東京・天王洲運河一帯で開催された、国内最大級のアートとカルチャーの祭典「MEET YOUR ART FESTIVAL 2023」にて開催された森山未來がMCを務めるMEET YOUR ARTの公開収録・トークセッションに、10月9日(月・祝)、イスラエルの振付家インバル・ピントがゲストとして参加した。森山は、インバルが振付・演出を務めた「100万回生きた猫」(2013年)に出演以降、インバルが率いるダンスカンパニーに1年間参加するなど、ふたりは多くのクリエイションを共にしてきた。今回、演出・振付・美術を担当する舞台『ねじまき鳥クロニクル』の稽古のために来日中のインバルと、森山とのトークセッションが実現した。インバルは「母のような人でもあり、大きな愛に溢れた人」であるという森山。インバルへの最初の印象は、「振付家というより総合芸術的に作品を制作する。色々な視点で作品を構築していくところに刺激を受けた」と語ると、インバルも森山を「彼の血管には芸術が流れている」とその稀有な才能を絶賛した。「体をひとつの素材として捉えている」というインバルは、舞台『ねじまき鳥クロニクル』の創作についても、原作である村上春樹の同名小説を初めて読んだ時に、自分の体を駆け巡った衝撃をもとに作り始めたと語った。「主人公は、自分を外に置いて、その自分と対話する必要があると感じたので、ふたりで一役にすると直感的に決めた」とその一例を挙げた。(主人公の岡田トオルは成河と渡辺大知のふたりが演じる)「舞台に限定せず、様々な媒体での表現を積極的に試みてきた」と語るインバルに対し、森山は「アート作品を見せる真っ白な空間をホワイトキューブと呼ぶのに対し、劇場はブラックボックスと呼ばれている」として、「閉鎖空間に観客と演者が対峙し、虚構を共有することを前提とする」舞台芸術は、インバルのやりたい表現に繋がるのではと問いかけた。インバルは「観客は全てを再現しなくても、想像力で補ってくれる。観客と演者の間にある同意。それが舞台芸術の素晴らしさで、美しさ」だと頷いた。「年1で日本に来ているんじゃない?」と森山が話すほど、近年日本でのクリエイションが増えているインバル。日本のクリエイターは「献身的で、芸術と美への理解が深い」と称賛した。さらに「日本にはすでにコミュニティーができていて、例え言葉が通じなくても共通言語を持つ、ものづくりをするファミリー」がいると語った。そして「日本のクリエイターたちのように芸術を大切にすることは、このご時世には特に必要だと感じる」と付け加えた。11月7日(火)から始まる舞台『ねじまき鳥クロニクル』の稽古は、すでに1週間が経過。「再演でも、新たなデベロップメントがあるのでは?」と問う森山に対し、インバルは「再演とは作品を深めること」だとし、「(初演で)やるべきだったことが明確になってきている」と自信を見せた。「原作者に対して忠誠でありつつも、なぜ私がやるのかという意味、新しい側面を届けたい。才能豊かなアーティストたちが一堂に会し、色んなアートの形が結集した世界を、是非体験してほしい」と熱を込めて語った。文:吉田真由子
2023年10月11日滋賀県出身のアーティストで滋賀ふるさと観光大使である西川貴教が2023年10月7日・8日・9日の3日間、滋賀県草津市で国内最大級の野外フェス『イナズマロック フェス2023』(※以下「イナズマ」)を行い、アーティスト・パフォーマー合わせて約100組が出演、のべ13万人を動員した。2008年に観光大使に就任した西川は、「音楽を通じて地元にお返しがしたい」として翌2009年に琵琶湖の環境保全と地域振興を目的としたこのイベントをスタートさせた。以来毎年9月に行ってきたが、コロナ禍において2020年はオンライン開催、2021年は開催中止。2022年は新型コロナウイルス感染症対策を徹底して3年ぶりの現地開催となったが、台風の影響で3日目の中止を余儀なくされた。15周年の記念開催となる今年は初めて、比較的晴天が多いと言われる10月に日程をずらして実施。イベント2日目と3日目は時おり雨が降ったものの、予定通りの日程で無事に終了した。イナズマの大きな特徴のひとつが、メインとなる「雷神ステージ」を備える有料エリアの他に、誰でも無料で入場できるフリーエリアが充実していること。こちらにはアーティストやアイドルのライブが行われる「風神ステージ」、ご当地キャラクターやパフォーマーが出演する「龍神ステージ」があり、存分にエンタメコンテンツが楽しめる。また、FOOD&DRINKショップゾーンには滋賀名物「サラダパン」や毎年好評のフェスめし「イナズマロックカレー」に加え、04 Limited Sazabys RYU-TAプロデュースの『麺や おがた』、今年5月に滋賀県草津市で開催されたグルメバトル「イナズマフードGP XL 2023 in草津」の上位20店舗による全国のご当地グルメなどが並んだ。他にも滋賀県観光PRコーナー「おいで~な滋賀体感フェア」、子供連れも安心のKIDSエリアが設置され、さながら祭りのような雰囲気だ。また今年から会場へのシャトルバス乗り場がJR守山駅前直結で便利になったほか、自家用車で指定駐車場まで行きそこからシャトルバスで会場へ向かう「パークアンドライド」も導入。会場まで徒歩20分圏内に専用駐車場を設けたり、会場外に臨時駐輪スペースを設置したり、名古屋・京都・大阪(梅田・なんば)・神戸(三宮)から会場までの直通バスを運行したりと、県内外からのアクセスが大幅に改善された。今年の「雷神ステージ」には、T.M.Revolution、西川貴教をはじめ、1日目はFear, and Loathing in Las Vegas、Creepy Nuts、GENERATIONS、ゴールデンボンバ―、ももいろクローバーZ、2日目はFANTASTICS、wacci、ラブライブ!スーパースター!! Liella!、04 Limited Sazabys、Perfume、UVERworld、3日目はEBiDANソイヤ!イナズマスペシャル、Novelbright、モーニング娘。’23、DISH//、Da-iCE 、Aぇ! groupが出演した。またステージ転換の間はパフォーマーによるエンタメタイムに当てられており、2023年R-1グランプリ優勝の田津原理音、2021年「第10回 ytv漫才新人賞決定戦」優勝の隣人、2023年「第八回 上方漫才協会大賞」大賞の天才ピアニスト、2022年TBS『キングオブコント2022』優勝のビスケットブラザーズ、イナズマには何度も出演している藤崎マーケット、滋賀県出身のものまね芸人JPのほか、ドーナツ・ピーナツ、バッテリィズ、丸亀じゃんごなど3日間で計18組、話題の芸人がネタを披露した。イナズマ1日目の10月7日正午、メインの「雷神ステージ」にスーツ姿の西川貴教が登場。「ようこそ、我が滋賀県へ。お越しいだたき誠にありがとうございます」「2009年から始まったこのイナズマも、今年15周年を迎えることができました。初年度は2日間でわずか12組、パフォーマー5組、たった1つのステージで、協賛はありませんでした。それから15年、3日間でのべ150組のみなさんが滋賀に集まってくださいます」「全員で思い切り楽しんで、この滋賀県を、琵琶湖を、イナズマを味わいつくしてください。イナズマロック フェス開幕!」と、開会宣言を行った。イナズマの会場である烏丸半島芝生広場は、遠くに比叡山すぐそばに琵琶湖という滋賀の壮大な風景が一望できる場所。ステージには滋賀にゆかりのあるアーティストも多数出演し、会場内では滋賀名物や観光情報もゲットできる、まさに「滋賀を味わいつくす」イベントなのである。西川貴教雲は多めだが青空が広がり、前日までの寒さがうそのように日差しが照りつける中、初日の幕を開けたのはT.M.Revolution。開会宣言からそのまま「Save The One, Save The All」の演奏が始まり、ライブスタート。西川が歌い始めると、ステージの緞帳が上がってスーツ姿のサポートのバンドメンバーが現れる。続く「resonance」では、ステージの端まできて客席を煽り、客席がサビを大合唱するのを見て「最高!これが見たかったんだよ、イナズマ!」と笑顔を見せる西川。このように声を出して盛り上がれるのも、実に4年ぶりのことだ。「どうよ、この天気!こうやってみんなとこの空の下で会えることを、1年間待ち続けてきました」「滋賀県を味わい尽くしてもらいたいし、笑顔で過ごしてもらいたい。俺がこの3日間でやるのは、みんなに安全に安心して過ごしてもらうことだけ。それが祈りであり、願いでもあると、強く思います」と改めてその意気込みを話す。後半はテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』オープニングテーマである「INVOKE」、そしてアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』OPテーマ「ignited -イグナイテッド-」を立て続けにプレイ。「ガンダム SEED シリーズ」は来年1月に映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開を控えており、来月11月19日(日) にはメモリアルイベント「機動戦士ガンダム SEED FESTIVAL ~CONNECT あの時代ときを越えて~」を開催。T.M.Revolutionももちろん出演する。最後は「まだまだいけるよな、始まったばっかだもんな!ゲストを紹介します、ガチャピンとムックだー!」と呼び込むと、今年4月に50周年を迎えたガチャピン、ムックが登場。今年8月にお台場で開催された『ガチャムクフェス2023』にはT.M.Revolutionも出演。今度は2人が西川のフェスにかけつけたというわけだ。ライブ定番曲の「Zips 」をガチャピン、ムックの完璧なライブパフォーマンスとともにプレイ、西川との息もピッタリだった。-真天地開闢集団-ジグザグは、イナズマ初参戦。近年、各地のフェスでも大いに話題になっている個性的な3人組バンドだ。「帰りたいけど帰れない」「Drip」「ゴミはゴミ箱へ」と、クセになるような楽曲を立て続けにプレイ。ボーカルの命 -mikoto-は「我々が、-真天地開闢集団-ジグザグだ!」と凄んだと思えば、人懐こい関西弁で「僕は0歳なんですが、前世の記憶がありまして西川さんの曲を歌ってました。(イナズマが)西川さんの歌で始まるのはよくない!だからハードル下げとこ!と思って「帰りたいけど帰れない」で始めました」と会場を笑わせる。また、「ゴールデンボンバーさんの(大阪)城ホール2DAYSで、(ホールの外で)フライヤー配ったこともあった」「だから(そんなアーティストたちと)同じステージに立てて感慨深いです」と話した。-真天地開闢集団-ジグザグ後半は、10月4日にリリースした4枚目のアルバム『慈愚挫愚 四 -最高-』にも収録されている「Dazzling Secret」や、ライブ定番曲「きちゅねのよめいり」「Promise」と続けてプレイ、ハードなサウンド、キャッチーなメロディ、抜群の楽曲センスを持つ独特の世界観で客席を盛り上げた。Fear, and Loathing in Las Vegasは今年でイナズマ出演5回目、すっかりおなじみとなった5人組エレクトロニコアバンド。「Return to Zero」で、勢いよくライブをスタートした。Fear, and Loathing in Las Vegasラスベガスのナンバーは1曲の中に様々な音楽要素が詰め込まれていて、その発想の豊かさに驚かされる。「Rave-up Tonight」「Let Me Hear」「Virtue and Vice」と、スピード感のある楽曲で客席の熱をぐんぐんと上げていく。「イナズマでは普段見れないアーティストが観れる上に、誰もが楽しめる唯一無二のフェスだと思っています」とした上で、彼らが地元神戸で主催するフェス「MEGA VEGAS」の話題に。今年3月、6年ぶりに復活したこのフェスには西川貴教も出演。「西川さんがいろんなやり方で滋賀を盛り上げているように、僕らも負けないように神戸を盛り上げたいと思っています!」と、イナズマスピリッツが次の世代にも伝わっていることを示した。「Starburst」「Party Boys」「Luck Will Be There」と全7曲をプレイ、ステージを所狭しと暴れなくった。続いてはイナズマ初登場、日本の三連覇のラッパーで大阪出身の「R-指定」と、新潟出身・世界一のDJ「DJ 松永」による、HIP HOPユニットCreepy Nuts。「イナズマロックフェス、本日の主役はT.M.Revolution、いや西川貴教、いやここに集まったお客さん一人一人。そんなイナズマを盛り上げる我々Creepy Nutsは、何よりも助演男優賞」と、自己紹介的ナンバー「助演男優賞」でパフォーマンスをスタート。「2way nice guy」「堕天」、さらに新曲「ビリケン」「合法的トビ方ノススメ」と続き客席を盛り上げる。Creepy Nuts実はR-指定の父が滋賀県彦根市出身で滋賀県には何度も来たことがあるものの、Creepy Nutsのライブとして訪れるのは初めてなんだとか。滋賀県との意外な接点がわかったところで、ストリーミング再生数が自身初の累計1億回を突破した大ヒット曲「のびしろ」をプレイ。少年時代に里帰りで滋賀に行っていたのが、こうしてたくさんのお客さんの前でプレイするまでになった自分自身の歌でもあり「つまり、俺にもあなたにもこの先のびしろしかないやん?」と、そのメッセージを伝えた。ラストは「かつて天才だった俺たちへ」、全7曲で客席を大いに湧かせた。こちらもイナズマ初出演のGENERATIONSは、7人組ダンス&ボーカルグループ。2022年11月21日にデビュー10周年を迎え自分自身の殻を脱ぎ去り、大きくて羽ばたこうという意味が込められた「AGEHA」、パフォーマー勢のソロパートで魅せた「BIG CITY RODEO」に続いて3曲目、アニメ『ワンピース』の主題歌「Hard Knock Days」のイントロが始まると西川貴教がサプライズで登場。メンバー7人のセンターで歌う西川は、ここでしか見られない姿だろう。「あー緊張した!ぶっつけ本番です!(西川)」と、少しホッとした様子でステージを後にした。GENERATIONSと西川貴教後半は9月に配信リリースしたばかりの新曲「Diamonds」、2023年3月リリースのアルバム『X』に収録されている「ワンダーラスト」、会場を巻き込んで盛り上がった「Y.M.C.A」、そしてラストは「NOW or NEVER」でタオルを振り回して盛り上がった。11月21日(火) にはニューミニアルバムの発売も控えている彼ら、今後の活躍も楽しみだ。続いては、2018年のイナズマ10周年の際も出演したゴールデンボンバーが、15周年の節目にも登場。4人組ヴィジュアル系エアーバンドの彼らのライブは、アッパーな「Hey Yo!」からスタート。そのまま「Dance My Generation」へと続き、会場を盛り上げる。ここで彼らならではのパフォーマンスタイム。喜矢武豊(Gita-)が「(滋賀は)鮒ずしが有名ですが、めちゃめちゃ臭いって噂ですよね。買ってきたので、あとでどれくらい臭いのか試してみたいと思う」と前振りすると、樽美酒研二(Doramu)が「T.M.Revolutionの『HIGH PRESSURE』の歌詞の中に『カラダが夏にナル』ってありますが、一体どういうことでしょうか。時が経ち、ようやく理解できました。西川さんの代わりに代表して、その意味をしっかり説明したいと思います」言って「抱きしめてシュヴァルツ」へ。ギターソロでは喜矢武が突然運ばれてきたのは鮒ずしを頬張り、さらに臭み消しと称して消臭力に見立てたタピオカを口に運んでMCの伏線を回収。その後「HIGH PRESSURE」の「カラダが夏にナル」の部分が徐々に「カラダがケツになる」にアレンジされる音源とともに、樽美酒がふんどし一丁にお尻に西川の顔写真をはりつけた姿で(客席にお尻を突き出して)登場、客席から大きな歓声が上がった。他にも「トラウマキャバ嬢 」「Yeah!めっちゃストレス 」「かまってちょうだい///」、そして大ヒット曲「女々しくて」など全7曲をプレイ、記憶に残るステージを披露した。ゴールデンボンバー1日目のトリは、イナズマには6回目の出演となるももいろクローバーZ。昨年のイナズマ1日目のトリもももクロがつとめたのだが、高城れにが急遽欠席となり全員揃うことが叶わなかった。今年はそのリベンジとでもいうように、去年の1曲目と同じ「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」からスタート。シルバーとゴールドにメンバーカラーをあしらったキラキラの衣装がライティングに映え、客席にはメンバーカラーのペンライトが光って、華やかな空間が作り出される。ももいろクローバーZ「マホロバケーション」やNIPPON応援ソングと銘打って今年8月にデジタルリリースした「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」、おなじみの名曲「走れ! -ZZ ver.-」と、新旧とり混ぜたスペシャルな構成でステージは進む。ここで高城が「せっかく盛り上がっている中、ちょっと重い話になるかもしれませんが」と話し始める。「ももいろクローバーZはトリを任されていますが……責任、キラキラ、地盤、筋肉……そういうのがまだ足りないんじゃないか。そんな中、すべてを持っている人が一人だけいるんですよ。滋賀を任せられるのは、やっぱりこの人だけ!本当のトリを、本当のイナズマを取り戻しましょう!滋賀県が生んだスーパースター、Mr.イナズマ……西川貴教さんです!」と西川を呼び込み、西川貴教 featuring ももいろクローバーZで映画『KAPPEI カッペイ』主題歌の「鉄血†Gravity」をプレイ。続いてT.M.Revolutionの「WHITE BREATH」のイントロが聞こえてくると西川が「ほんとにやるの?」と驚きながらも、最後に5人での共演が実現した。2日目トリではほいけんたがあの名曲を熱唱三日月大造滋賀県知事による開幕宣言に続きによって始まった2日目、トップバッターにはEXILEの想い・信念を受け継ぐダンス&ボーカルグループFANTASTICSがイナズマ初参戦。いまや音楽以外にも、メンバーは映画やドラマ、舞台で主演をつとめたりと、各方面で活躍するグループである。大きな歓声に迎えられ、8月リリースの新曲「Tell Me」でパフォーマンスをスタート。「イナズマ!イナズマ!」とコール&レスポンスをしながら、名曲「Choo Choo TRAIN」へ続く。市瀬るぽ×草野華余子コライト曲「DiVE」や、ファンの人気も高い「Can’t Give You Up」「VICTORY」「M.V.P.」など、瞬きするのも惜しいほどエキサイティングなステージングを見せる。彼らは、このイナズマがグループ初の野外フェスなんだとか。アーティストを温かく迎えてくれるイナズマの客席にも感動したようだった。最後は上着を脱いで「ギリギリRide it out」をプレイ、FANTASTICSの世界を存分に届けてくれた。FANTASTICS小雨が降ってきた中で会場を盛り上げたのが、こちらもイナズマ初出演となるwacci 。2012年にデビューの5人組ポップバンドだ。ライブは2018年配信のシングル「別の人の彼女になったよ」でスタート。この曲はSNSを中心にじわじわと話題になり、2021年にはストリーミング累計1億回再生突破。デビュー10年にして大ヒットを送り出した遅咲きの彼ら。西川とはレコード会社のレーベルメイトで、「やっと先輩に呼んでもらえて、長くやってきたことが報われた気持ちです。滋賀でこんな景色を見せてもらえるのは、頑張ってきたご褒美なのかなと思います。大事に歌っていきたいと思います」と、西川に感謝を伝えた。wacciただ、wacciはフェスに出演するとかなりの確率で雨が降るという“雨バンド”だそうで、(残念ながら)この日の雨も完璧なタイミング。そんな中で、昨年ドラマ『やんごとなき一族』の挿入歌となった「恋だろ」をじっくり聴かせ、「最上級」では客席にコーラスのハモりをレクチャー、会場が美しいコーラスでひとつになった。最後は「大丈夫」をしっとりとプレイ、雨の中で上質なメロディを届けてくれた。続いての登場は、「ラブライブ!スーパースター!!」から生まれた11人組のスクールアイドルグループ、ラブライブ!スーパースター!! Liella!。イナズマ初出演、さらに11人体制では初のフェス参加だという。ラベンダーカラーを基調としたそろいの衣装でキュートにきめた彼女たちのステージは「Jump Into the New World」でスタート。雨の中でキュートでパワフルなパフォーマンスで魅せ、それに応える力強い歓声が客席を埋め尽くす。可愛くてノリのいい「キラーキューン☆」、そして「ビタミンSUMMER!」へと続く。ラブライブ!スーパースター!! Liella!雨足が強まる中「みなさん雨は大丈夫ですか?」と客席を気遣いつつ「Liella!を初めて見た方ー⁉︎」と声をかけ、あちこちから手が挙がると「遅するぎるなんてない。今日が始まりのDAY1です」と「Day1」をプレイ。「UNIVERSE!!」に続いて「雨も最高ですか?」「もっとはしゃげる?」「拳突き上げていこうぜー!」と、ラストナンバー「TO BE CONTINUED」へ。Liella!は滋賀でのライブも、雨の中でのライブも、11人体制でのフェス参加も初めてという初めてづくしの中、堂々としたステージを披露した。今年で6回目の出演となるのは、名古屋発4人組ロックバンド04 Limited Sazabys。フリーエリアの風神ステージへの出演に始まり、メインの雷神ステージに出演するバンドにまでに成長した。「一緒に行けるか!04 Limited Sazabysはじめます!」と、TVアニメ『弱虫ペダル LIMIT BREAK』OPテーマ「Keep going」でスタート、「My HERO」「Galapagos II」へと続く。04 Limited Sazabys「今年のイナズマも、ごった煮なアーティストの中で出られて嬉しいです。今年もここに立てることを誇りに思います。僕らは2014年に風神ステージから始まって、この雷神ステージへ辿り着きました。僕らがどうやって勝ち上がってきたのか、叩き上げのバンドだっていうのを、観てもらいたい」と、フォーリミの代表曲とも言える「monolith」をプレイ。彼らは2016年から地元・愛知で自分たち主催のフェス『YON FES』を開催しているが、これもイナズマに出演して西川のアクティブな向上心に刺激を受けて始めたことだという。雨足が強まる中、「Finder」「Alien」「Terminal」「Just」と全8曲、パワフルなサウンドにハイトーンボイスで客席を魅了した。続いては、ピンクのキラキラしたミニの衣装で登場したPerfume。10年以上前、西川が彼女たちがMCをしていたNHKの『MUSIC JAPAN』に出た時からイナズマへの出演を打診し、ようやくスケジュールが合って叶ったものである。降りしきる雨の中で行われたライブは、彼らの代表曲のひとつ「ポリリズム」でスタート。さらに、競技かるたの世界を描いた劇場版『ちはやふる』の主題歌「FLASH」をプレイ。これは、滋賀県にかるたの聖地として知られる近江神宮があることにちなんだ粋な選曲だ。Perfume「以前からお声がけ頂いていたんですが、今回初めて出演させていただきます。開催時期が変わって、台風の時期ともずれたと思ったら……この天気!みんな大丈夫ですか?私たちもこんなに雨が降っている中でやることはなかなかない……私たちもブチあがってます!」「いま雨が降ってるけど、みんなで祈ったらお天道様に声が届くと思います」と話し、ドラマ『ばらかもん』主題歌で、8月に配信、9月6日にシングルリリースされた「Moon」をプレイ。ドラマの舞台となっていた五島列島を想い起こさせる、軽快なダンスチューンだ。さらに客席とのコミュニケーションタイムには、T.M.Revolutionの「HIGH PRESSURE」をワンフレーズ歌い、会場は大いに湧いた。ラストは「チョコレイト・ディスコ」、Perfumeがイナズマのために組んだセットリストには、たくさんの愛が詰まっていた。雨はますます激しくなる中、11回目の出演となるUVERworldの時間がやってくる。滋賀出身のアーティストとして第1回のイナズマからほぼ毎年出演している彼らも、すっかりイナズマではおなじみの顔だ。ライブは、ドラマ『CODE―願いの代償―』の主題歌である「VICTOSPIN」でスタート。「UVERworldが滋賀に帰ってきたぞ!」と叫ぶとTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』OP主題歌「Fight For Liberty」や、アニメ『約束のネバーランド』のOP主題歌「Touch off」、ドラマ『アバランチ』の主題歌「EN」のほか、「IMPACT」、7月19日にリリースしたニューアルバム『ENIGMASIS』に収録されている「Don’t Think.Sing」「THEORY」などをプレイ。UVERworldTAKUYA∞は客席を見渡して「暗くなってきたけど、局部的に盛り上がってくれてるとこがあって、UVERworldのファンの人が集まってくれてるのかな」とMC。そして「今日初めてUVERworldを見た人、いつかまたUVERworldにふれる時間をください。愛されたいから」と、ストレートな言葉を投げかける。この真っ直ぐな想いがUVERworldの強い個性でもあり、魅力なのだ。ラストナンバーは「One stroke for freedom」、客席からも大きな歌声が聞こえ、それはまるでメンバーへの愛を叫ぶかのようだった。2日目のトリは、雨の中T.M.Revolutionがつとめた。西川は、選挙カー風のバンの上に乗って客席前方から登場、真っ赤な拡声器型マイクで「Out Of Orbit〜Triple ZERO〜」を歌う。車をステージに横付けして、そのままステージ上へ。ボルテージの高まった観客は、ファイヤーボールがあがる中でプレイされる「魔弾〜Der Freishutz〜」でさらに興奮のるつぼと化す。西川も「最高やないか、イナズマ!」と叫び、続く「THUNDERBIRD」を繊細に、そしてパワフルに歌い上げる。「台風にはなりませんでしたが、みんなの汗と涙が雨雲になりました。15年前12組のアーティストで始まったイベントが、今では150組が集まるイベントになった」と話して「LEVEL4」へ。続く「HIGH PRESSURE」では、スペシャルゲストとして明石家さんまのモノマネで知られる芸人・ほいけんたが登場。二人で歌うのは……当然「HIGH PRESSURE」ならぬ「ホイ プレッシャー」。ほいが独特の裏声を駆使して「カラダぐぅ」と歌うと西川もそれに乗っかり、ふたりでステージを自由に楽しんでいた。2009年の第1回イナズマロック フェスで最終日のサプライズゲストに明石家さんまが出演して「HIGH PRESSURE」を歌ったこともあり、15周年となる今回、さんまのモノマネをしたほいとその時と同じ曲を歌うことに、西川も感慨深げだった。ほいけんたと西川貴教ネクタイをはずして「HOT LIMIT」、そしてベストを脱ぎ捨て「WHITE BREATH」、“徐々に衣装を脱いでいく”ステージングも健在だった。アンコールは「HEART OF SWORD ~夜明け前~」をプレイ。客席が合唱する声に目をギュッと閉じて涙を堪えている西川の脳裏には、この15年の想いが駆け巡ったに違いない。「今日出演してくれた全てのみんなが、夢を持ってここに来てると言ってくれました。それがイナズマだと思ってます!」というメッセージを残し、2日目の幕を閉じた。大トリ⻄川貴教のステージでは盟友Jも登場3日目は橋川渉草津市⻑による開会宣言のあと、EBiDAN(恵比寿学園男子部)の3グループによるEBiDANソイヤ!イナズマスペシャルがトップバッターとして登場。残念ながらBUDDiiSがメンバーの体調不良により出演キャンセル、ONE N’ ONLY(以下、ワンエン)と原因は自分にある。(以下、げんじぶ)の2組によるステージとなった。客席からのきゃーっという歓声に迎えられ、まず今年4月に配信リリースした「前略、道の上より」を全員でプレイ。ストリートファッションのワンエンとくすみカラーのスーツのげんじぶが、フォーメーションを変えながら力強いパフォーマンスを見せる。「急遽BUDDiiSが参加できなくなりましたが、僕たちがみんなの気持ちを背負ってがんばりますので、皆さんも楽しんでいってください」「初めて見たよという方もたくさんいると思いますけど、そんなこと関係なく僕たちと一緒に、熱いステージで1つになっていきたいと思います」と挨拶。EBiDANソイヤ!イナズマスペシャルげんじぶが「原因は自分にある。」「無限シニシズム」「原因は君にもある。」「YOUNG BLOOD」をプレイ、さらにワンエンが「OPEN」「EVOL」に続き、アニメ「デュエル・マスターズWIN」のオープニングテーマ「Step Up」を披露した。「来年もEBiDANとしてこのステージに立てるよう、そしてそれぞれのグループとして出演できるように頑張りたいと思います。最後にもう一度この曲を」と再び全員で「前略、道の上より」を歌い、イナズマ3日目を景気よくスタートさせた。Novelbrightは、かつてフリーエリアの風神ステージ出演をかけたオーディション「イナズマゲート」にも応募したこともあるという、大阪発5人組ロックバンド。初めてイナズマに出演する予定だった2021年はコロナで中止、2022年は出演を予定していた3日目が台風の影響で中止、今年こそはと挑み、三度目の正直となった。Novelbrightまずは3年分の想いを乗せて、「開幕宣言」でスタート!そしてドラマ『真犯人フラグ』の主題歌「seeker」をプレイ、最後にボーカルの竹中雄大が声をいっぱいに伸ばして歌う姿に、客席からは大きな拍手が起こった。竹中は「我々、初出演です。イナズマロック フェスには並々ならぬ思いがある。ギターの沖聡次郎は、イナズマロック フェスに(観客として)来て、音楽を始めようと思ったんですよ」と話す。沖は小学生の頃から西川のファン。イナズマ出演のために作った風神・雷神・龍神と名付けた3本のギターもステージで披露した。他にも「愛とか恋とか」「面影」「青春旗」と立て続けにプレイ。最後は、今年はじめにストリーミング累計3億回再生突破した「Walking with you」でしめくくった。続いては、こちらも昨年台風のため出演が叶わなかったモーニング娘。’23が、満を持してイナズマのステージに登場。「HOW DO YOU LIKE JAPAN?〜日本はどんな感じでっか?〜」で、いきなりクールなパフォーマンスを見せる。水色の可愛い衣装に身を包んだキュートなビジュアルと、力強くかっこいいパフォーマンスのギャップがたまらない。モーニング娘。’23「ついにやってきました、イナズマロックフェス。今回初めてこのステージに立つことができてすごく嬉しいです。弓桁朱琴ちゃんは(インフルエンザのため)お休みとなりますが、新メンバー(井上春華)にとっては初めての野外フェスとなります」と挨拶。「すっごいFEVER!」「One・Two・Three (23 Ver.) 」「Help me!! (updated) 」「Wake-up Call 〜目覚めるとき〜」「わがまま 気のまま 愛のジョーク (23 Ver.) 」「What is LOVE? (23 Ver.) 」、ラストの「まじですかスカ!」まで、ほぼMCを挟まずにパワフルなパフォーマンスで客席を虜にした。中には来月にグループ卒業を控えた譜久村聖がセンターステージにたった一人で立つ場面もあり、長く続くモーニング娘。の歴史までも感じることができる一時だった。昨年に引き続き2回目の出演となるDISH//は、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』OPテーマ「No.1」で勢いよくスタート。続けて8月9日にリリースしたDISH//初のEP『HAPPY』から「HAPPY」をプレイ。「去年も思ったんですけど、イナズマのステージはあったかくて。今日の日を待ちわびていました。どうですか皆さん楽しいですか?雨だし寒いでしょ?元気ですか?雨にも負けてないですか?」と会場を気遣ってから「猫」、そして「勝手にMY SOUL」へ。DISH//「今日ここにいる皆さんで一緒にジャンプしませんか?」と始まったのは定番のコールや手振りが楽しい「JUMPer」。「今日1日まだまだフェスは続きますし、皆さんに少しでもこの1年、いや自分の人生の中で“あぁ、この日2023年のイナズマロック忘れられないな”と思ってもらえるように、ラストの曲で皆さんにいっぱいのありがとうを伝えたいと思います。今日という日に、皆さんに出会えて本当によかったです」と、ラストナンバー「沈丁花」を届けてくれた。4オクターブを誇るボーカルが魅力の5人組ダンス&ボーカルグループ・Da-iCEは、3回目の出演。アカペラで始まる「CITRUS」で、いきなり客席の心をがっちりと掴む。「DREAMIN’ ON」「Clap and Clap」、そして客席もジャンプして盛り上がる「Funky Jumping」へと続く。そして「ダンデライオン」からラストナンバー「スターマイン」へ。「スターマイン」の出だしをメンバーの一人が早まって最初からやり直し……というお決まりのパフォーマンスが始まると、客席は大いに湧く。そんな時、Novelbrightのボーカル竹中雄大が飛び入り参加!冒頭の「あぁ 一発じゃ足りないのかい」を歌うと、Da-iCEのメンバーからは「うますぎる」と笑顔のクレーム(笑)。竹中は嵐のようにステージを去っていき、曲は改めてスタート、客席で色とりどりのタオルがクルクル回る光景は圧巻だった。Da-iCEイナズマ初出演となる6人組男性アイドルグループ・Aぇ! groupは、フェス出場自体も初めて。バンドスタイルで「ズッコケ男道」を披露し、「ずっと前からフェスに出たいって目標で言ってて夢が叶った、ありがとう。夢叶えた瞬間を見届けてくれてありがとう!」とファンに伝えてから「ブラザービート」を演奏、しっかりフェスバンドの仲間入りを果たした。続いては、アイドルらしいところも見せようと「ええじゃないか」「Weeeek」「T.W.L」など、先輩たちの名曲で会場を盛り上げる。そして「イナズマ盛り上がってますか、楽しんでますか、俺たちもっともっと楽しんでいるかもしれません。続いては、俺たちのオリジナルソングを披露したいと思います」と、「Firebird」を届けた。他にも「LOVE YOU ONLY」「勝手に仕上がれ」などプレイ、ラストナンバーはオリジナルソングの「PRIDE」でゴリゴリのバンドサウンドを届け、フェスが初めてとは思えないほどクオリティの高いパフォーマンスで魅せた。3日間の大トリを飾ったのは、黒レースシャツに黒のジャケット姿で登場した⻄川貴教。 T.M.Revolutionと違って、西川本人名義の活動ではいろんなジャンルで活躍する作曲家たちによる「西川にコレを歌わせたい」というナンバーや、様々なアーティストのコラボを多く取り入れている。15年目のイナズマ最後のステージは、今年4月リリースのアニメ『EDENS ZERO』第2期OPテーマ「Never Say Never」でスタート。続くFear, and Loathing in Las Vegasとのコラボ曲「Be Affectted」では、ラスベガスのSoとMinamiも登場し、ステージでのコラボが実現した。⻄川貴教また女性シンガーASCAとのコラボナンバー「天秤 -Libra-」では、この1曲のためにかけつけたというASCAとともにステージに立ち、西川と2人、熱い歌声のデュエットを聞かせた。「この小雨が降る中、何時間も立ってこの会場に居続けてくれる全ての方に心から感謝を。去年からの念願だった3DAYS最終日をここで迎えることができました」「数えること15周年になりました。みなさんのおかげで15年も続けることができた」と話し、「こいつとは19の時からの連れ。もう30年以上一緒にいろんな修羅場くぐってきた。何かあった時に助けに来てくれる仲間」と、J(LUNA SEA)を紹介。Jとのコラボ曲「REAL×EYEZ」「Another day break」を一緒に披露した。Jと⻄川貴教アンコールは再びJも登場して、映画『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』主題歌「A.I. ∴ All Imagination」をプレイ。そして4年ぶりに予定通りの開催がかなった大団円は、ASCA、J、So、Minami、Novelbright、モーニング娘。’23、Aぇ! groupも集まり、イナズマロック フェスのテーマソングでもある「Lakers」を全員で大合唱。途中、イナズマが音楽を始めたきっかけだというNovelbrightの沖聡次郎がギターソロをプレイ。西川の「イナズマを夢を叶える場所、次の世代につなぐものにしていきたい」という想いが、ここに形として現れた15年目のイナズマロック フェスとなった。文=フジタアヤコ
2023年10月10日9月27日(水) 、Mega Shinnosukeのワンマンライブ『「一生このまま✷」in the MEGA CLUB』が大阪・梅田Shangri-laで行われた。本来ならば8月3日に行われるはずだった本公演だが、Mega Shinnosukeの体調不良により延期になっていたため、振替公演としての開催となった。完全復活を遂げたMegaとバンドメンバー、会場に集まったオーディエンスが三位一体となり、ロックであたたかな空間が広がった、エモーショナルなライブの模様をレポートする。赤い壁に赤い緞帳、天井にキラキラ輝くシャンデリア。梅田Shangri-laは、醸し出す独自の雰囲気から、多くのミュージシャンに愛されているハコだ。そしてMega Shinnosukeにとっては、4年前に自身初のワンマンライブを行なった思い出の場所でもある。会場に入るとMega本人がセレクトしたBGMが流れ、開演を待つオーディエンスが銀杏BOYZやゆらゆら帝国、マイ・ケミカル・ロマンスといったロックサウンドに身体を揺らしていた。18歳以下は当日チケット代が1000円キャッシュバックされるということもあって、若い客層が多く来場していた。この日のバンドメンバーは、竹内サティフォ(Gt.)、Kohei Shimizu(Gt.)、Nagai Takayasu(Ba.)、GOTO(Ds.)、DJマスク(DJ)を迎えた6人編成。定刻を少し過ぎると、SEなしでまずは覆面マスクを被ったDJマスクが登場。そして次々にバンドメンバーが現れ、Megaもビートボックスをしながらステージへ。ギターを手にしたMegaが「調子どう?」と呼びかけると、フロアからは割れんばかりの大歓声が上がり、「調子良さそう」と嬉しそうに口元を緩ませる。「会いたかったぜ。レディース&ジェントルマン、俺がMega Shinnosuke、よろしく」と言って「Are you ready?大阪! ぶち上がっていけるか?」と煽り『明日もこの世は回るから』からライブスタート。すると、一気に客席からものすごい熱気が放たれた。待ってました感を超えて、食らいつくような勢いで手が上がる。Megaもバンドメンバーも驚いたように笑顔を見せ、客席に呼応するように演奏が熱を帯びる。「ロックンロール!」と叫び「Thinking Boyz!!!」でまたひとつ火をつけ、ダイナミックなGOTOのビートが炸裂した『Sports』で一層加速! 序盤からものすごい盛り上がりだ。会場中に満ち溢れるエネルギーはステージと客席の距離をどんどん近づける。Megaは「いけんのか?」と煽るがその表情は柔らかい。筆者はありがたいことに昨年から度々大阪のイベントでMegaのライブを見てきたが、対バンであるためかどちらかというと煽って挑むようなステージも多かった印象だ。そんな彼がワンマンではこんなに安心した笑顔を見せるのかと、思わず顔がほころんだ。友達と接するように目線を近くしてファンと一緒に歌い、「最高だな」と呟く。この空間がとても大切な場所なんだということが早々に伝わってきた。続く『運命的』では、「まだまだ自分の殻に閉じこもって楽しめてない人も、次の曲で皆で飛んでくれませんか。皆で一緒にジャンプしようぜ。グルーヴ感じたら周りの奴と肩組んだりしてさ、会場ひとつにしたいからさ」と述べる。その言葉に全力で応えたフロアは己の気持ちをぶつけるように大きくジャンプして床を揺らす。演奏が終わると汗だくのオーディエンスは「暑い、死ぬ」と楽しそうにガヤガヤ。MCではMegaが「死ぬって聞こえたわ(笑)。どっちかって生きてる感じやろ」と気持ち良さそうに笑う。「これ友達から借りパクしたギターです。リッケンバッカー似合うでしょ」と黒いリッケンバッカーを見せ、「結構有名なギターだから、俺って人と被るの嫌じゃん。でも、もういい加減持ってもいいかなみたいな。今日初だよね」と、初めてライブでお披露目することを告白。そして「ワンマンだからMCとか決めて来ようかなと思ったけど意味ねーからやめたのと、できるだけカッコつけにいってないライブの方がいいかなと思って、何も持ってきてませんけど、ばっちしウィーアー(客)とのチューニングは合ってきているんで、今日はどこまででもいけちゃうかなって感じですけど、調子どうですか」との言葉に、テンション高く咆哮するフロア。「チューニングが合う」という表現はまさにピッタリだ。それほどにこの日のライブは一体感が大きなハイライトだった。そして初ワンマンでの思い出を振り返る。「4年前にMega Shinnosukeとして人生初ワンマンを行ったのが、ここShangri-la。その時は曲も全然なくて、1曲目に『はじめてのチュウ』のカバーを歌ったんです。また梅田Shangri-laでやれてめっちゃ嬉しいです」と感謝を述べ、「自分の精神を解放して、いけるとこまでいこうぜ。皆めっちゃ良い顔してるから」と客席と気持ちを重ねてゆく。ここからはしばし初期の楽曲を奏でるゾーン。17歳の時に作った『憂鬱なラブソング』に次いで、「さっき『はじめてのチュウ』を歌ったと言いましたけど、その時のテンションで。この会場の名前がShangri-laというので、電気グルーヴじゃない方のシャングリラを」とチャットモンチーの『シャングリラ』をスペシャルカバー。イントロが聴こえるとフロアは大歓喜。少し高めのボーカルが新鮮だ。そして「コロナ禍前に作ったけど、コロナが来ちゃって歌えなかったから、今日こそ教会の中で合唱するような気持ちで合唱できたらいいな」と添えた『Wonder』では、ポケットからハーモニカを取り出してノスタルジックなアクセントを効かせる。後半はクラップに合わせ全員でシンガロング。柔らかいオレンジの照明も相まって、素晴らしいサウンドスケープを描き出した。見守るバンドメンバーも優しい眼差し。チームの状態の良さが伝わってきた。さらに「最新の俺の解釈でアコースティックも入れながらやりたいと思います」と『狭い宇宙、広いこの星』を披露。レベルアップした最新のMegaのアレンジと美しいバンドアンサンブルで、ドリーミーな雰囲気を作り上げる。デビュー当時を懐古するようなセットリストで、会場をメロウな空気で包み込んだ。そんな余韻を一度リセットするように軽めのセッションを挟み、『甲州街道をとばして alternative ver.』を演奏。先ほどとはまた違った浮遊感とエフェクティブな歌声が気持ち良い。控えめな照明とスモークによる演出もドラマティックだった。続いてはギターのShimizuがキーボードを兼任してメドレーへ。まずは『10000回のL.O.V.E.
