新国立劇場でバレエ『ホフマン物語』が上演される。スコティッシュ・バレエを率いた振付家、ピーター・ダレルによる全幕バレエで、新国立劇場では2015年に新たな美術、衣裳で上演、今回が再再演となる。幕ごとに20代、30代、40代のホフマンの物語が語られるが、各幕でホフマンが恋する女性を主役級女性ダンサーたちが競演する華やかさも魅力。本作三度目の取り組みとなるプリンシパル、小野絢子と米沢唯に、役作りや見どころについて聞いた。ホフマン青年時代の恋人は、バレリーナに憧れる女性まず尋ねたのは、ふたりが演じるアントニアについて。第1幕で人形のオリンピアに恋をしたホフマンだが、続く第2幕ではバレリーナになることを夢見る、ピアノ教師の娘アントニアと恋仲になっている。小野 『ホフマン物語』は、プロローグに登場する初老のホフマンが、過去の三人の女性にまつわる物語を振り返ります。アントニアは彼の青年時代の恋人。オペラでは、歌が大好きだけれど心臓が弱く、歌うと死んでしまうという女性ですが、私たちはバレエに置き換えて表現します。(撮影:鹿摩隆司)米沢 ホフマンの人生の中で、たったひとりの、愛が通じ合った相思相愛の恋人です。この第2幕は多分、ホフマンの人生で一番幸せだった時期ではないでしょうか。小野 この幕には、「ザ・」バレエ・シーンといえる場面があるんです。そこでのアントニアは、アントニアではあるけれどアントニアではない──彼女が夢見ていたバレリーナになって踊るのですが、パートナーは、ホフマン!彼女の中ではそこでもパートナーは彼がいい、ということなのでしょう。理想のパートナーとしてホフマンを巻き込んでしまうんですね(笑)。米沢 普通の女の子からプリマ・バレリーナへ、短時間でガラッと印象が変わるのは大きな見どころですし、演じがいがあります。恋人のホフマンに対して、突然「(つんとすまして)私を持ち上げなさい」というような雰囲気の大プリマになるんですから(笑)。小野 ブレることなく好きなものがあるというのは、バレエ作品のヒロインらしいところですね。米沢 命をかけてでもどうしても踊りたいという思いに突き動かされ、ミラクル博士(実は悪魔)に理性のたがを外され、突っ走った先に死を迎える──大好きなホフマンさえも置いて!そんな情熱的なところにぐっときます。三人目の女性ジュリエッタは“非現実的”アントニアは、プリンシパルとして数々のヒロインを演じてきたふたりにぴったりの役柄といえる。米沢はさらに別日程で、第3幕に登場する三人目の女性ジュリエッタも演じる。年齢を重ね、宗教に帰依したホフマンを誘惑する高級娼婦だ。(撮影:鹿摩隆司)米沢 彼女は完全に 、“女王”。ホフマンを連れてくるのはボスのダーパテュート(実は悪魔)ですが、彼女はホフマンの中にある欲望の世界、そのトップに君臨している女王だと私は考えています。どこか非現実的で、アントニアのように血の通った人という感じがしないように思いませんか?小野 彼の中の気持ちの揺らぎみたいなものを象徴しているように思えますよね。まるで『白鳥の湖』で黒鳥が現れたときと同じく、勝手に落ちていくようにも見受けられます。米沢 誘うとすぐついてきますから(笑)。ホフマンが自分で十字架を作って突き出すというシーンも印象的ですが、それは彼が、彼自身の中にある十字架を持って立ち上がる、ということなのかなと思います。ホフマン役の中でもかなりのハイライトではないでしょうか。このシーンはアントニアの話とも繋がっていると思うんです。彼女の死をずっと悼み続けていても、どうしても女性というものに惹かれてしまう。でも最後は、彼が強く立ち上がることによってダーパテュートとジュリエッタは消え失せる──。それは、十字架からダーパテュートとジュリエッタが逃げたというよりも、彼が立ち上がった、ということが重要なのかなと思うんです。その後、エピローグには再び、初老のホフマンの恋人、オペラ歌手のラ・ステラが登場する。米沢 彼女はオリンピア、アントニア、ジュリエッタという3人の魅力の全てを持ち合わせている人。歌を歌い、丈夫な身体も持っているし、可愛らしさも色気もある。全部を兼ね備えた存在なのだけれど、結局ホフマンはともに生きていくことができない。すべて悪魔が邪魔していることになっていますが、多分、彼自身の問題なのだろうなと思います。小野 人間らしさにあふれたバレエですよね。現実というものはが思いきり描かれている感がある。でもだからといって救いがない感じもしない。ホフマンは辛い思い出を拒絶しているようには感じられません。それらを胸に抱きながら、生きようとしている。だからこそ、初老となったホフマンもただの偏屈で嫌なおじさんではなく、人々が寄ってくるような、愛すべき人物なんですよね。ちょっと影があって──。それが、ホフマンの魅力であり、この物語の魅力なのかなと感じます。(撮影:鹿摩隆司)彼は全然ヒーローではないし、駄目なところもいっぱい見せるし、第1幕ではわりと鼻につくところもある(笑)。舞台を観て、ちょっと自分のことも見直して──という人もいるのではないかなと思います。大人の方は、いろいろ深く感じていただける作品ではないでしょうか。ホフマンを悪の道へと引きずり込む“悪女”に意欲今回の公演では小野は日替わりでふたりのホフマン(福岡雄大、奥村康祐)と対峙し、米沢も二つの役ごとに別のホフマン(井澤駿、奥村康祐)と組んで踊る。相手が変わることで、踊り方や表現は変わってくるのではないだろうか。(撮影:鹿摩隆司)小野 それぞれに違うものになりますし、この作品に関してはやはりホフマンが主導してどんどん物語を組み立てていく。ホフマンの舵取りに従っていくことで、一本筋が通ることになりますから、そこは注意深く取り組んでいきたいですね。男性(ホフマン役)にとってはとんでもない難役だと思います。経験、技術、感性、ダンサーというか、アーティストとしての力量が試される。各々がどのようなホフマンをつくりあげてくるのか、私はとても楽しみにもしています。米沢 私の場合は、どちらの役ものびのびと楽しく、です。ジュリエッタ役として(奥村)康祐さんを悪の道に引き込むのはめちゃくちゃ楽しいです(笑)。2018年に一緒に踊った(福岡)雄大さんのホフマンも好きでした。抗いきれない欲望に苦しんで、とても魅力的な顔をするんです。今回、康祐さんがどんな表現をするのか、すごく楽しみです。(撮影:鹿摩隆司)その可憐な容姿からは想像もつかない発言だが──。米沢 ある時期から──『マクベス』(ウィル・タケット振付、2023年4月世界初演)くらいから吹っ切れて、悪女を演じることが楽しくなりました。以前は一所懸命、自分の内面を迷いながら探ってというところがありましたが。“ホワイト”の役も好きですから、両方できるというのはすごくありがたいです。今回の公演では前芸術監督の大原永子も駆けつけ、リハーサルを指導。スコティッシュ・バレエのプリンシパルとしてピーター・ダレルの薫陶を受け、新国立劇場での本作の上演実現を牽引した彼女だけに、ダンサーたちは皆、大きな信頼を寄せる。米沢 大原先生はよく「ダレルさんは手の使い方が独特」とおっしゃっていました。普通のポール・ド・ブラ(腕の動き)よりもう一つ内側、身体の近くを通りなさい、と。また男性と組むとき、両手を繋いで複雑に絡ませて手で体を回すといった動きが多く、覚えるのが大変でした。一見さらっと踊っているように見えて“玄人受け”する振付ではないかと思います。(撮影:鹿摩隆司)小野 今回、大原先生にリハーサルを見ていただくのは久しぶり。この作品に命を、エネルギーを吹き込んでくださいます。先生がこの作品を振付家から直接習われたということはとても大きいこと。スコティッシュ・バレエではオリンピア、アントニア、ジュリエッタを全部踊られていて、この作品に対して強い思い入れもある。もちろん、リハーサルでは苦労することもあるけれど、先生に指導していただくことで方向性がしっかりと決まりますから、安心ですね。(撮影:鹿摩隆司)取材・文:加藤智子<公演情報>新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』振付・台本:ピーター・ダレル音楽:ジャック・オッフェンバック編曲:ジョン・ランチベリー美術:川口直次衣裳:前田文子照明:沢田祐二出演:新国立劇場バレエ団指揮:ポール・マーフィー管弦楽:東京交響楽団2024年2月23日(金・祝)~2月25日(日)会場:東京・新国立劇場 オペラパレスチケット情報:()公式サイト:
2024年02月10日ダスティン・ホフマン主演の同名ヒット映画(1982)を原作としてミュージカル化され、2019年のブロードウェイに華々しく登場、同年のトニー賞で脚本賞と主演男優賞に輝いた『トッツィー』。音楽と歌詞をデヴィッド・ヤズベック(『ペテン師と詐欺師』『バンズ・ヴィジット』)が、脚本をロバート・ホーン(『13』『シャックド』)が手掛け、そして代表作が無数にあるブロードウェイのベテラン、スコット・エリスが演出を担った傑作ミュージカルコメディが、山崎育三郎を主演に迎えていよいよ日本初上陸を果たす。原作映画の舞台は公開当時のハリウッドだが、こちらは現代のブロードウェイ。演技への熱意は人一倍だが性格に難アリの舞台俳優マイケル・ドーシー(山崎)は、元カノのサンディ(昆夏美)がブロードウェイミュージカルのオーディションを受けることを知り、仕事が欲しい一心で女優ドロシー・マイケルズと名乗って自分も受けに行く。するとなんと合格してしまい、さらには敏腕プロデューサー・リタ(キムラ緑子)の目に留まって主役に引き上げられ、なぜか共演者やスタッフから人望まで得ていくドロシー。ヒロイン役のジュリー(愛希れいか)とも女性同士として友情を深めていくのだが、素のマイケルはジュリーに恋をしてしまい……というストーリーが、歌と踊りと笑いが満載のなかで描かれていく。脚本と音楽はもちろん、ブロードウェイ版の演出補と振付家が来日するとあって、演出のクオリティも既に折り紙付き。あとは日本版キャストがどこまで自分のものにできるかだが、上述したほかに金井勇太、岡田亮輔・おばたのお兄さん(Wキャスト)、エハラマサヒロ、羽場裕一らが名を連ねるこの布陣なら心配ないだろう。なかでも注目は、やはり主演の山崎育三郎。ドロシーとしては優しく頼りがいがあり、マイケルとしては面倒くさいがどこか憎めなくもあるという多面的な役を、果たしてどうチャーミングに演じて見せるのか!? 期待高まる公演は、本日1月10日(水)に日生劇場で開幕し、その後全国各地を巡演する。◎山崎育三郎コメント&撮影メイキング映像◎製作発表記者会見より、“Unstoppable”止められない 歌唱披露文:熊田音子<公演情報>ミュージカル『トッツィー』音楽・歌詞:デヴィッド・ヤズベック脚本:ロバート・ホーン演出:スコット・エリス振付:デニス・ジョーンズ演出補:デイヴ・ソロモン出演:山崎育三郎、愛希れいか、昆夏美、金井勇太、岡田亮輔 /おばたのお兄さん(Wキャスト)、エハラマサヒロ、羽場裕一、キムラ緑子 ほか2024年1月10日(水)~1月30日(火)会場:東京・日生劇場【大阪公演】2024年2月5日(月)~2月19日(月)会場:梅田芸術劇場メインホール【名古屋公演】2024年2月24日(土)~3月3日(日)会場:御園座【福岡公演】2024年3月8日(金)~3月24日(日)会場:博多座【岡山公演】2024年3月29日(金)・30日(土)会場:岡山芸術創造劇場公式サイト:
2024年01月10日恋人とも友人とも違う『兄弟・姉妹』は、自分にとってよりパーソナルな存在といえますよね。ゆえに、笑ったり泣いたり、時にはケンカも絶えないものですが、だからこそ尊く感じられます。そんな『兄弟・姉妹』の関係は映画の世界においては格好のテーマ。『兄弟・姉妹』の関係を描いた傑作を5つご紹介します。息の合った一心同体の兄弟から、拳を交える兄弟までブルース・ブラザースまずご紹介するのは、1981年公開の世界的大ヒットミュージカルコメディ映画『ブルース・ブラザース』です。1975年から今なお続くアメリカの伝説的コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』。同番組に出演していたジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの人気コントを長編映画化した本作は世界中のカルチャーに大きな影響を与えてきました。同作に出演する兄弟は、刑期を終えて出所した兄・ジェイクと、それを迎えに来た弟のエルウッド。2人は、かつてお世話になった孤児院を訪問するも、そこは資金難から閉鎖の危機におちいっていました。悩んだ末、音楽を使ってお金を稼ぐという『神の啓示』を受けた2人。かつての仲間たちとバンドを結成するも…というのがあらすじです。黒スーツに黒ネクタイに黒ソフト帽、そしてレイバンのサングラス。ポップアイコンにもなった2人組が繰り広げる爆笑のドタバタ劇と、音楽演奏シーンは見ているだけで元気が出ます。一方で、闇の世界にいながらも愛のために奮闘する兄弟愛に涙を誘われる傑作といえるでしょう。火垂るの墓次は、1988年公開、悲劇の戦争ドラマアニメ映画『火垂るの墓』をご紹介します。直木賞受賞作家である野坂昭如さんの短編小説を、スタジオジブリの高畑勲監督が映像化した本作。時に『トラウマアニメ』として語られることも多い同作ですが、同時に戦争の悲惨さを如実に伝えた傑作として愛されてきました。同作の舞台は、終戦間際の1945年の神戸。孤児となった14歳の兄・清太と4歳の妹・節子は親戚の家に身を置くものの、次第に厄介者扱いをされ、ついには家を飛び出してしまいます。悲惨な世界に放り出された2人が生き抜く姿が描かれており、飢えに苛まれ次第に衰弱していく節子を救おうと奔走する清太からは、無償の兄妹愛を感じ取れるはずです。それゆえに、多くの観客を号泣させたそのラストは、胸に深く刻まれるものになったのでしょう。レインマン次は、1989年公開の傑作ヒューマンドラマ『レインマン』です。第61回アカデミー賞で、作品賞を含む4部門を受賞した本作。主演に名優ダスティン・ホフマンと、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった美青年のトム・クルーズを迎え、世界的な大ヒットとなりました。同作に登場する兄弟は、重度のサヴァン症候群の兄・レイモンドと、高級外車のディーラーとして働く弟・チャーリー。軽薄で身勝手な弟のチャーリーは亡くなった父の遺産分与目当てで、兄・レイモンドを病院から連れ出し旅に出るも、道中で彼への愛情に目覚めていく様をトム・クルーズが熱演しています。感情をうまく表現できないレイモンドが徐々に見せていく弟への愛情は、涙なくしては見られません。アナと雪の女王次は、日本でも社会現象となったディズニーのCGアニメーション映画『アナと雪の女王』をご紹介します。アンデルセンの描いた名作童話『雪の女王』をもとに、ディズニーアニメーションが目を奪われる美麗なグラフィックで作り上げた本作。歌手のイディナ・メンゼルが歌い、日本語吹き替え版では俳優の松たか子さんが歌って大ブームとなった劇中歌『Let It Go』は、本編を見ていなくとも耳にした人も多いはず。触れたものを凍らせる力を持った王家の子供・エルサとその妹のアナ。やがて2人は成長し、エルサは王位継承の儀式に出席しますが、そこで能力が暴走し、王国に危機を呼んでしまいます。大切な妹を傷付けないために自らを封印したエルサ。そんな彼女の心を解きほぐせるのは一番身近にいた、アナ本人だけでした。互いを救いたい一心でぶつかり合う姉妹からは、もどかしさと同時に深い愛情を感じ取れるはずです。ウォーリアー最後は、2011年制作、2015年公開のヒューマンドラマ『ウォーリアー』です。第84回アカデミー賞に共演のニック・ノルティが助演男優賞でノミネートされながらも、日本では公開数が限られていたため『隠れた傑作』ともいわれている本作。アルコール中毒だった父から逃れるために家を出た弟・トミーは14年ぶりに父のもとを訪れます。その理由は高額の賞金が出る総合格闘技イベント出場に向け、元ボクサーの父にコーチングをしてもらうため。時を同じくして、教師でありながら自己破産の危機に陥っていた元総合格闘家の兄・ブレンダンもイベントへの出場を決意していました。かくして、家族の葛藤を抱えた両者は期せずしてリングで相見えます…というのがあらすじ。屈強な肉体ながらも今にも泣き出しそうな瞳をした弟・トミー、そして家族を守るために苦悩を噛み潰す表情を見せる兄のブレンダン。兄弟のぶつかり合いが頂点に達する感動のクライマックスは、泣くこと間違いなしです…。兄弟・姉妹という関係は他人同士のように簡単に離れにくいもの。だからこそ、共に苦難を乗り越えた時に、変えがたい絆が浮かび上がるものなのでしょう。こうした映画たちは、そんな尊さを教えてくれますね![文・構成/grape編集部]
