第91回アカデミー賞で作品賞、脚本賞、助演男優賞に輝いた映画『グリーンブック』が公開されている。監督と脚本を務めたピーター・ファレリーは、弟のボビーと『ジム・キャリーはMr.ダマー』や『メリーに首ったけ』など数々の強烈なコメディ映画を手がけてきたが、彼らが過去の作品に込めたメッセージや誠実さ、そして照れ屋な部分は本作にもしっかりと引き継がれている。本作は人種差別の問題を描く感動作なのか? 確かに。でもこの映画は“それだけ”ではない。本作の奥底にあるメッセージについてファレリー監督に話を聞いた。本作は、『ゴッドファーザー』や『レイジング・ブル』でも顔を見せている俳優トニー・“リップ”・バレロンガの実話を基にした作品だ。1960年代、ナイトクラブの用心棒をしていたトニーは店が改装のために閉店し、金に困って黒人ピアニストのドクター・ドナルド・シャーリーの演奏旅行の運転手をすることに。しかし、当時の南部は黒人差別が色濃い地域で、ガサツなトニーと物静かなドクターは正反対の性格だった。彼らは同じ車に乗り込み、黒人が南部を旅行する時のためのガイド“グリーンブック”を片手に旅に出る。トニー・リップの息子ニックと脚本を書くことになったブライアン・ヘイズ・カリーから企画を聞いたファレリー監督は、自らプロジェクトへの参加を願い出たという。「思い返せば、『…Mr.ダマー』も『メリーに首ったけ』もそうだけど僕の映画にはロードムービーが多いんだ。自分でも何度も車でアメリカを横断してるんだよ」。ところが本作は通常のロードムービーのように主人公が訪れる場所でムダに事件が起こったりはしない。「そうだね。この映画は“彼らがどこに行くか?”ではなく“彼らがどこにいるのか?”が大事な物語なんだ。もし、この物語がアパートで展開していたら、どちらかが部屋を出ていってしまうこともあっただろう。でも、トニーとドクターは移動する車の中にいる。彼らは外に出ることはできないし、イヤだろうが話をしたり、一緒にラジオから流れてくる音楽を聴くしかない。だからこそ彼らの気持ちは“動く”わけだ。もし、彼らが車で旅をしなければ、仲良くなることはなかっただろうね」監督が語る通り、トニーとドクターは正反対のキャラクターだ。イタリア系の家庭に生まれ、大家族に囲まれて暮らし、問題が起こったら腕っぷしか口八丁で切り抜けるトニーと、ジャマイカ移民の両親から生まれ、カーネギーホールの上階の高級マンションでひとりで暮らし、いつなんどきも冷徹で毅然とした態度で接するドクターが仲良くなるのは簡単ではなさそうだ。映画の前半、ふたりの間には険悪なムードが漂うが、観客がなぜか笑ってしまうだろう。「この映画の笑いは、ふたりがお互いを理解できなかったり、相手の視点に驚くことから生まれる笑いなんだよ。だから、僕はこれまでの映画みたいなジョークを入れないで脚本を書こうと最初から決めていた。この映画にユーモアがあるとすれば、キャラクターから自然に立ち上がってくるものでなければならないと思ったからね」自動車旅行という“逃げ場のない”状況で、トニーとドクターは過酷な旅を続ける。しかし、ふたりは決して旅を降りようとしない。トニーは旅先で会った友人から運転手よりも高額なギャラの仕事を持ちかけられるがそれをハネのけ、ドクターは都市部に行けば芸術家として扱ってもらえるのにあえて差別が残る南部での演奏旅行を強行する。なぜか? ポイントはふたりが劇中で繰り返し口にする“契約”というフレーズだ。契約があるから運転手を続ける、契約があるから演奏を続ける。しかし、この映画における“契約”は通常使う冷たいフレーズではない。それはキャラクターの行動の指針であり、正反対の性格の男たちが一緒にいる“照れ隠し”のフレーズでもあるのだ。「そうなんだよ! この映画における“契約”は最初、仕事のため、金のためのものだ。でも、僕はこの映画で描かれる契約の究極的な意味は“自分自身との契約”、つまり今よりも良い自分でいるための契約だと思う。だからトニーは友人から高いギャラの仕事を持ちかけられても、ドクターとの契約を守る。それは“ドクターを旅に連れていく”と決めた自分自身との契約だからなんだ。トニーは自分の言葉に忠実に行動するし、裏切らない。そうして、ふたりの友情が深まっていくんだ」『グリーンブック』は、1960年代のアメリカを舞台にしており人種の問題が描かれている。しかし、その奥底にあるのは、どんな立派に生まれようが、激烈におバカに生まれようが同じようにギャグのネタにし、同じように尊くて愛らしい存在として描いてきたファレリー監督の視点だ。運転手もピアニストも、イタリア系もアフリカ系も等しく面倒で、等しくやっかいで、等しく愛すべき人間だ。