6月25日、にしながワンマンライブ『hatsu』をZepp Tokyoで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。4月にファーストアルバム『odds and ends』を発表したにしなにとって、この日が初めてのワンマンライブ。貴重な機会を目撃しようと、場内はたくさんのオーディエンスが埋め尽くした。バンドメンバーに続いてにしながステージに姿を現し、一曲目に披露されたのは「真白」。アコギを抱えたにしなが愁いの中に芯の強さを感じさせる声で歌い出すと、それだけで場内の空気がガラリと変わる。《返してよ 私のはじめてを》という歌詞と初のワンマンであることのリンクにニヤリとさせられ、エネルギッシュなギターソロを挟み、歌声はさらに熱を帯びていった。真っ赤な照明が爽やかな青に変わると、曲調も一転してAOR風の「夜間飛行」へ。ブラックミュージックからの影響を消化し、カッティングによる軽快なグルーヴも自由なフロウで乗りこなす姿からは、シンガーとしての幅の広さが感じられる。印象的なシーケンスフレーズで始まる「ケダモノのフレンズ」でも、ハンドマイクで心地よいループに身を委ね、軽やかに歌を紡いでいく。ハーッと大きく息を吐き、「やっほー」と客席に呼びかけると、場内からは大きな拍手。「初めてのワンマン、遊びに来てくださってありがとうございます」と挨拶をして、「せつない曲をやろうかなと思います」と始まったのは「ダーリン」。フォーキーなグッドメロディーに乗せて、優しさがゆえにせつない関係性を切々と歌い上げるこの曲は、にしなの真骨頂と言ってもいいだろう。ライブ序盤こそやや緊張も感じられたものの、中盤に差し掛かると堅さも消えて、「ランデブー」ではリズムに合わせて体を揺らし、早口のパートを見事に決めて、「centi」でもさらに伸びやかな歌声を聴かせる。バンドメンバーを紹介し、「ここまではアルバムの曲をやってきましたが、次はアルバムに入ってない曲をやろうかなと思います」と話すと、ここでも場内からは大きな拍手。デビュー前のにしなはライブとYouTubeで弾き語りを披露し続け、まだ音源化されていない曲も多く、彼女を長く応援してきたであろうファンの多さを感じさせる。「アレンジされたバージョンを宇宙初公開しようかなと思います」と言って演奏された「夜になって」は、シンセやギターのソロをフィーチャーし、弾き語りとは異なるバンドならではの魅力を感じさせた。ライブ後半戦は華やかなダンスナンバーを連発。アカペラから始まった「透明な黒と鉄分のある赤」では4つ打ちに乗って《Shall we dance dance dance》と歌い、場内をダンスフロアに変え、CMソングとして書き下ろされた最新曲「U+」では間奏でステージ上に星空が浮かび上がり、そこからのシンガロングパートは音源以上の高揚感を感じさせる。さらに、アルバムではラストを飾る「桃源郷」を続け、ストリングスを配した重厚なバラードを堂々と力強く歌い上げた。「数日前からか一ヶ月前からか、ずっと緊張してて、でも始まったら一瞬で、残り2曲になりました」と話し、「次は煙草ばっかり吸ってる人に向けて書いた曲をやります」と言って披露されたのは、現在の代表曲とも言える「ヘビースモーク」。にしなもエレキギターを弾き、そのざらついた音の感触と、《手持ち無沙汰ならば 両の手を私が握って拘束する》という歌詞に象徴されるヒリヒリした関係性がリンクして、エモーショナルな歌声が聴き手に突き刺さる名曲だ。仲間に別れを告げ、自分が選んだ道に進むと決めた分岐点の曲本編ラストに披露されたのは、「ヘビースモーク」同様に活動の初期から披露されている大切なナンバー「ワンルーム」。台詞調の序盤から徐々に上り詰めて行き、間奏の轟音ギターを経て、せつないメロディーが歌い上げられるラストは圧巻。その場の誰もがジッとステージを見つめ、歌い終えたにしなが「ありがとうございました」と挨拶をすると、この日一番の盛大な拍手が贈られた。アンコールを求める拍手に応えて再度姿を現したにしなは「アンコールをしてもらえたらやりたかった曲がある」と話し始め、「私の音楽の小さな分岐点、それまで一緒に切磋琢磨しながらやってきた仲間にお別れを告げて、自分が選んだ道に進んで行こうと決めたときに書いた曲です。そのときは寂しさや恐怖があったけど、ここから先は仲間のことを忘れちゃうくらい、今に対して必死にならなきゃいけないし、必死でいたいと思って書いた曲。そのときから時間が経って、今日はかっこいいバンドメンバーと、一緒にステージを作ってくださる方と、観に来てくださった方がいて、ワンマンができて、本当に幸せに思います」と、音楽に対する切実な想いと、初のワンマンを迎えることができた喜びを語った。そして、「これから先も、広い宇宙の中を私たちがどこまでも自由に泳いでいけることを願っています」と伝え、バラードナンバー「青藍遊泳」を情感たっぷりに歌い切り、最後は再びエレキギターを持って、「昔バンドでやっていた曲」という爽快なロックナンバーの「アイニコイ」で大団円。まだまだ物語は始まったばかりだが、この歌声が僕たちを、私たちを、どこまでも連れて行ってくれる。そんな可能性を確かに感じさせるステージだった。文:金子厚武写真:上山陽介-SET LIST-M1. 真白M2. 夜間飛行M3. ケダモノのフレンズM4. ダーリンM5. ランデブーM6. centiM7. 夜になってM8. 透明な黒と鉄分のある赤M9. U+M10. 桃源郷M11. ヘビースモークM12. ワンルームENCOREEN1. 青藍遊泳EN2. アイニコイ【リリース情報】デジタルシングル「U+(ユー アンド)」2021年6月23日(水)配信楽曲リンクにしな 関連リンクにしなオフィシャルHP: Link::(スタッフ):::
2021年06月26日BAND-MAIDが5月10日の“メイドの日”に、約3カ月ぶりとなるONLINE OKYU-JI(=配信ライブ)『BAND-MAID “THE DAY OF MAID”』を開催。この度、オフィシャルレポートが到着した。本来、この日は豊洲PITにて約1年3カ月ぶりの有観客お給仕を行う予定だったが、緊急事態宣言の発令に伴い、関係省庁から公演中止の要請が為されたため有観客での開催を断念。急遽会場を変更し、2021年二度目のONLINE OKYU-JIとして実施された。この日はBAND-MAIDのステージが始まる前に、小鳩ミク(Gt.Vo)のソロプロジェクト・cluppoがオープニングアクトを担当。普段のメイド服とは異なるカラフルな衣装を身にまとい、開演時間5分前にステージへ姿を現した小鳩は、「くるっぽー!『PEACE&LOVE』聴いてっぽ」と挨拶してから、4月1日にゲリラ配信をしたオリジナル曲「PEACE&LOVE」を披露した。小鳩はハードロック色の強いBAND-MAIDとは異なる、ニューウェイヴの流れを汲むポップでラブリーな楽曲で新境地を見せ、今後の展開にさらなる期待が高まる結果となった。cluppoがキュートなパフォーマンスでステージを温めたあと、いよいよBAND-MAIDが登場。オープニングSEに導かれ、眩くカラフルな照明が照らされるステージ上にメンバーが1人ずつ登場すると、最後にSAIKI(Vo)が中央に立ったところでSAIKI&小鳩のボーカルが印象的な「Different」でお給仕をスタートさせる。激しく硬質なサウンドで、冒頭から攻めまくりのBAND-MAID。その様子はさながら、豪速球の音の塊を素手で受け止めるような感覚といったところだろうか。間髪入れずに「NO GOD」へと流れると、演奏の激しさはさらに増すばかり。AKANE(Dr)&MISA(Ba)のリズム隊と小鳩、KANAMI(Gt)が織りなすスリリングなアンサンブルと、SAIKIの伸びやかなボーカルが絡み合うことで生まれる絶妙なグルーヴは、もはや誰にも真似できない域に達している。特にこの曲では、中盤でKANAMIとMISAのソロパートも含まれおり、緩急に富んだアレンジで観る者を楽しませてくれた。以降も「I still seek revenge.」「DICE」「After Life」と間髪入れずに演奏を続ける5人。その熱量は途切れることなく、曲を重ねるごとに高まっていく。5曲ぶっ続けで披露し終えたところで、この日最初のMCへ。小鳩が恒例となったファンへ向けての挨拶「お帰りなさいませ、ご主人様お嬢様」をAKANEに振ると、「いらっしゃいませ、ご主人様お嬢様」と間違えるハプニングが発生。思わぬ爆笑ポイントが発生しリラックスしたところで、バンドは再び演奏に戻っていった。第2ブロックのオープニングに用意されたのは、最新アルバム『Unseen World』の完全生産限定盤のみに収録されたレア曲「Youth」。この曲と「Dilemma」「Why Why Why」ではフロントメンバー4人が会場のフロアに降り、ドラムのAKANEと向き合って演奏するという、ONLINE OKYU-JIならではの演出が用意された。