アークレイは10月14日、京都大学と共同で、微小流路を用いた超小型細胞培養装置を設計・作製し、さらにこの装置の中でヒトiPS細胞を1細胞から増殖させることに成功し、増殖後も本来の性質を維持していることを確認したと発表した。同成果は、アークレイ、京都大学大学院 工学研究科の小寺秀俊教授、巽和也准教授、同大 再生医科学研究所の多田高准教授、同大 物質-細胞統合システム拠点のLiu Li助教らによるもの。詳細は、国際学術雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載された。同装置は、無色透明のシリコン樹脂素材で作製した直径0.5mmの流路と、小型ポンプを組み合わせたもので、顕微鏡のステージ上に設置可能なサイズのため、培養中の細胞を随時観察したいというニーズに応えている。また、同装置による培養手法は、培養皿を用いた従来の手法に比べて、細胞周囲の環境を精密に制御できる他、操作が簡便で自動化に向いている、密閉状態を維持できるため細菌などの混入リスクが低いなどの利点を有する。これらにより、細胞の品質管理が容易で、今後医療応用分野における標準的な手法になると期待されるとしている。さらに、医療応用のための製品化や品質管理が容易であり、装置の大規模化による大量培養装置や培養機能を検査装置に組み込んだ細胞診断機器の開発などに応用することで、再生医療の普及に貢献できるものと考えられるという。今後、先端医療を一般の臨床現場に普及させ、より多くの患者に提供するための再生医療支援機器の開発に役立てていくとコメントしている。
2014年10月15日アークレイは10月14日、京都大学との共同研究で、ヒトiPS細胞を1個から培養可能な、超小型培養装置の開発に成功したと発表した。同研究成果は同社と同大学大学院工学研究科の小寺秀俊 教授、巽和也 准教授、同大学再生医科学研究所の多田高 准教授、同大学物質-細胞統合システム拠点のLiu Li 助教らによるもので、国際学術雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載された。再生医療をはじめ細胞培養を伴う医療応用分野において、細胞の品質(安全性・機能性)管理は非常に重要だが、一般的な培養皿を使用する手法では、培養皿の中の液体(培地)の対流により、細胞周囲の環境を精密に制御することが困難となる。また、老廃物の蓄積などにより、細胞周辺環境が影響を受けてしまうことや、作業時に外気へ接触することによって細菌やウイルスが混入する危険性がある。そのため同研究グループでは、簡単かつ安全にヒトiPS細胞を培養する方法を検討していた。今回の研究では、シリコン樹脂素材により作製した直径0.5mmの流路と、小型ポンプを組み合わせて超小型培養装置を設計・作製した。同装置は、顕微鏡のステージ上に設置可能なサイズであり、培養中の細胞を随時観察することもできる。従来に比べてこの装置を用いた培養手法は、細胞周囲の環境を精密に制御できる、操作が簡便で自動化に向いている、密閉状態を維持できるため細菌などの混入リスクが低い、などの利点がある。細胞の品質管理が容易であることから、今後医療応用分野における標準的な手法になり得るという。さらに、同研究では、ヒトiPS細胞の1細胞からの培養を実現し、増殖したiPS細胞が本来の性質を維持していることが確認された。同培養手法を応用することで、装置の大規模化による大量培養装置や培養機能を検査装置に組み込んだ細胞診断機器の開発につながることが期待される。
2014年10月15日整体師の大山奏です。「スポーツの秋」と同様に「食欲の秋」もやってきましたね。食べた物は燃焼させないと、必ず脂肪として身体に残ってしまいます。日々体幹トレーニングをすることで基礎代謝を高め、おいしい物を食べても太りにくい身体を手に入れてくださいね。今回は、体側を使って脇腹を鍛える体幹トレーニングをご紹介します。横向きに寝転び片手を上側の腰、反対の手を顔の前の床についた状態からスタートします。手で床を押しながら上半身を上に持ち上げます。○脇腹を意識し、息を吐いて上半身を持ち上げる最初の姿勢ができたら、息を吐きながら上半身を持ち上げていきます。もちろん手の力を使いますが、意識は脇腹に持っていく方がいいです。しっかりと脇腹の肉が寄っていることを確認しましょう。下側の体側が伸びているかどうかにも注意してみてください。腹筋や背筋にも力を入れておくことで、上半身を安定して持ち上げることができます。○脚が床から離れるのはNG上半身を上に持ち上げたときに、バランスをとろうと脚が床から離れてしまうことがありますが、それはNGです。しっかりと体側を曲げるように筋肉を使いましょう。脚は両脚とも上がってしまう場合と、片脚だけが上がってしまう場合がありますが、両方ダメです。また、上半身が前に倒れがちですが、そこも注意してください。身体は真っすぐなまま上に持ち上げます。息を止めてしまわないようにしましょう。○上半身を上げたまま呼吸をすれば強度アップまずは左右10回ずつを目安にしてみてください。通常は息を吐ききったら上半身を下ろしますが、負荷を強くしたい場合は、上半身を上げたまま自然な呼吸を2,3回入れてみてください。脇腹の力の入れ方を強くすることでも、運動強度は変えられますよ。脇腹はお肉がつくとすぐにわかる部分ですよね。通常の腹筋と背筋だけではお肉はなくならないので、手でつまめるような脂肪がある場合はすぐにトレーニングをしましょう。トレーニングをいろいろと知っていくと、自分がやりやすいものとやりにくいものが出てくると思います。人によって筋肉のつき方は全然違うので、やりにくいものを見つけたら弱点を強化できるチャンスだと認識して、前向きにメニューに入れていくといいですよ!○筆者プロフィール: 大山 奏(おおやま かなで)スピリチュアルと運動が好きなアウトドア系ライター。整体師。癒やしを与えられる人になろうとアロマテラピーインストラクター・セラピストへ向けて勉強中。ストレス解消法は神社巡りと滝行。スピリチュアル系雑誌の執筆から脳科学・恋愛記事まで、興味のあるものには迷わず挑戦している。ブログ「ひよっこライター大山奏」では、日々の出来事を思うままにつづっている。また、これまでのさまざまなストレッチをまとめた電子書籍も販売中。
2014年10月13日(画像はプレスリリースより)触れてしまいたくなる手触りの髪が一日中続く美容液シャンプーのアジエンスの、洗い流さないトリートメント「髪の美容液シリーズ」が2014年10月4日より新しく発売されました。アジエンスの髪の美容液シリーズは、アジア東西から選び抜かれたオリエンタル美容オイルが配合された、オイル、ミルク、ミストの3タイプで、ケアしたての手触りの髪が一日中続きます。髪をおろすことが多い季節だからこそ美しい髪をキープ今回発売された、髪の美容液シリーズは、仕上がりの好みにあわせて選ぶことができ、髪にすーっとなじんでベタつかない「髪の美容液オイル」、しっとりとまとまりのある髪に導く「髪の美容液ミルク」、さらっとしてまとまりのある仕上がりになる「髪の美容液ミスト」の3タイプとなっています。また10月2日より、すみれさん出演の「美容液オイル」の新CMも放映されています。【参考】・花王株式会社(花王MKニュース)プレスリリース/PRTIMES
2014年10月05日岡山大学は9月25日、ヒトの血液の中からがん細胞の増殖を抑制する抗体(タンパク)を発見したと発表した。同成果は、同大病院消化器内科の三宅康広助教らによるもの。詳細は10月15~17日にパシフィコ横浜で開催される「BioJapan 2014」で発表される予定だという。日本人が生涯でがんに罹患する確率は約50%と言われており、毎日生じる数千個のがん細胞を生体内の腫瘍免疫システムがそれを排除することで、健康を保てていると考えられている。しかし、どうして同システムがどのようにしてがん細胞を排除しているかについては良く分かっていなかった。今回の研究では、がん細胞に高発現する「リボソームタンパクL29(RPL29)」を認識する血液中に存在する抗体に膵がんや肺がん、乳がん、肝がん、大腸がん、前立腺がんの細胞増殖を抑制する効果があることを確認したほか、膵がん患者105例について検討した結果、血液中に抗RPL29抗体を多く有している患者では、同じ病状で同じ治療を受けた場合でも明らかに生存期間が長いことが判明したという。これらの結果は、抗RPL29抗体を測定して生体内で機能している腫瘍免疫システムの状態を評価することが可能であることを示すものであり、個々のがん患者に適した治療方針を決定することが可能になると研究グループでは説明している。また、同抗体そのものにがん細胞の増殖を抑制したりがん細胞を細胞死(アポトーシス)に誘導したりする効果のあることから、抗RPL29抗体は安全性の高い新規の抗腫瘍薬としても期待されるとしており、すでに抗体医薬やがんワクチンの開発を目指した研究を進めているとしている。
2014年09月26日京都大学(京大)は9月22日、放射線や抗がん剤を用いたがん治療における精子幹細胞のDNAのダメージによって引き起こされる副作用である不妊症について、精子幹細胞におけるDNAダメージが特定の遺伝子経路を活性化し、その細胞死を誘導することを明らかにしたと発表した。同研究成果は同大学大学院医学研究科の篠原隆司 教授、同 篠原美都 助教、同 森本裕子 研究員、同大学医学部の石井慧氏、同大学放射線生物研究センターの高田穣 教授、同 石合正道 准教授、福島県立医科大学の丹羽太貫 特命教授(京都大学名誉教授)らの研究グループによるもので、9月18日付(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」に掲載された。小児がんに対する抗がん剤治療では、7割以上の患者が5年以上生存し、そのうち約3割が不妊症となることが知られている。成人の場合は、精子を凍結して保存することができるが、小児の場合は精子が回収できないため、抗がん剤による不妊症は深刻な問題となっている。精巣はDNAダメージを受けやすい組織として知られているが、放射線を含むDNAダメージがどのようにして精子幹細胞の細胞死を誘導するかはわかっていなかった。同研究チームは今回、マウスを用いた研究などによって、これまで精子幹細胞の細胞死には関係がないと考えられていた「Trp53」遺伝子が関与していることを発見。さらに、放射線の照射によって、「Trp53」の下流遺伝子が次々に活性化され、細胞死を誘導することも突き止めた。今回確認された現象は放射線の照射だけでなく、抗がん剤を加えた場合でも同様で、がん治療の際に起こる不妊症の改善に応用できる可能性があるという。
