べストセラー小説を舞台化した、ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)「ライフ・オブ・パイ」の劇場予告編が公開された。広大な太平洋の真ん中で船が沈没し、少年パイは救命ボートで長らえ唯一生き残る。救出された彼が話す物語にはハイエナ、シマウマ、オランウータン、ベンガルトラが登場するが、実際には何が起きていたのか…?本作は、映画化もされたべストセラー小説を基に、人形劇とマジック、そしてストーリーテリングが見事に融合し、オリヴィエ賞で主演男優賞(ハイラム・アベセカラ)、新作演劇賞、舞台装置デザイン賞、照明デザイン賞、助演男優賞の5部門を受賞した話題作。特に主人公と一緒に漂流するベンガルトラを演じた7名のパペティアが助演男優賞を受賞したことは快挙として注目された。この度解禁された予告編では、本作のドラマティックで壮大な世界観を垣間見ることができる。躍動するパペットたちの演技も圧巻だ。NTLive「ライフ・オブ・パイ」は5月26日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋ほかにて公開。(text:cinemacafe.net)
2023年05月06日英国演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリビエ賞」の授賞式が現地時間2日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われ、スタジオジブリのアニメーション映画『となりのトトロ』を舞台化した『My Neighbour Totoro』が、最優秀作品賞、演出賞、衣装デザイン賞など最多の6部門を受賞した。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)のプロデューサー、グリゼルダ・ヨーク氏は授賞式で、この舞台の発案者でエグゼクティブ・プロデューサーの久石譲氏を称えた上で、「『となりのトトロ』は優しさと勇気とイマジネーションのお話です。我々は、この魔法のような素敵な舞台を作る作業に関わってくださった数多くの人たちに未来永劫、感謝を捧げます」と語った。式に出席できなかった久石氏は「作品賞をはじめ、多くの賞を受賞したことはとても喜ばしいことです。RSCや関係者の皆さんに心からの祝福と感謝の気持ちを送ります」、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも「ぼくらが信頼する久石譲さんがプロデューサーであること。これを条件に、宮崎(駿)とぼくは舞台化のOKを出しました。『トトロ』を深く理解し、新たな命を吹き込んでくれたRSC、そのキャスト、スタッフの皆さん一丸となっての受賞、本当にうれしいです」とコメントした。最優秀衣装デザイン賞の中野希美江氏は、受賞後のインタビューで「映画の世界を大切にすること、生地などの質感にこだわることを重視して作ってきました。特に、映画の舞台である昭和30年代の日本については、多くの材料を集め、研究しました。演出、パペットを含め、皆のチームワークがあっての賞だと思っています。本当にうれしいです」と喜びを語った。受賞したのはほかに、最優秀舞台美術賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞の各部門。2月に発表された演劇賞「第23回WhatsOnStage Awards」でも最優秀演出賞など最多の5冠を獲得している。同作は今年1月の終演直後から再演を望む声が多数寄せられており、これに応える形で再演が決定。今年11月21日から来年3月23日まで、初演と同じロンドンのバービカン劇場で上演される。
2023年04月03日英国演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリビエ賞」の授賞式が4月2日(現地時間)、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われ、スタジオジブリのアニメーション映画『となりのトトロ』を舞台化した「My Neighbour Totoro」が、最優秀作品賞、演出賞、衣装デザイン賞など最多の6部門を受賞。また、今年11月からロンドンのバービカン劇場にて再演も決定した。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)のプロデューサー、グリゼルダ・ヨークは授賞式で、この舞台の発案者でエグゼクティブ・プロデューサーを務める久石譲を讃え、「『となりのトトロ』は優しさと勇気とイマジネーションのお話です。我々は、この魔法のような素敵な舞台を作る作業に関わって下さった数多くの人たちに未来永劫、感謝を捧げます」とコメント。授賞式には出席できなかったが、久石さんは「作品賞をはじめ、多くの賞を受賞したことはとても喜ばしいことです。RSCや関係者の皆さんに心からの祝福と感謝の気持ちを送ります」というコメントを発表した。また、最優秀衣装デザイン賞の中野希美江は受賞後のインタビューで「映画の世界を大切にすること、生地などの質感にこだわることを重視して作ってきました。特に、映画の舞台である昭和30年代の日本については、多くの材料を集め、研究しました。演出、パペットを含め、皆のチームワークがあっての賞だと思っています。本当に嬉しいです」と喜びを語った。そのほか、最優秀舞台美術賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞の計6部門を獲得。2月に発表された演劇賞「第23回WhatsOnStage Awards」でも最優秀演出賞など最多の5冠を獲得していた。「My Neighbour Totoro」は11月21日(火)~2024年3月23日(土)、ロンドン・バービカンにて再演。(text:cinemacafe.net)
2023年04月03日「第46回日本アカデミー賞授賞式」が3月10日(金)に開催され、『ある男』が最優秀作品賞を受賞した。今回、12部門13賞を受賞していた最多の『ある男』だが、結果、作品賞に加え、監督賞、主演男優賞ほか計8部門において最優秀賞を受賞し、本年度の日本映画の“顔”なった。『ある男』は、『愚行録』や『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督が同名小説を映画化。亡き夫(窪田正孝)の名が別人のものだったと知った妻(安藤サクラ)が、知り合いの弁護士(妻夫木聡)に身元調査を依頼し、次第に夫の壮絶な過去が明らかになっていく物語。出自や家庭環境をめぐる差別やレッテルも容赦なく映しながら、アイデンティティを問う人間ドラマであり、ミステリー作品だ。檀上に妻夫木さんらキャストやスタッフとともに立った石川監督。最優秀監督賞を受賞の際には、「今日、本当にたまたまいただきましたが、バトンなんだなって感じがすごくしています。本当に先輩方が作った日本映画という大河があって、僕らがつめていくというバトンだと受け止めています」と語っていた。写真提供: 東京写真記者協会そんな石川監督の姿を笑顔で見つめていた妻夫木さんだが、マイクを握るととたんに目には涙が浮かんだ。「うれしいです。監督とはデビュー作から一緒で…」と話し、横にいる窪田さんがそっと妻夫木さんを支えた。妻夫木さんは「一番、僕は彼の才能というものを間近で見ていた自負があるので、認めてくださったのが本当にうれしいです」と喜びで声を震わせた。窪田さんも「本当におめでとうございます。この作品に関われて一員になれて、心からうれしいです。これからの財産になるし縁を少しずつ広げて映画をみんなで盛り上げていきたいです」と言い、安藤さんも「おめでとうございます!これ以上のものはないなって、おめでとうございます!」と笑顔を見せた。清野菜名も「本当におめでとうございます。こんな素敵な作品に参加できてラッキーだなと思います、私も頑張っていきます」と最後は涙声になっていた。そのほか、最優秀アニメーション作品賞は『THE FIRST SLAM DUNK』が受賞。企画から13年かけて制作された本作は、アニメ版でも映像化していない原作内の最終試合を新たな視点で描き、新旧ファンを興奮させ感動を呼んだ。そして現在も公開中、興行収入も100億円を超えて数字を伸ばし続けている。(cinamacafe.net)■関連作品:THE FIRST SLAM DUNK 2022年12月3日より全国にて公開© I.T.PLANNING,INC. © 2022 SLAM DUNK Film Partnersある男 2022年11月18日より全国にて公開©2022「ある男」製作委員会
2023年03月10日俳優の安藤サクラが、『ある男』で第46回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞。第42回『万引き家族』で最優秀初演女優賞を受賞したことも記憶に新しい安藤さんだが、4年ぶりの本格的な映画出演となった『ある男』での受賞となった。スピーチでは様々な感情が交差したのか、涙を流しスピーチしていた。優秀助演女優賞は、有村架純(『月の満ち欠け』)、尾野真千子(『ハケンアニメ!』)、清野菜名(『ある男』/『キングダム2 遥かなる大地へ』)、永野芽郁(『母性』)、松本穂香(『“それ”がいる森』)と、安藤さんも入れて例年になく6名の選出となった。写真提供: 東京写真記者協会『ある男』では、再婚した夫(窪田正孝)が偽名を使っていたことを彼の死後知り、弁護士に身元調査を依頼する妻・里枝を演じた安藤さん。一度は疑心暗鬼になるも、最終的には自分は感じたことを信じる里枝を凛とした存在感で、温かく包容力のある演技で見せた。撮影前も今も「すごく難しい役だったなと感じていた」と語った安藤さん。およそ4年ぶりの映画出演はすごく緊張していたそうで、「うーん。苦しかったです、ははは。くよくよしていました、ずっと。でも途中から現場が大好きだと改めて思って、変わっていきました。この現場がないと、ずっとくよくよしたままだったかもしれない」と意外な胸の内を明かした。共演の妻夫木聡も「撮影中に、ある日『私やっぱり女優に向いてないと思うの。この作品で引退しようと思う』と言われて“えっ!? 引退作になってしまうのか…”と思っていた」と話し、くよくよエピソードを明かされた安藤さん。受賞後のスピーチで、安藤さんは「ありがとうございます。今ここで話したときにあまりにも自分が…」と一瞬止まり「泣いちゃう…」と涙を浮かべた。「本当にやめようと思っていたことがこんな形でばらされると思っていなくて、情けなくて」と涙を流して話す安藤さんに、会場中が温かく拍手でエールを送った。安藤さんは、「この作品の最中に、やっぱり現場がすごく好きなんだと。それは自分ができる・できないとか関係なく、それをも超えて私は撮影の皆さんの中にいることが何よりも好きなんだとはっきりと思えました。もうくよくよを超えて、そんなものほかに見つけられないなとはっきりと思えたので、また現場に今向かうことができています」とコメント。さらに、最後は「ただやっぱり子育てと撮影は今のところうまくできない。それはたぶん撮影のシステム的なこともあると思う。でもそれは私はどうしたらいいのかわからないけど悩みつつ、家族で会議しながら、みんなで協力し合ってまた頑張れたらいいな、大好きな現場に戻れたらいいなと思ってます。ありがとうございます!」と会場にいた(夫の)柄本佑に向かって微笑みかけ、柄本さんもピースサインを返し、場内も大きな拍手と笑顔を送っていた。(cinamacafe.net)
2023年03月10日イギリスの演劇界で最も権威のあるローレンス・オリヴィエ賞のノミネーションが発表された。スタジオジブリの人気アニメ映画『となりのトトロ』を舞台化した「My Neighbor Totoro(英題)」が演出賞、女優賞(メイ・マック)、作・編曲賞(久石譲&ウィル・スチュアート)などを含む最多の9部門にノミネートされた。「My Neighbor Totoro」はロンドンの名門劇団「ロイヤル・シェークスピア・カンパニー」、日本テレビ、久石氏が製作し、2022年10月、ロンドンのバービカン劇場で上演開始になった。同年5月、バービカン劇場でチケットが発売開始になると、過去最高のチケット販売額を保持していたベネディクト・カンバーバッチ率いる「ハムレット」の記録を、たった1日で更新するほどの人気を集めた。ロイヤル・シェークスピア・カンパニーより公演初日の模様の一部が公開されている。主人公のサツキとメイを演じるアミ・オクムラ・ジョーンズ、メイを演じるメイ・マックや久石氏らの姿が見られる。女優賞にはメイのほか、ジョディ・カマー、ジャネット・マクティア、パッツィ・フェラン、ニコラ・ウォーカーが候補に挙がっている。『aftersun/アフターサン』でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、注目度アップのポール・メスカルは男優賞にノミネート。舞台でも大活躍だ。(賀来比呂美)■関連作品:となりのトトロ 1988年4月16日より公開
2023年03月01日日本公開から半年以上、全国各地の映画館でロングラン上映を続けている『PLAN75』。この度、第65回ブルーリボン賞にて主演女優賞(倍賞千恵子)&監督賞(早川千絵)を受賞したことを記念して、公開時のメイン館である新宿ピカデリーにて3月10日(金)より再々上映が決定した。6月の公開週にはメイン館の新宿ピカデリーの週末動員数で、『トップガン マーヴェリック』の動員を抑え1位を記録。シネスイッチ銀座では、金曜日の初回からチケットを求めて観客が長蛇の列をなし、土日も満席の回が続出。30代以降の映画ファンを中心に女性のグループ、夫婦・カップルなど複数での鑑賞が多く、幅広い客層に支えられてロングラン上映、現在、興行収入は3.4億円に迫っている。SNSを中心に「震えるほど感動」「頭から離れない」「“生きる”という命題を観る者に突きつける大傑作」など絶賛の声が多く寄せられたほか、“75歳以上に生死の選択権を与える<プラン75>の制度”に対して、賛否両論を巻き起こした本作。作品への口コミの高さに加え、キャスト陣の演技も高く評価され、第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、優秀脚本賞や第65回ブルーリボン賞 主演女優賞、監督賞をはじめとした国内の主要映画賞を獲得している。また、第47回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門や国際映画祭への出品も相次ぎ、フランス、シンガポール、タイ、台湾など30か国以上の国と地域で配給されるなど、世界各国でも評価を受けている。この度、3度目の新宿ピカデリーでの上映決定を受け、倍賞さんは「監督をはじめ、キャスト、スタッフの皆さんと同じ方向を向いて一生懸命に作り上げた作品を多くの方にご覧いただけて嬉しいです」とコメント。なお、早川監督は次回作に向け、脚本を執筆し始めているという。『PLAN 75』は3月10日(金)より新宿ピカデリーにて再々上映、全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PLAN75 2022年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