「この映画は僕の過去の作品と共通する部分が多いと思う。確かに『グリーンブック』にはシリアスな要素があるけど、作品の“ハート”の部分は過去の映画と似ている。だから、作品へのアプローチの仕方もまったく変わらなかった。この映画に関する取材を受けていると繰り返し“タイプの違う映画だから大変だったのでは?”って質問されるんだけど、この映画が他の作品より大変だとか簡単だとかいうことはなかったよ」強烈な下ネタやギャグはないが、本作はファレリー監督の多くの過去作と同様、面倒くさくも愛らしいオッサンたちのドラマが描かれ、そこには“照れ隠し”テンコ盛りの状態で人間の優しさや誠実さが描かれている。「僕は“人間”というものが好きなんだと思う。どんな人であっても僕は好きなんだよ。だから妻と外出しても、そこにいる人にどんどん話しかけて彼らの人生だったり、人柄を聞き出してしまうことがあるんだ(笑)。僕は、どんな人間もその奥深いところで“品格”を持っていると思う。それを映画で描きたい気持ちがあるのかもしれないね。だから、この映画を観て、自分とは少し違う人に会ったり話をしたりすることを怖がらずにオープンな気持ちになってもらえるとうれしいね。この映画のキャラクターたちのように、心を誠実でオープンにすれば、人はわかりあうことができると思うんだ」『グリーンブック』公開中
2019年03月01日『愛しのローズマリー』『メリーに首ったけ』など、数々のコメディ映画を送り出してきたファレリー兄弟の兄、ピーター・ファレリー監督が贈る映画『グリーン・ブック』(原題)が、先日閉幕した第43回トロント国際映画祭にて「観客賞」を受賞したことが明らかに。本作の日本公開日は来年3月となっている。■あらすじ1962年、差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニスト、ドン・シャーリーは、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップを用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド<グリーンブック>を頼りに、正反対のふたりは旅を始めるのだが――。■“最高賞”を受賞! 一気に本年度アカデミー賞本命に…北米最大規模の来場者数を誇る「トロント国際映画祭」。本作が受賞した、一般の観客の投票により決定する「観客賞」は、本映画祭では最高賞となっており、近年ではアカデミー賞作品賞に最も近い賞として注目されている。また近年、同賞を受賞しているのは、昨年の『スリー・ビルボード』をはじめ、『ラ・ラ・ランド』、『ルーム』、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』など、アカデミー賞にて主要部門の受賞をした作品ばかりだ。■アカデミー賞ノミネート&受賞キャストが出演本作に出演するのは、『ロード・オブ・ザ・リング』『イースタン・プロミス』『ザ・ロード』のヴィゴ・モーテンセンと、『ハンガー・ゲーム』シリーズ、『ムーンライト』のマハーシャラ・アリ。ヴィゴは『イースタン・プロミス』でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。マハーシャラは『ムーンライト』でアカデミー賞助演男優賞を受賞している。そんな名優2人が、今作では笑って泣ける、奇跡の実話に挑戦。ジャズにのせて最高のバディムービーを届ける。■監督から受賞の喜びのコメント作品が受け入れられた反応に感動していたら、更に受賞できるとは信じられません。映画祭に感謝します。出品されただけでも光栄だったのに、このような賞を頂けるなんて、どんな夢も超えています。トロント映画祭の観客が世界一だとういう理由が分かりました。キャスト、スタッフ、そして共同脚本家たちを代表して感謝します。『グリーン・ブック』(原題)は2019年3月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:グリーン・ブック(原題) 2019年3月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開予定© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
