現在公開中の映画『靴ひものロンド』の監督ダニエーレ・ルケッティからコメントが到着した。第77回ヴェネチア国際映画祭〈オープニング作品〉、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主要3部門ノミネートした本作は、「ニューヨーク・タイムズ」2017年注目の本に選出、全米で絶賛された家族小説の映画化。不気味な崩壊と衝撃、軽やかで強烈な余韻がめぐる「家族映画」の新たな傑作が誕生した。ルイジ・ロ・カーショと若かりし日の夫婦を演じた、唯一無二の存在感を放つアルバ・ロルヴァケルについて、ルケッティ監督は「アルバの映画出演デビュー作は私の『マイ・ブラザー』なので彼女のことはデビュー時から知っています。ずっと二度目の出演の機会を探していて本作で叶いました」と念願だったという。アルバは感情に重きを置くそうで、「さまざまな感情を、自身のパーソナリティや情熱、怒りなども織り交ぜながら表現できる。わたしは撮影で、その役の感情を実際に追体験するようなリアリティを求めていて、ルイジ・ロ・カーショのような俳優と共演させたら面白いだろうと思いました」とルイジをより知的なアプローチをする俳優と評し、対照的ともいえる2人の化学反応に期待を込めたという。さらに、「アルバは演技に生命を与えようとします。それは相手のルイジにも作用する。彼らのいくつかのシーンでは、彼女が無関心なアルドに働きかけることによって活性化する、という様子が印象的でした。アルバは他の俳優の内面にも入り込むことができ、相手を揺さぶる力がある。それこそ彼女の強みだと思います」とその魅力を明かしている。また、冒頭のダンスシーンについては「決まった動きのある踊りを取り入れたかった」そうで、「まるで儀式のような、振り付けが決まっている踊りです。結婚は、いわばひとつの振り付けに従わなくてはならないと感じていたこともあったから。さまざまな義務や決まったステップがあり、その枠組みは、一見楽しそうだけれど同時に義務でもある。このシーンは、この映画のテーマを提示しています」と語る。ジェンガの曲にあわせて踊り、視線を交わし楽しげな雰囲気に包まれる家族4人。夫婦関係の不和を徹底的に描きながらも、ルケッティ監督は子どもの存在も決して忘れない。子どもたちが見つめる視点があるからこそ、辛辣ながらも家族とは、結婚とは何なのか、その先の解放への示唆に思いを巡らせるきっかけになっている。『靴ひものロンド』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:靴ひものロンド 2022年9月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開©Photo Glanini Fiorito/Design Benjamin Seznec/TROIKA
2022年09月18日イタリア映画界の実力派オールスターキャストが集結した名匠ダニエーレ・ルケッティの映画『靴ひものロンド』。今回は、本作の80年代のイタリアファッションを手掛けたアカデミー賞ノミネートの世界的衣装デザイナー、マッシモ・カンティーニ・パリーニについて語るルケッティ監督のコメントを独占入手した。1980年代初頭、ナポリとローマで暮らす4人家族の物語となる本作。ルケッティ監督は、前作『ワン・モア・ライフ!』に続けて衣装デザイナーにマッシモ・カンティーニ・パリーニを起用した。マッシモは、ジョー・ライト監督『シラノ』(21)で『スペンサー ダイアナの決意』『ストーリー・マイ・ライフ/わたしの若草物語』のジャクリーヌ・デュランと共に2度目の米アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネートを果たし、アダム・ドライバー主演×マイケル・マン監督の最新注目作『Ferrari/フェラーリ』(原題)も待機中。いま、映画業界で最注目の衣装デザイナーの1人といっても過言ではないだろう。1971年生まれの彼は、イタリア国内外でキャリアを積み、アメリカ映画『ヴァン・ヘルシング』(04)、『ブラザーズ・グリム』(05)などの衣装部門に助手を務め、2008年以降数多くの話題作を担当。母国イタリアでは、幾度となくタッグを組む鬼才マッテオ・ガローネ監督『五日物語 -3つの王国と3人の女-』(15)でイタリアのアカデミー賞とされるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞衣装デザイン賞を初受賞。その後『切り離せないふたり』(16・未)『Riccardo va all’inferno』(17・未)『ほんとうのピノッキオ』(19)『ミス・マルクス』(20)なで同部門を受賞、『ドッグマン』(18)でもノミネートされ、イタリア映画界では名実ともに不動のトップランナー的存在とされている。