現代病としてさまざまな症状を引き起こす心の病気。中でも私が診断された双極性障害は、心の病気の中でも最も治癒率が低いと言われている病気の1つだそうです。どのような症状があるのかについて私の体験を紹介します。双極性障害になった経緯は私は16年間介護の仕事をしてきました。21歳のときに夫の金づかいの荒さをきっかけにうつ病になり、通院していましたが、息子が1歳半のときに離婚。一時的に良くなったものの、再婚後、夫との性格の不一致で離婚し、うつ病を再発。それまで通院していた病院では正式な診断名がついていなかったため、紹介状をもらい、現在の主治医がいる病院へ転院しました。もうそのころには最初の通院から10年以上の時間を費やしていました。新しい主治医から「あなたは月にお金はどのくらい使いますか?」と聞かれ、「あるだけ」と答えると、「あなたは躁うつ病だね」と言われました。双極性障害とは?躁うつ病とは、正式には双極性障害といわれる病気です。いわゆる躁といわれる気持ちが高揚している時間と、うつといわれる気持ちが低下している時間が短期的もしくは長期的に続く病気で、薬を飲んでコントロールしないと難しい病気です。私の場合は躁状態になると気分が高揚し過ぎて、暴力行為を起こして何度か警察の厄介になったこともあり、うつ状態になると仕事に行けなくなったりとずいぶん差がありました。双極性障害と診断されてから薬が変更され、しばらくは2週間に1回通院していました。もともとうつ病だと思っていたので、カウセリングも必要かと思っていました。ですが、躁うつ病にはカウセリングは合わないと主治医から言われため、カウセリングは受けませんでした。躁うつ混合状態で入院することに!あるとき急に怒りっぽくなったり、どうかするとうつ状態でぐったりするようなことが続きました。主治医に相談すると、「ちょっと入院してみようか」という話になり、自分で入院手続きをしました。まだ息子も小学生のころだったので、元夫と実家に入院中の生活計画を作り、そのように動いてもらうようにお願いし、主治医のいる病院へ入院となったのでした。入院中は、4人部屋の大部屋でした。私のように家庭のある入院患者さんはほとんどいない療養病棟でした。入院中はさまざまな検査がおこなわれ、時には脳波検査のように器具を取り付けることで髪の毛がグチャグチャになってしまう検査もありました。その姿を心配してくださった看護助手の方が、入浴日ではないのに「ここで髪の毛を洗いなさいよ」と気をつかってくださるなど、大変快適な生活を送っていました。また、介護職をしている私が入院してきたということで、介護業界に興味を持つ看護師から声をかけられることも多くありました。本来であれば3カ月間の治療が必要と言われていたのですが、毎週日曜日に面会に来ていた元夫から金銭的なこともあり、悪いけど1カ月で退院してほしいと頼まれました。主治医と相談し、結局1カ月で退院することに。その後、自宅療養をすることになりましたが、結局数カ月もしないうちに介護職へ復帰することになりました。薬と主治医とうまく関わることで、症状も安定していき、それまで2週間1回の診察も1カ月に1回になりました。まとめ双極性障害に限らず、心の病気は誰でもかかる可能性があるものだと思います。薬と主治医との信頼関係ができていれば症状が安定し毎日を過ごすことができるので、休むべきときは休み、できるときはやるというふうに自分のペースを守ることが大事だと感じました。私はグレーな状態が嫌だったので3級の精神障害者保健福祉手帳を取りました。手帳を取得して10年ほどになりますが、だいぶラクな毎日を送れるようになり、気持ちもラクになりました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/粒来 拓先生(よしかた産婦人科分院綱島女性クリニック院長)日本産科婦人科学会 専門医・指導医。日本女性医学学会 女性ヘルスケア認定医・指導医。日本女性心身医学会 認定医。患者一人ひとりの症状と考え方に寄り添い、サポートしている。マンガ/あさり著者/にゃたろう(46歳)3年前に離婚してひとり暮らしをしている。元介護職。更年期にはなっているが精神疾患の症状のほうがひどく、どこからか更年期障害なのかはわからない。
2023年10月12日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”と気づかれないことが多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。診断されたのは……毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。私だけ……?読者の感想は……『自分でもなぜ起きれないのか理由が分からない中で説明できない、理解してもらえないという体験はつらいです。なぜ寝坊したのか、なぜ寝られないのかなどじっくり話し合う時間を持ってほしいと感じました。』『私も中学生の頃に、同じような状態でした。もっとこの病気のことが世間に知られると、同じ悩みを抱える人たちも生きやすい世の中になると考えさせられました。』『起立性調節障害と判る前なんでしょうが、今の段階だと何故なのだろうってなりますね。』など、起立性調節障害と寝坊の差が理解されにくいといったコメントが多く寄せられました。本作では、朝が辛くどうしても起きられない様子が描かれていました。起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。もし主人公と同じような違和感を覚えた場合は、専門家へ相談しましょう。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月12日発達障害の長男は、赤ちゃんのときから「寝ない子」でした。長男を産む前の私は、子どもは一度寝たらぐっすり寝るものだと思っていましたし、寝付くときも30分ぐらいで寝るものだと思っていました。しかし、いざ育児が始まると現実はあまりにも違っていたので、もしかしたら長男は「寝ない子」ではないかと感じるようになりました。そのときの私の思いや、長男が寝なかった理由などについてご紹介します。とにかく寝なくて大変だった乳児期長男は生後6カ月から保育園に入ったのですが、30分ぐらいしか昼寝をしないので保育園の先生がとても心配するほどでした。家でも授乳中には寝るものの布団に寝かせるとすぐに起きてしまうのです。1歳を過ぎても昼も夜もなかなか寝付かず、2時間近くゴロゴロ転がってばかりで全然寝ないので、私のほうがだんだんイライラ……。長男が寝ないことへのストレスと、成長への影響の不安がどんどん募っていきました。 寝なくてもいいやと発想を変えた結果1歳を過ぎてもあまりに寝ないので、疲れ果てた私は発想をガラリと変えてみました。保育園に行くために夜8時半には寝かせたかったのですが、寝る時間にこだわることをやめました。 それまでの私は、長男を寝かしつけたあとに、家事を済ませたり自分の時間を過ごしたりしていたのですが、それをすべて夕食後にすることにしたのです。そして夜10時になったら長男と一緒に寝てしまうスタイルに変えてみました。お互いに好きな時間を過ごせるようになったので、私のストレスも減っていきました。 長男が寝たくない理由とはその後しばらく経って、長男が年長のときに寝なかった理由を聞いたことがあります。理由は2つありました。1つ目は、「音とか光が気になって眠れない」、もう1つは、「起きていれば、もっとおもしろいことがありそうだから」でした。なるほどと思いました。長男は感覚過敏があり、蛍光灯が苦手です。そして音にもとても敏感なのです。起きている間は自分の興味のあることに熱中しています。私が起きていれば、長男も「何かおもしろいことを見つけて遊べる」と思っていたのでしょう。 小学5年生になった今でも、睡眠時間は少ないほうだと思います。「子どもは早く寝るもの」という大人の理想に当てはめず、長男のペースに合わせることで、私の気持ちが「寝られないものは寝られないんだ」と割り切ることができました。感覚過敏がある、発達障害という特性があることで、当時は不安を感じてしまっていたのです。寝る時間が少ないということは、理想の生活習慣を身につけるには本当は良くないのかもしれません。しかし、長男の成長を信じてやっていこうと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2023年10月12日ねこじまさんの長男・まっちくんが小学1年生のときのお話です。入学式のときから「早く帰りたい」と連呼していたまっちくん。4月に入学してからすぐ、「学校に行きたくないよぉ」と登校しぶりが始まりました。まっちくんが教えてくれた理由の中には、慣れていけば解決しそうな問題だけでなく、音に関する問題もありました。普段の様子からも、まっちくんは音に少し敏感なところがあると、ねこじまさんは感じていたそうです。登校しぶりが続く中、まっちくんのことを気にして休み時間に様子を見に行ってくれたお姉ちゃんは、まっちくんが机の周りをぐるぐる歩き続けるなど、「いつもひとりで謎の動きをしている」と教えてくれました。気になったねこじまさんが、さりげなくまっちくんに学校生活について聞いてみると、「友だちが欲しいけれど、どうしたらできるかわからない」とひとり悩んでいる様子。「心から信頼し本当に心を許せる子=友だち」だと考えているまっちくんに、ねこじまさんは「たくさんじゃなくてもいいから、ひとりでも気の合う子と出会えるといいね」と気楽に考えるようアドバイスしました。 その後、まっちくんが学校を休んだある朝、出勤が遅めだった夫にまっちくんの登校しぶりについて「そんな甘やかしとって、あかんてぇ。行きたくないなんて理由にならんぞ」とつっこまれてしまったのです。 「泣いてもわめいても行かせなよ」と言うくらい、学校へ行くべきとう強い信念を持つ夫は、自身の過去につらい経験があって……。 夫は生まれつき四肢障害 生まれつき四肢障害がある夫は、学校でつらい思いをしたことがあり大嫌いだったそう。お母さんは「無理しなくていいよ」と言ってくれる一方、お父さんは「そんなことで負けるな。行きなさい」の一点張り。 そして努力していくうちにできることが増え、楽しく学校へ通えるようになりました。その経験があるからこそ、夫はまっちくんが学校に行くべきだと強く思っています。 「自分が子どものころできたのだから、きっと自分の子どももできるはず」と前向きに信じるのも一つの考えです。 ・子どもの力を信じて、無理にでも学校に行かせる・子どもの特性を考えて、今は様子を見てみるどちらもまっちくんのことを思ってのこと。子どもの登校しぶりが続いたとき、皆さんならどのような対応をしますか? >>次の話 著者:マンガ家・イラストレーター ねこじまいもみ
2023年10月11日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”怠けている”と思われてしまうことも多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。病院へ行くことに……読者の感想は……『怠けているからとか、気持ちの問題などと言われず、先生が気づきちゃんと病院で診断されたのは良かったですね。まわりの理解と、症状が少しでも改善していくことを祈っています。どうか楽しい学校生活を送れますように!』『目に見えない病気というか、理解してもらえなくてしんどいなと思っている人がいたら読んで欲しいなと感じました。』『病院でちゃんと診断してもらって良かった。後はこれを周囲の人たちに理解させていくとこだけど、これが一番難しいよね。』『怠けているわけではないということが診断で分かって本人も安心が大きいと思います。保健室の先生がしっかり初期の対応をしてくださったのが功を成したのだと思います。これで治療や対策を行って過ごしやすくなるといいなと思います。』など、さまざまなコメントが集まりました。保健の先生からの思わぬ言葉に、親子は驚いたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月08日幼稚園に入園して最初のトラブル発達障害があるわが家の娘は現在24歳です。娘には小さな頃から変わることのない『やっかいな特性』がいくつかあります。その中のひとつに『他人のルール違反が許せない』というものがあり、それが原因で幾度となくトラブルが勃発していました。最初のトラブルは娘が幼稚園の年少の時でした。娘のクラスメイトに、じっとしていることが苦手で保育中にドアを開けて外に出ていってしまうお子さんがいました。担任の先生もそのお子さんを注視していましたが、その子は一瞬の隙をついては脱走を繰り返していました。娘はそのことが気になり止めようとするのですが、当然幼稚園児の娘が静止できるはずもなく……。結果、保育室内で娘がその子を追いかけたり、静止を嫌がるその子が娘にかみついたり、そのうちどちらかが扉に指を挟んだりと、カオスな状態となってしまっていました。しばらくしてそのクラスメイトの子が転勤で引っ越し、転園したので娘は落ち着きを取り戻しました。幼稚園年長の時も、注意をしては小競り合いに年長の運動会で、ふざけて前に出ようとするクラスメイトを娘が止めようとしているうちにお互いエスカレートし、先生が娘とそのクラスメイトを離す、という場面がありました。ほかにも、まだ幼くて周りの言うことが聞けないお友達の弟(やんちゃ系年少さん)に、娘が注意をしようとしては小競り合いを起こす、ということもありました。