2023年02月24日第35回(2011年)より開催し、今年で11年目を迎える日本アカデミー賞新人俳優賞受賞者の撮りおろし企画「NEW CINEMA FACE」。今回も同賞に選ばれた小野花梨、菊池日菜子、生見愛瑠、福本莉子、有岡大貴、番家一路、松村北斗、目黒蓮の新たな装いと表情によるビジュアルがRAYARD MIYASHITA PARKに登場する。日本アカデミー賞の歴史の中で、第5回から設けられた新人俳優賞。受賞者はその後も「主演」「助演」で 再び日本アカデミー賞を受賞するなど各方面で活躍を続けている。日本アカデミー賞協会会員約4,000人の投票により決定し、原則として映画初出演でなくとも、主演・助演クラスの大役を演じ、印象を与えた俳優を対象とされる。そんな次世代の映画界を担う新人俳優賞受賞者たちが一堂に会する「NEW CINEMA FACE」は毎年、期間限定で掲出されると多くの人々が現地を訪れ、映画ファンのフォトスポットとして話題に。日本アカデミー賞授賞式の前のもう1つの企画として盛り上がりを見せている。なお、受賞者からは、自分にとって「映画」とは?10年後20年後の自分像は?という問いについてのコメントも到着している(五十音順)。小野花梨『ハケンアニメ!』私にとって映画は敵であり味方ですね。自分を生かしているという意味では大きな味方だけど、その中で私は戦っていかなければならないですし、長くこのお仕事をしたいのなら評価され続けなければいけないというシビアさもある。どこかで誰かに求められていなくては出来ないお仕事ですから。10年後20年後も誰かに求めていただけるような存在でいられたらなと思います。菊池日菜子『月の満ち欠け』知らない世界を教えてくれるのが映画だと思います。自分のコミュニティの中だけで得られる知識や考えは、どうしても偏ってしまう部分があって、そういった部分を壊してくれるのが映画だと思っています。今後は感情を放出すること、演じること、表現することを楽しみながら俳優として生きていけたらいいなと。それを叶えるためにも今、もっともっと頑張ろうと思います。生見愛瑠『モエカレはオレンジ色』どれだけ眠くても夜更かししてしまうほど映画を見る時間は贅沢だなって思っています。普段生きていたら感じない感情に引きずられたり、自分にない価値観を知ることが出来て、すごく勉強になるし面白いです。10年後20年後、その時やりたいことが何かはわからないですけど、物を作ることがすごく好きなので、たくさん経験を積んで何かを作っていたらいいなって思っています。福本莉子『今夜、世界からこの恋が消えても』日常では体験できないことをスクリーンを通して体験できるところが映画の魅力だと思っています。行き詰まっている時に背中を押してもらったり、生きる上でのヒントが凄く詰まっている。将来的にもこのお仕事は続けられたらいいですね。この賞をきっかけに、いろんな作品、役、自分に出会って、お仕事じゃないところでもいろんなものを学んで、発見して、人として成長していけたらなと思います。有岡大貴『シン・ウルトラマン』いろんなことの源みたいな感じです。普段はグループで活動させてもらっていて、ライブもそうですが、日々インプットが必要だと感じていて。そんなときに劇場で映画を観ることでインスピレーションや刺激を受けて、本当に助けられています。この先も変わらず映画に触れていたいですし、もし俳優として呼んでいただけることがあるのならば、この賞に恥じないお芝居ができたらと思います。番家一路『サバカンSABAKAN』映画に出ている人はすごいなと思っていたので『サバカンSABAKAN』に出て、自分が映画の中にいるんだって考えたら不思議な気持ちになりました。また是非やりたいです。10年後20年後も俳優業を続けているか他の道に進むかはわからないけど、楽しんでいてほしいと思います。ほかの道は...お金持ちになりたいというか、楽しく生きていきたいので社長とか!? になりたいです。松村北斗『ホリックxxxHOLiC』映画は見に行こうと思わないと見られないけど、そういう意味で価値のある物を作って、受け取ってもらおうとする熱量みたいなものを感じます。僕を選んでくれた方に「やっぱりあの時、俺、私、間違ってなかったな。先見の明があったな」と思ってもらえるような10年後20年後でありたいし、映画に憧れみたいなものがあるのでお芝居は「頼むからやめてくれ」って言われるまで挑戦したいですね。目黒 蓮『月の満ち欠け』映画は、明日も頑張ろうと思えるような、その先の人生になにか影響するような、不思議なパワーのあるエンターテインメントだと思っています。自分が出た作品も誰かを励ますことが出来たら嬉しいです。一回きりの人生なので、10年先も、20年先も悔いのない、少しでも楽しい時間が増えるような生き方ができていたらいいなと思います。「NEW CINEMA FACE 2023」は2月23日(木・祝)~3月16日(木)までRAYARD MIYASHITA PARK【South】2F入口横、渋谷駅方面エレベーター・2F歩道橋付近・3Fフードホール、【North】2Fエレベーター付近にて掲出。第46回 日本アカデミー賞授賞式は3月10日(金)にグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールにて開催。(text:cinemacafe.net)
2023年02月15日毎年、映画の祭典『アカデミー賞』の時期を迎えると話題になる、『ゴールデンラズベリー賞(通称:ラジー賞)』が、2023年、物議をかもしています。ラジー賞とは、アカデミー賞授賞式の前夜に、最低な映画を表彰するという、ノミネートされることそのものが不名誉な賞。その内容から、問題視されるのは今回が初めてのことではありませんが、2023年は、ラジー賞の最低女優賞に、12歳の俳優がノミネートされたことで、世間から批判の声が相次ぐ事態となりました。ラジー賞、12歳の俳優をノミネートし炎上今回、ノミネートされたのは、映画『炎の少女チャーリー』で主演を務めた、ライアン・キーラ・アームストロング。過去には、人気俳優のサンドラ・ブロックが最低女優賞にノミネートされたものの、表彰式の場を逆に作品の宣伝に変える対応が話題になったこともありました。しかし、それができたのは、ブロックが地位を確立した俳優であり、ラジー賞に対して皮肉で返すだけの経験もキャリアもあったからでしょう。12歳という若さの俳優に『最低女優賞』というレッテルを貼ることで、「彼女の将来をつぶしかねないのではないか」「いじめを助長する」と危惧する声も多く、後にラジー賞共同創設者のジョン・ウィルソンはアームストロングへの謝罪の声明とともに、候補から外したことも発表しました。また、18歳以上を対象にノミネートするガイドラインを設けたことも明かしたものの、その決定にもまた、多くのコメントが寄せられています。・もはやラジー賞を構成するすべての要素が時代遅れ。・そろそろラジー賞の開催そのものを止める時が来たのでは。・遅すぎるレベル。ガイドラインを設けたところで、不名誉な賞をもらうのは、年齢に関係なく嫌だろう。ラジー賞をエンタメととらえ、ユーモアに変える風潮を評価する声があるのも事実。しかし、時代が変われば社会の風潮も変わります。ラジー賞側が今回の騒動を受け、さらなる変革を加えるのかにも注目したいところ。なお、アームストロングが主演を務めた『炎の少女チャーリー』は、スティーヴン・キングの小説『ファイアスターター』を原作にしたホラー映画で、日本では2022年6月17日に公開されています。[文・構成/grape編集部]
2023年01月26日「第46回日本アカデミー賞」の正賞15部門各優秀賞および新人俳優賞が1月23日(月)に発表された。なお、司会は羽鳥慎一と有村架純が務める。優秀作品賞を受賞したのは、『ある男』、『シン・ウルトラマン』、『月の満ち欠け』、『ハケンアニメ!』、『流浪の月』の5本となった。島谷能成会長は、「2022年は観客動員数が(前年と比べて)約30%増、お客さんが映画館に戻ってくれている1年でした。興行収入100億円を超える作品が5本も出て、そんなのは初めて。豊作の1年だった」とふり返った。なお、第46回日本アカデミー賞は、2022年1月1日~12月31日までに東京地区において有料で初公開された、40分以上の劇場用劇映画及びアニメーション作品、ならびに劇場公開を目的に製作された新作で、東京地区の同一劇場で1日3回、かつ2週間以上、映画館のみで連続して上映された作品が対象になっている。今回で連続4回目の司会となった羽鳥さんは、「毎年緊張してやっております」と話す。「今回は、(コロナ禍以降)初めてお客さんが100%入るということで、楽しみたいと思いつつまた緊張感が上がるなと。けど、通常に戻ってきたうれしさもあります」と声を弾ませた。同じく司会を行うのは、第45回同賞で『花束みたいな恋をした』にて最優秀主演女優賞を受賞した有村さん。有村さんは、「まさかこのような日がくるとは思っておらず、大きな式典の司会を務めるなんてと感慨深く思います。会場にいらっしゃる登壇者の方々、お客様の皆さんと一緒に、素敵な夜を過ごせるよう自分自身も楽しみながらまっとうできればと思います」と心を込めた。アカデミー賞授賞式の場について、有村さんは「どの作品においても、自分が参加していない作品でも、同じ志を持った方たち、戦友のような・仲間のような方たちが集まって、ひとおもいに心を込めてご自身の言葉でスピーチされる時間を共有できることが、私はとてもこの空間において幸せだなと感じました。当日、皆さんにとっても、そのような思いのあふれる1日になれたらいいなと思います」と語っていた。授賞式は3月10日(金)にグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われ、各部門の最優秀賞が発表される。(cinamacafe.net)
2023年01月23日“アニメーションのアカデミー賞”とも呼ばれる第50回アニー賞のノミネートが、日本時間1月18日深夜に発表。湯浅政明監督の『犬王』が長編インディペンデント作品賞と脚本賞(野木亜紀子)にノミネートされた。本作は、「平家物語 犬王の巻」(著:古川日出男)を原作に、室町時代に人々を熱狂させた実在の能楽師・犬王と、そのバディである琵琶法師・友魚との強烈な友情と“能楽”の世界を鮮烈な視点で描いた作品。湯浅監督×野木亜紀子(脚本)×松本大洋(キャラクター原案)×大友良英(音楽)らクリエイター陣にくわえ、犬王役には、「女王蜂」として音楽活動をはじめ止まらない躍進を遂げるアヴちゃん。友魚役は、カテゴリーに縛られない表現者として卓越した演技力・歌唱力を持つ森山未來が演じている。2022年5月28日に全国121館で封切られ、観客動員数24万人、興行収入3.5億を突破。公開から7か月を超えるいまもロングラン上映を続けている。また、アニー賞は1972年、国際アニメーションフィルム協会(International Animated Film Association)によって設立。年に一度、世界中の優れたアニメーション作品・スタッフ・キャストに贈られる賞で、“アニメーション界のアカデミー賞”とも呼ばれる。湯浅監督作品が同・長編インディペンデント作品賞にノミネートされるのは『きみと、波にのれたら』(2021)以来2度目。「アドベンチャー・タイム」でのTV部門監督賞へのノミネートも併せると3度目となる。受賞した場合、日本製作の作品としては2018年の『未来のミライ』(細田守監督/スタジオ地図)に次ぐ快挙に。脚本賞は宮崎駿監督/スタジオジブリ『千と千尋の神隠し』(2002)、『風立ちぬ』(2013)以来のノミネート。長編インディペンデント作品賞には、A24が北米配給したストップモーションアニメ『Marcel the Shell with Shoes On』(原題)やNetflixアニメ映画『エルマーのぼうけん』などがノミネートされている。受賞作品は日本時間2月26日(日)、現地時間2月25日(土)にロサンゼルスで予定されている授賞式で発表。主なノミネートは以下の通り。『私ときどきレッサーパンダ』第50回アニー賞主要ノミネート作品賞『私ときどきレッサーパンダ』『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』『長ぐつをはいたネコと9つの命』『ジェイコブと海の怪物』『ウェンデルとワイルド』長編インディペンデント作品賞『Charlotte』(原題)『犬王』『Little Nicholas, Happy As Can Be』(原題)『Marcel the Shell with Shoes On』(原題)『エルマーのぼうけん』監督賞(長編)ドミー・シー『私ときどきレッサーパンダ』ギレルモ・デル・トロ、マーク・グスタフソン『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』ディーン・フライシャー・キャンプ他『Marcel the Shell with Shoes On』(原題)ノラ・トゥーミー『エルマーのぼうけん』ヘンリー・セリック『ウェンデルとワイルド』脚本賞(長編)ドミー・シー、ジュリア・チョー『私ときどきレッサーパンダ』ジェイソン・ロフタス『ETERNAL SPRING(長春)』野木亜紀子『犬王』ディーン・フライシャー・キャンプ、ジョニー・スレイト他『Marcel the Shell with Shoes On』(原題)(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-犬王 2022年5月28日より全国にて公開©“INU-OH” Film Partners私ときどきレッサーパンダ 3月11日よりディズニープラスにて見放題で独占配信開始©2021 Disney/Pixar. All Rights Reserved.