2021年03月25日今週の「おとな向け映画ガイド」おひとりさま のんちゃんの『私をくいとめて』と、フェリーニにオマージュ『声優夫婦の甘くない生活』をオススメします。ぴあ編集部 坂口英明20/12/13(日)イラストレーション:高松啓二今週のロードショー公開は17本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。全国100スクリーン規模以上で拡大公開される作品は『約束のネバーランド』『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』『ワンダーウーマン 1984』『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』の4本。中規模公開とミニシアター系の作品が13本です。その中から、2本を厳選し、ご紹介します。『私をくいとめて』現代の独身女性を描かせたら大九明子監督はピカイチ、そう思います。同世代の女性からの圧倒的支持を受けた『勝手にふるえてろ』と同じ綿矢りさ原作で、しかも今回はアラサーの主人公に、のんちゃんを起用。女性たちは「あるある」と共感するでしょうし、おじさん含む男子は「ふーん、そういうものなのか」と納得できる映画です。今年の東京国際映画祭正式出品作。コロナ禍、コンペのなかったこの映画祭で唯一の賞、観客賞を受賞しています。おひとり様の気軽さは最高なのに、まわりからは、恋人はいないんだという視線のプレッシャーもある。そんな時に年下の男性からアプローチされたら……。さまざまな思いがめぐる脳内。のんちゃん扮する主人公みつこの味方は、力強いのにやさしくアドバイスをくれる癒し系男子「A」です。あ、これ空想上の存在ね。声だけの出演ですが、あの役者が、という起用です。もうひとりのスペシャル・キャストは、イタリアに住んでいる大学時代の友人役、橋本愛。テレビ『あまちゃん』以来の「潮騒のメモリー」コンビ復活は、心ときめきます。大九監督の細部への心配りにも注目です。例えば、みつこの家のベッドから台所の棚にあるもの、着ている服など。食事だって、ひとり鍋、ひとり焼肉、ひとりパンケーキとか。それからお酒!前作『甘いお酒でうがい』でもグッドチョイスでしたが、今回はイタリアのリモンチェロがいい感じ。さらに大滝詠一『君は天然色』がこんな風に流れるとは!大九作品の常連といってもいい前野朋哉は今回はあっと驚く役で出演。片桐はいりはみつこの上司役です。一瞬の出演で場をさらっていた古舘寛治が今回出ていないのは残念ですが、みつこが年下の多田くん(林遣都)と出会うシーンで登場する下町のコロッケ屋役・岡野陽一がいい味、染み出してます。『声優夫婦の甘くない生活』冷戦時代のソ連で、実は人気のあったハリウッドや西欧映画。そのロシア語吹き替えを担当していた有名なユダヤ人の声優夫婦が、1990年、ソ連崩壊の前年、悲願の地、イスラエルに移住します。新しい土地では、ゼロからのスタート。歳も60を超えていますし、そんなに「甘い生活」ではありません。そんななかでも、自分たちの才能を活かした仕事をみつけていきます。もちろん、声がいい、というのがこの夫婦のウリです。ポスター貼りのアルバイトのような仕事しかできない夫ヴィクトルにくらべ、世間知らずのように見える妻ラヤの方が新世界への順応力はあり、早速、高給の職に就きます。でも、それはかなり怪しげなテレフォン・セックスの店。夫も、なんとか映画のロシア語吹き替えに活路を見出しますが、海賊ビデオ用……。おたがい、仕事の内容をさすがにうちあけられません。ロシアからイスラエルに渡ったユダヤ人は2000年までに120万人を超し、人口の2割を占めたといいます。これなら海賊ビデオの需要もあるはずです。日本でもテレビのゴールデンタイムに外国映画を放送した時代は、アラン・ドロンは野沢那智さん、イーストウッドは山田康雄さんとか、吹き替えのスター声優がいましたが、この映画のヴィクトルもそんな声優さん。闇のレンタルビデオ屋で、モニターに映った『クレイマー、クレイマー』にあわせてセリフを完璧に語りだし、驚いた店の主人にその場でスカウトされます。そう、ダスティン・ホフマンの声は彼だったのです。エフゲニ・ルーマン監督はこの映画の主人公と同じ、家族とともに子供の頃にソ連から移住してきたひとり。脚本はその経験をもとに書かれています。ヴィクトルが尊敬するのはフェデリコ・フェリーニ、という設定も監督の趣味のようです。実際にフェリーニは『8 1/2』でモスクワ映画祭に参加したことがあり、そこでヴィクトルと会っていたかもしれないと、空想をふくらませました。随所に、フェリーニへのオマージュが感じられる映画です。
2020年12月13日ソ連からイスラエルに移住した映画吹き替え声優夫婦の第2の人生を描く『声優夫婦の甘くない生活』。この度、本作でオマージュが捧げられている名匠フェデリコ・フェリーニ監督の『ボイス・オブ・ムーン』版ビジュアルが解禁された。公開決定のニュースに、早くも映画ファンの間では「夫婦愛と映画愛に満ちた作品で惹かれる」「フェリーニの作品が出てくるの、楽しみ」「声優という職業、しかも夫婦、そしてイスラエル発!世界観からもう面白そう」とSNSで期待の声が上がっている本作。溢れんばかりの映画愛に包まれた本作は、今年、生誕100周年を迎えたイタリアの名匠フェリーニに最大のオマージュを捧げており、その理由について監督のエフゲニー・ルーマンは、大好きな映画制作者であることはもちろん、主人公の声優夫婦、そして監督自身も幼少期を過ごした当時のソ連圏で観ることのできた、数少ない外国映画の監督のひとりだったから、と語る。この度、そんな本作のビジュアルが、1990年日本公開時のデザインをイメージした『ボイス・オブ・ムーン』版に変身。月に見立てた黄色い映画フィルムのリールが印象的だ。『ボイス・オブ・ムーン』は、『ライフ・イズ・ビューティフル』の人気俳優ロベルト・ベニーニが主演したフェリーニ監督最後の長編映画。“月の声”を求める無垢な主人公と周囲の人々が繰り広げるお祭り騒ぎを、詩的でファンタジックな映像で綴った、まさにフェリーニの真骨頂といえる作品。本作『声優夫婦の甘くない生活』では、1990年、ちょうど新作として発表されたこの映画を、フェリーニを敬愛する主人公のヴィクトルがイスラエルでも上映しようと奮闘する様子が描かれる。劇中ではほかにも、ダスティン・ホフマン主演『クレイマー、クレイマー』や、マーロン・ブランド主演『波止場』など、往年のハリウッドの名作が数々登場し、映画ファンをノスタルジックに楽しませてくれる。なお、本日10月27日(火)に開催されるヒューマントラストシネマ有楽町のジャパンプレミアでは、来場者に本ビジュアルのポストカードがプレゼント。31日(土)からは、都内のヒューマントラストシネマ有楽町と、新宿武蔵野館の劇場ロビーにも本ポストカードが設置される予定(なくなり次第配布終了)。『声優夫婦の甘くない生活』は12月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:声優夫婦の甘くない生活 2020年12月18日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開
2020年10月27日映画『卒業』では、ダスティン・ホフマン演じるベンジャミンが愛するエレーンの結婚式に割って入り、新婦を奪って逃げるラストシーンが感動を誘ったが、似て非なる事件がザンビアで起きた。地元紙Zambian Observerが伝えている。ザンビアの国税庁で働くアブラハム・ムユンダが、今まさに生涯の愛を誓おうとしていたその時、女性の声が教会内に響いた。「神父さま、結婚式を中止してください!そこにいる人は私の夫なんです!」おんぶ紐で赤ちゃんを背負ったこの女性はムユンダの本物の妻、キャロラインさんだった。この日、ムユンダは「出張に行く」と言って家をあとにしたが、実は他の女性と結婚式を挙げていたのだ。キャロラインさんは友人から夫が結婚しようとしていると聞き、子どもを連れて急いで式場へと駆けつけたという。この様子は列席者によって撮影されており、動画がネット上に出回っている。騒然とする教会内で「私たちは離婚もケンカもしていません、その人は私と結婚しているんです」と訴えるキャロラインさん。事情が飲み込めず、彼女をつまみだそうとする列席者。そして、バツが悪そうにたたずむ新郎新婦。国連によると、ザンビアの結婚制度には、因習によるものと、現代の制定法に基づくものの2種類があるという。後者は一夫多妻制を認めておらず、妻がいるにも関わらず別の女性と結婚しようとしたムユンダが起訴された場合、7年程度の懲役刑が科される可能性があると英METROは報じている。新婦はムユンダが妻帯者であり、3人の子どもを持つ父親であると知りながら結婚式の費用を支払ったという。
2020年10月16日吹き替え声優の夫婦を描く、イスラエル発、ビタースイートであたたかい大人の珠玉作『声優夫婦の甘くない生活』が日本公開決定。ポスタービジュアルと予告編も到着した。1990年、イスラエルへ移民したヴィクトルとラヤは、かつてソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦。夢の第2の人生のはずが、新天地では声優の需要がなかった。生活のため、ラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮。一方ヴィクトルは、違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得る。ようやく軌道に乗り始めたかに見えたが、妻の秘密が発覚したことをきっかけに、お互いの本当の声が噴出し始める――。洋画の吹き替え声優夫婦の人生の再スタートを描いた本作は、監督を務めたエフゲニー・ルーマン自身の旧ソ連圏から移民した経験を基に、7年の歳月をかけて丁寧に作り上げられ、イスラエル史上最大の移民の波である、「鉄のカーテン」崩壊後により良い生活を願って海を渡ったロシア系ユダヤ人たちの歴史の一幕をスクリーンに描き出している。溢れんばかりの映画愛に包まれており、今年生誕100周年を迎えるイタリアの名匠フェデリコ・フェリーニ監督に最大のオマージュを捧げ、作中ではフェリーニ監督の『ボイス・オブ・ムーン』のほか、ダスティン・ホフマン主演『クレイマー、クレイマー』など往年ハリウッドの名作が登場する。ポスタービジュアルには、映画館に座った主人公の夫婦が捉えられ、後ろには怪しげなガスマスクの人物が座っており、一筋縄ではいかない夫婦の物語が想像される。さらに予告編では、2人の移住からはじまり、妻のラヤがテレフォンセックスの仕事を始め、夫のヴィクトルは海賊版ビデオの制作に関わってしまう、夫婦の新生活が垣間見える。夫婦のすれ違っていく様や、ラヤの秘密のロマンス、フェリーニ監督の新作を上映しようと奮闘するヴィクトルなどのシーンも映し出されていく。現在、本国イスラエルでは新型コロナウイルスの影響で未公開にありながら、ヨーロッパを中心とした各国の映画祭で上映、2019年タリン・ブラックナイト映画祭で脚本賞、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)受賞、2020年バーリ国際映画祭では監督賞、特別賞(女優部門)を受賞するなど、世界から喝采を浴びた話題作だ。なお、ヒューマントラストシネマ有楽町との共同企画として、10月27日(火)にジャパンプレミアが開催決定。一般の応募については、配給会社ロングライド公式Twitterにて本日正午発表される。『声優夫婦の甘くない生活』は12月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:声優夫婦の甘くない生活 2020年12月18日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開
2020年10月12日ディズニーの「ピーター・パン」の実写映画『Peter Pan & Wendy』(原題)で、ジュード・ロウがフック船長を演じるようだ。関係者が「Variety」誌に「ジュードと出演交渉中である」と明かした。J.M.バリーの小説を原作として、数々の映画が作られてきた「ピーター・パン」。これまで『フック』(1991)でダスティン・ホフマン、『ピーター・パン』(2003)でジェイソン・アイザックス、『ネバーランド』(2004)でティム・ポッター、そして最近では『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』(2015)でギャレット・ヘドランドがフック船長を演じた。ジュードの起用について、SNSでは「良いチョイス!」という声が多く見受けられるが、「でも、この人に演じて欲しかった」として、ドラマ「ワンス・アポン・ア・タイム」でフック船長を演じていたコリン・オドナヒューの名前を挙げ、役に扮したコリンの画像を投稿する人も多かった。『Peter Pan & Wendy』のストーリーは、ディズニーが1953年に制作した長編アニメ『ピーター・パン』に基づいたものになるという。すでにピーター・パン役はアレクサンダー・モロニー、ウェンディ役にはポール・W・S・アンダーソン監督&ミラ・ジョヴォヴィッチの長女エヴァー・アンダーソンが決定している。監督は『ピートと秘密の友達』のデヴィッド・ロウリーが務め、同作で共に脚本を執筆したトビー・ハルブルックスと再び脚本も手掛ける。(Hiromi Kaku)
2020年07月09日毎週日曜にWOWOWシネマにて放送中の「W座からの招待状」。この度、7&8月放送の作品ラインアップが発表された。注目は、昨年公開されたシム・ウンギョン&松坂桃李主演『新聞記者』。“報道メディアは権力にどう対峙するのか”を問いかけ、公開序盤から各地で満席が続いた話題作。第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ6部門を受賞し、凱旋上映もされた本作が7月19日(日)、ついにTV初放送される。また、8月23日(日)には、同じく昨年公開された『真実』をTV初放送。是枝裕和監督の長編14作目となる本作は、構想8年の渾身作にして初の国際共同製作映画。全編フランスにて撮影された本作には、カトリーヌ・ドヌーヴが主人公の国民的大女優役を演じ、娘役でジュリエット・ビノシュが出演、母と娘の愛憎渦巻くドラマが描かれた。ほかにも、水谷豊が監督し、出演もしている『轢き逃げ 最高の最悪な日』、『淵に立つ』の深田晃司監督と筒井真理子が再びタッグを組んだ『よこがお』、スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンが共演した脱獄映画の金字塔を、チャーリー・ハナムとラミ・マレックのコンビでリメイクした『パピヨン』などTV初放送作品がずらり。いま観るべき作品がラインアップされている。「W座からの招待状」は毎週日曜日21時~WOWOWシネマにて放送中。(cinemacafe.net)■関連作品:パピヨン(2018) 2019年6月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2017 Papillon Movie Finance LLC. ALL RIGHTS RESERVED.ウィーアーリトルゾンビーズ 2019年6月14日より全国にて公開予定©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS新聞記者 2019年6月28日より全国にて公開©2019『新聞記者』フィルムパートナーズよこがお 2019年7月26日より角川シネマ有楽町、テアトル新宿ほか全国にて公開© 2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS轢き逃げ 最高の最悪な日 2019年5月10日より全国にて公開Ⓒ2019映画「轢き逃げ」製作委員会さらば愛しきアウトロー 2019年7月12日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved世界の涯ての鼓動 2019年8月2日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて順次公開©2017 BACKUP STUDIO NEUE ROAD MOVIES MORENA FILMS SUBMERGENCE AIE真実 2019年10月11日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
