「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。ほかにも、介護状態になったときに利用を検討したい制度がある。「割と見逃されがちなのが、『障害者控除対象者認定』です。これは確定申告する際に、この認定を受けているかいないかで、税金の控除額が大きく変わってきます」ここで言う障害者とは、障害者手帳がなくても、“障害者に準じており、障害者控除が必要な人”のこと。ただし、自治体によって判断基準が異なり、要介護1から認定されるところもあれば、要介護4からというところもある。「家族の誰かが障害者控除の認定を受けたら、生計を一にするなかで最も多く稼いでいる人が、確定申告の際に控除を受けて節税できます。とてもお得な制度です」要介護に該当するような人ではなくても、65歳以上で生活機能の低下を感じた場合、ぜひ利用すべきだと、横井さんがすすめるのが「総合事業サービス」だ。「『要介護1、2』の人、または要介護認定を受けていない人で、25問のチェックリストを受けてサービス事業対象者と判断された人が対象です。対象となった人は、生活支援や介護予防のためのさまざまなサービスが受けられます」訪問サービスでの部屋の掃除やゴミ出し、通所リハビリテーション(デイケア)など、生活支援、介護予防の両面からサポートしてくれる。ただし、内容や利用料は、自治体によって異なる。「このサービスを利用しようと思ったら、必ず地域包括支援センターに行くことになります。そこで自分の介護についての不安を相談できるうえ、認知症の前段階から利用すれば、介護予防にもつながります」
2019年03月25日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。老後を助ける公的制度はまだまだある。将来への不安を抱えている人は、老後資金を助ける制度を覚えておいても損はない。■老後資金を助ける制度【生活福祉資金貸付制度】低所得者や障害者、65歳以上の高齢者世帯を対象に、全国の社会福祉協議会が実施する貸付制度。たとえば、介護サービスを受けるために必要な経費や生計を維持するための資金の貸し付けなどを行っている。保証人、用途や金額などによっては無利子になる場合も。【不動産担保型生活資金】「生活福祉資金貸付制度」のひとつで自宅を担保にお金を借りられる。貸付限度額は土地の評価額の70%程度で、月30万円以内。貸付期間は借受人の死亡時、あるいは貸したお金と利息が限度額に達するまで。貸付利子は年利3%、または長期プライムレート(現在1%)のいずれか低い利率。【年金担保融資】年金受給者が対象。たとえば、年金収入が200万円であれば、160万円まで融資される(年金額の0.8倍以内)。急な入院などで、まとまったお金が必要になったときに借りられる。返済は2年6カ月以内で、年金支給額から差し引かれる。1回あたりの返済額は年金支給額の3分の1以下で1万円単位。【年金の繰上げ受給】老齢年金は原則として65歳からの受給だが、希望すれば60歳から繰り上げて年金を受けることができる。ただし、繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は一生変わらない。1カ月繰り上げるごとに0.5%減。60歳まで繰り上げると30%減。また、高齢者になれば、公共交通機関の割引制度や、運転免許を返納した場合の特典なども受けることができる。これらを活用すれば、現役世代よりも生活費を減らすことができるのだ。■公共料金の割引など【シニア向け優待サービス】映画館や美術館のシニア割引が身近だが、公共交通機関にも、シルバー会員制度などがある。たとえばJR西日本の「ジパング倶楽部」は、女性は60歳から3,770円の年会費で加入ができて、年間20回まで全国JRのきっぷを最大30%引きで購入できる。【シルバーパス】各自治体が発行しているシルバーパス。バスを無料、あるいは少ない額で利用できる。取得できる年齢や負担金は自治体によって違う。【免許返納特典】運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を申請できる。これを所有している高齢者は、タクシー代の割引や、デパートの配送料が無料になったり、指定の商店などでの買い物が割引される。特典は、各自治体によって異なる。「元気なうちはいいですが、病気や介護が必要な状態になれば、想像以上にお金がかかります。有料老人ホームなどの施設に入る場合、入居一時金などを含めてトータルで1,000万円を超えることも多い。限られた老後資金を有効に活用するためには、公的制度を利用し、無駄な費用をどうやって抑えるかが大切になってきます」逆に、老後資金の計画を立てるときは、こういった制度の活用を前提にしよう。そうすれば、“人生100年時代”とはいえ、天文学的な金額にはならないはずだ。
2019年03月25日お店や駅、インターネットなど、いたるところで使われている“電子マネー”。あなたはもう利用していますか?上手に活用できれば、これほど便利なものはないかもしれません。今回は、資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんに“電子マネーを使用すべき理由”をご紹介いただきます。文・山田良政とにかく支払いがスムーズ!電子マネー最大のメリットは、なんといっても“お会計のスムーズさ”です。お札や小銭を財布から出す必要がなく、カードを読み取り機にかざすだけ済むので、その差は歴然。また、面倒なサインや暗証番号の入力も不要。クレジットカードやデビットカードよりも、お会計を早く終わらせることができるのです。全国各地で利用できポイントも貯まる電子マネーは、種類にもよりますが、主要コンビニエンスストアやスーパーマーケット、タクシーや電車など、日常生活で利用するあらゆるお店・サービスで利用できます。さらに、支払いでポイントを貯められるのも嬉しいところ。提携しているクレジットカードのポイントや、マイルに移行できるサービスもあるので、貯めたポイントを分散させず、効率的に使うことができるのです。財布がスマートに小銭があと数円足りなくてお札を出した結果、小銭で財布がパンパンになった……という経験はありませんか? 重く持ち歩きづらいので、極力財布の中身は軽くしておたいものです。会計を電子マネーで行うようにすれば、持ち歩く小銭も少なく済むので財布もスッキリするでしょう。アプリと紐づけてスマホ1台で管理できるスマホが広く普及した今、ほとんどの電子マネーがスマホに対応しています。スマホに専用のアプリをダウンロードし、電子マネーのアカウントを登録する手間は必要ですが、これによって、電子マネーカードのようにスマホを読み取り機にかざすだけでお会計が完了するのです。ちょっとした買い物なら、スマホ1台で完結できるようになったのです。以上、電子マネーを使用するメリットをご紹介しました。しかし、その一方でセキュリティの問題もあります。財布の中の電子マネーを特殊な機械で読み取り、勝手に利用されてしまう“スキミング”が横行しているのです。電子マネーカードを利用している方は、スキミング防止効果があるケースやポーチに入れておくことをオススメします。スマホの場合は、アプリの設定を変更してロックをかけることで、不正利用を防止できます。しかし、電子マネーを利用する度にロック解除が必要となるので、便利性を損なうことにも……。電子マネーの長所と短所を見極めたうえで、賢く使っていきましょう。-山田良政-株式会社オフィサム代表取締役。FXによる資産運用を自動化させた第一人者。自身が開発したFX自動売買システムが、2013年度に「世界一の評価」を獲得。誰でも気軽に資産が増やせる「自動取引システムによる資産運用」を提案し、その分かりやすい切り口はマネーに関するプロ達だけでなく女性からの支持も多い。「億を稼ぐ」ために必要な思考が綴られたインタビュー本『億トレⅡ』『億トレⅢ』も大好評。『月間BIG tomorrow』でも執筆中。・株式会社オフィサム © carol.anne /shutterstock© ESB Professiona /shutterstock© Olena Yakobchuk /shutterstock© Josep Suria /shutterstock
2019年03月16日「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。そこで、後田さんに「いらない保険」を教えてもらった。【外貨建て保険】保険料が米ドル、ユーロ、豪ドルなど外貨で運用され、保険料の払い込み、保険金の受け取りも外貨で行われる。手数料が高く、元本割れ期間がある。為替リスクもあるのに、積立利率や将来の返戻率の高さが強調される。資産形成には不向き。【貯蓄性保険】個人年金保険や学資保険など、老後や子どもの進学時期にあわせて給付金が受け取れる。中途解約時の元本割れリスクに比べお金の増え方は少ない。【長寿保険】死亡保障はなく、保険料払込み期間に解約した場合の返戻金の水準が低い。その代わり長生きした場合の給付額を大きくしているが、加入期間の長さ・中途解約リスクを考えると、給付額は物足りない。【終身保険】「一生涯死亡保障が続く」「解約時には相当額の解約返戻金が払い戻される」というのが特徴で、相続対策には役立つが、ほかの使い道は考えにくい。【医療保険】民間の保険では入院給付金が1日5,000円~、手術給付金は1回5万~10万円といった保障があるが、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)の自己負担上限額は、一般に月9万円程度。高額な先進医療も実効性が証明されていない医療もあり必須ではない。【がん保険】がんになったときに診断一時金、入院給付金、手術給付金が受け取れるのが基本。日本では標準的な治療が健康保険で受けられるので、貯金などで対応するのが合理的。【介護・認知症保険】現在50歳の人が要介護認定を受けるとすれば、30年くらい先の話なので、お金の価値が怪しくなる。例えば一時金300万円や年金年額60万円が、30年後にも現在と同じ価値を持つとは考えにくい。【健康増進型保険】保険加入後の行動や健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が支給されたりするが、そもそも割引前の保険料設定が妥当なのかは不明だ。■“低金利”につけこむセールストークに注意今、生命保険会社が銀行窓口などを通して販売する「外貨建て保険」の苦情が急増しているという。’17年度に生命保険協会や生保41社が受けた苦情は、2,076件で5年前の3.3倍。「元本割れリスクについて適切な説明を受けなかった」など、商品のわかりにくさが問題になり、昨年12月、金融庁も監督強化に乗り出した。退職金などまとまったお金を手にしたとき、メインバンクの担当者から「老後の資産形成に」といって勧められることが多いが、気をつけたい。「大手銀行の定期預金の金利は現在、年0.01%(税込み)しかないので、『積立利率3%を保証』『インフレによるリスクに対応できます』など、利回りの高さを強調してくるので、つい飛びついてしまい、後悔する人が多い商品です」一時払いのタイプでは、契約時に数百万円の保険料をまとめて支払い、米ドルや豪ドルなどで運用。中途解約時や満期時などに運用益を上乗せした金額が戻るという仕組みだが、満期時に円高ドル安になっていると、円に換算したときに元本割れする“為替リスク”がある。「初期費用が高いのが問題です。保険料500万円・販売手数料率5%だと、25万円の元本割れが生じたところから運用が始まるわけです。10年未満の解約では、相応の金が引かれる保険特有の不利な条件も付きます。お金を増やす目的での利用は考えられません」
