中谷美紀の初舞台となる『猟銃』。本作の演出をシルク・ドゥ・ソレイユ『ZED』の作・演出を手掛けたフランソワ・ジラールが担当する。舞台『猟銃』のチケット情報『猟銃』は、ひとりの男の13年間にわたる不倫の恋を、妻、愛人、愛人の娘の3通の手紙によって浮き彫りにするラブストーリー。原作は文豪・井上靖が雑誌「文学界」発表第2作目となる恋愛小説。1961年には五所平之助監督により映画化されている。フランソワ・ジラールは、『ZED』のほかにも、アカデミー賞を受賞した、映画『レッド・バイオリン』や中谷も出演した『シルク』など映画監督としても、世界からも注目を集めている。2008年に公開された映画『シルク』の日本での撮影中に『猟銃』と出会ったフランソワ・ジラールは、この小説にインスパイアされ、舞台化に着手。主演を務める、中谷にひとりで妻、愛人、愛人の娘を演じさせ、立場の違う3人の女性の中に秘められた“男性”への想いの共通項を浮かび上がらせる。舞台『猟銃』は、カナダ・モントリオールにて9月7日(水)から10日(土)まで公演が行われる。日本では10月3日(月)から23日(日)まで東京・PARCO劇場を皮切りに、兵庫、新潟、福岡、名古屋、京都にて上演。チケットは東京、兵庫、京都公演が7月30日(土)より発売。なお、チケットぴあでは、6月28日(火)11:00から30日(木)11:00まで先行抽選プレリザーブを受付。
2011年06月28日繊細で美しい映像と愛情とユーモアにあふれるストーリー展開で日本でも人気の高いフランス人監督フランソワ・オゾン。ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品され、喝采を浴びた『Ricky リッキー』で彼が描いたのは“家族”そして“母性”。翼の生えた赤ん坊・リッキーの存在を通じて、それまでバラバラに、自分本位で生きてきた一家が互いに向き合い、不器用ながらも少しずつ本当の家族となっていく姿を描く。このファンタジーを通じてオゾンは何を訴えかけたのか?その思いを語ったインタビューが到着した。ひとり娘を連れて再婚し、息子を生むも育児に追われイライラする母・カティ。仕事に行き詰まりカティと衝突を繰り返した挙句に家を出る夫のパコ。母の再婚と弟の誕生で母親を取られたような気持ちを抱える娘のリザ。そんな状況でなぜか、赤ん坊のリッキーの背中に天使のような翼が!いつものようにと言うべきか、本作でも監督お得意のファンタジー要素とユーモアがたっぷりと盛り込まれ、それぞれが複雑に絡み合う。監督の意図は?「ローズ・トレメインによる今回の原作小説には、僕が好きな皮肉が散りばめられていて、映画の中でもそれらを残したいと思っていたんです。物語がファンタジーになり過ぎたり、ハッピーになり過ぎたりしたら、ユーモアを挟んでテンションを和らげ、シーンにある一定の効果を持たせました。リッキーはほかの赤ちゃんとちょっと違いますよね。そんなリッキーを、カティとリザが大喜びで世話をするんです。この映画に込められた皮肉は、非現実的な状況なのに、ありきたりな母性を見せるところから生まれているんです。どんな親でも、子供が何かできるようになった瞬間を目にすると大喜びしますよね。例えば、子供が最初に笑うときやゲップをするとき、それに、最初の一歩を踏み出すときなど。親というのは赤ちゃんの体を敬愛するものです。リッキーの背中の翼は、そんな親たちの気持ちや行動を強調しているのです。カティにとって、リッキーの翼はハンディキャップではないんです。それは贈り物で、価値のあるものなんですね。彼女はその翼を面白がっているし、気に入っているんです」。「僕は女性を描くのが好きなんです」と監督。確かに本作は家族の物語であると同時に女性を魅力的に描いた作品でもある。監督は、自身の初期の作品『海をみる』を引き合いに、こう説明する。「『海をみる』とは違う形で“母性”をテーマにした作品を撮りたかったんです。『海をみる』では、良き母と鬼のような母という正反対の女性を通して、2つの母性本能を描いたんです。今回の作品では、この2つの要素がカティというひとりの女性の中に描かれていて、彼女の複雑な母性の変化が表現されているんです」。ちなみに監督自身は“母性”と“父性”の違いについてどのように感じているのだろう?「子供は母親の体から生まれるので、母親は子供のことを自分の一部のように考えることが多いのではないでしょうか?この生理学的な面と身体的な関係はとても興味深いと思います。原作小説の中で、パコという男は、お金をむしり取りに戻ってくるような、とても感じの悪い男として描かれていますが、映画の中では複雑なキャラクターとして描かれています。僕は、この男女の関係を小説よりも詳しく描きたかったんです。パコはリッキーを使って、ジャーナリストからお金を稼ごうとします。でもこれは、単に図々しいのではなく、正当な理由があるからなんです。家を買うためとか、良い環境でリッキーを育てるためのスペースを得るため、とか。確かに、パコが(家出から)戻ってくるのは、リッキーが珍しい子供だと分かってからだけれど、彼には父性を発達できるような機会も時間も与えられなかったんです。彼は、リッキーが生まれてすぐにカティに追い出されてしまったのですから。“男が父親になれるチャンスはどのくらいあるんだろうか?”、というのがこの映画が問いかけるテーマのひとつでもあるんです」。母そして女の視点で観るか?それともオトコ目線で観るかによっても作品の捉え方は変わってきそう。もちろん、複雑な内面を宿した登場人物たちを見事に体現したキャスト陣にも注目してほしい。もちろん、リッキーの愛らしさにも!■関連作品:Rickyリッキー 2010年11月27日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開© Eurowide Film Production - 2008 - Tous droits reserves
2010年11月29日