2014年09月24日(画像はプレスリリースより)4つの機能がこれ1本で!唇にのせた瞬間、とろけるようなグロスのツヤがクセになってしまう、リップ美容液「スージークリーミィリップセラム」が、2014年10月1日新発売されます。「スージークリーミィリップセラム」は、美容液、グロス、リップベース、紫外線防止の4つの効果が1本で叶い、ロングラスティング処方で、長時間うるおいとツヤが持続します。とろけるような濃密な質感フリーズドライヒアルロン酸、コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、アロエベラエキス、カミツレエキスが贅沢に配合され、スティック形状でありながら、唇にのせると、とろけるような濃密な質感とツヤで、魅力のある美しい唇に導きます。カラーはクリアとほんのり色づくチェリーピンクの2種類で価格は1,296(税込み)となっています。【参考】・株式会社伊勢半プレスリリース/PRTIMES
2014年09月18日理化学研究所(理研)は9月12日、ヒトの頭皮から採取した毛根の細胞に、ヒトの脳の細胞と共通する遺伝子が発現していることを発見し、これらの遺伝子の発現量の変化が、統合失調症や自閉症などの精神疾患の早期診断を補助する指標となる可能性を示したと発表した。この成果は理研脳科学総合研究センター 分子精神科学研究チームの前川素子 研究員、同 吉川武男 チームリーダー、東京都医学総合研究所、浜松医科大学、山口大学、慶応義塾大学からなる共同研究グループによるもので、米科学雑誌「Biological Psychiatry」のオンライン版に掲載された。統合失調症や自閉症などの精神疾患では、遺伝子の発現状態を含めて脳に何らかの変調が生じることが原因と考えられている。しかし、脳の一部を採取することはできないため、現在の診断は患者の行動や体験、家族の情報などに基づくところが大きく、客観的な「生物学的診断ツール」がないため、精神疾患の早期診断を補助する「バイオマーカー」の開発が待たれていた。同研究グループは、脳の細胞と同じ外胚葉由来であり、サンプルの採取が容易な頭皮の毛根細胞に着目。解析の結果、脳だけで発現していると考えられていた遺伝子の多くが、毛根細胞でも発現していることを見いだし、毛根細胞が脳内の遺伝子発現の状態を反映している可能性を突き止めた。さらに詳しく調査した結果、統合失調症の人では脂肪酸結合タンパク質(FABP)の1つであるFABP4をつくる「FABP4遺伝子」の発現量が対照群に比べ約40%低下し、自閉症の方の毛根細胞では神経系の細胞同士の結合に関与する「CNTNAP2遺伝子」の発現が低下していることが判明した。毛根細胞は血液と比べて外部からの刺激や体の状態に影響されにくく、採取も簡単なため、生きた脳の状態を反映している可能性のある、簡便なバイオマーカー診断法の基盤となる可能性が高い。同研究グループは、今後この方法で疾患の発症をどこまでさかのぼれるかを検証することにより、精神疾患の予防法開発や早期治療導入の判定、さらに新しい角度からの創薬のヒントを提供できる可能性があると考えているという。
2014年09月16日カネカは9月9日、国立循環器病研究センターと共同で科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業(NexTEP)に応募していた「羊膜由来間葉系幹細胞(MSC)の細胞製剤化と治療応用」が、プロジェクトとして採択されたことを発表した。羊膜由来MSCは羊膜に存在する未分化の細胞で、筋肉、骨、軟骨、脂肪など間葉系に属するさまざまな細胞に分化する能力や自己複製の能力を持ち、免疫抑制作用があることが知られている。また、増殖性が高い、拒絶反応が起こりにくいため他人に移植しやすい、羊膜は出産後不要となり倫理的にも問題となりにくい、といった特長があり、今回のプロジェクトでは、これを活用し、急性移植片対宿主病(急性GVHD)、およびクローン病を対象とした治験を、先端医療振興財団、兵庫医科大学、および北海道大学をはじめとした国内医療機関・研究機関と連携して実施し、細胞製剤(再生医療を活用した製剤)の製造販売承認を取得することを目標としている。具体的な手順としては、細胞の調製および保存が可能な製造所を神戸国際ビジネスセンターに設置し、同センターにて羊膜由来MSCの大量培養・凍結保存技術(細胞バンク化技術)の確立を図った後、実際の治験を行い、2022年に羊膜由来MSCの細胞製剤の製造販売承認取得を目指すという。なお同社では、今回の取り組みを皮切りに、羊膜由来MSCの細胞製剤をさまざまな難治性疾患の治療に展開し、2037年には1000億円規模の事業に成長させることを目指すとしている。
2014年09月10日京都大学は8月22日、ヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞を分化誘導し、単離する(取り出す)方法を世界で初めて確立したと発表した。同成果は同大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座の三島理晃 教授、同 後藤慎平 研究生、同 伊藤功朗 助教(物質-細胞統合システム拠点連携 助教)、同 iPS細胞研究所増殖分化機構研究部門の長船健二 准教授、同 医学研究科腫瘍生物学講座の小川誠司 教授らの研究グループによるもの。8月21日(米国時間)に米科学誌「Stem Cell Reports」に掲載された。今回の研究では、肺胞上皮細胞の前段階にあたる肺胞前駆細胞を効率よくヒトiPS細胞から分化誘導するのに、CPMという酵素が有用であることを突き止めた。また、蛍光タンパク質(GFP)を注入することで、肺胞を作るのに不可欠な2型肺胞上皮細胞に分化すると光るヒトiPS細胞を作成したという。さらに、CPMを使って単離した肺胞前駆細胞を3次元培養して肺胞上皮細胞を分化誘導したところ、GFPが光り、2型肺胞上皮細胞の単離に成功したことが確認された。同研究グループはこの結果について「ヒトiPS細胞から2型肺胞上皮細胞の分化誘導と単離というプロセスが確立したことで、肺の再生研究だけでなく、さまざまな難治性疾患の研究に踏み込める大きなチャンスが到来した」とコメントしている。
2014年08月22日東京医科歯科大学と科学技術振興機構(JST)は8月16日、マウスをモデルとした実験で体外に取り出して培養した小腸上皮細胞を消化管(大腸)へ移植することに成功したと発表した。この成果は、同大学大学院医歯学総合研究科 消化管先端治療学の中村哲也 教授、同 消化器病態学分野の渡辺守 教授、同 水谷知裕 特任助教、同 福田将義 医員らの研究グループによるもので、米科学誌「Genes & Development」にて発表された。同研究グループは2012年に、大腸の最も内側にならぶ上皮組織の幹細胞を体外で増やし、移植することで傷害を受けた大腸の修復が可能であることをマウス実験で確認していた。しかし、小腸について同様に体外で増やした細胞の移植による上皮組織の再生が可能かどうかはわかっていなかった。今回の研究では、肛門付近の大腸に上皮の欠損を生じる大腸傷害マウスモデルを作成し、全身で蛍光を発する別のマウスから小腸上皮細胞を取り出して増やした後に、大腸傷害マウスへ移植。その後経過を観察して体外で増やした小腸上皮細胞を別のマウスへ移植し上皮組織が再生可能であるか、移植片内で再生する細胞はいかなる性質を示すのかを調べたという。大腸傷害マウスを調べたところ、移植直後から蛍光で識別できる移植小腸細胞が大腸組織に接着して新しい上皮を形成し、2週間後には、移植細胞が生体内で分裂・増殖を繰り返すことが判明。4週間あるいは4カ月経過後にも、小腸細胞が移植を受けたマウスの大腸に安定して組み込まれていることがわかり、移植細胞が体内で上皮組織を再生する幹細胞として機能することが確認されたという。次にこの移植片を詳しく調べたところ、増殖を繰り返す細胞群とともに通常の小腸上皮に含まれるすべてのタイプの細胞を含むことから、移植された細胞が個体内で小腸型の上皮幹細胞として機能していることがわかったという。それに加え、移植片内に通常小腸に見られ大腸には見られない特徴が含まれること、その細胞が示す遺伝子パターンも大腸とは明らかに異なることもわかり、実際に小腸型上皮幹細胞に特徴的な形態と機能を持つ細胞を確認することができたとのこと。同研究グループは、これらの結果から、「体外で増やした小腸上皮幹細胞が、たとえ自身が由来する小腸と異なる(大腸)環境に長期間おかれても、小腸型幹細胞としての性質を維持できることも明らかとなった」と結論付け、今後この発見がさまざまな細胞を利用する消化管上皮再生医療技術の基礎となることが期待されるとしている。
2014年08月18日(画像はプレスリリースより)痩せやすく太りにくい身体づくりのためのジェルクリームマッコイは、イオン化ミネラルで細胞レベルまで浸透する痩身クリーム「ノンFエナジークリームSP」をさらにパワーアップした「ノンFモンスター」を2014年6月2日(月)より発売。「ノンFエナジークリームSP」は、長時間代謝を上げてセルライトを分解させることに特化した商品。「ノンFモンスター」は0.2~0.7ナノ(1ナノは1ミリの百万分の1)の浸透型ミネラルのため浸透が早く、ミネラルバランスを整えながら代謝を上げることで、痩せやすく太りにくい身体づくりができるジェルクリームです。痩身効果のある植物性ケミカルをふんだんに使用し、100%天然由来原料のイソラムネチンが太るメカニズム(脂肪幹細胞からの脂肪細胞への分化・肥大化)を抑制。ミス・ワールドジャパン2014公式認定コスメ、購入できるのは施設リリースセラピー受講サロンのみ。『ノンFモンスター』発売記念キックオフパーティー開催日時は2014年7月7日(月)13~16時、会場は東京都渋谷区宇田川町13-8ちとせ会館B1FT2 Shibuya -International Restaurant-、対象はマッコイが招待するエステサロン及びディーラー。【参考】・マッコイプレスリリース・取り扱いサロン一覧