2019年02月20日こんにちは、婚活FP山本です。最近の日本において、多くの人が関心を寄せている社会問題の一つに「老後破産」が挙げられます。「下流老人」「介護離職」など、関連する諸問題も多々ありますが、結局のところ「老後のための貯金はいくら必要か」が気になるところではないでしょうか。合わせて、老後への対処法も大切です。そこで今回は、老後の貯金額はいくら必要なのかを結婚の有無別に解説します。あなたの人生に、お役立て下さいませ。65歳までに貯金以上に「稼ぐ」準備を!まずは老後生活への対処法をお伝えします。詳しくは後述しますが、ハッキリ言って必要な老後資金を「老後までに」貯金するのはほぼ不可能です。昨今の日本は年収が上がりにくくなっており、その割には税金や支出は上昇の一途を辿っていますから尚更といえます。このため、老後までに(つまり現役中に)貯金をがんばる一方で、老後を迎えてもなお稼ぐ方向性で準備をしたほうが現実的です。結局のところ、老後破産などは定年によって年収が下がり、支出を賄いきれなくなって起こる問題になります。なので、以後も稼げば良い訳です。実際にどのような手段で稼ぐかは自由であり、様々な方法があります。ただ60歳、あるいは70歳を超えても現役のように働き、稼いでいる方は沢山です。ぜひ見習いましょう。ゆとりある生活は自分で作り出す誰だって老後でも「ゆとりある生活」を願うものです。しかし、願うだけでは叶わず、しかも年金額はドンドン減少しています。このため、何の対策も取らずに老後を迎えてしまえば、あなたも老後破産の仲間入りです。旦那任せにするのも、かなり危険といえるでしょうね。独身なら一人で、既婚なら夫婦で、老後でも稼げる何かを老後までに準備することが最高の老後対策です。ぜひとも「100年生きても安心のライフプラン」を作り、実行しましょう。定年への強い意識と危機感が重要!次に、老後を考える時の最重要ポイントをお伝えします。結論からお伝えすると、それは「定年への強い意識と危機感」です。自分や旦那の今の年収は、定年を迎えれば無くなってしまう……冷静に考えれば当たり前のことのハズですが、これが抜けている方が沢山います。まるで、死ぬまで今の給料は貰えて当たり前といった感覚……でしょうか。もちろん、そんな事はありえません。今では定年延長が義務化され、60歳で定年を迎えても基本的に再雇用されますが、それでも年収は半減することが多いですし、しかも65歳が期限です。仮に「死ぬまで働く」という意識があっても、現実問題として現役並みの給料で雇ってもらえるでしょうか。危機感が無ければ、何の対策も取らずに老後を迎えるだけでしょうね。退職金と年金で悠々自適……は過去の話少し前なら、定年までは会社が守ってくれ、以後は退職金と年金で悠々自適の老後生活が保障されている……そんな感覚の方がほとんどでした。ですが今は、そもそも定年まで会社に残れる保障もなく、退職金や年金も減額の一途というのが現代のリアルではありませんか。生まれた時代を嘆いていても状況は何も変わらず、結局は自力で時代に合わせて生き抜くしかありません。厳しい現代の経済事情をしっかり見つめ、自助努力に励みましょう。独身なら最低でも3000万円は欲しいそして、独身者の老後に必要な貯金額についてです。あくまで一つの目安なのですが、独身者なら最低でも3000万円は欲しいところかもしれません。ざっくりの理屈としては、70歳までは何とか働き、以後は月10万円程度、年100万円程度を取り崩す生活30年分です。とはいえ、収入の元となる年金額は人によりますし、望む生活水準も人によりますから一概にはいえません。それに、老後生活に入ったからこそ医療費や交際費(孤独対策費)がかさむことも多いですから、やはり安心はできません。あくまで最低限の目安でしょうか。何より、独身ということは誰もあなたの介護をしてくれませんから、更なる貯金か健康への対策が必要になります。場合によっては、(シルバー)婚活も視野に入れたいところです。失敗を覚悟して自営業になるのも手独身なら、仮に失敗しても自己責任で済みますから、いっそ定年後は「独立開業」をして自営業になるのも一つの手段かもしれません。自営業者の最大の長所は「定年がない」という点ですからね。自営業なら、カラダが動く限りは死ぬまで働くことも可能となります。もっとも、独立開業は思い立って即座にできるものでもありませんから、やはり長い準備期間が必要です。このような展望を望むのなら、ぜひ早くから準備に励んでいきましょう。夫婦ならできれば5000万円は欲しいさらに、夫婦の老後に必要な貯金額についてです。こちらもあくまで一つの目安ですが、夫婦ならできれば4~5000万円は欲しいといえます。同様に仮に年間100万円取り崩すなら、4000万円で40年分、さらに2人分の介護費用も考えれば、やはりこの位は欲しいです。ただし、夫婦の場合は独身者とは違って「夫婦の足並みを揃える」ことが重要といえます。どんなに一方が先々を見越して質素倹約に励んでも、もう一方が多額の貯金に気が緩んで使ってしまうことも多々あるのが現実です。何とも、難しいものかもしれませんね。なお、本当にそういった夫婦関係になってしまった場合は、金銭感覚の相違という理由で「熟年離婚」になる事もあります。これは夫婦共倒れの危険性もあるので、注意しましょう。安心感から浪費に走る夫婦も多い……少し意外に思える方もいるかもしれませんが、本当に「過ぎた安心感」は将来への対策の大敵です。そして安心しきっていれば、そこには危機感も計画性も持てず、お金が少なくなるまで浪費してしまうのが人間といえます。こういう夫婦は、本当に多いのが実情です。このため、結局のところ老後までに蓄えた貯金額に関わらず、老後破産に陥る可能性からは逃げられない事も多いといえます。ぜひ、先々を見据えて今の状況を考えていきましょう。必要な老後貯金の計算は世帯で違う!最後に、老後貯金を考える上で肝心なポイントをお伝えします。それは「必要貯金額は世帯で違う」という点です。つまり、簡単にいえば「周囲のマネをしていてもダメ」といえます。なぜなら、計算の元になる世帯事情も以後への考え方も、世帯で全然違うのが普通だからです。例えば、月々の生活水準が1万円違うだけでも、年で12万円、40年で500万円ほど変わります。それに、定年後に働くつもりなのか否かでも、大幅に必要貯金額は変わってくる訳です。このため、盲目的に必要な老後貯金額を求めるのは、そもそもの間違いかもしれません。どうせ求めるのなら、「自分の場合はいくらなのか」を具体的に計算することが重要です。必要に応じて、プロであるFPへの相談も視野に入れ、必要額を計算していきましょう。貯金なしでも大丈夫ということもある少し余談ですが、完全な自給自足生活をする準備があるのなら、貯金なしでも大丈夫という事もあります。あるいは定年頃に、相応の相続をする予定があるのなら、やはり貯金なしでも大丈夫かもしれません。ただ、そういった事情は降って沸いたようには起こりえません。結局のところ、老後への(貯金)対策は、自力でするしかない訳です。年金などの国からの支援も増えるどころか減る一方ですから、早くから自助努力に励んでいきましょう。老後貯金は一日でも早くからの準備が大切!老後対策は、貯金でも稼ぐ方向性でも、いずれにしても一朝一夕でできるようなものではなく、何十年も必要になるのが基本です。いくらの貯金が必要かは世帯によりますが、いずれにしても莫大な金額が要りますから、一日でも早くからこの現実に気付き、準備に励みましょう。
2019年02月05日人生100年時代ともいわれ、老後がますます長くなる一方、少子高齢化などの影響により、老後の生活を支える公的年金の支給額は今後減少すると予想されています。退職金と年金で悠々自適に暮らせる時代はすでに終わりを迎えており、老後に生活費が足りず家計が破綻する「老後破綻」は、決して他人事ではなくなっています。老後破綻に陥ることなく、ゆとりある老後を送るにはどうすればよいのか。この記事では、老後にいくら生活費が必要なのか、老後に備えて今から何ができるのかについて解説していきます。老後の生活費は毎月どれくらい必要?「平成29年(2017年) 家計調査結果」(総務省統計局)持ち家率は94.2%世帯主が65歳以上・二人以上の世帯においては持ち家率が94.2%と高いため、統計上は住宅費が少なくなっていますが、賃貸に住み続けるという選択をする場合には、家賃分だけ生活費を多く見積っておくべきといえます。公的年金だけでは毎月5万円以上の赤字同調査による無職世帯の毎月の平均収入は209,198円(うち公的年金等の社会保障給付が191,880円)であり、直接税や社会保険料を差し引いた後に残る、自由に使えるお金(可処分所得)は180,958円となっています。月235,477円の生活費を差し引くと、毎月54,519円の赤字。つまり、毎月貯蓄を切り崩さなければ生活できない状況であり、十分な貯蓄がなければ家計はすぐに破綻してしまいます。現時点でこのような状況であり、将来年金が減ると予想される若い世代にとっては、自助努力による備えがより重要になってきます。ゆとりある老後に必要な生活費は月35万円上記の月24万円というのは、平均的な生活を送るために必要な最低限の生活費といえるものです。生命保険文化センターの調査(※1)によると、老後のゆとりある生活に必要と考える生活費は平均34.9万円。つまり最低限の生活費プラス10万円がゆとりある老後に必要な生活費の目安であり、年金以外に月15万円必要となる計算です。ゆとりある老後には65歳時点で総額3600万円の貯蓄が必要65歳で退職し85歳までの20年間、年金と貯蓄を切り崩しながら生活する想定では、最低でも約1300万円(=月5.4万円×12カ月×20年)、ゆとりある老後には約3600万円(=月15万円×12カ月×20年)の貯蓄が必要となります。ただし、これは現時点の物価水準、年金水準で、65歳以降運用を行わないと仮定した場合の数字。将来年金支給額が減れば、より多くの貯蓄が必要となります。一方、老後に貯蓄を運用しながら切り崩していけば必要な貯蓄額は少なくて済みます。なにをもってゆとりと考えるかは価値観の問題であり、あなた自身が老後をどのように過ごしたいのかによって、必要な生活費も変わってきます。必要な貯蓄額は、実際に受け取れる年金額や、持ち家・賃貸の別、希望する老後のライフスタイルなどを踏まえ、個別に考えるべきです。この3600万円という数字も平均値に基づいて計算した結果であり、あくまで参考として捉えてください。老後に備え、20代から各年代でどれくらい貯めていけばいい?『The Automatic Millionaire』(David Bach)この基準は、60代以降お金の心配なく暮らすために必要な貯蓄を行う目安であり、希望するライフスタイルよっても変わります。実際にはこの基準を目安としながら、目標額とそのほかの資金(教育資金、住宅資金)とのバランス、家計の状況などを踏まえて、無理のない範囲で積立額を決める必要があります。運用によって効率よく貯める効率的に老後の生活費を貯めるには、運用しながら積み立てていくことも重要なポイントです。老後資金の運用では、運用期間が長くとれるため、利益が利益を生む「複利効果」が大きくなり、運用リスクの軽減効果も期待できます。複利効果とは?複利効果:元本に利益を加えた合計を新たな元本として継続的に運用されることで、雪だるま式に利益が増えていく効果たとえば月5万円(年間60万円)ずつ30年間積み立てる場合の積立総額は1800万円。同じ月5万円の積立でも、年3%の複利運用ができれば、30年後には2855万円、年5%では2倍以上の3986万円まで増やすことができます。Guide to the Markets・1Q 2019(J.P. Morgan Asset Management)老後資金を貯める方法は7種類自助努力によって老後資金を貯める方法としては、以下のようものがあります。預貯金普通預金、定期預金などの形で銀行にお金を預け、利息を受け取りながらお金を貯めていく方法。安全性の高さ(1金融機関あたり元本1000万円とその利息まで(当座預金など決済用預金は全額)の元本保証)と、すぐに現金化できる流動性の高さが特徴。現在は低金利状態が続いており、運用効果はほとんど期待できません。財形貯蓄(会社員・公務員)毎月の給与やボーナスからの天引きで貯蓄を行う方法。財形貯蓄制度を導入している企業に勤める55歳未満の会社員が利用できる制度で、財形一般貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類があります。このうち老後資金準備を目的としているのが「財形年金貯蓄」です。財形年金貯蓄は、5年以上の期間、定期的(年1回以上)に給与天引きで積み立てを行い、積立金を60歳以降年金形式で受け取るもので、財形住宅貯蓄と合算して元利合計550万円(保険型は払込保険料385万円)までの利子が非課税となるメリットがあります。小規模企業共済(自営業)退職金や企業年金などがない自営業者などが、自助努力で退職金を準備する方法。掛金は月1,000〜70,000円まで500円単位で設定でき、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、節税効果の高い制度です。個人向け国債個人を対象に国が発行する債券(個人向け国債)を購入していく方法。個人向け国債は1万円単位で購入でき、国が元本と利息の支払いを保証するもっとも安全性の高い金融商品。年0.05%(税引前)の金利が最低保証されており、預貯金よりも安全性・収益性が優れています。半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」、発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定5年」「固定3年」の3タイプがあります。貯蓄性保険「終身保険」や「養老保険」「個人年金保険」など貯蓄性のある保険を利用する方法。終身保険や養老保険は、保険の対象者(被保険者)が死亡したり、高度障害状態となったりした場合に備える保障がメインの商品。支払った保険料は一定額まで生命保険料控除の対象となり、税金面でのメリットもあります。ただし、保障部分にかかるコストや、他の金融商品に比べて割高な手数料に加え、低金利による運用効率の低下もあり、運用商品としての魅力は薄れています。「保障+運用」が目的であれば、「掛け捨て型の保険」と「投資信託などの投資商品」を別々に購入したほうがよいといえます。個人型確定拠出年金(iDeCo)個人型確定拠出年金(iDeCo)は、どの商品にどのくらい割合で投資するかを自分で決め、毎月の掛金を積立投資して老後資金を準備する方法。積立時、運用中、受取時において税金面で優遇されるメリットがあります。日本国内に住む20歳以上60歳未満の方であれば、月5,000円から1,000円単位で加入可能(掛金の上限は月額1.2〜6.8万円。職業(加入する公的年金の種類)や企業年金の有無などにより決まる)。老後の資産形成を目的とした制度であるため、掛金や運用益は原則60歳まで引き出せないことに注意が必要です。NISA(少額投資非課税制度)NISAは一定額まで購入した株式や投資信託の運用益が非課税となる制度。3タイプあるNISAのうち、老後資金準備には「(一般)NISA」「つみたてNISA」が利用できます。途中で払い出しできないといった制約もなく税制優遇が受けられる制度であり、株式や投資信託を利用して老後資金を準備するのであれば、ぜひ利用したい制度です。どうやって貯めるのがよい?老後まで時間のある20代〜40代の間は、ほとんど利益を生まない貯蓄商品(預貯金や財形貯蓄など)の利用は最低限にとどめ、ふやすことを意識して、つみたてNISAなどを活用しながら、株式や投資信託への長期積立投資を行うとよいでしょう。投資先としては、S&P500や全世界の株式に連動した運用成果が期待できるインデックスファンド(投資信託・ETF)などがおすすめです。50代以降は、それまで積み上げた資産を守ることを意識し、貯蓄商品や個人向け国債などの割合を徐々に増やしていくとよいでしょう。老後の生活費まとめ夫婦2人の老後には平均で月24万円、ゆとりある老後を送るには月35万円の生活費が必要になります。現在年金を受け取っている世代でさえ、年金だけでは生活費できない状況であり、今後年金が減ると予想される世代は、老後の生活費は自分たちで貯めるという意識をより強く持たなければなりません。長期運用ができる老後資金のメリットを活かし、なるべく早い時期から積立投資をはじめ、効率的に老後の生活費を貯めていくことが大切です。