2020年06月30日恋愛映画の旗手と呼ばれる今泉力哉監督の『退屈な日々にさようならを』や社会現象と化した上田慎一郎監督作品『カメラを止めるな!』など、数々の話題作を輩出している「ENBUゼミナール」主催の「シネマプロジェクト」第9弾となる最新作『河童の女』の公開が決定。キービジュアルと場面写真、予告編が一挙に解禁となった。今後の活躍が期待される俳優と新進気鋭の監督の出会いの場となっている「シネマプロジェクト」。本作でメガホンをとるのは、これが長編映画デビューとなる51歳の新人・辻野正樹監督。監督のオリジナル脚本にあわせ、ワークショップオーディションで選ばれた16名のキャストに、ベテラン俳優の近藤芳正をゲスト俳優に迎えた。とある民宿を舞台に、長編映画初主演となる俳優、青野竜平と郷田明希の2人が織りなす物語。トラウマを抱えながらも懸命に生きる人々の姿を描き、クスッと笑えるエピソードと共に、最後にはホッと温かい気持ちに包まれる作品に仕上がった。今回の公開決定に合わせ、上田監督ら映画人3名からも応援コメントが到着している。上田慎一郎(映画監督)懐かしい友人と再会して思い出話に花を咲かせるような。そんな時間を感じる映画でした。それぞれがそれぞれの問題を抱えた、癖のある登場人物たち。そんな彼ら彼女らが大集合して大騒ぎするラストシーン。彼らの行動は正しいのか、正しくないのか? そんな事を超えて、なんとも奇妙で清々しい多幸感に襲われました。足立紳(脚本家・映画監督)色んなものをしょいこんで立ち止まってしまった主人公が51歳の新人監督辻野さんと重なる。きっと辻野さんは人間が大好きなんだと感じるラストシークエンスに笑い泣き! 主人公同様にこれから突っ走るはずだ。伊藤さとり(映画パーソナリティ)監督独自の視点による愛溢れる画だった。人の心に寄り添う脚本とワンカットワンカット、ひとりひとりに見せ場を作りながら、映画でしか表現できない“過去から未来へ飛び出す”ダスティン・ホフマンの『卒業』のような瑞々しい2人の姿が、今も目に焼き付いている。ストーリー柴田浩二(青野竜平)は、川辺の民宿で生まれ、いまもそこで働きながら暮らしている。ある日、社長である父親(近藤芳正)が、見知らぬ女と出て行った。浩二は1人で民宿を続けることとなり、途方に暮れる。そんな中、東京から家出してきたという美穂と名乗る女性(郷田明希)が現れ、住み込みで働くように。浩二は彼女に惹かれ、誰にも話したことのない少年時代の河童にまつわる出来事を語る。このままずっと2人で民宿を続けていきたいと思う浩二だったが、美穂にはそれが出来ない理由があった――。『河童の女』は7月11日(土)より新宿K’s cinema、7月18日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年05月13日スクリーンで華々しく活躍するハリウッドセレブたち。彼らの日常を覗いてみたくなるのが人の常というものですが、四六時中セレブを付け回す無礼なパパラッチは困ったもの。そんなパパラッチたちに、セレブも黙っているわけではありません。独創的な方法でパパラッチに立ち向かったセレブをご紹介します。無礼な撮影に怒るのかと思いきや…まさかの珍行動連発セレブのパパラッチ対策①ダスティン・ホフマン最初に紹介するのは、名優と名高いダスティン・ホフマンのパパラッチへの対応です。ダスティン・ホフマンといえば、1967年の名作青春映画『卒業』でブレイクし、異例の速さでアカデミー主演男優賞にノミネート。その後1979年公開の映画『クレイマー、クレイマー』、1988年に公開された映画『レインマン』で実際にオスカーを勝ち取った演技派名優。一体どんな対応を見せたのでしょうか…。それは、なんとゴミ箱に隠れてパパラッチの様子をうかがうというもの。パパラッチたちの行き過ぎた振る舞いに腹を立てるセレブも多いなか、寛大かつ茶目っ気に満ちた神対応ですね。セレブのパパラッチ対策②ベネディクト・カンバーバッチ次は、現在のハリウッドにおけるドル箱俳優の1人、ベネディクト・カンバーバッチです。マーベル映画シリーズや人気ドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』で爆発的人気を得た、イギリス人俳優のカンバーバッチ。お茶目な性格と低音で響くセクシーな『イケボ』が魅力の彼ですが、パパラッチへの対応もチャーミングなものでした。2014年頃、女優のダコタ・ジョンソンらと食事を楽しんでいたところを狙われた彼は、なんとナプキンで顔を隠したのです。口元が笑っているところを見ると、案外ごきげんなのかもしれませんね。セレブのパパラッチ対策③ジム・キャリー次は、1990年代にコメディ俳優として爆発的な人気を誇ったジム・キャリーのパパラッチ写真です。1994年公開の映画『エース・ベンチュラ』、『マスク』で見せた超ハイテンション演技が受け、2005年公開の映画『エターナル・サンシャイン』などでは笑いを封印し高評価を得た彼ですが、パパラッチにはどう対応したのでしょう。2008年、当時交際していた女優のジェニー・マッカーシーとビーチに来ていたジム。パパラッチの視線に気付くと、なんとジェニーが着ていたビキニに着替えたのです。どんな時もジョークを忘れないジムらしい対応ですね。セレブのパパラッチ対策④:カーラ・デルヴィーニュ次は、モデルで女優のカーラ・デルヴィーニュのパパラッチ対応です。10歳からファッションモデルとして活躍し、近年は2015年公開の青春映画『ペーパータウン』や2017年のSF大作映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』で主演を務めるなど、俳優活動もしているカーラ。変顔には一家言あるなどユーモラスな性格をしています。以前よりパパラッチに怒りをためていたようですが、2015年に、当時の彼女である歌手のセイント・ヴィンセントと共に水鉄砲を撃ちまくるという方法で反撃に出ました。セレブのパパラッチ対策⑤エマ・ストーン最後は、キュートな言動で話題になることも多い女優のエマ・ストーンです。2012年から続く、映画『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや、2016年公開の映画『ラ・ラ・ランド』などで有名なエマ。2014年、当時の恋人である俳優のアンドリュー・ガーフィールドとともに感服のパパラッチ対応を見せました。それは「私たちには注目してくれなくて大丈夫。でもこの団体には注目してあげて」などと書かれたプラカードを顔の前に掲げるというもの。アンドリューのカードには、ガン患者や自閉症の子どもを支援する団体のリンクが書かれていたそうです。写真の拡散を逆手に取るあっぱれな対応です!【ネットの声】・パパラッチから隠れるダスティン・ホフマンがお茶目!・ジム・キャリーがデート中パパラッチされた時の返しが、さすがすぎる。・エマ・ストーン&アンドリュー・ガーフィールドの『社会派』パパラッチ対策!群がるパパラッチに怒っていてばかりでは疲れるだけ…ユーモアたっぷりの返しをするセレブたち、流石ですね![文・構成/grape編集部]
2020年04月29日今年90歳を迎えるクリント・イーストウッド監督の、実に第40作となる最新作『リチャード・ジュエル』は、1996年のアトランタ爆破事件を描く実話サスペンス。『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』など実在人物をめぐる“真実”を描き続けてきた巨匠が、「この物語は、今、我々の周りで起きていることとすごく似ている」と語るのは、同事件の第一発見者として数多くの人々を救ったはずのリチャード・ジュエルの物語。警備員として献身的な働きが讃えられ一躍ヒーローとなるが、数日後にはFBIの捜査情報が漏洩し、地元メディアが「リチャードを捜査中」と実名報道したことで状況は一転。爆弾犯扱いされたリチャードは、名誉もプライバシーも奪われてしまう。今回、その主人公リチャードを演じたポール・ウォルター・ハウザーの特別インタビューが届いた。イーストウッドからの特別なオファーを受け初主演本作の映画化に向けて、イーストウッド監督は「リチャード役にはポール・ウォルター・ハウザー以外考えていなかった」という。実話を基にしたマーゴット・ロビー主演の傑作『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』を観ていたイーストウッドは、迷うことなくキーパーソンを演じていたハウザーに出演オファーを送った。「映画の撮影でタイに滞在していたとき、クリント・イーストウッド監督が次の映画の主役のひとりに僕を考えているという電話をもらった。信じられなかった」とハウザーは言う。「キャスティングのジェフ・ミクラットと製作のティム・ムーアから『ほかの仕事は保留しておいてほしい。どうしても君に出演してほしい』と依頼された」と、そのオファーに驚いたそう。「3週間後タイから帰国した後、ワーナー・ブラザースの撮影所でクリント・イーストウッド監督に初めて会った。僕を見た監督は、少しニヤリと笑った。まるで僕に会った瞬間、彼の予想が完璧だったと証明されたかのように」と、初対面は「監督から自分がリチャード・ジュエルと思ってもらえたことは、僕にとっても安心する出来事」となった。そのミーティングの後で脚本を渡された。「もともと僕は、脚本を書いたビリー・レイの大ファンなんだ。僕が大好きな映画、ピーター・サースガード(&ヘイデン・クリステンセン)の『ニュースの天才』を書いている。だから彼が書いたセリフを演じられることは光栄だった。この脚本の強みは、重い物語のなかに可愛らしい瞬間や面白いシーンが描かれていることだ」とユーモアも交えた人物描写に惹かれ、「さらに映画のなかでは現実とは違い、リチャードが英雄として描かれているところが気に入った」とも言う。リチャードを等身大の人間として体現するやがてハウザーは役作りを進めた。「監督は、リチャードの声質や喋り方、また動き方や仕草をマスターするために、たくさんの映像を観てほしいと言った。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』での僕の演技を観て、現実の男を演じられると思ってくれていたようだ。でも僕は有名なスポーツ選手や政治家などセレブリティを演じたわけではなく、すべてを完璧に真似する必要はなかった」と明かす。「僕なりの演技であっていいと思ったし、重要なのは脚本に敬意を払って演じることだった。でもたくさんの映像を観て学び、体重も増やしたよ」と、彼なりにアプローチを進めていったという。最も意識したことが、等身大の人間としてのリチャードを体現することだった。「僕が避けたかったのは、リチャードをアメリカ南部の典型的な田舎者として描くことだった。彼をただひとりの人間として演じたいと思っていた。南部なまりがあるのは、たまたま生まれた場所で身につけた副産物のようなものだ」。そして、リチャードの潔白を信じる弁護士ワトソン役のサム・ロックウェルを始め、「この映画に関わった人は全員、登場人物をリアルで地に足が着いた人間として描くことを目指していた」と、キャストもスタッフも等身大のリアリティを追求したとふり返る。実母ボビ、弁護士ワトソン氏との面会で得たものさらに、リチャードを演じる上でハウザーにとって欠かせないミーティングもあった。「リチャード・ジュエルを知る人、母ボビ・ジュエルと弁護士のワトソン・ブライアント氏に会った。僕らは数時間に及ぶ長いミーティングをして、リチャードについていろいろと教えてもらった」と、親密な会話を通して役作りを進めた。最も重要だったことが「この物語について彼ら自身がどう感じたかを尋ねること」だった。「何が真実なのか、何がねじ曲げられたのか」ハウザーは当事者の言葉に耳を傾けて空白を埋めていった。「僕らがわからなかったところを彼らに埋めてもらうことができた。しかもイーストウッド監督が僕のキャスティングに自信を持っているからこそ、ふたりは僕を信頼すると言ってくれた」といい、そうして現場に臨む準備が整っていった。サム・ロックウェルと初めて会った夜、ふたりで『レインマン』を観た!「サム・ロックウェルは僕にとって演技の英雄だ。共演は興味深い経験だった」というハウザーは、彼に対してさらにリスペクトを深めたようだ。「サム自身がロバート・デュバルやジーン・ハックマンに対して感じるものを、僕は彼に感じている」と敬意を込める。「彼に会えてとても嬉しかったし、僕が憧れとともに感じていた壁を壊してくれた。ただひとり人間や仲間として話すことができた」と、共に俳優として現場に臨む準備を進めていった。「サムに初めて会った夜、チョコレートとウイスキーを楽しみながら、彼のソファでダスティン・ホフマンとトム・クルーズの『レインマン』を観た。僕の人生のなかで最も不思議で最高の瞬間のひとつ」だったと告白する。「でもその瞬間がすばらしかったのは僕らが打ち解けるチャンスになったからだと思う」とハウザー。互いに異なるふたりの旅路を描く『レインマン』から、2人の関係性を確認していったという。「リチャードとワトソンのようにお互いの理解を深めていく。脚本の演技を考えていないときにただ一緒に過ごす瞬間が大きな影響を与え、スクリーン上の相性の良さを作り上げていってくれた」と、撮影前にサムと過ごした3日間は特別な時間となった様子だ。「人に対して温かい」俳優に最大の敬意を表するイーストウッドの演出ハウザーにとって、クリント・イーストウッドは雲の上の存在だ。ひとりの映画ファンとして、「僕が初めて観たクリント・イーストウッド映画は、ケビン・コスナーとともに主演を務めた『パーフェクト ワールド』だったと思う」とふり返る。成長した彼のお気に入りは、「アンジェリーナ・ジョリー主演の『チェンジリング』だ。ドラマ映画のお気に入りの一作だ。『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』も忘れられないすばらしい映画だ。いろんな映画を観てきたけど、クリント・イーストウッド監督の映画は常にどこかで観てきている」という。そんな巨匠の現場に入ったハウザーは、監督の人柄について「監督はやさしく、自信があり、人に対しては温かい人だ」と、俳優たちを包み込むかのような人柄に魅了されたという。「だから彼を恐れる気持ちがあるなら、それは彼が映画製作のビッグネームで、物語を綴るマスターだからだ。彼はカウボーイにも見えるし、恋人にも見える。またファイターでもあり、映画を象徴する存在だ。そういう意味では圧倒されたよ」と、撮影現場のイーストウッドと、映画人なら誰もが敬愛する偉大なる存在であるイーストウッド、ふたつの顔を間近に体験することになった。「この映画における僕らの監督と俳優としての関係は、とてもオープンで率直なものだった。何か気に入らないことがあれば正直に伝えられたし、もう一度テイクをやらせてほしいとも言えた。監督も決して僕の意見をさえぎることはなく、僕が必要だと言うテイクを撮らせてくれた」と、俳優として最高のパフォーマンスを引き出されたと実感している。