、サービス自体が限られている場合があったりすることで、取得するべきかどうか悩んでいる方も少なくはないようです。しかし、精神障害者保健福祉手帳制度は、取得することで様々なサービスや割引・給付が受けられるようになるほか、教育を受けたり就労するにあたり配慮や支援を受けやすくもなる、とても便利な制度です。高機能自閉症などの発達障害である場合、知能指数が判定基準を上回るために療育手帳の交付が認められない場合があります。その際にも、自閉症の症状による日常生活の困難度合いが大きかったり、二次障害としての精神障害が現れていたりするときは、精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。精神障害者保健福祉手帳交付の対象となる疾患出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、何らかの精神疾患により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を交付対象としています。対象となる精神疾患には、次のようなものが含まれます。・統合失調症・非定型精神病・そううつ病・てんかん・中毒精神病・精神遅滞を除く器質精神病・高次脳機能障害・精神神経症状をともなう発達障害発達障害に関しては、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)において精神疾患のカテゴリーに含まれていることもあり、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となっています。しかし、二次障害による精神症状の有無など、交付判定に細かい基準が設けられているため、詳しいことはお住まいの市区町村に相談することをおすすめします。また精神障害者保健福祉手帳を受けるためには、精神疾患があると診断された日から6ヶ月以上経過していることが必要になります。『ICD-10精神科診断ガイドブック』 2013年 中山書店/刊精神障害者保健福祉手帳の区分と判定基準は?出典 : 精神障害者保健福祉手帳の区分は3つに分けられており、1等級から3等級まであります。・1級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)・2級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)・3級....精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金3級に相当)みんなのメンタルヘルスl厚生労働省実際に日常生活などにおいてどのような問題を抱えている場合に、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となるのか、詳しい判定基準を紹介します。◇1級:精神障害によって、常に誰かの援助がなければ生活を送ることが難しいと感じられる状態です。例えば外出や食事の用意、入浴などの身の回りのことを一人では行うことができません。◇2級:誰かの助けがなくても一人で外出したり、障害者自立支援法に基づく就労支援、小規模作業所などに参加して単純な仕事をしたりすることはできます。しかし、予想外の出来事の発生など、少なからず本人がストレスを感じる状況に直面した場合には対処しきれない傾向があります。日常生活では食事をバランス良く用意するなどの家事をこなすために、誰かのアドバイスや助けを必要とし、部屋の片づけや身の回りをきれいに保つことを一人で行うことを難しいと感じる傾向があります。◇3級:一人で外出したり、障害者自立支援法に基づく就労支援や、小規模作業所などに参加したりすることができます。それに加えて一定の配慮がある職場では、一般就労ができる場合もあります。しかし、本人が過大なストレスを感じる状況に直面してしまった場合に一人で問題を解決することが難しい傾向があります。これらの判定基準はあくまで目安です。申し込みをしてから各都道府県・政令指定都市と市の精神保健センターでの審査があり、そこで何級に当てはまるかが初めて決まります。例えば判定基準が2級に当てはまっている上に、医師から2級相当の症状があると診断された場合でも、2級の精神障害者保健福祉手帳を取得できるとは限りません。その後の精神保健センターでの審査で3級と認定されてしまう場合も少なからず発生してしまう場合があります。不安な場合はかかりつけの医師や自治体に相談しましょう。精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について精神障害者保健福祉手帳のメリット①保育・教育・就労面の援助出典 : 精神障害者保健福祉手帳を所持していることにより、様々なサービスへの申請や利用のやりとりを円滑にすることできます。保育、教育、就労面での援助を受ける上で、精神障害者保健福祉手帳はいわゆる“パスポート”のようなものだと言えるでしょう。◇保育園への入園自治体によっては、子ども本人や保護者が精神障害者保健福祉手帳を持っている場合や、精神障害者保健福祉手帳を持っていて介護が必要な家族がいる場合に、入園の優先順位が高くなり、入園しやすくなることがあります。◇特別支援学校への入学特別支援学校への入学を希望する場合、出願の際に子どもの障害の程度を証明するものとして、精神障害者保健福祉手帳の写しの提出が必要になる場合があります。精神障害者保健福祉手帳の所持者は、特定求職者雇用開発助成金や障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの支給対象となる場合があります。加えて、就労移行支援を利用したい場合に、障害があることを示す資料として提示することができます。就労移行支援を利用することができれば、スタッフによる支援を受けながら、精神障害による症状や困難も踏まえて自分に合った仕事をさがすことができます。また、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、一般枠での雇用枠だけでなく、障害者雇用枠への求人応募ができるなど、就労の可能性が広がります。精神障害者保健福祉手帳のメリット②各種サービス・割引を受けられる出典 : 精神障害者保健福祉手帳の提示で様々なサービスが受けられます。以下に代表的な割引やサービスをご紹介します。精神障害があり、日常生活を送る上で支障がある方への支援を行っている事業です。市区町村が地元の事業所と協力して提供しているサービスとして、ホームヘルプサービスなどがあります。ホームヘルプサービスとは精神障害があり支援を希望している家庭にホームヘルパーが伺い、掃除、洗濯、調理などの家事援助をしたり、買い物の付き添いなどの身体介護および通院などの付き添いの外出介護などを行ったりするサービスです。これらのサービスを受けるために必ず精神障害者保健福祉手帳を持っている必要はありませんが、所持していることで、申請を比較的スムーズに行えるようになる傾向があります。しかし、申請方法やサービスは市区町村によって異なる場合があるため、お住まいの自治体に問い合わせることをおすすめします。精神障害者居宅生活支援事業の実施についてl 厚生労働省居宅生活支援やその他のサービスについてl 大阪府松原市精神障害者保健福祉手帳の所持に加え、ある一定の条件を満たしている場合は、以下の各種サービスで利用料の割引・減免が受けられる場合があります。◇NHK放送....受信料の全額又は半額が免除されます。◇公共交通機関の運賃割引・減免....バス、電車、タクシーなどの公共交通機関は精神障害者保健福祉手帳を提示することにより割引、減免になる場合があります。しかしJRや航空運賃の割引の適用を受けることはできなかったり、自治体によって制度が異なるため注意が必要です。◇携帯電話の割引....docomo、au、softbankなど携帯会社による料金の割引制度があります。ハートフレンド割引l Softbankスマイルハート割引l au KDDIハーティ割引l docomo◇公共料金の割引・減免....水道代などの公共料金の基本料金が減免される場合があります。条件や割引金額は自治体によって異なる場合があるため、確認することをおすすめします。水道料金等の減免l 横浜市健康福祉局精神障害者保健福祉手帳の区分によっては、医療機関等で診療を受けた際の医療費の一部が助成対象となる場合があります。現在、主に該当する人は1級の精神障害者保健福祉手帳を所持している方です。災害発生時に1人で避難することが難しい障害のある方に対して、身の安全を確保するための「災害時要援護者支援制度」を実施している自治体が数多くあります。精神障害者保健福祉手帳の区分などの条件を満たせば、この制度の対象者となることができます。遊園地やプール、映画館などのレジャー施設には、精神障害者福祉保健手帳を持っていると無料になったり割引が受けられる施設があります。また、利用がスムーズになるよう配慮やサービスを受けられる場合があります。上記のサービス以外にも自治体によって様々な支援策があるため調べてみるのもよいでしょう。障害者手帳で行こう!l 一般社団法人シンシン精神障害者保健福祉手帳のメリット③税の減免・控除や給付に役立つ出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、金銭面でのサポートを受けるためにも有効です。精神障害者保健福祉手帳を持っている人が対象になりうる主な制度をご紹介します。精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人で障害の程度が1級と表示されている人は特別障害者、2級または3級と表示されている人はそれ以外の障害者として障害者控除の適用を受けることができます。年末調整や確定申告時に忘れずに申告しましょう。◇所得税の控除納税者本人が障害者であるときは、障害者控除として27万円(特別障害者のときは40万円)が所得金額から差し引かれます。控除対象配偶者又は扶養親族が障害者のときは、1人当たり27万円(特別障害者のときは1人当たり40万円)の障害者控除等を受けられます。控除対象配偶者又は扶養親族が特別障害者で、納税者またはその配偶者もしくは納税者と生計をともにする親族のいずれかと常に同居しているときは、障害者控除として1人当たり75万円が所得金額から差し引かれます。◇住民税の控除住民税の場合、障害者控除は26万円(特別障害者に該当する場合は30万円)を控除することができます。◇相続税の障害者控除相続人が障害者である場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者のときは20万円)が障害者控除として相続税額から差し引かれます。◇自動車税・軽自動車税の減免、自動車取得税の減免精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方が使用する車について、本人が1級の手帳を持っているなどの一定の条件を満たす場合は、申請により自動車税・自動車取得税の減免を受けることができます。◇預貯金が非課税の対象となる(マル優、特別マル優)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人が銀行などの350万円までの預貯金、貸付信託、公社債、公社債投資信託などで受け取る利子などについては、一定の手続を要件に非課税の適用を受けることができます。これをマル優、特別マル優と呼び、預け入れ等の際に金融機関の窓口などに確認書類として手帳を提示して確認を受ける必要があります。◇特別障害者手当精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して手当が給付されます。主に特別障害者の負担の軽減や、福祉の向上を図ることを目的にしています。重度の精神障害者保健福祉手帳を持っている人については、特別障害者手当受給申請時の診断書の提出を省略できる場合があります。特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害がある在宅の20歳以上の方に支給されます。目安としてはおおむね身体障害者手帳1、2級程度及び重度の精神障害が重複している方、もしくはそれと同等の疾病・精神障害のある方です。支給額は月額26,830円ですが、病院又は診療所に継続して3ヶ月を超えて入院されている方、施設等に入所されている方は支給されません。また、所得制限があり、申請者の所得が所得限度額を超える場合や、受給者の配偶者・扶養義務者の所得が所得限度額以上であるときは、手当は支給されません。特別障害者手当l 厚生労働省精神障害者保健福祉手帳の交付によるデメリットはあるの?出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、療育手帳、身体障害者手帳より受けられるサービスや支援策が少なく限られている場合があります。また、周囲の理解が得られないかもしれないという不安から、精神障害者保健福祉手帳を所持していることを知られたくないと考える人や、取得することをためらう人も少なくないようです。ですが、精神障害者保健福祉手帳を所持していることを職場や身近な人に伝えなくても、受けられるサービスはたくさんあります。精神障害者保健福祉手帳は2年おきに更新し続けることにより、一生を通して様々な割引やサービスを受けることができますが、手帳を取得してから特にこれらのメリットを感じないと判断する場合、更新時に返還することもできます。手帳の返還手続きを行ったのちは、登録されている生年月日や交付番号は削除されるなどの多くの配慮がなされています。そのため、精神障害者保健福祉手帳を取得するデメリットは、実際のサービス利用等に関しては比較的小さく、周囲の理解が得られないなどの心理的・社会的な懸念によるものが中心となると言えます。不安な人は、手帳を所持していることをどこまで周囲に伝えるかを、身近な人やカウンセラーなどに相談してみると良いでしょう。精神障害者保健福祉手帳の申請方法は?出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、病院で精神疾患があると診断された日から6ヶ月以上経過して、初めて申請することができます。病名変更や転院がある場合には医師にご相談ください。提出された書類を審査し、2ヶ月程度で発行されます。