2023年10月06日2023年10月2日(月)18:30、東京都北区王子の北とぴあつつじホールにて、『スペシャ寄席 其の四〜フラカン 全開の噺 編〜』が開催された。『スペシャ寄席 其の四~フラカン 全開の噺 編~』配信チケット情報はこちら!()スペースシャワーTVによる落語と音楽のイベントで、今回で四度目の開催。出演はフラワーカンパニーズと桂雀太と笑福亭笑利。MCはFM802の樋口大喜が務めた。この『スペシャ寄席』が行われるのは、2021年7月19日大阪・umeda TRAD、2022年2月16日東京・北とぴあつつじホール、2022年8月28日『SWEET LOVE SHOWER 2022』GOOD VIBES エリア特設ステージに続き、これで4度目。樋口大喜これまでの3回は、弾き語りのアーティスト落語が共演する「語り×語り」のステージだったが、今回は初めてバンドの生演奏&生歌と落語の「語り」が共にステージに上がる、という企画になった。今回のスペシャ寄席にテーマがあるとするなら、「人間一生夢の如し」。人生というのは夢のように儚い、泥くさくて美しい、そういったテーマが今日はぴったりだと思う。この板の上一枚、泥くさく輝きを放つ、人間物語をぜひご堪能ください──樋口大喜は前説をそう締めくくり、トップの笑福亭笑利を呼び込んだ。笑福亭笑利フラカンの機材が並び、ミスター小西のドラムセットと竹安堅一のギターアンプの間に、赤い布で覆われた高座がしつらえられ、その右にはめくりが用意されたステージに、笑福亭笑利が登場。座布団一枚あればできる商売であるゆえに、とんでもないところで落語をやる羽目になることもある、たとえば──というマクラで、客席を「あっためる」を超えて「沸かせる」状態まで持っていってから、ネタに入る。演目は『いらち俥』。俥屋、つまり人力車で急いで大阪駅まで行きたいが、一台目はボロい上に俥屋が病弱で遅くて話にならず、次に拾った俥は、一度走り出したら止まらなくて、危なっかしくて往生する、という噺である。後半、その止まらない俥屋が、このまま行ったら市電に衝突する──というあたりで、フラカンの4人がそっとステージに現れ、鈴木圭介がハープでその市電の汽笛を表すと、竹安堅一がボトルネックでアコースティック・ギターを奏で始め、続いてグレートマエカワのベースとミスター小西のキックが加わり──「夢の列車」という曲のイントロと、笑利の噺が、じわじわとミックスされていく。噺がクライマックス→オチを迎えると、笑利が去り、本格的に曲が始まり、フラカンの時間がスタート。2曲目は最新アルバムから「行ってきまーす」、そして先頃リリースされたばかりのニューシングルの2曲=「気持ちいい顔でお願いします」と「セミ・ロング」。落語からシームレスに始まったこともあり、オーディエンスは座ったままだが、腕を振り上げたり、ハンドクラップをしたりして、4人の演奏に応えている。「フラカン、北区、初登場じゃない?」「噺家さんと一緒にやるのも初めて。今日、決め事がけっこうあったから、こんなに緊張する『夢の列車』は初めてだった」などと、最初のMCで言い合うグレートマエカワと鈴木圭介。高校の時、落語研究クラブに入っていて、1年の最後に一席やらないといけなくて、『時そば』をやった、と圭介。「あんなきついことはなかった、今までの舞台でいちばん厳しかったです」とのこと。そこから「履歴書」と「この胸の中だけ」と、圭介がアコースティック・ギターを弾きながら歌う2曲を経て、MCに入ると笑福亭笑利を呼びこみ、改めて紹介する。笑利は紙切り芸ができる、ということで、この場で披露することになるが、「普段はソデで、太鼓と三味線で音を鳴らしてもらったりするんですけど、せっかくなんで──」というリクエストで、フラカンの4人がアドリブでジャンプ・ブルース調のインストを奏で始める(圭介はハープ)。笑利、それに乗せて、しゃべりながら紙切りを始めるが、バンドの音がどんどん大きくなってその声をかき消し、「でかいでかいでかい!」と演奏を止める。というふうに、演奏が紙切りを妨げて、笑利がつっこんで音を止める──というコラボコントを、このあとさらに二回繰り返した。しかも毎回違う曲調で。客席、大笑い&拍手。三度目のトライで完成した、笑利による切り絵は、「グレートマエカワの似顔絵」。見事な出来栄えで、客席、また大拍手、グレート本人も「最高、すごい!」と称賛する。その切り絵は終演後、ロビーに飾られ、観客みんな、帰り際に写真を撮っていた。なお、このブロック、決め事ゼロの完全アドリブだったそうで、グレート「スリリングだった! でも息ぴったりだったもんな、さすがだよ!」と、また笑利を称賛した。そのコーナーの途中で笑利が「お客さん、後半は立って盛り上がっていただければ」と、呼びかけたこともあって、そこからはオーディエンスみんな、立ち上がってライブを楽しむ。後半ブロックは「右脳と左脳」「人は人」「NUDE CORE ROCK’N ROLL」「三十三年寝太郎BOP」の4曲。ラストの「三十三年寝太郎BOP」の、最後の一音が消えないうちに、桂雀太がスッと高座に上がり、噺が始まる。自分や樋口大喜や笑福亭笑利などで始めた『CLUBHOUSE寄席』が当たって、スペースシャワーTVからこのイベントの話が来て、いろいろあって、今日のこの日を迎えている──と、まず、このイベントの成り立ちを説明する。そして「免疫力を高めるナチュラルキラー細胞は、笑うと活性化する」という導入のマクラで、何度も客に笑い声を上げさせてから披露したのは、江戸落語では『芝浜』の名で知られる、東でも西でも多くの大物噺家が得意にしてきた大ネタ、『夢の革財布』。「おもしろい」「笑わせる」で留まらない、「鬼気迫る」とはまさにこのこと、と言いたくなる、聴く者を噺の世界にぐいぐい引き込む大熱演で、ここにいる皆をがっちりつかんだ。その『夢の革財布』の後半のヤマ場で、もとの噺にはない「生きていてよかった」というセリフが織り込まれる。そして、下げを迎え、大きな拍手の中、雀太が頭を下げて高座を下りると、登場したフラワーカンパニーズが噺を締めるように「深夜高速」を演奏し始めた。噺家とミュージシャンが、落語と歌が共演する、というだけでなく、それぞれの表現が有機的に絡み合って新しい何かになる、本来の意味での「コラボレーション」を生み出していく、ということが、この『スペシャ寄席』が目指すところなのだろう。バンド編成での演奏だったことや、噺家とバンドの呼吸の合いっぷりが見事だったことなどが、すべていい方向に出て、過去最高の化学反応を起こしていたのが、この夜だったのではないか。「深夜高速」のあと、最後に来場者への挨拶として、出演者全員でのトークの時間がちょっと設けられた。そこで桂雀太はこう言った。「全国回れるんちゃうか?」笑福亭笑利は、それにかぶせてフラカンに言った。「ほな、最近買ったハイエース、乗してもうていいですか?」この日のステージの模様は、10月6日(金)18:00から、PIA LIVE STREAMで配信される。Text:兵庫慎司<イベント情報>『スペシャ寄席 其の四~フラカン 全開の噺 編~』10月2日(月) 北とぴあつつじホール【出演】フラワーカンパニーズ、桂 雀太、笑福亭 笑利MC:樋口大喜(FM802 DJ)【チケット料金】配信視聴チケット:2,500円(税込)※販売は10月13日(金) 21:00まで、配信は10月13日(金) 23:59までチケット情報:()
2023年10月06日10月2日(月)、歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」が東京・歌舞伎座で開幕。初日公演のオフィシャルレポートが到着した。昼の部は、「大南北」と称される四世鶴屋南北の出世作『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』で幕開きし、続いて日本映画界が誇る名匠・山田洋次が歌舞伎座で初めて脚本・演出を勤める『文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)』、夜の部は義太夫狂言の人気作『双蝶々曲輪日記 角力場(ふたつちょうちょうくるわにっき すもうば)』に始まり、華やかな舞踊『菊(きく)』、『水戸黄門(みとこうもん)』で打ち出し。まさに芸術の秋にふさわしい、歌舞伎の魅力が詰まった多彩な演目が揃う内容となっている。『天竺徳兵衛韓噺』は江戸時代初期、東南アジア諸国の見聞録を残した実在の商人・徳兵衛を主人公に、南北作品ならではの奇抜な趣向が散りばめられた名作。祖父・二世松緑、父・初世辰之助も勤めた所縁ある徳兵衛を、当代の尾上松緑が初役で勤める。松緑は開幕前、「私も久々に白髪ではないかつらをかぶり、若々しい役に心ときめかせております。エンターテイメント性に溢れた楽しい芝居を御目に掛けたいと考えております」とコメント。数々の仕掛けと、ひとときも目の離せない展開をドラマティックに魅せていく。物語の中で、宗観から妖術を譲り受けると次々と摩訶不思議な妖術を繰り出す徳兵衛。大屋根に出現する大蝦蟇(おおがま)や、徳兵衛自身が蝦蟇の姿となって見せる立廻りなど、ケレン味溢れる演出に客席から万雷の拍手が送られた。続く『文七元結物語』は、落語をこよなく愛し、「“文七元結”は落語として屈指」と話す山田洋次が生み出す、これまでとは一味違った趣のある舞台。人柄がよく左官として確かな腕を持ちながらも、困ったことに大の博打好きな主人公・長兵衛を中村獅童が、そんな長兵衛の女房お兼を寺島しのぶが勤める。山田監督からも「息ぴったり」と評された、獅童としのぶによる初の夫婦役に注目が集まる。物語中、言い争いながらも互いへの情愛が滲みでる長兵衛とお兼のやり取り、登場人物それぞれの持つ人情味が深みを醸し出し、江戸時代の生き生きとした空気感が場内に広がる心温まる物語。山田監督が筋書の脚本・演出のことばの中で「人間は信ずるにたるものだという、おおらかな人間への肯定がこの作品を美しい物語にしている」と寄せたように、幕切れには鳴りやまぬ拍手で、清々しい感動に包まれた。人気狂言に始まり48年ぶり新演出の『水戸黄門』で締めくくる夜の部『双蝶々曲輪日記 角力場』から始まる夜の部。大坂堀江の角力小屋では、人気力士の濡髪長五郎(中村獅童)と素人力士出身の放駒長吉(坂東巳之助)の取組が行われるとあり大賑わいだ。濡髪贔屓の山崎屋の若旦那与五郎(巳之助 二役目)は、恋仲の藤屋遊女吾妻(中村種之助)を茶屋へ向かわせ、角力小屋へと入る。取り組みが始まると、結果はなんと放駒が勝利する番狂わせ。獅童が濡髪長五郎の貫禄と懐の深さを見せ、巳之助が愛嬌ある放駒長吉とつっころばしの山崎屋与五郎の2役を華麗に演じ分ける。放駒と濡髪、ふたりの性格や力の違いが巧みに描かれ、その好対照が観客の心を惹きつける。義太夫狂言の人気作に大きな期待を寄せずにはいられない。夜の部2本目は、菊の精たちが揃って戯れる姿が可憐で美しく、秋の清々しさが場内いっぱいに広がる舞踊『菊』。秋の一面に咲き乱れる色とりどりの菊の花、そこへ市川男寅、中村虎之介、中村玉太郎、中村歌之助勤める菊の精がやって来て、羽根つきに興じる。やがて、中村雀右衛門、中村錦之助による菊の精が現れしっとりと恋心を舞い、舞台は華やかさで溢れる。夜の部最後を締めくくるのは『水戸黄門』。二代水戸藩主・水戸光圀が、助さんと格さんを供に連れ立ち、日本諸国を漫遊しながら世直しを行う“勧善懲悪”の物語は、すでに江戸時代から講談などで人気を博し、映画やテレビドラマも多数制作され、世代を超えて愛されてきた大作。本作は、テレビドラマの脚本も手掛けた宮川一郎が昭和50年に書き下ろし、歌舞伎座では実に48年ぶりの上演となった。黄門様を勤めるのは、テレビドラマなどでも活躍の場を広げる坂東彌十郎。四国金毘羅のうどん屋を背景に、中村福之助勤める佐々木助三郎(助さん)、中村歌之助勤める渥美格之進(格さん)を引き連れて、大活躍する心温まる物語となっている。彌十郎の黄門様が「はっはっはっ!」と笑顔を見せるたびに舞台上がぱっと華やぎ、そのおおらかさに自然と心温まるような魅力を発揮。それぞれの事情を抱える個性豊かな登場人物たちが絡み合い展開するドラマは、笑いあり涙あり、人間の喜怒哀楽が情緒豊かにあらわされ、心がすっきりと晴れ渡る人情味溢れる舞台に歌舞伎座は温かい拍手で包まれた。歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」は2023年10月25日(水)まで、東京・歌舞伎座で上演される。<公演情報>歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」【昼の部】11:00〜一、天竺徳兵衛韓噺二、文七元結物語【夜の部】16:30〜一、双蝶々曲輪日記二、菊三、水戸黄門2023年10月2日(月)〜10月25日(水)※休演:10日(火)、17日(火)会場:東京・歌舞伎座公式サイト※公演期間が終了したため、舞台写真は取り下げました。
2023年10月04日BMSG、設立から3年。音楽業界・芸能界にていかなる変化を起こしたのか。「数字でしか語れないようなことをしたいわけじゃない」と社長のSKY-HIはたびたび語り、「ありきたりな地位や名声じゃ目標にすらならない」とBE:FIRSTは最新曲で歌う。SKY-HI率いるマネジメント/レーベル・BMSGが主催するフェス『BMSG FES』が、今年も開催された。今年は9月23日・24日東京体育館、9月30日・10月1日大阪城ホールの計2カ所4公演。BMSGに所属するアーティストとトレーニー総勢23人が集結し、各日全63曲を通して、今日までに起こした革命を目に見える形で表現したのが『BMSG FES’23』だった。本稿では、9月24日公演を中心にレポートする。昨年は富士急ハイランドを舞台に野外フェスとして開催されたが、今年は東京と大阪の屋内にて開催。SKY-HIは事前に「東西での開催とした事も、屋内での開催とした事も、全てに意味があります」と発表し、昨年とは異なるテーマがイベント全体に込められていることを示唆していた。今年は、BMSGのアーティストやトレーニーたちを出身地別で東西にわけたスペシャルユニット「BMSG EAST」「BMSG WEST」を結成し、BMSGの設立3周年である9月18日、2曲の新曲「The Sun from the EAST」「The Moon in the WEST」をリリース。『BMSG FES’23』の会場内には、ステージに向かって左側には月、右側には太陽のモニュメントが吊るされて、ミュージックビデオと連なる世界観の舞台が組み立てられた。『BMSG FES’23』東京公演は、BMSG EASTによる「The Sun from the EAST」からスタート。続けて、BMSG WESTによる「The Moon in the WEST」へ(大阪公演は「The Moon in the WEST」からスタートし、2曲目が「The Sun from the EAST」という流れに)。マイクリレーの中で、ラップや歌だけでなく仲間たちへの愛もつないでいく。2曲を終えると、「Welcome to 『BMSG FES』!」とSKY-HIが挨拶し、Novel Core、BE:FIRST、Aile The Shota、edhiii boi、MAZZEL、REIKO、RUI、TAIKI、KANONの名前を一人ずつシャウト。そして「口火を切ってくれるのはお前だよね?」という振りから、「edhiii boi is here」へ。前半はedhiii boi、ShowMinorSavage、Aile The Shota、RUI・KANON、TAIKI、REIKO、Novel Coreがそれぞれのパフォーマンスを行った。しかし、ただソロライブをやるだけでは当然終わらない。各ステージの中で、過去を回収し、現在の物語へと美しくつなげていく。今このステージに立っている23人は、決してここまで順風満帆に歩んできたわけでない。各々がこれまでに味わってきた挫折や悔しさはすべて、成功への一歩にすぎなかったのだと言えるようになるための物語が、一遍ずつ紡がれていった。そもそもedhiii boiは、BE:FIRSTを輩出したオーディション『THE FIRST』の3次審査にて落選し、やりきれない想いを抱えながら家に帰ったあと、SKY-HIへデモテープを送ったことで逆転勝利をおさめた。いまや立派なソロアーティストとして、ポップパンクを混ぜ込んだ「Flower」やハイパーポップを昇華した「不思議な国のアリス」など、多面的なサウンドを操り、「118」ではNovel Core、SOTA(BE:FIRST)と並んでオンリーワンな声で迫力あるラップをかます存在にまでなった。Photo:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)音楽的ルーツにおいて共通する部分を持つ、Aile The Shota、MANATO(BE:FIRST)、SOTA(BE:FIRST)が『THE FIRST』の審査内で組んだユニットShowMinorSavageは、『BMSG FES’22』にて、当時の楽曲をブラッシュアップした「No Cap Navy」と新曲「Thinkin’ bout you」を披露していた。そして今年2月、それらにChaki Zuluプロデュースによるジャージークラブの「SUPER ICY」を加えて、待望のEPをリリース。今回のステージでは全3曲をパフォーマンスし、ShowMinorSavage特有のスムースな歌とラップやチルいビートでオーディエンスの身体を揺らした。『THE FIRST』の最終審査でソロアーティストとしての道を提案されたAile The Shotaだが、彼自身の中でBMSGを牽引しようとする想いはますます強くなっている。「今年のフェスで何を提示しようかなと思ったときに新曲を書きました。愛するBMSGという場所で輝くAile The Shotaの音楽、そして僕の存在意義を、新曲に込めました」と語ってから、新曲「J-POPSTAR」を歌い上げる。『BMSG FES’22』では「BMSGを次のステージに連れていくのは俺です」という言葉が飛び出したが、この1年間、Yohji Igarashi、Shin Sakiura、GANMI、dawgssとコラボするなど、BMSGの他のアーティストたちとは異なるベクトルでシーンをまたいでクリエーションを行い、アンダーグラウンドなカルチャーもJ-POPど真ん中へ連れていこうとする動きを見せてきた。「J-POPSTAR」は、昨年の宣言を具現化するために行動を起こしてきたAile The Shotaが、この先のさらなる道標を自ら描くような一曲だ。Photo:田中聖太郎Aile The Shotaの出番の最後に繰り広げられたのは、SHUNTO(BE:FIRST)、REIKO、RUI、TAIKIも加わった「YOLO」。これも『THE FIRST』の審査内で生まれた一曲である。オーディションで出会ったこの5人は、それぞれが自身の才能や個性がもっともいい形で花開く道を選んだ。あれから3年間、自分の道をしっかりと歩み進めてきたからこそ、このステージ上で5人の異なる輝きと笑顔がキラキラと乱反射していた。『THE FIRST』にてSKY-HIから直筆の誓約書を渡されてオーディション最中に異例のトレーニー契約を結んだRUIと、MAZZELを輩出した『MISSIONx2』の最終審査後にSKY-HIが切望し直々にトレーニー契約を結んだKANONも登場。8月にリリースしたばかりの「声」では、RUIの透き通る高音とKANONの温もりのある低音、それら2人の声が重なり合った。今年が『BMSG FES』初出演となったKANONも、BMSGに所属する他の22人とはまた違ったボーカリストとしてのポテンシャルを持っていることをBMSGファンに証明した瞬間でもあった。そして、『THE FIRST』出演時から、当時13歳ながら自分の言葉を刻み込むラップで人々を驚かせたTAIKIは、LAのプロデューサートリオ・Bankroll Got Itによるビートに、空手(自身が黒帯保持者でもある)とヒップホップカルチャーへのリスペクトを込めたフレーズを乗せた「KARATE KID」を堂々と投下。Photo:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)Photo:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)『THE FIRST』参加時はダンスも歌も未経験だったにもかかわらず、今や日常生活の中にそれらがあるかのごとく、全身にグルーヴが流れているかのようなパフォーマンスでR&Bの愛と欲望の世界へと引き込んだのは、REIKO。「去年のフェスで僕が言った言葉、今日叶えちゃっていいですか?」と言うと、RAN(MAZZEL)が登場し、2人で『THE FIRST』の審査時に書き下ろした「Just FUN’ky」へ。REIKOは、MAZZELを輩出した『MISSIONx2』からも離脱した背景があるが、結果的に、彼にとって最善の選択であったソロアーティストとしての道を歩み始めることができたこと、そのうえで、こうして2人で大きなステージに立てたことに、会場からは熱い拍手が鳴り止まなかった。Photo:河村美貴(田中聖太郎写真事務所)サプライズはまだまだ続く。次はNovel CoreにBE:FIRSTからSHUNTOとRYOKIが交じり、新曲「MF」をドロップ。この楽曲は『BMSG FES’23』終了直後に配信リリースされた。今後もグループの壁を超えた、誰も予期していない組み合わせによるコラボレーションが発表されることに期待が膨らむ。ハウスバンド「THE WILL RABBITS」を引き連れて登場した、BMSGの第一弾アーティスト・Novel Coreは今、圧倒的に頼もしい存在にまでなった。どんな会場であってもステージ前に集まった人たちを絶対に楽しませる安定感と凄味を備えたスターアーティストだ。MCでは「ひとつだけ、俺がBMSGの最初のアーティストである理由があるのだとしたら、それはきっと、日高さんが今言ってることが叶ったその日に、世界中があの人の言葉に頷く瞬間がきたときに、あの人は何十年も前から同じことを言ってたよって証言するために隣にいると思っています」と語る。最後は、MAZZELになる前にミュージックビデオへの出演をお願いしたRANへ向けて、「デビューおめでとう!」と祝辞を放ち、「THANKS, ALL MY TEARS」で締め括った。Photo:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)前半戦の最後では、BE:FIRSTとMAZZELの初のコラボレーションが実現。両者のオーディション内の課題曲「Be Free」を15人でパフォーマンス。トークを挟んだあと、またさらなるサプライズが。BE:FIRSTの2ndシングルに収録された楽曲であり、SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boiによるリミックスも発表されている「Brave Generation」が、MAZZEL、REIKO、RUI、TAIKI、KANONもジョインした新たなバージョンに生まれ変わったのだ。最後、一人ずつの名前を呼び上げて「We are BMSG!」と締めたSKY-HIは、「喜」や「楽」など普遍的な言葉に収まらないほどの充実感に満ちた表情を浮かべていた。後半戦は「New Chapter」からスタート。そしてMAZZELのステージへとつなげていく。『BMSG FES’22』ではトレーニーとして出演したRANが「7人の大事な仲間とこうやってステージに立てているのも応援してくれているみなさんのおかげです。MAZZELとして帰ってきました!」と告げると、この日まで応援し続けてきたファンから大きな拍手が湧く。1年前は『MISSIONx2』のオーディションに参加している最中だったSEITOとKAIRYUは、『BMSG FES’22』に2人で参加し「来年はあそこに立とう」と悔し涙を堪えながら誓い合っていたそう。そして、10月18日にリリースする最新曲「Carnival」を披露し、ストリートダンス出身者の多いMAZZELらしく激しくて迫力あるダンスパフォーマンスで魅せた。Photo:河村美貴(田中聖太郎写真事務所)BE:FIRSTは、4thシングル『Mainstream』収録「SOS」のライブ初披露からスタート。「Betrayal Game」ではミュージックビデオのセットをスクリーンに映し出し、「Bye-Good-Bye」ではパステルカラーがステージを彩る。LEO、JUNON、MANATO、RYUHEIがスタンドマイクで歌う「Softly」、RYOKI、SOTA、SHUNTOが自分の在り方を詰め込んでラップする「Spin!」、EDMナンバー「Don’t Wake Me Up」、こちらもライブ初披露となった「Salvia」などを織り混ぜて、BE:FIRSTだからこそ生み出せる多種な魅せ方でオーディエンスを誘う。SHUNTOの「BMSGを応援するあなたが、BESTYのあなたが、俺にとっては大切な音楽仲間だと思ってます」という言葉から、「Message」のアコースティックバージョンをスクリーンに歌詞を映し出しながら歌い上げたシーンもエモーショナルだった。Photo:田中聖太郎そして最後のステージを引き受けたのは、SKY-HI。「I’m your Boss SKY-HI」(「Crown Clown」)と音楽で挨拶し、9人編成のSUPER FLYERSによるダイナミックなサウンドを響かせていく。「MISSION」では途中でMAZZELの8人もジョイン。SKY-HIとメンバーが一人ずつ目を合わせて歌ったり、SEITOと同じ高さでハイキックを見せたりと、全員のポジティブな熱量が爆発したステージだった。そして「ナチュラルボーンラッパー」とSKY-HIが呼ぶRYUKIだけが残って、「ボーイズグループだからこそラッパーがまじで大事なんだよってことを証明してやろうぜ」という言葉から、Novel Core、RYOKI、RYUKI、edhiii boi、TAIKIによる「Name Tag」を披露。さらに寅年生まれのJUNON、LEO、Aile The ShotaにTAKUTOも加わった「Tiger Style」、RUI、edhiii boi、TAIKIに特別にKANONとRYUHEIも参加した「14th Syndrome」、『MISSIONx2』の初期メンバーであるREIKO、RAN、SEITO、KAIRYUが再集結した「One More Day」と、SKY-HIの楽曲が、BMSGの新たな仲間たちを加えたリミックスで届けられた。屋内で行われた『BMSG FES’23』は、ステージ上にLEDスクリーンが設置されて、全63曲、映像演出がそれぞれの楽曲の核心を彩った。そんなステージの中で、23人が繰り広げるプロフェッショナルな姿勢と音楽に対する遊び心全開なパフォーマンスから浮かび上がってきたのは、BMSGは常に「音楽ファースト」「クオリティファースト」で楽曲を生み出してきたということ。トレンドを後追いするのではなく自らがトレンドを先導し、大衆を蔑むことないスタンスで、常にオルタナティブな音楽を生み落としながらトップを狙ってきた。そして、SKY-HIが3周年記念のテレビCM内でも語ったように、BMSGは「アーティストの幸せ」を一番大切に音楽ビジネスを回してきた会社だ。それら2つのポリシーを貫きながら、大勢のオーディエンスに人生の喜びを分け与えることに成功している。BMSGが3年間に起こした革命とは、業界における「成功」に辿り着くための方法論だ。Photo:田中聖太郎「また来年お会いしましょう、『BMSG FES!』」というSKY-HIの言葉から、最後を飾ったのは、「The Sun from the EAST」と「The Moon in the WEST」のマッシュアップ。太陽と月が完全に重なったとき、人々は、その珍しい光が気になって空を高く見上げる。SKY-HIの名前にまたひとつ意味が増えた瞬間だった。次に日本で皆既日食を見られるのは2035年だと言われている。その頃、BMSGはどんな未来を描いているのだろうか。Text:矢島由佳子<公演情報>『BMSG FES’23』9月23日(土)・24日(日) 東京体育館セットリスト1. The Sun from the EAST / BMSG EAST2. The Moon in the WEST / BMSG WEST3. edhiii boi is here / edhiii boi4. Flower / edhiii boi5. 不思議な国のアリス / edhiii boi6. 118 / edhiii boi, SOTA (BE:FIRST), Novel Core7. No Cap Navy / ShowMinorSavage8. Thinkin’ bout you / ShowMinorSavage9. SUPER ICY / ShowMinorSavage10. Pandora / Aile The Shota11. IMA / Aile The Shota12. J-POPSTAR / Aile The Shota13. AURORA TOKIO / Aile The Shota14. LOVE / Aile The Shota15. YOLO -You Only Live Once- / Aile The Shota, SHUNTO (BE:FIRST), REIKO, RUI, TAIKI16. 声 / RUI, KANON17. KARATE KID / TAIKI18. Pepper Spray / RUI, TAIKI, KANON19. No More / REIKO20. 決戦は金曜日 / REIKO21. BUTTERFLY / REIKO22. Just FUN’ky / RAN (MAZZEL), REIKO23. MF / Novel Core, SHUNTO (BE:FIRST), RYOKI (BE:FIRST)24. Metafiction / Novel Core25. WAGAMAMA MONDAIJI / Novel Core26. 独創ファンタジスタ / Novel Core27. BYE BYE / Novel Core & THE WILL RABBITS28. HAPPY TEARS / Novel Core, Aile The Shota29. THANKS, ALL MY TEARS / Novel Core30. Be Free / BE:FIRST, MAZZEL31. Brave Generation × Brave Generation -BMSG United Remix- / BMSG ALLSTARS32. New Chapter / BMSG ALLSTARS33. LIGHTNING / MAZZEL34. MISSION / MAZZEL35. CAME TO DANCE / MAZZEL36. Fantasy / MAZZEL37. Carnival / MAZZEL38. Vivid / MAZZEL39. SOS / BE:FIRST40. Betrayal Game / BE:FIRST41. Softly / BE:FIRST42. Don’t Wake Me Up / BE:FIRST43. Message -Acoustic Ver.- / BE:FIRST44. Bye-Good-Bye / BE:FIRST45. Shining One / BE:FIRST46. Salvia / BE:FIRST47. Spin! / BE:FIRST48. Milli-Billi / BE:FIRST49. Boom Boom Back / BE:FIRST50. Crown Clown / SKY-HI51. Happy Boss Day / SKY-HI52. Dramatic / SKY-HI53. Sarracenia / SKY-HI54. Turn Up / SKY-HI55. 何様 / SKY-HI56. To The First / SKY-HI57. MISSION / SKY-HI, MAZZEL58. Name Tag / SKY-HI, Novel Core, RYOKI (BE:FIRST), RYUKI (MAZZEL), edhiii boi, TAIKI59. Tiger Style / SKY-HI, JUNON (BE:FIRST), LEO (BE:FIRST), Aile The Shota, TAKUTO (MAZZEL)60. 14th Syndrome / SKY-HI, RUI, TAIKI, edhiii boi, RYUHEI (BE:FIRST), KANON61. One More Day / SKY-HI, REIKO, RAN (MAZZEL), SEITO (MAZZEL), KAIRYU (MAZZEL)62. D.U.N.K. / SKY-HI63. EAST x WEST mashup cypher / BMSG EAST, BMSG WESTセットリストプレイリスト:
2023年10月03日KREVA主催の“音楽の祭り”『908 FESTIVAL 2023』が9月14日に日本武道館で開催された。2012年にスタートした908 FESはコロナ禍の影響を受け、2020年は無観客のなかオンラインで。2021年は爆発的な感染拡大で開催を延期し、2022年2月に『908 FESTIVAL 2021+1』を、さらに同年9月に『908 FESTIVAL 2022』をそれぞれ有観客無歓声で開催した。通算12回目となる今回は、4年ぶりに有観客有歓声の完全体での908 FESが戻ってくるということで、KREVA以外の出演アーティストも三浦大知、石川さゆり、KICK THE CAN CREW、AKLOと、あえて908 FESに出演経験がある気心知れたメンバーを招聘。この日、FES全編の演奏を担うKREBand(白根佳尚/Ds、柿崎洋一郎/key、近藤潔人/Gt、大神田智彦/Ba、熊井吾郎/MPC+DJ、SONOMI/Cho&Key)がサウンドを奏でると、大歓声に迎えられてKREVAが登場。武道館を歌い込んだ「クラフト」でライブをスタートさせると、「ど頭から紹介していいですか?」と盟友・三浦大知を呼び込み、コロナ禍から新しいフェーズに突入したことを告げるように2人は華麗なパスワークで「Fall in Love Again feat.三浦大知」を歌い上げ、観客のシンガロングとともに908FESの幕開けを鮮やかに飾ってみせた。KREVAそのパスを繋ぐように、続いて908FES常連だったAKLOが久々に登壇。緊張感あふれるなか、この瞬間まで磨き上げてきたラップをかまし、「Catch Me If You Can」ではKREVAと向かい合い、ガチでハードコアなラップバトルを展開。そのままステージに残ったKREVAが「くればいいのに」を歌い出すと、「今年からはみんなが歌ってもいいから」といって、1サビは観客の歌声と、2サビは晴れやかな着物姿で石川さゆりが姿を現わし、こぶしをきかせた歌声と共演。石川の登場に沸き立つ場内に、続けて今度はKREVAが参加した「愛されるために君は生まれた」、さらには自身の大ヒット曲「天城越え」を演歌界きっての抜群の歌唱力と美しいパフォーマンスで披露し、武道館を圧倒してみせた。AKLO石川さゆり石川の次にマイクを託されたのは、見た目も特徴も三者三様、キャラ立ち3本マイクでおなじみのKICK THE CAN CREW。躍動感たっぷりに軽妙なマイクリレーを繰り広げていくと、観客のテンションは瞬く間に急上昇。この日はまさかのあの新曲「カメとピューマとフラミンゴ」の初アクトまで飛び出し、908FESならではのサプライズに場内は歓喜。KICK THE CAN CREWこのあと、突然授業開始のチャイムが武道館に鳴り響くと、ステージは教室に早変わり。ここからは、KREVAが先生となって韻の踏み方を教える「ライミング予備校」のコーナーが2018年以来大復活。三浦大知、AKLOに加え、今回は新入生の石川さゆりが登場。まさかの「津軽海峡冬景色」を1コーラス熱唱したあとは、同じ青森つながりで、この日はKREVAが「ねぶた祭り」を題材として制作し、青森市オリジナルダンスのオフィシャルソングとして認められた「ラッセーラ」を教材としてピックアップ。自身が今年参加したねぶた祭りの映像も交えながら、韻踏みをレクチャー。そのあと、LITTLE,MCU,AKLO,KREVAの4人のラッパーがフリースタイルでラップをしていくサイファーで、その成果を競い合った。続いて、授業では恒例の瓶底メガネと学ラン姿キャラで客席を大いに笑わせた三浦大知がステージへ。ダンサーを従え、大胆なテンポチェンジを流麗に聴かせながらしなやかに踊る「Backwards」が始まると、場内の空気がいっきに変わる。新曲「能動」など歌もダンスも卓越した圧巻のアクトでオーディエンスを魅了したあとは、とろけるような歌声を聴かせるメロウな優しいバラード「Your Love feat.KREVA」でKREVAと共演。「いつしか」で三浦にしかできない芸術を見ているかのようなステージングで、武道館が感動に包まれる中、オーラスのKREVAへとバトンをつないだ。三浦大知「神の領域」の一撃で圧倒的なオーラ、言葉、存在感を見せつけたKREVAは、その後ソウルフルな歌声のSONOMIを指さしながら「ってfeat.SONOMI」、MCUとLITTLEとは自身の曲「挑め」を、さらにAKLOとは「想い出の向こう側 feat.AKLO」、「やっときました。歌える人、どんどん歌って」といって石川さゆりとは「火事と喧嘩は江戸の華」、三浦大知とは「全速力feat.三浦大知」を次々とパフォーマンス。出演者たちとの豪華絢爛のコラボステージでオーディエンスの歌声を何度も巻き起こし、FESを華やかに盛り上げていき、本編のクライマックスには「クレバの日」にリリースしたばかりのとっておきの新曲「Expert」を初パフォーマンス。場内を素晴らしい音色に浸らせてながら、メッセージを観客に刻み込んで本編を締めくくった。「時間がないからこのままアンコール行かせて頂きます」といってKREVAはバンドメンバーを紹介したあと、会場に集まったオーディエンスに「こういう状況が続きますように」という言葉を添えて「All Right」を届けて908FESのフィナーレを飾った。最後は、あらためて出演者全員が一同に揃って挨拶。有観客有歓声の素晴らしさを改めて出演者と来場者全員で噛みしめ、多幸感に包まれるなか、908FESは完全体で大復活を果たして閉幕。翌日となる9月15日、同場所で開催する『KREVA CONCERT TOUR 2023 NO REASON』にその熱をつないでみせた。15日の武道館ワンマン公演について、KREVAは908FESとは異なるセットリストを準備していること、さらにKing & Princeに楽曲提供した「ichiban」のセルフカヴァーをステージで初披露することも予告している。気になる人はぜひ足を運んでもらいたい。Text:東條祥恵Photo:西槇太一<公演情報>『908 FESTIVAL 2023』9月14日(木) 日本武道館セットリスト■KREVAM1. クラフト~Short Ver.~M2. Fall in Love Again feat. 三浦大知■AKLOM3. Dirty WorkM4. カマす Or DieM5. Count On MeM6. 百千万M7. RGTO feat. KREVAM8. Catch Me if You Can feat. KREVA■石川さゆりM9. くればいいのに feat. KREVAM10. 愛されるために君は生まれた(with KREVA)M11. 天城越え■KICK THE CAN CREWM12. 千%M13. 住所M14. マルシェM15. カメとピューマとフラミンゴ■企画コーナー:ライミング予備校M16. 津軽海峡冬景色M17. ラッセーラM18. サイファー(LITTLE, MCU, AKLO+KREVA)■三浦大知M19. BackwardsM20. 能動M21. 人生(KREVA COVER)M22. Your Love feat. KREVAM23. いつしか■KREVAM24. 神の領域M25. ってfeat. SONOMIM27. 挑め feat. MCU & LITTLE(908fes2023 ver.)M28. 想い出の向こう側 feat. AKLO(908fes2023 ver.)M29. EGAOM30. 火事と喧嘩は江戸の華(石川さゆり)(908fes2023 ver.)M31. 全速力 feat. 三浦大知M32. ExpertEN1. All Right<リリース情報>KREVA「Expert」配信中配信リンク:関連リンクOFFICIAL HP FAN CLUB LINE BLOG YouTube Channel
2023年09月15日4年に一度の大規模ライヴ『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』(以下、DWL)が9月1日(金)、2日(土) の東京ドーム2デイズでフィナーレを迎えた。前回から4年、コロナ禍の期間を乗り越えて9回目の開催となるDWLは、DWLらしさを存分に詰め込んだ、ファンの夢を叶えるためのライヴだった。まず来場したオーディエンスを迎えたのが、会場の中に入った瞬間一目で遊園地とわかる巨大メリーゴーラウンドを模したセンターステージだ。サークル状のステージから4本の花道が十字に延びている。圧倒的な規模で日本のライヴ・エンタテインメントの常識を覆してきたDWLは始まる前から我々を非日常空間へと誘ってくれる。暗転し、雷鳴の轟く音が聴こえる。「A Theme of the WONDERLAND」が会場を包むとアリーナ正面に延びた花道の先端に中村正人が姿を現した。そして驚きの入り混じった大歓声が向けられた先は、巨大メリーゴーラウンドの屋根の上に立つ吉田美和だ。アリーナレベルから約20メートルはある高さの場所でオープニングナンバー「次のせ〜の!で- ON THE GREEN HILL - DCT VERSION」を歌唱する姿は神々しくすらあった。そして、次の瞬間、飛んだ。DWLではあまりにも有名な吉田美和の3Dフライングだ。今回、すべての会場が全国のドームだったのは、このフライングのもっとも効果的な見せ方にこだわったからだった。ステージ最頂部から花道の先端でベースをプレイする中村の元へ飛び込むように急降下したかと思えば、スタンド最上段に急上昇、そしてぐるりとドームを何周も旋回した。思いもよらないフライングの見せ方だった。まさかいきなり飛ぶとは。しかもステージの一番高いところに現れて、そこから急降下するとは。DWLらしさをDWLでしかできないやり方で超えていく――それが今回のDWL最大の見どころだ。もうひとつ、DWLの最大の特徴は、セットリストがファンのリクエストに基づいて構成されているということだ。だから必然的に大ヒット曲が惜しげもなく投入される神セトリとなるわけだが、なかにはかなり渋めのレア楽曲がリクエストランキング上位に食い込んでくることもあって、それがまた良いスパイスを加えている。照明を落とした仄暗い静謐な世界観で魅せた「LOVE LOVE LOVE」の直後に披露した「ヒの字」がその代表的なものにあたる。“あなた”への切ない想いを体全体で表したこの曲のかわいさを吉田美和がステージに設けられたアヒル型のコースターに乗って表現。全長75メートルに及ぶコースターがまさか本当に稼働するものだったとは。改めてDWLが見せる本気の遊びに驚かされた。「やさしいキスをして」「LAT.43°N 〜forty-three degrees north latitude〜」「WINTER SONG 〜DANCING SNOWFLEAKS VERSION」、この3曲では真夏に冬の世界を現出してみせた。雪が降りしきる中でのパフォーマンスは幻想的で、DWLが描き出す世界観のディテールへのあくなき追求が感じられた。このシーンを含め吉田美和が衣装をガラリとチェンジするタイミングが何度かあった。衣装を手掛けたのは日本を代表するデザイナーである久保嘉男、丸山敬太、ミハラヤスヒロの3人。このトップデザイナー3人がDWLで共演したのはもちろん初めてのことであり、ひとつのショーで3人の豪華デザイナーが共演することはこれまでも、そしてこれからもないと言えるほど貴重なものだ。この“冬の世界”のように、今回のDWLではセットリストのブロックごとにストーリーを紡いでいくという手法がとられた。例えば、「G」「YES AND NO」「羽を持つ恋人 - DCT Version -」では、コロナ禍のあいだにリリースした楽曲で描いたメッセージを伝え、「未来予想図」「未来予想図Ⅱ」「ア·イ·シ·テ·ルのサイン 〜わたしたちの未来予想図〜」では、まるで映画のようにひとつのストーリーで魅せた。本編最後のブロックは、DWLの(あえて言うが)実は真骨頂のファンキーグルーヴ全開のバンドサウンドで5万人超のオーディエンスで満員となった会場を踊らせた。その中にあって、ロックとヒップホップの要素をミクスチャーした超攻撃型の彼らの最新曲「スピリラ」のステージパフォーマンスは圧巻だった。何より、彼らがバンドの始まりから一貫して大事にしてきた、音楽的な野心や探究心というものが、このもっとも新しい曲が入ることでわかりやすく伝わったのではないかと思った。ライヴも終盤に差し掛かってさらにエンジンがかかったようにパフォーマーとバチバチに踊る吉田美和の姿に、ドリカムが最強のライヴバンドであることを改めて思い知らされた。本編ラストに披露した「あの夏の花火」では、曲間に「みんなで一緒に花火見よっか」と吉田美和が言うと、ステージ全体からいくつもの花火が打ち上げられた。ここがドーム(屋内)だということを忘れてしまいそうなほど盛大な演出だった。アンコールは、ドラマ『救命病棟24時』でドリカムが手掛けてきた主題歌5曲「朝がまた来る」「いつのまに」「何度でも」「その先へ」「さぁ鐘を鳴らせ」をまとめて全部披露するというスペシャルなものだった。今伝えなければいけないメッセージとして響く言葉に彩られたメロディが最後に心に染み渡った。「また次に会えるまで、一緒に鐘を鳴らしていくからねー!」(吉田)夏の夜の夢を描いた『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』。4年後は10回目の開催となる。今からもう待ち遠しい。Text:谷岡正浩Photo:藤井 拓<ライヴ情報>『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023 ミニ supported by U-NEXT』9月30日(土) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ10月1日(日) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ10月14日(土) 沖縄・沖縄アリーナ10月15日(日) 沖縄・沖縄アリーナ【チケット情報】指定席:10,000円(税込)注釈付指定席:9,000円(税込)立ち見:9,000円(税込)※『DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023 ミニ』とは、ドーム公演のステージを一部再現、セットリストはそのまま楽しむライヴです。関連リンクOfficial HP::::::
2023年09月04日ELLEGARDENが、ワンマンツアー『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』の最終公演を8月17日(木) に千葉・ZOZOマリンスタジアムで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。ELLEGARDENは人生である。4人にとってはもちろん、私にとっても、それから、彼らに関わる、彼らを愛する、たくさんの人にとっても。大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、この表現がいちばん、あの日の感慨を伝えようとするとしっくりくる。日常で数多に開催されているライブのうちのひとつじゃないか――そう言う人もいるかもしれない。でもね、日常を積み重ねるのが人生だし、あの日は集まった3万5000人、そして会場の外や全国各地、世界各国で彼らに想いを馳せていた人たちの人生が鳴っていた。だからこそ、あんな奇跡的な光景や音像、空気を体感することができたのだ。とは言え、同じ会場=千葉・ZOZOマリンスタジアムのライブとしては、彼らが10年ぶりに活動再開の狼煙をあげた『THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018』のファイナルだった2018年8月15日のライブのほうが、特別な意味合いはあったのかもしれない。今回はあくまで、7月から北海道・熊本・愛知・大阪とまわってきた『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』のファイナルという位置づけ。もっと言えば、活動再開してからフェス出演やツアーを重ね、2022年に16年ぶりのニューアルバム『The End of Yesterday』を発表し、今年3月からのリリースツアー『The End of Yesterday Tour 2023』を経て、名実ともに「現在進行形のバンド」となったELLEGARDENの、5年ぶりのZOZOマリンスタジアム公演となる。だからこそ、5年前の「特別感」という魔法を取っ払ったところで、ELLEGARDENの地力や、これまで積み上げてきたものが、どれだけ発揮できるかが試される機会だった。そんなライブで、彼らはいつもと地続きの現在進行形のパフォーマンスを見せながら、たしかに魔法のような、名状しがたい感動を巻き起こしたのだ。そこには、活動再開してから5年間をかけて再会や「初めまして」を交わした人たち、そして、今回のZOZOマリンでやっと会えた人たちの想いも関わっていたと思う。幕開けは『The End of Yesterday』収録の「Breathing」という、5年前にはなかった曲調をオープナーに持ってくるという勝負に出て、完璧なアンサンブルで圧倒。そして、これまでも多くの歌声で「僕らの歌」にしてきた「Space Sonic」「Supernova」を畳みかけたあと、その2曲に負けないくらいのシンガロングを《We get it,get it,go》と沸き起こした『The End of Yesterday』収録の「チーズケーキ・ファクトリー」も素晴らしかった。『The End of Yesterday』収録曲も、多くの人生を彩り始めていることの証だ。Photo:西槇太一細美武士(Vo・G) Photo:三吉ツカサ (Showcase)さらに、セットリストに入っていた楽曲の中でも「Stereoman」は、ELLEGARDENの楽曲が孤独に寄り添ってくれた経験を持つすべての人に染みたと思う。孤独は変わらないかもしれないけれど、仲間はこんなにいる。そんな喜びを、スタジアム・ライブだからこそ噛みしめることができた。スタジアム・ライブは、ライブハウスが主戦場のバンドにとっては課題もあるけれど、この日は距離感もほとんど気にならなかった。強い風も味方につけて、音と想いを乗せて一体感を高めた「風の日」、「サンタクロース」の、プレゼントを手渡されたような温もり。さらには、生々しい歌声とギターのうねりに琴線が震えた「Sliding Door」も、いろいろなライブハウスを思い出すテンションだった「Salamander」も、本当に「すぐそば」に感じられたのだ。楽曲と演奏と、想いがしっかりシンクロしていたところも大きい。生形真一(G)の「ELLEGARDENは誰にも負けないから」という言葉は、次に演奏された「Fire Cracker」の珠玉のアルペジオで体現されていた。さらに細美武士(Vo・G)の「今日が俺たちの人生のピーク」という言葉からはじまった「The Autumn Song」では、限りなくピークが続いていきそうなグルーヴを感じた。また、『The End of Yesterday』収録のテクニカルな四つ打ち曲「Perfect Summer」で、高橋宏貴(Ds)が華麗かつ楽し気にビートを刻み、そこに3人が見事に寄り添う、そのアンサンブルは今のELLEGARDENのムードを表しているようだった。生形真一(G) Photo:西槇太一高橋宏貴(Ds) Photo:三吉ツカサ (Showcase)貫いてきたメッセージも、さらに強固に感じられた。ずっと彼らが歌い続けてきた「自分の道を迷わずに進んでいく」という意思をシンガロングしながら噛みしめた「ジターバグ」や、そんな彼らが歩んできた物語を実感する「虹」などハイライトが続くなか、細美にMCを促された高田雄一(B)。大舞台にも関わらずいつもの調子で「ほんとに言うことがないんですけど……」と戸惑いつつも、「またやりましょう」と宣言!細美も「死ぬまでにもう一回ここでやりたい」と続ける。その後の「Make A Wish」では、再び会うための約束、それまで戦い続ける決意が、シンガロングやジャンプとなって、スタジアム全体にキラキラと輝いていた。続けて「Strawberry Margarita」がピースフルに響いたエンディングも最高だった。高田雄一(B) Photo:三吉ツカサ (Showcase)アンコールでは、現在進行形のELLEGARDENにとって大切な一曲とも言える「Goodbye Los Angeles」を披露。そしてダブルアンコールの「金星」では、ていねいに歌い鳴らされる一言、一音が心に刻まれていった。この《大事な事》を、いつまでも慈しんでいたい――その気持ちを、きっとあの場にいた誰もが感じていたことだろう。自らカメラを持つ雄一、祈るように感謝する生形、両手を広げてありがとうを伝える高橋、掌が千切れそうなほど拍手する細美。それぞれの形で感謝を伝えた4人がステージを降りてから、大輪の花火が夜空を彩るなか頭をよぎった――「生きていてよかった」と。この5年間、さらに彼らと出会ってからの20年の中で自分や世界に起きたこと、そのたびに彼らの楽曲と重ね合わせて生きてきたことを、ライブ中の2時間で思い返していたのだ。なんで彼らの楽曲は、こんなにも人生そのものになるんだろう。きっと彼らが誰よりも人生をかけているからだろうし、それにたくさんの人が呼応しているからなのだと思う。Photo:西槇太一Photo:西槇太一私は、それなりに年齢と経験を重ねた今も、彼らと出会った頃と同じく《最後に笑うのは正直な奴だけだ》と信じている。この日、奇跡が起きたのは、あの場所にいた全員がそう信じていたからだ。音楽の力、ELLEGARDENの力、一人ひとりの力を、ひしひしと感じずにはいられない、奇跡のようで奇跡じゃない、紛れもなく真実しかない夜だった。Text:高橋美穂<公演情報>ELLEGARDEN『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』8月17日(木) 千葉・ZOZOマリンスタジアムセットリスト1. Breathing2. Space Sonic3. Supernova4. チーズケーキ・ファクトリー5. Mountain Top6. Fire Cracker7. Stereoman8. 風の日9. The Autumn Song10. No.1311. Missing12. Perfect Summer13. サンタクロース14. Sliding Door15. Salamander16. ジターバグ17. 虹18. スターフィッシュ19. 瓶に入れた手紙20. Make A Wish21. Strawberry Margarita-ENCORE-22. Goodbye Los Angeles23. 高架線24. Pizza Man-DOUBLE ENCORE-25. 金星セットリストプレイリスト:<番組情報>ELLEGARDEN『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』10月28日(土) 20:30~WOWOWプライム放送・WOWOWオンデマンド配信予定詳細はこちら:関連リンクOfficial Site::::
2023年08月23日7月18日(火) 新代田FEVERにて、ネクライトーキーとサバシスターによる『FREAKY & GROOVY』のvol.2が開催された。vol.1ではWiennersとthe telephonesが出演し、熱狂の化学反応を起こし大盛況のうちに幕を閉じたツーマンイベント『FREAKY & GROOVY』。2回目の開催となったこの日は、音楽性は異なるが女性ボーカルという共通点もあり、若者からの支持を集めている2組の競演とあってチケットはSOLD OUT。ポップでロックな一夜となった。トップバッターを務めたのはサバシスター。メンバー全員でイベントTシャツを着て登場し、会場が沸き上がった中「リバーサイドナイト」からライブがスタート。そして手拍子とともに「スケボー泥棒!」を披露し、会場の温度を上げた。Vo&Gなちの「FREAKY & GROOVYのお揃いのTシャツを着ております!」の一言からMCに入り、「ネクライトーキーは(演奏の上手さが)格段すぎてびっくりすると思います。その前にまずはこれ(サバシスター)で楽しんでいただいて」とフロアの笑いを誘いながらも拍手と歓声が鳴り響いた。そして、かっこいいギターサウンドから「ヘイまま!プリーズコールミー」、そのまま続けて「アイリー」を披露。その後、Dsごうけが昔から大事にしているぬいぐるみ“しげちゃん”を紹介し、「しげちゃん」でフロアはエモーショナルな雰囲気に包まれた。そのまま続けて「東京こえー」で等身大のサバシスターを表現。G&Choるみなすが、“ジャージ”がモチーフになっている新商品の紹介をし「ジャージ」がスタート。デビュー曲であり彼女たちの代表曲である本曲で会場のボルテージは更に上昇。そして軽快なドラムサウンドとフロアの手拍子の中、なちがお立ち台でギターをかき鳴らし「ナイスなガール」を披露。対バン相手のネクライトーキーについて、なちが「ネクライトーキーは中学生の時、自分の中でバンドブームが爆発していた時期に出会って、仙台で初めてライブを見させてもらって凄くグッときたんですよ。もっささんは凄い歌を歌う方だなと思っていて。歌の表現力をボーカリストとしてすごく尊敬しています」と語った。その後、「こういう素敵な日も辛い日もあると思うけど、こうやって素敵な音楽に出会ってこれからも楽しく生きていきましょう!」と再びフロアを沸かせ、ラスト「サバシスター’s THEME」で熱気が最高潮の中締め括られた。この日は35度を超える猛暑日だったが、カッコよく爽快なサウンドと、彼女たちの可愛らしさは夏の暑さを忘れさせ、会場は一体感に包まれた。サバシスターからのバトンを受け取り、SEと共に手拍子が鳴り響く中、元気に登場した“ネクライトーキー”。Vo&Gもっさが「FREAKY & GROOVY vol.2後半戦始まります!」と言い放ち、「タイフー!」からライブがスタート。フロアがネクライトーキーらしいカラフルでパワフルな雰囲気に包まれ、掛け合いのタイミングなども息がぴったりと合い、1曲目から盛り上がりを見せた。続けて「音楽が嫌いな女の子」「北上のススメ」を披露し、力強くパワフルな楽曲たちが会場をさらに盛り上げていく。もっさが「サバシスターとは初めましてですが、対バンイベントでこんな素敵なバンドに出会わせてくれて本当にありがとうございます」と語り、「涙を拭いて」「豪徳寺ラプソディ」を披露。徐々にG朝日のギターサウンドが聞こえ、フロアからの“おー!?”という歓声とともに人気曲「許せ!服部」がスタート。コールアンドレスポンスで一体感が増しフロアは大盛り上がり。MCではサバシスターの“しげちゃん”に対して、ネクライトーキーのMajor 2nd Album『FREAK』のジャケットに登場するキャラクター・フリークくんを紹介し、フロアは笑いに包まれた。その後、翌日配信リリースされる「ランバダ・ワンダラン」を披露し、フロアにしっかりと新曲を届けた。また、会場のミラーボールと照明が更に楽曲を引き立てているように思えた。続けて「君はいなせなガール」「オシャレ大作戦」で、フロアのボルテージはマックスに。そして、本編ラストは「ティーンエイジ・ネクラポップ」で終了。アンコールでは、FREAKY & GROOVYのイベントTシャツを着て登場。そして「遠吠えのサンセット」を披露し、大きな拍手と歓声に見送られながら幕を下ろした。会場のボルテージを一気に上げたネクライトーキー。曲ごとに巻き起こるフロアからのコールや手拍子、熱気を見事にまとめ上げ、最高の夜を締めくくった。異なる音楽性を持ちながらも“ハッピーな空間”を創り上げるという共通点を持つ2組からは、夏の暑さや常日頃の辛さを吹き飛ばすほどの明るいパワーを感じた。2回目となる本イベントも大盛況のうちに幕を閉じた。<公演情報>『FREAKY & GROOVY』vol.27月18日(火) 新代田FEVERセットリスト■サバシスター1. リバーサイドナイト2. スケボー泥棒!3. ヘイまま!プリーズコールミー4. アイリー5. しげちゃん6. 東京こえー7. ジャージ8. ナイスなガール9. タイムセール逃してくれ10. サバシスター’s THEME■ネクライトーキー1. タイフー!2. 音楽が嫌いな女の子3. 北上のススメ4. 涙を拭いて5. 豪徳寺ラプソディ6. 許せ!服部7. ランバダ・ワンダラン8. 君はいなせなガール9. オシャレ大作戦10. ティーンエイジ・ネクラポップEN. 遠吠えのサンセット
2023年08月17日声優・アーティストとして活躍中の逢田梨香子が誕生日当日の8月8日(火)、東京・Zepp Hanedaにてバースデーパーティを昼の部、夜の部にわたり開催した。逢田は2015年『ラブライブ!サンシャイン!!』の桜内梨子役で声優デビューし、同作品のスクールアイドルユニット・Aqours(アクア)としても活動。2019年には待望のソロデビューを果たし、今春のアニメ『スキップとローファー』のエンディングを彩るなど、その表現力を存分に発揮している。毎年恒例となっているバースデーパーティの今年のタイトルは『RIKAKO AIDA Birthday Party 2023 “for YOU!!”』。昨年のタイトルが“Dear ME”と考えると感慨深いものがある。前半のバラエティパート、後半のライブパートという二部構成で、さまざまな歌を通じてお互いにありがとうの気持ちを伝えあった。本稿では夜公演のレポートをお届けする。祝福ムードいっぱいの会場。スクリーンには「皆様のカラオケにまつわるメッセージやエピソードを募集いたします。#forYOU_Q」というメッセージが。そして、ステージ中央には、ソファが2つに机。その机の上にはなにやらデンモクらしきものが……。毎年趣向を凝らした演出で楽しませてくれるバースデーイベントの今回のテーマは、そう、“カラオケ”である。事前にOFFICIAL MEMBER「Us」内で歌って欲しい楽曲を募集し「もしかすると“RIKAKO AIDA Birthday Party 2023 “for YOU!!”内で……?」と、カバーすることまでは示唆していた。どんなステージが繰り広げられるのか期待が膨らむ中、<今すぐ名前呼んで>という歌詞が含まれる「Mirror Mirror」のサウンドがひときわ大きくなる。大歓声が広がり、愛称である“りきゃこ”の名も響いた。暗転すると、ゆるい雰囲気の音楽が流れ出し、MCを務めるグランジの遠山大輔が登壇。3月に行われたOFFICIAL FAN MEETING『with Us』vol.2でもMCを担当するなど、ファンにとってもお馴染みの人物で、歓喜の声で迎えられる……が、舞台は新しくできたばかりの“カラオケ天空橋”。「なんで歓声が聴こえるんだろう?遠山って聴こえる?この店、個人情報筒抜け!?」と不思議がってる様子。待ち合わせに遅れている“あの人”が来るまでの間、デンモクの履歴を見ながら、ひとりごと風の軽妙な語り口で観客を笑わせる。「まだ来ないのかな。そしたら一人で歌うか……」と曲を入力していると、颯爽とステージに現れた逢田が「皆さんこんばんは!逢田梨香子です、歌います!」と高橋瞳の「青空のナミダ」を歌唱。力強い歌声を届ける彼女が身にまとっているのは、白を基調とした大人っぽいロングスカート。フェミニンな雰囲気がありながらもかっこよさも兼ね備えていて、今の彼女によく似合っている。オープニングムービーを経て、ソファに腰を掛けながらゆるやかにトークパートへ。「“みんな”盛り上がってくれてすごいですね」と思わず口にすると遠山から鋭いツッコミが入り「あ、幻聴なのかな(笑)。青い光も見えちゃってます」と笑った。遅刻の理由を尋ねられると「遠山さんがデンモクの履歴を見てつぶやいていらっしゃったのが面白すぎて、永遠にこれ見ていたいなと思っちゃって」と思い出し笑い。続けて遠山から「昼もここで待ち合わせして。昼が終わったあと何していたんですか?」と質問を投げかけられると「リアルな話をするとお見送りをさせていただいたり……って言っちゃった!」と、サプライズであった“お見送り”を自らバラしてしまう結果に。会場に笑い声が響いた。慌てた様子で遠山は「いや、僕はその時間のあとのことを言ってたんですよ!だから濁して言ったのに!」と叫びつつ「でも皆さんめちゃくちゃ優しいから、本当に言うはずだったところで、お見送りがあることを話したら、1.8倍くらいのリアクションをくれると僕は信じてますよ」と観客をチラり。すると観客からも「もう忘れた!」とフォローが入り「もう忘れた!?(笑)ありがとう〜」と申し訳なさそうにお礼した。自然体の彼女の姿が見られるのも、イベントの醍醐味だ。ちなみに、昼の部のお見送り会のあとは最近ハマっている『たまごっち』をやっていたとのこと(笑)。『たまごっち』と同じく日課となっている携帯液晶ゲーム『ちいかわといっしょ』は、今日は自宅に置いてきたという。また、誕生日を迎えた今の心境について明かす場面も。「去年と違って特に気持ち的に変わるようなことはなくて。良い年の取り方をしたいなって。これからどんな景色を見られるか、その時々で変わってくると思うので楽しみです」とワクワクした様子を見せた。リアルタイムでハッシュタグのファンの声を拾いながらトークを繰り広げていく。その中でオープニングナンバーに言及。TVアニメ『BLOOD+』が好きなことや、その主題歌の「青空のナミダ」は自身の十八番であることなどを明かす。また、『BLOOD+』の主人公・音無 小夜を演じる喜多村英梨から誕生日のお祝いメッセージが届き、この曲を歌うことも直接伝えたそうで「嬉しかったです」と満面の笑みを見せた。選曲に関してはファンのリクエスト曲が中心。オケには実際のカラオケDAMの音源を使用している。逢田が歌っている間はソファにいる遠山がタンバリンを叩いたり、オケがアウトロの途中でフェードアウトしたりと、“カラオケ”ならではの演出も光った。加えて、トークコーナーの合間にはカラオケの待ち時間に流れる映像を模した“Us CHANNEL”を展開と、徹底っぷりが凄まじい。「やっぱりDAMは最高だよね!」と盛り上がるふたり。逢田は「プライベートでは10年以上カラオケには行ってない」とは言うものの、ひとりカラオケにはよく行っているんだそう。ひとカラはカラオケというより、練習という感覚なのだとか。「じゃあそろそろ次の曲を……」と入力したのは、逢田が大ファンであり、楽曲提供やイベントで共演するなど親交があるシンガー・やなぎなぎのデビュー曲。「とても大切な曲」である「ビードロ模様」を柔らかく丁寧に紡いでいく。その直前に交わされていたロゴの話題に合わせてか、観客はペンライトをロゴの色のピンクと青に点灯させていたことも印象的であった(本人は途中でハッと気づいたそう)。3曲目には逢田が昔から好きなアーティスト・浜崎あゆみのウィンター・ソング「No way to say」をセレクト。感情豊かな歌声が切々とした情景を浮かび上がらせる。「私がただ単に大好きな曲として歌わせていただきました。小学生の頃から大好きで、(あゆの影響で)髪の毛も明るくしたり、ヒョウ柄の尻尾をつけたり……」と熱弁した。ちなみに昼公演では浜崎あゆみ「BLUE BIRD」を歌唱している。逢田のバッググラウンドを歌とトークでも知ることのできる、バースデーライブならではの貴重な時間である。また、“あなた”へのプレゼントコーナー(逢田の私物であるぬいぐるみと、8個のサイン入りボール)もそれぞれ2回あった。サインボールをプレゼントする場面では「直接、私が心を込めてお渡ししたいなと思っています」とフロアに向かって勢いよく投げ込んだ(野球経験者の遠山が「フォームが良い!」と絶賛)。あっという間にカラオケルームの終了まで「残り10分」。「じゃあラストの曲を。すごくリクエストが多かった曲です。知ってる人がいったら一緒に歌って下さい!」と呼びかけ、SPYAIRの「サムライハート」を熱唱。赤いライトに照らされながら「みんな声聴かせて!」とマイクを客席に向け、一体感を生み出した。「ギアが一個上がった気がする。うれしい、ありがとうございます!SPYAIRさんは学生時代から大好きで友だちと一緒にライブも見に行っていました」と思い出を共有する。ちなみに「サムライハート」のみ、カラオケの採点が。結果は「100点中、88点!」。もちろんこれは8月8日から取ったもので、遠山と漫才風のやりとりを交わし客席を沸かせた。そんなオチも含めて楽しい。グッズ紹介の動画を挟んでライブパートへ。衣装を変えてオンステージすると、TVアニメ『スキップとローファー』のEDテーマ「ハナウタとまわり道」を。ハンズクラップが沸き起こり「もっと聴かせて!」と、軽やかな足取りでステージを駆け巡る。優しいミディアムナンバーで観客をひとつにした。「いやあ、凄いね!昼公演も皆さんとても元気が良かったんですけど、夜公演も元気でいらっしゃって(笑)。