2019年02月04日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【今年は銀行の見直し元年!キャッシュレス社会に備えよ】経済評論家・加谷珪一/目標貯蓄額:収入の15%(本気で資産形成を狙うなら25%)「電子決済アプリ『PayPay』が話題を呼びましたが、今年は国民的にキャッシュレス化がますます進むでしょう。政府は10月の消費税10%引き上げに伴い『電子マネーやクレジットカード決済時のポイント還元』を実施する方向で動いています。また各金融機関は維持費がATMの数を大幅に削減していっています。この流れは止まらないでしょうから、電子マネーを使えないと損する時代になっていきます」経済評論家の加谷珪一さん(49)はこう警鐘を鳴らす。電子マネーのメリットの一つは利用明細が家計簿代わりに使えること。「毎日電卓をたたいて手書きする煩わしさを考えれば、1円単位で正確かつ自動的に記録され、いつでもネット上で見られる電子マネーの明細は“最高の家計簿”です」(加谷さん・以下同)さらに「今後、取引する銀行を見直すべき」だという。「従来の銀行は小口の客を切り捨て、一定以上の貯蓄がある人を囲い込みたいと思っている。一定以上の預金がある客を優遇する制度を用意しているので、資産を分散させると損してしまいます。電子マネーを多用するつもりなら、ネット専業銀行という選択肢も」そんな加谷さんが貯蓄額の目標にすべきと考えるのは。「収入の2割が理想ですが、賃金が上がらない今の状況では長期間継続するのは難しい。継続可能な数字は15%でしょう。本気で資産形成したい場合は25%を目標数値にすべきだと思います」
2019年01月21日安全で儲かる投資と思っていたのに、老後のためにコツコツ貯めたお金が消えてしまった――そんな悲劇を避けるにはどうすれば?専門家に聞いた。負債1,053億円、債権者数約3万4,000人――。3日に破産を申し立てた「ケフィア事業振興会」は、干し柿やヨーグルトなどの加工食品のオーナーになれば、約半年で8~10%の利息を支払うとして会員を募集。今回の破綻で、少なくとも340億円あまりの投資金が戻ってこない事態になっている。被害対策弁護団のひとりで、リンク総合法律事務所の中森麻由子弁護士が解説する。「仕組みは複雑ですが、典型的な会員制オーナー商法です。投資した人の8割は60歳以上の高齢者で、そのほとんどが“投資に慣れていない女性”という印象をもちました。5年以上にわたって金利が支払われてきたこともあり、銀行に預けているという感覚で信用していたようです。老後のために貯めておいたお金を投資した方が多く、被害額が1億円を超えた例も。みなさん長年にわたって出資してきたので、被害額の平均は100万円を超えていると思われます」’11年にはじまったケフィア事業振興会のオーナー制度。昨年11月から、会員への配当や元本の支払いが遅れ、訴訟問題に発展した。同社の鏑木秀彌社長は、いまだ公の場に姿を現していない。今回の事件は、これまでの高齢者を狙った詐欺事件と少し異なっているという。被害者の相談に乗っている名城法律事務所の正木健司弁護士が語る。「パンフレットを郵送するだけで直接対面しての勧誘があるわけでもなく、マルチ商法のように、人を紹介したら紹介料が入るというものではありません。金塊や健康器具、和牛などの高額商品ではなく、干し柿やジュースなどの加工食品の通販を入口にして、1口5万円からと、ハードルが低いことが特徴です。それに加え、約半年後に最大10%もの異常な高利を、長年支払い続けたことで出資者を安心させました。しかし、このビジネスの実態は、新規で集めた資金を、前に契約した人への金利に回している自転車操業のようなものです。とくに破たんが確実になった昨年11月以降も、商品数を増やしてさかんにダイレクトメールを送ったり、世界的なサーカスの貸切り公演や音楽祭の計画などで経営状況をよく見せたりして、会員からさらにお金を“搾り取ろう”としていた。支払いができないと認識しながら、出資を募っていた場合、詐欺罪に当たる可能性があります」超低金利のなか、退職金を資産運用しようとするシニアを狙った投資詐欺も急増している。上級ファイナンシャルプランナーの北川邦弘氏が警鐘を鳴らす。「60代のご夫婦には、退職金という、これまで手にしたことがない大金が入ることで、冷静な判断力を失う方がいることは確かです。まず提案をされた金融商品の金利に注意すべき。銀行の普通預金が0.05%という低金利の時代に、100倍となる年利5%の商品が存在するわけがありません。元本保証で高利回りなど、低リスク高リターンをうたうものほど、詐欺の可能性があります。また、なぜ金利が高いのか、なぜ儲かるのか、仕組みがわからないものには手を出さないほうがいいでしょう。勧誘のときに専門用語や難解な言葉が出てきますが、自分で理解できない話には乗ってはいけません。さらに、金融商品を扱う会社は、行政の監視下に置かれ、金融庁に登録する義務があります。契約を交わそうとしている会社の登録状況を確認することも大切です」最後に中森弁護士が語る。「『ケフィア事業振興会』は、詐欺目的で創立された会社ではないと見ています。しかし、オーナー制度による資金集めがうまくいったことから、事業を広げ、けっきょく、今回の悪質な投資トラブルを引き起こしました。そんなトラブルに巻き込まれないためには、“こんなにおいしい話があるわけない”と疑ってかかる心が大事。疑問があったら、家族や近くの消費生活センターなどに相談したほうがいいでしょう」虎の子を狙う投資詐欺。専門家の話をもとに、だまされないための10カ条を作成した。【1】「元本保証、金利5%超」などはすべて疑う【2】「少額でもできる」「1口◯万円~」に要注意【3】なぜ儲かるか理解できないものには手を出さない【4】コンサートへの招待や有名人を使った宣伝にだまされない【5】立派な社屋や施設を持っていても安心ではない【6】社会貢献や健康などのうたい文句に注意【7】5年以上金利が払われていても、突然破たんすることはある【8】急に勧誘が激しくなったり、商品数が増えたら危ない【9】業者が金融庁に登録しているか確認する【10】不安に思ったら、第三者にすぐに相談するこれを心に刻み、老後の資金計画を立てよう。
2018年09月13日子どもを作らず、2人で一生を過ごす選択をする夫婦も増えている現代。子どものいない夫婦の老後は、いったいどうなるのでしょうか。老後について考えなければいけないことと必要な貯金額についてまとめました。子なし夫婦の老後について子どもがいると、子どもや孫を通じて交友関係も広がりますが、いない場合はやはり夫婦ふたりでの生活がメインになると思います。老後で考えないといけないことは、たくさんあります。例えばどちらかが「介護」となった場合、老々介護となってしまうため外部へ委託する必要があります。また片方が大病を患ったときに、病院へのお見舞いやケアなどもひとりで手配しなければいけません。そういった不安な気持ちを共有する人が少ないために、一人で抱え込んでしまう可能性も。どちらかが亡くなったときやお墓の管理、遺産相続なども話し合っておく必要があります。いざというときにひとりで困らないためにも、さまざまな外部サービスや頼る先の確保が必要です。子なし夫婦の場合は子どもにかけるお金がない分、老後の資金も多く用意できている可能性が高いと思います。定年後は夫婦で旅行に行ったり趣味をしたりと、楽しみもたくさん用意されています。ただし、生活費が足りなくなっても仕送りをしてくれる人がいないので、計画的に使うようにしましょう。とにかく老後を楽しく暮らすためには「貯金」が大切です。 老後に必要な貯金額厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によると、平均寿命は男性では80.98年、女性では 87.14 年です。定年が60歳だとすると、20年は年金や貯金を使っての生活になるでしょう。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によれば、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円。これは、公的年金や個人年金で賄うのは難しい金額といえますね。そして、総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」のデータを見てみると、高齢夫婦の無職世帯は年金を受給していても収支のバランスとして毎月マイナスが出ているようです。マイナスの平均額は約50,000円ほど。年間では年間600,000円となりますから、20年で12,000,000円は不足すると予想できます。ただし、この金額はギリギリの数字。日々物価も上昇していて、もらえる年金額はこれから下がっていくと言われています。さらに子どもがいないため、困ったときや介護などは外部サービス、老人ホーム頼みになるので、生活資金以外のお金も必要になってきます。目安として3,000万円以上の貯金は必要なのではないでしょうか。老後に必要な金額について詳しくはこちらもご覧ください。> 貯金はいくら必要?子なし夫婦に必要な老後の資金 まとめ結婚したからといって、必ずしも子どもをつくらなければならないということはありません。子なしで夫婦2人の時間を時間を楽しむ選択もあります。ただし、楽しい老後を過ごすためにも、貯金は必ず用意しておくようにしてくださいね。 参考:厚生労働省離婚に対する統計厚生労働省「平成28年簡易生命表」国立社会保障・人口問題研究所:第15回出生動向基本調査
2018年08月25日老後の出費がどれくらいになるか、不透明な昨今。ある程度、保障内容をスリムにしてもいい家族構成になったら、保険で家計見直しをするチャンスかもしれない。 「家賃、通信費、食費、光熱費に並ぶ固定費として、家計を直撃するのが保険料。子どもの教育費がかかる時期は、働き手になにかあったときのために保障はある程度必要です。しかし、親が50歳くらいになって子どもの自立が見えてきたなら、死亡保障も減らして身軽になっていいでしょう。その際、選択肢に入ってくるのが共済です。50歳前後となれば、いざ見直しをしようと思っても保険料は高額。共済は年齢や性別の区別なく一律で、2,000〜5,000円程度の安価な掛金で、しかも幅広い保障が受けられるんです」 そう語るのは、All Aboutマネーガイドの平野敦之さん。年金減や消費税増税など負担増に備え、出費を減らしたい方には、家計の見直しの“切り札”にもなりうるのが共済だという。 「共済では、生保・損保会社の『保険料』を『掛金』、『保険金』を『共済金』というように表現の違いはありますが、相互扶助という仕組みの面では、どちらも違いはありません」 営利団体である生保や損保は全国から契約者を募ることができる。ただし、非営利団体である共済は、加入に際して居住地域や一部の企業の社員、組合員に限るなどといった制限がある。 「しかし都道府県民の共済は、その都道府県に居住していたり職場があれば加入できるし、佐賀県、高知県、福井県など一部存在しない所もありますが、多くの都道府県にあるので、対象者は多いはず。全労済やコープ共済は全国展開しており、それぞれ数百円の出資金を出して組合員となれば、加入することができます」 今回は加入者が多い都道府県民共済と、全労済(こくみん共済)、コープ共済について、平野さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、解説してもらった。 「都民共済は、ブライダルの割引、こどもの日の兜やランドセルの割引など、付帯サービスがあります。全労済は自動車保険や火災保険、地震保険などに相当する共済があるなど、カバー範囲が広い。