オムロンは1月12日、±5cmの高低差における気圧の変化を正確に検知する「絶対圧センサー」を開発し、同日より量産を開始すると発表した。今回量産を開始する「絶対圧センサー」は、気圧を検知するMEMSセンサーチップと信号を処理するICチップを縦2.0×横2.5×厚み0.85mmの小型パッケージに搭載し、高低差±5cmに相当する±0.6Paの気圧変化を高精度に測定することが可能。圧力検出部における可動領域を拡大することでMEMSセンサーチップの高感度化を実現すると共に、ICチップにデジタルフィルターを内蔵することで低ノイズ化が図られており、同社従来品比10倍の高精度化を達成した。同製品をスマートフォンやタブレットPC、フィットネス・健康管理向けウェアラブル端末などに搭載することで、立つ、座る、寝る、倒れるなどの人の動作や、階段などの昇降を高精度に判別するアプリケーションが実現するとしている。なお、同製品は1月13日~15日に東京ビッグサイトで開催される「第2回ウェアラブルEXPO」に出展される予定となっている。
2016年01月12日北海道大学は1月16日14時より、バナプルとブルーインパルスファンネットの協力のもと、第86回サイエンス・カフェ札幌「自在の翼を手に入れろ~ブルーインパルスの飛行技術と不安定からの数学的発想~」を紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(北海道札幌市)にて開催する。ブルーインパルスは、航空自衛隊の航空祭や国民的な大きな行事などで華麗なアクロバット飛行(展示飛行)を披露する専門のチームで、昭和39年(1964)の東京オリンピック開会式にも5色のスモークで五輪を空に描いた。今回のサイエンス・カフェ札幌では、ブルーインパルスの隊の中でも"地獄ポジション"と称される4番機のパイロットとして演目開発にも携わった高橋 KYONCEE 喜代志さんに、数理連携の第一人者であり航空ファンでもあるという西浦廉政さんが"不安定性"をキーワードに迫る。自在に空を飛ぶための機体の速度と高度を保ち、さらに、一糸乱れぬ隊形を組んだり6機それぞれが異なる機動をしたりするためには、ブルーインパルスのパイロットたちはその瞬間に何を考えているのだろうか。パイロットと数学者という異なる分野のプロフェッショナルが、ブルーインパルスの映像も交えながら語り合う。サイエンス・カフェ札幌は14時~15時30分(開場13時30分)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(北海道札幌市中央区北5条西5丁目7番地sapporo55ビル)にて開催する。前半に高橋さんと西浦さんのトークを、その後、Q&Aとサイン会を予定している。定員は約80人、参加費は無料。なお、当日は暖かい服装での来場を呼びかけている。
2016年01月04日北海道大学(北大)は12月25日、データサイエンスの最新の手法を開発し、細胞内の分子モーター「F1-ATPase」における高効率なエネルギー変換の重要な仕組みを解明したと発表した。同成果は、北海道大学 電子科学研究所附属社会創造数学研究センター 李振風 准教授、小松崎民樹 教授、東京大学 工学研究科 応用化学専攻 野地博行 教授らの研究グループによるもので、12月17日付けの英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。F1-ATPaseは、化学エネルギーを使って回転するモータータンパク質で、分子構造変化と複数の中間反応を巧妙に組み合わせることで、効率よく化学エネルギーを回転の力学エネルギーに変換している。この中間反応は、ATPがF1-ATPaseに結合する過程、F1-ATPaseに結合したATP(結合ATP)が加水分解してアデノシン二リン酸(ADP)が生成する過程、ADPがF1-ATPaseから解離する反応、無機リン酸が解離する反応などから構成されているが、高効率なエネルギー変換を実現するための反応順序がどのように制御されているかなどは未解決問題となっていた。なかでも、結合ATPの加水分解については、反応生成物の結合解離過程と比べて回転に必要なトルク発生への寄与が少なく、放出するエネルギーも全体から見てわずかであることがわかっていたが、結合ATPの加水分解がF1-ATPaseの反応サイクルのなかでどのような役割を果たしているのかについてはよくわかっていなかった。今回の研究では、F1-ATPaseの回転時系列データから回転停止時間とその間の回転角度揺らぎの統計を解析するため、ノイズの性質をできるだけ仮定しない変化点解析とファジークラスタリングを組み合わせた手法を開発。同手法とマイクロ秒時間分解能でのF1-ATPase一分子の回転観察を組み合わせて、結合ATPの加水分解反応およびリン酸解離待ちに相当する階段状の回転時系列データの回転停止プロセスの詳細な速度論に着目し、その加水分解反応が果たす役割を詳細に調べた。この結果、結合ATPの加水分解反応に伴って、回転停止プロセスの間に回転角度が反時計回りに20度ほど有意に変化していることがわかった。これは同反応が、回転角度の変化によりリン酸解離反応の反応障壁を大きく減少させることで、ATP加水分解→リン酸解離といった正しい反応順序を維持するための「鍵」としての役割を担っているものと捉えることができる。この成果はF1-ATPaseだけでなく、V-ATPase、キネシン、ミオシン、ダイニンなどのモータータンパク質における高効率の分子メカニズムの解明に繋がるものと期待されている。
2015年12月25日富士通コンポーネントは12月21日、「FUJITSU Component 無線モジュール FWM8BLZ02-109047」を発売したと発表した。同製品は、温度センサーと3方向加速度センサーを内蔵した可搬型のBluetooth Smart対応センサービーコンで、温度およびビーコンを取り付けた物の傾きを測定し、そのデータを出力するもの。電源にはコイン形リチウム電池CR2450を利用する。測定したデータの出力方法は、同製品に標準装備されている同社独自データ送受信プロファイル「FDC」を経由しビーコン側から一定間隔でデータをスマートフォンなどのセントラル危機に送信する方法と、センサーモジュールのメモリ内にデータを保存し、セントラル機器から能動的にアクセスして読み出す方法の2つから選択可能。ビーコン部は、セントラル機器に対し一方向でアドバタイズ送信を行うブロードキャストモード、セントラル機器と双方向の通信を行えるペリフェラルモード、およびリカバリーモードを備えている。また、動作状態がわかるLEDインジケーターが付属する。農業施設や工場などにおけるセンサーを使った状態監視、物流サービスにおける荷物の品質管理、介護サービスへの応用など、IoTプラットフォームのフロントエンドデバイスとしての利用が想定されている。
2015年12月21日ソニーは12月16日、4,240万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載するコンパクトデジタルカメラ「RX1R II」(DSC-RX1RM2)の発売延期を発表した。生産上の都合による。RX1R IIは11月に国内発表されたコンパクトデジタルカメラ。当初、12月中旬発売としていたが、生産上の都合によって発売延期を発表した。変更後の発売日は未定で、2016年1月中旬を目処に改めてソニーのホームページ上で案内する。RX1R IIは4,240万画素の裏面照射型「Exmor R」センサーを搭載した高級コンパクト機。世界で初めて、光学式可変ローパスフィルターを採用した。カメラの設定でローパスフィルターの効果を、オフ/標準/強の3段階に切り替えられる。推定市場価格は税別430,000円前後だ。
