こんにちは、ライターの渦マキです。今、増税や年金制度が重くのしかかり、老後を心配する中高年が増えています。「老後の資金として○千万円が必要」などさまざまな意見があり、焦りや不安を抱えて暮らしている人も少なくないでしょう。筆者は、現在自動車での移動が必須であるような田舎に暮らしていますが、ご近所の方たちはほとんどがこの近隣出身ではなく、お仕事を引退し、新築したり中古住宅を購入したりして“田舎暮らし”を選んだ年配の方たちです。ところで、持ち家と賃貸とでは、どちらが老後の生活に余裕が持てるのでしょうか?目次持ち家と賃貸、どっちが得?“都会に住み続けるか、引退後田舎暮らしを始めるか”という選択もさいごに●持ち家と賃貸、どっちが得?●持ち家の場合持ち家は、ローンを支払っていれば月々の負担は大きいもの。子どもの成長とともに家計の出費も増えていきます。働き盛りで夫婦共働きであれば負担は軽減されますが、支払いをしているあいだは大変です。しかしながら、終わってしまえば一気に楽 になります。●賃貸の場合一方賃貸は、家賃の支払いが一生ついてまわります。年収に対して家賃に占める割合が大きくなれば、それだけ生活に余裕がなくなっていきます。老後、年金で暮らしていくには当然負担が大きくなってしまいます。安い家賃の物件に引っ越すなどして、生活費の圧迫をくいとめるなど考えなくてはなりませんね。その代わり、住む場所を変える自由 はあります。筆者の近隣の方たちのように、引退後に田舎で暮らし始めるのもひとつの選択肢でしょう。都会にマンションを購入後、田舎暮らしを勧められてマンションを売却し、移動してこられた方もいるようです。高齢になってくると賃貸物件が借りにくくなるという話もあるそうなので、そこは気になるところです。おそらく、孤独死や認知症などの高齢者独特の問題を考慮してのことでしょう。若いころに比べて、すぐ引っ越して次を見つけるということがしづらくなってきますね。●“都会に住み続けるか、引退後田舎暮らしを始めるか”という選択もずっと都市部に住み続けるのであれば、若いうちにローンを組むなどして住居を持つことが理想です。年金暮らしの家計には、ローンの支払いは大きな負担となってのしかかってきます。年金をもらう年齢になる前に完済できるペースでの支払い計画を立てましょう。せっかく頑張って購入した家を手放してしまうことになれば、そのころは建物の価値は驚くほど下がっています。“家を購入する=財産が残る”という過度の期待は禁物 です。引退後に田舎暮らしを選択するのであれば、土地代や物価が驚くほど安いという利点があります。しかし、田舎では公共機関や医療機関も少なく、交通手段はほとんど車に頼ることになるという一面もあり、一長一短といえますね。●さいごに賃貸か持ち家か?どちらが得か?金銭面を考えれば、どちらも大差はないといえるでしょう。利便性が大事なのか、少し不便でもゆったりと暮らしたいのか。結論は、住む人の考え方にあるのではないでしょうか。忘れてはならないことは、“賃貸に住む”という選択をした場合、老後も家賃の支払いがあるということ。余裕をもって暮らすためには、働ける時期に蓄えをしっかりしておくことが大切になってきますね。【参考文献】・『荻原博子の金持ち老後 貧乏老後』荻原博子・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年09月28日“隠れ貧困”という言葉が話題になっています。これは、ある程度まとまった収入があり、平均的な生活を送ることができるはずなのにもかかわらず、一切貯金がない状態のこと。何かあったらすぐに生活が破綻してしまう、“貧困予備軍”です。実は30年前、貯蓄ゼロという家庭は4.5%しかありませんでした。しかし、金融広報中央委員会の調べでは、いまや貯蓄ゼロの家庭は30.6%にものぼります。(2015年調べ)。約3世帯に1つの割合で存在する隠れ貧困ママ。彼女らにはいったいどのような特徴があるのでしょうか。今回は自分が“隠れ貧困”かもしれないと思っているママたちに、その実態をインタビューしてみました。●(1)マウンティングされたくない! “SNS貧困”ママSNSは気軽に近況の報告ができ、ママ友たちとやり取りができる便利なもの。しかし、“すてきなキラキラママ”を演出するため、行き過ぎた散財をしてしまう女性は少なからずいるようです。『子どもつながりでできたママ友たち。彼女らのSNSを見てみたらみんな驚くほどキラキラしていた。家事と育児しかしておらず、みすぼらしい自分がバカにされそうで 、何とかついていこうと必死になってしまった。