長ぐつをはいたネコと9つの命 2023年3月17日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2022 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2023年01月18日第47回報知映画賞の表彰式が22日に都内で行われ、各賞の受賞者が登場した。映画『流浪の月』で助演男優賞を受賞した横浜流星。会場には来られなかったもののVTRメッセージを寄せ「悩みもがきながらも監督を信じて必死に生きようとして来ました。監督、広瀬(すず)さん、松坂(桃李)さん、そしてその他のキャストの皆様、スタッフの皆様がいたから、人間らしくもがいている亮が出来上がったと思います。皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです」と言葉を伝える。さらに「これからも『流浪の月』で得たものを次の作品、次の作品に活かして、ひとつひとつ積み重ねて皆さんに心に響く作品をお届けできるよう精進します」と意気込んだ。李相日監督は「横浜くん、ゆくゆくはトム・クルーズのように……はならないと思いますけれど、ストイックさは引けをとっていない」と表す。「横浜くんは空手をずっとやっておりまして、極めて厳しいストイックな性格。今回演じた亮という男は強くあらねばならないという生き方をしてきたと思うんですけど、女性に暴力をふるってしまうような非常に繊細で心の弱い男の内面なので、自分と違う生き方をしてきた男をどう掴むか、撮影中も撮影以外も常に悩んでストイックに探している姿が印象的でした」と振り返る。さらに李監督は横浜に対し「努力の賜物であると思うんですけど、戦友である広瀬すずとの関わりが非常に大きかったと思いますし、我々スタッフも全員で彼を支えて来た成果として受け止めて、非常に嬉しく思っております」と祝福。「賞をいただくということは、非常にこの先厳しく、なかなか褒めてもらえないゾーンに入ると思うので、より高みに向かってストイックに続けてくれる姿を見守っていきたいと思います」とエールを送った。○第47回報知映画賞 受賞・登壇者一覧作品賞・邦画部門:『ある男』石川慶監督作品賞・海外部門:『トップガンマーヴェリック』東宝東和 代表取締役社長 山崎敏アニメ作品賞:『劇場版四畳半タイムマシンブルース』夏目真悟監督主演男優賞:福山雅治『沈黙のパレード』主演女優賞:有村架純『前科者』助演男優賞:横浜流星 『流浪の月』助演女優賞:尾野真千子 『20歳のソウル』『千夜、一夜』『サバカンSABAKAN』監督賞:片山慎三『さがす』新人賞:嵐莉菜 『マイスモールランド』新人賞:白鳥晴都『ぜんぶ、ボクのせい』
2022年12月22日第80回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションが発表され、日本のアニメ『犬王』(湯浅政明監督)がアニメ映画賞にノミネートされた。作品賞(ドラマ部門)に、ジェームズ・キャメロン監督の渾身作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』や大ヒット作『トップガン マーヴェリック』といったエンターテイメント超大作がノミネート。キャメロン監督は監督賞にもノミネートされたが、同賞には女性監督のノミネートはなかった。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』最多は『スリー・ビルボード』マーティン・マクドナー監督の最新作『イニシェリン島の精霊』が8部門で、A24作品の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が6部門で続いた。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』非英語映画賞には、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した韓国パク・チャヌク監督の『別れる決心』や、『バーフバリ』S・S・ラージャマウリ監督による『RRR』も選出された。『別れる決心』受賞者・受賞作品は2023年1月10日に開催される授賞式にて発表。昨年は、主催する「ハリウッド外国プレス協会」ことHFPA(=Hollywood Foreign Press Association)の人種差別や特権体質が問題視され、トム・クルーズら俳優やAmazon、Netflix、ワーナー・メディアがボイコットを表明。授賞式は無観客開催で米NBCがテレビ中継を取りやめたが、今回は同局にて授賞式の放送が決定している。※主なノミネートは以下のとおり【映画部門】作品賞(ドラマ部門)『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『エルヴィス』『フェイブルマンズ』『TÁR』『トップガン マーヴェリック』作品賞(ミュージカル・コメディ部門)『バビロン』『イニシェリン島の精霊』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』『逆転のトライアングル』監督賞ジェームズ・キャメロン『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』バズ・ラーマン『エルヴィス』マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』脚本賞『TÁR』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『イニシェリン島の精霊』『ウーマン・トーキング 私たちの選択』『フェイブルマンズ』主演男優賞(ドラマ部門)オースティン・バトラー 『エルヴィス』ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』ヒュー・ジャックマン 『The Son/息子』ビル・ナイ 『生きる LIVING』ジェレミー・ポープ『The Inspection』(原題)主演女優賞(ドラマ部門)ケイト・ブランシェット『TÁR』オリヴィア・コールマン 『エンパイア・オブ・ライト』ヴィオラ・デイヴィス『The Woman King』(原題)アナ・デ・アルマス 『ブロンド』ミシェル・ウィリアムズ 『フェイブルマンズ』主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)レスリー・マンヴィル 『ミセス・ハリス、パリへ行く』マーゴット・ロビー 『バビロン』アニャ・テイラー=ジョイ 『ザ・メニュー』エマ・トンプソン『Good Luck to You, Leo Grande』(原題)ミシェル・ヨー 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ディエゴ・カルバ『バビロン』ダニエル・クレイグ 『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』アダム・ドライバー『ホワイト・ノイズ』コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』レイフ・ファインズ 『ザ・メニュー』助演男優賞ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』バリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』ブラッド・ピット『バビロン』キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』エディ・レッドメイン『グッド・ナース』助演女優賞アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』ジェイミー・リー・カーティス 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ドリー・デ・レオン『逆転のトライアングル』キャリー・マリガン『SHE SAID/シー・セッドその名を暴け』アニメ映画賞『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』『犬王』『Marcel the Shell with Shoes On』(原題)『長ぐつをはいたネコと9つの命』『私ときどきレッサーパンダ』非英語映画賞『西部戦線異状なし』(ドイツ)『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』(アルゼンチン)『CLOSE/クロース』(ベルギー・フランス・オランダ)『別れる決心』(韓国)『RRR』(インド)主題歌賞「Carolina」『ザリガニの鳴くところ』「Ciao Papa」『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』「Hold My Hand」『トップガン マーヴェリック』「Lift Me Up」『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』「Naatu Naatu」『RRR』【テレビ部門】作品賞(ミュージカル・コメディ部門)「アボット エレメンタリー」「一流シェフのファミリーレストラン」「Hacks」(原題)「マーダーズ・イン・ビルディング」「ウェンズデー」作品賞(ドラマ部門)「ベター・コール・ソウル」「ザ・クラウン」「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」「オザークヘようこそ」「セヴェランス」主演男優賞(ドラマ部門)ジェフ・ブリッジス「ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤」ケヴィン・コスナー「イエローストーン」ディエゴ・ルナ「キャシアン・アンドー」ボブ・オデンカーク「ベター・コール・ソウル」アダム・スコット「セヴェランス」主演女優賞(ドラマ部門)エマ・ダーシー「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」ローラ・リニー「オザークヘようこそ」イメルダ・スタウントン「ザ・クラウン」ヒラリー・スワンク「アラスカ・デイリー」ゼンデイヤ「EUPHORIA/ユーフォリア」主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ドナルド・グローヴァー「アトランタ」ビル・ヘイダー「バリー」スティーヴ・マーティン「マーダーズ・イン・ビルディング」マーティン・ショート「マーダーズ・イン・ビルディング」ジェレミー・アレン・ホワイト「一流シェフのファミリーレストラン」主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)キンタ・ブランソン「アボット エレメンタリー」ケイリー・クオコ「フライト・アテンダント」セレーナ・ゴメス「マーダーズ・イン・ビルディング」ジェナ・オルテガ「ウェンズデー」ジーン・スマート「Hacks」(原題)助演男優賞ジョン・リスゴー「ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤」ジョナサン・プライス「ザ・クラウン」ジョン・タトゥーロ「セヴェランス」テイラー・ジェームズ・ウィリアムズ「アボット エレメンタリー」ヘンリー・ウィンクラー「バリー」助演女優賞エリザベス・デビッキ「ザ・クラウン」ハンナ・アインビンデル「Hacks」(原題)ジュリア・ガーナー「オザークヘようこそ」ジャネール・ジェームズ「アボット エレメンタリー」シェリル・リー・ラルフ「アボット エレメンタリー」作品賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)「ブラック・バード」「ダーマーモンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」「ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女」「パム&トミー」「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」主演男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)タロン・エジャトン「ブラック・バード」コリン・ファース「ザ・ステアケース -偽りだらけの真実-」アンドリュー・ガーフィールド「アンダー・ザ・ヘブン 信仰の真実」エヴァン・ピータース「ダーマーモンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」セバスチャン・スタン「パム&トミー」主演女優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)ジェシカ・チャステイン「George & Tammy」(原題)ジュリア・ガーナー「令嬢アンナの真実」リリー・ジェームズ「パム&トミー」ジュリア・ロバーツ「ガスリッド 陰謀と真実」アマンダ・セイフライド「ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女」(text:cinemacafe.net)■関連作品:トップガン マーヴェリック 2022年5月27日より全国にて公開©2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.犬王 2022年5月28日より全国にて公開©“INU-OH” Film Partnersエルヴィス 2022年7月1日より全国にて公開© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reservedアバター:ウェイ・オブ・ウォーター 2022年12月16日より全国にて公開© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.RRR 2022年10月21日より全国にて公開警官の血 2022年10月28日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2022 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEEYANG FILM. All Rights Reserved.イニシェリン島の精霊 2023年1月27日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.バビロン(2022) 2023年、全国にて公開© 2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 2023年3月3日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.フェイブルマンズ 2023年3月3日より全国にて公開© 2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.別れる決心 2023年2月17日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