小学校ではもみ合いとなり備品の破損も低学年の時には、落ち着きのない児童を娘が注意した結果、もみ合いとなり学校の備品を倒して壊してしまうといったこともありました(わざとではなかったので弁償ということにはなりませんでしたが)。高学年になると娘も“注意をするのは先生”ということを理解していたので、自分から誰かを注意することはなくなりました。しかしながら特定の生徒から過度な干渉(いわゆるいじめ)があり、執拗に絡んでくる相手の行動に過敏に反応するといったことがありました。人づき合いに苦労した中学~高校の頃自分から誰かの行動を非難したりすることはありませんでしたが、苦手な人とのつき合い方に娘は苦労していました。特に押しが強い相手やしつこい相手との距離の取り方は、受動型の娘にはとても難しかったようです。学校という狭い世界の中では避けることができないケースもあり、将来のためにと親や学校の先生方がアドバイスをしたり、時には間に入って手助けをしたりしていました。社会人になってからは学生時代に比べ社会人になると周りも大人ですし、人間関係もドライになります。娘は社内でルール違反をする人が気になったこともあったようですが(特にメンタルが不安定な時)職場での困り事は自らジョブコーチに相談をしていました。周りが介入できないSNS上のトラブル入社してしばらくして娘はSNS上のトラブルが原因で体調を崩しました。どうやらSNS上で“間違った発言や行動をしていると娘が感じる人”の様子を目にして憤りを感じていたのだそうです。SNSを見なければ良いだけなのに一度気になってしまうとその人のことが気になって仕方がなくなってしまうようでした。娘はもう、親がスマートフォンを取り上げることができるような年齢ではありません。私たちは時間をかけて娘自身が理解できるように話をし、最終的に本人が納得したうえでインターネットに制限をかけることにしました。しかしながら体調が戻って一年ほどすると娘は「もう平気。今回は大丈夫だから」とインターネットの利用制限の解除を求めてきました。そして再びインターネット上のトラブルが原因で体調を崩してしまいました。「あぁ、やっぱり」これが当時の私の正直な気持でした。この時、娘はグループホームに入居していたので、相談は私よりも先に支援者にしていました。でも娘は体調不調の一番の原因がインターネットでのトラブルであるということを支援者には言っていませんでした。私は娘に言いました。「あなたは幼稚園の頃から常に“気になる人”がいて、注意しに行っては自爆していたよね? ほら幼稚園の○○君、小学校の××君、中学校の□□さん、昨年のネットトラブルの△△さん。覚えてるでしょ?」「学校や会社の避けられない人間関係は仕方ないけど、ネットは明らかに自分から見に行ってるよね。それがあなたの特性で仕方がないのかもしれないけど、今回が初めてじゃないでしょ?自らトラブルに巻き込まれるようなところに突っ込んでいくのはもうやめようよ。幼稚園や学校では先生、会社ではジョブコーチが相談にのったり指導をしてくれるよね。でもネット上のトラブルには誰も介入できないし助けることはできないよ。もうそろそろ学ぼうよ」娘は「それがなかなか難しい」と言います。このようなトラブルは娘が元気(元気すぎてハイになっている?)時に起こることが多いように感じます。まとめ障害のある子どもの子育ては本当に一筋縄ではいきません。かれらは何度も何度も同じようなことを繰り返します。やけに記憶力が良くて過去のことを鮮明に思いだしてフラッシュバックを起こしたりする一方で、過去の出来事が全くなかったかのような振る舞いをしたりもします。近くで接する親はそのたびに大きなダメージを受けます。私はこれまでも何度も言ってきたことを再び娘に言います。「世の中にはいろいろな人がいることは分かってるよね。『自分が正しいと思うこと』と『相手が正しい思うこと』が違うこともあるんだよ。あなたの物差しでジャッジして相手を変えようとすることで、自分のメンタルを崩しちゃうのってもったいと思わない? まぁこういう私の考えも、あなたに“押しつけること”はできないんだけどね」本人の意思を尊重しつつ、本人が自分の特性とのつき合い方や折り合いを身につけるまで、私たち親は根気よくつき合っていくしかないのだとつくづく思います。それでもグループホームに入居している今は、支援者の方々も娘の日々の生活について一緒に考えてくれるので、娘が自宅にいた頃に比べ親の精神的な負担は格段に減ったと感じています。Upload By 荒木まち子(監修:井上先生より)発達障害のある人たちの特性やこだわりのなかで他人のルール違反が許せないという方は少なくないと思います。頭のなかで「あの人はルールに反している」と考えるだけならよいのですが、実際にその人に対して直接行動を起こすとトラブルの原因になることがあります。ルール違反を見ないようにしても目についてしまった場合、直接相手に行動を起こすのではなく、上司や管理者に対して報告する、親御さんを含め支援者やカウンセラーに相談するなどの対処法を取れるよう本人も練習していく必要性があるかもしれません。報告や相談をしても相手の行動は変化しない場合もあるかもしれませんが、「自分は対処した」という納得が得られるように援助していくという方法です。もう1つの方法として、頭のなかに「あの人はルール違反をしている」という考えが浮かびやすい自分の特性を理解したうえで、この考えを否定せず頭のすみにおいたままにするという練習もあります。マインドフルネスなどの活用も考えられます。ご参考になれば幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月08日私は睡眠薬を飲んでも布団に入ってから2時間以上寝るのに時間がかかることが多く、さらに寝ても2時間ごとに目が覚める状態の睡眠障害を持っていました。現在も2時間ごとに目は覚めますが、今はスッと眠りに入り起床後にスッキリした感じが得られるようになったのと、布団に入ってから15分ほどで寝られるようになりました。それは薬によるものではなく、睡眠についての情報を集めていろいろ試していった結果です。私が試してみてよかったものを紹介したいと思います。睡眠障害を患った理由睡眠障害を患った理由は、大切に思っていた妹が自ら命を絶ってしまったのがきっかけです。私が33歳のときでした。私は頭の中にあった「もっとこうできたはず」「なぜあんなことを言ってしまったのだろう」といった思いなど、あらゆる角度から自分を責め立てました。 そして、毎晩怖い夢を見るようになりました。それは戦争の場面だったり妹が黒い衣装を着て出てきたりするさまざまな怖いシーンで、非現実なことなのに私には悪いことが起こる前触れのように思え、目が覚めても恐怖感が続き、ほとんど睡眠が取れない状態になってしまったのです。あまりに不安定な日が続いたので、私は自分の意思で精神科を受診しました。 四十九日も済んでないころでしたので、妹の死で両親が憔悴(しょうすい)しきっていたこともあり、「私がしっかりしないと」と、そんな思いからでした。 案の定、医師の診断は「睡眠障害」でした。特に大きな驚きはなく、自分が寝られない理由がわかり、薬も処方されたので安心した記憶があります。ちなみに最初に処方されたのは「ロヒプノール」という強めの睡眠薬でした。その効果ははっきり覚えていませんが、薬を飲む前より寝られていた程度には記憶しています。39歳ごろから睡眠障害の状態が悪化さらに私が35~36歳のころ、病院を変えるのをきっかけに睡眠薬の処方も「ロヒプノール」から「マイスリー」に変わりました。そのころの私の状態はというと、怖い夢を見ることもほとんどなくなり、睡眠薬を飲んで30分ほどで寝られるようになっていました。薬を飲んでいれば普通の生活が送れる状態だったと思います。しかし39歳ごろから徐々に睡眠の質が悪くなり、44歳の現在では睡眠薬を飲んでも寝るのに2時間以上かかり、また、寝られても2時間おきに目が覚めることがほとんど。まとまった睡眠が取れない状態にまでなっていました。 朝起きても体は重く、頭もぼーっとしている状態。「しんどくて何もできない」の繰り返しで1日を無駄にするような日々が続いていました。睡眠の質が悪くなったきっかけはこれといって思い当たらなかったので、「長年、薬を飲んでいるから効きにくくなった」「年齢から来るもの」だと私は解釈しています。 寝られない日が続いたので、医師に相談して「マイスリー」のほかに「ベルソムラ」という睡眠薬も去年ぐらいから処方してもらっていますが、あまり効果は感じられず……。寝られないことが当たり前のようになっていました。 そんなとき、知り合いに寝られないことを話すと「寝る何時間前にお風呂に入っている?」と聞かれたのです。私は心の中で「えっ? お風呂に入る時間で睡眠が変わるの?」と半信半疑でした。ただ、ちゃんと睡眠を取るには朝に日光に当たったほうが良いなど睡眠と生活習慣に関する情報をよく耳にするのはたしかです。 よし、何か試してみよう。やっと私は重い腰を上げることができました。それから睡眠についてネットやYouTubeで調べ、いろいろ試してみることに。「あれっ、こんなことで本当に睡眠が良くなるんだ」。そんな驚きを感じたこともありました。睡眠障害を改善させた3つの行動私の睡眠改善への取り組みは朝から始まります。午前中に日光を浴びながらウォーキングするようにしました。太陽を浴びるのは体内時計をリセットするのに良いのだとか。人間は体内時計が狂うと寝つきが悪くなるとのこと。ウォーキングは日光も浴びられ、また適度な疲れも得られることから睡眠を良くしてくれるらしいです。 次にお昼寝は30分以上しないようにしました。眠いと感じたら30分のタイマーをかけて眠ります。なぜ30分以内かというと、30分を超える睡眠はノンレム睡眠(深い眠り)に入ってしまい、これが夜の睡眠にも影響を及ぼすといわれているからです。 そして、肝心の布団に入ってからですが、私はこの時間にYouTubeの動画を見ながら「寝るための瞑想」「寝る前のストレッチ」をおこなうようになりました。ストレッチは筋肉を緩めることで血流が良くなり、リラックスの効果があるのだとか。瞑想は考え過ぎる頭を休めてくれる効果があるようです。 私は「夜、眠い」という感覚があまりなかったのですが、瞑想やストレッチをしているうちに夜の11時ころには眠いという感覚が得られるようになり、またストレッチが終わると15分もせず自然と寝ていることが多くなったのです。今も同じ睡眠薬を服用しておりますが、薬が増えたわけではないのに効果を感じられました。多少夜に目は覚めますが、朝、熟睡していた感覚があるようになりました。それによって少し活動的にもなった気がします。まとめ睡眠がましになって感じたことは「知らない」ということは損だということ。睡眠を自分で改善する方法を知ることで、生活がこんなに変わるんだとわかりました。人それぞれではありますが、私の場合は知ろうという気持ちが睡眠改善にプラスに動いた気がします。前より睡眠が取れることで1日のだるさも頭のぼーっとした感じもだいぶましになりました。体調の良い時間が増えたので好きなドラマを見たり、家事に使ったりすることができるようになりました。こうしたことで1日の張り合いもでき、物事に前向きに取り込むことができるようになった気がします。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック院長)日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。イラスト/サトウユカ著者/山田今日子(44歳)子どもなしの更年期に悩む主婦。目の疲れや腰痛と戦いながら、日々WEBライターの技術向上を目指し、頑張っている。