2015年12月16日富士通、富士通研究所、北里研究所 北里大学東洋医学総合研究所(東洋医学総合研究所)は12月10日、触診時の漢方医の触感をデータ化するグローブ型触感センサを共同で開発したと発表した。漢方医学の診断基準は問診・脈診・舌診・腹診などによる漢方医の主観および知識に依存することが多く、診断基準を漢方医の育成などに活用するには診断の形式知化や客観が必要となる。今回開発したグローブ型触感センサは、電界が無くても正負の電荷が分かれる性質をもつ誘電体薄膜を圧力検知素子として用い、加圧時に内部の電荷の状態が変化する特性を利用して、高感度な圧力センサを実現した。ポリマーフィルムを使って薄さ100~300μmまで薄膜化したことで、医師の手触り感を損ねることなく高感度かつ安全にセンシングできるほか、圧力検知素子自体の駆動電源を不要とした。また、グローブの指先部に反射マーカーを取り付け、マーカーの動きを検知する近赤外線カメラにより、医師の手の動きを約0.2mmの精度で検知するシステムを構築。10ミリ秒ごとに触診の位置を取得し、圧力センサから取得したデータと組み合わせることで、触診の正確な位置と圧力を同期して記録することが可能となっている。実験では、圧力センサとして実際の触診に限りなく近い数値データを取得できることが確認されたという。富士通らは今後、センサ感度のさらなる向上や手のひらなど圧力センサーの適用範囲拡大を検討し、開発技術により漢方専門医の触診をデータ化し大量に蓄積・客観化して、医師の触診の支援につなげていくとしている。
2015年12月10日スイッチサイエンスは12月2日、中国のMaker Works Technologyが開発、製造しているお絵描きロボットキット「mDrawBot」の通常販売を12月9日より開始すると発表した。同ロボットキットは、組み合わせ方によって「mScara」、「mCar」、「mSpider」、「mEggBot」という4つのお絵描きロボットを作ることができるもので、Makeblockというロボット作成プラットフォームに基づいて設計されたアルミ製の部品や電子モジュール、Arduino Unoと互換性のある専用マイコンボード「Makeblock Orion」など、60種類以上のパーツによって構成されている。4つのロボットについては、mScaraは、平らな面に絵を描くことができるロボットで、ロボット本体から伸びる腕を動かして絵を描く。mCarは、走った軌跡を描くことができるロボットカーで、ペンの代わりにチョークを取り付けることで、道路などの上にも絵を描くことができる。mSpiderは、壁やホワイトボードに絵を描くロボットで、ロボット本体を2本の糸で壁に吊り下げ、その糸をステッピングモーターで引っ張りあげたり伸ばしたりすることで絵を描く。そしてmEggBotは、卵やピンポン球のような球面に絵を描くことができるロボットとなっている。また、フリーソフトウェア「mDraw」を使うことで、より簡単にmDrawBotを制御することができるほか、Makeblockの部品の多くが工業用標準部品と互換性があるほか、レゴとは機械的にも電子的にも互換性があるため、レゴ用のパーツを自由に組み合わせる事も可能だという。なお、価格は3万2400円。注文は同社Webサイトから行うことが可能となっている。
2015年12月02日アプリックスIPホールディングスは11月25日、Bluetooh通信機能を小型センサーやスマートロックを遠隔地から操作するソリューションの提供を開始したと発表した。スマートロックや小型のセンサーは現状、設置場所に制約がなく、電源ケーブルなどの配線工事をしなくて済むように、消費電力が低くて電池駆動が可能なBluetooth方式の通信モジュールを採用しているものが大多数を占めている。ただ、これらの機器は、Bluetoothで近くにある端末と直接通信するものであり、遠隔地のデータセンターで情報を受信したり遠く離れた管理センターから操作したりといった利用は想定されていない。同社が提供するソリューションは、同梱する「BLE/Wi-Fiゲートウェイ」を活用する。Bluetoot搭載の小型センサーが送信した情報をWi-Fi端末が受信し、そこからインターネット上にあるクラウドサービスに転送する。これにより、小型センサーの情報をリアルタイムでクラウドに蓄積できるようになるほか、クラウドサービス経由で遠隔地から小型のセンサーを操作できる。同ソリューションはさまざまなシーンでの活用が想定されており、例えば、身の回りのスマート家電の利用状況や身に付けた活動量計から直接クラウドに情報を上げることで、利用者に負担の少ないながら精度の高い介護や見守りサービスを実現できるという。また、安価なセンサーを大量に設置して効率よく情報を収集できるようになるため、オフィスや店舗などの状態を大量にクラウドに収集してビッグデータとして活用できるほか、今後急速に拡大すると見込まれているペットビジネス市場におけるペットの健康管理や見守りなどのサービスにも活用が期待できる。同社は、ホテルやアパートなどの管理会社や家・オフィス・店舗などにセンサーを設置して遠隔監視などのサービスの供給企業にソリューションを提供していくとしている。
2015年11月26日日本セラミックは11月24日、物体と人体を判別可能とした「アクティブ型赤外線センサ」を開発したと発表した。今回開発した人感センサは、赤外線による三角測量の原理を採用しており、検出物体の色や反射率の影響を受けにくく、検出物体の存否を検出し、さらに搭載したマイコンにより信号処理を行うことで、微動する人体と完全に静止した物体を判別する。同センサを用いることにより、デスクに着座する人体と椅子の背もたれ、あるいはトイレに着座する人体と便座蓋などの判別が可能となり、パソコン、デスクライト、トイレ便座のようなさまざまな機器の省エネに貢献するとしている。同センサには検知距離~40cmタイプの「SN5-0186」と、検知距離~100cmタイプの「SN5-0187」の2タイプがあり、量産開始は2015年12月を予定している。
2015年11月24日ライカカメラジャパンは、「ライカSL (Typ 601)」の発売日を11月28日に決定した。ライカSLはフルサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレスカメラだ。価格は税込993,600円。ライカSLはライカLマウントを導入したミラーレスカメラ。国内では10月21日に発表された。35mmフルサイズの2,400万画素CMOSセンサー、画像処理エンジン「LEICA MAESTRO II」、440万ドッドの電子ビューファインダー(EVF)「EyeResファインダー」を搭載する。また、ライカSL専用の標準ズームレンズ「ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.」も同じく11月28日に発売する。こちらの価格は税込669,600円。
2015年11月20日ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社・DeNAライフサイエンスは11月18日、東京大学医科学研究所と共同で、遺伝子検査サービス「MYCODE」において、インターネットを活用したユーザー参加型のゲノム研究を2016年1月から開始すると発表した。同共同研究では、MYCODE利用者の内、研究に同意した人を対象に、インターネットによるアンケートに任意に参加してもらうことで、病気や体質、生活習慣と遺伝子の関係を解明することを目的とする。アンケートでは、身長や体重などの体格、喫煙、飲酒、コーヒーの摂取傾向などの嗜好性、ドライアイ、男性型脱毛症やインフルエンザなどの病気、髪色や耳たぶの形状など20項目以上について回答してもらう。これらの回答結果と遺伝情報を解析することで、関連するSNP(DNAの中で1カ所の塩基が別の塩基に置き換わる現象)の探索を行い、日本人では関連SNPが見つかっていない病気・体質についてリスク予測モデルを構築することを目指すという。同研究の成果により、遺伝子検査における新しい検査項目の提供や、より大規模な日本人データに基づく検査結果の提供が可能となるほか、SNPのタイプに応じた病気の予防法開発などが期待される。