コープ共済は女性向けの商品や、100万円、200万円の一時金が出るがん特約があるのが特徴です」(風呂内さん) 風呂内さんは、これら各共済に共通するメリットがあるという。 ■高齢で加入しても、掛金は上がらない 「各共済によって多少の違いはありますが、一部商品を除き1カ月の掛金は2,000〜5,000円ほどです」(平野さん) 生命保険の場合は、医療保険でも死亡保険でも、5歳ごとに年齢を区切るなどして、加入時の年齢が上がるごとに保険料が高くなる構造になっているが……。 「共済は年齢群団方式といって、加入時の年齢や性別の区別なく、一律の掛金であることが大きな特徴です。20歳前後の若い人からすると“なんで50歳と同じ掛金なんだ”と不公平感を抱くかもしれません。ある程度の年齢、たとえば50歳くらいで新たに保障を受けたいというのなら、掛金は安く済みます」(平野さん) 高齢で加入するほどおトク感が増すということだ。 「都民共済の『総合保障型』の掛金2,000円の内容は、生保なら特約もありますので、50歳女性で1万円くらいになりますね」(風呂内さん) ■加入条件が緩和されている 自分では健康なつもりでいても50代ともなれば、だいぶ体にガタが来ている。血液検査の数値を見れば、自覚はなくとも、基準値をオーバーしている項目もあるはずだ。 「この年代で保険に入ろうとすると、血圧が高く、医師の診査を求められることもあります。保険は健康状態が重要で、契約に条件がついていて加入できないと、保険料が高い“緩和型”を選ばざるをえないケースもあります。いっぽう、共済は告知義務はありますが、医師の診査は不要で加入が簡素化されているケースが多いです」(平野さん) 全労済のホームページには「今まで高血圧の治療中を理由にご加入を諦めていた方も加入しやすくなりました!」とある。 「’16年10月に制度改定してから、一定の条件をもとにお引き受けできるようにしています」(全労済広報室) コープ共済の広報部もこう語る。 「高血圧の場合、高血圧が原因で過去5年間に入院していない、一定の数値でコントロールできているなどの加入条件を満たせば加入できる制度があります。商品やコースを問わず、加入できる間口を広げています」 都民共済担当者はーー。 「個々のお話をうかがって、相談しながら、条件をつけさせていただくこともあります」 いずれも加入となった場合、病気ではない人と同一の掛金となる。 さまざまなメリットのある共済。もちろん、共済にも注意点がある。 「掛金と同様に保障内容もずっと変わらないと考えている人が多いようです。しかし、注意が必要です」 と生活マネー相談室の八ツ井慶子さんは言う。確かに都民共済の「総合保障4型」を見ると、同じ掛金なのに、18〜65歳までの病気による病気入院保障額は1日あたり9,000円なのに対し、熟年4型に移行すると、65〜80歳で5,000円、80〜85歳では0円になる。 「高齢期になると保障内容が薄くなります。高齢になっても手厚い医療保障を求めるのなら、共済ではなく生命保険会社の終身の医療保険のほうが適しているでしょう」(八ツ井さん) 平野さんはこう語る。 「共済は掛金が安く、割戻金がある分、貯蓄に回すお金もできます。1カ月内で一定額を超えた医療費が返金される高額療養費制度という公的制度もあります。ある程度まとまった医療費を貯蓄できれば、80歳で保障が薄くなった共済を、継続する必要はなくなるかもしれません」(平野さん) 保障内容が薄くなる分は、安い“掛金”で浮いたお金でまかなう。貯蓄しておけば、老後のあらゆる出費にも回せるという。共済のメリット・デメリットを考慮して、今加入している保険の見直しを考えてみては。
2018年05月31日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日子どものいない夫婦は、養育費や教育費といった子どもに関する費用が掛からないため、子あり夫婦に比べると生活に余裕が生まれそうなイメージ。ただ、気になるのが「老後のこと」ですよね。年々珍しくなくなっている子なし夫婦ですが、老後の生活費や貯金はどのくらいあれば良いのでしょうか。今回は子なし夫婦の老後にフォーカスを当ててみます。 老後の生活費はどのくらい?厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によると、平均寿命は男性では80.98年、女性では 87.14 年となっています。定年が60歳だとすると、少なくとも20年はセカンドライフの期間があるということ。子どもがいないため夫婦でゆっくり暮らせる老後ですが、生活費などお金の面ではどうなってしまうのでしょうか。まず、基本的に定年となるのは60歳ですが、年金は65歳からの支給になります。その間のつなぎとして、65歳まで「再雇用」といった形で働くことができる企業が多数あります。収入は現役時代よりも少なくなりますが、子どもがいない夫婦は自分たちだけの収入で生活していく必要があるので、65歳まで働いたほうが安心です。それから年金生活となるのですが、総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」のデータを見てみると、高齢夫婦の無職世帯は毎月平均263,717円の支出があり、54,519円の赤字になっているそうです。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円だそうです。公的年金や退職金だけでは、何年間も賄えそうにありませんね。 理想の貯金額それでは65歳になるまでに、老後資金はいくら必要なのでしょうか。先ほど平均寿命が男女共に80歳以上だとお話ししましたが、現在100歳の人も珍しくありません。95歳まで生きると仮定して、老年資金が30年間必要だとします。赤字が54,519円だったので、年間約65万円が30年だとすると、必要額は最低でも1950万円以上。ゆとりある老後生活を送りたいなら、赤字は139,802円になるので、年間約168万円が30年で5,000万円以上必要ということになります。また、夫が先に亡くなってしまったときのこともも考えておきましょう。妻は、夫が受給していた老齢厚生年金の一部を「遺族厚生年金」として、自分の老齢基礎年金に上乗せすることができますが、それでも何かあったときに不安ですよね。日々物価も上昇していて、もらえる年金額はこれから下がっていくと言われています。さらに子どもがいないため、困ったときや介護などは外部サービスや老人ホーム頼みになるので、生活資金以外のお金も必要になってきます。最低でも3,000万円以上貯金しましょう。ちなみに子ども1人育てるのに必要な額は3,000万円以上だと言われています。子どもがいないからといってその分お金を使っていると、老後になって慌てることになってしまうかも。今から老後資金を貯めておきましょう。 亡くなったときのことを考える考えたくはありませんが、考えなければならないのが亡くなったときのこと。その中でも気になる「相続」と「お墓」のことについてご紹介します。まず相続について。配偶者は常に相続人となり、次に子どもが優先されます。ただ、子どもがいない場合は複雑です。例えば子なし夫婦の夫が亡くなった場合、夫の直系尊属(父母や祖父母など)が相続人、直系尊属がいない場合は、夫の兄弟姉妹が相続人となります。取り分は以下のとおり。配偶者と直系尊属が相続人の場合配偶者2 / 3、直系尊属(2人以上のときは全員で)1 /3配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合配偶者3 /4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1 /4夫の親族とお金の問題で関わることになるので大変です。夫が遺言で「全財産は妻に」という趣旨のことを記しておけば、相続で悩むことも少ないかもしれません。ただ、その後妻が亡くなった場合、夫婦の全財産が妻側の直系尊属か兄弟姉妹へいくことになるため、夫の親族からすれば不満につながることも。死後の揉めごとを避けるために、夫婦で遺言を残しておく必要がありそうです。そして死んだ後に入るお墓について。子どもがいないため、供養されないのではと不安になりますよね。将来的な管理も気になるところ。「永代供養墓」というものがあるのをご存知ですか。お寺や霊園が家族の代わりに供養や管理をしてくれるお墓です。一式の費用を支払うだけで良いので安心です。また、「樹木葬」というものもあります。許可を得た専用の敷地に遺骨を埋葬し、墓石の代わりに樹木を植えます。こちらも一式の費用を支払うだけ。ペットの骨と一緒に埋葬できるところもあるので、さまざまな家族の形に対応しています。 子どもがいないということで、老後はさまざまな不安があるかもしれません。とりあえずすべきことは、お金を貯めておくことと、夫婦で老後の過ごしかたを話し合い、相続やお墓についても決めておくこと。子どもがいる・いないに関わらず、いつなにが起こるかわからないので、準備はしっかりしておくといざというときに安心です。素敵な老後が過ごせるとよいですね。 参考:人生100年時代突入?老後の不安を軽くする3つの考え方平成28年簡易生命表の概況老後の生活費は年金プラス月5万円で安心家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」まとまる子ども1人にかかる費用は3000万円もかかるって本当?老後の生活費27万円、貯蓄額2080万円相続人の範囲と法定相続分永代供養墓とは樹木葬とは
2018年05月15日「なんとなく怖い」「無駄遣いが増えそう」と、敬遠している人も多い電子マネー。だが、使う金額を設定できる“先払い式”なので、とても節約に向いているそう。さらに生活習慣に合わせたカードを選べば、効率的にポイントを貯めることができるお得なシステムだという。 「よく電子マネーは現金と比べて支払うときの痛みがないから節約には不向きという声を聞きます。それはちょっと違います。今回紹介する現金を自分でチャージする先払い式の電子マネーはチャージするときに痛みを伴うし、入れただけしか使えないから無駄遣い制限もかかる。使ってみると、これほど節約に向いたシステムはないと思います」 こう話すのは、日本初の電子マネー「Edy」(楽天Edyの前身)がサービスを開始した’01年から、電子マネーを利用している家事アドバイザーの矢野きくのさん。 「電子マネーを使った節約は、(1)使用額を自分で設定し守ることで家計をスモール化する、(2)電子マネーを使って付与されるポイントによる節約の2つが同時にできる点が大きなメリットです」 そこで、今回は普及が進んでいる4大電子マネーを例に、矢野さんが生活習慣にあったカードの選び方を解説してくれた。 【WAON】 イオンが発行するイオングループに特化した電子マネー。 「イオングループ以外にローソンやファミリーマートでも使え、どこで使った場合でも200円で1ポイント付与。コンビニではPontaやTポイントを提示して両方にポイントが付与される2重どりが可能です」(矢野さん・以下同) さらにイオンの店頭に空きペットボトル5本を持参すると1ポイントなど、さまざまなポイント付加のルールがあり、イオンを生活の中心にしている主婦にピッタリだ。 【nanaco】 セブン&アイが発行する電子マネー。同グループ会社で使うと100円で1ポイントが付与されるのが特徴だ。 「イトーヨーカドーやヨークマートなどのスーパーでは8の付く日に商品5%オフやポイント倍付けを実施。近所のグループ店のチラシをくまなく確認することで、効率よくポイントを貯められます」 またグループのそごう、西武百貨店での買い物では百貨店のカードと両方にポイントが付く。さらに化粧品などではメーカーのポイントはまた別に付けられるため、なんとポイント3重どりも可能。 「基本ポイントは100円で1ポイントと他社の2倍ですが、セブン&アイグループ以外の店舗(マクドナルドやデニーズなど)では200円で1ポイントになるなど、細かなルールを把握して賢く使うことが節約に直結します」 【楽天Edy】 日本でもっとも歴史のある電子マネー。ほとんどのコンビニで使え、使った場合は必ず200円につき1ポイントの楽天ポイントが付与される。 「ローソンではPonta、ファミリーマートではTポイントカードを提示することで両方にポイントが付く2重どりが可能。ほかに楽天市場の買い物で付与されたポイントも電子マネーに変換できるので、日常的に楽天を使っている人にはメリットが大きい」 【Suica】 4つのなかで、唯一IC乗車券機能を持つ電子マネー。 「これ1枚で全国の鉄道網に乗れるほか、支払いができるショップやサービスの提携先も急速に拡大。ただしポイントが付くのは限定されたJRE加盟店(JR東日本の駅ナカショップなど)のみ。鉄道運賃や加盟店以外での支払いにはポイントは付きません」 首都圏の駅ナカをよく利用する人にメリットが大きい電子マネーと言えそうだ。 このように、大手4社で支払いできるショップやポイントルールが大きく異なる。 「例を挙げだしたら切りがないほど各社で細則があるので、どれが自分の生活範囲で使え、ポイントバックできるかを把握することがなにより大事。自分がスーパー派かコンビニ派か駅ナカ派かなど、その人のライフスタイルで決まってくる。自分の買い物先でいちばんポイントが貯まる電子マネーがあなたにとっていちばん得なカードなんです」 あなたも電子マネー節約生活にトライしてみませんか?