2023年10月07日小学1年生:字がきれいに書けない!長女が通っている小学校では、低学年の国語の課題と言えば「字を正しくきれいに書く」ことがメインでした。しかし、長女にとってはこれがとても難しかったのです。1年生のひらがなの書き取りでは、長女の書く文字は芯がないというか、なんだかフニャフニャした字形になっていました。担任の先生にも毎回訂正をされていて、書き取り用のノートは真っ赤になっていました。でもこの時の私は、長女に知的な障害があるとは全く気づいておらず、「字はきれいな方がいいかな……」といった程度にしか考えていませんでした。Upload By 吉田いらこそこで私は長女を硬筆の習い事に通わせることにしました。長女本人の意思ではなく、無理やりだったので本人のやる気はもちろんゼロ。長女は講師の先生とお話をするのにもかなり緊張していて、数ヶ月通っても一向に上達しませんでした。ある日、硬筆の習い事に行く前につらそうな表情をしている長女を見て、なんだかかわいそうな気持ちになってきました。別に小学校低学年の今頑張らなくても、成長していけば次第に字をきれいに書けるようになるかもしれない。本人がきれいに書きたいと自覚を持ったら書き方が変わるかもしれない。そう思って私は長女の硬筆の習い事を退会させることにしました。もう行かなくていいと知った時の長女のうれしそうな顔………。本当につらかったのだなと思いました。現在中学1年生になった長女ですが、相変わらず書く文字はフニャフニャとしています。字をきれいに書くことがいいこと、きれいに書きたいと本人が思える日が来た時にはまた練習を頑張るかもしれませんが、今はまだこのような状態です。Upload By 吉田いらこ小学2年生:算数の習い事が続かない長女は4歳の頃から自学自習形式の塾に通っていました。受講していた科目は算数と国語で、最初は簡単なひらがなや点つなぎからスタートする教材でした。最初はゲームのようで面白かったようですが、だんだんと難易度が上がるにしたがって、通うのを嫌がるようになりました。長女がとくに難しく感じるようになったのは算数で、単元の難易度は小学2年生の足し算くらいだったと思います。塾だけが特に早い進度ではなく、学校の授業と同程度の進度でしたが、長女にとってはつらかったようです。とうとう、習い事の日は泣き出すようになってしまいました。ここでもう少し言い聞かせて習い事を続けていたら、もしかしたら算数を好きになっていたのかもしれませんが、小学2年生の頃に退会しました。私の中で、泣いてでも頑張らせた方がいいのか、判断がつかなくなってしまったのです。現在は知的障害の診断を受けたので「算数の習い事、そりゃあ難しかっただろうね、つらかったね」と思いますが、当時はこれでいいのかとモヤモヤしたことを覚えています。Upload By 吉田いらこ現在中学1年生の長女が通っている習い事は、バイオリンと個別の学習塾の2つです。学習塾については毎回文句を言いながらも通っています。塾には行きたくはないけれど本人の中で「中学生は勉強するもの」という認識があるので仕方なく、といった感じでしょうか。いっぽうでバイオリンは本人が希望して始めた唯一の習い事で、こちらは楽しそうに通っています。本来の習い事とはこういう楽しいものをやるべきなんだろうなと思いつつ、「もう少し勉強にも興味をもってほしいな」と親としては願ってしまいます。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)長女さんの小学校低学年時の習い事についてのエピソードをありがとうございます。字をきれいに書けるようになるために硬筆を習うことで上手に書けるようになる子もいますが、お手本を見て、自分の書こうとしている升目の同じところから書き始めて、お手本と同じようにマス目の4分割したどこを線が通って、どう曲がったり止めたりして……と字をきれいに(お手本にならって)書くというのは手と目の動きを協応させたり、視覚的な認知や俯瞰する力などが問われるなかなかのマルチタスクです。単に回数をこなせば上手になるわけでもなく、いらこさんがご指摘のように本人のモチベーションもだいぶ必要だろうなと感じます。場合によっては、家で大きな紙に大きく練習したほうが上達の近道になる場合もあるかもしれません。算数や国語など教科学習に関する自学自習の塾も、繰り返して習熟する段階の内容で、かつ、繰り返して学ぶことが向いているお子さんには良いと思います。ただ、そもそもつまずきがある場合は、そこを乗り越えるのが困難なセッティングではあるので、どこかで壁にぶつかることもあるだろうと思います。習い事は本人にとって得られるだろう良きことと、精神的・体力的負担などとのバランスを見ながらご検討いただければと思います。特に低学年の時期は、学校に行って帰ってくるだけでへとへとのお子さんもいると思います。コンディションの悪い状態ではどれほどいいことをしたところで、なかなか良い時間とならない場合もあります。体力や余力のある小学校高学年くらいから始めてうまくいった方もおられます。興味関心、必要性、お子さんの状態やモチベーションなどさまざまな点からぜひご検討ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月06日子どもらしいと思っていた「好奇心」が、「周り迷惑をかけるもの」という心配事に変化していった乳幼児期現在6歳(小1)の息子は、5歳でADHD、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けています。好奇心が強く真面目、こだわり強めの息子です。赤ちゃんの頃から息子は好奇心旺盛で、目についたものは触る、口に入れる、ボタンを押す、キッチンに忍び込んで粉類や米をぶち撒ける、トイレに手を入れてバシャバシャする、トイレットペーパーやティッシュを全部出して散らかす……と元気いっぱい!これも成長だと思って、周りに迷惑にならなければどんどんやって構わないと考えていた私は、息子の気の済むまでやらせていました。特別発達面について気になるところはなかったのですが、1歳半健診の時、言葉の遅れについて指摘を受けました。息子は当時5、6個程度の単語(パパ、ママ、ごはん、お水など)と、「ま」の一言でいくつかのものを表していたためです。この健診の流れで個別発達相談を受けるよう提案されたので、以降そちらに通うことになりました。その後、どんどん語彙も増えて行き、ひらがな、アルファベットすら読めるようになり意思疎通も問題なく行えていたのですが、2歳過ぎた頃から、ほかの子どもと比べると、一つの遊びに集中できず、あるおもちゃで遊び始めたと思ったらすぐ別のおもちゃで遊ぶなど、落ち着きがない様子が気になるようになりました。そして3歳以降は好奇心からか公園で知らない大人に話しかけたりしつこく質問するように。また、お友達に噛みつく出来事があったり、お友達が作ったものを壊してしまったり、息子の好奇心が「周りに迷惑をかける」ことが増えていったのです。Upload By ユーザー体験談私は息子からなるべく目を離さず、息子が行きそうだなと感じたらストップをかけ、周りの人たちに気を遣い動く日々を過ごすようになりました。先生「残念な結果になった」。撮影が入りビデオ販売が予定されていた発表会で息子が……幼稚園入園後、息子は集団行動ができず教室から出てしまったり、順番待ち、お遊戯などを嫌がって泣いてしまうことが続きました。毎日のようにお迎えの時に先生から本人の目の前でできなかったことややってしまったことの報告を受けました。迎えに行くといつもニコニコして外を見ていた息子でしたが、次第に窓際には居なくなり、帰りのお支度ができずに教室の端に残されて泣いていることが多くなりました。撮影したビデオの販売が予定されていた発表会で息子が動いたために、ほかの子どもたちの視線がそちらにいってしまい、「残念な結果になった」と先生から言われました。そして、入園して5ヶ月たった頃、年中になると補助の先生が居なくなるので登園しても職員室で過ごすことになるなど、実質退園勧告を受けるようになりました。周りに発達障害の子どもを持つママ友もいませんでしたし、保健所の発達相談で初めて「療育というのがありますよ」と教えてもらったものの、療育のリストはくれましたが詳しいことは教えてもらえませんでした。私も知識が全くなく、どう質問したら良いのかさえわかりませんでした。ひたすら『発達障害』というワードをネットで調べたところ、とにかく療育を受けさせる必要があると思いました。発達支援センターは初回面談が半年以上先、療育はどこもいっぱいで……。でも、ネットで情報を集めて、なんとか空きのあった所に申し込みました。転園先も主にネットで検索し、障害児を受け入れて加配を付けられることを条件に探し、見学と面談をしてそちらに移ることになりました。この幼稚園と療育につながり、私は発達障害への知識を得ていきました。Upload By ユーザー体験談小学校では「ほかの子と違う対応はするべきでない」と断言する担任の先生に落胆そして小学校へ入学、初めは何とか授業にも参加できていたと思っていたのですが、7月に校長、副校長、担任との面談が行われ、「癇癪を起こして授業が止まってしまう」「癇癪の原因は分かりやすいが、ほかの子と違う対応はするべきでない」と担任の先生から断言されてしまいました。面談の席での発言なので、学校側の総意なのだと解釈しました。Upload By ユーザー体験談担任からは入学直後の面談で「特別扱いできない」とも言われていましたので、私もあまり要望はしておらず、全体のルールを変えるなどの対応は不要と伝えてはいました。ですが、個別の配慮もここでは特別扱いになってしまうのかと、この発言を聞いて今のクラスはで息子を受け入れてもらえないのだと落胆しました。私は5月まで授業中に付き添いもしていました。そこでたびたび目にしたのは、先生が何度か注意しても、なかなかやめられないときは校長室まで引き摺られて行き、先生たちから怒られるという場面です。息子は、その経験からまた同じようなことをされるのではないかという恐怖を抱くようになり、学校に対する不安が強くなっています。勘違いされて怒られたこともありました。息子に対して、担任の先生は常にイライラしている様子が伺えました。もう、息子の存在が受け入れてもらえないのだなと感じました。そうこうするうちに、校長から「この学校には特別支援学級がないので、別の学校の特別支援学級を見学してみてはどうでしょうか」とすすめられました。小学校は味方の居ない場所に……。通常学級でがんばる?引っ越す?私がした決断は確かに、息子は衝動性からクラスの子どもを傷つけてしまう可能性がありますし、癇癪で迷惑をかけているということを申し訳なく思っていました。でも、癇癪を起こすのは教室だけです。自宅、療育、通級指導教室では落ち着いて過ごせていました。特性を理解してもらえない、配慮なくみんなと同じように同じことを強要されても、息子には難しかったのでしょう。公立校なのでさまざまな制限があるのもわかりますし、もちろん息子だけに対応するのは難しいことは理解しているつもりですが、面談で話を聞いてとても悲しくなりました。今住んでいる自治体の特別支援学級は情緒学級がなく、知的学級しかありません。情緒学級のある自治体への引越しも考えましたが、すぐには動くことができない状況です。息子は知的面での遅れはなく、むしろ今は勉強したいと意欲的です。できれば配慮を受けて勉強をさせてあげたいのですが、それでも今の学校にいたら、息子の味方が居ない場所で無理をすることになります。担任の先生が配慮しないと断言した以上、苦しい状況にいても成長に繋がらないと考え、本人は嫌がりましたが情緒級の特別支援学級のある自治体へ転校することに決めました。それしか選択肢がないと思いました。Upload By ユーザー体験談息子の心を傷つけてしまった……。いつか楽しい時間が記憶として残る環境に息子を置いてあげたい私は、息子の発達障害を受け入れていたつもりでしたが、どこかほかのの子と同じような経験をして成長して欲しいと言う気持ちがあり焦っていたのだろうと思います。今回、幼稚園に続いて小学校も変わるという経験をさせてしまい、息子の心を傷つけてしまいました。特別支援学級では息子の気持ちをよく考えながらのんびりと成長を見守っていけるようにしたいです。多少のことは笑顔で対応してあげたいです。将来はどうなっていくのか今は想像もつきません。私自身も不安しかありませんし、どう育って欲しいかも具体的に考えられませんが、近い将来、今までの嫌な記憶が少しでも和らいで、楽しい時間を過ごして、それが思い出として記憶に残ってくれたらと思います。穏やかに過ごせる環境に、息子を置いてあげたいです。イラスト/taekoエピソード参考/なのはな(監修:藤井先生より)貴重な体験談を読ませていただきありがとうございます。息子さん、親御さんのお気持ちが伝わってくる内容でした。発達障害があるお子さんへの合理的配慮を推進する法律が施行されたのが、平成28年4月です。しかし、障害のあるお子さんへの合理的配慮が細やかにされているかというと、まだ自治体によっては知的障害がない発達障害へのお子さんへの配慮がまだ行き届いていない様子も伺えます。主治医からの意見書や診療情報提供書などで、学校との連携をとられている方もいらっしゃいます。もし、主治医がいらっしゃる場合には、相談されるのも良いかなと思います。息子さんが少しでも穏やかに過ごせる環境が見つかることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月05日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日「起立性調整障害」を知っていますか?自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下し、朝になかなか起きることが出来ない病気です。この障害は病気という自覚も持ちづらく、自他ともに理解されにくいため頭を抱えるかとも多いようで……。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。怒られながら……この漫画に読者からは……『初めて聞きました。学校の先生が教員免許を取得される際に学ぶのを義務化にして、社会全般でもこういった症状があることが知れ渡るといいのに』『私も学生時代本当に朝起きれないタイプ。このような障害があるということを当時は知らず、早めに寝たのに眠すぎるしなんでだろうと思っていましたがなにか原因があったのかなと思えます。無知って怖いです。』『眠くなる=なまけている、という固定観念は自分も含めて多くの人が持ってしまっていると思います。このような病気があることを全然知らなかったので、改めて自分の認識の浅さを自覚することができました。』『起立性調節障害、とてもつらいらしいのでかわいそうです。外から見えない病気は理解されにくいし、辛いのがとてもわかります。』など、起立性調節障害を初めて知ったというコメントが多く寄せられました。理解されにくい……読者の中には、同じような症状があったものの病気の存在を知らず苦労したという方もいました。外からではわかりにくい病気となると理解されにくいもの。社会全体での認知と理解がもっと広がるとよいですね。みなさんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月02日グループホームで利用者とトラブル・退去することにはじめに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害があるお子さんの保護者の方から、成人したお子さんの住まいについてご相談を受けたケースをご紹介します。グループホームに入居したものの、ほかの利用者とトラブルをたびたび起こしてしまいました。施設の方と話し合いを重ね、最終的には退去することに。再び実家で一緒に暮らし始めたのですが、これからの事を考えると不安が募ります。本人の意思を確認し、家族で無理のない選択をUpload By 専門家体験談「親なきあと」についてのご相談では、「仕事」「お金」と並び「住まい」に関するお悩みがよく聞かれます。まず、このお子さんが利用していたグループホームとは、国の障害福祉サービスの一つで共同生活援助のことです。一つの住居の利用者数の平均は6名程度ですので、ほかの利用者と一緒に過ごすのが苦手な人の場合は、ストレスをためてしまうことがあります。共同生活援助(グループホーム)障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省「親なきあと」のことを考える際に大切なのは、ご本人の希望と、親御さんの思い、どちらも大切にしながらできるだけ無理のない選択をすることです。親御さんが将来に不安を感じている一方、お子さんも実家を出て生活したいと考えているかもしれません。共同生活が難しいということであれば、一人暮らしという選択肢についても考えてみましょう。実際に、福祉サービスを利用しながら一人暮らしをしている人も多くいます。アパートなどで生活しながら利用できる福祉サービスについては、主に2つ考えられます。まず、介護が必要という状態でなければ、「居宅介護」という選択肢があります。居宅介護居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省常に介護が必要という状態であれば、「重度訪問介護」を受けられる可能性があります。ただし、地域によってかなり状況が異なるため、相談支援事業者で計画相談支援を受けると良いかもしれません。重度訪問介護重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行います。(日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援を含む。)引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省ご相談いただいた親御さんには、上記のほかに日常生活自立支援事業、成年後見制度についてもご説明をしたうえで、現在つながっている支援者や通所している事業所の方を含めて検討いただくようお伝えしました。学生の頃からショートステイを定期的に利用もう一つのケースをご紹介します。知的障害のあるお子さんが中学1年生のころに、親御さんが遠い親戚の実家に行かなければならず、初めてグループホームのショートステイを利用することになりました。親御さんが迎えに行って帰宅したあと、特にお子さんに変わった様子はなかったのですが、その5年後に再び同じショートステイを利用したところ、帰宅していきなり「気持ちが悪い」と言い、嘔吐してしまったそうです。医師に診てもらっても特に健康状態などに問題はないとのこと。親御さんは心配になり念のためショートステイ先にどんな様子だったか聞いてみたところ、理由が判明。どうも周りの人たちに気を遣って我慢をするなど「いい子ちゃん」をしていたようだったのです。その無理が自宅で出てしまったということですね。そこで、親御さんは「もしも、自分たちがいなくなったらどれだけつらい思いをするのだろう」と考えて、それからは毎月ショートステイを利用するようになりました。もともと人が好きなお子さんだったので、少しずつ慣れてワガママも言えるようになり、家にいるときの何倍も楽しそうに、ウキウキとショートステイに出かけるようになったそうです。お子さんが成人してから「住まい」について考え始める親御さんが多いかと思いますが、もう少し早くから準備を始めることで、親子にとってより良い選択ができるかもしれませんね。短期入所(ショートステイ)居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせて、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月02日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。「起きられない」読者の感想は……『理解されにくい大変な病気だなと感じました』『とても辛い病気だと思いますが適切な治療を受けて前を向いて欲しいです。』『一見誰にでもある疲れや寝不足のようにも思えましたが、こういう症状も一度しっかり検査した方がいいんですね』『きっと主人公自身、どうしてこうなるのかわからないでしょうし、辛いですね。』など、さまざまなコメントが集まりました。主人公は、なかなか起きることができなくなり、中学生になってから体質が変わってしまったようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月29日「まだ遊びたい!」寝る前の癇癪の原因は……Upload By ゆきみ現在小学2年生の長男けんとは、自閉スペクトラム症と3歳の時に診断を受けました。ある日の夜、けんとがごはんを食べ終え、オモチャで遊んでいました。ほどよく遊びの時間をとったあとに「あと5分でおしまいにしようね」と言ってタイマーをセット。けんとも納得していました。そして5分後……タイマーが鳴り、もうすぐ寝る時間だったので、「歯を磨いて寝る準備をしようね」と私が伝えると、「ボクはまだ、パズルと本を読むのが終わっていないんだ!」と、けんとが癇癪をおこしたのです。「え?まだそんなにやりたいことがあったの?」と、私はビックリ……。私はその時、けんととやりたいことの確認や、寝る準備を始める時間などをあらかじめ話していなかったことに気がつきました。もう寝る時間だし、何となく分かると勝手に思い込んでいたのです。明日からは、けんとが頭の中でやりたいと考えていたことを、事前に確認してみようと思いました。やりたいことを書き出す作戦!結果は?けんとは視覚優位で、文字やイラストなどでスケジュールを伝えると、スムーズに行動できることが多いです。けんとにやって欲しいこと(ハミガキ、お風呂など)と、けんとが寝る前に自分でやりたいと思っていることを全部出し合い、スケジュールをまとめて紙に書き、視覚を使って示すことにしました。まだ、時間管理が自分ではできないので、寝るまでの残り時間などを考えながら母がタイムスケジュールを管理し、促していくことに。Upload By ゆきみ次の日から早速、相談をして紙に書き出しました。「パズル」「読書」「テレビゲーム」をしたいとのこと。寝る時間を考えて、全部のことをやり終えるために……「15分ずつにしよう」と話し合いました。タイマーをかけて、鳴ったら紙にチェックを入れ、次のこと。というように順番に行なうと、本人もやりたいことがしっかりできたからなのか、全く怒ることなく、スムーズに寝る準備に入ったのです。何度か続けていくうちに、15分で終わりたくないことがあったときは、「もっとやりたい」と伝えてくることもありました。その場合は「じゃぁ、読書の時間を5分短くする?」や「読書は明日にして、その時間を使う?」などと、相談をしながらやっていきました。「やった!」を感じるボード選びを開始最初は、紙にタスクを書いて、終ったものにチェックを入れて消していく方法や、持っていた電子ボードやホワイトボードを使い、タスクを書いて消していくという方法をとっていました。ですが、続けていくうちに、けんとが自分で「やった!」と簡単にチェックできるものがあるといいなと思い、タスクボードや視覚支援の方法をインターネットで調べてみると、いろいろな種類がありました。Upload By ゆきみ・自作のタスクボード一例■ホワイトボード、マグネットシート、マグネットを購入。マグネットシートを切ってタスクを書き、ホワイトボードに貼る。ボードを「まだ」「できた」エリアに分け、マグネットシートを移動させる。■タスクが書いてある紙を準備し、ラミネート加工をして、それぞれ切り抜いて、後ろにマジックテープを貼る。マジックテープが貼りつけられるようにしてある台紙に順番に並べ、終ったものを取っていくボード(通っている発達支援施設では、この方法を使っています)。など。・市販品のタスクボード一例■タスクが書いてあるマグネットを貼るボード■ラミネートされたタスクをマジックテープで貼ってはがしていくボード■付属の紙にタスクを書き、その紙の入れ替えができるようになっているプラスチック製のボード。数個のタスクを書けるようになっており、それぞれの項目にチェックボタンがついているので、終わったらチェックを入れていきます(タスクの内容を替えたい場合は、紙を交換すれば完了)。■持ち運びができるポーチタイプのボードほかにもタスク管理ができるアプリを使用するなど、いろいろな方法がありました。わが家は市販品をリメイク!きょうだい愛用のボードが完成けんとの場合、興味の移り変わりが早く、やりたいことが短い周期で変わっていきます。固定のタスクではなく、自由に変化できるもののほうが合っている気がしました。ただ、私は工作があまり得意ではないので、市販品を購入することにしました。悩んだ結果、紙にタスクをかき、タスクが終ったらチェックボタンを変えていくプラスチック製のタスクボードに決定(内容を変えたいときは紙を取り替える)。Upload By ゆきみ本来では紙を入れる部分に、紙ではなくマグネットシートを入れ込みました。そして、ホワイトボード用のペンでタスクを書き換えられるようにリメイクしてみました。視覚で提示すると、5歳(年長)の弟も分かりやすいようで、きょうだい2人共、愛用しています。朝のお仕度ボードや、放課後のタスクボードとしても使っています。外出先でタスクボードを使用したい場合は、わが家はアプリ「やることカード」を使用しています。やることカード ( LITALICOアプリ)寝る前の時間に癇癪を起こしてしまうと、1日の締めくくりが楽しくはないですし、寝る時間も遅くなり母子共に疲れ果ててしまっていました。でも、あらかじめやることを聞いておくこの方法を取り入れてからは、寝るまでの動きがかなりスムーズになり、笑顔で1日を終われるようになりました。「これがやりたい!」という気持ちを受け入れつつ、時間やお約束を守るための方法がほかにもあるかもしれないので、これからも模索していきたいと思います。いつかは子ども自身が自分で時間も管理できるように……段階をふみながら進めていけたらなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)タスクボード導入の経緯、ご家庭の事情に合ったタスクボード探し、アレンジして使っているお話。一連のことのシェアをありがとうございます。寝る前の癇癪にも心当たりのある読者の方は多いでしょうし、視覚支援の王道たるタスクボードについて巷にあふれるさまざまな情報の整理もなされていて本当に参考になることばかりでした。やりたいこと、やらなければならないこと。どちらもスムーズに行うには、タスクボードで「見て分かる」「どこまで進んでいるかが分かる」工夫をするのはとても良いですね。そしてそもそも、やりたいことをきちんとこのタスクの中に入れてくださっている、つまり本人の希望が織り交ぜられた運用であることが素晴らしいですね。そして、このやり方が板につくにつれ、「今日はもっとこれをやりたい」と交渉することもできてきているのも何よりです。癇癪のように、感情を爆発させるのではなく、交渉に至れるのも、枠組みがしっかりしているからこそとも言えます。今後、けんとくんが育つにつれ、もしかしたらこのやり方が合わなくなる日も来るかもしれませんが、「タスクボードを使って自分はタスク管理できていた」という経過がきっと次の手立てにも生きてくるだろうと感じます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月25日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。ある日、佳純は学校の集会で倒れてしまいました。保健の先生からの言葉は……読者の感想は……『こんな経験豊富な保健室の先生に出逢いたかったです』『自分のことなのに、わからない症状、不安になりますよね。保健室の先生が話をしやすい先生で良かったです。』『私はこの病気のことを知りませんでした。本人にとってはとても辛いと思います。』『優しく話を聞いてくれて病気の可能性を指摘してくれる学校保健医が優秀だと感じました。』など、さまざまなコメントが寄せられました。保健の先生が親身に話を聞いてくれ、主人公は思いがけない言葉に驚いたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月24日息子の意思表示の方法は主にジェスチャー&クレーン自閉スペクトラム症のある子どもによく見られる行動の一つに、「クレーン現象」というものがあります。クレーン現象とは、子どもが何かをしたい時に、自分ではなく大人の手を使って、物を指したり、物を取ったりして、意思表示や欲求を満たそうとする行動です。