2014年07月04日東京大学(東大)は、ショウジョウバエを用いて、正常な老化に伴い嗅覚神経細胞死が生じると、特定の匂いを感じることができず、異常な行動をとる原因となることを発見したと発表した。同成果は、同大大学大学院薬学系研究科 薬科学専攻の千原崇裕 准教授、同 三浦正幸 教授、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のJing Wang教授、米スクリプス研究所のRonald Davis教授らによるもの。詳細は「PLOS Genetics」に掲載された。老化に伴って記憶学習や認識などの脳機能が低下することの要因の1つとして、老化に伴う神経細胞の細胞死が挙げられるが、正常な老化と神経変性疾患の双方において起きており、神経変性疾患における細胞死の研究は行われてきたものの、正常な老化の過程における細胞死の研究はこれまで、ほとんど研究されていなかった。今回、研究グループはショウジョウバエをモデル動物として用いて、正常な老化における脳内の細胞死の観察を試みた。その結果、老化したショウジョウバエの神経細胞のうち、特に匂いを感知するのに重要な神経細胞「嗅覚神経細胞」で細胞死に必要な酵素「カスパーゼ」が活性化していることを確認した。ショウジョウバエには約50種類の嗅覚神経細胞があり、それぞれの神経細胞ごとに感知する匂いが異なるが、カスパーゼの活性は、「リンゴ酢や酵母の匂い」を感知する「Or42b神経細胞」に見られ、実際に老いたショウジョウバエでは、同神経細胞の数が減少していることも確認したほか、嗅覚中枢の活性化とショウジョウバエのリンゴ酢に対する行動の調査では、老化したショウジョウバエではリンゴ酢を与えても嗅覚中枢がほとんど活性化せず、リンゴ酢がある場所に集まらない(誘引されない)ことを確認したとする。また、Or42b神経細胞でカスパーゼが活性化できないようにしたショウジョウバエでは、たとえ老化してもリンゴ酢の方向へ誘引されることも確認したとする。一般に、老化に伴って匂い感覚能(嗅覚機能)は低下するほか、パーキンソン病を含む神経変性疾患においても運動機能障害に先だって嗅覚機能低下が現れることが知られている。そのため研究グループでは今回の成果について、正常な老化における神経細胞の細胞死の意義、分子機構に迫るとともに、神経変性疾患時における神経細胞の細胞死の原因、ひいてはその発症機序の理解にもがることが期待されるとコメントしている。
2014年07月03日整体師の大山奏です。体幹トレーニングの基礎はマスターできてきましたか? 一番の基礎とも言えるドローイングやサイドドローイングに慣れてきたら、もう一歩上のトレーニングを目指してみましょう。今回は、体幹を保ったまま身体を動かすトレーニングをご紹介します。左右どちらかの肘から下と足で身体を横に一直線に保ったサイドドローイングの状態からスタートします。一度通常のドローイングの形に体勢移動し、そのあと反対向きのサイドドローイングを行います。○全身の筋肉に意識を置きつつ、体のラインを一直線に最初にサイドドローイングをスタートして、一定時間保ったあとゆっくりと前向きのドローイングに体勢を変えていきます。勢いに任せてしまわないようにしっかりと腕と足にも力をいれて支えましょう。反対向きのサイドドローイングに移動するときには、体重が後ろにかかりがちになるので、お尻を突き出してしまわないように自分の身体のラインを常に意識します。ポイントは身体のラインを同じ状態に保ち続けることです。ドローイングでは腹筋や背筋をはじめとして、全身の筋肉に意識を向けます。体勢を変える最中や、別の体勢に変わったあとでも身体の一直線のラインをなるべく崩さないように注意しましょう。○お尻が体のラインからはみだすのはNG筋力不足でお尻が下がらないようにすることと、逆にお尻を持ち上げすぎないようにすることがきちんと効かせるコツです。それぞれの姿勢で10秒キープをしながら、左右交互に3セットずつから始めてみましょう。30秒キープを2セットやキープの時間をなくして10セット行うなどすると、運動強度が高められます。体幹トレーニングは気を抜いてしまうとすぐに効果が薄れてしまいます。自分自身でしっかりと目標を持って行わないと、回数をこなしても意味がありません。基礎代謝量を上げておきたい夏が近づいてきました。運動するときは水分補給なども忘れずに、けがや体調管理にも気をつけてくださいね。○筆者プロフィール : 大山 奏(おおやま かなで)スピリチュアルと運動が好きなアウトドア系ライター。整体師。癒やしを与えられる人になろうとアロマテラピーインストラクター・セラピストへ向けて勉強中。ストレス解消法は神社巡りと滝行。スピリチュアル系雑誌の執筆から脳科学・恋愛記事まで、興味のあるものには迷わず挑戦している。ブログでは日々の出来事を思うままにつづっている。「ひよっこライター大山奏」
2014年05月25日カネカは5月7日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と、iPS細胞を用いて創薬スクリーニングを行うための自動培養装置の開発を目指した共同研究契約を締結したと発表した。CiRAではiPS細胞からさまざまな組織や臓器の細胞へ分化させる技術開発が進められており、患者由来のiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を用いて病態解明や治療法の研究開発を行うことが可能になっており、新薬開発の初期段階における副作用検査や創薬ターゲット探索など創薬分野でのiPS細胞の活用が期待されるようになっている。一方、同社は細胞培養工程でCPC(Cell Processing Center)のようなクリーン度の高い施設を必要としない自動細胞培養装置の販売を行ってきたが、今後、今回の契約をもとに細胞培養装置の新たなターゲットとして、CiRAの技術を活用したiPS細胞を用いた創薬スクリーニング装置の開発を進めることで、根治薬のない希少・難治性疾患に対する治療薬の開発が促進されることが期待できるようになると説明している。
2014年05月07日整体師の大山奏です。ふだんから体幹をしっかりと意識しながら生活していると、自然と姿勢もよくなってきます。基礎代謝も高められるため、何もしていなくても太りにくい体質を維持することにもつながります。今回は主に腹部の体幹を鍛え、整った姿勢を作るトレーニングをご紹介します。両脚をそろえてまっすぐに立った姿勢からスタートします。両手を身体の前で組み、片脚をひざが90度になるまで上げてキープします。○お尻を締めて、太ももの筋肉に意識を集中脚を上げた状態で30秒キープします。このとき呼吸が止まらないように注意してください。目線は遠くの1点を見ると行いやすいです。お尻を締めて、太ももの筋肉にも意識を集中させます。あごを引いて肩には力が入らないようにしましょう。ポーズをとりづらい脚がある場合は、そちらだけ1回多めに行うと左右のバランスもだんだんと取れるようになってきます。○脚上げの際に身体が前後に傾くのはNG脚を上げたときに身体が前後に傾くのはNGです。腹部にしっかりと力を入れ、頭のてっぺんから糸でつられているようなイメージでまっすぐの姿勢を保ちましょう。バランスを崩しそうになると膝が曲がりがちなので注意が必要です。○運動強度左右交互に3セットずつ行ってみてください。簡単すぎる場合は、脚に重りをつけると負荷がよりかかります。バランス感覚に自信がある人は、前で組んだ手をほどいて両側に伸ばし、頭の上に持ち上げて前に戻すというように、ゆっくりと手の位置を変えてみてもいいでしょう。わざとバランスを崩した姿勢をとることで、体幹部分をしっかりと使うことができます。動きの少ないトレーニングが単調に感じてしまうときには、お気に入りの音楽をかけるのもお勧めです。「好きなフレーズを言い終えたらワンセット」と決めるなど、自分なりのトレーニングメニューの組み方を考えるのも楽しみのひとつになり、継続しやすくなりますよ。○筆者プロフィール : 大山 奏(おおやま かなで)スピリチュアルと運動が好きなアウトドア系ライター。整体師。癒やしを与えられる人になろうとアロマテラピーインストラクター・セラピストへ向けて勉強中。ストレス解消法は神社巡りと滝行。スピリチュアル系雑誌の執筆から脳科学・恋愛記事まで、興味のあるものには迷わず挑戦している。ブログでは日々の出来事を思うままにつづっている。「ひよっこライター大山奏」
2014年05月04日(画像はプレスリリースより)髪が美しくなる、新しい美容液シャンプー花王株式会社は、アジエンスの新しい美容液シャンプーを4月26日から発売する。そのほか、ニュー トリートメントや、ニュー コンディショナーも同日発売となる。アジエンスは、内面からキレイになることを求める、美容の意識がハイレベルな女性を対象とした、ヘアケアのブランドだ。発売される3つのアイテムはそれぞれ、バラやカシスがブレンドされた、甘い花果実の香りがする「しっとり仕上がるタイプ」と、シダーやマグノリアなどがミックスされた、さわやかな香りの「軽やかに仕上がるタイプ」の2種類がある。どのアイテムにも、オリエンタル美容成分の椿油やローズ エッセンス、ザクロ果実のエキス、そしてアルガン オイルなどが調合されており、3種類のアイテム パッケージは、淡いブルー系とゴールド系のカラーデザインとともに、伝統的な西アジアのスパ「ハマム」がイメージされている。限定で開催される、シャンプーサロンのイベントまた新商品の記念として、シャンプーサロン、アジエンス「ビューティー シャンプー バー」が実施される。女性限定で東京や福岡、札幌など、あわせて4つのエリアで、期間を限定して開催される。開催期間は4月22日から28日までになっている。髪についてのアドバイスを提供するコーナーや、指名をうけた美容師による、アジエンス 美容液シャンプーでの洗髪、またアジエンス美容液シャンプーの感触や香りを感じて体験できる特設サーバーなど、女性の方に役立つ、楽しいさまざまな企画を用意している。アジエンスの新しい商品を試してみたい方は、参加してみては。【参考リンク】▼花王株式会社:花王MKニュースプレスリリース(PR TIMES)