2022年12月13日映画賞レースのトップを飾る第47回報知映画賞の各賞が発表され、『沈黙のパレード』で難解な事件を解決する天才的物理学者を演じた福山雅治が主演男優賞を初受賞、主演女優賞は『前科者』の演技が評価された有村架純が初受賞。作品賞・邦画部門は石川慶監督、妻夫木聡主演の『ある男』が受賞した。主演女優賞:『前科者』有村架純報知映画賞はスポーツ新聞が単独開催する初の映画賞として、1976年に誕生。読者参加型の映画賞が大きな特色であり、各映画賞や映画祭の先陣を切って発表されるため、その年の受賞者・受賞作品を占う意味でも大きな注目を集めている。助演男優賞:横浜流星「流浪の月」なお、作品賞(海外)は130億円超えのメガヒットとなった『トップガン マーヴェリック』が受賞した。第47回報知映画賞各賞作品賞・邦画『ある男』監督賞片山慎三『さがす』主演男優賞福山雅治『沈黙のパレード』主演女優賞有村架純『前科者』助演男優賞横浜流星『流浪の月』助演女優賞尾野真千子『20歳のソウル』『千夜、一夜』『サバカン SABAKAN』新人賞嵐莉菜『マイスモールランド』/白鳥晴都『ぜんぶ、ボクのせい』作品賞・海外『トップガン マーヴェリック』アニメ作品賞『劇場版 四畳半タイムマシンブルース』(text:cinemacafe.net)■関連作品:トップガン マーヴェリック 2022年5月27日より全国にて公開©2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.20歳のソウル 2022年5月27日より全国にて公開©2022「20歳のソウル」製作委員会前科者 2022年1月28日公開© 2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会流浪の月 2022年5月13日より全国にて公開(c)2022「流浪の月」製作委員会沈黙のパレード 2022年9月16日より全国にて公開©2022「沈黙のパレード」製作委員会ある男 2022年11月18日より全国にて公開©2022「ある男」製作委員会さがす 2022年1月21日よりテアトル新宿ほか全国にて公開©2022『さがす』製作委員会マイスモールランド 2022年5月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開予定©2022「マイスモールランド」製作委員会サバカン SABAKAN 2022年8月19日より全国にて公開©2022「SABAKAN」Film Partners四畳半タイムマシンブルース 2022年9月30日より全国にて3週間限定公開©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会ぜんぶ、ボクのせい 2022年8月11日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開© 2022『ぜんぶ、ボクのせい』製作委員会千夜、一夜 2022年10月7日よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開(C)2022 映画『千夜、一夜』製作委員会
2022年11月30日スイスの時計ブランド『ロンジン』は、ロンジン アンバサダー・オブ・エレガンスとして、アカデミー賞受賞俳優のジェニファー・ローレンスを新たに迎えます。驚くほど幅広い役柄を演じることで非常に高い評価を得ていますが、何事に対しても新鮮な視点をもたらす彼女のその視点には、自身の確固たる信念が反映されています。大胆で自信にあふれたジェニファーはロンジン ファミリーにとって理想的な新メンバーとなります。ジェニファー・ローレンスは、世界で最も心を捉える女優のひとりです。2012年公開の「ハンガー・ゲーム」での10代の主人公「カットニス・エヴァディーン」役により、彼女は世界的スターとしての地位を確立し、その後、アカデミー賞受賞とさらに3回のノミネーション、英国アカデミー賞、2回の全米映画俳優組合賞、3回のゴールデングローブ賞を獲得する一連の作品を築き上げました。Time Magazineの「世界で最も影響力のある人々」のリストにも名を連ねました。ロンジンCEOであるマティアス・ブレシャンは、彼女がロンジンのAmbassadors of Elegance (エレガンスのアンバサダー)としてメンバーに加わることを非常に喜び、次のようにコメントしています。「ジェニファーは、リアリティと本質を持ってすべての役を演じる能力に長け、スクリーンの外では自然で共感できるエレガンスへと変わります。彼女は、あらゆる年齢層の女性にインスピレーションを与えることができ、彼女をロンジンファミリーに迎えられたことを非常に嬉しく、誇りに思います。」ジェニファー・ローレンスもまたロンジンとのパートナーシップを好感し次のようにコメントしました。「ロンジンは、イノベーション(革新)という資産と歴史上の最も素晴らしいパイオニアたちの信頼に底支えされています。ロンジンファミリーに加わることに非常に嬉しく思っており、今後のパートナーシップを楽しみにしています!」映画「ハンガー・ゲーム」、そして「世界にひとつのプレイブック」や「アメリカン・ハッスル」のような現代の名作における演技によって名声を手にしたジェニファー・ローレンスは映画スター以上の存在です。自身の最新作「Causeway」も手掛ける制作会社「Excellent Cadaver」を2018年に設立し、私生活では、ジェニファー・ローレンスは男女平等を熱心に訴え、強力な腐敗防止法の設定を目指し、全米で展開する無党派組織「Represent.us」の役員です。ローレンスは次のように続けます。「ロンジンは、昔からタイムレス エレガンスの代名詞であり、私にとっては、それは静かな強さに優雅さと自信を意味するものです。また、ケンタッキー州の出身であることもあり、ロンジンにはいつもダービー競技や伝統そのものを想起します。」ジェニファー・ローレンスは、エレガンスにおける彼女独自の解釈、共感と思いやり、そしてスクリーンの中でも外でも、どんな役柄をも新鮮なほどの率直さと信頼性をもって演じるスキルと共に、ロンジンの「エレガンス」を体現するアンバサダーとして、多彩なインスピレーションを放ちます。ロンジンは、この素晴らしいアンバサダーをファミリーに迎えられることを光栄に思います。■ロンジンについて1832年創業のスイスの時計ブランド。190年にわたる長い歴史の中で数々の画期的なタイムピースを発表し、時計史に名を刻んできました。その革新性や信頼性から、歴史的な著名人との繋がりも深く、オードリー・ヘップバーンが広告モデルを務めたほか、かのアルバート・アインシュタインや西郷隆盛もロンジンの時計を愛用したことでも知られています。スイス時計の輸出額の上位ブランドに名を連ね、現在約150か国でビジネスを展開。「翼のついた砂時計」で知られるブランドロゴは、世界知的所有権機関に登録されている最も古いロゴとしても知られています。<LONGINES公式サイト URL>
2022年11月05日ジェニファー・ローレンスが『Bad Blood』を降板した。アダム・マッケイが監督する社会派の実話映画で、ローレンスは医療ベンチャー企業セラノスの創業者エリザベス・ホームズを演じる予定だった。だが、今年、アメリカでは同じテーマのミニシリーズ『The Dropout』が配信され、主演のアマンダ・サイフリッドはエミー賞を受賞。その演技を見たローレンスは、「彼女は完璧にやった。もう一度語り直す必要はない」と感じたのだという。マッケイが別の女優でまだこの映画を作るつもりなのかどうかは不明だ。映画はAppleで製作されることが決まっている。ローレンスの最新作は、4日にApple TVで配信開始となる『Causeway』。文=猿渡由紀
2022年11月04日東京現音計画主催、『オリヴィエ・メシアン《アーメンの幻影》』が2022年12月25日 (日)にヤマハ銀座コンサートサロン(東京都中央区銀座7-9-14)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 現代音楽アンサンブル・東京現音計画のメンバーが自由に企画するアラカルトシリーズ第8弾は、ピアニストの黒田亜樹によるクリスマス企画。メシアンの愛弟子である藤井一興と、藤井の薫陶を受けた黒田による師弟共演にて、メシアンのピアノデュオ作品の傑作をお届けします。ピアノファン、現代音楽ファン必見のステージにご期待ください。演目:オリヴィエ・メシアン《アーメンの幻影》2台ピアノのための(1943)Olivier Messiaen: Visions de l’Amenプロフィール藤井一興 Kazuoki Fujii東京芸術大学入学後、パリ・コンセルヴァトワールにて作曲科、ピアノ伴奏科ともに一等賞で卒業。パリ・エコール・ノルマルにてピアノ科を高等演奏家資格第一位で卒業。メシアン、イヴォンヌ・ロリオ、ピュイグ=ロジェの各氏に師事。入賞した国際ピアノコンクールの数は10以上に及ぶ。CDではメシアン、武満徹、フォーレ作品集などをリリースし、ドビュッシー第3弾「ドビュッシー&ショパン」が2016年秋に発売予定。作曲家としても、毎年新作を発表している。その他、世界初のフォーレのピアノ全集の校訂を担当し、全 5 巻完結を春秋社より出版している。現在、東邦音楽大学大学院大学および東邦音楽総合芸術研究所特任教授、桐朋学園大特任教授。 黒田亜樹 Aki Kuroda東京芸術大学卒業、伊ペスカーラ音楽院高等課程を最高位修了。フランス音楽コンクール第1位。ジローナ20世紀音楽コンクール現代作品特別賞。現代音楽演奏コンクール優勝、朝日現代音楽賞。ビクター『タンゴ2000』『タルカス&展覧会の絵』、伊LIMENレーベル『ブルグミュラーエチュード全曲集』DVDなど録音多数。サルデーニャのSpazio Musica現代音楽祭、シチリアのエトネ音楽祭などイタリアを中心に活動。作曲家の指名により録音した『Piano Collections FINAL FANTASY』等によっても親しまれている。2014年『火の鳥〜20世紀ピアノ編曲集』を伊オドラデクよりリリース、英BBCミュージックマガジンにて五つ星、レコード芸術誌にて特選盤。 東京現音計画現代音楽の第一線で活動する演奏家により2012年に結成。日本初演曲を中心としたプログラム、ユニークな編成の委嘱、若手演奏家/作曲家/スタッフへのワークショップなど演奏家サイドから新たな視点を提案していく。第1回主催公演でサントリー芸術財団第13回佐治敬三賞受賞。公演概要東京現音計画『オリヴィエ・メシアン《アーメンの幻影》』公演日時:2022年12月25日 (日)14:00/18:00※開場は、開演の30分前会場:ヤマハ銀座コンサートサロン(東京都中央区銀座7-9-14)■出演者ピアノ:藤井一興、黒田亜樹■スタッフ企画:黒田亜樹主催:東京現音計画共催:ヤマハ銀座コンサートサロン制作:福永綾子(ナヤ・コレクティブ)■チケット料金一般前売:4,000円当日:4,500円学生前売:3,000円当日:3,500円(全席自由・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月19日イギリス人劇作家トム・ストッパードの新作は、四世代にわたるユダヤ人一族の壮大な物語。2020年にロンドンで世界初演され、オリヴィエ賞作品賞を受賞。今年10月2日にはブロードウェイで開幕したばかりだ。この日本初演は小川絵梨子が演出。一見、難解な作品かと思いきや、笑いあり、切なさあり、家族の心温まる風景あり。描かれているのは動乱の時代を人間らしく精一杯生きる人々の姿だという。女性陣が賑やかに稽古の様子や作品の魅力を語った。歴史と向き合うことでみえてきたもの――立ち稽古の前には勉強会が開かれたそうですね。那須はい。1899年から1955年まで長きにわたって描かれているので、まず歴史的背景をみんなで手分けして調べました。言葉について調べる人、史実について調べる人とチームに分かれて、その場で調べて1時間後に発表!と。みんな目の色が変わっていましたね(笑)。音月本当に学校のグループ発表みたいでした。私はこういうお稽古場が初めてなのですごく新鮮でした。発表から共演の皆さまの人となりもわかって、コミュニケーションの一環としてもありがたかったです。村川調べ上手で頭のいい方がいらっしゃるんですよ。リーダーみたいに率先して調べてくださって。音月そうそう!那須横で頷いてるだけ(笑)。岡本私は遅れて合流したのですが、その時にはチームワークが出来上がっていて、皆さんが温かく受け入れてくださいました。