とてもうれしい。平日なのに、みんな来てくれてありがとう。毎年誕生日当日にライブをやることにこだわっていて。ありがたいことに、毎年遊びにきてくださって“おめでとう”って言ってくれて。こんなにたくさんの方に“おめでとう”って言ってもらうことってないよ?」その言葉を受けて観客から改めて「おめでとう!」の声が上がり、「本当にうれしい限りです」と感謝を示した。そしてその気持ちを示すかのように、久しぶりに歌うバラード「ME」をプレゼント。<これまでの道のりが決して嘘ではないとこれからは少しずつ証明するよ>と決意を伝え<私らしい私で 生きていくよ>と約束。観客一人ひとりと視線を結ぶようにまっすぐに前を見つめて、感慨深い表情で胸に手を当てた。しみじみとした様子で曲を振り返る。「前に歌ってからそんなに時間は経っていないんだけど、歌いながらなんだか懐かしい気持ちになってしまいました。自分で歌っていても、聴いていても……自分と向き合える気持ちになれる大好きな曲です。31年ってまだまだ短い時間ではあるんですけど、ここにくるまでに、たくさんの方に出会って、温かさに触れて。今日もそうです。31年間、奇跡の連続のような出来事がたくさんあったなって、いろいろな思い出が駆け巡りました。その都度、違う気持ちになる曲です。曲も一緒に成長しているんだなと改めて感じました」ラストの曲です、と伝えると「えーっ!」という声が。申し訳なさそうに「さっき言っちゃったけど……このあとお見送りがあるので」と切り出すと、客席からは笑い声とともに、さきほどの1.8倍以上の歓喜の声が響いた。ファンの優しさに包まれつつ「あとで皆さんに私から感謝の気持ちをお伝えします。最後は夏の終わりを締めくくる曲。私の誕生日が終わったら、夏は終わりなんです!私の誕生日と、夏の終わりを締めくくるのに最高な一曲を」と「ノスタルジックに夏めいて」を。ミラーボールの下で、サビの歌詞に合わせてボリュームのあるチュールスカートを揺らす。<何気ない毎日こそがとっても愛おしいんです>と、これまでの思いをつなげるように歌う。笑顔だけが溢れた、とても良い光景だった。何度も感謝の気持ちを伝え、遠山をステージに呼び込むと、遠山がサプライズのケーキを持って登場。自身のアーティスト写真がプリントされた特製ケーキに声を弾ませた。記念撮影をし、最後にメッセージ。「9月にミニアルバムをリリースします。あの大塚 愛さんが楽曲提供をしてくださって。こんなことが起きるんだなって、やっててよかったなって。本当にすごく素敵な1枚になっています!また来年も会えたらうれしいです。事情があって来られない方もいると思うんですが、それでもどこかで、元気で過ごしていて欲しいです。そしてどこかで笑顔で会いましょう!」“第二幕/第二章”の意味を持つミニアルバム『Act 2』は9月13日(水) にリリース。なお、RIKAKO AIDA LIVE TOUR 2023『Act 2』は、10月13日(金) 愛知・名古屋ボトムラインを皮切りに、10月15日(日) 大阪・松下IMPホール、10月22日(日) 東京・豊洲PITにて開催予定。Text:逆井マリPhoto:高田梓<リリース情報>逢田梨香子 ミニアルバム『Act 2』9月13日(水) リリース●初回限定盤【CD+Blu-ray】価格:5,280円(税込)逢田梨香子『Act 2』初回限定盤ジャケット●通常盤【CD only】価格:3,630円(税込)※トレーディングカード ランダム封入(5種類)※全5種の中から1種類がランダムで封入:初回プレス分のみ逢田梨香子『Act 2』通常盤ジャケット逢田梨香子『Act 2』通常盤封入特典 トレーディングカード【CD収録内容】01.Act 2作曲・編曲:田中隼人02. My Trailer作詞・作曲:音布遊編曲:PRIMAGIC03. プリズム作詞・作曲:aio編曲:aio × hiroo04. ハナウタとまわり道作詞:六ツ見純代作曲・編曲:田中隼人05. ブルーアワー (another blue ver.)作詞:逢田梨香子作曲:市川淳編曲:PRIMAGIC06. うまれる作詞:逢田梨香子作曲・編曲:市川淳07. Brush Me Up!作詞:六ツ見純代作曲・編曲:田中隼人【Blu-ray収録内容】※初回限定盤のみ・ハナウタとまわり道(Music Video)・“Act 2”Behind The Scene【先着予約購入特典】逢田梨香子『Act 2』先着予約購入特典:Us限定 アクリルキーホルダー逢田梨香子『Act 2』CDショップ先着予約購入特典■Us会員Us限定 アクリルキーホルダー■Amazon.co.jpAmazon.co.jp限定 L判ブロマイド■アニメイト・初回限定盤アニメイト限定 缶バッジ(56mm)※L判ブロマイドと同絵柄になります。・通常盤アニメイト限定 L判ブロマイド■ゲーマーズ・初回限定盤ゲーマーズ限定 缶バッジ(56mm)※L判ブロマイドと同絵柄になります。・通常盤ゲーマーズ限定 L判ブロマイド■セブンネットショッピング・初回限定盤セブンネット限定 缶バッジ(57mm)※L判ブロマイドと同絵柄になります。・通常盤セブンネット限定 L判ブロマイド【店舗共通特典】オリジナルL判ブロマイド※先着予約特典には数量に限りがございますので、なくなり次第終了となります。※一部のネットショップやCDショップで特典が付かない場合があります。事前にご予約されるネットショップ/CDショップにてご確認下さい。<ツアー情報>RIKAKO AIDA LIVE TOUR 2023『Act 2』■愛知公演10月13日(金) 開場 18:00 / 開演 19:00会場:愛知・名古屋ボトムライン価格:7,800円(全席指定・税込)※ドリンク代別■大阪公演10月15日(日) 開場 17:00 / 開演 18:00会場:大阪・松下IMPホール価格:7,800円(全席指定・税込)■東京公演10月22日(日) 開場 17:00 / 開演 18:00会場:東京・豊洲PIT価格:7,800円(全席指定・税込)※ドリンク代別チケット情報はこちら:()関連リンクRIKAKO AIDA OFFICIAL MEMBER「Us」:(Twitter)::
2023年08月15日Hakubiが主催するライブイベント『京都藝劇 2023』が、8月11日に京都・KBSホールで開催された。今年は初の2ステージ制で実施された同イベントは、出演キャンセルとなったHump Back、あるゆえを除いた、Hakubi、KALMA、G-FREAK FACTORY、TETORA、ROTTENGRAFFTYの5組が「右近ステージ」に、Hyuga、Brown Basket、RAINCOVERの3組が「左近ステージ」に登場。当日に向けて片桐(Vo / G)が、「『京都藝劇 2023』は、Hakubiの3人の大切なタイミングに刺激を与えてくれたバンドが集まってくれました。夢の続きであり、夢の途中であるこの日、目撃してください」と意気込んだ、年に一度の盛大な宴が過去最大のスケールで実現した。『京都藝劇』は毎年ラインアップがガラリと変わるのも見どころの一つだが、TETORAは唯一の3年連続の出演。それだけで、彼女たちとHakubiとの盟友関係が分かる。昨年はトリ前でHakubiに強烈な刺激とプレッシャーを与えたが、今年は「『京都藝劇』はTETORAから始めます!」と(上野羽有音・Vo / G、以下同)と、「Loser for the future」で熱量たっぷりにイベントの幕開けを告げる。冒頭から「もう立派な大人」「言葉のレントゲン」「バカ」「嘘ばっかり」「素直」と容赦なく畳み掛け、これぞライブバンドの疾走感と焦燥感をガソリンに、弾丸のごとき一体感でどこまでも突っ走る。TETORA翌日に北海道での大事なフェス出演を控えながらも駆けつけ、「ガラガラのライブハウスで、一緒に対バンしてた同い年のHakubi。全バンドが見られるタイムテーブルで、フェスと言うより対バンやと思ってます。最後のHakubiまで全バンド体感してみてください!」と、誰よりもHakubiの思いを理解し代弁するMCにもグッとくる。クライマックスも「わざわざ」「イーストヒルズ」と一心不乱に爆音をかき鳴らし、「Hakubiが本気やから、それを知ってるから。仲良しごっこじゃなくて、ショーでもなくて、戦友やからただ本気でやる!」と、全身全霊で右近ステージをブチ上げたTETORAだった。「フロム京都、ローカルプライド、俺たちがRAINCOVERだ!ここをKBSホールじゃなくライブハウスに変えようぜ!」(辻出凌吾・Vo / G、以下同)初出演の気負いや緊張などまるでない堂々のたたずまいで、1曲目の「コントレイル」からぶちかましたのは左近ステージのトッパー、RAINCOVERだ。「曲なんか、俺らのことなんか知らんでええねん。ちょっとでも心が揺さぶられたら体を動かそうぜ!」とほえれば、最後尾まで手が挙がるパンパンの左近ステージ。「他人のイベントじゃなかったら自販機の上にも人を乗せてたと思います(笑)」と笑うのも納得だ。1stミニアルバム『Vanilla』の収録曲「ナイトライダー」「ボーイズソング」やライブの定番曲「秘密基地」、「Hakubiのマツイ(ユウキ・Ds)にやってくれと言われたんで」と「木屋町」「青い歌」ではモッシュも起きるなど、もらったチャンスに見事に応えた完全燃焼の25分間だった。RAINCOVER畑山悠月(Vo / G)の第一声から右近ステージをブチ抜く「Millennium Hero」で圧倒したのは、北海道出身のスリーピースロックバンド、KALMAだ。その後も、高速ドライブするベースラインに昇天必至の「隣」、「Hakubiの片桐さんが僕らを『京都藝劇』に誘ってくれたのは2022年12月31日。あの大みそかから今日までずっと妄想してました!」(畑山、以下同)となだれ込んだ瞬殺パンクの「モーソー」と、個性しかない楽曲群で翻弄していく。KALMA「Hakubiと出会った3年前より、今の俺たちはカッコ良くなってるかな、ちゃんと進化できてるかなと考える。これと言ったヒット曲を生み出してもないし、ツアーをやっても即完するバンドでもない。でも、愛してくれるお客さん、バンド、ライブハウスがあるから、俺たちは何とかやれてる。そう思えるだけで一つの進化なんじゃないかって、今思っちゃった。それを今日この35分間で、ロックバンドなんだから、生のライブで証明する!」有言実行の「ねぇミスター」「1分間の君が好き」と、生き急ぐようにエナジーを爆発させる北のアンファンテリブルは一転、「2017年、高校2年生のときに書いた歌」と始まったメロウでノスタルジックな「年上の、お前」で、ソングライターとしての確かな手腕も提示。重いドラムとサビのリフレインが心地良いミドルチューン「アローン」も素晴らしい限りだ。危なっかしいピュアネスを背負った「逃げるなよ、少年!」も3人のシンガロングが爽快感抜群で、「夏の奇跡」で終わると思いきや「あと50秒あったから最後にもう一回!」とおかわり「モーソー」をぶっ込むなど、最後の一秒まで魅了したKALMAだった。そして、ここからの右近ステージはレジェンド級のライブアクトが続く。青い光に包まれたKBSホールにG-FREAK FACTORYが現れるや、自ずと沸き立つ満場のクラップ。言葉を交わさずとも会場一体となって作り上げられていく「Too oLD To KNoW」から、茂木洋晃(Vo)が雄たけびを上げれば、見渡す限りの拳が目の前を埋め尽くす。理屈抜きに魂でつながる大合唱の中、「Fire」でも厳かなギターの音色とリリックが心臓を突き上げる。かと思えば「REAL SIGN」の躍動するビートとリフにたぎる高揚感と、体の奥底に侵食し命を沸騰させる唯一無二のパフォーマンスには、ただただひれ伏すのみ。G-FREAK FACTORYMCでは「ROTTENGRAFFTYとオーバーエイジ枠でこの場所をようやく勝ち取ってます(笑)」(茂木、以下同)とユーモアを交えて言ってのけ、「らしくあれと」を切々と届けていく。続いて、「人間は忘れます。忘れるから生きていける。でも、忘れられないくらい強烈な思い出を作ることができないかなと、今日も俺はステージに立ってます。音楽という平和な武器を使って、皆さんと一緒に1ミリでもいいから何かを分かち合って……トラウマになるぐらい最高な思い出、KBSホールで作って帰ってください!」と、8月15日=終戦の日を前に決して当たり前ではない平和を思い、「ダディ・ダーリン」を歌い上げる。楽曲でもMCでもとにかく心にブッ刺さるメッセージの連続で、「20代ではかなく散るのがバンドだと思ってた。ところが俺はもうすぐ50歳。まだやれてる。まだ行こうとしてる。どんなにみっともなくても、必ずまた会いに来ます。ありがとうHakubi!」と、「GOOD OLD SHINY DAYS」でも絶えず絶景を生み出し続けたG-FREAK FACTORY。Hakubiに「10-FEET、ROTTENGRAFFTYをとっとと超えろ!」と熱いエールを送った、いまだ前進する群馬の雄の誇り高き伝説は、まだまだ終わりそうにない。一方、左近ステージでは、滋賀発のソロアーティストHyugaが、「この景色を日本中のフェスで当たり前にしていくので」と宣言し、「舞台は晴れ」「慕詩手帳」と切なる思いを刻み付けたフロウを放射。いかんともしがたい感情に打ちひしがれながらも、このままでは終われないと未来に手を伸ばすように、そのうそ偽りのないエモーションが問答無用に訴えかけてくる。親友のために書いたというウエディングソング「愛来る」にすら、彼の生きざまがにじみ出る。Hyuga「どんな思いでここまでたどり着いてくれたか計り知れないけど、出会ったことには必ず意味があると思うんです。どんなに時間がかかったとしても、それに気付くためにこれからも歌っていこうと思います」と誓った「26」や「蒼く燃える」しかり、彼にとってのMCはもはや詞であり願いである。シームレスなトラックに紡いだHyugaの人生劇場、ラストはその名も「セカンドステージ」。一人の表現者の紛れもない再生の地点がそこにはあった。全くの助走なしでこの日のピークに瞬時に到達したさすがのROTTENGRAFFTYは、「秋桜」「D.A.N.C.E.」の2連発からエグいぐらいの盛り上がり!右近ステージを熱狂の渦に巻き込み、トップスピードで天井知らずの熱気を引き上げていく。分かっちゃいたが、Hakubiはとんでもないラウドモンスターを自らの出番の前に据えてしまった……そんな敗北感に襲われそうな「ハレルヤ」の破壊力たるや壮絶極まりない。「ハッキリ言ってHakubiのイベント、もっともっとテンションが高いと思ってました。京都のロットンが来てんねんぞ。お前らのホンマの顔を見せてくれ!」(NOBUYA・Vo)とオーディエンスのアドレナリンを一滴残らず絞り出し、「THIS WORLD」に突入。KBSホールがぶっ壊れそうな音圧でモノの違いを見せつける、ROTTENGRAFFTY最狂にして最強!ROTTENGRAFFTY「Hakubiは『ポルノ超特急』もとい『響都超特急』、ツアーにも出てくれて、やっと恩を返せました。『京都藝劇』、死ぬまでやり続けてください。でもな、京都は難攻不落。テッペン獲るにはまだまだまだまだ……!」(N∀OKI)見る者に安息など与えない間髪入れずの爆裂「零戦SOUNDSYSTEM」のめくるめく重低音にぶちのめされ、和テイストの轟音頭「響く都」に踊らされ……。脳天直撃のハイボルテージアンセム「金色グラフティー」ではダイバーが大量発生!「京都のバンドには、俺らは絶対に負けません。いつまで経ってもライブハウス最強バンドはROTTENGRAFFTYやと言わせるぐらい、これからもやっていくんで」(NOBUYA・Vo)と言い切った京都の途方もなく高くて厚い壁が、鋼の背中を見せてくれたすさまじいライブだった。TETORAと共に『京都藝劇』に再度出演を果たした稀有な存在であるBrown Basketが、左近ステージのトリを任された理由。初っぱなの「BY MY SIDE」から灼熱と化したフロアが、その期待と気合いを十分に表していた。Hakubiと地元京都で切磋琢磨してきた彼らが、「俺らと一緒に心も体もぶっ飛べるヤツがどれだけおんねん?踊ろうぜ!」(岸本和憲・Vo / G、以下同)と「ROLLING」を放り込む!Brown Basket2年ぶりとなる『京都藝劇』で、その時間分の経験を音にしたポップソング「こころのこり」は、オーバーグラウンドへのポテンシャルをひしひしと感じさせる一曲。「Hakubiのマツイが好きだと言ってくれた、こんな日の歌」という「TVCM」を起爆剤に、「今の俺らの方が2年前より間違いなくカッコいいんで。左近ステージじゃ物足りねぇよな?向こうのステージに行くぞ!その夢が一つあるだけで、俺らとあなたがまた会う理由がある」と、トドメは「もうひと頑張り」~「切に願う」!汗だくでHakubiにバトンを渡したBrown Basketの渾身の全6曲だった。約6時間にわたり音楽という絆がつないだ『京都藝劇 2023』を締めくくるべく、真打ちのHakubiがゆっくりと右近ステージへと現れる。ひずんだギターを奏で、「『京都藝劇』、本当に最高です。生半可な気持ちじゃ呼べないメンツで今日は開催しました。京都Hakubi、よろしくお願いします!」と片桐が叫べば、それと響き合う咆哮が方々から発される。静かで力強い「光芒」から、時間をかけて『京都藝劇』という空間を、信念を積み上げてきたHakubiの迫真の演奏に魅せられる。閃光を背にした「ハジマリ」ではエッジィなギターが空を切り裂き、スリリングな同期の旋律と人力のリズムが見事に溶け合う「Eye」では、Hakubi流のダンスナンバーにKBSホールが揺れる!Hakubi「今日はメンバー全員で右近ステージと左近ステージをずっと回ってたので、声を出し過ぎて息が切れてしまって……(笑)。心のこもった、血の通った一日にしたいなと思ってたんですけど、本当に素晴らしい一日になりました。音楽をやってて良かったなと思います。いろんなことがつながって今日になって、今日もまたいつかにつながるかもしれない。全員の光になれますように、いつか私たちの輝きがあなたを照らしますように」(片桐、以下同)熱演続きの『京都藝劇 2023』のつかの間の清涼剤となるような「栞」には、観客も思わずじっと耳を傾ける。8月9日に配信リリースされたばかりの「拝啓」は、片桐が今は亡き祖母へとつづった新曲。ドラマチックなサウンドスケープに乗せた独白が胸を打つ。ここで、「絶対にまたHump Backを『京都藝劇』に呼びます。だからそのときにまた皆さんと会いたいです」と披露されたのは、ライブ活動の一時休止のため出演辞退となったHump Backの「星丘公園」のカバー。「Hakubiは最初、Hump Backのコピバンでした」というルーツからも、並々ならぬ覚悟で呼んだであろうバンドに捧げた一曲は、出演がかなわなかったからこそ聴けたワンシーンかもしれない。後半戦は「過去最大の一日、最高のメンツ、夢のような日だ。でも、もっと先へ!」と絶叫し、「夢の続き」を皮切りにライブでは鉄板の「mirror」へ。曲間では「いつか先輩たちを越えてみせると思って作った『京都藝劇』。ずっとずっとライブハウスでやってきた仲間がいるから。京都のバンドとしてここで歌ってる。また今年も『京都藝劇』、最高の日になったよ!」と矢継ぎ早に心情を吐露する片桐。「私たちは絶対に忘れないし、あなたたちも忘れない日になっていてほしいなと心から思います。どれだけ音楽にすがったっていいと思います。またこの先で音楽を通して会えますように。来年も『京都藝劇』を、必ず開催するので。コロナ禍にいつか歌えるように作った曲、去年は一緒に歌えなかった曲を……あなたがそこにいるって教えてくれ!」そんな希望が声となりKBSホールに降り注いだ「悲しいほどに毎日は」は、ようやくたどり着いた『京都藝劇』の真の姿を見るようで……得も言われぬ感動がエンドロールを彩っていく。アンコールでは、「私たちはまだ大ヒット曲を出せてないけど、いつか『京都藝劇』が大きくなったとき、一緒に歌ってほしい曲があるので」と、KBSホールの巨大なステンドグラスをバックに、TVドラマ『青春シンデレラ』主題歌「君が言うようにこの世界は」を贈る。続く「辿る」では片桐がモッシュピットにダイブ!「Hakubiはこういうことを全然したことがないから(笑)」と、見よう見まねでクラウドサーフするレアな一幕も。こうして『京都藝劇 2023』は、またも最高を更新し終了した。なお、今後のHakubiは、各地のフェスやLONGMAN、moon drop、Dizzy Sunfistらのツアーに参加後、11月4日(土) に東京・Zepp Haneda(TOKYO)、18日(土) に大阪・なんばHatchでワンマンライブ『賽は投げられた』を開催する。取材・文=奥“ボウイ”昌史撮影:翼、『京都藝劇2023』でHakubiが披露した「拝啓」のパフォーマンス映像が、HakubiのオフィシャルYouTubeチャンネルで1コーラス公開。また、11月開催の東阪ワンマンライブのチケット最終オフィシャル先行が8月17日(木) まで受付中。「拝啓」『京都藝劇2023』パフォーマンス映像<リリース情報>配信シングル「拝啓」配信中配信リンク:「拝啓」MV<ライブ情報>『賽は投げられた』11月4日(土) 東京・Zepp Haneda17:00 開場 / 18:00 開演11月18日(土) 大阪・なんばHatch17:00 開場 / 18:00 開演【チケット料金】価格:4,800円(税込)■最終オフィシャル先行受付期間:8月17日(木) 23:59までオフィシャルメンバーシップはこちら:<イベント情報>『MONSTER baSH 2023』8月19日(土) 香川・国営讃岐まんのう公園『Sky Jamboree 2023』8月20日(日) 長崎・長崎市稲佐山公園野外ステージ『WILD BUNCH FEST. 2023』9月18日(月) 山口・山口きらら博記念公園関連リンクHakubi Official Site::::チャンネル:
2023年08月15日今のシーン、次のシーンを切り取るオムニバスライブイベント『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend-』の第12回が、7月25日渋谷WWWXで開催された。今回の出演は、Ryu Matsuyama、SennaRin、ヒグチアイの3組。バンドで、ソロでと形はちがえども各自の音楽を追求する3組の共演は、それぞれのファンにとって新しい発見にもなった。各ステージ短い時間ではあったが、その魅力を伝える一夜になった。トップバッターとして登場したのは、まるで個人名のようだが、イタリア生まれイタリア育ちのRyu(Piano/Vo)、Tsuru(Ba/Cho)、Jackson(Ds/Cho)というピアノトリオバンド、Ryu Matsuyama。ライブはRyuの力強いボーカルとピアノではじまる「Thinking Better」からスタートした。軽やかで変則的なビート、歌に寄り添いながらアクセントをつけるベースラインと、TsuruとJacksonのコーラスで繊細なハーモニーを織り成すメロディ。シンプルな音の構成でいて、そこにはロック、フォーク、ソウル、ジャズやダンスミュージック要素など複雑に溶け合ったサウンドが刺激的で、何より白昼夢的な美しさを持ちながら郷愁を帯びたメロディが心をとらえる。Ryu(Ryu Matsuyama)続く「Domus」で、Ryuが美しいファルセットでフォークロアなメロディを紡ぎあげ、冒頭の2曲で観客を桃源郷へと連れ立っていった。ステージから心地よい風が吹いてくる感覚で、観客はその甘美なアンサンブルを全身に浴び、3人に大きな拍手を送る。多幸感の中でプレイされた5月にリリースした最新シングル「I am here」は、よりアンセミックに、熱を帯びたメロディで、フロアを静かに確かに高揚させていった。Tsuru(Ryu Matsuyama)改めて自己紹介をし、FUJI ROCK FESTIVALなど近々のライブ出演のアナウンスをしたRyu。今年11月18日には約2年ぶりとなるワンマンライブ『ATOMS』の開催も予定している。そんなMCの後にプレイしたのは、どこか北欧的な凛としたハーモニーと、ベースのグルーヴが効いた「snow」を披露した。連日、体温越えの猛暑を更新し続けている今夏だが、このフロアだけはひんやりとした、澄んだ空気をまとった感覚だ。Jackson(Ryu Matsuyama)そしてこの音楽を通しての旅も、早くも終盤。ラスト2曲は、昨年リリースしたアルバム『from here to there』から披露された。「大切な人を思いながら聴いていただければ」(Ryu)という言葉でスタートしたのは「hands」。コロナ禍を経験したことでより鮮明になった何気ない日常や人との繋がり、当たり前にあると思っていたものの儚さなど、この数年が織りなした心の機微とエバーグリーンな尊さを綴ったアルバムの中でも、日本語詞で語りかけるように歌う「hands」。そして力強い鼓動のようなビートをクレッシェンドしていく「yet」で、この先に続いていく旅を祝福するようなエネルギッシュな歌を響かせて、そのステージを終えた。Ryu Matsuyama続いて登場したのは、作曲家・澤野弘之(数々の映画やドラマ、アニメ『機動戦士ガンダムUC』『七つの大罪』『進撃の巨人』などの劇伴を手がける)プロデュースで昨年デビューを果たしたSennaRin。10代の頃より自身のYouTubeチャンネルでカバー動画などを発表してきた新世代シンガーであり、国内だけでなくSennaRin from SawanoHiroyuki[nZk]としてサウジアラビアやベトナムでのイベントにも出演し、この『CLAPPERBOARD』直前にも上海でライブを行うなど国内外で活動をするアーティストだ。今回のステージでは、同期音源での歌唱のほか新たなスタイルでそのボーカルや音楽の魅力を伝える、試みのあるセットとなった。「Dignified-IN」が流れ、歓声や拍手に迎えられ登場したSennaRin。照明に浮かぶブルーヘアが神秘的で、静かに息を吸い込んでスタートしたのは「透明な惑星」。打ち込みのビートにスモーキーな声が映える抑えたボーカルから、サビで大きく広がって躍動していく歌声に、フロアはゆらりと体を揺らし、また手を左右に振って応える。SennaRin「SennaRinです、今日は楽しんでいきましょう!」の声に続いたのは「Limit-tension」のグルーヴィなダンスチューン。躍動するベースの低音と絡み合うようなリズミカルなボーカルがハンドクラップを起こし、エモーショナルに熱を帯びていく歌声にフロアのテンションも高まっていく。低音ではハスキーで柔らかさがあって、高音になるほどに透明感や輝きを増していく声は、曲の物語を引き立てる。自己紹介の後に歌ったバラード「melt」では、そのふくよかな表現で観客を酔わせ、続くアッパーな「BEEP」では晴れやかな歌で、観客を揺らしていった。後半は、昨年10月、この渋谷WWWXで行った初のワンマンライブでのサポートメンバーも務めたギタリスト伊藤ハルトシを迎え入れ、アコースティックギターと歌という編成でのステージとなった。こうしてギターと一対一で行うライブは初だという。観客が息を呑む中で奏でたのはアニメ『機動戦士ガンダムUC』のサウンドトラックに収録された「Sternengesang」のカバーであり、SennaRinが日本語詞の作詞を手がけた「yet.」。YouTubeチャンネルでは澤野弘之によるピアノと、伊藤ハルトシのギター&チェロという編成によるスタジオライブが公開されているが、それともまた一味ちがう歌心が冴える。ギターと歌とで、魂をぶつけ合うようなプレイに圧倒されたのは、続く「Till I」。美しい緊張感があるSennaRinのブレスに、観客の心拍がシンクロしていくような濃密な空間が生まれ、フロアがその歌の世界へと飲み込まれた。そしてラストはTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』のエンディングテーマでも話題となった「最果て」。オリジナルはシンセが印象的なダンサブルなサウンドだが、このアコースティックバージョンは物語の叙情性がフィーチャーされ、またメロディや自由なフェイクが聴き手にパーソナルに語りかけるものとなった。ステージでは、今年10月7日(1007=センナの日)に2度目となるワンマン『SennaRin 2nd ONE MAN LIVE“Qv(キューブ)”』を渋谷SPACE ODDで開催することをアナウンスしたSennaRin。新たな試みでも魅せた今回のライブで、また新たなファンも掴んだステージとなった。この日、最後にステージに立ったのは昨年人気アニメ『進撃の巨人』The Final Season Part2エンディングテーマ「悪魔の子」で、その存在を国内外にも一気に知らしめることになったシンガー・ソングライター、ヒグチアイ。ピアノ弾き語りやバンドセットなど様々な形態でライブを行っているが、今回はピアノ弾き語りによるステージであり、さらに多くの新曲を交えたスペシャルなセットとなった。ピンスポットに照らされたっぷりと前奏を奏で、フロアのひとりひとりにその歌を語るようにスタートしたのは、2020年に発表した「東京にて」。このWWWXがある渋谷の光景、ちょうど東京オリンピック開催を控えて刻々と変化していく街並みと、そこで人々が織り成す暮らしを綴ったこの曲。コロナ禍にも突入してどこか根無し草になったような感覚を味わいながらも、そこで踏ん張って生きていく姿を淡々と見つめるように、また時に讃えるように歌うメロディが優しい。心の底に触れるような鋭利な視点で綴った歌と、キャッチーな言葉の奥に渦巻くドラマを饒舌にすくいあげるピアノの音色が感情をかきたてて、自分の内にある何かを引っ張り出される感じがある。いつの間にかその歌と一心同体となったようで、観客は言葉のひとつひとつをかみしめステージに食らいついているようだ。ヒグチアイそんな緊張感を解くように、「暑かったですね、今日」とフロアに柔らかな笑みを向けたヒグチアイ。そして今日は新曲もたくさん演奏するので、それぞれの楽しみ方で見ていってほしいと伝えると、早速新曲「自販機の恋」を披露した。発売日は未定だが、この秋公開の映画主題歌になっている「自販機の恋」は軽やかなポップさで観客を揺らす。そこに続くのはリリースされたばかりのラブソング3部作第1弾「恋の色」だ。名付けようのない心の動きをドラマティックなメロディで歌い上げる曲には拍手が上がり、またそこに続いた「悲しい歌がある理由」は一転して、静かにその歌に耳をすます。5分ほどの曲の中に編み込まれた不器用な人生のあれこれが、胸にしまっておいた苦い思いや古傷を呼び覚ますが、その歌は毛羽立った心をさらりと癒す。前半からめまぐるしい感情のジェットコースターに乗った気分だ。そして後半にも、こちらもこれから公開の映画に書き下ろされた新曲「この退屈な日々を」を披露した。リズミカルなピアノで描いていく、長く一緒にいるからこそのふたりの空気感が心地よい。みんなが楽しそうにしている夏が好きだとMCで語ったヒグチアイ。「夏が短いと感じてしまうのは、きっと何もしなかったからだと思い、夏だからこそのことをどんどんやってほしいし、今年しかできないこともどんどんやってみてください」と語ると、最後は「やめるなら今」をアグレッシヴに、パーカッシヴに鍵盤を打ち鳴らして力強い歌声を遠くまで響かせていった。この夏は、8月12日の神宮外苑花火大会でのステージのほか、9月10月にはバンドセットによるワンマンライブ「HIGUCHIAI band one-man live 2023“産声season2”」を東京と、故郷である長野で行う。3組、3様のステージとなった『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend- vol.12』だが、それぞれにこの先大きなステップを踏んでいくだろう予感と期待を、たっぷりと音楽で表現した一夜となった。Text:吉羽さおりPhoto:新保勇樹<公演情報>『CLAPPERBOARD -Enjoy the Weekend!- vol.12』7月25日(火) 東京・WWW XSET LIST■Ryu Matsuyama01. Thinking Better02. Domus03. I am here04. snow05. hands06. yet■SennaRin01. Dignified-IN02. 透明な惑星03. Limit-tension04. melt05. BEEP06. yet.07. Till I08. 最果て■ヒグチアイ01. 東京にて02. 自販機の恋(新曲)03. 恋の色04. 悲しい歌がある理由05. この退屈な日々を(新曲)06. やめるなら今『CLAPPERBOARD』オフィシャルX(Twitter):