診断書記述料は病院によってそれぞれですが、一定の金額を助成してくれる制度がある自治体もあるため確認してみるとよいでしょう。障害者手帳交付診断料支給要綱l 秋田県横手市Upload By 発達障害のキホンステップ1:区市町村の障害福祉担当窓口の方に申請したい旨を伝え、説明を受けて必要書類の様式をもらいます。Upload By 発達障害のキホンステップ2:申請に必要な書類を揃えて役所の窓口に行き、申請します。必要書類の一つ、障害者手帳用診断書には2つの条件があるため注意してください。・医療機関での初診日から6ヶ月以降に作成されていること・作成日が申請日から3ヶ月以内のもの年金証書の写しの提出が必要になるのは、精神障害による障害年金もしくは特別障害給付金を受給している場合に限ります本人の写真は縦4cm×横3cm、脱帽・上半身で撮影します。申請した日から1年以内に撮影したものに限ります。裏面には氏名・生年月日を記入する必要があります。平成28年1月よりマイナンバー制度が開始したため、個人番号(マイナンバー)や身元確認のできる書類が必要となりました。身体障害者手帳には個人番号(マイナンバー)は表示されません。精神障害者保健福祉手帳l 東京都福祉保健局精神障害者保健福祉手帳制度の注意点出典 : 精神障害者保健福祉手帳は取得後も定期的に更新が必要です。更新は2年ごとにあり、有効期限の3ヶ月前から申請できます。その際には新規申請のときと同様の必要書類と、現在交付されている手帳の写しが必要となります。また有効期限内に精神障害の状態が悪化したり、障害年金の等級が変更となったりした場合には、障害等級の変更を申請することができます。精神障害者保健福祉手帳l 山口県岩国市まとめ出典 : 精神障害者保健福祉手帳は所持している人が、一定程度の精神障害がある状態にあることを認定するものです。精神障害を抱えている人が自立し、社会活動に積極的に参加できる暮らしやすい社会を実現するために、手帳を持っている方々には様々な支援策がもうけられています。精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まで区分が分かれており、受けられる支援は区分や自治体によっても異なります。療育手帳や身体障害者手帳と比べて支援がまだ不十分な面もありますが、早期に精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることで、いち早く適切な支援が受けやすくなります。外出がしやすくなったり、生活がしやすくなったり、金銭面での割引や給付などの社会の援助やサービスが受けられることも魅力です。記事を読んで興味や必要を感じたら、お住まいの福祉事業窓口に相談しに行ってみてください。
2016年11月20日医療は日進月歩。その進歩はニュースになりやすい一方で…出典 : 医療は日進月歩です。他の領域に比べて、新しい発見や新開発の治療法の情報がニュースになりやすいのは、医療領域の一つの特徴であると言えるでしょう。けれども本人やご家族は、その新しいニュースを見聞きする度に一喜一憂することになります。また、ニュースで報じられるような新しい治療法は、受けられる機関がとても限られています。本当に新しいニュースを追い続ける必要は果たしてあるのでしょうか。医療で採用される新しい診断法、治療法などは、とても慎重に、何度もその有効性と安全性が確かめられてから、一般的な医療機関に採用され、また日本では健康保険が適用され、安価に利用できるようになります。この数年でも発達障害に含まれる障害に対して、新しく正式に適応が承認されたお薬がいくつかあります。その一方で、ニュースになった多くの新しい発見や治療薬は、まだまだ開発のごく初期段階に留まっているものがほとんどです。その後の研究の中で、実はあまり有効ではないことがわかったり、思ったより安全ではなかったりすることがしばしばあります。自閉スペクトラム症の領域では、これまでにも数多くの薬剤が颯爽と登場しては消えていくという経過を繰り返しています。こうした新しい診断法や治療法に期待することは悪いことでありません。また新たな方法の開発を担当するような医療機関に通院している方には、ぜひその研究に協力していただいて、新しい支援の道を開くことを助けていただきたいという思いもあります。けれどもそれはむしろボランティア、社会貢献という位置づけです。残念ながら本人やご家族に利益をもたらすとは限らない、それが研究途上の新しい医学的手法なのです。サプリメントを使っても良い?判断の基準は安全性・コスト・併用可能性出典 : もう一つ、残念ながら現在の日本の状況では、医学による厳密な効果や安全性の検討を受けない、あるいはあえてそうした検討を避けて、宣伝されたり使われたりする物質や薬物も少なくありません。医師の処方箋を必要としない多くのサプリメントや薬物などが、発達障害への有効性を謳って、あるいはより巧妙にそれをほのめかして宣伝されていたりします。診察室でそうした物質を使ってみてもよいか、相談されることもしばしばあります。自分の場合にはこのようなとき、それがかなり安全であることがはっきりしていて、家計の負担になるほど高価ではなく、標準的な他の支援を受けることを妨げないのであれば、それを使ってみることを検討してもよいのではないか、とお伝えしています。このうち、安全であることを確かめるのは実はなかなかやっかいです。物質そのものは安全そうであっても、製造過程で混じり物がないかどうか、そもそも能書き通りの物質が含まれているのか、それを確かめるのはなかなか難しいことも多いのです。またこうした有効性と安全性の検証を経ていない治療法というのは、実はお薬に限りません。心理社会的介入と呼ばれるような薬物以外の様々な支援の中でも、しっかり研究が進められているものと、確からしい証拠がほとんど見つからないものが、世の中で入り混じっています。このときにも判断の原則は、安全性、価格や時間などのコスト、標準的な支援との併用可能性ということになります。貴重な時間やお金、気力や体力を上手に使っていくためにも、筋のよい情報を収集することが必要ですね。迷ったときは、主治医に相談を。これからも上手に医療と付き合って出典 : 全ての医師がこうした、標準的な医療以外の支援に詳しいわけではありませんが、迷ったときに主治医に相談してみるのは、悪くないかもしれません。そして主治医がまったくそれを知らなかったら…、それはその方法についてほとんど研究が進んでいない証拠かもしれません。さてここまで10回の連載では、医療による支援そのものの詳しい説明ではなく、どのようなスタンスで医療とつきあってゆくと物事がうまく進みやすいのか、できる限り踏み込んで書いてみました。実は自分のスタンスは必ずしも平均的な医師とは重ならないところもあるかもしれず、そこはたいへん申し訳ないのですが、皆様の今後の医療サービスの利用に際して、少しでもご参考にしていただけたらとても嬉しく思います。
2016年10月21日自傷、噛みつき、頭突き…発達障害とも関係が深い「強度行動障害」とは?出典 : 「強度行動障害」という言葉をご存知でしょうか。強度行動障害は厳密には医学用語ではなく、知的障害がある人に、他害、自傷、著しい反復的な行動や睡眠障害などが現れて来る場合に用いられる、行政・福祉の用語です。最初にこれが定義された際には、「精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しい処遇の困難な者であり、行動的に定義される群」であり「家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態」とされていました(1989年行動障害児者研究会)。どんな状態の子ども達、大人達なのか、なんとなくイメージができたでしょうか。そしてこうした行動の障害を示す人では、その背景に知的障害だけではなく、自閉スペクトラム症を持っている場合がとても多いこともわかっています。こうした強い行動上の障害は、元来の障害の特性を背景として、育っていく環境との間に大きな不適合が生じ、それに対して、どうしても上手くいかない方法、長く続けてはいけない方法が身についてしまった場合に起こってくると言われています。例えば、・不快な音に対して自分の頭を激しく叩いてそれを紛らわす・退屈な時に窓ガラスをバンバン叩いて楽しむ・大人の指示に従いたくないときに暴れて拒否をするなどのパターンです。ある意味でこの強度行動障害こそが、「二次障害」の一つの典型であると言えるでしょう。このように行動の障害が著しい場合には、家庭はもちろん、教育、福祉などの多くの領域の支援者が関わって、その対応を考える、また本人やご家族を支えていく方法や態勢を考えていくことになります。「強度行動障害」に対して、医療で出来ることは何か出典 : このようなときには、もちろん医療に期待が集まることも少なくありません。そしてご家族や支援者の気力や体力、時間に限界が近づくと、「もう家で、地域で、施設で暮らせないから、入院させよう」というアイデアも浮かんできます。入院すれば魔法のように行動障害がよくなって、落ち着いた状態で帰ってきて、しかもその後その状態が長く続くといった、ちょっと現実離れした期待をしてしまうこともあります。ではこの強度行動障害に対して、実際に医療は何ができるのでしょうか。強度行動障害の本質は、先に述べたように、本人の特性と環境との不適合、そしてそれを補うために誤って学習された行動のパターンです。このように考えていくと、実は医療で出来ることはそれほど多くないことがわかります。知的障害があり、強い行動障害のある患者さんが入院する場合、ごく一部の専門病床を持つ病院などを除けば、ほとんどの総合病院や精神科病院の場合には、外から鍵をかけた個室に入っていただくことになります。激しい他害や自傷がある場合には、身体拘束といって、手足をベルトなどでベッドに固定したりすることも少なくありません。こうした対応は、緊急時に本人と周囲の人の安全を守るための手段としては、やむを得ない場合があります。興奮が激しく、このままでは自宅で安全に暮らせないという状況で、家族や支援者がそれに対応する時間と気力と体力の余裕を取り戻すために、一時的に入院を選択することは充分にありえます。逆に病院は、施錠や身体拘束という方法を法的に許されているために、慣れていない患者さんが急に入院してきた場合でも、本人や周囲の人の安全を比較的守りやすいのです。しかし、このような対応を長く続けることは、本人がその特殊な状況に合わせた、更にうまくいかない方法を身に付けてしまう結果に繋がることがあります。本人にとっても辛い状況であることも多いので、退院した後、行動の問題が悪化することも少なくありません。また入院が長期化すると、地域の支援体制はだんだんと手薄になって、時間が経てば経つほど、地域に戻りにくくなってしまうこともあります。そして行動を制限された入院の環境は、本人の誤った学習、うまく行かない行動のパターンを変えていく、別のやり方を模索していくためには、とても不利な状況でもあるのです。更に言えば、こうした行動障害に対しては、第7回の記事で触れたように、お薬が使われることがあります。しかし行動を強く制限された状態では、お薬の量の調整がうまくいきません。施錠、身体拘束の状態では行動の観察ができず、どの程度のお薬の量が適当なのか、知る手立てが限られてしまいます。また病院と家庭では全く環境が違うので、入院中に適当であったお薬の量が退院後にもちょうど良いかどうか、帰ってみないとわからないということになります。医療を上手に活用して、本人も周囲の人も無理のない生活を出典 : 結局、強度行動障害に対して、一般的な医療機関ができることは、外来の薬物療法によって一部の行動の問題を和らげること、特に「易刺激性」が関わっている場合に、本人や支援者が対処しやすくなるように、少しそれを緩和することが一つです。入院については、急性期の対応、家族や支援者が対応の余裕を稼ぐために一時的に避難するのが上手な使い方です。また地域の支援体制ができていても、どうしても家族や支援者に疲れがたまってきてしまうという場合、家族や支援者、時には本人の休息の目的で病棟を使うこともあってもよいかもしれません。そしてとても大切なことは、医療が関わり始めたとしても、地域の支援体制を解除しないということです。行動障害のある人は、正しい手順が踏まれていれば、地域の支援力が総動員されているはずです。それでも足りないから医療もそこに加わる。けれどもそれは足りないから足しているわけであって、医療が出てきたからといって、他の領域の支援者が手を引いてもよいということにはならないのです。このような医療の限界がよくわかっているからこそ、厚生労働省は平成25年から、福祉領域の従事者を対象に、「強度行動障害支援者養成研修」を始めました。対応の主軸が地域の生活と、その中での再学習、環境の調整であることが明らかであるからです。強度行動障害に関して、医療は「最後の砦」ではありません。むしろ必要がありそうなら追い詰められる手前の、できるだけ早い時期から医療をチームに加えていただくこと、医療を支援の一つのパーツとして組み込むことで、無理なく地域での生活を続け、できるだけ早く、本人も周囲の人も苦しまない暮らし方を再獲得していくことが必要なのです。