イーストウッド監督も「私が君を選んだのは、君を信頼していて、自分なりの選択をしてほしいからだ。自分を信じて、君なりの考えでこの役を演じてほしい」とハウザーに演技を委ねた。リチャード・ジュエルの1枚の写真に心を震わせた撮影が終わり、「リチャードが泣いている写真を見た」ハウザーは大きく心を動かされたという。「大人の男性が泣いている様子に感情を揺さぶられた。彼はただ泣いているだけではなかった」。「意志が強く、強い男であるイメージを保つことを大切にしている男が、公共の場で泣き崩れている」姿を目の当たりにして、「この事件が彼をどれほど傷つけたのかということに気がついた。彼は壊れてしまった。悪夢のような状況下で、彼ほどに壊れた男性をどう扱えばいいのか、またこのおぞましいほどの窮地から彼を救うためには何が必要なのか」を深く考えさせられたのだ。イーストウッド監督が24年前に起こった事件を描く本作で主役に抜擢されたハウザーは、SNSが定着し、情報の真偽が確認されぬままに世界に伝播していくいまだからこそ、この映画が重要だと指摘する。「この映画から感じ取ることができることがひとつあるなら、それは見た目で物事を判断してはいけないということだ。誰かに対して、勝手に予想を立てて壁を作り、決めてかかってはいけないということだ。その人についての事実を知るべきだし、誰と対するときも適正で万全の注意を払ってその人を知っていく必要がある」と、いまを生きる我々自身が情報に対して意識的に生きる必要があると力を込める。「さらに正義が明らかになるのはときに自分が思うよりも時間がかかると理解することも必要だ。この映画が描くリチャード・ジュエルの物語で、人々は正義になんか興味がなかった。彼らが気にしていたのは、謎を解明して事件を終わらせることだけだった」と締めくくる。ハウザーが体現したリチャード・ジュエルの姿は、いまを生きる全ての人に響くに違いない。『リチャード・ジュエル』は1月17日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リチャード・ジュエル 2020年1月17日より全国にて公開© 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2020年01月11日ダスティン・ホフマンとキャンディス・バーゲンが、『As Sick as They Made Us』に出演することになった。『ビッグバン★セオリー/ギークな僕らの恋愛法則』にレギュラー出演したメイム・ビアリクが書き下ろしたコメディで、監督もビアリクが担当する。ほかに、やはり『ビッグバン〜』で知られるサイモン・ヘルバーグも出演。インディーズ映画で、公開予定日などは分かっていない。2年前に起こった“#MeToo”運動で過去のセクハラが暴露されて以来、姿を隠していたホフマンにとっては、久々のスクリーン復帰。バーゲンは昨年、ダイアン・キートンらと出演した熟女たちのラブコメ『Book Club』が成功している。文=猿渡由紀
2019年11月08日ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)がKAAT 神奈川芸術劇場と初タッグを組む公演『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』が、11月7日に開幕した。2019年は、とにかく精力的に活動していた印象のKERA。ヤスミナ・レザ作品の演出『LIFE LIFE LIFE~人生の3つのヴァージョン~』から始まり、全国ツアーも含んだ『キネマと恋人』の待望の再演。そして今年の締めくくりは、満を持しての書き下ろし。しかも題材はKERA自身が愛してやまないカフカだというから、期待せずにはいられない。KERAはこれまでカフカを題材にした作品を2作上演している。2001年、広岡由里子とのユニット「オリガト・プラスティコ」で上演した『カフカズ・ディック』は、カフカと彼の家族、彼の遺稿を出版したマックス・ブロートなど周囲の人物との関係を描き出した評伝的な内容だった。一方、2009年の『世田谷カフカ~フランツ・カフカ「審判」「城」「失踪者」を草案とする~』は一転、世田谷パブリックシアターという空間を虚実ないまぜにした“カフカ的世界”に巻き込むような作品に。そして3作目となる今作は、「カフカ4作目の長編小説の遺稿が発見され、それが舞台化されたら……」という内容だという。多くの人は中編小説『変身』、もしくは未完の長編である『失踪者(アメリカ)』『審判』『城』のイメージが強いカフカだけに、4作目の長編小説と聞いて驚くかもしれない。でももちろん、そんな遺稿は発見されていない。書かれていない“第4の長編”をもとに作り上げられる舞台作品。KERAは今回、作品が上演される前から観客の私たちを、不条理が満ち満ちた“カフカ的世界”にいざなっているというわけだ。KERA作品初登場の多部未華子、『陥没』(2017年)での好演も記憶に新しい瀬戸康史、近年映像作品でも活躍目覚ましいTEAM NACSの音尾琢真、そして渡辺いっけい、麻実れいなど豪華キャストが顔を揃えた。KERA×カフカという唯一無二の世界観、じっくり楽しもうではないか。11月24日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、11月28日(木)から12月1日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、12月14日(土)・15日(日)に北九州芸術劇場 中劇場、12月20日(金)から22日(日)まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演。文:川口有紀
2019年11月08日アカデミー賞助演女優賞にノミネート経験があるシルヴィア・マイルズが、ニューヨークの自宅で亡くなった。シルヴィアの友人でジャーナリストのマイケル・ムストと女優のジェラルディン・スミスが「Varitey」誌などに認めたという。94歳だったとみられるが、86歳だったと報じるメディアもある。マイケルは「彼女は私が初期(70年代)にインタビューしたセレブリティのひとりです。カリスマ性があり、成功を追い求めていました。“Studio54”で監督たちに『私を雇って!』と売り込んだこともありました。オスカーで2回のノミネーションを受けたことをとても誇りに思っていたようです」と語っている。シルヴィアは俳優でもあるマイケル、ジェラルディンと共にインディー映画に出演予定だったといい、女優復帰することを喜んでいたという。シルヴィアは女優デビュー後、初のメジャーな役を得た『真夜中のカーボーイ』でジョン・ヴォイトやダスティン・ホフマンと共演。出演シーンはわずか6分ほどであったが、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。また、それから6年後のアカデミー賞でも『さらば愛しき女よ』で助演女優賞にノミネートされた。(Hiromi Kaku)■関連作品:真夜中のカーボーイ
2019年06月13日『パシフィック・リム』『キング・アーサー』の人気スター、チャーリー・ハナムと、大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレックの最旬スターがタッグを組み、45年ぶりに映画化される脱獄映画の金字塔『パピヨン』。このほど、主人公“パピヨン”を演じたハナムのインタビュー動画が、いち早く到着した。作家アンリ・シャリエールの壮絶な実体験を基にした終身刑囚“パピヨン”の13年に及ぶ命をかけた脱獄劇。この世界的なベストセラー自伝小説は、1973年『猿の惑星』などの名匠フランクリン・J・シャフナー監督と、ハリウッドの異端児と呼ばれた脚本家ダルトン・トランボのタッグにより映画化され、パピヨン役スティーヴ・マックイーンの鬼気迫る熱演と、ダスティン・ホフマン演じる偽札作りの天才ドガとの熱い友情は多くの人々の共感と感動を呼び大ヒットを記録した。新たに映画化した本作で、終身刑を受けた主人公パピヨンを演じたハナムは、ニックネームの由来に始まり、パピヨンの意外なバックボーンについて話し始める。そしてスケジュールや予算の関係でドガ役のラミ・マレックの出演が危ぶまれたとき、「あきらめるな!この映画を実現させよう!!」と、劇中のパピヨンを彷彿とさせる“不屈”さをみせ、ラミとの共演が叶ったことを激白、撮影が始まる前から熱き『パピヨン』魂を持っていたことを伺わせた。また、「人は試練に耐えたいと思っている」と一瞬、Mっ気を覗かせたのかと思いきや、「他の人と深く結びついて、味方と一緒に困難に立ち向かいたい!」とアニキな発言も。刺激的なアクションのみならず、友情と兄弟愛にあふれ、前向きな気持ちになるとハナムも太鼓判を押す本作が、ますます楽しみになってきた。『パピヨン』は6月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:パピヨン(2018) 2019年6月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2017 Papillon Movie Finance LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2019年06月03日『パシフィック・リム』『キング・アーサー』の人気スター、チャーリー・ハナムと大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』で本年度アカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレックの最旬スターがタッグを組んだ『パピヨン』の公開日が、6月21日(金)に決定。併せて、日本版ビジュアルがお披露目された。本作は、作家アンリ・シャリエールの壮絶な実体験を基にした終身刑囚“パピヨン”の13年に及ぶ命をかけた脱獄劇。この世界的なベストセラー自伝小説は1973年、『猿の惑星』などの名匠フランクリン・J・シャフナー監督と、ハリウッドの異端児と呼ばれた脚本家ダルトン・トランボのタッグにより映画化され、パピヨン役スティーヴ・マックイーンの鬼気迫る熱演と、ダスティン・ホフマン演じる偽札作りの天才ドガとの熱い友情は多くの人々の共感と感動を呼び大ヒットを記録した。■「ブラザー、やり抜こう!」名コンビ誕生はチャーリー・ハナムの口説きから今回、公開になったメインビジュアルは、そんなパピヨンとドガが並んだ1973年版のポスターにオマージュを捧げつつ、よりスタイリッシュにアップデート。パピヨンを演じたチャーリー・ハナムは『パシフィック・リム』続編のオファーを断り、本作を優先させたという。「僕は(本作の)マイケル・ノアー監督の大ファンで、ずっと一緒に仕事をする機会を熱望していた。それに、『パピヨン』は僕の青春時代にとって、非常に重要な作品だったんだ」と語る。製作陣にとってもチャーリーは、より原作のキャラクターに近い若い“パピヨン”像だったという。また、ドガ役には当初からラミ・マレックが候補のトップに挙がっていたが、彼の多忙なスケジュールのため、一時は出演が危ぶまれたという。チャーリーは「僕にとってラミ以外の選択肢はなかった。彼がドガを演じるというアイデアに固執するようになり、いよいよラミの出演が不可能な状況になりそうになった時、彼に電話をかけ、『ブラザー、やり抜こう!この映画を俺たちで実現させるんだ!』と言ったんだ。その時、僕らはお互いをよく知らなかったし、彼にとってはある種のプレッシャーだったと思う。でも、ありがたいことにラミは僕を受け入れてくれたんだ」と明かしている。■ラミ・マレック、「この物語のリメイクは非常に刺激的になる」ラミにとっても73年のオリジナル映画は思い出深い作品だった。「『パピヨン』は僕に強い影響を与えた作品だったので、この物語のリメイクは非常に刺激的になると感じたんだ。新たな解釈をするには、十分な時が経っている。僕はホフマンの解釈するルイ・ドガが好きだ。そして僕は、このキャラクターをもう少し尖らせ、脆さを抑えた。ドガを演じることは本当に楽しいことだった」とふり返っている。そんなふたりに、ノアー監督は「彼らはお互いの素晴らしさを引き出しあった。それが今回の映画化において、私が最も誇りに思うことの一つです」と息の合った“脱獄コンビ”ぶりを語っている。なお、本作の公開に先駆け、日本では長らく絶版だった原作本が河出書房新社より4月に文庫本で復刊予定。絶望の淵に追いやられても、決して自由と希望を諦めない男たちの姿に、今度は胸を熱くすることになりそうだ。『パピヨン』は6月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:パピヨン(2018) 2019年6月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開予定© 2017 Papillon Movie Finance LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2019年02月28日昨年、ドラマでの活躍が目に留まった若きイケメンたち。そんななか、本誌は今年さらなる飛躍が確実な“次世代俳優”をピックアップ!20の質問をぶつけた!「週刊誌大好きなんで、よく立ち読みします(笑)」とおちゃめな笑顔を見せてくれた井之脇海(23)。9歳から仕事を始めた彼の芸歴は実に14年。俳優として、監督としてカンヌ国際映画祭に参加し、昨年はドラマ『義母と娘のブルース』で注目を集めた。【Q1】休日の過ごし方は?「寝てます」【Q2】至福の時間は?「おいしいご飯を食べてるとき。最近は毎日家で一人鍋」【Q3】最近ハマっていることは?「ここで鍋って言うべきでしたね。映画、散歩、鍋(笑)」【Q4】ストレス発散法は?「食べること」【Q5】好きな女性タイプは?「自分を持ってる人」【Q6】女性のキュンとするしぐさは?「話の途中で眠くてコクンってなっちゃうというか(笑)。勉強とかを頑張って寝不足で、それでも頑張って聞こうとしている姿」【Q7】理想のデートは?「どこか遠くに行きたい」【Q8】何かを決めるとき、相談する?自分で決める?「自分で決める」【Q9】人生で一番の失敗、後悔していることは?「部活をやってみたかった」【Q10】落ち込んだときの立ち直り方は?「映画を見て、寝る」【Q11】自分を変えた、印象に残っている出会いは?「12歳のとき、香川照之さんと一緒にお芝居したのは自分にとって財産です」【Q12】憧れ、目標とする俳優 or 理想の俳優像は?「みんなすごいと思う。寛一郎、染谷将太くん、池松壮亮さんとか、1人に絞れない」【Q13】共演してみたい俳優、女優は?「難しい。日本人じゃないけど、ずっとダスティン・ホフマンが好き」【Q14】挑戦したい役は?「自分がふだん感じていることだけでは演じきれないような感情を持ってる役」【Q15】行ってみたい場所は?「山が好きだから、妙義山とか登りたい」【Q16】プライベートで挑戦したいことは?「100キロマラソン。ちょうど家から江の島までの往復が100キロなので、夜中出発で江の島の朝日を見て、帰ってきたい」【Q17】ここ最近、うれしかったことは?「誕生日を大学の友達と俳優仲間の寛一郎が祝ってくれたこと」【Q18】ここ最近、悲しかったことは?「母親が体調を崩してしまったこと」【Q19】自身が思う、役者としての現在の立ち位置を登山にたとえるなら?「五合目まで車できて、ここから自分の足で歩き出すところ」【Q20】2019年の目標は?「人として恥ずかしくない、胸を張れる1年にする」両親の離婚を経験し、一人っ子の彼は芯が強く、母親思い。「母はもともと体が弱く、急に入院することもありました。今まで一人暮らしで、3~4日に1回連絡していたのが、最近は毎日連絡しています。ポジティブに捉えたら、そういう機会ができてよかったなって。マザコンかと思うくらい、携帯の発信履歴が母だらけです(笑)」目指すは「魅力的な人、頼られる人」と言うけど、もう十分すぎるほど魅力的で頼りにしたい!