2023年08月04日BUCK-TICKが、全国ツアー『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』東京ガーデンシアター2日目公演を7月23日(日) に開催。そのオフィシャルレポートが到着した。今年4月からスタートしたBUCK-TICKの全国ツアー『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』。新幹線の運休により延期になった名古屋公演が9月に振替になったものの、BUCK-TICKにとって初の会場である7月22日・23日東京ガーデンシアターで千秋楽を迎えるのがスタート時の予定だった。しかし23日の終演後に観客に配布された号外で、9月17日(日) ・18日(月・祝) にメンバーの故郷・群馬音楽センターにて追加公演『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- FINALO』を開催することが発表された。“FINALO”ということは、この日が最終公演となるのか。千秋楽のレポート取材だと思って東京ガーデンシアターに入ったのだが、これは嬉しい誤算である。なんと鮮烈に生と死を描くのだろうかと圧倒された。これまでも“生と死”はBUCK-TICKの重要なテーマとして、その根底にあった。生と死への畏怖や憧憬を、時には心身を削るような痛みを伴うほどの凄烈さで表現してきたのだが、このツアーでは『異空 -IZORA-』を中心に、楽曲の中に生きる主人公達の運命を、雄弁な歌と演奏、圧巻のパフォーマンス、そして鮮やかな映像で表現していた。その物語の解釈は、観た人の数だけ存在するだろう。たとえば筆者はこんなストーリーを思い浮かべた。『異空 -IZORA-』収録の「ワルキューレの騎行」や「THE FALLING DOWN」に登場するアダムとイヴは、禁断の実を食べたことで“いつか必ず死ぬ”という運命を背負った。原罪を背負って生まれてきた我々は、その罰もまた、等しく背負っている。限りあるその命の中で、あなたはどう生きるだろうか? 全篇を通してそんなことを問われているように感じた。数奇な運命を辿る主人公の物語は1曲目から始まっていた。SEの「QUANTUM I」でステージに登場した今井寿(G)、星野英彦(G)、樋口豊(B)、ヤガミ・トール(Ds)が定位置についた頃、上段のセンターに櫻井敦司(Vo)が登場。黒いハットに黒いマラボーを巻き、両手を広げてうなだれる姿は、背景のスクリーンに映し出された案山子そのもの。ギターのアルペジオに悲哀を、歪んだベースにやりきれない怒りを滲ませた「SCARECROW」では、どこへも逃げられない絶望を歌う。櫻井敦司(Vo)「ワルキューレの騎行」では、騎行する足音のように一定のリズムを刻むバスドラに合わせてクラップが沸いた。同期によるオーケストレーションが鳴り響く間奏では、ステージの両端でギターを弾かずにフロアを見渡す今井と星野。その様子はまるで生者と死者を審判するワルキューレのごとく冷ややかで、がなるように“殺してくれ”と歌った櫻井は階段の上に仰向けに倒れ、天を仰いだ。「IGNITER」ではヘヴィなサウンドで轟々と燃え盛る太陽をイメージ付け、「唄」では“生きてる証が欲しい”と叫ぶ。櫻井が甘い声で「ハロー、ダーリン。ハロー、ベイビー。楽しんでいってね」と言ったのは、そんなシリアスな4曲が続いた後のことだった。似つかわしくない声色に、ふっと気が緩んだのも束の間、8つのトーチに火が点り、甘美かつオリエンタルなアンサンブルの「愛のハレム」へ。妖艶なメロディで倒錯の世界へと誘った。樋口豊(B)一方、世界の向こう側には葛藤を抱える兵士がいる。郷愁を誘う牧歌的なヴァイオリンのメロディから始まった「さよならシェルター destroy and regenerate-Mix」では、愛しい我が子を安全なシェルターに送り、戦場に向かう兵士の姿を描く。銃を捨てた兵士は、シェルターに我が子を迎えに行き、優しく抱きしめた。回を重ねる度に完成度を高めていった櫻井の一連のパントマイムは、観る者の心を惹きつけ、多くの感動を呼んだ。「お父さん、お母さん、雨が降るよ。今夜も光ってる。綺麗な雨が」というセリフから入った「Campanella 花束を君に」では、無垢な子供の目を通した戦時下の風景を、軽やかに弾むヴォーカルで歌い上げた。そして、海辺では人間に恋をした人魚姫が一人。恋のためなら命を散らしても構わないと、太ももをチラチラと見せながら逞しく突き進む「THE SEASIDE STORY」の歌声は、眩しいくらい生命力に満ちていた。BUCK-TICK流シティポップと呼ばれる「無限 LOOP -LEAP-」では、サンバのリズムと幻想的なサウンドで夢と現実の境を曖昧にしていく。「いつまで続く?死ぬまで続く。いや、死んでも続く。亡霊になってもやってやる」。自分に言い聞かせるような櫻井の語りに、会場からは大歓声が上がり、その勢いのまま「あの娘が待ってる。楽しんでいこうぜ」と「Boogie Woogie」へ。バンド初期の光景や思い出をなぞるロックチューンに、自然とフロアのテンションも上がる。今井が奏でるテルミンのとんがったサウンドや、スクリーンに映るライヴハウスらしき部屋の壁に『殺シノ調べ』や『Six/Nine』など過去のアルバムのジャケットがコラージュされていたのも印象深かった。星野英彦(G)続く「野良猫ブルー」では、猫の鳴き声のような音をあげる今井のギターに、「ミャオ!」「シャー!」と反応する櫻井。樋口のアップライトベースによる太く柔らかい音の上を、ピアノとヴォーカルがブルージーに絡み合う。歌い終わり、暗くなったステージに小さく「ニャン!」と一声、ブルーの鳴き声が響いた。物語は凄絶なクライマックスへ物語はいよいよ終盤へと向かう。気怠げに歌う今井と、拡声器で叫ぶ櫻井のツインヴォーカルの「THE FALLING DOWN」でボルテージを一気に上げると、「もっともっともっと!モアモアモア!」と煽りながら、アッパーチューン「Jonathan Jet-Coaster」へ。『memento mori』(2009年)収録のこの曲は、“反戦の歌”だと語られていた。盛り上げるためだけにここにセットされたわけではないことがわかる。今井寿(G)そして「見ろよイカロス、あれが太陽だ」とウィスパー混じりの語りから「太陽とイカロス」へ。疾走感のあるサウンドに乗って、主人公の乗った機体は、人魚姫のいる海も、愛のハレムも飛び越え、轟々と燃え盛る太陽へと突き向かうのだ。エンディング、真っ赤な太陽に向かって両手を広げて向かい合う櫻井の姿が、目に焼き付いて離れない。両手を広げて、案山子にも天使にも比翼を持った機体にもなる櫻井を見て、「彼は両手を広げて何を願うのだろうか。銃を構えた手で愛しい我が子を抱きしめることへの許しだろうか。多様性への受容だろうか。LOVE&PEACEだろうか。」と4月の初日公演のレポートに書いたのだが、その答えは本編ラストの「die」にあった。「I want to die. I want to live.」。そのメッセージが何度か繰り返された後、「die」の演奏が始まった。太陽に向かって飛び立った主人公は、やがて肉体を離れ、精神世界へと突入する。大きな曼荼羅をバックに、彼は両手を広げ、“全てを許したい”と願うのだ。生命が燃え尽きる最期を飾るように、ジャンジャンジャンジャンと力強く響く音の塊を聴きながら、白逆光の中、ハットを被り、この世に別れを告げるようにして櫻井はステージを降りた。なんとも凄絶なエンディングだった。鳴り止まないアンコールに応えて、ステージに現れたのはヤガミ・トール。ドラムソロでヤガミが打ち鳴らすリズムは、まるで夏の夜空を彩る打ち上げ花火のようだった。ヤガミ・トール(Ds)アンコール一曲目のバラードナンバー「世界は闇で満ちている」を奏でるメンバーは、本編の壮絶なストーリーを後世に伝える語り部のような佇まいで、“でも世界は何も変わらないだろう”と歌う。「クライマックスをご一緒なさらない?」というMCの後、「CLIMAX TOGETHER」や「MISTY ZONE」のロックチューンで盛り上げたところで、ダークなミディアムナンバー「凍える」でフロアをクールダウン。そしてこのツアーのもう一つのハイライト「ヒズミ」へ。静まり返ったフロアに向けて「今夜も静かなのね」とまずは一声。「私の名前はヒズミ、ヒズミと言います。今夜も好きなお洋服を着て、好きなお化粧をして、ただ生きているだけなのに、いろんな人が笑います。顔の見えない人が笑います。お父さん、お母さん、ありがとう、愛してる。お父さん、お母さん、さようなら」。曲に入る前のこの独演は、「私の名前はヒズミ。ヒズミって言います」の一言だった初日公演から、その表情や仕草とともに段階を経て進化してきた。自分の生を呪うかのように虚無感漂う表情で歌う「ヒズミ」の行く末を、誰もが祈らずにはいられなかった。それほどまでに真に迫るパフォーマンスだったと言える。アンコールラストは「名も無きわたし」。櫻井が肩にかけた着物の裾を大きくひるがえすと、スクリーン一面に色とりどりの花びらが舞い散った。会場内の全ての人の背中を優しく押してくれるような、優しく包み込んでくれるような、力強くて温かいエンディングとなった。BUCK-TICKが音楽を鳴らし続ける限り、生きていたい。このツアーを体感した人たちの多くが、帰り道にこんなことを思ったのではないだろうか。大げさではなく、そんなふうに思う。「暗いアルバム」だとメンバーが評していたアルバム『異空 -IZORA-』は、ツアーを通して生きる光となり、糧となった。そして9月17日(日)・18日(月・祝)、彼らの地元・群馬音楽センターで開催される『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- FINALO』でデビュー35周年を締めくくり、新しいタームへと向かうBUCK-TICKの未来を大いに期待している。Text:大窪由香Photo:田中聖太郎<公演情報>『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』7月23日(日) 東京ガーデンシアターセットリストSE. QUANTUM I1. SCARECROW2. ワルキューレの騎行3. IGNITER4. 唄5. 愛のハレム6. さよならシェルター destroy and regenerate-Mix7. Campanella 花束を君に8. THE SEASIDE STORY9. 無限 LOOP -LEAP-10. Boogie Woogie11. 野良猫ブルー12. THE FALLING DOWN13. Jonathan Jet-Coaster14. 太陽とイカロス15. dieEN1. 世界は闇で満ちている2. CLIMAX TOGETHER3. MISTY ZONE4. 凍える5. ヒズミ6. 名も無きわたしSE. QUANTUM II<リリース情報>BUCK-TICK LIVE Blu-ray&DVD『THE PARADE 〜35th anniversary〜』9月13日(水) リリースBUCK-TICK『THE PARADE 〜35th anniversary〜』ジャケット●Blu-ray完全生産限定盤【2BD+4SHM-CD+PHOTOBOOK】15,400円(税込)●DVD完全生産限定盤【2DVD+4SHM-CD+PHOTOBOOK】14,300円(税込)●Blu-ray通常盤【2BD】7,700円(税込)●DVD通常盤【2DVD】6,600円(税込)【収録曲】■DISC1『THE PARADE 〜35th anniversary〜 FLY SIDE』SE. THEME OF B-T01. ICONOCLASM02. BABEL03. 唄04. 月下麗人05. 舞夢マイム06. 狂気のデッドヒート07. 禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-08. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)09. 楽園10. REVOLVER11. ゲルニカの夜12. さよならシェルター13. Go-Go B-T TRAIN14. Memento mori15. New WorldSE. ツクヨミ16. Django!!!-眩惑のジャンゴ-17. 惡の華18. ILLUSION19. 恋20. 夢見る宇宙21. SolarisSE. PARADE after dark■DISC2『THE PARADE 〜35th anniversary〜 HIGH SIDE』SE. THEME OF B-T01. エリーゼのために02. BABEL03. Tight Rope04. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ05. MOONLIGHT ESCAPE06. ダンス天国07. BOY septem peccata mortalia08. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)09. 楽園10. REVOLVER11. ゲルニカの夜12. さよならシェルター13. Go-Go B-T TRAIN14. ROMANCE15. New World16. ANGELIC CONVERSATION (2022MIX)17. 惡の華18. HEAVEN19. 忘却20. 夢見る宇宙21. 鼓動(2022MIX)SE. PARADE after dark【完全生産限定盤特典(Blu-ray / DVD共通)】・LIVE TRACKS CD4枚組付属 ※すべてのCDプレーヤーで再生できる高品質CD「SHM-CD」を採用・全64Pフォトブック付属・スペシャルパッケージ仕様・マルチアングル「狂気のデッドヒート」「BOY septem peccata mortalia」収録【店舗別特典】■TOWER RECORDS 全国各店 / TOWER RECORDS ONLINE限定特典オリジナルクリアファイル(A4サイズ)■HMV全国各店 / HMV & BOOKS online限定特典オリジナルマグネットシート■楽天ブックス限定特典オリジナルステッカーシート(A5サイズ)■セブンネットショッピング限定特典オリジナルポストカードセット■VICTOR ONLINE STORE限定特典オリジナルアクリルキーホルダーご予約はこちら:Blu-ray完全生産限定盤完全生産限定盤通常盤通常盤<ライブ情報>『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- FINALO』9月17日(日) 群馬・群馬音楽センターOPEN 17:00 START 18:00全席指定:11,000円(税込)9月18日(月・祝) 群馬・群馬音楽センターOPEN 17:00 START 18:00全席指定:11,000円(税込)■W会員先行受付受付期間:7月26日(水) 12:00~8月8日(火) 14:00■ファンクラブ会員先行受付期間:8月9日(水) 12:00~8月16日(水) 14:00■モバイル会員先行受付期間:8月9日(水) 12:00~8月16日(水) 14:00■一般発売:9月2日(土) 10:00〜特設サイト:ライヴハウスツアー『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- ALTERNATIVE SUN』10月20日(金) 神奈川・KT Zepp YokohamaOPEN 17:30 / START 18:301F立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別10月26日(木) 愛知・Zepp NagoyaOPEN 17:30 / START 18:301F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別10月28日(土) 福岡・Zepp FukuokaOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別11月4日(土) 大阪・Zepp Osaka BaysideOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別11月12日(日) 北海道・Zepp SapporoOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別11月19日(日) 東京・豊洲PITOPEN 17:00 / START 18:00全立見:9,000(税込)※ドリンク代別12月2日(土) 宮城・仙台GIGSOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別※WEBのみ12月9日(土) 東京・Zepp HanedaOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別■一般発売:8月12日(土) 10:00〜特設サイト:ファンクラブ会員限定ライヴ『FISH TANKer’s ONLY 2023』10月19日(木) 神奈川・KT Zepp YokohamaOPEN 17:30 / START 18:301F立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別11月3日(金・祝) 大阪・Zepp Osaka BaysideOPEN 17:00 / START 18:001F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別11月18日(土) 東京・豊洲PITOPEN 17:00 / START 18:00全立見:9,000円(税込)※ドリンク代別12月8日(金) 東京・Zepp HanedaOPEN 17:30 / START 18:301F立見・2F後方立見:9,000円(税込)2F指定:10,000円(税込)※ドリンク代別特設サイト:『Yagami Toll ~61st Birthday Live~ IT’S A NOW!2023』8月19日(土) 東京・下北沢Shangri-LaOPEN 17:00 / START 18:00出演:Yagami Toll & ゆかいな仲間たち全立見:6,100円(税込)※ドリンク代別関連リンクBUCK-TICK オフィシャルサイト デビュー35周年記念特設サイト: Sounda LABEL SITE オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルYouTubeチャンネル 楽曲配信リンク:
2023年07月28日世界的人気のガールズバンド・BAND-MAIDが結成10周年を記念し開催しているツアー『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)』KAWASAKI CLUB CITTA’公演を7月19日(水) に行い、チケットはSOLD OUT、大盛況のなかツアー前半戦を終えた。2023年に開催された関東圏のお給仕(ライブの呼称)では、東京ガーデンシアター、ZEPP SHINJUKU公演ともにチケット完売となっていたBAND-MAIDなだけに、この日のKAWASAKI CLUB CITTA’公演は入手困難なプラチナ・チケットとなっていた。本ツアーから一新となったSEに併せて、小鳩ミク(G, Vo)、SAIKI(Vo)、KANAMI(G)、MISA(B)、AKANE(Ds)が颯爽とステージに登場すると、“世界征服”を目標に掲げ邁進するBAND-MAIDの名刺代わりとも言える1曲「DOMINATION」からスタート。会場に集ったご主人様・お嬢様(ファンの呼称)も冒頭から拳を突き上げ、歌詞中にある“Hello”の大合唱が早速巻き起こる。本年から声出しOKとなったこともあり、今までのフラストレーションを昇華するかのように、会場の熱気も1曲目から最高潮に。「glory」「Carry on living」などKANAMIのテクニカルなギターリフが印象的な楽曲を畳み掛けるように披露すると、「Liberal」ではAKANEのツインペダルから繰り出される高速ビートが冴え渡るなか、テンポチェンジ、変拍子と目まぐるしい展開でも安定したリズムで演奏を支えていく。SAIKIが一度ステージを後にすると、小鳩ミクがメインボーカルをとる「Rock in me」へ。この曲ではギターを置き、ハンドマイクでステージを右へ左へ歩みながら歌い上げる小鳩ミク。「声を聞かせてっぽー」と会場へおねだりすると、“Hey Hey”と掛け声が大きくなっていく。会場が和んだところで一転、小鳩ミクがマイクを置きギターを再び手に取ると、インストゥルメンタル曲「from now on」へ。さきほどまでのチャーミングな歌唱からガラッと変わり、キレのあるリズムギターを掻き鳴らす。BAND-MAID結成後に初めてギターを手にしたという小鳩ミクだが、ツインボーカルの一人としてだけではなく、ギタリストとしてもこのバンドになくてはならない存在になったことで、BAND-MAIDがお給仕でより幅広いアプローチができるようになったことを実感する。再び登場したSAIKIも「かっこよかったね、みんな」とメンバーを絶賛。「MCのときと大違い。笑」と、演奏とMCのギャップを自らいじっていく。結成10周年を迎えられた喜びを語るなか、演奏中はクールな表情で激しい演奏を繰り広げるMISAが、このときばかりはあふれる笑顔で「家族だもんね!」とメンバー同士の仲の良さを嬉しそうに話すなど、BAND-MAIDの結束力の強さがMCからも伝わってくる。2022年のアメリカツアー時に作曲し帰国後形にしたというバラード曲「Memorable」では、暗転したステージにメンバーを照らす柔らかい光が射し込み、会場はあたたかい空気に包まれる。ピアノとストリングスをバックにSAIKIがしっとりと歌いはじめた「Daydreaming」など、激しいロックだけではなく、伸びやかなSAIKIの歌声が堪能できるミディアム・ナンバーも名曲揃い。BAND-MAIDの作曲のほとんどを手掛けるKANAMIのソングライティング力もこのバンドの躍進を支えているひとつだとあらためて気付かされる。お給仕も終盤にさしかかったところで、「DICE」の演奏終わりからそのままAKANEのドラム・ソロへ突入して始まった「HATE?」を披露。セッションを組み込んだスペシャル・ヴァージョンとなっており、MISAの唸るベース・ソロとKANAMIのメロディアスなギター・ソロの応酬で沸かせるなど、演奏力の確かさをこれでもかと見せつける。白熱したセッションの後は、小鳩ミクによる恒例のコールアンドレスポンスである「おまじないタイム」かと思いきや、この日はなんと、AKANEによる「おまじないタイム」も繰り広げられることに。小鳩ミクのコールに負けじと披露された、AKANEの普段のキャラクターとは異なる衝撃的な「萌え萌え、キュンキュン」コールとポーズに、大爆笑の会場とメンバー。十八番のコールを奪われがっくりとステージに倒れ込むポーズをする小鳩ミクだったが、ご主人様・お嬢様の応援コールで立ち直り、再び会場を盛り上げていく。SAIKIの「ラストスパート、行こうかー!」の掛け声を皮切りに、「FREEDOM」や骨太なミドルテンポの楽曲「Manners」をしっかりとした迫力ある歌声で歌い上げると、アメリカのフェスでもシンガロングが巻き起こったミディアム・ナンバー「endless Story」のイントロへと繋がっていく。この日も当然のようにシンガロングが巻き起こったが、会場から歌声が聞こえる箇所になると、ステージ後ろから客席へ向かって光が射し、会場に集まったご主人様・お嬢様を照らしていく。観客ひとりひとりの表情が見えていたのだろう、メンバーにも笑顔があふれると、頬を緩めたSAIKIが「最高―!」と叫ぶ。ラストは、お給仕の定番曲でもある「Screaming」「NO GOD」を全力疾走のまま演奏、約2時間20分にわたり、全23曲を披露しステージを締めくくった。なお、BAND-MAIDは8月2日には初となるベスト・アルバムを発売。8月4日には米国3大野外フェスのひとつ『Lollapalooza Chicago』出演に加え、メキシコ含む北米ツアーを8月に再度開催することが決定している。凱旋公演かつ10周年ツアーファイナルとなる神奈川・横浜アリーナ公演のチケットも各種先行販売を実施中のため、販売スケジュールをぜひチェックしてみよう。さらに、7月31日発売となる『BURRN!JAPAN vol.22』では表紙&巻頭大特集が決定、気になる表紙写真も公開となっているのでこちらもぜひチェックを。国内外を熱狂の渦に包み込むBAND-MAIDからますます目が離せない。Photo and Text by FG5<公演情報>『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)』7月19日(水) KAWASAKI CLUB CITTA’セットリスト1. DOMINATION2. glory3. alone4. Play5. Carry on living6. Balance7. Liberal8. Choose me9. Rock in me10. from now on11. Different12. Bubble13. anemone14. Memorable15. PAGE~intro16. Daydreaming17. DICE18. HATE? - session-19. FREEDOM20. Manners ~intro21. endless Story22. Screaming23. NO GOD<リリース情報>BAND-MAID『10th Anniversary Best Vol.1』8月2日(水) リリース価格:2,500円(税込)【収録内容】01. Thrill02. REAL EXISTENCE03. alone04. YOLO05. Don’t you tell ME06. Daydreaming07. Choose me08. DOMINATION09. DICE10. start over11. glory12. Bubble13. endless Story14. Different15. Warning!<リリース情報>BAND-MAID『10th Anniversary Best Vol.2』8月2日(水) リリース価格:2,500円(税込)【収録内容】01. Shake That!!02. the non-fiction days03. FREEDOM04. Puzzle05. secret My lips06. Play07. I can’t live without you.08. Rock in me09. Screaming10. Blooming11. 輪廻12. NO GOD13. After Life14. Manners15. Corallium<ツアー情報>BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR in North America※終了分は割愛『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR in North America』告知画像Aug 4 Chicago, ILLollapaloozaAug 6 Minneapolis, MNVarsity TheaterAug 8 Denver, COSummitAug 9 Salt Lake City, UTTHE DepotAug 11 Portland, ORCrystal BallroomAug 12 Spokane, WABing Crosby TheaterAug 14 Sacramento, CAAce of SpadesAug 15 Anaheim, CAHouse of Blues AnaheimAug 18 Mexico City, MXPABELLÓN OESTE詳細はこちら: 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)※終了分は割愛『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR(JAPAN)』告知画像9月2日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX9月3日(日) 石川・金沢EIGHT HALL9月22日(金) 岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM9月23日(土) 広島・広島CLUB QUATTRO9月30日(土) 香川・高松MONSTER10月1日(日) 愛媛・松山サロンキティ10月7日(土) 秋田・Club SWINDLE10月9日(月・祝) 宮城・仙台GIGS10月13日(金) 北海道・札幌PENNY LANE2410月15日(日) 北海道・小樽GOLDSTONE10月20日(金) 大阪・なんばHatch10月25日(水) 愛知・ダイアモンドホール11月26日(日) 神奈川・横浜アリーナ詳細はこちら:<ライブ情報>Lollapalooza Chicago 20238月3日(木)~6日(日) ※米現地時間BAND-MAIDは8月3日 Official After Show、8月4日本公演へ出演関連リンクOFFICIAL HP:::
2023年07月21日7月15日(土)・16日(日)・17日(月・祝) の3日間、5年振りに静岡県掛川市つま恋にて『ap bank fes ’23 ~社会と暮らしと音楽と~』が開催された。ここではそのレポートをお届けする。5年ぶりにつま恋に『ap bank fes』が帰ってきた。つま恋は『ap bank fes』のホームグラウンドとも言える場所だ。コロナによるパンデミックを挟んで、この5年、世界を取り巻く様々な情勢はより緊迫したものとなっている。そもそも同フェスは環境保全や自然エネルギーの促進など、我々により身近な問題を、音楽を通して実感し考えることをテーマに掲げている。その意味で「社会と暮らしと音楽と」というサブタイトルを新たに付記し、それが自然と受け入れられている状況は、ap bankの発足から20年、フェスも含めたその活動の重要性が増している証拠だと言える。小林武史(Key)、櫻井和寿(Vo&G) を中心としたBank Bandが登場し、『ap bank fes ʻ23』がスタートした。オープニングは「よく来たね」。〈今年もいっぱい遊ぼう 笑顔をいっぱいつくろう〉の歌詞が早くも会場を幸福感で満たす。このフェスの特徴は、独自のテーマを持っていることもそうだが、日本を代表するミュージシャンによるスーパーバンドであるBank Bandがホストを務めるパートがあるということが挙げられる。Bank BandSalyu(15日)、真心ブラザーズ(15日)、ハナレグミ(16日)、KREVA(17日) といった『ap bank fes』ではお馴染みのアーティストたちから、アイナ・ジ・エンド(16日)、⻑屋晴子/緑⻩色社会(17日) といった初出場の若手アーティスト、そして宮本浩次(15日)、小田和正(16日) まで、豪華ラインナップでのセッションが今回も実現した。KREVA⻑屋晴子宮本浩次が最後に披露した「東京協奏曲」では「会うたびにポジティブにしてくれる男」と櫻井を呼び込み、リスペクトが感じられる最高純度の“歌い合い”を目撃できた。『ap bank fes』への愛あふれる装いで登場した小田和正は、「たしかなこと」での櫻井とのハーモニーがとにかく美しく、シンプルに歌の力が伝わってくるパフォーマンスだった。「生まれ来る子供たちのために」はオフコース楽曲のセルフカバーでもあり、Bank Bandがカバーしたこともある名曲だ。最後の一節〈その力を与え給え 勇気を与え給え〉というフレーズが一筋の光のように会場に降り注いだ。宮本浩次小田和正また、アイナ・ジ・エンドは10月に公開となる主演映画『キリエのうた』の主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」を披露した。同映画の音楽を担当した小林武史との初ライブで見せたパフォーマンスは特筆に値するほど衝撃的だった。アイナ・ジ・エンド今回から加わったのは1日1組の[Individual Act]。Anly、チャラン・ポ・ランタン、MOROHAといった、オンリーワンなパフォーマンスを展開するアーティストが会場を沸かせた。チャラン・ポ・ランタンMOROHAまた、転換中にも新しい試みが行われた。ビジョンにはap bank発足のきっかけを作った坂本龍一や文化人類学者の辻信一など様々な識者や著名人の言葉が次々に映し出されていく。深く納得させられたり、新たな気づきを得たり、音楽を楽しみながらも考えることの大切さを実感させられる「言葉のリレー」だった。back numberは2日目と3日目にBand Actで登場した。音楽とこのフェスへのリスペクトに溢れるステージは、見ている者の心を鷲掴みにするものだった。エモーショナルとセンチメンタルを程よくブレンドしたメロディが夕空になったつま恋に溶けていく様は、まるで一編の映像作品のようだった。「どうしても自分と向き合わなきゃいけない時にあるのが音楽なんだ」と清水依与吏が語った後に披露した「水平線」は、MCでの言葉とも合わさって多くの人の心の大切な部分にすとんと収まっていった。back numberBank Bandとともに3日間通して出演したのはMr.Children。「CROSS ROAD」のイントロだけで会場を沸かせる存在感は別格だ。今回はBank Bandのメンバーともコラボレーションしながら特別なステージをつくりあげた。1日目は「横断歩道を渡る人たち」「幻聴」、2日目は死生観や永遠性を色濃く反映させた「pieces」「ゆりかごのある丘から」「花の匂い」など選曲ひとつひとつが『ap bank fes』に来てくれたオーディエンスのために考え抜かれているように感じられ、音楽の深い部分を感じとることのできるパフォーマンスだった。3日目の後半に入るMCで桜井がこんな舞台裏を明かしてくれた。「本当に暑い中会場まで足を運んでくれたみんなに何かできないかなって思ってたら、鈴木くん(Ds) がこう言ったんです。『今日暑いから曲変えない?』って。みんなが喜ぶやつ、みんなで一緒に歌えるやつ行くよ!」。「HANABI」「名もなき詩」の大合唱がつま恋にこだました。Mr.Children『ap bank fes ʻ23』のラストを飾るのは、櫻井和寿、小林武史の2人だけによるシンプルなステージだ。小林の鍵盤で櫻井が「HERO」を歌唱し、続いてSalyuを呼び込んで披露したのは、アンセムとも言えるこの曲、「to U」だ。「つくづく思うのは、皆さんがこのフェスを作ってくれてるってこと。こんなにあったかいフェスは、オーディエンスは、他にはないと思っています。僕らの誇りです」(櫻井)3人が紡ぐ美しいハーモニーが3日間つま恋に集まってくれた約9万人をひとつにした。小林武史文=谷岡正浩撮影=山川哲矢、藤井拓、後藤壮太郎、高田梓