それからというもの、週末はネイルサロンに行き写真をアップ、ホテルランチをして写真をアップ、ホームパーティをして写真をアップ、スクールに入って写真をアップ。長期休暇は必ず海外旅行して写真をアップ……。そんなことをしているうちに貯金が底をついて生活費にまで手を出してしまい、主人に大目玉をくらって我に返りました 』(30代女性/主婦/世帯年収700万円)SNSで繰り広げられるリア充アピール合戦。マウンティングされまいと必死になっている現代ママの闇の深さがうかがえるエピソードですね。●(2)子どもにだけは一流の教育を与えたい! “教育費貧困”ママ一方、ポストバブル世代に多いのが“教育費貧困”のママたちです。『就職超氷河期になんとか正社員になったものの、出産で退社。その後は手に職もなく、パートを渡り歩くしかない人生の私。ふたりの娘にはそんな人生を送らせたくないので、絶対に一流大学に入れたいと思っています。塾、ピアノ、水泳教室、家庭教師などのお稽古ごとは週6日。長女は私立中学に入学させることができました。エスカレーター式で大学までついているのでひと安心。次女も同じ中学に入れるつもりでいます。世帯年収は900万円台ですが、貯蓄は全くありません 。教育費で全て消えますが、投資なので仕方がないと思っています。自分たちの老後?娘が面倒を見てくれるはずです(笑)』(40代女性/パート勤務/世帯年収900万円)40代前後のママたちは受験戦争や就職難、不況、デフレ、リストラといった厳しい現実を乗り越え、堅実に生きてきました。そのため自分の子どもには同じような思いをさせたくないと願い、教育につい力を入れすぎてしまう傾向があります。このため、教育費が生活費を圧迫するほど高額になり、貯蓄ができないとあえいでいる世帯が多くなりがちなのです。●(3)いつだって輝いていたい! “自分大好き貧困”ママ最後に紹介するのはこちら。世代を問わず多い、“自分大好き貧困”ママです。『自分に何もなくなるのがイヤで、どうしても許せないんですよね。社会から取り残されたくないし、いつまでも美しくいたい 。英会話とクッキングスクール、ヨガなどに週4日程度通っています。お付き合いがたくさんあり、とても充実した毎日を送ることができています。主人も多趣味なので、お互い干渉せず好きなことをしている感じですね。貯金は世帯で50万あるかないかですが、特に不安はありません。食べるものも住むところもあるし、何ひとつ困ってませんから』(20代女性/事務職/世帯年収650万円)結婚して子どもはいるけれど、家庭におさまりたくない。生活感が出るのもイヤだし、自分の好きなことを思う存分楽しみながら過ごしたい。そのためには出費もいとわない……浮き彫りになるのはそんなママたちの姿ですね。●隠れ貧困に陥らないためには“50歳”がターニングポイント!隠れ貧困は“下流老人”へつながる道でもあります。働くこともできず、年金額も十分ではない。日々の生活はカツカツで、何とか食べていくのもやっと……そんな苦しい老後は迎えたくありませんよね。“隠れ貧困”に陥らずに安心な老後を迎えるために、30代、40代は、何を目標にしたらいいのでしょうか?経済ジャーナリストで『隠れ貧困』(朝日新書)の著者でもある荻原博子さんはその著書の中で、**********「50歳でプラスマイナス・ゼロ」を目指せばいい**********と述べています。50歳で貯金はないけれど借金もないという状態が、老後の勝ち組 。それまでは借金をせず、持っている現金を増やしていくことにポイントをおくといいということです。ローンやクレジットカードの支払いは40代までのあいだに極力キレイにしておきたいですね。----------いかがでしたか?今回紹介してきたように、隠れ貧困女性の多くは“自分が貧困予備軍である”という自覚がありません。衣食住は確保できており、ぱっと見た感じその暮らしは問題なく送れているからです。しかし、ジワジワと将来をむしばむ隠れ貧困はとても恐ろしいもの。心当たりがある方は、もういちど家計を見なおしてみてはいかがでしょうか。●文/パピマミ編集部