2014年04月26日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、iPS細胞の初期化の過程として、ヒトの体細胞は、中胚葉や内胚葉の細胞のもととなる「原条」と呼ばれる構造の細胞に似た状態を経て初期化されることを明らかにしたと発表した。成果は、CiRAの高橋和利講師、同・山中伸弥教授、スタンフォード大学の田邊剛士研究員(元CiRA)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間4月24日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。ほ乳類の発生過程で現れる溝の様な構造。マウスの場合、発生開始から6~7日目に見られ、この部分で細胞の形態が変化し、中胚葉や内胚葉の細胞のもとになる。山中因子ともいわれる、初期化因子因子「OSKM」こと「OCT3/4」、「SOX2」、「KLF4」、「c-MYC」を含む転写因子を発現させると、分化した体細胞が多能性を獲得するが、その効率は決して高くない。この効率の悪さの要因として、OSKMの添加に加えて、「初期化の障壁を取り除く」あるいは「未だに知られていない2次的なイベントが必要である」と考えられてきた。それらを明らかにすることで初期化効率の改善が期待されるわけだが、集団の中で大部分を占める初期化されそこなった細胞が各種解析結果において大きなノイズとなり、初期化の分子機構を研究する上で障壁となっていた。そのため、iPS細胞へと初期化される過程にある細胞の中で起きているイベントを捕まえることはとても難しいのが現状だったのである。昨年、高橋講師らは細胞表面の抗原(タンパク質)である「TRA-1-60」を指標に初期化途中の細胞を集めるという手法を開発。ヒトの細胞の内、OSKM誘導によって生じたTRA-1-60陽性細胞がiPS細胞へと初期化される途中段階の細胞であることを示すことに成功した。また、TRA-1-60陽性細胞の動態解析から、初期化の開始段階ではなく、その後の成熟過程がボトルネックとなって初期化の効率を決めていることも明らかにしている。しかし、実は初期化途中の細胞の特徴についてはまだほとんどわかっていないという。そこで今回の研究では、真正なiPS細胞の候補である途中段階の細胞としてTRA-1-60陽性細胞を集め、遺伝子発現についての解析を実施したのである。「ヒト線維芽細胞(HDF)」にOSKMを作用させてからさまざまな日数において、iPS細胞へと初期化される途中の段階であるTRA-1-60陽性の細胞(d3~d49)が回収され、それらの遺伝子発現が調べられた。比較として、もとのHDF細胞に加え、初期化が終わったiPS細胞(iPSC)やES細胞(ESC)、さらにiPS/ES細胞から少し分化させた細胞の「内胚葉(EN)」、「中胚葉(ME)」、「神経外胚葉(NE)」、「原条様中内胚葉(PSMN)」についての解析が行われた。すると、初期化途中の段階の細胞、特に20~49日目の細胞はPSMNにとても似ていることが明らかになった。また、初期化の途中にあるTRA-1-60陽性細胞ではPSMNに特徴的なマーカー遺伝子の「BRACHYURY(T)」、「MIXL1」、「CER1」、「LHX1」、「EOMES」などが一過的に活性化していることが確認されたとする。一方でほかの系統の細胞に特徴的なマーカー遺伝子は一時的に活性化することはなかったという。これらの結果から、TRA-1-60陽性細胞が初期化の後半でPSMNと似た遺伝子発現をしていることがわかったというわけだ(画像)。以上の結果から、iPS細胞へと初期化される際には、原条の様な状態を経ていると考えられるという。逆に原条の状態を誘導すると、初期化の効率が高くなることが予想されるとする。そこで原条に関連する転写因子をいくつかOSKMと同時に誘導したところ、FOXH1を利用した場合にできるiPS細胞のコロニー数が飛躍的に増加することが確認された。また、FOXH1の機能を「RNA干渉法」により抑制すると、iPS細胞のコロニー数も対応して減少。これらの結果からFOXH1が初期化を促進することがわかったのである。今回の成果により、TRA-1-60を目印として初期化の途中にある細胞を捕まえる戦略により、初期化途中の細胞がPSMNと似た状態を経ることが明らかにされた。このPSMNに似た状態が次第に変化して、iPS細胞へとさらに初期化されるというわけだ。初期化過程の研究を進めることで、iPS細胞のより強固な樹立を可能にすることができると考えられるとしている。
2014年04月25日岡山大学は、正常な黄体細胞がリンパ管を通じて卵巣外へ流出することによって黄体が卵巣から消失することを発見したと発表した。同成果は、同大大学院環境生命科学研究科 動物生殖生理学分野の奥田潔教授らによるもの。詳細は米国オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された。多くの哺乳類において排卵後の卵巣に形成される黄体は、黄体ホルモンを分泌することで雌の体を妊娠できるようにするが、妊娠に至らなかった場合、黄体は卵巣から消滅し(黄体退行)、妊娠可能な状態が解除され、次の排卵を待つこととなる(ヒトでは月経が生じる)。これまで黄体退行は、黄体を構成する黄体細胞がプログラムされた細胞死(アポトーシス)ならびに黄体へ侵入したマクロファージによる貪食作用(死細胞の除去)によると考えられていた。しかし、研究グループでは、アポトーシスと貪食による卵巣からの黄体細胞除去には5日程度掛かる健康なウシに、薬剤(プロスタグランジン F2α)を用いて人為的に黄体退行を誘導した場合、約24時間で黄体が卵巣から消えるが、黄体細胞除去に働くマクロファージの数は生理的な黄体退行時と変わらなかったことから、従来の説に疑問を感じ、新たなメカニズムの探索を行ったという。その結果、卵巣から採取されたリンパ液中に多数の生きた黄体細胞を発見したほか、リンパ液中の黄体細胞の数は黄体退行時に急激に増加し、特に黄体が卵巣上から完全に消滅する際に黄体細胞の流出が重要であることが判明したという。今回の「黄体細胞がリンパ管を通じて卵巣から流出する」という成果について研究グループでは、リンパ管を通じて細胞が流出する現象はがん転移の際に観察されていたが、そうした細胞流出が生理的な器官の消失に関与するという報告はなく、今回の発見は生物学的に重要なものとなると説明するほか、ウシの人工授精では排卵のタイミングをコントロールする必要があるが、排卵には前の排卵時に形成された黄体の消失が必須条件となるため、今後、大量の黄体細胞を任意のタイミングでリンパ管へ流出させる技術を開発することで黄体退行を人為的に制御できるようになれば、効率的に排卵を促し人工授精を行うことが可能になるとコメントしている。
2014年03月24日(画像はプレスリリースより)はじける炭酸美容液銀座・イマージュ化粧品が販売している、炭酸美容液の「D.スプラッシュ・ラベッラ」が「@cosme」の口コミランキングで第1位となりました。D.スプラッシュ・ラベッラ「D.スプラッシュ・ラベッラ」は新感覚の炭酸を使用した美容液。つけた瞬間に、「パチパチ・シュワシュワ」といったはじける感覚があります。この新しい爽快なつけごこちも、人気の要因でしょう。炭酸ガスが発する小さい分子は、皮膚の奥まで浸透し、血行を促進します。その結果、新陳代謝が活発となり生き生きとした肌を手に入れることができるのです。本美容液の特徴は、炭酸ガスだけではありません。プラセンタや、コラーゲン、ヒアルロン酸など、美肌には欠かせない美容成分がたっぷりです。さらに、美容液なので、洗い流す必要もありません。D・スプラッシュ・ラベッラは120gで2,839円(税抜)で、全国の「PLAZA」「ローズマリー」などにて販売されています。【参考サイト】▼@Press▼銀座イマージュ化粧品
2014年03月21日横河電機は2月27日、細胞の塊や培養容器に貼りついた状態の細胞の画像から、個々の細胞の形態を簡単かつ高精度に定量化する共焦点定量イメージサイトメーター「CQ1」(画像1)を開発したと発表した。細胞検査を初め、iPS細胞やES細胞、STAP細胞などの多能性細胞による再生医療研究、がんなどの疾患研究では、細胞の画像観察に加え、面積や形状などの形態を定量化して把握したいというニーズが高まっている。正常状態の細胞のデータと比較することで、細胞がどのような状態にあるかを簡単に判断することができるのが主な理由だ。対象となる細胞には、培養液中の浮遊細胞、培養容器に貼りついて単層状に培養された平面培養細胞、3次元培養された細胞の塊などがある。これらを定量化するためには、これまでのところは、蛍光顕微鏡を使って目視で測定するか、細胞の形態を定量化する専用装置を利用するのが一般的だ。それら従来の装置は、細胞の塊を1つ1つの細胞に分けたり培養容器から剥離する必要があったりすることから、データの種類や精度に限界があった。そのため研究者や検査士は、塊のまま本来の生体機能や特性を維持した状態で、形態に関する多様で高精度なデータを取得できる装置を求めていたのである。そこで同社は、これらのニーズに応え、累計台数2200台以上という世界中の研究機関で広く使用されている共焦点スキャナユニット「CSU」を中心としたワンボックスタイプの共焦点定量イメージサイトメーターとして、「CQ1」を開発した。共焦点スキャナユニットは、通常の光学顕微鏡に取りつけて共焦点顕微鏡システムにすることができるユニットだ。共焦点顕微鏡は、蛍光試薬などで染色した試料にレーザを照射し、励起された蛍光を観察することで、きわめてコントラストの高い鮮明な画像を、任意の焦点距離で選択的に得ることができるのが特徴である。このため、試料を切片にすることなく生きたまま断層(スライス)画像を得たり、そのスライス画像データから3次元立体像を構築したりすることが可能だ。さらにCSUは「ニポウディスク(回転円板)」とマイクロレンズアレイを組み合わせた従来にない「マイクロレンズアレイ付きニポウディスク式共焦点光学技術」が採用されているのが特徴である。ニポウディスクには多数のピンホールが渦巻き状に配置されており、これによってマルチビームスキャンを行うことが可能だ。さらに、このニポウディスクのピンホールに光を集中させてより明るくするために組み合わせられているのが、微小なレンズを格子状に並べたマイクロレンズアレイである。これにより、高速スキャン性能を保ったまま、光の利用効率を大幅に改善可能。この技術により、細胞を塊のまま個々の細胞の表面積、体積などの3次元形態情報や細胞の位置情報を簡単に、しかも高精度に定量化できるのである。CQ1の特徴を改めて述べると、まず「細胞を剥離せず、形態情報を高精度に定量化」が可能な点だ。細胞の塊をバラバラにしたり、培養容器から細胞を剥離したりすることなく細胞本来の生体機能や特性を維持した状態で、高精度に定量化することができる。2次元情報である面積に加え、3次元情報である体積、表面積、細胞の個数や位置、細胞内の微小な粒子の位置、蛍光強度などの各種データを視認性よく、表・グラフ形式で表示すことが可能だ。2点目は、生きた細胞観察機能を有している点だ。CSUについても前述の通りだが、共焦点スキャナとして、レーザ光による細胞ダメージ(光毒性)や蛍光退色を最小限に抑えながら、細胞のスライス画像を高速に得ることができる。CQ1にはCSUが搭載されているので、生きた細胞の3次元、多色観察が可能だ。