2016年10月19日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。独自の若者論・現代日本文化論で注目を集める精神科医の斎藤環さんは、その著書『承認をめぐる病』で、“今のわが国の若者たちは衣食住に象徴されるような物や食などへの基本的な欲求よりも、 「他者から認められたい 」との思いで生きている”という主旨の指摘をし、話題を呼んでいます。「コミュ力」にしても「スクールカースト」にしても「KY」にしても、若者の価値観が“認められること”にあまりにも偏ってしまっているがために生まれた言葉であるとし、こういった斎藤先生の見方については精神医学に携わる多くの医師たちが「的を射たもの」と評価しています。「町の精神科医」を自認する都内在住のT先生(50代女性/都内メンタルクリニック院長)もその一人ですが、T先生はさらに『若者の承認欲求が強すぎる傾向は格差社会の副産物だ』と言い、この傾向の悪い面と良い面の両方について自説を展開してくださいました。今の若者の“認められたい志向”はどうして格差社会の副産物といえるのか。一緒に考えてみましょう。●生まれ育った家の経済力で地位が買える時代に一発逆転で上位の層に行くには「コミュ力」斎藤環さんは著書の中で、近年、若者の誰もが他者からの承認を強く願い、承認されているかどうかの評価基準がコミュニケーション能力である こと、著書で使われている言葉で言うなら、「場の空気を読む能力」や「笑いを取る能力」などがその象徴であることを指摘しています。そしてその能力は必ずしも自分の主張を論理的に表現し、相手を説得する能力のような知的で質の高いものではなく、単にその人の“キャラ”づけにとどまる程度のものであると述べています。ただ、若者がこうなったのは若者だけのせいでしょうか。筆者はそうは思いません。なぜなら、わたしたち大人の方こそ、若い人たちに「コミュ力」の高さばかりを過剰に求めているところがあるからです。いい例が、就活です。企業が就活学生を採用する際の判断基準として一番に重視する項目は、専門性の高い理工科系の学生を別にすれば、ここ数年ずっと「コミュニケーション能力」です。しかも、ほとんどの普通の子はバイトに明け暮れなければ大学に通えないような時代に、先祖代々多額の資産を持っているような経済的に恵まれた家に育った子だけはその親の財力で学力・運動能力・芸術的な能力といったいわゆる“実力”を磨くことが難なくできてしまう。一般的な庶民の子たちは増々もって「コミュ力」を磨き“マシな部類の正社員サラリーマン”になるしかない。中学・高校の思春期の学校生活においては、コミュ力を磨いてスクールカーストの上位に行くしかない。筆者のこのような見方は少々乱暴だろうかと思いきや、都内でメンタルクリニックを開院するT先生がお墨付きをくださいました。●近年の若者の承認欲求の強さは格差社会の副産物であるT先生に、近年の若者の承認欲求の強さは格差社会の副産物であるといえる理由について話を伺いました。『斎藤環先生は著書の中で、若者に特有な「自分が何者であるか」という“実存の不安”を解消してくれたものは1970年代までは思想や宗教だった。その後は若者をアイデンティティ・クライシスから救うツールは心理学に取って代わり、今はそれが「その人のキャラ付けに基づいたコミュ力によって評価される承認の度合い」であるという主旨の指摘をされています。その分析は実に鋭いものですが、斎藤先生の場合はややもするとそういった“強すぎる承認欲求”“コミュ力偏重主義”の悪い面にスポットを当てすぎの面もあると思います。今のわが国では、富裕層の家に生まれさえすれば、その子どもは大抵のものを手にすることができます。運動能力も外国語を話す力も医学部に合格する学力も楽器を演奏する能力もコンピュータのプログラミングをする能力も、お金に糸目をつけずに習わせてさえもらえるなら誰だって身につきますし、それによって収入の高い職業に就くことも容易になります。一方、一般的な庶民の子どもたちはというと、そのような“お金が要る特技や能力”はなかなか身につきません。では、庶民の子がちょっと上に行くにはどうしたらいいか。コミュ力で“いい会社”に就職するか、笑いを取る力で“お笑い芸人”から“タレント”や“文化人”を目指すか 。そういった方法が近道と言えるでしょう。つまり、近年の若者の承認欲求の強さは格差社会の副産物だと言うことができるのです』いかがでしょうか。日ごろから中高生や大学生の心の相談に応じている町の精神科医は、若い人たちの承認欲求の強さやコミュ力志向の“良い面”にもしっかりと向き合っているように思えます。●寡黙でもしっかりと認められる人たちがいるおしまいに。筆者には世間から「社会起業家」と呼ばれているような若い知人が何人かいます。女性も男性もいますが、その人たちに共通していることは、「育った環境はどちらかというと逆境だった」という点です。そして彼らは自分の体験に基づいた願いから、子どもたちの未来が親の経済力によって制約されることのないようにと無料の学習塾や無料の食堂を運営し、しっかりと地域社会から「承認」されています。普段の彼らは“キャラ”とは縁遠い“地味”な人たちで、おもしろいことを言って笑いを取ることもありません。むしろ“寡黙”な印象を受ける人が多いのですが、ひとたび自分たちがやろうとし、やっている活動を理解してもらい協力を得たいというときには、並々ならぬ情熱と「承認欲求」をもって語りかけて来るのです。そういうときの彼らのコミュニケーション能力はとても高い。若い人たちの承認欲求が強いことは、悪いことばかりではないと筆者は思います。というよりも承認欲求の強さは昔から、機会になかなか恵まれない若い人たちの原動力 になってきたのではないでしょうか。斎藤先生が著書で指摘するような『キャラの相互確認に終始する毛づくろい的コミュニケーション』としてだけでなく、機会に恵まれなかった若者が現状を打破するための質の高いコミュニケーション能力 につながるものでさえあれば、“承認をめぐる病”には良い面もあるのではないかと筆者は思うのですが、みなさんはどうお考えになるでしょうか。【参考文献】・『承認をめぐる病』斎藤環・著●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年10月18日発達障害の「二次障害」って?その原因は?出典 : 発達障害について考えるとき「二次障害」について考えることは避けて通れません。ただ、この「二次障害」という言葉は誤解も産みがちです。このために自分は必ず括弧をつけて使うようにしています。「二次障害」には実は学術的な定義がなく、使う人によって含まれるものが異なります。さらには、「二次災害」「随伴症状」「併存症」など似たような意味で様々な言葉が使われています。また「二次障害」であるからといって、必ずしも経験や環境のみがその原因、誘因となっているとは限りません。最近では発達障害のある人は、生まれつき様々な精神疾患にかかるリスクが高いことがわかってきました。またある共通の要因が発達障害のリスクも、他の精神疾患のリスクもともに高めることがあることもわかってきています。このため「二次障害」の全てを経験や環境のせいだけにすることはできず、生まれつきの要因がかなり大きな役割を果たしている「二次障害」もあると考えるのが合理的です。もちろん、適切な見立てと対応、環境の調整を根気よく行っていくことで、「二次障害」のリスクを減らしたり、何よりも「二次障害」が起こってきたときに、それに対処できる力を身に付けていったりすることは可能になると考えておくのがよいと思います。「二次障害」をめぐる医療の現状出典 : 様々な二次障害、併存症の中には、統合失調症スペクトラム障害や双極性障害、うつ病、不安症などのように、医療による対応によって、改善が期待しやすいものが少なくありません。こうした疾患に対する治療法はかなり研究が進んでおり、ある程度有効な方法が確立しています。しかし残念なことに、発達障害が背景にある場合、どのようにその治療法をアレンジしていくべきか、特性にあわせて変更していくべきか、ということについては、まだまだ充分な研究がなされていないのが現状でもあります。主治医とよく相談しながら、障害の特性、またその人の置かれた状況に合わせて、実際の治療を進めていくことになります。思考や行動のパターンを、医療の力だけで変えることは難しい出典 : 一方で、医療が苦手にしているのは、狭い意味での疾患、病名がつかない「二次障害」です。自閉スペクトラム症の人達は、その生い立ちの中で「大人が用意した課題に挑戦すると、いつも失敗する」と信じ込んでしまったり、「人と関わると嫌なことが起こる」と学んでしまったり、「人に依頼しても助けてもらえない」経験を積み重ねてしまったりすることがあります。こうした経験を通じて身に付けた思考や行動のパターンを変えることは、医療だけの取り組みでは極めて困難です。また注意欠如多動症を持つ人達に最も学んで欲しくないのは、「待っていてもいいことはない」という考え方です。もともと「報酬を待つ」ということが多数派の子どもよりも苦手に生まれついているのがADHDの子どもたちなのですが、「待っていても退屈だった」「待ちきれなくて怒られた」「課題の達成を待ちきれなくて、諦めてしまった、失敗した」という経験を積み重ねると、どんどん待つことが苦手になってきます。そのとき子ども達は、将来に向けて投資をすることが難しくなってきます。遠い将来の手応えを期待して今を頑張る、ということがどんどん信じられなくなっていくのです。このとき彼らの求めるものはどんどん刹那的になってきます。今の楽しみやスリルをどうしても優先したくなります。それは時にはアルコールや違法薬物の使用につながって、そのために医療を必要とすることが出てきてしまいます。発達障害の「二次障害」に対して、医療ができること出典 : こうした疾患ではない「二次障害」に対して、医療が単独でできることは限られます。しかし状態の悪い方に対して、それでも途切れずにつきあい続けるということは、医療が比較的得意な支援です。また必要に応じてお薬を使ってその時の苦痛を少し和らげることもできる場合があります。誤った学習を解きほぐしていくための、日常生活の中での支援と経験の積み重ねと併せて、医療の支援を活用することも必要な場合が多いでしょう。また、医療のもう一つの役割は「二次障害」の予防でもあります。前回お薬についての記事のなかで、薬を使うことを考えるのは「嫌いなもの・ことが増えているとき」と書いたのは、そのためでもあります。正しい見立てと、適切な日常的な支援、どうしても必要な場合のお薬は、「二次障害」の軽減、予防に役立つと信じたいところです。
2016年10月17日発達障害の治療、お薬はどんなときに使われる?出典 : 発達障害に対してお薬が使われるとき、それは全て対症療法として投与されます。対症療法とは症状を和らげることが目的の治療で、根治、つまり障害を治すための治療でありません。残念ながら現在の医学の水準では、発達障害を根治する治療はありません。ただ、適切なタイミングと種類、量のお薬を使うことで、その症状を緩和できる場合があります。どんな症状に対してお薬が使われるの?出典 : では主にどんな症状に対して、お薬が使われるのでしょうか。自閉スペクトラム症の場合には最も効果が確かめられているのは、その易刺激性、つまり刺激に対して反応しすぎる状態に対する投薬です。日本でもいくつかの抗精神病薬が、厚生労働省からその適応を正式に承認されています。こうしたお薬は自傷や他害といった攻撃的な行動がある際に用いられますが、その効き目の見極めには大事なポイントがあります。易刺激性に基づく攻撃的な行動、例えば嫌いな音を聞いた後のパニックやイライラする状況から逃れるために人を突き飛ばすなどの行動には、ある程度効果が期待できることがあります。一方で、遊びの目的、つまり「窓ガラスを叩くといい音がして楽しいから」とか、コミュニケーションや交渉の目的で「冷蔵庫を開けさせるために家族を叩く」とかの行動には、お薬の効果は期待しにくいのです。ここを上手く見極めて使わないと、無効なお薬を飲むことになったり、大量にお薬を使って、効果よりむしろ副作用が問題になったりすることが起こってきます。結局はお薬を使う場合にも、その標的となる行動の分析が必ず必要となるのです。著しい反復的な行動に対してもお薬が使われることがありますが、この場合もその背景が重要になります。遊びの性格が強い反復的な行動にはお薬はほとんど効果がありません。もしこれを薬で止めようとすると、大量のお薬を使って、眠くてだるくて遊ぶ元気もないという状態を作ることになってしまいます。一方で不安や強迫といった、「やらないと心配」「やらないと落ち着かない」からやむを得ずやっているという、繰り返しの行動には時にはお薬が有効な場合があります。その他、睡眠の障害やカタトニアなどの症状に対して、それぞれの状況にあったお薬が使われることがあります。これらの場合にも有効な場合とそうでない場合の見極めが必要ですので、主治医にご相談いただくとよいでしょう。また注意欠如多動症(ADHD)に対しても、お薬が使われることがあります。実はADHDの治療薬は、あらゆる精神科のお薬の中でも一番効き目が確かなお薬の一つです。投与するとかなり高い割合で効果を発揮します。しかしこれも対症療法に留まり、一方で副作用もしっかりあるので、使いどころを見極める必要があります。どんなときに「薬を使う」という決断をすれば良い?出典 : さてそれでは、どんなときにお薬を使うことを考えればよいのでしょうか。発達障害そのものへの投薬は常に対症療法であるため、発達障害があること、それだけでは投薬の対象にはなりません。必要な対応や環境の調整をして、それでも本人の苦しさが続くとき、またいろいろな対策を講じていてもどんどん環境との不適合が増しているときは、お薬をつかうことを考えても良いでしょう。自分の場合には、「人生の中で嫌いなもの・ことがどんどん増えているとき」というのを一つの基準にしています。またお薬以外の方法をとることがそもそも難しい場合も、投薬を考えることになります。家庭の状況に全く余力がないとき、家族に他の危機が訪れているときなどには、時期を限ってお薬を使うこともあります。もう一つ、これは発達障害に対する投薬ではありませんが、併存する他の精神疾患がある場合には、当然その治療薬を使うことになります。また最も大切で難しいのはお薬のやめどきです。これについては、常に止めることを考えながらお薬を使う、というのがおそらく正解であると思います。減薬や中止のチャンスを常にうかがっていないと漫然とお薬を使うことになってしまいます。・標的となっていた症状が改善してきたとき・環境との不適合が小さくなってきたと感じられるとき・他の支援がうまく回り始めたときなどが、お薬を減らす・止めるチャンスです。ただし急な中止や減量によって逆に有害な症状を来すお薬があるので、減量、中止の際には必ず医師と相談してください。
