京都西陣で300年を越える織物業の歴史を持つ「細尾」のジャガード織にフォーカスしたポップアップショップ「Japanese Mode Designers by HOSOO Textile」が、16年1月5日まで伊勢丹新宿店本館3階で開催中だ。同ショップでは、細尾のテキスタイルを使ったミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)、クリスチャン・ダダ(CHRISTIAN DADA)、ノワール・ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)らのアイテムを紹介する。細尾は近年、帯幅よりも広い幅のジャガード織機を持つ強みを活かし、ディオールやミキモトなどのラグジュアリーブランドのショップの壁紙にも自社のテキスタイルが採用されるなど、国内外問わず注目を集めている。同ショップの担当バイヤーは「洋服と着物の中間ともいえる和の要素をモダンに取り入れられるファッションを新年を迎えるタイミングで表現したい」と意気込む。クリスチャン・ダダ15-16FWコレクションの中でも、細尾ジャガードをたっぷりと採用したロング丈のドレスやスカジャンが圧倒的な存在感を漂わせた。和の要素だけが前に出るのではなく、現代のファッションとして見事に和と洋が融合したアイテムも展示する。また、ミハラヤスヒロは13-14FWコレクションから、細尾ジャガードを大胆に使ったメンズスーツやドレスなどを披露している。今回も、シャツのラペルや襟に細尾ジャガードをあしらったアイテムやアウターをラインアップ。ノワール・ケイ ニノミヤも、黒をベースにしたテキスタイルの中に、赤や金の織が多様な表情をみせるトップスとスカートを披露。裏地にも絢爛な色彩が出る細尾ジャガードの特色を堪能できるよう、ジャケットの裏地はシースルー素材になっている。前述のバイヤーは「絹だけでなく、金糸や銀糸なども加わり、複雑な構造が織り重なった細尾の生地には何人もの職人が関わっています。通常の生地よりも多くの工程を経て作られる生地は、その技術と手間暇ゆえに高価なものです。是非、この機会に実際に袖を通してみて欲しい」とコメントする。歴史ある技術であり、日本のアイデンティティをストレートに表現できる技術と、日本の伝統的な素材を臆さずにデザインに採用し評価を得ている3人のデザイナーたちの競演をこの機会に触れてみてはいかがだろうか。
2015年12月30日この30年で着物産業が約10分の1に縮小する中、「シャネル(CHANEL)」「ディオール(Dior)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」など、名だたるラグジュアリーメゾンの店舗インテリアに採用されているのが西陣織の老舗「細尾」の織物だ。京都で育まれた西陣織には約20の工程があり、それぞれの工程がその専門家に分業されている。ある職人は西陣織の特色の一つである箔を張った和紙を髪の毛より細い繊維に切る部分を担当し、ある人は織機の数千本の経糸を張り替えることを生業とする。これらの西陣織の匠達は上京区を中心に半径7km圏内に集まっているという。細尾真孝は海外ブランドからのオーダーが絶えない今の状況にいたるまでをこう振り返る。「二つの転機がありました。一つは帯に特化した従来の32cm幅の織り機を応用し、150cm幅で織れる織機を自社で開発した時です」。これによって西陣織の使われるアイテムがインテリアや洋服にと格段に広がった。2010年から毎年1台ずつ幅広の織機を増やし、現在は5台の織機がリズミカルな音を響かせる。織り幅を変えるという大胆な挑戦により、西陣織がパリコレクションのランウエイや世界各国のラグジュアリーブランドのショップインテリアとして、新たな活躍の場を得ることとなった。もう一つは「クリエーションをデザイナーやクリエーターに委ねる点」という。8年程前、海外展示会に初めて出展した際は、和柄のクッションを展示したという細尾氏。海外百貨店からもオーダーが入ったものの、クッションのバジェットは少額に留まる。なかなか事業化出来ず悩んでいた時、ルーブル装飾美術館に本業である帯を展示する機会を得た。その企画展がニューヨークに巡回展をした際、西陣織の帯に1人のクリエーターが目を留めた。その雅な帯に惚れ込んだのは建築家ピーター・マリノ(Peter Marino)。2009年5月、彼から1通のメールが彼に届いたという。その後、次々にピーター・マリノがデザインを手掛ける世界各国のラグジュアリーブランドストアの壁面やインテリアを、細尾の西陣織が彩るようになる。「西陣織固有の技法で、和紙に金箔や銀箔を漆で貼る技法があります。その和紙を髪の毛よりも細く裁断したものを織り込んでいるのです。幾重ものストラクチャーの中に金糸や銀糸を織り込んでいくことで、ブランドの商品を引立てながらも、その存在感に負けない役割を西陣織が果たしているのでは」と細尾氏。今後の展開を訪ねると、「1200年間、日本国内だけで勝負していきた西陣織だからこそ、こうしてグローバルに展開した時、新しい発見を与えることができるのではないか。同じように、西陣織以外の伝統工芸にも逆にチャンスが広がっているのではないでしょうか。そして、西陣からこの織機の奏でる音色を絶やさないようにしたいと思っています」と返ってきた。1/5に戻る。3/5に続く。