2023年07月18日7月3日、Tempalayが8都市9公演に及ぶ全国ツアー『ドォォォン!!』のファイナルとなる東京公演をZepp DiverCity(TOKYO)で開催した。インディーズ時代の楽曲をアップデートした『from JAPAN 3』のリリースやAAAMYYYの産休などを経て、この規模感では約2年ぶりとなった今回のツアーでは、セットリスト一般応募企画「ドォォォン!!と投票」を実施。投票結果を参考にしたセットリストでファンを喜ばせるとともに、バンドの新たなスタートを刻む充実のツアーとなった。「今回のセットリスト選定に伴い、みなさまからたくさんの応募をいただきました。集計結果を基に作成した極上のラブ&サイエンスコスモをご堪能ください。なお、セットリストに関する一切の文句、SNSによる誹謗中傷、政治的発言などは受け付けませんのでご了承ください。みなさまのご多幸とご健康をお祈り申し上げます。それではしっかりとケツの穴を引き締めて、行ってらっしゃ〜い」という子どもの声のナレーションとともにステージを覆っていた黒幕が開くと、けたたましいノイズとともに巨大な「ドォォォン!!」の文字が浮かび上がり、ライブは『from JAPAN 3』でも一曲目を飾っている「JOE」からスタート。赤を基調とした照明がスネアと呼応するように明滅する中で、序盤からバンドはテンションの高い演奏を聴かせる。小原綾斗が豪快なギターリフを奏でる「SONIC WAVE」では中盤で合唱が起こり、アウトロでは小原に加えてサポートのOCHAN(NIKO NIKO TAN TAN/ギター、シンセ)と高木祥太(BREIMEN/ベース)が前方に出て熱狂を生み出し、その様子はまるでスタジアムロックのよう。過去曲を現在のモードで再録したからか、2年ぶりの大規模なツアーの締め括りだからか、この日のバンドはどこか吹っ切れたかのように開かれたムードがあり、そこに楽曲ごとにデザインされた素晴らしい照明演出が加わることによって、フィジカルでありながら芸術性の高いステージが進行していった。「『ドォォォン!!』ツアーへようこそ!どうやら今日はファイナルということです」と小原が挨拶をし、改めて高木とOCHANを紹介すると、今回のツアーで全公演に参加したOCHANは「Tempalayを通じて出会う人がめちゃくちゃ多い」とバンドとオーディエンスに感謝を伝え、温かな拍手が贈られる。「Festival」ではアウトロで小原と高木がドラムを囲んで藤本夏樹とともにサイケデリックなジャムを聴かせ、演奏後に「新宿MARZぶりくらいにやった」と話したインディーズ時代の楽曲「Oh.My.God!!」では、藤本の4つ打ちにOCHANがパーカッションを加えたりと、ライブ中盤では多彩なグルーヴを生み出していく。「この曲だけ撮影オッケー」と話して始まった新曲「Booorn!!」は、スクラッチをフィーチャーしたオールドスクールなヒップホップ風のトラックが懐かしくも新鮮で、AAAMYYYがソロで歌う〈全身全霊の泣きように泣きそうにね 知らずに育つよ こんな小さな心臓が鳴る〉という歌詞にグッと来る。この曲を終えたところで改めてAAAMYYYの出産を報告し、小原が「AAAMYYYちゃん復活ということで、ここでラップをかましてもらおうと思います」と話すと「テレパシー」へ。普段はクールにシンセを弾き、コーラスをするAAAMYYYだが、このときばかりはステージ前方に出てラップをするとともにコール&レスポンスを決め、しっかり主役を務め上げるのは流石だ。チルな雰囲気の中でノスタルジックなメロディーを紡ぎながら、間奏に入ると曲調が一変して、リフの反復とともに小原がお馴染みのステップで飛び回る「あびばのんのん」から、イントロとともに歓声の起こった「大東京万博」では〈らっせーら らっせーら〉の合唱が起こり、間奏でOCHANがボーイング奏法でノイズを起こしていたのもインパクト大。そのままシームレスに流れ込んだ「のめりこめ、震えろ。」も、いつも以上にハードコアな印象で、手数多くパワフルにドラムを乱打する藤本と、こちらも派手なパフォーマンスで人目を引く高木のリズム隊を軸としたバンドの演奏に対して、オーディエンスも熱狂的なリアクションで応えている。アンコールではODD Foot Worksの榎元駿が登場「今日は僕らから見てもお客さんの熱気が異様な感じがすると言いますか、イヤモニ越しでも声がだいぶ届いております」という言葉にさらに大きな歓声が起こると、改めて今日がツアーファイナルであることを話して、ツアー前半でベースを弾き、この日は客席に座っていたODD Foot Worksの榎元駿を紹介。「いつの間にかステージ上がってきてよ」「無理です!」という小原とのやりとりに、場内が笑いに包まれる場面も。そして、小原が藤本を、藤本がAAAMYYYを、AAAMYYYが小原を紹介して、「とってもいい旅になりました。終わり良ければすべて良しと言いますか、次の活力になりました。また何処かで会えたらと思います」と話した小原の様子は、やはり2年の時を経て再びメンバー全員でツアーを完走できることの喜びに満ちていたように思う。ここからの終盤戦はクライマックスの連続。ミラーボールとスモークによる幻想的な雰囲気の中で演奏された「深海より」、会場中がクラップに包まれた「革命前夜」、ミニマルなループを基調としたアンセミックなダンスナンバー「新世代」は、この日一番の盛り上がりを見せたと言っていいだろう。さらに、小原のソングライティングの力量とボーカリストとしての魅力を改めて印象付ける「そなちね」を経て、本編ラストは壮大なスケールの「Last Dance」で見事な大団円を迎えた。アンコールでは本編で客席に座っていた榎元がステージに登場。「だいぶ緊張感が。ホントにただ観に来たんで」と戸惑いながらもベースを弾いて「GHOST WORLD」を披露すると、最後は再び高木がベースを持ち、榎元がパーカッションを担当する形で、「このツアーで一回もやってない曲」という「Austin Town」を演奏することに。小原が「本来僕ら仕事終わってるんで、あとは楽しんで帰りたいと思います。みなさんも勝手に楽しんで帰ってください。ありがとうございました!」と話すと、パーティーモードな盛り上がりで全21曲のライブが終了。ここからもう一度走り出すための、非常に有意義なツアーが幕を閉じた。Text:金子厚武Photo:井手康郎(GRACABI)<公演情報>Tempalay TOUR 2023『ドォォォン!!』7月3日(月) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)セットリストM1. JOEM2. SONIC WAVEM3. シンゴM4. ああ迷路M5. とんM6. どうしようM7. FestivalM8. QM9. Oh.Mmy.God!!M10. Booorn!!M11. テレパシーM12. あびばのんのんM13. 大東京万博M14. のめりこめ、震えろ。M15. 深海よりM16. 革命前夜M17. 新世代M18. そなちねM19. Last DanceEn1. GHOST WORLDEn2. Austin Town<リリース情報>Tempalay『from JAPAN 3』9月6日(水) リリース12インチレコード(2LP):5,500円(税込)『from JAPAN 3』LP盤ジャケット【収録内容】■DISC1 / Side A01. 続・JOE02. 続・Austin Town03. 続・my name is GREENMAN■DISC1 / Side B04. 続・sea side motel05. 続・Festival■DISC2 / Side C06. 続・新世代07. 続・革命前夜08. 続・かいじゅうたちの島■DISC2 / Side D09. 続・New York City10. 続・Have a nice days club予約&配信リンク:関連リンクTempalay Official Site:::
2023年07月05日yonawoが鈴木真海子とSkaaiとの対バンツアー『yonawo presents tokyo』を開催した。2022年の夏にリリースされ、ロングヒットを記録している「tokyo(feat.鈴木真海子,Skaai)」での共演を経て実現した今回のツアーは、yonawoとSkaaiの地元である福岡からスタートし、東京・大阪の3都市で行われ、スペシャルなコラボレーションも実現。本稿では6月30日に行われた東京公演・Spotify O-EASTでのライブをレポートする。トップバッターを務めた鈴木真海子はステージに登場するなり、「一回声出しておこうか。tokyo!yonawo!Skaai!鈴木真海子!」とオーディエンスに呼びかけてライブがスタート。エレピとギターの艶やかな響きがジメジメした梅雨の東京に涼しさを運び、そのチルアウトな雰囲気と鈴木の歌声が何とも心地いい。ボサノバ調の「金木犀」をはじめ、少ない音数でグルーヴを生み出すバンドの演奏も素晴らしく、chelmicoとは異なる平熱感が魅力的だ。鈴木真海子「長丁場だから自由に足を動かして、血流をよくした方がいいよ」とフランクに話し、「フルバンドが揃うのは珍しい」というサポート陣を紹介すると、ライブ後半では「私の家族の歌」だという「山芍薬」を沼澤成毅によるエレピのみでしっとりと披露。ラストの「Contact」に至るまで、自然体な姿が印象的なステージだった。DJのuinとともに登場した2番手のSkaaiは「Nectar.」をイントロにして、「BEANIE」から本格的なライブがスタート。スキルフルなラップと低音の効いたサウンドには嫌が応にも体が反応し、オーディエンスからは大声援が送られる。さらにBonberoと共作した「SCENE!」ではコール&レスポンスが起こり、客演をしたXLARGEの「Laws of Gravity」ではフロアから一斉に手が上がったりと、会場を巻き込むパフォーマンス力の向上が強く感じられた。SkaaiMCでは「生きてる実感」の重要性を語り、「生きてるって思える時間をぜひ一緒に過ごしてください」と呼びかけて、客演をしたSIRUPの「FINE LINE」へ。uinによるダンストラックも相まってステージングがさらに激しさを増すと、最後に披露されたリミックスバージョンの「Nectar.」まで大盛り上がりのままライブが終了。表現者としてのさらなる飛躍を期待させるステージだった。3番手に登場したyonawoは荒谷翔大がギターを持ち、斉藤雄哉がエレピを奏でるAOR調の「tonight」からスタート。間奏で田中慧が歪んだベースを響かせる「苺」を続けると、3月の日比谷野音ワンマンで初披露され、6月に配信リリースされた新曲「Stay」を披露。ピンクと紫による怪しげな照明がサイケデリックなムードを演出し、後半の<Won’t you stay tonight? I want you want you Stay tonight>のリフレインが耳に残るこの曲は、これから新たなライブの定番曲になりそうだ。yonawo荒谷がエレピを弾き、間奏では斉藤がサンプラーを使って逆回転による奇妙なサウンドを鳴らす「yugi」に続いては、深夜ドラマ『晩酌の流儀』新シリーズのオープニングテーマとして、「yugi」に代わってオンエアされる新曲「焦がれNight」を演奏。チルな雰囲気の「yugi」に対し、ゆったりとしたテンポで体を揺らせるナンバーに仕上がっていて、やはりお酒を片手に楽しめる一曲だと言えよう。斉藤のボリューム奏法から始まり、田中によるミニマルなベースフレーズのループが徐々に熱を帯びていって、やがて野元喬文が激しいロックドラムを聴かせる「cart pool」がyonawoのディープな側面を象徴するならば、そこからシームレスに繋げた「ijo」は荒谷の歌心が素晴らしく、yonawoの叙情的な側面を強く印象付ける。最後は定番曲の「矜羯羅がる」、さらには「天神」を続け、『tokyo』をタイトルに冠したツアーでも変わることのない地元愛を感じさせて、ステージを締め括った。アンコールではサポートも含めた出演者が全員ステージに登場してのセッションへと突入。まずはSkaaiの「FLOOR IS MINE」がバンド編成で演奏されてフロアが大いに沸くと、鈴木の「空耳」ではSkaaiも含めたサポート陣がそれぞれパーカッションをにぎやかに打ち鳴らし、サンバな曲調を盛り上げる。さらに「じゃむ」ではyonawoのリズム隊がバックを務め、原曲にフィーチャリングで参加しているiriのパートを荒谷が担当してスキャットを披露したりと、この日ならではのパーティー仕様なコラボレーションで魅了した。そして、満を持してラストに届けられたのはもちろん「tokyo」。Skaai、鈴木、荒谷がそれぞれの東京への想いを綴ったヴァースを回していくと、最後にオーディエンスのみで<働く Why you Tokyo life ねえ 今週 報酬は? Kiss me just like I do 阿呆みたいに>の大合唱が起こった光景は実にロマンティックで、とても感動的だった。リリースからの1年でこの曲がたくさんのリスナーに浸透し、コロナ禍の収束とともに初めて本来あるべき姿で楽曲を共有できたということ。それこそがこの『yonawo presents tokyo』の一番の成果であったと言えるだろう。Text:金子厚武Photo:TOYOHIRO MATSUSHIMA■『yonawo presents tokyo』セットリストプレイリスト<リリース情報>yonawo「焦がれNight」7月12日(水) 配信リリースyonawo「Stay」配信中yonawo「Stay」ジャケット配信リンク:関連リンクOfficial Site Twitter Instagram YouTube TikTok
2023年07月04日4年に一度行われる『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』が札幌ドームで開幕した。ファンのリクエストを取り入れたセットリストや吉田美和のフライング、円形のセンターステージなど、ワンダーランドの王道とも言えるライヴが展開され、ソールドアウトとなった札幌ドームに詰めかけた満員のオーディエンスを大いに沸かせた。毎回、ステージ機構や演出面など、度肝を抜くような最新技術がお目見えすることで話題となることも多いワンダーランドだが、今回の“進化”は、実はそういった見た目にすぐわかる部分はもちろんだが、フライングひとつとっても、もっとこういう見せ方があるんだよというような、これまでドリカムがワンダーランドでしか培うことのできなかった経験を極限までブラッシュアップしたものが随所に見てとれた。つまり、ある意味でのワンダーランドの完成形があるのだ。それと同時に、そこには彼らがどうしても伝えたいメッセージが含まれている。それは、今目の前で行われていることが、過去と地続きである、という一貫性だ。今回のワンダーランドがこれまでと違うもっとも大きなポイントは、開催までの4年間にコロナの期間が含まれるということだ。この間、ライヴエンタテインメントは完全にストップし、そこから無観客、さらには収容人数を制限して……と、幾つもの段階を経て、今年になってようやくいつもの“ライヴ”を取り戻した。けれど、決してこの期間は何もかもが止まったわけでも、何かが大きく分断されたわけでもない。着実に、その時にできる最大限をやってきた結果、今がある。普通ではなかったドリカムの4年間をギュッと詰め込むことで、これまでのドリカムがよりドラマティックに立ち上がってくるのだ。ワンダーランドが4年に一度という意味をこれほど感動的に噛み締めたことはない。「みんな、自由に楽しんで!」吉田美和の言葉に誰もがこう思ったはずだ。これを待っていたんだと。『DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』には、皆が待ち望んだものすべてがある。文=谷岡正浩また、ワンダーランド開催を記念し『テレビ朝日系「関ジャム」×FM802×Spotify』の史上初メディアMIXでのDREAMS COME TRUE特集展開が決定したことも発表された。これはDREAMS COME TRUEの軌跡と未来についてメンバー本人達にインタビューした貴重な資料を元に、それぞれの媒体にふさわしい切り口で特集として取り上げていく企画となっている。既に放送済みのテレビ朝日系『関ジャム』での特集を皮切りに7月3日(月) から「ドリカムの日」である7月7日まで断続的に展開される。FM802では、『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW「802 RADIO MASTERS」』番組内の10分コーナーとして再編集ラジオバージョンをオンエア。放送後には、Spotifyにて「DREAMS COME TRUE: ArtistCHRONICLE」として、未公開部分も含めた完全版を公開する。■テレビ朝日系『関ジャム 完全燃 SHOW』6月25日(日) インタビューを含むDREAMS COME TRUE特集を放送済。■FM802『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW「802 RADIO MASTERS」』『関ジャム 完全燃 SHOW』のインタビューにFM802中島ヒロトのコメントを加え“聴くドキュメンタリータッチ”に再編成した特集を、FM802の看板番組『802 RADIO MASTERS』にて7月3日(月) から4日間に渡りオンエア。出演:吉田美和、中村正人(DREAMS COME TRUE)DJ:中島ヒロト(FM802 DJ)■Spotify『DREAMS COME TRUE : ArtistCHRONICLE(完全版)』『関ジャム 完全燃 SHOW』インタビューの未公開部分を含めた完全版を、7月3日(月)・4日(火)・5日(水)・6日(木) 各18:00より、順次特集公開。■DREAMS COME TRUE: ArtistCHRONICLEプレイリスト::<ライヴ情報>DREAMS COME TRUE『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』※終了分は割愛DREAMS COME TRUE『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』ロゴ7月15日(土) 愛知・バンテリンドーム ナゴヤ開場14:00 / 開演16:007月16日(日) 愛知・バンテリンドーム ナゴヤ開場14:00 / 開演16:007月22日(土) 大阪・京セラドーム大阪開場14:00 / 開演16:007月23日(日) 大阪・京セラドーム大阪開場14:00 / 開演16:008月25日(金) 福岡・福岡PayPayドーム開場16:30 / 開演18:308月26日(土) 福岡・福岡PayPayドーム開場15:00 / 開演17:009月1日(金) 東京・東京ドーム開場16:30 / 開演18:309月2日(土) 東京・東京ドーム開場16:30 / 開演18:30【チケット料金】指定席:11,000円(税込)注釈付指定席:10,000円(税込)DREAMS COME TRUE『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023 ミニ』9月30日(土) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ開場15:30 / 開演17:0010月1日(日) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ開場15:30 / 開演17:0010月14日(金) 沖縄・沖縄アリーナ開場15:30 / 開演17:0010月15日(土) 沖縄・沖縄アリーナ開場15:30 / 開演17:00【チケット料金】指定席:10,000円(税込)注釈付指定席:9,000円(税込)立ち見:9,000円(税込)※ドーム公演のステージを一部再現、セットリストはそのまま楽しむライヴです。特設サイト:関連リンクOfficial HP::::::
2023年07月03日ももいろクローバーZ・高城れにのソロライブ『30祭』が、6月25日(日) に神奈川県・ぴあアリーナMMにて開催された。ももいろクローバーZでは先んじて5月16日・17日の15周年記念ライブ『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary』にて声出しが解禁となったが、高城のソロコンサートでの声出し解禁はコロナ禍以降今回が初の実施となった。高城れには2015年からソロコンサートを実施しており、今年はももいろクローバーZ結成15周年イヤーを迎え、そして6月21日に30歳になったことを祝した『30祭』。代表曲「まるごとれにちゃん」をはじめ、今年3月に配信された横浜魅力発信タイアップソング「レニー来航!!」などこれまでにリリースされたソロ曲から、本日配信スタートしたばかりの最新曲「M&S~ママパパへ~」まで全25曲と、高城れにのソロコンサート史上最も曲数が多いセットリストとなった。なお本公演の模様は「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で独占生配信され、会場に集まった“タカノフ”(高城れにのファンの総称)だけでなく、全国のタカノフが高城れにの『30祭』を祝った。開演時刻になるとオープニングVTRが始まり、高城の幼少期時代の写真とともにアイドルとして走り続けてきた過去を振り返る。紫色のペンライトが会場を埋め尽くす中、フルバンドがセッティングされたステージ上にチアガール衣装に身を包んだ高城れにが登場。HoneyWorksの「誇り高きアイドル」で幕開けを飾ったあと、「30祭へようこそ!」という呼びかけを皮切りに、自身初のソロアルバム『れにちゃんWORLD』に収録されている「SKY HIGH」「じれったいな」を披露して一気にぴあアリーナMMを“れにちゃんワールド”へと一変させた。続けてHoneyWorksの「金曜日のおはよう-another story-」、TikTokを中心に爆発的な広がりを見せるFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」をキッズダンサーと一緒に愛らしさ全開でパフォーマンスすると、温かいハッピーなムードが会場に充満した。最初のMCでは、「どうする?待ちに待った30祭が始まっちゃったよー!」とソロコンサート初のアリーナ公演となる会場に呼びかけ、大きな歓声と拍手を浴びる。「ソロコンサートで史上最強に緊張したし、みんなの声聞いたらやばかったね」と久しぶりの声出し解禁に喜びを噛み締めた。恒例の自己紹介を終えたあと、「30祭をお祝いしに来てくれたスペシャルゲストがいらっしゃってます!」と呼び込むと、大きな拍手が鳴り響く中、5人組バンドwacciの橋口洋平(ボーカル・ギター)がステージに登場。元々高城がwacciのファンで、ソロ曲の制作を依頼したことから始まり、昨年の年末に開催された「ももいろ歌合戦」へwacciが出演、そして今回初のライブ共演へと至った。「大事なタイミングでれにちゃんのことを大好きな人たちとれにちゃんのお祝いの場所に僕も“おめでとう“を言いに来れてすごい嬉しいです」と橋口が話した。wacciが作詞作曲編曲を手掛けた高城のソロ曲「じゃないほう」を2人で歌唱し、ドラマ『やんごとなき一族』挿入歌で話題となりロングヒットしているwacciの楽曲「恋だろ」を2人で歌い上げ、この日限りのコラボパフォーマンスを果たした。歌い終えるとエモーショナルな余韻が残る中、「また曲作ってくださいー!」と橋口を見送った。ここのMCで、本編の衣装は幼い頃に着ていた服をモチーフにしており「30歳の私があの頃の服を着る」という衣装のテーマも明かした。再び一人のステージに戻った高城はトロッコに乗り込み、観客のもとへ移動しながら、ファンへの想いを歌ったバラードナンバー「何度でもセレナーデ」を歌唱。シティポップチューンの「Voyage!」ではポジティブな空気で会場を包みこみ、前半戦を締めくくった。初のソロ写真集発表でアザーカットも公開次のブロックでは、「新時代はこの未来だ~」と高らかに歌い上げる高城の歌声だけが会場に鳴り響き、ゼブラ柄をポイントにしたパンツスタイルでセンターステージに登場。Adoが歌唱キャストを務める、ウタ from ONE PIECE FILM REDの「新時代」を圧巻の歌唱力で歌い上げた。続いて世界的ヒットを遂げたYOASOBIの「アイドル」、ももいろクローバーZ最新アルバム『祝典』のリードトラック「MYSTERION」をダンサーとともに高度な振付のパフォーマンスで繰り広げた。さらに「レディ・メイ」では30歳になりたての色気を醸し出したパフォーマンスでタカノフのハートを鷲掴みにしたあと、Little Glee Monsterの「君のようになりたい」ではタップダンスを披露。クールなダンスパフォーマンスからタップダンスまで、まだまだ進化し続けるアイドル高城れにの新たな一面を魅せた。くまのイラストがあしらわれたワンピースに衣装チェンジを経て、ももいろクローバーZの楽曲「D’の純情」、SPEEDのトリビュートアルバムにも収録された「Go! Go! Heaven」をパワフルな歌声とダンスで披露し、「spart!」をエネルギッシュに歌い切りMCへ。ここで、「重大発表がございます!」と、今年8月29日(火) に初のソロ写真集を発売することを発表した。「みなさんが思い描いているような写真集なのかな?ちょっとここでアザーカットをお見せしたいと思います」というと、初の水着やランジェリーに挑戦した写真が映し出され、会場ではファンの歓喜の悲鳴が響き渡った。「私自身、女優さんやアイドルさん、モデルさんの写真集を見て憧れを持っていて、いつか出せたらいいな、そして私がこう思っているように、モノノフさんたちにも男女関係なく憧れられたら嬉しいなとずっと思っていて。20代やり残したことを聞かれる機会が多くなったときに、一皮剥けた、成長した私を届けられたらいいなと思い、今回挑戦させていただきました。この写真集を通じて、ももクロに少しでも興味を持ってもらえたらと思います。そして新たな高城れにを発掘してください!」というと、会場いっぱいにあたたかい拍手が鳴り響いた。ロケ地は本人の思い入れのある国、タイのバンコクと初めて訪れたクート島で撮影されたとのこと。先行カットを披露する場面もありファンの期待感が高められた。20代のうちに実現したかったというソロ写真集はキュートな笑顔から、29歳の色気まで、今まで見たことのない「高城れに」を詰め込んだ特別な一冊になる予定だ。高城れに写真集より(C)塚田亮平/集英社そして「Dancing れにちゃん」では後ろのスクリーンにファンから寄せられたこの曲のダンス動画が次々と映し出され、各地のタカノフとのコラボレーションが実現した。ソロコンサート鉄板曲の「一緒に」では総勢約60名のキッズダンサーが登場し大団円へ。バンドメンバー、ダンサーを紹介し、出演者全員で「everyday れにちゃん」をパフォーマンス。会場の隅々まで笑顔を届けて本編が幕を閉じた。会場からは「れーにちゃん!れーにちゃん!」と大きなアンコールの声援が鳴り響くと、その声に応えるように横浜魅力発信タイアップソング「レニー来航!!」、「Tail wind」とライブで盛り上がる自身の楽曲2曲を続けて披露し、一気に会場のボルテージを上昇させた。MCでは今回がソロコンサートとして最長時間、セットリストの曲数も最大であることを話し、アンコールのラストスパートへ。スクリーンにはファンから寄せられた「れにちゃんとの思い出写真」が映し出される中、バラードナンバー「しょこららいおん」を優しい歌声でしっとりと歌唱したあと、2017年にリリースした「まるごとれにちゃん」を歌いながらトロッコに乗り込んで会場のファンのもとへ駆け寄った。最後のMCでは「いつもそうですが、今回も本当にたくさんの愛情を感じた日だなと改めて思います。そして何よりも、誕生日を迎える度に思いますが、ママとパパの子でよかったなと思っています。今日配信された『M&S〜ママパパへ〜』。早くママとパパに聞かせたいってうずうずしていたんです。ここまでこのステージに立てるまで成長できたのは、ママとパパに感謝だなって思うので、その気持ちを歌にしてみました。タイトルの意味は、ママとパパのイニシャルです。ママとパパの名前もさりげなく入っています」と楽曲に込めた想いを話した。アンコール最後の曲は本日配信リリースされた新曲「M&S~ママパパへ~」。30歳を迎えた高城からママとパパに向けられたバラードナンバー。これまで育ててくれたことへの感謝を込めて歌い上げ、高城れにのソロライブ『30祭』はフィナーレを迎えた。<公演情報>高城れにソロライブ『30祭』6月25日(日) 神奈川・ぴあアリーナMM【セットリスト】M01. 誇り高きアイドル(HoneyWorks)M02. SKY HIGHM03. じれったいなM04. 金曜日のおはよう-another story-(HoneyWorks)M05. わたしの一番かわいいところ(FRUITS ZIPPER)M06. じゃないほうM07. 恋だろ(wacci)M08. 何度でもセレナーデM09. Voyage!M10. 新時代(Ado)M11. アイドル(YOASOBI)M12. MYSTERIONM13. レディ・メイM14. 君のようになりたい(Little Glee Monster)M15. D’の純情M16. GO! GO! HeavenM17. spart!M18. Dancing れにちゃんM19. 一緒にM20. everyday れにちゃん■ENCOREENCORE overtureM21. レニー来航!!M22. Tail windM23. しょこららいおんM24. まるごとれにちゃんM25. M&S~ママパパへ~セットリストプレイリスト:■ABEMA PPV ONLINE LIVE(アベマ ペイパービュー オンライン ライブ)販売期間:6月13日(火) 18:00〜30日(金) 23:59配信期間:6月25日(日) 18:00〜30日(金) 23:59視聴チケットはこちら:<配信情報>「M&S~ママパパへ~」作詞:AKIRA作曲・編曲:AKIRA、前田佑配信リンク:特設サイト:<写真集情報>高城れに写真集『タイトル未定』8月29日(火) 発売A4判/ソフトカバー/144ページ撮影:塚田亮平価格:3300円(税込)関連リンク公式サイト:::Twitter(Label):
2023年06月26日奇妙礼太郎が、音楽活動25周年アルバム『奇妙礼太郎』の発売記念ライヴを6月21日(水) に東京キネマ倶楽部で開催。そのオフィシャルレポートが到着した。今年、音楽活動25周年を迎えた奇妙礼太郎が、アルバム『奇妙礼太郎』を完成させた。本作は、初めて奇妙がアルバム全曲の作詞作曲に携わり、ゲストボーカルには以前から交流のあった菅田将暉、塩塚モエカ(羊文学)、ヒコロヒーが参加し、長年の盟友であるSundayカミデがプロデュースを務めた。6月21日、アルバムのリリースを記念して、東京キネマ倶楽部で『奇妙礼太郎 25th Anniversary Album「奇妙礼太郎」Release Special Live』を開催。ゲストには菅田、Sundayが出演するということで、大きな話題となった。開演時間になり、まずは主役の奇妙がステージに現れた。大きな拍手に包まれる中、中央の椅子に腰掛け、アコースティックギターを手にして「竜の落とし子」の演奏を始めた。<潮風に流されて イタイケな少女の役><くだらないと 吐き捨てた 夕焼けには 雲ひとつ ない>。奇妙の歌には、言葉を紡ぐごとに聴く者の心のスクリーンに情景を浮かび上がらせる不思議な力がある。ここではない、どこか別の世界へ連れて行ってくれる。それは僕だけが体感したものではないのだと、観客みんなの恍惚とした表情を見て確信した。3曲目「春の修羅」で空気は一変、ギターを力強くかき鳴らして激情的な雰囲気を創出。そして、次曲「HOPE」を演奏している最中に、ギターの弦が切れるというハプニングが発生。そのまま最後まで演奏をすると、奇妙はギターをスタッフに託し、横に設置されたピアノの前に座った。観客の視線が先ほどよりも集中する中で、奇妙は目線を落とすと同時に鍵盤に指を置いた。<みんなが見てるその前で 二人にしかわからない 言葉で話をしよう>。「エロい関係」だった。これ以上ないその場にピッタリな選曲。立て続けに「十円の裏」を歌うと、観客も一緒になって合唱し、この日初めての沸点を迎えた。ここで弦を張り替えたギターを受け取ると「touch my soul」を歌唱して、奇妙は静かに口を開いた。「ディズニーランド好きの友だちと、“一緒に(ディズニーランドに)行こう”ということで朝10時から夜10時まで遊んだんです。行ったのがちょうど自分の誕生月で、友だちがキャストの人にそれを伝えたら、メダルと胸元に貼るシールを渡されて。そしたら園内でキャストの人と会うたびに、すごい笑顔で“誕生日おめでとう”って声をかけられて。最初は照れ笑いしてたんですけど、生まれてきたことをただただ祝福してくれる言葉を何度もかけられるうちに、途中からだんだん重みを感じるようになって。なんか思わず泣きそうになって。どうにか最後まで泣くのを堪えたんですけど、出口のゲートに近づいたら、キャストの人が8人くらい並んでいて。そこを通ったら自分の精神というか、そういうものが崩壊するんじゃないかと思いました(照笑)。頑張って心を閉じていても、ハートに触れられることがあるよなって。そういうことを歌にした『touch my soul』を聴いてもらいました」と話すと、会場から温かい笑い声が聞こえた。続く「フレンズ」で観客が一緒になってサビを歌うと、「泣きそう!ディズニーランドみたい!」と再び会場全体に笑顔が溢れた。10曲目「Vintage」は、東京キネマ倶楽部でワンマンライブをした日に、バンドメンバーの車が故障し、修理している様子を見ていたら生まれた曲だという。満月のような綺麗なライトを背負いながら歌うそのバラードは、原曲とは違う感触で胸にくるものがあった。奇妙の歌は、実際に起きた出来事を拡張して、それ以上の感動をもたらしてくれる。これは生まれ持った才能なのだと思う。「いつも僕に楽しい話を聞かせてくれる人を紹介したいと思います」と言って、ゲストのSundayがステージに姿を見せた。登場するや否や、奇妙が時代劇でよく聞く「お主も悪よのう」のセリフが好きだと話し、ギターに乗せて「お主も悪よのう」と歌い始めたら、すかさずSundayもピアノで合わせて、そのままシームレスに「真夜中のランデブー」へ。2人だからこそできる“阿吽の呼吸”に惚れ惚れする。そして2人がトークを始めると、フロアから何度も歓声と拍手が起きた。「ほんまにおいしいお好み焼き」でさらに場内の熱気は上昇し、「お好み焼き」のコール&レスポンスが生まれ、手を挙げる観客を前に「今、みんなが鰹節みたい」と笑みをこぼした。演奏が続く中、奇妙が「Sundayさん、HIPHOPダンスを教えて」と急にお願いをすると「僕なりのでいいですか?」と言ってオリジナルのステップを踏み、先ほどよりも大きな歓声が上がった。その勢いを加速させるように「いつのまにか猫」で大きな興奮の渦を巻き起こして、2人目のゲスト・菅田が登場。菅田が「今、袖で演奏を観ていたんですけど、最高でした!ついお好み焼きを食べたくなりました」と言うと、話はお好み焼き屋へ行ったらどんな順番で注文するのかの話題に。他にも、Sundayが2月に菅田の武道館公演へ行ったら、帰りに女性から話しかけられて、後でそれが友人の妻だったことが判明した話など、まるで男子高校生の昼休みのような微笑ましい空気に包まれた。そんな3人による1曲目は、Sundayが楽曲プロデュースを務めた菅田の楽曲「美しい生き物」。「3人で合わせてみて、どうでしたか?」と聞かれて、奇妙は「帰りたくないなって思いました」と言葉を漏らした。菅田が「奇妙さん、今年25周年なんですよね?」と尋ねると、奇妙が「はい。猫やったら亡くなってますね」と返し、Sundayが「そうかもね。猫なの?」と繋げて、奇妙が「人です(笑)」と答える。こうして映画『セトウツミ』のように、永遠と3人のラリーは続き、その様子を観客は嬉しそうに見ていた。本編のラストに披露したのは、菅田がフィーチャリングで参加した「散る 散る 満ちる」。ハスキーがかった艶っぽい声の菅田、空を羽ばたく鳥のように優雅に歌う奇妙、2人の歌声に合わせて美しい旋律を奏でるSunday。演奏の素晴らしもさることながら、三者三様の個性と人柄が滲み出ているステージだった。このまま観客が帰るはずもなく、すぐにアンコールが起きた。再び3人が姿を見せて、改めて奇妙と菅田の出会いについて振り返った。「テレビ番組(『行列のできる法律相談所』)の打ち合わせのときに“最近、奇妙礼太郎さんの曲を聴いているんです”と言ったんですよ。そしたらスタジオにご本人が現れて、しかも目の前で歌ってくださって、本当に大興奮でした」と菅田が話すと、照れくさそうな奇妙と、ニコニコしてるSunday。いよいよ終演が迫り「最後はこの曲で……」と「君が誰かの彼女になりくさっても」を披露。その場にいた全員が、終わってしまう楽しい時間を惜しみながら、1音1音を噛み締めるようにステージを堪能した。楽しくて、温かくて、優しくて、綺麗で……そんな奇跡みたいな夜だった。取材・文:真貝聡撮影:村井香<公演情報>奇妙礼太郎 25th Anniversary Album 『奇妙礼太郎』 Release Special Live6月21日(水) 東京キネマ倶楽部スペシャルゲスト:菅田将暉、SundayカミデセットリストM1. 竜の落とし子M2. 大事な話M3. 春の修羅M4. HOPEM5. エロい関係M6. 十円の裏M7. ONLY FOOLM8. touch my soulM9. フレンズM10. Vintage■奇妙礼太郎 & SundayカミデM11.真夜中のランデブーM12. ほんまにおいしいお好み焼きM13. いつのまにか猫■奇妙礼太郎、菅田将暉 & SundayカミデM14. 美しい生き物M15. 散る 散る 満ちる■ENC.M16. 君が誰かの彼女になりくさっても<リリース情報>奇妙礼太郎 25th Anniversary Album『奇妙礼太郎』発売中●初回限定盤(CD+DVD):4,950円(税込)●通常盤(CD):3,300円(税込)奇妙礼太郎 25th Anniversary Album『奇妙礼太郎』ジャケット【CD収録内容】1. 散る 散る 満ちる feat. 菅田将暉2. 春の修羅 feat. 塩塚モエカ (羊文学)3. HOPE feat. ヒコロヒー4. ONLY FOOL5. 真夜中のランデブー6. touch my soul7. ほんまにおいしいお好み焼き8. フレンズ9. Vintage10. いつのまにか猫作詞・作曲:奇妙礼太郎プロデュース:Sundayカミデ【初回限定盤DVD収録内容】■たまらない予感 Release One Man Live Tour Final 6/25(土) キネマ倶楽部 (東京)1. 公園で2. あたいのジーンズ3. 大事な話4. くじら5. ランドリーナイト6. RH-7. 少女漫画8. 二度寝9. かすみ草10. きになる11. 竜の落とし子12. たまらない予感配信リンク:<ライヴ情報>祝・日比谷野音100周年奇妙礼太郎 活動25周年記念 日比谷野音単独公演"I LOVE YOU"9月17日(日) 東京・日比谷野外大音楽堂OPEN16:30 / START17:30『祝・日比谷野音100周年 奇妙礼太郎 活動25周年記念 日比谷野音単独公演 "I LOVE YOU"』ビジュアルチケット料金:前売6,000円関連リンクオフィシャルサイト:レーベルサイト:::::