2015年11月19日インターネットを通して研究者に直接資金提供を行うだけでなく、情報やマンパワーの提供、さらには研究者同士のコラボレーションを促し、“第二次オープンサイエンス革命”を起こしたい――こう語るのは、学術研究に特化したクラウドファンディングサイト「academist」を運営するアカデミスト 代表取締役の柴藤亮介氏だ。「オープンサイエンス」とは、書籍『オープンサイエンス革命(紀伊國屋書店)』において理論物理学者であるマイケル・ニールセン氏が提唱したもので、インターネットやオンラインツールなどの活用により、研究の過程で得られた情報や知識を共有することで科学を発展させていく試みのことをいう。同書のなかでニールセン氏は、資金提供を行うパトロンたちが17世紀に科学論文という文化を作ったことで「第一次オープンサイエンス革命」が生じたとしている。「インターネット技術が発達した現在は、第二次オープンサイエンス革命の時期。研究成果をオープンにすることが“第一次”であるのなら、“第二次”では科学研究のアイディアやプロセス自体をオープンにしていきたい」(柴藤氏)しかしながら閉鎖的なイメージのある学術界で、果たして柴藤氏の言う「第二次オープンサイエンス革命」を起こすことはできるのだろうか。11月14日に行われた「サイエンスアゴラ 2015」内のトークイベント「オープンサイエンス革命 ~オンライン・コラボレーションによる研究推進の可能性~」では、さまざまな分野の若手研究者たちがオープンサイエンスの可能性について議論した。○オンラインコラボレーションで一般市民でも研究に参加できる慶應義塾大学 先端生命科学研究所の特任講師 堀川大樹氏は「クマムシ博士」として知られており、書籍・有料メルマガの執筆やグッズ販売などで得られた資金をもとに、極限環境への耐性を持つ生物「クマムシ」の研究を行っている。研究においては、とにかくクマムシの数が必要だというが、その飼育には手間が掛かる。そこで堀川氏は学校や科学教育機関などとコラボレーションを行い、理科教育の一環としてクマムシの飼育観察をしつつ、その数を増やしてもらうという取り組みを提案した。クマムシの飼育にはある程度の技術が必要となるため、堀川氏はそのノウハウを提供するというわけだ。研究者と教育機関とのコラボレーションは、比較的多くの分野の研究で実践できるものではないだろうか。またクマムシを「増やす」手伝いだけでなく、「発見する」手伝いもできる。「クマムシ学会最大の謎」であるという「オンセンクマムシ」は、1937年に長崎県・雲仙で発見されたといわれているが、標本がなく、さらに発見場所の温泉が干上がってしまい、いまだ再発見できていないという。そこで堀川氏は「ボランティアを募ってオンセンクマムシを探すミッションをできないか」と提案。たとえば、クラウドファンディングの見返りとしてこのミッションへの参加権を提供すれば、マンパワーも研究資金も得られる一石二鳥の取り組みとなる。同じ生物学分野でのオープンサイエンスの事例として、京都大学大学院農学研究科 博士課程の末広亘氏は、アリ研究における取り組みを紹介した。アリは日本だけでも約300種が存在しているうえに、どこにどの種類のアリがいるかはわからない。研究者だけで完全なモニタリングを行うことは不可能だといえる。そこで解決策となるのが、オンライン上での一般市民の研究参加だ。アメリカではすでに成功事例があり、一般市民の協力によって1年半のあいだに全米500地点で107種類のアリを見つけることができたという。アメリカに侵入した外来種「オオハリアリ」の侵略メカニズムを研究する末広氏は「自分は3年間のうち40カ所でしか調査できていないので、これはすごい数だ」と評価する。研究手法を統一させて即座に情報共有できるのは、オンラインでしかありえない。現在は研究者がそれぞれに情報共有のプラットフォームを作っているが、末広氏は「さまざまな分野で共通のプラットフォームがあれば、よりオープンサイエンスの試みが促進されるのでは」と、一般市民と研究者のオンラインコラボレーションにおける今後の課題をあげていた。生物系だけでなく、宇宙物理の分野にも一般市民のオンラインコラボレーション事例がある。理化学研究所 基礎科学特別研究員の湯浅孝行氏は、『オープンサイエンス革命』でも取り上げらている「Galaxy Zoo」の事例を紹介した。Galaxy Zooは、一般市民がWebブラウザ上で銀河の形状を分類できるサービスだ。このサイトからはすでに、48本もの論文が出版されているという。また、ここから発展したサービス「Zooniverse」では、野生生物や化石、惑星調査に対し、100万人以上の市民が参加している。また湯浅氏は自身でも、オンラインコラボレーションの場を提供する。後述するように湯浅氏は、雷雲におけるガンマ線放射現象のメカニズムを解明したいと、研究費のクラウドファンディングを行った。この研究に対して我々一般市民は、研究資金の提供という形だけでなく、マンパワーという形で協力することができる。具体的には、Webブラウザ上に表示されたある時間帯のガンマ線の検出データを見て、ユーザーが数値の増えている部分の判別を行うというものだ。この判別結果と、同じ時間帯の雷雲の様子を見比べ、湯浅氏らはその関係性を調査する。同サイトは2015年度末に公開することを目標に開発されているという。○クラウドファンディングで得られるのは研究資金だけではない!?湯浅氏とともにクラウドファンディングにチャレンジした京都大学 白眉センター 理学研究科 特定准教授の榎戸輝揚氏は普段、宇宙X線望遠鏡による天体の研究を行っているが、修士課程の学生のころには雷雲から発生するガンマ線を手作りの検出装置で検出するという研究で論文を執筆した。この装置を再び活用し、ガンマ線と雷雲がどういう相互作用をするか調査したいと数年前に科研費に応募したが、残念ながら採用されなかった。このとき、知り合いの研究者からacademistを紹介され、研究費クラウドファンディングへのチャレンジを決意したという。結果としては、目標金額の160%となる約160万円を集めた。これは、academist史上最高の達成率となっている。しかし得られたものは、研究資金だけではなかった。検出装置の設置に適した金沢の大学や高校から「うちの学校に検出装置を設置してはどうか」というメッセージがきたというのだ。現在、榎戸氏らは合計4校と具体的な話を進めている。さらに榎戸氏は「研究者たちでスタートアップをやっているような感覚にワクワクした。研究費としては微量かもしれないが、直接応援をもらうことで研究費の大切さを肌で感じ、研究の推進力をもらうことができた」とコメントした。クラウドファンディングは資金だけでなく、多くの“副産物”を生んでいることが伺える事例だ。○オープン化が進む情報科学分野特有の文化とはソースコードを公開し、プログラマやエンジニアたちが共同でソフトウェアを開発していく「オープンソースソフトウェア(OSS)」の文化が根付いている情報科学分野。最近ではコラボレーションツール「GitHub」を利用したソフトウェア開発が主流になっており、オンラインコラボレーションの流れはますます加速している。湯村翼氏は、情報通信研究機構に技術員として勤務しながら北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科にて研究を行っている、いわゆる社会人学生だ。もともと大学では宇宙プラズマの研究をしていたが、就職後に情報科学の分野へ進み、AR(Augmented Reality:拡張現実)の技術開発や、ホームネットワークの研究を行ってきた。ITエンジニアたちのあいだでは知識やノウハウ共有のために、カンファレンス、勉強会、ハッカソンなどが頻繁に行われており、日によっては1日に全国で40件以上開催されていることもある。自分のソースコードやノウハウをオープンにしてしまうというと、他分野の研究者は抵抗を感じてしまうかもしれない。これについて湯村氏は「情報科学の分野では、誰かが作ったものをもう一度作る『車輪の再開発』をなるべく行わないようにするという文化があるためでは」と分析する。さらに同分野では、Youtubeなどの動画サービスが研究者の発表の場になりつつある。