カメラマンがメンバーと同じ目線から撮影、しかもフロアでより近くからカメラに収めることができるので、モニターに映るメンバーの姿はより臨場感の高いものだったのではないだろうか。現場での空気感も通常のライブとは異なり、より親密度の高いパフォーマンスのように感じられた。その後、再びステージ上に勢揃いした5人は「Manners」「H-G-K」と緩急に富んだ選曲を用意。ここまで『Unseen World』収録曲が多数披露されたことは、ファンにとってもうれしかったのではないだろうか。続くMCでは、2月のONLINE OKYU-JIで海外から届いたメッセージについて触れ、小鳩が国内外のご主人様お嬢様に向けて感謝の言葉を送る。そして、「前半戦、飛ばしてきましたが、後半戦も飛ばしていきます!」というSAIKIの言葉に続いて「CHEMICAL REACTION」から演奏再開。最新作『Unseen World』の中でも異彩を放つミドルヘヴィチューンは、この日のお給仕でも独特の空気を存在感に満ち溢れていた。怪しげなメロディが耳に残るこの曲を終えると、今度はシンフォニックなイントロダクションが流れ始め、新たなキラーチューン「Warning!」へと突入。楽器隊の演奏はよりキレが増し、SAIKIも体が温まったのか、声量がどんどん上がっていく。その様子は、続く「本懐」での伸びやかな歌声からも感じ取れたことだろう。「Wonderland」では、パワフルなAKANEのビートにストリングス隊のそれぞれ異なるフレーズと、SAIKI&小鳩の歌声が絡み合うことで独特な磁場を作り上げていく。さらにこの日唯一の、じっくり聴かせるミディアムバラード「about Us」では音数の少ないアンサブルの上で、SAIKIがモニターの先にいるご主人様お嬢様に向けて思いを届けるようなボーカルで、圧倒的な存在感を示した。また、「endless Story」では「世界の皆さん、歌ってくれてますか?」と、モニターの向こうに向けてシンガロングを求める一幕も。楽器隊のインストセッションから「Play」へと続く流れでは、フロントメンバーが再度フロアに降りて縦横無尽に動き回るなど、見応えのある演出が用意され、小鳩がリードボーカルを務める「サヨナキドリ」では切なくも激しい演奏と歌で、観る者の心を鷲掴みにした。怒涛のブロックを終えると、ステージには小鳩ひとりを残し、モニターの前のご主人様お嬢様とのコミュニケーションタイムへ。カメラ越しにトークを続ける小鳩は、そのままモニターからの質問に対してひとつずつ答えていく。場が和んだところでメンバーがステージに戻り、恒例のおまじないタイムへ。序盤のAKANEによるハプニングをネタに、ここでもひと笑い起こり、さらにリラックスした空気に包まれるが、ライブはここから終盤戦。SAIKIの「ラストスパート、画面の前で声を出してください!」を合図に、「Screaming」にてフルスロットルのライブが再開する。ステージ後方のLEDスクリーンによる映像演出を用いたここからのブロックでは、視覚面でも多彩さに満ちたパフォーマンスを目にすることができた。特にここでは、先の「Screaming」を筆頭に「Choose me」「BLACK HOLE」といったエネルギッシュな楽曲を連発。否が応でも観る側もテンションが上がり続ける。中でも高速ビートを用いた「BLACK HOLE」の存在感はクライマックスに相応しいものがあり、背景映像も曲に合わせて激しさを増し続ける。そして、SAIKIの「ちゃんと観てくれてましたか?ラスト1曲、まだいけますか?また絶対にお会いしましょう!」のメッセージとともにラストナンバー「FREEDOM」に突入。曲が進むにつれて、フロントメンバー4人はフロアへと降り、好き放題に動きまくる。カメラに捉えられながら演奏するONLINE OKYU-JIという事実を忘れてしまうほど自由なその姿からは、3ヶ月ぶりのお給仕を心の底から楽しんでいる様子が伺えた。「また絶対にお会いしましょう!」と力強く宣言して、2時間にわたるお給仕を終えたBAND-MAD。5月26日には、前回のONLINE OKYU-JIを全曲収録した映像作品『BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)』のリリースも控えており、現在YouTubeでは「Warning!」「Thrill」の映像が先行公開中だ。また、今回の『BAND-MAID “THE DAY OF MAID”』のアーカイブチケットも5月24日まで発売中なので、ぜひこの機会にチェックしてもらいたい。(文/西廣智一)【ライブ情報】無観客配信お給仕「BAND-MAID “THE DAY OF MAID”」開催日:2021年5月10日(月)現在アーカイブチケット発売中<セットリスト>1. Different2. NO GOD3. I still seek revenge4. DICE5. After Life6. Youth7. Dilemma8. Why Why Why9. Manners10. H-G-K11. CHEMICAL REACTION12. Warning!13. 本懐14. Wonderland15. about Us16. endless Story17. セッション18. Playサヨナキドリ19. Screaming20. Choose me21. BLACK HOLE22. FREEDOM
2021年05月20日5月13日(木)、TempalayがZepp Hanedaで開催した「ゴーストツアー」のファイナルとなる東京公演のオフィシャルレポートが到着した。最新作『ゴーストアルバム』からの楽曲を中心とするセットリストが組まれた今回のツアーでは、アルバムのほぼすべての楽曲でベースをプレイしたBREIMENの高木祥太をサポートに迎え、最新のバンドの姿を披露。この日は演出に盟友Margtも迎えた特別な内容で、全12公演に及んだツアーを最高の形で締め括った。不穏なサイレンが鳴り響く中、ステージ前方の幕が開くと、明滅するフラッシュとレーザーによるド派手なライティングですぐにTempalayの世界に引き込まれる。これまでとは上手・下手を逆にして、上手からJohn Natsuki、高木、小原綾斗、AAAMYYYが並び、一曲目は“シンゴ”からスタート。音源より少しだけテンポを落として、4人の呼吸を確かめるような演奏が印象的だ。バンドの背後には全面に巨大なスクリーンが配置され、そこに映し出されるサイケデリックな映像とともに、“人造インゲン”や“のめりこめ、震えろ。”といったアッパーな楽曲が演奏されると、かなりの没入感がある。民謡のようなヴァースと、AAAMYYYのクールな歌声によるコーラスの対比が面白い“ああ迷路”では、〈あの管制塔〉という歌詞が、羽田空港と隣接した会場とのリンクを感じさせたりも。動きの多いプレイでバンドのフィジカルに貢献する高木との化学反応は大きく、リモートを中心としたアルバム制作時は、実際に一緒に演奏する機会こそあまりなかったというが、ツアーを通じて4人のアンサンブルが磨かれたことは明白。高木と初めて一緒に作った曲だという“EDEN”は、ミニマルな前半から一転、歪んだがギターがロックなリフを弾く後半でよりヘヴィな演奏を聴かせる。そんな現在のバンドのグルーヴが爆発したのが、“未知との遭遇”からシームレスに流れ込んだ“my name is GREENMAN”。この曲では全員がこれまで以上にパワフルな演奏を聴かせ、AAAMYYYのコーラスもいい意味でラフなのが曲の雰囲気にマッチしている。小原に紹介され、重低音でのベースソロを聴かせた高木は曲中にステージを自由に動き、小原やNatsukiと向き合って演奏する様は、さながら往年のハードロックバンドのようだった。“忍者ハッタリくん”のイントロではエアロスミスの“Walk This Way”のリフを弾き、あの曲が体現していたハードロックとヒップホップの融合は確かに現在のTempalayとも通じる部分があって、ニヤリとさせられる。一転、「コロナ渦で会いたい人に会えなくなって、ばあちゃんの気持ちになって作った曲」だという“春山淡冶にして笑うが如く”は〈体に気を付けて無理はしないでお元気で〉という歌詞で、ハートウォーミングな雰囲気に。アルバムの曲順通り、アンビエント感のある“Odyssey”、“何億年たっても”が続き、AAAMYYYとNatsukiの共作による“フクロネズミも考えていた”は、シューゲイズな轟音パートが圧巻。さらには、複雑な拍子の“へどりゅーむ”を畳み掛け、音源同様に子供の声の「頑張って練習しました」というサンプリングで終わるユーモアは実に彼ららしい。新作からの曲が続けて演奏されることで、表現の広がりがはっきりと伝わってくる。