ルケッティは、衣装のコンセプトについて特に2つの要素について、「マッシモには『身体が何を物語るかを強調するような衣装にしたい』とリクエストしました。時代は80年代ですから、現代の嗜好とは相容れないようなファッションであること。尚且つ、登場人物たちの身体の特徴的な部分を際立たせるようにしたかった。彼には時にかなり極端な選択もしてもらいました」明かす。劇中では、袖にボリュームがあるトップスやクラシカルな花柄、ベイクドカラーのボーダーなどレトロな雰囲気が漂う80年代を象徴するようなこだわりが、さりげなくもヴァンダや子どもたちの着こなしの随所で感じることができる。「2つ目は髪型についてです。例えば、(ヴァンダを演じた)アルバ・ロルヴァケルとラウラ・モランテは同じ人物を演じていますが、二人の髪型には大きな関係性があります。若い時には緑が生い茂る庭のようで、それがいわば美しさの一つにもなっていることが感じられる。時代が変わっても同じ髪型であることで老いを視覚的に伝えたかった。身に付ける衣装の色彩だけでなく身体全体をどういう風に変えていくか議論を重ねました」。2人は、本当に同じ人物なのか。観客は一瞬、戸惑うかもしれない。しかし、2つの時代が交互に差し込まれる物語を追っていくうちに、80年代と現代、2人の女優がひとりを演じるダブルキャストで描かれることが自然と繋がり、この家族が過ごした空白の30年間に一体何が起こったのか想像せずにはいられない。この余白こそが、どこか軽やかで、むしろ明るさまでをも感じさせる不思議な余韻が残る映画体験をもたらしている。『靴ひものロンド』は9月9日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:靴ひものロンド 2022年9月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開©Photo Glanini Fiorito/Design Benjamin Seznec/TROIKA
2022年09月11日他人の秘密や嘘といえば、誰もが思わず覗いてしまいたくなるもの。そこで、今回ご紹介するオススメの作品は、ある秘密と嘘を抱えた家族の崩壊と再生、そして長年にわたる葛藤をあぶり出した話題作です。『靴ひものロンド』【映画、ときどき私】 vol. 5191980年初頭のナポリ。ラジオ朗読のホストを務めるアルドは、妻のヴァンダ、アンナとサンドロという2人の子どもたちと暮らしていた。ところが、妻に浮気を告白したことで平穏な日々は終わりを迎える。家族の元を去り浮気相手と暮らすアルドは、定期的に子どもたちに会いに来るが、すべてが気に入らないヴァンダは、精神的に不安定となり、行動もエスカレートしていく。衝突を繰り返す両親の狭間で、母に寄り添うアンナとサンドロ。混沌とした数年を経て、家族は些細なきっかけからふたたび一緒に暮らすことになる。そして月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えた夫婦は、夏のバカンスへと向かう。1週間後に自宅へ戻ると、家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた……。全米で絶賛されたイタリア人作家ドメニコ・スタルノーネの小説「靴ひも」を映画化し、ヴェネチア国際映画祭でも注目を集めた本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ダニエーレ・ルケッティ監督『ローマ法王になる日まで』や『ワン・モア・ライフ!』などで知られ、人間模様を描くのを得意とするルケッティ監督。本作では、イタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で主要3部門のノミネートを果たし、高く評価されています。今回は、本作を通して伝えたいことや夫婦を続けるために欠かせないこと、そして日本にまつわる思い出などについて語っていただきました。―原作に共感したことが制作のきっかけだったそうですが、どういったところに魅力を感じたのかを教えてください。監督僕が一番感銘を受けたのは、家族を描写する際に、残酷さも含めたありのままの姿を描いているところでした。特に、当時のイタリアでは、家族の背景にカトリック的な“縛り”が強く残っており、家族がバラバラになることに対して大きな葛藤があったからです。そういった障害のある関係性や家族の内部について、スリラーのように描かれている作品だという印象を受けました。そして、ここに出てくるような家族の間では、「私たちは本当に愛し合っているのだろうか。