2023年06月23日SiMにとってイギリスで初となるヘッドライン公演『THE RUMBLING iN LDN』が、6月13日(火) にロンドンのO2 Academy Islingtonで行われた。その前々日にはDownload Festivalに出演し、イギリスで開催のフェスに初出演ながら1万人以上の現地オーディエンスを集めて大いに会場を沸かせた。昨年チケットが即完したLAでのヘッドライン公演に続き、SiMにとってロンドンで初となるライブながらソールドアウトする程の反響は、まさしくSiMの音楽が日本のみならず海外に確実に轟いていることを証明していた。ヘッドライン公演当日、800人のオーディエンスが詰め掛けた会場の熱気はライブ開始前から最高潮で、SEが流れると同時に沸き起こったイギリスのオーディエンスの熱烈な歓声を受けて4人が登場。昨年リリースのEP『BEWARE』のリードトラックでもある「Light it up」から幕を開け、イントロから会場中が飛び跳ね上がる光景はまるで日本国内、ホームでのライブかのような様相を呈していた。立て続けに「DiAMOND」「Blah Blah Blah」と序盤からフルスロットルの展開の中で、「Blah Blah Blah」で巻き起こった会場中の大合唱にメンバーも激しいパフォーマンスで応える。その後のMCではMAHが流暢な英語で、この瞬間をメンバーとオーディエンス互いが全力で楽しむことを宣言するような言葉で会場を盛り上げる。続いてThe Clashの「London Calling」のイントロフレーズを挨拶代わりに、そこから一気に「TxHxC」に雪崩れ込み、フロアでは日本のライブ同様にサークルピットが生まれ益々会場の熱気は上昇していく。立て続けに披露した「paint sky blue」でSiM流の心地よいレゲエグルーヴの中巻き起こるコールアンドレスポンスにより、会場の一体感は更に加速の一途を辿る。オーディエンスからの声援をMAHらしい言葉で反応しつつ、MCの最中も最高の盛り上がりを見せ続ける中披露された「The Rumbling」で巻き起こったこの日最大の大合唱は、会場を揺らす程のエネルギーを帯びていた。「The Rumbling」の世界的ヒットを機に昨年のアメリカ、そして今回のイギリスでの熱狂も含め、バンドとして大きなターニングポイントを迎えたSiMだが、続いて披露した「TREASURES」では同曲の歌詞に込めたメッセージや、これまでの歩みが間違いじゃなかったことを噛みしめるかのように力強くMAHが歌い上げる。まだライブも中盤の中、MCでイギリスのオーディエンスと共に日本語で「最高!」と叫ぶ一幕は、国や文化、距離の壁を超えた素晴らしい時間を互いに共有していることを象徴するような光景だった。中盤に披露した「The Sound Of Breath」では、日本から遠く離れたイギリスでの熱狂に感謝を伝えるように演奏するメンバーの姿とサウンドに、オーディエンスも噛みしめるようにじっくりと身を委ねている感動的な光景を創り上げていた。再び会場中の大合唱を巻き起こした「Devil In Your Heart」から始まった終盤戦では、続く「GUNSHOTS」でのモンキーダンス、「MAKE ME DEAD!」のコールアンドレスポンスで会場の一体感は更に一段ギアを上げたように加速する。本編最後のMCでは、MAHが「まるでホームにいるみたいだ」とロンドンのオーディエンスに改めて感謝を述べる。初のロンドンでのライブが終わってしまうことを惜しむようにゆっくりと語りかけた後、再びボルテージを上げ「EXiSTENCE」、「Amy」を立て続けに披露した後、ジョーク混じりにクリケットが国技のイギリスのオーディエンスに自分が今手に持っているものが何かを問いかけるMAH。割れんばかりの「BASEBALL BAT!!」コールを受けて披露した「BASEBALL BAT」で、終始全力で駆け抜けた本編に幕を閉じた。間髪入れずに鳴り響くアンコールに応えて再び登場した4人は、9月にニューアルバムをリリースし、UK・ヨーロッパツアーを含むワールドツアーを行いまたすぐに帰ってくることをオーディエンスと約束して「KiLLiNG ME」を披露。会場が一体となって飛び跳ねる光景は、曲毎に増していった盛り上がりもピークを見せ、本編の幕開け時以上にロンドンがホームのバンドのライブかのような熱狂に包まれていた。最後にアンコールの際のMC同様に、近い将来再びこの地で更なる熱狂的なライブを約束するかのようなウォールオブデスを巻き起こしながら「f.a.i.t.h」でSiM初となるロンドン公演は終始熱を帯び続けたまま幕を閉じた。撮影:スズキコウヘイ<公演情報>SiM『THE RUMBLING iN LDN』6月13日(火) イギリス・O2 Academy Islingtonセットリスト1. Light it up2. DiAMOND3. Blah Blah Blah4. TxHxC5. paint sky blue6. The Rumbling7. TREASURES8. A9. The Sound Of Breath10. WHO’S NEXT11. Devil In Your Heart12. GUNSHOTS13. MAKE ME DEAD!14. EXiSTENCE15. Amy16. BASEBALL BATEn1. KiLLiNG MEEn2. f.a.i.t.h<リリース情報>SiM ニューアルバム『タイトル未定』2023年夏 発売予定※詳細は後日発表<ツアー情報>『THE JACKPOT JUICER US TOUR』『THE JACKPOT JUICER US TOUR』告知画像8月24日(木) アリゾナ州テンピThe Marquee Theatre8月25日(金) ネバダ州ラスベガスBrooklyn Bowl8月26日(土) カリフォルニア州ロサンゼルスThe Shrine8月29日(火) ワシントン州シアトルThe Showbox SoDo8月30日(水) オレゴン州ポートランドRoseland Theater9月1日(金) アイダホ州ボイジーRevolution Music Hall9月2日(土) ユタ州ソルト・レーク・シティUnion Event Center9月3日(日) コロラド州デンバーMission Ballroom9月5日(火) テキサス州オースティンACL at Moody Theater9月6日(水) オクラホマ州オクラホマ・シティThe Criterion9月8日(金) テキサス州ヒューストンWhite Oak Music Hall9月9日(土) テキサス州ダラスThe Factory In Deep Ellum9月10日(日) アラバマ州バーミングハムIron City9月12日(火) フロリダ州フォート・ローダデールRevolution9月13日(水) フロリダ州オーランドHard Rock Live9月15日(金) テネシー州ナッシュビルWildhorse Saloon9月16日(土) ジョージア州アトランタCoca Cola Roxy9月18日(月) ノース・カロライナ州ローリーThe Ritz9月19日(火) メリーランド州シルバー・スプリングThe Fillmore9月21日(木) イリノイ州シカゴRadius9月23日(土) ウィスコンシン州ミルウォーキーThe Rave II9月25日(月) オハイオ州クリーブランドAgora Ballroom9月26日(火) ニューヨーク州バッファローElectric City9月27日(水) マサチューセッツ州ボストンMGM at Fenway9月29日(金) ニューヨーク州ニューヨークThe Rooftop at Pier 179月30日(土) ニュージャージー州アズベリー・パークStone Pony Summer Stage10月1日(日) ペンシルベニア州フィラデルフィアMann Center出演:DANCE GAVIN DANCE / SiM / RAIN CITY DRIVE / Within Destruction詳細はこちら:<ライブ情報>『Louder Than Life Festival』9月22日(金) ケンタッキー州ルイビルHighland Festival Ground『SwanFest』10月1日(日) ペンシルベニア州フィラデルフィアMann Center出演:DANCE GAVIN DANCE / SiM / Set It Off / Body Thief / Dwellings / RAIN CITY DRIVE / Stolas / Within Destruction<イベント情報>DEAD POP FESTiVAL 2023 - 解 -6月24日(土)・25日(日) 神奈川・東扇島東公園特設会場OPEN 9:00 / START 11:30『DEAD POP FESTiVAL 2023 - 解 -』タイムテーブル【出演者】SiM(両日出演)■6月24日(土)・CAVE STAGEハルカミライ / SPARK!! SOUND!! SHOW!! / 04 Limited Sazabys / Fear, and Loathing in Las Vegas / ROTTENGRAFFTY / HEY-SMITH・CHAOS STAGEKUZIRA / SHANK / STOMPIN’ BIRD / 山嵐 / GOOD4NOTHING / HOTSQUALL■6月25日(日)・CAVE STAGEDragon Ash / 10-FEET / THE ORAL CIGARETTES / coldrain / Crossfaith / SUPER BEAVER・CHAOS STAGEEGG BRAIN / tricot / The BONEZ / Crystal Lake / THE FOREVER YOUNG / おとぼけビ~バ~【チケット情報】1日券:前売8,900円(税込)2日通し券:前売17,000円(税込)2日通し券セーフティーゾーン:前売18,500円(税込)※電子チケットのみ※小学生以上有料、未就学児は保護者同伴の場合無料※枚数制限:お一人様4枚まで※購入時に購入者様の個人情報の入力が必要ですチケット情報:特設サイト: オフィシャルサイト:
2023年06月22日5月10日に新作アルバム『PRIVATE』を発表したシンガーソングライターのiriが、6月18日(日) に東京ドームシティホールにて、初のホールツアー『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』の東京公演を行った。今年3月に20代最後の年を迎え、それまで感じていた不安や葛藤の先で悪くはない日常を見出したiri。その喜びが彼女を音楽的な挑戦へと駆り立てると共に、肩の力を抜いてありのままの心情を投影したアルバム『PRIVATE』は自身の音楽キャリアにおける転機作となった。その変化は果たしてライブにどう反映されるのか。2023年最初のツアーである『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』は、5月17日の神奈川県民ホールを皮切りに、全国8都市9公演を経て、この日、ついに最終公演を迎えた。照明が落とされた場内に響くシンセサイザーのシーケンスに導かれて登場したのは、デビュー以前から親交が厚いキーボードの村岡夏彦とドラムの堀正輝、マニピュレーション、シンセサイザーを担うMop of Headのジョージ、ベーシストの村田シゲ、ギターのTAIKING(Suchmos)。鉄壁のフルバンドをバックに、ステージに立ったiriは爽快なハウストラック「friends」でライブをスタートした。80sマナーのシンセポップチューン「STARLIGHT」から、新機軸となるジャージークラブを取り入れた「Roll」、初めて鍵盤で作曲した「DRAMA」と続いた序盤は、新作で打ち出したフレッシュなサウンドが広がった。その歌声はiriらしいクールさを湛えつつ、かつてのような張り詰めた空気は解きほぐされ、リラックスした響きに現在の心境が投影されているように感じられた。そして、スタンドマイクに向かったバラード「染」、イギリスのedblと組んだ初の海外アーティストコラボ曲「Go back」を披露すると、「今日はもう燃え尽きていこうと思いますので、最後まで楽しんでいってください」というMCをきっかけに、「Corner」で口火を切った中盤は躍動感を増した演奏とiriのボーカルは有機的に溶け合った。生演奏のダイナミズムが際立った「フェイバリット女子」をはじめ、冒頭のジャムからスリリングな展開に雪崩れ込んだ「Sparkle」、新作のポジティブなマインドを象徴する「Season」、日本レコード協会の“ゴールド認定”を獲得した「Wonderland」、初期の代表曲である「rhythm」と、ボーカルとバンドの一体感がもらたす高揚感にオーディエンスも熱いリアクションで呼応。盛り上がりがピークを迎えると、終盤はよりパーソナルな表現世界へと踏み込んでいった。ギターを弾き語るiriに寄り添うバンドが引き立たせたメロディと歌詞の一言一言。溢れれる思いをあふれるままに歌った「会いたいわ」、日常と地続きの情景描写やストーリーテリングを極めた「moon」、「boyfriend」では、背伸びせず、着飾ることもなく、ありのままのiriが表現されていた。そして、カセットに録音した音源をラジカセから流し、そこに独り歌を被せた本編ラスト曲「private」は、自分の部屋で誰にも知られず歌を紡ぐ彼女を想起させる一瞬だった。その光景は、何かを伝えようと強く意識することなく、生まれるがままの歌をこれからも歌っていこうというiriのスタンスそのものであるように感じられた。再びバンドを伴って登場したアンコールでは、「はじまりの日」のパーソナルな世界から「ナイトグルーヴ」、「24-25」へと、グルーヴを大きくふくらませながら、ツアーファイナルのパフォーマンスは動きに満ちた日常に着地した。MCでは、11月にスタートする『iri Plugless Tour』の開催決定を発表。2022年にLINE CUBE SHIBUYAにて行われた『iri Presents "Acoustic ONEMAN SHOW』に続くミニマムな編成にて、東京、福岡、大阪、愛知の4都市を回るスペシャルなツアーになるということで、今後の続報と共に、iriのさらなる活躍を期待したい。Text:小野田雄Photo:田中聖太郎<公演情報>『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』6月18日(日) TOKYO DOME CITY HALLセットリスト1. friends2. STARLIGHT3. Roll4. DRAMA5. 染6. Go back7. Corner8. フェイバリット女子9. Best Life10. Sparkle11. Season12. Wonderland13. rhythm14. 会いたいわ15. moon16. boyfriend17. privateEN1. はじまりの日EN2. ナイトグルーヴEN3. 24-25セットリストプレイリスト:<ツアー情報>『iri Plugless Tour』『iri Plugless Tour』告知画像11月17日(金) 東京・昭和女子大学 人見記念講堂OPEN18:00 / START19:00(問)クリエイティブマン・プロダクション:03-3499-666911月19日(日) 福岡・福岡国際会議場 メインホールOPEN17:00 / START18:00(問)キョードー西日本:0570-09-242411月21日(火) 大阪・大阪市中央公会堂OPEN18:00 / START19:00(問)清水音泉:06-6357-366611月24日(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールOPEN18:00 / START19:00(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100【チケット料金】前売り:7,000円(税込) / 当日:8,000円(税込)※全席指定<リリース情報>iri 6thアルバム『PRIVATE』発売中iri『PRIVATE』ジャケット●初回限定盤(2CD):4,180円(税込)●通常盤(CD):3,300円(税込)●アナログ盤(LP):4,400円(税込)【収録内容】※全形態共通1. Season2. STARLIGHT(サッポロ生ビール黒ラベルStar Lyrics企画タイアップ曲)3. Roll4. DRAMA5. 染(Amazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』主題歌)6. Go back7. friends(メルセデスAMG SL タイアップソング)8. moon9. boyfriend10. private【CD DISC2収録内容】※初回限定盤のみ■iri Presents ONEMANSHOW "STARLIGHTS"1. Corner2. ナイトグルーヴ3. Rhythm4. 染5. 会いたいわ6. 半疑じゃない7. 摩天楼8. Sparkle9. 24-2510. STARLIGHT配信リンク:関連リンクオフィシャルサイト:::::
2023年06月19日6月24日(土) にいよいよプレビュー公演初日を迎える『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』より、稽古場オフィシャルレポート&稽古風景写真が到着! 三つのシーンから見えてきた日本版ならではの魅力とは……?劇場に一歩足を踏み入れた瞬間、そこは絢爛豪華な別世界──。“観劇”の概念を覆す規格外の超大作にして、トニー賞14部門ノミネート・作品賞含む10部門受賞作、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル(以下MRTM)』の日本での上演が発表されてから実に2年余り。プレビュー公演開幕までついに1カ月を切り、いよいよカウントダウンが始まった。佳境を迎えた稽古場を訪れると、そこにはオーストラリアから来日したクリエイティブスタッフ及び日本側スタッフと共に、作品に息を吹き込むべく奮闘する日本版キャストの姿が。見学できた三つのシーンから見えてきた、本作ならではの、そして日本版ならではの魅力をレポートする。振付、パフォーマンス、ダブルキャスト!1899年のパリを舞台に、ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」の花形スター・サティーンと、アメリカからやってきた作曲家志望の青年クリスチャンの燃え上がる恋模様を描く本作。そのオープニングを飾るのは、クラブの支配人ジドラーと踊り子たちが観客を一気に物語世界へと引き込む、まさに目を見張るようなビッグナンバーだ。本番の舞台では、セットと照明と音楽によって別世界へと作り変えられた劇場に足を踏み入れた観客が、いよいよ本格的に“『MRTM』マジック”にかかる瞬間でもある。そんなオープニングシーンの稽古から見えてきた本作の魅力は、何よりもダンス! そもそも官能的でアクロバティックでクリエイティビティに満ちたソニア・タイエの振付を、踊り子役の俳優たちがつま先から顔の筋肉まで、すべてを最大限に動かしながら、凄まじいまでのエネルギーで踊って“ダンスの力”を見せつけていく。絢爛豪華という言葉では片付けられないほど壮大なセットや照明の力は確かに大きいが、それに決して負けない人間のパフォーマンスがあるからこそ“マジック”はかかるのだと、実感させられた思いだ。サティーンとクリスチャンの出会いの場となるのもこのクラブだが、その初対面は少々トリッキー。サティーンは彼を、クラブの経営危機を救ってくれるパトロンのデューク(モンロス公爵)だと勘違いして楽屋に招き入れるのだ。二人が良い雰囲気になったところに本物のデュークが現れて……というコミカルなシーンは、稽古場での通称「エレファント・チーム(望海風斗、井上芳雄、橋本さとし、上川一哉、伊礼彼方、中井智彦)」と「ウィンドミル・チーム(平原綾香、甲斐翔真、松村雄基、上野哲也、K、中河内雅貴)」の両方で観ることができた。となるともちろん、見えてきた魅力はダブルキャストの面白さ。ややこしい状況にひたすら翻弄されている様子の望海サティーンと、どこか楽しんでいるようにも見える平原サティーン。少年のように素直で少しやんちゃな井上クリスチャンと、等身大の青年らしさが光る甲斐クリスチャン。まだ稽古段階の、ひとつのシーンだけでこれだけ印象が異なりながら、しかしどちらも成立しているのだから、この魅力は底知れない。組み合わせを変えて何度か観ることで、『MRTM』を多角的に味わうことができそうだ。ヒット曲、マッシュ・アップ、日本語歌唱!見学できた三つ目のシーンは、「エレファント・ラブ・メドレー」と呼ばれる一幕のクライマックス・ナンバー。本作に登場する音楽はすべて既存のヒット曲で、しかもほとんどのナンバーにおいて、複数の楽曲がフレーズ単位でつなぎ合わされている。物語の流れや人物の心情を細やかに表現しながら、耳馴染みあるフレーズが次々に飛び出す快感を観客にもたらす効果もある、このマッシュ・アップという手法。オープニングでも楽屋のシーンでも用いられている手法だが、その効果がより鮮明に感じられたのがこのシーンだった。その理由は、ここで登場する楽曲がどれも──具体的な曲名のネタバレは避けるが──、日本でも誰もが知る“超特大”のヒット曲だから。英語詞の響きと共に馴染んでいるフレーズが日本語で、しかも抜群の歌唱力を誇るキャストによって歌われると、音も意味も新鮮かつダイレクトに届いてくる。その上その日本語詞を手掛けているのは既報の通り、日本を代表するミュージシャンやアーティストなのだから、美しさもまた折り紙付き。マッシュ・アップによる心躍る音楽は本作の、その日本語歌唱は日本版の、間違いなく最大の魅力のひとつだ。三つのシーンとも、すでに十分な見応えだったが、稽古場の面々はさらなるブラッシュアップに余念がない様子。シーンを当たり終える度に豪日の演出・振付・音楽スタッフからあちこちで、同時多発的にノート(ダメ出し)があり、またキャスト側からも活発に質問が飛んでいた。この熱量ならば、音楽とダンス、キャストの魅力はさらに磨き上げられていくことだろう。そこにセットと照明、さらにはバンドや衣裳の魅力も加わる日本版『MRTM』が観劇できる──いや、“マジック”にかかれる日が、心の底から待ち遠しい!文=町田麻子<公演情報>『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』2023年6月29日(木)~8月31日(木) 帝国劇場※プレビュー公演:6月24日(土)~28日(水)チケット情報はこちら:
2023年06月19日全4公演で計23万人を動員したKing Gnuによる初のスタジアムライブツアー『King Gnu CLOSING CEREMONY Stadium Tour 2023』の千秋楽が、2023年6月4日に横浜・日産スタジアムで開催された。数日前の天気予報を覆した奇跡の快晴である。しかも超満員での声出し解禁ライブだ。7万人を収容する巨大スタジアム。ステージセットでキーとなる赤色はセレモニー感を打ち出し、会場中にフラッグがはためいた。スタジアムライブが解き放つ高揚感を倍増させていく。左右に展開される巨大LEDモニター。ステージ奥には黄金の聖火台が鎮座している。そう、本公演は、タイトルともども2020年1月15日にリリースした3枚目のアルバム『CEREMONY』に起因する。リリース直後、パンデミックの影響のために延期となった2020年初頭に予定されていた幻のツアー。しかしながら、様々な制約を乗り越え、その後開催された2度にわたる全国ツアーや東京ドーム2デイズ公演を経て、さらに大きな群れとなったKing Gnuは現時点での集大成として本公演=クロージングセレモニーを行ったのだ。それは、この3年間の社会の閉塞感を塗り替えていく、そんな気概を感じられたライブとなった。オープニングは、ストリングスのチューニング音からはじまり、荘厳なオーケストレーションを醸し出す「開会式」からスタート。今回、ステージにはメンバー以外にもホーン&ストリングス隊が演奏に参加。より奥行きの広いサウンドを豊潤に繰り広げていく。聖火台モニュメントへの輝かしい聖火の点火。LEDモニターには、アニメーションで描かれた聖火台に揺れる炎が指揮棒を振って舞っている。Photo:Kosuke Itoこの日に最もふさわしい曲「飛行艇」では、屋根のないスタジアムで大空へ向かってドッシリとロックビートを解き放つ。“どんな夢を見に行こうか”という歌い出しの本作だが、まさに夢の光景が眼前に広がっているのだ。勢喜遊(ドラムス・サンプラー)はサングラス越しに笑み、井口理(ボーカル・キーボード)は左手を頭上に掲げ、新井和輝(ベース)はビートと呼応しながら揺れ、常田大希(ギター・ボーカル)はゆっくりと客席を見回している。印象的なワンシーンだ。Photo:Ayumu Kosugi間髪開けずに「Tokyo Rendez-Vous」を披露。井口による「みんな元気?元気だね。ここでMCをするつもりはなかったんだけど。せっかくの千秋楽だからね。来てくれてありがとう。俺らもさ、6、7年前は下北沢や渋谷のライブハウスで、誰も聴いていなかったようなところで演奏してたんだけどさ。今どうよ?7万人が聴いてくれていますね。ありがとう!みなさんに提案なんだけど、今日という日をこの先の人生で何度も思い出したくなる日にしませんか?どうか今日はよろしくお願いします」という、第一声となるMCを解き放つ。野外に似合うビートの効いたパンキッシュなアッパーチューン「Teenager Forever」を皮切りに「BOY」、開放感でいっぱいな「雨燦々」など誰もが知るヒットチューンを惜しげも無く立て続けにプレイ。ときには常田、井口、新井がひとつのマイクに向き合ってシャウト、オーディエンスへボーカルを委ね合唱が起きるなど涙腺崩壊な展開だ。そして、疾走感溢れるリズムが、夕涼みのような風の気持ち良さとリンクする「小さな惑星」と呼応し、会場の空気をよりポップに染め上げていく「傘」を披露。しかしながら今日は、時の流れを早く感じる。楽しい時間はあっという間とはまさにこのことだ。King Gnuはとにかくあらゆる面で情報密度が濃い。なのに想いはシンプルで直球だ。それが理由のひとつなのかもしれない。Photo:Kosuke Ito長めのMCタイムでは「いい日だね、今日もいい空だねえ」と井口が空を見上げながら語り、King Gnuらしい距離感の近い雑談のようなトークを繰り広げていく。昨日6月3日公演では「東京じゃない人どれだけいる?」と、オーディエンスがどこの地域からやって来たかを手をあげさせ、今日は「あらためましてKing Gnuです」と挨拶し、タバコに火をともし、続けて常田もタバコを吸いはじめて沸く会場。井口が「今回はほんとに波乱のスタジアムツアーになっちゃいまして。大阪もリハができなかったり。横浜もゲネプロが出来なくて。台風で3日の昼ごろまで雨が降っていて。でも、なんとか出来ましたね!」と話題を広げていく。MC中もずっと、生BGMのごとくアコギを爪弾いていた音楽に寄り添う常田。そんな柔らかい雰囲気そのままに「ユーモア」、そしてホーリーな雰囲気漂う「Donʼt Stop the Clocks」をメランコリックにプレイ。ここからはヒットチューンとして知られる「カメレオン」、そして常田がピアノソロで、東京藝術大学出身の先輩である坂本龍一への追悼として「Merry Christmas Mr. Lawrence」の一節をアレンジを加えながら心を込めて演奏。そのまま、壮大な雰囲気を持つ「三文小説」へと没入感高いハイクオリティーな演奏へ突入。本日のハイライトのひとつだ。気がついたら日没時刻となっており、会場は薄暗くなってきたところで最初期に生み出されたアブストラクトかつドープなナンバー「泡」。淡いレーザー光線による輝きが妖しげに美しい。そして、ドープなインスト曲「幕間」を経て、突如アップテンポに感情が解き放たれる「どろん」、「Overflow」など人気チューンを次々にドロップしていく。ここで再びMCタイム。新井が10数名のホーン&ストリングス隊を紹介しつつ、井口が「後半いきますか?まだまだいけますか?」と煽る。King GnuオリジナルのJ-POPセンスの躍進のきっかけとなった「Prayer X」が演奏され、勢喜によるドラムが映えるイントロダクション、スモーク濃いめに焚かれアッパーな常田のラップが繰り広げられていく「Slumberland」へと続く。さらに、スタジアムが似合うビートの効いた「Stardom」では、会場の温度があがるほどにステージに設置された数々の炎が一斉に燃え上がりまくるなど、かつてない派手な演出へ。勢いそのままに、ビートが研ぎ澄まされたロックチューン「一途」。ドラマティックな「逆夢」へと駆け抜けていく。繰り返すが、あっという間に時間が溶けていくのだ。Photo:Kosuke Itoそして待ちに待った、常田がメインボーカルを務める「壇上」のライブお披露目である。アルバム『CEREMONY』でもキーとなったナンバー。知る人ぞ知る楽曲だ。歌詞は、まるで数年後の自分たちの心情に振り返ったかのようなセンチメンタルな世界観。そんな想いとリンクするかのように走馬灯のごとくこれまでのバンドの歴史がメンバー写真とともに矢継ぎ早に巨大LEDモニターに映し出され、心が真っ白になっていく。頭も空白のまま、本編最後となるサイケデリックなポップバラード「サマーレイン・ダイバー」へ。オーディエンスが自発的にスマートフォンのライトを点灯し、会場中に光が瞬く大海原のようなシーンへと一変。感情が追いつかないほどの大感動だ。声出し解禁、オーディエンスと合唱しながら、メンバーによる満足度の高い笑顔とともに大団円を迎えていく。Photo:Ayumu Kosugiアンコールを経て、ステージでは常田がチェロを独奏。アヴァンギャルドかつアカデミック、色気のある高貴なプレイ。パーカッシヴな弦の響きに目が耳が離せない。そのまま、King Gnuの代表曲と言っていいだろう「白日」を披露。透明感ある伸びやかな歌声が美しい。そしてラストMCタイムへ。井口による、オーディエンスへの感謝の言葉「ありがとう!楽しかったね。あとちょっとだけ付き合ってもらっていいですか?ここに7万人の人がいて。それぞれ生活があって。せっかくなら7万人の心の歌を聴きたいじゃないですか?大きな声で歌えますか?」と、オーディエンスへ問いかけた。そしてラスト2曲。まずはKing Gnuファンが最も愛する「McDonald Romance」を4人のコーラスワークが堪能できるバージョンで演奏。オーディエンスの大合唱とともに、会場にほんわかした暖かみが広がっていく。そして、ラストは井口による「盛り上がろうぜ!」という煽りに続けて「Flash!!!」。超絶アッパーなロックチューンによって、この日最強のハイライトが繰り広げられていく。高揚感でいっぱい、凄まじい熱量がバンドとオーディエンスの垣根をなくし、スタジアムに集まった全員の心が一体化していく。幾千に宙を飛び交うレーザービーム、そしてステージ上空に舞い上がる花火とのシンクロがヤバい。ヤバすぎる。Photo:Kosuke Itoキング率いるヌーの群れは、仲間を巻き込みどんどん大きくなってきた。今回、最多キャパシティーとなる7万人スタジアム・ライブの成功。希望に満ち溢れた最新章のページがめくられたのだ。ヌーの群れの旅は今後も続いていく。テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)<公演情報>King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY6月4日(日) 日産スタジアムセットリストM0. 開会式M1. 飛行艇M2. Tokyo Rendez-VousM3. Teenager ForeverM4. BOYM5. 雨燦々M6. 小さな惑星M7. 傘M8. ユーモアM9. Don’t Stop the ClocksM10. カメレオンM11. 三文小説M12. 泡M13. 幕間M14. どろんM15. OverflowM16. Prayer XM17. SlumberlandM18. StardomM19. 一途M20. 逆夢M21. 壇上M22. サマーレイン・ダイバー【ENCORE】M23. 閉会式M24. 白日M25. McDonald RomanceM26. Flash!!!関連リンクOfficial HPオフィシャルモバイルサイト「CLUB GNU」