2019年01月12日伝説のスター、故スティーブ・マックイーンと名優ダスティン・ホフマンの2大俳優が豪華共演し、その壮大なスケールから脱獄映画の金字塔といわれた『パピヨン』。1974年の日本公開から記念すべき45周年となる2019年、新たに『キングアーサー』のチャーリー・ハナム、『ボヘミアン・ラプソディ』で話題のラミ・マレックというコンビで完全リメイクする。■ストーリーその男は胸元に蝶の刺青を入れていることから「パピヨン」と呼ばれていた。彼は金庫破りの天才だったが、ある日、身に覚えのない殺人の罪を着せられ、終身刑の判決を受けてしまう。彼が送り込まれた先は周囲を海に囲まれた絶海の孤島、南米ギアナのデビルズ島。その刑務所では過酷な強制労働が科せられ、横暴な看守たちによって囚人たちは人権をはく奪され、ゴミのように扱われていた。やがてパピヨンは脱獄を決意。そのためには、ボートや食料を入手するための多額の資金が必要だった。そこでパピヨンは、偽造紙幣で逮捕された男ドガに目をつけ、彼の身を守ることと引き換えに逃亡費用を稼ごうとするが、やがて2人は奇妙な絆で結ばれてゆくーー。■脱獄映画の大傑作『パピヨン』とは…無実の罪を着せられ、フランス領ギアナの刑務所に移送された終身刑囚パピヨンの命をかけた脱獄劇は、作家アンリ・シャリエールの壮絶な実体験がもと。『猿の惑星』などの名匠フランクリン・J・シャフナー監督と、ハリウッドの異端児と呼ばれ、『ローマの休日』など偽名でアカデミー賞を受賞した脚本家ダルトン・トランボのタッグにより、1973年に映画化された。絶望の淵に追いやられても自由を求めることを諦めない“パピヨン”マックイーンの鬼気迫る熱演と、ホフマン演じる偽札作りの天才・ドガと深く結ばれる熱い友情は、多くの人々の共感と感動を呼び大ヒットを記録。ジェリー・ゴールドスミスのテーマ曲「パピヨンのテーマ」は、アカデミー賞作曲賞にもノミネートされた。■イマ旬!チャーリー・ハナム×ラミ・マレックがタッグ今回のリメイクで伝説のスター、マックイーンのあとを継ぎ、主人公パピヨンを演じるのは『パシフィック・リム』で主演を務め、『キングアーサー』でも肉体アクションを披露したチャーリー・ハナム。また、ホフマンが演じたドガ役には人気ドラマシリーズ「ミスター・ロボット」でエミー賞を受賞し、伝説のバンド「クイーン」を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』で主人公フレディ・マーキュリーを熱演、その激似ぶりと演技力で話題沸騰中、まもなく来日を控えているラミ・マレック。■監督は今年の東京国際映画祭2冠、デンマークの新鋭マイケル・ノアーメガホンを取るのは、今年の東京国際映画祭コンペティション部門に出品された『氷の季節』が審査員特別賞と最優秀男優賞をW受賞したデンマークの新鋭マイケル・ノアー。スタッフも、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督『プリズナーズ』の脚本家アーロン・グジコウスキほか、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『スター・ウォーズ』シリーズといったエンターテインメント作を生み出したプロデューサー陣など超一流どころが集結。本作では、ハリウッドの赤狩りに遭い、苦難の時期を過ごした脚本家トランボにリスペクトが捧げられ、1973年版の『パピヨン』に寄り添いつつ、独自のエピソードも追加されているという。ハリウッドが切望した才能が伝説的傑作に正面から挑み、プレミア上映された昨年のトロント映画祭では主演2人の熱演とともに大喝采を浴びた。『パピヨン』は2019年6月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年11月06日英国紳士、アメリカのカントリージェントルマン、フランス港町の漁師のワーキングスタイルetc…。時代やその土地の文化・生活様式によって様々な紳士の定義がある。そんな気質の紳士たちのお洒落や豊かな暮らしのコツをチェック。 Rule #7 Canvas & Leatherバッグは品の良いもの。機能的であること。紳士というものは日常的に使えて、且つ品の良い逸品を知っている。例えば、舟の帆に使用されているほど丈夫なキャンバスに、主に牛のレザーをあしらったブリーフケース。使えば使うほどに味わいばかりが増して、決して簡単にくたびれる事はなく、キャンバスと皮の絶妙な組み合わせから成るその佇まいはどことなく知的でエレガント。まさに紳士に相応しいカジュアルアイテム。 GHURKA グルカ通称“No.2”と呼ばれるボストンバッグの「EXPRESS」は、米国の名門バッグブランド《グルカ》が一般販売用として作成したファーストモデル。傘を留めるレザーのストラップが特徴。バッグ¥162000(セプティズ) SILVER LAKE CLUB シルバーレイククラブフィッシングを切り口にしたデザインのバッグには、トラックの幌にも使われている丈夫な帆布を使用。はっ水加工や優れた通気性に加え、メインファスナーが施錠できるのも嬉しい。バッグ¥27000(ブルーダン新宿店) Rule #8 Brooks Brothersジェントルマンの心得を1冊の本から学ぼう。真のジェントルマンに必要な様々なシーンでのマナーやアドバイス、格言を紹介する《ジェントルマンブック》全12種。アメリカでエチケット、マナーに最も詳しい一人John Bridges氏による本を、ブランドロゴが刻まれた本革で装丁。大人の在り方をこれで改めて学ぼう。 本¥4000、ジャケット¥60000、パンツ¥32000/ 以上すべてBrooks Brothers(ブルックス ブラザーズ ジャパン) Rule #9 Gentle Sample憧れ紳士に学ぶオシャレ術。時代を経ても、揺るぐことのない存在感を放つ3人の紳士たち、それはただ流行の服を着ているのとは訳が違う魅力があるから、それぞれのライフスタイル、哲学に基づいて形成されてきた彼らのお洒落術を徹底解剖。まねしたいのは、ファッションでは無く自分に必要なものだけを選べるその哲学。 Ernest Miller Hemingway アーネスト・ミラー・ヘミングウェイAlamy/アフロアメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイ。たっぷりとひげを蓄えた豪快な風貌からも感じる男臭い印象は、そのまま彼の愛用品にも感じることが出来る。 -キャンバスシューズ-釣り好きの彼の生活に欠かせないのは、気負うことなく履き潰せる《スニーカー》。ジャックパーセル¥5800/CONVERSE(コンバースインフォメーションセンター) -万年筆-《パーカー》の『デュオフォールド』。ラピスラズリGT、ホワイトアイボリンGT 各¥70000※ビッグレッドGTとの3色展開。 インク ブルー¥800/以上すべてParker(ニューウェル・ラバーメイド・ジャパン) -ボーダーカットソー-スペインはバスク地方の漁師たちの間で生まれたボーダーカットソーも彼のキャラクターには欠かせないアイテム。カットソー各¥10000/SAINT JAMES(セント ジェームス代官山店) Dustin Hoffman ダスティン・ホフマンAlamy/アフロ何と言っても映画『卒業』のイメージの強いダスティン・ホフマン。60年代後半アメリカの若者の流行に大きな影響を与えた彼のアイビールック。 -ホワイトマウンテンパーカ-ホワイトでクリーンな印象のマウンテンパーカ。インにはもちろんポロシャツやトラッドなチェックシャツを。アルマークコート¥23000 /HELLY HANSEN(ヘリーハンセン 原宿店) -ネイビーポロシャツ-スポーティカジュアルを作る《ポロシャツ》はアイビールックに欠かせない1着。ポロシャツ¥11000/LACOSTE(ラコステお客様センター) -チノパン-ポロシャツに合わせるなら、やっぱりこれ。ジャケットを合わせてプレッピーに着ても◎。パンツ¥13000/ACROSSTHE VINTAGE(アクロス ザ ヴィンテージ自由が丘) Wes Anderson ウェス・アンダーソン今、世界が注目する映画監督といえばこの人を置いて他に無し。いつだってライトトーンのスーツをセットアップですっきりと着こなす姿が魅力的。Alamy/アフロ -ベージュカラーセットアップ-セットアップのスーツはベージュカラーを選ぶだけで、とたんにカジュアルな印象に仕上がる。ジャケット¥39000、パンツ¥27000/ともにHAVERSACK(ハバーザック) -カラーシャツ-ブルーやサーモンピンクなど、ベージュのスーツに合わせるシャツはキャッチーなカラーがオススメ。(左から)シャツ¥12000/Brocks Brothers(ブルックス ブラザーズ ジャパン)、シャツ¥18000/SCYE BASICS(マスターピースショールーム) -ワラビー-カジュアルなスーツスタイルの足元は、レザーシューズでヌケを与えて、決め過ぎないのが彼のスタイル。ワラビー¥19800/Clarks ORIGINALS(クラークスジャパン) onkul vol.2より
2018年10月05日トム・クルーズとダスティン・ホフマンの共演で1988年に公開されたアカデミー賞4部門受賞作を、藤原竜也と椎名桔平の初共演で舞台化する「レインマン」。このたび、4月4日に撮影が行われたメインビジュアルとともに、キャスト陣らのコメントが到着した。7月、8月上演予定の舞台「レインマン」は、弟・チャーリー役を藤原さん、兄・レイモンド役を椎名さんが務める。このたびのメインビジュアルは、映画の中でも有名な兄弟がカジノに挑戦しているシーンを再現したものとなっている。■藤原竜也「新しい『レインマン』が生まれるんじゃないか」藤原さんは、「原作があるものを舞台化するというのは、リスクも大きい、とても大変なこと。ですが、新しい『レインマン』が生まれるんじゃないかなという手ごたえはあるんです。素敵なメンバーが集まって良いスタートを切れるだろうと期待しています」とコメント。「有名なこの作品を、演出の松井(周)さんがどういうふうに稽古を進めていくのか、ぼくも非常に楽しみです。だから、僕らはただ真面目に稽古場で作品と向き合って、日々稽古を過ごしていくのみ。その中で色々な発見をしながら、いい作品にしていければいいなという思いです」と意気込みを新たにする。■椎名桔平「普遍的な家族を描いた名作」2006年に日本で舞台化された際、弟の役を演じた椎名さんは、「今度は兄の役に挑戦させて頂くことになりました。この作品は普遍的な家族を描いた名作だと思いますし、親と子や兄弟という関係性にある愛情の裏返し、中でも特に強い憎しみから始まるので、そこから物語を経て、本当の愛情に移り変わっていくという様は、どんな時代にも変わらないという思いがあります」と作品のテーマに言及。「それだけ強いメッセージを届けられる作品だと思いますので、是非観に来ていただきたいです」と語る。■「僕よりも、トム・クルーズよりも男前な藤原くん」また、藤原さんは「ひとつ有り難いのは桔平さんが演じられている役なので、わからないことは教えてもらおうかなと思っています」と語り、「演劇の場所で初めてご一緒させてもらえるのはとても嬉しいこと」と椎名さんとの共演について明かす。すると椎名さんは、「僕よりも、トム・クルーズよりも男前な藤原くんなので(笑)。まっすぐにずっと演劇の道を歩んできた方という印象が強いのですけれど、そういう方と舞台という空間でご一緒できる喜びでいっぱいですね。今日のポスター撮りで藤原君とも初めて一緒に街を歩いて、そこで感じたことも含めて、これからゆっくりと稽古で練っていきたいなと思います」と、こちらも藤原さんとの共演に期待十分。■中越典子「お2人の兄弟の化学反応がとっても楽しみ」チャーリーの彼女・スーザン役を務めるのは、映画『関ヶ原』やドラマ「警視庁捜査一課9係」シリーズなどで知られる中越典子。「『レインマン』というすばらしい作品の舞台化に参加させていただけるのが、とっても嬉しいです。映画がとても印象的で、本当に胸にぐっとくる作品でした」とコメント。「あの兄弟をどんなふうに藤原さんと椎名さんが演じるのか、このお2人の兄弟の化学反応みたいなものがとっても楽しみです。私もその中に溶け込んで、入っていけたら」と語っている。■演出・松井周「人間の息遣いが感じられるような舞台にできたら」上演台本と演出を手がける松井周は、「すごく達者な、強力なキャストに恵まれて舞台にするからには、生の感覚というか、ライブの感覚で、人間の息遣いが感じられるような舞台にできたら」と語る。「中越さんが仰ったように、まさに化学反応というか化学変化が楽しみ。このキャストでこのスタッフ、このチームだからこそできることを、本当に地味に淡々と、毎日実験するように稽古して完成させたい」と意気込みを明かしてくれた。舞台「レインマン」は7月20日(金)~8月4日(土)新国立劇場・中劇場ほか静岡、福岡、大阪、宮城、愛知にて公演。(text:cinemacafe.net)
2018年04月09日今年で90回目を迎えるアカデミー賞。その間にメリル・ストリープは候補歴21回(今年分込)、受賞歴3回とほかに類を見ない功績を残しつづけている。映画界最高峰と言われるアカデミー賞の常連であるメリル・ストリープの魅力とはいったい何なのだろう?ロサンゼルス在住でメリルの大ファンでもある筆者が思い入れたっぷりに彼女の魅力を探ってみた。【分析1】とにかく演技が上手い今年も『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の名演で主演女優賞候補に挙がっている彼女だが、この筆者が最初にメリルを愛するようになったのは、時を遡る1978年。当方、まだ中学生だったのだが『クレイマー・クレイマー』という映画がきっかけだった。ダスティン・ホフマン演じる仕事中毒の夫から、自立を求めて去っていく主婦を演じたメリルだったのだがセリフよりも表情とハートで演じている彼女に大きく心を揺さぶられたのを覚えている。【分析2】穏やかなパワフルさそして『クレイマー・クレイマー』の数年後に見た『ソフィーの選択』(1982)でメリルは女優として絶対的な存在となった。第二次世界大戦前後を舞台にしたこの映画は、ナチス・ドイツの卑劣な将校たちによって自分の息子か娘のどちらかを強制収容所に差し出さなければ母子皆殺しという選択を迫られ、そのときに取った選択に一生苛まれる女性を演じた。ここでもメリルは表情と仕草で見ているものの胸を切り裂かんばかりの演技を披露し、アカデミー主演女優賞を獲得した。メリルが持つ女優としてのもう一つの強みは、演じる役に合わせて巧みに変わる彼女のアクセントだ。字幕で鑑賞していると気がつかないが、どんなに上手い俳優でも方言や他国の訛りをやらせると、どうもおぼつかないという例がよくある。だがメリルはどんな訛りでも操る技を心得ており、アメリカ人である彼女がイギリスの首相マーガレット・サッチャーを演じてアカデミー賞を受賞したことでもその素晴らしさが証明されている。訛りを操るメリルの技は、ハリウッド業界内でも賞賛されている高度なスキルなのだ。【分析3】美しすぎずに美しいメリルはパーフェクトな美女ではないが「気さく美人」だと思う。見た相手を「美しい」と思う感情は十人十色だが、強いて美人をふたつのカテゴリーで分けるならば筆者的には「冷たい美人」と「気さくな美人」に分別できると思う。これは性格云々とはあくまでも無関係で見た目の印象ということだ。「冷たい美人」の例を挙げると二コール・キッドマンやシャーリーズ・セロンなど、超絶的な美しさのあまりに近寄りがたいという印象の美貌で、時にはICY QUEEN(=氷の女王)などと呼ばれてしまうタイプである。「気さく美人」は、サンドラ・ブロックやエマ・ストーンといったタイプで、美人だけど近くにいてもリラックスできるかな?というタイプで、メリルもこのカテゴリーに入ると思う。平凡な主婦役(『マディソン郡の橋』)から英国首相(『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』)まで、何をやってもシックリくるルックスで、かつ美しい。これは幅広い役柄を演じられるという利点であり、これにメリルの抜群な演技力が加わるとアカデミー賞常連、という稀なステータスが手に入るのだ。【分析4】ゴシップ誌の標的にされない私生活その昔、メリルは『ディア・ハンター』という名作に出演し、そこで共演したジョン・カサールという俳優と恋に落ちたが間も無くジョンが肺がんにおかされ、メリルの献身的な看病も虚しく世を去ってしまうという悲劇が起きた。彼女がゴシップ誌を賑わせたのはそのときくらいではないか。最近でこそハリウッドのセクハラ問題や男女平等問題に言及したメリルの様子がニュースで報道されることがあるものの、アンジーとブラピのようなイメージとはかけ離れている。彫刻家ドナルド・J・ガマー氏と今年で結婚40周年を迎えるメリルは、セレブには非常に稀な長い結婚生活を維持している。4人の子どもたちも常識ある大人に育っており長男はミュージシャン、3人の娘はそれぞれがエンタメ業界で活躍をしている。親の七光りを乱用せず行儀の良い子どもたちの存在もメリルが妙なスポットライトにさらされない理由だろう。安定したファミリーライフは、メリルの体現する安定したオーラの賜物ではないか。彼女がハリウッド内外から尊敬の念を集める要素のひとつでもある。【分析5】女王のレベルなのにおごり高ぶらない数年前にメリルが『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でアカデミー主演女優賞を受賞した直後、受賞者お立ち台インタビューで、ラッキーにも質問する機会をもらった。3回目のアカデミー賞受賞にも関わらずキラキラとして心底嬉しそうで非常に飾り気のない女性という印象だった。おかげで聞き手のこちらの緊張がほぐれていくのを感じたのを覚えている。メリルほどの功績をあげた女優がこれほどリラックスしたエネルギーを発散しているというのは天性のもので誰にでも備わっているものではない。ハリウッドは彼女の才能はもちろんこの特殊エネルギーに反応しているのではないか。ハリウッドで素晴らしい功績をあげ続けつつも"普通の人”エネルギーを発散している自然体メリルの美しさ。天才レベルの演技力とハリウッドに欠けがちなナチュラル好感度。この稀有な組み合わせがメリルの持つ魅力といえるのではないだろうか。(text,interview:Akemi K. Tosto)(text:明美・トスト/Akemi Tosto)■関連作品:マーガレット・サッチャー鉄の女の涙 2012年3月16日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2011 Pathe Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 2018年3月30日より全国にて公開© Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.