研究や検査で使った細胞も破棄する必要がなく、細胞を無駄なく活用できるため、再生医療用細胞の品質管理・検査・実験に適しているとする。3点目は、再現性の高いデータ。励起するレーザのパワーモニタ機能により、安定したレーザパワーを維持すると共に、定期的に内部校正を行い、レーザパワー以外の変動要素の影響も補正し、再現性の高いデータが取得できるようになっているとした。そして主な市場だが、再生医療分野、医学・病理学・解剖学・生物学などの基礎研究分野、薬学、創薬研究、細胞を扱う研究・検査分野(FISH法など)やこれらに関連する分野としている。用途は、iPS/ES/STAP細胞研究、再生医療に用いられる細胞研究、創薬、疾患研究における細胞品質評価、病理切片評価などとした。発売は2014年5月を予定しており、同社は同製品を3月4日から6日まで国立京都国際会館で開催される「日本再生医療学会総会付設展示会」に参考出品する予定とした。なお、CQ1の仕様は以下の通り。光学モード:マイクロレンズ付き広視野ニポウディスク共焦点、位相差(オプション:画像2)蛍光観察レーザ:405/488/561/640nmから2~4色選択、10穴フィルタホイール内蔵搭載カメラ:sCMOS2560x2160ピクセル、16.6mm×14.0mm (2倍対物レンズで96ウェルプレートの1ウェル全範囲をカバー)対物レンズ:最大6本 (2倍~40倍ドライのみ、位相差、長作動)培養容器:マイクロプレート(6、12、24、96、384ウェル)スライドガラス、カバーガラスチャンバ、ディッシュ(35、60mm)特徴量:細胞数、細胞内顆粒数、輝度、体積、表面積、面積、周長、直径、球形度、円形度、ほかデータ形式:画像:16bitTIFFファイル(OME-TIFF)、表示画面をPNG形式で出力、数値:FCS形式、CSV形式本体サイズ・重量:600mm×400mm×298mm、38kgユーティリティボックスサイズ・重量:275mm×432mm×298mm、18kg
2014年02月28日東京医科歯科大学(TMDU)は2月17日、東海大学との共同研究により、ほ乳類の個体発生に重要な働きをする「ゲノムインプリント記憶」が、生殖細胞でリプログラミング(消去・再成立)される際の消去過程に「能動的脱メチル化機構」が機能することを、マウス個体を用いた実験で突き止めたと発表した。成果は、TMDU 難治疾患研究所・エピジェネティクス分野の石野史敏 教授、同・李知英 特任講師、東海大の金児-石野知子 教授らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月13日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。ほ乳類の発生過程では、ゲノムワイドな「DNA脱メチル化」が、(1)受精から着床までの初期発生の時期、(2)「始原生殖細胞(primordial germ cell:PGC)」が将来の生殖巣(精巣や卵巣)である生殖隆起まで移動し定住する時期で起きる。特に、PGCでは脱メチル化に伴うインプリント消去後、精子・卵子形成過程でインプリントが再刷り込み(再成立)されるので、インプリントは完全に消去(脱メチル化)される必要がある(画像1)。画像1は、ゲノムインプリントのリプログラミングを表した概念図だ。ゲノムワイドの脱メチル化は、受精直後の受精卵(a)と生殖細胞系列のPGCの中で起きる(b)。精子、卵子に刷り込まれたゲノムインプリント(c、d)は体細胞系列で一生維持され、細い黒線がそれを表す。PGCは、初めは体細胞と同じゲノムインプリントを持っているが(太い黒線)、将来の生殖巣(卵巣や精巣)である生殖隆起に定住する前後で消去される仕組みだ(b)。なおDNAメチル化とは、DNA塩基「シトシン(C)」が「メチル基(CH3)」で修飾されることをいい、一般的にはこれが起きると遺伝子が抑制される形だ。よって、DNA脱メチル化は、その反対の現象である。ゲノムインプリントの場合、精子、卵子にメチル化状態が刷り込まれ、インプリント遺伝子の発現・抑制の両方に機能し、消去の際に脱メチル化される。そのゲノムインプリントとは、ほ乳類発生に重要な「エピジェネティック」情報の1つのことで、父親・母親由来ゲノムからのみ発現する「インプリント遺伝子」の発現制御を行う。ゲノム刷り込みともいわれるこの情報は、ほ乳類のライフサイクルで生殖細胞において消去・再成立され次世代に伝わる形だ。脱メチル化過程でメチル化シトシン(5mC)は異なる2つの機構で未修飾のシトシン(C)に変換される。「受動的脱メチル化(passive demethylation)」は5mCが細胞分裂に伴って希釈されていく機構、「能動的脱メチル化(active demethylation)」は細胞分裂に依存せずCまで変換する機構だ。しかし、前述した(1)、(2)の時期にどちらの機構が関与するのか、見解は二転三転していたという(画像2)。初期発生における卵子に由来する「雌性前核」は、細胞分裂と共に徐々に希釈される受動的脱メチル化を受ける(画像2a)。それに対して精子に由来する「雌性前核」、つまりPGCにおけるゲノムインプリントの消去は能動的脱メチル化の代表例と考えられていた(画像1・2b)。しかし2009年以降、ゲノム中に5mCの酸化誘導体である「ヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)」などの存在が確認され、この酸化反応を触媒する「Tet(ten eleven translocation)酵素」群もほ乳類で同定されたことから、それまでの考えは大きく修正されることになったという。5hmCは「能動的脱メチル化機構」の中間体でもあるが、雄性前核の場合、Cから5hmCへの急速な変換後は受動的に希釈されること(画像2c)、PGCでのゲノムインプリント消去も、PGCの細胞分裂速度の速さから考えて受動的脱メチル化を支持する意見が優勢になったのである(画像2c)。2002年に研究チームは胎仔期のPGCにおいてインプリント記憶の消去が起きる過程を世界で初めて検出することに成功した。インプリント消去途中のDNAメチル化パターンがモザイク状を示すことが能動的脱メチル化の関与を示唆する証拠であると考えられ(画像3)、受動的脱メチル化反応に対する阻害剤としてDNA複製阻害剤の「アフィディコリン」、能動的脱メチル化の阻害剤としてDNA塩基除去修復に働く「Poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)阻害剤」の「3-AB」の2つの薬剤のPGCにおける脱メチル化における効果が生体において測定された。画像3は、PGCにおけるゲノムインプリントの消去に関するグラフとモザイク状メチル化パターン。胎仔から分離したPGCの「H19-DMR」の場合、PGCにおける脱メチル化は胎仔期9.5日目から11.5日目までにほぼ完了する。途中のメチル化パターンには、メチル化(黒丸)部分と非メチル化(白丸)部分が1本のDNA(左から右への一行)に混在したモザイク状模様が見られる。細胞分裂による希釈では説明できず、能動的脱メチル化の関与が示唆されるとした。その結果、どちらの薬剤も脱メチル化を阻害することから、両方の機構がこれに関係していることが判明した(画像4)。特に、DNA複製を止めた状態でも脱メチル化反応が進むことは(画像4)、生体内でのPGCのインプリント消去に能動的脱メチル化機構が積極的に関与することを物語っているという(画像2d)。画像4は、脱メチル化反応に対する阻害剤の効果を表したグラフ。胎仔期9.5日目から半日置きにDNA複製阻害剤または塩基除去修復阻害剤を母体に投与し11.25日目に胎仔から分離したPGCのH19-DMRのメチル化度が調べられた。コントロール(右)と比べて塩基除去修復阻害剤(中央)の高い阻害効果は能動的脱メチル化の証拠だとする。DNA複製阻害剤(左)も一部に阻害効果が見られたが、脱メチル化はかなり進行していることも能動的脱メチル化の関与を示唆するという。卵子形成では、インプリント消去の開始から短時間で、「減数分裂第一分裂」に入り、そこで個体の性成熟まで細胞分裂が停止する。完全に両親由来のインプリンティング記憶の消去(特に父親由来のインプリント記憶消去)がなされないと、次世代の子供の発生に重大な問題を生じると考えられるという(画像5)。その意味で、PGCにおける能動的脱メチル化は、ヒトを含めたほ乳類の個体発生において重要な役割を果たしているといえるとした。画像5は、能動的脱メチル化の生物学的意義を表した概念図。メスのPGCではゲノムインプリントの消去開始から減数分裂が開始されるまでの細胞分裂の回数は限られる。受動的脱メチル化だけでは幾つかの卵細胞にメチル化DNAが残り(細胞分裂3回ならば2/8、4回ならば2/16)、特に、父親型インプリントが残る場合は発生異常の原因となると考えられるという。よって、能動的脱メチル化はゲノムインプリントの完全な消去に必須の機構と考えられるとしている。今回の研究はゲノムインプリントの消去に能動的DNA脱メチル化が関与することを、生体内から分離したPGCを用いて明らかにすることに成功した形だ。今回の成果は、PGCにおける真の脱メチル化機構を明らかにしただけでなく、能動的DNA脱メチル化の卵子形成における重要性を示したことで、ほ乳類の生物学に重要な新局面を拓いたものといえるとしている。