2018年04月25日「よく電子マネーは現金と比べて支払うときの痛みがないから節約には不向きという声を聞きます。それはちょっと違います。今回紹介する現金を自分でチャージする先払い式の電子マネーはチャージするときに痛みを伴うし、入れただけしか使えないから無駄遣い制限もかかる。使ってみると、これほど節約に向いたシステムはないと思います」 こう話すのは、日本初の電子マネー「Edy」(楽天Edyの前身)がサービスを開始した’01年から、電子マネーを利用している家事アドバイザーの矢野きくのさん。今回は、そんな矢野さんに電子マネーを上手に活用する究極の節約術を指南してもらった。 「電子マネーを使った節約は、使用額を自分で設定し守ることで家計をスモール化できる点が大きなメリット」(矢野さん・以下同) 電子マネーを買い物に使ったことがない現金主義の人に話を聞くと「なんとなく怖い」「どこが得かわからない」といった理由が返ってくることが多い。なかでもいちばん抵抗があるのは「先払い」ということではないだろうか。じつはこの「先払い」こそ、節約につながる鍵なのだ。 「まずお財布から現金は1,000円札2枚だけ残して、小銭、クレジットカード類はタンスにしまう。ふだんの買い物に使うのは1枚の電子カードだけにします。ほら、なんとお財布が薄く軽くなったこと」 そしてひと月の食料品と日用雑貨の総額の約7割(6万円の家庭なら、月に3回、1万5,000円)を電子マネーにチャージすることにする。 「曜日ではなく、5日、15日、25日と日付でチャージを管理することがうまく節約する秘訣。10日間を電子マネーにチャージした1万5,000円だけでやりくりすることから始めてください」 単純計算だと、月6万円を4万5,000円でやりくりするのだから、最初は大変かもしれない。ただ電子マネーで支払うと、レシートにそのときの残高が記入される。 「それを見て、あと5日もあるのに5,000円しかないとか、すぐわかるので、それが無駄遣い防止につながるんです」 そしてもし途中で、電子マネーを使い切ってしまったら、あとは予備費として財布にいれておいた2,000円でなんとかやりくりして切り抜ける。 「このスタイルが身に付けば、10日間に3,000円以上は家計をダウンサイズできる。月に直せば1万円以上も貯金ができる計算。電子マネーに先払いして支出に制限をかけ、計画的に買い物せざるをえなくすることが電子マネー節約術の基本なんです」
2018年04月25日「現金とちがって電子マネーは支払額に応じて、ポイントが付与される仕組みがあります。ポイントを電子マネーに交換すれば、ポイント分安く買ったことになる。これがポイントによる節約です」 そう話すのは、日本初の電子マネー「Edy」(楽天Edyの前身)がサービスを開始した’01年から、電子マネーを利用している家事アドバイザーの矢野きくのさん。 「よく電子マネーは現金と比べて支払うときの痛みがないから節約には不向きという声を聞きます。それはちょっと違います。現金を自分でチャージする先払い式の電子マネーはチャージするときに痛みを伴うし、入れただけしか使えないから無駄遣い制限もかかる。使ってみると、これほど節約に向いたシステムはないと思います」 そこで今回、矢野さんに電子マネーを上手に活用する究極の節約術を指南してもらった。電子マネーのメリットは支払額に応じて付与される「ポイント」だ。 世の節約本などでは「ポイント集めは節約の敵」と記したものも多い。なぜなら、ポイントに目を奪われ、不必要なものまで買ってしまうことが多いからだが、矢野さんの視点は異なる。 「たとえばセブン-イレブンでの買い物で100円で1ポイントがつくnanaco。もしコンビニのワゴンに全く同じ商品が片や通常価格、片や1%オフで売っていたなら、あなたはどちらを買いますか?現金で買うか、電子マネーで買うかは、同じ選択をしているということなんです」(矢野さん・以下同) そして電子マネーのポイントは端数からすべて電子マネーに再チャージが可能。つまり無駄なく現金より0.5〜1%節約することができる。 「たった1%と思う人もいるかもしれませんが、いまや銀行の定期預金金利が0.01%の時代。銀行定期に入れているより100倍も得な計算。低金利時代だからこそ、大きなメリットがあるんです」 1万円の買い物で100円分のポイント。チリツモというなかれ、なのだ。 「ただし、電子マネーによっては、使えるショップやサービスですべてポイントが付くわけではありません。あなたの生活スタイルに合わせて、もっともポイントが付きやすいカードを選ぶのが肝心」
2018年04月25日「老後」。この言葉を聞いて、明るい気持ちになる人は、まずいないだろう。ほぼすべての人がが、「なんとなく、ブルーな気分」になるのでは?連載の冒頭から結論をいってしまうと、「お金に困らない老後生活を送りたい」と思うのなら、30代~40代の過ごし方(心がけ)が大事になってくる。それでは30代の人はどうすればいいのか? その不安から抜け出す対策について考えてみたい。■なぜ、30代から「老後」を考える必要があるの?ファイナンシャル・プランナーで、「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは言う。「老後はだれにでも必ず訪れる『事実』です」と。マネー分野では、よく「人生の3大資金」という言葉が使われる。人生の3大資金とは、「住宅ローン」「教育費」「老後資金」。このうち「住宅ローン」と「教育費」は、必要ない人もいる。けれども、「老後資金」だけは、だれもが「当事者になるお金」だ。この大金を準備するために、「自分がお金を稼げる時期」が終わるまでにやっておかなければならないことがいくつかある。「『なんとかなる』と思って、やるべきことをやらなければ、『老後貧乏』という形でツケを払うことになるかもしれません」(山中さん)■幸せの老後には、収入が多い・少ないは関係ない「老後の準備」というと、「できるだけお金をためておくこと」と思う人も多いだろう。けれども、山中さんは言う。「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことの方が命取りになります。」幸せな老後は、計画を立てて準備を始めることから。だからこそ、30代から、「老後」についてのイメージトレーニングを始めることに意味があるのだ。 ■現在、年金をもらっている人の平均額は?老後のイメージトレーニングとして、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている平均的な年金額を知ることから始めてみよう。 年金額280万円=夫(年額200万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫と専業主婦だった妻の年金額の平均は、280万円といわれています」(山中さん)年収280万円といえば、月収22万円くらい。ここから税金や社会保険料が差し引かれ、手取りは18万円程度となる。もっとも、この数字は、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている金額であり、いわゆる「もらえる年金額的には『裕福』な人」といわれている層がもらえる年金となる。■30代の人が「老後」になったときもらえる年金額では、年金制度が先細りになるといわれている、私たち30代~40代の年金額面はどれくらいになるのだろう? 年金額240万円=夫(年額160万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫の年金は160万円(年額)くらいに下がるといわれています。専業主婦だった妻の年金を現状のままもらえると考えて、240万円くらいが良いところでしょう」(山中さん)夫の年金額が下がるのだから、妻の年金額も下がることが予想される。つまり、年額240万円よりも年金額は低くなると考えておいた方が良さそうだ。次回は、「いま、30代の人が「老後」に足りなくなる具体的な金額」です。※この記事は2016年11月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月16日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ベストセラーになった『下流老人一億総老後崩壊の衝撃』の著者で、社会福祉士・社会運動家の藤田孝典さんは、「老後破産にいちばん陥りやすいのは、 年収700万円前後の現役時代に比較的収入に恵まれていた世帯である」という主旨のことを述べて広く国民に警鐘を鳴らしました。その反響は大きく、今では現役時代の収入にかかわらず、不測の事態によって誰でも老後破産に陥る恐れがあるということが常識として定着しつつあります。藤田さんは社会運動家の立場から、西欧の先進諸国に比べて著しく遅れたわが国の社会保障行政の問題点を鋭く指摘しますが、一方で老後貧困に陥りうつ状態を呈して訪れる患者さんたちの診察にあたっている精神科の医師の中には、「足るを知るという心の持ち方ができていないと、結局お金がいくらあっても精神的に充実したシニア・エイジを過ごすことはできない」と、異口同音に指摘する人たちが存在します。これからシニア・エイジを迎える者の一人として、皆さんと一緒に、今回はこの“知足”の思想 を重要視している複数の精神科医たちのアドバイスに着目してみたいと思います。●「退職後に数千万円が必要という言葉に惑わされてはいけない」と言う保坂隆先生『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』などの著書がある精神科医の保坂隆先生は、『マスコミやネット上に溢れる「退職後に数千万円が必要」といった言葉に惑わされてはいけない』と言っています。お金はその人の人生観やライフスタイル、家族状況、生活環境、健康状態などによっていくら必要になるかが全く違ってくるため、老後に数千万円は必要だといったような、金融資本ビジネスの立場から庶民の不安を煽るような言説を鵜呑みにしてはいけない ということです。また保坂先生は、**********『慎ましい暮らしでも明るく過ごしている人もいれば沢山お金を持ちながら不安でたまらないという人もいる。生き方を分けるのは、ものの捉え方である。人と比べず、不要な物は持たず、身軽に、自分流で、低く暮らし高く思う。このような心の持ち方ができていればシニア・エイジの毎日を心から楽しんで暮らすことは誰にでも可能である』**********と言っています。●「世間体を過剰に意識したらいくらお金があっても足りない」と言う吉本博昭先生次にご紹介するのは、“内観療法”という心理療法の第一人者でもある、医師で精神科アイ・クリニック(富山市)を開院する吉本博昭先生の見解です。現役時代に収入が比較的多かった人たちを、一転して“老後破産”へと追い込んでいく原因として最も大きなものが「病気」と「介護」であることは藤田孝典さんも指摘していますが、吉本医師は内観療法研究の機関誌『やすら樹』に寄稿した『医療と内観~知足(ちそく)~』という文章の中で、以下のような主旨のことを述べておられます。『知足(ちそく)という思想は中国の哲学者・老子が書いた「老子道徳経」に出てくるもので、「足るを知る者は富む」すなわち「今あるものの中に積極的に喜びを見出す生き方ができている者は幸いだ」という考え方である。老子の思想と数多くの共通点を持つ中国仏教の禅宗にも同様の概念があり、京都の龍安寺にある蹲踞(つくばい)に記された「吾唯足知(われ、ただ、たることをしる)」という言葉も老子の理念と同じ意味である。自分は精神科の医師として、「この患者さんは知足という考え方を持ってさえいれば病気にならなかったのではないか」と思うことがとても多い』そして吉川先生は、『境界性パーソナリティー障害とまでいえなくても、他人の生活水準より低いことを必要以上に恐れたり世間体を過剰に気にしていたらお金などいくらあっても足りないし、心身の健康という意味でもきわめて不安定な状態と言わざるをえない』といった主旨の結論づけをされているのです。●老後破産に陥ってしまった元プチ富裕層の人たちによく見られる傾向とはそれでは、保坂隆医師や吉本博昭医師らが異口同音に述べる“知足の心”という概念を念頭に置きながら、藤田孝典さんら社会福祉の専門家の人たちが共通して指摘する、“老後破産に陥ってしまった元プチ富裕層の人たちによく見られる傾向”についてまとめてみましょう。筆者がみる限り、ざっと次のような点を挙げることができます。●(1)持ち家にこだわるがゆえに身動きがとれなくなってしまった現役時代の収入に比較的恵まれている大企業のサラリーマンの場合、住宅ローンが難なく組めるがゆえに、ややもすると分不相応な持ち家や分譲マンションにこだわる傾向があります。同僚に対する見栄もあったでしょう。ところがこれが意外とくせもので、自分や家族が思いがけず大病を患ったり介護を要するようになったりしたときに、ローンがあるがために身動きがとれず 、賃貸住宅で暮らす人のように安い家賃の住居に柔軟に移ることができずに破たんしてしまう。こういうケースはしばしばみられます。●(2)学費が払えたがために無理をして子どもを私立学校に通わせてしまった私立の中高一貫校の学費を何とか払っていけるだけの収入があったがために、無理して子どもを私立に通わせ、生活が苦しくなってしまったというケースもよくみられます。無理をしてでも将来少しでも収入の高い仕事に就けるようにとの親心はわかるのですが、藤田孝典さんは言います。**********『最近では無理して私立中高・有名大学を卒業しても就職した会社が世間一般では一流企業と呼ばれているにもかかわらず内実はブラック企業で、うつ病になるとか、会社を辞めて再就職できないケースも多い。そうなると30歳前後の子どもを定年退職してから養わなければならず、親の年金頼みの子どもによって老後に経済破たんしてしまう例が珍しくありません』(『週刊現代』2015年11月6日号より)**********●(3)プライドのせいで定年後に就ける職がないため年金以外の収入が皆無定年退職後に20年〜30年もの人生が待っている今の超高齢化社会では、リタイアした後でも年金以外の収入があった方が安心です。ところが、現役時代に比較的高い収入を得ていたような人たちは中途半端なプライドが邪魔をして 、「警備員なんかできない」「駐車場の交通整理など無理」のように“○○したくない”が先に立ってしまう傾向があります。これに対し、比較的低収入だったシニアの人たちはつまらないプライドが無いため、倉庫管理員でも清掃作業員でも抵抗なくこなし、結果的に60代以降の継続的な収入では元プチ富裕層の方が少なくなってしまうきらいがあるのです。----------いかがでしょうか。上記の他にも、「一度手にした生活水準をどうしても落とすことができなかった」とか、「どうしても見栄があって第三者にSOSを発信することができなかった」といった傾向が指摘できるかもしれません。こういった傾向は、保坂隆医師や吉本博昭医師らが言う“足るを知る”という心の持ち方ができていないということと関連するように思いませんか?現役時代にそこそこ高収入であった人の方が老後破産に陥りやすい という傾向を“自業自得”のように評するのではなく、知足の心を持って生きないことには結局は誰しも穏やかで充実したシニア・エイジを過ごすことはできないのだということの教訓にすべきなのではないでしょうか。【参考文献】・『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』保坂隆・著・『一生お金に困らない老後の生活術』保坂隆・著・『下流老人一億総老後崩壊の衝撃』藤田孝典・著●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/TOYO