那須あと、みんなでシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)にも行きました。セデル(過越の晩餐)のシーンがあるので、そのしきたりを聞いたり。岡本ラビ(ユダヤ教の指導者)さんにお会いしましたね。音月日本人がユダヤについて取り上げてくださって嬉しいと、すごく喜んでくださいました。お話を伺って、これは決して昔の話ではない。今なお、戦っている方もたくさんいらっしゃるわけで、ちゃんと語り継ぐべき物語だと実感しました。――脚本を読まれた時の感想を教えてください。那須この戯曲はユダヤ人の一族に焦点が当たっていて、歴史的背景が見え隠れするような描かれ方なんです。ですから最初、歴史を知らないまま読んだら、読み進めるのにすごく時間がかかりました。勉強会で歴史的背景がはっきりして、だからこの台詞、この単語が出てくるんだと納得できた感じです。実際、演劇として役者が肉体に落とし込んで演じることで、空気で伝わるところも大きいでしょうね。音月私は準備稿をいただいた段階で、読み進めるのに勇気と時間が要りました(笑)。ですが、本読みで皆さまの声で聞いたら、少し立体的になって断然想像しやすくなりました。ひとりで調べながら読むだけでは想像もつかなかったことが、声色やぬくもりから見えてきたというか。これは今までの作品にはない経験でした。村川私も稽古に入るまで、台本を自分の目の見えるところに置きながらもなかなか読み出せなくて。顔合わせの日も自分が理解し得ない部分がたくさんあってドキドキでした。でも演出の小川さんがすごくゆっくり時間をかけて演出をつけてくださると聞いていたので、それに期待していました(笑)。岡本私も準備稿を読んだら、何ひとつ単語が頭に残っていないくらい情報量が多くて戸惑いました。ちょうど新国立劇場で別の舞台をやっていた時に館内で絵梨子さんに会ったんです。「(台本が)わからないです。難しいけど頑張ります」と弱音を吐いたら、「大丈夫。わからないからこそ時間をかけて、みんなで一緒に勉強、稽古するから安心して」と。そこで自分なりに向き合えばいいんだ!と勇気をいただきました。それぞれの立場でユダヤ一族の一員として生きる女性たち――なかなか手強い戯曲という印象だったのですね。それぞれの役について教えていただけますか。那須私は夫が亡くなり、メルツ家の中では一番の長である、おばあちゃんのエミリアを演じます。この物語にはエミリアから、ひ孫の世代までが登場するんですね。エミリアはユダヤ人がウィーンで華やかな文化を築いていた時期の人。エミリアは小さい頃に村を焼かれて逃げてきたという記述もあり、怖い思いもしてきたのでしょうが、ウィーンに来てからは夫が頑張って会社を盛り立ててお金持ちになった、ブルジョワと呼べる人です。彼女は最期まで辛い思いをしなかったんじゃないかな、と。エミリアの息子ヘルマンの嫁が、音月さん。音月はい。グレートルという非ユダヤ系の女性です。自分の出自やルーツをゼロにはできないけれども、なるべくこの一族に寄り添いたい、苦楽を共にしてヘルマンに添い遂げたいという熱い思いを持っています。お稽古を進めるうちに彼女に対する愛情が芽生え、自分とリンクすることも増えて、かなり愛おしくなってきました。非ユダヤという点では、家族とは一線を引かれているのかな? と思ったりもしました。でも今は温かく受け入れてもらえて幸せです。グレートルはユダヤの歴史を深く知らなかったりもするので、ある意味お客様の目線と同じかもしれませんね。その立場も背負えたらいいのかな? と思いながら演じています。――ご主人のヘルマンとはどんな感じですか。音月夫婦として少しギクシャクしていますね。すれ違ったり、掴んでも指の隙間からすり抜けて行ってしまうような部分があったり。絵梨子さん曰く、ふたりは100%愛し合っているけれども、お互いに罪悪感があるのだと。浜中(文一)さんと、全てを語り切れないままグレートルは死んでしまうのが切ないと、話しています。でももしかしたら、目に見えなくても繋がってる絆の深さがあるのかもしれない。難しいけど楽しい部分でもあります。――グレートルがクリムトに肖像画を描いてもらうという、美術好きならたまらないくだりもありますね。音月私、その絵を欲しい!と思いました。もし実際にあったら、今頃、新国立美術館に飾られているかもしれません(笑)。――その価値はあります(笑)。村川さんはエーファ役ですね。村川はい、エミリアの娘でヘルマンの妹です。エーファがルードヴィクと結婚することでメルツ家とヤコボヴィッツ家が繋がり、ファミリーの枝が広がる、その第一歩ですね。ヤコボヴィッツ家にもとても濃いストーリーがありまして。エーファはユダヤ人の苦難の時代まで、生き抜きます。エミリアおばあちゃんが亡くなった後、ヘルマンが一族の長ではありますが、エーファもメルツ家を守ってきたという誇りがあります。若い頃は華やかでキラキラした世界に生きていて、そのプライドを捨てることはない。誇り高く死んでいきたいと思います(キッパリ)。音月かっこいい!村川周りの人たち、子供や旦那さんがおかしくなっても、エーファだけはしっかりしている。その強さを見習いたいです。岡本私が演じるハンナはエーファの夫のルードヴィクの妹で、ヤコボヴィッツ家の人間です。ヤコボヴィッツ家はウィーンではなく田舎の方のガリツィアに住み、背景はそれほど語られていません。ハンナは都会であるウィーンに憧れる素直な女の子。ピアノを弾くのが好きで、ピアニストとして成功していきます。他の人々が政治や宗教について会話をする中、ハンナはそういう話をほとんどしません。でもこの時代にも、好きなことにひたむきだったり、都会を夢見たり、恋したり。そんな日常を楽しみながら前を向いて生きる、今どきの女子にも通じる存在だと思います。那須玲ちゃんはピアノがとてもお上手で、舞台上でも弾かれるんですよね。岡本子供の頃に習っていて、小川さんが実際に弾いているところを見せたいと言ってくださいました。なので今、必死に練習中です。考えて、議論することの大切さ――生のピアノ演奏、楽しみです。この物語で個人的に興味深いところ、刺さるところなどありますか。村川今、自分のテーマにしようと思っているのが「考えて」。この言葉を子供やいろんな人たちが要所要所で言っています。日本のこと、世界のこと、今いろいろと大変だけど、私自身がちょっとぼんやりしているところもあるので、「考えて」と自分に問いかけたいな、と。作品のことや私生活、仕事に対しても。この作品のおかげで身に染みています。那須エミリアが出ているシーンで興味深いのは、娘の旦那さんの一族、ヤコボヴィッツ家の人たちが大勢、メルツ家に来ているんです。音月そういえば確かに!村川めちゃ人数います。那須それがまず不思議でした。日本的な考えだと、クリスマスやお正月でも、旦那さんの一族が子供まで連れてお嫁さんの実家に行くことはまずない気がして。一方、息子ヘルマンの奥さんであるグレートルの親族は誰も来ていない。岡本言われてみれば、ヤコボヴィッツ家の人だらけ。村川占拠していますよね(笑)。那須それは単純にユダヤ人のコミュニティだから。音月・村川・岡本なるほど!那須グレートルも親族も非ユダヤなので集うことはないんです。つまり、メルツ家の人々はユダヤ人であることを主軸に生きている人々。多分、エミリアたちユダヤ人はしんどい思いをたくさんして、相当助け合いながら生きてきたと思うんです。たとえ血が繋がっていなくても、ユダヤ人同士はお互いに協力し、支え合ってきた。その感覚はちょっと日本人からは遠い感じもしますね。多分、お客さんも「メルツ家とヤコボヴィッツ家、一体どういう一族なの?」と不思議に思われるでしょうが、そこを切り口として、ユダヤ人コミュニティの絆の強さを感じていただけたら。――そうですね。ユダヤ人は国を追われ、世界各地に散らばって生きてきたわけで。那須そのあたり、なんとなくは知っていても、実際、どれだけ苦労し迫害を受けてきたか。今、ようやく血と肉になっている感じです。音月私は今回、小川絵梨子さんの演出は初めてです。絵梨子さんは、人との繋がり、バトンみたいなものをちゃんと受け渡す演出をなさっているんですね。私はこのコロナ禍で人と会う機会が減って。もちろんメールやLINE、テレビ電話はできますが、リアルに人と何かを渡し合える環境がお芝居の中にはあって、マスクをしながらも、人の熱を受け取り、返し、また違う人に渡す。そんな作業をものすごく尊く感じています。今、これをやれていることがすごく幸せですし、本番にはお客様にもお届けできる。この気持ちをずっと大切にしていきたいです。岡本ものすごくわかります。登場人物はユダヤ人と非ユダヤ人がいて、ユダヤ人の中でも主義や宗教がそれぞれ違ったりもします。それでもメルツ家とヤコボヴィッツ家は同じ空間で大切なひとときを過ごし、お互いを大切に思っている。考え方が違うから……では終わらず、各自の主張をちゃんと議論するのが素敵だなって。芝居を通して人と人が会話することの大切さ、そこでの繋がりの強さを感じています。村川あと親と子供たちの性格が似ている感じで描かれているのが面白いですね。ハンナと娘のヘルミーネが恋の話をしていたり。岡本そう、テンションが高くて似た者母娘(笑)。村川エーファの娘ネリーもしっかりしていて、お母さん譲りかなって思います。血の繋がりを感じますね。音月面白い!岡本ヴィルマの娘、ローザとサリーは世話焼きで、やはりお母さん似。那須気質が受け継がれているのかな?音月ヘルマンとグレートルの息子ヤーコプも、ヘルマンに似て頑固でちょっとひねくれていますし(笑)。『レオポルトシュタット』家系図――皆さん、そういった家系、親子を意識しながら人物を作っているのでしょうか。岡本私は娘を演じる万里紗さんとどんな母娘なのか、初めに少し話しました。万里紗さんのお芝居を見ると、得る物もたくさんありますね。村川私は娘ネリー役の椙ちゃん(椙山さと美)と実は同い年。それで母娘を演じる、演劇ならではの面白さですね。その時代を一生懸命にいきいきと、生きる人々のエネルギーを受け取って――第一幕が1899年、第二幕は翌年の1900年、そこから24年経って第三幕は1924年、第四幕はその14年後の1938年、そしてラストの第五幕は17年後の1955年。その時間経過をどう表すのか、年齢を重ねていく感じ?音月そこは今、試行錯誤中です。村川私、小川さんにパシッと言われたのが、外側から入らないで、年をとった芝居をしないで、と。どうしても年寄りっぽい芝居を作ってしまいがちな自分がいて。そこで、中身から立ち上がってくるものが見たいと言われている最中です。音月うわぁ、難しいですね。村川中身で経験を重ねて、最終的にはしっかりおばあちゃんに見えないといけない。今は年をとることを一旦忘れて、時代を追って経験を積む、そんなお芝居を目指しています。音月表面だけでやってもダメということですね。私も気をつけなければ。岡本私も肝に銘じます。――人々の生き様、その背景には激動する歴史があって。役者は一体、どれだけ多くのものを詰めなければいけないのか……。岡本さまざまな台詞や背景、空気感に、血の繋がりやファミリーが表現されていて、それを発見するたびにすごい戯曲だなと感じます。その血の繋がりは過去から続いてきて、これからも続いていく。それを節々で感じられて、なぜここで涙が出てくるんだろう?という瞬間がありますね。那須作者のトム・ストッパードは50歳を過ぎて自身のルーツを知ったことで、強く書きたいと思ったんでしょうね。――トム・ストッパードはエミリアのひ孫にあたるレオに自身を投影しているようですが。皆さん、ご自身のルーツは興味ありますか。村川あります。調べたいと思うけどどう調べたらいいのかわからなくて。岡本家系図とか見たことあります?音月・村川ないです。那須私は父親に若い頃、家系図を見せられたけど、全く興味がなくて、ルーツとか言われてもうるさいなって思ってたんです(笑)。父が亡くなった今、家系図は残っているから、もし私が子供たちに伝えなかったらそのまま失われてしまうなって。自分が年齢を重ねて死期が近くなると、余計に過去のものや自分がどこから来たのかに興味が湧くのかもしれない。若いうちは興味ないですよ。未来しかない気がするから。――この作品を観ようかどうしようか迷っている読者に、おすすめポイントを教えてください。那須難しく重い話と思われるかもしれませんが、意外と笑えるシーンも多いんですよ。岡本めちゃくちゃ笑えますよね!音月びっくりしました。この戯曲でこんな楽しいシーンがあるんだ!って。村川小川さんがおっしゃっていたのは、登場人物はこれが悲劇になるとは知らず、ただその時代を一生懸命、いきいきと楽しく生きているんです。そのエネルギーを受け取っていただけたら嬉しいし、客観的に見てこんな悲劇があったことをしっかりと考えようと思っていただくのも嬉しい。岡本難しいことを考えずに観て欲しい。村川ね!子供たちも出てくるので、お子さんにも見ていただきたいです。岡本衣裳も素敵になりそう。それぞれの時代のブルジョアの人たちの装い。音月衣裳も美術も豪華なので、タイムスリップした感覚になって観られるのでは?岡本たとえ難しいなと思っても、観終わった後に調べたり、パンフレットの説明を読むのも楽しくないですか? 私、結構好きで、そんな楽しみ方もしていただけたら。村川上演時間もそんなに長くなさそう。音月まだはっきりしないですが、映画を1本観るくらいの気持ちで観られそうです。那須その上、場面がどんどん展開し、スピーディーに進んでいきます。絶対に飽きさせませんから、ぜひ!取材・文=三浦真紀撮影=藤田亜弓<公演情報>新国立劇場 開場25周年記念公演『レオポルトシュタット』2022年10月14日(金)~10月31日(月)会場:東京・新国立劇場 中劇場作:トム・ストッパード翻訳:広田敦郎演出:小川絵梨子出演:浜中文一 / 音月桂 / 村川絵梨 / 土屋佑壱 / 岡本玲 / 浅野令子 / 木村了 / 那須佐代子 / ほかチケット情報