2016年10月14日発達障害の大人が医療機関を利用するとき、どんな問題が生じるか出典 : 児童精神科医の吉川徹です。これまでの連載では「発達障害と医療」をテーマに、医療機関や診断を受けるタイミングなど、様々な角度から執筆させていただきました。今回は、発達障害と医療の問題を考える際に特に悩ましい、成人された方の医療の利用についてです。この問題は大きく分けて、●子ども時代から大人への医療の引き継ぎ(移行医療)の問題●成人期になって初めて、発達障害を主なテーマとして医療を利用するときの問題の2つがあります。大人になってもスムーズに医療機関を受診し続けるには出典 : 近年では子どもの発達障害を診療できる医療機関はかなり数が増え、診断を受けている子どもも急増しています。こうした子ども達はいつ大人の医療に移行していくのか。これは遠からず全国的に問題になることは目に見えています。子ども時代に診断を受けた方のうち、大人になっても医療が必要な方は、実はそれほど多くはありません。ただ継続した投薬が必要であったり、前回の記事にあるような診断書が必要であったり、どうしても医療のサービスを継続して利用する必要がある方もいらっしゃいます。特に小児科で診断、治療を受けていた場合、必然的に移行が必要となることが多いです。児童精神科などの場合では、医療ニーズが高い場合には継続して診療を受けられることもあるでしょう。最近では発達障害の診療に対応できる、成人の医療機関も増えてきています。成人医療への移行に備えて、地域の医療事情について早めに情報収集を行っておけると安心です。移行が必要になる時期はおおむね15歳〜20歳前後であることが多いのですが、できれば20歳ごろ、総合支援法医師意見書と障害基礎年金の診断書が揃っていると、後の移行がスムーズです。その時期の移行が可能かどうか、通院中の医療機関に相談してみる価値はあります。大人になってから初めて発達障害がわかったとき、医師による診断が必要だとは限らない出典 : もう1つ悩ましいのが、大人になってから初めて発達障害をテーマにして、医療機関を受診する際の問題です。成人期の発達障害診療を受け入れていると広報している医療機関はまだ少なく、たどり着くのが難しい地域もあります。それ以外にも成人期の医療には様々な課題があるのです。まず、そもそも大人になった方の発達障害の確定診断を行うことは、医師にとってもかなり難しいという問題があります。発達障害の診断の多くの部分は、乳幼児期や子ども時代のエピソードの聴き取りに拠っています。成人するころまでには、養育者の記憶も曖昧になり記録も散逸しており、どんなに頑張っても診断を確定できるだけ根拠が得られないことがあります。こうなるとせっかく受診しても「特性はありそうだけれど、診断は確定できない」と伝えられてしまいます。特に専門性の高い医師ほど、正確な診断と診断基準を意識するので、このような伝え方が多くなります。乳幼児期の情報が充分得られない場合、発達障害診断のみを目的にした医療機関受診の効率は下がってしまいます。次に、不眠や不安などの発達障害以外の症状がなく、発達障害の疑いしか医療への「入場券」がない場合、医療機関への受診はそれほど実りのあるものにはならないことも多いという問題があります。成人になるまで診断を受ける機会がなかった方の場合には、当面の主要な問題は発達障害そのものよりも、不眠や不安、抑うつ、強迫症状や精神病症状などであることのほうが多いのです。このように他の精神症状がある場合には、むしろそれを入り口として、優先して相談、対応することが望ましいことが多いのです。その場合、受診できる医療機関の間口も広がるので、通える医療機関を見つけやすくなります。「発達障害の診療はしていません」というクリニックでも、通院中の患者さんの疾患の背景にある発達障害には、気づいてくれたり対応してくれたりすることもしばしばあります。この場合でも支援者の口コミなどで、発達障害の対応に慣れた医療機関を選んでおけるとなお良いですね。何のために受診するのかよく見定めて、効率的に医療機関を使おう出典 : 診断書や薬物療法が不要である場合、本人や周囲の人がその特性に気づき、実際に工夫しながら対応する中でそれを確かめることが可能であれば、発達障害の確定診断は、必ずしも必要ではありません。極めて限られた専門医療機関を別にすると、一般の成人精神科医療機関の診療の時間や構造は、障害特性そのものへの対応を相談するのには、あまり適していないことも多いのです。成人期の発達障害医療はまだまだ発展途上です、今後大きく状況は変わっていくかも知れませんが、現時点では医療機関を受診する目的をよく見定める必要があります。それは診断なのか、診断書なのか、薬物療法なのか。あるいは得意な医療機関は限られますが、自己認知の支援なのか。それともむしろ併存する他の精神疾患の診断や治療なのか。ご本人や支援者の方にはうまく見極めていただき、医療機関を効率よく使っていただけるとよいと思います。
2016年10月12日医療機関による受診が必要になる、「診断書」の取得出典 : 前回はいつ医療機関による受診をするのか・勧めるのか、というテーマでしたが、一方でどうしても受診、診断が必要なタイミングというのがあります。その代表的なものが、診断書が必要になる時期です。発達障害を持つ子どもや大人が健康に成長し暮らしていくためには、様々な支援が必要になることがあります。その入場券になることが多いのが診断書です。今回の記事では診断書が必要になる代表的な場面と、その時期を解説します。ただし、診断書を巡る状況は、地域によって少し異なることがあります。地元の支援者や先輩の親御さんにも確かめてみるとよいでしょう。18歳未満で診断書が必要となる場面出典 : 子ども時代には診断書が必要な場面は、実はあまり多くありません。知的障害を伴う方の場合、愛の手帳や療育手帳などと呼ばれる知的障害の福祉手帳の取得には、原則として医師からの書類は必要ありません。地域の役所の窓口から申請でき、その手帳があることで多くのサービスが利用可能です。以下では、医師の診断書が必要となる場面をご紹介します。知的障害の手帳の対象ではない場合、精神保健福祉手帳という精神障害の福祉手帳を取得することがあります。子ども時代の取得はまだ多くはありませんが、だんだんと取得する方が増えているようです。精神保健福祉手帳の取得には必ず医師の診断書が必要となります。子ども時代の取得にはそれほど多くの利点はありませんが、必要であれば診断書の発行を受けることが可能です。福祉手帳の取得をしていない場合、児童福祉法に基づくサービスを利用するための「受給者証」を発行してもらうために、医師の診断書が必要となる地域があります。制度本来の主旨からするといかがなものかと思うのですが、残念ながらそのような運用が広がってきているようです。また地域によっては、通級指導教室や特別支援学級などへの入級にあたって診断書を求められることがあります。幼稚園などの場合でも、園への助成金などの支給のために、診断書の提出を求められることがあります。これも文部科学省などが通達している特別支援教育の方向性からすると、本来あってはならないことだと思うのですが、残念ながらそのようなルールが設定されている地域もあるようです。また障害の状態によっては、特別児童扶養手当の支給対象となることがあります。やや厳しい世帯の所得制限などもありますが、支給にあたっては医師の診断書が必要です。18歳以上で診断書が必要となる場面出典 : 歳以上になったときに、障害者総合支援法による様々な福祉サービスを受けるためには、診断書ではないのですが、「医師意見書」が必要になります。また20歳になると、障害基礎年金の対象となる方も出てきます。障害年金の受給には必ず医師の診断書が必要です。この中で特に注意しなければならないのが、子ども時代に医療機関を受診し診断を受けた後、経過が順調な場合、特に身近で適切な支援が受けられている場合です。このとき、どこかの段階で医療機関の受診が不要になり、通院を止めていることが少なくありません。しかしその場合であっても、18歳以降に福祉サービスの利用の可能性がある場合、障害基礎年金が受給できる可能性がある場合には、それに備えて少なくとも1,2年前からは通院医療機関を確保しておいた方がスムーズです。初診でいきなり診断書の発行を受けることは困難です。16歳、17歳という年齢であれば、成人の精神科医療機関に受診できるので、通院先の選択肢は格段に広がります。初診には予約が必要であることもありますので、将来の診断書の発行に備えたいという受診の意図を伝えて、事前に確認しておくとよいでしょう。この他、就労支援を受ける際に医師の意見書を求められたり、障害が重度である場合には特別障害者手当の受給のためにも診断書が必要となったりします。必要な時期に診断書の発行が受けられるように情報収集しておけるとよいですね。
2016年10月10日発達障害の疑いがあるとき…医療機関を受診する適切なタイミングはいつ?発達障害の疑いのある方、またそのようなお子さんがいる保護者の方で、「医療機関をいつ受診するか」にお悩みの方もいらっしゃるかと思います。また、「発達障害の存在が疑われる子どもに医療機関の受診をすすめる際、どんなタイミングがよいのでしょうか」というのは、支援者の方もしばしば口にされるご質問です。発達障害のある子どもの場合であれば、保護者は様々なプロセスを経て、子どもの発達特性に気づき、その特性と長くつきあっていくための準備を進めます。その過程は男女が出会って、結婚に至るプロセスに少し似ています。Upload By 吉川徹このプロセスは、もちろん全てをたどっていく必要はありませんし、正しい道筋というものもありません。最近では結婚式を挙げない人も増えてきました。どうしても診断書やお薬が必要でなければ、かならずしも確定診断を受ける必要はないのです。ただ、もしできることであれば、発達障害の特性とずっとつきあっていく準備がそれなりに整った段階で、医療機関の受診ができると、きっとよい節目になるでしょう。医療機関を受診する前の大切なプロセス「障害とつきあう準備」は、どうすれば整うのか出典 : では、「発達障害とつきあっていく準備」はどうすればできるのでしょうか。前回の記事でも触れましたが、診断を受ける前の支援が大切になってくると私は考えています。最初に発達障害の特性に気づいた誰かが、診断を受ける前から上手く支援を始めて、医療による支援へと繋げてくれる。そうすると保護者は、子どもの特性に合わせた関わり方をすると、少し物事が楽になる、前に進みやすい、という感覚をもつようになります。このように、保護者が発達障害とつきあう準備ができていたほうが、診断は正確になり、その後も医療のサービスを最大限有効に使えることになります。もしもその準備が整っていない段階で、「あなたの子どもさんは発達障害の疑いがあるので病院に行って下さい」と言われてしまったら、何が起こるでしょうか。おそらく、一部の保護者は「絶対に障害だと言われたくない」と思って病院の門をくぐります。そうすると、「赤ちゃんの頃は?」「普通でした」「保育園では?」「年少さんは問題ありませんでした。年中になってから行くのを嫌がるようになりました」「ああ、それはきっと担任の先生が……」といった、診断に結びつかないやり取りになってしまいがちです。発達障害の診断には、もちろん子ども自身の状態の観察なども参考になりますが、それまでの発達の経過、道筋の情報が極めて重要です。ここが上手く聞き出せないと見落としや誤診に繋がってしまうのです。「『仮に』理解して、『実際に』支援する」。これはある児童精神科医が編集した書籍の副題ですが、とても良い言葉だと思います。支援を始める時に診断は不要です。まず特性に気づいた人がその「仮の理解」に基づいた支援を実際にやってみる。それが上手くいったときには、その子どもが少数派のものの見方、感じ方、考え方の道筋を持っていること、その理解に基づいた支援が上手くいったこと、その特徴がいわゆる発達障害の特性であることを保護者に伝え、専門機関を受診することで、より効率のよい支援ができる可能性があることを伝えます。準備段階の支援がうまくいかなかったときには出典 : もし最初の支援が上手くいかなかった場合はどうすればよいのでしょうか。その時には「仮の理解」に基づいて援助してみたが上手くいかなかったこと、更にほかの「理解」や援助の方法を見つけるために専門家への相談、受診が望まれることを伝えられるとよいでしょう。このときに必要なのは、受診を勧めようとする人が、子どもの特性を理解しようとしてくれて、実際に手を動かしてくれる、信頼できる人だと保護者に思ってもらうことです。診断を受けても、その支援者が引き続き関わってくれると安心できるとき、保護者は「本当は障害なんて言われたくないけど、あの先生が勧めてくれるなら」と思って、診察に臨むことができるのではないでしょうか。いつ受診を勧めるのか、その答えは、勧める人と勧められる人の間に少し信頼関係が出来てきたとき、ということになるのでしょう。
2016年10月07日このコーナーは、美輪明宏さんの公式サイト「美輪明宏 麗人だより」の中で一番人気のコーナー「本日の処方箋」から出張していただきました。美輪明宏さんからあなたへのメッセージをお届けします。 ~精神性を重んじることからスタートする〜新しい自分として再出発を図るなら、何よりも一番“心の持ち方”が重要になります。バブル迄の物欲や食欲や性欲などの“欲求”を満たすことで豊かさを感じるのではなく、今の時代は精神的な豊かさを重んじることに価値観を置ける自分になる事です。精神性を重んじるということは、日常生活で美意識を持って多くの文化や芸術に触れ、義理や人情を持ち、他人に対して優しく、その人の立場に立って考えられる思いやりがあり、「ボロは着てても心は錦」の諺通り、自分自身に恥ずかしくない清々しい行いが出来ることです。あえて一言で表現するなら“粋でいなせな生き態”でいること。多くのものがどんよりと飽和状態にある現在、これまでの数字や機能性・効率性損得だけを追求するのではなく、より貴い精神性を重んじることに価値を置けるよう自分の心持ちを向上させていきましょう。※美輪明宏公式サイト「美輪明宏 麗人だより」より