2018年09月18日「ストレンジャー・シングス」のミリー・ボビー・ブラウンが、明日から日本で公開される『LOGAN/ローガン』のローラ・キニー役のオーディションを受けていたことを明らかにした。「Variety」誌の企画「Actors on Actors」で、エヴァン・レイチェル・ウッドから「いままでで最高だったオーディション」を聞かれたミリーは、『ローガン』のローラ役を挙げた。このオーディションで自分が俳優であると心底実感できたことがとてもうれしかったという。「オーディションルームでヒュー・ジャックマンを攻撃したり、ジェームズ・マンゴールド監督が目の前に座っていたり。もう『オー・マイ・グッドネス』って感じだった」とミリーは大興奮したらしい。残念ながらこの役は年下のダフネ・キーンがゲットすることとなったが、「映画を観たわ。ダフネは素晴らしかった」とダフネのローラ役を潔く受け入れた。一方、ミリーにとって「最悪だったオーディション」は、母国語のイギリス英語ではなく、アメリカ英語で挑んだバービー人形のコマーシャルだったそうで、「時々思うのよね。イギリス英語を使うと、雇ってもらえないのかなって」との悩みも語っている。『LOGAN/ローガン』の大役は逃したが、2019年3月22日(現地時間)公開予定の『Godzilla:King of the Monsters』(原題)の主演に決定しているミリー。「これが私の映画デビューなの。すごく楽しみにしているわ。最高の出来になるだろうってことしか言えないわね」と意欲満々だ。(Hiromi Kaku)
2017年05月31日ジム・キャリーとジェフ・ダニエルズが出演する『帰ってきた Mr.ダマー バカ MAX!』が間もなく公開になる。前作から20年から経過したが、スクリーンに登場するハリーとロイドは成長するどころか、想像以上にバカだった! PRのために来日したボビー・ファレリー監督は「それこそがこの映画の狙いさ」と笑う。その他の写真本作はボビー&ピーター・ファレリーが監督を務めた『ジム・キャリーはMr.ダマー』の20年ぶりの続編で、ひたすらバカなことしかないロイドとハリーの名コンビが、腎臓病になってしまったハリーの病気を治すべく旅立ち、行く先々で騒動を巻き起こしていく。前作がつくられたのは今から20年前。通常であれば多くの観客がその存在を忘れてしまうが、本作はアメリカで繰り返しテレビ放映され、着実にファンを増やしてきた。「前作が人気になったのは、何回観ても笑えることだから、そのフィーリングは新作でも追及したかった」というファレリー監督は、“ふたりが変わっていない”ことにこだわった。「これだけ時間が経ってるのに、彼らは成長していないし、学んでいないし、バカなままなんだ。それこそがこの映画の最大の見せ場だと思うよ」しかし、監督は出演者も20も歳を重ねた。ファレリー監督も「最初は本当に前作みたいなことが彼らにできるのか心配していた」と振り返るが、ジム・キャリーとジェフ・ダニエルズは撮影初日から「その姿を観た瞬間に『これは大丈夫だ!』と思える出来だった」という。「基本的な流れを踏襲しながら、どれだけ新鮮なユーモアを盛り込めるかが勝負だったよ。僕らの映画は派手な視覚効果を使わないクラシカルなスタイルだから、20年前に観た観客と、初めて観た観客の両方に受け入れてもらえる映画にしたかったし、20年後にも笑ってもらえるような映画を目指したよ」ちなみに本シリーズは熱狂的なファンが多く存在するが、監督は「好きでいてくれるのはうれしいけど、ハリーとロイドのマネはしない方がいいよ!」と笑う。「でも、この映画でふたりがやっていることは、僕ら兄弟が昔にやったバカなことが元になっていたりするんだ。人間みんな、バカなところはあるから、これで笑ってもらえたらうれしいね。聞いたんだけど、ある病院では患者に僕たちの映画を見せているらしいんだ。コメディはバカにされがちだけど、笑うことは人の気分を良くさせるし、すごく重要なことだと思うよ」『帰ってきた Mr.ダマー バカ MAX!』11月20日(金)より全国順次ロードショー
2015年11月17日『マスク』の大ヒットでコメディ俳優としての地位を確立し、『トゥルーマン・ショー』『マン・オン・ザ・ムーン』でゴールデン・グローブ賞を受賞するなど演技力も高く評価されているジム・キャリーの、20年越しの“原点回帰”作『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』。このほど、まさかの全米1位を獲得した本作に、日本でも現在、最新主演作がスマッシュヒットとなっている、ある大物俳優がカメオ出演していることが分かった。本作は、全世界興収2億5,000万ドルを上げるヒットを記録し、熱狂的ファンを獲得した『ジム・キャリーはMr.ダマー』の20年ぶりとなる続編。