2022年10月14日積水ハウス株式会社は、本日発表の「第16回キッズデザイン賞」においてキッズデザイン協議会会長賞を受賞しました。キッズデザイン賞は、キッズデザイン協議会(本部:東京都港区虎ノ門)主催の子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度です。キッズデザイン賞受賞作品214点の中から、優秀作品へノミネートされた36作品が最優秀賞、優秀賞、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)、特別賞として選出されます。キッズ・ファースト企業である積水ハウスは、第1回キッズデザイン賞から16年連続、累計107作品を受賞しています。キッズデザインマーク▼奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞「エルミタージュクール」受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 個人・家庭部門エルミタージュクール説明:子育て世代の「もしこんな住まいがあったら・・・」を叶える賃貸住宅です。乳児期~児童期の子を持つ世帯に特化した間取りのほか、安心して子どもを遊ばせることができる中庭、親同士で子どもの預かり合い等を想定したキッズラウンジ、子どもの学びを手助けするterakoya(寺子屋)など、子育てを支援する要素を多数備えています。(受賞理由)「子育て世帯ならではのニーズ、例えば見守りをしながら家事のしやすい動線、外遊びを自由にさせられるような中庭、一時預かりに使えるような空間や遊び場などを備えた賃貸住宅であり、子育てに特化した思い切った空間提案として高く評価した。賃貸住宅の共用部でここまでの設備と取組は貴重であり、ニーズも高いだろう。」エルミタージュクール 外観エルミタージュクール 中庭積水ハウスは“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、今後も人生100年時代における「幸せ住まい」を追求し続けてまいります。エルミタージュクール 公式サイト: キッズデザイン賞 公式サイト : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月22日『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『コースト・オブ・ユートピア』など、知的で思索に満ちた戯曲群が世界中で上演され続けている英国の劇作家トム・ストッパード。2020年にロンドンで初演され、同年のオリヴィエ賞作品賞を受賞したストッパードの『レオポルトシュタット』が、小川絵梨子演劇芸術監督の演出で日本初演となる。描かれるのは1899年末から50年余をオーストリアで生き抜いたユダヤ人の家族・メルツ家とヤコボヴィッツ家の日常と、一族を常に脅かす差別と迫害の構図。ヘルマン役を演じる浜中文一に、作品に臨む想いを聞いた。演劇でしか表現できないライブのエネルギーを届けられる作品に――浜中さんは、2018年の『マクガワン・トリロジー』(シェーマス・スキャンロン作)以来、二度目の小川芸術監督演出作品への出演です。浜中『マクガワン~』で小川さんに出会えたことは、俳優である自分にとって非常に大きな出来事でした。僕の中に漠然とあった戯曲や役への取り組みを、稽古する過程で自信の持てるものにし、「コレでいい、今感じているように演じていいんだ」と思い定められるよう小川さんは導いてくださった。いろいろな演出家の方がいらっしゃると思いますが、小川さんほど俳優に対してフラットに接し、精神的な支えになってくださる方は初めてで、心から尊敬しています。以来、また是非ご一緒させていただきたいと思い続けていたので、『レオポルトシュタット』でそれが叶い、非常に嬉しいです。――作家であるストッパードの自伝的要素を含む、スケールの大きな家族の物語である今作。浜中さんはどのように読まれましたか?浜中まだ、しっかりと読めていないのですが、四世代に亘る二つの家族の相関図と第一場を読んだだけで、正直に言えば「難しい……」と思ってしまって(苦笑)。ユダヤ人独特の習慣や儀式のこと、当たり前の生活の裏で常に一族の人々がさらされている差別、革命やナチスによるユダヤ人虐殺などの歴史的事実など、自分の知らない要素がとても多いんです。また演じるヘルマン・メルツも、葛藤を抱える内面が複雑なキャラクターなんですよね。稽古をしながら史実や時代背景など、学ばなければいけないことがたくさんありそうです。――今作のような史実に基づくものからファンタジックなものまで、浜中さんは多彩な舞台作品にご出演ですが、どのように役へと取り組み、何を手掛かりにされることが多いのでしょうか。浜中基本的には戯曲から受け取ったものを体現するため、必要なことを探していく感じです。背景など資料を調べることもあれば、それらを飛ばして感覚的に飛び込んでいくような時もあり、作品や役ごとに取り組みは変わります。今作への手がかりも探すのはこれからで、僕にとって難しい戯曲ではあるけれど、演出が小川さんなので不安はありません。――初登場となる新国立劇場について、浜中さんの中にはどんなイメージがありますか?浜中「僕なんかがおいそれと立てない遠い場所」だと思っていました、なにせ国立ですし(笑)。でも小川さんが芸術監督になられた時から「いつかは」と、出演を望んでいた劇場ですし、ジャニーズ事務所の先輩方が何人も素晴らしい作品に出演してきた場所でもある。長く通われているような劇場ファンのお客様を裏切らない芝居ができるよう、精一杯頑張りたいと思います。――確かに、「新国立劇場の作品だから」と信頼して観に来てくださるお客様は多いように思います。浜中以前、新派の『犬神家の一族』(2018年 齋藤雅文 脚色・演出)に出演させていただいた時も、これまでお会いしたことのない落ち着いた年代のお客様がとても多く、その方たちに受け入れていただける演技をしなければと思ったんです。中劇場の舞台に立った時、客席からどんな波長が感じられるか、その場で自分にどんな演技ができるか楽しみです。また、30人近い大きな座組の作品も久しぶりで、19、20年に上演した『スケリグ』(ウォーリー木下 演出)で共演した瀬戸カトリーヌさん以外、皆さんはじめましての方ばかり。小川さんの演出のもと、家族ならではの濃密な関係性をきちんと作り、演劇でしか表現できないライブのエネルギーを届けられる作品にしたいと思っています。インタビュアー=尾上そら(新国立劇場・情報誌 ジ・アトレ 9月号掲載)<公演情報>演劇『レオポルトシュタット』2022年10月14日(金)~31日(月)会場:新国立劇場 中劇場作:トム・ストッパード翻訳:広田敦郎演出:小川絵梨子芸術監督:小川絵梨子【キャスト】浜中文一 / 音月 桂 / 村川絵梨 / 土屋佑壱 / 岡本 玲 / 浅野令子 / 木村 了 / 那須佐代子泉関奈津子 / 内田健介 / 太田緑ロランス / 椎名一浩 / 椙山さと美 / 鈴木勝大 / 鈴木将一朗 / 瀬戸カトリーヌ / 田中 亨 / 野口卓磨 / 松本 亮 / 万里紗 / 八頭司悠友伊奈聖嵐 / 久住星空 / 高橋菜々音 / 塚越一花 / 寺戸花 / 根本葵空 / 前田武蔵 / 三田一颯【チケット料金】S席:8,800円A席:6,600円B席:3,300円■一般発売日2022年9月4日(日) 10:00~チケットはこちら:チケットに関するお問い合わせ新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999(10:00~18:00)公演詳細:
2022年09月02日近年、映画賞の演技部門において、「男優賞」「女優賞」と性別で分けることをやめ、「ジェンダー・ニュートラル」(性的に中立)な形を取る動きが加速している。すでにジェンダー・ニュートラル化を行ったベルリン国際映画祭、今年開催の授賞式から実施するゴッサム賞などに続き、インディペンデント・スピリット賞も演技部門の性別区分けの廃止を表明。主催者のフィルム・インディペンデントが公式ホームページにて発表した。同団体のトップのジョシュ・ウェルシュは、「私たちは、性別に関わらず素晴らしい演技を称えるため、すでに動き出している映画祭や映画賞に加わることに喜びを感じています。また、男性か女性かの選択を強制することなく、ノンバイナリーの俳優たちをスピリット賞に迎えられることもうれしく思います」とコメント。また、インディペンデント・スピリット賞はこれまで製作費が2250万ドルまでの作品を対象としていたが、昨今の物価・製作費高騰により、製作費3000万ドルまでに引き上げられた。「新しい上限を設けたことで、これまでと同じように幅広い作品を称えることができます」としている。インディペンデント・スピリット賞授賞式は2023年3月4日に開催される。(賀来比呂美)
2022年08月24日2008年にイギリスで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞などを獲得したアレクシ・ケイ・キャンベルの戯曲『The Pride』が、東京・赤坂RED/THEATERで上演される。劇中では1958年と2008年の英ロンドンを舞台に、同性愛者の男性ふたりと彼らに深い関わりを持つ女性ひとりによるラブストーリーが展開。各年代の社会がつくり上げた障壁と戦いながらも自分に正直に生き、目の前にいる人と深く繋がりたいと願う人々の愛と尊厳の行方が描かれる。演出を手がけるのは、2011年の日本初演で本作に魅せられたというPLAY/GROUND Creation代表の井上裕朗。2チーム制が敷かれた今回の上演版を代表して、side-Bチームのオリヴァー役・岩男海史、フィリップ役の池岡亮介と一緒に、稽古スタートから2週間が経ったタイミングでインタビューに応じた。俳優本人のまま役の人生を体験することが、真の共感に──社会の大きな変化を挟む1958年と2008年で同じ名前の人物を演じながらも、各時代のオリヴァー、フィリップ、シルヴィアは「別人」という設定が興味深いですよね。御三方はこの作品のおもしろさを、どんなところに感じていらっしゃいますか?井上1958年と2008年が交互に描かれますが、別々のストーリーが並行して進むのではなく「交錯」していくのがおもしろいですよね。1958年が2008年に、2008年が1958年に影響を与えていて。演劇的な趣向が凝らされています。岩男ジェンダーにまつわる社会情勢の変化という大きなテーマを扱いながらも、あくまで個人の人間ドラマに物語が凝縮されている。これが魅力だと思いました。周りにいる人との関係性や恋愛感情がベースにあって、親近感が湧きます。池岡ケンカや口論も辞さず、目の前の相手と徹底的に向き合う登場人物が魅力的ですよね。すごくしんどいだろうけど、ぶつからない限り知ることができなかった感情や関係がある。現実世界ではごまかしてしまいそうなことにもエネルギーを費やして対峙するキャラクターに、愛の力を感じます。──井上さんは、どんなことを期待して本作のキャスティングをされたのでしょうか?井上僕が演出する作品の中では、役人物になるからといって自分ではない他者になろうとしないで欲しいんですね。あくまでも俳優本人のままで、役の人生を体験して欲しい。その時に俳優がどう感じるのか、というのが他者の人生を想像すること、真の共感に繋がるのではないか……と思っていまして。なのでそういうことに興味がありそうで、もともとの人間力が高そうな人たちを選んでいます。観客に「イメージさせる」時空間でありたい──おふたりの人間的な魅力をどんなところに感じて、それぞれの役に就いてもらったのでしょうか?井上海史はエネルギッシュでオープンな性格で、とにかくよく喋る(笑)。勇気があって思い切りがいいのも、俳優としての武器だと思います。一方で「掘っていったらまだ何かありそうだな」と感じさせる面もあるんですよね。奥に脆いものを秘めたオリヴァーに通じるような気がしてイメージが湧きました。岩男僕の奥底に眠っていそうなものは、衣裳デザインを手がける両親をはじめ、アーティストの家庭に生まれ育った業というか独特な幼少期が関係している気がしますね。僕の口数が多いのはシンプルに「人間が好き」なのもありますが、寂しがりで甘えん坊の裏返しなのかも。自覚しているわけではないのですが、そんなところはオリヴァーと重なる部分がなくはないのかなって。井上亮介は対照的で、めちゃくちゃシャイでナイーブ。加えてまっすぐに人と向き合う人だな、と第一印象から感じています。フィリップは1958年と2008年で真逆の結末へ向かうんですが、各時代に共通しているのは「固い決意」ですね。これと決めたら絶対に譲らないストレートな面がフィリップと重なるような。池岡そうかもしれません。両方の時代におけるフィリップの決意が理解できるんですよね。少なくとも、自分とかけ離れたキャラクターを演じる感覚ではなくて。──フィリップの「固い決意」がドラマとして映えるのは、同性愛がタブー視されがちだった1958年なのかなと。池岡そうですね。シルヴィアと結婚しているフィリップは、自身の根底に息づく感情を必死に押さえようとしています。にもかかわらず妻からオリヴァーを紹介され、隠していたはずのジェンダーアイデンティティが浮き彫りになっていく。誰かにその葛藤を打ち明けられず「仕方ない」と諦めることしかできない1958年は、フィリップにとって生きづらい時代だったと思います。──「固い決意」の表れとも取れるような、フィリップに訪れる一幕ラストの衝動は何だったと思いますか?池岡(しばらく間を置いて)言葉にするのは……まだ難しいですね。井上稽古していないシーンなんですよ。一幕ラストは、そこへいたる積み重ねがあってのことなので。──一方で岩男さん演じるオリヴァーには、同性愛について解像度が上がっている2008年にドラマが設けられているような。岩男2008年のオリヴァーって世間に飲み込まれていますよね。実情を知らない他者から容易にラベリングというか、「タグ付け」される世の中に圧倒されてしまって。1958年のオリヴァーは同性愛のタブー視に立ち向かう情熱があったけど、彼らを取り巻く環境が改善されているはずの2008年になると50年前とはまた違ったストレスに晒されている。その時代を生きるオリヴァーは、ものごとの本質に向き合わない癖がついて、問題を見ないフリが上手になってしまっている気がします。そんな彼が2008年の最後で踏み出す一歩に、ご注目いただけたら。──現時点でおふたりがこのように受け止めている人物像を、井上さんはどのように演出して形にしていこうと考えていらっしゃいますか?井上『The Pride』という作品における大きなテーマのひとつが、「他者に共感する力」だと思うんですね。自分とは異なる境遇の人の立場や視座からものごとを見て、他者に心を寄せる。これって実は、僕たち俳優が普段している作業で。だから海史や亮介がオリヴァーやフィリップの立場に身を置いた時に、どんなことを感じて何を想像するのか。