それとも、もう愛は終わってしまったのだろうか」という非常に大事な問いかけすらしなくなっているので、それも問題だと感じています。僕自身も“解体できない家族”というのを経験してきたので、両親のいざこざを抱えた家庭で育った子どもたちがどんな思いをし、どのような影響を受けているのかは、わかっているつもりです。子どもは無意識のうちに親のすべてを継承することもある―映像化するうえで、こだわったところや自身の経験を反映したことはありましたか?監督今回、印象に残っているシーンは2箇所ありますが、1つ目は子どもを乗せている車の前で、妻が歩いている夫と愛人を殴ろうとするシーン。あの場面での子どもたちの目線にはとてもこだわりました。なぜなら、彼らはこの経験を一生抱えていくことになること、そして夫婦や家族との関係に信頼を持てずに育っていくであろうことが、彼らの視線によって示されているからです。実際、あの瞬間に彼らの理想の両親像はなくなり、心のよりどころも失ってしまいます。2つ目は、しばらく経ってから父親と子どもたちが再会して靴ひもを結ぶシーン。そこでは、父親の持っている善も悪も、子どもたちがすべて無意識のうちに継承してしまう場合があることを表しています。よくも悪くも、それこそが家族の絆と言えるのかもしれません。実は、僕には母親が違う子どもが3人いるんですが、みんな自分にどこか似ているところがあるので、そんなふうに受け継がれているのだろうなと感じることがあります。―本作は、子どもたちの目線で観るか、夫婦の目線で観るかによってもかなり感想がわかれると思うのですが、イタリアの観客たちの反応はいかがでしたか?監督この映画が公開されたとき、ちょうど最初のロックダウンが明けて初めて映画館が再開したときだったこともあり、観客にとってはいろんな意味でセラピーのような時間になっているように感じました。特に上映が終わった後、みんなが個人的な体験や家族の在り方などについてせきを切ったように話し始め、「永遠に議論が終わらないんじゃないか」と思うくらいすごかったです。夫婦を続けるためには、形を変えていくことも大事―確かに話し合いたくなるシーンは多いですが、議論したくなるセリフのひとつは、「夫婦を長く続けるために不可欠なのは、あまり話さず、つねに言葉を飲み込むこと」という夫の言葉。監督自身は、“夫婦を長く続けるために欠かせないもの”について、どうお考えですか?監督個人的には、カップルがつねに変わり続けていくことが大事だと思っています。つまり、形を変えることを受け入れられるかどうかです。というのも、2人の人間が20年、30年、さらにそれ以上の年月を一緒に過ごすなかで、個人レベルでも変わっていくのに、カップルとしてずっと同じルールでいるのは難しいことですよね?そういったことからも、2人で別の形や関係性というのを模索し、それに合わせて変えていく必要があると考えています。ただ、これに関しては自然とできることではなく、幸運や才能みたいなものも欠かせないのではないかなと思っています。だからこそ、まるで2本の木が共存して伸びていくように、それぞれが自分らしい変化を理解する姿勢が大切であり、それが秘訣なのではないでしょうか。―なるほど。では、劇中で夫婦の関係を描く際、意識されたことはあったのでしょうか。監督夫のアルドは、駆け出しのころから物質的には恵まれた家庭を築いていますが、監獄のような家庭において自分は“囚人”であると感じています。しかし、その不幸が彼の仕事に成功をもたらした要因のひとつだったと思いますし、彼もその状態を受け入れることで自分の存在意義を感じていたところがあったかもしれません。いっぽうの妻もまた、昔ながらのマッチョな考え方を持ち浮気を繰り返す夫の犠牲者。とはいえ、つらい立場でいることによって夫婦を維持しようとしているところがあるので、そんな2人の関係性はぜひ見ていただきたいです。日本はいつも居心地のいいもてなしをしてくれる―また、本作では空白の30年があり、あえて語らないことで観客にゆだねているところもありますが、監督から注目してほしい点などがあれば、お聞かせください。監督映画で描かれていない空白の時間を物語っているのは、成長した子どもたちの姿。特に娘はすごく弱い人間となっていますが、2人とも内向的でありながら大きな怒りを秘めており、恋愛においても他人といい関係を築けずにいます。それが何を意味しているのか、というのは感じていただけるのではないかなと。そして、それらすべてを象徴しているのは、ほかでもなく、彼らが怒りを露わにする最後のシークエンス。そこからもわかるように、彼らのような過去を持っている人たちが自分を愛し、他人を愛せるようになるのは簡単なことではないのです。―これはイタリアだけではなく、日本の観客からも大きな反響があるところだと思います。