2014年02月19日北海道大学(北大)は2月17日、チェコ・南ボヘミア大学との共同研究により、胚(受精卵)の一部を染色して観察すると、チョウザメの始原生殖細胞「PGC(Primordial germ cells)」はカエルと同様の機構で生み出されることが判明し、一方、この細胞をチョウザメとは異なる発生過程を示すキンギョの胚に移植したところ、キンギョの生殖腺へ移動する能力を持っていたことから、卵や精子の元となる細胞の形成や移動には種を越えた共通性があることが示されたと発表した。成果は、北大 北方生物圏フィールド科学センター 七飯淡水実験所の山羽悦郎 教授らの国際共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間2月6日付けで米オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。世界三大珍味「キャビア」を求めて乱獲されたため、チョウザメ天然魚は世界中で激減し、保護の対象となっているが、チョウザメはいわゆる古代魚、「生きた化石」とされ、進化を解明するうえで重要な材料としても知られている。現在、絶滅危惧種のチョウザメを復活させるため、チョウザメの配偶子(卵や精子)をほかの種で作らせる技術の開発が進められている。そのためには、配偶子の元となる細胞であるPGCの由来を明らかにしなければならないというわけだ。すべての生殖細胞の元になるPGCは、胚発生の早い段階で胚中に形成される。PGCは将来の生殖腺とは離れた領域で形成され、胚発生を通して生殖腺へと移動する性質を持つ。カエルなどの無尾両生類やゼブラフィッシュなどの魚類では、特定の細胞質(生殖細胞質)を受け継いだ細胞がPGCに分化することが知られているが、PGCが作られる胚の領域はそれぞれの種で大きく異なる。例えばカエルでは卵黄に富む胚の植物極側でPGCが形成され、ゼブラフィッシュでは胚の動物極側でPGCが形成されるという具合だ。その中間的なパターンを示す動物系統がいるのか、いるとしたらPGCはどのように発生するのか、そうした点はこれまで明らかにはなっていなかった。今回の研究対象であるチョウザメの胚発生パターンは、カエルによく似ていることが知られている。今回の研究では、生殖細胞質あるいはPGCだけを緑色蛍光で標識するようにデザインされたメッセンジャーRNAを極小のガラス針で発生過程の胚に顕微注入することで、チョウザメ胚のどの領域でPGCが形成され、どのように将来の生殖腺形成部位に移動するかが詳しく調べられた。さらに、PGCの移動機構が生物間で保存されているかどうかを調べるため、緑色蛍光で可視化したチョウザメのPGCを単離してキンギョ胚に移植し、その移動パターンが観察されたのである。その結果、まず明らかになったのが、チョウザメの生殖細胞はカエル胚と同じく植物極付近に分布しており、PGCはそれを取り込むことで植物極側で形成されるということ。つまり、チョウザメは魚類であるにも関わらず、カエルに似たPGCの形成パターンを示すことが判明したのである。ところが、生殖腺へと移動中のPGCをチョウザメ胚から取り出しキンギョ胚へと移植すると、チョウザメPGCはキンギョのPGCと同じ経路をたどり、キンギョの生殖腺に定着した。この結果は、見かけ上大きく異なるPGCの発生パターンを持つ遠縁の動物種間であっても、PGCの移動機構が機能的に保存されていることを示しているという。今回の研究により、その生殖細胞の元になる細胞の発生パターンが生物間でどのように変化するのか、不明であったミッシングリンクの1つが埋められた形だ。しかし、チョウザメはすべての種が絶滅危惧種に指定されている一方で、キャビアの需要は世界的に高まり続けているという現状もある。その一方で、キャビア(成熟したメスの生殖細胞)の元になる細胞であるPGCの性質や、その細胞がどのように生殖腺を形成するのかはまったく調べられてこなかったのも事実だ。今回の研究はチョウザメの生殖腺が発生する仕組みの基礎的な知見となるだけでなく、将来の生殖コントロールや効率的な養殖生産につながることが期待されるとしている。
2014年02月18日産業技術総合研究所(産総研)は2月17日、和光純薬工業 試薬事業部 試薬開発本部 ライフサイエンス研究所との共同研究により、移植用細胞に残存する未分化のヒトiPS細胞やヒトES細胞を、通常は廃棄する細胞培養液を用いて簡便に検出する技術を開発したと発表した。成果は、産総研 幹細胞工学研究センター 糖鎖レクチン工学研究チームの舘野浩章 主任研究員、同・平林淳 首席研究員兼研究チーム長、同・器官発生研究チームの小沼泰子 主任研究員、同・伊藤弓弦 研究チーム長らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、現地時間2月12日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。ヒトiPS/ES細胞は、いろいろな細胞に分化できる「多能性」と、分裂して自分と同じ性質の細胞を増やせる「自己複製能」を持つ。その2つの能力により、再生医療のための細胞材料として大きな期待が寄せられているところだ。ただし、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療には大きな解決すべき課題もある。ヒトiPS/ES細胞から分化させることにより調製した移植用の細胞に、ヒトiPS/ES細胞が残存していると、それらが腫瘍を形成する危険性があるのだ。よって、患者の危険性を最小限にするためには、実際に移植治療を行う前に、移植用細胞にヒトiPS/ES細胞がどの程度残存しているかを品質検査することは必須だ。そのため、移植用細胞に残存するヒトiPS/ES細胞数を計測する技術の開発が求められていたのである。これまでのところ、「フローサイトメトリー法」や「qRT-PCR(Quantitative Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法」などの技術があるが、それぞれに問題があった。フローサイトメトリー法は、溶液中に懸濁させた細胞の散乱光や蛍光を1個ずつ高速で測定する方法で、大量の細胞の性質を解析する際によく用いられる一般的手法である。もう1つのqRT-PCR法は、RNAを鋳型に逆転写を行い、生成されたcDNAをPCR法で増幅して、DNAの定量を行う方法で、調べたい遺伝子の量を定量的に解析する一般的手法だ。しかしこれらの従来技術では、せっかく作った移植用細胞の一部を破壊して検査に使用する必要があった。このような問題点を解決するために、細胞自体を用いずに、移植用細胞にわずかに混入するヒトiPS/ES細胞を簡便に検出する新たな技術の開発が求められていたのである。そうした要求の中で進められた今回の研究において見出されたのが、ヒトiPS/ES細胞に特徴的な「O型糖鎖」を持つ「ポドカリキシン(H3+ポドカリキシン)」が、さまざまな種類のヒトiPS/ES細胞から培養液中に分泌されているという点だ。なお糖鎖とは、単糖がつながることによりできた一群の化合物のことだが、糖同士だけでなく、タンパク質や脂質などとも複合体を形成し多様な分子を形成するのが特徴である。すべての細胞表面を高濃度に覆い、その構造は由来する生物、組織、細胞により異なることから「細胞の顔」とも呼ばれ、細胞や疾患を判別するためのマーカー(疾患診断や細胞同定のための指標)として有効だ。細胞と細胞の情報伝達を仲介することにより、さまざまな生命現象に関与することでも知られている。またO型糖鎖は糖タンパク質の糖鎖の内で、タンパク質の「セリン」または「スレオニン残基」に結合している糖鎖のことをいう。そしてポドカリキシンは、高度にO型糖鎖などで糖鎖修飾されているのが特徴の膜タンパク質の1種だ。ヒトiPS/ES細胞に発現するポドカリキシンは、ヒトiPS/ES細胞に特異的に存在する「Hタイプ3」というO型糖鎖を持っている。このポドカリキシンは腎臓などほかの組織にも存在するが、ヒトiPS/ES細胞に特徴的なH3+ポドカリキシンは、これまでの研究では通常の体細胞からは分泌されていないことがわかっている。つまり、培養液中のH3+ポドカリキシンを調べることで、細胞自体を使わずにヒトiPS/ES細胞を検出できるというわけだ(画像1)。通常、タンパク質は特有のアミノ酸配列を認識する抗体を用いて検出することが多いが、ポドカリキシンは多量のO型糖鎖で覆われた巨大な「ムチン」様タンパク質であるために、抗体を用いることはできなかった。そこで、H3+ポドカリキシンに多く存在する特徴的な糖鎖構造に着目し、そのO型糖鎖を認識する「レクチン」を2種類用いて検出する新しい「サンドイッチアッセイ」系による検出システムが考案されたのである(画像2)。なおムチンとは、動物の上皮細胞などから分泌される粘性物質のことだ。高度に糖鎖修飾された糖タンパク質であり、高い保水性と粘性を持つ。そしてレクチンとは、糖鎖に結合するタンパク質の総称で、ヒトからウイルスまですべての生物に存在する。糖鎖に結合することにより、さまざまな生命現象に深く関与していることが明らかになってきた。またサンドイッチアッセイとは、ある特定の分子を2種類の検出分子でサンドイッチ(挟み込む)することにより検出する方法の総称だ。2種類の抗体を検出分子として用いる抗体-抗体サンドイッチアッセイが一般的であり、疾患を診断する際によく用いられる。今回開発された検出システムの詳細な方法は以下の通りだ。H3+ポドカリキシンを認識する「rBC2LCN」を判別試薬として固定化した反応容器を準備する。なお、rBC2LCNとは、グラム陰性菌「Burkholderia cenocepacia」由来のレクチン「BC2L-C」のN末端ドメインの組み換えタンパク質のことだ。未分化なiPS/ES細胞と反応するものの、分化した体細胞とはまったく反応しないため、未分化なヒトiPS細胞を検出するための検出試薬として有効である。1滴(50μL)の細胞培養液を反応容器に入れ1時間反応させてH3+ポドカリキシンを吸着させる。洗浄して細胞培養液を除いた後、rBC2LCNとは別のO型糖鎖を認識する酵素標識「rABA」を、反応容器に吸着したH3+ポドカリキシンと1時間反応させる。rABAは、キノコ「Agaricus bisporus」由来レクチン「ABA」の組み換えタンパク質に酵素「ペルオキシダーゼ」を標識したもの。基質を加えると濃い青色を呈する。酵素標識rABAを発色させ、その発色強度を測定して、H3+ポドカリキシン量を決定する。H3+ポドカリキシン量から、H3+ポドカリキシンを分泌したヒトiPS/ES細胞数を算出する。今回開発された検出システムのポイントは、第1にrBC2LCNを判別試薬として用いてヒトiPS/ES細胞から分泌されるH3+ポドカリキシンだけを選択的に反応容器に吸着させること、そして、第2に1分子のH3+ポドカリキシン上に100個以上あると予測される構造のO型糖鎖を認識するrABAを検出試薬とすることで、1分子のH3+ポドカリキシンに多くの酵素を付着させて高感度検出を実現したことの2点点だ。すなわち2種類のレクチンを用いることで、選択性と高感度を両立させたのである。今回の検出システムを用いると、多数の検体を3時間以下という迅速さで検査することが可能だという。また、10mLの培養液で1000万個の細胞を培養している場合、5000個(0.05%)以上のヒトiPS/ES細胞の検出ができるとした。移植用細胞中のヒトiPS/ES細胞の混入率を測定できるため、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療の安全性評価法として期待できるとしている。今後は、今回の技術を実際の再生医療に用いるヒトiPS/ES細胞由来の移植用細胞の安全性評価に利用し、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療の促進に貢献していくという。また今回の技術の感度と定量性をさらに向上させると共に臨床検査機器を開発し、再生医療分野に広く普及させていく予定としている。