2016年11月22日こんにちは、ファイナンシャルプランナーでライターのyossyです。皆さんは、「老後破産 」という言葉を聞いたことがありますか?テレビ放送で“老後破産”している高齢者の現状が紹介されて以降、波紋を呼んでいます。今回は、老後破産とはどんな状況なのか、どんな人が陥りがちなのか、見ていきましょう。●年金だけでは生活していけない“老後破産”2014年9月に放送された、NHKスペシャル『老人漂流社会 “老後破産”の現実』。そのなかでは、多くの独居高齢者世帯が生活保護世帯よりも低い収入しかなく、困窮している現状が紹介されました。基本的には、収入が低いにも関わらず生活保護を受けておらず、破産状態にあることを“老後破産”と表現します。●老後破産に陥りやすい人の特徴5つでは、どんな人が老後破産しやすいのでしょうか。5つのポイントに分けて見ていきましょう。●(1)定年後は悠々自適の生活を送るつもりで、働く気がない「ずっと頑張ってきたんだから、定年後はゆったりとしたい」と考え、定年後に働かないでいると困ったことになるかもしれません。年金の受給開始年齢が定年よりも後だったら、その間は貯蓄で生活をつないでいくしかなくなってしまいます。貯蓄がみるみる減り、後々の生活がどんどん苦しくなっていってしまいますね。健康状態によっては働けない可能性もありますが、できる限り健康に気を配り、長く働けるようにしたいものです。●(2)生活レベルを下げられない意外と高収入だった人がなりがちとも言われる老後破産。現役時代よりも収入が減っているにも関わらず、無駄にプライドが高く、生活レベルを下げられない人 は多いものです。早い段階から長期的なマネープランを立てて、収入と支出のバランスを見て、冷静になっておく必要があるでしょう。●(3)貯蓄をせず、定年後に高額の支出が残っている住宅ローンの返済や子どもの教育費などの大きな出費は、現役時代にしっかり完済する、貯蓄しておくなどの対処をする必要があります。先延ばししておいた大きな出費は、老後の生活を苦しいものにさせてしまうのです。また、もちろん老後のための貯蓄も必要ですね。そういった貯蓄をせずに毎月の収入やボーナスを使い切ってしまっているなら、一度生活レベルを見直しましょう。早めが肝心です。●(4)プライドが邪魔をして人に頼れない「国の世話になるわけにはいかないから、生活保護は申請できない」「親族にはこの状況を知られたくない」など、プライドが邪魔をして誰にも相談できずに苦しんでいる 高齢者が多いと言います。早い段階から相談すれば、早く解決できるケースもあるでしょう。●(5)自分の老後やリスクを想像できていない人間、年をとれば病気しがちになり、医療費もかさみます。配偶者に先立たれる可能性や、介護をする可能性だって十分にあるでしょう。近年は若者の雇用が不安定なため、子どもが自立できなかったり、リストラされたりして同居するケースも増えているようです。そのときになってから、「老後の支出がこんなに多いなんて……」と後悔する前に、あらかじめ備えられるリスクには備えておきたいものです。----------生きていれば、誰もが年をとり老後を迎えます。「今は若いから関係ない」と楽観視していると、高齢者になってから苦しい生活を送ることになるかもしれないのです。住宅を購入するとき、子どもの教育プランを考えるとき、保険を検討するとき、毎日のちょっとした贅沢、その一つひとつが老後に影響を与える可能性もあります。ぜひ、早いうちから長期的なマネープランを立てておきましょう。【参考リンク】・老人漂流社会”老後破産”の現実 | NHKスペシャル()●ライター/yossy(フリーライター)
2016年10月03日こんにちは、ライターの渦マキです。今、増税や年金制度が重くのしかかり、老後を心配する中高年が増えています。「老後の資金として○千万円が必要」などさまざまな意見があり、焦りや不安を抱えて暮らしている人も少なくないでしょう。筆者は、現在自動車での移動が必須であるような田舎に暮らしていますが、ご近所の方たちはほとんどがこの近隣出身ではなく、お仕事を引退し、新築したり中古住宅を購入したりして“田舎暮らし”を選んだ年配の方たちです。ところで、持ち家と賃貸とでは、どちらが老後の生活に余裕が持てるのでしょうか?目次持ち家と賃貸、どっちが得?“都会に住み続けるか、引退後田舎暮らしを始めるか”という選択もさいごに●持ち家と賃貸、どっちが得?●持ち家の場合持ち家は、ローンを支払っていれば月々の負担は大きいもの。子どもの成長とともに家計の出費も増えていきます。働き盛りで夫婦共働きであれば負担は軽減されますが、支払いをしているあいだは大変です。しかしながら、終わってしまえば一気に楽 になります。●賃貸の場合一方賃貸は、家賃の支払いが一生ついてまわります。年収に対して家賃に占める割合が大きくなれば、それだけ生活に余裕がなくなっていきます。老後、年金で暮らしていくには当然負担が大きくなってしまいます。安い家賃の物件に引っ越すなどして、生活費の圧迫をくいとめるなど考えなくてはなりませんね。その代わり、住む場所を変える自由 はあります。筆者の近隣の方たちのように、引退後に田舎で暮らし始めるのもひとつの選択肢でしょう。都会にマンションを購入後、田舎暮らしを勧められてマンションを売却し、移動してこられた方もいるようです。高齢になってくると賃貸物件が借りにくくなるという話もあるそうなので、そこは気になるところです。おそらく、孤独死や認知症などの高齢者独特の問題を考慮してのことでしょう。若いころに比べて、すぐ引っ越して次を見つけるということがしづらくなってきますね。●“都会に住み続けるか、引退後田舎暮らしを始めるか”という選択もずっと都市部に住み続けるのであれば、若いうちにローンを組むなどして住居を持つことが理想です。年金暮らしの家計には、ローンの支払いは大きな負担となってのしかかってきます。年金をもらう年齢になる前に完済できるペースでの支払い計画を立てましょう。せっかく頑張って購入した家を手放してしまうことになれば、そのころは建物の価値は驚くほど下がっています。“家を購入する=財産が残る”という過度の期待は禁物 です。引退後に田舎暮らしを選択するのであれば、土地代や物価が驚くほど安いという利点があります。しかし、田舎では公共機関や医療機関も少なく、交通手段はほとんど車に頼ることになるという一面もあり、一長一短といえますね。●さいごに賃貸か持ち家か?どちらが得か?金銭面を考えれば、どちらも大差はないといえるでしょう。利便性が大事なのか、少し不便でもゆったりと暮らしたいのか。結論は、住む人の考え方にあるのではないでしょうか。忘れてはならないことは、“賃貸に住む”という選択をした場合、老後も家賃の支払いがあるということ。余裕をもって暮らすためには、働ける時期に蓄えをしっかりしておくことが大切になってきますね。【参考文献】・『荻原博子の金持ち老後 貧乏老後』荻原博子・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年09月28日投資教育先進国といわれるアメリカでは、子どものころからお金について学ぶ機会が多いのをご存じでしょうか。 幼稚園から高校までの義務教育でお金にまつわることを学習するのはあたりまえ。お金にシビアなアメリカならではの、子どものマネー教育について紹介します。■ローン大国アメリカアメリカ人はお金にシビアだといわれます。それはクレジットカード、ローン大国であることが影響しています。健康保険や医療費もほかの国と比べてかなり高額。個人がしっかりファイナンシャルプランを身につけていないと簡単に破産してしまう社会です。厳しい社会のなかで財産を得て資本主義社会のなかで勝ち残っていくために、投資に関する知識を深める人も多いのです。そんななか、幼稚園から子どもの年齢に応じてお金に関する教育が行われています。親からお金を増やすための株式投資などの知識を得るケースもめずらしくありません。■日本でマネー教育をしない理由一方、日本では、子どもがお金の話をするのはあまりよくないという風潮があります。株式投資はリスクのあることだと敬遠する人も多く、なかなか学ぶ機会がないのが現状です。考えられる理由としては、貯金文化が定着していることがあげられます。堅実にコツコツためる、まじめな日本人の気質ともいえるでしょう。■おこづかい制のメリットみなさんは子どもにお金を管理させていますか? 将来の金銭感覚を養っておくためにも、早めにお金に関する知識を身につけることが大事です。さまざまな考え方があるものの、たとえば、定期的におこづかいをあげることで、子どもは自分のお金を管理し、計画的に使うことを学べます。おこづかい制にするか悩んでいる方は検討してみてください。また、お手伝いの報酬としてお金をあげるのも方法のひとつです。自分の労働によってお金を得ることができ、何もしなければお金を得られないという仕組みを学べます。お金を計画的に使う感覚は、将来役に立ちます。子どもが大きくなったら、家庭の予算立てに参加させてみるといいかもしれません。
2016年07月16日クリスチャン・ベイル、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリングらが出演し、“リーマンショック”の裏側を軽妙なテンポで描いた『マネー・ショート華麗なる大逆転』。そのブルーレイ&DVDが7月6日(水)にリリースされることに合わせ、本作でプロデューサーも務めたブラッド・ピットの特別映像がシネマカフェに到着した。本作は、『マネーボール』の原作者マイケル・ルイスによる金融系ビジネスマンのバイブル「世紀の空売り 世界経済に破綻に賭けた男たち」に基づく物語。『俺たちニュースキャスター』などコメディ作品を多く手がけてきたアダム・マッケイ監督が、世界経済を襲ったリーマンショックの裏側でいち早く経済破綻の危機を予見し、ウォール街を出し抜いた実在の人物たちを豪華キャストで描き出し、評論家の圧倒的な支持を獲得。第77回ゴールデン・グローブ賞で3部門ノミネート、第88回アカデミー賞では5部門ノミネートされ、見事、脚色賞を受賞した。今回いち早く到着したのは、世界の崩壊を信じる変わり者を演じたブラッドの即興シーンや、ブラッドの出演に関するマッケイ監督のインタビューなど、ブルーレイ収録の特典映像の一部。ブラッドは、住宅バブルを好機と捉え、ウォール街で一旗揚げようと野心に燃える若き2人の投資家から相談を持ちかけられる元銀行家で、いまは一線を退いた実在の人物ベン・リカートを演じている。映像では、監督は当初ブラッドの出演は考えておらず、製作陣が真顔で“報告がある”とやってきたときは、ブラッドの出演決定ではなく「製作中止かと思った」というヒヤヒヤの裏話を明かしている。また、ブラッドが演じた伝説の銀行家・ベンは、気候変動や経済崩壊が自然破壊を促すと信じている変わり者として知られているが、彼の演技には説得力があった様子でスタッフたちも太鼓判。しかも、ブラッドがベンについてリサーチを進め、キャラクターを掘り下げた結果生まれた、遺伝子組み換えを批判する“タネ”のシーンは即興というから、要チェックだ。エンターテインメントとして楽しみながら、世界経済の動向についても知ることができる本作。ブルーレイ&DVDには、ほかにも実在の人物が登場したカットになったシーンや、クリスチャン・ベイルなどキャストのインタビューも収録される。『マネー・ショート 華麗なる大逆転』ブルーレイ+DVDは7月6日(水)より発売(同日レンタル開始)。(text:cinemacafe.net)
