カネヨリマサルが4月30日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにてワンマンライブを開催した。同公演は、現在開催中の全国ツアー『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』の7公演目にあたるもの。また、カネヨリマサルにとって約1年ぶりの東京ワンマンでもあり、メンバーのいしはらめい(Ba/Cho)は「あれから1年が経って、こんなにでっかい会場でやらせてもらって、しかもソールドしたんですよ!みんなのおかげです。こんなに幸せな景色を見させてくれてありがとうございます」と笑顔とともに感謝を伝えた。ちとせみな(Vo/Gt)の「最高のライブにします!」という宣言からライブはスタート。1曲目からバンドの演奏は力強く、思いきり楽器を掻き鳴らすメンバーは終始笑顔だ。充実したツアーをまわれていること、そして「ライブハウス楽しんでこうね!よろしく!」と挨拶する彼女たち自身が誰よりもこの場を楽しんでいることが早速伝わってきた。つい最近、人生で初めてマイドラムセットを購入したもりもとさな(Ds/Cho)は、ツアー3本目の新潟公演から新たな相棒とともにライブに臨んでいて、旅とともにドラムの音が育っていくのを楽しみにしているそう。全国各地のファンと作ったサウンドが今後のカネヨリマサルを形作る一部になるだなんて、とてもロマンティックだ。ちとせみな(Vo/Gt)熱量の高い演奏を前に、観客は拳を上げて大盛り上がり。さらに、コンサート開催におけるガイドラインが緩和されたため、今回のツアーからマスクを着用した上で観客の声出しもOKに。疾走感溢れる「二人」では、高まる気持ちを体現したバンドの演奏に誘われる形でフロアからシンガロングが起こった。また、声出しOKということは、コール&レスポンスももちろん可能。「リキッド、元気ですか?」(いしはら)、「イェーイ!」(観客)、「気持ちいい!もう1回やっていい?」(いしはら)といったやりとりが微笑ましい。いしはらめい(Ba/Cho)今年1月25日にメジャー1stフルアルバム『わたしのノクターン』をリリースし、ビクターエンタテインメント内のレーベル・Getting Better Recordsよりメジャーデビューしたカネヨリマサル。ライブではアルバム収録曲を中心に、これまでの活動を彩った様々な楽曲を演奏した。ライブの後半では、サポートギタリストを入れた4人編成で楽曲を披露。ツインギターでパワフルに攻める「背中」など、新編成でも抜群のアンサンブルを聴かせてくれた。もりもとさな(Ds/Cho)ちとせ曰く、「今まで育ててもらった場所をまわって、お礼をしに行くようなツアー」だという『いまを生きるツアー』。カネヨリマサルが恵比寿LIQUIDROOMのステージに立つのは2019年11月の『TRUST NIGHT 2019』以来3年半ぶりだが、当時は「自分たちを観に来てくれた人がこの中にどれくらいいるのだろうか」という不安もあり、思った通りのライブができなかったという。9年もバンドを続けていれば、悔しい想いをする機会も少なくないだろう。しかし一つひとつの経験が3人を強くさせ、バンドを輝かせた。メジャー1stアルバムを完成させた今、自分たちの音楽を信じて、地道に歩んできた9年に間違いはなかったと確信することができている。顔を上げれば、自分たちと同じようにカネヨリマサルの音楽を信じ、慕ってきたファンでいっぱいのフロアが目に映る。ぐっと涙をこらえながら「ずっとやってきたことがちゃんと届いてたんやなって、今は思っています」と、ちとせ。そして、「自信のない私たちやけど、満員のLIQUIDROOMに立たせてもらえているのは、見つけてくれて、チケットを買ってくれて、聴きに行こうって思ってくれたみんなのおかげ。そして、私たちの音楽を信じて、育ててくれたスタッフさんのおかげやと思ってます」と万感の想いを込めて「26」を歌い鳴らした。悔しさや悲しさ、寂しさを全て歌に変え、地道に、一歩ずつ進んできた彼女たちの音楽は、人の痛みに寄り添えるやさしい心を持っている。「生きるの全部、お疲れ様!今日は来てくれてホンマにありがとう!」(ちとせ)というメッセージがどこまでも温かく感じられた夜だった。『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』は6月25日の大阪・心斎橋BIGCAT公演まで続く。ツアーのチケットは、キャパシティ緩和につき追加販売中の広島公演を除き、全公演ソールドアウト済みだが、若手バンドの登竜門と言われる「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」をはじめ、カネヨリマサルは今後も様々なイベントやフェスに出演する。バンドの“今”を感じられる機会をお見逃しなく。Text:蜂須賀ちなみPhoto:タマイシンゴ<ツアー情報>カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”※終了分は割愛『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』告知画像5月19日(金) 福岡・LIVEHOUSE CB開場18:00 / 開演18:30ゲスト:MOSHIMO5月20日(土) 広島・Live Space Reed開場18:00 / 開演18:30ゲスト:ammo6月25日(日) 大阪・BIGCAT開場17:00 / 開演18:00※ワンマンライブ<配信情報>カネヨリマサル EP『グッドバイ / タンブラー』配信中カネヨリマサル『グッドバイ / タンブラー』ジャケット配信リンク:関連リンクカネヨリマサル オフィシャルサイト:カネヨリマサル Twitter:カネヨリマサル Instagram:カネヨリマサル YouTube:カネヨリマサル TikTok:
2023年05月15日「1年半くらい前かな?このツアーを計画したときはこんなに多くのオーディエンスが来てくれるなんて想像もしていませんでした。たとえ会場に50人、100人くらいの人しかいなくてもベストを尽くそうと信じてこの北米ツアーを決めたんです。それが、結果的にこんなに素晴らしい光景をみんなが実現してくれました。初めてなのに完全ソールドアウトの北米ツアー。本当に信じられないよ」ステージ上で野田洋次郎は噛みしめるようにそう言った。RADWIMPSが現地時間4月29日と4月30日の2日間にわたり自身初となる北米ツアーのファイナルとしてニューヨーク公演を開催した。この北米ツアーは日本を代表するロックバンドが、掛け値なしに世界規模で自らの音楽を響かせるという夢が現実のものとなった物語の第一章であり、未来を生きる日本人アーティストたちがそれを叶える可能性と間口をも広げる旅だった。まず、記憶を2020年に巻き戻そう。本来、RADWIMPSはデビュー15周年を迎えたこの年に初のドーム公演を含む国内ツアーや北米を皮切りにワールドツアーを開催するはずだった。しかし、言うに及ばず新型コロナウイルスによるパンデミックが全世界を覆い尽くし、その全公演が中止となった。それでもバンドは折れることなく前進することを選び、間断なく新曲を発表し続け、2021年11月には10枚目のフルアルバムとなる『FOREVER DAZE』をリリースした。そして、2016年8月公開の『君の名は。』、2019年7月公開の『天気の子』に続き、2022年11月に公開された新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』のサウンドトラックも手掛けた。その後、同作は199もの国と地域で公開され、3月下旬に封切られた中国本土での興行収入は日本を上回る8億元(157億円)を突破するなど、世界中を席巻している。映画はメキシコで4月13日、北米では4月14日に公開初日を迎えた。4月16日にカリフォルニア州サンノゼからスタートしたRADWIMPSの北米ツアーはまさに絶好のタイミングで開催されたことになる。ちなみにこの北米ツアー中に出た全米映画ランキングで『すずめの戸締まり』は7位にランクイン。約1年半前から北米ツアーのスケジュールが組まれたことを思えば、このタイミングの重なりもまた奇跡的と言っていい。RADWIMPSの北米ツアーは、前出のサンノゼを皮切りに4月18日にロサンゼルス、22日にメキシコ、24日にシカゴ、26・27日にカナダのトロントと、タイトなスケジュールで進行し、そして29日と30日のニューヨーク公演へたどり着いた。特筆すべきは初の北米ツアーにして上記の全公演がソールドアウトになったこと。ほとんどが3000~4000人収容の会場で、中でもロサンゼルス公演の会場となったYouTube Theatreは約6000人キャパを誇るのだから、これは間違いなく快挙だ。さらにニューヨーク公演も当初は29日のみの開催予定だったが、早いタイミングでのソールドアウトを受けて、急遽30日も追加されたのである。もちろん、この快挙の理由として一連の新海誠監督作品がもたらした影響の大きさは計り知れない。ただ、RADWIMPSが今回の北米ツアーで自らに課したこと、そして達成したことは新海誠作品という巨大な扉から入ってきた現地のオーディエンスたちをその独立した音楽力をもって引き込み、またいつか絶対に彼らのライブを体感したいと思わせた点にある。筆者がニューヨーク公演で目撃した熱狂は、その揺るぎない証左でもあった。両公演を観たうえ、この稿では主に2日目の模様を記していきたい。会場のPalladium Times Squareはブロードウェイと44番街の角にあり、まさにニューヨークのど真ん中に位置するベニューだ。前方から中央にかけてスタンディングフロア、後方にはスロープ状に設置された椅子席がありライブハウスとホールが融合したような縦長の造りになっている。2200人収容キャパで、オープン前から長蛇の列を成していたニューヨークらしい多様な人種のオーディエンスたちによって埋め尽くされた会場の光景は壮観だった。開演時刻の20時を数分過ぎたころに日本で言うところの前説=間もなくライブが始まるというアナウンスからオーディエンスは歓喜の声を上げ、オープンニングのSEとともにメンバーがステージに現れると、その様相は叫びに近いものとなった。バンドの編成は野田洋次郎、桑原彰、武田祐介に森瑞希とエノマサフミのツインドラムを加えた5人編成。ここからヨーロッパ、日本国内のライブハウスツアー、アジアと続いていくためセットリストの詳細な記述は避けるが、新海誠作品の主題歌群を映像演出とともに要所要所に散りばめながら、RADWIMPSというロックバンドの肉体性を5人編成で際立たせるにはうってつけの構成だった。序盤で披露された「グランドエススケープ」(『天気の子』主題歌)や「前前前世」(『君の名は。』主題歌)、終盤の「カナタハルカ」(『すずめの戸締まり』主題歌)における、イントロの時点で示されたオーディエンスのヴィヴィッドな反応に新海誠作品の影響力をまざまざと感じた。それと同時に、海外で目撃するライブだからこそあらためてRADWIMPSの楽曲がいかに繊細なコードや旋律、重層的な生楽器のアンサンブルとシーケンスの組み合わせによって編まれているかを俯瞰的に思い知るという新鮮さもあった。あるいはRADWIMPSがここまで強靭なグルーヴをたたえたバンドであることに驚きを覚えたオーディエンスも少なくなかったかもしれない。自らピアノを弾く楽曲を除き自由なフォームでステージを縦横無尽に躍動する野田と、下手側と上手側でそれぞれダイナミックにギター、ベースをプレイする桑原と武田のアクションに対してダイレクトに呼応するように会場の熱量は右肩上がりに上昇していった。特に「おしゃかしゃま」で野田が指揮者となり各パートのソロバトルが繰り広げられる日本ではお馴染みのセクションでは、緩急自在のグルーヴを浴びてステージ横にいたセキュリティーさえも我慢できないとばかりに身体を大きく揺らしていて、非常に痛快だった。「音楽は言語や国境の壁を越える」という言説は疑いようのない真理だと思うが、バンドがオーディエンスと温度差なく交歓するうえで、野田がネイティブといって遜色のない流暢な英語でメッセージを届けられるのも大きなストロングポイントだったと思う。「昨日と今日のライブのこと、いや、この北米ツアーすべてのことを絶対に忘れません。こんなにオーディエンスの反応があることを想像していませんでした。僕らの想像をはるかに超えてます。本当に夢のようです。ありがとう。桑原と僕は22年前に出会ったんだけど、22年後にこうやってニューヨークでステージに立っているなんて、まったく想像してなかった。みんなのおかげです。これからも僕たちは音楽を作り続けます。その音楽でこれからもみんなを楽しませ続けたいと思うし、音楽とエンターテイメントで繋がっていけることを願ってます」この日、RADWIMPSは〈ロックバンドなんてもんを やっていてよかった 間違ってなんかない そんなふうに今はただ思えるよ〉という歌い出しから始まる「トアルハルノヒ」も響かせたが、そこに込められたバンドの思いはどこまでもリアルな温度で迫ってきた。オーディエンスが一体となった「ワン、モア、ソング!」の連呼に応えて、バンドは3曲のアンコールを演奏。ライブを終えると野田がフロア前方にいたオーディエンスからたくさんのメッセージが書き込まれたフラッグや星条旗を受け取り、メンバーは鳴り止まない歓声を背に名残惜しそうにステージをあとにした。終演後、ドレッシングルームで10分ほどメンバーに話を聞くことができた。北米ツアーを終えたばかりの彼らの言葉を残し、このニューヨーク公演のライブレポートを閉じたいと思う。──今日のニューヨーク公演を観てもあきらかですが、間違いなく今回の北米ツアーに特別な手応えを覚えていると思います。ライブ直後ですが、その思いから聞かせてください。野田最初から最後まで想像を超える体験でしたね。全公演ソールドアウトしたことも最初は信じられなかったし、今日もお客さんの期待にちゃんと応えたいなと思いながらステージに立ってました。武田ニューヨーク公演も当初は1DAYの予定だったのが、チケットがすぐにソールドアウトして2DAYSやることができて。これだけ僕らを迎えてくれる人たちがいて、実際のその人たちを目の前にしてあれだけの熱量を浴びると、本当にグッとくるものがありましたね。桑原本当に最初に予想していた形とは180度違う反応があって。こんなに温かく迎えてもらえるとは思ってなくて、演奏する側としてもものすごくテンションが上がりましたし、本当にまた来たいなと思います。──昨日と今日のニューヨーク公演はいろんな人種のオーディエンスが集まっていましたね。やはり各地でお客さんの層や反応に違いはありましたか?野田ニューヨークはやっぱり大都市なんだなって。今回の北米ツアーの中で日本人も含めて一番アジア系の人がいて、ヒスパニック系の人も多かったという印象です。逆にメキシコ公演はほとんどメキシカンのお客さんで。シカゴもアジア系の人もいたけど、8割は地元の人だったと思います。各地でそれぞれ異なる空気感があって、どのライブも印象的でしたね。──ツアー初日のサンノゼ公演はどうでしたか?野田前情報がなかった分、サンノゼが一番感動したかも。いきなりお客さんの熱量がすごかったから。武田サンノゼは野性的というと違うかもしれないけど、ダイレクトに「待ってました!」という反応を感じられて。そのあとのロス公演はまた都会的なお客さんだったという印象で、その違いも面白かったです。野田ロス公演はキャパが6000人というアリーナ級に広い会場だったから、余計に俺らも探りながらライブをしてる感じはありましたね。──本来であれば2020年7月に開催されるはずだった北米ツアーが、パンデミックを経て3年後の今、さらには『すずめの戸締まり』の北米公開タイミングと並走するように実現したことにも不思議な巡り合わせを感じていると思います。野田本当に。狙ってもできないタイミングだし、「そうか、こういうことだったんだな」と感じるところもあります。武田サンノゼに到着してからみんなで『すずめの戸締まり』を観に行ってね(笑)。桑原英語吹き替え版のほうをね(笑)。野田ライブのお客さんのリアクションからもすごいタイミングでツアーができてるなと思いましたね。あとは、バンドとしても映画から派生した以外の部分をしっかり見せたいという思いは今回のセットリストを作るときからあって。──それはすごく感じました。RADWIMPSというロックバンドのダイナミズムを体現するという気概を持ったセットリストだなと。野田アフターで会った関係者やロスだったらポーター・ロビンソンも来てくれたんですけど、いかに俺たちがフィジカルなバンドとして面白かったかということを伝えてくれて。今日も現地でインタビューしてくれた人が言ってくれたけど、アニメファンの人たちが知らなかったRADWIMPSの部分を出せて伝わったという手応えがあったし、それはすごくうれしかったですね。──今日もセキュリティーの人が音に反応してましたよ。野田受付の人も「めっちゃいいバンドだね」って言ってくれてたみたいで。武田うれしいなぁ。──ここから海外はヨーロッパ、アジアツアーと続いていきますが、この北米ツアーで得たものをどうアウトプットしていきたいですか。野田ヨーロッパとアジアはさらに映画の熱がものすごいことになっているし、アジアツアーはほぼ全会場、2、3時間で即完しているので。ライブを観られない人のほうが多い状況だから、北米とはまた違う熱量で迎えられると思うんです。そこでもしっかり次に広げる種を植えられるようなライブをやりたいですね。武田ライブでヨーロッパに行くのは8年ぶりで。だいぶご無沙汰してますけど、『君の名は。』以降でRADWIMPSの存在を知ってずっと待ってくれていた人たちもいっぱいいると思うので。ようやく来れましたという思いをしっかり届けたいですね。桑原ヨーロッパツアーはまだ行ったことのないスペインでのライブもあるし今からすごくワクワクしてます。──今後は日本と両軸で海外のオーディエンスと向き合う時間が増えていくと思います。そのうえでRADWIMPSとして実現したいことを最後に聞かせてもらえたら。野田「日本のバンドがここまでの規模で北米ツアーをやるのは奇跡的なことだよ」と現地の人が口々に言ってくれて。いろんなきっかけが重なって実現したツアーだったけど、こういうきっかけが繋がっていけば日本の音楽があたりまえに伝わっていくと思うし、それはものすごく大きなチャンスだと思うんですね。俺らはもう20代ではないし、40代に近づいていて。だから、RADWIMPSがどうこうというよりは、日本の音楽、日本の文化が持っている面白さをちゃんとした方法で提示すれば伝わるという前例になれたらいいなと思うんです。今はRADWIMPSがその役割の一端を担っているけど、ここから次々、ドバドバと日本のアーティストが世界に開いていくきっかけに確実になりたいし、そういう気持ちでこのツアーに臨んでますね。「日本を知ってくれてありがとう。ちょっと引っ込み思案で口下手だけど(笑)、面白い音楽やその他の文化がいっぱいありますよ」という感覚です。──バンドやシンガー、ラッパーも含めて海外のオーディエンスに紹介したい日本のアーティストもたくさんいるだろうし。野田本当にそうで。「RADWIMPSが好きだったら、このアーティストもどう?」という思いがめちゃめちゃある。そういうことを実現したいですね。──希望の間口が大きく広がる北米ツアーだった。野田うん。きっと「RADWIMPSができるなら、俺らも」って思ってくれる日本のアーティストはいっぱいいるだろうし、それってめちゃめちゃポジティブなことで。もしそのアーティストが20代とか、ましてや18歳くらいだったら俺はたまらなくうれしいです。20年前の自分が今のRADWIMPSの状況を見たら羨ましいと思うだろうし。だからみんなもどんどんチャレンジしてほしいし、俺らが伝えられることは全部伝えたいです。Text:三宅正一Photo:Takeshi Yao<配信情報>RADWIMPS「KANASHIBARI feat.ao」配信中RADWIMPS「KANASHIBARI feat.ao」配信ジャケット配信リンク:<番組情報>テレビ朝日系24局ドラマ『unknown』毎週火曜 21:00~21:54 放送中ドラマ『unknown』メインビジュアル公式HP::::『unknown』予告動画(120秒)<ライブ情報>RADWIMPS BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 20236月13日(火) 愛知県・Zepp NagoyaOPEN18:00 / START19:006月14日(水) 愛知県・Zepp NagoyaOPEN18:00 / START19:006月21日(水) 神奈川県・KT Zepp YokohamaOPEN18:00 / START19:006月22日(木) 神奈川県・KT Zepp YokohamaOPEN18:00 / START19:006月26日(月) 大阪府・Zepp Osaka BaysideOPEN18:00 / START19:006月27日(火) 大阪府・Zepp Osaka BaysideOPEN18:00 / START19:007月4日(火) 東京都・Zepp Haneda(TOKYO)OPEN18:00 / START19:007月5日(水) 東京都・Zepp Haneda(TOKYO)OPEN18:00 / START19:007月11日(火) 福岡県・Zepp FukuokaOPEN18:00 / START19:007月12日(水) 福岡県・Zepp FukuokaOPEN18:00 / START19:00特設サイト: European Tour 20235月21日(日) London / Roundhouse5月24日(水) Barcelona / Paral·lel 625月26日(金) Cologne / Palladium5月28日(日) Paris / Salle Pleyel5月30日(火) Berlin / Columbiahalle詳細はこちら: Asian Tour 20237月21日(金) 韓国・ソウル / YES24 Livehall7月23日(日) 台湾・台北 / Zepp New Taipei7月25日(火) マレーシア・クアラルンプール / Zepp Kuala Lumpur7月27日(木) タイ・バンコク / Union Hall7月30日(日) インドネシア・ジャカルタ / Basket Hall Senayan GBK詳細はこちら: Official HP:
2023年05月10日乃木坂46『32ndSG アンダーライブ』の最終公演が4月27日(木)、東京ガーデンシアターにて開催された。当ライブは4月5日から東京、大阪、愛知の3都市4会場で全8公演を実施。クライマックスとなる東京ガーデンシアター公演は4月26日、27日の2日間にわたり、両日とも約8,000人、計1万6000人を動員。さらに、27日の最終公演のみインターネットでの生配信も行われた。32ndシングル『人は夢を二度見る』のアンダー楽曲「さざ波は戻らない」参加メンバーによる本公演は、1期生と2期生が卒業して以降初めて3〜5期生のみで行われる新体制のアンダーライブ。ダブルセンターの伊藤理々杏&林瑠奈を中心に、これがアンダーライブ初参加となる5期生を迎えた総勢15名(休演中の中村麗乃、岡本姫奈を除く)で乃木坂46の新たな歴史を刻んでいった。ステージ前に青空を描いた幕が垂らされる中、会場が暗転するとライブは突如「新しい世界」からスタートする。アンダー初参加となった思い出の楽曲を3期生の5人(伊藤理々杏、阪口珠美、佐藤楓、向井葉月、吉田綾乃クリスティー)が情熱的にパフォーマンスし、曲中には伊藤が「私たちが新しいアンダーライブを作ります。だから、ついてきてください!」といった力強いメッセージもフィーチャーされた。続いては、北川悠理、黒見明香、清宮レイ、林瑠奈、矢久保美緒が4期生初参加となったアンダー楽曲「マシンガンレイン」を、さらに5期生の池田瑛紗、小川彩、奥田いろは、冨里奈央、中西アルノがアンダー楽曲の原点でもある「左胸の勇気」を披露。最後に全メンバーが勢揃いし、伊藤&林の「アンダーライブ、スタート!」をきっかけに「Overture」へと突入。ここから観客のボルテージは急加速していった。アンダーライブでは本シーズンが声出し解禁公演。オーディエンスが思い思いのメンバー名をコールする中、幕が開いたところで「さざなみは戻らない」からライブは本格的に開始する。3、4期生が存在感の強いパフォーマンスを見せる中、5期生が必死で食らいついていこうとすることで、統一感の強いステージを構築。また、「ここにいる理由」「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」といった王道のアンダー楽曲では、それぞれ林、伊藤が単独センターを務め、先輩たちの作り上げたオリジナルを踏襲しつつも今の乃木坂46らしさをにじませたダンスで、観る者を魅了し続けた。今回はダブルセンター制ということもあり、伊藤をはじめとする青組(伊藤、黒見、佐藤、冨里、中西、矢久保、吉田)、林が中心の赤組(林、池田、小川、北川、阪口、清宮、向井、吉田)の2チームに分かれパフォーマンスを繰り広げるブロックを用意。まずは、伊藤のソロ歌唱を大々的にフィーチャーした「音が出ないギター」やセンターの吉田がクールな佇まいを見せる「命は美しい」で観客を圧倒すると、続いて林の艶やかなソロボーカルを軸にした「ショパンの嘘つき」や阪口が大人びた表情で楽曲の世界を彩る「ごめんねFingers crossed」と、それぞれの個性の違いを見事に提示。曲間にはダイナミックなダンスパートも用意され、切れ目なくライブは進行していく。そして、「ありがちな恋愛」で2組が勢揃いすると、「狼に口笛を」「13日の金曜日」の定番曲連発でさらなる一体感を高めていった。ライブ中盤に入ると、まずは黒見を筆頭に池田、冨里、矢久保の組み合わせによる「Out of the blue」からユニットブロックに突入。「アトノマツリ」では北川&林が歌にラップにと大活躍し、「もしも心が透明なら」ではグループ最年少の小川を中心に、阪口や佐藤、清宮、向井といった先輩たちが艶やかな空気を作り上げ、伊藤や奥田、中西、吉田と歌唱力に定評のあるメンバーが揃った「パッションフルーツの食べ方」では一人ひとりの個性が際立つボーカルとともに、独特の空気で会場を包み込んだ。いよいよライブも後半戦へ。「自惚れビーチ」では清宮のコール&レスポンスで場内の熱気が再び高まると、阪口センターのキュートな「口ほどにもないKISS」、北川&矢久保がエモーショナルな表情で魅了する「嫉妬の権利」、佐藤が力強いダンスで場の空気を一変させる「届かなくたって…」、吉田が頼もしくチームを牽引する「錆びたコンパス」、向井が圧巻のパフォーマンスで会場の空気を掌握する「日常」と、曲を重ねるごとにライブはクライマックスへ到達する。最後の曲に入る前に、座長のひとりとして今回のアンダーライブを引っ張ってきた林が、今の思いを伝えていく。彼女は「皆さんにとってアンダーライブってなんですか?」と客席に投げかけると、「きっと私たちの中にもこの答えの正解はなくて、皆さんの中でもいろんな捉え方があっていいんじゃないかと私は思っています」と続けてから「アンダーライブはうれしいとか楽しいだけじゃなくて、不安とか焦りとか悔しさ、プレッシャー、そういう気持ちを全部パフォーマンスに乗せられる場所だと思っていて。もしそれが私たちからの一方通行なものだとしても、気づいたら皆さんは私たちの気持ちをいつの間にか受け止めちゃっている、そんな強い力がアンダーライブにはあると信じています。だから、皆さんにはひとときもこぼさずに、私たちの気持ちを受け取ってほしいです」と自身の考えを吐露。そして、感謝の気持ちとともに「誰よりそばにいたい」を15人のソロ歌唱で歌い継いでいく。その素直な歌声からはメンバー一人ひとりの強い思いがダイレクトに伝わり、感動的な空気の中ライブ本編を締め括った。アンコールではTシャツ姿に着替えたメンバーが「そんなバカな・・・」「ガールズルール」とライブの盛り上げに欠かせないナンバーを連発。観客の声援やコールも一段と大きく鳴り響き、これ応えるようにメンバーも笑顔を振りまきながら、その盛り上がりを最高潮にまで達させる。そして、最後のMCではもうひとりの座長である伊藤が「今回ツアーをさせてもらって、しかも最後にこんなに大きな会場で、こんなにたくさんの方に来ていただけてうれしくて。5期生ちゃんたちが初めて参加ということで、前より距離が縮まって仲良くなれて私は楽しかったんですけど、メンバーのみんなは楽しかったですか?ファンのみんなは楽しかったですか?」と問いかけると、盛大なレスポンスが湧き起こる。その声を前に「それが聞けて何よりです。目標が自分の中で達成されました!」と満面の笑みを浮かべると、最後はメンバーと観客が一丸となって「乃木坂の詩」を歌い上げ、乃木坂46新章を飾るアンダーライブを大成功のうちに終了させた。各期を代表して小川、矢久保、向井が挨拶をして、続いて林が伊藤とダブルセンターを務められた喜びを伝えると、伊藤も「本当に皆さんのことが大好きで大好きでたまらないです!」と感謝の気持ちを口にしてから、ステージをあとにする。これでライブは終わったかと思われたが、会場中にさらなるアンコールを求める声援が鳴り響き、これに応える形で「ロマンスのスタート」をダブルアンコールでプレゼント。再び会場が熱狂の渦に巻き込まれると、伊藤が再び「皆さんとこうして過ごせるのがうれしくてうれしくて、しょうがないです!絶対にまた会えるから、そのときまでずっとずっと待っていてください!」と笑顔で告げ、最後は伊藤&林が「ありがとうございました!」と肉声で届けてステージをあとにした。文:西廣智一<公演情報>乃木坂46『32ndSG アンダーライブ』4月27日(木) 東京ガーデンシアターセットリスト01. 新しい世界02. マシンガンレイン03. 左胸の勇気Overture04. さざなみは戻らない05. ここにいる理由06. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた07. 音が出ないギター08. 命は美しい09. ショパンの嘘つき10. ごめんねFingers crossed11. ありがちな恋愛12. 狼に口笛を13. 13日の金曜日14. Out of the blue15. アトノマツリ16. もしも心が透明なら17. パッションフルーツの食べ方18. 自惚れビーチ19. 口ほどにもないKISS20. 嫉妬の権利21. 届かなくたって…22. 錆びたコンパス23. 日常24. 誰よりそばにいたいアンコール25. そんなバカな・・・26. ガールズルール27. 乃木坂の詩ダブルアンコール28. ロマンスのスタート<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年04月28日花も咲き綻ぶ4月12日、“最新が最高”を更新したとファンを興奮させたニューアルバム『異空 -IZORA-』をリリースしたBUCK-TICK。その最新作を引っ提げた全国ツアー『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』が4月19日東京・J:COMホール八王子よりスタートした。ふわりと客電が落ち、アルバム1曲目のSE「QUANTUMⅠ」が流れる中、ヤガミ・トール(Ds)、樋口豊(B)、星野英彦(G)、今井寿(G)と1人ずつメンバーがステージに登場すると、拍手とともに歓声が贈られた。このツアーから、マスク着用の上ではあるが約3年4カ月ぶりに“声出し”が解禁されたのだ。センターに櫻井敦司(Vo)が登場し5人がステージに揃うと、その声は最高潮に達した。待ちに待った瞬間である。クラップや歓声を浴び、縦横無尽にパフォーマンスするメンバーは水を得た魚のよう。普段からステージに美しいシンメトリーを作る今井と星野のギター隊は、白を基調にした衣装や揃いの小道具で、まるで両翼のように対になって見えた。2人のギターが絡み合い1つのヘヴィなリフを響かせたり、軽やかなステップを踏みながら心地よいユニゾンを聴かせたりする。一方、ヤガミと樋口のリズム隊は黒を基調にした衣装で、柔らかく温かな低音で歌に寄り添ったり、ズシリと重いリズムで情感を表現する。そして櫻井は両手を広げて、かかしになったり、天使になったり、比翼を持った機体になったりと、様々に変化をする。彼は両手を広げて何を願うのだろうか。銃を構えた手で愛しい我が子を抱きしめることへの許しだろうか。多様性への受容だろうか。LOVE&PEACEだろうか。『異空 -IZORA-』の楽曲で描かれた主人公たちはどれもが強烈で、イントロが始まるとすぐさま彼に憑依する。その一挙手一投足や、主人公たちの感情を乗せた歌の凄まじさたるや。なんとも美しく、鮮烈であった。本公演は、有機的で美しいバイオリンの調べが加わることで温かみの増した「さよならシェルター destroy and regenerate-Mix」や、泡沫のような綺麗で儚い音粒が集まり、幻想的なイントロを紡いだ「無限 LOOP -LEAP-」、「35年以上前のストーリーを最新の機材を使い、ここに再現致しました」と櫻井が紹介した「Boogie Woogie」など、『異空 -IZORA-』の楽曲を中心にした構成。先にも書いたが、どの曲も強烈である。そこにどんな既存曲がどんなふうに組み込まれるのかも興味深いところだったが、それは想像を超えていた。『異空 -IZORA-』の楽曲を肉付けしたり裏付けしたりして、えもいわれぬストーリーを作り上げていたのである。特に「太陽とイカロス」の後、すべてを包み込むような苦しくて切なくて優しくて美しい世界が待っていた。ステージを観ながら、ふと戦時下を生きた詩人・茨木のり子の「さくら」という詩を思い出した。それは花の命になぞらえて、人の命の儚さと尊さを説く。命共よ、“今は 咲き乱れよ”とBUCK-TICKは謳う。一生のうちに何度桜が見られるだろうかと問うその詩に、あと何回BUCK-TICKのコンサートを観られるだろうかという思いを重ねながら、彼らのステージを堪能しているこの瞬間を愛おしく思った。ツアーは今始まったばかりだ。7月23日(日) のファイナル公演まで、晩春〜初夏〜盛夏の季節を巡るツアーの中で『異空 -IZORA-』の楽曲がどんなふうに深化し、観る者それぞれの心にどんな空を描くのか。そして、この作品の物語はどのように変化していくのか、何度も足を運んで確かめたくなるようなステージだ。その移ろいゆく空模様を存分に楽しみたいと思う。Text:大窪由香Photo:田中聖太郎<ツアー情報>BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-※終了分は割愛5月13日(土) 香川・ハイスタッフホール 大ホール(観音寺市民会館)OPEN17:00 / START18:005月14日(日) 岡山・倉敷市民会館OPEN17:00 / START18:005月20日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホールOPEN17:00 / START18:005月21日(日) 兵庫・神戸国際会館こくさいホールOPEN17:00 / START18:005月27日(土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールOPEN17:00 / START18:006月3日(土) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホールOPEN17:00 / START18:006月10日(土) 石川・本多の森ホールOPEN17:00 / START18:006月11日(日) 長野・長野市芸術館メインホールOPEN17:00 / START18:006月17日(土) 大阪・オリックス劇場OPEN17:00 / START18:006月18日(日) 大阪・オリックス劇場OPEN17:00 / START18:006月24日(土) 広島・上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)OPEN17:00 / START18:006月25日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホールOPEN17:00 / START18:007月1日(土) 北海道・札幌カナモトホール(札幌市民ホール)OPEN17:00 / START18:007月9日(日) 宮城・仙台サンプラザホールOPEN17:00 / START18:007月15日(土) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場OPEN17:00 / START18:007月17日(月・祝) 静岡・静岡市民文化会館 大ホールOPEN17:00 / START18:007月22日(土) 東京・東京ガーデンシアターOPEN17:00 / START18:007月23日(日) 東京・東京ガーデンシアターOPEN17:00 / START18:00チケット料金:前売り9,900円(税込)購入リンク:特設サイト:<リリース情報>BUCK-TICK ニューアルバム『異空 -IZORA-』発売中●完全生産限定盤A(SHM-CD+Blu-ray):6,050円(税込)●完全生産限定盤B(SHM-CD+DVD):5,500円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定盤ジャケット●通常盤(SHM-CD):3,300円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』通常盤ジャケット●完全生産限定アナログ盤(2枚組):5,500円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定アナログ盤ジャケット●完全生産限定カセットテープ:3,080円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定カセットテープ ジャケット【VICTOR ONLINE STORE数量限定セット】完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ:9,900円(税込)生産限定盤B+オリジナルTシャツ:9,350円(税込)通常盤+オリジナルTシャツ:7,150円(税込)【CD収録内容】1. QUANTUM Ⅰ作曲:今井寿2. SCARECROW作詞:櫻井敦司作曲:今井寿3. ワルキューレの騎行作詞:櫻井敦司作曲:今井寿4. さよならシェルター destroy and regenerate-Mix作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦5. 愛のハレム作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦6. Campanella 花束を君に作詞:櫻井敦司作曲:今井寿7. THE FALLING DOWN作詞:今井寿作曲:今井寿8. 太陽とイカロス作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦9. Boogie Woogie作詞:櫻井敦司作曲:今井寿10. 無限 LOOP -IZORA-作詞:櫻井敦司作曲:今井寿11. 野良猫ブルー作詞:櫻井敦司作曲:今井寿12. ヒズミ作詞:櫻井敦司作曲:今井寿13. 名も無きわたし作詞:櫻井敦司作曲:今井寿14. QUANTUM Ⅱ作曲:今井寿【購入リンク】完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤(SHM-CD)完全生産限定アナログ盤完全生産限定カセットテープ ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ) ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤B+オリジナルTシャツ) ONLINE STORE限定セット(通常盤+オリジナルTシャツ)関連リンクBUCK-TICK オフィシャルサイト デビュー35周年記念特設サイト: Sounda LABEL SITE オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルYouTubeチャンネル 楽曲配信リンク:
2023年04月25日back numberの五大ドームツアー『in your humor tour 2023』が2023年4月23日、福岡PayPayドーム公演をもってツアーファイナルを迎えた。東名阪ドーム会場を舞台に行われた『back number dome tour 2018 “stay with you”』以来約4年半ぶりのドームツアーであり、back number史上初の五大ドームツアーとなる今回の『in your humor tour 2023』。最新アルバム『ユーモア』を携え、3月18日から大阪/名古屋/札幌/東京/福岡の5都市にて開催された9公演はすべて即日完売、計38万人を動員する巨大ツアーとなった。《お洒落ではないけど唯一のダサさで/君が笑えたらいい》――ライブの冒頭、清水依与吏(Vocal & Guitar)がテレキャスターの弾き語りで歌い始めたのは「アイラブユー」の一節だった。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の主題歌として日本全国で親しまれた名曲が、満場の期待感を真っ向から抱き止めるように強く優しく響いた。そこから一転、小島和也(Bass & Chorus)・栗原寿(Drums)のパワフルなビートから「大不正解」へ流れ込んでいく。サポートメンバーも一丸となったアグレッシブな熱演が、ドーム一面のクラップの渦を巻き起こしたところで、続く「SISTER」の爽快な歌とサウンドが場内の多幸感をさらに煽っていく。ライブ序盤にして、すでにクライマックス級の熱気が客席に広がっている。「早いような、長かったような……」とツアーを振り返りつつ、「いろいろ感極まることもあるんだけど、全部曲に込めて放てるように……今日があなたにとっての特別なものにできるように、最後まで俺たち一生懸命頑張るんで。よろしくお願いします!」と意欲を語る清水。高らかな拍手が湧き起こる。「秘密のキス」「エメラルド」をはじめ、アルバム『ユーモア』の楽曲をセットリストの主軸に据えつつ、「クリスマスソング」「ハッピーエンド」「青い春」など人気の高い既発曲群と織り重ねることで、今のback numberのスケール感をよりいっそう鮮明に描き出したこの日のライブ。長いコロナ禍の期間を経て、ようやくライブでの声出しがOKになったこともあり、熱演の合間には歓声やメンバーの名前を呼ぶ声も聞かれ、広大なドームの空間は刻一刻と高揚感を増していく。『ユーモア』の中でもひときわカラフルなポップナンバー「ヒーロースーツ」では、清水がハンドマイクスタイルで歌う一幕も。ステージ狭しと歩き回りながら、ドーム丸ごと歓喜の頂へと導く清水の姿は、back numberのライブに新たな輝きを与えるものだった。「みんなが手上げてくれたり、声出してくれたり……こういうのはスタジオではないし。みんながいてくれて、今日が成り立ってます」と改めて感謝を伝える小島。「今日、すごく近いよね?物理的な距離は遠いんだけど、心の距離がすごく近く感じる。演奏してて、すごく嬉しい!」と観客の熱量を讃える栗原が続けて、「だから、物理的な距離も、縮めたいと思うんだけど……」と、アリーナ後方のサブステージの存在を告げると、会場は驚きと感激の声に包まれる。広いアリーナの通路を歩いて移動した後、サブステージではお互い向き合うように座った3人。「back numberって、きっとこういうバンドなんじゃないかなって。曲を作り始めた時から、誰かに向かって歌っているようでいて、実は曲の主人公のことばっかり考えてるような気がして……最初からあなたに向けて歌っていたかはわからないけど、あなたの人生とクロスした。本当に光栄に思います」。そんな清水の言葉とともに、アコースティックスタイルで「ヒロイン」「手紙」を披露する3人の姿が、ドームを確かな一体感で包んでいく。これからもあなたに関係ある曲しかやりたくない「Silent Journey in Tokyo」のクールかつソウルフルなグルーヴから、「ゴールデンアワー」のスクエアな躍動感……といった具合に、ライブ後半はさらに深く『ユーモア』の世界に入り込んでいく。ライブ定番曲「高嶺の花子さん」に沸き起こった圧巻のクラップとジャンプを「ありがとう!200万点です!」と清水も絶賛。「赤い花火」から「黄色」、さらにYouTube総再生数1.9億回以上の名バラード「水平線」、と曲を重ねるごとに、その歌と演奏は濃密な訴求力をもって胸に迫ってくる。「一番自分のことを信じてないのって自分だと思う。いまだに人前で歌うのも怖いし。でもさ……今ここで、全然完璧じゃないのにこうやって歌えて、演奏できるのは、そういうカッコ悪いやつだからなんじゃないかなって思う」――ライブ終盤、清水が切実な表情でオーディエンスに語りかける。「あなたの人生を絶対に他人事だなんて思わないから。これからも、あなたに関係ある曲しかやりたくないから。それはイコール、俺たちに関係あるってことだから。生きていくのは簡単じゃないよ。バカにするやつもいるし。だけど、突っ張って、強がって、《人生は素晴らしい》って歌うんで。わかるところがあったら、一緒に歌ってください」そんな清水のメッセージとともに披露された「ベルベットの詩」が、客席一面のコーラス合唱とハンドウェーブを巻き起こしていく。本編ラストの「スーパースターになったら」では銀テープのキャノン砲が客席に舞い、熱烈なクラップ&シンガロングの輪が広がる。「愛してるぞー!」の清水の万感の絶叫が、最高のライブの祝祭感を何より明快に物語っていた。「俺たちじゃなくて、歌が優秀なだけです。なぜか俺たちのところに来てくれて、それを共有できて、本当に嬉しい。もっともっといい曲が書けるように、いいバンドになれるように努力して、また会いにくるんで」……「添い寝チャンスは突然に」でアンコールをスタートさせた後、清水はそんな言葉とともに新たな決意を語っていた。「花束」に続けて、ツアーのフィナーレを飾ったのは「怪盗」。《君が想像した事ないくらい/眩しい世界を見せてあげる》というフレーズが、バンドのさらなる前進への意志そのもののように響いていた。Text:高橋智樹Photo:佐藤祐介、半田安政<公演情報>back number "in your humor tour 2023"4月23日(日) 福岡PayPayドームセットリスト1. アイラブユー2. 大不正解3. SISTER4. 秘密のキス5. クリスマスソング6. ハッピーエンド7. エメラルド8. 青い春9. ヒーロースーツ10. ヒロイン(※アコースティック)11. 手紙(※アコースティック)12. Silent Journey in Tokyo13. ゴールデンアワー14. 高嶺の花子さん15. 赤い花火16. 黄色17. 水平線18. ベルベットの詩19. スーパースターになったらEN1. 添い寝チャンスは突然に2. 花束3. 怪盗<リリース情報>back number『ユーモア』発売中【CD収録】※全形態共通01. 秘密のキス02. 怪盗 ※日本テレビ系水曜ドラマ『恋はDeepに』主題歌03. アイラブユー ※NHK 連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌04. ゴールデンアワー05. 黄色 ※ABEMAオリジナル恋愛番組『虹とオオカミには騙されない』主題歌06. 添い寝チャンスは突然に07. Silent Journey in Tokyo08. エメラルド ※TBS系日曜劇場『危険なビーナス』主題歌09. ベルベットの詩 ※映画『アキラとあきら』主題歌10. 赤い花火11. ヒーロースーツ12. 水平線●初回限定盤A【CD+2DVD】7,480円(税込)【CD+Blu-ray】8,580円(税込)back number『ユーモア』初回限定盤Aジャケット【仕様】三方背BOXトールケース仕様back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』PHOTO BOOK(52ページ)【DVD / Blu-ray収録】■back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』at 幕張メッセ国際展示場 9・10・11 ホール 2022.09.0801. 怪盗02. 泡と羊03. アップルパイ04. オールドファッション05. エメラルド06. MOTTO07. 赤い花火08. HAPPY BIRTHDAY09. 風の強い日10. サマーワンダーランド11. 恋12. 黄色13. 勝手にオリンピック14. 00315. 半透明人間16. sympathy17. 瞬き18. 水平線19. 高嶺の花子さん20. スーパースターになったらen1. 僕の名前をen2. 日曜日en3. そのドレスちょっと待った■Documentary of back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』※DVD盤はDISC2となります。●初回限定盤B【2CD+DVD】7,480円(税込)【2CD+Blu-ray】8,580円(税込)back number『ユーモア』初回限定盤Bジャケット【仕様】三方背BOXトールケース仕様【DISC2収録】■清水依与吏 弾き語りCD『依与吏の部屋』【DVD / Blu-ray収録】■ミュージックビデオクリップ1. 水平線2. エメラルド3. 怪盗4. 黄色5. ベルベットの詩6. アイラブユー7. 水平線(SCENT OF HUMOR TOUR 2022 Ver.)●通常盤【CD Only】3,300円(税込)※通常盤初回プレスのみ三方背ケース仕様。在庫終了次第通常盤に切り替わります。back number『ユーモア』通常盤(初回プレス)ジャケット『ユーモア』スペシャルサイト:配信リンク:関連リンクback number official HP number Official YouTube Channel number Twitter number LINE number Instagram number 公式TikTok:
2023年04月24日4月13日に、SiMが全国ワンマンツアー『ROAD TO DPF23 “THE LiBERATiON” TOUR』の川崎公演をCLUB CITTA’で開催した。この日のオープナーは「PANDORA」だった。ブルータルなリフと2ビート、デスヴォイスと幽玄なメロディを矢継ぎ早に繰り出しながら90秒を一気に駆け抜ける本楽曲が、このツアーとこの日のライヴが何たるかを端的に表していたと言ってもいいだろう。この暴動感に満ちたオープニングナンバーは、体も心も解放せよ、声も拳も高らかに掲げろ、というメッセージに他ならない。もっと言えば、“PANDORA”という楽曲タイトル自体が、10年の時を経て「匣を開け放て」という意志のようにも響いてくるから面白い。実際、この曲のイントロが鳴った瞬間に怒号のような歓声が巻き起こり、ピットに激しいモッシュの渦が生まれる。続けざまに披露された「KiLLiNG ME」ではクラウドサーフの嵐。ツーステップとも呼べないような名前のないダンスを爆発させる観客も多数。冒頭から即着火、グチャグチャとしか言いようのない、だけど幸福なフロアが完成する。バラバラなままひとつの音に向かい合う人々の姿は、これぞライヴハウス、これぞロックバンドのライヴだと言いたくなるものだ。この時を誰もが待っていた、ついに自由な遊び場が戻ってきた--クラブチッタはそんな昂りだけに満たされていく。そのすべてに夜明けの瞬間のような感覚がある、ようやく辿り着いた解放の瞬間である。「ようやく」と書いたのは、SiM(及び多くのロックバンドたち)の長い闘いを思ってのことだ。本ツアーは『THE LiBERATiON』(=解放、釈放)の名の通り、声出し、モッシュ、クラウドサーフなどなどに一切の制限を設けていないわけだが、SiMにとっては2021年の『DEAD POP FESTiVAL』から貫いてきた闘争の一旦の結実がこのツアーなのである。「今(声出しなどを)我慢してくれていることは、必ず未来のロックシーンに繋がる。どうせだったらルールに則って正々堂々と生き抜いてやろう」これは2021年のDEAD POP FESTiVALのステージ上でMAHが発した言葉だ。2020年以降、ライヴハウスで新型コロナウイルスのクラスターが発生したことなどに端を発して音楽が槍玉に上がり、人々の鬱屈を発散させるための生贄のようにされたこと。特にフィジカルな爆発が起こるロックバンドのライヴは警戒され、キャパシティ制限やソーシャルディスタンシングの徹底などのルールに縛られていくようになった。そこにいる人と人と人によって自治され、だからこその自由が働いていたライヴの現場が外的なものに干渉されるようになったのだ。MAH(Vo)挙げ句の果てには音楽が「不要不急」という言葉で片づけられるようになっていっていき、ルールだけに限らず世論や世の中の空気自体に音楽が押し込められていった。そんな状況の中で大事にすべきは、何より自分たちが自由でいられる場所を守り続けることなのだと、SiMは徹底して訴え続けた。「ルールに則って」という言葉は、単に爪を隠すことを意味していたのではない。不要不急と言われようが、誰かにとっては取るに足らないものだろうが、どんなに縛られようが、音楽は俺たちの命を繋ぎ続けてくれたものなのだと示そうという想いがその言葉には込められていたのだ。社会の中でNOを突きつけられるであろう衝動を受け入れて自由を体現し続けてきたロックバンド、そしてSiMが、ルールに従ってでも音楽を守りたいと示し続けることが何よりの闘い方なのだと。その姿勢を今の今までSiMは貫き続けてきた。昨年開催した「声出し解禁ツアー」もそう。段階を踏みながら、今ならここまで許容できるだろう、というラインを丁寧に探ることでSiMは進んできたのだ。「3年間、こうなることを見据えて活動してきました。その活動に付き合ってくれたお客さんたち、ありがとう。我々の闘いもここでひと区切り。だけどここで終わりじゃないから。この波を全国のライヴハウス、Zeppみたいな大きい箱にも広げていって、モッシュもクラウドサーフも解禁させていかなくちゃいけないと思ってる。まだまだ満足することなく、とりあえず今日は死ぬまで行きましょう。……コロナが来てから音楽やライヴが槍玉に挙げられて、生活に必要なのかと言われて。そんなバカみたいな質問、俺は本当に下らないと思う。遡れば原始人の時代から、古代から、人は音楽と共に生きて来たんだよ。まぁでも、そんなことすらわからないバカにとっては我々のカルチャーは危険過ぎるってこともわかる。だからこそ、そんなバカにもわかるように、こんな見た目をした危ないバンドが一番安全なライヴをすることで世間に認めさせようとしてきたんだよ。やり切ってよかったと思う。やり切ったからこそ、誰からも文句を言われずに『おめでとう』と言ってもらって今日を迎えてるわけでしょ。……自由になりたかったら、脱獄するんじゃないんだよ!看守たちに鍵を開けさせて、あいつらが見ている前を胸張って歩いて出ていく!それが自由、Liberationなんだ!自由へ突き進もう!」端的かつ的確にSiMのスタンス、ひいては自由の定義までを語り切ってから「The Rumbling」へと雪崩れ込んだライヴ。雄大な情景を描く<if I lose it all/outside the wall/live to die another day>というサビは、今ここを抜け出して自由になるための真っ当な闘い方を突きつけるものとして響いてくる。15年前にリリースされた「set me free」もまた自由を希求して叫び暴れる楽曲だが、己を縛るものを憎みながら解放を求める歌である。そんな楽曲と、上記したMCや「The Rumbling」が同時に存在していること。そのコントラスト自体が、SiMの歩み自体を表しているのだ。憎み、嫌い、ぶち壊すことだけが反抗ではない。自分たちだけの幸福を築き、新たな道を作っていくことこそが、我々を縛るものに対する何よりの対抗手段なのだと。今のSiMはそのことを理解し、体現しようとしている。SIN(Ba)2016年にSiMが最初で最後の武道館公演を行った際にMAHと交わした会話を思い出す。「The Beatlesが武道館でやってから、ここは数多のロックバンドの夢だったわけでしょ。でも近年、ロックバンドにとっての武道館があまりに身近になり過ぎて、ただの都内のホールみたいに思われてる。俺らはそうじゃなくて、ロックバンドのライヴ、ロックの夢っていうのはもっとデカいものだと思ってるんだ。こんな変なミクスチャー音楽で危ない見た目の俺らじゃなくて、いわゆる真っ当なロックバンドの人がそれを見せてくれたらいいのに、誰もやろうとしないからさ。じゃあ俺らがやるしかねえかっていう感じだね」本来ならばヒールでありたいと語り続けてきたMAHだが、常に彼らはロックバンドのどこに夢があって何と闘い続けるのかを間違えない。だから漆黒のダークヒーローとしてロックを背負い、この数年を闘い続けてこられたのだと思う。これは、SiMのバンド名と音楽に関しても同じことが言えるだろう。SiMのバックドロップには「Silence iz Mine」という、SiMの元のバンド名が綴られている。静寂は俺のもの--つまり俺の安穏を踏み荒すことを許さないという意味合いがここにあり、その精神性は多くの楽曲に通じているものだ。冒頭に記した「PANDORA」も、人間という箱の中身を勝手に開けてはならない、人の間にある線を踏み越えず尊重し合うための生き方をしていこうという想いが根底にある歌だ。それをメタファーや示唆的な言葉を用いて皮肉的に綴るのがMAH節なので、攻撃的で毒っぽい歌だと受け取られやすいのも事実。しかしその根幹には、誰かが大事にしているものを無闇に壊さないための生き方を模索する姿勢がある。だからこそ、人の自由、人の痛み、人の宝を我がもの顔で踏み荒らすものに怒り、闘うのがSiMの音楽なのだ。自分だけの穏やかさを守るために、外の喧騒に怒鳴り、ノイズ以上の爆音でノイズを殺す--だからこそSiMはどれだけラウドでもその音の中心に巨大な静けさがあり、どれだけポップなメロディがあっても目だけが笑っていないのだ。自分だけの静寂を守るために怒り、闘う。これはレベル・ミュージックの本質とも言えるものであり、SiMがレゲエとパンクの両方を同線上で消化している理由そのものだとも言えるだろう。自由とは何かを訴え、実際に勝ち取った自由を目の前で叶えているライヴは、そんなSiMの根源にまで思いを馳せる瞬間の連続だった。SHOW-HATE(Gt)「R.P.G」や「Fallen Idols」など多くは聴けないナンバーも交えつつ、主軸にあるのは極端なヘヴィパートとモッシュパートを携えた楽曲たちだ。たとえば「CROWS」。レゲトンとブレイクダウン、モッシュパートとラップと歌謡曲のメロディを矢継ぎ早に繰り出す「SiM全部盛り」と言える楽曲だが、過剰なほどのミクスチャーだからこそ観客の動きは誰ひとり揃うことなく、思い思いの衝動と自由が交錯するだけの幸福なカオスが生まれていく。さらにこれも当然のことだが、そんなピットの熱気を受け取ったSiMの演奏もまた衝動一発に振り切れていく。音以上にエモーションに乗って突っ走るライヴは、BPM以上のスピードを感じさせるもので、汗臭いフロアやびしょびしょのTシャツ姿の観客の姿以上に、つんのめる寸前で爆走していくサウンドにこそ「ライヴハウスの本来の形」を見たのだった。「本当のSiMのライヴはこれだなって思います。コロナ禍中のライヴでも『MAKE ME DEAD!』をやったけど、みんなが歌えないのに<Shut UP>と叫ぼうとして『何がシャラップなんだろう』と思って。そうやって口をつぐむしかなかった私を見ていたでしょう?(笑)。やっぱ、そういう矛盾も出てきちゃうんだよね。こうやって自由に暴れられる客席を想定して曲を作ってきたわけだから。でもね、約束は約束で守りたいと思うんだよね。コロナ禍のガイドラインがあった時のライヴがよかった、ダイヴやモッシュがないから観に行けたっていう親子連れの方がいたり、年齢が上の人がいたり、その人たちの存在があるのもわかってるから。なるべくこれから、ホールとかでもやっていこうかなと思ってます。これまでは全然ホールとかでやってこなかったけど、やろうと思っているので、気長に待っていてください」熱気まみれのフロアを見てどんなに昂ろうとも、今この場にいられない人を排除しようとしないのがMAHである。「ライヴハウスの本来の形」とは書いたが、単に「あの頃に戻った」と捉えるのではなく、コロナ禍を経たからこその新たなライヴハウスカルチャー、ライヴの在り方を築いて行こうとしている言葉が上記のMCだ。自由な場所に人が集まれば、その場所の外が生まれる。そうなれば、本来的な自由との矛盾が生まれる。そのことにまで思考を巡らせ、人を排除しない場所としてのライヴを作り上げていく決意を掲げたのも、この日のライヴの意義だったように思う。GODRi(Ds)クラウドサーフやモッシュを楽しんでいた観客がライヴハウスから離れていた間、ライヴの灯を消さずに維持し続けた新たなオーディエンスたち。その存在もまたSiMにとっての仲間であり、これから先の未来を作っていく同志である。そのことを心から理解している人間ならではの、「取り戻す」だけではなく「新たに作っていく」意志が垣間見えるライヴだった。アンコールでは、「JACK.B」、「f.a.i.t.h」を連打。特に「f.a.i.t.h」で巻き起こった巨大なウォール・オブ・デスを見て、不思議な感慨を覚える人も多かっただろう。不思議な感慨と書いたのは、フィジカルな接触が許されなかったコロナ禍中、ウォール・オブ・デスの代わりに「前髪と前髪を分けて、前髪同士をぶつけてください」と語りかけていたMAHの姿があったからだ。あまりにシュールな代替案を前にして「前髪?」と困惑しながら笑っていた観客の姿が懐かしい。シュールだろうがなんだろうが、必死にもがきながらこの瞬間を迎えたのだと。暴虐性というより歓びが炸裂するようだったウォール・オブ・デスは、まさに夜明けの光だった。「これが俺たちのやり方、これが俺たちの闘い方。これが俺たちの進んで行く道!DEAD POP FESTiVALで会おう」そう言い残してステージを去ったSiM。あの頃に戻ろうとするのではなく、あの頃の先へ進む。その潔さこそがバンドを強靭にしたとわかる、痛烈なライヴだった。Text:矢島大地Photo:スズキコウヘイ<公演情報>SiM『ROAD TO DPF23 “THE LiBERATiON” TOUR』4月13日(木) 川崎CLUB CITTA’セットリスト1. PANDORA2. KiLLiNG ME3. SiCK4. TxHxC5. Set me free6. The Rumbling7. MAKE ME DEAD!8. Fallen idols9. THE KiNG10. GUNSHOTS11. Amy12. R.P.G13. CROWS14. BULLY15. BASEBALL BAT16. Blah Blah BlahEn1. JACK.BEn2. f.a.i.t.h<ツアー情報>SiM『ROAD TO DPF23 "THE LiBERATiON" TOUR』※終了分は割愛4月24日(月) 大阪・ GORILLA HALL OSAKAOPEN17:30 / START18:304月25日(火) 大阪・ GORILLA HALL OSAKAOPEN17:30 / START18:304月27日(木) 福岡・福岡BEAT STATIONOPEN18:00 / START18:30チケット料金:5,000円(税込)※入場時別途ドリンク代※お一人様各公演4枚まで(電子チケットのみ)、6歳以上有料チケット情報はこちら<イベント情報>DEAD POP FESTiVAL 2023 - 解 -6月24日(土)・25日(日) 神奈川・東扇島東公園特設会場OPEN9:00 / START11:30【出演者】■両日:SiM■6月24日(土):04 Limited Sazabys / Fear, and Loathing in Las Vegas / GOOD4NOTHING / ハルカミライ / HEY-SMITH / HOTSQUALL / KUZIRA / ROTTENGRAFFTY / SHANK / SPARK!! SOUND!! SHOW!! / STOMPIN’ BIRD / 山嵐■6月25日(日):10-FEET / The BONEZ / coldrain / Crossfaith / Crystal Lake / Dragon Ash / EGG BRAIN / THE FOREVER YOUNG / おとぼけビ〜バ〜 / THE ORAL CIGARETTES / SUPER BEAVER / tricot【チケット情報】1日券:前売8,900円(税込)2日通し券:前売17,000円(税込)2日通し券セーフティーゾーン:前売18,500円(税込)※電子チケットのみ※小学生以上有料、未就学児は保護者同伴の場合無料※枚数制限:お一人様4枚まで※購入時に購入者様の個人情報の入力が必要です■オフィシャル最終先行予約受付:4月23日(日) 23:59まで※購入時に購入者の個人情報の入力が必要特設サイト: オフィシャルサイト:
2023年04月20日2023年4月16日 Zepp haneda。渋谷すばるが3回目となるオフィシャルファンクラブ『Shubabu』の会員限定ファンクラブイベントツアーをスタートさせた。今回は初の試みとして“渋谷にやらせたいこと”と“聴きたい曲”が事前にファンから投票され、ファン投票に基づいた構成で行われた。とにかくファンが喜んでくれることを、ファンに寄り添った形で創り上げたいという意図で構成された【ファンによるファンのための】『babu会 vol.2』は、これまでのbabu会でも好評だった“入場者全員プレゼント”に加え、今回新たに設置された“等身大パネルとの撮影ブース”や“ウェルカムムービー”なども用意されていた。この日は入場者全員に会場ごとに異なる本人手描きのメッセージ入りオリジナルステッカー(“貼りパス”と呼ばれる通常関係者のみに配られる当日限定スタッフパス)が入場者特典として入口で配布されたこともあり、ファンたちは“貼りパス”越しに会場の様々な場所で今日の思い出を自らの携帯のカメラに収めていたのだった。ロビーからウェルカムムード全開の『babu会 vol.2』は、イベント開始後も終始ウェルカムムード全開で進められていった。前半戦にはトークコーナーとお楽しみコーナーが設けられており、全力でファンを楽しませる企画と向き合った渋谷は、全力のおもてなしモードでファンを喜ばせていたのだった。極度な人見知りで喋るのがとにかく苦手として知られる渋谷は、じっくり人との関係性を噛み締めながら、ゆっくりと長く時間をかけてあたためていく生真面目な性格でもあり、普段そこまで口数が多くないことや、感動や感激も自らの心の中に大切に抱きしめて深く仕舞い込むため、とっつき辛く勘違いされやすい性格でもあるのだが、実は、常に“誰かのためになりたい”と考えているピースフルな人間なのだ。『babu会 vol.2』はまさしく、至るところでそんな渋谷の人間性が浮き彫りとなっていた、思いやりと優しさを感じ取れるファンクラブイベントならではの空間であったと言える。後半戦からのライヴでは、『babu会 vol.2』のロゴとして用いていた“カバ”のイラストで匂わせていたカヴァー曲も何曲も届けられ、声出しが緩和された会場からは歓喜の声や悲鳴が上がっていた。このカヴァー選曲も、渋谷が集まってくれたファンを喜ばせたいという想いから考え抜いて選ばれた楽曲たちであった。ライヴでは、昨年の秋ツアーと同様のバンドメンバー新井弘毅(G)、安達貴史(B)、茂木左(Ds)、本間ドミノ(Key)と共に息の合った最高のライヴパフォーマンスはもちろんのこと、MCでもメンバーに容赦無くイジり倒されたり、安達からの無茶振りで、ガチのぶっつけ本番で届けられた「ハナミズキ」のカヴァーや、新井のチョイスによりギターを託され、事前投票にあった“弾き語りが見たい!”のリクエストに応えさせられることとなり「ぼくのうた」を弾き語るなど、予定にはなかったまさかの展開で絶妙な掛け合いが繰り広げられ、ファンたちを喜ばせた。コロナ禍の規制が緩和されたこともあり、スタンディングで埋め尽くされたフロアは自由に体を揺らし、曲ごとに異なるノリで渋谷の歌に応えたり、予期せぬ選曲に1曲ごとに歓喜の声を漏らしていたのが、とても熱く胸を打った。更に、これまではただただ真摯に自らの言葉とサウンドで想いを懇々と届けて来た渋谷であったが、今年の1月に公開された、3人のドラァグクイーンたちが隠し事のない優しさに触れ、少しずつ前向きになっていく姿を描いた、脚本・監督:田中和次朗・滝藤賢一主演映画『ひみつのなっちゃん。』の主題歌を担当し、“普通ではない臆病な彼女たち”の心情を見事に捉え、“普通とは何か?”という問題定義と共に渋谷すばるイズムを唱えた「ないしょダンス」をキッカケに渋谷が大きな成長を遂げたことを感じることが出来たことも大きかった。映画『ひみつのなっちゃん。』の公開時に合わせて行われた監督の田中和次朗や、俳優の滝藤賢一、ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダらとの対談を通して“人と対面し、しっかりと心から触れ合うことの大切さ”を改めて深く感じ取ったことから、これまで以上に自分に直接会いに来てくれる人たちへの感謝の気持ちと愛おしさが込み上げ、彼がモットーとして掲げる“誰かのためになりたい”という想いがより強くなり、気持ちに大きな変化を与えたのだろう。この日ステージに立った渋谷の立ち姿も、届けられた渋谷の歌も、ライヴ中のファンたちとの対話も、あきらかに少しずつ変化して来ていると切に感じた。『babu会 vol.2』は渋谷の新たな挑戦が詰まった第一歩。そう言っても過言ではない。“とにかく楽しませたい。楽しんでもらいたい”その想いに真っ直ぐに向き合っていた渋谷だったが、それを自分に強いられた役割だと感じることなく、本当に自らも心から笑顔になり、ファンと共に楽しさと喜びを共有出来ていたのが伝わってきた最高にピースフルな空間だった。『babu会 vol.2』はこの先、4月22日(土) 北海道・Zepp Sapporo、30日(日) 愛知・Zepp Nagoya、5月4日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka、5月6日(土) 大阪・Zepp Nambaを回る。尚、渋谷すばるオフィシャルファンクラブ 「Shubabu」() は年会員と月会員を設けており、月会員(税込440円)入会でも今回の『babu会 vol.2』のチケットは購入可能だ。今回事前に寄せられた“すばるにやらせたいこと”投票はまだまだ無限に存在していることもあり、各日程で予想のつかない“ここだけ限定”の貴重な出来事が起こるに違いない。渋谷すばる、覚悟はいいか?震えて待て。といったところだろう。こんな楽しいことはない!そして、来場者のみなさんは、それをどうか心ゆくまで楽しんで頂きたい。本人は自身のライヴでありながら、こんなにも不安に苛まれドキドキし、観る側としては、こんなにもお楽しみ要素が詰め込まれたワクワクするライヴはないだろう。これぞ、生の醍醐味。“ライヴ感”ではなく、まさにこれぞ“ライヴ”そのものである。“普通じゃなく生きる人たち”“生きづらさを感じる人たち”“最近心から笑えていないなと感じる人たち”“人のために生きたいと思っている人たち”“変わりたいなと思っている人たち”はいませんか?日々、同じような想いを背負い込んで、不器用ながらも必死に生きている渋谷すばるに会いに来てみませんか?きっと何かが変わるはず。そんなに固く考えず、ふらっと遊びに来れたら、きっと何かが変わるはず。渋谷すばるの本気と遊ぶ会。ただただそれだけ。それだけがこんなに人を幸せに出来るのかと、あたたかい気持ちになれる空間であること。心から笑顔になれる時間を約束します。何処とも似てない渋谷すばるの感性(唄)と、最強の音楽仲間との最高のバンドサウンドを体感しに来て欲しい。そして、7月15日(土)・16日(日) に出演が決定した(※出演日程は後日発表)北海道岩見沢市のいわみざわ公園にて開催される野外音楽フェス 『JOIN ALIVE 2023』() では、このツアーでの経験が活かされた新たな渋谷すばるに会えることになるに違いない。文:武市尚子撮影:西村彩子(SELF:PSY’S)ヘアメイク:矢内浩美<イベント情報>渋谷すばる『babu会 vol.2』※終了分は割愛4月22日(土) 北海道・Zepp Sapporo4月30日(日) 愛知・Zepp Nagoya5月4日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka5月6日(土) 大阪・Zepp Namba渋谷すばるオフィシャルファンクラブ「Shubabu」新規ご入会はこちら特設サイト:
2023年04月19日5月25日(木) に、越谷サンシティホール大ホールにて開催となる『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演に向けて行った、坂東玉三郎の取材会レポートが到着した。“お話と素踊り”がスタートしたのは2021年。「コロナ禍だったから、伺ってもお客様がいらっしゃるかどうか心配をしていたんだけれども、会場がいっぱいで。こういうときだからこそ気楽にというか、長いお芝居じゃなくて、お話を聞きにいらっしゃいたいんだなと実感しました」と開始当時を振り返る。その後、公演は関東以外でも行われ、好評を博している。トークコーナーでは、事前に募集した質問からピックアップして答えていくが、質問内容は当日まで知らないという。「どんな質問が出てくるのかも楽しいし、思わぬことを聞かれて、自分を発見したりすることもある」と話しながら、「驚くような質問もあるけれど、すべて嘘偽りのないことを、はっきりと言います。繕ってるとお客様にもわかるから。質問コーナーがお客様に気に入っていただけるかどうかは分からないけれど、やっぱりコミュニケーションを取ることが、いま一番大事だと思う」と語る。「なるべく親しく、みなさんが普段お聞きになれないような話をしてきましたが、最近は話が重ならないように“化粧”や“衣装”というふうに題材を決めたり、内容を変えたり、映像を出したりしています。お客様も充実したものを聞きたいと思ってらっしゃるので、精いっぱいやっています」と、回を重ねていくなかでの変化を明かした。後半で披露するのは地唄舞の“雪”。この演目を選んだ理由については、「”雪”は代表的な曲だし、知らない方でもどこかで耳にしている曲。14分くらいで完結するものなので、いいと思って選びました」とのこと。衣装や化粧をつけず、磨き上げられた踊りを堪能できる貴重な機会となっている。最後に、越谷公演を楽しみにしている方に向けて「東京の近くでは何度か公演を行っていますが、同じ話にならないよう、楽しく過ごしたいと思っているので、ぜひご来場ください」と、メッセージを寄せた。<公演情報>『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演5月25日(木) 17:30 開場 / 18:30 開演会場:越谷サンシティホール 大ホール【予定演目】坂東玉三郎トークコーナー地唄舞「雪」坂東玉三郎 / 素踊り休憩なし 約90分【チケット料金】SS席:8,500円S席:7,500円A席:6,500円※全席指定・税込※未就学児入場不可チケットはこちら:公演HP:
2023年04月15日結成23周年を目前に控えたUVERworldが、自身が主宰する恒例の対バン企画『VSシリーズ』を4月12、13日の2日間にわたって神奈川県・横浜アリーナにて開催した。初日はBiSHを迎えて異種格闘技戦とも呼びたい熱いバトルを展開。2日目に予定されていたOfficial髭男dismの出演は急遽、見合わせとなってしまったが、代わりにギターの小笹大輔をゲストに全身全霊のパフォーマンスを見せつけ、詰めかけたオーディエンスのべ2万4千人を魅了した。初日の先攻を務めたBiSHはメジャー2ndアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』に収録された「My landscape」のミュージックビデオ内で着用している赤の衣装に身を包んでステージに登場。「サヨナラサラバ」「GiANT KiLLERS」「NON TiE-UP」と切れ味鋭いアッパーチューンを立て続けに投下、自身のファンのみならずUVERworldファンを容赦なく圧倒する。BiSHなお、BiSHは今年6月29日に行われる東京ドームでのライブを持って解散することがすでに決定しており、UVERworldとの対バンはこれが最初で最後。ロックバンドの雄・UVERworldと、“楽器を持たないパンクバンド”を標榜するBiSHという組み合わせは意外にも思えるが、かねてよりBiSHの音楽性をリスペクトしていたUVERworldが彼女たちの解散を前にぜひ対バンをとオファーしたことから今回の共演が実現したという。ただし、これまでは音楽フェスなどで顔を合わせたことはあるもののプライベートでの面識はほぼ皆無だという。MCではそれをネタにハシヤスメ・アツコが「呼んでいただけて光栄なんですけども、私たち、UVERworldさんとはあんまり絡みないですよね?」と冗談めかしてぶっちゃけ、リンリンが「あるよ。モンバス(MONSTER baSH:毎年香川県で開催される夏フェス)でうどんを食べているときにTAKUYA∞さんが“美味しいかい?”って」となけなしの交流エピソードを明かして、場内の爆笑を誘う一幕も。また、今回のライブでは観客のマスク着用義務を解除、それに伴って声援などの発声も解禁されており、久々に浴びる大歓声に「今日は声も出せて顔も見られる。こんな最高な日はないです」とメンバー一同、歓喜にはずむ場面もあった。今年3月にリリースされた「Bye-Bye Show」を披露したあと、この曲のサビの振り付けが花をモチーフにしていると語り、「みなさんと一緒に東京ドームで花になって、綺麗に散っていきたい。よかったらきてくれませんか?」と呼びかけるアイナ・ジ・エンド。小学生の頃からその音楽を耳にしてきた大先輩、UVERworldへの尊敬と感謝、そして観客への「ありがとう」を改めて口にすると、BiSHの代名詞と呼ぶべき「オーケストラ」に突入。ラストはセンチメンタルなムードを一蹴するかのようにセントチヒロ・チッチが叫んだ「横浜アリーナ!BiSHと一緒に踊れますか?いけるか!」を起爆剤に彼女たちの始まりの1曲「BiSH-星が瞬く夜に-」へとなだれ込み、エンディングまで一気呵成に駆け抜けて、UVERworldへとバトンを渡した。興奮冷めやらぬまま、後攻のUVERworldを迎え入れるや、横浜アリーナはさらなる熱狂の坩堝と化した。ボーカル・TAKUYA∞が「のっけから全力でぶっ飛ばしていくんで、よろしくどうぞ!」と不敵に告げ、その言葉通りバンドは「Don’t Think.Feel」「畢生皐月プロローグ」「ODD FUTURE」とライブに欠かせない鉄板チューンを連投。BiSHファンを“清掃員”とその総称で呼び、「俺らもおまえらと一緒なんだよ。純粋にBiSHの音楽をリスペクトしてるから誘いました」とこの対バンへの意思を明かしたTAKUYA∞。「そのリスペクトの形がこれ。清掃員のみんなも、いつも通り暴れていいんだぜ!」と煽ると演奏はBiSHのカバー「GiANT KiLLERS」へ。敬意は音で表すと言わんばかりに叩きつけられるハードでやんちゃなUVERworldバージョンの「GiANT KiLLERS」にはBiSHファンもUVERworldファンも大喜び。ジャンルの壁はもとより、ファン同士の壁もみるみる取り払われていく。リンリンの“うどんエピソード”を受けて、「あれはリンリンがまったく同じうどんを2個、交互に食べていて。そりゃ“美味しいの?”って聞くでしょ?」と補足を加えたり、BiSHの衣装で何が好きかを問われ「My landscape」はカッコいいねと答えたところ、今日の衣装になっていたことや彼らのマネージャーがハシヤスメの大ファンであることを明かすなど、ファンの心情に寄り添ったフレンドリーなMCからも彼ら自身、この日の対バンを心から楽しんでいることが伝わってくるかのようだ。ドラマ『アバランチ』の主題歌としても大きな話題を呼んだ「AVALANCHE」やアニメ『約束のネバーランド』のオープニングテーマ「Touch off」といったメジャーな楽曲から「誰が言った」「One Last Time」など反骨精神とユーモアを綯い交ぜにしたオリジナリティ溢れるナンバーまで幅広い音楽性とアジテーティブなパフォーマンスでオーディエンスのハートを鷲掴みにするUVERworld。終盤戦、TAKUYA∞は「(BiSHの)東京ドーム、観に行こうぜ。挑戦の最後を見届けよう」と呼びかけ、新たな旅立ちを控えた彼女たちにエールを送ると、ラストはダンサブルな「UNKNOWN ORCHESTRA」で明るく初日を大団円に導いた。2日目はこの日限りの7人での演奏に続く“VSシリーズ”2日目は、出演予定だったOfficial髭男dismのボーカル&ピアノ・藤原聡が声帯ポリープを発症、その療養のため、急遽、対バンは見送られた形となったが、それに代わる演出としてギター・小笹大輔をゲストに迎えたUVERworldにとっても異例のスタイルで開催。冒頭、メンバー6人のみでステージに登場したUVERworldは「AS ONE」からアグレッシブモード全開でオーディエンスに迫る。その後、客席の期待感が最高潮に高まったところで小笹を呼び込むと、まずはOfficial髭男dismのカバー「宿命」を披露。この2日間は“VSシリーズ”と銘打ってはいるが、今日は“VS”ではなく“with”だと告げ、UVERworld with 小笹大輔(Official髭男dism)でヤバいものを見せてやるとバンドを代表してTAKUYA∞が宣言すると、そのまま「CORE PRIDE」「在るべき形」へとなだれ込んでいく。この日、MCで公にされたところによれば、Official髭男dismの出演見合わせが決まった当初、2日目はスタンダードなワンマンライブに切り替えるつもりだったという。しかし熱烈なUVERworldファンでもあった小笹から弾きたい曲があるからとの申し出があり、このようなスペシャルな形での出演が実現。しかも事前にリハーサルはしておらず、ぶっつけ本番の共演だというから驚かされた。加えてUVERworldのライブはセットリストが直前で大幅に変更されることも常であり、小笹もまんまとその洗礼を受けたらしい。にもかかわらず「(変更になった)今のセトリのほうが最高なんです。世界一のエンターテイナーだと思う。好きすぎる!」とUVERworld愛を叫ぶ小笹。UVERworldはUVERworldでOfficial髭男dismのカバーをするために相当に練習を重ねたとのこと、「トリビュートを出すときは声かけて。俺ら、ヒゲダンの曲、8曲ぐらいできるから」とTAKUYA∞もラブコールを贈るなど、相思相愛のムードで客席を和ませる。さらにOfficial髭男dismの「Pretender」をカバーした直後、本来ならここで小笹の出番は終了となるはずだったところ、「でも、もう1曲やりたいんだよ。大ちゃん、いっぱい練習してくれたんでしょ?やりたい曲やろう」と突然、TAKUYA∞が言い出したのだからオーディエンスは大騒ぎ。小笹も目を丸くしていたが、TAKUYA∞に促され「俺がUVERworldと初めて出会った曲!」と「SHAMROCK」をタイトルコール、7人が一丸となって渾身の演奏を轟かせるというライブらしいサプライズも。その後、ライブ終盤にも再び小笹を招いて「ナノ・セカンド」を共にするなど、UVERworldにとっても、おそらく二度とないだろうこの形での共演が心はずむものであったことは間違いない。同じボーカルという立場から喉を痛めた藤原を気遣い、「バンドを10年やっていれば、こんなこともあるよ。俺だって喉を何回潰したか。何が起きても前向きに進んでいればそれは復活したときにロマンチックの材料にしかならないから大丈夫」とわざわざ足を運んでくれたヒゲダンファンも励ましたTAKUYA∞。ラスト直前にも「この2日間、いろんな角度から俺自身にも刺さる特別な時間でした。みんなにとっても今日という日はきっと特別な時間に変わっていくから、みんなであいつ(藤原)の復活を待っていましょう」とも呼びかけた。そしてUVERworldが7月29、30日に神奈川県・日産スタジアムという彼ら史上最大規模のライブが控えていることに触れ、「俺らも自分自身に負けないように今年はでっかいハードルを掲げました。もちろんライブ自体も成功させたいけど、それ以上に、掲げた目標に向かって日々成長していきたいし、その姿をファンに見せたい」と宣言。そんな力強いメッセージを今、彼らがもっとも大切にしているという曲「EN」に託して、まさに一期一会な“VSシリーズ”の2日間に幕を下ろした。前述の通り、7月29日には『UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM』、7月30日には『UVERworld KING’S PARADE 男祭り Reborn at NISSAN STADIUM 6 VS 72000』と銘打ち、神奈川県・日産スタジアムに臨むUVERworld。バンド史上最大級のハードルを彼らはいかにして超えていくのか、その瞬間をぜひとも目撃してほしい。文=本間夕子写真=森好弘<リリース情報>Blu-ray&DVD『UVERworld THE LIVE 2022.12.21 at Yokohama Arena』発売中●初回生産限定盤Blu-ray【2Blu-ray】9,130円(税込)●初回生産限定盤DVD【2DVD】8,580円(税込)●通常盤Blu-ray【Blu-ray】6,930円(税込)●通常盤DVD【DVD】6,380円(税込)【初回生産限定盤 BD / DVD共通】・スペシャルパッケージ三方背ケース(約25cm x 25cm)・写真集・リハーサルドキュメント&メンバーオーディオコメンタリー映像【収録内容】01. NEVER ENDING WORLD~AKIRA GUITAR SOLO02. 7th Trigger03. CORE PRIDE04. ナノ・セカンド05. IMPACT06. AFTER LIFE07. 在るべき形08. AVALANCHE09. Making it Drive10. One Last Time11. ENOUGH-112. WE ARE GO13. 〜流れ・空虚・THIS WORD〜14. a LOVELY TONE15. THE OVER16. ピグマリオン17. Massive18. One stroke for freedom19. Don’t Think.Feel20. PRAYING RUN21. Touch off22. EN23. Theory【Disc-2】(初回生産限定盤)のみ・Rehearsal Documentary・Member Audio Commentary<ライヴ情報>UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM2023年7月29日(土) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72,0002023年7月30日(日) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)お問い合わせ:SOGO TOKYO(03-3405-9999)※月~土12:00~13:00、16:00~19:00(祝日、年末年始除く)UVERworld 日産スタジアムライヴ 告知画像特設サイト:’S PARTY 女祭り LIVE HOUSE TOUR 2024(東京、名古屋、大阪、福岡、札幌)2024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表QUEEN’S PARTY 女祭り THE FINAL at HAWAII 20242024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表UVERworld『QUEEN’S PARTY 女祭り』告知画像関連リンクUVERworld オフィシャルサイト: オフィシャルファンクラブ「Neo SOUND WAVE」:∞ TikTok:∞ Instagram:
2023年04月15日確かな実力と自然体の魅力で音楽シーンに新風を吹き込むK-POPガールズグループ・SECRET NUMBER(シークレット・ナンバー)が4月7日、東京・渋谷ストリームホールでファンミーティングを開いた。彼女たちは韓国で2020年にデビュー。しなやかさと力強さを兼ね備えた歌唱とパフォーマンスで活動当初から注目を集めており、その人気は国境を越えて各国に広がっている。日本でも3月3日よりデジタルシングル「LIKE IT LIKE IT」のリリースを機に本格的な活動をスタート。同曲はフジテレビ系列の人気バラエティ番組『全力!脱力タイムズ』のエンディングテーマ曲に採用され、TikTokでは動画の再生が6000万回に達し、動画作成数は2万5000を超えるほど世界的に“バズる”など、今後の飛躍が期待される。日本のファンとリアルにふれあう機会は今回が初めて。そのせいか、メンバーたちも本番前からすでに緊張気味だ。とはいえ、開演前に行った「LIKE IT LIKE IT」のCD購入予約者とのチェキ撮影会(抽選による参加)を通じて徐々にリラックス。ファンに見守られながらの公開サウンドチェック(同)では、終始穏やかな表情でプロフェッショナルな歌と踊りを見せてくれた。ファンミーティングは定刻通りに開始。観客が期待と興奮をもって眺める中、愛らしく個性的な6人のメンバー(レア、ディタ、ジニ、ミンジ、スダム、ジュ)のシルエットが次々と現れると大きな歓声が沸き上がる。記念すべき1曲目は、日本デビュー曲「LIKE IT LIKE IT」。スマートフォンに耳をあてながら会話をするレアとスダムで始まり、間髪を入れずにパワフルなリズムが鳴り響く。緩急をつけたインパクトのあるサウンドとガールクラッシュ(女性が憧れる女性)的なビジュアルで瞬く間に観る者を引き付ける力量は相当なものである。レアの「みなさん、どうでしたかー!」との呼びかけに熱い声援で応えるファンたち。続いて各メンバーが自己紹介していくと、会場内はすっかり和やかなムードに。次の曲は「Love,Maybe(Japanese Version)」。人気俳優のキム・セジョンとアン・ヒョソプが出演したドラマ『社内お見合い』(2022年)の挿入歌で、オリジナルは実力派の男性デュオ・MeloMance(メロマンス)が歌っている。ドラマでは幸福感あふれるシーンに流れて視聴者に好評だったナンバーだが、今回の日本語バージョンは情感と癒し度が増したおかげで、聴き手の心によりダイレクトに訴えかけてくる。ここでSECRET NUMBERとゆかりのあるダンサー/振付師のKOTARO IDEが登場。彼の進行で、事前に集めたファンの質問に6人が答えるコーナーが始まった。ところが感動のあまり、ジニやミンジなどが次々と泣き出してしまう。そんなハプニングもファンミーティングならではと言えよう。「ダイエットのモチベーションは?」「日本デビューの感想は?」「韓国から観に来た人へメッセージを」といった風にメンバーへの質問は多岐にわたった。なかでも「あなたにとって幸せなことは何ですか?」との問いに、ジュが「やっぱり日本のファンのみなさん(がいてくれること)です」と、日本語でかみしめるように語ったのが印象的だった。楽しい一時のおかげでステージと客席の距離が縮まった後は、再びライブパフォーマンスへ。韓国デビュー曲「Who Dis?」の日本語バージョンが始まると、ファンは再びヒートアップ。自分らしく堂々と生きようと力強く訴える同曲は、既存のアイドルのイメージとは一線を画す。そしてラストは本国での第2弾シングルとなる「Got That Boom」の日本語バージョンを披露。EDMやハウス、ヒップホップをミックスしつつ、韓国、インドネシア、日本、アメリカとメンバーの出身地が異なるグループならではの無国籍なムードがたっぷりと味わえる仕上がりで、オンリーワンの輝きを放っていた。「私の人生の中で忘れられない素晴らしい時間になりました」(ジュ)「今日、(来てくれた)お母さんの前で初めて歌いました。母国のステージに立てて本当に嬉しく思います」(レア)「(涙ぐみながら)インドネシアの両親が来日して私たちの舞台を観てくれているんです。みなさん、本当にありがとうございました!」(ディタ)このような感動の挨拶で最後を締めくくった6人だったが、続く会場内の人たちとの記念撮影では満面の笑みに。そして「アンコール」の大合唱に応えて2度目の「LIKE IT LIKE IT」を全力で歌いきり、名残惜しそうに舞台から去っていった。K-POPシーンは昨年あたりからガールズグループの活躍が目立つ。楽曲派、セルフプロデュース型、ビジュアル派と、各々が独自のスタイルを磨き上げ奮闘する中、SECRET NUMBERは常にナチュラルに自らの可能性を追求していく。この揺るぎのない姿勢こそが“新世代のガールクラッシュ”であり、ファンもそこに引かれているのだろう。とにもかくにも日本での活動は始まったばかりである。今後どのような魅力を振りまいてくれるのか、ファンならずとも注目したいところだ。Text:まつもとたくおPhoto:関口佳代<公演情報>SECRET NUMBER "LIKE IT LIKE IT" FAN MEETING4月7日(金) 東京・渋谷ストリームホールセットリスト1. LIKE IT LIKE IT2. Love, Maybe(Japanese ver.)3. Who Dis?(Japanese ver.)4. Got That Boom(Japanese ver.)EC. LIKE IT LIKE IT
2023年04月10日BABYMETALが、コンセプトアルバム『THE OTHER ONE』のリリース後最初のライブとなる『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』と題した2DAYS公演を4月1日(土)・2日(日) にぴあアリーナMMで開催した。2021年10月から一年以上にわたるライブ活動の封印期間を経て、今年1月に幕張メッセ国際展示場で行われた復活ライブ『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』の後篇となる本公演。BABYMETALのもうひとつの物語として、我々の知らなかったBABYMETALの復元計画「THE OTHER ONE」の物語が遂に完結を迎え、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人体制による新生BABYMETALが誕生。“METALVERSE”という新世界(ニューワールド)へと舞台を移し、新章がスタートすることが告げられた。2日間を通して期待と熱気にあふれた観客約20,000人を動員し、BABYMETALにとって「全てが終わり、全てが始まる」節目となるライブとなった。4月1日(土) の『BLACK NIGHT』は、1月の幕張メッセ公演の最後に披露された「THE LEGEND」で幕が上がった。クリスタルの棺桶からSU-METALとMOAMETALが登場し、ぴあアリーナMMのエンドステージには、巨大LEDスクリーンが設置され、オーディエンスは映し出された多元宇宙の新世界の荘厳な映像美に一気に引き込まれた。Photo by Taku FujiiPhoto by Taku Fujiiその後「メギツネ」「ギミチョコ!!」で会場に一体感が生まれると、コンセプトアルバムから「MAYA」「Mirror Mirror」「Time Wave」と新曲が3曲立て続けに初披露された。バーチャルワールド“METALVERSE”へと誘われると1月の幕張メッセ公演でも出現したBABYMETALとは別の新たな生命体の3人組がステージに登場し「KARATE」が披露された。Photo by Takeshi Yao会場が驚きと熱狂の渦に包まれる中、全編英語詞の新曲「Believing」とトライバルなサウンドとダンスが印象的な新曲「METALIZM」が初披露された。続く「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」でさらに熱気を帯びると、「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」で再び会場がひとつになった。お馴染みの法螺貝の合戦の合図で始まる「Road of Resistance」では、全開のモッシュが起こり、大合唱が沸き起こった。束の間のインターバルを挟み、「DEATH IS THE ONLY WAY TO LIVE」というテーマのストーリームービーが流れ、いよいよライブも終盤戦に近づいていることが予感されると、十字架に磔にされたBABYMETALが再び登場し、新たなアレンジでBABYMETALの代名詞的楽曲「BABYMETAL DEATH - Shin ver. -」が披露された。Photo by Taku Fujii間髪入れずに「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へと続くと、一糸乱れぬパフォーマンスとダメジャンプで会場がひとつになった。「We are!!」「BABYMETAL!!」のコールアンドレスポンスの後、SU-METALが銅鑼を鳴らしてBLACK NIGHTの終演が告げられた。BABYMETALコールがしばらく続くと、いよいよ最終段階を迎えた「THE OTHER ONE」復元計画の謎が明らかになるストーリームービーが始まった。これまでの軌跡を辿るように、過去の映像が走馬灯のように流れ、これまで我々が見てきたBABYMETALに永遠の別れを告げ、もう戻ることは無いと告げられた。そしていにしえの時代の終焉と共に新たな時代の幕開けを迎え、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALという新たな命を受けて生まれ変わったBABYMETALは、METALVERSEという新世界を舞台にした新たな旅が始まることが告げられた。Photo by Takeshi Yaoキツネ様に召喚されたメンバーが巨大LEDスクリーンで一人ずつ紹介されると、歓喜の声と鳴り止まない拍手に包まれた会場はBABYMETAL愛であふれた。クリスタルの棺桶を背に、色鮮やかに輝くバトルスーツに身を包んだ新生BABYMETALの3人が、真っ直ぐオーディエンスの方を向くと強烈な光と共に終演を迎えた。4月2日(日) の『CLEAR NIGHT』は、「THE OTHER ONE」のTHRONEの世界と同じ玉座が登場し、SU-METAL、MOAMETAL、そして、1月の幕張メッセ公演では空席となっていた玉座にMOMOMETALが鎮座し、新生BABYMETALのスタートに相応しい「METAL KINGDOM」で壮大に幕を開けた。Photo by Taku Fujii早くも、道なき道を進むBABYMETALのアンセム「Road of Resistance」が披露され、久しぶりに披露されたBABYMETALらしいなんじゃこりゃ!?ソング「いいね!」で会場のボルテージが上がると、勢いをそのままに、「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」で盛り上がりは一気に頂点に届いた。コンセプトアルバムからジェントやプログレ要素満載のメタルチューン「Mirror Mirror」とシティポップ要素も取り込んだ「Light and Darkness」を披露すると、“METALVERSE”に現れる謎の3人組との「KARATE」が披露された。オーディエンスが掲げるスマホライトの演出が美しい「Monochrome」でクライマックスを迎えると、黄金の映像演出が圧巻の「METALIZM」が続き、後半戦は「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」と「Divine Attack - 神撃 -」でたたみ掛け、「THE ONE」の大合唱で会場がひとつになった。Photo by Takeshi YaoPhoto by Taku Fujii少し間をおいて、こちらもファン待望の「BABYMETAL DEATH」のオリジナルver.で十字架に磔にされたBABYMETALが登場すると、最後は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が披露され、「We are!!」「BABYMETAL!!」のコールアンドレスポンスを繰り返し終幕。『CLEAR NIGHT』は、文字通り「THE OTHER ONE」の復元計画の全てがCLEARになり物語が完結を迎え、新生BABYMETALの新たな旅立ちに希望と期待を抱かせる夜となった。Photo by Takeshi Yao■BABYMETAL コメント新生BABYMETALがスタートしました。またここから、自分たちが面白いと思った音楽を言語やジャンルを超えて表現していくので、楽しみにしていてください。私達の魅力であるライブパフォーマンスをより強化させるため、ヨーロッパツアーから世界で修行してきます。日本での公演まで首を長くして待っていてください。<公演情報>『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』4月1日(土)・2日(日) ぴあアリーナMMセットリスト■4月1日(土) BLACK NIGHT01. THE LEGEND02. メギツネ03. ギミチョコ!!04. MAYA05. Mirror Mirror06. Time Wave07. KARATE08. Believing09. METALIZM10. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)11. PA PA YA!! (feat. F.HERO)12. Road of Resistance13. BABYMETAL DEATH - Shin ver. -14. イジメ、ダメ、ゼッタイ■4月2日(日) CLEAR NIGHT01. METAL KINGDOM02. Road of Resistance03. いいね!04. PA PA YA!! (feat. F.HERO)05. Mirror Mirror06. Light and Darkness07. KARATE08. Monochrome09. METALIZM10. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)11. Divine Attack - 神撃 -12. THE ONE13. BABYMETAL DEATH14. イジメ、ダメ、ゼッタイ★BABYMETALが表紙を飾る『PMC Vol.27』発売中!詳細は こちら()<リリース情報>『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』6月14日(水) リリース※後日iTunesでコンサートフィルム販売も予定『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』商品イメージ①Blu-ray(完全生産限定盤):9,900円(税込)※アナログサイズジャケット仕様②Blu-ray(通常盤):7,700円(税込)③DVD(通常盤):6,600円(税込)④2VINYL(完全生産限定盤):5,500円(税込)⑤THE ONE限定盤(完全生産限定盤)Blu-ray+2CD+写真集:22,000円(税込)タイトル:『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』- THE ONE LIMITED EDITION -セット内容:Blu-ray(1枚 / 全13曲)、LIVE ALBUM(2枚 / 全13曲)※80ページライブ写真集付きスペシャルパッケージ仕様【収録内容】※全形態共通01. METAL KINGDOM02. Divine Attack - 神撃 -03. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)04. PA PA YA!! (feat. F.HERO)05. ギミチョコ!!06. メギツネ07. ド・キ・ド・キ☆モーニング08. Light and Darkness09. Monochrome10. ヘドバンギャー!!11. イジメ、ダメ、ゼッタイ12. Road of Resistance13. THE LEGEND【予約リンク】■『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』- THE ONE LIMITED EDITION -受付期間:4月16日(日) 23:59■『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』主要販売サイト【Blu-ray & DVD 早期予約・購入特典】■早期予約特典:ジャケットシート(130mm×180mm)※4月16日(日) 23:59までにご予約の方が対象となります。一部対象外の店舗があるため、ご予約の際は事前にご確認ください。■購入特典・Amazon特典:コットン巾着・アスマート特典:A5クリアファイル(Type-A)・TOY’S STORE特典: A5クリアファイル(Type-B)・楽天ブックス:シューレース・7net: アクリルコースター・HMV特典:缶バッジ(40mm四角型)・汎用特典:ポストカード※LIVE VINYL、THE ONE限定盤は映像特典の対象外となります。※早期予約特典はLIVE VINYLと共通となります。THE ONE限定盤は早期予約特典の対象外となります。※各特典絵柄は後日発表【LIVE VINYL 早期予約・購入特典】■早期予約特典:ジャケットシート(130mm×180mm)※4月16日(日) 23:59までにご予約の方が対象となります。一部対象外の店舗があるため、ご予約の際は事前にご確認ください。■購入特典・Amazon特典:メガジャケ・汎用特典:ステッカー(120mm×120mm)※Blu-ray(完全生産限定盤)、Blu-ray(通常盤)、DVD(通常盤)、THE ONE限定盤はLIVE VINYL特典の対象外となります。※早期予約特典はBlu-ray(完全生産限定盤)、Blu-ray(通常盤)、DVD(通常盤)と共通となります。THE ONE限定盤は早期予約特典の対象外となります。※各特典絵柄は後日発表BABYMETAL『THE OTHER ONE』発売中【収録曲】※全形態共通1. METAL KINGDOM2. Divine Attack - 神撃 -3. Mirror Mirror4. MAYA5. Time Wave6. Believing7. METALIZM8. Monochrome9. Light and Darkness10. THE LEGEND●完全生産限定盤5,500円(税込)※アナログサイズ特殊パッケージ仕様+復元パズルBABYMETAL『THE OTHER ONE』完全生産限定盤ジャケット●通常盤【CD Only】3,300円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』通常初回生産限定盤ジャケット※初回生産分のみクリアケース・クリアブックレット仕様※通常盤は、初回生産分終了次第、汎用ブックレット仕様に移行いたします。●アナログ盤(完全生産限定)【VINYL】4,950円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』アナログ盤ジャケット※クリアジャケット・クリアバイナル仕様●アスマート限定盤「BLACK ALBUM」(完全生産限定)【CD Only】3,300円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』アスマート限定盤「BLACK ALBUM」ジャケット※ブラックケース仕様■注文ページアスマート限定盤「BLACK ALBUM」(完全生産限定)●THE OTHER ONE 限定盤「CLEAR BOX」(完全生産限定)14,300円(税込)特殊パッケージ仕様+Blu-ray+復元フォトカードセットBABYMETAL『THE OTHER ONE』THE OTHER ONE 限定盤「CLEAR BOX」ジャケット【Blu-ray収録内容】・Divine Attack - 神撃 -(OFFICIAL VISUALIZER)・Monochrome(OFFICIAL LYRIC VIDEO)他3曲、計5曲収録※販売終了【購入者特典】※THE OTHER ONE 限定盤は購入特典の対象外となります。・アスマート:A4クリアファイル(ロゴ ver.)・TOY’S STORE:A4クリアファイル(アー写 ver.)・TOWER RECORDS:ステッカー・HMV:ポストカード(アー写 ver.)・TSUTAYA:マグネットシート・Amazon.co.jp:メガジャケ・楽天ブックス:アクリルキーホルダー・セブンネット:バンダナ・汎用(上記以外):ポストカード(ロゴ ver.)BABYMETAL『THE OTHER ONE』トレーラー映像「THE OTHER ONE」 Special Website:「THE OTHER ONE」購入リンク:<ライブ情報>『Sabaton THE TOUR TO END ALL TOURS』『Sabaton THE TOUR TO END ALL TOURS』告知画像4月14日(金) イギリス・リーズ / First Direct Arena4月15日(土) イギリス・ロンドン / OVO Arena Wembley4月16日(日) イギリス・カーディフ / Motorpoint Arena4月18日(火) イギリス・グラスゴー / OVO Hydro4月21日(金) フランス・パリ / Zénith Paris La Villette4月22日(土) ドイツ・フランクフルト / Festhalle Frankfurt4月24日(月) ドイツ・ハンブルグ / Barclays Arena4月25日(火) ルクセンブルク・エシュ=シュル=アルゼット / Rockhal Main Hall4月28日(金) スウェーデン・ストックホルム / Avicii Arena4月29日(土) ノルウェイ・オスロ / Oslo Spektrum4月30日(日) デンマーク・コペンハーゲン / Royal Arena5月2日(火) ドイツ・ハノーファー / ZAG Arena5月3日(水) オランダ・アムステルダム / Ziggo Dome5月5日(金) ドイツ・ベルリン / Mercedes Benz Arena5月6日(土) ドイツ・ライプツィヒ / Quarterback Immobilien Arena5月7日(日) オーストリア・ウィーン / Wiener Stadthalle5月9日(火) ポーランド・ウッチ / Atlas Arena5月10日(水) チェコ・オストラヴァ / Arena Ostrava5月12日(金) ドイツ・ケルン / Lanxess Arena5月13日(土) ベルギー・アントワープ / Sportpaleis5月15日(月) ドイツ・ミュンヘン / Olympiahalle5月18日(木) エストニア・タリン / Saku Suurhall5月19日(金) フィンランド・ヘルシンキ / Helsinki Ice Hall (Helsingin jäähalli)5月20日(土) フィンランド・クオピオ / Kuopio-HalliSpecial Guest:BABYMETALSupport:LORDI■Sabaton OFFICIAL WEBSITE:『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 ASIA』『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 ASIA』告知画像5月26日(金) ジャカルタ / ICE, BSD CITY, HALL 105月28日(日) バンコク / TRUE ICON HALL5月31日(水) 香港 / ASIA WORLD EXPO6月2日(金) 台北 / ZEPP NEW TAIPEI6月4日(日) クアラルンプール / ZEPP KUALA LUMPUR『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 AUSTRALIA』『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 AUSTRALIA』告知画像6月8日(木) オーストラリア、ブリスベン / FORTITUDE MUSIC HALL6月9日(金) オーストラリア、シドニー / HORDERN PAVILION6月11日(日) オーストラリア、メルボルン / MARGARET COURT ARENA<イベント情報>『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE - DELAY VIEWING』5月20日(土) 14:00開演(4月1日(土) BLACK NIGHT)5月27日(土) 14:00開演(4月2日(日) CLEAR NIGHT)会場:全国各地の映画館※開場時間は映画館によって異なります。『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE - DELAY VIEWING』ビジュアル【チケット料金】全席指定:4,500円(税込)※3歳以上有料/3歳未満で座席が必要な場合は有料となります。※プレイガイドでチケットをご購入の際は、チケット代以外に各種手数料がかかります。■「THE ONE」限定チケット先行(抽選)4月2日(日) 19:00~4月12日(水) 18:00※2公演共通詳細はこちら:■プレリザーブ(抽選)4月12日(水) 12:00~4月17日(月) 12:00※2公演共通※おひとり様につき2枚までお申込みいただけます。■一般発売(先着)5月20日(土) 公演販売期間:5月13日(土) 13:00~5月19日(金) 12:005月27日(土) 公演販売期間:5月13日(土) 13:00~5月26日(金) 12:00※おひとり様につき2枚までお申込みいただけます。※一般発売は先着順となりますので、予定枚数に達し次第受付を終了いたします。チケットはこちら:関連リンクOfficial Website Facebook Instagram Twitter TikTok
2023年04月03日乃木坂46 2期生・鈴木絢音の卒業セレモニーが3月28日、LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。2013年3月28日に乃木坂46新メンバーオーディションに合格した2期生も、気づけば鈴木が最後のひとりとなり、奇しくも合格から10年経った大きな節目のタイミングに卒業を迎えることに。そんな鈴木のラストステージでは、彼女がセレクトした思い入れの強い乃木坂ナンバーで構成。また、随所に後輩たちとのトークパートも用意された鈴木の乃木坂愛が詰まった内容が展開された。客席が鈴木のペンライトカラーである白と紫で染まる中、卒業セレモニーは彼女が初めてセンターを務めた「自惚れビーチ」からスタート。この日は掛橋沙耶香、田村真佑を除く総勢37名がステージに立ち、華やかなパフォーマンスを繰り広げる。続いて、彼女が乃木坂46の一員として初めて観客の前でパフォーマンスした「走れ!Bicycle」を披露すると、客席からは「絢音コール」が飛び交い、会場の熱気が急上昇していく。2曲終えると、鈴木は「まだ卒業する実感が全然なくて。このセレモニーが進んでいくにつれて、実感が増していくんだろうな」と現在の心境を吐露。続いて、「鈴木絢音 卒業セレモニー特別企画 後輩ちゃんともっとお話がしたい」と題したトークパートに突入すると、3〜5期生たちとともに「今ハマっている趣味」について語り合うことに。「音楽」「仮面ライダー」「散歩」「スポーツ観戦」「お香集め」「カメラ」「漫画」などが挙がると、鈴木はそれぞれ前のめりで食いつき、後輩と親交を深めていく。そんな中、黒見明香が「カンフーの剣術」、遠藤さくらが「家にいること」と挙げると「それ趣味なの?」と驚きつつも、「私の日常が彩りそうです」と会話を盛り上げた。続いてのブロックでは、鈴木が3〜5期生とそれぞれ楽曲披露。まずは5期生とともに初期の楽曲「失いたくないから」をしっとりと歌い紡いでいく。また、4期生とは爽快感の強い「キャラバンは眠らない」を力強くパフォーマンス。そして、3期生とは「空扉」と息の合った歌とダンスで一体感を高めていった。3曲歌い終えると、鈴木は選曲および衣装を各期のイメージに沿ってセレクトしたと述べる。続くトークパートでは「後輩ちゃんの質問に答えたい」をテーマに、「絢音さんのマイルール」「どんな家に住んでいますか?」「先輩への甘え方」と個性的な質問を次々に繰り出される。中には、五百城茉央の「乃木坂の歌詞を間違えて覚えてしまったことはありますか?」といった最近起きた出来事にちなんだ質問や、金川紗耶の「お弁当は魚派、肉派?」という楽屋での話題なども飛び出し、会場は和やかな空気で包まれていく。イベント中盤では、自身が参加してきた思い出のユニット曲を後輩たちと一緒にパフォーマンス。「Am I Loving?」では久保史緒里、佐藤璃果という東北出身の3人で、笑顔にいっぱいで歌唱する。また、鈴木自身が研修生から正規メンバーへと昇格するタイミングに与えられた「ボーダー」では黒見明香、佐藤璃果、林瑠奈、松尾美佑、弓木奈於という坂道研修生を経験した4期生5人と一緒に、ポジティブさの伝わる表情で元気に歌い上げた。それぞれに強い意味が込められた人選からも、改めて鈴木のグループに対する強い思いが伝わってきた。その後のトークパートでは後輩たちが思う「乃木坂最高!な瞬間」を、鈴木が訪ねていく。ここでは「ツアー中の食事」「(ステージを立つ前に)背中を叩く」「可愛い子がたくさんいる」「誕生日をいろんな人に祝ってもらえる」など、それぞれの視点で最高な瞬間を紹介。後輩たちのコメントを受け、鈴木は「これからも最高な瞬間をどんどん更新していってください」と笑顔で返した。イベントもいよいよ折り返し。まずは「新しい世界」「自由の彼方」といったアンダー楽曲を連発。アンダーでの経験も長かった彼女ならではの選曲で、アンダーライブを通じて培ったひたむきさを、楽曲を通じて表現していく。さらに、後半パートでは初選抜入りを果たした思い出の1曲「ジコチューで行こう!」を、鈴木がセンターにて披露。華やかな楽曲で場を盛り上げたあとは、乃木坂らしさに満ち溢れたミディアムナンバー「羽根の記憶」で唯一無二の空気を作り上げていく。最後の楽曲に入る前、鈴木は「今日は後輩のみんなとお話したり、こうして大好きな曲を披露することができて本当に幸せです。そして、それを皆さんに見届けていただけて、とてもうれしく思います」とここまでを振り返る。そして、「2期生はみんな卒業して、2期生曲のオリジナルメンバーも私しかいなくて、披露するのはちょっと緊張するし寂しいけど、頼もしい後輩の力を借りて今日は歌わせてください」のメッセージとともに、2期生楽曲「アナスターシャ」にて卒業セレモニー本編の幕をドラマチックに下ろした。鈴木絢音「今度は皆さんに見つけていただけるように、私が頑張らせてください」アンコールでは、純白のドレスに身を包んだ鈴木が2期生楽曲「ゆっくりと咲く花」を、ひとりで歌唱。彼女の人柄が伝わる歌声を前に、会場は暖かな空気に包まれる。曲中、感情が込み上げる瞬間もあったが、笑みを絶やさず最後まで歌いきった。その後、鈴木は会場のファンと配信でこのセレモニーを見ているファンに向けて、「10年間振り返ると、出会いに恵まれた乃木坂人生だったなと思います」とメッセージを送る。「自分に誇れることは何ひとつとしてないけれど、私の周りにいてくれる優しい皆さんのことが唯一の誇りです」と感謝を伝える彼女は、この10年を「私は私なりに喜びをみつけながら、乃木坂人生を楽しんできたつもりです。だから悲しい物語じゃなくて、楽しい記憶であってほしい」と表現。続けて、卒業後について「いざ卒業してひとりになって、どうやって頑張ればいいんだろうって、頑張り方がわからなくなってしまう自分がいます。今はちょっとだけお休みして、未来のことを考えて、そんな時間が私には必要なのかなと思いました。まだどんな未来を選択するのか、私の中でも決まっていませんが、頑張りたいと決心がついたときには、皆さんの前に戻ってくると思います」と告げ、「最後にもうひとつ、わがままを言っていいのなら、また私のことを見つけてくれたらうれしいです。今度は皆さんに見つけていただけるように、私が頑張らせてください」と力強く卒業メッセージを締めくくった。「これからの乃木坂46がキラキラと輝き続けますように、そんな願いを込めて歌います」と、鈴木が乃木坂人生最後の1曲として選んだのは、初期の代表曲「君の名は希望」。鈴木を中心に、3〜5期生が次々とステージに登場して彼女に寄り添って笑顔を届ける光景は、大きな節目を感じさせつつも、どこか希望を感じさせるものでもあった。最後の曲を歌い終え、鈴木が「本当に終わってほしくないって願っちゃうほど、幸せな1日になりました」と笑みを浮かべて話すと、彼女へのサプライズとしてグループを卒業した同期の伊藤かりん、伊藤純奈、相楽伊織、新内眞衣、堀未央奈、山崎怜奈がステージに登場。驚きつつ、涙を浮かべる鈴木に対して、同期の5人が次々と労いの言葉をかけていく。そして、新キャプテンの梅澤美波も「絢音さんが守ってきた乃木坂をこれからもしっかり守っていくので、見ていてください」と頼もしい言葉を寄せると、対する鈴木も「これからもみんなが楽しそうにしている姿を見るのが、私の楽しみです。これからも無理せず頑張ってね!」と優しい言葉を伝える。最後に「本当に人生で一番美しい日になったんじゃないかなと思います。皆様のおかげです」と鈴木が改めて感謝を口にすると、客席からは「新しい世界へ」「ありがとう」のメッセージが書かれたメッセージシートを掲げるサプライズも。「次に進んでいく未来も、今日卒業を決めたことを後悔しないような人生にできるように、これからも頑張っていきます!」と強い意志を伝えて、卒業セレモニーは終了した。しかし、その後もアンコールを求める拍手や歓声は鳴り止まず、再びメンバーがステージに勢揃い。最後の最後に肉声で「ありがとうございました!」と感謝を届け、深々とお辞儀してから、改めてセレモニーを締めくくった。これでグループ黎明期を築いた1、2期生は全員乃木坂46を卒業し、翌日の3月29日には3〜5期生のみで作り上げた32ndシングル『人は夢を二度見る』をリリース。最大のターニングポイントを迎えた乃木坂46がここからどんな活躍を見せるのか、この先も注目していてほしい。Text:西廣智一<公演情報>乃木坂46『鈴木絢音 卒業セレモニー』3月28日(火) LINE CUBE SHIBUYAセットリストOverture01. 自惚れビーチ02. 走れ!Bicycle03. 失いたくないから04. キャラバンは眠らない05. 空扉06. Am I Loving?07. ボーダー08. 新しい世界09. 自由の彼方10. ジコチューで行こう!11. 羽根の記憶12. アナスターシャアンコール13. ゆっくりと咲く花14. 君の名は希望セットリストプレイリスト:<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年03月29日2023年3月12日、東京・LIQUIDROOMにてSANABAGUN.の結成10周年を記念するイベント『SANABAGUN. SUPER ULTRA DYNAMITE PANTIE DESIRE, MARVELOUS MAXIMUM SACRIFICE 10 YEARS DRAGON FESTIVAL』が開催された。略して『SNB.SUDPDMMS10YDF』は2部構成で行われ、1部はサナバの楽器隊がハウスバンドとなり彼らがこの10年で交流を重ねてきたHUNGER(GAGLE)、小出祐介(Base Ball Bear)、Pecori(ODD Foot Works)、Ryohu、YONCE(Suchmos)というゲストボーカルたちをフィーチャー。そして、2部ではサナバのこれまでと今を凝縮するかのように濃密なワンマンショーが繰り広げられ、シークレットゲストとして木村カエラも登場した。実に3時間。掛け値なしのフルハウス、さらにオーディエンスの“声出しあり”という絶好の状況の中でLIQUIDROOMに充満する熱は徹頭徹尾上がりっぱなしだった。ここに本イベントの総括的なライブレポートをお届けする。この日、僭越ながらMCとしてステージに立たせてもらった筆者がライブを思い出しながらまず浮かぶのは、こんなに至近距離の親しみが込められた愛情を向けられているバンドは本当に稀有だということ。それはゲストアーティストとの一回性のスペシャル感に富んだパフォーマンスからも、「SNB.SUDPDMMS10YDF」のお祝いタイトルコール映像に登場した盟友ミュージシャンたちの顔ぶれからも、そしてやっと堂々と解放することができたオーディエンスたちの大きな歓声のエネルギーからも、まざまざと感じた。2013年2月に高岩遼が発起人となってメンバーを集め、池袋デニーズでSANABAGUN.というバンド名が決定してから10年。この10年、いくつかの絶対に忘れない出会いと別れを繰り返しながら、高岩遼(Vo.)、岩間俊樹(MC)、磯貝一樹(Gt.)、澤村一平(Ds)、谷本大河(Sax.)、髙橋紘一(Tp.)、大林亮三(Ba.)、大樋祐大(Key.)の8人が今のSANABAGUN.として威風堂々と存在している。付け加えるならば、サナバは最初からずっとチャーミングなバンドである。その外見とパフォーマンス力は一見近寄りがたいのに、目の前で向き合うと思わず相好を崩してしまうほど愛らしい。どれほどバンドに危機的状況が訪れようと、やっぱりサナバを追いかけたい、サナバをあきらめたくないと思わせるチャームを彼らは持ち続けた。何より、サナバはバンドとして絶対に折れなかった。SNSを動かし続けなければ息を止めているようにさえ扱われるこの奇妙な時代にあって、生音のすごみを込める音源を作り続け、生身の代えがたい迫力を放つライブを重ねた。だからこそ、この日、LIQUIDROOMにはこんなにも素晴らしい光景が生まれたのだ。Ryohuオープニングナンバーの「Son of a Gun Theme」を経て、一発目のゲストボーカルとしてステージに現れたRyohu。この数日前に日本武道館でKANDYTOWNを終焉させたばかりの彼は「Call Your Name」と「Forever」を情感豊かなメロウネスをもって体現し、続く「One Way」でYONCEを呼び込み腰にくるグルーヴィーなSNB.バンドのアンサンブルの中でふたりはクールでありながら自由闊達な様相でマイクを交わした。Ryohu / YONCE(Suchmos)そのYONCEはなんとサザンオールスターズの「いとしのエリー」をカバー。どこまでもヒューマニスティックでソウルフルと呼ぶにふさわしいYONCEのボーカルの響きにオーディエンスは深く聴き入った。YONCE(Suchmos)高岩&岩間とともに参加したトークパートでRyohuとYONCEはこんな言葉を残した。「最初は同世代で路上ライブをやっているヤバいバンドがいることを噂で知って。直接会ったのは下北沢GARAGEでした。10年来の友達とステージに立っていることを誇りに思います」(Ryohu)「最初は(Suchmosのメンバーである)TAIHEIと隼太(小杉隼太/HSU)からヤベえバンドを始めたって聞いて。一平くんにはSuchmosのサポートでドラムを叩いてもらったこともありました。それ以来、時が経ってまたこうやって一緒にやれてうれしいし、兄弟バンドのおめでたい場に呼んでもらえてありがたいです」(YONCE)Pecori(ODD Foot Works)「Bebop Kagefumi」のイントロが鳴り登場したODD Foot WorksのPecoriは、原曲よりもグッとレアグルーヴ度が増したサウンドを浴びながら活き活きとステージ上で躍動。SNB.バンドによってメロウジャズなフィーリングで再解釈された「KAMISAMA」を終えると、Pecoriは高岩&岩間を呼び込み「デパ地下」を3MCでコラボレーション。Pecoriはそのままエクスクルーシブで用意したヴァースをスピットし、喝采を浴びた。Pecori(ODD Foot Works)さらに「デパ地下」の終盤でマイクを受け継いだのが、HUNGERだ。オリジナルのフリースタイル然としたヴァースをキックし曲を締めくくってみせた。仙台をレペゼンするラッパーとして、東日本大震災から12年にあたる前日の3月11日に仙台市立荒浜小学校でライブを行ったHUNGERは「東北に縁のあるバンド、SANABAGUN.(高岩が岩手県宮古市、岩間が青森県三沢市出身)。その関係性も踏まえて一緒にやってもらいたい曲があります」と語り、高岩とともに「聞こえるよ」を紡いだ。HUNGER(GAGLE)そこから、「リハで急遽やろうと決めた」という「雪の革命」をSNBバンドとのフリーセッションで響かせ、ラストの「屍を越えて」まで、会場にいるすべての個々人と心の声で対話するようなパフォーマンスを見せてくれた。HUNGER(GAGLE)最後のゲストボーカルとして登場したのは、小出祐介。開口一番「こんなにカッコいいバンドを10年も続けてくれて本当にありがとうございます!(オーディエンスに向かって)10年間、サナバを支えてくれて本当にありがとうございます!みなさんがいるからこそカッコいいサナバがいると思います」と語り、「The Cut」へ。