乳幼児期の息子の意思表示の方法は、主にこのクレーン現象だったと記憶しています。しかし、息子のクレーン現象は今もゼロではありませんが、徐々に減っていきました。そして現在は、クレーン現象の代わりに場面に応じたジェスチャーが、息子の主な意思表示の方法となっています。私たち家族は言葉で息子に気持ちや指示などを伝えますが、息子はさまざまなジェスチャーで、それに応えてくれているのです。息子の気持ちを伝えるジェスチャー、どんなものがある?では、息子はどのようなジェスチャーで意思を伝えているのでしょうか?息子が使う主なジェスチャー(しぐさ)は、次のようなものです。「いってきます」「ごめんなさい」「ありがとう」「こんにちは」など、息子が最も多くの場面で行うしぐさです。親である私もお辞儀や会釈をすることが多いからか、息子もそれを見て自然と身についたようです。Upload By べっこうあめアマミ「それください」「ごめんなさい(より深い反省をこめて)」などの意味で使います。お辞儀をより丁寧にした印象です。Upload By べっこうあめアマミ「ちょうだい(『それください』よりもフランクな印象)」の意味でよく使います。ほかにも、「いってきます」「ありがとう」などポジティブな気持ちを表す時に使うしぐさです。Upload By べっこうあめアマミ「いってきます」「さようなら」など、単純な別れのあいさつの時に使います。息子のテンションによって、片手だけ挙げたり、両手を挙げたり、小さく挙げたり、手をピンと伸ばして高く挙げたりします。Upload By べっこうあめアマミ久しぶりに会った大好きな相手に応える時、もしくは大好きな食べ物を早く食べたい時などに使います。手を何度も激しくたたいてあふれる気持ちを表しているようです。Upload By べっこうあめアマミジェスチャーは自由度の高いコミュニケーション方法息子のジェスチャーは、マカトンサインや手話のように、「このジェスチャーはこの意味」という明確なルールがあるわけではありません。中には療育で教わったマカトンサインが元になって派生したものもありますが、完璧な形ではなく、意味もその通りではないのです。しかも、同じジェスチャーに複数の意味があります。そうなると、「受け取る側はどんな意味か判別できないのではないか?」と思うかもしれません。しかし、意外とそこは困りません。想像してみてください。例えばお辞儀や手を合わせるしぐさ、手を振る(手を挙げる)しぐさなどは、定型発達の大人でもよく使うものだと思います。でも、そのしぐさに含める意味は、必ずしも一つに決まっているわけではないはずです。同時に、そのしぐさをされた相手も、そのシチュエーションとあわせて意味を判断しているのではないでしょうか。「このシーンでこの動作をしたなら『ありがとう』なんだろうな」「言葉はなかったけど『さようなら』と伝えたいんだろうな」という具合に。ですから、息子がこのくらい幅の広い意味のジェスチャーをしていても、シチュエーションとあわせてなんとなく判断できるものなのです。特にお辞儀などは、会釈も含めると「こんにちは」「すみません」「ありがとう」「いってきます」などさまざまな意味合いで使うもの。ジェスチャーはそれくらい自由度の高いものなのだと、改めて息子を見て思いました。意思疎通ができるようになったのは、発語がなくても言葉の理解力が上がったからジェスチャーはこのように便利なものですが、息子がここまで場面にあわせて表現できるようになったのは、ある程度大きくなってからです。また、息子の成長は三歩進んで二歩下がるというような非常にゆっくりとしたものだったため、ある年齢になって急にできるようになったというわけでもありません。ジェスチャーで意思を伝えるためには、まず相手の言っている言葉の意味をある程度理解できないといけないので、息子の中で言葉や物事の概念の理解が少しずつ深まっていった結果なのかな……と思います。息子は発語はほとんどありませんが、着実に言葉の理解は進んでいると感じています。複雑な指示の理解は難しくても、簡単な指示は通りますし、特に、興味があること、好きなことについては知っている語彙(ごい)も増えてきたと感じる場面が多くなってきました。息子は、私がなんとなく「お菓子食べる?」「ラムネあるよ」などと言うと、急いで走ってきたり振り向いたりと、普段では考えられないくらい俊敏な反応を見せます。分かりやすい「発語」という部分に注目してしまいがちですが、コミュニケーションにおいて大切なことは、相手が言っている言葉を理解し、自分の気持ちを表現して相手に伝えようとすることだと思います。成長とともに、コミュニケーションの能力も伸びてきた息子。これからも言葉の理解をもっともっと積み上げ、いつか言葉を使って自分の意思を上手に伝えられるようになったらいいなと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:新美先生より)重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症がある息子さんの、コミュニケーションについて具体的に教えて下さりありがとうございます。発語がなくても、ジェスチャーで意思表出し、それを受け取ってもらえる関係性はとても素敵ですね。特に自閉スペクトラム症がある方は、音声による発語がなくても、ジェスチャーや絵カードなどを用いることで、意思表出ができる方も多いです。音声による発語にこだわらず、さまざまな形式で、表出の種類が増えて、意思疎通ができるようになることはとても大切ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月23日就学し支援を受けられるようにするためにはどこで誰に相談すれば良い?わが家の次男Pには重い知的障害があるので、私はほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったです。特別支援学校や特別支援学級は、急に「行きたい!」と言っても誰でも行けるわけではなく、「支援を受ける」ということになるので、そのためには各種手続きや、教育委員会の審査と判定が必要となってきます。さらに、就学先を決めるにあたり、就学相談や学校見学なども行われています。そのため、特別支援学校や特別支援学級が少しでも気になるのであれば、子どもが就学する前にまずは動いて何事も早めに調べておくほうが良いと思います。たとえば、私たちの住む自治体では、子どもの学校生活に対して何らかの不安がある人のために、子どもが年長(6歳)になった年の7月頃に「就学相談会」というものが開催されます(開催時期や名称は各自治体で異なりますので、お住まいの自治体にご確認ください)。その相談をするには、前もって予約しなければならないのですが、現在通っている園側から案内される場合もあれば、されない場合もあり、「相談会へ行きたかったのに知らない間に申し込み期限が過ぎていた……」ということにもなりかねません。私の場合、園から就学相談会の案内を受けていたので、相談会に参加することができましたが、もし知らなければ相談の機会を逃してしまうので、早めの情報収集は大事だな……と感じました。Upload By みん就学相談会では何を話せば良いの?私が参加した就学相談会では、まず面談で子どもの成育歴を詳しく確認されました。この時、子どもの成育歴や受けてきた支援内容をまとめたサポートブックを持参しました。とっさに思い出せない部分もあるかもしれないので、就学の相談をする際には、このようなサポートブックをあらかじめつくっておくか、なければ母子手帳だけでも持って行くとスムーズに話せて役に立つかもしれません。また、現在の家庭や園での状況なども聞かれることがあるので、子どもの特性や困りごと、就学を前に不安に思っていること、学校への希望なども伝えられたら良いと思います。なお、就学相談会での個人情報、相談内容などは厳正に管理され、就学決定に関する基礎情報となるということでした。Upload By みんそれから、相談会では現時点での希望を話せたとしても、希望する学校を実際に見学してみないとどんな学校なのか?どんな支援が受けられるのか?分からないことが多いと思います。たとえば特別支援学校と特別支援学級で悩んでいるのなら、両方の学校を見学しないと比較もできませんし、できればお子さんも一緒に見学や体験へ連れて行くほうが、どちらが6年間楽しく通えそうなのか?をより具体的にイメージできると思います 。Upload By みん子どもの目線に立ち、より良い環境を考え進路を決断するその後は子どもが所属している施設へ相談員が訪問し、普段の子どもの様子を見た上で、保護者と園の先生から聞き取りをする「訪問面談」や、就学する前に行われる健康診断で、身体の疾患や知的発達の度合いが検査される「就学前健診」などを経て、特別支援学校、特別支援学級、通常学級のどこで学ぶことが望ましいのか?教育委員会から総合的に判断された結果の連絡があり、その上で就学先をどこにするか?親へ最終確認がありました。わが家の場合は、当初の希望通り特別支援学校に就学することになりましたが、就学相談会や学校見学を通じて、学校生活についてより具体的なイメージを持つことができたと感じています。今まさにお子さんが就学前で進路に悩んでいる方もいるかもしれませんが、子どもは日々成長しているので、悩んで当然だと思います。また、地域や学校、その年度によって担当の先生も支援の内容も変わってくるので、希望通りにはいかないことや不安も出てくるかもしれません。実際に小学校へ6年間通うのは子どもなので、1番は子ども自身の希望、そして親は子どもの成長、様子を見ながら、小学校生活をどうサポートしていくか?を考え、進路の選択ができると良いと思います。Upload By みん実際にわが家の次男Pが特別支援学校に進学してどうだったのか?については、また別の機会にご紹介したいと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)就学に向けてどのように動いていくとよいかについて、具体的に詳しく教えて下さりありがとうございました。就学についての相談が始まるのは、地域差もあるかもしれませんが年中の終わりから年長にかけてかと思います。ですから情報収集や見学などは、可能ならそれより前の年中の年ぐらいから動き始めるとゆとりがあるかと思います。就学の相談を始めると、通っている園、療育の先生、病院、就学担当の先生など、それぞれ意見が異なることも珍しくありません。それぞれの意見も参考にしながら、保護者の方が主体的に動かれて、ご本人にも見学、体験の機会を持ったうえで、本人らしく楽しく通える場所がどこなのかを考えて、相談していくと、保護者の方も選択していきやすいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月21日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。私だけじゃない読者の感想は……『私が通っていた学校にもこの障害を抱えた生徒が何名かいました。朝礼ではずっと立っていることが難しいので、先生が配慮してその生徒たちを列の1番後ろにしてあげていました。』『周囲から軽く思われてしまいがちだけど、事情があることを理解できれば優しい目でみてあげられるようになる』『理解してくれる人がいて支えてくれる周りがいるのは救いですね』『症状について理解してくれる存在の大きさを強く感じました。この漫画のように手を差し伸べてくれる存在は大きいですね』など実に様々な声が集まりました。家族や学校の先生にも配慮してもらえるようになった主人公。学校集会では、同じように座る子を見てほっとしたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月20日遊具で遊ぶことが苦手だったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)があるコウは、体を動かすことが苦手なようです。中学生になった現在は「運動が苦手で少し不器用だな」と感じるくらいで普段は大きく気になりませんが、保育園の頃は遊具で遊べないレベルの不器用さが目立っていました。そんな動きの不器用さも相まってか、足元が狭いところや不安定なところでは慎重に歩きたがっていたコウ。高いところは特に苦手で、5歳の頃に集合住宅の1階の部屋から2階建ての家に引っ越した時は、階段を数段登ったところで「落ちちゃうよ~!」と動けなくなっていたほどでした。それくらい『動きの不器用さ・高いところへの恐怖心』があるコウにとって、公園は石や落ち葉やどんぐりを並べるところでした。公園や保育園などの子ども用の遊具は大体高いものです。おおむねどこの公園にもある3大遊具の滑り台、ブランコ、ジャングルジムで遊べないとなると、体を動かすことを促したい親としても「散歩しよう」としか言えない状態でした。Upload By 丸山さとこ散歩中に植物や水を眺めたり、樹木にかけられた樹種の名札や解説を読んだりして過ごしつつ、「この子はこういう感じなのか~。これはそういう個性なの?」と漠然と思っていました。お母さんの安全保証つき?地道な滑り台の練習開始!そんな風に散歩しては石やどんぐりを並べるだけでも、「まぁコウがそれを好きならそれでいいか……」と流していた私でしたが、療育園に通うようになってから、少し考えが変わりました。というのも、コウが通っていた療育園での粗大運動の時間(室内遊具での全身を使った遊び)は結構スパルタで、泣いても叫んでも徹底して取り組ませるスタイルだったからです。