高木がBREIMENの新曲“赤裸々”を一節歌い、そこにAAAMYYYがコーラスを加えるシーンから、改めて現在のバンドのいい雰囲気が感じられつつ、小原は今回のツアーを振り返り、「『ゴーストアルバム』とはこれでおさらば。成仏して、みなさんに憑依し続けるでしょう。ツアーはすごく疲弊するけど、朝起きるとやっぱり寂しくて、また何かやり出して……そうやって7年やってきました」と話し、スタッフやMargtに労いの言葉をかけ、最後はオーディエンスに「ぜひ生きていてください。幸せに、適当に」と語りかけた。意表をつく曲展開とポップなメロディーの組み合わせによる“GHOST WORLD”でのメンバー紹介に続いて、小原とAAAMYYYの歌から始まる“冬山惨淡として睡るが如し”では、スポットライトによって背景に2人の影が映し出され、リズムが入るとともに4人にオレンジ色のピンスポットが射す演出がじんわりと感動を呼ぶ。ライブで聴くこの曲は音源以上にストレートなロックバラードで、もっと大きな会場で聴きたいとも思った。二胡の旋律とスクリーンに映し出された夜景の組み合わせが幻想的な“大東京万博”から“そなちね”へと続け、「これがアンコールです」と最後に届けられたのは“Last Dance”。ツアーが終わりを迎える一抹の寂しさと高揚感がそのまま伝わってくるかのような演奏が素晴らしく、小原とAAAMYYYが先にステージを下りると、残ったリズム隊が終わりを惜しむかのようにヘヴィなグルーヴを聴かせ、最後はNatsukiが一人でシンバルを叩きまくり、ツアーファイナルが終了。『ゴーストアルバム』という作品は、生きているか死んでいるかわからない、幽霊のような気分で過ごした2020年の反映でもあったが、この日のライブはそれと真逆と言ってもいい、肉体的な実感を伴う、強い生命力を感じさせるものだった。文:金子厚武 / 写真:井手康郎(GRACABI)<セットリスト>01.シンゴ / 02.人造インゲン / 03.のめりこめ、震えろ。04.ああ迷路/ 05.EDEN / 06.未知との遭遇07.my name is GREENMAN / 08.どうしよう / 09.革命前夜10.忍者ハッタリくん / 11.春山淡冶にして嗤うが如く / 12.Odyssey13.何億年たっても/ 14.フクロネズミも考えていた / 15.へどりゅーむ / 16.GHOST WORLD17.冬山惨淡として睡るが如し / 18.大東京万博 / 19.そなちね20.Last Dance【リリース情報】Tempalay『ゴーストアルバム』■アナログ発売日:2021年6月23日(水)品番:WPJL-10138定価:5,500円(税抜価格:5,000円)形態:LP<収録内容>[Side-A]01. ゲゲゲ02. GHOST WORLD03. シンゴ04. ああ迷路05. 忍者ハッタリくん06. 春山淡冶にして笑うが如く[Side-B]01. Odyssey02. 何億年たっても03. EDEN04. へどりゅーむ05. 冬山惨淡として睡るが如し06. 大東京万博「ゴーストアルバム」アナログ購入リンク: ■CD発売日:2021年3月24日(水)・通常盤 定価 3,080円(税抜価格:2,800円)<CD>・初回限定盤 定価 4,400円(税抜価格:4,000円)<CD+DVD>※初回限定盤に付属のDVDには、2020年11月29日(日)「TOUR 2020」新木場STUDIO COAST公演ライブ映像に加え、特別映像収録「ゴーストアルバム」音楽配信サービス・購入リンク:
2021年05月14日5月5日(水・祝)に東京ドームにて開催されたまふまふによるオンラインライブ「ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE」のオフィシャルレポートが到着した。史上初となる、東京ドームから全世界への無料配信ライブ。全世界合計で約40万人以上が同時視聴した記録的なオンラインライブは、沢山の人の記憶に強く刻まれるものになったはずだ。5月5日、まふまふによるオンラインライブ「ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE」が、自身のYouTube公式チャンネルと中国の動画配信サイトbilibiliにて開催された。開演時間の18時30分を少し回ると、オープニング映像を経て、空から羽が降りてくる演出と共に、ステージには絢爛豪華な衣装を身にまとったまふまふが登場。力強く左手を挙げると、そこから光の柱が立ち上がるド派手なスタートだ。「東京ドーム!一世一代の大舞台、幕開けだ!」と叫び、ライブは「ベルセルク」からスタート。「最終宣告」「罰ゲーム」と、序盤はアグレッシヴなナンバーを続けていく。六角形の広いステージの真ん中に立ちハイトーンのシャウトで魅了するまふまふの存在感はもちろんのこと、テクニカルなバンドメンバーの演奏、華やかな演出にも目を奪われる。広いドームの空間にレーザーの光が飛び交い、ステージ周囲に特効の火柱が立ち上がる。背後と頭上の巨大LEDビジョンに映し出された映像、空間全体を照らす照明の光もあいまって、東京ドーム全体が異世界になったかのような不思議な光景が広がる。「この舞台は、今日、俺たちだけのものだ!」と、まふまふが叫ぶ。「みんな、僕の声は聞こえてますか?」と少し緊張気味なMCを経て、激しく情熱的なピアノが駆り立てる「アルターエゴ」、そして『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に提供した「悔やむと書いてミライ」「携帯恋話」の2曲を続ける。「自分の大切な思い出の楽曲たちをドームに連れていきたかったので。一つやり遂げた感があります」と告げると、続いてはダンサブルな「デジャヴ」、そしてこの日が初披露となった新曲「おとといきやがれ」と続ける。どれも2019年リリースのアルバム『神楽色アーティファクト』以降に発表してきた楽曲だ。特に、跳ねるグルーヴのバンドサウンドに乗せて「おとといきやがれ クソ野郎」と挑発的な言葉を歌い上げる「おとといきやがれ」には、新境地の興奮を感じる。三矢禅晃(Gt)、清水"カルロス"宥人(Gt)、白神真志朗(Ba)、宇都圭輝(Key)、新保恵大(Dr)という鉄壁のバンドメンバーによるセッションを経て、続く「女の子になりたい」では、キラキラと光る白いパーカーに身を包んだまふまふが、LEDペンライトが一つ一つの座席に設置されたスタンド席を歩きながらキュートに歌う。見渡す限りのペンライトの光が織りなす光景の中「一人で歌ってるように見えて、お客さんに囲まれてるからね」と語りながらステージに戻ったまふまふは、続けて忍者に扮したダンサーを従えた「忍びのすゝめ」、昨年に久々のボカロ楽曲として投稿された「イカサマダンス」、ドラマティックなバラードの「ユウレイ」、「さえずり」と続けていく。多彩なまふまふの世界にオーディエンス全員を惹き込んでいくような展開だ。再びのバンド演奏を経て、和装に狐の面をつけたまふまふがステージに登場。「ひともどき」の繊細なメロディから、壮大でドラマティックな曲調に乗せて胸が張り裂けるような歌声が響く「生まれた意味などなかった。」、そして“歌ってみた”の投稿が大きな反響を巻き起こしたカンザキイオリ作の「命に嫌われている。」と、後半はダークな楽曲を迫力たっぷりに披露。全身の力を絞り出すかのようなシャウトを響かせた「輪廻転生」から、「暴れ足りねえなあ!」と告げて披露したKemu作の高速ラウドナンバー「拝啓ドッペルゲンガー」へと、この日ならではのスペシャルなセットだ。最後のMCでは「10年間、活動を続けてきました」と、これまで歩んできた道程を振り返る。「顔を出すのが怖い10年間でした。人前で歌うことが大嫌いな日々でした。いつの間にか、このご時世で、みんなの前でライブをすることがなくなり、とてつもない虚無感と喪失感を日々感じていました。いつの間にか、僕はライブが好きだったんだな、みんなと会うのが楽しみだったんだな、人前で歌うこと、上手く歌えても、下手くそな日でも、それよりもみんなに聴いてほしかったんだな。そんなことを感じて、今回のライブをさせていただきました」と、ライブにかけた思いを訥々と語った。そして、ライブは終盤へ。「日本とはまた別のところに住んでいる人達のことを考えて作った曲」という「曼珠沙華」では、中国語を交えた歌詞に双喜紋をデザインした映像が映える。「1年前に約束していたみんな、それを楽しみしていたみんなに向けて作った曲」と告げた「夜空のクレヨン」では、星型の照明がドームの屋根を照らし、幻想的な空間を描き出す。そして最後は「僕の一番大切な曲」と語った「夢のまた夢」。「お別れの時間です。今日、僕を見つけてくれてありがとう」と告げ、万感の思いを込めて歌い上げた。世界中に向けて、自身の音楽を全身全霊で届けきったまふまふ。ライブ配信のチャット欄には英語や各国語での熱い感想も並んだ。国境を超え、多くの人たちが興奮を共有した時間だった。Text by 柴那典Photos by 小松陽祐(ODD JOB LTD.) / 岡本麻衣(ODD JOB LTD.) / 堀卓朗(ELENORE) / 今田和也(ELENORE)<公演情報>『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE』-SET LIST-01. ベルセルク02. 最終宣告03. 罰ゲーム04. アルターエゴ05. 悔やむと書いてミライ06. 携帯恋話07. デジャヴ08. おとといきやがれ09. 女の子になりたい10. 忍びのすゝめ11. イカサマダンス12. ユウレイ13. さえずり14. ひともどき15. 生まれた意味などなかった。16. 命に嫌われている。17. 輪廻転生18. 拝啓ドッペルゲンガー19. 曼珠沙華20. 夜空のクレヨン21. 夢のまた夢『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE』まふまふ関連リンク公式HPニコニコ動画まふまふの何でも屋さん