国際会議の投稿時に義務付けられたり、査読対象になったりすることもあるという。湯村氏自身も、動画での研究発表を推奨する「ニコニコ学会β」を運営。なかでも「研究してみたマッドネス」は、誰にでもオープンな「ユーザー参加型研究」を実践することを目的としたセッションで、インターネット上で活動しているアマチュアの研究者と、ビジネスやアカデミアで活躍するプロの研究者とが一緒になって発表し、討議を行う。ユーザー参加型研究の世界を湯村氏自らが作り上げているのだ。個人PCのスペックが向上し、またAWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスにより高性能なリソースを手軽に利用することが可能になってきたため、最近ではコンピュータひとつあればさまざまなことができるようになってきた。「情報科学の分野では、オープンサイエンスがより進みやすくなってきている」(湯村氏)***研究費クラウドファンディングや、研究者と一般市民のコラボレーションは、科学コミュニケーションとしての意義もある。まだまだ課題は多いが、まずは情報科学分野における豊富なオンラインコラボレーションの事例を他分野へ展開していくことが今後、第二次オープンサイエンス革命を起こすためのヒントを見出す鍵となるのではないだろうか――第一線で活躍する若手研究者たちの熱いトークセッションを聞き、そう感じた。
2015年11月19日総務省は11月17日、将来の経済成長を担う“データサイエンス”力の高い人材育成のための取組として、ウェブ上で誰でも参加可能なオープンな講義「社会人のためのデータサイエンス入門」を同日から再開講すると発表した。同講座は本年3月に開講し、1万5千人を超える人が受講したが、ユーザーからの要望を踏まえ、同日から再開講する。1回10分程度×4~7回程度(1週間)×4週間のビデオ講義となっており、 各週の確認テストと最終テストを実施する。各週のテーマは、1週目が「統計データの活用」、2週目が「統計学の基礎」、 3週目が「データの見方」、4週目が「公的データの入手 とコースのまとめ」となっている。受講登録は、こちらから行える。また、本講座の続編として、実践編講座「ビジネスで使うデータ分析(仮称)」を平成28年春に開講予定だという。
2015年11月17日ユニットコムは11月11日、人感センサーを搭載したLEDライトとして、昼白色の「N041-HUMAN-LED-WHLED」と温白色の「N042-HUMAN-LED-YLLED」を、パソコン工房の通販サイト内雑貨店「Nantena」にて発売した。価格は税込1,491円。「N041-HUMAN-LED-WHLED」と「N042-HUMAN-LED-YLLED」は、LEDを10灯内蔵した照明。反応角度120度、反応距離約1.5mの人感センサーを搭載しており、人や動物など動くものを感知して点灯する。ライトはセンサーが動きを感知しなくなってから15秒後に自動消灯する。本体背面にスイッチを備え、電源オフや常時点灯なども設定可能だ。LEDライトの色温度はN041-HUMAN-LED-WHLEDが約5,500K、N042-HUMAN-LED-YLLEDが約4,000K。共通の仕様は、明るさが1,800~2,000ミリカンデラ、電源が単3形乾電池×3、サイズがW75×H120×D42mm、重量は88g。
2015年11月11日東京大学(東大)は11月9日、グラファイトを添加したアクリル系ポリマーを用いることで、高い感度と速い応答速度を両立したプリント可能なフレキシブル温度センサーの開発に成功したと発表した。同成果は、東大大学院工学系研究科電気系工学専攻 横田知之 特任助教、染谷隆夫 教授らの研究グループによるもので、11月9日付の米科学誌「アメリカ科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America:PNAS)」オンライン版に掲載された。グラファイトなどの導電性物質を添加したポリマー中で、温度の上昇に伴って電気抵抗が増加する材料は「ポリマーPTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)」と呼ばれ、温度センサーや加熱防止のための保護素子への応用が期待されている。しかしこれまで、ポリマーPTCを使って人の体温付近における感度0.1℃以下の優れた温度応答性や、繰り返し温度を上げ下げすることに対する高い再現性を実現することは困難だったという。また、くにゃくにゃと曲げられる機械的な耐久性、印刷のような簡単なプロセスによる加工のしやすさを同時に実現する材料も報告がなかった。今回の研究では、温度センサーのインクとなるPTCポリマーを合成する際に「オクタデシルアクリレート」と「ブチルアクリレート」という2種類のモノマーの重合割合を変化させる手法を用いることによって、温度センサーの応答温度を25℃~50℃といった人の体温付近に調整することが可能となった。また、従来のポリマーの分子量を変化させることによって応答温度を調整する手法では応答温度の制御性が良くなかったが、今回の手法により0.02℃という精度が達成できたとしている。またこのPTCポリマーを利用して開発された温度センサーは、1000回以上繰り返し温度を上げ下げしても高い再現性を示すうえ、曲率半径700マイクロメートルに曲げても壊れることなく、生理的環境でも動作するという。同センサーは抵抗値の変化が非常に大きいため、複雑な読み出し回路を用いずに精度の高い計測ができる。これを示す例として同研究グループは、ダイナミックに呼吸運動している状態のラットの肺表面に同センサーを貼り付けて計測を行い、外気温25℃と体温37℃の状況下において、呼吸の呼気と吸気における肺の温度差が約0.1℃と非常に小さいことを世界で初めて実測した。このように、今回の研究では皮膚を含む生体組織にセンサーを直接貼り付けて表面温度の分布を大面積で簡単に精度よく計測する技術が実現されたといえる。応用例として、今回開発された温度計を絆創膏にプリントすることによって、皮膚に直接貼り付けて体温を計測したり、赤ちゃんや病院の患者の体温、手術後の患部の発熱の有無をモニタリングするといった利用法も考えられるとしている。またヘルスケア・医療応用以外にも、服の内側の体温計測や体表面の温度分布を計測することにより、機能的なスポーツウェアの開発などへの利用も期待される。
2015年11月10日オムロンは11月6日、高精度な地震検知を実現した小型感震センサーを開発し、2016年1月より販売を開始すると発表した。同社によると、世界最小クラスの大きさになっているという。同センサーは、MEMS3軸加速度センサーと、独自のSI(Spectral Intensity:スペクトル強度)値演算アルゴリズムにより演算負荷を低減することで回路を小型化し、あわせて低消費電力動作を実現。機器組込みの際の設置の自由度を向上するとともに、電池での長時間駆動にも対応可能となっている。また、地震の揺れの大きさを表わす震度階級とも相関性の高いSI値を採用することで、震度5強相当以上の揺れを高精度に判定できるため、装置や設備の的確な停止を可能にする。このほかにも通信機能を搭載しているため、今後は感震センサーをネットワーク化し、地震による建物などの被害状況を把握することにより、地震発生後の復旧対策への活用が期待される。同社は2018年度までの販売目標を50万個としている。
2015年11月06日キーエンスはこのほど、製造業の現場でセンサを選ぶ際に役立つ「センサとは.com」を公開した。センサは製造業の生産性を高めるために今や欠かせないものとなっている一方で、種類が多岐にわたるため、しっかりとそれぞれの違いや特長を理解していないと、現場の検出条件にマッチした最適なセンサを選ぶのは難しい。「センサとは.com」ではこうしたニーズに応えるため、「検出原理」をベースに、各種センサ/測定器の概要、特長、分類軸などについて初心者でもわかりやすい解説が提供されている。同サイトに掲載されている主な検出方式は、「光電センサ/ファイバセンサ/レーザセンサ」といった「光で検出する方式」、「近接センサ/渦電流式変位センサ」に代表される「渦電流で検出する方式」、「接触式変位センサ」に代表される「接触で検出する方式」、および「超音波センサ」に代表される「超音波で検出する方式」の4方式。また、サイトと同様の内容をまとめたPDF資料も、無料でダウンロード可能となっている。今後は、選定前に知っておきたい代表的トラブル事例と対策方法や、検出方式を追加していくなど、役立つサイトを追求していく予定だという。