2018年03月03日ハリウッド大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題が露見してから、問題の火の手は収まるどころか悪化しておりハリウッドのエンタメ業界はパニック状態となっている。■ケヴィン・スペイシー事件のあとには…ワインスタイン事件以来、セクハラ問題がまるで異常乾燥注意報時の火災がごとく映画業界の至る所で火の手をあげて俳優やセレブ監督にも飛び火しており、人気海外ドラマ「ハウス・オブ・カード野望の階段」などで日本でもお馴染みの俳優ケヴィン・スペイシーが30年前、26歳のときに14歳の俳優アンディー・ラップに対して性的行為を試みようとしたというニュースはアメリカ内外でも大変な話題となった。今週に入り、映画『テッド』のガールフレンドを演じたジェシカ・バースが2012年に当時のマネージャーでハリウッドの大物であるデヴィッド・ギルロッドから性的暴行を受け、ロス市警に届けたもののその後ギルロッドから脅迫され恐ろしくなり、訴訟を取り下げざる得なかった、と大手業界サイトの「the Wrap」に暴露してこれも大変な騒ぎとなった。とにかく連日のように、新しい有名人の名前が「セクハラ事件」という見出しの横に並ぶ、とんでもない状況のハリウッド。セレブ監督のブレット・ラトナーも6人の女性からセクハラで槍玉に挙げられている。ブレット・ラトナーといえば、アクションコメディー映画『ラッシュ・アワー』シリーズ(ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演)で一躍人気監督となり、近年では自ら設立したプロダクション・スタジオより大ヒット作『ワンダーウーマン』や『X-MEN: ファイナル ディシジョン』などを産出してノリに乗っていたハリウッドの大物である。ラトナーは、問題発覚後に里親的存在だったワーナー・ブラザーズ映画から縁を切られている。■ハリウッドで崇拝されているアノ俳優まで!?今回のセクハラ問題で周囲を一番ショックに陥れたのが、今年で御年80歳の大御所名優ダスティン・ホフマンである。『卒業』や『トッツィー』などの名作をはじめ、メリル・ストリープと共演した『クレイマー、クレイマー』と、トム・クルーズ共演の『レインマン』ではアカデミー賞主演男優賞受賞歴もある、あのダスティン・ホフマンである!時をさかのぼること32年前。ダスティン・ホフマンが1985年に手がけていた芝居のプロジェクトで、当時17歳だったインターンのアンナ・グラハム・ハンターさんにセクハラをしたのだという。このショッキングなニュースに周囲が愕然とするなか、どうやらダスティンの“素行の悪さ”は、それに始まったことではないということが明るみに出はじめた。1979年に『クレイマー、クレイマー』でダスティンと共演したメリル・ストリープは、撮影前に初めてダスティンと対面したときに、なんと胸を触られて非常に不快な思いで撮影に臨んだというのである。この打ち明け話はメリルのインタビュー記事として当時のタイム誌に掲載されており、これがいまになって浮上し、ダスティンにとっては非常に不利な話題となっている。■セクハラ問題の波紋セクハラ問題は、関わった俳優や監督たちのキャリアを崩壊に追い込むばかりでなく、その周囲にもひどい打撃を与えている。増え続けるスキャンダルに伴い、暮れのホリデーシーズン公開予定作品が目まぐるしく変更されているのがその一例だ。たとえば、TWC(ザ・ワインスタイン・カンパニーの略)の手がけたホラー映画『ポラロイド』(原題)は、かなりのヒットが見込まれていたものの、セクハラ事件が露見したことで、ほとぼりが冷める来春ころへの延期が決定している。被害を被っているのは劇場側だけではない。一連のセクハラ問題は、アカデミー賞を筆頭とする映画賞レースへの影響も必至とみられている。前出のケヴィン・スペイシーは、Netflixより「ハウス・オブ・カード野望の階段」の打ち切りを命じられただけでなくアカデミー賞シーズンに向けてノミネート必至とされていた新作スリラー映画『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド/All The Money In The World』(原題)が受賞作戦のPRから外されることが決定している。この映画は『エイリアン』シリーズのリドリー・スコット監督作品で、ケヴィン・スペイシーの共演者にはミシェル・ウィリアムズとマーク・ウォールバーグも参加している話題作だったのに、ケヴィンが昔に犯した軽率な過ちのせいでとんだ迷惑を被っていしまった形だ。■ハリウッド・メンタリティとその対策「お金があってパワフルならばどんな振る舞いをしてもいい」という暗黙の了解がまかり通っていたハリウッド。…というよりは、どこの業界でもパワーを持っている者が下のものを足蹴にしたり酷い扱いをしたりということは往々にある。その頂点にあるのがセクハラだ。映画業界にセクハラが横行している理由に、「何が何でも俳優になりたい」という若者が溢れているという事実がある。だが、いくら相手がどんなにデスパレートでも、分別のある人間であればセクハラに及ぶなどということはない。長いことハリウッドにいて学んだことがある。自分の心の声はうそをつかない。少しでも妙な気配を相手から感じ取ったら、自分の心がザワつき出したらその場から素早く身を引くことが肝心だ。どんな業界に居ようが、上に立つ相手が自分の価値観や信条に反するようなことを提案したり押しつけたりして来たら、相手が誰であろうが「NO」と言って、毅然とした態度でその場を離れる勇気を持つことが大切なのだ。(text:Akemi K. Tosto)(text:明美・トスト/Akemi Tosto)
2017年11月10日アダム・サンドラー、ベン・スティラー、ダスティン・ホフマンが、めんどくさい親子を演じるホームコメディ『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』。Netflixで全世界同時配信が始まったが、米映画レビューサイトRotten Tomatoesでは93%の高評価で、早くも賞レースで有力視されている。気難しい父に振り回される一家をユーモアたっぷりに描くのは『ヤング・アダルト・ニューヨーク』、『フランシス・ハ』の才人ノア・バームバック。現代人の抱える悩みを軽妙に描き、次世代のウディ・アレンとの呼び声も高い。5月のカンヌ映画祭では、Netflix作品として初めてコンペ入りしたことで「配信作品は映画なのか?」という議論を呼んだ話題作だ。舞台はニューヨーク。彫刻家の父ハロルド(ダスティン・ホフマン)が家を売ると言い出し、3兄妹が久しぶりに集合する。長男ダニー(アダム・サンドラー)と長女ジーン(エリザベス・マーヴェル)が冴えない毎日を送る中、異母兄弟の弟マット(ベン・スティラー)だけは会計士として成功しており、会ってもぎくしゃくするばかり。一方、ハロルドも芸術家として過小評価されていることに不満で、イライラしてばかり。家の売却と共に、家族はバラバラになってしまうかに見えたが…。自分勝手な父親に振り回されつつ、実は似たもの同士の息子たち。特に、弟にコンプレックスを持つ専業主夫のダニーを演じるアダムの演技が絶妙で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされるのは決まったも同然だろう。ジーン役のエリザベス・マーヴェルも「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の国務長官と同じ人とは思えぬ、名演技を見せている。一流になれなかった人間は、どう気持ちの折り合いをつけるのか。愛情をうまく示せない家族は、どうやり直すのか。脚本も手がけるバームバックは、このテーマについてこう語る。「成功の定義、というものに興味があった。彫刻家として成功するなんて、100万人に1人しかいない。長男のダニーは夢は諦めたけど、娘にとっては素晴らしい父親で、その意味では十分成功しているに気づいていない。僕だって主流の監督じゃないけれど、自分の好きなように映画を作ることが出来ている。そんなことを投影しているんだ」。また、劇場ではなくNetflixでの配信を選んだことに対しては「元々、インディーズ映画として16ミリ・フィルムで低予算で撮っていたところ、Netflixが編集段階で資金を出してくれたんだ。だからあくまで映画として作っているし、機会があれば大きなスクリーンで観てほしいとは思う」と心情を明かした。ダニーを演じるアダムは、バームバック作品は初めて。「前からノアの映画に出たくて、ようやく実現したんだ。そしたら170ページもの脚本が届いて驚いた。でも素晴らしい脚本だから、撮影前に全部頭に叩き込んだんだ。僕が演じるダニーの娘は大学で遠くへ行ってしまうが、うちの子もいつか巣立つと思うと、淋しくてしょうがないよ」。一方、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』などバームバック作品の常連ベンは「僕はアダムと正反対で、セリフは直前に覚えるけどね(笑)。でも、この映画には共感する部分が多い。僕もアダムも子どもがいて、親を看取る経験をしてきたし、すごく共感できたんだ。それに父親がダスティンだなんて、超クールだよ」と語った。名優ダスティンが、せこくて傲慢だが愛嬌のある父ハロルドを演じて、大いに笑わせてくれる。「ハロルドという人物について、ノアと話し合ううち、『おや、これはまるでうちの父親じゃないか』と気づいたんだ。最初は全然そう思わなかったけれど、似た部分がとても多かった」。ほかにもハロルドの現在の妻を演じるエマ・トンプソン、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』にも出演したアダム・ドライバーが、登場シーンは少ないものの印象的な芝居を見せる。なぜ、題名に<改訂版>(英語ではNew and Selected)がつくのかは観てのお楽しみ。家族の物語は、そう簡単には終らないのだ。(text:Ayako Ishizu)
2017年10月25日サヴァン症候群とは出典 : サヴァン症候群とは、自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群などの発達障害や知的障害があり、かつなにか突出した能力を持っている状態を指す用語です。一口にサヴァン症候群といっても、その特徴や症状、能力の発達や困りごとの様相はさまざまです。1つ目は有能サヴァンと呼ばれるケースです。その人の知的発達レベルから想定される以上の能力を、ある分野で示します。“突出”という言葉から、人より優れた能力を持っているように思われますが、ここで言う突出とは、他人と比較して優れているという意味ではありません。世間全体で見たときにはそれほど突出した能力ではない状態であっても、自分自身の全般的な知的発達レベルに比べて、ある能力に関してのみ突出して高い能力を持っている場合、サヴァン症候群であると言えます。2つ目に天才サヴァンというものがあります。これは有能サヴァンと同様に、能力がアンバランスになっていますが、有能サヴァンとは異なり、この突出した能力は世間全体で見ても優れていると言えるレベルにあるケースです。天才サヴァンは珍しく、世界全体で見ても発見された人数は100人にも満たないと言われています。出典:石坂好樹/著者『自閉症とサヴァンな人たち自閉症にみられるさまざまな現象に関する考察』(星和書店・2014)p63サヴァン症候群というと、映画「レインマン」で描かれたキム・ピークさんや2014年に放送された中居正広さん主演の「ATARU」というドラマの主人公のようになにか特殊な能力を持っていると思われがちです。しかし、サヴァン症候群だからといって必ずしも映画に取り上げられるような特殊な能力があるわけではありません。「特殊な能力」というよりは、能力に凸凹があるという特性を持っているのがサヴァン症候群だと言えます。サヴァン症候群は自閉症と深く関わりがあると考えられています。サヴァン症候群の人には、なんらかの発達障害・知的障害がありますが、とりわけ自閉症のある人の割合が高いのです。自閉症の人のうち約10人に1人がサヴァン症候群だと言われています。それに対してその他の発達障害・知的障害がある場合でサヴァン症候群に該当する人は、約1400人に1人だと考えられています。またもう一つ特徴的なのは、母集団である自閉症のある人に男性が多いため、男性のほうが女性に比べて約4~6倍多くいることです。※2013年以降、自閉症より自閉症スペクトラムという言葉が一般的になりつつありますが、参考資料や参考にした論文がそれ以前に書かれたものもあるため、この記事では自閉症という表記にしています。出典:Savant Syndrome 2013ーMyths and Realities|Wisconsin Medical Societyサヴァン症候群の能力出典 : サヴァン症候群の人は、実際にはどのような分野で高い能力があるのでしょうか。ここでは、今までに見つかっているサヴァン症候群の突出した能力の中で、主なものをいくつか紹介します。記憶に優れた人の場合、1度読んだ本の内容や、アメリカ全土の都市と道路を覚えているなど、非常に優れた記憶力を発揮することがあります。細かい描写に優れていることが特徴的で、一見したところ写真と見間違えるような精度の絵を描くことがあります。絶対音感があったり、楽曲の記憶力が高いことがあります。音楽の分野で秀でたサヴァン症候群の人の中には、一度聞いただけの曲を完全に再現して演奏することができる人もいます。3桁の整数の3乗のような難しい計算を暗算するように、難解な計算をすばやくできるだけではありません。例えば「1981年の4月1日は何曜日?」と聞かれた際に、計算によって「水曜日」と答えることができます。このカレンダー計算は、比較的多くのサヴァン症候群の人に見られる能力です。時計を見ずに正確な時間がわかったり、なんの道具も使わずに正確な距離を答えたりする例がいくつか報告されています。目で見た光景をまるで写真を撮ったかのように脳で記憶したり、母国語でない言語の会話を聞いただけで正確に再現したりすることができる場合もあります。天才サヴァンの人は、上にあげたような分野で常軌を逸した能力を1つあるいは複数、発揮することがあります。ただし一言でサヴァン症候群といっても、様々な方がいます。サヴァン症候群だからといって、常人離れした能力を持っているのではないかと誤解されることが、当事者にとって生きづらさにつながることも心にとめておきましょう。サヴァン症候群の著名人出典 : サヴァン症候群の人の中には、突出した才能がある人(天才サヴァン症候群)がいることを紹介しました。そのような人が、それぞれの分野で活躍して名を残していることは珍しくありません。また、映画やドラマ、書籍などでサヴァン症候群が取り上げられていることもあります。この章では天才サヴァン症候群のある著名な人を何人かご紹介します。山下清は日本の著名な画家です。テレビドラマ「裸の大将放浪記」の主人公の「裸の大将」のモデルとして聞いたことのあるかもいるかもしれません。彼は放浪の旅の道中での情景を脳内で記憶しておくことができました。放浪の旅を終えると、旅の情景を思い出しながら張り絵として描くような生活をしていたと考えられています。情景を記憶しておける優れた記憶力や彼の行動の特徴などから、サヴァン症候群ではないかと考えられています。しかし、彼は幼少期から絵画の才能を発揮したわけではありません。知的能力が周囲よりやや低かったとされています。また周囲からいじめられ、その反撃をしたことから大人たちに凶暴な子どもだとみなされることもあったようです。彼は、知的発達の遅れた子どものための養護施設、八幡学園に入ることになります。学園では、日記、描画、貼り絵を日課にするように指導されました。この指導が彼の才能が開花させたと言えるでしょう。その後、彼は学園内での生活にあき、放浪の旅に出ていくことになります。参考書籍:石坂好樹/著者『自閉症とサヴァンな人たち自閉症にみられるさまざまな現象に関する考察』(星和書店・2014)1988年にアカデミー賞を受賞した映画『レインマン』のダスティン・ホフマン演じるレイモンド・バビットのモデルになったアメリカ人です。この映画は、サヴァン症候群という言葉が世間に広がるきっかけになりました。彼には、過去に読んだ9,000冊の本の内容を正確に覚えているという驚くべき記憶力があります。