ちなみに、日本に対してはどのような印象をお持ちですか?監督日本に初めて行ったのは、1988年のこと。それから10回ほど訪れているので、その間に日本の変化も見てきたような気がしています。いつも妻や友人と一緒に行きますが、日本から帰ってくると、みんなすぐに日本が恋しくなってしまうんですよ。おそらくそれは、文化的な違いを感じさせることなく、とても居心地のいいもてなしをしてくれていたからなんだろうなと毎回実感しています。いつもだいたい2週間ほど滞在しますが、2週間で味わえる経験以上のことをもたらしてくれるのが日本。息子のひとりが日本語を勉強していることもあって、いつでも訪れたい国ですし、毎年のように家族で「日本でバカンスを過ごしたいね」と話しているほどです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督まずひと言伝えるとするなら、「日本のみなさんの結婚生活が僕たちイタリア人のようにならないことを心よりお祈りしています」ということでしょうか(笑)。といっても、この映画を観て結婚生活に関する答えが出るわけではないですが、もしかしたら何らかの教訓にはなるかもしれません。ぜひ、映画を観ることで心を揺さぶられ、そして感情を掻き立てられるような体験をしていただけたらうれしいです。ロンドのようにめぐり続ける家族の愛憎劇!絡まってはほどき、ほどいては結ぶを繰り返す靴ひものような絆に翻弄される夫婦と親子の姿を描いた本作。歪んだ感情と愛情が織りなす物語は、観る者の心に大きな余韻と問いを残す衝撃の1本です。取材、文・志村昌美胸騒ぎがする予告編はこちら!作品情報『靴ひものロンド』9月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー配給:樂舎️© Photo Gianni Fiorito/Design Benjamin Seznec /TROIKA ©2020 IBC Movie
2022年09月08日映画『靴ひものロンド』が、2022年9月9日(金)より全国順次ロードショー。イタリアの名匠ダニエーレ・ルケッティ監督最新作映画『靴ひものロンド』は、「ニューヨーク・タイムズ」で2017年〈注目の本〉に選出され、全米で称賛を得た原作小説を、『ワン・モア・ライフ!』『ローマ法王になる日まで』などで知られるイタリアの名匠ダニエーレ・ルケッティが実写映画化したもの。1980年代初頭のナポリを舞台に、歪な絆で結ばれた、愚かで愛しい“家族の物語”を描く。愚かで愛しい家族の物語4人家族の平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。家を出たい夫、繋ぎ止めようとする妻、静かに見つめる子供たち。そして、ばらばらになった家族は、ささやかなきっかけで再び一緒に暮らし始める。一度壊れた「家族」は、「絆」を再び繋ぐことができるのか?それぞれが心の底に沈めた秘密と嘘とは?人との繋がりにフォーカスし、作品を撮り続けてきたダニエーレ・ルケッティ監督が、軽やかでありながら強烈な余韻を残す、新しい“家族映画”をつくりあげた。<映画『靴ひものロンド』あらすじ>1980年初頭のナポリ。ラジオ朗読のホストを務めるアルドと妻ヴァンダ、アンナとサンドロの二人の子供たちの平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。家族の元を去ったアルドは、定期的に子供たちに会いに来るがヴァンダはすべてが気にいらない。次第にヴァンダの精神状態は不安定になり、その行動もエスカレートしていく。衝突ばかりの両親の狭間でアンナとサンドロは母に寄り添うのだった。混沌とした数年を経て、家族は些細なきっかけでふたたび共に暮らし始めるが...。月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えた夫婦は夏のバカンスへ。1週間後に自宅へ戻ると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた―イタリアの名優が集結<若かりし日の夫婦>・妻ヴァンダ役...アルバ・ロルヴァケル夫の浮気がきっかけで崩壊する家族をつなぎとめようとするも、精神状態が不安定になり、行動がエスカレートしていく。『幸福なラザロ』『おとなの事情』のアルバ・ロルヴァケルが担当。・夫アルド役...ルイジ・ロ・カーショラジオ朗読のホスト。浮気をし、家族の元を去る。「いつだってやめられる」シリーズ、『夜よ、こんにちは』などで知られ、巨匠マルコ・ベロッキオから気鋭の若手監督まで虜にするルイジ・ロ・カーショが演じる。<老年期の夫婦>・妻ヴァンダ役...