2021年05月11日舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』が16日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで初日を迎え、オフィシャルレポートが到着した。同作は原作・朝霧カフカ、作画・春河35による同名人気漫画の舞台化作で、今回が5作品目となる。劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁が演出を務める。中島敦、芥川龍之介、太宰治といった文豪の名を懐くキャラクターがされ、異能力を用いて戦う。本作の原作は、2018年公開の映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』。異能力者が次々に自らの異能を使い自殺するという不可解な「ヨコハマ連続自殺事件」を発端に、武装探偵社、ポートマフィアはそれぞれ、事件の犯人と目される男・澁澤龍彦を追い始める。時を同じくして澁澤と相見える太宰治と魔人・フョードル。遡ること6年前に勃発した「龍頭抗争」での因縁を経て、骸砦に集う三超人の思惑が、ヨコハマを深い霧闇に覆う。舞台化に当たり、原作の朝霧カフカが自ら筆を執り、自身初となる舞台脚本の書き下ろしを行った。原作映画の公開から3年が経つ今、公開当時にはまだ明かされていなかったエピソードや新たな側面をふんだんに盛り込みながら物語を展開。登場人物である「武装探偵社」の中島 敦(鳥越裕貴)・太宰治(田淵累生)・泉鏡花(桑江咲菜)、ヨコハマの裏社会に巣食う「ポートマフィア」の芥川龍之介(橋本祥平)・中原中也(植田圭輔)、地下組織の盗賊団「死の家の鼠」の頭目であるフョードル・D(岸本勇太)、そして今作の鍵を握る美しくもおぞましい異能力を持つ男・澁澤龍彦(村田充)の7名に焦点が当たる。○オフィシャルレポート物語はヨコハマ、街の雑踏から始まる。武装探偵社の会議をさぼった太宰 治を探して走りまわる中島敦。敦はその後、一人の老婆があわや交通事故という場面に出くわすが、奇妙な長髪の男の出現で事故は回避。敦にはどこか見覚えのあるその男こそ、6年前に起こった龍頭抗争の首謀者・澁澤龍彦だった。時を同じくして武装探偵社では、「異能力者連続自殺事件」の調査に乗り出しており、澁澤はその容疑者として名前が浮上していた。そして、そんな二人を取り巻くように、ヨコハマが深い霧に覆われる。一方、ポートマフィアでもこの事件を追い、芥川龍之介が指令を受けていた。発生した霧は、異能力者から異能を奪う力があるというのだ。芥川へ中原中也から下された指令は、澁澤の打倒でなく、澁澤をヨコハマに招き入れた罪人・太宰 治の殺害だった。浅からぬ想いが太宰にある芥川はその指令に驚愕するも、自らの異能を取り戻すべく、太宰らのいる”骸砦”へと向かう。それぞれの目的を果たすため、探偵社、ポートマフィアが動き出す中、"骸砦"で澁澤と相見える太宰。そしてそこへ現れる魔人・フョードル。白い衣裳を纏った三人は舞台上でも特出して異彩を放つ。高い思考を持つ三人の腹を探り合うような会話のテンポが見ている観客を舞台へと引き込む。今作では、敦、鏡花、芥川が乖離した異能を通じてそれぞれの「壁」と対峙し、それを乗り越えるさまが描かれている。2017年の初演以来、エバーグリーンな輝きを放ち続ける中島敦役の鳥越。今回は敦の内面奥深くに芽生える苦悩に寄り添う姿を、見事に体現している。その過程で、乖離した異能力”月下獣”に立ち向かい、自らの過去を受け入れていく敦。ラストに鳥越が魅せる”生命の輝き”は、まさしく舞台ならではの熱量だといえる。元ポートマフィアの暗殺者、泉鏡花役・桑江が小柄な体躯を生かしながら舞台を縦横無尽に駆ける様子は”文ステ”シリーズではおなじみ。霧の中、鏡花は”両親の仇”である異能”夜叉白雪”と相対する。「鏡花の両親と”夜叉白雪”の真相」に触れ、本当の意味で自らの異能を取り戻す鏡花。鏡花の深い内面を表出させる桑江の熱演は、”文ステ”の新たな魅力となった。今作において、映画と大きく異なって描かれるのがポートマフィアの2人だ。橋本祥平演じる芥川は、異能を喪うという窮地にあっても、ブレることのない意志を以て任務にあたる。橋本の持つクールかつソリッドな魅力はこれまで同様、今作では、一層ストイックな芥川を好演している。また、植田圭輔演じる中也との絡みでは、これまであまり出すことのなかった"後輩顔"もちらりと覗かせる。この点もファンがこれまで見たことのなかった”芥川像”となるのではなかろうか。その中也は作中で八面六臂の大活躍を見せる。演じる植田圭輔の運動神経の高さはもちろん、特筆すべきは”文ステ”初となる「フライング演出」への挑戦だ。舞台表現が難しい「龍」との対決、異能力”汚濁”の発動を、プロジェクションマッピングとの合わせ技で見事に表現している。劇中歌に合わせた一連のステージングは、原作を見たファンであれば、その再現度に感嘆するに違いない。併せて今作では、原作にはなかったアクションシーンや、幹部然とした中也の一面が追加されている。アンサンブルとともに魅せる大立ち回りにもぜひ注目いただきたい。その中也の元・相棒、太宰を演じるのは"文ステ"初登場の田淵累生。陰謀が渦巻く”骸砦”では冷静さが際立つ役回りだが、今作最後に見せた人間味あふれる表情が筆舌しがたいほど素晴らしかった。中也役・植田とも息の合ったコンビネーションを魅せ、これまでのシリーズで積み上げられてきた太宰の魅力をそのままに、さらなる奥深さをキャラクターに与えている。今作ではフョードル役・岸本、澁澤役・村田との”超人同士の騙し合い”を見事に演じきっている。初登場はまだまだ続く。謎多き男、フョードル・D役に挑んだのは岸本勇太。フョードルは今作で超越的な策謀を企てる"魔人"。岸本が舞台に登場するたびに凍てつくような緊張感が漂い、空気がぐっと引き締まる。初登場とは思えぬほど場を支配しており、狡猾なフョードルをすっかり自分のものにした岸本。また、クライマックスに向け盛り上がる中、アンサンブルと魅せるダンスシーンにも注目だ。そして圧倒的な存在感を示したのが、澁澤役の村田充だ。今作ではこの世の全てに退屈を覚え、異常なまでに命の輝きに執着し、歓喜する澁澤。その気味の悪さを表情や立ち姿で表現しながらも、刹那的な美しさや寂しさも同時に醸し出す。澁澤という得体のしれない人物を見事に怪演し、人目を奪った。その澁澤と鳥越演じる敦のバトルは今作のクライマックス。澁澤の、まさしく”人間を超えた”超然たる振る舞いと、真っ向から対立する敦の「あがき、まよい、さけぶ」姿は、ぜひその目でご覧いただきたい。文ステの特筆すべき点のひとつが、シンプルながらも高さと奥行きを生かした舞台美術や、驚きに満ちたアイデアの数々、森羅万象、何にでもなる変幻自在のアンサンブルの活躍と、不可能とも思われる場面を舞台上に出現させる中屋敷の演出力だ。本公演ではそれらがさらにパワーアップ、プロジェクションマッピングを効果的に用いた照明や迫力ある音響を駆使し、歌舞伎のようなケレン味も加わったスペクタクルな一大抗争劇を繰り広げた。そして高い身体能力と豊かな表現力を持つアンサンブルたちの人力による"舞台装置"からも目が離せない。 8名とは思えない、変幻自在な様子はまさしく”文ステ”の華と言えるだろう。本公演は原作映画を知らなくても十分楽しめるが、リンクする場面も織り込まれているので、ぜひ映画も観てほしい。また、舞台ならではの新たな視点が盛り込まれた今作は、映画を視聴したファンにこそ、見ていただきたいものでもある。その両方を知ることで作品世界により深く入り込めることだろう。舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』大阪公演は4月18日(日)まで上演。4月23日(金)より東京・日本青年館で開幕、5月5日(水・祝)まで上演する。東京公演では、全16公演をライブ配信もするので、舞台と配信のハイブリッドでその魅力を堪能できる。全15名のキャストが舞台上で織りなす”赤き果実”。是非ご賞味あれ。○舞台写真(C)舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」製作委員会