しかしその一方で、重度な発達障害があったり、脳梁欠損などの中枢神経系での異常がみられたりといったことが報告されています。脳梁欠損というのは、右脳と左脳をつないでいる繊維の束が一部あるいは全部が生まれつきない状態のことをいいます。現在、脳梁欠損は「神経細胞移動異常症」として指定難病に登録されています。参考:神経細胞移動異常症(指定難病138)|難病情報センター彼はイギリス出身であり、天才的な数学的能力・記憶力をもっています。彼は自閉症ですが、その症状は軽く日常生活でほとんど支障がでない程度だとされています。また、数字が風景のように見える共感覚の持ち主でもあります。著書の『ぼくには数字が風景に見える』はベストセラーになり、日本でも出版されました。彼は2004年3月14日に5時間9分かけて、円周率を22,514桁暗唱しました。円周率をただ数字の羅列として覚えるのではなく、数字を見たときに思い浮かぶ形や質感の違いから数字を覚えていると話しています。また、自身のウェブサイト「optimnem」で外国語学習プログラムを展開するなど、言語の分野においても優れた才能を発揮しています。参考:About the author|DanielTammet.net参考:optimnem FOREIGN LANGUAGE COURSESサヴァン症候群のメカニズム出典 : 能力がアンバランスになってしまうサヴァン症候群ですが、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。なんらかの後天的な要因で、サヴァン症候群になることもありますが、後天性のサヴァン症候群はサヴァン症候群全体の1割程度のため、ここでは先天性のサヴァン症候群のメカニズムを詳しく説明します。出典:Darold A. Treffert 「The Savant Registry:A Preliminary Report」サヴァン症候群のメカニズムはいまだに解明されていませんが、これまでいくつかの仮説が提示されてきました。仮説には次のようなものがあります。1つ目の仮説は、サヴァン症候群で示される突出した能力は、反復した訓練によって得られたにすぎないというものです。現在では、この仮説はおそらく正しくないだろうといわれています。例えば、複雑な計算をすばやく解くサヴァン症候群の人がいたとします。このとき、彼の計算方法とサヴァン症候群でない人の計算方法はまったく異なることが多いです。また、脳の血流を調べてみると、サヴァンとサヴァンでない人では、そもそも血流が増える場所が異なっていることがわかりました。これらのことから、反復した訓練だけで説明することは難しいと考えられています。2つ目の仮説は、脳の右半球(いわゆる右脳)が発達しているためにサヴァン症候群が生じるというものです。サヴァン症候群で示される突出した能力は、右半球と関連が深いとされています。しかしその一方で、実際にサヴァン症候群の人の脳を調べてみると左半球(いわゆる左脳)に異常がある可能性がみられます。なぜサヴァン症候群は右半球と関わりが深いはずなのに、左半球に異常が見られるのでしょうか。ヒトにはどこかの機能が低下したり失ったりしたときには、他の機能を向上させるような働きがあります。例えば、目が見えない人は、他の人に比べて聴覚や触覚などの感覚が鋭くなるとされています。この働きによって、左半球に異常があるために、結果として右半球が活発になったのではないかと考えられます。3つ目の仮説は、サヴァン症候群でも、自閉症児と同様に部分的な情報処理に特化しているのではないかという考えです。自閉症児によくみられる特徴のひとつとして、全体をとらえることは苦手であっても細かいところを調べることは得意というものがあります。このことから、一部の人は「自閉症児は全体的な情報処理を犠牲にして部分的な情報処理に特化しているのではないか」と考えています。この考え方をサヴァン症候群にもあてはめられるではないかというのが3つ目の仮説です。ここでは3つの仮説を紹介しましたが、どれも科学的に証明されているわけではありません。あくまで仮説にすぎず、ここにあげた仮説以外の他のメカニズムでサヴァン症候群が生じている可能性もあります。参考:高畑圭輔加藤元一郎「発達障害とサヴァン」BRAIN MEDICALサヴァン症候群のある人の困りごと出典 : サヴァン症候群のある人には、ベースになんらかの発達障害や知的障害があるため、それらの障害特有の日常生活上の困りごとが生じやすいと言えます。そのほかにもサヴァン症候群の困りごととして、映画やドラマなどによって世間で偏ったイメージ(多くが天才サヴァン症候群)が広がっているために誤解されてしまうことが挙げられます。大ヒットした映画『レインマン』の主人公レイモンド・バビットは類い稀な能力を持っていましたが、自閉症でもあり、日常生活を送るときに多くの困りごとがありました。また『レインマン』以外の映画や書籍でも、サヴァン症候群といえば特殊な人物として描かれていることが多いです。しかしサヴァン症候群には多くの例があり、必ずしも特殊で傑出した能力があるわけではありません。周りに「サヴァン症候群だからきっとなにか特別な能力があるのだろう」と天才サヴァン症候群であることを期待され、有能サヴァン症候群の人が追いつめられてしまうこともあります。また、天才サヴァン症候群であるダニエル・タメットは次のように述べています。きわめて稀で卓越した能力が備わっていたため、サヴァンの人々は怖れられたり、誤解されたり、さらに悲しいことに利用されたりもしてきた。これは非常に痛ましいことだ。ぼく自身の経験からも言えることだけれど、高機能自閉症のサヴァンは、人間の複雑な感情を理解できるし、意味ある社会貢献もできる。サヴァンの能力は人間の創造的な脳が生み出したものであり、無味乾燥で機械的な処理が生み出したものではない。サヴァン症候群は多様性に富んでいることを理解し、世間で天才と呼ばれる人であっても、一人の人間であるという、一見あたりまえのことを忘れないようにすることが大切なのかもしれません。サヴァン症候群の診断・相談先は?出典 : 自閉症のある人の10人に1人、他の発達障害・知的障害のある人の1400人に1人がサヴァン症候群だという報告がありますが、実際にサヴァン症候群だと診断されている人はそれほど多くはありません。というのも、現在、サヴァン症候群は、国際的に広く使われている診断マニュアルである、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)などでは明確な診断カテゴリーとして確立していないからです。そのため現在では、医学的な診断名としてサヴァン症候群を用いることは一般的ではなく、正式な診断名としては併存しているなんらかの発達障害・知的障害で診断されることが多いです。「もしかしてサヴァン症候群かも」と感じたとしても特に本人が困っていなければ問題ありませんが、日常生活の中でなにか困っていることがあれば、次のような専門機関で相談してみるといいでしょう。サヴァン症候群の疑いがあるのが子どもか大人かで相談する機関が変わってくるので注意が必要です。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所などサヴァン症候群のある子どもの能力の伸ばし方出典 : サヴァン症候群のように能力にアンバランスが見られる子どもには、どのような支援や教育が必要なのでしょうか。また、能力を伸ばすことでどういった効果が見られるのでしょうか。子どもの能力を伸ばすためには、まず子どもが得意な能力に気づく必要があります。普段から、子どものことをよく観察しておくことが大切です。子どもの能力がアンバランスであることに気付いた時には、アンバランスであることを否定するのではなく認めることも必要になってきます。子どもの能力を正しく把握して、認識したら次のように支援していくといいでしょう。・子どもが社会に参加することを踏まえて、どのような支援が必要なのか考える。・子どもの優れた能力を発揮できるような役割を与えることで、活躍することができるようにする。・子どもの作品や活躍を多くの人に見てもらい、子どもが褒められる経験を増やす。・できるだけ具体的で適切なアドバイスや評価をたくさんする。・必要があれば、専門家がアドバイスをしたり、指導を行ったりする。出典:有路憲一関口あさか「サヴァン症候群の実態調査とその実践的価値」子どもの能力を伸ばすことの効果は、単に絵がうまくなったり、計算が速くなったりするというだけでは収まりません。子どもが優れた能力を発揮できるようにすることで、子どもの自己肯定感が向上されます。それによって、日常生活や学習上での困難が回復・改善されることがあります。子どもの能力を伸ばすことの効果は次の5つにまとめることができます。・元々優れていた能力そのものがより向上して、オリジナリティの高い能力になる。・今までの困難が回復・改善されて、「できなかったこと」が「できる」ようになる。・支援や教育をできるだけ高い頻度で行うことで、子どもの変化を細かく追うことができ、それぞれのタイミングでより適切な支援や教育をすることができる。・支援や教育を行う時に、子どもが他のだれかと関わることが必要とされるため、コミュニケーションの能力を向上させることができる。・将来に生かせる能力を育てることができる。出典:有路憲一関口あさか「サヴァン症候群の実態調査とその実践的価値」子どもの能力を伸ばしていくことでさまざまな効果を得ることができます。子どもの能力を伸ばす時には、その子どものできないところ、苦手なところばかりに目を向けるのではなく、優れているところに目を向けるようにするといいでしょう。まとめ出典 : サヴァン症候群は、テレビや映画の影響もあり、天才あるいは奇人のようなイメージと結びつくことが多いです。しかし、それらはあくまで症候群の一例にすぎず、実際にはもっとさまざまな人がいます。サヴァン症候群の偏ったイメージを人に押し付けてしまうことで誤解されたり、過剰な期待を持たれて追いこまれてしまうサヴァン症候群の人もいます。そのようなことを防ぐために、サヴァン症候群のことを正しく理解したり、勝手に判断しないように気をつけたりしましょう。また、この記事内でサヴァン症候群の人に見られやすい能力を紹介しましたが、あくまでそういう傾向があるという話にすぎません。そのため子どもを普段からよく観察して、それぞれの子どもの得意分野、苦手分野を理解し、できるだけ子どもの得意分野を伸ばしていけるようにしていくことが大切です。
2017年09月05日ダスティン・ホフマン、ベン・スティラー、アダム・サンドラー、エマ・トンプソンらが豪華共演し、今年のカンヌ国際映画祭でも話題を呼んだNetflixオリジナル映画『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』(原題『The Meyerowitz Stories(New and Selected)』)が10月13日(金)より配信決定。さらに、この愛すべき家族が登場する特別映像が公開された。本作は、年老いた芸術家の父親ハロルド(ホフマン)のお祝いのために家に帰ってきた3人の兄妹ダニー、マシュー、ジェーンが、彼との関係に折り合いをつけようと悪戦苦闘。彼らが大人になっても大きな影響力を持つ父親との葛藤、そして家族の絆を描いたホームコメディ。監督は、『イカとクジラ』で2005年のサンダンス映画祭で監督賞と脚本賞を受賞し、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされ、『フランシス・ハ』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』などを手がけてきたノア・バームバック。主演は、ダニー役にサンドラー、マシュー役にスティラーというハリウッドのキング・オブ・コメディアンといっても過言ではない2人。この夢の競演は、まさに映画ファン必見。そのほか、舞台作品で活躍するエリザベス・マーヴェル、『美女と野獣』も記憶に新しい名女優エマ・トンプソン、そして父親ハロルド役を演じるのは、映画史に残る名優ダスティン・ホフマンという豪華な顔ぶれ。ハリウッドの大御所キャスト陣と“次世代のウディ・アレン”とも称されるバームバック監督が贈る愛すべき家族の物語は、ポン・ジュノ監督『オクジャ/okja』と共に、今年の第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にNetflixオリジナル作品として初めて正式出品され、世界を賑わせたばかり。誰もが共感できる世代間ギャップが笑いを誘い、家族の愛と厄介さに心温まる、秋にぴったりの物語となりそうだ。『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』は10月13日(金)よりNetflixにて全世界同時配信。(text:cinemacafe.net)
2017年08月30日’80年代に大ヒットした映画『クレイマー、クレイマー』をご存じでしょうか。妻の自立心から破局を迎えた結婚生活。残された夫は幼い息子の面倒を見ることに。ちょっと笑えて、ちょっと涙する名作でしたね。主演はダスティン・ホフマン。’80年代を代表するハリウッド映画です。 しかし、これ、どこかで聞いたことのあるようなストーリーじゃないですか?(笑)私も若いころに映画館で見て、涙を流した経験があります。とくにホフマン演じるお父さんが幼い息子くんとフレンチトーストを作るシーンが、笑えてまた泣けるんです。そして、ついに先日、息子がやってきて、私にこう言いました。 「パパ、パンペルデュ、作ってあげようか?おやつに」 パンペルデュとは……。はい、ご名答。フレンチトーストの仏語です。ペルデュとは「失う」という意味。この場合、失うのは「愛」ではなくて「パン」(笑)。つまり、食べ残して硬くなってしまったパンを使ったところからこの名前が生まれたわけですね。かくして私たちはキッチンに並んで立つことになりました。まさに、映画のように! 私がシングルファザーになったとき、息子は10歳でした。あれからぐんぐん大きくなって、いまや身長は並んでいます。1人で飛行機にも乗りますし、お泊まりもします。なんでも1人で出来るようになり、もうすっかり青年。さらには、私のためにおやつを作ってくれるまでに成長したのです。『クレイマー、クレイマー』との違いは、ホフマン演じるミスター・クレイマーが、料理のできない男であったこと。私はラッキーなことに料理が得意。正直、この差は大きかったです。もし、私が料理の苦手な男だったら、子育てはもっと難しかったでしょう。 さて、男の役割とか、女の役割とか、こういうものも時代とともに変わってきますね。自立する女という言葉もどこか’80年代的ノスタルジーを感じます。これからはみんなで子育てをする時代に、みんなで子供を見守る社会になればいいなぁ、と思う今日このごろです。 ということで、今日はそのフレンチトーストを作りましょう。奥様、辻家のフレンチトーストはそんじょそこらのフレンチトーストじゃありませんですぞ。だって、私と息子はパリで生きているからです。パリジャンな2人組です。うちのフレンチトーストは本物なんです。とっても簡単なうえに、日本では絶対真似できない美味しさ。超簡単ですから、今日こそ一緒にトライしてみてください。 材料:ブリオッシュパン2枚(もしくは、デニッシュ生地の食パンでも大丈夫ですけど、断然ブリオッシュパンをおすすめします!)、卵1個、牛乳120ml、生クリーム100ml、砂糖25g、バター10g、ブラウンシュガー少々(グラニュー糖でも可)、キャラメルソース適量(メープルシロップでも可)、バニラアイス適量。 まず、ボウルに卵、牛乳、生クリーム、砂糖をまぜ、卵液を作る。ここでフライパンを中火に温め、バターを溶かしておく。次に、ブリオッシュを3~4㎝ほどの厚さに切り(厚めにするのが大事です)、先ほど作った卵液に浸す。途中でブリオッシュをひっくり返しながら1分~1分半ほど卵液によく浸したら、中火くらいで様子をみつつ片面5分ずつゆっくり焼く。このとき、焦げないようにじっくり火加減を調節しながら焼いてください。焼きあがったら両面にブラウンシュガーをふりかける。最後に、もう30秒ずつ両面を焼いて、ブラウンシュガーをキャラメリゼしたら完成。バニラアイスを添え、キャラメルソースをかけて召し上がれ。 ほっぺたが落ちるほど、とっても美味しいフレンチトーストですぞ。 ボナペティ! 本誌連載の料理をえりすぐったレシピ本『パリのムスコめし世界一小さな家族のための』も絶賛発売中です!