2016年10月07日発達障害の診療のための医療機関にはどんなものがある?それぞれが担う役割は?出典 : これまでの記事では、発達障害のための医療機関が少ない原因や、医療機関でできる支援についてお話させていただきました。今回は医療機関の種類をご紹介していきます。発達障害の診療に携わる医療機関には様々な種類がありますが、その分け方も色々あるのです。医療機関の種類というと、もちろん小児科や精神科などの診療科による分類が思い浮かぶのですが、今回の記事では別の切り口で分けてみたいと思います。いくつかの医療機関は日本の、時には世界の発達障害研究を担っていく役割を持っています。こうした先進的な医療機関にかかると厳密な手続きを経た診断が受けられたり、他では利用できない治療法が使えたりすることもあります。日本の、世界の発達障害支援の質の向上に貢献できる可能性があるというメリットもあります。一方でこうした機関の医療者は診療以外の業務が多く多忙です。また機関の数も限られるので、通院時間が長くなるなどアクセスも良くないことが多いでしょう。また研究途上の新しい治療には、確かめられていないリスクも伴います。良くも悪くもハイリスク、ハイリターンな選択です。その他に、地域の中核的な発達障害診療を担っている医療機関もあります。小児や障害者の病院、療育センターに附属している診療所などがこうした役割を担っていることが多いでしょう。こうした機関の専門性は高く、既存の診療技術に限って言えば、研究機関と比べても遜色がないことが大半です。また入院治療の機能を持っていることもあります。一方でこうした医療機関は比較的広域(都道府県単位)などから患者がきていることが多く、地元に密着した支援機関や学校の情報などはやや医療者に集まりにくくなります。また地域への医療サービス提供の責任を負っているので、新規患者優先、診断と投薬優先になりがちです。発達障害専門の小児科や児童精神科のクリニックなどを中心とした地域密着の医療機関も増えてきました。こうした医療機関は医師によっては、非常に高い専門性を持っていることもありますし、アクセスも良く比較的患者数も少なく、丁寧な診療が可能であることもあります。また何よりも地元の情報が集まりやすいことがメリットです。ただし地域によっては医療機関の不足のため、こうしたクリニックが中核的医療機関の役割を担わざるを得なくなっていることもあります。また最近では、地域のかかりつけ医、つまり一般の小児科医や内科医の役割にも注目が集まっています。こうした医療機関は、発熱やワクチン接種などの日常の身体的な問題に対応できるのはもちろんですが、典型的な事例の診断や専門的な医療機関での診断後のフォローアップなどが期待されています。平成28年度からは厚生労働省によるかかりつけ医向けの発達障害の診療研修も開始されました。こうした医療機関は極めてアクセスがよく、また発達障害の特性を知ってもらった上で、身体医療が受けられるという大きなメリットがあります。医療以外の支援者に恵まれている場合、医療の役割は限られるので、必要な時にかかりつけ医に相談するというスタイルでも、充分に対応が可能である場合があります。年齢の高い方の場合、成人の精神科医療機関も受診先の候補になります。現状では全ての精神科医療機関が発達障害の診療に対応できるわけではありませんが、着実にそうした機関は増えています。こうした医療機関のメリットはアクセスの良好さと、何よりも併存する他の精神疾患への対応への熟練度と手立ての豊富さです。ただし構造的に成人精神科の診察時間は短いことが多いので、それに合わせた受診の工夫を考えておく必要があります。医療機関に迷ったら、身近な支援者に相談を出典 : こうした分類は医療機関の看板に書いてあるわけではないので、利用者の方からは見分けにくいかもしれません。受診の前に保健センターなどの身近な支援者や、先輩の親御さん、ペアレント・メンターなどに受診先を相談するのはよい方法です。最後に、多くの種類の医療機関があるので、専門機関のいいとこ取りをしたい、かけ持ちをしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし極めて恵まれた一部の地域(ほんとにそんなのところが日本にあるのでしょうか……?)を除けば、現状ではそれはマナー違反であると考えるべきでしょう。必要な人が、少しでも早く、少なくとも正しい診断と診断書、時には薬物療法にたどり付けるような気遣いができる、余裕が持てるとよいですね。
2016年10月05日発達障害のある人のため、医療機関ができること出典 : 年現在、多くの地域で、発達障害の診療に携わっている医療機関は著しく不足しています。医療従事者、それを利用する他領域の支援者、時には本人やご家族も、限られた地域の医療資源をできるだけ効率よく活用することを考える必要があります。発達障害のある本人や家族には様々なサポートが必要です。その中には医療機関が提供できる、提供しているものもたくさんあります。その代表的なものを挙げてみます。Upload By 吉川徹けれどもこの中で、どうしても医療機関でなければ提供できない支援というのは、実はあまり多くありません。そして、医療以外でも提供できる支援は、実は他の領域の支援者の方が、有利であったり、得意であったりすることも多いのです。医療でなければできない発達障害支援は何か出典 : 医療でなければ提供できない支援の一つは「診断」です。一方で、広く診断といったときに、その人に発達障害の特性があるのかどうか、発達障害の特性を考慮に入れた支援が有効であるのかどうかという「見立て」は、必ずしも医療機関のみでなされているわけではありません。むしろ本来はこうした見立ては、保健、教育、福祉などの領域でも必要になってきますし、仮に医学的診断を後に受けるとしても、それより前から見たての作業が始まっていることが望まれます。また、「見立て」に限られた時間しか充てられない医療機関に比べて、生活を共にする時間が長い人は、そもそもとても有利でもあるのです。ここは医師の間でも見解が分かれるところなのですが、自分は発達障害のある人すべてが、医療による診断を受ける必要は必ずしもないと考えています。ただし見立てや診断において、どうしても医療機関が必要になる場面があります。それは、・患者の困りごとが、発達障害以外の他の疾患から起こっている可能性を見極め、排除する必要がある場合・患者の困りごとの背景にある疾患を診断する必要がある場合上記の2点です。特に生物学的な検査が必要である場合、医療抜きにこれを行うことはほぼ不可能です。発達障害によく似た状態を示す疾患はたくさんありますし、また発達障害のある人には、脆弱X症候群やダウン症など様々な障害が背景にあることも少なくないのです。このため、何らかの点で典型的ではない、他の際だった特徴のある人の場合、医療機関を受診しておくメリットは大きくなります。そして診断書の発行も医療機関の重要な役割であり、優先度の高い仕事です。一般に医師は診断書の発行を面倒がる傾向があるのですが、これはどうしても医師免許が必要であり、医師が(好まずとも)独占している業務なので、嫌がらずにやらないといけないと自分に言い聞かせています。そしてもう一つ、どうしても医療でないとできない業務は、処方箋の必要な薬物を使うことです。これは当然ですが、では処方箋のいらないお薬、サプリメントはどうか、ということになります。しかし、これらの中に現時点で効果と安全性が実証されているものは、ほぼありません。医師と相談せずに使うことは更におすすめしにくいので、できればそこも医師と相談できると手堅いでしょう。結局、どうしても医療でないとできない主な支援は、診断、特に診断書の発行と薬物療法ということになります。医療でも出来る支援には、他に幾つもありますが、その優先度は低くなります。医療機関が不足している地域では、医療資源はまず診断と投薬のために活用する、その姿勢が求められています。医師の側もその業務を独占している以上、優先的にそれを提供する義務があると言えるでしょう。医療の強みは、卓越した経験と専門性にある出典 : それでは診断や薬物療法以外には、医療のアドバンテージはないのでしょうか。医師の立場からすると「それはある」と言いたくなるのですが、実際にはどうでしょうか。一つには、医師、特に発達障害を専門とする医師は、他の領域の支援者と比べても桁違いに多くの事例に接しているということがあります。一人の専門の医師が同時に診療している発達障害の患者さんは、数百人から時には千人を越えることがあります。医師人生の中で会ってきた患者は数千人ということも珍しくありません。そして多数例の報告に基づいた研究論文がたくさんあるのも医療領域の大きな特徴です。また多くの医師は、ライフステージをまたいで、患者さんに関わり続けています。幼児期早期に受診した子どもが成人し、時には老年期まで診療することがあります。自分一人でそれを見届けることができなくても、連綿と書き綴られたカルテから、比較的若い医師でも目の前の患者の若い頃の姿を確かめることができるのです。多数の患者に関わる医師は、残念ながら養育者や他の領域の支援者に比べると「その子自身」の専門家になれる機会は限られます。そのかわり「自閉スペクトラム症」の専門家、「注意欠如多動症」の専門家などには、なりやすい立場です。多くの例に長く関わっているからこそ、行いやすい見立てや助言があります。それは例えば、・将来を見越して今優先すべき支援の領域を考えること・本人や家族のリソースの配分を考えること・進路の決定などの場面でのアドバイスです。このように医療による支援のなかには、医療でないとできないこと、医療でもできること、そして医療が得意なことと苦手なことがあります。皆さんにはこうした医療による支援の特性をうまく理解して頂いて、上手につきあっていただきたいと思います。
2016年10月03日発達障害のある人が利用できる医療機関の不足は、なぜ起こっているのか出典 : 発達ナビで、新たに医療についての連載をさせていただくことになりました。児童精神科医の吉川徹です。現在は愛知県の障害児者専門病院に勤務しています。皆さんもおそらくはよくご存知のように、発達障害がある子どもや大人が利用できる医療機関は、ほとんどの地域でひどく不足しています。これは一体なぜなのでしょうか。一つにはいわゆる「発達障害」に属する障害、中でも自閉スペクトラム症と注意欠如多動症という障害のある人の数がとても多いことがあります。今までに子どもの心の医療に対象になってきた疾患、あるいは大人の精神医療の対象になってきた疾患と比べても、それを上回る数になっています。国際的に認められたかなり手堅い方法で調べたとき、地域の子どもの中で自閉スペクトラム症と診断できる子どもは一般的に1〜2%程度いると言われています。ところが最近厚生労働省の研究班が報告した数字では、地域によっては小学1年生の子どものうち、5%以上が自閉スペクトラム症の診断を受けているとされていました。また注意欠如多動症(ADHD)も元々とても数の多い障害で、3〜5%以上の子どもがその診断を受ける可能性があるとされています。これは、例えば知的障害を持つ人の数や統合失調症を患う人の数などと比べても、数倍にも及ぶ大きな数字なのです。発達障害の医療にまつわる困難の大半は、この患者数の極端な多さに起因しています。例えて言えば、もともと満員だった電車に今までの3倍の乗客が押し寄せていて、しかもレールが一本しかないので、増発もままならない、そんな状況が日本中で起こっているのです。診療ニーズの拡大に追いつけない原因には、医療機関としての構造的な問題がある出典 : こうした障害は比較的短い期間で広く認知されるようになり、診療のニーズが急速に拡大しました。これに応えるために、厚生労働省でも子どもの心の診療ができる医師の養成のための検討会を開催したり、モデル事業や研修を実施したりしています。平成28年度からは、地域のかかりつけ医を対象とした研修も全国規模で始まろうとしています。専門の医師が集まる学会などでも養成のための取り組みが続けられています。しかし現時点でもニーズの急増に対応できる新たな医師の養成や医療機関の整備は、充分に追いついているとは言えない状況です。まず医療による支援そのものが、他の領域に比べて極めて高コストな構造になっており、専門家の養成や維持には社会に大きな負担がかかることから、供給できる医療の内容や医師の数そのものに厳密な制限がかかっています。そして専門医は促成栽培が難しく、一人一人を手取り足取り教えていく必要があります。そのためそもそも教える立場の医師の数が増えないと、養成できる若手の数も制限されてしまうのです。また、子どもの心の診療自体、構造的に赤字体質であり、なかなか若い医師にとって魅力のある領域になりにくいなど、様々な背景があるのです。本来あるべき支援と、医療信仰とのあいだに存在するギャップ出典 : 残念ながら現在の医療の水準では、種々の発達障害の根本的な治療法は見つかっていません。逆に言えば、根治するために必ず医療を受診しなければならない、という状況ではないのです。これほどの数の多い、発達障害がある子ども達、大人達の支援は、本来は普段の生活の場所、そこから近いところで提供されなければなりません。医療のような日常の暮らしと切り離された場所での対応には、はじめから限界があります。一方で、本人やご家族、他の領域の支援者からはときに医療に対して、万能的、魔術的な期待が寄せられます。また逆に医療領域の支援者には、他の領域の支援者に対する根強い不信があることがあり、良心的な医療者ほどその不信を隠さず、必ず医療機関にかかっておくべきだと主張することもあります。この背景には、そもそも現在の発達障害の概念の多くは医療から出発しており、黎明期である1960年代〜70年代には医療以外の支援が極めて乏しかったこと、現在でも他の領域の支援で支えきれなかったこじれたケースが医療機関を受診する場合が多いことなど、様々な理由があるのですが、現在の視点から見るとそれは不幸なことであると思います。診断の前から支援を行う姿勢が必要。では、本当に「医療は役立たず」なのか?出典 : 例えばいわゆる「学習障害」の場合などでは、地域の一般的な子どもの学力のデータも、多数派の子どもに勉強を教えるノウハウすらも一般的な医療機関にはありません。しかし、最近の診断基準(DSM-5)では、学習障害(限局性学習症)の診断は、何らかの学習の困難に対して、それを対象とした「介入が提供されているにもかかわらず」6ヶ月以上困難が持続している場合に行われるとされています。文部科学省の通知でも診断の前から支援を行うという姿勢がはっきり打ち出されているにも関わらず、なぜか医療機関の受診が支援の前提のように語られることがあるのです。「クリニックからクラスへ」というスローガンにはかなりの説得力がありますね。さて、それでは「医療は役立たずなのか」と問われると、医師の立場としてはやはり「そうではない」と答えたくなります。この連載では医療そのものについての情報よりも、発達障害のあるご本人、ご家族がどのように医療とつきあっていけば、医療のサービスを最大限有効に活用できるのか、そうした観点から考えていきたいと思います。