2016年08月09日いま、年収が多くても貯金できない家庭が問題になっています。年収750万円以上1,00万円未満の家庭の11.2%、1,000万円以上1,200万円未満では13.5%、1,200万円以上では11.8%が金融資産ゼロ、というデータもあります。『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家庭』(荻原博子著、朝日新聞出版)の著者は、テレビでも人気の経済ジャーナリスト。著者がこれまでに取材してきた“高収入なのに貯金できない家計”をヒントに、老後破綻をきたさない家計を考えてみましょう。■人生には「3つの大きなお金のハードル」がある本書では、「年収800万円ありながらも、ローン返済や教育費を払うと毎月の収支は赤字」といったケースが示されています。こうした、大きな無駄をしているわけではないのに貯金ができず将来が不安な家計を、著者は「お金の生活習慣病」と呼びます。こんな状態では老後も不安。そのため、ローンを長期に組みなおすなどして家計に余裕を持たせ、「若いうちから退職までに何万円貯めよう」という考えになりがちです。しかし著者は、そんな発想に“待った”をかけています。「30代、40代で老後の準備を始めるのは合理的ではない」というのです。人生には、「住宅ローン」「子どもの教育費」そしてその後にくる「老後資金」という3つの大きなお金のハードルがあります。著者によれば、貯金できない家計の問題の根本は“貯金ができない”こと自体ではなく、ハードルを越える“順番”を見極められていないこと。まず「住宅ローン」「子どもの教育費」をクリアしてから「老後資金」に着手すべき、というのが著者の主張。そして、30~40代の目標は「ズバリ、家計を“50歳でプラスマイナスゼロ”に近づけておくこと」。仮に貯金ゼロでも、現役時代に住宅ローンさえゼロにできるなら「老後の勝ち組といっても過言ではない」とまでいいます。■住宅ローンの返済は「早ければ早いほどおトク」そのために、30~40代は貯蓄できなくてもまず繰り上げ返済で住宅ローンをできるだけ早く返し終えることが得策、と著者は訴えます。その理由は2つ。ひとつは、早めに返すほどおトクだということ。多くの人が、最初に利息を多く払う「元利均等方式」でお金を借りているため、早い時期に多めに返済することで利息分が大きく減るのです。買ったばかりの時期に約100万円繰り上げ返済をすれば、約100万円分の利息を払わずに済むそう。これは、なんと100万円投資して200万円手にするのと同じことなのです。そして、住宅ローンを早く返し終われば、それまでローンで支払っていたお金を貯金に回せる点。たとえば年間150万円をローンで払っていた場合、そのお金は“ないもの”として生活してきているので、家計に大きなメスを入れなくても年150万円の貯金をすることが可能なのです。年間150万円のローンを50歳で終えれば、その後60歳で退職するまでに1,500万円貯めることができます。妻がパートに出るなどすれば、2,000万円も見えてきます。■まずは「住宅資金を用意すること」に専念すべきもうひとつ、著者が指摘するお金の使い方は「住宅ローンの頭金をなるべく多く出す」こと。ここでもハードルの順番をよく考えて行動することが大切になってきます。教育資金や老後資金として別に貯めていると、必然的にその分住宅ローンの頭金に割ける金額は少なくなるもの。しかし著者は「まずは目前の住宅資金を貯めることに全力投球しましょう」と断言します。頭金を多めに用意できれば、住宅ローンもその分少なくなり、返済を早めたり貯蓄をしたりする余裕が出て、教育資金も貯められます。最も教育費がかかる大学入試から大学卒業までの数年間を乗り切ることができれば、今度は老後資金に全力投球することができるのです。「お金には色がついていない」と著者はいいます。その時々、手元にあるお金をもっとも使わなくてはいけないところに集中的に使っていくことで、効率的なお金の使い方ができるというわけです。*公的年金が目減りしていくなか、30~40代の若い世代にとって「老後資金をどうつくっていくか」は大問題。しかし著者は、「30~40代は、年金より現金」を肝に銘じよと訴えます。遠い将来を不安がり個人年金などを検討するよりも前に、まずは足元固め。確実に借金を減らす方が、効率よく家計を回すことができるのです。本書では、平均より収入が多くても効率的なお金の使い方をしていないばかりにお金の生活習慣病に陥っている家計を詳細に分析。そこから逆説的に「効率的なお金の使い方」を導き出しています。また、高収入でも収支がマイナスになるケースなど62の具体的なお悩みをQ&Aの形で解説。自分の家計に即、活かせるアドバイスを見つけることができます。収入が増えてくる50代、そして老後に借金家計に陥らないために、30~40代で読んでおきたい1冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※荻原博子(2016)『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計』朝日新聞出版
2016年04月24日