2023年06月05日SEVENTEENが、約1年ぶりのファンミーティング『SEVENTEEN 2023 JAPAN FANMEETING ‘LOVE’』を開催。5月17日(水)・18日(木) の京セラドーム大阪、5月27日(土)・28日(日) の東京ドーム、全4日間で約18万人を動員した。ファンミーティングがドームで開催されるのは異例のこと。さらに18日と28日の公演はオンラインライブストリーミングで世界中に配信され、27日の公演は日本全国の映画館でライブビューイングが開催されるなど、会場に足を運べなかったファンとも幸せな時間を共有した。5月28日、東京ドームでの最終公演。会場の四隅からハートをモチーフにしたトロッコで登場した13人(S.COUPS、JEONGHAN、JOSHUA、JUN、HOSHI、WONWOO、WOOZI、DK、MINGYU、THE 8、SEUNGKWAN、VERNON、DINO)に観客は歓喜の声を挙げる。「Run To You (Japanese Ver.)」と「_WORLD」で会場を周回してたっぷりとアイコンタクトをとった後は、センターステージで集合してしなやかなダンスを披露。オープニングトークでは、まずはS.COUPSが、CARAT(SEVENTEENのファンの名称)に向かって「本当に会いたかったです」と笑顔で挨拶。また、韓国で4月24日にリリースし、初動売上がK-POP史上最高記録を達成した10thミニアルバム『FML』のダブルタイトル曲の一つ「Super」のサビのダンスを全員で披露して会場を沸かせた。今回のファンミーティングのタイトルは“LOVE”ということで、ゲームコーナーではメンバーたちが獲得したポイントをハートの数で表現。一番多くハートを獲得したメンバーには“LOVE KING”の称号が与えられる。SEVENTEENのこれまでの歴史を振り返るクイズコーナーに続き、チームに分かれて風船を使ったゲームなどを繰り広げ、最後は障害物競走のようにピンポン玉を運ぶゲームなど、頭脳も身体も駆使してCARATを楽しませた末に、“LOVE KING”の栄誉を手にしたのは反則技のオンパレードでハートをたくさん獲得したJEONGHANとJOSHUAのペア。自称“ひつじヘア“というパーマヘアが話題沸騰中のJEONGHANは「ドライヤーがほしい」とおねだりして笑いをとった。また、メンバーは知らないサプライズで4日間の合計ハート獲得数の順位も発表され、JUNが1位を獲得。副賞には日本限定色の高級ドライヤーが贈られJEONGHANがうらやましそうにしていたが、韓国では電圧の関係で使えないというオチに大爆笑。ライブパートでは「My My」や「Oh My!」のJapanese Ver.などスイートな楽曲を披露したのに続き、SEUNGKWAN、DK、HOSHIの3人で構成されたスペシャルユニットBSS(ブソクスン)が2月にリリースしたアルバム『SECOND WIND』のタイトル曲「Fighting (Feat. Lee Young Ji)」をVERNONのフィーチャリングで日本初披露。『FML』のもう一つのタイトル曲「F*ck My Life」も日本初披露というスペシャルなステージの連続。最後は名曲「舞落ちる花びら(Fallin’ Flower)」のニューアレンジで魅せると、美しすぎるパフォーマンスに深いため息がもれた。一方のCARATも、コロナ禍が明けてからは日本で初の歓声ありのライブとあって、難易度の高い応援法を大合唱してメンバーを盛り立てた。アンコールでは、今回のテーマ“LOVE”の代名詞ともいえる楽曲「All My Love」をニューアレンジのJapanese Verで歌い上げると、CARATはその歌詞に応えるように“永遠に続く私たちのLOVE STORY”とのスローガンを掲げて彼らへの想いを伝える。HOSHIは「皆さんの声を久しぶりに聞けました」と感無量の様子で、大歓声で応援してくれたCARATに喜びと感謝の言葉を述べた。エンディングの挨拶では全員が順番に心を込めた日本語の手紙を読み上げ、最後はDKが「東京ドームでファンの皆さんに会えるなんて本当に幸せで光栄です。僕がSEVENTEENであることがありがたいし、心より幸せなことだと思います」と締めくくった。再びトロッコに乗りこむと、会場のCARATを愛しそうに見つめながら「’bout you」と「Campfire」を笑顔で披露してステージを後にしたSEVENTEEN。5月26日(金) にデビュー8周年を迎え、5月30日(火) には日本デビュー5周年を迎える節目に、彼らの“LOVE”をたっぷりと感じることができた約3時間のファンミーティングだった。写真:(C)PLEDIS Entertainment<イベント情報>『SEVENTEEN 2023 JAPAN FANMEETING ‘LOVE’』5月17日(水)・18日(木) 京セラドーム大阪5月27日(土)・28日(日) 東京ドーム【セットリスト】01. Run To You (Japanese Ver.)02. _WORLD03. My My04. Oh My! (Japanese Ver.)05. Fighting (feat. VERNON)06. Together (Japanese Ver.)07. F*ck My Life08. 舞い落ちる花びら(Fallin’ Flower)09. All My Love (Japanese Ver.)10. ’bout you11. CampfireSEVENTEENオフィシャルHP:
2023年05月30日本日5月24日(水) より東京建物 Brillia HALLにて、『BACKBEAT』の東京公演が開幕する。本作は、結成当初5人編成だった世界的ロックバンド・ビートルズの創成期の青春物語を20曲以上もの生演奏で綴った作品。ここでは、プレビュー、兵庫、熊本、大阪公演を経た本作の公演レポートをお届けする。舞台は、戸塚祥太演じるスチュアート・サトクリフが生き生きと絵を描くシーンから始まる。その表情が、動きが、情熱が、スチュアートは芸術家なのだと一瞬でわからせる。芸術家スチュアートは、親友ジョン・レノン(加藤和樹)に誘われ、ジョージ・ハリスン(辰巳雄大)、ポール・マッカートニー(JUON)、ピート・ベスト(上口耕平)と共に、全員10代で「ビートルズ」となる。印象的だったのははじまりのシーンだ。ジョンはスチュアートにベースを持たせ、弾き方を教え、スチュアートがたどたどしく鳴らす音に歌をあわせてみせる。さっきまでスチュアートは絵筆を持っていて、ベースを弾いたこともなかった。そこでジョンが生み出した音楽は、スチュアートだけでなく客席をも巻き込んだ。音楽というもの、そしてジョンという人から滲み出るカリスマ性を、加藤がとても魅力的に表現している。ビートルズの末っ子ジョージはギターが好きで人懐っこい人だったそうだが、辰巳のジョージはまさにそれ。そして目をこすりたくなるほど10代である。ミュージシャンでもあるJUONの芝居はポールへのリスペクトが垣間見え、それが不思議とポールの才能を予感させるものにもなっている。上口演じるピートは後半まで心情が見えてこない人物だが、その心の内が見えたとき、「感じていたのはこれか」と納得する芝居を丁寧に積み重ねる。愛加あゆが演じるのはスチュアートと恋に落ちるアストリッド。写真家でもある彼女の凛とした姿勢がスチュアートにどれほど影響を与えたか一目で理解させるオーラが放たれる。エルヴィス役の尾藤イサオは1966年のビートルズ初来日公演の際に前座を務め、彼らの生の演奏を体感した歌手でもある。その尾藤の、歌唱はもちろん存在そのものがこの物語にとって大きなものだ。ジョンから放たれる風は周囲の人をどんどん巻き込んでいく。だがスチュアートだけは、そこから飛び出すのだ。それは決別のように思えるが、そうではないことが戸塚や加藤の芝居を観ているとまっすぐに届く。5人の、どんな状況でもどんな状態でも、ライブシーンになると途端に輝きだす姿は感動的だ。この5人の光景を忘れてビートルズを聴くことはもうできないなと感じる舞台であった。撮影:岡千里
2023年05月24日乃木坂46 1期生・齋藤飛鳥の卒業コンサート初日公演が、5月17日(水) に東京ドームにて開催された。昨年12月末をもってグループを卒業済みの齋藤だったが、この日と翌18日に同会場で実施される公演を最後に正式にグループを離れることとなり、初日公演には5万人もの観客が集結し、さらにインターネット生配信も行われるなど、大勢のファンが“アイドル・齋藤飛鳥”として残り少ないステージの模様を目撃した。未来へ向けて羽ばたく白い羽根をモチーフにしたステージセットがそびえる中、暗転とともに客席が白+水色の齋藤カラーのペンライトで客席が染め上げられる。すると、「Overture」に続いてステージには齋藤のシルエットが浮かび上がり、白い衣装を身に纏った彼女にスポットが当たる。彼女は若干緊張した面持ちながらも、ゆっくりと歩いてアリーナ中央のサブステージへと移動。客席から盛大な拍手が送られると、その表情にふと笑みが溢れ、客席を見渡してから深々と一礼する。そのまま流麗なピアノの音色とともに、「ここにはないもの」からライブはスタート。齋藤のソロ歌唱に導かれるように選抜メンバーがステージに上がると、さらに美しい空間が展開されていく。曲のクライマックスでは羽根や銀テープが舞う幻想的な演出も用意されるなど、『齋藤飛鳥 卒業コンサート』DAY1は華々しい幕開けを切った。「ありがちな恋愛」では曲中に観客のコールも加わり、会場の熱量が急加速。間奏では齋藤のソロダンスに合わせて火花が吹き上がる派手な演出も見られ、続く「制服のマネキン」ではこの日の出演メンバーが勢揃いし、激しい爆発音が鳴り響く中で情熱的なダンスを繰り広げる。ここまでクールな楽曲が続いたが、その後は「ハウス!」「ダンケシェーン」と一体感を高めるのに欠かせない楽曲を連発。齋藤は「久々にみんなの声が聞けるのを楽しみにしてました!」とうれしそうに叫びながら、メンバーとともに鳥をイメージしたトロッコに乗って会場を一周する。最初のMCでキャプテンの梅澤美波が「東京ドームで歓声を聞けるのも、初めての東京ドーム(2017年11月)以来のこと」と告げると、齋藤は「これを聞くためにこの数カ月生きてきたので、すごくうれしいです」と口にしてから「ご覧の通り、すごく楽しげです。緊張はするけど楽しさが勝っているし、このライブ自体もすごく楽しいセットリストと演出を用意してもらったので、卒業だけに重点を置かずに、みんなのキラキラを見てもらえたらうれしいです」と笑みを浮かべる。その後、映像を通じて「どうやったらこの人たち(現メンバー)の未来につながりつつ、私もいい旅立ちができるかを擦り合わせるのが難しくて。卒コンなので、どうしても私がめちゃくちゃ出ているんですけど、その中でも満遍なくみんなしっかりと出してあげたいし、絡みたいし、ちゃんと全員と目が合うようにしたい」と齋藤からこの日のセットリストの趣旨が告げられると、「私、起きる。」「のような存在」「僕のこと、知ってる?」と、齋藤に3〜5期生を交えたスペシャル編成で披露。今後二度と見られない組み合わせと選曲に、イントロが鳴り響くたびに客席からはどよめきの声が上がる。また、続くブロックでは現在のアンダーメンバーを携えて、齋藤が初めてセンターを務めたアンダー曲「扇風機」や「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」、3〜4期生とともに「Hard to say」をパフォーマンスして、緩急に富んだセットリストで会場を沸かせ続けた。ライブ中盤は、齋藤が参加したユニット曲を中心に進行。クールでキレのあるダンスとともに「Another Ghost」をソロ歌唱したかと思えば、「Threefold choice」では岩本蓮加&小川彩を迎えて可愛らしさに振り切る。また、「サヨナラ Stay with me」を3〜4期生を交えた布陣でカラフルに表現し、「路面電車の街」を山下美月&賀喜遥香の3人でしっとりと歌い継ぐ。さらに、かつてライブでも披露した経験のある齋藤&遠藤さくらによる「他の星から」の再演で、オーディエンスのボルテージも急加速。エンディングでは齋藤が遠藤の頭をポンと叩くと、遠藤が感極まる一幕もあった。その後は鳥型トロッコやフロートを使ってメンバーが会場中を動き回りながら、「空扉」「全部 夢のまま」をメンバー全員で披露して会場の熱量を上げ続けた。ライブ後半戦は「Wilderness world」をはじめ、ダンスの比重が高い楽曲がずらりと並ぶ。気心の知れた3〜4期生のみならず、加入から1年数カ月の5期生も交えた編成ながらも、齋藤の気迫に追いつこうとする熱量と華麗さが入り混じったパフォーマンスで、見る者を惹きつけた。続く「インフルエンサー」では齋藤&山下がダブルセンターを務め、激しくも情熱的なダンスで会場の空気を掌握。観客のシンガロングが加わり迫力を増した「深読み」、2017年11月の初東京ドーム公演を思い出させる「いつかできるから今日できる」、齋藤と山下が中心のコール&レスポンスを経て、「あらかじめ語られるロマンス」「ジコチューで行こう!」で観客の声援がさらに熱を帯びライブは佳境に突入する。ライブ本編最後のブロックでは、ストリングス隊を含むバンド編成でのステージを用意。バンドメンバーによるインストセッションを経て、齋藤もドラムで演奏に加わると観客もより熱の入った声援を送ることに。そしてメンバーが再登場すると、齋藤もドラム演奏で加わる形で「君に叱られた」を披露する。こういった形のライブが行えるのも、音楽と真摯に向き合ってきた彼女ならではのこと。続く「裸足でSummer」では齋藤もパフォーマンスに加わり、パワフルな生演奏を背に多幸感に満ち溢れたステージが展開され、最後はオーディエンスのクラップ&シンガロングや齋藤の華麗なソロダンスをフィーチャーした「Sing Out!」で、ライブ本編を締め括った。アンコールでは、昨年の『真夏の全国ツアー2022』でも話題にあった“トリンギョ”が再登場するサプライズも。観客との微笑ましいやりとりを経て、トリンギョ型気球に乗った齋藤が会場上空に姿を現すと、「キャラバンは眠らない」「他人のそら似」を立て続けに披露。曲中、齋藤がトリンギョの正体は自分だと明かす場面もあり、ステージ上を縦横無尽に動き回るメンバーとともに笑顔で満ち溢れた空間を作り上げていった。その後、ステージに齋藤がひとり残ると、「明日(のライブを)見られない人のために少しだけお話を」と今の心境を伝えていく。彼女は今年2月の『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』を配信で視聴し、「すごく素敵だったから、みんなが未来に向かって歩き出しているのに、私の卒コンをやったら過去に立ち返らせてしまうからどうしよう」と自身の卒業コンサート開催に対して不安を覚えたという。しかし、周りのスタッフやメンバーからの温かい後押しもあり開催を決意したことを明かす。そして、「私への愛情を、これからはメンバーのみんなに向けてくれたらうれしいです。これからの乃木坂46をどうかよろしくお願いします」とメッセージを届けて、彼女の卒業に際して制作されたソロ曲「これから」をライブ初披露。途中、歌詞を間違える一幕もあったが、最後は笑みを浮かべて深々とお辞儀する。歌唱後も歌詞を間違えたことを悔しがる齋藤だったが、梅澤をはじめメンバーに対して「見守ってくれてありがとう」と告げ、「今日は(感傷的になるよりも)想像していたよりも楽しくて」と今の気持ちを口にする。そして、「乃木坂の詩」で東京ドームを紫色に染め上げ、3時間近くにおよぶ卒業コンサート初日を大成功のうちに終えた。Text:西廣智一<公演情報>乃木坂46 齋藤飛鳥 卒業コンサート5月17日(水) 東京ドームセットリスト00. Overture01. ここにはないもの02. ありがちな恋愛03. 制服のマネキン04. ハウス!05. ダンケシェーン06. 私、起きる。07. のような存在08. 僕のこと、知ってる?09. 扇風機10. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた11. Hard to say12. Another Ghost13. Threefold choice14. サヨナラ Stay with me15. 路面電車の街16. 他の星から17. 空扉18. 全部 夢のまま19. Wilderness world20. インフルエンサー21. 深読み22. いつかできるから今日できる23. あらかじめ語られるロマンス24. ジコチューで行こう!25. 君に叱られた26. 裸足でSummer27. Sing Out!アンコール28. キャラバンは眠らない29. 他人のそら似30. これから31. 乃木坂の詩<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年05月18日5月10日に新作アルバム『PRIVATE』を発表したシンガーソングライターのiriが、5月17日(水) に地元である神奈川県民ホールにて、初のホールツアー『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』の初日公演を行った。アルバムリリースに先駆け、5月5日放送のテレビ朝日『ミュージックステーション』に初出演し、代表曲である「会いたいわ」を披露したiri。ストリーミング総再生回数が8,600万回を超えるバイラルヒットを記録した同曲をきっかけに、肩の力を抜いた音楽への取り組みに自信を深めた彼女は、この日のステージで自信を確信に変えるように躍動した。「声出しがOKになって初めてのツアーです。ゆったりまったりいきましょう」。MCでそう語ると、高揚感のなかにリラックスしたフィーリングが感じられるパフォーマンスを披露。自身のポジティブな心境を投影した「Season」、グルーヴと共に美しい情景を描いた「DRAMA」をはじめとする新作アルバムの楽曲から日本レコード協会の「ゴールド認定」を獲得した「Wonderland」、代表曲「会いたいわ」まで、バンドを携え、ギターを手に披露された表情豊かな楽曲を通じ、取りつくろうことなくありのままのiriを表現してみせた。最終日である6月18日の東京ドームシティホールまで、全9公演からなる今回のツアーは、深くスモーキーな歌声に普遍性を宿し、ジャンルや世代、性別を超えた幅広いオーディエンスに届けられる。Text:小野田雄Photo:田中聖太郎<リリース情報>iri 6thアルバム『PRIVATE』発売中iri『PRIVATE』ジャケット●初回限定盤(2CD):4,180円(税込)●通常盤(CD):3,300円(税込)●アナログ盤(LP):4,400円(税込)【収録内容】※全形態共通1. Season2. STARLIGHT(サッポロ生ビール黒ラベルStar Lyrics企画タイアップ曲)3. Roll4. DRAMA5. 染(Amazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』主題歌)6. Go back7. friends(メルセデスAMG SL タイアップソング)8. moon9. boyfriend10. private【CD DISC2収録内容】※初回限定盤のみ■iri Presents ONEMANSHOW "STARLIGHTS"1. Corner2. ナイトグルーヴ3. Rhythm4. 染5. 会いたいわ6. 半疑じゃない7. 摩天楼8. Sparkle9. 24-2510. STARLIGHT配信リンク:<ツアー情報>『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』※終了分は割愛5月18日(木) 宮城・トークネットホール仙台OPEN18:00 / START19:005月25日(木) 北海道・カナモトホールOPEN18:00 / START19:006月2日(金) 福岡・福岡国際会議場 メインホール ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月6日(火) 岡山・倉敷市芸文館OPEN18:00 / START19:006月8日(木) 大阪・サンケイホールブリーゼOPEN18:00 / START19:006月9日(金) 大阪・サンケイホールブリーゼ ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月16日(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月18日(日)東京・東京ドームシティホール ※SOLD OUTOPEN17:00 / START18:00【チケット料金】前売:7,000円(税込) / 当日:8,000円(税込)※全席指定チケット情報はこちら:関連リンクオフィシャルサイト:::::
2023年05月18日昨年、第一回目が開催された『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』(以下『ラブシュプ』)が、今年も5月13日・14日、秩父ミューズパークで行われた。新世代ジャズフェスティバルと謳ったこのフェスは、ジャズ、ソウル、ファンクを横断する上質で洗練された音楽を奏でる“今見るべき”アーティストが集結。2日間で8千人のファンが、緑の中で繰り広げられた極上セッションの数々を楽しんだ。今年は、初日のヘッドライナーにファンク界のキングと最強軍団GEORGE CLINTON&PARLIAMENT FUNKADELICを、2日目にジャズ/ソウル/ヒップホップシーンのスーパースターTERRACE MARTIN、ROBERT GLASPER、KAMASI WASHINGTONがタッグを組んだ超豪華プロジェクト・DINNER PARTYという、超大物アーティストを迎えたことでも大きな注目を集めた。そして今年のグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされたDOMi&JD BECKの出演も大きなトピックスになった。さらに2月に公開され大ヒットを記録したジャズをテーマにしたアニメ映画『BLUE GIANT』の劇中で、バンドのライブシーンの演奏を担当したサックス奏者・馬場智章と、ドラマー石若駿という現在のジャズシーンを牽引する二人が、自身のリーダーセッションで出演することでも話題を集めていた。ラブシュプはドーム型の屋根が特徴的な「THEATRE STAGE」と芝生エリアの「GREEN STAGE」という2つのステージと、「DJ TENT」でアーティストとDJが一日中素晴らしい音楽を響かせた。初日の「THEATRE STAGE」のトップバッターは馬場智章も参加している、石若駿率いるAnswer to Remember with HIMI / Juaだ。石若とMarty Holoubekの強力なリズム隊と、各パートのアグレッシブでパワフルなソロでたっぷりとストレートなジャズで攻めた前半。そしてボーカリストを迎えた後半は、まずJuaが加わり熱いラップが跳ね、強力な音と融合する。millennium paradeにも参加しているermhoiは、繊細かつ力強い歌で「Tokyo」などを披露。「Tokyo」では石若とTaikimen (Perc) のせめぎ合うようなプレイに歓声が上がる。HIMIが「Down Hill」を歌い始めるとチルな空気が流れ、美しいファルセットの「ゆめからさめるまで」「抱きしめたいよ」とメロウなダブ、ソウルが続く。演奏と歌、それぞれが立体的に交差しどこまで気持ちいい空気が生まれていた。Answer to Remember世界を虜にするZ世代のデュオDOMi&JD BECKがステージに登場すると大きな歓声が上がる。この日出演している多くのアーティストも客席後方から見守り、注目度の高さがわかる。ドラムのJD BECKとピアノのDOMiが向き合うセット。便器を模した、トイレットペーパーも付いたDOMiのイスに目がいってしまう。DOMiは鍵盤を左手でベースラインを弾き、右手で旋律を奏でる。JD BECKの超絶技巧のドラムと重なり、二人だけのミニマムな空間から超高速グルーヴが放たれる。演奏のスピードが増しエネルギッシュになればなるほどその音の渦に巻き込まれた客席の興奮が伝わってくる。ハービー・ハンコックとの共作「MOON」やジョージ・デュークに捧げた「DUKE」とディズニーランドへのトリビュートである「SPACE MOUNTAiN」のメドレーなどを披露し、ウェイン・ショーターの「Endangered Species」やジャコ・パストリアス作曲の「Havona」などレジェンド達のカバーも独自の解釈で投下。「BOWLiNG」では、演奏だけではなく繊細なボーカルで魅了した。全ての人の音楽的好奇心をくすぐる二人の圧巻の世界だった。DOMI&JD BECKこの日は「THEATRE STAGE」にAI, bird, 家入レオ with SOIL&“PIMP”SESSIONS、ALI、「GREEN STAGE」に海野雅威 with Special Guest 藤原さくら、4 Aces with kiki vivi lily、MoMo(OPENING ACT)が出演し、セッションを繰り広げた。初日のヘッドライナーはGeorge Clinton&PARLIAMENT FUNKADELIC。「THEATER STAGE」に“総帥”ジョージ・クリントンが、スパンコールのロングジャケットを纏い登場すると、伝説を目撃しに来た客席から大歓声があがる。オープニングナンバーは『Jump Around (House Of Pain)』。70分ノンストップのファンクの響宴の幕開けだ。ステージ上から煽られ、早速客席は総立ちでジャンプ。「Pole Power」「Meow Meow」とめくるめくグルーヴの洪水に、老若男女がハンズアップし、飛び跳ね、ただただ音楽を楽しむ“自由”な空間ができあがる。ラッパーたちが煽るハードファンク「Get Low」に続いて「FlashLight」が投下されると.ENDRECHERI.こと堂本剛が“ギタリスト”として登場。ジョージ・クリントンへのリスペクトを日頃から語っている.ENDRECHERI.が、総帥と同じくスパンコールのパンツスタイルで長尺のギターソロを披露すると、完全にバンドの音になっているその音色に、客席から大きな歓声が沸く。「(Not Just) Knee Deep」では、バンドのドラマー・ベンゼル・ボルチモアと親交がある天才中学生ドラマー・CHITTAが登場し、.ENDRECHERI.と共に体を揺らし、この瞬間を客席と共に体全体で楽しんでいた。CHITTAはラストの名曲「Give Up the Funk」でドラムソロを披露し、メンバー、客席から歓声が飛び交っていた。終始“Keep the bottom”、ヘヴィな低音のリズムとタフなサウンドが続き、ファンクの深い世界に全ての人を連れ出してくれた。バンドも客席も自由を謳歌する祝祭感と多幸感あふれるステージだった。George Clinton&PARLIAMENT FUNKADELIC2日目、14日の「GREEN STAGE」に馬場智章がバンドを率いて登場。馬場がこのステージの前に出演した「THEATRE STAGE」でのPenthouseとのライヴを観終えた多くのリスナーが、そのまま移動してくる。佐瀬悠輔(Tp) 、ermhoi(Vo)、Marty Holoubek(B)、David Bryant(Key)、松下マサナオ(D)という強力メンバーと緑に囲まれたステージで「過去から未来へとつながる」(馬場)楽曲を次々と披露。タイトなリズムと躍動するピアノが印象的な「Voyage」では、コーラスと共に歌うようなサックスで魅了し、「Circus」でのトランペットとの掛け合いに客席が盛り上がる。ermhoiが歌った「Pine Tree」はその浮遊感を感じる声をバンドの音がさらに際立たせる。馬場のサックスがまさに森に響き渡る「Still Remember」、そして「The Roots of Blood」で極上の“空間”を作り上げていた。馬場智章SOIL&“PIMP”SESSIONSは今年はレジデンシャルバンドとして出演し、2日目の「THEATRE STAGE」では、SKY-HI&BMSG POSSE with SOIL&“PIMP”SESSIONSとして熱狂を作り出していた。まずはSOILが「Meiji-Jingumae ‘Harajuku’」を披露。それぞれのソロプレイに客席は引きつけられる。そしてSOILの“社長”が“社長(SKY-HI)”を呼び込み、SKY-HI率いるBMSG POSSEが登場すると大歓声が沸き起こる。ジャズアレンジされた「何様」からセッションがスタート。SKY-HIの切れ味鋭いラップが会場中に襲い掛かる。そこにREIKOのソウルフルで美しいボーカルが加わる。Debra Lawsの「Very Special」を、MANATOとREIKOでカバーし、さらにSOILの楽曲「comrade」をMANATOがカバーした。SOILの演奏と歌が交差し、心地いいグルーヴを生み出す。SKY-HIは「今日は誰が一番楽しむかが勝負」と自身もステージ上でワインを楽しみ、メンバーも自由にステップを踏み楽しんでいる。Aile The Shotaは「DEEP」とSOILの楽曲「ユメマカセ」を披露するなど、昨年「GREEN STAGE」に出演してから一年、進化したその歌を聴かせてくれた。また、ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO&SOTA from BE:FIRSTとしてはSOILの生演奏で「Thinkin’ bout you」を披露するなどこの日だけのセッションは続き、ラストの「オプティミスティック」では打合せなしのフリースタイルセッションで、とことん自由にそしてクールにステージを楽しみ、楽しませてくれた。この日はBlue Lab Beats featuring 黒田卓也、西口明宏 with 鈴木真海子(chelmico)、ARIWA(ASOUND)、Penthouse with 馬場智章、Kroi、BREIMEN、soraya(OPENING ACT)といった、様々な音楽を奏でる注目アーティスト達が、素晴らしい演奏で、客席を沸かせた。2日目のヘッドライナーは、DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTONという、待ちに待ったステージが実現。客席はすでに総立ちで、大きな歓声と拍手がスタートの合図だ。Jahi Lake のDJプレイの後、まずはゲストボーカルのArin Rayを迎えた「Sleepless Nights」からスタート。Justin Tyson(Dr)、Burniss Travis(B)という強力リズム隊が生むドープなリズムに、早くも客席は酔っている。「Breathe」ではカマシとテラスのWサックスで、気持ちいいグルーヴが生まれる。「Need U Still」はグラスパーがエネルギッシュなキーボードソロを披露し、徐々に熱を帯び、強固で熱いリズムと絡み、熱狂が生まれる。この日はそれぞれのソロもたっぷりと披露し、レジェンドそれぞれが持つエネルギーが音になって放たれ、客席を熱くさせる。永遠に聴いていたい、そう思わせる演奏の数々だった。ラストは再びArin Rayが参加した「Freeze Tag」。カマシとテラスが曲の印象的なラインを一緒に演奏し、カマシの色気とパワーを感じさせてくれるソロに、客席の熱量が高くなる。まさに夢のような約80分のステージだった。DINNER PARTY出演者もリスナーも、自由なスタンスとスタイルで音楽を楽しむ。それがこのフェスの醍醐味だ。開催前にSOILの社長が語っていた「世界の最前線で今のジャズを牽引するバンドと、JAZZの歴史を作ってきたレジェンドと、それらをミックスしてグルーヴを繋ぐDJという、JAZZの進化に欠かせない3つの要素が全て楽しめるのは『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL』しかありません」という言葉が実感できた2日間だった。文=田中久勝<イベント情報>『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』5月13日(土)・14日(日) 埼玉・秩父ミューズパーク開場12:00 / 開演13:00 / 終演20:00(予定)【出演】■5月13日(土)・THEATRE STAGEGEORGE CLINTON & PARLIAMENT FUNKADELIC with Special Surprise Guest .ENDRECHERI. / DOMi & JD BECK / AI, bird, 家入レオ with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Answer to Remember with HIMI, Jua・GREEN STAGEALI / 海野雅威 with Special Guest 藤原さくら / 4 Aces with kiki vivi lily / OPENING ACT:MoMo・DJ TENT荒田洸(WONK)/ SHACHO (SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)/ Chloé Juliette■5月14日(日)・THEATRE STAGEDINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTON / SKY-HI & BMSG POSSE (ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO&SOTA from BE:FIRST / REIKO) with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Blue Lab Beats featuring 黒田卓也, 西口明宏 with 鈴木真海子(Chelmico), ARIWA (ASOUND) / Penthouse with 馬場智章・GREEN STAGEKroi / BREIMEN / 馬場智章 / OPENING ACT:soraya・DJ TENT荒田洸(WONK)/ SHACHO (SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)/ Chloé Juliette※モノンクルはボーカル吉田沙良の体調不良に伴い、出演キャンセルとなりました。関連リンク公式サイト::::
2023年05月16日