チリを舞台にトランスジェンダーの女性シンガー、ダニエラ・ヴェガが主演を務め、ベルリン国際映画祭で話題を呼んだ映画『A Fantastic Woman』(原題)が、『ナチュラルウーマン』として2018年2月より日本公開されることが決定した。物語の舞台はチリ、サンティアゴ。ウェイトレスをしながらナイトクラブで歌っているトランスジェンダーの女性マリーナは、年の離れた恋人オルランドと暮らしていた。マリーナの誕生日を祝った夜、自宅のベッドでオルランドが亡くなったことで、彼女は思いもかけないトラブルに巻き込まれることに。最愛の人を失った悲しみの最中に浴びせられる、不躾で容赦のない差別や偏見。それでもマリーナは、愛する人に最後のお別れを告げるため、前を向いて歩き始める――。前作『グロリアの青春』で、主演パウリーナ・ガルシアにベルリン国際映画祭女優賞(銀熊賞)をもたらしたセバスティアン・レリオが共同脚本と監督を務めた本作。レリオ監督は『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』のパブロ・ララインをはじめ、躍進目覚ましいチリ映画界の俊英として知られる。逆境に負けず、まっすぐに生きる美しきヒロイン・マリーナを演じるのは、自身もトランスジェンダーの女性歌手であるダニエラ・ヴェガ。本作では、自分らしさを守るための闘いに挑んでいくヒロインとして圧倒的な美貌と唯一無二の存在感を放ち、驚くべき才能を開花!トランスジェンダー女優として初のオスカーノミネートもささやかれている。プロデューサー陣には、『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』『ありがとう、トニ・エルドマン』を手がけた実力派がずらり。来たる第90回米アカデミー賞外国語映画賞のチリ代表作品に選出されたほか、ベルリン国際映画祭では脚本賞やエキュメニカル審査員、さらに優れたLGBT映画に贈られるテディ賞も受賞。米映画批評サイト「ロッテントマト」でも100%フレッシュと高く評価されている。『ナチュラルウーマン』は2018年2月よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年10月25日ロサンゼルスのウェストハリウッドを舞台に、トランスジェンダーの女性2人の日常や切ない友情と恋愛を、3台のiPhoneによる斬新な撮影方法でリアルかつユーモラスに描いた『タンジェリン』(原題:Tangerine)。昨年の東京国際映画祭でも上映され、話題を呼んだ本作が、2017年1月下旬より全国順次公開されることが決定した。太陽が照り付けるロサンゼルス、ウェストハリウッド。クリスマス・イブ、街角のドーナツショップで1個のドーナツを分け合うトランスジェンダーの2人。28日間の服役を終え、出所間もない娼婦シンディは、自分が留守中に恋人が浮気したと聞き、ブチ切れる。一方、歌手を夢見る同業のアレクサンドラはそんな親友をなだめつつも、その夜に小さなクラブで歌う自分のライブのことで頭がいっぱい。さらに、彼女たちの仕事場の界隈を流すアルメニア人移民のタクシー運転手ラズミックも巻き込んで、それぞれのカオティックな1日がけたたましく幕を開ける――。そんな主人公たちの日常を、アナモレンズを装着したiPhone5sでとらえ、シネスコサイズに仕上げた本作。昨年の第28回東京国際映画祭ではスクリーンから放たれるその並々ならぬ熱量に多くの映画ファンが驚愕し、圧倒された。また、アメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では97%の高評価を獲得、『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・テル・トロ監督も「大胆にして、美しい!」と絶賛を贈っている。監督から脚本、撮影、編集、プロデュースまでこなすアメリカン・インディ界の気鋭ショーン・ベイカーは、複雑なトランスジェンダーの世界を描くため、L.A.の裏通りを歩き回って協力者を求め、そこで出会ったのが、本作で役者として登場するキタナ・キキ・ロドリゲスとマイヤ・テイラー。ベイカーは、彼女たち自身が体験したことや友人たちから見聞きしたことをベースにして脚本を書き上げ、iPhoneならではの自由自在なカメラワークで、彼女たちが生きるリアルなストリートの空気感を捉えることに成功した。超低予算を逆手にとった創意工夫の発想を、独創的な映像世界へと昇華させ、世界各地の映画祭を席巻した本作。下ネタ満載の爆笑コメディながら、最後に待ち受ける切なく美しい友情のかたちには、ホロッとさせられるところも…。iPhoneがとらえたストリート・ムービーに、注目していて。『タンジェリン』は2017年1月下旬、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月02日