2015年01月02日様々な場面で活躍する女性達の“輝き”の理由に迫る連載インタビュー企画。第13回は、ANA(全日本空輸)でCAとして乗務をしながら、社内でCS&プロダクト・サービスに携わる小沢ちあきさん。ピンと姿勢がよく、スラリとした美しい立ち姿の小沢さんに、ファッション&ビューティーについて伺いました。――どんなファッションが好みですか?仕事中は、かちっとしたファッションを選ぶことが多いです。今日はパンツスタイルですが、ワンピースにジャケットが定番です。背があまり高くないので、いつも高めのヒールを履いています。ブランドは特にこだわりはなく、ファッション雑誌をチェックしてから、地元のショッピングモールなどで、気になったお店に入って直感で服を選んでいます(笑)。黒ほどワンパターンにならず、今季らしい雰囲気のネイビーの服が気になりますね。――日頃から美容や健康のためにしている習慣はありますか?スキンケアのこだわりは、化粧水をたっぷりつけて保湿。ローションパックは毎日して、夏でもこれ以上肌に入らない位バシャバシャと化粧水をつけています(笑)。乳液などに比べても倍以上のスピードで量が減ります。今使っている化粧水は、20代の時に使っていた「雪肌精」。再び愛用しています。また、午後の化粧直しでは、目元以外のメイクをクレンジングシートで落としてから、スキンケアをしてファンデーションを塗り直します。上からファンデを重ねるだけでは、すぐメイクが崩れてヨレたりするので、いっそのこと落としてみようと思ってやってみたら、仕上がりもキレイで上から重ねるより化粧直しが簡単だということに気付きました。サプリメントもお守りのように欠かさず落ち歩き、コラーゲンや黒酢など3種類位を愛飲中です。――CAならではの美容術はありますか?機内は乾燥するので、保湿には特に気を使います。海外だと現地の水が合わない場合もあるので、ペットボトルの水を持っていって、顔を洗うのにもその水を使うという徹底ぶりの人もいます。CA同士のおしゃべりでも美容の話題が豊富で、口コミで聞いた海外コスメやエステをいろいろと試すことも多いです。――休日のメイク、美容法について教えてください。休みの日は、日焼け止めとファンデーション、アイメイクのみ。チークと口紅は塗りません。3週間に1度は、土曜日にネイルや美容室に行っています。普段は単色のネイルですが、長い休暇の前にはアートネイルも楽しんでいます。■今回の撮影にあたり、イセタンミラーの門脇奈美さんがメイクを担当。目元にポイントを置いたメイクが多いという小沢さんが普段のメイクにも取り入れやすいよう、印象的な目元を引き立てるようなアイメイクをメインに、“きちんと感”をキーワードにした、優しくフェミニンなメイクを提案した。ベースメイクは、ランコム(LANCOME)のBBクリームを薄くのばした後、保湿効果抜群で今季1番人気のランコムの新作リキッドファンデーションを重ねる。更に、きめ細かいパウダーでベールを掛けたような肌に仕上がる「ジバンシイ(GIVENCY)」のフェイスパウダーをブラシでふんわりと乗せた。目元はファンデーションを塗らずコンシーラーのみで仕上げることで、厚塗り感を避けるのもポイント。アイシャドーはグレー系のクールな色を選び、目元を引き締めてキリッした印象を残しつつ、丸みをおびたラインで長めに描いた眉で女性らしさを演出。ブルーのストライプのシャツに合わせ、チークとリップはブルー味を感じるピンクローズ色をチョイス。明るいトーンが、小沢さんのポジティブオーラを華やかに引き立てている。主な使用アイテムは、リキッドファンデーション「ランコム タン ミラク リキッド#O-025」、フェイスパウダー 「ジバンシイ プリズム・リーブル #1」、コンシーラー「イヴ・サンローラン ラディアント タッチ #2」、アイシャドウ「ディオール サンク クルール #056」、アイライナー「イセタンミラーボーテアイライナーペンシル#01」、チーク「シャネル ジュ コントゥラスト #64」、口紅「ディオール ルージュ ディオール ボーム #488、#568」【小沢ちあきプロフィール】1973年生まれ、茨城県出身。90年から3年間、米国へ留学し帰国後、同志社女子大学短期大学部 英米語科へ入学。卒業後、ANA(全日本空輸) 成田客室部へ入社。13年よりANA CS推進部へ異動し、15年2月に着用を開始するプラバル・グルン氏デザイン新制服プロジェクト主幹、また同制服改訂に伴うANA社員へのアピアランス、身だしなみ施策の主幹を務め、社員の意見把握と調整からヘアやメイクのガイドラインの変更など多岐に渡る内容でANAというブランドを作り上げる役割を担う。その他、ANAにおけるCS推進のセミナーの主幹として、現場と上層部の架け橋になる社内セミナーを開催。そしてこれらの地上での業務に加え、現在もCAとして定期的に乗務している。
2014年12月14日