2016年09月29日『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』(髙橋幸枝著、飛鳥新社)は、数えで100歳になるという精神科医が語る人生訓。といっても、単に「100歳だから」という数字の問題だけではありません。高等女学校卒業後に海軍省のタイピストとして勤務したのち、中国・北京で日本人牧師の秘書として勤務。そうした経緯を経て医学部受験を決意し、勤務医としての経験を積んだあと、1966年に「秦野病院」を開院し、院長に就任したという人物なのです。そのぶん、私たちに学べることが多々あるということ。そしてタイトルにもあるように、人生について考えるうえで著者が重視しているのは「匙(さじ)加減」です。■人生は匙加減を見極めることが大事どんなことにも適度な塩梅、つまり「匙加減」というものが存在すると著者はいいます。それは人生にも当てはめることができるもので、つまりそれらをひとつずつ見極め、把握していくことこそが、「生きる」という営みだというのです。そもそも匙加減とは繊細なもので、そこには難しさがつきまとうことになるそうです。そればかりか、人それぞれ微妙に異なってもくるため、二重に複雑になるということ。だから「匙加減をうまく見極めようと思ってもお手本などはないだけに、誰かを真似ることはできない。けれども、自分の軸が1本しっかり貫かれていたなら、言動も一貫してくるものだ」と著者は主張します。■昔のがん告知はかなり苦労があったところで近年は、日本人の2人に1人が、がんで逝く時代となっています。そうであるだけに、ますます大切になっているのは、がん患者さんへの心のケアです。ましてや著者が若かったころは、治療法がまだ少なかったこともあり、「がん=死」というイメージが強かったといいます。そのためか、「がん告知」はいまよりデリケートな問題だったのだそうです。著者が医師の仲間に聞いた話によれば、昔は「患者さんご本人に、がん告知をしない」のが常識だったというのです。そこで医師は患者さんのご家族と綿密に打ち合わせをして、「いかに本人にがんであることを悟らせないか」、心を砕いていたのだそうです。もちろんいまでは、患者さんご本人にきちんとがんの種類などについて説明し、治療方針を決めることが常識になっています。とはいえそれは、がんの治療法が進歩したことの裏返し。昔とくらべれば「ありがたい」というだけのことです。ただし、いくら「時代が変わって医療が進歩した」と説得されたとしても、「がん」と診断されれば、不安や恐怖を伴う大きなストレスになったとしてもそれは当然のこと。そこで著者が引き合いに出しているのは、知人についてのエピソードです。■がんと仲よく生きれば気持ちも楽!その人は「がんの治療を10年続けてきたけど、大きくもならず、特別変わりないので、薬も治療もやめた」と話してくれたというのです。著者は「私はがん治療が専門ではありませんが」と前置きしたうえで、その知人の気持ちは勇気ある素晴らしいものだと感じたのだそうです。がんに無闇に抗わないことで、がんが静かになるかもしれないということ。事実、その知人は、まさにそんな状態なのでしょう。がんと仲よく生きることも大切ですし、そうすることで患者さんの気持ちも楽になるということです。著者の専門分野である精神科の治療においては、「苦しみをよく聞いてあげること」がなにより大切なのだといいます。たしかにそれは、医学的には正しい態度なのでしょう。しかし、そのことを認めたうえで、著者は実際には「苦しみをよく聞いてあげる」だけでは足りないと指摘してもいます。なぜなら、ひとつひとつ異なる問題すべてを「こういう場合はこうしましょう」というようなマニュアルで解決できるはずがないから。■心の匙加減は百人百様なので難しいそこで、「匙加減」を意識することが大切だというわけです。ご存知の方も多いと思いますが、「匙加減」とは、もともと薬の「分量」を測るときに用いた言葉が転じて、あらゆる場面で使われるようになったもの。細かな配慮や集中力などが求められるということで、だから「心の匙加減ほど、難しいものはない」もの。100歳を超えるいまも、「心は百人百様である」と痛感しているのだそうです。*柔らかな言葉で綴られているものの、そこに深みを感じずにはいられないのは、根底に100歳の人生の重みがあるからなのでしょう。人生に迷ったとき、ふとページを開いてみるといいかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※髙橋幸枝(2016)『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』飛鳥新社
2016年09月26日幸せでいるために脳トレーニングする。ハーバード大学の精神科医達によると、視点を変えることでプラス思考になり、幸せな気分になるといいます。幸せになるための3つの行動を見てみましょう。幸せを感じる脳にするトレーニング脳が「幸せを感じる」ように、訓練で変えることができます。Time紙で発表された記事「What Are The Three Ways to Train Your Brain to Be Happy?」から幸せになれるのトレーニングの方法を見てみましょう。1.毎日の中にある美しさを探す訓練毎日、自分の「存在価値」を感じることを見つけるようにしましょう。日々の日記やパソコンやスマホの中にも見つけることができます。大切なのはそれに気づくことです。いつもニコニコして幸せそうな老人を見たことがありませんか?彼らは良い思い出を心に残し、悪い事は消去しているからです。2.他人と比べる通常は他人と比べたらいけないといいますよね。それに対してこの研究室ではプラス思考でいる為に他人と比べる事はいつも悪いこととは言えないといいます。自分よりも不幸な人と比べて自分を幸せだと思う事も大切だと言います。Sunnybrook Health Sciences CentreのBauer氏は、「自分よりも優れている人と比べてばかりいると自分が惨めに見えて、不幸に感じる」と断言しています。3.現実で起こりそうなことを数パターン考える人生において「不適切」なビジョンを持っている事は落ち込む原因になります。精神テラピーでは、いくつかの「違った人生」の予想を描いておくことが、幸せでいれることに役立つといいます。Michele Crossley医師によると、「ウツや落ち込みは、1つの予想していた人生から”それた”時にくる」といいます。想定していた人生から外れると不幸だと感じたり、人生の方向を間違ったと感じます。いくつかの将来を想定しておくと対応できる自分になれますよ。
2016年09月21日『めんどくさくて、「なんだかやる気が出ない」がなくなる本』(西多昌規著、SBクリエイティブ)は、数々のベストセラーを生み出してきた精神科医・医学博士による最新刊。今回のテーマは、ずばり「めんどくさい」。人間なら誰しもが持っている「めんどくさい」「やる気が出ない」という気持ちに焦点を当て、やる気を取り戻すための方法を指南しているわけです。きょうはそのなかから、「100%を目指そうとするからいけない」という考え方をご紹介しましょう。■強迫的だとまじめさに疲れることも人間は、とても些細なことにも、妙にこだわってしまうところがあるもの。日本人は特に几帳面ですが、それはよいクセでもあり、悪いクセでもあると著者は指摘しています。そして、そのような、あまりに「きっちり」「まじめすぎる」性格のことを「強迫的」と呼ぶのだそうです。料理のレシピは1グラム単位で正確に量ってつくりたいとか、あるいは仕事でもミスなく完璧に仕上げなければならないと思い込み、完全主義を貫いているような人がこのタイプだとか。強迫的な正確も、ほどほどであれば「きちんと仕事をする人」というプラスの評価を受けることになります。しかし完全主義がオーバーになったり、不完全に陥ることを恐れて後ろ向きになったりするなど、度がすぎると自分の「まじめさ」に疲れてしまうことになります。たとえば複数の仕事を同時に抱えるビジネスパーソンが、そんな心理状態で仕事に取り組めば、どんどん自分を追い込んでいくことになるわけです。失敗を恐れるあまり、あるいは承認欲求が満たされないあまり、不安や抑うつ、自分へのいらだちが高まっていくということ。そしてワーキングメモリが一気にパンクし、ヤル気を失ってしまう状態に陥ることに。無理が続けばやる気を失うだけではなく、うつ病の発症、果ては自殺へとつながっていく可能性もあるのだそうです。■失敗を恐れず思い切ることも必要!しかし大事なのは、まず失敗を恐れないことだと著者はいいます。「不完全を認めるスタンスを持つ」ということが、過度の完全主義から脱出するポイントだというのです。完全なクオリティを求めることだけがゴールではないわけです。だから、完全に仕上げなければ周囲から認められないという誤解にも、できるだけ早く気づくべきだといいます。とはいっても、融通の利かない強迫的な考えを変えるのは決して簡単なことではないでしょう。そこで意識したいのは、目標をゆるめて、失敗を恐れない態度を持つこと。仕事にしても完全だけを求めるのではなく、ある程度のところで「エイヤッ」と提出してしまう、そんな思い切りも必要だということ。何故なら100%を求めてイライラしていても、結果はあまり変わらないものだから。■悩みや不安を脇に置く効果的な方法では、具体的にどうすればいいのでしょうか?この問いに対して著者は、「悩みや不安があっても、いったんそれは脇において、ほんの少しの間でも別のことを考えてみてはいかがでしょうか」と提案しています。仕事のことしか考えられないような人だったとすれば、無理やりにでも温泉旅行の計画でも考えてみようということ。仕事の悩みや不安以外のテーマで頭を使う時間を、少しずつ長くしていくという発想です。往々にして、強迫的な人ほど型にはまることを得意とするため、悩みや不安以外のテーマを考える時間をパターン化するのは簡単だといいます。悩みや不安を「脇に置く」ためのもっとも効果的な方法は、考えることも行動も、やりすぎないように80%で抑える訓練をすること。常に100%を目指すのではなく、「80%できれば上々」だという思い込みを持つべきだというのです。■80%主義はパレートの法則と同じ「パレートの法則」をご存知でしょうか?全体の20%のなかに重要なものが80%あるという経済理論。たとえば最新型のパソコンの機能のうち20%を使いこなせれば、本来の目的の80%は達成したと考えられ、他の80%の機能は知らなくてもいいという考え方。それと同じことで、たった20%をマスターして、目的の80%が達成されたと考えるのなら、さほど難しくないわけです。だからこそ、こうした考え方を知るだけでも、過去の強迫的な行動のなかに「やりすぎ」だったものがあると気づくはず。そして、こうしたスタンスを持つことができれば、パンクしていたワーキングメモリも少しずつ回復し、徐々にやる気も戻ってくるだろうと著者は結論づけています。*著者の表現は今回も柔らかく、親しみやすいもの。押しつけがましさがないからこそ、無理なく心に入り込んできます。「やる気が出ない」ときに目を通せば、気持ちをうまく切り替えられるかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※西多昌規(2016)『めんどくさくて、「なんだかやる気が出ない」がなくなる本』SBクリエイティブ
2016年09月17日8月13日より、連続ドラマ『ノンママ白書』(フジテレビ系)がスタート。主演は連ドラ出演18年ぶりの鈴木保奈美さん、原作は各メディアでお馴染みの精神科医の香山リカさん、とあって、話題性も見応えも期待大!ですね。「ノンママ」って何?タイトルにある「ノンママ」とは、それぞれの事情で子どもを持たない選択をした女性のこと。対して、働く子持ちの女性は「ワーママ」と呼ばれ、その存在は少子化や不況の流れを受けて、今や世論に後押しされているようにも見えます。そんな風潮に「女は産んで当たり前」といった無言のプレッシャーを感じているノンママも多いとか。生む・生まない…子どもは天からの授かりものではありますが、どう生きるかを自分で選べる時代にあるのも事実。都内在住で働くアラフォー女性4名に、自身の生き方と幸せについてインタビューしてみました。Rさん(42歳・子なし・未婚)◆子どもを持たない生き方を選択「結婚願望はそれなりにありましたが、20代~30代にかけて仕事(サービス系/会社員)にかなり熱中していたんです。その後、親の介護の問題を抱えたりといろいろなことがあり、結婚はもう少し先…と考えているうちに、30代半ばを過ぎ、気がついたら結婚へのこだわりや情熱が冷めていました。もう、今のままでもいいかなって。むしろお金も時間も自由になるし、長くつきあっている彼氏もいるので、不満も不安も特にないですね」◆子なしの人生を選んだ理由「もともと子どもを欲しいとは思っていなかったので、“結婚だけならいつでもできる”と自由に考えられたと思います。タイムリミットが延びたというか。周りからの“結婚しないの?”“子どもは産んでおいたほうが…”という助言をうるさく感じた時期もありました。でも、私がイメージする“自分の幸せ”には、子どもの存在は最初から入ってなかったので気にしませんでした」Aさん(40歳・子なし・既婚)◆子どもは欲しいけど…「子どもは欲しいけど、なかなか思うようにはいかないですね。結婚自体が遅かったので今は諦め気味です。でも、夫と猫との暮らしはとても穏やかで楽しいし幸せですよ。仕事(医療系/団体職員)もそれなりに充実してるし。この生活を続けるのもいいかな…って思い始めています」◆世間の目が気になることも「年齢が年齢なだけに、知らない人は何気なく「お子さんは?」って聞いてきますし、逆に何も言われないのも“あ、気を遣わせちゃってるなー”と深読みしちゃったり。年齢が上の方からは“もう子どもは無理、諦めたら”などとデリカシーがないことを言われることがたまにあり、やはり傷つきますね…。この年なら子どもがいて当たり前、みたいな通念に、自分が縛られているだけなのかもしれませんが」Mさん(40歳・子あり・既婚)◆自由な独身時代とのギャップに悩むことも「結婚願望は人並みにありましたが、仕事(美容系/サロン経営)が忙しくて婚期を逃してしまいました。35歳を過ぎてようやく婚活を始めたけど、まったくうまくいかず。通算3年、真剣に悩みました。4年目に夫と巡り合い、その後は怒涛のように結婚・妊娠・出産とプライベートがバタバタに。それまで自由にやってきた反動で束縛感に悩まされることも多いですが、それも良い経験と思うようにしています」◆ワーママとしての働き方を模索中「私の場合は仕事がある程度自由になるとはいえ、子どもを抱えながら仕事をするというのは、想像していた以上にしんどいものだな、と思うことは多々ありますね。特に、子どもの都合で仕事ができない日もあるワーママの肩身の狭さが、身にしみてわかりました。そして、その結果として仕事上の負担が増えるノンママやシングルの感情も経験上わかるので、葛藤も多いです」Sさん(42歳・子あり・離婚)◆子持ちで離婚、手に入れた幸せ「20代後半で結婚して子どもを2人産み、それからは基本は専業主婦で少しパートをする程度でしたが、事情があって30代後半で子連れ離婚しました。1人で子どもを育てながら仕事(クリエイティブ系/派遣)することには心配や苦労はあるし、金銭的にも時間的にも厳しい生活です。でも、自分らしく生きられるという点では、これまで得られなかった幸せを感じることもたくさんあります。ごく淡いものですけれど、十数年ぶりに恋をする喜びも思い出せました」◆ワーママとしての働き方を模索中「子どもがいる以上、どうしても仕事にしわ寄せが来ることも。子どもの急病で休まなければならない時などは申し訳ない気持ちでいっぱいになります。独身時代みたいにフルタイムで残業もできて、仕事に集中できたらどんなに楽しいだろう、とも思いますが、もうそんな働き方は無理なのかな…全てを手に入れるのは難しいですね」女性の生き方と仕事、それぞれの幸せも苦労も十人十色。そして妊娠・出産にはタイムリミットがありますが、幸せになること自体には時間制限はありません。みなさんは、たった一度の人生を存分に楽しむために、そして後悔しないために、どんな生き方を選びますか?ライタープロフィール石村佐和子エディター・Webディレクターを経て、結婚、出産後、フリーライターに。微妙に偏った恋愛経験を持つ、アラフォー二児の母。好きなことはモノ作り、工場見学、カフェ巡り。将来は陶芸などしながら優雅に暮らしたいと目論んでいます。