オリジナルバージョンではRHYMESTERをフィーチャリングした「The Cut」のラップパートを、小出&岩間バージョンで披露。鋭く跳ねる小出のフロウと岩間のタイトなラップが刺激的に交差した。小出祐介(Base Ball Bear)「続いての曲は、僕が岡村靖幸という日本で一番ダンディーで、セクシーなおじさんと作った曲なんですけど。僕が知る限り、90年代生まれの中で一番セクシーで、ダンディーな男と一緒に歌いたいと思います」という前フリから高岩をステージに招き入れ始まったのは「愛はおしゃれじない」。スタイルが異なるこそ2人の固有の色気が際立つボーカルを交歓させ、落ちサビの掛け合いでは高岩が小出の頬にキスをするというなんとも微笑ましい濃厚接触も実現した。小出祐介(Base Ball Bear)以下、Pecori、HUNGER、小出がトークパートで残した言葉だ。「自分も普段バンドをやっているけど、生音だけではやってないので。今日、それを体感して新しい感覚を得ることができました」(Pecori)「2014年に渋谷にあったVUENOSで初めて一緒になってから、大きな波が来るという予感があった。そのときはいかんせんお客さんの波がなかったんだけど(笑)。あらためて、めちゃくちゃカッコいいバンドだなと。演奏の迫力もそうだし、音の厚みもそう。PAさんが音の出し方も工夫していて、ライブをやりながら自分もお客さん側にいたいと思いました」(HUNGER)「バンドを10年やるのって大変ですよね。メンバーが出ていったり、入ったり。いろんな葛藤があると思うけど、20年バンドを続けた先輩として言えるのは、マジで続けたほうがいい。SANABAGUN.みたいに周りにない音楽をやっているバンドは本当に希少だし、孤高の存在になっていいと思う」(小出)こうして「SNB.SUDPDMMS10YDF」はインターバルを挟んで、2部のSANABAGUN.単独ライブへ。全身黒の衣装に身を包み直した8人は初っ端から「SNB.JAZZメドレー」(「Fast Swing」、「B-Bop」、「居酒屋JAZZ」、「L.G.M」、「Heisei Evidence、「Stuck IN Traffic」、「Fast Swing」」をプレイ。そこで再確認したのは、今のサナバの音と歌とラップの重厚さであり、結成当初から持ち合わせている時にオーディエンスを圧倒するパフォーマンスのキレ(それは怖さとも言える)だ。このあとに続いた「KING」や「三種の神器」もそう。あらゆるいけ好かない事象に中指を立てるレベルミュージックでもある楽曲群の説得力を担保する威圧感があってこそ、サナバである。だからこそ、高岩がメロウに歌を浮遊させる「One Call」のような楽曲もじっくり染み入る。粘度の高いファンクネスで踊らせる「8 manz」から緊張を緩和させる「チョップマン」へなだれ込むと、なんとこの曲の終わりで仮面を被った木村カエラが参上。そのシルエットで正体に気づいたオーディエンスは驚嘆の声を上げた。木村カエラさらにカエラは仮面を取ると、高岩と岩間に挟まれながら祐大のピアノ1本をバックに「Butterfly」のサビをワンフレーズだけ歌ってみせた。言うまでもなく、フロアは大いに沸いた。カエラはOKAMOTO’Sのハマ・オカモトからサナバを紹介されたという。その縁が繋がり2022年2月に開催されたカエラのビルボードツアーではハマ・オカモトがバンマスとなりSNB.バンドのメンバーも参加。さらに同年12月にリリースされたカエラのニューアルバム『MAGNETIC』には彼女曰く「SANABAGUN.のみなさんと作っためちゃくちゃいい曲」である「井の頭DAYS feat. SANABAGUN.」が収録された。最後にカエラとサナバはその「井の頭DAYS」をオーガニックかつポップなムードで彩った。木村カエラあっという間にライブは終盤へ。サナバきってのパーティーチューンである「Warning」ではファンにはお馴染みの野球ネタを挟み込み、本編ラストの「人間」における多幸感は間違いなく過去最高だったと思う。アンコールの1曲目は完全初公開となる8MCの新曲「男の代償」。このメンバー全員によるマイクリレーもまたサナバが幾度のメンバーチェンジを経ても交わしてきた“契”だ。最後のMCで岩間と高岩がこう語った。「一番大変だったのはメンバー(楽器隊)だから。大きな拍手を。そして、今日出てくれたゲスト陣にも大きな拍手をお願いします。このステージを作ってくれているスタッフさんたちにも大きな拍手をお願いします。そして、みなさん(オーディエンス)がいなかったら俺たちは10年も音楽を続けられていなかったので、みなさんも自分たちに大きな拍手を」(岩間)「バンドというのは続けるのが難しいんですよ。メンバーが8人もいるでしょ。輩ばっかで。いろんな考え方やスタンスがあって、メンバーが抜けたり入ったりして、今の8人で10年経って。何を思ったのかなぁ、今日の俺らは。俺たちが一番、SANABAGUN.って超カッコいいなと思いました。ありがとう。お互いの活動やライフスタイルをリスペクトし合えば、俺たちはいつまでもならず者でいられるなと思いました。ぜひ口コミで、今日のお客さんがひとりにつき10人くらい巻き込めば速攻で武道館やれるでしょ。ねずみ講です、ヨロシク!」(高岩)オーラスはやはりというべきか、「FLASH」だった。誰もがこの夜を終わらせたくなかったはずだが、次なる宴が待っているという高揚感を余韻として残したままメンバーはステージを去っていった。そして、終幕の映像で告げられたのは、サナバにとって初となる日比谷野外大音楽堂での単独公演開催決定の報せだった。2023年12月10日。冬の野音にあのかけ声が響き渡る。「俺らがレペゼンゆとり教育。平成生まれのヒップホップチーム。こ、れ、が、SANABAGUN.だ、味わえっー!!」Text:三宅正一Photo:SANA.(Kazuyuki Sanada)<公演情報>『SANABAGUN. SUPER ULTRA DYNAMITE PANTIE DESIRE, MARVELOUS MAXIMUM SACRIFICE 10 YEARS DRAGON FESTIVAL』2023年3月12日(日) 東京・LIQUIDROOMセットリスト第一部01. Son of a Gun Theme02. Call Your Name03. Forever04. One Way feat. YONCE05. いとしのエリー06. Bebop Kagefumi07. KAMISAMA08. デパ地下09. 聞えるよ10. 雪の革命11. 屍を越えて12. The Cut -feat. RHYMESTER-13. 愛はおしゃれじゃない第二部01. SNB. Jazzメドレー02. KING03. 3種の神器04. One Call~消せないテレフォンナンバー~05. 8 manz06. チョップマン07. Butterfly08. 井の頭DAYS feat.SANABAGUN.09. Stay Strong10. Warning11. 人間EN1. 男の代償EN2. FLASH<ライブ情報>『SNB. 10th Anniversary Final』2023年12月10日(日) 日比谷野外大音楽堂OPEN16:00 / START17:004月2日(日) 23:59までチケット最速先着先行予約実施中関連リンクOfficial Site:::
2023年03月28日2023年3月4日(土) より、東京・豊洲のIHI ステージアラウンド東京にて上演中の『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』。企画・演出・出演の尾上菊之助をはじめ、中村獅童、尾上松也、中村米吉、中村梅枝、中村橋之助、坂東彌十郎、中村歌六ら豪華歌舞伎俳優が集結。旅の始まりから終わりまでを一日で追体験できる話題作のオフィシャルレポートが到着。歌舞伎というエンタメの存在は不思議だ。「歌舞伎」と聞いて、誰もが隈取の化粧や見得をするポーズを思い出すのに、それが何なのかというと「よく分からない」という人は多い。分からないのは、歌舞伎の舞台を観たことがないから。二の足を踏むのは、面白いか面白くないかさえフワッとしているからだろう。「セリフも難しそうだし、高いチケットを買って楽しめなかったら、損した気分になるし……」と思うのは当然かもしれない。そんな、「とても身近なのになんだか遠い歌舞伎」への偏見や思い込みを、3月4日に幕を開けた『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』(FFⅩ)は、気持ちよく打ち砕いてくれる。原作は、2001年に『ファイナルファンタジー』シリーズの10作目として発売された大ヒットゲーム。世界累計出荷・ダウンロード販売本数は、続編を含めてなんと2110万本以上(2022年3月末時点)という、今も世界中のゲームファンに愛されている名作だ。「ゲーム」の歌舞伎化は、本作が史上初。誰も観たことがない舞台になるのだから、ゲームファンはもとより、歌舞伎ファンも想像がつかなかったのが正直なところ。もともと『FFⅩ』の大ファンで、コロナ禍の自粛中に再びゲームをやり込んだことから改めて感銘を受け、直接スクウェア・エニックスに企画書を送った尾上菊之助(企画と共同演出、主演)とて、大きな挑戦だったに違いない。これまで『風の谷のナウシカ』などの新作歌舞伎を成功に導いてきた菊之助だが、なにしろ「史上初」の舞台なのだ。だが初日を迎えてみると、ネット上には歌舞伎を知らないゲームファンの「歌舞伎って面白い!」という驚きと、「こんなふうに『FFⅩ』を舞台で観られるなんて」との喜びの声が続々と寄せられている。ゲームを知らない歌舞伎ファンも、「歌舞伎の手法をこんなふうに使ってくるとは……!」と新たな視点で楽しみつつ、『FFⅩ』の普遍的なストーリーを満喫している様子だ。左より)シーモア役 尾上松也、ティーダ役 尾上菊之助主人公は、魔物『シン』が人々を脅かす世界「スピラ」に迷い込んだティーダ(菊之助)。彼が召喚士のユウナ(中村米吉)に出会い、彼女を援護する仲間たちと共に『シン』を倒すまでの波乱の旅が、壮大なスケールで描かれる。ブリッツボールの選手ワッカ(中村橋之助)や黒魔導士のルールー(中村梅枝)、ロンゾ族のキマリ(坂東彦三郎)、そしてティーダの父ジェクト(坂東彌十郎)の盟友アーロン(中村獅童)が、ユウナの「ガード」となっていくつもの戦いを乗り越えてゆく。グアド族の族長シーモアが立ちはだかるなか、ティーダたちが知る『シン』の真実とは……。ティーダ役 尾上菊之助、ユウナ役 中村米吉、アーロン役 中村獅童、ワッカ役 中村橋之助、ルールー役 中村梅枝、リュック役 上村吉太朗冒頭、にぎやかな鳴物(歌舞伎で使われる楽器)と共に23代目オオアカ屋に扮した中村萬太郎が登場すると、「口上」(演目の説明)からスタート。「今日初めて歌舞伎を観に来たという方は? 逆に『FFⅩ』をやったことがありませんという人はどれくらい?」と観客に手を挙げさせる。「これだけの人が未知の世界に飛び込んでくれたんですねぇ」と両方のファンに目配りしつつ、「ご安心ください、私が歌舞伎の楽しみ方をお伝えします」と頼もしいひと言。「ツケ打ち」(木の板を打ち付けた音で、役者の足音を表したり、見得をする場面を盛り上げたりする)の解説の後は、『FFⅩ』の物語とその背景も教えてくれ、客席はいつのまにかリラックスした雰囲気に。23代目オオアカ屋役 中村萬太郎続いて『FFⅩ』の美しい旋律(邦楽でのアレンジ)が流れると、正面の巨大スクリーンいっぱいにザナルカンドの廃墟が映し出される。どこからか聞こえてきたのは、ティーダ(菊之助)の声だ。「最後かもしれないだろ? だから、全部話しておきたいんだ」。スクリーンに『新作歌舞伎 FINAL FANTASY Ⅹ』のタイトルが浮かび、ゆっくりと消えてゆく……。ふいに照明が明るく変わると、客席のあちこちに出演者による「町の人々」が登場。その頃には自分もすっかり物語の中に入り込んだような気持ちになっていた。オープニングそして町の人々がブリッツボールの人気選手、ティーダを待ちわびてコールすると、ついに幕が開いてティーダが登場! ワクワクしていた分、「待っていたとはありがてぇ」とのセリフがリアルに響く。実はこれ、歌舞伎の『お祭り』という演目で鳶頭が言う有名なセリフ。客席の「待ってました!」の声(気持ち)に応える、いわばテッパンのやりとりだ。ティーダは続けて七五調での「名乗り」をし、最後は「ティーダたぁ、俺がことッス!」で締めくくる。これも『弁天小僧』のクライマックスのセリフ「弁天小僧菊之助たぁ、俺がことだ」から。これだけで、ティーダが華やかな主役であることが分かるし、『弁天小僧』は音羽屋(菊之助の屋号)の代表的な芸なので、菊之助が率いる本作にもピッタリ。「ティーダ」(ゲーム)と「菊之助」(歌舞伎)、どちらの視点からでも楽しめる仕掛けなのだ。ティーダ役 尾上菊之助そんなふうにして、本作には原作ゲームの魅力のほかに、歌舞伎の表現方法の面白さがたっぷり盛り込まれている。登場人物それぞれの「名乗り」や、軍兵たちが前転宙返りをする「トンボ」を切る立廻りをはじめ、女方たちの美しく見事な「海老反り」、『土蜘』のイメージで糸状のものをシュッと投げる「千筋の糸」、仏像が倒れるように手を使わず直立したまま倒れる「仏倒れ」。さらに一瞬で衣裳の表面が変わり、役自体の隠された内面もあらわになる「ぶっ返り」など、長い年月を経て受け継がれてきたそれらの仕掛けが、物語のあちこちで効果的に使われるのだ。おそらく初めて観るらしい客席の辺りから、「おおー!」というようなどよめきが起こるのも楽しい。シーモアとの闘いその一方で、壮大なスケールで展開する世界観を具現化するため、会場であるIHIステージアラウンド東京の舞台機構も大いに活用。通常、演劇の世界では、大海原も広い空も、ゆったりとした浜辺もにぎやかな街の風景も、具象を抽象化することで表現してきた。だが円形の劇場の内側に360度のステージと、高さ8mの巨大なスクリーンが張り巡らされ、囲まれた客席自体が回る機構を持つ同会場。本作ではゲームのCGビジュアルが巨大スクリーンに映し出され、美しく迫力ある映像が堪能できる。序盤にティーダとユウナたちが海原に船を漕ぎ出すシーンや、クライマックスでの飛空艇が空を飛ぶ場面などは、客席の前方と左右が巨大な映像に囲まれるため、かれらと一緒に乗っているような臨場感が。この点も、これまでの新作歌舞伎にはない魅力だろう。船上の場面飛空艇の場面さらに、「マカラーニャ湖」のシーンも必見。ティーダとユウナのお互いへの恋情が、舞台上のミストスクリーンにまぼろしのように映し出され、演じる菊之助と米吉は言葉にできない気持ちを舞いに込めて踊る。客席からも、あちこちからすすり泣く声が。まるで『FFⅩ』の中に入り込んで、ふたりをじっと見つめているかのような、舞台とも映画とも、またゲームとも異なる新しい感覚だった。左より)ティーダ役 尾上菊之助、ユウナ役 中村米吉クライマックスを盛り上げる「召喚獣」のバトルも、手に汗握る迫力! 召喚獣を擬人化させて、さまざまな「毛振り」でリアリティとスピード感あるバトルが実現。夢中になって見入ってしまった。スピラを彩る魅力的な登場人物たちさて、ここまで演出や仕掛けについて書いてきたが、もちろんそれは演者の力があってこそ。最後にそれぞれの登場人物について触れておこう。まず、ブリッツボールの選手で、語尾が「~ッス」な若者、ティーダを演じる菊之助。歌舞伎作品での品格と、最近ではTVドラマでも落ち着いた男性を演じることが多かったために予想がつかなかったが、実際に観てみるとユウナに合わせた少年らしい拵えでまったく違和感なし。なにより溌剌とした若者らしい発声に驚いた。その瑞々しい声音で感情を爆発させたり、ユウナへの想いをにじませたりするのだから、その芸域の幅広さに改めて脱帽。新しい菊之助の魅力に気づかされたのも嬉しい発見だった。左より)ユウナ役 中村米吉、ティーダ役 尾上菊之助獅童はティーダの父の盟友で、旅に同行するアーロンを好演。頼もしい立ち姿にりゅうとした衣装がピタリとハマり、謎めいてはいるが信頼できる大人の男として魅せる。とある過去からダークサイドに落ちてゆくシーモアを大きさと繊細さとで演じる松也も、堂々たる佇まい。オフは盟友同士の獅童と松也だけに、戦いで斬り合うシーンも息がピッタリだ。なにより“芝居の輪郭”が太いふたりが並ぶと、舞台上の空気がピリッと引き締まる。アーロン役 中村獅童左より)シーモア役 尾上松也、アーロン役 中村獅童ユウナの叔父でティーダたちを導くシド役の中村歌六の誠実さ、ユウナが小さい頃に死んだ父で大召喚士のブラスカ役の中村錦之助の温かさも印象的。シド役 中村歌六ブラスカ役 中村錦之助物語のキーとなるジェクト役の彌十郎は、息子ティーダとの相克を招いてしまう人間くささを、持前の懐の深さで魅力的に表現。子ども時代のティーダ(尾上丑之助)とのやりとりが『FFⅩ』ファンの涙を誘っているのも、彌十郎ジェクトならではだ。ジェクト役 坂東彌十郎その丑之助は、幼少期のティーダと、祈り子の2役。前者では子どもらしい可愛らしさを見せつつも、後者ではこの世の者ならざる表情で、物語の核を示す長台詞を明瞭に聞かせる。客席をグッと引き込む求心力には心から驚かされる。ティーダ役 尾上菊之助、ジェクト役 坂東彌十郎、ティーダ役(幼少期)尾上丑之助ティーダたちと共にユウナのガードを務めるキマリ役の彦三郎は、ロンゾ族という設定柄、顔も全身も青い拵え。無口な青年という役ゆえ台詞は少なめで、その分ユウナを守る気持ちを視線や行動に滲ませる。声の良さに定評のある彦三郎だけに、言葉を発したときの言葉が強く印象に残った。キマリ役 坂東彦三郎ユウナの姉のような存在であるルールー役を務める梅枝は歌舞伎の演目では本格の佇まいを見せて若手女方の中でも図抜けた存在だが、その実力を本作でもいかんなく発揮している。悲しい過去がありながらも仲間たちを優しく見つめ、落ち着いた艶を滲ませる梅枝ルールーは、『FFⅩ』ファンの間でも人気急上昇中なのだとか。ルールー役 中村梅枝ユウナを演じる米吉は、「可愛いすぎる女方」として多方面から注目が集まっている中でのヒロイン役。2022年の『風の谷のナウシカ』タイトルロールや、歌舞伎以外の舞台での主演を経て、女方としての居方にもいっそう陰影が加わった。召喚士としての芯の強さや笑顔の可愛らしさの他に、運命をひとりで受け入れようとする生硬さ、想いを秘めた健気さなど、ふとした横顔に少女の憂いが宿る。ユウナの「異界送り」の動画がネットでバズったのも、米吉のユウナだからこそだろう。ユウナ役 中村米吉異界送りの場面ブリッツボールの選手からユウナのガードとなるワッカ役の橋之助は、自身の大らかな持ち味を活かした役づくり。普段は明るいムードメーカーだが、『シン』によって弟を亡くしたことから、ある民族に対するわだかまりがある。その後は戸惑いつつも先へ進もうとする心情を丁寧に演じた。ワッカ役 中村橋之助23代目オオアカ屋として前編・後編共に口上という大役を担った萬太郎は、シン討伐隊のルッツとの2役。ユウナのいとこで、途中から一行に加わる元気な女の子、リュック役の上村吉太朗と共に、若手実力派として頼もしく舞台を支えている。リュック役 上村吉太朗そして伝説の女性ユウナレスカには、中村芝のぶ。最後まで物語の緊張感が途切れないのは、圧倒的なオーラで終盤のクライマックスを盛り上げる、芝のぶユウナレスカの存在が欠かせないだろう。ユウナレスカ役 中村芝のぶ左より)ユウナレスカ役 中村芝のぶ、アーロン役 中村獅童振り返ってみれば、『シン』に立ち向かう旅やティーダとユウナの恋など主旋律のほかに、常に通奏低音のように聞こえているのが、親子の絆だ。ティーダと父のジェクト、シーモアと父で族長だったジスカル、そしてユウナと父ブラスカ。それぞれの親子の情愛が、哀しい、あるいは愛おしい運命と共に描かれる。それは歌舞伎でもしばしば描かれるテーマであって、本作での陰影も、歌舞伎俳優たる演者の力量あってこそだろう。中でもシーモアとジスカルの過去のエピソードは、今回新たに付け加えられたオリジナル。ゲームでは描かれなかったシーモアの葛藤と、彼が闇に落ちた理由が明らかになって胸に迫る。シーモア役の松也と、ジスカル役の澤村國矢の緊張感あるやりとりが見どころだ。左より)ジェクト役 坂東彌十郎、ティーダ役 尾上菊之助左より)シーモア役 尾上松也、ジスカル役 澤村國矢本作の稽古場では、企画から立ち上げて共同演出と主演を担った菊之助だけでなく、獅童や松也、その他の演者からも活発なディスカッションが交わされたという。そもそも出演者へのオファーは、菊之助自ら1人ひとりに電話をかけて進められたのだとか。そんな熱い現場で練り上げられたクリエイティブに、ジャンルは関係ないだろう。「ゲーム」と「歌舞伎」の幸せな邂逅を実現した本作は、たくさんの観客にとって、新たなマスターピースとなるに違いない。文=藤野さくら木下グループpresents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』チケット情報
2023年03月24日『LIVE the SPEEDSTAR』が、3月18日(土) に幕張メッセ国際展示場で開催された。『LIVE the SPEEDSTAR』は、ビクターが毎年3月に幕張メッセで開催をしている『ビクターロック祭り』の特別版。ビクターエンタテインメント内のレーベルであるスピードスターレコーズが設立30周年を迎えたことを記念して、今年は星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAといった所属アーティスト15組が一堂に集うイベントとなった。以下、各アーティストごとのオフィシャルレポートをお届けする。<BARK STAGE>GRAPEVINEGRAPEVINE Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)『LIVE the SPEEDSTAR』、BARK STAGEのトップはGRAPEVINE。スピードスターに移籍したのは2014年だが──以前本人たちにきいたのだが──1997年にメジャーデビューする前の各レコード会社による争奪戦の時、最後まで残った2レーベルのうちのひとつがスピードスターだったという。それから17年を経てめでたく所属、となったわけである。この日演奏した全7曲のうち、5曲目までがスピードスター移籍後のレパートリー。GRAPEVINE屈指のファンク・チューン「Alright」でスタートし、ねばっこさと軽快さが同居する「Evil Eye」へ。特に、3曲目「目覚ましはいつも鳴り止まない」と、4曲目「ねずみ浄土」、最新のデジタルシングルが続いたゾーンが、圧巻だった。こんなにメロウでソウルフルな曲と、こんなにどうかしてる曲を連打して、ライブのピークを作ってしまうロックバンド、GRAPEVINEだけだろう。オーディエンスも「ねずみ浄土」を待っていたことを、曲終わりの拍手の大きさが表していた。サイケデリックで雄大な「Gifted」、初期の名曲「光について」を経てのラストで、サプライズあり。つじあやのが登場、共に「Shiny Day」を歌ったのだ。2005年に根岸孝旨がプロデュースし、GRAPEVINEがバックを務めたこの曲を、そのままの組み合わせでライブで聴ける、サビでつじあやののボーカルにハモリをつける田中和将を観れる、という機会、極めてレアだと思う。Text:兵庫慎司セットリストM1. AlrightM2. Evil EyeM3. 目覚ましはいつも鳴りやまないM4. ねずみ浄土M5. GiftedM6. 光についてM7. Shiny Dayスガ シカオスガ シカオ Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「おはようございます!楽しんでいくよ!」――力強い挨拶の声と共にスタートしたスガ シカオのライブ。オープニングを飾ったのは「Party People」。ファンキーに躍動するバンドサウンドと歌声が、ステージを見つめる我々のダンス衝動を掻き立てて止まない。観客たちが身体を一斉に揺らしながら放つ波動が、会場内の空気をみるみる内に温めていた。「足元の悪い中、ようこそ!短い時間だけど、たっぷり楽しませていくのでよろしく。次に歌うのは、なかなか人前で歌えないかわいそうな曲です(笑)。でも、今日は何の制約もないので」という言葉を添えて歌い始めた「バニラ」は、艶めかしい歌詞の描写が刺激的だった。そして「バニラ」に匹敵するくらいの妖しい風味を堪能させてくれた「19才」に続いて披露されたのは「Real Face」。作曲を松本孝弘(B’z)、作詞をスガが手掛け、2006年にKAT-TUNへ提供されたこの曲は、やはり圧倒的にかっこいい。エネルギッシュなバンドサウンドも抜群に冴えわたっていた。「この間、アルバム『イノセント』が出まして。8年くらい前にSPEEDSTARに移ってきて、まだ新入生的な扱いです(笑)。ちゃんと一歩ずつ階段を上がっていこうかなと。次に歌うのは出たばかりの曲です」と紹介しつつ歌い始めた「さよならサンセット」。『イノセント』の中でも美メロが光っていた曲だが、ライブで聴いても胸に深く沁みた。続いてNHK総合『プロフェッショナル仕事の流儀』のテーマソングとしてお馴染みの「Progress」も披露。そしてラストに届けられたのは「コノユビトマレ」。グルーヴィーなバンドサウンドに包まれながらギターを弾き、歌声を響かせるスガも心底楽しそう。掲げた腕を振りながら盛り上がる観客たちと一緒に幸福な空間を作り上げていた。Text:田中大セットリストM1. Party PeopleM2. バニラM3. 19才M4. Real faceM5. さよならサンセットM6. ProgressM7. コノユビトマレUAUA Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「私はデビューして28年目に突入しているんですけど、最初から今までずっとスピードスターにいる者です。今日の(出演者の)中で、スピードスターではいちばん古株だということで、驚愕しております」と、後半のMCで自己紹介したUAが、BARK STAGE 3番目のアクト。1曲目「太陽手に月は心の両手に」を歌い始めた瞬間、その声の豊かさで、幕張メッセの空気が変わったのがわかる。次は最新アルバム『Are U Romantic?』から「お茶」。1996年の曲と2022年の曲が、違和感なく並ぶさまが楽しい。続いて「情熱」、さらに「雲がちぎれる時」と、初期のヒット曲が惜しみなく放たれる。フロアのあちこちで両腕が挙がる。UAとコーラス隊ふたりの声とアクションが、絶妙にシンクロし続ける「AUWA」は、曲間を空けずにそのまま「TIDA」へと続いていく。途中までピアノだけで歌われた「プライベートサーファー」は、荘厳で、壮大で、まるでゴスペルのような、すさまじい美しさだった。「このレーベルはね、ほんとに人として音楽を見てくれる、育ててくれるレーベルなんです。こういうレーベルが日本でしっかりと活躍できるように、見守っていてくださいね」という言葉から放たれたのは「微熱」。1年前のリリース時、朝本浩文の未発表曲か? と驚いた(GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーが書いたことを知ってさらに驚いた)この曲を、極上の歌と演奏で、最後に届けてくれた。Text:兵庫慎司セットリストM1. 太陽手に月は心の両手にM2. お茶M3. 情熱M4. 雲がちぎれる時M5. AUWA~TIDAM6. プライベートサーファーM7. 微熱KREVAKREVA Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)KREBandの演奏が華麗に鳴り響いた後、ステージにKREVAが登場。「SPEEDSTAR、30周年おめでとうございます。その中でも新人の部類ですが、よろしくお願いします。KREVA!って呼んでもいいらしいよ。それだけで感無量。やっとだね。初めてライブを観る人、やっと会えたな」――素敵な言葉に早速胸が熱くなる。そしてサングラスを不敵に輝かせながら歌い始めた1曲目は「Finally」。昨年2月にリリースされたアルバム『LOOP END / LOOP START』でもオープニングを飾っていたこの曲は、粋なライミングが満載されている。こんなにも極上のラップを浴びたら、じっとしていられる人類がこの世に存在するはずもない。観客たちは体を揺らして踊り始めた。続いて「基準〜2019Ver.〜」も届けられたが、ビートを巧みに乗りこなしながら放つラップの切れ味が本当にすごい。“かっこいいラップとはこういうことだ!”と堂々と名乗りを上げるかのような姿に痺れてしまった。「みなさんも声を出せるので、声を出せるような曲を持ってきました。ぜひとも参加してもらえたらなと。エンタテインメントの現場は、みんなの声がないと完成しない。みんなで作るものだと思います」というMCの後に披露された「パーティーはIZUKO〜2019Ver.〜」は、まさしく参加型の曲だった。《ねぇ パーティーはIZUKO》に対して《ここだ!》と元気いっぱいに返したくなる。そして「人生」と「居場所」は、会場のムードを瑞々しいものへと塗り替えた。こういう曲もKREVAのライブでいつも魅力を大いに煌めかせる。リリックの言葉の1つ1つに刻まれた深い情感を噛み締めながら、彼の表現力の幅を改めて実感した。「みんなの声、存在のありがたさに気づかされる一方です。このままいろんなイベントが増えていくと思うけど、その時にまたみんなに会えたら嬉しいです。あと数曲で終わりですが、今日という日が特別な日になるように」――観客たちに感謝の想いを伝えたMCを経て、ライブはいよいよクライマックスへと突入していった。夏フェスを先取りするかのような爽やかな昂揚感を噛み締めさせてくれた「イッサイガッサイ〜2019Ver.〜」。最高のビートを徹底的に体感させてくれた「C’mon, Let’s go〜2019Ver.〜」。そしてラストは「音色〜2019 Ver.〜」が飾った。《愛してんぜ 音色》という印象的な一節に表れている通り、音に対するラブソングとでも言うべきこの曲は、音楽愛に満ちた人々がたくさん集まっているこのイベントに実にふさわしかったと思う。ステージから届けられるサウンドに耳を傾けながら、「音楽って最高!」と心の底から感じることができた。Text:田中大セットリストM1. FinallyM2. 基準 ~2019 Ver.~M3. パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~M4. 人生M5. 居場所M6. イッサイガッサイ ~2019 Ver.~M7. C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~M8. 音色 ~2019 Ver.~くるりくるり Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)1998年のデビュー時から所属しているくるりは、「琥珀色の街、上海蟹の朝」でスタート。イントロのギターが響くと同時にフロアが湧き立つ。この曲でフロントマンの岸田繁はハンドマイクになるのが恒例だったが、少し前からギターを抱えたまま歌う形にシフトしている。岸田とベース佐藤征史を支える不動のサポートは、ギターの松本大樹とキーボードの野崎泰弘、ドラムはあらきゆうこだ。「ばらの花」で盛大に拍手を浴び、『NIKKI』(2005年)から「虹色の天使」をプレイし、最新EPのタイトル曲「愛の太陽」へ。ライブでの再現が難しいとされていた実験作『天才の愛』の次は、シンプルな方向に振り切ったようだ。くるりのスタンダード曲に育っていきそうである。目まぐるしく変わる展開がワクワクする「Liberty & Gravity」の後、MCをはさんで「everybody feels the same」へ。岸田が都市名を並べるあたりから、フロアにハンドクラップが響き渡る。締めを飾るのは叙情性の面においてくるりを代表する2曲である「ハイウェイ」と「Remember me」。あまりにも良すぎたからか、曲が終わった時にはすっかり帰る気分になっていた。いやいや、フェスはまだまだ続く。Text:兵庫慎司セットリストM1. 琥珀色の街、上海蟹の朝M2. ばらの花M3. 虹色の天使M4. 愛の太陽M5. Liberty & GravityM6. everybody feels the sameM7. ハイウェイM8. Remember me星野源星野源 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「ひらめき」からスタートした星野源のライブ。2010年6月にリリースされた1stアルバム『ばかのうた』に収録されているこの曲を、弾き語りでじっくり聴くことができて、早速嬉しくなったファンがたくさんいたに違いない。アコギを爪弾きながら響かせる歌声がとても穏やか。「すごい人!来てくれてありがとうございます。めちゃくちゃ暗い曲をいっぱい持ってきました(笑)。SPEEDSTAR、30周年おめでとうございます。いつもお世話になってます。拾っていただき感謝しかありません」という最初のMCの後に披露された「ばらばら」も『ばかのうた』の収録曲。優しい温もりで包んでくれるかのようなオープニングの2曲だった。続いて「人間の真理が歌われているのでご自身に照らし合わせていただければ。」とMCを挟んで歌い始めたハナ肇とクレイジー・キャッツのカバー「スーダラ節」。『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌「恋」も弾き語りで披露された後、ステージに招き入れられたゲストはギタリストの長岡亮介。「化物」と「地獄でなぜ悪い」は、2人の躍動感に満ちたサウンドに誘われて、観客たちの間から明るい手拍子と声援が起こった。「くせのうた」も2人編成で届けられた後、「日々いろんなことがありますけど。シンプルですけど、生きていきましょう」という言葉が添えられて、ラストは「くだらないの中に」が締め括った。2011年3月にリリースされた1stシングルの曲だが、やはり堪らない魅力がある。耳を傾けていると、心が徐々に潤いを取り戻していくような感覚になった。全曲を歌い終えると、手を振りながらステージを後にした星野。彼を見送る拍手と歓声は、特大級だった。Text:田中大セットリストM1. ひらめきM2. ばらばらM3. スーダラ節M4. 恋M5. 化物M6. 地獄でなぜ悪いM7. くせのうたM8. くだらないの中に斉藤和義斉藤和義 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)今日、斉藤和義が1曲目に持ってきたのは「やさしくなりたい」。ギター×2とベースとドラムと歌、シンプルなバンドサウンドのいかつい鳴りが、とても心地いい。次は2022年7月リリースの、現時点での最新曲「明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ」。斉藤和義が弾くアコースティック・ギターの、激しいカッティング音が響く。歌い終え、おなじみの「東洋一脱力した“いぇーい”」を放ってから、スピードスターと同じく自分も今年30周年である、と告げる斉藤和義。「知らない方もいると思うので。私、せっちゃんと呼ばれてまして……」と、ロックファンはみんな知っているその理由を、不必要なほど丁寧に説明する。そして、来月発売するニューアルバム『PINEAPPLE』から、今日初めてやる新曲を……と、「問わず語りの子守唄」を披露。ひとことひとことが耳に刺さるようなリリックを搭載した曲である。2021年のデジタルシングル「Boy」を経ての「ずっと好きだった」では、サビで腕を振り上げる人、多数。口元はマスクで見えないが、みんな一緒に歌っていたのではないか。続く「ベリーベリーストロング」では、挙がる腕の数がさらに増える。ラストは「歩いて帰ろう」。間奏明けのブロックで歌をオーディエンスにまかせる、本来おなじみだった光景を、久々に見ることができた。感動的だった。去り際に斉藤和義は、「またね」と両手を振った。Text:兵庫慎司セットリストM1. やさしくなりたいM2. 明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだM3. 問わず語りの子守唄M4. BoyM5. ずっと好きだったM6. ベリーベリーストロングM7. 歩いて帰ろう矢野顕子矢野顕子 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)ステージ中央に置かれたグランドピアノに向かった矢野顕子。最初に届けられたのは「ラーメンたべたい」。ピアノと1つになり、緩急自在に響かせる歌声に引き込まれずにはいられない。続いて「音楽はおくりもの」。弾かれているピアノが喜んでいるように感じられたのは、きっと気のせいではなかったのだと思う。至福のサウンドで完全に満たされた空間で耳を傾けるのは、何とも言えず素敵な体験であった。「幕張メッセ、初めて来ました。SPEEDSTARに拾っていただき、今年で10年になるんだそうです。次にやる曲を書いてくれたのはパット・メセニー。ご本人は歌われないので音域がものすごく広いです(笑)」――ウィットを利かせた紹介を経て披露された「PRAYER」も素晴らしかった。観客たちの心が静かに震えているのが肌で感じられる……。そして「今日、くるりのステージでも演奏されましたが、そんなことは構わず、矢野顕子もこの曲をやります(笑)」という言葉が和やかな笑いを誘ってから届けられたくるりのカバー「ばらの花」。この曲の後に、岸田繁(くるり)がステージに呼び込まれた。「私たちの数多くのヒット曲から厳選したこの曲を(笑)。2人で書いたんでしたっけ?」(矢野)、「はい。漫画喫茶で」(岸田)、「漫画喫茶に行ったのは後にも先にもあれが初めてです」(矢野)、「いい仕事できたかなと」(岸田)、「まだ漫画喫茶ってあるんですか?」(矢野)、「あります。シャワーも浴びれますし」――ほのぼのとしたやり取りの後に披露されたのは、2人の共作で2006年にリリースされた「PRESTO with 岸田繁」。岸田もアコースティックギターを弾きながら歌い、温かなハーモニーを響かせていた。Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)くるりとの共演や、レイ・ハラカミも加わった3人で歌ったことは過去にあったが、2人きりの共演は、これが初であることが判明。感慨深そうだったMCタイムの後、NYの矢野のスタジオで共作したのだという「おいてくよwith 岸田繁」も2人で披露。そして岸田を送り出した後、「みなさんを国際宇宙ステーションにご招待します。訓練は要りません。ロケットの名前はドラゴン。行きますよ」と言い、歌い始めた「ドラゴンはのぼる」。この曲は3月15日にリリースされた『君に会いたいんだ、とても』に収録されている。2020年11月16日に宇宙に飛び立った野口聡一飛行士に「宇宙で自由に詞を書いて下さい。私が曲をつけます」と矢野が提案したところから制作がスタートし、完成された最新アルバムの曲も聴くことができて嬉しかった。「ここにいられて嬉しいのでみんなのために歌います」という言葉が添えられて、ラストには「ひとつだけ」が披露された。あんなにも素敵な歌、ピアノに包まれたら、当然ながら心は激しく震えずにはいられない。初めて矢野顕子のライブを観た人もたくさんいたはずだが、心の底から魅了されたのでは?『LIVE the SPEEDSTAR』の最後を飾るにふさわしい余韻を残した名演であった。Text:田中大セットリストM1. ラーメンたべたいM2. 音楽はおくりものM3. PRAYERM4. ばらの花M5. PRESTO with 岸田繁(くるり)M6. おいてくよ with 岸田繁(くるり)M7. ドラゴンはのぼるM8. ひとつだけ<ROAR STAGE>SPECIAL OTHERSSPECIAL OTHERS Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)BARK STAGEのGRAPEVINEの熱演に続いて、ROAR STAGEにはSPECIAL OTHERSが登場。9ヶ月連続リリースの第一弾として2月25日にリリースされた最新楽曲「Fanfare」の晴れやかな躍動感で、幕張メッセの空間を心地好く揺さぶっていく。インストゥルメンタルの演奏を主体としたジャム・バンドではあるが――いや、言葉の意味に頼らないインストゥルメンタル音楽だからこそ、宮原"TOYIN"良太(Ds)/又吉"SEGUN"優也(B)/柳下"DAYO"武史(G)/芹澤"REMI"優真(Key)のアンサンブルは、聴く者の中に伸びやかで色彩豊かなイマジネーションを呼び起こしてくる。「我々がSPEEDSTARに入って、14年ぐらい経ってました。30周年の半分くらい?微力ながら貢献できて嬉しいです!」と宮原。「SPEEDSTARのCD買っときゃ間違いない、みたいなイメージあったよね?『おしゃれでかっこいい』みたいな感じで、憧れてたところもあったんだよね。そんなレーベルの、最高のイベントに参加できて嬉しいです!」と芹澤。レーベルへの想いを語る言葉に、惜しみない拍手が広がる。お馴染みのフライドポテト揚げ上がりサインをダンサブルなグルーヴに昇華した「Potato」の極上の演奏とユーモアでさらに会場の温度を上げたところで、昨年6月リリースの8thアルバム『Anniversary』から「Timelapse」を披露。唯一無二の進化を続けてきたバンドの道程と、その足跡を愛し続けたリスナー/オーディエンスを音で祝福するかのような多幸感が、フロアの隅々にまで温かく広がっていく。そしてラストは「AIMS」!楽器と心で高らかに歌い上げる、スペアザならではのライブアンセムが、メッセを爽快な開放感で満たしていった。Text:高橋智樹セットリストM1. FanfareM2. PotatoM3. TimelapseM4. AIMSつじあやのつじあやの Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「楽しいお祭りです。今日は楽しんでいってください!」という、爽やかな言葉で始まったつじあやののステージ。ROAR STAGEのフロアに笑顔を運ぶ、朗らかで気持ちの良いライブである。ウクレレのメロディに心洗われる「クローバー」が始まると、会場の空気がいきなり変わる。外はあいにくの雨模様だが、パッと晴れ間が広がるような歌声に癒される。踊るような鍵盤、跳ね回るリズムが快活に響き渡る「春風」を、タンバリンを叩きながら歌う姿が印象的だ。「こんにちは、つじあやのです。スピードスター30周年です。私がスピードスターに来てから20数年になります。最初の頃は右も左もわからないけど、怖いものはなくて。個性溢れる先輩に囲まれながら、マイペースにやってきました」という彼女。おっとりしているようで芯のあるその言葉は、そのままつじあやのの音楽に繋がっているように思う。約10年ぶりのオリジナルアルバムとしてリリースされた『HELLO WOMAN』から、「明日きっと」を披露する。雲に乗って青空を飛んでいくようなナンバーで、溌剌とした声は虹色の照明に乗って突き抜けていく。山下達郎のカバー「パレード」は、少ない音数ながら贅沢なアンサンブルが印象的だ。そこからは一転、星空の下で歌っているような照明のもと、「君にありがとう」をスタート。心の奥にそっと流れ落ちるような声が魅力的だ。「スピードスターの素晴らしいアーティストが揃いも揃っています。最後まで楽しんでいってください」というMCから、押しも押されもせぬ代表曲「風になる」へ。イントロを聴いただけで心が踊る、瑞々しい名曲である。