2021年04月16日人気脚本家、坂元裕二の作・演出による 「坂元裕二朗読劇 2021」が、4月13日に東京・よみうり大手町ホールにて開幕。初回公演となった高橋一生×酒井若菜の「忘れえぬ 忘れえぬ」のオフィシャルレポートが到着した。この春スタートしたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』をはじめ、『カルテット』や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、映画『花束みたいな恋をした』などのヒットで知られる脚本家の坂元が作・演出を手掛ける「坂元裕二 朗読劇 2021」。今回は、過去にさまざまなキャストが演じてきた「カラシニコフ不倫海峡」「不帰の初恋、海老名 SA」の2作に、本公演のために書き下ろされた「忘れえぬ 忘れえぬ」を追加し、1公演につき3つの物語から1つを上演する。高橋一生×酒井若菜、千葉雄大×芳根京子、林遣都×有村架純、風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花、仲野太賀×土屋太鳳の6組が読み手となることも話題の本公演が、4月13日によみうり大手町ホールで幕を開けた。初回は、高橋と酒井による「忘れえぬ 忘れえぬ」を上演。問題を抱える少年の最里(もり)と少女の木生(きお)が、とある場所で出会い、いくつかの夏を越えていく様子を描いた作品で、彼らを取り巻く環境や登場人物の雰囲気は、そのやりとりから知ることとなる。時間が経つにつれてキャラクターの輪郭がくっきりと浮き出て、彩度があがっていくような物語を、ステージ上で台本を手にした高橋と酒井が、純粋かつ巧みに演じていく。さまざまな出来事を通じて起こるふたりの変化や成長を声だけ伝えることで、聞き手の想像を掻き立て、ラストへと繋いでいく姿が印象的だった。主人公である最里と木生は舞台の上のふたりが紡ぐ言葉によって誕生し、1時間半をかけて進んでいくが、演じる役者によってその印象はがらりと変わっていくだろう。そこが「坂元裕二 朗読劇 2021」の面白さであり、奥の深さなのだと改めて感じずにはいられなかった。東京・よみうり大手町ホールでは、4月25日(日)までの期間中に全6組のキャストが日ごとに出演。続く4月28日(水)~5月2日(日)の大阪・松下 IMP ホールには風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花が、5月7日(金)と8日(土)の北海道・道新ホールには、風間俊介×松岡茉優が登場する。東京公演は現在上演中。大阪、札幌のチケットの情報はオフィシャルサイトで確認してほしい。【公演情報】『坂元裕二 朗読劇 2021「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」』出演:高橋一生×酒井若菜、千葉雄大×芳根京子、林遣都×有村架純、風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花、仲野太賀×土屋太鳳(出演日順)●東京公演公演期間:2021年4月13日(火)~25日(日)会場:よみうり大手町ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:3月28日(日) 10:00~主催:フジテレビジョン / MA パブリッシング / サンライズプロモーション東京お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)●大阪公演公演期間:2021年4月28日(水)~5月2日(日)会場:松下IMP ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:4月10日(土) 10:00~主催:関西テレビ放送 / サンライズプロモーション東京運営協力:キョードー大阪お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(月~土 11:00~16:00)●札幌公演公演期間:2021年5月7日(金)~5月8日(土)会場:道新ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:4月15日(木) 10:00~主催:道新文化事業社 / 道新スポーツ / エフエム北海道お問合せ:道新プレイガイド 0570-00-3871(月~土 10:00~17:00)公式サイト:
2021年04月15日紺野りさの人気漫画を実写化する映画『胸が鳴るのは君のせい』より、2020年10月に撮影が行われた本作の現場オフィシャルレポートが公開された。甘く切ない青春映画の主演を務めるのは、ジャニーズJr.で唯一「VS魂」のレギュラーメンバーに抜擢された「美 少年」浮所飛貴。今回、映画初出演にして初主演となった浮所さんが演じる有馬隼人は、普段はクールで飄々としているが、男友達同士の他愛もない会話で笑顔を見せることもあれば、つかさに対してふとした瞬間に優しい表情を見せることも…と、相手との距離感やシチュエーションによって見せる表情が微妙に変化する。そんなクールさと明るさのさじ加減がカギとなるため、浮所さんはカットがかかる度に監督に声のトーンや表情、顔の向きや体勢、歩き方まで細かく相談していたという。役との向き合い方については「自分がどう映っているか第三者の方に見ていただくことも大切だけど、自分自身の演技を見ることで成長できることもあると思う。自分の演技を見て、違うなと思った部分があれば監督にお願いしてもう一回撮らせていただいたり、やるならとことん徹底的に詰めたいと思って取り組みました」とコメントしている。一方、白石聖演じる本作のヒロイン・篠原つかさは、有馬に告白するも玉砕。しかし、決して諦めずに有馬を一途に思い続けるという、真っ直ぐでピュアなキャラクター。「少女マンガの王道のヒロインというよりも、かっこいいヒロイン。フラれても有馬を一途に思い続ける姿は、『ロミオとジュリエット』の逆バージョンに見えました」とキャラクターを分析した白石さんは、不意打ちの優しさにときめく表情や、片想いの切なさを思わせる儚げな視線といった、恋するつかさの心の変化を絶妙に演じ分けた。また撮影では、重要なシーンでは気持ちを切り替え、少し離れたところで集中力を高める場面もあり、その姿は白石さんとつかさがリンクしているように見えたという。なお、4月24日(土)より全国合計2万枚限定特典付きムビチケ前売券が発売。特典は、有馬とつかさの恋する表情を収めた「ドキドキを挟み込む!胸が鳴り止まない♪オリジナルクリアファイル」。クールで優しい有馬と明るくしっかり者のつかさ、2人の眩しい笑顔が1枚のクリアファイルに収められている。『胸が鳴るのは君のせい』は6月4日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:胸が鳴るのは君のせい 2021年6月4日より全国にて公開©2021 紺野りさ・小学館/「胸が鳴るのは君のせい」製作委員会