2014年02月18日京都大学は1月30日、すい臓の「ランゲルハンス島(すい島)」において、血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンである「インスリン」分泌における重要因子である細胞内ATP(アデノシン三リン酸)濃度と、カルシウムイオン濃度の動態を同時に可視化することに成功し、インスリンを分泌する細胞は血糖値(血中ブドウ糖濃度)の変化に伴った細胞内ATP濃度の変化を鋭敏に感知することにより、インスリン分泌を制御していることSを明らかにしたと発表した。成果は、京大 白眉センターの今村博臣特定准教授、同・大学院 生命科学研究科の垣塚彰 教授、同・大学院 医学研究科の稲垣暢也 教授らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月24日付けで米生化学・分子生物学会の学術誌「The Journal of Biological Chemistry」に掲載された。食事後に血糖値が上がると、ランゲルハンス島の大部分を占めるβ細胞がそれを感知してインスリンを分泌し、肝臓や筋肉などに作用し、これらの組織において血中のグルコースの取り込みを促進し、結果として血糖値を下げる。β細胞からのインスリン分泌がうまく行かなくなると糖尿病となるため、インスリン分泌の仕組みを理解することは糖尿病の予防や治療を考える上でとても重要だ。これまでの研究によって、ブドウ糖が細胞内で分解された時に作られるATPがインスリン分泌の直接の引き金である細胞内カルシウムイオン濃度を制御する重要因子であると予想されていた。しかし、実際にATP濃度がβ細胞内でどのように変化するのか、そしてカルシウムイオン濃度の複雑なパターンの形成に関与しているかは不明だったのである。今村特定准教授らは、以前に開発していたATP濃度に応答して蛍光色が変化するバイオセンサをマウスより単離したすい島の細胞内に導入して蛍光顕微鏡でイメージングすることにより、生きたすい島細胞内のATP濃度の変化をリアルタイムに追跡する方法を確立した。また、同じ細胞に蛍光のカルシウム指示薬を導入することによって、インスリン分泌の直接の引き金である、すい島細胞内カルシウムイオン濃度も同時に測定。この測定系を用いて、さまざまな条件ですい島細胞内のATP濃度とカルシウムイオン濃度が変化する様子が調べられた。その結果、ブドウ糖濃度が上昇することによって急速に細胞内ATP濃度の上昇が引き起こされることが実際に確かめられ、このATP濃度の上昇が初期のカルシウムイオンの濃度上昇に必要かつ十分であることも実験的に示されたのである。一方で、ブドウ糖刺激後しばらくしてから生じるカルシウムイオン濃度の振動期においては、ATP濃度の明瞭な振動は起こらず、ATPが高い濃度で保たれていることがカルシウム振動の維持に必要であることを示す新たな知見が得られたという。糖尿病になることで、すい島細胞内におけるATPとカルシウムイオンの動態がどのように変化するかを詳細に調べることによって、糖尿病が発症する仕組みの解明や新たな治療戦略につながると期待されるとした。
2014年02月06日東京大学分子細胞生物学研究所(IMCB)は1月23日、幹細胞マーカー「Lgr5」が、ほとんどのヒト大腸がんで多量に発現していること、そして大腸がんが腫瘍を作るために極めて重要な役割を果たしていることを見出したと発表した。成果は、IMCBの秋山徹教授、同・川崎善博講師らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月23日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。最近の再生医学や幹細胞研究の飛躍的な進歩によって、腸管では「腸管幹細胞」が自己複製すると同時に分化して腸管を形成する機構が解き明かされてきている。このような研究で重要な役割を果たしているのは、幹細胞に多く発現し、幹細胞を特定するための目印の「幹細胞マーカー」となるいくつかの分子だ。Lgr5も腸管幹細胞マーカーの1種で、さまざまな研究に利用されており、また、腸管幹細胞の機能に重要な役割を果たしていることが示されている。なお、Lgr5は「7回膜貫通型タンパク質」の1種で、細胞膜を7回貫通する特徴的な構造を持つタンパク質だ。細胞外の因子を受け取り、細胞内に伝える役割を持つ。一方でがん研究にも幹細胞という概念が導入され、腫瘍を形成しているがん細胞は一様でなく、一部の「がん幹細胞」と呼ばれる細胞のみが強い造腫瘍性を持つこと、さらに、がん幹細胞は、自己複製すると同時に、造腫瘍性の低下したがん細胞に異分化して増殖すると考えられるようになってきた。化学療法や放射線治療によって一時的にがんが退縮しても再発してくるのは、大部分の造腫瘍能の低下したがん細胞が死滅しても一部のがん幹細胞が生き残っている可能性が示唆される。従って、がん細胞における幹細胞性の重要性を明らかにすることは現在のがん研究の最も重要な課題の1つだ。そこで研究チームは今回、幹細胞マーカー「Lgr5」に注目。ほとんどのヒト大腸がんで多量に発現していること、そして大腸がんが腫瘍を作るために極めて重要な役割を果たしていることを見出したのである。例えば、特定の遺伝子の発現を抑えることができる「siRNA」(短いRNA配列)を用いて大腸がん細胞のLgr5の発現を抑制すると、胸腺を欠くため免疫機能が働かないマウス(ヌードマウス)で腫瘍を作る能力が顕著に低下することが明らかになった。一般に、腫瘍を作る能力が低下したがん細胞は、シャーレの中での増殖能が低下したり、細胞死を起こしたりすることがよく知られている。しかし、Lgr5の発現が低下した大腸がんの細胞はこのような性質を示さなかったという。従って、Lgr5の幹細胞性に関わる機能が造腫瘍性に重要である可能性があると示唆されたというわけだ。それでは、なぜLgr5は大腸がん細胞で多量に発現しているのかという点にも研究チームは迫り、大腸がん細胞では転写因子の1種「GATA6」が大量に発現しており、直接Lgr5の転写を活性化していることを見出した。なお転写因子とは、DNAの特定の塩基配列に結合して、遺伝子の発現を調節するタンパク質の総称のことをいう。またその後の解析によれば、大腸がんの細胞ではsiRNAの1種「miR-363」の発現が低下していることがわかり、大腸がんにおけるGATA6とLgr5の大量発現はmiR-363の発現の低下によるものと示唆されたという。miR-363はGATA6の発現を抑制する働きがあるが、発現が低下しているためにGATA6の発現が増加しているという仕組みだ(画像)。今回の成果は、細胞内におけるmiR-363、GATA6、Lgr5の3分子による情報伝達の仕組みががんの分子標的薬を創製する上で重要な標的となることを示唆しているという。今回の研究の成果により、今後、この仕組みを標的とした薬剤が開発され、大腸がんの治療に貢献することが期待されるとした。
2014年01月29日*画像はニュースリリースより「エリクシール」から発売した美容液の中で最高の売上資生堂は、昨年9月21日発売の“美容濃密液”「エンリッチドセラム」が、発売3か月で店頭売上約34万個(当初計画比約 260%)を達成し、美容液市場金額シェア No.1(インテージ SRI 美容液市場2013年9月~2013年12月累計 ブランド別金額シェア)を獲得したことを発表した。これまでに「エリクシール」から発売した美容液の中で、過去最高の売上という。“資生堂のコラーゲン最新科学”を搭載した美容液「エリクシール」は、ブランド誕生30周年となる 2013年、「いつまでも若わかしくきれいでありたい」という女性の普遍的なニーズとエイジングケア効果への期待に応え、ブランド価値を体現した“美容濃密液”「エリクシール シュペリエル エンリッチドセラム」を発売。長年の皮膚生理研究から得られた“資生堂のコラーゲン最新科学”を搭載。新成分「ビルドコラVII」をはじめ厳選された美容成分を配合し、使うごとに、ピンと張った上向きのハリの手応えを肌に導く。また、美容成分を独自のテクノロジーで凝縮する「圧縮乳化技術」を採用し、みずみずしく、軽いのに濃密な、新しい使用感を実現している。プロモーションは、「資生堂の最新コラーゲン科学。凝縮の1滴で、上向きのハリ」をキャッチコピーに、篠原涼子(しのはら りょうこ)さん、竹内結子(たけうち ゆうこ)さんの圧倒的に美しい肌を通じて訴求。また、「ワタシプラス」や公式フェイスブックをはじめ Web媒体を通じての大規模のサンプリングの実施など、店頭だけでは接点が図れなかった新たな顧客を獲得できたことも好調の要因としている。【参考リンク】▼資生堂ニュースリリース
2014年01月24日(画像はプレスリリースより)美容液入りルージュに新色花王株式会社が展開するコスメブランド、「オーブクチュール」から、透明タイプの美容液ルージュ「オーブクチュールエッセンスプレミアムルージュ(ノーカラー)」が登場しました。乾燥が気になる冬、中でも唇の乾燥は気になるところ。実際に、冬の湿度は夏よりも低い上に、暖房などの使用で更に乾燥がちになっている傾向があります。今回発売されたオーブクチュールのノーカラールージュは、「うるおい持続ポリマー」が配合されており、うるおいを逃さず、縦ジワの目立つ唇も、ぷるんとした唇に仕上がります。ノーカラーのため、乾燥対策や花粉対策でマスクを付けていても色移りがしにくいのも特徴です。リップクリームよりもツヤ感があり、手持ちの口紅に重ねることもでき、口紅の下地にも使えるオーブクチュールのノーカラールージュは、一本持っていると「使える!」アイテムとなっています。12月の新CMもチェック!また、12月から放映されている新CMでは、唇美人の井川遥さんと石原さとみさんが「北風にあたっても、唇うるおってキレイ」と当製品を紹介しています。HPに掲載されているCMのメイキング写真で発色やイメージをチェックしてみてもいいですね。【参考リンク】▼「エッセンスプレミアムルージュ」プレスリリース▼オーブクチュールCMあきらめなくてよかった...! 見とれるほどの「究極の美ライン」を手に入れる方法とは?