ラウラ・モランテ(『息子の部屋』)・夫アルド役...シルヴィオ・オルランド(『息子の部屋』『ボローニャの夕暮れ』)衣装デザインにも注目1980年代のリアルクローズを再現しながら、さり気なく目を引く衣装にも注目。衣装デザインを担当したのは、『五日物語』『ドッグマン』『ほんとうのピノッキオ』でマッテオ・ガローネ監督と幾度となくタッグを組み、多くのイタリア映画の衣装を手掛けているマッシモ・カンティーニ・パリーニだ。ジョー・ライト監督作『シラノ』ではアカデミー賞〈衣装デザイン賞〉にノミネートされ、アダム・ドライバーを主演に迎えたマイケル・マン監督によるエンツォ・フェラーリの伝記映画『Ferrari(原題)』にも抜擢されるなど、活躍の場を広げている。77回ヴェネチア国際映画祭の〈オープニング作品〉なお、映画『靴ひものロンド』は、77回ヴェネチア国際映画祭の〈オープニング作品〉に選出。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では、3部門にノミネートされている。【詳細】映画『靴ひものロンド』公開日:2022年9月9日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー監督・脚本・編集:ダニエーレ・ルケッティ原作:ドメニコ・スタルノーネ「靴ひも」(関口英子訳、新潮クレスト・ブックス刊)脚本:ドメニコ・スタルノーネ、フランチェスコ・ピッコロ出演:アルバ・ロルヴァケル、ルイジ・ロ・カーショ、ラウラ・モランテ、シルヴィオ・オルランド2020年/イタリア/イタリア語/100分/カラー/シネマスコープ/原題Lacci 英題The Ties/字幕:関口英子/配給:樂舎/後援:イタリア大使館/特別協力:イタリア文化会館
2022年06月23日第77回ヴェネチア国際映画祭オープニングを飾り、イタリア映画アカデミーによるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞に3部門ノミネートされた名匠ダニエーレ・ルケッティ監督最新作が、邦題『靴ひものロンド』(原題:Lacci)として公開決定。靴ひもを結び直す親子が印象的なポスタービジュアルが解禁された。舞台は、1980年代初頭のナポリ。4人家族の平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。夫婦の絆を解こうとする父親と繋ぎ止めようとする母親。対立する夫婦の激しい口論や突然現れた魅力的な愛人、徐々に壊れていく母の姿を静かに見つめながら、ローマとナポリを行き来する子どもたち。いびつな数年間を経て、ばらばらになった家族は、ささやかなきっかけで再び一緒に暮らし始める。月日は流れ、夫婦は夏のバカンスへ。戻ってみると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた――。本作は、「ニューヨーク・タイムズ」2017年「注目の本」に選出、全米で絶賛された原作小説をダニエーレ・ルケッティが映画化。妻ヴァンダ役は『幸福なラザロ』『おとなの事情』など唯一無二の存在感を放つアルバ・ロルヴァケル、夫アルド役は『いつだってやめられる』シリーズや巨匠マルコ・ベロッキオ作品で知られるルイジ・ロ・カーショが若かりし日の夫婦を、そして『息子の部屋』などの熟練の名優ラウラ・モランテ、『息子の部屋』『ボローニャの夕暮れ』のシルヴィオ・オルランドが老年期の夫婦を演じ、イタリア映画界の実力派オールスターキャストが集結した。解禁となったポスタービジュアルには、印象的に配された靴ひもを結び直す親子の足元。“靴ひも”状にあしらわれた原題“Lacci”の文字が夫、妻、2人の子どもたちの4人の間をすり抜ける。家族は揃って歩いているはずなのに、その視線は誰ひとり交わることなくばらばら。明るくポップながら、どことなく不穏さも漂うビジュアルとなっている。一度壊れた「家族」。愛をめくると見えてくる、心の底に沈めた秘密と嘘。かつてない衝動。軽やかで強烈な余韻にひたる“家族映画”の新たな傑作が誕生した。『靴ひものロンド』は9月9日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:靴ひものロンド 2022年9月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開©Photo Glanini Fiorito/Design Benjamin Seznec/TROIKA