2021年04月07日6月4日(金)から全国公開となる浮所飛貴主演『胸が鳴るのは君のせい』より、2020年10月に撮影が行われた本作の現場レポートが解禁された。本作は累計発行部数250万部を突破した紺野りさの同名少女コミックを原作とした青春ラブストーリー。転校生の有馬隼人と、有馬を想い続ける篠原つかさが繰り広げる、親友のように仲が良い友達への“片思い”を描く。有馬を演じるのは映画初主演となる美 少年のメンバー、浮所。またこれまで数々の話題作に出演を果たし2021年大注目の若手実力派女優の白石聖がヒロイン・篠原つかさ役を演じる。そしてふたりの恋のライバルに板垣瑞生、原菜乃華。先日追加キャストとして、河村花、若林時英、箭内夢菜、入江海斗らの出演が発表された。今注目の若手実力派俳優が揃っていることから、SNSを中心に大きな話題だ。映画初出演にして初主演を任された浮所飛貴演じる有馬隼人は、普段はクールで飄々としているが、男友達同士の会話で笑顔を見せることもあれば、つかさに対して優しい表情を見せる瞬間もあり、距離感や場面によって見せる表情が変化するキャラクター。そのさじ加減が鍵となる難しい役どころのため、カットがかかるたびに浮所は声のトーンや表情、顔の向き、体勢、歩き方まで細かく相談をし、監督と2人3脚で“有馬隼人”という役を作る。役との向き合い方については「自分がどう映っているか第三者の方に見ていただくことも大切だけど、自分自身の演技を見ることで成長できることもあると思う。自分の演技を見て、違うなと思った部分があれば監督にお願いしてもう1回撮らせていただいたり、やるならとことん徹底的に詰めたいと思って取り組みました。」と語るなど、本作に対する浮所の熱量も伺えた。また白石聖が演じる篠原つかさは、有馬に告白し玉砕ししても決して諦めずに有馬を一途に思い続けている、ピュアな魅力にあふれたヒロイン。白石自身は「少女マンガの王道のヒロインというよりも、かっこいいヒロイン。フラれても有馬を一途に思い続ける姿は『ロミオとジュリエット』の逆バージョンに見えました」と役を分析しながら、不意打ちの優しさにときめくきゅんとした表情や、片思いの切なさを思わせる儚げな視線など、恋するつかさの心の変化を絶妙に演じ分ける。重要なシーンでは気持ちを切り替え、少し離れたところでじっと集中力を高めている白石の姿は、演じるつかさの芯の強さと通じるようで、まさに白石とつかさがリンクしている様だ。また、いよいよ4月24日(土)より、全国合計2万枚限定の特典付きムビチケ前売券が発売となる。特典は有馬とつかさの恋する表情を収めた「ドキドキを挟み込む!胸が鳴り止まない♪オリジナルクリアファイル」。こちらを手に入れて、迫る公開に備えよう。『胸が鳴るのは君のせい』6月4日(金)より全国公開<オリジナルクリアファイル特典付きムビチケ前売券>料金(税込):一般1,500円発売日:4月24日(土)発売方法:【映画館窓口】※特典付き上映劇場はこちら( )。※販売開始時間の詳細は、販売予定の劇場にお問い合わせください。※一部劇場を除きます。【メイジャー通販サイト】※特典は付きません。※ムビチケカードのデザインは1種です。※本作品では小人券の発売はございません。※舞台挨拶等、特別興行には前売券がご利用いただけない場合がございます。予めご了承ください。※ムビチケカード1枚につき、特典は1つです。※クリアファイルはお一人様一会計につき、4枚までの数量制限がございます。予めご了承くださいませ。※特典はなくなり次第、ムビチケカードのみの販売となりますのでお早めにお買い求めください。※デザインはイメージです。
2021年04月07日3月20日・21日の2日間、横浜アリーナにて坂本真綾25周年記念LIVE『約束はいらない』が開催された。本記事ではそのオフィシャルレポートをお届けする。坂本真綾今回の公演は新型コロナウイルス感染拡大防止のためのガイドラインに沿った形で行われ、イレギュラーなことがいくつかあったが、2日間共に混雑なく開演時間を迎えていたのが、まず素晴らしかった。人数制限(上限5,000人以下)のため座席は余裕を持って配置されており、その間を埋める空席にはフライヤーが貼られ、坂本真綾の自筆で「来てくれてありがとう。私は今日あなたを幸せにするためここに来ました。一緒に楽しもう。」というメッセージが可愛らしいイラストと共に書かれていた。アリーナにはセンターステージが設置され、それを8面LEDと呼ばれる鳥かごのような装置が覆い、左右には長い花道が伸びている。LEDにはライブやCDジャケットなど過去の写真が次々と映し出されて気持ちが高鳴る中、2日間だけの特別なライブが、いよいよ幕を開ける。1曲目はライブのタイトルにも冠されているデビュー曲「約束はいらない」。今回のバンドメンバー、北川勝利(Band master&G)、佐野康夫(Dr)、千ヶ崎学(B)、奥田健介(G)、扇谷研人(Key)、毛利泰士(Percussion&Manipulator)、稲泉りん(Cho)、高橋あずみ(Cho)が丸いステージを中心に向かって取り囲むように演奏し、その中心で坂本が伸びやかな声で歌う。25周年の歩み、その始まりを祝福するようなオープニングだが、まだ全貌は見えない。2曲目の「CLEAR」でセンターステージを覆っていた8面LEDが天井に登っていくと、ショートカットにパープルのドレスを纏った彼女が現れ、キラキラとした表情で歌う姿を頭上のスクリーンが映し出した。その瞬間、会場中に広がった華やかで夢のような景色に胸がいっぱいになる。この日のために切った髪、スタイリストと用意したドレス。彼女がこのステージにかけた「みんなを楽しませたい!」というシンプルな気持ちが伝わって来た。「みんな、よく来たね!会えて本当に嬉しいです。今日は最高の1日にするから最後まで宜しく!」と挨拶。そこからタイトなリズムとノイジーなギターが交差するカオティックな「スクラップ〜別れの詩」を、モノクロの映像と赤いレーザーが印象的な演出で披露。続く「ユーランゴブレット」ではセンターステージの内側から彼女の動きを追うカメラワークとカメラ目線のパフォーマンスが抜群のカッコ良さ。昨年からのコロナ禍でオンラインライブも新たな主流となった中、リアルタイムで届ける映像美は格段に進化しており、それがこうして有観客でのライブでも生かされるという新たなエンタメの在り方にワクワクさせられた。他にも「独白」ではエモーショナルな曲調に合わせてセンターステージに大迫力の火の玉が何度も上がったり、「躍動」では左右に伸びた花道上にブルーのLEDがゆらゆらと揺れていたりと、演出面でも見逃せない場面が次々と繰り広げられていく。衣装チェンジを経て、お待ちかねのゲストコーナーへライブの序盤から「みんなこの1年間、すごく気を張っていた日々を過ごしていたと思います。この時間は心置きなく楽しんで行ってください」と話していた。この日、久しぶりにコンサート会場に足を運んだという人も多かったことだろう。そして「2020年、家にいる時間が長かった時に心に思い浮かんだことを曲にしました」と「いつか旅に出る日」を披露。自身が過去に訪れたクロアチアの景色を思い浮かべながら、今はまだ制約の多い生活を送っている私たちの「いつか」に希望を灯すような優しいメロディが、旅先での写真と共に届けられる。今回の2日間のライブの中で「どんな悪いことも永遠には続かないよ」と話してくれたことも、心に残った。「自分の結婚式でもこんなドレス着てないわよ!」とか「歩くとルンバみたいでしょ?」と笑いながら言っていた豪華な衣装から、いつの間にかピンクのパンツスタイルがキュートな衣装にチェンジしたら、お楽しみのゲストコーナーへ。そう、今回の25周年記念LIVEではリリースしたばかりのアルバム『Duets』で共演したアーティストがゲストでお目見え。まずは内村友美(la la larks)が登場すると、一緒に「色彩」を歌う。言わずもがな「色彩」はla la larksが提供した楽曲なので、ふたりで歌うと更に最強。センターステージの中央部分はせり上がるようになっていて、背中合わせになって歌う姿にはユニット感が漂う。デュエット曲「sync」は難しい旋律をふたりで軽やかに駆け上がる美しさ。MCではふたりで向き合い坂本が「あなた綺麗ね」としみじみ言うと、内村が「そんなディズニープリンセスみたいな真綾さんに言われても!」と返したシーンが面白かった。坂本真綾×内村友美1日目、2日目の共通ゲストとしてもう一人、とびきりのエンターテイナーぶりを発揮して会場を盛り上げたのがポップの貴公子、堂島孝平。花道の端っこから「真綾さんもうちょっとです〜!」とか言いながら走ったり転んだりしながら登場するだけで何でこんなに面白いのだ、この人は。デュエット曲「あなたじゃなければ」では、喧嘩しながらじゃれあうようなカップルをコミカルに、時にアドリブも交えて披露すると坂本のパフォーマンスもいつも以上にハイテンション。その後で堂島がアコースティックギターを奏でながら、彼が作曲を手がけた「レコード」を一緒に歌う場面も。インタビューでも坂本が堂島のことを「本当に何でもできるんですよ!」と絶賛していたが、それを目の当たりにするような客演だった。堂島孝平×坂本真綾ここからは「今日だけのあの人が来ますよー!」と、日替わりのゲストを招く。1日目は原昌和(the band apart)がにこやかに登場し、そのままセンターステージで一人せり上がり「Be mine!」で華麗にベースを弾き倒す。デュエット曲「でも」では、原いわく「高級すぎるスナックに来てる気分」と心底楽しそうにふたりで歌ったが、アルバム『Duets』の制作を通じて「原さんと私の声の相性が本当に良いんですよ!」と言っていた通り、抜群のハーモニーを生で聴かせてもらった。原昌和(the band apart)2日目に登場したのは土岐麻子。デュエット曲「ひとくちいかが?」を、誰もが一聴して「素敵!」と心踊るような声で披露すると、お洒落でポップなムードが会場いっぱいに広がる。坂本も「幸せだな〜!」とうっとり。