2015年11月06日ソニーは11月6日、4,240万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ「RX1R II」を国内向けに発表した。型番は「DSC-RX1RM2」。12月中旬の発売を予定している。価格はオープンで、市場想定価格は税別430,000円前後。RX1R IIは同社のCyber-shotシリーズに属する高級コンパクト機。海外向けには10月14日に発表していた新機種だ。2012年発売のRX1、2013年発売のRX1Rと同様に35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載しているが、RX1R IIでは最新の裏面照射型「Exmor R」センサーに進化。有効画素数は先代2機種の2,430万画素に対して、RX1R IIでは4,240万画素と大幅にアップした。AFシステムにはミラーレス一眼「α7R II」と同様の「ファストハイブリッドAF」を採用。399点の像面位相差AFポイントと25点のコントラストAFポイントにより、AFスピードは初代RX1に比べ30%向上している。また、コンティニュアスAFモード「AF-C」を用意しており、AF追従しながら最高5コマの連写を可能としている。世界で初めて、光学式可変ローパスフィルターを搭載したことも大きな特徴だ。カメラの設定でローパスフィルターの効果を、オフ/標準/強の3段階に切り替えられる。また、電子ビューファインダー(EVF)を新搭載。約240万ドットの有機ELパネルを使い、ワンタッチで本体からポップアップする設計となっている。レンズは先代2機種と同じく、35mm単焦点で絞り開放F2の「ZEISS Sonnar T* 35mm F2」。画像処理エンジンには「BIONZ X」を搭載している。感度は標準でISO100~25600、拡張でISO50~102400まで対応するほか、14bitの非圧縮RAW出力を可能としている。背面の液晶モニターは3型・約120万ドットで、WhiteMagicと名付けられたもの。上方向に109度、下方向に41度のチルトを新たに可能とした。通信機能はWi-FiとNFCを備え、PlayMemories Camera Appsも利用できる。動画はフルHD・1920×1080ドット、60p/30p/24p、最高50Mbps・XAVC S形式での撮影をサポートする。本体サイズはW113.3×H65.4×D72.0mm、重量は約507g(バッテリーとメモリーカード含む)。バッテリーパックはNP-BX1で、背面モニター使用時で最大220枚、EVF使用時で最大200枚の撮影が可能だ。
2015年11月06日日本システムウエア(NSW)は11月5日、同社の特許技術に基づくというセンサー・ビーコンである「BLEスマートセンサN(エヌ)」を利用する、BLE(Bluetooth Low Energy)スマート・センサー・ソリューションを提供開始した。初年度3件の受注が目標。BLEスマートセンサNは、温・湿度/照度/紫外線など複数のセンサー情報を、BLEビーコンで発信可能なセンサー・ビーコン。複数の同センサーが計測した情報はペアリング不要であり、1つのゲートウェイを介してクラウド上のIoTプラットフォームに収集するという。新ソリューションでは、同センサーが持つ環境モニタリング情報とビーコンIDによる位置情報の2つの特性を利用し、小売量販店や大型商業施設、飲食店などに向けて、建物内の消費電力管理を実現するEMS(エネルギー・マネジメント・システム)と、来場者のスマートフォンにニュースやクーポンなどを配信するモバイルO2O(Online to Offline)サービスを、1つのインフラで提供可能にしたとしている。同社は、同ソリューションの提供によって商業活動の発展と省エネを両立するインフラ環境の構築を支援しているという。導入価格は、初期構築費と運用後の月額利用料で構成し、規模により異なるとのこと。なお、同ソリューションの導入を検証するためのBLEスマートセンサN評価キットを、1セット18万5,000円(税別)で提供している。
2015年11月06日半導体市場調査会社の米IC Insightsは10月末、統計上半導体集積回路(IC)分野に属さない、その他のカテゴリである「オプトエレクトロニクス」、「センサ/アクチュエータ」、「ディスクリート半導体」といった3分野(O-S-D)の世界市場実績および予測を発表した。これによると、照明用デバイス、赤外線回路、CMOSイメージセンサ(いずれもオプトエレクトロニクス分野に分類)などごく一部の主要デバイスが2桁成長を続ける一方で、ダイオード、整流器、パワートランジスタなど(ディスクリ―トに分類)やほとんどのセンサ市場は1桁縮少する。この結果、2015年にこれらの市場全体としては3%成長し、史上最高となる664億ドルに達する見込みであるとする。2014年は前年比9%増しの644億円で史上最高としていたが、今年はこれを更新することとなる(図1)。2015年の世界市場における半導体全体の売上高は、前年比0.5%かそれよりわずかな低下で3541億ドルに留まると予測される。O-S-Dは、その半導体売上全体の19%を占める見込みだ。ちなみに今年、世界市場での集積回路の売上高は前年比1%低下しそうだ。多くのセンサ製品カテゴリで著しい価格低下が続いているため、今年は101億ドルと、2%の成長しか見込めないセンサ/アクチュエータ市場は、2016年は4%成長し105億ドルに達する見込みである。コモディティ化しているディスクリ―ト半導体は、それを使った装置製造のスローダウンと今年下半期の弱含みの世界経済の影響がもろに出たため、2015年は前年に6%低下し215億ドルとなるが、2016年には3%成長し222億ドルまで戻す。オプトエレクトロニクスは、O-S-D市場のなかで2010年代後半(2015-19年)に最も成長が期待されている分野である。これは、CMOSイメージセンサが、車載、医学用、ビデオ監視網、画像認識などの分野で広く使われるため需要が伸び、高効率LEDを採用した固体照明器具がさらに普及し、高速光通信網でレーザー送信機の需要が増すためである。他の2つのO-S-Dセグメント、センサ/アクチュエータとディスクリートは、2012年および2013年の落ち込みから2014年に回復して以来、なんとか成長しようともがいている。ディスクリートの販売は、経済見通しの変化やエンドユーザーの需要の変化によって乱高下する購買のボラティリティに悩まされ続けている。パワー半導体は、ディスクリートの売り上げの過半を占めているが、その需要は2010年以降、大きく揺れうごいている。
2015年11月05日モバイルA ブリッジはこのたび、Wi-Fiセンサーを利用するリアル店舗の顧客傾向分析サービス「WALK INSIGHTS(ウォークインサイト)」の提供を開始した。同サービスは、店舗や施設にセンサーを設置するだけで容易に導入できる顧客傾向分析サービス。センサーがWi-Fi信号を感知し、店舗の人の流れや滞在時間などを分析することが可能だ。Webダッシュボードは、PCやタブレット端末から時間や場所を問わず店舗の状況を確認でき、店舗データをダウンロードして独自にデータを分析することもできる。また、店舗や施設の訪日外国人客の構成比率などを把握でき、インバウンド対策に役立つ経営データを取得することも可能となる。分析メニューとしては、「顧客流動分析」や「ゾーン分析」「プロモーション効果分析」「店舗クロス分析」「訪日外国人分析」などとなる。