2022年05月26日人生のロスタイムを手に入れた中年男を描き、イタリアで大ヒットしたコメディ映画『ワン・モア・ライフ!』から、ダニエーレ・ルケッティ監督のオフィシャルコメントとメイキング写真が到着した。フランチェスコ・ピッコロによるベストセラー「モメンティ ディ トラスクラビレ フェリチタ(取るに足らない幸せの瞬間)」と「モメンティ ディ トラスクラビレ インフェリチタ(取るに足らない不幸の瞬間)」(日本未出版)を映画化した本作。監督自身、友人に本を贈っていたというほど原作の大ファンだという。監督は、原作について「よく人にプレゼントしたり、いくつか引用したりしました。なぜなら、想像上の些細な備忘録に記された数千ものパラグラフの中に、いずれは読者に関係するであろう何かがあると思うからです。それが明らかに逆説的な話であろうと、雷で打たれるようなパラグラフであろうと、常に私たちには、こう言う瞬間があります。『それって、私のことだ!』」と、その魅力を語っている。また、映画の舞台となるパレルモについては「私たちは天国と地上の狭間のこれらの『瞬間』、つまり本当の天国と物語が展開するパレルモの街との狭間にある『瞬間』を語るということで、パレルモの街を拠り所としました」と明かした。撮影については「予め物事を決めすぎないようにしたこの映画は軽やかで、かつ哀愁にも似た喜びに満ち溢れていると思います。死に行く恐怖を遠ざけるため、愛情と無自覚のバランスを理解するため、もしくはユーモアという軽やかで人生における些細にして重要なことを表現できるのかを確認するため、決まり事を少なくするように努めました」と、死という重いテーマを扱いつつも軽やかなコメディ映画として仕上げるための工夫を語った。今回、コメントと併せて監督のメイキング写真も到着。カメラに向かって指差したり、キャストと笑い合ったり、お茶目な姿が垣間見えるカットとなっている。『ワン・モア・ライフ!』は3月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ワン・モア・ライフ! 2021年3月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© Copyright 2019 I.B.C. Movie
2021年03月01日ビビッドカラーなスーツでエレガントにキメたコンゴ共和国の「サプール(SAPEURS)」を世に知らしめた写真家、ダニエーレ・タマーニによる『SAPEURS the Gentlemen of Bacongo』の続編ともいえる新作写真集『FASHION TRIBES GLOBAL STREET STYLE』が青幻舎より発売された。写真集『SAPEURS』をはじめ、西武渋谷店での展覧会、それに合わせての本国からの「サプール」来日など、ますますブームが過熱している「サプール」。現在、そんな「サプール」に代表されるファッションルネッサンスともいうべき現象が、ファッションの辺境と思われていた場所で局地的に発生している。「サプール」を世界に先駆けて写真集にまとめたダニエーレ・タマーニは、その動向にいち早く気づき、経済状況などの劣勢を自らのクリエイティビティで超越している7ヶ国の“ファッショントライブ”を取材。それらのグループと何日も一緒に過ごすことで信頼を勝ち取り、それぞれの被写体の個性そのままの写真を撮影することに成功した。同作では、05年に南アフリカのポップカルチャー・シーンで大人気を博した「スマーティーズ」をはじめ、ダンスとファッションを通して自己表現を行っている野心的なグループ「ヴィンテージ・クルー」、エレガントで個性的なファッションセンスの「ザ・サルティスト」など南アフリカのファッションシーン最前線を紹介。伝統的なファッションに身を包み、セネガル人女性の代表のようなふくよかな女性たち「ディリアンケ」や、セクシーなファッションに身を包みナイトライフを楽しむ若い女性「グザリー・ファッション」なども撮影された。その他、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)、ナイキ(NIKE)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)などの西洋のブランドで着飾り街を闊歩するハバナのストリートのキューバ人たちや、伝統的な衣装を纏い身なりを整えレスリングをする女性たち「フライング・チョリータス」、70年代中盤のイギリスのパンクスにインスパイアされたミャンマーの若いビルマ人たち、80年代のヘビーメタルに西洋のカウボーイスタイルとアフリカのアクセントとをかけ合わせたボツワナの「アフロメタル」なども紹介されている。【書籍情報】『FASHION TRIBES GLOBAL STREET STYLE』著者:ダニエーレ・タマーニ出版:青幻舎上製/292ページ/B5変型発刊:2016年5月価格:3,200円
2016年06月08日