Upload By 丸山さとこその特訓風景を見ている内に「このままでは遊具を見ただけで泣き叫ぶようになり、公園の前を歩けなくなるのではないか……?」と心配になった私は、近所の公園でコウと滑り台の練習を始めました。滑り台のてっぺんで座ったコウの体を私の両手で挟むように支えながら、コウに安全性を説明しました。「絶対にゆっくりしか滑らないので安全です」「怖くないようにします」「怖すぎたら途中でも抱き上げて中断できます」Upload By 丸山さとこそうして実際に途中で抱き上げたり滑り台の途中で止めたりして『コウが嫌だと思えばいつでも安全に中断できること』を証明すると、コウは「本当かな……?」という表情をしつつも練習につき合ってくれました。コウが泣かない程度の地道な練習を続けたところ、意外にも数日で滑れるようになりました。「やったー」と言い、跳ねてうれしそうにニコニコするコウに「もう1回滑る?」と聞くと「滑らない」とのお返事で、その素っ気なさにコウらしさを感じつつ家に帰りました。Upload By 丸山さとこ次の日もすんなりと滑れたため滑り台は克服できたのかと思いきや、ほかの滑り台は完全拒否でした。私から見れば『大体同じ高さで同じつくりの滑り台』も、コウにとっては『全く別の滑り台』だったようです。「ほかの滑り台はどんな感じかな?調査しに行こう」とコウに言いながら(これまた無理のない範囲で)いくつかの公園を回って複数の滑り台にチャレンジしていき、1ヶ月経った頃にはベーシックな形の滑り台であれば大体滑れるようになりました。こうして、ブランコ、はしご、ロープの遊具などを少しずつ克服していったコウは、休日に市内の大型公園へ行くと喜んで遊ぶようになりました。喜んで遊ぶといっても、年齢相応の動きではありません。膝程度の高さであっても必ず何かにつかまりながらソロリソロリと降り、階段は一段ずつ足を揃えて登るなど、『動きの不器用さ』はその後も目立ちました。動きの不器用さは今でもあるけれどUpload By 丸山さとこ中学生になった現在のコウも、歩く姿を遠目に見て「多分コウだな」と分かるような歩き方をしています。それでも、あの時に遊具で遊べるようになったことは、親子共に「練習してできるようになることもあるんだな」という微かな自信になったと思います。それと同時に、「練習しても(少なくともその時点では)どうにもならないこともあるんだな」という『現状の受け入れ』の土台も整ったような気がします。『〇〇ができるのなら□□もできるだろう。〇〇ができないなら□□もできないだろう』という見通しが立たない育ち方に親子で翻弄されながら、そのときどきにできることを試していきたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)球技などの運動が苦手で不器用なお子さんは、発達性協調運動症と診断されることが多いです。発達性調教運動障害があるお子さんへの支援は、病院のリハビリなどでは感覚統合訓練をOTと呼ばれる作業療法士さんが実施しています。また、私のクリニックでは音楽療法の中に感覚統合も含めてトレーニングと評価を行っています。病院へ行けない場合は、公園の遊具やアスレチックなどでトレーニングすることもできますので、親子で楽しみながら取り入れてみることもお薦めですよ。もし、お子さんの様子が気になる親御さんがいらっしゃいましたら、今後きちんと向き合うためにも、ASD、ADHD、発達性協調運動症など具体的な診断、医師の診察を受けられることも視野に入れられてはいかがでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月19日学習障害当事者37の工夫を収録ーー『LDの子が見つけたこんな勉強法「学び方」はひとつじゃない!』本書は、学ぶうえで困難さを感じたことのあるLDがある当事者とその家族の協力を得て、学校生活で困った具体的な場面と、その困りごとに対しての工夫をまとめた一冊です。1章では「私たちが勉強するときにしていた工夫」として、37の工夫を紹介。「読み」「書き」「暗記」などの事例と共に、診断名と困ったこと、それぞれの具体的な工夫がイラストも交えて分かりやすくまとめられています。また、工夫に対して、応用のポイントやヒントとなるコメントもついています。2章では、学校生活や合理的配慮について、事例からさらにふみこんだ当事者へのインタビューが掲載されています。社会人となって働いている大人から、現役の学生、保護者、年代もさまざまな当事者の工夫が数多く紹介されています。ほかにも障害者支援に携わる支援者からのメッセージに加えて、編著者の野口晃菜さん、田中裕一さんの対談も収録。子ども自身が困った時に、誰に相談するかをイメージする手助けにもなるでしょう。「授業中に板書が終わらない」「漢字を覚えられない」「勉強がおもしろくない」。 学校生活や授業で、「なんだかしんどい」「どうしたらいいか分からない」と疎外感を感じている子どもや、サポート法が分からず迷っている保護者に寄り添う一冊です。『起立性調節障害お悩み解消BOOK 「朝起きられない」子に親ができること!』起立性調節障害がある子どもは、中学生の10%を占めているといわれ、思春期に発症しやすい身体の病気です。症状は、頭痛・めまい・怠さ・朝の起きにくさなどがあり、症状が強くなると、学校に行きたくても身体が思い通りにならず、遅刻や欠勤を余儀なくされてしまうことも多いといいます。著者の吉田誠司先生は、2014年に起立性調節障害に関する研究で医学博士号を取得し、現在は、大阪医科大学小児科で心身症外来を担当する子どものこころの専門医です。本書は吉田先生がこれまでの診療のなかで得た当事者や保護者の経験がまとめられており、また、それぞれの場面で保護者が抱える悩みや、その悩みに対する対処法なども紹介されています。第1章では、起立性調節障害の仕組みを自立神経機能から解説。第2章は、食事・運動・睡眠など非薬物療法のポイントなど治療について、第3章では子どもが家で1日過ごすときに親子で意識したいこと、第4章では学校との関わり方や、学校選びや受験のポイントまで組み込まれています。起立性調節障害の症状のために学校に通えない、また、やりたいことができずつらくく悲しい思いをしている子どもや保護者もいることでしょう。本書は、起立性調節障害という疾患を知り、症状の改善と、学業や将来のこと、家庭での過ごし方、そして当事者である子どもとの接し方など、保護者が抱えるさまざまな悩みの解消の一助となるのではないでしょうか。『子どもたちはインターネットやゲームの世界で何をしているんだろう?児童精神科医からみた子どもたちの「居場所」』本書は、ゲームやアニメ、マンガの愛好家であり、子どもとゲームやインターネットとの関わりについて各方面での発信にも力を注ぐ児童精神科医の関正樹先生が、子どもたちの「居場所」としてのゲーム・インターネットの世界について、最新鋭の調査データや研究、そして臨床事例を交えて解説した一冊です。本書では、インターネットやゲームの世界に子どもたちが傾倒するには、その子どもたちなりの背景があると記されており、子どもたちがゲームやインターネットに没頭していく過程が丁寧に分析されています。そして、大人がその世界を知るために気をつけておきたいポイントを取り上げると共に、事例などを通じて子どもたちにとっての「居場所」としての意義を提案し検討するという形が取られています。また、本文中には、「ストリートファイター」や「スプラトゥーン」など実際のゲームも事例として登場し、ゲーム愛あふれる関先生ならではの視点も見どころの一つです。ゲームやインターネットの世界について網羅的に記述されている本書では、発達障害・不登校の子どもたちとインターネットやゲームの世界についても取り上げられています。「居場所」を求める子どもたちのなかには、リアルの世界で大きく傷ついたり溺れそうになっている子どももいるのかもしれません。SNSで胸のうちをつぶやかざる得ないときにも、それを責めるのではなく、共感的にその背景に目を向けることの重要性も記されています。本書は、目の前にいる子どもと接していく参考になると共に、子ども・青年たちに関わる支援者や臨床家や教育現場の教師など、「子どもの居場所のあり方」について関心のある多くの方にぜひ手に取ってもらいたい一冊です。子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしいーー『ダウン症のある子どもの離乳食から食事へー食べる機能を育てるためにー』ダウン症(21トリソミー)とは700人から1000人に1人の発生頻度と言われる21番染色体が1本多く存在することで起こる疾患です。ダウン症がある子どもは低緊張のため、哺乳力が弱いだけではなく、口唇を閉鎖する力も弱く、舌も突出しやすく、また咀嚼の発達自体もゆっくりで丸呑みしやすいといったことも多い傾向があるため、離乳食や食事の進め方にも注意が必要だとされています。本書は、日本ダウン症療育研究会会長であり大阪医科薬科大学小児科名誉教授の玉井浩先生が監修した、「ダウン症のある子どもの離乳食や食事はどうやって進めていけばよいか?」ダウン症のある子どもの家族の悩みに答える実践的な解説書です。食べさせ方や座り方、食事道具の選び方や使い方をはじめ、家族や保育者からよくある相談や困りごとをまとめた41のQ&Aなどをイラストや写真を交えて分かりやすく解説。さらにQ&Aでは成人になってからの食に関する悩みについても記されています。また、巻末付録には成長曲線(0〜36ヶ月・0〜18歳)も掲載。「子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしい」という想いを込めて書かれた本書。ダウン症がある子どもやその家族を支える医師や看護師、栄養士などの医療従事者、保育士をはじめとする保育関係者に、手元においてもらいたい一冊です。『「共感」からはじめる 発達障害のある子どもの支援教室における行動―情緒の問題を解決する6つのステップ』発達障害のある子どもの暴言や暴力、パニック、さらにゲーム依存といった行動上の問題の背景には、障害からくる特性だけではなく、養育環境や対人経験などのさまざまな要因が絡んだ子どもの情緒面の苦しみがあるのではないでしょうか。本書は、小中学校の通常学級や特別支援学級で発達障害のある子どもと関わる教員や支援者が、子どもが起こす行動上の問題の先にあるその背景を理解し、子どもの情緒に共感して適切に関わり、効率的な支援が行えるようになるための6つのステップを解説しています。著者は、宮城教育大学大学院教育学研究科教授の植木田潤先生。本書のなかでは、植木田先生が25年以上にわたり継続してきた教育相談やカウンセリングのなかで培ってきた事例も組み込み、事例理解を通じて「共感からはじめる支援」を体感できる内容となっています。また、障害特性や目に見える行動だけではなく、養育環境や対人経験といった「育ちの軌跡」や、それらによって生じた価値観などにも注目し、子どもだけではなくその家庭との関わり方のポイントや具体的な支援方法についても詳しく解説されています。発達障害がある子どもたちが示す行動上の問題は、実は、子どもたちの発する救済信号かもしれません。本書は、その行動や情緒の問題の背景にある子どもたちの想いや願いを理解し、支援しようと日々奮起している教員や支援者に読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月17日もし、自分の娘が学校に行けなくなったら……?今回は、起立性調節障害という病気で、学校に行きたくても行けない人のお話です。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画「ある日学校へ行けなくなりました」から、話の展開を予想していただくクイズをお届けします!本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。事情を説明するも……ここでクイズです!起立性調節障害により、学校に毎日通えない主人公。久しぶりに学校に行き、友人に事情を説明します。すると、友人たちはどんな返答をしたでしょう……?ヒントとして、それは主人公の想像とは違い……。友人たちの返答は……?正解は『怠け』だと言われた病気について説明するも、サボりや怠けだと言われてしまう主人公。ショックを受けた主人公は、学校に行けなくなり……。こんな時どうする?もし、病気で苦しんでいるのに“怠け”だと言われたら、悲しいですよね。今回の主人公は、友人からの理解を得られませんでした。もし、身近な人が同じ病気だったら、あなたならどう対応しますか?※実体験を元に漫画化したものです※こちらの記事・漫画はあくまで一例として、それについて考えるきっかけ作りになればと思います。■作画:ちり(MOREDOOR編集部)