2013年12月12日生理学研究所(NIPS)と中央大学は、赤ちゃんがヒトの白目と黒目のコントラストを手掛かりに顔を認識する能力は、生後5~6カ月ころに発達すること、ならびに白目と黒目というヒト特有の顔は、乳児の脳の右半球で処理されている可能性があることを発表した。同成果は、中央大学研究開発機構の山口真美教授、市川寛子機構助教、生理学研究所の柿木隆介教授らによるもの。詳細は、欧州の認知神経科学の専門誌「Neuropsychologia」に掲載された。「ブレア錯視(Tony Blair illusion)」は、良く知られたヒトの顔であっても、白目と黒目の明暗関係を反転させた目にすると誰の顔かわかりにくくなったり、奇妙な印象を与えたりするといったもので、同研究の発表者であるAnstis氏は、「子供を怖がらせるバンパイアのよう」と形容している。今回の研究は、この奇妙さを感じるのはいつごろかを探る目的で実施されたもので、生後5~6カ月の乳児に、白目と黒目のコントラストを保った正常の目と、白と黒を反転させた目をもつ顔のそれぞれのときにおける脳活動の計測を近赤外分光法(NIRS)を用いて行った。その結果、正常な目の顔を見ているときは脳活動が上昇したが、白黒反転目では脳活動が上昇しないことが確認されたほか、正常な目を見ているとき、脳の右後側頭部が強く活動していることが確認されたという。研究グループはこれらの結果について、生後5カ月以降になると乳児はヒト特有の白目・黒目をもつ顔だけを「顔」として認識し、その処理を脳の右半球で行っていることを示唆するものだと説明。今回の成果が、赤ちゃんの脳内でヒト特有の目に反応する神経基盤の解明につながるものとなることが期待できるとしている。
2013年11月29日京都大学は10月18日、体細胞からiPS細胞へと初期化する過程で、RNAを切り貼りする「スプライシングパターン」も初期化されることを明らかにしたと発表した。 成果は、京大 iPS細胞研究所(CiRA)/生命科学研究科大学院生の太田翔氏、同・生命科学研究科の西田栄介教授(科学技術振興機構 CREST)、同・CiRA所長の山中伸弥教授(物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)、グラッドストーン研究所)、同・CiRA/iCeMSの山本拓也助教、らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、米国東部時間10月17日付けで米科学誌「Cell Reports」のオンライン版に掲載された。 一般的な真核生物のDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)前駆体には、「イントロン」と呼ばれる直接タンパク質のアミノ酸配列に関わらない領域がある。このイントロンを除き、残った「エクソン」と呼ばれる領域からなるmRNAが作られる過程はスプライシングと呼ばれる。 そして、1つの遺伝子から複数のタンパク質を作る仕組みの1つが「選択的スプライシング」だ。同じDNAを参照していても、必要とするエクソンと必要としないイントロンの領域が異なることで設計図として変化し、複数種類のタンパク質を作れるのである。この仕組みによりタンパク質の種類は豊富になり、より複雑で柔軟性のある仕組みを作ることができるというわけだ。 また、多能性と無限増殖性を持った細胞であるES細胞では、同細胞に特徴的なスプライシングが行われていることが報告されている。分化した細胞にはそれぞれ特徴的なスプライシングのパターンがあり、各細胞に固有の機能や特性を生み出しており、細胞を特徴付ける大きな要因であるのだ。 しかしその一方で、スプライシングの仕組みには、パターンを間違える可能性という危険性があるのはいうまでもない。スプライシングパターンを誤ると、当然のことながら間違えたタンパク質ができてしまったり、そもそもタンパク質そのものができなかったりすることもある。よって、スプライシングパターンが変わってしまうことで生じる疾患も多数報告されているというわけだ。 分化した細胞に、俗に「山中因子」と呼ばれる4つの初期化因子(「Oct3/4」、「Sox2」、「Klf4」、「c-Myc」)を導入するとiPS細胞への初期化が行われるが、その過程でスプライシングパターンも変化しているのかどうかは明らかにはされていなかった。もし、スプライシングパターンが変化しなければ、同じiPS細胞であっても由来細胞によって大きく性質の異なるiPS細胞になる可能性が考えられるというわけだ。そこで研究チームは、大規模遺伝子解析の技術を用いて体細胞とiPS/ES細胞のスプライシングパターンを解析することにしたのである。 初期化前後でのスプライシングの違いについて調べるために、線維芽細胞、ES細胞、線維芽細胞から樹立したiPS細胞それぞれのmRNA配列の解析が実施された。すると、線維芽細胞のスプライシングパターンがiPS/ES細胞に特徴的なスプライシングパターンへと変わったことがわかった(画像1)。選択的スプライシングにはさまざまなタイプがあるが、ここでは「スキップド・エクソン」(A-B-CとA-Cという2つの選択、エクソンBを飛ばすかどうか)についての解析が行われた。画像1のスプライシングパターンの解析結果では、線維芽細胞(MEF)から作製したiPS細胞は、MEFとは大きく異なり、ES細胞と似たスプライシングパターンを示したのである。 特徴的なスプライシングパターンを決めているメカニズムは、RNAに結合するタンパク質が制御していると考えられるという。そこでRNA結合タンパク質の中から、特にiPS/ES細胞で特異的に働いているタンパク質を作る遺伝子92種が選ばれ、それらの遺伝子がRNA干渉法により1つ1つ働かないようにされた結果、9種類のRNA結合タンパク質がスプライシングパターンに影響を与えることが判明したのである。 これらのタンパク質が働かないようにした結果、2種類のタンパク質「U2af1」と「Srsf3」がそれぞれ働かない場合に、iPS細胞ができる効率は低下することが確認された(画像2)。画像2はU2af1およびSrsf3を働かなくした細胞での初期化がわかるiPS細胞のコロニー(左)とシャーレ上のを占める面積を表したバーグラフ。 画像2中のAPは、アルカリフォスファターゼ(iPS細胞へと初期化されたことを確認する指標)。U2af1およびSrsf3の働きを阻害した場合には、iPS細胞のコロニー(紫色の点)の数が減少し(左)、シャーレ上を占める面積も減った(右)。shNCは、コントロール(遺伝子の働きに影響を与えないRNA)、shU2af1はU2af1を作れないようにするRNA、shSrsf3はSrsf3を作れないようにするRNA。#1、#2、#3はそれぞれ同じ内容で実験が行われた。 以上のことから、体細胞が初期化される際にU2af1とSrsf3がRNAスプライシングに影響を与えることによって、重要な役割を果たしていることが明らかとなったのである。 今回の研究では、選択的スプライシングについてゲノム全体で解析を行い、細胞が初期化される過程でスプライシングパターンやスプライシングを制御するメカニズムが変化していることが解明された。また、選択的なスプライシングの制御が細胞を初期化するメカニズムの一翼を担っており、多能性に重要な働きをしていることを示唆しているという。この成果から、iPS細胞はES細胞などと同様に多能性を持つスプライシングパターンへと体細胞のパターンから変化していることが明らかになった形だ。今回の成果を応用することで、iPS細胞の品質評価やiPS細胞作製時の効率や時間の改善などにも利用できる可能性が考えられるとしている。
2013年10月21日