2017年06月20日開催中の第70回カンヌ国際映画祭。今年、カンヌを席巻しているのが、動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」の作品だ。コンペティション部門に、ポン・ジュノ監督の『オクジャ』と、ノア・バームバック監督の『The Meyerowitz Stories(New and Selected)』(原題)の2本が入っている。いずれも作品の評価は高いものの、オンラインでしか観られないものを映画と認めるべきか、否か、という大論争が巻き起こっているのだ。特にスーパーピッグをめぐる『オクジャ』は星取り表でも上位3本に入るほど好評で、主演のティルダ・スウィントンの女優賞の声も聞かれる一方、ブーイングも出るなど、まさに問題の矢面に立たされている格好。『The Meyerowitz Stories』(原題)も、気難しい父親(ダスティン・ホフマン)にふり回される息子たち(アダム・サンドラー、ベン・スティラー)の反目と和解を笑いの中に描いた、愛すべき映画となっている。「Netflix」問題は映画祭開幕前から白熱しており、カンヌ側は今年は特例としてコンペ入りを認めたものの、来年以降はコンペ入りの条件にフランス国内での劇場公開を義務づけると発表した。というのも、フランスでは映画のストリーミング配信はフランス国内公開から3年後という規正があるからだ。同時に、劇場の興行収益から映画支援団体CNC(国立映画センター)に一定額を支払う規定があるが、劇場公開をしない「Netflix」はこの支払いを回避してもいる。映画祭初日17日の審査員団会見では、審査委員長ペドロ・アルモドバルが「劇場で観られない映画に、賞をあげたくない」と爆弾発言をした。これに対し、同じく審査員のウィル・スミスは「Netflix」を擁護。アルモドバルはその後、この発言は撤回して、公正な審査を行うと宣言、ポン・ジュノ監督に会った際には謝罪もしたという。果たして審査員団は、この2本に対してどのような結果を下すのか。審査結果は28日(現地時間)夜、発表される。(photo / text:Ayako Ishizu)(text:Ayako Ishizu)
2017年05月26日ケイシー・アフレックが過去の悲劇と向き合い、1歩ずつながら再生の道を探っていく主人公を演じ、アカデミー賞主演男優賞を獲得した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。ケイシーといえば、先週末に公開された『夜に生きる』で主演・監督を務めるベン・アフレックとは実の兄弟としてお馴染み。本日5月24日(水)は、米国では「兄弟の日」として、兄弟で映画を観に行ったり、飲みに行ったりして絆を深める日なのだそう。そこで、近い存在だからこそ、不器用な愛情表現になってしまう男同士の絆に涙する…そんな兄弟映画の傑作に注目してみた。■主人公リーと甥パトリックの関係から見えてくる“兄弟愛”故郷“マンチェスター・バイ・ザ・シー”で共に暮らしてきたリー(ケイシー・アフレック)とジョー(カイル・チャンドラー)。兄に子どもが生まれたあとも、よく3人で過ごしていた。船の上でジョークを言い合いながらふざけていたときも、リーが故郷を去ることになったときにも、そして故郷を去った後も、常にリーのことを気にかけていた兄のジョー。自身の命が長くはないことを知り、悲しむリーに対して気丈に振舞いながら、独りぼっちになってしまう弟と息子パトリックのこれからを誰よりも想い、心配したに違いない。そのさりげない優しさに、リーはジョーが亡くなったあとも救われることになる。本作鑑賞後のツイッターでも、「兄ジョーのことを思うともっと泣けちゃう。心臓病を抱え、まだ歳若い息子のこと、苦しみの中にいる弟のことを思い、何をしてやれるのか、どうしたらいいかずっと考えてたんだろう…」「兄の愛の深さがジワジワくる」など、リーとジョーの関係性に涙する人も。そんな、不器用にも互いを思い続ける関係を描いた兄弟の映画はいずれも名作ぞろいだ。■不器用な愛に何度観ても涙!いつまでも色あせない感動の兄弟映画の名作『ギルバート・グレイブ』ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが兄弟自分が生まれ育った町から一度も外に出たことがないギルバートには、知的障がいを持つ弟アーニーと過食症の母、そして2人の姉妹がおり、食料品店で働きながら家族の面倒を見ていた。そんなとき、町にトレーラー・ハウスで祖母と旅をしているベッキーという少女が現れる。ベッキーの存在はギルバートの心に変化をもたらし、兄弟、そして家族の絆をギルバートを改めて気づかせていく。当時19歳でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたディカプリオの名演が光る、いつまでも色あせない珠玉の名作。そして原作・脚本のピーター・ヘッジスは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でパトリックを好演したルーカス・ヘッジズの実父というつながりも。『レインマン』ダスティン・ホフマンとトム・クルーズが兄弟絶縁状態にあった父の突然の死。その財産相続の相手は、自分がいままで存在を知らされていなかった兄レイモンドだった。自閉症の兄に取り入り、財産をもらおうと考える弟チャーリーだったが、徐々に心の交流を通して兄弟の絆が生まれていく。自閉症の兄を演じたダスティン・ホフマンの演技は世界中で絶賛され、見事、アカデミー賞主演男優賞を受賞。トム・クルーズも青春スターから脱皮する好演を見せた。誰の心にも残る名作。『ブラザーフッド』“韓流四天王”チャン・ドンゴン×ウォンビン当時“韓流四天王”といわれ、絶大な人気を誇ったチャン・ドンゴンとウォンビンが兄弟役を演じた韓国の大ヒット映画。1950年に勃発した朝鮮戦争。強制的に徴兵された弟ジンソクを守るため兄ジンテもまた兵役を志願する。凄まじい戦闘の中、危険な任務に身を投じていく兄と、その姿に戸惑うジンソク。2人の溝が決定的になったとき、さらなる悲劇が彼らを待ちかまえる…。戦争によって引き裂かれる兄弟の絆に世界中が涙した、兄弟映画の傑作。『リバー・ランズ・スルー・イット』ブラッド・ピットの美青年ぶりも話題にモンタナ州で牧師の家庭で厳格に育てられた兄弟。だが、エリート大学の大学院を卒業した生真面目な兄ノーマンと、自由奔放で天真爛漫な弟ポールとは正反対の性格。成人してからも違う道を歩む2人だが、父親に習ったフライフィッシングだけは2人の共通の趣味であった。“川は変わらぬ姿で流れ続ける”というタイトルのもとに、兄弟の不器用さを描きながらも、どんなに離れていても、生活が変わっても絆は消えないことを感じさせる感動作。監督はロバート・レッドフォード。■実兄ベンも絶賛の名演!「僕はケイシーのことを死ぬほど愛している」そして『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、実のアフレック兄弟の愛をなくしては語れない。本作のプロデューサー、マット・デイモンとは兄弟で旧友同士。ベンは初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で主演にケイシーを抜擢。同じ2007年の『ジェシー・ジェームズの暗殺』でも好演を見せたケイシーはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。自身にも不遇な時代はあったものの主演・監督作『アルゴ』でオスカーを獲得し、ダークヒーロー“バットマン”を務めるベンに対し、その後はイマイチ伸びきれないキャリアのケイシー。それを支えていたのは、やはりお兄ちゃんのベンだ。一方、ベンがアルコール中毒に悩まされていたときには、ケイシーがベンを支えるなど、お互いを気遣い、リスペクトし合ってきたアフレック兄弟。本作でケイシーが見事オスカーを受賞した際には、ベンはケイシーに大きくハグ!「まだまだベイビーだと思っていたのに『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の演技には圧倒されたよ。僕はケイシーのことを死ぬほど愛している。彼の成功が続くことを心から願っているよ」と語っていた。なんと2人は、新作映画『Triple Frontier』(原題)で、『200本のたばこ』以来、実に20年ぶりとなる兄弟共演が実現しそう。偶然にも、いま日本では『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と『夜に生きる』が1週違いで公開中。アフレック兄弟の活躍を同時に観ることができるまたとない機会。今後、監督業含め、ますます活躍していくであろう彼らから目が離せない。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』はシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マンチェスター・バイ・ザ・シー 2017年5月13日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開(C) 2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.
2017年05月24日「EXILE」のメインボーカリストとして絶大な人気を誇るTAKAHIROが、初舞台にして、初主演!イギリス演劇界の名作コメディ「MOJO(モジョ)」の日本初上演に挑むことになった。ロックンロール・カルチャー全盛の1950年代後半。ロンドンのアトランティック・クラブでは、17歳のスター歌手シルバー・ジョニーの人気に火がつき、その利権を巡って地元のギャングとクラブオーナーには不穏な雰囲気が漂っていた。だが、クラブの下働きの連中は、くだらない世間話に花を咲かせては飲み明かす毎日。そんなある夏の日、事件が起こる。クラブの面々はひどく動揺するが、オーナーの息子ベイビーは、奇妙なほど冷静だった。不信と欺瞞が渦巻く中、運命の夜が訪れる――。戯曲「MOJO」は、1990年代にイギリス演劇界で鮮烈のデビューを飾り、現在は『007 スペクター』の共同脚本を手がけるなど、ハリウッドからも熱い注目を浴びるジェズ・バターワースの記念すべき第1作目。1995年にロンドンの名門ロイヤル・コート劇場で初演、1997年には映画化もされている。その当時、劇場に詰めかけた観客の中には、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ゲイリー・オールドマンら、ハリウッドスターたちの姿もあり、英新聞最大手の「Telegraph」テレグラフ紙は「客席にいる誰もが、自分たちは何か特別な出来事に居合わせているのだと察していた」と称賛。翌年には、英国演劇界で最も権威があり、イギリス版のトニー賞ともいわれる「ローレンス・オリヴィエ賞」で最優秀新作コメディ賞に輝いた伝説の舞台。イギリスの舞台俳優たちにとっても「MOJO」は重要な位置を占めており、中でも2013年のロンドン・ウエストエンド再演版は、『007』シリーズや『未来を花束にして』のベン・ウィショー、『ハリー・ポッター』シリーズのロン役で知られるルパート・グリント、「ダウントン・アビー」のブレンダン・コイルなど、人気俳優そろい踏みのキャスティングでも話題を呼んだ。抜群のリズム感に満ちたスピーディーな会話劇で、ダークな若者たちの不安定な心理をあぶり出していく、“イギリス演劇界のクエンティン・タランティーノ”とも称されるバターワースの傑作の上演台本、そして演出を手がけるのは、気鋭の劇作家・演出家の青木豪。また、本作で「EXILE」のTAKAHIROさんが初舞台に挑む。TAKAHIROさんが挑む主人公・ベイビーは、ロンドンにあるナイトクラブのオーナーの息子役。幼いころから父親との確執を抱えており、日頃から気性が荒く、極端に冷たい部分を併せ持つ、歪んだ性格の荒くれ者。ある事件をきっかけに、仲間内で起こる抗争の中心人物となる。共演には 波岡一喜、木村了、尾上寛之といった実力派俳優のほか、若手ながらその幅広い演技力で頭角を現している味方良介、横田龍儀らが脇を固め、日本初上陸の「MOJO」の世界観を作り上げる。TAKAHIROさんは舞台初挑戦に向け、「劇団EXILEを始め、これまでパフォーマー陣が出演している数々の作品から、舞台独特の空気やライブ感、緊張感、迫力…といったものを体感してきているので、初舞台で経験もない、未知数な部分ばかりの自分にとっては、もちろん不安もあります」と語りながらも、「未知数だからこそたくさん吸収できると思いますし、舞台を終えたときにまた新しい自分に出会えると思うので、自分の可能性を信じて、とにかく一生懸命喰らいついていきたいと思います」と意気込む。「骨太な演劇の中にあるダークな笑いやスリリングな展開など、この作品ならではの魅力を表現し、僕オリジナルなベイビーという人間を作り上げられるよう、全力でぶつかりたいと思います」と語るTAKAHIROさんの初主演舞台に、引き続き注目していて。「MOJO」は6月23日(金)~7月14日(金)、東京・品川プリンスホテル クラブeXにて上演。(text:cinemacafe.net)
2017年03月28日