2023年09月15日障害の診断を受けて一番に考えたこと長女が小学校4年生だったある日、私は担任の先生から呼び出されました。「ゆいさんを見ていると、授業の進度についていくのが少し大変そうに感じます。もしよかったら一度専門の機関で相談してみては……」と先生から薦められました。その後長女は発達に関する検査と診察を受け、軽度の知的障害・ASD・場面緘黙と診断されました。検査の結果を受けて小学校の先生方と話し合い、算数など苦手な教科のときは特別支援教室で授業を受けることにしました。通常学級の授業は長女にとっては進度が早く、苦手な教科はついていくのが難しいので、この取り出しタイプの指導は長女にぴったりだったと思います。(※自治体により制度は異なります)ただ、一つ心配なことがありました。同じクラス中でほかの子どもたちと一人だけ違うことをすることで、友達から違和感を持たれることはないか、友達との関係が変わってしまうのではないかということでした。Upload By 吉田いらこ女子グループの中で浮いてしまうのでは…?長女はおとなしいタイプなので友達と喧嘩をすることはありませんでしたが、人間関係って何がきっかけで変わってしまうか分からないから……と、私は少し不安に感じていました。「もし長女が友達とうまくいかないようなことがあったら、保護者としてはどう対応したらいいのだろうか……」など心配しながら過ごしていました。ある日、長女が学校から帰ってきて「今日友達がうちに遊びに来るよ」と言いました。しかも「一緒に宿題をするんだ」とうれしそうに言うので私はちょっと焦ってしまいました。特別支援教室で出された長女の宿題は、通常学級の宿題とは違い、長女の学力に合わせた易しい内容のものです。一緒に宿題をするって、どうするんだろう……?Upload By 吉田いらこ自分の考えが恥ずかしくなったけれども私の心配は全く無用なものでした。友達数人でわが家に集まり宿題が始まったのですが、皆が長女に勉強を教えてくれるのです。それは子どもたちにとってはとても自然で当たり前のことのようでした。私は、自分が心配をしすぎていたことが恥ずかしくなりました。特別支援教室で授業を受けること、そんなことで友達は態度を変えたりなんてしないし、長女も何も変わりません。私だけが「この子は皆と違う」と枠をつくって囲っていました。障害の診断がついたことで変わったのは大人の私の意識だけ。しかも悪いほうに……。Upload By 吉田いらこ長女に障害の診断がついたことで私自身は変な方向に意識を変えてしまっていたのです。この状態では、私は第三者が掛けてくれる優しい声を、逆にネガティブに受け取ってしまうかもしれません。これからは私が考えを改めないといけないなと痛感した出来事でした。そして、何も変わらない子どもたちに大切なことを教えてもらったありがたい出来事でもありました。成長と同時に長女にはこれからも新たな悩みが出てくるかもしれません。でも、母である私自身がなんでもフラットに受け止められる状態でいられるよう努力していきたいと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:藤井先生より)特別支援教室に転籍したらいじめられるのかも、と親御さんが心配されることがあります。今回の吉田いらこさんも、友達関係が変わってしまうのかも、と心配されていたようですが、心配は無用だったようですね。親だからこそ、子供が困らないようにと心配してしまうのは仕方がないのですが、案外平気なこともたくさんあります。今回のように、心配無用だったなということを知り、親自身、大人自身が教えられる場面もたくさんあります。子育て中は、こうなったらどうしようと心配になることもあるかもしれませんが、そうなったらそうなったときに考えれば良い、とどんと構えることも時には必要かと思います。素敵なエピソードの共有をありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月07日パニック障害と産後うつで心療内科に通い始めて2年半。夫や子どもにイライラしてしまうことを医師に話すと、薬を増やす提案をされました。薬を飲まない生活を目指していた私はショックを受けたのですが、医師のある言葉で大切なことに気付くことができて……。★関連記事:パニック障害、不安障害、うつ病…毎日必死で頑張っていた私を襲った病気に気付かされたこと夫と子どもにイライラしてしまう…薬が増えるのは悪いことではない2年半ほど前に、心療内科でパニック障害と産後うつであると診断されました。それからずっと、私の体調の変化に合わせて薬の種類と量を調節しながら通院を続けています。薬を飲まない生活に戻ることを目的に治療してきたつもりでしたが、医師に夫や子どもにイライラしてしまうことを話すと薬の量を増やすことを提案され、ショックを受けました。ですが薬を飲んで2日くらいたつと、イライラする心が落ち着き、安定してきました。ただ、私はそれを手放しでは喜べず、「薬の効果だと思うと少し怖いような気もする」と心療内科の医師に伝えたところ……。「薬を飲めば落ち着くことがわかったというのが、今は良いことだと思いますよ」と言われてハッとしました。今まで私はそんなふうに考えたことがありませんでした。薬を減らすこと、飲まない状態になることが治療のゴールだと思っていたからです。医師の言葉で、自分自身が穏やかに毎日を過ごせることが一番良いことなのではないかと気付くことができました。カウンセリングの効果を期待できるように医師に「本来のあなたは穏やかな性格だと思いますよ」と言われ、そうだ本来の私は穏やかなほうだったと思い出しました。そこから夫や子どもにイライラしてしまうことに対してカウンセリングを勧められました。カウンセリングは過去に受けたことがあるのですが、そのときはあまり効果がなく途中で通うのをやめました。でも、今回私自身の治療に対する考えも変わったので効果があるのではないかと期待しています。以前は、薬を飲まない生活に戻りたい、カウンセリングで何が良くなるのかわからないという状態でした。しかし今は、薬を飲みながら心を安定させて、カウンセリングではイライラしてしまう家族のことを話せば良いのかなと考えています。カウンセリングを勧められるほど悪い状態なのかとショックでしたが、今では良くなるための方法の1つだと捉えています。精神を安定させるにはセロトニンが必要医師いわく、セロトニンを増やすと心が穏やかになるとのこと。ネットでも検索してみると、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神が安定する脳内物質ということでした。増やす方法を調べた中で、私が実践できそうなことは、バランスの良い食生活をする、日光を浴びて15分ほど散歩するという2つでした。簡単なことですが、私には意識しないとおろそかになる部分です。精神を安定させるためには、健康な体が必要なのだと思いました。薬と同じようにできそうなことから無理のない範囲で実践していき、自分に合う手段を見つけていこうと思います。まとめ以前は、パニック障害、産後うつの薬での治療を早く終わらせたいと考えていました。しかし、最近、薬の量を増やしてイライラが落ち着いたことで、穏やかに毎日を過ごすために時には薬を飲んで精神を安定させることも必要なのだとわかりました。以前は途中でやめてしまったカウンセリングも今は通うのを楽しみにしています。また、医師からセロトニンを増やすと良いとのアドバイスをもらったことは、薬以外に自分ができることは何かを考えるきっかけになりました。病院に通って2年半たちますが、治療のこと、薬のことを前向きに捉えられるようになってきてよかったです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。マンガ/山口がたこ著者/れいこ (43歳)電化製品好きな夫、保育園児の子ども2人、猫と暮らしている。コーヒーと美容家電が好き。
2023年09月06日最近よく耳にするようになった、「発達障害」という言葉。町田粥さんの初コミックエッセイ『発達障害なわたしたち』は、当事者による当事者へのインタビューがベースになっていて、そもそも発達障害とは何なのか、日常でどんなことに困っているのかを明るく解読している。インタビュアーは限りなく本人に近いキャラクター、マンガ家のM(エム)ちださんと担当編集のK成(ケーなり)さん。ふたりは同時期に発達障害の特性のひとつ、軽度のADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けている。当事者もそうでない人も、大人の発達障害について明るく語ろう。「自分が発達障害だと言われたら、いろんなリアクションがあると思うのですが、私はショックや動揺ではなく『面白い!』と思ったんですよね。劣等感に繋がっていた部分を説明できるようになって救われもしたので、そういう気持ちになれる人はほかにもいるはずだと思いました」ふたりの事例から始まり、登場するゲストはMちださんの妹、ADHD寄りのASD(自閉スペクトラム症)の特性のあるマンガ家のカメントツさん、性別で見ると圧倒的に少ないASD傾向の女性など。「子どもの頃からの困り事を軸に、解決するためにどんな動きをして、今どうやって過ごしているのか、それぞれ順を追ってお聞きしました。カメントツ先生の“辛い人は『辛い』って言っていいし、辛くない人は『辛くない』って言っていい”という言葉が印象的で、たしかに大変かどうかは周りが決めることではない。その人と向き合った聞き方をしなければいけないと感じました」発達障害の特性のある人たちが、日々の困り事を減らすために欠かせないのが、家族や職場など周りの人たちの理解やちょっとした配慮であることも、本作は教えてくれる。たとえば衝動の強い人は、いわゆる失言や余計なことをしてしまいがちなのだが、本人に悪気がないことを知っておくだけで、受け取り方が変わってくるだろう。得手不得手の差が激しいという傾向も、周囲の理解さえあれば、組織内で大きな力を発揮することにも繋がっていく。「正しい知識がないと、当事者にどう接したらいいかわからないと思うのですが、ネットの情報は結構偏っていたりすることも監修の先生への取材を通して知りました。なので間違った知識や偏見を、丁寧につぶしていくつもりで描いています」連載中から本作への反響は大きく、このテーマへの関心の高さや、他人事ではない感じもうかがえる。「2巻以降、お話を聞きたい人がすでに何人かいて、『実は私も…』という声も多くいただいています。そういった繋がりから、さらに話が広がっていくかもしれないですね」『発達障害なわたしたち』1軽度のADHDと診断されたマンガ家と担当編集者が、さまざまな症状の当事者にインタビュー。発達障害について、ポジティブに考えるきっかけになる一冊。祥伝社1034円。©町田粥/祥伝社フィールコミックスまちだ・かゆマンガ家。『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』でデビュー。著作に男のみの歌劇団を描いた『吉祥寺少年歌劇』など。※『anan』2023年9月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年09月05日みなさんは、「起立性調節障害」をご存知でしょうか?この病気を持つ人は症状から様々な偏見を持たれてしまいます。大正製薬のホームページによると、10~16歳の思春期の子どもに多く、倦怠感や立ちくらみなどの症状が午前中に強く見られますが、午後には軽減するため「怠けている」と周囲から思われてしまうこともあるようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画「ある日、私は学校に行けなくなった。」をご紹介します。朝、起きれなくて……この漫画に読者からは……『私も元起立性調節障害で理解してもらうまでに時間がかかり、とても辛かったです。周囲との関係性や自分がいる環境によって大きく変わるものだなと思いました。』『決して他人事ではない病気だし、周りも理解が必要』『クラスの中でこの子の気持ちに寄り添ってくれる子が一人でもいれば、また違ったんじゃないかと考えてしまいます。最後にお母さんが寄り添ってくれたのが本当に良かったと思いました。』『見た目にはあらわれない病気を患っている人も多いと思うので、もっと周りの理解が深まればいいな』など、病気への理解の必要性についてたくさんの声がよせられました。怠けではない……本作では、「起立性調節障害」を患っている思春期の子の辛さに注目しました。読者の皆様からの感想にもあったように、病気に対して周囲が理解を示すことが大切ですね。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※こちらの記事・漫画はあくまで一例として、それについて考えるきっかけ作りになればと思います。※実体験を元に漫画化したものです■作画:ちり(MOREDOOR編集部)