2016年08月09日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。村松太郎さんという刑事事件の精神鑑定なども行っている精神科医の先生が、『「うつ」は病気か甘えか』という本を出版されて話題になったことがあります。もちろん村松先生自身は、「うつなんて甘えだ。甘えてないで出勤しろ!」と言うような根性論者でも何でもなく、「うつは病気である」と断言している、まっとうなお医者様です。しかし、世の中には“うつは甘えだ”派の医師が存在することも事実 で、筆者自身も以前、経営していた会社の業績不振に落ち込んで通院していたメンタルクリニックの先生から、「うつに甘えていないで仕事をしなさい!」と怒鳴られた経験を持っています。そんな中、「うつは甘えも何も、日本人がうつだと思い込んでいる病気のほとんどは『適応障害 』という病気であり、“うつは甘えか論争”自体がナンセンス」という見解を打ち出している医師がいます。●環境を変えることで改善する場合は、厳密に言うと『うつ病』ではない千葉県の市川市で心療内科・内科・小児科・在宅ケアの『仁和医院』を開業されている医師の竹川敦先生は、医院のホームページの中で、わが国では「うつ」を主訴で来院する患者の70%以上が実は『うつ病』ではなく、『適応障害』といってその人の性格そのものに起因するものなので、抗うつ剤の服用では本質的な改善は期待できない 、としています。竹川先生によれば、本当の狭義でのうつ病というのはノルアドレナリンやセロトニンといった脳内の神経伝達物質の活性低下による病気であるため、抗うつ薬がある程度まで特効薬として奏功するもののようなのです。また、本当のうつ病では環境を変えたからといって症状が改善するということはなく、うつの期間が3か月から長くても1年続いた後、必ず元の状態に戻る というもののようです。それでは「うつは甘え」と言われてしまうことの一因になっているようにも思える、“うつと適応障害との見間違い”について、もう少し考えてみましょう。●うつ病ではないのに性格的な甘えが原因でうつ状態になっている適応障害患者が多い「うつは甘え」という言い方は間違いで、正しくは「適応障害は性格的な甘えにも原因がある 」ということ。このことについて、前述の竹川敦医師は医院のホームページの中で次のように説明しています。**********『最近「現代型うつ病」とか「新型うつ病」という日本独自の意味不明の診断名が流行っているが、これらはいわゆる「適応障害」のことを指しており、うつ病とは全く原因も違うし、治療法も違うものである。症状が単に「うつ状態」というところだけが共通しているだけにも関わらず、あえて「うつ病」と診断名を付けることは診断を非常に曖昧にさせる。(中略)「うつ病は甘えではない」という概念は間違っていないが、実際はうつ病ではないのに性格的な甘えが原因で、うつ状態になっている患者は沢山いる。「うつ病は休ませなければならない」というのも確かにそうであるが、あくまで「うつ病」の患者さんに言えることで、性格的な甘えでうつ状態になっている患者に「うつ病」の診断をつけ、長期に休ませることは甘えを助長し、症状を悪化させているだけである』**********●性格的な甘えで働けないでいる患者を長期に休ませるだけの精神科医には責任が問われるこのように考えてくると、筆者が小企業経営者だったころ通っていた精神科の先生から言われた「うつに甘えていないで仕事をしなさい!」という言葉は、言葉足らずなうえ乱暴な表現であったことを別にすれば、「あなたは資金繰りのストレスに常にさらされる小規模企業の経営者という職業に適応するには性格的に甘えが強いことが原因で“うつ状態”に苦しんでいるという“適応障害” であるから、休むことよりも甘えていないで仕事をすることで現状を打破した方がいい。もしそれが無理なのであれば、資金繰りの苦しみから解放されるために会社を売却したり、廃業して自分に適した仕事に転業するとかしないと“うつ状態”は改善されない。抗うつ剤では治らない」という主旨のアドバイスを筆者に与えてくれていたわけですから、いたって的確な診療であったと言うことができます。逆に、「うつ病ですね。しばらく休んだ方がいい」と簡単におっしゃる先生を受診してしまったら、筆者はただでさえダメな経営者だったのに、もっともっとダメな経営者になっていたことでしょう。ですから、安易に「要・長期休養」の診断書を出すだけの精神科医には、ある意味でその責任が問われてしかるべきなのかもしれません。●本当の『うつ病』の診断方法それでは、患者の性格的な甘えに起因する『適応障害』ではなく、“本当のうつ病”であるかどうかを診断する方法を、竹川敦先生の医院のホームページからご紹介しておきましょう。本当のうつ病であると確定診断を下すうえでは、下記の手順を踏む必要があるとのことです。(1)全身倦怠感をきたすような身体疾患である可能性を除外すること。そのための身体的な診察と血液検査等を行うこと。(2)今までの経過から推測する。本当のうつ病の場合は一般的にうつの期間が一定期間続いたあと必ず元の状態に戻る という特徴がある。(3)性格因、環境因を除外すること。会社に行く前だけ調子が悪く休暇中は元気に遊びに行けるなどという場合はうつ病ではなく適応障害の可能性が高い。(4)本当のうつ病に特徴的な症状から推測する。環境に左右されることなく、毎日のように症状を認めている 場合はうつ病の可能性が高い。(5)治療効果から推測する。休職や配置転換といった環境調整を行っても症状が改善せず寝てばかりいる ような場合はうつ病の可能性が高い。----------いかがでしょうか。繰り返しますが、本当のうつ病はけっして「甘え」ではありません。その点についてはほとんどの精神科医のコンセンサスができているといっていいでしょう。ただし、性格因や環境因によるところが大きい適応障害の場合は、甘えの要素があることは否定しきれないということなのでしょう。人間は生活して行くためにはしょせん環境に適応しなければならないわけですから、それができないということは確かに「甘え」と言われても仕方のない面はあるのだろうと思います。最後になりますが、竹川医師によると、社会人の適応障害の原因となる性格は、『共依存 』『発達障害 』『境界型人格障害 』の3つのどれかでほぼ説明できるそうです。おそらく経営者だったころの筆者は『共依存』だったのであろうと思いますが、共依存の対象であった人たちはもう誰一人として生存してはおりません。懐かしい思い出の中にいます。【参考リンク】・仁和医院ホームページ()・適応障害 | 厚生労働省()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年07月26日遠隔診療でオンライン通院愛知県名古屋市の佐井泌尿器科・皮フ科クリニックでは、7月5日より、遠隔診療を導入した外来の受付を開始している。このシステムの導入にあたっては、株式会社メドレーが提供している「CLINICS(クリニクス)」というオンライン通院システムを採用している。愛知県の泌尿器科クリニックとしては初めての導入事例となる背景には、現在の多忙過ぎるサラリーマンなどに配慮した結果がある。というのは、今回のオンライン通院で提供する予定の診療メニューは、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、そして女性びまん性脱毛症であり、これらの治療には定期的な通院が不可欠だという。さらにこの病気の患者傾向をみてみると、30~50代に増加傾向だ。つまり、一番働盛りで忙しいために、最初は受診したとしてもそのうちに通院を諦めてしまったり、最初から諦めてしまう人が多いという状況を打破するためなのだ。厚生労働省も推奨実は、オンラインを活用した遠隔診療の分野の促進は、厚生労働省も推奨している。もとは、離島など遠隔地にいる患者と医師をつなぐための遠隔診療に対する解釈であり、遠隔地意外ではこのシステムを導入することを原則禁止していた。しかし2015年8月に解釈を変更し、遠隔地だけではなく、患者側の希望があり、かつ患者側の利点があれば、対面診療と組み合わせることで他の医療機関も導入しても良いという方針に変わったという。しかも、処方した薬についても、予約時に登録した住所に配送してくれるというから、大変便利なシステムではないだろうか。ストレス社会に救いの手今の社会は特にストレス社会と言われ、ただ生活をおくるだけでも過酷な精神環境、また紫外線の増加など過酷な自然環境下で生活している。女性の脱毛症が増加しているのは、そういったことも要因の一つとみられている。今回の愛知県での導入事例が全国に展開していく日も、そう遠くはないかもしれない。【参考】※株式会社メドレー※佐井泌尿器科・皮フ科クリニック※株式会社メドレー プレスリリース(Dream News)
2016年07月13日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。東京都の豊島区で『クリニック西川』を開院する精神科医の西川嘉伸先生は、その公式ホームページの中で、抑うつ状態を訴えてメンタルクリニックに来院する多くの患者さんについて、 「最近は精神科の医師による治療だけではどうにも症状が改善しない症例が多すぎる。その原因は、大半の患者さんにとっては環境要因としての“社会”そのものを変えなければどうしようもない というところにある」という主旨のことを述べておられます。つまり、「努力しているのに報われず貧困から這い出せない患者さんが多すぎて、精神医学的な治療だけでは限界がある」と仰るのです。●うつ状態の患者の多くにとって精神療法と抗うつ薬による治療だけでは解決にならない西川先生はクリニックの公式ホームページの中で、次のように述べています。**********『抑うつ状態を呈する患者さんにとってはその人を取り巻く環境の中で悪い影響を与えている因子を取り除いてその人の本来の力が十分に発揮できるような環境に作り変えてあげなければ社会復帰は困難ですし復帰したとしても容易に再発してしまいます。(中略)その環境改善が容易ではなく社会そのものを変えなければならないと感じる例が増えています。極端に言えば、山ほど抗うつ薬を処方したって到底治らない。まっとうな職を見つけてあげればたちどころに改善すると思われる方が少なくありません。(中略)日常の生活に窮して絶望の淵に立っている人が増えているのです』**********●労働の非正規化が“努力が報われない社会”を生み出す一要因であることはたしか筆者の身近にいる人たちの中にも、いわゆる“うつ”の状態が長引きメンタルクリニックの治療を受けているのにもかかわらず、なかなか症状が改善しない人が何人もいます。主に20代から40代にかけて。男性も女性もいますが、そのほとんどが非正規雇用で独身の人たち です。彼(彼女)らがとてもやさしく、真面目で、正社員に優るとも劣らない責任感をもって仕事に携わっていることを、筆者はよく知っています。その人たちが一度抑うつ状態に陥ってしまうと、その状態から脱出できない。非正社員だというだけで正社員から見下されることが原因で発症したうつ状態なら、西川医師が言うように環境を変えてやる必要があるのに、そんなことを口に出しでもしたら「非正社員の雇用契約書に“配置転換”などという優遇措置は無いよ。嫌なら明日から来ないで 」と一蹴されてしまいます。●同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも違うけれど、デートするにもお金は要る働く人の非正規化が始まったのは、1980年代に成立した“労働者派遣法”からだと言われています。その後、2000年代の製造業派遣の解禁を経て着々と進み、今ではわが国で働く人の4割以上が非正規雇用 です。非正社員の人に配置転換の道など無いというのであれば、せめて同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも精神衛生上ぜんぜん違うというもの。ところが、早稲田大学教授で『恋愛学』の権威である森川友義博士によると、『デートを重ねるにしても“お金・時間・労力”が要ります。非正規雇用で低収入の人たちにとって、恋愛はしたくてもできないというのが実情です』(朝日新聞2016年6月25日付夕刊「ココハツ」欄より)ということになります。●環境調整は家族、職場、友人、地域、行政などの協力があって初めて可能になる西川嘉伸医師は言います。『環境調整は、家族、職場、友人、地域、行政などたくさんの人や組織の協力があって初めて可能になります』しかしながら、非正社員の人が“職場”に環境調整を望んでもまず無理ですし、“行政”はそもそも労働の非正規化を積極的に推し進めてきた張本人ですから、これまでの行政府とは感性のうえでまったく違うものを選挙などを通して作り上げないことには本質的な協力は期待できないでしょう。わたしたちは、西川先生のようなかたが『精神科医による治療には限界がある。(メンタルクリニックを訪れる)患者の多くが不健全な社会によって生み出されたことを素直に認めるべきです』と仰るのを、右から左に聞き流してはいけないのだろうと思います。筆者は個人的にはここまで浸透してしまった非正規という働き方を、軒並み正社員化するということにも無理があろう と考えています。