翻って劇場で時空間を共有する観客の皆さんに、劇世界を鮮やかに「イメージさせる」ことができるのか──。これを演劇の形を借りて実現することが、僕を含めたキャスト・スタッフの腕の見せどころだと思います。みんなで一緒に「想像」できるような取り組みを、とことんしていきたいですね。迫害された同性愛者たちの歴史に心を寄せる50年間──本作のプロモーション動画で、井上さんは「オリヴァー・フィリップ・シルヴィアは30代半ばの設定」と言及されていて、かつ「キャストの実年齢は劇中の彼らより年上のside-Aと年下のside-Bを設けることによって、片方だけではなし得ないものが立ち上がる」とおっしゃっていました。実年齢別の2チーム編成にすることで、どんな効果が期待できるとお考えでしょうか?井上互いにとって相乗効果を感じてもらえたらいいな、と思って実年齢別の2チーム編成にしました。世代が違うと社会や人間に対して注ぐ視線というか、見方が異なりますよね。まだ純粋さが残っている若手と、僕も含めて汚れてしまったベテラン勢(笑)が一堂に会したら、役人物もいろんな角度から捉えることができますし。つける演出はside-A・side-Bで同じだとしても、先ほど申し上げたように「本人でありながら役の人生を体験する」ことによってアウトプットはまったく異なってくると思います。岩男チームによって出てくるもの、ホント顕著に違うよね。池岡それ、僕も感じていて。特に同じフィリップを演じる池田(努)さんを見ていると、「自分の中にあるどの引き出しを開けたら、そのアウトプットになるんだろう?」って感じることが多いんですよ! 1958年では年の功といいますか、やっぱりシルヴィアと夫婦であることの説得力が違うんですよね。岩男わかる。side-Aを見ていると、役の引き込み方がうまいっていつも思うんですよ。キャラクターを動かす時に、自分の中に余白をつくって誘導したりするプル型の選択肢があるというか。対して僕はまだプッシュ一択しか持ち合わせておらず(苦笑)池岡人生経験が違う、に尽きるんでしょうけどね。アプローチやいなし方の選択肢を、僕も増やしていきたいです。──彼らの人間模様を1958年と2008年を交互に行き来しながら描く意図は、どこにあると考えていらっしゃいますか?井上オリヴァー、フィリップ、シルヴィアの名前は同じでも、それぞれの時代では「別人」です。でもどこかで影響し合っていて、1958年があったから2008年がこうなる──みたいな描き方がなされる。たとえばオリヴァーなら、1958年に受けた傷が深いばかりに「自分は幸せになってはいけない」という呪いをかけられた状態で2008年に生まれてきてしまった。だから愛や自分を信じることができず、破滅的な行動を取ってしまう。──輪廻転生というか?井上各時代で別人だったとしても、ひとつの人格における歴史を、ふたつの時代を通して描いているんですよね。フィリップで言うと、一幕ラストの1958年であんなことをしでかしてしまった罪悪感を持って2008年に生まれてきた。だからいろんな問題に向き合って、まっとうに生きられる人物に「仕上がっている」。その状態を指して、僕らはディスカッションで「仕上がった」という言い方にたどり着きました。──1958年と2008年の間には、ちょうど50年の隔たりがありますよね。この空白期間も気になります。井上それまで迫害されてきた同性愛者たちは、この50年間でさまざまな権利を求めて戦いを繰り広げてきました。勇気をもって社会運動を行ってきた人たちの歴史があって、劇中の2008年や現在がある。にもかかわらず、その歴史を忘れてしまった人物の代表としてオリヴァーが描かれているんです。両サイドの時代を描くことによって、実はこの空白期間に起こった出来事についても喚起している作品なんですよね。岩男たくさん考え疑問を呈しながら日々創作しています。その結晶をぜひ見届けていただけたら。池岡2008年のフィリップとは違う意味で「仕上がりきっていない」方に観ていただきたいですね。自分がどういう人間なのか確固たるアイデンティティがまだない人はもちろん、悩んで葛藤し続けている人、反対に考えることをやめてしまった人にも。現在進行形で迷い揺れ動いている方がご覧になったら、ひょっとしたらほんの少しだけ光が差すかもしれません。取材・文:岡山朋代撮影:藤田亜弓<公演情報>PLAY/GROUND Creation #3『The Pride』2022年7月24日(日)~2022年7月31日(日)会場:赤坂RED/THEATER※7月23日(土) 公演はキャスト降板により公演中止チケット情報はこちら:
2022年07月22日ジェニファー・ローレンスの次回主演作『Causeway』の全世界配給権を、映画は今年後半に劇場とApple TV+で公開される。戦地からアメリカに戻ってきた米軍兵が普通の生活になかなか慣れずに苦悩する物語で、ほかにブライアン・タイリー・ヘンリーが出演する。監督は舞台演出家出身のライラ・ニュージバウアー。ローレンスはプロデューサーも兼任する。ローレンスの最近作は、今年のオスカーにノミネートされた『ドント・ルック・アップ』。文=猿渡由紀
2022年07月21日ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)のアーカイブスセールが、2022年6月25日(土)から27日(月)まで、ジョン ローレンス サリバン 京都にて開催される。これまでも度々開催されてきたジョン ローレンス サリバンのアーカイブスセールが2022年も開催。ブランドが過去に発表してきたコレクションより厳選されたアイテムが、特別な価格で販売される。開催場所は、京都・藤井大丸内のジョン ローレンス サリバン 京都。貴重なチャンスをぜひお見逃しなく。【詳細】ジョン ローレンス サリバン 京都 アーカイブスセール期間:2022年6月25日(土)~27日(月)場所:ジョン ローレンス サリバン 京都住所:京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町605番地 藤井大丸7F時間:10:30~20:00TEL:075-212-0345
2022年06月24日1958年と2008年のロンドンを舞台に人間の「尊厳」について描くPLAY/GROUND Creation(代表:井上裕朗)主催、PLAY/GROUND Creation #3『The Pride』が2022年7月23日(土)〜7月31日(日)に赤坂RED/THEATER(東京都港区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて6月5日(日)10:00より先行発売開始です。カンフェティにて6月5日(日)10:00よりチケット先行発売開始 公式ホームページ 『The Pride』はイギリスの劇作家アレクシ・ケイ・キャンベルによって2008年に書かれた作品です。日本でもTPTの製作により2011年に上演されています。その上演準備の際、翻訳初稿を読む機会があり、僕はこの作品と出会いました。作品の舞台はロンドン、1958年と2008年の二つの時代を行き来しながら物語が進みます。それぞれの時代には、同じ名前を持つけれども別人であり、別人ではあるけれど時代を超えて精神が共鳴し合う三人のキャラクター──ふたりのゲイの男性オリヴァーとフィリップ、彼らと深い関わりをもつ女性シルヴィア──が登場し、物語が進むにつれ二つの時代が溶け合っていきます。人間の「尊厳」について力強く訴えかけてくる作品であると同時に、とても魅力的なラブストーリーでもあります。最初にこの戯曲を読んだときに感じた興奮をいまだにはっきりと覚えています。今回の公演に集まってくれたメンバーたちと共にこの戯曲を深掘りし、登場人物たちの生き様に思いを馳せ、ひいては2022年に生きる我々の現在を見つめ直す作品にできればと思っています。PLAY/GROUND Creation代表『The Pride』演出:井上裕朗『The Pride』 作家プロフィールAlexi Kaye Campbell(アレクシ・ケイ・キャンベル)イギリスの劇作家。ギリシャ生まれ。俳優として長年活動したのち、劇作家に転身。第1作目の戯曲『The Pride』が2008年、ロンドンのロイヤル・コート・シアターで上演され、ローレンス・オリヴィエ賞 (Outstanding Achievement in an affiliate theatre) などを受賞。2010年にニューヨークのMCCシアターでジョー・マンテロー演出、ベン・ウィショー、アンドレア・ライズボロー、ヒュー・ダンシーらの出演により上演。2013年、初演と同じジェレミー・ロイド演出により、ロンドンのウェスト・エンドでも上演。第2作目『弁明』(Apologia) が2009年、ロンドンのブッシュ・シアターで、ジョージー・ルーク演出により初演。2017年、ロンドンのウェスト・エンドで、ジェレミー・ロイド演出、ストッカード・チャニング主演により上演。2018年、ニューヨークのラウンドアバウト・シアター・カンパニーで、同じくチャニング主演により上演。第3作目『信じる機械』(The Faith Machine) が2011年、ロイヤル・コート・シアターでジェレミー・ロイド演出により上演。第4作目『ブラッケン・ムーア』(Bracken Moor) が2013年、劇団シェアード・エクスペリエンスにより、ロンドンのトライシクル・シアターで上演。ポリー・ティール演出。第5作目『タリア荘の夕陽』(Sunset at the Villa Thalia) が2016年、ロンドンのナショナル・シアターで、サイモン・ゴドウィン演出により上演。ベン・マイルズ、エリザベス・マクガヴァン主演。そのほか、オーストラリア、ドイツ、スウェーデン、ギリシャ、イタリア、日本、韓国など、多くの国々の劇場で作品が上演されている。『The Pride』作品詳細【場所・時】ロンドン 1958年/2008年【登場人物】1958年オリヴァー/フィリップ/シルヴィア/医者2008年オリヴァー/フィリップ/シルヴィア/男/ピーター二つの時代のオリヴァー、フィリップ、シルヴィアはおなじ俳優が演じる。一人の俳優が、医者、男、ピーターを演じる。【あらすじ】「あの夜、あなたがはじめて来たとき、何かが起きた。そうでしょう?」1958年。シルヴィアは、仕事仲間のオリヴァーを自宅へ誘い、夫のフィリップを紹介する。「その目は尊厳を求めてた。つまり聞いてもらうことを。声をもつ権利を。」2008年。シルヴィアは、パートナーのフィリップにふられたオリヴァーをなぐさめ、二人をプライドパレードに誘う。二つの異なる時代を生きる、同じ名前をもつ三人。過去は亡霊となって現在に姿を現わし、現在は未来の亡霊として過去に姿を現わす。「変化って信じる?──だってほら。すごく愛してる。心の底から。」スタッフ プロフィールThe Pride 翻訳・ドラマターグ広田 敦郎(ひろた・あつろう)劇団四季、TPT を経てフリーランスの翻訳者/ドラマターグ。2009年、トム・ストッパード作『コースト・オブ・ユートピア──ユートピアの岸へ』の翻訳により第2回小田島雄志・翻訳戯曲賞。アジアン・カルチュラル・カウンシル2013年グランティ。近年の翻訳上演作品:アレクシ・ケイ・キャンベル作『ブラッケン・ムーア』『弁明』『信じる機械』『プライド』、サイモン・スティーヴンス作『FORTUNE』『夜中に犬に起こった奇妙な事件』『千に砕け散る空の星』(ロバート・ホルマン/デイヴィッド・エルドリッジ共作) 『ポルノグラフィ』『広い世界のほとりに』、テネシー・ウィリアムズ作『西洋能 男が死ぬ日』『地獄のオルフェウス』、アーサー・ミラー作『みんな我が子』『セールスマンの死』『るつぼ』、クリストファー・ハンプトン作『危険な関係』、ハワード・ブレントン作『BLOODY POETRY』、ジョン・スタインベック作『二十日鼠と人間』、イプセン作『民衆の敵』、ロルカ作『ベルナルダ・アルバの家』、カレル・チャペック作『母』、ネルソン・ロドリゲス作『禁断の裸体』PLAY/GROUND Creation 代表 |The Pride 演出井上 裕朗(いのうえ・ひろお)1971年10月24日生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経営学科卒業後、外資系証券会社に勤務。退社後、2002年より北区つかこうへい劇団養成所にて俳優活動を開始。以降、TPT・地人会・流山児★事務所・T Factory・演劇集団砂地・乞局・箱庭円舞曲・DULL-COLORED POP・Theatre des Annales・イキウメ・風琴工房・serial number・TRASHMASTERS・unratoなど、小劇場を中心にさまざまな団体の作品に出演。2015年、自身が主宰するユニット『PLAY/GROUND Creation』を立ち上げ、俳優主体の創作活動をスタート。2016年1月には、シアター風姿花伝にてワークショップ公演 the PLAY/GROUND vol.0『背信 | ブルールーム』を企画・上演。『背信』を演出、『ブルールーム』に俳優として出演する。2019年2月には、劇団DULL-COLORED POPにて『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』を演出。PLAY/GROUND Creationの公演においては、#1『BETRAYAL 背信』(2020/9 赤坂RED/THEATER), #2『Navy Pier 埠頭にて』(2021/12 横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール) にて、翻訳・演出を担当。PLAY/GROUND Creation プロデューサー齋藤 厚子(さいとう・あつこ)2004年石原プロモーション入社、スペシャルドラマ『祇園囃子』他、制作現場でAPなど裏方として経験を積む。勤務期間中、1年間を東宝グループにて舞台公演の製作、広報等を担当。以後、その経験を活かし2015年に石原プロ初プロデュース公演『希望のホシ』でプロデューサーを務める。昨年、PLAY/GROUND Creationにて『BETRAYAL 背信』公演を実施。井上裕朗と共同プロデュースを務める。