2023年09月04日発達障害っ子の災害対策!わが家の防災ノウハウ大公開!私は、もともと「何かあったらどうする?どうなる?」と考える性格。いざというときに、持ち出すものに迷ってぐずぐずしないようにするため、お薬手帳や、保険証、病院の診察券は常にまとめて、持ち出しやすいようにしてあります。Upload By 寺島ヒロバラバラな場所で被災したらわが家の凸凹きょうだいは、現在、兄タケルが大学院生、妹いっちゃんが通信制の高校生。比較的家にいることが多く、くっつき合って暮らしているので、もし地震などがあってもお互いを探し合うことはあまりないかもしれません。しかし、頻度は低いですが、タケルはフィールドワークで1人で遠くに出かけることもありますし、いっちゃんも友達と遊びに行くこともあります。もしそういうときに大きな災害に遭ってしまったら、不安でその場から動けなくなったり、逆に慌てて動き回ったりして危険かもしれないなと思います。位置情報が分かるアプリを活用集団で被災したときは、指示されたことを理解できなかったり、何か手伝いを任されてもうまくできなかったりして、ほかの人に迷惑をかける可能性もあります。そういうことも考えて、一刻も早く合流できるよう、いつも持っていスマートフォンやタブレットに家族全員がお互いの居場所が分かるアプリを入れています。わが家で使っているアプリは、そのスマホやiPadがある場所を「だいたいこの辺にあります」と地図上で表示してくれるものです。普段から「動けなくなった!」などのSOSを受けて探しにいくときも便利に使っています。お出かけのときには必ず障害者手帳をまた、バラバラに被災したとき、身元を分かるようにするため、出かけるときには障害者手帳を常に携帯するようにしています。もちろん、帰ってきたら「元の位置」に戻すようにします!避難所暮らしはどうなる?災害復旧がすぐにできない場合は、避難も考えないといけません。しかし、わが家の凸凹きょうだいは、基本1人になりたい時間が長いので、ほかの人と一緒の環境で寝泊まりするのは難しそうです。特にタケルは緊張が高まるとしゃべり続けてしまう可能性も高いですし、一緒にいる方々に迷惑をかけてしまうかもしれません。基本的には自宅避難基本的には家でできるだけ粘ろうと思っているので、乾物や缶詰はいつも1週間分ほど買い置きしてあります。Upload By 寺島ヒロまた、避難のための移動や、避難所暮らしが難しい場合に簡易寝所として使うため、何がなんでも自家用車(軽ですけど)を維持しようと思っています。わが家の家計においては、本当に大きな負担ではあるのですが……日ごろの送迎にも使いますし、車があると夜間の時間を有効に使えるというのもありますから、なんとか頑張っています。普段からちょっと気をつけていること災害対策というわけではないですが、地域での繋がりをつくるために、ちょっとだけ心がけていることがあります。それは、地元の夜中のコンビニに行くこと。夜中に行くと店番しているのは大体経営者家族の誰か、つまり、元々地域に住んでいた人だったりするんですよね。特に深夜でもお酒を販売している店は、ずっとその地域で塩屋や酒屋を営んでいた一家の可能性が高いのです。特に仲良くなろうと意気込むことはないと思うのですが、ときどき買い物に行って丁寧に会話して「この辺に住んでいるのだな、子どもになにか障害があるみたいだ」と覚えておいてもらえるようにします(行き帰りの夜道には気をつけて!)。もちろん助けてもらうことばかり考えるわけにはいかないので、こちらも近くのお店の人や、人の顔は覚えるようにするし、地域のイベントの手伝いを頼まれたら引き受けたりもします。地味ですが、こういうことがいざというとき、お互いの助けになるんじゃないかなと思って、日ごろから心がけています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)災害時のための備えについて教えて下さりありがとうございます。とても具体的な内容で、分かりやすく、わが家でどのような対策が必要かについて考えるきっかけにもなりました。災害時という「普段と違う状況」というのは、発達の偏りがある人にとって、通常よりもさらにストレスがかかりやすい状況で、実際にその時はそれなりに苦労することが予想されます。それでも、一人ひとりの特性にあった対策を立てておいて、いざというときにも乗り切っていくしかないですね。お子さんが成長して行動範囲が広がっているなら、GPSを使った位置共有アプリなどを設定しておくのはとてもいいですね。突発的な出来事がおきるとパニックになって連絡がすぐにとれないということもあるかもしれません。災害時は電話が繋がりにくくなることがあるかもしれないですが、位置共有アプリならデータ通信が生きていれば場所が特定できてお互いに安心ですね。避難所生活が、発達の偏りのあるタイプの人にとって可能かどうかは、その方の特性にもよりますが、他者との距離が近く人が多くざわざわしている避難所には入れない方もいると思います。自家用車や、テントなどを活用することを考えて準備しておくことは大事ですね。また、非常事態では、口頭でいろいろ説明するとかえって不安が増しやすく、書いて見せて伝えたほうが伝わりやすいという方もいます。筆談セットなどを用意しておくのもオススメです。寺島さんのご家族は、家族一人ひとりが災害時に備えて準備したり、役割を分担したりしているのはとても素晴らしいです。この記事を読んで、わが家ももう少しいざというときのための対策をしておかなければいけないと反省しました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月04日ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「私とフェムケアの話」。ラジオパーソナリティとして多忙な日々を過ごしている石山蓮華さんに、心身との向き合い方を聞きました。健康のための手立てはいくらあってもいい。もともと生理不順やPMS、腰痛といった生理にまつわるさまざまな不調を抱えていたという石山蓮華さん。今年4月からラジオの帯番組を担当している彼女は、心身のゆらぎにどう対応している?「月によって不調に波はあるのですが、番組中に“今日は舌が回らない、噛むな”と思ったら実は生理前だった、ということも。対策として取り入れているのは、漢方やカイロ。新しい化粧品を買って気分を高めたりするのも手立てのひとつに。私は体を動かさずにいると肩こりなどの症状が重くなるので、巡りがよくなりそうなサウナやヨガにも通い始めました」ストレスも症状悪化の要因となりうるが、“お昼の顔”を務め始めたことの影響は?「周りの方とコミュニケーションがとれているので、今のところ特にストレスはないですね。以前は仕事に自分を合わせなくてはという思いが強く、ロケ中などに無理をしてしまうこともありました。でも最近は、働く中で自分に波があることも人間らしさとして容認してもいいのかも、と思うように。女性特有の不調に限らず、体調の波は生き物として当然。個人のみに責任があるものではないという意識を社会的に共有することで、無理な労働はさせないとか、休暇が取りやすい仕組みを作るとか、いろんな状況の人が働きやすくなる環境が整うのかなと思います」30代に入り、周りの友人ともフェムケアの話題が増えているそう。「最初は“生理つらいよね”くらいだったけれど、徐々に“ここの婦人科がよかった”とか“月経カップは便利だよ”などと具体的な話ができるように。私自身は月経カップや吸水ショーツ、デリケートゾーン用のソープを愛用中。友人からもらったセルフプレジャーアイテムを試したこともあります。特に月経カップは自分の経血の状態や量がわかりやすく、フェムテックを通して自分の体を改めて知ることができるのが面白いです」雑誌やウェブの女性性に関する記事にもアンテナを張っているという石山さんに、最近印象的だったエンタメ作品を尋ねてみた。「シングルマザーとその娘を描いた映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で、母親が揉めた相手を威嚇するために使用後のナプキンをドアに貼り付ける場面があるんです。女性性の扱い方の可能性を感じました。先日『こねくと』内の町山智浩さんの映画コーナーで、フェミニズムがテーマの作品を取り上げました。町山さんとのトークもわりと踏み込んだ内容になり、リスナーの方からの反応も上々でした。今まで番組内でフェムケアなどの企画はやっていないけれど、女性の心身に関しても自分の意見を積極的にお話ししていきたいと思っています」最後に、体のために今後取り入れたいことを教えてもらった。「異変がなくても婦人科に行くことはすごく大切。自分の状態を把握できるし、些細な不調も相談しやすいと思うんです。あとは、私と同じように生理不順だった母親が平均年齢より早く閉経しているので、妊娠・出産を含めて一度しっかり聞いてみようかなと。健康のための手立てや情報はいくらあってもいいし、知識を得ることで不調を抱えた人のサポートもしやすくなる気がします」いしやま・れんげ1992年10月22日生まれ、埼玉県出身。俳優、文筆家、電線愛好家としての顔に加え、今年4月からTBSラジオ『こねくと』(毎週月~木曜、13:00~15:30)のメインパーソナリティを務めている。※『anan』2023年9月6日号より。写真・野口マサヒロ取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2023年09月03日子育てをしていると、子どもが学校に行きたがらない経験をした人も多いのではないでしょうか。もし、その理由がパニック障害だったら……?今回は、MOREDOORのオリジナル創作漫画『ヘルプマーク』より話の展開を予想していただくクイズをお届けします。息子に起きた異変……2人の子どもを育てるシングルマザーのミホ。小学5年生の息子・ユウタは活発で、小学2年生の娘・マユは控えめな性格。ある日突然、ユウタがパニック障害であると判明。しかしヘルプマークを身につけると、息子は友人から「普通じゃない」と言われ……。思い悩み……友人の母親が声をかけ……ここでクイズです!授業参観で、息子に「普通じゃない」と言った、友人の母親が話しかけてきます。声をかけられて、返答するミホ。一体、どんな用件で話しかけてきたのでしょうか?ヒントは、その友人のトラブルの件です。母親の用件は……?正解は、謝罪した友人の母親は、息子の発言について謝罪してくれました。さらに自分もヘルプマークを知らなかったと話し……。こんな時どうする?病気について、理解を示そうとしてくれる人がいたら安心しますよね。今回の、友人の母親は、息子の行動について謝罪してくれました。もし、ヘルプマークをつけている人が周りにいたら……、もしあなただったら、こんなときどうしますか……?※この漫画はフィクションです。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:長月よーこ■脚本:華丘侑果(MOREDOOR編集部)
2023年09月02日きょうだい児として育ったはちみつこさん。きょうだい児とは、障害や病気などを兄弟姉妹に持つ子どものこと。はちみつこさんにはふみちゃんという妹がいるのですが、子どものころから少し「あれ?」と感じることが多くありました。そんな矢先、「就職したはずの妹が解雇になった」と母親から電話を受けたはちみつこさん。結局ふみちゃんははちみつこさんが住むB市に引っ越すことが決まったものの、家賃はすべて母親持ち。自分とあまりにも違う扱いを不公平に感じ、はちみつこさんはふみちゃんへのイライラを抑えられません。はちみつこさんがふみちゃんにイラ立ちを募らせていたのは、当時の仕事上での待遇にも原因があったようで……?そして3年後。妹との関係は… しばらくの間ふみちゃんと距離をおいていたはちみつこさん。そんな2人の関係を変えるきっかけとなったのは、はちみつこさんの出産でした。母親から、ふみちゃんははちみつこさんにずっと憧れていること、女性としての幸せを望めない可能性があることなどを聞いたのです。親になったからこそ、母親のふみちゃんへの気持ちを理解できるようになったはちみつこさん。今ではピンチのときに助けてもらうなど、ふみちゃんを頼りにしています。まだふみちゃんを心配に思うこともあるはちみつこさんですが、限りある人生の中で、家族と暮らす「今」という時間を大切にしたいと思っているのでした。 はちみつこさんが感じたように、「親になって初めてわかった」という経験をしたことがある方は多いでしょう。たしかに、マイペースなふみちゃんとしっかりもののはちみつこさんに対し、母親の対応は平等ではなかったかもしれません。 ですが、母親はどちらの子のこともしっかりと愛していたはず。 人のきょうだい関係を羨ましく感じることもあるかもしれませんが、家族の存在は何にも代えがたいものです。 自分の家族だからこそ築ける、かけがえのない関係を大切にしていきたいですね。著者:マンガ家・イラストレーター はちみつこ
2023年08月31日あなたの身近な人も、見た目だけでは分からない病気を持っているかもしれない……。今回は、実体験をもとにしたMOREDOORのオリジナル創作漫画『起立性調節障害って知ってますか?』より漫画の展開を予想していただくクイズをお届けします。【あらすじ】毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。佳純は寝つきが悪く、朝起きれずに遅刻を繰り返します。学校の先生や母は佳純を責めます。しかしその後、病院で検査すると“起立性調節障害”だと判明。異常な眠気は病気のせいだったのです。佳純は周囲の助けを借りつつ、上手く病気と付き合えるようになり……。先生にも褒められ……ここでクイズです!日常生活の工夫もあり、症状が改善していると診断を受けた佳純。この後、医師から治療に効果的な意外な行動を聞きます。その内容とはいったいどんなものだったでしょうか?ヒントは日常で簡単に取り入れられるものです。意外な治療法とは?正解は「筋トレ」!治療には、足の筋トレやストレス解消も効果的だと伝えられた佳純と母。どちらも起立性調節障害と関連しているとは少し意外ですよね。この後佳純は、さらに日常での様々な工夫を凝らしながら起立性調節障害を乗り越えていくのでした。佳純と母の努力……起立性調節障害だと診断を受けてからの、佳純と母の治療に対する積極的な姿勢は素晴らしいですよね。薬などを飲まなくても、日々の習慣の改善や、周りからの理解、助けがあれば症状は改善される可能性があるということがわかりましたね。みなさんはこの漫画を読んでどのように感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年08月27日