それよりも正社員が非正社員を人として尊重すること。正社員でなくても、ある程度の生活可能賃金とある程度の賞与とある程度の退職金を制度として用意することが必要ではないかと思っています。努力したって認められないという疎外感。真面目に一所懸命働いたって賞与も退職金も貰えないという絶望感だけでも改善すること。難しく長い道のりであってもそれに向けての行動を継続すること。西川医師のような尊敬すべき人生の大先輩に「精神科医の限界」と言わせてしまっては、後に続く世代の者としてとても情けないような気がしてならないのです。【参考リンク】・医療法人社団 求林会 クリニック西川()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年07月12日【ママからのご相談】引っ越してきたばかりで、まだ子どもの“かかりつけ医”が決まっていません。0歳児なのでまだ予防接種のスケジュールがたくさんあります。家の近所に小児科があり、一度予防接種に行きました。とても混んでいて待ち時間が長く、途中でぐずって大変でした。今度から、予防接種だけはもっと空いているところにしようかと悩み中です。わが子は突然の発熱や皮膚のトラブルなど心配が多いため、早くかかりつけ医を決めたいです。子育て中のお母さん方はどのようにしてそれぞれの“ホームドクター”を見つけているのでしょうか。また、ホームドクターを選ぶときに重要なポイントや注意したほうが良いことなどあればアドバイスをお願いします。●A. 信頼できて、“いつでも行ける”距離と安心感を重視して選んでみては。ご相談ありがとうございます。ママライターのあしださきです。ホームドクターの大切さを実感したのはやはり、自分が母親になってからという方が多いと思います。赤ちゃんは元気にしていたかと思うと夜中に急に高熱を出すこともあり、「よくわからないけれどとにかく泣き止まない」とか、ひどいあせもができてかゆみで全然寝てくれないなど、とにかく母親になってからというもの小児科にかかる回数がこんなに多いものだということは、私にはちょっとした驚きでした。そんなわが家のホームドクターは、家から一番近くにある小児科専門医です。自転車で5分、歩くと10分、駐車場も完備で言うことなしです。先生との関係性も良好ですし、どんなに軽い症状でも心配ならすぐに見てもらうことができます。今回はどのようにして自分と子どもにとってベストな“かかりつけ医”を見つけたらいいかお悩みのママたちに向けて、3つのポイントをご紹介したいと思います。●(1)通いやすい距離から探していく0歳児の赤ちゃんを連れて行く病院が、あまりにも遠いというのはママにとってもお子さんにとっても大変です。具合の悪い赤ちゃんはいつも以上にグズグズしますし、天候が悪いとベビーカーに雨カバーをつけて、傘をさして歩くことも考えなくてはなりません。まずは通いやすい距離にある小児科 はどんなところがあるかをチェックするといいと思います。地方自治体にもよりますが、転入届けや子育て支援の申請で区役所などへ行った際に、予防接種を実施している医療機関(主に小児科)の一覧表をいただけると思うので、それを参考に近所のお医者さんを探してみてください。車を普段からよく使っているママで、お子さんも自動車の移動に慣れているという方は、少し探す範囲を広げてみてもいいと思いますよ。この時点でいくつかの候補がピップアップされることでしょう。『株式会社オウチーノ』が2015年に、首都圏在住の20歳から39歳までで子どもがいる既婚女性534人を対象に行った『子育てと病院に関する調査』にも、このような結果が出ています。まず、「お子さんにはかかりつけ医がいますか」という質問に対して、「いる」と答えたのが79.0%。一方、「いない」は21.0%であり、約8割のお母さんはお子さんの“かかりつけ医”を見つけているということですが、「いる」と答えた人に「そのかかりつけ医を選んだ理由は?」という質問をしたところ、一番多かった回答は「家が近かったから」というものでした。●(2)経験者の声も聞いてみよう次にご紹介したいホームドクター探しのポイントは、地域密着の口コミ 。実際に口コミを得る方法は、家の近所の幼稚園などに近い公園へ遊びに行き、そこで出会ったママとお話をするというもの。『ベネッセコーポレーション』が2015年に実施した『かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて!』というアンケート調査でも、1位は「ママ友の口コミ」という結果が出ているくらいですから、ぜひ参考までに考えてみてください。時間は幼稚園の登園時間後の午前9時半くらいから、もしくは幼稚園降園時間後の午後の2時半ごろが狙い目です。その時間の公園は子どもを遊ばせているママさんたちでいっぱいでしょう。幼稚園ママたちは地域に密着した生活をし、日々情報を更新しながら子育てしています。上に小学生の兄弟がいるママさんは子育てのベテランですし、下のご兄弟がいるママは「小児科通いは日常茶飯事」という方が多い。あなたがもし、「引っ越してきたので小児科を探しています」と相談したら、通っている小児科や他にも知っていることを教えてくれるはず。ただし、実際に通っている人の話というのは私見が入ってしまう危険性もありますから、できれば何人かに聞いてみることがオススメです。このあたりで、だいぶ候補が絞り込まれることでしょう。●(3)先生との相性は大切、しかしそれだけでない部分も要チェックよく人間関係では「相性が合う、合わない」という言い方をすることがあります。かかりつけ医との“相性”に関しては、ほとんどがお子さんとお医者さんではなく、母親とお医者さんのことを指している場合が多いのですね。人は、誰かと接するときには相手に優しくしてもらいたいと思います。しかしながら、評判の良い小児科は混み合っていることが多いので、お医者さんも看護師さんも気持ちの余裕がなく、冷たい態度で接してくることはよくあることです。アドラー心理学というユニークな心理学の提唱者、アルフレッド・アドラーはこのように述べています。**********『他者は、あなたの期待を満たすために生きているのではない』**********つまり、相手には相手の価値観があることを否定することなく、自分と相手との人間関係に光を見出すことを重要と考える、ということではないでしょうか。何が言いたいのかというと、評判の小児科を実際に受診してみたときに見るべきは、先生の態度や物の言い方ばかりではない 、ということです。「お子さんを診ているとき、聴診によく時間をかけているかどうか」や、「発熱の時間や気になる症状の有無について質問してくれていたか」といったポイントを重視してみてください。「子どもの小さな異変も見逃したくない」という気持ちでいるお医者さんはとても信頼できると思いますよ。----------いかがでしたか?この3つのポイントを参考に、良いホームドクターとの出会うことができますように!【参考リンク】・約8割もの母親が、子どものかかりつけ医を決めている! | 株式会社オウチーノ()・かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて! | ベネッセコーポレーション()●ライター/あしださき(元モデル)
2016年06月27日自転車で外出をすると、憂うつな気分から解放されることを知っていましたか?1日のストレスを乗り越えるのを助け、緊張を和らげ、リラックスさせてくれます。精神科医の研究でも、ウツ患者に自転車をこぐことで、気分障害に働きかけ改善した記録があります。今回は、そんな自転車の嬉しい効果をまとめました。ダイエットのためのスポーツとして出典:weheartitより1時間自転車に乗ると、400〜500カロリーの消費ができます。走る道によっては疲れる事もあるかもしれませんが、楽しんで続ける事が一番です。外の空気を吸い、酸素を取り入れて、日光を浴びる事は精神的にも大切です。ダイエットにとても効果的!太ももが引き締まり、お尻がキュッとなり、スリムな身体になります。老化防止にも役立つ出典:weheartitより週に2〜3回乗る事をオススメします。ダイエットを目的にしている人は、回数を多くしたほうがいいです。自転車に乗る事は、脊髄の周りの筋肉を強くさせて、心臓の周りの血管系の病気予防にもなります。自転車を漕ぐ動きが足をマッサージする効果、肺の働きを良くする効果があり、静脈やリンパの流れを良くし、生きる上で大切なリズムを作る事ができます。ナチュラルで自然に優しい出典:weheartitより自転車で移動する事を覚える事は、他にも良い事があります。スポーツジムでするようなスポーツが、自然の中でできます。自転車での移動は、車よりも自由です。気の向くままに店を覗きながら走ってみたりするのも一つの楽しみです。特に長時間デスクワークなどをして固まった筋肉をほぐし、緊張までもほぐします。気分転換になります。SLOW生活の始まり出典:weheartitより電動自転車もたくさん増えてきていますよね。もし、自転車の移動が疲れを感じるのなら考えてみるといいかもしれません。「あまり乗りそうにないけど、乗るといい事がある。」という人は、自転車を乗りやすい場所における小さな自転車を玄関先に置くといいかもしれません。自転車を身近に感じるところから始めてみましょう!自転車は、ゆっくりと街の中を走りながら行動範囲を広げる事ができるから、新しいあなたの周りの情報を知る事ができて生活を楽しむきっかけになります。最後に出典:tumblrより自転車はダイエットになるスポーツとしての役割と同時に気分転換をし、筋肉と心の緊張をほぐしてくれます。爽やかな風を感じながら少し地球に優しく、自分に優しい生活を始めるきっかけにもなりそう!自転車の漕ぐリズムが、身体の血液の流れを良くして、内臓や呼吸器系の働きを良くして、健康を手に入れるきっかけになるなら、無理のない程度から始めてみたいですね!
2016年06月27日生理前・生理中の女性の体には、肉体的にも精神的にもさまざまな変化が起こっている。その変化に敏感になり適切な対処をしないと、日常生活に支障をきたすこともあるだろう。前回に引き続き、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。女性は自分の体のために、男性は周りの女性のことをより理解するために、正しい知識を押さえておこう。Q. 生理前に性欲が高まるのはなぜですか?生理的な性欲は「リビドー」といわれ、女性も男性も男性ホルモンによって生じるものです。女性の男性ホルモンは、卵巣と副腎でつくられます。特に月経前の卵巣は黄体ホルモンを出すのですが、この黄体ホルモンが男性ホルモンをつくります(最後に、女性ホルモンに変化します)。ですので、月経前にリビドーが亢進(こうしん)するとすればホルモンの影響と言えるでしょう。排卵前は女性ホルモンだけが亢進しますが、月経前は黄体ホルモンも女性ホルモンも亢進します。ただ、黄体ホルモンの分泌も日内変動があり一定ではないこと、そして女性の男性ホルモンの量は男性の5~10%程度で非常に微量であることから、リビドーと月経時期の関係は必ずしも一定ではないかもしれません。Q. 生理中にセックスをしても大丈夫ですか?月経中の性交は特に問題があるとはいわれていません。ただ、月経血が子宮から出ているということは、雑菌も入りやすいと考えられるので、清潔にはしてほしいですね。また、生理中でも妊娠する可能性はあるので、妊娠を望んでいない場合は、しっかりと避妊をしましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月24日女性にとって、生理(月経)に関する悩みは尽きない。女性ホルモンの変化により、生理前は「月経前症候群(PMS)」といって、気分のイライラや落ち込み、胸の張り、食欲増進などさまざまな心身の不調が出ることで知られている。一方で生理が始まると、生理痛に加えて、漏れやムレ、ニオイといったトラブルが気になることも多い。中には、生理がこない(無月経)、月経周期が一定ではない(月経不順)、月経血量が多い(過多月経)といった悩みを抱えている女性もいることだろう。男性はもちろん、実は女性にとっても不可解なことが多いのが生理。今回は、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。正しい知識を学んでみよう。Q. 生理中でも妊娠することはありますか?はい、妊娠する可能性はあります。女性の体は、妊娠するために1カ月に1回の排卵にあわせて子宮内膜を厚くしていきます。排卵を迎えても受精に至らなかった場合は、排卵の2週間後ぐらいに厚くなった子宮内膜がはがれて、血液と一緒に体外に流れます。それが月経です。月経と月経の間に排卵があることから、その頃だけが妊娠時期なのでは、と思われますよね。実際、妊娠しやすいのは、排卵日を含めた排卵前の1週間ほど。特に排卵日および排卵前2日間くらいです。ここで重要なのは、卵子・精子の生存時間や、受精・着床といったイベントに時間差があるということです。排卵後の卵子が生存しているのは24時間ですが、精子は最も長くて7日間くらい生存します。また、精子と卵子は卵管というところで出会って受精するのですが、受精した卵子が子宮に到達するのに5日くらいかかります。このことから、月経中であっても避妊せずに性交をすれば、次の2つの場合で妊娠する可能性があります。1つ目は、精子が数日生きた場合。月経血が流れていても、もし精子が卵管までたどり着けば、そこで性交の数日後に排卵した卵子と受精できます。前述したとおり、受精卵が子宮に到達するまで5日ほどかかるので、最長の長生き精子が性交後7日目に卵子と出会った場合、性交の12日後に受精卵が子宮に着床します。月経は3~7日で終わりますから、月経中の性交でも、その後の、出血していない(はがれていない)子宮内膜にもぐりこめるというわけです。2つ目は、月経のように見えて、実は排卵時の出血だった場合です。排卵前後の一時的なホルモンの変動により、少量の出血が見られることがあります。それを月経と思いこんでしまうのです。一般的には少量のことが多いですが、たまに月経とほぼ同量の出血のこともあります。基礎体温をつけていないと、排卵出血か月経かは区別できません。ここで性交があると、排卵前後なので、非常に妊娠しやすいタイミングとなります。なお、妊娠を望んでいない場合は、月経中であっても避妊はしっかりと行いましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月23日