土岐に対し「私、見つめ合うと何だか女性の方が緊張します」と高揚した表情で言っていたが、1日目に汗だくの原にお水やタオルを手渡すサービスをしながら「使ったタオルは自分で何とかして!」と最後に雑にあしらっていた姿を思い出して笑ってしまった。2曲目は土岐もカバーしている「DOWN TOWN」をふたりでチャーミングに披露すると華やかなサウンドと共に幸せいっぱいのハイライトとなった。土岐麻子これまでの軌跡を巡るようなセットリスト、25周年メドレーもまるでお祭りのようなひと時が終わると、再び8面LEDがセンターステージに降りてきて25周年の軌跡をランダムに辿るように「gravity」「序曲」「birds」と続けて披露し、じっくり聴かせた。「気付けばこの25年の間に200曲以上リリースしてきました。ライブで全てを網羅することはできなくてもみんなが好きな曲がひとつでも入っていたら嬉しいです。限られた時間の中で1曲でも多く聴いてもらいたくて、この日のためにメドレーを作ってきました」と始まった25周年メドレーでは自身のキャリアの中でも節目の一歩を踏み出した「ループ」や、数々のライブを彩ってきた「Private Sky」や「マジックナンバー」、「ヘミソフィア」や「トライアングラー」などの人気曲まで聴かせた。オーディエンスは、時に懐かしくなって心がキュンとすることもあったのではないだろうか。坂本真綾の25周年は、彼女を応援してきたみんなの25周年でもある。ファンとしての歴史がいつ始まったとしても、大好きな曲と思い出を共有しながら、みんなが2日間ここに集まったことが意義深い。メドレー最後の「光あれ」では彼女の、歌手としての風格すら感じさせる神々しさだった。〈もしも今この声が誰かに届いてるなら/手を振ってくれないか〉のフレーズで観客が手にしたLEDバンドが白く光り、みんなで彼女に手を振った。音と光のコール&レスポンスはひときわ美しい名場面だった。声を出せなくても、拍手をして、手を振って、拳を振り上げて、みんなでステージに想いを伝えた。それはステージから坂本真綾が溢れんばかりのたくさんの想いを伝えてくれたからだ。「今回のライブは満席というわけにはいかない形で開催しましたが、みなさんがここに来てくれたことが本当に嬉しいです。ステージがせり上がったり、火が出たり(笑)、私自身お祭りだと思って準備してきました。空席に貼ってあるメッセージは、実は2日分の枚数を印刷したんですが、1日目のお客さんはほとんど持って帰らなかったそうです。きっと2日目も使うだろうからとみなさんが気を遣ってくださったんだと思います。いつも人を想いやる方達に支えられているなとあらためて感じました。よろしかったら今日は持って帰ってください」。そんなエピソードにも坂本とファンの関係性をしみじみと感じた。そして今回のライブは映像収録されて後にリリースすることを発表し、「少し先の未来でこの映像を見る人へ」向けたメッセージをライブ中に話してくれたので、参加できなかった人も楽しみに受け取ってもらいたい。そんな風に坂本真綾自身がいつだってファンへの思いやりを忘れずに活動してきたからこそ、人を思いやり、マナーを守るファンばかりなんだと思う。25年という長い歳月の中でそうやってひとつひとつ、築き上げてきたからこそ、観客全員がマスクをして歓声を上げられなくても楽しい祝祭空間を生み出すことができるのだ。ラストは幸せ最高潮で締めくくるナンバーでいよいよ終わりが近づいてくる。たくさんのシャボン玉の中で熱唱した「誓い」は、「10年前に世の中が大変だった時に作った曲です」と紹介された。〈何を失っても僕は生きていくだろう〉という歌詞に、また新たな今とこれからへの想いを込めて歌われている気がした。そして最後は活動初期から愛され続けてきた人気曲「プラチナ」を披露して幸せ最高潮の状態で締めくくる。「また会う日まで、元気でねー!」と笑顔で最後の挨拶をすると、会場内には「ポケットを空にして」のインスト・バージョンが流れ、バンドのメンバーとみんなでステージの周りや花道をゆっくりと歩きながら別れを惜しんだ。いくつものライブでアンコールを彩ってきた「ポケットを空にして」だが、今回は坂本も観客も全員が心の中で歌っていた。今は歌うことができなくても、私たちには記憶の中のピースフルな大合唱が胸に響いていた。2日間でそれぞれに2時間半強、途中でステージを去っての衣装チェンジも、アンコールもなしで、しかし曲数はたっぷり、という構成にも工夫が感じられた。坂本真綾のキャリアにおいて、これまでにもライブで様々な挑戦やコンセプトがあったが、今回はシンプルに「みんなを楽しませたい!」という気持ちが伝わってきて、それが25周年記念公演だったことも何だか感慨深い。様々な困難を乗り越えて実現した、この2日間のステージはいつか振り返った時にもきっと忘れられないものになるはず。そしてタイトルの「約束はいらない」は、ファンと坂本真綾の絶大なる信頼の上に成り立つ、「またいつか会おうね」を意味する合言葉なんだ。文:上野三樹セットリストM01. 約束はいらないM02. CLEAR-MC-M03. スクラップ〜別れの詩M04. ユーランゴブレットM05. オールドファッション-MC-M06. いつか旅に出る日M07. 独白M08. 躍動M09. 色彩(with 内村友美)-MC-M10. sync(with 内村友美)M11. あなたじゃなければ(with 堂島孝平)-MC-M12. レコード(with 堂島孝平)【Day 1】M13. Be mine!(with 原 昌和)-MC-M14. でも(with 原 昌和)【Day 2】M13. ひとくちいかが?(with 土岐麻子)-MC-M14. DOWN TOWN(with 土岐麻子)M15. gravityM16. 序曲M17. birds-MC-M18. 25周年メドレー・ループ・ヘミソフィア・逆光・奇跡の海・Private Sky・トライアングラー・マジックナンバー・指輪・光あれ-MC-M19. 誓いM20. プラチナこのセットリストのプレイリストはこちら:リリース情報坂本真綾 4thコンセプトアルバム『Duets』2021年3月17日(水)リリース2,500円(税抜)坂本真綾『Duets』ジャケット写真【収録曲】1. Duet! / 坂本真綾×和田弘樹作詞:坂本真綾作曲・編曲:h-wonder2. あなたじゃなければ / 坂本真綾×堂島孝平作詞・作曲・編曲:堂島孝平3. ひとくちいかが? / 坂本真綾×土岐麻子作詞:土岐麻子作曲・編曲:TENDRE4. でも / 坂本真綾×原昌和(the band apart)作詞:岩里祐穂作曲・編曲:原昌和5. sync / 坂本真綾×内村友美(la la larks)作詞:内村友美・坂本真綾作曲・編曲:江口亮6. 星と星のあいだ / 坂本真綾×井上芳雄作詞・作曲:坂本真綾編曲:山本隆二7. ひとつ屋根の下 / 坂本真綾×小泉今日子作詞:坂本真綾作曲:鈴木祥子編曲:山本隆二坂本真綾 - 4th Concept Album『Duets』 Lyric Video【購入特典】坂本真綾コンセプトアルバムコースター(4枚のコンセプトアルバム『イージーリスニング』『30minutes night fligt』『Driving in thesilence』『Duets』のジャケット絵柄の紙製コースター全4種の中からランダムで1枚)※一部、取り扱いの無い店舗もありますので、ご予約、ご購入の際は各店舗にご確認下さい。【配信】3月17日より、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信スタート※対応ストリーミングサービス:Apple Music、Amazon Music、Unlimited/HD、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、mora qualitas、RecMusic、Rakuten Music、Spotify、YouTube Music、ANiUTa関連リンクオフィシャルHP「I.D.」坂本真綾 YouTube Official Channel