2015年10月23日独ライカカメラは10月21日、ミラーレスタイプのレンズ交換式デジタルカメラ「ライカSL (Typ 601)」を発表した。2,400万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載する。発売は11月末で、販売価格は税込993,600円だ。ライカSLは、35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載したミラーレスタイプのレンズ交換式カメラ。ダイナミックレンジが広く、高コントラストかつ低ノイズで、シャープな画質を提供するという。ISO感度は最高50000まで設定可能だ。独自開発された440万ドッドの電子ビューファインダー(EVF)「EyeResファインダー」を備える。アイセンサーを内蔵するため、目をファインダーに近づけると自動で表示が切り替わる。本体背面には2.95型のタッチパネル式液晶モニターを持つ。画像処理エンジンは、9月に発売された中判カメラ「ライカS (Typ 007)」と同様、「LEICA MAESTRO II」を採用。4K動画(24fps/30fps)の撮影にも対応する。フルHD動画であれば、最大120fpsのフレームレートで撮影可能だ。主な仕様は、マウントがライカLマウント、撮像素子が2,400万画素のフルサイズ(36×24mm)CMOSセンサー、対応感度がISO50~ISO50000、シャッター速度が60~1/8,000秒となっている。UHS-II対応のSDメモリーカードスロット、UHS-I対応のSDメモリーカードスロットを備える。耐久性を堅牢性を重視し、アルミニウム削り出しのボディを採用している。バッテリーは容量1,860mAhのリチウムイオン充電池で、CIPA準拠の撮影可能枚数は約400枚。本体サイズは約W147×D39×H104mm、質量はバッテリーを含まない状態で約771g、バッテリーを含む状態で約847gとなっている。○SLレンズライカSLのリリースに合わせて、ライカSL専用の標準ズームレンズ「ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.」、望遠レンズ「ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL f2.8-4/90-280mm」、単焦点レンズ「ライカ ズミルックス SL f1.4/50mm ASPH.」も発表された。発売はライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.は11月末で、価格は税込669,600円。そのほかの2本については順次発売とされている。今後SLレンズのラインナップを拡充していく予定だ。ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.の主な仕様は、焦点距離が24~90mmmm、開放絞りが広角端で2.8、望遠端でF4、最小絞りがF22。レンズ構成は15群18枚。画角は広角端が対角82.4度、水平72.1度、垂直51.8度、望遠端が対角27.8度、水平23.3度、垂直15.7度。撮影距離範囲は広角端が0.3m~、望遠端が0.45m~。シャッタースピード約3.5段分の手ブレ補正機能を持つ。本体サイズは最大径が約88mm、長さが138mm(広角端、レンズフードなし)、重量は約1,140g。
2015年10月21日ソニーは米国時間10月14日、4,240万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ「RX1R II」を発表した。米国では11月の発売を予定しており、価格は約3,300ドル。RX1R IIの同社のCyber-shotシリーズに属する高級コンパクト機で、型番は「DSC-RX1RM2」。2012年発売のRX1、2013年発売のRX1Rと同様に35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載するが、RX1R IIでは最新の裏面照射型「Exmor R」センサーに進化。有効画素数は先代2機種の2,430万画素に対して、RX1R IIでは4,240万画素と大幅にアップした。世界で初めて、光学可変式(Optical Variable)のローパスフィルターを搭載。カメラの設定でローパスフィルターの効果を、オフ/標準/高の3段階に切り替えられる。電子ビューファインダー(EVF)を新たに搭載したこともトピックの一つ。約240万ドットの有機ELパネルを使い、本体からポップアップする設計となっている。AFスピードは初代RX1に比べ30%向上。399点の像面位相差AFポイントと25点のコントラストAFポイントによる「ファストハイブリッドAF」を採用している。これはミラーレス一眼「α7R II」と同様のAFシステムだ。また、コンティニュアスAFモード「AF-C」を用意しており、最高5fpsのAF追尾を可能としている。レンズは35mm単焦点で絞り開放F2の「ZEISS Sonnar T* 35mm F2」。最短14cmの撮影距離まで被写体に近寄れる。画像処理エンジンには「BIONZ X」を搭載。感度は標準でISO100~25600、拡張でISO50~102400まで対応する。背面の液晶モニターは3型・約120万ドットで、WhiteMagicと名付けられたもの。上方向に109度、下方向に41度のチルトが可能だ。通信機能はWi-FiとNFCを備え、PlayMemories Camera Appsも利用できる。動画はフルHD・1920×1080ドット、60p/30p/24p、XAVC S形式での撮影をサポートする。本体サイズはW113.3×H65.4×D72.0mm、重量は約507g(バッテリーとメモリーカード含む)。バッテリーパックはNP-BX1で、背面モニター使用時で最大220枚、EVF使用時で最大200枚の撮影が可能だ。
2015年10月15日米国の中堅半導体メーカーIntersilは10月13日(米国時間)、近接距離(2m以内)測距のための飛行時間(Time of Flight:ToF)型センサIC「ISL29501」を発表した(図1,2)。同製品の開発を担当した同社Mobile Power Products担当シニア・バイス・プレジデントのAndrew Cowell氏(図3)によれば「(1)暗闇から2万ルックスまで使用可能で、事実上環境光の影響を受けず、(2)小型(4mm×5mm×1mm)で、(3)低消費電力(20mW)であることを3大特徴としており、今話題のドローンやロボット掃除機、コンシューマ・モバイルデバイス、小型低消費電力が必須のIoT端末向けとして最適である」とする。「従来の競合製品は暗闇や2000lux以上の明るい環境では測定しにくかったり、対象物にたいして垂直に投光しないと測距できないなどの欠点があった」と同氏は語るが、同センサはTOF方式の中でも位相差法を用い、投光パルスを高速で点滅させ(変調周波数4.5MHz)、反射光の位相遅れの程度を計測し、オンチップDSPで距離に換算して距離測定を行うことで、そうした課題を解決した。また、エミッタDACの電流を255mAまでプログラム可能なため。顧客が自由にエミッタ(LEDやレーザー)およびフォトダイオードを自由に選ぶことも可能だとする。主な用途としては、家庭用ロボット掃除機の障害物検出、スマートフォンの自動焦点、自動販売機のリアルタイム商品管理、白物家電の安全確保、ビデオゲーム機のプレ―ヤー確認、ドローンの衝突防止およびハ―ドランディング防止(着陸速度制御)などを想定しているという。またCowell氏は「このセンサICをドローンに採用すれば、低消費電力という特徴を生かして、飛行時間を延ばすことができる」と述べ、今後急速に普及することが見込まれるドローン向けの売り込みに意欲を見せている。なお、同センサICの価格は、1000個単位の場合で4.87ドルで、リファレンス・デザイン・キット(図4)も用意されており、そちらは1台250ドルとなっている。