2016年07月04日スリリングにスピーディに展開するクライム・サスペンスかと思いきや、拝金主義を風刺し、勝者と弱者の格差を増幅させる社会問題にまで鋭く切り込んだ『マネーモンスター』。ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツという2大スターの競演も話題だが、娯楽性と知性派ストーリー、エモーショナルな人間ドラマが見事に融合した良質なハリウッド映画としても注目を集めている。監督は、名女優としても知られるジョディ・フォスター。8年ぶりの来日を果たし、作品に込めたフィルムメーカーとしての想いをシネマカフェに語ってくれた。取材部屋に入ると、ブルーのパンツスーツに身を包んだフォスター監督が、「ジョディよ、よろしく」とにこやかな笑顔とともに手を差し出して迎えてくれる。子役としてデビューを果たしてから50年以上、ショービジネスの第一戦で活躍し続けているトップスターだが、とても気さくだ。立ったままのスタッフに、「あそこにも椅子があるから座ったら」と気配りも見せる。いざインタビューという段になると、するりとパンプスを脱ぎ、カウチに胡坐をかいて、リラックスした表情を見せてくれた。まず、最初に脚本を見せたのが主役を演じたジョージ・クルーニーだったという話からスタート。「役にぴったりだと思ったの。観客はジョージが演じるリー・ゲイツに最初に出会った時、きっと彼を好きになれない。エゴが強いし、惰性で生きているし、酒グセも悪いし、人への思いやりがない。自分を見失っている状態の人だから。番組をジャックされると、臆病な反応を見せるしね。でも、観客は段々と彼の状況を理解していくの。いくら有名なTVパーソナリティでも、人生で失敗しているから自己評価が低いんだなと。ところが、それが事件をきっかけに変化していくの。ある意味、彼は映画の最後でふたたび人間である自分を取り戻すことができる。だからこそ、最初は嫌われるかもしれないけれど、変化し、観客を引きつけ続ける、そんな役者が必要だったの」。ジョージがTVパーソナリティとして番組の頭で滑稽なダンスを披露するのだが、それは彼のアイディアだったそう。「今回はジョージがダンスしたいと言ってくれたのが嬉しかった。何しろ、100%コミットしてくれて、自ら笑いものになるぐらいのショーマンシップを見せてくれたことが、映画のためにもなったの。ただ、常にアドリブを取り入れるかどうかは、映画の種類によるわね。プロットがはっきりしていて、セリフが多いと脚本がしっかり詳細まで書き込まれているから、アドリブ自体取り入れにくいし。でも、監督として私自身は、役者のアイディアを頼りにしているところがあるから、こういう提案は大好きよ」。共演には、ジョージとの相性が良いジュリア・ロバーツだ。「彼女は“AMAZING JULIA ROBERTS”なの!彼女以外にこの役は考えられないぐらい素晴らしいの。ジュリアのキャスティングが決まってから、より役を掘り下げることができ、よりヒロイックなキャラクターにすることができたわ。もともと、2人が演じたキャラクターは強い絆で結ばれている必要があったの。劇中では、実際に一緒に登場するのは冒頭と終りだけ。撮影でも2人が同じ現場で演技をしたのは2日ほどなの。とてもバーチャルな共演だったから、強いケミストリーがなければいけなかったの。だから、2人から生まれるマジックが必要だったのよ」。大スターである2人が共演しているというだけでなく、幅広い観客が楽しめる良質な社会派娯楽作であるこの作品は、最近ではハリウッドであまり見られなくなったジャンルの映画とも言える。「そうね。こういうタイプの映画は、もうあまりハリウッドで作られなくなったわね。それは、スタジオが商業的な戦略としてシリーズもの、スーパーヒーローものを多く作っているから。今後はもっと観られなくなるかもしれないわ。でも、インテリジェントでチャレンジングでユニーク、オリジナルな映画を観たい観客が多くいると信じているの。作品を作るとき、観客がそれを観るのが大きいスクリーンか、アイフォーンか、ケーブルかなんて気にしない。私は映画を観てもらえればいいと思っているの。『マネー・モンスター』は一般向けのペースの速いスリラーでもあるけれど、キャラクターの心理描写も丁寧にしたし、意味深い作品だと思うわ。観客に観たいと思ってもらえれば嬉しいけれど」。本作のモチーフであるお金というものは、人の本性、価値観を如実に見せるものだとつくづく感じられる。社会的成功者として、映画監督として、お金の価値というものをどう感じている?「今回登場する男性キャラクターは、みな自分の人間としての価値を見いだせずに葛藤しているの。いまの文化では、自分の価値をはかるときに、ものさしとしてお金や知名度を意味深いものとして使っているところがあるわよね。ジョージ演じたリーに関しては、少なくとも冒頭ではそう。確かにお金にはそういう側面はあると思う。アメリカや日本のような先進国で生きていると、自分がどんな人間であるか見えにくくなる。そのときに、最初に自分が勝者なのか敗者なのかをお金や地位、名誉で測りたくなる気持ちは分かるわ。でも私にしてみれば、いままでいろいろな人とふれあってきた経験というものが最も人の価値として重んじられるべきだと思うの。それは、金銭的な財産や仕事、ましてや賞などで測れるものではないわ」。ショービズ界といえば、知名度やギャランティで重要度が測られがちな世界。そこで人生におけるほぼすべての時間を生きてきた監督が、いったい健全な価値観をどのように育んできたのだろう。「どうかしら。とにかく、やりたかったことは昔から変わらないの。映画を作るということよ。映画を作るアーティストとして生きることで、地に足を付けていられる。私の場合、小さいときから公の目にさらされる立場だったから、なるべくリアルでありたいと思ったし、リアルであることに目が向くのかもしれないわね。子どもとして、自分の実人生を奪われそうになることが多かっただけに、自分が大切にするもの、矜持の持ち方を自然に身に付けたのかもしれない。これは仕事、これは私の人生というふうに、わけて考えることでそういう感覚を保っているのかもしれないわ」。先日、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムにも名前を刻んだ監督。名実ともに、ハリウッドスターとして映画史に名を刻んだわけだ。今後は、女優業との割合はどのようになっていくのか。「いまは、監督業に専念したいの。27歳で初長編を撮って、それから4本の映画を作ったけれど、決して数としては多くない。もちろん、その間も休んでいたわけではないし、役者としてのキャリアも積んだし、2人の子育てもしているから、とても満足している。でも、監督をするなら100%コミットしなければいけないの。企画と出会って、“さあ、今だ”というタイミングが来たときに、チャンスを逃がしたくない。ただ、これまで50年以上も演技をしてきた自分にとって、演技をすることはほかと比較することはできないぐらい素晴らしいことだから、止めることはないわ」。監督業にますますの意欲を見せるジョディ・フォスター監督。小さい頃から慣れ親しんできた日本文化が大好きだと話し、いつかこの独特な文化を作品に反映させられたらと考えているとか。その“いつか”も心待ちにしつつ、今後のジョディ・フォスターの活躍に注目したい。(text:June Makiguchi/photo:Kyoko Akayama)
2016年06月08日ジョディ・フォスターが監督を務めるリアルタイム・サスペンスに、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツという豪華キャストが集結した『マネーモンスター』。本作で、全米高視聴率の人気番組を突然占拠する謎の男カイルを演じた、ジャック・オコンネルの特別映像が到着。生放送番組をジャックしながら、実はちょっぴり“ダメ男”というキャラクターを好演した彼の魅力に迫った。本作は、司会者リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の軽快なトークと財テク情報で高視聴率を稼ぐ、TV番組「マネーモンスター」の生放送中に起きた衝撃の事件を描く緊迫のリアルタイム・サスペンス。製作も兼任して主演したジョージと、敏腕番組ディレクター、パティ役のジュリアが、『オーシャンズ12』(05)以来、実に11年ぶりの共演を果たしていることでも話題だ。そんな中、番組をジャックする謎の男カイルを演じたのは、アンジェリーナ・ジョリー監督作『不屈の男アンブロークン』にも抜擢された25歳の英国俳優ジャック・オコンネル。今回解禁となる映像では、ゲイツが番組で指南したとおりに、母親の遺産をまるごと投資してしまい、文字どおり全財産を失ってしまうカイル役を好演した彼にフィーチャーしている。まさにダメ男なキャラのカイル。その一方で、自分が行動することで「ほかにも大損した人が大勢いるはず。真実を明らかにする」という、強い信念をもっている部分が映し出されていく。ただのダメ男ではなく、なんだか憎めない魅力を発揮しているのは、ジャック・オコンネルの演技力の成せるところ。そんな彼の演技を、フォスター監督は「才能あふれる俳優」と絶賛、共演者のジョージも「確かに危険だが、救いの手を差し伸べたくなる男だ」と語るキャラクターを見事体現した彼には、製作陣も太鼓判を押している。ジョニー・デップやヒュー・グラントも、かつて魅力的なダメ男を演じたことで高い評価を得てきた。この世代きっての演技派ジャック・オコンネルが演じる、ダメ男・カイルにもぜひ注目してみて。『マネーモンスター』は6月10日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年06月08日ジョディ・フォスター監督のもと、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツという2大スターがそろった『マネーモンスター』。このほど、第69回カンヌ国際映画祭での正式上映のため、“全員アカデミー賞受賞者”のこの3人がカンヌ入りし、レッドカーペットほか公式イベントに参加。ジュリアにとっては、今回が初めてのカンヌ体験となった。現地時間5月12日(木)に同映画祭のメイン劇場である、2,300席もの規模を誇るリュミエール大劇場にて盛大にガラ上映が実施された本作。実はジュリアの主演作品がカンヌ映画祭で上映されるのは、長年のキャリアで今回が初めて。この夜は、ジュリアにとってカンヌ・レッドカーペット初体験となった。一方、ジョディのカンヌ初体験は、1976年パルム・ドールを受賞した『タクシードライバー』で、自身の監督作がカンヌで上映されるのは2011年のメル・ギブソン主演『それでも、愛してる』以来、5年ぶり2回目となった。初カンヌのジュリアは、レッドカーペットに「Giorgio Armani Prive」のブラックのオフショルダー・ドレスに「Chopard」のエメラルドとダイヤのネックレスに身を包み、颯爽と登場!しかも、そのジュリアのドレスは、『プリティ・ウーマン』のオペラ観劇のシーンで彼女が着ていた有名な赤いドレスを彷彿とさせると話題に。ベストフレンドにして、劇中でも息の合ったところを見せたジョージらとレッドカーペットで喜びのビッグスマイルを見せ、数多くの報道陣やファンに盛大に迎えられた。ジョージはもちろん、アマル夫人を伴って登場。途中アマル夫人とジュリアという2人の美女を“両手に花状態”でレッドカーペットを闊歩し、歓声を浴びていた。また、正式上映終了後は、約4分にわたる盛大なスタンディングオベーションを受けたという。ジョディ監督は涙をこらえた表情を見せ、ジュリアも目に涙を浮かべ“カンヌの洗礼”に感激の様子だった。さらに本プレミアには、ジェシカ・チャステインやスーザン・サランドン、ナオミ・ワッツ、ジュリアン・ムーアら、ハリウッドのスター女優たちも駆けつけており、監督・出演者らを祝福した。この正式上映に先立って行われたプレス用スクリーニングでも、1,000席の劇場が満席状態となり、立ち見が出るほどの盛況ぶり。この時点で、カンヌで「最も話題にされている」(most talked about film at Cannes)映画と太鼓判を押されている。<記者会見コメント>■ジョージ・クルーニー財テク番組「マネーモンスター」司会者リー・ゲイツ役ジョディは信じられないほど才能のある監督だけでなく、信じられないほど才能ある俳優でもある。だから、彼女は俳優たちとどういう風に話すかを心得ているんだ。ジョディは俳優たちが色んなことにチャレンジする安全な場所を作ることに長けているんだ。例えば、すごくかっこ悪いダンスシーンとか(劇中、ジョージはダンスを披露!)。ジョディの仕事の仕方は考えられ得る、最もプロフェッショナルなやり方だ。俳優でもあり監督でもある人との仕事は、素晴らしい経験だった。■ジュリア・ロバーツ「マネーモンスター」ディレクター パティ・フェン役カンヌに来るのはこれが初めてよ。本当にここはクレイジーね。そして素晴らしいわ。映画の祝典ですもの。すぐ隣には親愛なる友人ジョージがいて、私がどこにでもついて回りたくなるようなジョディがいて。夢が叶ったわ!素晴らしい以外の何ものでもないわ。ジョージが脚本を送ってくれて、すごく気に入ったの。そしたら、ジョージが「OK、だったらジョディと話してくれ!」って。ジョディと私は電話で話して、2人ともとても興奮したわ。それから実際に、TV局のスタジオやコントロールルームで素晴らしい仕事をすることになったの。すごくハードワークだった。それが映画の中に現れているかわからないけど(笑)でも私の心の中にはそう刻まれているわ。しかもジョディはそれを知っててくれている。私はただ、いつもジョディにいいところを見せたくて頑張っていたようなものね(笑)■ジョディ・フォスター監督カンヌにいるのは特別な時間だわ。初めてここに来たときはまだ12歳(『タクシードライバー』にて)だった。あのころはもっとカオスだったわ。フォトグラファーがあちこちにいて。長いこと俳優をやってきて、たくさんの映画を作ってきたけれども、俳優としての人生のまさにスタートだった。パルム・ドールも受賞したの。あれから40年たって、監督としてここカンヌに戻って来られたことは素晴らしく名誉なことだわ。ここは作家主義の映画監督の場所だから。自分が尊敬する素晴らしい映画監督たちとこの場に立てて、ファンタスティックだわ!この映画を好きなところは、山ほどあるわ。最も好きなのは、キャラクター同士の関係性よ。パティ(TV ディレクター)とリー(司会者)、そしてカイルというジャック犯(ジャック・オコンネル)の3人の人生が交錯し、ある午後に人生が一変してしまうような奇妙な関係性よ。監督をしたことのある俳優(ジョージ・クルーニー)と仕事をすることほどラッキーなことはないわ。『マネーモンスター』は6月10日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月13日マネーフォワードは4月5日、ビジネス向けクラウド型会計ソフト「MFクラウド会計」などのデータを活用して、「MFクラウドシリーズ」のユーザが、金融機関からの資金調達を行うことを可能にする新たなFinTechサービス「MFクラウドファイナンス」を、2016年夏のサービス提供を目指して開発することを発表した。同サービスを利用することで、「MFクラウドシリーズ」のユーザは、従来よりも少ない手間と短い時間で、金融機関からの資金調達が可能となる。また、金融機関は、日次の財務データ・入出金データ・請求データなどのリアルタイム性の高いデータを活用した新しい審査モデルの開発や資金提供先の拡大が可能になるほか、審査書類提出の手間の軽減、審査時間の短縮といったメリットが期待できるという。同サービスは、資金提供を実行する金融機関、審査の基礎となるデータの信頼性を向上させる会計事務所、資金調達の仕組みを提供する同社の連携により提供されるとのこと。提携先の金融機関は下記9社となる。みずほ銀行静岡銀行住信SBIネット銀行山口フィナンシャルグループクレディセゾンGMOペイメントゲートウェイ群馬銀行滋賀銀行東邦銀行