2021年03月24日1月14日、シドの無観客配信ライブ『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~』が開催された。本記事ではそのオフィシャルレポートをお届けする。2004年1月14日にシドが現在の4人で活動を本格始動して、17回目の結成記念日を迎えたこの日。本当だったら同じ空間に集ってみんなで賑やかに盛大にお祝いしたいところだが、コロナ禍でそれが叶わないのが現状。しかし、それでも大切な記念日をファンと共に過ごしたいという想いから配信で開催された、シド史上初の結成記念日ライブ。初の試みとなった配信ライブは生とも異なる臨場感やライブ感、配信ならではのサウンドや演出で魅せ、4人の熱い想いがしっかりファンに届いた貴重で大切な一夜となった。マオ(Vo)開演時間となり、薄暗い照明に照らされて映ったのはライブハウスのフロアまで広く使った無観客ならではのステージセット。SEが鳴り、ゆうや(Dr)、明希(Ba)、Shinji(Gt)、そしてマオ(Vo)と順に登場するメンバー。昨年の1月以来、シドとしてライブが出来ていなかった4人がステージに並ぶ。画面の前で見守るファンの中には、この光景だけで感極まってしまった人も多いはず。一瞬の静寂から、静かに力強く始まった1曲目は「涙雨」。一音一音、丁寧に気持ちを込めて鳴らされるサウンド、真っ直ぐな目でカメラを見据えて歌い出すマオの切なく美しいヴォーカル。激しく優しく感情を乗せた演奏とともに、伸びやかで感傷的な歌声が胸に刺さる。続いて、イントロのストリングス・サウンドにShinjiと明希がカメラに指差し合図し、軽快な歌と演奏で空気を一変したのは「アリバイ」。演奏することの楽しさや喜びを抑えきれない4人から笑顔が溢れる。後半パートでマオが両耳に手を当ててファンの合唱を誘うと、無観客の会場からファンの歌声が聴こえた気がした。明希(Ba)「初めてのシドの配信ライブに集まってくれてありがとうございます。みんなもこの会場にいるつもりで楽しんでくれたらと思います」とマオが短いMCを挟み、始まった曲は結成記念日のこの日にぴったりの「ANNIVERSARY」。ファンへのありがとうの気持ちを届けたこの曲に続き、アグレッシブな歌と演奏で魅せたのは「V.I.P」。ゆうやと明希が目で合図しながら鳴らす重厚なビートにShinjiがザクザクとリフを刻み、マオのたくましい歌声が響く。配信ながらビシバシ伝わるライブ感と普段は観ることの出来ない角度や距離感からの臨場感溢れる映像が気持ちを高揚させる。「前半から盛り上がってきましたね」とマオが満足そうに語ったMCでは、メンバーそれぞれが自己紹介。「久しぶりだし、元気な姿を見せたいと思ってます」とShinji。「みなさんのいる場所はおウチだけど、心は間違いなくライブハウスにいる」と明希。「おウチだと声が出せるので、思う存分叫んでください」とゆうやが言葉を送って家で見守るファンとの距離を縮めると、「みんなに会いたい気持ちをそのままにしておくのはイヤなので、曲にしました」というマオの曲紹介から、新曲「声色」を披露。画面の前の一人ひとりに届ける優しく温かい歌声、溢れる感情を表現したギターソロ。今の真正直な気持ちと感情を乗せた歌と演奏が胸に突き刺さる。Shinji(Gt)紫の照明が包む中でドラマチックに聴かせた「紫陽花」、メランコリックなギターと艶っぽい歌声が歌謡テイストを醸し出した「土曜日の女」と続き、「シドって本当に曲の幅が広いよね」と語るマオ。「初めてデモで聴いた時、ぶっ飛んだもんな」と、作曲者の明希と「土曜日の女」の思い出話をすると「まさか17年後、無観客ライブでやるとは思いもしなかったね」と感慨深げに語る。続いて「この曲をキッカケに俺たちのバンド人生は大きく変わったんじゃないか?と思います」と始まった曲は、08年リリースのメジャーデビュー曲「モノクロのキス」。積み重ねたキャリアとスキルで表現力や説得力を増した、現在の歌と演奏で魅せる13年目のキスが聴く者の胸を締め付ける。懐かしい曲たちに続いて披露されたのは、新曲「siren」。悲痛でエモーショナルな心の叫びがリアルに響くこの曲は、今だから表現できるシドの最新系サウンド。新旧楽曲が入り交じることで結成17年にしてなお曲の幅を広げ、進化変化し続けているシドの現在もよく見える。さらに増した熱量、また会える日への希望が詰まったライブ終盤演奏後、「siren」も収録された、昨年12月リリースのシングル「ほうき星」について和気あいあいと語った4人。「こっからいよいよ後半戦、行けるかい?」と始まったライブ後半は、メンバー紹介でファンの名前を呼ぶ声や歓声を待つと「聴こえる、お前らの声が聴こえるぞ!」とマオが笑顔を見せ、そのまま「循環」に突入。回っているファンの姿が見えているかのように指を回し微笑むマオ、会場を駆け回って自ら循環するShinjiと、ステージを広く使った自由すぎるパフォーマンスは配信ならでは。エネルギッシュかつ正確なゆうやのドラムプレイが光った「プロポーズ」、「さぁお前ら、拳上げる準備出来てるか?」と煽る明希が力強い掛け声とベースプレイで魅せた「dummy」と続き、激しさと熱量を増していく4人のステージは配信であることを忘れるほどの迫力とライブ感。「ラスト行くぞ!」のマオの叫びから始まった本編ラストは「Dear Tokyo」。「Dear お前ら!」と曲紹介して始まったこの曲は、“きっと大丈夫”と歌う歌詞にファンへのエールや熱いメッセージが込められていたと同時に、手拍子や合唱のパートが会えないファンとの一体感を感じさせた。「みんなに会いたいよ!」と叫ぶマオの声がファンにもどかしさを感じさせながら、幸福感に満ちたエンディングとなった。ゆうや(Dr)アンコールは星空のように瞬くミラーボールの光の下、事前に募集したファンの歌声と共に熱唱した「その未来へ」でスタート。遠く離れていても曲を通じて繋がる心。ファンの美しすぎる歌声と歌に込めた気持ちを両手を広げて受け止めたマオは「今日のみんなの歌声はすごく心に響きました。乗り越えようね、今を一緒に。そして必ず会いましょう」と、感謝と約束の言葉を送った。会いたい気持ちとまた会える日への希望を込めた新曲「ほうき星」は、勇ましいバンドサウンドと願うように祈るように歌う前向きな言葉たちが胸に響く。この日最後となったMCでは「辛いこと、悲しいことがあった時、元気になれる場所が俺たちのライブ会場だったわけで、やり場のない気持ちがあると思う。時には逃げる場所も必要で、その逃げる場所がシドだったらいいなと思って配信ライブをやりました」と、ライブを開催した意味と意義を語ったマオ。「何かあったら、俺たちのところに帰ってきてください」と最後に届けた曲は「live」。たっぷり気持ちを込めた歌と演奏、壮大なサウンドで想いを届けたこの曲。“ここでまた逢おう”の言葉は力強く希望に溢れていた。本公演『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~』はニコニコ生放送、ローチケ LIVE STREAMING、イープラス Streaming+にて、1月19日23:59までアーカイブ視聴が可能。1月15日0時からはライブ登場SE「residence」の配信リリースがスタートしている。さらにシドは、5月15日、16日には山梨・河口湖ステラシアターにて、昨年延期となった『SID LIVE 2020 -Star Forest-』の振替公演を開催予定だ。文 / フジジュン写真 / 今元 秀明SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~セットリスト01. 涙雨02. アリバイ03. ANNIVERSARY04. V.I.P05. 声色06. 紫陽花07. 土曜日の女08. モノクロのキス09. siren10. 循環11. プロポーズ12. dummy13. Dear TokyoアンコールEn01. その未来へEn02. ほうき星En03. Live公演情報SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~【チケット料金】通常視聴チケット:3,000円(税込)【ニコニコ生放送】受付期間:2021年1月18日(月) 23:59まで視聴・購入はこちら※ニコニコプレミアム会員は2,400円(税込)となります。※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59まで【ローチケ LIVE STREAMING 通常視聴チケット】受付期間:2021年1月19日(火) 19:00まで視聴・購入はこちら※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59まで【イープラス Streaming+】・クレジットカード決済の場合受付期間2021年1月19日(火) 21:00まで視聴・購入はこちら※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59までリリース情報シド「residence」2021年1月15日配信リリース作曲 ゆうや配信まとめURLニューシングル「ほうき星」発売中【初回生産限定盤(CD+写真集)】税抜2,273円※7インチEPサイズ大判紙ジャケ仕様【通常盤(CD)】税抜1,364円<CD収録内容>※2形態共通1. ほうき星2. siren3. 声色<写真集>全32ページ撮り下ろしブックレット「ほうき星」購入まとめURL関連リンクシド オフィシャルサイトシド オフィシャルTwitterシド オフィシャルInstagramシドオフィシャルWeibo
2021年01月16日