2015年10月14日キヤノンは10月13日、プレミアムコンパクトデジタルカメラ「PowerShot G9 X」を発表した。1型CMOSセンサーを搭載しながら、奥行き30.8mmのスリムボディを実現した。発売は10月22日で、価格はオープン。キヤノンオンラインショップでは税別59,800円で販売する。PowerShot G9 Xは有効2,020万画素の1型CMOSセンサーと35mm判換算で28~84mm相当の光学3倍ズームレンズ(F2.0~F4.9)、画像処理エンジン「DIGIC 6」を搭載する高級コンパクト機だ。本体サイズはW98.0×H57.9×D30.8mm、重量は約209g (バッテリーとSDカード含む)。1/1.7型センサーを搭載した同社のPowerShot S120よりも軽い。カラーリングは、定番のブラックに加えて、ブラウン&ミドルシルバーを用意する。背面のボタンを少なくシンプル化しているが、レンズ周りのコントローラーリングとタッチパネルによって操作面の快適性を確保する。タッチパネルのUIは一眼レフカメラのEOSシリーズと同様。スマートフォンのようにスワイプ操作とタップ操作で直感的にメニューを選択・決定できる。撮影機能ではオートNDフィルターを搭載するほか、BULB撮影や、スマホアプリ「Canon Camera Connect」を介してのリモート撮影も行える。最高ISO感度は12800。最短撮影距離は約50cm。通信機能はNFCとWi-Fi機能を装備する。バッテリーのUSB充電が可能となっている。
2015年10月13日ソフトバンクコマース&サービスは、独Elgato Systems社のワイヤレスホームセンサー「Eve Room(イブ ルーム)」と「Eve Weather(イブ ウェザー)」の販売をSoftBank SELECTION オンラインショップを通じて開始した。Eveシリーズは、設置した場所の温度や湿度などをiPhoneで モニタリングできる製品。AppleのHomekitに対応し、測定データをアプリで確認し、Siriとの連携も可能となる。Homekit対応製品の販売は日本国内ではこれが初になるという。Eve Roomは、部屋の温度、湿度、空気中の有機化学物質の状況を示すエアクオリティをiPhoneでモニタリングできる製品。Siriとの連携により、音声で温度や湿度を確認できる。価格はオープン、直販価格は税込み11,232円。Eve Weatherは、ベランダなどの屋外の温度、湿度、気圧をiPhoneでモニタリングできる製品。こちらも、Siriとの連携で音声で温度や湿度を確認できる。価格はオープン、直販価格は税込み6,912円。
2015年09月27日蓮の花の形をした建物が印象的な「ArtScience Museum at Marina Bay Sands(アートサイエンス・ミュージアム)」は、国際巡回展示が観賞できるシンガポール初の博物館。期間限定で開催される興味深い展示は、常にチェックしておきたい。金曜日には、ファミリー向けのお得なサービスも。マリーナ・ベイを特徴づける個性的な建物マリーナ・ベイ・サンズの併設施設として2011年にオープンしたアートサイエンス・ミュージアム。「芸術科学」をテーマとする博物館としては、世界初と言われている。蓮の花の形が斬新なこの博物館は、建築家モシェ・サフディ氏の設計。マリーナ・ベイ・サンズの会長がこの形を「シンガポールの歓迎をする手」と称賛したように、そのユニークな建築物はシンガポールのアイコンの一つとなっている。10本の「指」の先には天窓が設けられ、壁面をランダムに照らす。この屋根からは、雨水が中央のアトリウムを通って35メートル下のプールに滴り落ちる仕組み。雨水は構内で再利用されており、環境に配慮した建築物としても有名。国際巡回展示を観賞できる場所このミュージアムはアート、デザイン、メディア、建築、テクノロジーをテーマとし、大小合わせて21ものギャラリーにて、最先端の展示を観賞することができる。常設展「ArtScience : A Journey Through Creativity」では、Curiosity(好奇心)、Inspiration(インスピレーション)、Expression(表現)の3つの展示スペースを通し、創造のプロセスへの旅を表現。アーティストの作品を生む原動力、どのようにスキルを身に付け、創り出し、それによって私たちの世界がどう変わるかを考える機会を与えられる。ここでは、常設展に加え、世界的に有名なコレクションの国際巡回展示を開催できるのが最大の特徴。過去には、「タイタニック:アーティファクト エキシビション」「ハリーポッター展」「ダリ:Mind of Genius」など、シンガポールで最も人気の高い展覧会が催されてきた。毎週家族にお得なイベントも毎週金曜日は、子供が無料になる「ファミリーフライデー」を開催。大人のチケット1枚購入につき、12歳未満の子供が4名まで無料で入場できる。また、毎月一回、木曜日には、通常営業の後に「ArtScienceレイト」を開催。通常展示が終わる19時から22時まで、この夜限りの最先端パフォーマンスを目撃しよう。バーもオープンし、アートに浸る大人の夜を過ごすことができる。・詳しいスケジュールと内容はこちらArtScience Museum(アートサイエンス・ミュージアム)・住所:6 Bayfront Ave, Singapore 018974・営業時間:10:00-19:00(最終入館は18:00)・電話:+65 6688 8888・入場料金:展示内容により異なる詳しくはこちら・アクセス方法:マリーナ・ベイ・サンズのベイサイド。ショッピングモールの目の前。MRTベイフロント駅より徒歩10分。©All Photos to Singapore Tourism Board
2015年09月27日ユニットコムは18日、人感センサーを搭載したソーラー充電式のLED照明「SOLARSENSOR-WALL-LIGHT」を、パソコン工房の通販サイト内雑貨店「Nantena」にて発売した。価格は5,379円(税込)。SOLARSENSOR-WALL-LIGHTは、人感センサーで動きを感知して自動で点灯するLED照明。センサーは暗くなると自動的に作動する。人感センサーのON/OFFは、センサー横の穴に付属のピンを差し込むと切り替わる。ライトの近くを人が通ると、動きを感知してライトが点灯。1回の点灯時間は約40秒で、近くに動作する物がなければ自動で消灯する。内蔵バッテリは容量4400mAhの充電式リチウムイオン電池。ソーラー充電により、電源がない場所でも使用できる。約26×16cmの面積にLEDライトを38個搭載し、ライト全体の明るさは300ルーメン、LED寿命は50,000時間だ。防水防塵性能はIP65に準拠している。本体サイズは255×157×81mm、重さは610g。
2015年09月18日データアーティスト代表取締役の山本覚です。前回は、マーケターを対象に、データサイエンスの最新トレンド「ディープラーニング」について、その基礎と活用法を紹介しました。今回は、アンケート調査について解説します。○アンケート調査は、今も昔も重要な手法アンケート調査とは、ご存じの通り、古くからあるマーケティング手法の1つ。モニターに一定の選択肢を提示し回答をもらうことで、ノイズを含まない、リサーチャーが知りたい情報をダイレクトに仕入れることが可能です。同手法の起源は、紀元前3,000年頃までさかのぼります。記録によると、古代エジプトではピラミッド建設のために人民の慣習や信条を調査したようです。現代では、たとえば、製品開発前に行う顧客の意識調査や、広告接触後のブランドに対する意識変化の調査などに用いられていますね。本連載のテーマ「想像力を掻き立てる」という視点で見ると、アンケート調査は、データに基づき顧客像を特定したのち、施策の立案などに想像力のリソースを集中するために有効な手法だと言えます。2014年12月、マクロミルが蘭メトリックスラボを買収する際、同社の小西氏が「マーケティングリサーチ市場は国内で1,800億円、海外ではなんと4兆円にものぼる」と語っています。