2016年04月05日日本テレビで放送された投資バラエティ番組『\マネーの虎』の中国版が、今年5月から放送されることが4日、明らかになった。この番組は、一般人が夢の実現のため、その事業計画を投資家たちにプレゼンし、出資されるかどうかの様子を描くもの。この番組フォーマットが、イギリスやアメリカをはじめ、世界26の国と地域で放送されているが、今回の中国版は、初のアジアでの展開となる。番組タイトルは『合伙中国人』(=中国ビジネスパートナー)。ニューヨークで上場したオンライン教育事業のトップや、巨大インターネットサイトのCEOなど、中国で有名な企業家が続々と参戦することになっており、億単位の巨大マネーが飛び交う、世界最大規模になりそうだという。現在、北京のスタジオで制作作業が進んでおり、放送枠は毎週日曜プライムタイムの60分で、全12話を予定。日本テレビの君嶋由紀子海外ビジネス推進室長は「この番組をご覧いただいた中国の視聴者の方が、自分の夢をかなえるきっかけとなる番組になれば、こんなに喜ばしいことはありません」と期待を語っている。なお、2005年から放送されている英・BBC版はシーズン14に、2009年から放送されている米・ABC版はシーズン8の放送が決定しており、人気シリーズとなっている。
2016年04月04日【ママからのご相談】45歳の専業主婦、高校生の子どもが1人おります。最近さまざまな雑誌やWebのコラムなどで、老後に必要となってくる資金が3,000万円などという記事を目にして愕然としています。私は、どちらかといえばお金をためることが苦手で、 主人にも「考えなしに余分なお金を使いすぎる」と注意されています。貯金ももちろん考えていますが、現状のムダな支出を減らすことから始めたいです。手近なところから何を変えていくべきでしょうか。●A. まずは日常のムダを減らす心がけを。ご相談ありがとうございます、ライターの渦マキです。老後に必要な資金が3,000万円!?詳細については筆者も後ほど調べてみたいと考えていますが、都会と田舎とでは多少誤差がある と思われます。いずれにしても、今から貯金をしておくに越したことはないですね。そうは言っても、相談者さまの子どもさんはまだ就学中。何かと出費がかさみますので貯金もままならないでしょう。今は“増やすこと”よりも“減らすこと”を考える時期ではないでしょうか……。減らすこととは、ご主人さまも指摘されている“余分な出費”のことです。身近なところから“ムダな支出”の見直しを図るべきかもしれません。●日常生活のムダ遣い習慣4つ長年、無意識に続けているため、ついつい気づかなくなっているムダな習慣。この行動をやめてみるとかなり節約につながってきます 。●(1)つけっぱなし・出しっぱなし照明やキッチンの水を当然のごとく“ぱなし”状態にしていませんか?こまめに消す習慣をつけましょう。●(2)電気ポットで一日中お湯を保温必要に応じてやかんや電気ケトルでお湯を沸かしましょう。●(3)給湯パネルのつけっぱなし考えている以上に待機電力がかかっています 。●(4)コンビニ・100均での不必要な買い物なんとなしにコンビニにブラッと立ち寄ることが癖になっていませんか?“新発売”という文字に誘われて、惰性で1,000円以上の金額をレジで支払うことがままあるものですね。100均では、「安いから」という理由で、いま必要がないものも買い込んでしまいます。----------以上4つの習慣をなくすことで、約1万円の節約 になります。ちなみに筆者宅は、(1)〜(3)までは実施できていました。主人と結婚してから、厳しく注意されながら変えていき今に至ったという感じでしょうか。結婚前までは筆者はこういった節約術には無頓着で、長年一人暮らしに慣れていた主人の方がしっかり身に付いていたといえるでしょう。相談者さまも、苦手な部分はご主人さまと協力しあいながら生活をより良い方向に変えていってはいかがでしょうか。「より良い老後は、夫婦で築いていくもの」ということを念頭に、モチベーションを上げていきましょう。【参考文献】・『PHPくらしラク〜る♪(2016年4月号)』PHP研究所●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年03月30日まだまだ先のように思える老後のこと。しかし高齢者の貧困問題が話題になっているいま、老後に対して経済的な不安を感じる人は少なくありません。そこで考えたいのが、老後の生活の支えとなる年金のこと。会社員として働きながら、将来もらえる年金額をアップさせるにはどうすればいいのでしょうか。今回は、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、年金を自分で増やす方法について伺ってきました。早い段階から、老後に向けた準備をしていきましょう。■1:攻めの「個人型確定拠出年金」で年金を増やす会社が企業年金を実施していない場合は、個人型の確定拠出年金に加入することで節税メリットと60歳以降の年金の増額を狙えます。会社員のおよそ2,000~2,200万人が対象となり、自営業の方も利用可能です。個人型確定拠出年金は、原則60歳まで解約不可。60歳以降であれば年金もしくは一時金として受けることができます。年金受け取りの場合は、5~20年で分割受け取り。受け取りの方法は、自分で自由に選択できます。ただし10年以上の加入期間が必要となるので、40代のうちに加入しなければ60歳から支給されません。城山さんは「現実的には40代前半から少しだけの掛け金で加入しておいて、子どもが独立したら掛け金を多くするという形が望ましい」といいます。個人型確定拠出年金の最大のメリットは、掛け金すべてが所得控除対象となること。そして個人年金をやるよりも節税メリットのおかげで、元本割れのリスクがほとんどないことです。また個人型確定拠出年金が“攻めの年金”と呼ばれているのは自分で運用先を選ぶことができるから。運用次第では高額のリターンも望めるのです。城山さんも「ぜひ、検討してほしい年金です」と勧めています。■2:守りの「財形年金」 で年金を増やす会社が財形制度を実施していて、55歳未満であれば財形年金を利用できます。元本550万円までの範囲で、利息が非課税となります。積立方法は、毎月の給料や夏・冬のボーナスからの天引き。積立期間は5年以上が必須です。たとえば54歳で加入し、5年間積み立てをして増やすこともできます。「最近でこそ低金利であるため魅力が低下していますが、給与から直接天引きされ確実に積み立てられます」と城山さん。なかなか老後のための貯金ができない人にもよさそうです。財形年金の受取期間は、満60歳以降に5年以上20年以内。保険商品の場合は、終身受け取りも可能です。積み立て終了から年金受け取り開始まで、5年以内の据置期間(積立てを行わない期間)も設定できます。財形貯蓄は、確定拠出年金にくらべると”守り”の年金増額になるとのこと。そんなに増えることはありませんが、しっかりと確実に積み立てができるのです。■3:70歳まで「厚生年金」に加入しながら年金を増やす70歳まで厚生年金に加入すると、70歳時に年金受取額が再計算されます。65歳以降ずっと厚生年金に加入していれば、65歳から70歳までの厚生年金の期間を含めて年金受取額が計算されるため、年金額も増えることになります。また65歳以降、途中から厚生年金に加入した場合には、その時から70歳までの厚生年金の加入期間を含めて年金受取額が計算されます。65歳以降70歳まで厚生年金に加入していなければ、70歳時の再計算はありません。ただし65歳未満で働くのと65歳以上で働くのではいくらかの違いがあるそうです。城山さんは「一定の収入がある場合、年金が一部減額または全額減額になるので、どれだけ働くかは注意が必要です」とおっしゃいます。基本的に、年金は裁定請求(受け取る手続き)してもらえるもの。みなさんは「厚生年金」と「厚生年金基金」とでは、請求先が違うことをご存知ですか?厚生年金は、国が運営する公的年金制度。厚生年金基金は、企業によって実施される年金制度のひとつです。城山さんは「これを知らない人が意外と多く、年金をもらい忘れている人が多い」と指摘します。厚生年金は日本年金機構に請求となり、厚生年金基金は加入期間が10年以上の場合はその基金に、10年未満の場合は企業年金連合会に請求を行います。10年未満の場合は自動的に基金から連合会に移換されるのです。しかも厚生年金基金は、1ヶ月以上の加入期間があれば受給することができます。60歳からの受給が可能なため、自分の「ねんきん定期便」などの加入記録の中で厚生年金基金の名称がある場合は、注意が必要だといいます。平成24年度のデータによれば、厚生年金基金の請求漏れの未請求者は13.7万人。企業年金連合会の請求漏れの未請求者は133万人と、受給権者数に対する未請求者の割合は合計20.4%となり、およそ5人に1人が請求していないのが現状だそうです。城山さんは、「結婚などで氏名が変わった、引っ越しをしたという方は60歳にもなっても基金、連合会から連絡がないので自分から請求をしないと忘れられた年金となってしまうので注意して下さい」と話します。おぼえておきたいですね。*会社員だからこそ利用できる制度を使うことで、受け取れる年金額を増やすことができます。余裕のある老後生活を実現するためにも、いまから老後資金について真剣に考えていきましょう。(文/椎名恵麻) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。 【参考】※厚生年金基金等の未請求者の状況について-厚生労働省
2016年03月27日マネーフォワードは3月25日、個人向け自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」シリーズ、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウド」シリーズ、住信SBIネット銀行の顧客向けサービス「マネーフォワードfor住信SBIネット銀行」において、住信SBIネット銀行が提供するAPIとの公式連携を開始したことを発表した。住信SBIネット銀行のインターネットバンキング利用者は、今回の連携により、今後はIDやパスワードを預けることなく、「マネーフォワード」や「MFクラウド」シリーズにおいて、同行の残高情報や入出金履歴などを確認することが可能となる。なお、同APIを利用する際には、同行の認証基盤(Oauth2.0準拠)を用いて認証される仕組みとなっている。マネーフォワードは、引き続き金融機関が提供するAPIとの公式連携を推進していく構えだ。
2016年03月25日連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。○貯蓄目標額はとりあえずでもいいから決める!正社員のサラリーマンなら、20代のうちに200~300万円の資産は作っておきたいものです。もちろん、人それぞれ、会社による収入の多寡や、住宅手当や学生時代の奨学金の返済の有無など、家計の事情は異なります。しかし将来結婚するときに標準的にかかる費用や新生活を準備するための費用は大きく違いません。また、マイホームを購入する場合も、住みたい地域と間取りが同じであれば、準備すべき資金はあまり変わりません。20代の社会人は、まず貯蓄習慣を身につけましょう。貯蓄習慣があれば、よりまとまった資金が必要になる30代、40代が楽になります。独身の方は、将来の選択肢がたくさんあって不確定要素も多いため、貯蓄の目的があいまいになりがちです。ですから、とりあえずでもよいので「貯蓄の目標額」を決めましょう。目的があいまいでも、目標が明確であれば、やる気は出てくるものです。家計の収支から考えて非現実的な目標額を設定しても意味がありませんが、ここでは「30歳までに300万円」を貯めるやり方を考えてみましょう。300万円あれば、結婚費用や新婚旅行費用、新生活準備費用などは十分にまかなえ、ある程度貯蓄があるゆとりのある状態で新しい生活をスタートするができるでしょう。○毎月積立額、ボーナス積立額を決める!まずは、毎年の積立額を決めましょう。単純に考えると、毎年積立額は以下の計算式で決まります。毎年積立額=300万円÷(30歳-現在の年齢)たとえば、現在24歳の方の毎年積立額は、300万円÷(30歳-24歳)=50万円となります。次に、毎年積立額を達成するために、毎月の給料や年2回のボーナスからいくら積み立てるかを決めましょう。1年間で50万円を蓄える場合は、毎月1万円とボーナス1回19万円、毎月2万円と1回ボーナス13万円、毎月3万円と1回ボーナス7万円、毎月4.2万円と1回ボーナス0円などの組み合わせがあります。○給与天引きの仕組みを活用する!給与天引きの税金や社会保険料が、高い金額の割に痛みを感じないのと同じように、貯蓄も給与天引きを活用すれば、楽に財産形成をすることができます。■社内預金制度勤務先に社内預金制度があればぜひ活用したいものです。定期預金の標準的な金利が0.01%という超低金利の現在、預金の利息で増やすことはできません。しかし社内預金は優遇金利が設定されているはず。仮に金利が1.0%であったとしても、一般の金利の100倍です。多くの場合、限度額が設けられていますが、断然有利な制度です。できるだけ活用するようにしましょう。■財形貯蓄制度多くの会社には財形貯蓄制度があるはずです。財形貯蓄制度には「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類があり、「住宅財形」と「年金財形」には一定額までは利息が非課税になる優遇がありますが、使い道が「住宅取得」や「老後資金」に限定されています。超低金利のため非課税メリットがほとんどない現在は、用途制限がない「一般財形」を選んではいかがでしょうか。■NISA(少額投資非課税制度)給与天引きでNISA(少額制度非課税制度)が活用できるようにした会社が近年増えています。そんな会社に勤務しているのであれば、NISAを活用してはいかがでしょう。NISAは、1年で120万円までの株や投資信託への投資資金から得られる譲渡所得や配当金、分配金などの収益に5年間税金がかからない優遇制度です。値動きのあるリスク商品への投資になるため元本割れの可能性があります。そのため積立額の全部ではなく、一部をNISAに振り向けるようにしましょう。たとえば、毎月3万円の積み立てをする場合、2万円で社内預金や財形貯蓄を活用し、残りの1万円でNISAに活用するといった具合です。NISAでは、販売手数料や信託報酬の安い投資信託を使うとコストがかからないため効率的な運用をすることができます。投資信託などのリスク商品は、元本割れの可能性がある代わりに、預金を上回る高い利回りを期待することができます。20代のうちにある程度の財産形成をしておくと、その後の選択肢が増えます。財産を作ることは経済的な自由を手に入れることにもつながります。まずは目標を設定し、やりくりを工夫して積み立てをスタートしましょう。※写真と本文は関係ありません○執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)FPオフィスワーク・ワークスのHP
2016年03月23日