自転車に乗って駆け抜けていくようなメロディと、そよ風に揺れるように手を振るお客さんが眩しい。幸運を運んでくるような声で魅了した彼女は、晴れやかにステージを後にした。Text:黒田隆太朗セットリストM1. クローバーM2. 春風M3. 明日きっとM4. パレードM5. 君にありがとうM6. 風になる藤巻亮太藤巻亮太 Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)轟々たるフィードバックノイズを浴びながら、ROAR STAGEには藤巻亮太が意気揚々と登場。今年1月にリリースされた4thアルバム『Sunshine』から「この道どんな道」を歌い上げるアグレッシブな歌声が、会場の期待感を歓喜の先へと導いていく。さらに、レミオロメンとして2004年にリリースした「南風」で、フロア狭しとハンドウェーブが巻き起こしてみせる。「ひとりひとりの思い出の中に、大事な人が浮かんできたり……そんな曲もあるかもしれません。だからこそ、僕も毎回、新鮮な気持ちで歌わせてもらっております」という言葉に続けて歌い上げたのは「3月9日」。ボーカリストとしての類稀なる表現力、感情の機微を珠玉のメロディへと結晶させるソングライティング……。ポップミュージックの訴求力と包容力そのもののような楽曲で、00年代以降の音楽シーンにその足跡を刻み込んできた藤巻の存在感が、この日のステージにも確かに花開いていた。「藤巻亮太の現在地の曲だと思っています。不安なことも多い世の中だと思いますけど、みなさんの、静かに戦ってらっしゃる背中を、少しでも押せたらと思います」と披露したのは、2月にリリースされたばかりの配信シングル「朝焼けの向こう」。《諦めるなこの心よ/自分が自分であるために》——パワフルなバンドサウンドが、そして何より藤巻の圧巻のドライブ感が、ROAR STAGEの高揚感をさらに熱く煽り立てていく。そして最後、「今日は寒いですけど……雪まではいかなかったですよね?最後に、パラッと降らしていきます!」と名曲「粉雪」で大団円!歌の持つ力を誰もが最大限に体感し得た、至上のひとときだった。Text:高橋智樹セットリストM1. この道どんな道M2. 南風M3. 3月9日M4.朝焼けの向こうM5. 粉雪THE BACK HORNTHE BACK HORN Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)荘厳なSEが流れTHE BACK HORNのステージの幕が上がる。地響きのようなドラミングに乗って荒々しくドライヴしていく「シンフォニア」で、いきなりフロアのボルテージはマックスだ。涙を流しながら咆哮するようなギターが響く名曲「罠」。亡霊のように彷徨う上音と、フロアの床を侵食するように迫ってくる低音に飲み込まれる「美しい名前」。まるでのっけからクライマックス同然のテンションである。ここでMCを挟んで小休止。嵐の前の最後の静けさだ。「30周年おめでとうございます。所属してから22年が経ちましたけど、結成してから25周年が経ちました。スピードスターが持つ色の変態っぽさと言いますか、キャラの濃い素晴らしいアーティストがいっぱいいます。力に変えて帰ってください」。さあ、ここから怒涛のフィナーレである。誰もが歌いたくなるようなメロディに惹きつけられる「希望を鳴らせ」が、再びフロアに火を付ける。会場の向こうまでぶっ飛ばすように拳を挙げて歌う山田将司(Vo)の姿が目に焼き付いて離れない。間髪入れずに「コバルトブルー」で畳みかけると、命の限りに叫ぶようなギターと、腹の底にズシンと響くようなベースにクラクラさせられた。強靭なアンサンブルに身を任せ、荒ぶるように身体を動かすヴォーカルもカッコいい。そのどれもが真摯で鮮烈、この歌だけは正面から受け止めなければ、と思わせる迫力があるのだ。最後は「また会おうぜ」という言葉を残し「太陽の花」へ。咲き乱れるように細かいリズムを刻む太いベースに、嫌でも身体が揺さぶられる。美しい旋律とカオスが同居するサウンド、ドス黒いのに眩しいメロディ、間違いなくこのバンドだからこそ築けた音楽だろう。どこまでも愚直で手加減を知らない、聴く者に生きる糧を与えるようなライブに絶え間ない拍手と拳が上がっていた。Text:黒田隆太朗セットリストM1. シンフォニアM2. 罠M3. 美しい名前M4. 希望を鳴らせM5. コバルトブルーM6. 太陽の花AA=AA= Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)荒々しいドラムの響きに続いて、ハンドマイクスタイルで強烈なメッセージを放つ上田剛士のスクリーム、そしてROAR STAGEに吹き荒れるハイパーな轟音の嵐!いきなり未発表の新曲からスタートしたAA=のステージは、コンセプチュアル・アルバム『story of Suite #19』の収録曲「BORDER」へと雪崩れ込み、幕張メッセの熱気を熾烈な緊迫感と狂騒感で塗り替えていく。時代と向き合い時代と戦う音楽としてのハードコアのリアリズムが、2023年の「今」を芯から震わせていく。上田剛士&白川貴善&児島実のパンキッシュな絶唱がメッセの天井を貫くように鳴り渡った「PICK UP THE PIECES」のダイナミズム。「NOISE OSC」から「The Klock」へとシームレスに繋ぐサウンドスケープに、世界の混沌を凝縮し炸裂させてみせた圧巻の展開……。衝撃と衝撃の軋轢の果てに、透徹した世界観と一筋の光を描き出す。まさに唯一無二の表現だ。そして、「SPEEDSTAR RECORDSのレジェンド、そしてロックンロールのレジェンド、シーナ&ザ・ロケッツの曲――日本で一番ロマンチックなロックンロール、やります」という言葉とともに披露されたのは「ユー・メイ・ドリーム」。3月29日リリースの上田剛士初のカバーアルバム『TEENAGE DREAMS』にも収録されるシーナ&ザ・ロケッツの名曲が、時空を超えたロックの道筋を力強く照らし出していた。ラストの「FREEDOM」で再びROAR STAGEを震撼させた後、「みんなにとって、明日がいい日であることを願っています。どうもありがとうございました!」と語りかける上田剛士の姿に、惜しみない拍手が降り注いだ。Text:高橋智樹セットリストM1. 新曲M2. BORDERM3. PICK UP THE PIECESM4. NOISE OSCM5. The KlockM6. ユー・メイ・ドリームM7. FREEDOM竹原ピストル竹原ピストル Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「お世話になっているSPEEDSTARに感謝を込めてやります、竹原ピストルです」が第一声。そう、彼の叫びはいつだって感謝の裏返しなのだろう。1曲目を歌い終わるや否や多くの拍手が起こり、一瞬の静寂が訪れた。のっけから余韻と期待に会場全体が包み込まれていたように思う。「LIVE IN 和歌山」からは一層ゲインが上がっていく。時に語りかけるように、あるいは殴りつけるように歌う彼から目が離せない。一際緊張感を持って歌われたのが、ラップともポエトリーとも言える「ギラギラなやつをまだ持ってる」である。懸命さと隣り合わせの攻撃性、情けなさと引き換えに掴んだ意地、音楽と人生に誠実でいるからこそ歌える<傷跡ひっくるめて魂だ>というリリック。アコギ1本とは思えない迫力満点のサウンドが胸を打つ。「もしよかったら疲れない程度に手拍子ください」と言われれば、ハンズクラップで応えないわけにはいかないだろう。リズミカルな音に乗せて優しいメロディを届ける「よー、そこの若いの」を歌い、本ライブのハイライト「Amazing Grace」へと繋がっていく。「皆さんが健やかに過ごされますように、お祈りの気持ちを込めて歌います」というセリフと、真心込めて呟くような最後の<Amazing Grace>という詩。その清らかさに圧倒された者は多いはずだ。さて、ここで一呼吸を置くMCである。マスクをつけてもつけなくても、街中で誰からも気づかれないというエピソードが微笑ましい。怖いぐらいの誠実さとあどけないユーモア。竹原ピルトルはそのふたつがあるから頼もしい。最後は未発表曲の「アンチヒーロー」で終幕。一度限りの人生を懸命に生き抜く歌、タフな表現者に万雷の拍手が送られた。Text:黒田隆太朗セットリストM1. おーい!おーい!M2. カモメM3. LIVE IN和歌山M4. ギラギラなやつをまだ持ってるM5. よー、そこの若いのM6. Amazing GraceM7. 今宵もかろうじて歌い切るM8. アンチヒーローLOVE PSYCHEDELICOLOVE PSYCHEDELICO Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「LIVE the SPEEDSTAR」、ROAR STAGEの最後を飾るのはLOVE PSYCHEDELICO。NAOKIのギターが「Free World」のイントロをかき鳴らすと、フロアに自然とクラップがあふれ、KUMIの歌声がオーディエンスの心を重力から解き放つ。エバーグリーンなロックが描き出す、涼やかでタフなポップの多幸感。祝祭の夜はなおも刻一刻と高まっていく。「SPEEDSTAR 30周年、みんなで楽しんでいこう!」というKUMIの言葉に続けて、最新アルバム『A revolution』の「Swingin’」、さらにNAOKIのアコギソロを挟んで、1stアルバム『THE GREATEST HITS』から「Your Song」へと繋いで、フロアを軽快なクラップの渦へと巻き込んでいく。そして、1stアルバムからもう1曲「Last Smile」。日本語と英語をしなやかに織り重ねて美しいグルーヴを刻むKUMIの歌声、聴く者すべてのメランコリアと共振するメロディ、研ぎ澄まされたバンドアンサンブル、むせび泣くようなNAOKIのソロフレーズ――。リリースから20年以上の時を経てなお、いや時代の変遷を経た今こそ、その楽曲の輝きは鮮烈に伝わってくる。「Calling You」のタイトなビートで再びROAR STAGEを揺らしたところで、NAOKIが繰り出す「LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜」のリフに場内が拍手喝采で沸き返り、KUMIの《won’t you cry?》のリフレインに応えてオーディエンスの手が頭上に揺れる。ラウドでもエクストリームでもない、しかし力強く揺るぎないポップの訴求力が、音楽の理想郷の如き高揚の風景を切り開いていく。熱演を締め括ったのは、最新アルバムのタイトルナンバー「A revolution」。《Ten to nothing, we’re behind/それでも奪えない僕らの世界はbeautiful》……困難な日常すらも奮い立たせるロックが、ここには確かに鳴り渡っていた。Text:高橋智樹セットリストM1. Free WorldM2. Swingin’M3. Your SongM4. Last SmileM5. Calling YouM6. LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~M7. A revolution鮎川誠FOREVER(スペシャル映像上映)BARK STAGEで斉藤和義のライブが終わった直後、画面に「NEXT ARTIST シーナ&ロケッツ」という文字が。この『LIVE the SPEEDSTAR』に出演するはずだったが、鮎川誠が1月29日に亡くなったため、出演をキャンセルせざるを得なかったシーナ&ロケッツは、スピードスター立ち上げの時から現在まで所属する唯一のアーティストであり、レーベルを象徴する存在だった。その功績を振り返り、追悼の意を表す企画が、彼らの出演の代わりに、ここで行われたのだった。スピードスターからのメッセージと企画の趣旨を文字で伝えた後、「短い時間ではありますが、ありし日の雄姿をご覧ください」と、シーナ&ロケッツ(シーナの産休時に鮎川誠がボーカルで活動していたロケッツの曲も含む)の、テレビ出演時や、MVや、ライブの映像が流れる。「ホラ吹きイナヅマ」。「Rock Is Alright」。キンクス「YOU REALLY GOT ME」のカヴァー。「スイート・インスピレーション」。「ロックの好きなベイビー抱いて」。「ラフネックブルース」……。「レモンティー」の貴重なライブ映像は、長めの尺で見せてくれた。ラストはシナロケの最初の代表曲である「ユー・メイ・ドリーム」。すべての映像が終わり、鮎川誠の声が響き、彼の手書きメッセージが画面に現れた。それが消えると、大きな拍手がBARK STAGEを包んだ。<イベント情報>SPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversary『LIVE the SPEEDSTAR』supported byビクターロック祭り3月18日(土) 幕張メッセ国際展示場 9~11ホール開場 9:00 / 開演 11:00(予定)【出演アーティスト】(出演順)■BARK STAGEGRAPEVINE / スガ シカオ / UA / KREVA / くるり / 星野源 / 斉藤和義 / 矢野顕子■ROAR STAGESPECIAL OTHERS / つじあやの / 藤巻亮太 / THE BACK HORN / AA= / 竹原ピストル / LOVE PSYCHEDELICOセットリストプレイリスト:イベント公式サイト:
2023年03月20日沖縄県総合運動公園多目的広場で、『HY SKY Fes 2023』前夜祭が、2023年3月17日(金) 18時より開催された。前夜祭のために設けられたグリーンステージでは、HYによるアコースティックライブのほか、シークレットゲストのナオト・インティライミが3曲を披露。SKY Fesが掲げるテーマである「家族で楽しめるフェスにしたいなと思っています。子供たちの夢につながるきっかけを色々なところに散りばめたいなと思って、僕たちいろいろやりました。最高の3日間にしていきましょうねー!」というメッセージを添えて、明日から始まる2日間のスタートを切った。入場ゲートを超えるとまず目にするのは、ナチュラルな雰囲気の装飾。フォトブースや出演者名を書いた看板、手書きの導線案内やタイムテーブルなど、HYメンバーによる装飾が会場内に散りばめられている。前夜祭開演時刻まで来場者は、装飾を前に写真を撮ったり会場内を散歩したり、フードエリアを利用したりと思い思いに過ごした。今回迎える4回目で『HY SKY Fes』は大きくバージョンアップした。特にテントサイトは早々に完売し、約100組ものキャンパー達がフェスの余韻が残る中、沖縄でのキャンプ泊を満喫する。開演時刻2時間前の16時に入場ゲートが開き、卒業式前の早下校というタイミングもあり、早い時間から子供達が会場内を駆け抜けた。ステージ前には早い時間から場所を確保している来場者も多く、SKY Fesへの期待感が窺い知れた。そして夕刻に差し掛かる18時、前夜祭がスタート。登壇するのはもちろん、HY。「嬉しいね」「はいさい! HYです!」と来場者に挨拶をしたHY。新里英之は何度も「嬉しい」と言い、「こんなにたくさんの方が、前夜祭から参加するなんて通だね〜。沖縄の自然を感じられるのが今日」「装飾を修正するためにメンバーが会場内を走り抜ける、そんな姿を見られるのも前夜祭ならでは」と、前夜祭の楽しみを紹介した。「家族で楽しめるフェスにしたいなと思っています」「子供たちの夢につながるきっかけを色々なところに散りばめたいなと思って、僕たちいろいろやりました」「楽しめるポイントをいっぱい作って行った」と新里が話すと、拍手が湧き上がった。会場内の装飾については仲宗根泉が力説。「前回使ったものも捨てるのではなく、リメイクしたいと思ったので、流木を拾ってきたり」「できるだけお金はかからないように、としているのですが、やはりお金がかかるじゃないですか。自腹です」と仲宗根がコメントし、拍手と笑い声が起きた。フェスについて説明したあとは、ネスレ日本株式会社とHYによるパネルディスカッションを行った。沖縄コーヒープロジェクトについて説明、沖縄のコーヒーをハワイのコナコーヒーのような存在にしていきたいという思いを語った。県産コーヒーは会場内で試飲可能。「実はここで皆さんにサプライズがありまして、どうやらアーティストさんが今日遊びに来てて、前夜祭から楽しみたいということで、呼ぶ?」と名嘉俊が意味深な言葉を語る。シークレットゲストのナオト・インティライミの呼び込みを行った。会場内で観客として座っていたナオトが登壇。ナオトにとってもマスクありで声を出してOKというイベントは、3年ぶりでありSKY Fesが初と話す。来場者と「セイホーオ」という掛け合いをし、声が出せることを喜んだ。ナオトは「ここにいられる喜びを本当に噛み締めているよ」と、SKY Fesが創り出す暖かい雰囲気を噛み締めた。「3年待ってたの俺これ! 音楽ってこうでなくっちゃね。みんなで作り上げていくやつ」と、「あの素晴らしい愛をもう一度」を来場者と共に歌った。そしてNaoto名義で海外で活動をしている楽曲、「El Japones(エルハポネス)」を披露し、会場をラテンの世界へと繋げた。最後にお別れの1曲として「今のキミを忘れない」を歌い、ナオトの前夜祭は終演。「楽しんで最高の夜を」と会場にまた戻っていった。ナオトのパフォーマンスを観ていたHYは、何度も何度も「笑い声が聞こえるっていいね」と、3年待ったこの時を心の底から喜んでいた。沖縄県黒糖協会とのパネルディスカッションでは、黒砂糖協同組合の活動について説明。許田信介は「絶対おばあちゃん家にあるんですよ」とメンバーの黒糖にまつわる思い出を語り合った。そして最後はお待ちかね、HYのアコースティックライブだ。衣装を変えたHYが登壇し、アコースティックライブを開始した。「皆さんHYフェス楽しんでますか?」との声がけに、拍手が沸き起こる。指笛が鳴り、来場者の声が聞こえ、そして新里の声が響きわたり、前夜祭最後のライブが始まった。手拍子からスタートした「未来」。そして続けて「てがみ」では、来場者が音に合わせて手を左右に振り、体を揺らしながら音を楽しんだ。優しさのバトンタッチをしていきたいと、次の楽曲「涙」へ繋いだ。そして「大切な人を思い浮かべて聴いてみてね」と、ギターを沖縄の三線に持ち替えて「三月の陽炎」を披露。「あなたを忘れたくないよ全部覚えてて欲しい」という歌詞で、夜空にHYの優しさが広がった。「最後の曲になります」と新里がいうと「えーーー!もっと聞きたーい!」と返す来場者の声。「最高の3日間にしていきましょうねー!」と最後の曲「エール」を歌った。拍手と横揺れ、そして「えーい!」と叫ぶ来場者たち。アーティストも来場者も、3年間この瞬間を待っていたんだ!という心の声がそこら中から聞こえてきた。最後は子供を舞台にあげ、ジャンプで終演。「きっと一生思い出に残ると思うよ。そういうのを僕たちは残していきたいと思います」。そうして前夜祭は幕を閉じた。3年間封印してきた歓声を、忘れかけていた掛け声を、徐々に思い出してきた来場者。今日からの2日間は大きな声で会場を盛り上げてくれるだろう。『HY SKY Fes 2023』は今日から2日間に渡り、HY含む13組のアーティストが舞台を盛り上げる。DAY1は当日券を販売、DAY2は会場レイアウト、入場者数などを総合的に判断し販売する場合あり。DAY2の当日券販売の有無に関しては、3月18日(土) 15時にオフィシャルサイトにて告知。そして、この3日間の模様は、5月1日(月) 19時30分から24時、CSチャンネルフジテレビTWO ドラマ・アニメにて独占放送されることが決定している。文=五十嵐梨花<公演情報>『HY SKY Fes 2023 前夜祭』2023年3月17日(金) 沖縄県総合運動公園 多目的広場【セットリスト】■ナオト・インティライミM1. いちばん近くに(HYカバー)M2. ありったけのLove SongM3. あの素晴らしい愛をもう一度M4. 今のキミを忘れない■HYM1. 未来M2. てがみM3. 涙M4. 三月の陽炎M5. エール『HY SKY Fes 2023』2023年3月18日(土)・19日(日) 沖縄県総合運動公園 多目的広場10:00 開場 / 12:00 開演【出演者】■DAY1HY、青山テルマ、ORANGE RANGE、スキマスイッチ、當山みれい、ナオト・インティライミ、FUNKY MONKEY BΛBY’S(※HY以外五十音順 ※敬称略、全7組)■DAY2HY、あいみょん、OAU、肝高の阿麻和利、Def Tech、Hilcrhyme、緑黄色社会(※HY以外五十音順 ※敬称略、全7組)SKY Fesオフィシャルサイト:<番組情報>『HY SKY Fes 2023』2023年5月1日(月) 19:30~24:00 フジテレビTWO ドラマ・アニメにて放送番組公式URL:
2023年03月18日“シンクロ”をキーワードに、次のシーンを作り出す期待のニューアーティストが競演する音楽イベント『CLAPPERBOARD –Enjoy the weekend!– vol.11』が3月5日(日)、渋谷WWWで開催された。Apes、THE KEBABS、SEVENTEEN AGAiN の3組を迎えた今回は、爆音が爆音を呼び、観客を熱狂させていく熱い1日となった。まず登場したのは、ヤブソン(Vo/Gt)を中心に結成した3ピースで、2021年にアルバム『世界は君たちを変えることは出来ない』をリリースしたSEVENTEEN AGAiN。「じゃ、やりまーす」と友人にでも挨拶するような口調でヤブソンはギターをかき鳴らし、「東京2021」でライブはスタートした。ピンスポットの元で、フロアに語りかけ、また問いかけるように歌い出す。人と会えない時期や閉塞した日常を経験した数年を経て、ようやく気兼ねなく友人と会い、またライブでの声出しもOKとなってきた今、この歌はその共に戦ってきた時間を労い、優しく包むように聞こえてくる。SEVENTEEN AGAiN挨拶代わりの握手となるようなその曲から、一気にノイジーなギターの音量をあげ、スピード感のあるドラム、ベースとともにシンガロングを響かせる「世界は君たちを変えることは出来ない」では、フロアを湧き立たせる爆音を轟かせる。アンセミックなコーラスに観客はコブシを突きあげ、それが再びバンドの勢いを加速させる。いきなりのノイジーなサウンドに驚く人をも巻き込んで、「DANCING IN THE TRASH」ではビター&スウィートな80’S的メロディで踊らせ、また「絶対君じゃ嫌なんだ」のキャッチーなパワーポップチューンで切なさをバーストさせる。爆裂なパワーによる力技と、それでいて切なさの琴線にさらりと触れていく繊細さとのバランスが絶妙で、気づけばどんどん会場の熱気が上がっている。朴訥とした風でいて、おそるべしバンドである。中盤には新曲だという「STAY GOLD」を披露。哀愁のあるメロディが冴え、突き上げたコブシにさらに力がこもる1曲は、これからのライブでの一体感をより濃くしてくれる曲になりそうだ。短いセットゆえ、多くを語るよりも曲をという思いもあっただろう。縁あってこのイベントに呼ばれたことや、「次はApesです。また、お会いしましょう」(ヤブソン)と飄々とした感じで伝えると、ラストに向けてアンサンブルはうねりをあげていく。「リプレイスメンツ」でぐっとその歌を観客の胸にさしてからの「シュプレヒコール」の爆発感、アグレッシヴなパンクロックの叫びに感情が全解放されたように、フロアの温度もぐっと上がるのが感じられる。さらにまだまだとばかりに汗のほとばしるハードコアナンバー「Don’t Break My Heart」を叩きつけると、観客からワッと歓声があがった。心のど真ん中をてらいなく撃ち抜いていく全身全霊の3人のアンサンブルと、爽快な笑顔に会場は大きな拍手で包まれた。青白いライトとスモークで柔らかに煙ったステージに登場したのは、坂井玲音(Vo/Gt)、アラユ(Gt)、村尾ケイト(Ba)による東京発バンド、Apes。アラユは準備運動のようにギターを持って飛び跳ね、またドラマーのもとに集まって4人で気合いを入れると、「よろしくお願います」(坂井)の言葉とともに、ギターとビートを鳴らしていく。Apes1曲目は2月にリリースしたデジタルシングル「Neighbor」。ギターのリフレインが印象的で、骨太なUKロックをルーツに感じさせるギターオリエンテッドなサウンドと歌心のあるドラマティックなメロディが冴える。続けざまに「Hesitate」で加速するアンサンブルに揺られているうちに、乗せギターふたりの音が密度高く絡み合い、そしてベースとどっしりとしたドラムが織りなす重厚なビートが観客を大きく飲み込んでいく。一気に深みを帯びていったウォールオブサウンドと強力なストロボライトとが相まって、酩酊感が襲う。ロックバンドとしての引力のあるステージだ。この日坂井はややハスキーなボーカルでそれもまた一興とでもいうか、個人的には青白い熱量を持った曲にさらなる陰影を加えていく味が出ていたり、ヒリヒリとした感覚もあっていいなという瞬間も多かったが、「今日はこんな声だけど、めちゃくちゃいいライブをするので」と言ってサウンドの馬力をあげていく。その真骨頂と言えたのが、「Sing for you」に続いた、「Goodbye sea」だろう。フィードバックノイズからザクザクとしたギターリフでキャッチーに観客を曲に引っ張り込んだかと思いきや、曲が進むにつれて甘美なシューゲイザーサウンドで痺れさせ、またエクスペリメンタルに曲が広がっていく。“バンド”ならではの呼吸感とドラマ性、導火線に火をつけその日その場限りの間合いや空気感でジリジリとクライマックスへと上り詰めていく緊張感に会場が息を飲むのがわかる。キャッチーでコンパクトかつわかりやすい曲がもてはやされる世にあって、そこに逆張りするようにギターが咆哮を上げ、ドラム、ベース、歌ともに瞬間、瞬間を音にして編み上げていくタペストリー的なロックサウンドを、堂々とかき鳴らすApes。そしてその頼もしいばかりの音を、観客もまた前のめりで掴み取っていく空間となっていることが嬉しい。そしてこの双方の熱が味わえるのがライブだからこそだと、改めて感じる。ラスト「Boying」で鳴り響くおおらかなビートに合わせて、観客とさらに濃密な空間を作り、ともに歌い上げていくような高揚感のあるメロディを紡ぐ。そのカタルシスが最高だ。ロックバンドの楽しさを見せつけたTHE KEBABSこの日のトリを飾ったのは、2018年に活動をスタートしたTHE KEBABS。佐々木亮介(Vo/G/a flood of circle)、新井弘毅(Gt/ex.serial TV drama)、田淵智也(Ba/UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(Ds/ex.ART-SCHOOL)というスーパープレイヤーがそろい踏みのバンドに“期待のニューアーティスト”というのは憚れるが、しかしそれぞれのバックボーンも活かしながらも、ここでしか鳴らせないアンサンブル、ハジけたユーモア、大人の戯れを存分に感じさせるその音楽は、新鮮であり、常に何が起こるのかわからないワクワクにも満ちている。期待、しかないバンドである。THE KEBABS盛大な手拍子に迎えられた4人は登場から元気で、「やさしくなりたい」「THE KEBABSのテーマ」、そして「すごいやばい」と、ボリュームを上げて突き進んでいく。佐々木は時にアルコールを嗜みながら、しゃがれ声を響かせ、その両サイドでは歪んだ低音で会場を足元から揺らすようなベースと、華やかな色味をほとばしらせるようなギターがせめぎあっている。「オーロラソース」では、快活なドラムビートとロックンロールなギターリフでドライブし、またスピードをあげた「枕を変えたら眠れない」では田淵と新井が向き合って、互いにテクニカルな音で押し合いへし合いする。シアトリカルだが、音を重ね合わせる醍醐味を味わい、圧倒させる。ドラマーの目の前で繰り広げられるその光景に思わず笑みが漏れたのだろう、鈴木はエネルギッシュにビートを刻みながらも満面の笑みである。普段のスタジオでもこんな感じなんじゃなかろうかという、4人の空気感が伝わってくるシーンでもある。ロックバンドって、最高だなというのをそのままこの場で見せてくれる、そんなステージだ。佐々木は、「これでまだ19時でしょ?いかれてるよ」とステージと会場の盛り上がりに笑顔を見せ、「あと3時間くらいやってもいいんじゃない?」とフロアを沸かせる。そして「あとちょっと、ぶち上げて帰ります」と3月15日リリースのEP『幸せにしてくれいーぴー』から、「THE KEBABSを抱きしめて」を披露。すぐさま会場が一体となる、これまたキラーチューンだ。ここからも怒涛で、「恐竜あらわる」「てんとう虫の夏」、そしてラストは大合唱必至のメロディアスな「うれしいきもち」へと、笑顔を加速させていく。バカバカしいくらいの爆音をかき鳴らし、ギターフレーズまで大合唱したくなるようなキャッチーさで、大団円を迎えた『CLAPPERBOARD -Enjoy the Weekend!- vol.11』。まさに最高の1日の締めくくりだ。Text:吉羽さおりPhoto:キセキミチコ<公演情報>『CLAPPERBOARD -Enjoy the Weekend!- vol.11』3月5日(日) 東京・渋谷WWWセットリスト■SEVENTEEN AGAiN01. 東京202102. 世界は君たちを変えることは出来ない03. DANCING IN THR TRASH04. 絶対君じゃ嫌なんだ05. STAY GOLD06. ダイヴ07. 戦争はおわりにしよう08. ピリオド09. リプレイスメンツ10. シュプレヒコール11. Don’t Break My Heart■Apes01. Neighbor02. Hesitate03. ハイライト04. Sing for you05. Goodbye sea06. やさしくなれない07. Boying■THE KEBABS01. やさしくなりたい02. THE KEBABSのテーマ03. すごいやばい04. オーロラソース05. おねがいヘルプミー06. 枕を変えたら眠れない07. ラビュラ08. THE KEBABSを抱きしめて09. 恐竜あらわる10. てんとう虫の夏11. うれしいきもちイベント公式Twitter:
2023年03月17日次世代を担うアーティストがヘッドライナーとなり、今一番共演したいアーティストを迎える音楽イベント『HIGH FIVE』。初年度となった2022年も、2回目の開催となった2023年も、全国各地のZeppで伝説の夜を作り上げてきた。本年度のツアーファイナル公演となる名古屋はZepp Nagoyaにて3月5日(日) に開催され、ヘッドライナーはCody・Lee(李)、そして彼らが指名したのがASIAN KUNG-FU GENERATION。いや、こんな対バンが実現するんだから面白い。勿論意味のない対バンなんて存在しない。どんなライブにだって意味があるし、そのひとつひとつに物語はある。後から付いてくるストーリーだってある。そんな中、『HIGH FIVE』で起きる数々のドラマに僕はもうずっとドキドキしている。実際に目撃した2022年名古屋のハンブレッダーズと04 Limited Sazabysのツーマンなんて目の前で起きたことに口が開きっぱなしだったし、今年だってSNSを通して各公演の様子をチェックしては部屋でひとり興奮していた。そして3月5日。部屋を飛び出して、ライブハウスに早足で向かって、Zepp Nagoyaに到着すると今から始まる物語を想像し体温が上がっていることに気付く。それくらい心拍数も上がっていたのだと思う。憧れの存在と対峙するとき、近くなれば近くなるほどその壁の高さに気付いたりする。今日、Cody・Lee(李) はASIAN KUNG-FU GENERATIONを前にどんな気持ちになるのかな。ASIAN KUNG-FU GENERATIONはCody・Lee(李) の前でどんなライブをするのかな。ステージのバックドロップを眺めながら、改めてこんな機会を作り上げた『HIGH FIVE』に手が真っ赤になるほど拍手を送りたい気持ちになる。ステージにASIAN KUNG-FU GENERATIONが登場する。空気が変わる。いや、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが空気を変える。「Re:Re:」「リライト」と立て続けに演奏されるアンセム中のアンセムの中にASIAN KUNG-FU GENERATIONからの2023年今この瞬間のメッセージを受け取る。形は変わる。時が経って変わりゆくものだと僕らはこの数年で思い知った。どうかなくさないように。そう願って、祈って、有りもしない幻のイメージと戦ってきた。あの頃に戻るのではなく、塗り替えて、書き換えて、新しく始める。何したっていいんだぜ。今日の「Easter」はまるでライブハウスの復活を称えるように聴こえる。燃え上っていいんだぜ。悲しいことが続くけれど、続くから、だからこその音楽だ。勿論悲しみが消えることはない。失ったものは戻らない。生きることが苦なのであれば、その苦しみを共有することで半分こに出来るかもしれない。だって音楽があるから。ライブハウスで会えるから。僕は僕の何を成し遂げたのだろう。大人になって随分経つけれど、子どもの頃になりたかった大人になれているかは分からない。だから、だからこそまだ、終わらせるわけにはいかない。「宿縁」を聴きながら、生きること、死ぬこと、ぼんやりとだけど、考えていた。この日のある意味ハイライトでもあるのだけれど「ブラックアウト」を演奏するASIAN KUNG-FU GENERATIONの姿は何処かいつものASIAN KUNG-FU GENERATIONとは何かが違って見えた。それはCody・Lee(李) からの手紙に「ブラックアウトが好き」と書いてあったこと。Cody・Lee(李) の気持ちに応えることも、今この時代をライブハウスで共有することも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONからのメッセージだと受け取る。この数年を、この数カ月で起きたことを、僕は絶対忘れない。今日のライブも絶対に忘れない。そうやって日々を何度も駆け抜けていきたい。何度も。明けない夜なんてないというけれど、今まさに夜のど真ん中にいる人を温めてあげることが大切で、今日のASIAN KUNG-FU GENERATIONはCody・Lee(李) を前に、そんなライブを見せてくれた。多くは語らない。でも背中を見たら分かることがある。ここに集まった僕らで、憂鬱も退屈も蹴とばして、ライブハウスでハイタッチだ。さあ、Cody・Lee(李) だ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブを受け、どんな攻め方をするのだろうとワクワクしていたけれど、どんな予感よりも超ストレートに、いきなり「愛してますっ!」でラブコール。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きだって気持ちに逆らう術なんてないよね。尖らず、隠さず、「好き!愛してる!」と叫ぶことがCody・Lee(李) の戦い方なんだろう。最高だ。刺激が足りない日々に『HIGH FIVE』で最高な会合、どうせ頭の中は今日のことで頭がいっぱいだったんだろう。Cody・Lee(李) の鳴らす音のひとつひとつに歓びが溢れているのがめちゃくちゃ伝わるし、それがもう本当にめちゃくちゃ嬉しい。妄想はその域を超えて現実となって起こりうるってことを、今日、Cody・Lee(李) は証明してくれた。夢を叶えるために見た沢山の現実、そいつをとことん見たから夢を掴めたんだと思う。こんな日はのぼせるまで踊りたいよ。ライブハウスでビバノンしたいよ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONにCody・Lee(李) が送った手紙に「ブラックアウトが好き」と書いた逸話をついさっき後藤正文の口から聞いたばかりだけれど、その瞬間に僕はCody・Lee(李) のことを信用出来ると思った。いや、誰目線なんだよと思うかもしれないけど、「ブラックアウト」を選んだ彼らの青春時代を抱きしめたいと思った。ニシマケイが「つまらなかった学生時代にアジカン、ART-SCHOOL、Syrup16gを聴いていた。泣きそう」と語っていたけれど、あの言葉は僕らの代表としてそこに立っている彼らの、僕らの言葉だ。Cody・Lee(李) の「ブラックアウト」のカヴァーに全部出てたでしょ。彼らがどんな青春時代を過ごして、その傍にずっとASIAN KUNG-FU GENERATIONがいたこと。全部伝わったでしょ。それは絶対、ASIAN KUNG-FU GENERATIONにも届いたはずだ。音楽に夢があるんじゃなくて、夢を実現させるために何をしたか。行動こそが真実だって教えてくれたのは、今日のCody・Lee(李) だ。回り道したっていい。未知の先に後悔だってあるかもしれない。だったら道を作ればいい。一歩踏み出せばいい。そう教えてくれたのもCody・Lee(李) だったりする。アンコールでCody・Lee(李) が轟音で叩きつけた「When I was cityboy」を涙なしで観ることは僕には出来なかった。憧れも羨望も嫉妬もあれもこれも、ごちゃ混ぜの感情でASIAN KUNG-FU GENERATIONに体当たりしたCody・Lee(李) が最後の最後でかました捨て身の攻撃。まさに「攻めろ、音楽」だ。Cody・Lee(李) は「When I was cityboy」で「寂しささえもすべて溶かしてくれる」と歌う。じゃあ何が溶かしてくれるかって、それは音楽だし、ライブハウスだし、そこに集まっている人たちだし、何よりASIAN KUNG-FU GENERATIONだ。雪は溶けて川になって流れて行く。つくしの子ははずかしげに顔を出す。冬を超えて、もうすぐ春がやってくる。ライブハウスにもその季節がやっとやってくる。もしかしたら『HIGH FIVE』が春を連れてきてくれたのかもしれないなんて、割と本気で思ってしまう自分がいる。『HIGH FIVE 2023』、今年も素晴らしいものを見せてもらった。また春に会いましょう。TEXT BY 柴山順次(2YOU MAGAZINE)PHOTO BY 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2023年3月5日(日) 愛知・Zepp Nagoya【セットリスト】■ASIAN KUNG-FU GENERATION1. Re:Re:2. リライト3. Easter4. 宿縁5. ソラニン6. ブラックアウト7. ブルートレイン8. 転がる岩、君に朝が降る9. Be Alright■Cody・Lee(李)01. 愛してますっ!02. W.A.N.03. 悶々04. DANCE風呂a!05. 異星人と熱帯夜06. ブラックアウト(cover)07. 我愛你08. 世田谷代田09. LOVE SONG10. 初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!En. When I was cityboyHIGH FIVE Official site:※各公演のPHOTO REPORTを随時公開中公式Twitter:
2023年03月13日2022年にメジャーデビュー25周年を迎えたGRAPEVINE。そして、同年夏には、5th Album(2002年発表)の20年越しリビジット(再現)ツアー『grapevine in a lifetime presents another sky』が全国で開催された。同年12月には、本ツアーのLive Blu-ray&DVD『in a lifetime presents another sky』が発売されて、今年2月22日には2nd Album『Lifetime』(1999年発表)と『another sky』のライブ音源も配信リリースされている。今年2月からは『grapevine in a lifetime presents another sky』再追加公演ツアーも開催され、2月23日中野サンプラザホール、3月5日新潟LOTSを経て、3月10日にツアーファイナルがZepp Nambaで行われた。開演時間になり、メンバーがゆっくり登場する中、田中和将(Vo / G)が『in a lifetime presents another sky』のサインボードを、トランクを持つかの様に持って登場する。そのライトが放つ光は神々しくもあり、これから始まるライブにただただ期待してしまう。田中は、そのライトを指差し、観客に向かい一礼。まだ何も音が鳴らされていない状況でありながら、この一連の動作だけで客席は沸く。今年関西一発目のライブがどれだけ待ちわびられていたかがわかる。1曲目は、緩やかなスローナンバー「ふたり」から始まった。アルバムでは12曲目ラストナンバーであり、昨年のツアーでも曲順通り、最後に鳴らされている。『DVDも出てて、ネタバレもクソも無いんで、趣向凝らして逆からやってみました』『another sky』収録楽曲12曲全てをやり終えた後に、こう田中は笑顔で話したが、確かに曲順を逆からやっていくライブは新鮮であり斬新であった。12曲全てをやり終えるまでは、それこそ一切ネタバレせずに、ひたすら黙々と逆からやっていくのはクールでしかない。続いて、本来は11曲目「アナザーワールド」が2曲目に鳴らされる。ギターの緩やかな音色に身を委ねながら、『見ていたよ知っていたよ泣いていたのは』という歌詞に耳を傾けていたら、横後ろ三方へと縦に伸びるラベンダー色の照明に目を奪われた。すると、その照明が前へ倒れる様にして三角のピラミッドを形成したのだが、このあまりにも美しい照明演出には驚いてしまった。逆再生とも言うべきライブが、とにかく味わい深すぎる事を序盤2曲から感じる。すぐに歌い出される「Sundown and hightide」だが、最初の2曲と比較して徐々にアップテンポになっていき、熱を帯びていく。アルバム1曲目から3曲目からの構成ならば納得するが、しつこいようだが、逆からやっていくライブであり、12曲目から10曲目から鳴らされているのに何の違和感もなく、まるで最初から、この曲順だったと錯覚してしまうのが不思議だ。当時シングルカットもされた「ナツノヒカリ」は、クリアに透き通る透明感があり、軽やかで気持ち良い。一転して、「Let Me In~おれがおれが~」にいく前に、田中は『よし!』と気合いを入れて、右手を高く上げてからギターをかき鳴らす。荒々しいサウンドに派手な照明も似合い、観客からも手が上がっていく。曲終わり、充実感ある拍手が起きる中、すぐにギターリフから「Tinydogs」へ。伸びある歌声には解放感があり、駆け抜けるかの様に終わる。早くも6曲、つまり『another sky』12曲の半分が鳴らされた。ここから本来前半の1曲目から6曲目が、どう後半に逆から鳴らされるかが気になる。「Colors」は浮遊感があり、自然に体が揺れ、歪みあるギターサウンドも揺蕩い、とにかく心地よさしかない。まだ、その残響も残ったままで、田中のアコギから「それでも」へ。語り掛けるかの様な田中の歌声が印象的であり、寛大さを感じたナンバー。残すところ4曲と終盤に入り、ギターが唸り、カッティングから渋いシャウトが響き渡る。これぞファンキーであり、荒ぶる音の素晴らしさにやられるだけ。曲中、田中は『さぁ、大阪のみなさんお待たせしました!』とベースの金戸覚へと繋ぐ。痺れるベースの余韻に浸る間もなく、ドラムの亀井亨による速いカウントから「BLUE BACK」が鳴らされる。アップテンポで伸び伸び生き生きしたサウンドに、この日一番くらいに観客から手が上がっていく。高野勲(key)によるテルミンには恍惚感でうっとりしてしまう……。いよいよ11曲目「ドリフト160(改)」。重厚感あるギターのカッティングから高野のシンセが気持ち良すぎるくらいに合わさっていく。遂にラストナンバー「マリーのサウンドトラック」。青いライトにひとり照らされてギターを爪弾く田中の姿は神秘的である。『Mary in the Soundtruck』という言葉がずっと頭の中で鳴り響き、言葉と音に絡みつかれて、どこか遠い所へ持っていかれてしまう感覚に陥る。こうして12曲が鳴らされた1時間は終幕。ラストナンバーでしか有り得ないと感じて想う「マリーのサウンドトラック」だが、アルバムではオープニングナンバー。こんな荘厳なナンバーで幕を開けていたアルバムだったのかと衝撃を受けてしまったし、再度『another sky』を頭から通して聴きたい。そう今日のライブの逆再生として。それにしても、逆再生での再現ライブという発想は素晴らしすぎる。本編ラストナンバーは「Our Song」第二部として最初に鳴らされたのは、「Big tree song」。じゃぶじゃぶという水の音がサンプリングされてリフレインされる。先程までのコンセプトな世界とはまた違う世界であり、水の音の効果もあるのか、心身が浄化されていく。中盤のハンドクラップのパートでは、観客全員でクラップハンドをする。拓けていく快感で満ち溢れていた。現時点では最新アルバムである『新しい果実』(2021年発表)から、「目覚ましはいつも鳴りやまない」「Gifted」「ねずみ浄土」と立て続けに鳴らされる。GRAPEVINEの楽曲全てに言える事だが、重厚さと恍惚さの絶妙のバランスが堪らないのだろう。特に「ねずみ浄土」の独特のリズムと独特の言葉によるマッチングは、何度聴いてもドキドキしてワクワクする。こんな簡単な言葉を使ってはいけないのかも知れないが、新しい音楽を聴いていると、心の底から想う。20年前のアルバム『イデアの水槽』収録の「Suffer the Child」。こんな不穏なムードを持ちながらも、心を焦がされる様なナンバーを20年前から鳴らしていたのは凄すぎる。西川弘剛のギターソロはグルーヴィーであり、ずっとずっと聴いていたい。続く「フラニーと同意」はイントロだけで、観客から歓声が起きる。ロックンロールの重みを感じたナンバーから、カラフルで突き抜けた多幸感に胸が躍る「Alright」へ。本編ラストナンバーは、「Our Song」。ラストナンバーにふさわしい聴き応えがあり、聴き入ってしまうミドルテンポのナンバー。考えてみたら、本来はラストナンバーである「ふたり」から始まったわけで、最後から始まり最後に向かっていくライブは稀有であり、見事であった。アンコールで登場した田中の『よっしゃ!よっしゃ!』といった明るい言葉からも、ライブの充実度が伝わってくる。「MISOGI」の軽快なリズムに乗っかる『魂 掻き鳴らせ』という言葉が突き刺さる。右手を高く上げての「Evil Eye」と抜けの良さを堪能しながら、アンコール〆は「作家の顛末」。じっくりゆっくりと鳴らされるナンバーは、まさに〆にそぐわしい。いつもの事ながらだが、GRAPEVINEのライブは磨きのかかった音と言葉だけが詰め込まれており、その様には格好良いという言葉しか当てはまらない。取材・文=鈴木淳史<公演情報>『grapevine in a lifetime presents another sky』2023年3月10日(金) Zepp Namba【セットリスト】■1部M01. ふたりM02. アナザーワールドM03. Sundown and hightideM04. ナツノヒカリM05. LET ME IN~おれがおれが~M06. TinydogsM07. ColorsM08. それでもM09. マダカレークッテナイデショーM10. BLUE BACKM11. ドリフト160(改)M12.マリーのサウンドトラック■2部M13. Big tree songM14. 目覚ましはいつも鳴りやまないM15. GiftedM16. ねずみ浄土M16. Suffer the childM17. フラニーと同意M18. AlrightM19. Our SongEN1. MISOGIEN2. EVIL EYEEN3. 作家の顛末セットリストプレイリスト:<配信情報>Digital Release『Lifetime Live at SHIBUYA AX 2014.05.19』配信中『Lifetime Live at SHIBUYA AX 2014.05.19』配信ジャケット【収録曲】01. いけすかない02. スロウ03. SUN04. 光について05. RUBBERGIRL06. Lifework07. 2508. 青い魚09. RUGGERGIRL No.810. 白日11. 大人(NOBODY NOBODY)12. 望みの彼方13. HOPE(軽め)配信リンク: Release『another sky live at Hitomi Memorial Hall 2022.07.02』配信中『another sky live at Hitomi Memorial Hall 2022.07.02』配信ジャケット【収録曲】01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり配信リンク:<リリース情報>Live Blu-ray&DVD『in a lifetime presents another sky』発売中●Blu-ray+LIVE CD:7,480円(税込)●DVD+LIVE CD:6,380円(税込)※LIVE CD(1CD / 60min Size)公演1部『another sky』再現ライブ音源CD『in a lifetime presents another sky』ジャケット ※画像はBlu-ray盤【Blu-ray&DVD収録曲】■1部(from al.『another sky』)01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり■2部13. CORE14. さみだれ15. Gifted16. ねずみ浄土17. コーヒー付18. 197719. STUDY20. Scare21. R&Rニアラズ22. 風の歌EN.23. Alright【CD収録曲】01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり■購入リンクBlu-ray::※一部お取扱いのない店舗もございますので、各店舗にお問合せください。※Amazon.co.jp、楽天ブックスでは、特典付商品カートがアップされます。ご要望のお客様は特典付商品カートにてお買い求めください。GRAPEVINE 関連リンクWEBSITE:::::
2023年03月13日2組のバンドストーリーの続きが紡がれた。2月23日(木・祝)、Zepp DiverCityにて開催された『HIGH FIVE 2023』東京公演のこと。『HIGH FIVE 2023』とは全国5会場のZeppにて、次世代を担うアーティストたちがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎えて開催される音楽イベント。この日はヘッドライナーをBREIMENが務め、ゲストとしてKroiが登場した。BREIMENとKroiの対バンは2020年以来、約3年ぶり。前回は『BREIMEN×DinoJr.×Kroi〜TOHANMEI TOUR〜』と題したツアーを行い、東京は収容人数160人程度の六本木VARIT.にて開催。それが今日は2,000人以上を収容するZepp DiverCityだ。両者ともバンド活動のギアを上げたいタイミングでコロナ禍に突入したにもかかわらず、困難をしっかりと乗り越えて、自分たちの音楽に多くの人を巻き込んできたことを証明し祝福する夜となった。両者の関係性を紹介すると、そもそもKroiの内田怜央(Vo,Gt)は高校生の頃からBREIMENの前身バンド「無礼メン」のファンだったという。この日のMCで内田が話していた通り、ライブハウス・渋谷LUSHにてBREIMENの高木祥太(Vo,Ba)がKroiに声をかけたところから交流がスタート。両者ともにロック、ファンク、ジャズ、ソウル、ヒップホップなど、実にさまざまなジャンル・年代の音楽を掘り起こし、音楽史に愛とリスペクトを示しながら今の時代に自分たちだからこそ生み出すことのできる音楽を探求し続けている。不必要な欲や傲慢さなどは一切捨てて、ただただ音楽に誠実に、音の中で遊びながら実現することこそが彼らに共通するスタンス。この日最初に登場したのはKroi。「ついにきたね、このときが!」と内田が叫び、「Drippin’ Desert」からスタート。矢継ぎ早のラップ、こぶしを効かせたシャウト、長谷部悠生(Gt)と千葉大樹(Pf)のコーラスとともに繰り返すサビの聴き心地いい歌など、1曲の中で内田のボーカリゼーションの多さを見せつける。真っ赤に染まったステージの中で投げかけた《Keepしてるだけ no-no/変容変化だけ no-no》というフレーズは、まさにルーツに根ざしながら変化し続けるKroiのスタンスを提示するよう。内田怜央(Vo,Gt)千葉大樹(Pf)そこから「今日は素の感じのKroiでライブができそうです」とこの日の特別感を語って「Pixie」へ。アウトロでは長谷部がステージ前方へ飛び出し、頭を振り、歯ギターも披露し、ジミ・ヘンドリックスばりのスターギタリストプレイで魅せる。長谷部悠生(Gt)MCで、3年前のBREIMENとの対バンツアーに来ていた人に挙手を促すと、ちらほらと手が挙がる。西部劇ファンクがテーマの「Funky GUNSLINGER」、大幅にアレンジしたライブバージョンの「a force」、初期曲「Monster Play」と、益田英知(Ds)のタイトなビートに関将典(Ba)の深みあるベースが絡まり、千葉の冷静と情熱を兼ね備えた鍵盤が乗っかって、その上で長谷部と内田がキッズのように自由に暴れる。そうして5人から繰り広げられる音楽は、曲ごとに、もっといえば1曲の中から、往年のさまざまなバンドやプレイヤーたちの魂が次々と浮かび上がってくる。益田英知(Ds)関将典(Ba)それまで全員主役のプレイをかまし、勢いのいい音で空間を埋め尽くしていたが、次は間を操ることで生まれるグルーヴを堪能させてくれる「Never Ending Story」。そこから内田がボンゴを叩きながら歌う「Juden」へと流れるのだから、スリリングな緩急に気持ちよく振り回されてしまう。そして《止めなきゃ日々confusion》などのフレーズが楽しく身体に入りながらもチクリと心の隅っこを刺す。Kroiの歌は洋楽のような歌い回しに日本語詞を乗せているが、その言葉たちにはごく個人的なことから世の中の状況までを想像させる大きな懐がある。関のベースラインから始まるジャムセッションで「Page」へ繋ぎ、「みんなBREIMEN大好きでしょ?BREIMEN大好きー!」と内田がシャウトし「Fire Brain」へ。初期の反骨精神を今も忘れていないことを示すステージング。そして最後、緑に染まったステージでプレイしたのは「Shincha」。サビで《おい お茶》と歌う一曲だ。遊び心満載な曲なのにグッドミュージックに聴こえてくるのはなぜか。いや、遊び心があるからこそ、グッドミュージックが生まれるのだ。「Shincha」の中で内田は、BREIMENへのリスペクトとこの日の喜びを語った――「大好きなバンドとこんなに大きな会場でライブができることが本当にめちゃくちゃ嬉しいです。絶対にデカいところでライブしようなという話を3年前にして、ここまでやってきました。とりあえずZepp、2組でできました。表現とは何か。より面白い音楽をみなさまに届けられたらいいなと思って日々鍛錬、研究を重ねております。それを同世代でやっているバンドはやはりBREIMENちゃんじゃないでしょうか」。そして、《名古屋のライブのあと みんなで入った温泉 あのとき語り合った また一緒に踊ろうと》と歌ったあと5人で壮大に音を広げて、Kroiのステージを締めくくった。BREIMENのステージではサプライズゲストも登場そしてBREIMENへバトンタッチ。セッティングが終わると、「じゃあいこうか」「っしゃ!」と気合いを入れてから、サウンドチェック代わりにKroi「HORN」をBREIMENアレンジでセッション。これが相当かっこよく、会場全体がざわつく。そして「MUSICA」へ。《奏でていれば 歌っていれば/また会えるかな》という歌はこの日のテーマソングのように聴こえてきたし、《世は損得 忖度 刹那 切ない 節操ないから/響き合っただけの関係 讃えたいな》はソングライターの高木をはじめBREIMENの5人がそういった生き方を大切にしているからこそ、こんな夜を迎えることができるのだと表していた。高木祥太(Vo,Ba)そしてオーディエンスのクラップに5人の音を緻密に編み込んで、「あんたがたどこさ」を披露。《あいつらはKroi》《俺たちはBREIMEN》と歌詞を変更して歌うシーンも。サトウカツシロ(Gt)のソロパートでは、みんな「あの音」を聴きたいところを焦らしに焦らして、1分半以上のカツシロショータイムを繰り広げる。Kroiの長谷部に続けて、ギターをガンガンに浴びられる至福の一時だ。サトウカツシロ(Gt)そして「ODORANAI」を、ルイス・コール「F it up」をマッシュアップしたアレンジで演奏。ここでも《Kroiが好きなのさ》と言葉を変えて歌う。「D・T・F」ではうねるグルーヴでオーディエンスを深いところにまで連れ込んでいく。ライブから音楽の歴史が見えること、そして、本来相容れないとされるものが混ぜ合わさったときの魅力を発明することが、2組に共通する美学だ。「D・T・F」を歌い終えると、もう1本マイクスタンドがステージに設置される。「Kroiはマブダチですね。もう一人マブダチがいて、そいつは今日絶対にいなきゃいけなくて」と、サプライズゲストとしてDinoJr.を呼び込む。「俺もまぜてよ!」「みんなで一緒に遊ぼうぜ!」という掛け合いから「Black or White」へ。曲の途中で会場全体がまたニヤリとさせられたのは、Kroi「Network」を挟んできたから。BREIMEN×DinoJr.「BREIMEN、Kroi、そしてここにいるお客さん、覚えていてください。俺もまたでっかくなって戻ってくるので、そのときはまた一緒にやってくれ。いつもありがとう、BREIMEN!」「こちらこそ!」と、3組がそれぞれを高め合う関係にあることが見える会話を交わして、DinoJr.を送り出した。そしてまたしても今日限りのスペシャルな演奏が。「赤裸々」を、Kroiに合わせたソウルフルバージョンで演奏。どうやら準備していたものではなく、その場の即興で繰り広げられている様子。ステージ上の高木の指示で変わっていく生演奏を堪能できるのは、音の中で阿吽の呼吸ができるBREIMENのライブの醍醐味だ。高木の「Zeppで一番小さく」という指示で、いけだゆうた(Key,Cho)がマイクから離れてコーラスを歌う姿も微笑ましい。そしてSo Kanno(Ds)のビートで繋いで「チャプター」へ。ジョージ林(Sax)のソロパートでは、ステージ前方に堂々と立ち、心の奥底にあるものを引っ張りだして葬ってくれるようなサックスを吹き上げた。いけだゆうた(Key,Cho)So Kanno(Ds)ジョージ林(Sax)BREIMENが最後に演奏したのは「Play time isn’t over」。コロナ禍であらゆるものが奪われたり束縛されたりした中で、能動的に遊び続けることの指針と想いを込めた楽曲。冒頭で書いた通り、BREIMENもKroiもコロナ禍というネガティブな状況に負けず、3年の間にこうして輪を広げることができたのは、両者ともに音楽の中で「遊び」続けてきたから。仲間とともにゲラゲラ笑い合って、時間を忘れるほど無我夢中になる中で、音楽の腕を磨き、楽しそうな輪に引き寄せられた私たちがまだ知らない音を生み出し続けてきた。ライブの途中で高木は「この日のライブを観たことが誇れるようになるかもしれない。マディソン・スクエア・ガーデンとかでやるようになったら」と冗談交じりで語った。『HIGH FIVE 2023』で描かれたBREIMENとKroiのバンドストーリーには、まだ続きがあるようだ。この先も見届けたいと思わせられる、両者の豊かな音楽と心が響き合った夜だった。Text:矢島由佳子Photo:新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2月23日(木・祝) 東京・Zepp DiverCityセットリスト■Kroi1. Drippin’ Desert2. Pixie3. Funky GUNSLINGER4. a force5. Monster Play6. Never Ending Story7. Juden8. Page9. Fire Brain10. Shincha■BREIMEN1. MUSICA2. あんたがたどこさ3. ODORANAI4. D・T・F5. Black or White6. 赤裸々7. チャプター8. Play time isn’t over関連リンクイベントオフィシャルサイト:イベント公式Twitter:
2023年03月07日3月1日に5thアルバム『mirror』をリリースした9人組ミクスチャーユニットSUPER★DRAGONが、発売当日にダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場にてリリースイベントを開催した。アルバムの発表は1年ぶり、リリースに伴うフリーライブに至っては2019年8月から実に3年半ぶりということで、平日にもかかわらず会場には大勢のBLUE(=SUPER★DRAGONファンの呼称)が集結。春の訪れを感じさせる晴天の下、アルバムの新曲も初披露され、懐かしい会場での再会を共に祝った。コロナ禍の下でも自ら積極的に音楽制作に携わり、今作『miror』でも楽曲プロデュースや作詞等、全曲にメンバーが参加。アーティストとしての自覚と精度を急速に高めているSUPER★DRAGONだが、久々のリリースイベントは“懐かしさ”でいっぱいの幕開けとなった。数年前に使用されていた初期SEで流れる“SUPER★DRAGON”の声に呼び出され、ブラックレザーの新衣装でガンダム像前の大階段を上から降りてきたメンバーは、口々に「懐かしい!この感覚!」と感慨深げ。さらにメンバー同士が拳を合わせ、2017年の1stアルバム収録曲「BROTHERHOOD」が始まると、予想外すぎる選曲にBLUEからは歓喜の声が漏れる。“1人じゃ叶えられない”と仲間との熱い絆を歌うナンバーは、実は1stアルバムのリリースイベントの際に、この地で初披露されたもの。懐かしい場所、懐かしいシチュエーション、懐かしい楽曲で9人が肩を組み、最後は全員で一点に向かい拳を突き出すというエモすぎるオープニングには、3年半の時を経てようやく取り戻した場所への喜びがあふれていた。昨年は5月からの8カ月連続リリースで、従来のパワフルでアグレッシブなイメージに留まらない、新たな音楽性を提示してきた彼ら。特にラブソングでは新境地を示してきたが、その中から今回は「Hey, girl」と「So Woo」が贈られた。ミディアムテンポの「Hey, girl」では、ゆるやかな動きの中でも爪先まで神経の行き届いたダンスと色気を滲ませたボーカル、愛おしさから生まれる焦燥を滲ませたラップでオーディエンスを魅了。全身黒の大人びたビジュアルも相まって、誘惑度も爆上がりだ。ディスコファンクな「So Woo」では求愛を意味するタイトルにふさわしく、アッパーなビートに乗せたパフォーマンスには挑発と艶めかしさが交錯し、トドメとばかり田中洸希の攻撃的なヒューマンビートボックスが炸裂。歌、ラップ、ダンスというSUPER★DRAGONの三本柱は、着実に多様性を広げている。結成以来、ダイバーシティでは何度もリリースイベントを行ってきたということで、飯島颯からは「3年前の3rdアルバムの時には、天龍源一郎さんに来ていただいてチョップをしてもらった」という思い出話も。そして「僕たちの魂、愛情が籠ったアルバム『mirror』が遂にリリースされました」という古川毅の言葉から初披露されたのが、MVも併せて先行配信されていたアルバムリード曲「Revolution」だ。田中が大きな蹴りを繰り出し、最年少の柴崎楽が高々と担ぎ上げられるダイナミックなフォーメーションから始まる本作は、華麗なストリングスとダンスミュージックが融合した壮大なナンバーで、王座を目指し、旗を掲げて覇道を進むという強い決意を、古川と池田彪馬が凄まじいハイトーンで絶唱。その激情とシンクロするかのように躍動するダンスが観る者の目を釘付けにし、高揚感をかき立てて、曲がカットアウトした瞬間には息を呑むような空気と拍手が、彼らのRevolution(=革命)を祝福する。さらに、ラストの「Untouchable MAX」では「せっかくこうやって来てくれたので、動画をSNSとかいろんなところでばらまいていただきたい!」(古川)と、なんと携帯カメラでの撮影が許可。結成以来SUPER★DRAGONが押し進めてきたミクスチャーロックの真骨頂ともいえるナンバーは、お馴染みのライブ定番曲でありながらも従来よりスケール感を増して、9人の確かな進化を実感させる。最後にBLUEを背にしてのセルカ棒での記念撮影まで、懐かしのイベントを再現しながらも、間違いなく最新形のSUPER★DRAGONを見せつけた彼らの次のステージは、3月25日のパシフィコ横浜 国立大ホールでのスペシャルワンマン『Persona』。連続リリース時からの目標でもあった、グループ史上最大キャパシティとなる舞台で、古川からは「アルバムの曲マジで全部やるんで、楽しみにしててください!」という嬉しい宣言も飛び出した。「成長するために、まずは鏡に向かって自分と見つめ合え」という意味を込め、ジャン海渡が発案した『mirror』という名のアルバムが、そこでどんな表情を見せてくれるのか?3週間後への期待は尽きない。Text:清水素子Photo:小坂茂雄セットリストM1. BROTHERHOODM2. Hey, girlM3. So WooM4. RevolutionM5. UntouchableMAX<ライブ情報>SUPER★DRAGON SPECIAL LIVE『Persona』3月25日(土) パシフィコ横浜 国立大ホール開場17:00 / 開演18:00チケットはこちら:<リリース情報>SUPER★DRAGON 5thアルバム『mirror』発売中SUPER★DRAGON『mirror』FC限定盤ジャケット●FC限定盤(CD+Blu-ray+60pブックレット):7,700円(税込)※BOX仕様●通常盤(CD):3,300円(税込)【CD収録内容】※全形態共通M01. Are U Ready?(新曲)M02. Revolution(新曲)M03. So WooM04. Don’t Turn It Down(新曲)M05. Pretty Girl(新曲)M06. Honey BabyM07. Not EnoughM08. 相合傘(新曲)M09. Indelible MagicM10. Hey, girlM11. Tap tap tap!(新曲)M12. Pop Star(新曲)【Blu-ray収録内容】※FC限定盤のみ■『Special Live2022 Move On!!!!!!!!!』2022年9月25日豊洲PIT 2部公演01. OVERTURE02. So Woo03. Cruisin’04. Pioneer(Keep It Real)05. MC06. Jacket07. My Playlist08. Ringing, Love09. Caravanサンダードラゴン from SUPER★DRAGON10. On My Way ファイヤードラゴン from SUPER★DRAGON11. 夢で逢えたら12. Beat Box〜Set It Off〜13. Monster! INTER(Dance Part)14. Monster!(Remix Ver.)15. PANDORA16. SAMURAI17. Bad Day18. MC19. Indelible Magic20. Purple Moon21. Distance22. Dance inst.23. BAD BOY24. BADASS25. Shut up, Shout out26. Dragonfly27. SWEET DEVIL28. 君は1000%(Vantage Remix)29. MC30. Brand New Music31. MC32. -Tweedia-関連リンク公式サイト:::::
2023年03月02日布袋寅泰が、ファンクラブ・スペシャルライブ『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』の振替公演を2月26日(日) に東京・Zepp DiverCityで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。布袋寅泰のファンクラブ・スペシャルライブ『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』(振替公演)を目撃した。ファンダムと向き合い、通常のライブやツアーではやらないレアな選曲が魅力のステージだ。いわゆるリリースやアルバムに紐づかない作品が聴けるという、どんな曲が飛び出すかわからない緊張と期待の高揚感。布袋は、今年で結成20周年となるファンクラブ『beat crazy』のスペシャルライブ『B.C. ONLY』について、「ある意味、僕にとって実験の場でもあるし。つべこべ考えず音を楽しめる場所でもあって、パーティーでもあり真剣勝負でもあり」と、MCで語っていたのが印象的だ。しかも、東京会場はZepp DiverCityというライブハウス。距離の近い、爆裂な臨場感に満ちたパフォーマンス。さらに、念願の歓声解禁である。3年間、まさに夢に見ていた光景だ。オープニングは「I’M FREE」。壮大な世界観を持つハイヤーセルフをテーマとしたロックチューン。布袋はピンクのジャケットを羽織り、ギターはZEMAITISのMETAL FRONTを使用。今回のバンドメンバーは、黒田晃年(Guitar)、井上富雄(Bass)、古田たかし(Drums)による4ピース。シーケンスの同期も使わず、骨太なバンドサウンドを「DRIVIN’ TO YOUR HEART TONIGHT」、「DOBERMAN」と続くロックナンバーをこれでもかとプレイ。キーボード、マニピュレーターのいるツアー時のアレンジとは異なる、ギターによるエフェクトを活用した生々しくもレアなプリミティヴなサウンドが耳に新鮮だ。緩急つけて、インストでのダンサブルなパーティーロック「FINGER SKIPPIN’ JIVE」や、レコーディングでは全ギターパートをブライアン・セッツァーに委ねていた「King & Queen」。さらに、シングル『さらば青春の光』のカップリングに収録された「七年目の幽霊」をプレイ。マニアックな選曲だ。さらに布袋は、ジェフ・ベックへ哀悼の意を表した。想いを込めてジェフ・ベック・モデルを用いて、自身のナンバー「ハウリング」を演奏した事は忘れられない。空間をせつなきミストでいっぱいにする、泣きの音色が響き渡った。中盤、SEが鳴り響き、スペシャルゲストにのんが登場するサプライズも。のんは、実は音楽活動もさかんに行っており、テレキャスターを愛好するギタリストでもある。思いがけないゲストに、沸き立つオーディエンスたち。こんなスペシャルなセッションが起こるのも『B.C. ONLY』の楽しいところだ。のんとは、音楽シーンを牽引した先輩であり、天国へ先に旅立だった高橋幸宏、鮎川誠への追悼としてグラムロック・テイストな「タイムマシンにおねがい」(サディスティック・ミカ・バンド)、ウォール・オブ・サウンド風な「ユー・メイ・ドリーム」(シーナ&ザ・ロケッツ)をプレイ。のんによる天をも貫く、ロッキンかつアッパーな歌声によってカバー。様々な思いがよぎり、思わず涙したオーディエンスも多かったことだろう。のんによるソリッドな8ビート・チューン「やまないガール」では、布袋は一歩後ろでギターに徹していた事も印象的だ。布袋による、ボーカリストを斜め後ろから見る視線からは、40年に渡る様々な物語が呼び起こされる。のんオリジナルによる本作は、ニューウェーブ調なビートの効いたロックソングであり布袋サウンドとの相性も抜群だった。のん曰く「布袋さんとこの曲を一緒に演奏できて、めちゃくちゃ楽しい!」とオーディエンス同様に盛り上がっていた。勢いはそのままに、曲順は前後するが布袋寅泰のロマンティックな側面である「Shape Of Pain」、「London Bridge」、「DANCING WITH THE MOONLIGHT」での煌びやかなプレイに酔いしれたフロア。さらに、とどめとして「BEAT EMOTION」、「C’MON EVERYBODY」では、聴き馴染みの深い人気チューンが、4ピースによる圧巻の演奏力によってフレッシュに繰り広げられ、会場は破裂寸前の大盛り上がりへ。オーディエンス全員のジャンプで、Zepp DiverCityがリアルに大きく揺れていた。なかでも「BEAT EMOTION」の間奏のスリリングな掛け合いは鳥肌ものだった。メンバーのスキルフルな極上のプレイに、度肝を抜かれたものだ。ラストは「サンキュー、beat crazy!今日はひさしぶりにみんなとロックンロール出来て嬉しかったです。(beat crazy結成)20周年と言わず、30周年、40周年と言わず50周年。60周年、70周年。とにかくいけるところまで一緒に行こうぜ!今日はありがとう!!!」と語り、最新アルバム『Still Dreamin’』から「Let’s Go」をプレイ。布袋寅泰音楽活動40周年を経て、さらなるネクストへと突き進んでいく決意表明をサウンドを通じて宣言した。本公演は、ライブ配信も行われ3月7日(火) までアーカイブ配信にて目撃可能だ。3月5日(日) までにファンクラブ入会すれば、3月7日(火) 19時のチケット販売終了に間に合う。もし、ファンクラブ・スペシャルライブ『B.C. ONLY』が気になった方は、これをきっかけに『beat crazy』への加入をオススメしたい。常に最新をアップデートし続ける驚きの布袋ワールド、その激レアなアナザーサイドがあなたを待っている。テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)撮影:山本倫子<公演情報>布袋寅泰『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』(振替公演)2月26日(日) 東京・Zepp DiverCityセットリストI’M FREEDRIVIN’ TO YOUR HEART TONIGHTDOBERMANFINGER SKIPPIN’ JIVEKing & Queen七年目の幽霊ハウリングタイムマシンにおねがい [with のん]やまないガール [with のん]やるだけやっちまえ! [with のん]ユー・メイ・ドリーム [with のん]Shape of painBEAT EMOTIONC’MON EVERYBODYLondon BridgeDANCING WITH THE MOONLIGHTLet’s Go※本公演の模様を3月7日(火) 23:59までアーカイブ配信中。詳細はこちら:関連リンクOFFICIAL HP: Twitter: Facebook: Instagram: Twitter:
2023年03月01日2月19日(日)、Zepp Osaka Baysideにて『HIGH FIVE 2023』の大阪公演が開催された。今年で2回目を迎える本公演は次世代を担うアーティストがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎え、全国5会場で対バン形式のイベントを展開。大阪公演では、昨年に続き梅田サイファーがヘッドライナーを務め、ゲストの盟友・ALIと、一夜限りの饗宴を繰り広げた。先陣を切るのは東京・渋谷発、ボーカルのLEOを中心にメンバー全員がハーフの多国籍バンド・ALIだ。ファンクにソウル、ジャズなどのルーツミュージックをベースに、ヒップホップやロックなどを融合したバンドサウンドを武器に、1月25日には待望のメジャー1stアルバム『MUSIC WORLD』を発表。この日のステージはアルバムリリースツアーの真っ最中とあって、バンドの熱量は存分に昂ったままで当日を迎えていた。ALI濃赤の照明がステージを染めるなか「仁義なき戦いのテーマ」から「Dance you,Matilda」へ。感情を昂らせるホーンセクション、スリルあるギターの音色が鳴り響く。初っ端から血がたぎるような鬱勃としたエネルギーをぶつけられ、観客のテンションが一気に高揚していくのがはっきりと伝わってくる。「ALI、始めます!」、LEOが声を張り上げて突入すると、途端にフロアからワッと歓声が湧きたつ。この日の公演はマスク着用であれば声出しが解禁されていることもあって、観客は瞬間々々の感情を拍手に、歓声に換え、メンバーへ思いを届ける。「踊り狂おうぜ! 歌おうか! お前のハートに火をつけに来たんだよ!」、LEOが声高らかに言葉をかけ「VIM」「I want chance a Romance」へと続く。スカやラテン、ブルースと、ご機嫌で情熱的なサウンドに誰もが腰を揺らして踊りまくる。盛り上がりが大好きな大阪の人間は彼らの音と相性抜群! バチっと決めた揃いの黒スーツによく磨かれた革靴、バンドメンバーの息の合ったパフォーマンス、オールドスタイルなステージングとルーツミュージックの相性もたまらなくいい。観客からの喚声に煽られるようにLEOはマイクスタンドを振り回し、誰ひとり取り残さずALIの世界へと引っ張り込もうと、鋭い視線をフロアに向ける。スタートダッシュで存分にテンションを高めたところで、「MELLOW CRUISE」「STAY IN THE GROOVE」と心地よいグルーヴで今度は感情を内側から解していく。限られた時間の中でも、緩急をつけた楽曲陣でバンドのポテンシャルを存分に打ち出していく彼ら。MCでは梅田サイファーとの出会いについて語りつつ、「素敵な時間を過ごせたら」と、この瞬間にしかない喜びを感じてほしいとライブに懸ける想いを語る。バンドの強い意志を随所に感じ、観客もじっと前を見据え、全身で彼らの音を、言葉を受け止めている。ステージ後半には、もちろん期待していたコラボステージも披露! 彼らのワンマンツアーでもゲストラッパーとして参加しているKAZUOと「Wild Side feat.KAZUO」などをエモーショナルに鳴らし、「TEENAGE CITY RIOT feat.R-指定」ではR-指定と激しく声をぶつけ合う。さらに「FEELIN’GOOD feat.梅田サイファー」ではR-指定に続き、KOPERU、peko、KZも加わるなど、生のバンドグルーヴに張り合うように、縦横無尽に主張するマイクリレーは爽快! ナニワの祭りというより、レゲエやラテンをミックスさせたサウンドは熱帯夜のカーニバルにでも巻き込まれたようで、オーディエンスは音の波に乗っかり大いに踊り、騒ぎまくる。「音楽に性別、肌の色、職種、古いも新しいも、ジャンルも関係ない。音楽はいつだって最高だって伝えたい。怒りや悲しみ、感情を乗り越えてまた会おう!」と、音楽への愛を叫び、ラストはThe Beginning Of The Endのカバー曲「Funky Nassau」へ。ベースのグルーヴが生み出す極上のファンクサウンドで全身から喜悦の声を上げ、ステージを締めくくった。この日初披露の“クソイケてる新曲”「アマタノオロチ」ステージの袖から気合いを入れる声が聞こえ、メンバーが次々とステージに登場。梅田サイファー、この日はILL SWAG GAGA、KZ、KennyDoes、KBD a.k.a 古武道、KOPERU、コーラ、テークエム、Teppei、Peko、R-指定、Cosaqu、SPI-Kでのパフォーマンスだ。梅田サイファー彼らも3月29日(水) にメジャー1stアルバム『RAPNAVIO』のリリースを控えていることもあり、今まさに脂がノリまくった状態。先手のALIのステージの興奮をさらに高めるべく、1曲目にセレクトしたのはコント王決定戦『キングオブコント2022』のオープニングソングをリメイクした「KING」だ。エキサイトするトラックに“Who’s the king?”と、マイクリレーで自身の存在を誇示。10MCともなると、各々のフロウ&リリックが渋滞しそうに感じるけれど、そんな懸念は無用。個性をぶつけ合いながらフロアを練り歩き、会場を盛り上げていく。「熱くなる準備、できてる?」と観客を煽ると、「アチィ」でスリリング&バイタリティ溢れるラップをぶつけていく。爽やかに時に艶っぽく声色を変え、低音や高音に高速ラップ、随所にはめ込むフリースタイルと、ひと癖もふた癖もある10人のラッパーのテクニックとセンスは改めてハイレベルなものばかり。「無敵ライクセブンティーン」での腰砕けになりそうなバースもたまらなくカッコイイ。R-指定に注目がいきがちだけど、良い意味で彼の個性がフラットになる、それほどの強者揃いが梅田サイファーなのだと思い知らされる。そもそも、梅田サイファーは大阪・梅田の百貨店をつなぐ歩道橋で始まったサイファーをきっかけに集まったヒップホップグループ。即興ラップを繋げていくサイファーは全国各地にあるけれど、梅田サイファーは1~2小節でマイクを奪い合う、ファイトクラブにも似た集団で、常に互いが1番を張り合っている。そんな彼らがメジャーの舞台で、どんなパフォーマンスを展開していくのか。「クソイケてる新曲聴きたくない?」と、この日初披露の「アマタノオロチ」でその意気込みを楽曲に打ち出していく。“ヤマタノオロチ”ならぬ“アマタノオロチ”、怪物たちが頭ひとつ抜きん出ようとぶつかり合うパフォーマンスに観客は大興奮。パンチライン効かせまくり、個性を打ち出さないと生き抜けない、梅田サイファーの最たる姿が垣間見える。ライブはその後もグループの進化を見せつけるべく、「トラボルタカスタム」「梅田ナイトフィーバー’19」など、遊び心あるトラックに乗せて10MCの個性をたっぷりと披露。ラスト曲の前には「メジャーデビューだからと浮かれず、地に足をつけてやっていきたい。これからも色々あるだろうけど、それもすべてラップに換えて。末永く愛してください」。「ここ数年激動の2組で、このタイミングでの対バンは必然。1度始めたことは辞めない。色々な感情が渦巻くけど、残ったものを引き継いで歌っていきたい」と、メジャーデビューに向け、そしてALIとの対バンについての想いを吐露するメンバーたち。最終曲には「Show Must Go On」をピックアップ。タイトルのまま、“一生やり遂げる”と決意を込めたリリックを丁寧に歌い上げ、本編を締めくくった。アンコールを前に、DJセットだけだったステージにギターとベースがセッティングされる。となると、もちろん今度は梅田サイファー×ALIとのコラボだ。メジャー1stアルバム『RAPNAVIO』にもALIが楽曲制作に関係しているらしく、この日限りの特別編成でのパフォーマンスが実現。新曲「かまへん」はメンバーいわく“関西弁ならでは。バイブス高まる、便利で気持ちいい神ワード”を用いたリリックが印象的で、メンバーはみなにこやかな表情で歌い上げていく。そして最終曲「いつかまた」、“HIGH FIVE”に両手を掲げ、フロアとの垣根を打ち消すピースフルなテンションのまま、『HIGH FIVE 2023』大阪公演は終幕を迎えた。次の『HIGH FIVE 2023』は2月23日(木・祝) の東京公演が終了し、3月5日(日) の名古屋公演を残すのみ。ヘッドライナーはCody・Lee(李)、スペシャルゲストはASIAN KUNG-FU GENERATIONと、ニューカマーとベテランバンドのぶつかり合いが実現。こちらもどんな化学反応が起こるのか、ぜひとも注目してほしい。Text:黒田奈保子Photo:新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2月19日(日) 大阪・Zepp Osaka Baysideセットリスト■ALI01. 仁義なき戦いのテーマ02. Dance you,Matilda03. VIM04. I want chance a Romance05. MELLOW CRUISE06. STAY IN THE GROOVE07. Wild Side feat.KAZUO08. TEENAGE CITY RIOT feat.R-指定09. FEELIN’GOOD feat.梅田サイファー(KOPERU, peko, KZ, R-指定)10. FIGHT DUB CLUB feat.梅田サイファー(KZ, peko, KOPERU)11. LOST IN PARADISE feat.KAZUO12. Funky Nassau■梅田サイファー01. KING02. アチィ03. 無敵ライクセブンティーン04. アマタノオロチ05. トラボルタカスタム06. 服部半蔵07. Oh!マンマミーア08. 梅田ナイトフィーバー’1909. Show Must Go On<Encore>10. かまへん11. いつかまた<ライブ情報>HIGH FIVE 2023※終了分は割愛3月5日(日) 愛知・Zepp Nagoya開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:Cody・Lee(李)スペシャルゲスト:ASIAN KUNG-FU GENERATIONチケット一般発売中関連リンクイベントオフィシャルサイト:イベント公式Twitter:
2023年02月28日2022年9月からスタートした、Dragon Ashのデビュー25周年を記念した全25公演のライブハウス&ホールツアー『DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~』。そのファイナルを飾る『DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~ FINAL』が、2月23日(木・祝)、国立代々木競技場第一体育館にて開催された。2023年2月21日にデビュー25周年を迎えたDragon Ashにとって、これが26年目の初のライブとなる。目の前のLEDスクリーンに25年分のアーティスト写真が映し出された後、ステージから最初に鳴り響いたのは、今回のツアーの始まりに書き下ろされた「Entertain」だった。制限された日々を経て、エンターテンメント界の復活を告げるその曲に、フロアから大きな歓声が上がる。続いて、湧き上がるオーディエンスの熱気に応えるように披露されたのは、本ライブに向けてリリースされた、オーディエンスが声で参加することを願って書き下ろされた最新曲「VOX」だ。Kj<ありったけの君の声を/吐き出せよ日々の思いを/ぶつけてよずっと続けてよ><答えてよその声こそ/僕らが音を鳴らす理由自体なんだ>彼らがステージに立ち続ける理由と、共にライブを作り上げる観客に対する揺るぎない思い。26年目を迎えたバンドの信念を赤裸々に歌うその曲は、オーディエンスという盟友に向けた、Dragon Ashからのラブソングと言えるだろう。今回のツアーにかける思いを綴った2曲で幕開けた後は、25周年ツアーのファイナルにふさわしい豪華でエモーショナルなDAショーがスタート。緑と紫の光の中で轟いた「Bring It」、DAのグランジ魂を象徴する「天使ノロック」、そして、パンキッシュなライブチューン「Iceman」では、冒頭からバンドは演奏に徹し、場内に響くオーディエンスの歌声が主役となる。さらに「Life goes on」、場内中が両手を高く上げてクラップを鳴らせた「陽はまたのぼりくりかえす」と、珠玉の名曲に合わせて観客のシンガロングが響き渡った後、ドラムの櫻井がステージから嬉しそうに語りかける。「まさかこんな(風に観客の声が聞ける)日が来るなんて思いもしませんでした。演奏に支障が出るぐらい感情がたかぶってしまいました」櫻井誠今やライブモンスターと呼ばれるDragon Ash。しかし、Kj、櫻井誠、IKÜZÖNE(馬場育三)の3人組としてデビューした頃は、思うように集客が望めないこともあった。だからこそ、彼らのモチベーションはいつだって、観客と共に作り上げるライブという熱狂だった。「Let yourself go, let myself go」のスクラッチ音で記憶が1999年に引き戻された直後、「SBKー!」というKjの声を合図にステージに盟友、スケボーキングの2MCが登場し、ラテン×エレクトロなパーティーチューン「Episode 4」がスタート。ステージを縦横無尽に動き回るハイトーンVO、SHIGEOとローVOのSHUN、そしてKj。節目の祝宴にふさわしい3MCの賑やかなマイクパスと力強いバンドサウンドが絡み合う様子に場内も大熱狂だ。冒頭のギターの1ストロークだけでフロアから歓声が上がったのは、ラウドな攻撃性だけでなく、繊細でピースフルな側面もDragon Ashの魅力だと広く知らしめた名曲「静かな日々の階段を」。マイクだけを手にしたKjが語りかけるように歌うその曲はやがて、盟友、PES作曲のRIP SLYMEの名曲「One」へのリスペクトに変わっていく。ステージ前に再びLEDスクリーンが下ろされ、イメージ映像が映し出される中で始まったのは、ドラマの主題歌にもなった「Tiny World」。ロックバンドと観客が作るかけがえのない世界を守りたい……そんな確固たる思いが光のスクリーンの奥から溢れ出す。「Jump」→「百合の咲く場所で」と、熱狂チューンの連発に湧き上がる観客たちの楽しそうな姿がスクリーンに映し出された後、Kjがマイクに向かって話し出す。「このツアーが始まってから音楽人生でいちばん怒られました。このままじゃライブを続けられないって……」自分たちの音楽でオーディエンスが自由に感情を発散出来る場を作ること。それを信条とするDragon Ashにとって、自然発生した雪崩のようなエネルギーさえ封印しなければならない状況は、ライブバンドとしての存在意義を根底から覆すものだったに違いない。まだすべての問題が解決したわけではないが、それでもこの日、従来のバンドの理想とする場所に一歩、立ち戻ることが出来たことに感謝すると告げた後、Kjが叫ぶ。「ミクスチャーロックは好きですかー!?」無観客&無歓声を余儀なくされた期間中は演奏することを封印していたDAを代表するライブチューン「Fantasista」が轟く。「腹の底から声あげろ!」というKjの声に力強いコール&レスポンスと高らかに上げた両手でオーディエンスが応える。この日最大の熱狂の中、ステージに現れたのはラッパ我リヤだ。「Deep Impact feat. Rappagariya」でお茶の間に見せつけたガチンコ勝負の音と文化のこの異種格闘技こそ、Dragon Ashが掲げる「ミクスチャーロック」の真髄である。「いつでも自分たちの音楽が日常のサンドバッグになるから、音楽をトリガーにして感情を解放して」というKjの言葉でスタートしたのは、音楽を通してさまざまな感情を分かち合う喜びを描いた「A Hundred Emotions」。音楽とそれを分かち合うための空間は、私たちが明日を生き抜くために必要不可欠な心の支えだ。また聞き分けのないバンドマンに戻って、路地裏のライブハウスで会いましょう本編の最後に披露されたのは、最新のDAを象徴するライブチューン「New Era」。新たな時代を告げるその曲は、多くの喪失や苦難の時を「立ち止まらず進み続ける」ことで乗り越えて来た、Dragon Ashの姿そのものでもある。アンコールを求めるオーディエンスが叫ぶ「Viva!Viva! La Revolution!」というコールが久しぶりに響く中、再びステージにメンバーが登場。「Drugs can’t kill teens」では、T$UYO$HIがIKÜZÖNEのベース使って演奏、ひとしきり場内を沸かせた後、「記念に」と、観客をバックにメンバー全員で記念撮影を開始。ドラムの櫻井の手の中でオリジナル・ベーシスト、IKÜZÖNE(馬場育三)の人形が微笑んでいる。「中高生の時にここ代々木体育館でX JAPANのhideさんのライブを見た思い出があります。同じステージに立てて馬場育三も喜んでくれてると思います。いつも一緒にステージに立っているつもりです」というドラムの櫻井の言葉に続けて、今度はターンテーブルのBOTSがマイクを取る。「僕がバンドに加入していろいろあった約24年間、バンドを続ける意味、バンドってなんだろうと思ったこともありました。でも辞めるという選択肢はなくて、バンドの意味がわかるまで続けてみようと思いました。一人一人が結束して輪っかを繋ぎ止めているものがバンドなら……馬場育三、KenKen、ダンサーのATSUSHI、DRI-V、ステージに立ってる9人だけじゃなく、スタッフ、お客さん、今まで携わってくださった方みんなでDragon Ashという輪っかを作っていきましょう」BOTS大歓声と拍手が沸き起こったいい話の最後に「恋人募集中です」というオチをつけたBOTSのMCの次は、ギターhirokiだ。「気づけばもう26周年が始まってますが、俺たちの音楽をこれからも皆さんの傍においてもらえたら嬉しいです」hiroki続いて、ベースのT$UYO$HIがマイクに向かう。「今日がツアーファイナルだけど、今日からまた新たなEntertainmentが始まる気がします。今日立ち会ってくれた人は、歴史的瞬間に立ち会ったんだよっていつか言えるんじゃないかな」T$UYO$HIそれぞれが思いを語った後、「曲や詞を通して思いは伝えているけど……」と、Kjが言う。「サク(櫻井)と中学の時に思いつきで始めた青春に、俺たちのやりたいことに25年間みんなが付き合ってくれて、本当にありがとうという気持ちなんですよ。こういう、自分たちがいちばん美しいと思う形のライブでツアーを終えられることに対しても。今年はまた聞き分けのないバンドマンに戻って、路地裏のライブハウスで会いましょう。今が革命前夜!」そして披露された「Viva la revolution」は、さまざまな音楽を貪欲に飲み込み、その音楽性を劇的に進化させながらジャンルの壁をぶち壊し、突き進んできたDragon Ashの勝利の歌だ。あらゆる音やスタイルを自分たちの血肉として歌い奏でてきた革命児の魂は、今も間違いなく彼らの中で脈打ち続けている。26年目の最初のライブの最後に披露されたのは、櫻井のドラムで始まる再会の曲「Curtain Call」だった。冒頭のドラムもノイジーなギターのレイヤードも、いつにも増して激しくリリカルに響く。心強い仲間と栄光を手に入れた一方で、その25年の道のりは、決して容易いものではなかった。そんなDragon Ashのデビュー25周年を祝うツアーのファイナルであり、26周年イヤーの始まりの日。ここからまた、彼らの新章が始まる。3月22日(水) には、25周年を記念した総収録曲数のべ80曲以上、160コンテンツが収録された映像作品『Silver Lilies –Blu-ray BOX-』のリリースも決定。7人編成で開催された「THE SEVENS」と5人編成で開催された「THE FIVES」のライブ映像など、見どころ満載の映像作品となっている。Text:早川加奈子Photo:TAKAHIRO TAKINAMI<公演情報>DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ENTERTAIN~ FINAL2月23日(木・祝) 東京・国立代々木競技場 第一体育館セットリスト1. Entertain2. VOX3. Bring it4. 天使ノロック5. Iceman6. Life goes on7. Under Age’s song8. 陽はまたのぼりくりかえす9. Crush the window10. Ivory11. Let yourself go,Let myself go12. Episode 413. 静かな日々の階段を14. Today’s the Day15. Lily16. Tiny World17. Jump18. 百合の咲く場所で19. Fantasista20. Deep Impact21. A Hundred Emotions22. New EraEN1. Drugs can’t kill teensEN2. Viva la revolutionEN3. Curtain Call<配信情報>Dragon Ash「VOX」配信中配信リンク:<リリース情報>Dragon Ash トリビュートアルバム『25 - A Tribute To Dragon Ash -』発売中『25 - A Tribute To Dragon Ash -』ジャケット『25 - A Tribute To Dragon Ash –』展開写真●完全生産限定25th Anniversary BOX A:CD+Tシャツ(白/Lサイズ):7,150円(税込)購入リンク:●完全生産限定25th Anniversary BOX B:CD+Tシャツ(白/XLサイズ):7,150円(税込)購入リンク:●完全生産限定25th Anniversary BOX C:CD+Tシャツ(黒/Lサイズ):7,150円(税込)購入リンク:●完全生産限定25th Anniversary BOX D:CD+Tシャツ(黒/XLサイズ):7,150円(税込)購入リンク:※Tシャツは白、黒の2色。サイズはそれぞれL、XLの2サイズからお選びいただけます。オリジナルTシャツ黒オリジナルTシャツ黒(裏)オリジナルTシャツ白オリジナルTシャツ白(裏)●初回生産限定紙ジャケ仕様(CD):3,520円(税込)※オリジナルステッカー封入購入リンク:【CD収録内容】01. The BONEZ「天使ノロック」(from 『The Day dragged on』)02. ストレイテナー「冬ノ道ノセイ」(from『Public Garden』)03. ACIDMAN「Fever」(from『Mustang!』)04. 山嵐「陽はまたのぼりくりかえす」(from『Buzz Songs』)05. PES「Viva la revolution」(from『Viva La Revolution』)06. 10-FEET「百合の咲く場所で」(from『LILY OF DA VALLEY』)07. MAN WITH A MISSION「Fantasista」(from『HARVEST』)08. 04 Limited Sazabys「crush the window」(from『Río de Emoción』)09. BRAHMAN「few lights till night」(from『INDEPENDIENTE』)10. MONGOL800「繋がりSUNSET」(from『FREEDOM』)11. RED ORCA「SOCIABLE DESTRUCTION」 (from『MIXTURE』)12. ROTTENGRAFFTY「Walk with Dreams」(from『THE FACES』)13. HEY-SMITH「Ode to Joy」(from『MAJESTIC』)14. Dragon Ash「VOX」(新曲)※完全生産限定25th Anniversary BOXには初回生産限定紙ジャケ仕様CD(オリジナルステッカー封入)が同梱されます。【特典情報】■TOWER RECORDS 全国各店 / TOWER RECORDS ONLINE「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(TOWER RECORDS ver.)■HMV全国各店 / HMV & BOOKS online「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(HMV ver.)■TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(TSUTAYA RECORDS ver.)■Amazon.co.jp「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(Amazon ver.)■楽天ブックス「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(楽天 ver.)■セブンネットショッピング「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(セブンネットショッピング ver.)■ビクターオンラインストア「25 - A Tribute To Dragon Ash -」オリジナルクリアファイル(Victor Online ver.)※Amazon.co.jp、楽天ブックスでは特典付き商品のカートがアップされます。特典をご要望のお客様は特典付き商品をお買い求め下さい。※各特典ともに数に限りがございます。※一部、特典の取り扱いのない店舗もございます。特典クリアファイルトリビュートアルバムスペシャルサイト: Ash『Silver Lilies -Blu-ray BOX-』3月22日(水) リリース●完全生産限定8枚組Blu-ray BOX:12,000円(税込)【Disc 1収録】『THE FIVES & THE SEVENS』■DRAGONASH TOUR 2019 “THE FIVES” at Shibuya CLUB QUATTRO01. 運命共同体02. The Show Must Go On03. Mix it Up04. Bring it05. Fly Over feat.T$UYO$HI06. 繋がりSUNSET07. Ode to Joy08. 光りの街09. Revive10. ROCKET DIVE11. Headbang12. Jump13. 百合の咲く場所で14. Fantasista15. A Hundred EmotionsEncore16. Lily17.Curtain Call■DRAGONASH TOUR 2019 “THE SEVENS” at Zepp DiverCity01. Viva la revolution02. Run to the Sun03. Fly Over feat.T$UYO$HI04. Walk with Dreams05. Ode to Joy06. 光りの街07. ダイアログ08. Beautiful09. Let yourself go, Let myself go10. Mix it Up11. For divers area12. 百合の咲く場所で13. Aim High14. Jump15. Fantasista16. TIME OF YOUR LIFE17. Lily【Disc 2収録】『VIDEO MAJESTIC』■VIDEO MAJESTIC01. Majestic ※02. Stardust ※03. Mix it Up04.Ode to Joy05. 光りの街06. Headbang07. Beside You08. Jump ※09. A Hundred Emotions ※※from「2018.01.28 Live Tour MAJESTIC Final at YOKOHAMA ARENA」■TV-SpotsAlbum『MAJESTIC”』光りの街 / Beside You【Disc 3収録】『VIDEO THE FACES』01. The Show Must Go On02. Trigger03. Run to the Sun04. Here I Am05. Blow Your Mind06. Walk with Dreams07. The Live feat’KenKen08. Lily09.Curtain Call■BonusTHE FACES -TV SPOT-【Disc 4収録】『MIXTURE BD -VIDEO MIX & DOCUMENT-』■VIDEO MIX01. ROCK BAND feat. SATOSHI, KO-JI ZERO THREE02. CALLIN’03. Velvet Touch04. ECONOMY CLASS05. SKY IS THE LIMIT feat. TAKUMA06. 繋がりSUNSET07. FIRE SONG08. AMBITIOUS09. TIME OF YOUR LIFE10. 運命共同体■DOCUMENTDOCUMENT “MIXTURE”【Disc 5収録】『Video de Emoción』1. Shade(Video Clip / Making of the Video Clip / TV Spot)2. crush the window(Video Clip / Another Edit ver. / Outtakes / Making of the Video Clip / TV Spot)3. 夕凪UNION(Video Clip / Outtakes / Making of the Video Clip / TV Spot)4. Los Lobos(Video Clip / Another Edit ver. / Making of the Video Clip / Album “Río de Emoción” TV Spot)5. Palmas Rock feat. UZI-ONE(Video Clip / Making of the Video Clip / DVD “Video de Emoción” TV Spot)6. Scarlet Needle(Video Clip / Making of the Video Clip)【Disc-6収録】『POSSE IN VIDEO』1. Revolater(Video Clip / TV Spot)2. Sunset Beach(Video Clip / Making of the Video Clip / TV Spot)3. Life goes on(Video Clip / Another Edit ver. / Making of the Video Clip / TV Spot)4. Fantasista (Video Clip / Another Edit ver. / Making of the Video Clip / TV Spot)5. Revive(Video Clip / Making of the Video Clip)6. morrow(Video Clip / Making of the Video Clip / TV Spot)7. Episode 4 feat.SHUN,SHIGEO(Video Clip / Another Edit ver. / TV Spot))8. Album『HARVEST』TV Spots9. Bonus【Disc 7収録】『LILY DA VIDEO』01. Let yourself go, Let myself go(Video Clip / Another Edit ver. / Making of da Clip / TV Spot)02. Grateful Days feat. Aco, Zeebra(Video Clip / TV Spot)03. I LOVE HIP HOP(Video Clip / Making of da Clip / TV Spot)04. Rock the beat(Video Clip)05. Deep Impact feat. Rappagariya(Video Clip / Another Edit ver. / Making of da Clip / TV Spot / Midori)06. Summer Tribe(Video Clip / Another Edit ver. / Making of da Clip / TV Spot / Kiss)07. Amploud(Video Clip / Another Edit ver. / Making of da Clip / TV Spot)08. 静かな日々の階段を(Video Clip / Making of da Clip /TV Spot /Koi /M)09. Bring It(Video Clip)10. TV Spots for Albums【Disc 8】『Buzz Clips BD』01. 天使ノロック(Video Clip / Making of da Clip / TV Spot)02. Ability → Normal(Video Clip / Making of da Clip / TV Spot)03. Rainy Day And Day(Video Clip / Making of da Clip / TV Spot)04. 陽はまたのぼりくりかえす(Video Clip / Live ver. / Making of da Clip / TV Spot)05. Under Age’s Song(Video Clip / Making of da Clip / TV Spot)06. Live compilation07. Live compilation - 実況つき –08. Additional materials【特典情報】■TOWER RECORDS 全国各店 / TOWER RECORDS ONLINE25th Anniversary イラストカレンダー(TOWER RECORDS ver.)■HMV全国各店 / HMV & BOOKS online25th Anniversary イラストカレンダー(HMV ver.)■TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング25th Anniversary イラストカレンダー(TSUTAYA ver.)■Amazon.co.jp25th Anniversary イラストカレンダー(Amazon ver.)■楽天ブックス25th Anniversary イラストカレンダー(楽天 ver.)■セブンネットショッピング25th Anniversary イラストカレンダー(セブンネットショッピング ver.)■ビクターオンラインストア25th Anniversary イラストカレンダー(VICTOR ONLINE STORE ver.)※Amazon.co.jp、楽天ブックスでは特典付き商品のカートがアップされます。特典をご要望のお客様は特典付き商品をお買い求め下さい。※各特典ともに数に限りがございます。お早めにご予約ください。※一部、特典の取り扱いのない店舗もございます。予約リンク:関連リンクDragon Ash 楽曲配信URL: Ash 25th Anniversary Special Site: Ash official site: Ash label site: Ash facebook: Ash YouTube: Ash Twitter: Ash Instagram: Ash TikTok:
2023年02月27日乃木坂46のデビュー11周年を祝うバースデーライブ『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』DAY5公演が2月26日、横浜アリーナで開催された。22日から5日間にわたり同会場で展開される今回のバースデーライブ。最終日は乃木坂46二代目キャプテンにしてグループ最後の1期生・秋元真夏の卒業コンサートとして実施された。2012年秋から活動に加わった彼女の、約11年にわたるアイドル人生の集大成を見守ろうと、会場には約1万2000人のファンが駆けつけ、さらにインターネット有料生配信を通じて多くの者がその様子を見守った。荘厳なSEが流れる中、客席が秋元のメンバーカラーである赤&ピンクのペンライトで染まっていくと、アリーナ後方からメンバーが登場。最後にステージ後方から秋元が姿を表すと、「乃木坂46 秋元真夏卒業コンサート、スタートです!」を合図に「ぐるぐるカーテン」でライブは幕を開けた。淡いピンクの衣装に身を纏ったメンバーは、秋元を中心に華麗なステージを展開。「おいでシャンプー」では、梅澤美波の「今日が最後かもしれませんよ?」を合図に、秋元を中心に「皆さんのハートに、ズッキュン!」を披露する一幕も。続く「走れ!Bicycle」とあわせて、乃木坂46の原点を振り返るようなセットリストで観る者を大いに楽しませた。その後、自身の真の意味でのデビュー曲「制服のマネキン」を、当時を彷彿とさせるセーラー服姿で、オリジナルに忠実な振り付けでパフォーマンスする。続く「ガールズルール」では「横アリ、騒げーっ!」と、冒頭の煽りを秋元が担当。会場のボルテージが高まる中、さらに「太陽ノック」を繰り出し、客席は早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。最初のMCでは、秋元との最後のステージについて後輩たちが思いを吐露。鈴木絢音は「私は現役メンバーで唯一の“真夏さんリスペクト軍団”。真夏さんへの愛はこの会場で誰にも負けないと思います」、遠藤さくらは「これまでどれだけ真夏さんに助けられたことか。今日はそんな真夏さんが輝けるよう、精一杯の力で支えたい」と吐露する中、山下美月は「(ステージに登場し、階段を降りるときに)スタッフさんから『絶対に転ぶなよ』と何度も言われていた」ことを明かし、会場の笑いを誘う。そして、秋元は「今日は私が好きな曲をたくさん詰め込んでいます!」とこのあとに披露される楽曲への期待を高めていった。「後輩との関係性を重視した」というブロックでは、各期とのコラボレーションを展開。まずは5期生との「バンドエイド剥がすような別れ方」で勢い付け、続く4期生とのコラボ曲「ジャンピングジョーカーフラッシュ」では会場内の熱量が一気に沸点まで達する。さらに、3期生との共演曲「僕の衝動」ではメンバー1人ひとりと寄り添いつつ力強い歌を響かせる。この曲では伊藤理々杏が「最後に真夏さんの本気のダンスを見せてください!」と、秋元に激しいダンスを促す一幕も。エンディングでは秋元と伊藤がキメ顔対決をして、ファンを大いに楽しませた。続くユニットブロックでは、同期メンバーたちと歌ってきた懐かしい楽曲を後輩たちと歌い紡いでいく。「口約束」では佐藤楓、吉田綾乃クリスティー、金川紗耶、柴田柚菜、林瑠奈、弓木奈於といった3〜4期生たちと落ち着いた雰囲気で、「ごめんね、スムージー」では阪口珠美、田村真佑と一緒に王道アイドルらしい衣装を着て可愛らしく披露。「私は笑顔のイメージが強いけど、カッコいい表情に憧れる。最後にカッコよくキメたい」というフリから始まった「魚たちのLOVE SONG」では、魚の着ぐるみを着て登場した秋元に会場がどよめく。その後、同じく着ぐるみ姿の山下、筒井あやめも登場、最後にはカマキリ姿の黒見明香も加わり、秋元らしい一筋縄ではいかない自己プロデュース力を見せつけた。コミカルな演出で場を和ませたあとは、秋元が乃木坂46の活動に復帰して初めて振り入れをしたアンダー楽曲「涙がまだ悲しみだった頃」と、「私っぽくない、めちゃくちゃカッコいい曲。披露するのに勇気が必要」という1期生楽曲「Against」を、アンダーメンバーと一緒に披露。曲ごとにコロコロと表情を変える、このジェットコースターのような振り幅こそ秋元らしさと言えるだろう。賀喜遥香「これからも真夏さんの言葉を大切にしながら、乃木坂46を守っていきたい」卒業公演もついに折り返し。ここからはパフォーマンスに重点を置いた楽曲が連発される。まずは代表曲のひとつ「インフルエンサー」を遠藤とのダブルセンターで披露。制作当時はダンスに苦戦したこの曲を、秋元はアイドル人生最後の日にセンターを全うし、成長した姿を観る者に強くアピールする。続く「シンクロニシティ」でも難易度の高いソロダンスを見事にやりきり、有終の美に相応しいパフォーマンスを提示。さらに「好きというのはロックだぜ!」「帰り道は遠回りしたくなる」「最後のTight Hug」と緩急に富んだ選曲で、乃木坂46らしい“しなやかさの中にも力強さが存在するダンス”を表現してみせた。ライブ終盤戦には、秋元の「憧れの曲」である「言霊砲」を、これからの乃木坂46を先頭で引っ張っていくことになる久保史緒里、与田祐希、山下の3人と一緒に歌唱。また、自身がかつて卒業生の高山一実と歌ってきたユニット曲「忘却と美学」ではキャプテン、副キャプテンとして苦楽を共にしてきた梅澤美波と一緒に披露する。さらに、「あるメンバーとどうしても歌いたい曲。楽曲も大好きだし、その一緒に歌うメンバーのことが大好き」と“HoneyWorks meets さゆりんご軍団+真夏さんリスペクト軍団 from 乃木坂46”名義で発表した「大嫌いなはずだった。」を、鈴木と2人で歌唱。外周を歩きながら歌う2人は瞳に涙を浮かべ、この曲を噛み締めながら歌う。曲中、鈴木から「真夏さん、今まで本当にありがとうございました」と花束をプレゼントされるサプライズもあり、会場は感動的な空気に包まれた。涙を堪えきれない秋元は、本編最後の曲に入る前に後輩たちにメッセージを送る。秋元は「昨日までやっていた期別ライブが本当に楽しくて。卒業するのが何の不安もないくらい、頼もしい後輩に囲まれていたんだなと感じた3日間でした」「メンバーによって歩んできた歴史は違うけど、その間にたくさんの困難や不安を乗り越えてきたからこそ、今の乃木坂46があると思っているので、絶対に大丈夫だなと思います」と力強く語り、「アイドルとして世代交代が難しいと言われている大人数アイドルグループですけど、乃木坂はちゃんと世代交代できたんじゃないかなと自信を持って言えます」と宣言。最後に、自身が初めてセンターを務めた「ひと夏の長さより・・・」で煌びやかに締めくくった。アンコールでは高山や松村沙友理、西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花、桜井玲香といった同期OGからの労いのメッセージが映像を通して送られる。続いて、ピンクのドレスを着た秋元が登場し、ここまで支えてくれた両親やマネージャー、スタッフ、そしてファンへ感謝のメッセージを伝える。「私を応援していて楽しかったですか?」と客席に問いかけると、客席からは盛大な拍手が湧き起こり、最後に「生まれ変わっても絶対に乃木坂になりたいし、乃木坂のキャプテンを務めたいです。それくらい大好きな場所でした。11年間、本当にありがとうございました」と口にして、自身の卒業ソング「僕たちのサヨナラ」を涙ながらに歌唱した。「2度目のキスから」を歌いながら、メンバーと一緒に会場を一周したあとには、各期を代表して菅原咲月、賀喜遥香、久保が秋元へ感謝の言葉を送る。菅原は「次にお会いするときには、何倍も成長した姿をお見せできるようになりたい」、賀喜は「これからも真夏さんの言葉を大切にしながら、乃木坂46を守っていきたい」と口にし、久保は「これからは真夏さんみたいな優しさを持って、後輩たちと一緒に乃木坂をもっともっと強くしていけるように、3期生も頑張ります」と力強く宣言。すると、秋元がメンバー全員に手紙を書いてきたことを告げ、代表して梅澤への手紙を読み上げる。キャプテンとしての役割について、秋元らしい言葉でエールを送り、最後のお願いとしてメンバーに「キャプテンにはどうしてもふんばらないといけないときがあります。だから、うめのことを絶対に全力で支えてあげてください」と伝えた。最後の曲紹介を噛んでしまう微笑ましい場面を挟み、ラストは「乃木坂の詩」で締めくくり。会場一面が紫色に染まる中、盛大なクライマックスを迎えた。そして、最後にやり残したこととして必殺技の「ズッキュン」を送り、「何も持っていなかった18歳の私をここまで、こんな素敵な場所までつれてきてくれて、乃木坂として11年間歩ませてくれて、本当にありがとうございました」と感謝を口にすると、観客から「まなつさん大好き」のメッセージシートを掲げるサプライズも。こうして秋元真夏のアイドル人生最後のステージは大成功のうちに終了した……かに思われたが、興奮冷めやらない観客のコールを受け、再びステージに登場したメンバーが「ハウス!」「ガールズルール」を最後の最後にプレゼント。こうして5日間におよぶ『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』は、最高のエンディングとともに幕を下ろした。Text:西廣智一<公演情報>『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』DAY52月26日(日) 横浜アリーナセットリストOverture01. ぐるぐるカーテン02. おいでシャンプー03. 走れ!Bicycle04. 制服のマネキン05. ガールズルール06. 太陽ノック07. バンドエイド剥がすような別れ方08. ジャンピングジョーカーフラッシュ09. 僕の衝動10. 口約束11. ごめんね、スムージー12. 魚たちのLOVE SONG13. 涙がまだ悲しみだった頃14. Against15. インフルエンサー16. シンクロニシティ17. 好きというのはロックだぜ!18. 帰り道は遠回りしたくなる19. 最後のTight Hug20. 言霊砲21. 忘却と美学22. 大嫌いなはずだった。23. ひと夏の長さより・・・アンコール24. 僕たちのサヨナラ25. 2度目のキスから26. 乃木坂の詩ダブルアンコール27. ハウス!28. ガールズルール関連リンク乃木坂46 公式サイト乃木坂46 Twitter乃木坂46 Instagramチャンネル「乃木坂配信中」
2023年02月27日2月23日(木・祝) に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された『岸谷香 感謝祭2023』のオフィシャルレポートが到着した。岸谷香が「元気に楽しく音楽をやれている事に感謝し、お客様に喜んで頂ける様に、毎回ゲストを迎え特別なセッションをする」、毎年2月に開催している年1回恒例のコラボイベント『岸谷香 感謝祭』。2月23日(木・祝) ソールドアウトの東京・EX THEATER ROPPONGIにて、自身のガールズバンド“Unlock the girls”とともに、荻野目洋子と藤巻亮太を迎え、全21曲を披露し、満員の観客を魅了した。プリンセス プリンセス時代の曲から現在のソロ曲など新旧織り交ぜ、今の岸谷香を真っ直ぐ表現するセットリスト。挨拶代わりに3曲披露し、「雨上がり」のギターの前奏に乗せて藤巻亮太を呼び込む。岸谷は、「ふたりの初めての出会い」や、「藤巻君の曲は大好きな曲が多い」というエピソードも披露。お互いの曲を組み合わせた「南風~ミラーボール」のメドレー、岸谷のピアノと藤巻のエレキギターというふたりだけで、しっとりと聞かせた名曲「3月9日」、新曲の「この道どんな道」、そして最後は今の季節にぴったりの「粉雪」と、誰もが納得の圧巻なステージを披露した。岸谷香×藤巻亮太藤巻を送り出した後、「また恋ができる」をしっとり聴かせ、「Diamonds<ダイアモンド>」で客席は一気に盛り上がる。続いて迎えたゲストは荻野目洋子。ご存知「六本木純情派」のイントロで呼び込まれた荻野目は、圧倒的なステージを披露し、観客も釘付け。岸谷が荻野目に提供した「ラストダンスは私に」、荻野目のウクレレ伴奏とヴォーカルをメンバー全員でコーラスで支えアコースティックに聞かせた「虫のつぶやき」、そしてお待ちかねの「ダンシングヒーロー」では、荻野目の切れのあるダンスに合わせて、ギターを降ろし自身も全力で踊る岸谷香。笑顔のふたりに満員の観客が大いに沸いた。ラストは「OH YEAH!」。荻野目はヴォーカルとともにエレキギターで、全員でセッション。息の合った、特別なコラボレーションとなった。岸谷香×荻野目洋子そこからは「Unlocked」「バタフライ」「Dump it!」と、自身のバンド「Unlock the girls」とともに、今の岸谷香の楽曲たちを披露。ラストの「Signs」では、圧巻のギターソロを魅せ、本編を終えた。Unlock the girlsアンコールはゲストも併せて、全員でステージに。岸谷のピアノの前奏が始まると、どよめきと大きな拍手が起こった「M」。荻野目、藤巻、岸谷の3人で歌い分け、ギターソロは藤巻と岸谷のツインを披露。ゲストを送り出し、岸谷のソロ曲「ハッピーマン」で終演。贅沢な一夜限りのステージとなった。予期せぬダブルアンコールを受け、ひとりでステージに出てきた岸谷から、「今年6月に自身の企画でアコースティックのツーマンライヴを東京、名古屋、大阪で開催します!対バン相手は全部違います!」と発表。満員の観客からどよめきと惜しみない拍手が送られ、イベントは幕を閉じた。<公演情報>岸谷香 感謝祭20232月23日(木・祝) 東京・EX THEATER ROPPONGIセットリスト1. 49th バイブル2. MELODY MELODY3. STAY BLUE<w/藤巻亮太>4. 雨上がり5. 南風~ミラーボール6. 3月9日7. この道どんな道8. 粉雪9. また恋ができる10. Diamonds<ダイアモンド><w/荻野目洋子>11. 六本木純情派12. ラストダンスは私に13. 虫のつぶやき14. ダンシングヒーロー15. OH YEAH!16. Unlocked17. バタフライ18. Dump it!19. Signs<アンコール>1. M2. ハッピーマン<ライヴ情報>岸谷香 プレミアムアコースティック 2マンライヴ6月9日(金) 愛知・名古屋ダイアモンドホール6月11日(日) 大阪・BIGCAT6月18日(日) 東京・日本橋三井ホール※各地対バン相手は後日発表一般発売日:4月15日(土) 予定関連リンク岸谷香 HP:荻野目洋子 HP:藤巻亮太 HP:
2023年02月24日Red Hot Chili Peppersが、16年ぶりの単独来日公演を2月19日(日) に東京ドームで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。Red Hot Chili Peppersが、東京ドームに還ってきた――。2007年に初の東京・大阪2大ドーム公演を行って以来、実に16年ぶりの単独公演が実現した。今回注目すべきは2019年に二度目の再加入を果たしたギタリスト、ジョン・フルシアンテの復活と、それを受けて6年ぶりのアルバムを昨年中になんと2作もリリースした後の新作ツアーでもあるということだ。昨年6月にヨーロッパから始まったツアーは『グローバル・スタジアム・ツアー』と名付けられ、その一環となる東京公演はまさにその名にふさわしい壮大で圧倒的なステージだった。そして鉄板ラインナップのバンドを迎え撃つオーディエンスの熱量も半端じゃなかった。先に16年ぶりの単独公演と書いたが、レッチリはその間夏フェスで3度来日し、洋楽アーティスト屈指の人気を定着させている。もはや伝説となった第一回目のフジロックでのステージや、東日本大震災が起きた2011年にサマーソニックのヘッドライナーとして来日してくれたことなど、日本のファンにとって思い入れの強いバンドだ。開演前の会場内外に漂う高揚感からは、バンドに対する絶大な信頼感も伝わるようだった。イントロのジャムからドラムのチャド、ベースのフリー、そしてジョンの3人はいきなりフルスロットルで、オーディエンスを温めるどころか早くもノックアウトする勢いで超絶技巧のプレイを見せ付けた。実質的なオープニング曲「Can’t Stop」のイントロが始まると、ボーカルのアンソニーの登場と相俟って会場は一気に熱狂の渦に巻き込まれ、同じくアルバム『By The Way』収録の「The Zephyr Song」の心地良いメロディに身体を揺らし、レッチリのライブが始まった喜びをかみしめた。Photo:Kazumichi Kokei続いて披露されたのは新作『Unlimited Love』からの「Here Ever After」で、リズミカルなドラムにベースとギターが寄り添うように絡み合い、その波をボーカルがなめらかに乗りこなしていくという、ジョンが復活した今の4人ならではのケミストリーが感じられる新曲だ。日本の前に周ってきたオーストラリアなどでは、セットリストにヒット曲が少ないと不満の声が上がったりもしていたが、今回の東京公演ではアンコールを含めた全17曲中、新作2作からの曲は6曲だった。ジョンのギター・ソロに痺れる「Eddie」やタイトなドラムが際立つ「These Are the Ways」、「ヤーヤヤヤー」の掛け声が耳に残るグルーヴィーな「Tippa My Tongue」、『Unlimited Love』のファーストシングルで新生レッチリの到来を告げたメロディアスな「Black Summer」など、新しい曲はどれもこの4人で再び集まって曲作りができる喜びにあふれていて、それをライブで聴くオーディエンスにはそんな今のレッチリを体感できる喜びを与えてくれた。ステージにはバックドロップ全体と両サイドに大きなスクリーンがあり、グルーヴをそのままビジュアルにしたようなサイケデリックな映像(メンバーの姿とリアルタイムで合成されていたのもかっこよかった)で視覚的にも楽しめた。「Snow(Hey Oh)」では左にアンソニー、右にジョンの顔が大きく映し出され、2人でコーラスをハモる姿にじーんときた。演奏中のメンバーの手元がアップになるのも見どころで、ベースの弦の上で叩き付けるように力強く、それでいてステップを踏むように軽やかに動き回るフリーの指には何度見ても驚かされた。還暦の概念を変えるチャドのパワフルなドラミングはどれだけ体力があるのかと恐ろしくなるほどで、常に楽しそうにしているのがまたすごい。真っ赤なスカジャンを着て登場したアンソニーは、その後黄色いメッシュのシャツ姿になり(裾をめくり上げて頭にかぶり、のしのしと歩き回るところが最高)、気が付けばそれも脱いで股間に稲妻が走るハーフパンツ一丁になっていた。それぞれ熟練の技を見せる彼らだが、いくつになっても大人と子どものいいとこ取りのような、仲間と一緒に音楽をやるのが楽しくてたまらないという変わらなさがあるのがいい。曲のアウトロでフリーとジョンが向き合って長いジャムを続けたり、アンソニーも加わって全員がドラムキットの前に集まったりする場面は、ここがドームであることを一瞬忘れさせ、まるでスタジオでの様子を覗き見ているかのような親密感があって心温まる光景だった。この日一番饒舌だったフリーは、スパッとしたエンディングがかっこいい「Suck My Kiss」の後で、今朝食べた和朝食に小鉢がいっぱい並んでいて何を食べているのかまったくわからなかったけどおいしくて、ミステリアスでビューティフルなのが日本のいいところだと言って笑っていた。そして科学者と相談した結果、史上最もスローな曲のやり方がわかったと言って始めたのが、超絶速弾きベースの「Nobody Weird Like Me」! 89年の名盤『Mother’s Milk』からのレア曲に会場が沸いた。そんな沸騰状態はフリーとジョンがひとしきり絡んで始まった「By the Way」で最高潮に達し、ジョンのボーカルで完璧な形になったこの曲で本編の幕が閉じた。アンソニー・キーディス「君たちの笑ってる顔が見えるよ」アンコールでステージに戻ってきた彼らが鳴らし始めた「Under the Bridge」に、オーディエンスはスマホのライトで応えた。絶望的な孤独を歌ったこの曲が、満天の星のようにキラキラと輝く数万の光に照らされて、みんなの歌へと昇華していく様は泣けてくるほど感動的だった。そしてラストの「Give It Away」の大爆発で涙は吹き飛ばされ、あまりの盛り上がりに笑うしかなかった。途中アンソニーがフリーに質問があると言って(「恥ずかしいやつ?」との返しが笑えた)、どうやったらマスクをしていても笑顔かどうかわかる?と訊くと、「目を見たらわかるよ」とフリーが答える場面があったけれど、エンディングでアンソニーは「見える、君たちの笑ってる顔が見えるよ」と満足そうに言っていた。最後にオーディエンスに向かって「今夜のショウに来てくれてありがとう。君たちを愛してる。また会う日まで、みんな仲良くな。グッバイ!」と言ってステージを去った。その言葉は未来への確かな約束のように響いた。生のサウンドを浴びて踊って(マスクの下で)歌ってジャンプして、あっという間に過ぎ去った1時間40分あまりは、ただただ最高に楽しかった。Photo:David Mushegain<公演情報>レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン2月19日(日) 東京ドーム2月21日(火) 大阪城ホール東京公演 セットリストIntro Jam1. Can’t Stop2. The Zephyr Song3. Here Ever After4. Snow(Hey Oh)5. Eddie6. Suck My Kiss7. Reach out8. Soul to Squeeze9. Nobody Weird Like Me10. These Are the Ways11. Tippa My Tongue12. Californication13. Carry Me Home14. Black Summer15. By the WayアンコールUnder the BridgeGive It Away来日公演の詳細はこちら:<リリース情報>Red Hot Chili Peppers『Unlimited Love』Now On Sale価格:2,860円(税込)【収録内容】1. Black Summer2. Here Ever After3. Aquatic Mouth Dance4. Not The One5. Poster Child6. The Great Apes7. It’s Only Natural8. She’s A Lover9. These Are The Ways10. Whatchu Thinkin’11. Bastards of Light12. White Braids & Pillow Chair13. One Way Traffic14. Veronica15. Let ‘Em Cry16. The Heavy Wing17. Tangelo18. Nerve Flip ※日本盤ボーナス・トラックRed Hot Chili Peppers「Black Summer」MVRed Hot Chili Peppers「Poster Child」MVRed Hot Chili Peppers「These Are The Ways」MV購入・配信リンク: Hot Chili Peppers『Return of the Dream Canteen』Now On Sale価格:2,860円(税込)【収録内容】1. Tippa My Tongue2. Peace And Love3. Reach Out4. Eddie5. Fake As Fu@k6. Bella7. Roulette8. My Cigarette9. Afterlife10. Shoot Me A Smile11. Handful12. The Drummer13. Bag Of Grins14. La La La La La La La La15. Copperbelly16. Carry Me Home17. In The Snow18. The Shape I’m Takin’ ※日本盤ボーナス・トラックRed Hot Chili Peppers「Tippa My Tongue」MVRed Hot Chili Peppers「The Drummer」MV購入・配信リンク:来日記念キャンペーン実施店舗はこちら:ワーナーミュージック・ストア限定で『Unlimited Love』『Return of the Dream Canteen』のCD&Tシャツセットや限定バイナル等を販売中。詳細はこちら:関連リンクオフィシャルサイト::::: Hot Chili Peppers Warner Music Japan オフィシャルサイト:
2023年02月21日aikoのファンクラブ「Baby Peenats」&モバイルサイト「team aiko」会員限定ライブ『Love Like Rock Limited vol.2』が、2月17日、Zepp Fukuokaにて開催された。『Love Like Rock Limited vol.2』は、約15年ぶりのファンクラブツアーとなっており、本来は2022年10月12日にツアーファイナルを迎える予定だったが、Zepp Nagoya公演、Zepp Fukuoka公演、Zepp Osaka Bayside公演の1日が2023年に延期されたことで、この日のZepp Fukuoka公演がツアーファイナルとなった。赤い幕が上がり、aikoの姿が見えると同時に歓声が上がる。オープニングナンバーの「果てしない二人」でたちまち会場をハッピーな風で包み込み、オーディエンスを一気に引き込む。ライブ最初のMCで「今日はみなさん長いことお待たせしてしまってごめんなさい。本当にありがとうございます」「特別な時間を過ごしましょう」と言葉にすると、拍手と歓声があがる。その後、友達と話すかのようなaiko流のコミュニケーションを交えて、笑いと歓声の絶えないMCも束の間。すかさず「赤いランプ」「ドライブモード」とアップテンポの曲を、赤いレーザーと共にステージを縦横無尽に駆け回りながら歌い上げる。メインステージからセンターステージまで伸びる花道を、二つに結んだ髪を激しく揺らし、ステップを刻みながら一人一人に歌を届けるaiko。それに応えるかのように、体全体で音を楽しむ観客。クラップ音と歓声に比例して、会場の熱気と一体感は増していく。ライブ中盤のメドレーでは、「明日の歌」から始まる計11曲を披露。「シャワーとコンセント」のイントロが始まると、Aメロを歌い始める前にメドレー最後の曲にあたる「ばいばーーい」のサビに突如切り替わる。その予想だにしないドラマティックなメドレー構成に胸を打たれる。メドレーが終わり、「あと3曲で終わるからな!」とaikoが投げかけると、「ええー!」「朝まで!」「終電までいける!」の声が会場中を飛び交う。その後「列車」で熱量を加速させ「磁石」ではバンドメンバーを1人ずつ紹介していく。最後にaikoが「そして、ボーカルはー?」と叫ぶと、会場からは、割れんばかりの「aikoー!!!」が響き渡る。熱気に包まれた中「58cm」で本編ラストを盛大に飾った。アンコール1曲目は、2023年1月9日に配信リリースした「あかときリロード」(フジテレビ系木曜劇場『忍者に結婚は難しい』の主題歌)を披露。紫と青みがかった夜更けの空のような照明が、次第に曙の空を思わせる朝焼けのような淡い黄赤色に変わっていく。まるで、タイトルの「あかとき」(暁)の空の下で、想いを馳せて歌っているかのようなaiko。観客は、そのなんとも儚げで美麗な姿と声を全身で浴びながら、ひたすら聴き入っていた。アンコール最後の「ストロー」では、歌詞にある「君にいいことがあるように」を歌うと同時に一人一人に指をさしていく。指をさされた観客も、そうでない人も、全員が笑顔で溢れる、幸せな空間が広がっていた。そして、「aiko!aiko!!」とaikoコールが止まないまま、Wアンコールに突入する。「milk」「未来を拾いに」「キラキラ」で会場のボルテージは最高潮に。凄まじい熱気と一体感の中「be master of life」が始まる。イントロでaikoお決まりの「男子ー!女子ー!そうでないひとー!全員ー!」のコールアンドレスポンスに会場からは歓声が湧き起こる。アウトロで終わるかと思いきや再びサビが始まるエンドレスな展開に会場の盛り上がりは最高潮に。曲が終わっても、万雷の拍手とaikoコールが鳴り止む気配が全くない。そして、トリプルアンコールに入り、「ボーイフレンド」を披露。演奏に合わせてのクラップとZepp Fukuokaの壁を突き破りそうな合いの手。言葉にできないほどの熱量と一体感のままトリプルアンコールを終える。aikoとaikoファン全員で作り上げた15年ぶりのファンクラブツアーは、「特別な時間」のまま幕を閉じた。なお、本公演のセットリストをまとめたプレイリストが、各サブスクリプションサービスにて公開されているので、こちらもぜひチェックしてほしい。また、3月29日(水) に発売されるアルバム『今の二人をお互いが見てる』初回限定仕様盤には、本ツアーaiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』のZepp Haneda公演の映像が収録される。本日のセトリとは違う内容になっているので、こちらもぜひチェックしてほしい。さらに、3月7日(火) 23時からは、『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』のリハーサルや当日の裏側に密着した60分の特別番組『aikoはじめてのロックフェス「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022」』の放送が決定。そのほか、SPACE SHOWER TVにて3月度マンスリーアーティスト“V.I.P.”に選出され、3月30日(木) 19時30分より『V.I.P. -aiko-』撮り下ろし特別番組が放送される。<公演情報>aiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』2023年2月17日(金) Zepp Fukuokaセットリストプレイリスト:【セットリスト】01. 果てしない二人02. ねがう夜03. 白い服黒い服04. くちびる05. 赤いランプ06. ドライブモード07. 遊園地08. 小鳥公園09. させないで10. 親指の使い方11. さよなランド12.メドレー(明日の歌/なんて一日/青空/かばん/恋をしたのは/うん。/運命/こんぺいとう/犬になる/シャワーとコンセント/ばいばーーい)13. 列車14. 磁石15. 58cm■アンコール16. あかときリロード17. ロージー18. ストロー■Wアンコール19. milk20. 未来を拾いに21. キラキラ22. be master of life■トリプルアンコール23. ボーイフレンド<番組情報>『V.I.P. -aiko-』2023年3月30日(木) 19:30~20:30 SPACE SHOWER TV『aikoはじめてのロックフェス「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022」』2023年3月7日(火) 23:00~24:00 SPACE SHOWER TV番組リンク:『aiko MUSIC VIDEO SPECIAL』2023年3月30日(木) 20:30~22:00 SPACE SHOWER TV<リリース情報>15th Album『今の二人をお互いが見てる』2023年3月29日(水) リリース予約リンク:●初回限定仕様盤A【CD+LIVE Blu-ray】5,830円(税込)●初回限定仕様盤B【CD+LIVE DVD】5,830円(税込)●通常仕様盤【CD Only】3,204円(税込)※初回限定仕様盤A、初回限定仕様盤B:カラートレイ&三方背ケース仕様/パスステッカー封入【CD収録】・あかときリロード・食べた愛・ねがう夜・果てしない二人・夏恋のライフほか 全13曲収録予定【DVD / Blu-ray収録】■aiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』2022.10.11 Zepp Haneda01. ゆあそん02. させないで03. ねがう夜04. くちびる05. その目に映して06. 赤いランプ07. beat08. エナジー09. 夏恋のライフ10. そんな話11. アスパラ12. メドレー13. クラスメイト14. 花火15. 列車16. 果てしない二人17. 帽子と水着と水平線18. ストロー※詳細は後日発表【予約購入先着特典】■TOWER RECORDS全店(オンライン含む)「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(TOWER RECORDS ver.)■HMV全店(HMV&BOOKS online含む)「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(HMV ver.)■セブンネットショッピング「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(セブンネットショッピング ver.)■Amazon「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(Amazon ver.)■楽天ブックス「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(楽天ブックス ver.)※aikoオリジナル配送BOXでのお届け■その他法人+aiko online store「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(応援店ver.)※全国のCDショップにて2023年3月29日発売『今の二人をお互いが見てる』をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。※特典デザインは決定次第発表させていただきます。※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。■楽天ブックス「aikoオリジナル配送BOX」につきまして※楽天ブックスにて対象商品をご購入いただいたお客様限定で、オリジナル・デザイン仕様の“aikoオリジナル配送BOX”で商品をお届けします。※数量に限りがあります。無くなり次第終了とさせていただきます。※配送BOXは、配送伝票やバーコード、テーブが直接貼付された形態でのお届けとなります。また、配送中の汚れ、破損による交換はお断りいたします。<配信情報>配信シングル「あかときリロード」配信リンク:<タイアップ情報>フジテレビ系木曜劇場『忍者に結婚は難しい』毎週(木) 22:00~22:54 放送原作:横関大(『ルパンの娘』シリーズ、『K2 池袋署刑事課 神崎・黒木』シリーズなど)脚本:松田裕子(『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』『レンアイ漫画家』など)■出演者菜々緒、鈴木伸之、勝地涼、山本舞香、吉谷彩子、藤原大祐、筧美和子/ともさかりえ、古田新太、市村正親 ほか公式HP:公式Twitter:公式Instagram:公式TikTok:<ツアー情報>aiko Live Tour『Love Like Pop vol.23』5月24日(水) 東京・J:COMホール八王子6月2日(金) 愛媛・松山市民会館6月4日(日) 香川・レクザムホール6月10日(土) 宮城・仙台サンプラザホール6月11日(日) 宮城・仙台サンプラザホール6月15日(木) 新潟・新潟県民会館6月24日(土) 東京・NHKホール6月25日(日) 東京・NHKホール7月4日(火) 宮崎・宮崎市民文化ホール 大ホール7月6日(木) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール7月11日(火) 大阪・フェスティバルホール7月12日(水) 大阪・フェスティバルホール7月22日(土) 広島・上野学園ホール7月23日(日) 広島・上野学園ホール7月28日(金) 京都・ロームシアター京都 メインホール7月30日(日) 滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール8月4日(金) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru8月6日(日) 青森・リンクステーションホール青森8月10日(木) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール8月12日(土) 福井・フェニックス・プラザ8月24日(木) 岡山・倉敷市民会館8月26日(土) 島根・島根県民会館9月3日(日) 大阪・フェスティバルホール9月4日(月) 大阪・フェスティバルホール9月9日(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール9月10日(日) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール9月14日(木) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール9月15日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール9月27日(水) 東京・NHKホール9月28日(木) 東京・NHKホール■チケット料金:6,800円(税込)※入場時、別途ドリンク代必要※未就学児入場不可、小学生以上はチケット必要※公演日によって開場/開演時間が異なりますのでご注意ください。※開場/開演時間は変更になる可能性がございます。関連リンクaiko official website: official YouTube配信サイト official on Twitter(@aiko_dochibi) official Instagram(@aiko15_official) official Facebook
2023年02月18日花火の玉は、勢いよく空に飛んでいき、放射線状の軌跡を描きながら、大空で美しく色とりどりの光を放つ。今まさに、空で広がっていく花火の光に見えた。2023年2月12日Zepp Fukuokaで行われた『HIGH FIVE 2023』。今年2回目を迎えるイベントの福岡公演でヘッドライナーを務めたのはOmoinotake。彼らが対バン相手に指名したのは、2015年、渋谷のライブハウスでの自主企画に招いて以来、8年ぶりの共演となるiri。それぞれの音楽を知っている者にとっては、メロディアスで切なくも美しい楽曲をつくるOmoinotakeとソウルフルでジャジーな音楽を魅せるiriとでは、ベクトルが違い過ぎるのでは?と感じた人も多いだろう。『HIGH FIVE』は、札幌を皮切りに、福岡、大阪、東京、名古屋の5会場のZeppで行われる。その年の各地のヘッドライナーが、今一番対バンしたい相手と共演するというのが醍醐味のひとつ。いい意味で期待を裏切ってくれたこの組み合わせが、どう融合するのか期待に胸が膨らむ。先手で登場したのはiri。ギターを抱えて登場し、ブルーライトに照らされると途端に会場が沸き立った。まだコロナ禍の余波で、立ち上がり手拍子や身体を揺らすことは解禁になっても、継続的な声援ができないことが本当に残念だが、着席したままの昨年のそれよりも、はるかにライブ感が蘇った印象を受けた。iriギターを弾きながらディスコサウンドに乗せて切ない恋心を唄う「ナイトグルーヴ」から始まった。その歌声が会場に響き渡ると、会場全体がiriのナイトグルーヴィングへと一気に引き込まれた。音楽に呑まれるように、誰もが自然に身体を揺らす。ライブのスタートダッシュといったところだ。2曲目はギターをおろし、CMソングとしても話題となった「Sparkle」。ソウルフルでパワーのある歌声でありながらも、どこかポップさを感じるのは、『揺れる、肝銘な未来』という不安を抱えつつも肯定的に終える歌詞を、楽しみながら歌う姿がそこにあるからだろう。この人は、本当に楽しそうに歌を歌う。低音でブルージーな歌声と、英語のようにも聞こえる日本語の歌い方は、まさに音(曲)と歌詞を紡いでいるようだ。続いて沈みがちな心境の時、自らを奮い立たせるために作ったという「渦」。憂いを感じながらもサビで躍動的になる。その感情がダイレクトに身体に入ってくるようだった。MCでは「明けましておめでとうございます。今年初のライブなので、やっとみなさんに会うことができて、うれしいです」と年末から制作活動をしていたので、と少し遅めの新年の挨拶。Omoinotakeとの縁について「8年前、デビュー前で大学生の頃以来なので、挨拶をした時にとても感慨深かった」と思い出を語った。続いてデビュー前から歌い続けて今でも人気が続くラブソング「会いたいわ」、iri自身が「一日の終わりに崩れかけていく女性のメイクに、その人が1日をどれだけやりきったかが出ていて美しさを感じる」として制作した「Corner」と切ないバラードが続き、後半はヒップホップのビートに疾走感のあるトラックがmixした「friends」「STARLIGHT」などアップテンポの楽曲が続き、ライブ初披露の「Roll」で会場をさらにヒートアップさせる。iriというアーティストの存在を世に知らしめたひとつは『井上陽水トリビュート』で「東へ西へ」がある。日本人離れしたリズム感とブルージーな歌声、類を見ない日本語リズムの捉え方だ。観客がiriの波に乗ってきた瞬間を見逃さず掬い上げて巻き込んでいく。iriのファンだと公言するOmoinotakeが、今回のゲストに彼女を選んだのは、彼らの音楽と対局にありながらも、自身の音楽で観客の心を掴んで放さないという火種が同じだからだろう。そのまま「24-25」と続きMVの再生回数が2300万回を超える人気曲「Wonderland」で締めくくった。「ゲストを決める時に満場一致でiriさんに決まりました」そして、iriから受け取ったライブの高揚感をヘッドライナーのOmoinotakeが登場しデビュー曲の「EVERBLUE」でのっけからトップギアを入れてさらに会場に火を放った。最初にこの曲を聴いたときに清涼感とポップな感じがお気に入りだったのだけど、ライブで聴くそれが、ここまで“君をさらって行くよ!”感があるとは思いもよらなかった。往年のシティーポップミュージックの表情をしながらも力強く疾走していく声と音楽は、グイグイと彼らのコアスポットに引き込む。よく“沼落ち”というが、Omoinotakeの沼の深さと幸福感は簡単には抜け出せないんだ、と改めて知ることになった。さらに追い打ちを掛けるように名曲「彼方」へ続く。巧妙に構成された楽曲を、透明感と安定感と繊細でありながらも力強いレオの歌声は、彼方まで届いているかのようだ。Omoinotakeは、ギターレスのスリーピースバンド。ステージには前面に下手からベースのエモアキ、ヴォーカル&キーボードの藤井怜央、ドラムのドラゲ、後方下手にサックス柳橋玲奈、パーカッションぬましょうの配置。このセッティングがどうも気になっていたら「僕らの音楽を正面から浴びて欲しいから」とのこと。きっと観客は、真っ正面から音楽を浴びる快感を得ることだろう。そしてファンにはたまらないドラマチックな名曲「この夜のロマンス」。この前半のセトリはズルい。誰だって好きにならずにはいられない(あくまでも女子目線)。Omoinotakeのメンバーは、どこか“安全な男子”感があるのだが、こういう楽曲が並ぶのだから、むしろ危険な男たちだ。ただ人間とはそうそう自分の心を思い通りに操れるわけではないので、危険な方へと惹かれていくのだ。OmoinotakeMCでレオは今回のゲストiriについて「3人全員が大好きだというアーティストは、そうそういないけど、ゲストを決める時に満場一致でiriさんに決まりました。8年前に渋谷で対バンをした時からなんてカッコいいアーティストなんだ!と全員が思って、普通にいつも聴かせてもらってるんです」と全員がファンだということを公言した。さらに「福岡でのヘッドライナーであることがうれしい。負けないように最後まで楽しくやりたい」と語った。中盤はラテンのリズムにのせながらも切なさが漂う「空蝉」、インディーズ時代からライブで何度も披露している「雨と喪失」。失った大切な人のことを想い綴った曲でファンからも人気が高い。80年代のエレクトロニカを彷彿させるビートがより切なさを演出しているようだ。サックスの響きが楽曲の奥行きを増幅させるほどジャジーで躍動的な「Blanco」から劇場アニメ『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』の主題歌として書き下ろした「モラトリアム」。憂いを帯びたレオの声が本当に切ない。Omoinotakeの楽曲の中でもトップクラスに壮大でありながらも脆く泣きそうに切ない。思わず“好きだ……”と噛みしめたい名曲として常にプレイリスト入りしている(個人的に)。この日、レオはかなり緊張していたようで、後半に突入する前のMCで、ものすごく真面目に今回ヘッドライナーに選ばれた感謝を語り始めるが、途中で自身の超マジメ発言に気恥ずかしくなり、「っていうようなことを、もっと楽しく言って」とエモアキに無茶振り。歌っている時とは裏腹なレオの緊張が、今ここでライブが出来ていることの心からの喜びを表現しているようで、観客も“レオがんばれ!”という空気になっていたところに笑いが起こった。たとえおもしろくMCができなくても、言葉が詰まっても、会場全員がレオの気持ちを受け取っていたに違いない。そんなほっこりムードから、オレンジの夕暮れを思わせるライトを浴びて「心音」から終盤に入った。会場が両手を挙げて手拍子をしながら身体を揺らす。サンバのようなポップさとEDMが融合した「トロイメライ」から、さらに会場がひとつになって盛り上がっていく。携帯電話会社とコラボ企画で誕生した「By My Side」ではハンドクラップで完全に一体となり、ラスト「トニカ」では、まさに“胸を打つ音を今響かせ”の歌詞どおり、今ここにいる全ての人を肯定してくれるポップソングで、大団円を迎えてZepp Fukuokaでの『HIGH FIVE 2023』が幕を降ろした。音楽が好きで、音楽で誰かをハッピーにしたい、音楽で表現する幸せを火種にして、真っ直ぐに打ち上がったOmoinotakeとiri。火花が広がった方向は異なるが、この福岡で大きな打ち上げ花火が上がったことは間違いない。きっと彼らの想いは次の場所へ繋がっていく。TEXT BY 筒井あやPHOTO BY 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2023年2月12日(日) 福岡・Zepp Fukuoka【セットリスト】■iri01. ナイトグルーヴ02. Sparkle03. 渦04. 会いたいわ05. Corner06. friends07. STARLIGHT08. Roll09. 24-2510. Wonderland■Omoinotake01. EVERBLUE02. 彼方03. この夜のロマンス04. 空蝉05. 雨と喪失06. Blanco07. モラトリアム08. 心音09. トロイメライ10. By My Side11. トニカ『HIGH FIVE 2023』Zepp Osaka Bayside2023年2月19日(日)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:梅田サイファーSPECIAL GUEST:ALI『HIGH FIVE 2023』Zepp DiverCity2023年2月23日(木・祝)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:BREIMENSPECIAL GUEST:Kroi『HIGH FIVE 2023』Zepp Nagoya2023年3月5日(日)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:Cody・Lee(李)SPECIAL GUEST:ASIAN KUNG-FU GENERATION公式サイト:公式Twitter:
2023年02月17日ももいろクローバーZが、2月11日(土)・12日(日) の2日間横浜アリーナにて、『ニッポン放送 ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』(以降、バレイベ)を開催した。11日の「裏」公演は「昭和レトロ」をテーマに、だるまさんが転んだやけん玉など懐かしいゲームで対決したり、ゲストの三宅裕司とコントに挑戦。12日の「表」公演は「3年後の未来」をテーマに、島田秀平をゲストに招いて“ももクロの未来”を占ってもらうなど、バレイベらしい趣向を凝らした企画でリスナーを楽しませた。2月11日(土) 裏公演のテーマは「昭和レトロ」ということで、昭和の街並みや当時の様子など昔懐かしい映像がスクリーンに映し出される。「昭和にももクロがタイムスリップしたらどうなる?」というナレーションの後、「アッと驚く為五郎~!」という懐かしの昭和ギャグが会場に響き渡ると、ももクロの4人がステージに登場した。会場に集まったリスナーが総立ちでメンバーカラーに染まったペンライトを振る中、ももクロは「Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~」と「夢の浮世に咲いてみな」の2曲を披露。迫力あるパフォーマンスで会場全体を一気に盛り上げた。MCと恒例の自己紹介の後は、再びライブステージへ。「マホロバケーション」「ゴリラパンチ」の2曲を花道からセンターステージ、バックステージ、外周と隈なく動き回り、リスナーに笑顔を届けた。ここで、毎年バレイベの進行役を務める垣花アナウンサーが登場。「昭和レトロゲーム対決〜!」との掛け声と共に、これから始まるゲームの説明と、優勝者には「駄菓子食べ放題」の権利が与えられると発表が。ステージに設置された駄菓子屋を前に、「駄菓子絶対食べたい!」(佐々木彩夏)、「100円の使い方は駄菓子屋で学んだ」(玉井詩織)、「子供の頃毎日行ってた」(高城れに)と、駄菓子屋の思い出と意気込みを語る。くじ引きで百田夏菜子&佐々木vs高城&玉井とチーム分けをしたところで、最初の戦い「エアホッケー対決」に突入。本物のエアホッケー機がステージに用意されると、高城は「ゲームセンターに行きたかったんだよね!」とテンションが上がる。両チーム慎重にゲームを進め、まったくポイントが入らないという展開が続くも、最後に百田が自チームのゴールにホッケーを入れてしまい、高城&玉井チームが勝利した。「エアホッケー対決」より「ライブより汗をかいた(笑)」と言うほど熱中したエアホッケーに続いては「巨大けん玉対決」。ももクロの身長ほどもあるけん玉を、チーム2人が協力して大皿・剣先に決めればポイントが入る。ここでは両チームが大皿に入れ、引き分けに。「巨大けん玉対決」より最後の対決は「だるまさんが転んだ」。メインステージまで早くたどり着いたチームがくじを引け、そこに書かれたポイントで勝敗が決まる。鬼の“ヨシコさん”が振り向くタイミングで、それぞれ工夫したポーズで止まる一同。佐々木が高城をほど良く突き飛ばして脱落させるというハプニングもあり、佐々木が見事にくじをGET。書かれていたポイントがなんと1万ポイントもあり、百田&佐々木チームが見事に駄菓子食べ放題の権利を獲得した。百田と佐々木が横浜アリーナのステージで駄菓子を食べている間に、次のステージ「ソロLIVE」の準備が完了。トップバッターの玉井は、12カ月連続でソロ曲を配信する企画「SHIORI TAMAI 12 Colors」の記念すべき第1弾「暁」をステージ初披露。玉井の思いが込められた同曲を、力強く歌唱した。高城は、誰もが思わず踊ってしまうようなダンスナンバー「Dancing れにちゃん」を。笑顔溢れる彼女の魅力詰まった歌詞とダンスを、リスナーたちはペンライトを紫に染めて盛り上げる。玉井詩織高城れに百田も、自身のメンバーカラー「赤」をテーマにした「赤い風船」をライブ初披露。タイトルにもある“風船”を表すように、ふわふわと体を揺らしながらしっとりと歌い上げた。佐々木は鉄板曲「だって あーりんなんだもーん☆」を歌唱。リスナーに一緒に手拍子や振り付けをするよう求めて、会場全体をピンク色の“あーりんワールド”へと誘っていた。百田夏菜子佐々木彩夏ソロLIVEのステージを終えると、「バレイベ」恒例の豪華ゲストを招くコーナーへ。現在ニッポン放送『三宅裕司サンデーヒットパラダイス』のパーソナリティを務めているだけでなく、『三宅裕司のヤングパラダイス』など、40年以上にわたりラジオに出演し続けている三宅裕司に、昭和と令和の“ラジオの違い”を聞くなど、貴重な時間が繰り広げられた。そんな三宅が座長を務める熱海五郎一座が今年も5月31日から上演される。熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第9弾『幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜』に、玉井がゲスト出演することが決定している。その本番に向けて「予行演習をしておこう」ということで、三宅から「東京喜劇」について学ぶことに。ウォーミングアップとして大喜利に挑戦することになるのだが、メンバーからの「面白くなかったらメンバーチェンジもあるかも?」という言葉に、玉井がプレッシャーを感じる一幕も。「一人だけ振り付けを間違えた時に、何という?」「絶対500万枚売れるアルバムタイトルを考えてください」「暴れん坊将軍が急に暴れだしたけど、どうしたの?」というお題に、玉井はもちろん、メンバーそれぞれが個性ある回答をして、三宅とリスナーを笑わせていた。三宅裕司とのトークコーナーさらに「東京喜劇」について掴めてきたところで、「バレイベ」のために書き下ろした台本をもとにコントにチャレンジ。学校を舞台に、悩みを抱える佐々木を慰めるため、百田、玉井、高城が奮闘する……という台本だったのだが、4人全員がアドリブなのか台本通りなのか分からない演技をすると、先生役の三宅が「どこでツッコめばいいかわからない!」と嘆きつつも、充実したコントに会場は大きく沸いた。コントに挑戦するももいろクローバーZ様々な企画で盛り上がったあとは、最後のライブコーナーへと突入。2019年の「ももいろクリスマス」の時に着用した衣装に着替えた4人は、“レトロ”がテーマの今回にちなんで選曲をしたという、すべて10年以上前にリリースされた楽曲「労働讃歌」「ミライボウル」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」 「オレンジノート」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」の5曲を披露した。アンコールでは、昨年の「バレイベ」にてミュージックビデオを解禁した太田胃散のCM曲「HAND」を、今年は生で披露。メンバー同士が手を繋いで空を飛ぶというハートフルなミュージックビデオ同様、ステージでも手を取り合ったり、リスナーに向かって手を差し伸べる振り付けが印象的な楽曲に。また、スマートフォン向けゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とのコラボ楽曲「Majoram Therapie」では、アイドルらしさ全開のかわいらしいダンスや歌声を会場に響かせた。最後の楽曲は、「走れ! -ZZ ver.-」。1つ前の楽曲で、百田が「次が最後の曲です」と間違えてしまったことから、「これが最後の曲です~!」「これが! 本当の最後の曲になります(笑)!」と間奏でしっかり言い直し、メンバーもリスナーも歌詞にある“笑顔が止まらない”状態で、大盛り上がりのバレイベ「裏」公演の幕を下した。「表」公演では3年後のももクロを占う2月12日(日) 表公演のテーマは「3年後」。未知のウイルスとの戦いが始まった2020年から、わずか3年の間に色々なことが大きく変わった。「3年あれば、悪いこともあれば、良いことへ変えられる」ということで、この「表」公演は“3年後”をテーマに、未来を意識した企画を行っていくことに。オープニングはライブからスタート。黒のシックなドレスを身にまとったももクロメンバーがアリーナ後方のステージに颯爽と登場。花道、メインステージと移動しながら“幕開け”を感じさせる曲調や歌詞が特徴の「ロードショー」を歌い上げ、会場全体の一体感を早速、作り上げる。続けて、大阪府出身のロックバンドGARLICBOYSの名曲をももクロバージョンへアップデートリメイクしたパンキッシュな自己紹介ソング「ダンシングタンク♡」を披露した。3年後の2026年はメンバー全員が30代になる年ということで、年齢についての話題で盛り上がったMCを挟んだあとは、笑顔の大切さを歌った「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手の2022年シーズンの登場曲「一味同心」も歌唱し、昨日の裏公演とは打って変わって比較的新しいリリース曲が並んだ。『ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』2月12日(日)「表」公演より「表」公演の進行を務めるのは、こちらも毎年お馴染みの吉田アナ。『ももクロくらぶ』にも関連する“扉”がステージ上に設置されており、そこから“3年後”というテーマに関わりあるゲストが登場していく。最初に登場したゲストは、現在ブームとなっている「縦型ショート動画」で大人気の土佐兄弟。弟の有輝がモノノフ(=ももクロのファン)で、度々ももクロと共演、昨年末に行われた「ももいろ歌合戦」にも出演するなど、モノノフにもお馴染みとなっているお笑いコンビ。今回、そんな土佐兄弟がももクロのショート動画をプロデュース。ももクロ用に作った「高校生あるある」と「高校生なしなし」ネタを、セーラー服姿に着替えたももクロが実際にステージ上で披露することに。しかし、ネタに行く前に、佐々木&高城のセーラー服姿が「不良っぽい」という話で盛り上がると、金髪に染めたばかりの高城が「エゴサしたら不評だった。来週黒髪に染め直してこようかな?」と嘆く場面も。あるあるネタ「雨の日の持久走前の大発表」でも、「こんな2人がいたら怖いよ~」と百田が言うほど佐々木と高城の不良っぽさが炸裂。そんな中でも、高城が持久走を「じきゅうしょう」と噛んで会場を沸かすなど、キュートな一面を見せていた。百田と玉井は、なしなしネタ「授業中ありえない内職してるヤツ」を披露。見事に、百田と玉井はリスナーから大爆笑を引き出すことに成功。ネタを考えた卓也も「すごい面白かった!」と大絶賛していた。続いての“3年後”をテーマにしたゲストは、島田秀平。実は、毎年ももクロを占っているという島田。ももクロも「ビックリするほど当たっている」と、島田の占いを信頼しているとのこと。そんな島田にそれぞれの3年後を占ってもらうと、高城は「考古学にハマってエジプトで歴史的発見をしそう」「ものすごい勢いで虫にハマってアマゾン奥地で新種を発見しそう」との結果に。百田は「アイドルの枠を飛び越えて、人間パワースポットになっている」、玉井は「マルチタレントとして大活躍。番組出演本数がトップに」、佐々木は「コメンテーターとして大活躍。芸能界のニューご意見番」と、メンバーそれぞれが3年後の占い結果に興味深々の様子を見せる。そして、グループとしての3年後の未来は? というと、島田は「新形態『MCZ』として世界へ!」と意味深なコメント。そんなコメントがありつつも、ももクロはアイドル業だけに留まらない活躍を見せてくれそうということで、会場のリスナーはももクロの3年後に大きな未来を描くことができる占い結果となった。3年後のももクロの活躍に思いを馳せたところで、ソロLIVEのコーナーへ。“未来”を思って百田自身が作詞したバラードナンバー「それぞれのミライ」で、会場をしっとりとした雰囲気に包み込む。そんな空気を一気に爽やかに切り替えたのは、高城。「SKY HIGH」は、「いくつになっても青春を謳歌していたいよね」という高城本人のメッセージが込められている王道青春応援ソング。高城の元気いっぱいの歌声と弾ける笑顔に、リスナーは聞いているだけで自然と体が揺れる。 佐々木は、彼女のキュートな歌声とメルヘンな曲調がマッチした楽曲「空でも虹でも星でもない」を。そして玉井は「SHIORI TAMAI 12 Colors」の2月の楽曲「Another World」を初解禁。4人それぞれ全く違う雰囲気の楽曲を披露し、リスナーは彼女たちの魅力に酔いしれていた。続いては、バレイベ名物のラジオドラマのコーナー。ラジオドラマのタイトルは「靴」。舞台は、3年後の2026年。ステージに用意された白い靴には、3年かけて開発された最新の素材が使われているのだという。それを履いてライブに挑むと、確かにいつもより楽に動けたが……。しかし、4人は靴に頼らず、自分たちの力で頑張っていこうと決意するというストーリー。4人の演技に続いては、ドラマのタイトル「靴」にまつわる楽曲、Mr.Childrenの「足音 〜Be Strong」をももクロがカバー。会場のリスナーは聞き入り、ドラマの余韻に浸っていた。イベントもいよいよラストスパート。再びライブパートとなり、疾走感溢れる爽快なロックチューン「stay gold」から、昨日も披露された「Majoram Therapie」、こちらもGARLICBOYSの楽曲でももクロ史上最高にパンクなナンバー「あんた飛ばしすぎ!!」、田中将大選手の2021年の登場曲だった「吼えろ」、神聖かまってちゃんのの子が作詞・作曲した「孤独の中で鳴るBeatっ!」と勢いのある楽曲が続き、リスナーも懸命にペンライトを振り、ノリノリになって応援していた。アンコールでは、昨日の公演に引き続き、「HAND」をパフォーマンス。会場がハートフルな雰囲気に包まれたところで、4月に12年目へと突入する『ももクロくらぶxoxo』について、百田が「聴いてくれて、こうやって(イベントに)来てくれる方がいるから(続いている)」とリスナーに感謝を伝える。そして「12年目の『ももクロくらぶ』でも、自由に私たちの日常をお送りしていきます」とメッセージを送り、最後の曲へ。2018年のももクロ結成10周年を記念して発表された名曲「クローバーとダイヤモンド」を、リスナー1人1人に届けるように外周を歩いて歌い、最後は「ハッピー!バレンタイン」の掛け声で笑顔溢れるイベントを締めくくった。終演後には、2024年のバレイベが2月10日(土)・11日(日) の2日間にわたって横浜アリーナにて開催されることが発表された。なお、今日のバレイベ「表」公演は2月13日(月) 18時59分まで配信チケットを購入可能。見逃し配信は2月13日(月) 23時59分までとなっている。<公演情報>『 ニッポン放送 ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』「裏」2023年2月11日(土) 15:00 開場 / 16:30 開演「表」2023年2月12日(日) 14:30 開場 / 16:00 開演会場:横浜アリーナ出演者:ももいろクローバーZゲスト:2月11日(土) 三宅裕司 / 2月12日(日) 島田秀平、土佐兄弟配信チケットはこちら:
2023年02月13日