主人公ロイド役にジム・キャリー、ロイドの相棒ハリー役にジェフ・ダニエルズ、そして監督はボビー&ピーター・ファレリー兄弟と、オリジナル同様、おなじみのスタッフ・キャストがそろい、相も変わらず爆笑のバカMAXなコメディを作り上げた。そんな本作にふらっと登場するのは、コメディアンとしても知られ、かつて“ゴーストをバスターズ”していた、あのビル・マーレイ!最近ではソフィア・コッポラ、ウェス・アンダーソンなどの作品に引っ張りだこで、日本公開中の主演作『ヴィンセントが教えてくれたこと』では第72回ゴールデングローブ賞にノミネートされた。そんな彼が扮しているのは、決して素顔を見せない男“アイス・ピック”。ロイドが20年間、精神病のふりをして相棒のハリーを騙していた間、ハリーの同居人として生活していたのだ。彼はアパートで麻薬精製をしているという謎の人物で、その姿は人気海外ドラマ「ブレイキング・バッド」の主人公のようでもあり、ロイドが20年ぶりにアパートに戻った際には、バスターズ・ポーズでロイドを歓迎する!?実はこの撮影、監督のピーター・ファレリーいわく「ビル・マーレイはホットラインを持っていて、そこに電話をすると、だいたいいつも1か月以内に返事が来るんだ」、ボビー・ファレリーいわく「今回もギリギリに返事が来て、出てもらえることになったんだよ」という経緯があったとのこと。ジム・キャリーは大先輩ビル・マーレイのことが大好きで、撮影中は小学生のようにはしゃいでいたという。『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』は11月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月12日『マスク』の記録的大ヒットでコメディ俳優としての地位を確立し、『トゥルーマン・ショー』『マン・オン・ザ・ムーン』でゴールデングローブ賞を受賞するなど、その演技力が高く評価されているコメディ界の天才俳優ジム・キャリーの最新作『Dumb and Dumber To』(原題)が、『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』として、今秋公開することが決定した。本作は全世界でスマッシュヒットを記録し、熱狂的ファンを獲得した『ジム・キャリーはMr.ダマー』の20年ぶりとなる続編。オリジナルと同様、ボビー&ピーター・ファレリー兄弟が監督を務め、ジム・キャリー演じる主人公ロイドと、ジェフ・ダニエルズ演じる相棒ハリーのコンビが復活した。20年もの間、精神病院に入院しているロイド。見舞いに来たハリーは、自身が腎臓病を患ったことを打ち明ける。これまで一切反応を示さなかったロイドだったが、突然飛び起き、「病気のふりをしていただけ」とハリーをだましていたことをばらす。ハリーはしてやられたと、笑い転げた。ふたりはハリーの腎臓病を治すためドナーを探す旅にでるが、そこにはおバカなやつらが待っていた…。『ベイマックス』を超え、全米で初登場No.1を記録した本作。天才コメディ俳優ジムが原点回帰で最強のバカに扮した、最強・爆笑のバカMAXなコメディ作品となっている。さらに本作は、今秋開催される「第8回したまちコメディ映画祭in台東」のオープニング作品に決定しており、9月19日(土)には、ボビー・ファレリー監督が7年振りに来日し、オープニングセレモニーに登場する予定だ。『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』は2015年秋、TOHOシネマズ六本木ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2015年08月20日ロックバンド「プライマル・スクリーム(Primal Scream)」のボーカル、ボビー・ギレスピー(Bobby Gillespie)は、12月11日のロンドンでのライブで「サンローラン(Saint Laurent)」を着用した。ジャケット、シャツ、タイ、パンツのトータルルックで登場。ジャケットはラペルをサテンで切り替えたタキシード、シャツはフロントにプリーツが入り、そしてタイをリボンスタイル締めるというライブらしく夜のフォーマルスタイル。しかし単純な礼装でなく、ジャケット・シャツは光沢があり、きらびやかな印象を演出。対照的にパンツはマットな素材感のものをセレクトしている。プライマル・スクリームは1982年、ボビーとギターのジム・ビーティ(現在は脱退)がスコットランドのグラスゴーで結成。ロック、ダブ、アシッドハウスと様々なジャンルをクロスしている。
2013年12月23日