マーケティングリサーチには、アンケートのほか、グループインタビューやデプスインタビュー(1対1)、覆面調査など数多くの手法があり、その中でもアンケートは、定量的なデータが比較的容易に集められるため、評価指標や次の一手を見出すために実施する企業が多いです。最近ではネット上で簡易にアンケートが実施できるネットリサーチが登場し、市場の約3分の1を占めるなど、まだまだ今後も成長する市場だと感じます。○一方で、課題もあるこのように利点が多いアンケート調査ですが、課題もあります。アンケートの結果はあくまで調査結果で、そこから直接的な施策につながりにくいという点です。例えば、「ある保険サービスの広告メッセージを設計するためにアンケート調査を行った」というケースを思い浮かべてください。アンケートの質問項目として、「申込みを検討中」や「どういうサービスかわからない」というような選択肢を設ければ、商品への興味関心の度合いを知ることができます。ここでは、「申込みを検討中」と回答した人を「顕在層」、「どういうサービスかわからない」と回答した人を「潜在層」と定義します。調査後、顕在層が60%、潜在層が40%だということが明らかになったとします。顕在層には申し込みを後押しするため、類似商品との比較やその優位性を訴求するとよいです。一方、潜在層には商品理解を促すため、コンセプトの説明などが効果的だと判断できます。このように、本来であればアンケート調査の回答を参考に、個人にフォーカスしたメッセージを送るべきですが、実際には多数決のように、調査結果で最も多い「顕在層」にのみメッセージを打ち出しているケースを度々見かけます。これでは、せっかくの調査結果と実際の施策が乖離してしまい、効果が薄くなってしまいます。回答者すべてに効果のある施策を打ち出すため、アンケートの集計時に時期や時間帯、性別、年代別といったセグメントで顧客をグルーピングし、「ある時期は20代顕在層からの相談が多く、ある時期には潜在層女性の相談が増える」というように、施策を打つタイミングを分けるという方法があります。しかし、これは、アンケート結果を集計しながら少しずつ顧客の特徴を揃えていくため、精度を高めることが難しく、どうしても別々の層の顧客が混ざってしまいます。このように、アンケートの結果を顧客の興味関心に合わせて細かく仕分けていく作業は、とても手間がかかります。そのため、集計作業に時間や頭のリソースがとられてしまい、本来行うべき施策の立案、クリエイティブ的な視点で言えば「メッセージコピーの設計」にリソースをさけなくなってしまうわけです。○解決策は、アンケート結果とWebサイトの訪問者を紐づけることしかし、このような課題は、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の出現により、急速に解決されることになりました。DMPとは、Webページの閲覧情報や商品の購買履歴といったユーザー情報を、マーケティング活動において利用しやすい形式で蓄積できる情報基盤のことです。2013年以降、マーケティング業界において急速にその認知が拡大しました。DMPは、基本的に、各ベンダーが発行するプログラム(タグ)をWebサイトに設置することで利用できます。これにより、Webサイトに訪れたユーザーのcookieや閲覧コンテンツ、検索キーワードなどから、デモグラフィックスや嗜好情報までを抽出・貯蓄することができるようになります。さて、このユーザーIDですが、DMPのプログラムをネットリサーチサービスのWebサイトに埋め込むことで、アンケートの回答と紐付けることができます。先ほどの例であれば、商品への興味関心がわかる回答をユーザーIDにラベルし、「回答に合わせて適した広告を表示させること」も実現可能です。つまり、アンケート調査の結果と施策を直接関連付けることができるというわけです。○データに基づき、アンケートの回答を拡張するここでもう一つ問題が発生します。「Web上のアンケートを、自社のすべての顧客が行ってくれるわけではない」ということです。実際、アンケートに回答してくれる顧客は一部に留まります。つまり、ターゲットとなる顧客すべてにラベリングを行うことは不可能となるのです。そこで、アンケートを取れなかった顧客に関しては、アンケート結果が取れたユーザーとの類似性をもとに、「この顧客がもしアンケートに答えていれば、きっと顕在層だろう」というようにアンケートの答えを類推していきます。これは、過去のアンケートと比較し、ユーザーごとのビッグデータをWeb上において取得していることから実現する仕組みです。例えば、ユーザーによっては過去の検索キーワードを数万件というレベルでストックしています。その中から、アンケート結果の類推に役立つデータを抽出・分析することで、(アンケート上のデモグラフィックスから推測するより)はるかに高精度に、顧客の嗜好を予測することができます。この技術は、アドテクノロジーの分野においてオーディエンス拡張などのソリューションとして用いられており、そのコア技術として機械学習の分類機を活用しています。本連載の第一回で解説したディープラーニングも、今後はこのようなオーディエンス拡張のなかでどんどん取り込まれていくと考えています。最後に、実際にアンケート結果の拡張を行う際に使用されるデータを紹介します。下の図表は、インティメートマージャーがマーケティングアプリケーションの保険に関するアンケート結果とユーザーIDの連携を行い、アンケートの回答結果ごとに、回答者が普段Web上で検索しているキーワードを集計した結果の一部となります。この図から分かるように、顕在層は「医療」や「貯金」に関するキーワード群を検索しやすい傾向にあり、特に「入院」というキーワードの検索数は潜在層と比較し4倍以上の確率で検索しています。これらのキーワード群の違いから、アンケート結果のないユーザーであっても、アンケート結果を予測することが可能となるわけです。さて今回は、従来から存在するマーケティング手法「アンケート調査」において新たなテクノロジ―「DMP」を活用することで、調査結果と施策が直結しないというこれまでの課題が解決できることを紹介しました。これにより、マーケターは、顧客が商品にどれくらい興味関心を抱いているかを、性別や居住地、年収といったデモグラフィックスに基づきセグメントしていく作業から解放され、各顧客層に対しどのようなメッセージを伝えるかというクリエイティブな部分に集中できるようになるのです。○執筆者紹介山本 覚 (やまもと さとる)東京大学 博士課程 在籍時に松尾豊准教授の研究室で人工知能を専攻。その後、アイオイクス株式会社のLPO事業にプロダクトマネージャーとして参画し、導入者数400社超のLPOツール「DLPO」の全アルゴリズムを開発する。データマイニングを用いたWebページの改善実績は100社以上。「論理化されたものはシステムで処理し、人が人にしかできない営みに集中する環境を作る」ことを理念とし、データアーティスト株式会社 代表取締役社長に就任、現在に至る。
2015年09月08日キヤノンは9月7日、APS-Hサイズ(約29.2×20.2mm)で世界最高画素数(同社調べ)となる約2億5000万画素のCMOSセンサーを開発したと発表した。新開発のCMOSセンサーは超多画素でありながら、回路の微細化や信号処理技術を進化させることで、1秒間に12億5000万画素の信号読み出しを実現。これにより、毎秒5コマのスピードで超多画素な動画を撮影することが可能となる。また、画素の微細化に対応した構造を採用することで、高感度・低ノイズを実現した。同センサーを搭載したカメラを用いて撮影した動画は、フルHD(1920×1080画素)動画の約125倍、4K(3840×2160画素)動画の約30倍という超多画素であり、任意の領域をトリミングし、大幅に拡大しても、解像感が損なわれない映像を得ることができる。キヤノンは、同センサー搭載のカメラを使い、撮影場所から約18km先を飛行する飛行機の機体文字の識別に成功したという。同社は今後、同技術の防犯機器や超高精細計測機器などへの応用などを検討していくとしている。
2015年09月07日