ユニットの継続、俳優主体の新しい制作の場を目指し、一般社団法人PLAYGROUND Creationを設立。同時に、石原プロの業務終了のため、2021年4月より株式会社舘プロに在籍。キャストプロフィール<side-A >荒木 健太朗(あらき・けんたろう)1982年8月25日生まれ、熊本県出身。2004年から2014年まで劇団StudioLifeに所属し、『Romeo&Juliet』『アドルフに告ぐ』『天守物語』など数々の作品で主演を務める。近年は、ミュージカル『刀剣乱舞』~阿津賀志山異聞2018 巴里~(源義経役)、舞台『幽☆遊☆白書』其の弐(左京役)、『錆色のアーマ』外伝 -碧空の梟-(鶴首役)、イマーシブシアター『サクラヒメ~「桜姫東文章」より~』(浪人役)、KAKUTA第29回公演『ひとよ』(稲村雄二役)、NAPPOS PRODUCE 舞台『トリツカレ男』(レオナルド新聞記者役)など、2.5次元ミュージカルからストレートプレイまで、幅広く活動している。池田 努(いけだ・つとむ)1978年12月17日生まれ、神奈川県出身。2000年「21世紀の石原裕次郎を探せ!」オーディションをきっかけ芸能界へ。翌年、ドラマで俳優デビュー。古武道を得意とし、ドラマを中心に映画、舞台で活躍中。石原プロモーション終業に伴い、2021年7月より舘プロに所属。近年の主な作品に映画『Fukushima 50』『ヤクザと家族 The Family』、ドラマ『生きて、ふたたび~保護司 深谷善助』『第三の時効』、舞台『墓場なき死者』『幸せの標本』など。プロの画家としても稼働しており、配信テレビ番組『舘プロ所属俳優そして画家 二刀流 池田努 徳島鳴門で名画に出会う』(徳島県内ケーブTV16局、YouTube)が現在放送中。PLAY/GROUND Creationには『BETRAYAL 背信』に続き2回目の参加となる。陽月 華(ひづき・はな)1980年9月2日生まれ。2000年、宝塚歌劇団に入団。星組を経て、07年宙組トップ娘役に就任。09年の退団後は、舞台のみならず映像に も進出し、数々のテレビドラマ、映画、CMに出演。EX『警視庁・捜査一課長』にレギュラー出演中。主な出演作にTX『ユーチューバーに娘はやらん!』NHK『忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~』NHKBSプレミアム『プリンセスメゾン』、映画『燃えよ剣』『あの日のオルガン』『かぞくわり』、舞台『灰色のカナリア』『みえない雲』『フランケンシュタイン』『斬られの仙太』など。鍛治本 大樹(かじもと・だいき)1983年12月9日生まれ。宮崎県出身。中央大学法学部法律学科卒。キャラメルボックス俳優教室を経て、2007年にキャラメルボックス入団。劇団での出演作は、『アルジャーノンに花束を』『時をかける少女』『嵐になるまで待って』『太陽の棘』(主演)『リトル・ドラマー・ボーイ』(主演)他多数。外部出演も多く、ほさかよう(空想組曲)、瀬戸山美咲(ミナモザ)、中屋敷法仁(柿喰う客)、須貝英(Mox’tra)などの演出家との作品や、海外戯曲『背信』、2.5次元舞台『黒子のバスケ』等にも出演。また、アニメ『遊戯王VRAINS』のスペクターや『BORUTO』の呉越ドウシュ、スピルバーグ監督『ウエスト・サイド・ストーリー』チノの外画吹替を担当するなど俳優から声優まで幅広く活躍している。<side-B>岩男 海史(いわお・かいし)東京都出身。衣装家の両親のもと、幼少より芸能と携わる。16歳より演劇の衣装助手として活動を始め、18歳より俳優活動を開始。演劇団体「アヴァンギャルド×コンプレックス」代表。新国立劇場演劇研修所10期修了。近年の舞台出演作に、和田憲明演出『虎は狐と井の中に(仮)』『さよなら西湖くん』、鄭義信演出『COUPLES 冬のサボテン』『泣くロミオと怒るジュリエット』、岩井秀人演出『投げられやすい石』、栗山民也演出『日本人のへそ』、加藤拓也演出『友達』、寺十吾演出『奇蹟』など。池岡 亮介(いけおか・りょうすけ)1993年9月3日生まれ。愛知県出身。近年の主な出演作に舞台『火星の二人』(作・演出:倉持裕)、『CHIMERICA』(演出:栗山民也)、『まじめが肝心』(演出:大澤遊)、『熱海殺人事件』(演出:岡村俊一)、『4』(作・演出:川村毅)、『愛しのボカン』(作・演出:山崎彬)、『かがみの孤城』『ぼくのメジャースプーン』(脚本・演出:成井豊)、ミュージカル『ゆびさきと恋々』(演出:田中麻衣子)、『魍魎の匣』(演出:板垣恭一)、音楽朗読劇『黑世界』(演出・監修:末満健一)、音楽劇『ガリレオ★CV2』(演出:堤泰之)、ドラマリーディング『振り返る人たち』(構成・演出:永井愛)、ドラマ『グランメゾン東京』、『真夜中にハロー!』、映画『東京リベンジャーズ』等。12月に舞台『夜明けの寄り鯨』(作:横山拓也・演出:大澤遊)を控える。福田 麻由子(ふくだ・まゆこ)1994年8月4日生まれ。東京都出身。主な舞台の出演作として、『いやむしろわすれて草』(2013 演出:前田司郎)、『まゆをひそめて、僕を笑って』(2017 演出:加藤拓也)、『夢のLife two トゥライフ』(2017 演出:粟島瑞丸)。ドラマでは、『スカーレット』(NHK)、『メンズ校』(TX)、『リカ~リバース~』(CX)などに出演。映画の出演は、『ヘブンズ・ドア』、『桜、ふたたびの加奈子』、『FLARE フレア』、『ラ』、『蒲田前奏曲』、『グッドバイ』など。山﨑 将平(やまざき・しょうへい)1990年生まれ。千葉県出身。第 17 回 JUNON SUPER BOY コンテスト審査委員特別賞受賞。 ドラマ『ガチバカ!』でデビュー。 その後、TV・映画・舞台とジャンルを問わず活動中。最近の出演作は、webCM:富士フィルム×セブンイレブン『会えなくてもそばに』編、舞台:温泉ドラゴン第16回公演『続・五稜郭残党伝~北辰群盗録』、映画:『ちょっと思い出しただけ』(助監督兼酔っ払い役)、映画:『#ピリオド打ったらカタルシス』(主演ヒロ役 2022年公開予定)などがある。Twitter:@shoi09Instagram:@shohey_yamazakiPLAY/GROUND Creation について2015年6月、俳優の井上裕朗が中心となり、俳優のみが集まる勉強会「actors’ playground」を開催。その後も活動を継続し、同年10月、actors’ playgroundの発展形として、企画・制作ユニット『PLAY/GROUND Creation』を始動。名称には「playground(遊び場)=PLAY(演じる・演劇)+GROUND(土台・根付かせる)」という意味が込められており、俳優をはじめとするシアターアーティストが緩やかに集い、それぞれが自主的かつ能動的に参加できる豊かな「遊び場」作りを目指している。2016年1月には、actors’ playgroundの延長線上にあるワークショップ公演『背信|ブルールーム 』(シアター風姿花伝)を上演。2020年9月には、初の本格的な劇場公演『BETRAYAL 背信』を製作・上演(赤坂RED/THEATER)。その際共同プロデュースにあたった齋藤厚子と共に、2021年1月法人化。2021年12月、第2回公演として、アジア初演となる『Navy Pier 埠頭にて』を製作・上演(横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール)。本作品はPLAY/GROUND Creationとして三作品目の製作となる。公演概要PLAY/GROUND Creation #3『The Pride』公演期間:2022/7/23(土)〜7/31(日)会場:赤坂RED/THEATER (148席を予定)(東京都港区赤坂3丁目10-9 赤坂グランベルホテル B2F)上演時間:約140分(予定)■出演者キャスト (side-A) ※戯曲表記順/登場順オリヴァー: 荒木 健太朗フィリップ: 池田 努シルヴィア: 陽月 華医者・男・ピーター: 鍛治本 大樹キャスト (side-B) ※戯曲表記順/登場順オリヴァー: 岩男 海史フィリップ: 池岡 亮介シルヴィア: 福田 麻由子医者・男・ピーター: 山﨑 将平■スタッフ作: アレクシ・ケイ・キャンベル翻訳・ドラマターグ:広田 敦郎演出: 井上 裕朗音楽: オレノグラフィティ音楽協力: 絢屋 順矢美術: 稲田 美智子照明: 富山 貴之音響: 鏑木 知宏衣裳: 萩野 緑ヘアメイク: 武部 千里演出助手: 船岩 祐太舞台監督: 鳥養 友美宣伝美術: 藤尾 勘太郎■チケット料金一般:7,000円U24:3,500円 (24歳以下・要身分証明証)プレミアチケット:10,000円※前方センターブロック席確保※パンフレット・特製クリアファイル付き(全席指定・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月01日ローレンス・フィッシュバーンが映画『Frank & Louis』に主演することになった。共演はクリフトン・コリンズ・Jr. 。無期懲役を言い渡された男性(コリンズ・Jr.)が、記憶を失う病を患った服役囚(フィッシュバーン)の世話をすることになり、絆ができていくという物語らしい。監督はペトラ・ヴォルプ。フィッシュバーンは最近、『ジョン・ウィック』4作目を撮り終わった。現在はSF映画『Slingshot』を撮影している。共演はケイシー・アフレック。コリンズ・Jr. の最近作はギレルモ・デル・トロの『ナイトメア・アリー』。昨年のカンヌ映画祭、今年のサンダンス映画祭で上映された『After Yang』にも出演している。文=猿渡由紀
2022年05月26日2022年7月23日(土)~7月31日(日)、東京・赤坂RED/THEATERにて、2008年にイギリスで初演されローレンス・オリヴィエ賞など数々の賞を受賞した傑作、アレクシ・ケイ・キャンベル作の『The Pride』がWキャストで上演される。『The Pride』は1958年と2008年のロンドンを舞台に物語が進行する。それぞれの時代には、ふたりのゲイの男性と、彼らに深い関わりをもつひとりの女性が登場する。彼らは同じ名前を持つが、それぞれの時代でまったくの別人として描かれる。それぞれの時代や社会が作り上げた巨大な障壁を前に、彼らは自分自身を知ろうと努力し、自分に正直に生きたいと願い、目の前にいる人と深く関わりたい、繋がりたいと望みます。ふたつの時代が交互に描かれることにより、それぞれの時代で彼らはどう社会と繋がっているのか──そして自分より前に生きた人々から何を受け継いでいるのか──が浮き彫りにされていく。日本では2010年にTPT製作(日暮里d-倉庫/小川絵梨子演出)により初演。その初演はもちろん、日本における全てのアレクシ・ケイ・キャンベル作品を手掛けている翻訳家の広田敦郎氏をドラマターグとして迎え、PLAY/GROUND Creationの井上裕朗の演出のもと、魅力的な8名の俳優陣が集結。(side-A) と (side-B)のWキャストで上演。『PLAY/GROUND Creation』は2015年6月、俳優の井上裕朗が中心となり開催した勉強会をきっかけに始動した企画・制作ユニット。名称には「playground(遊び場)=PLAY(演じる・演劇)+GROUND(土台・根付かせる)」という意味が込められており、俳優をはじめとするシアターアーティストが緩やかに集い、それぞれが自主的かつ能動的に参加できる豊かな「遊び場」作りを目指しているという。本作はPLAY/GROUND Creationとして3作目の製作となる。PLAY/GROUND Creation代表で本作の演出を手がける井上は、「この演劇的な構造を借りながら『ゲイ』というテーマをストレートに描き、人間の「尊厳」について力強く訴えかけてくる作品です。そしてとても魅力的なラブストーリーです。最初にこの戯曲を読んだときに感じた興奮をいまだにはっきりと覚えています。 今回の公演に集まってくれたメンバーたちと共にこの戯曲を深掘りし、登場人物たちの生き様に思いを馳せ、ひいては2022年に生きる我々の現在を見つめ直す作品にできればと思っています」と意気込みを語る。出演は荒木健太朗、池田努、陽月華、鍛治本大樹、岩男海史、池岡亮介、福田麻由子、山﨑将平。<あらすじ>「あの夜、あなたがはじめて来たとき、何かが起きた。そうでしょう?」1958年。シルヴィアは、仕事仲間のオリヴァーを自宅へ誘い、夫のフィリップを紹介する。「その目は尊厳を求めてた。つまり聞いてもらうことを。声をもつ権利を。」2008年。シルヴィアは、パートナーのフィリップにふられたオリヴァーをなぐさめ、二人をプライドパレードに誘う。二つの異なる時代を生きる、同じ名前をもつ三人。過去は亡霊となって現在に姿を現わし、現在は未来の亡霊として過去に姿を現わす。「変化って信じる?──だってほら。すごく愛してる。心の底から。【公演概要】PLAY/GROUND Creation #3『The Pride』公演期間:2022年7月23日(土)~7月31日(日)会場:東京・赤坂RED/THEATER上演時間:約140分(予定)キャスト (side-A) ※戯曲表記順/登場順オリヴァー: 荒木健太朗フィリップ: 池田努シルヴィア: 陽月華医者・男・ピーター: 鍛治本大樹キャスト (side-B) ※戯曲表記順/登場順オリヴァー: 岩男海史フィリップ: 池岡亮介シルヴィア: 福田麻由子医者・男・ピーター: 山﨑将平スタッフ作: アレクシ・ケイ・キャンベル翻訳・ドラマターグ: 広田敦郎演出: 井上裕朗音楽: オレノグラフィティ音楽協力: 絢屋順矢美術: 稲田美智子照明: 富山貴之音響: 鏑木知宏衣裳: 萩野緑ヘアメイクプラン: 武部千里演出助手: 船岩祐太舞台監督: 鳥養友美宣伝美術: 藤尾勘太郎宣伝写真・舞台スチール撮影: 保坂萌宣伝写真スタイリング: 岩田友裕上演ライセンス: シアターライツ文芸協力: 今井浩一制作: 半田 桃子 / 渡辺みどりプロデューサー: 齋藤厚子企画・製作: 一般社団法人 PLAYGROUND Creation
2022年05月02日2022年のアカデミー賞作品賞のほか、助演男優賞、脚色賞の計3部門を受賞した『コーダ あいのうた』。今年初めに行った、シアン・ヘダー監督の単独インタビューをお届けします(2022年1月20日配信記事)。『コーダ あいのうた』【映画、ときどき私】 vol. 448豊かな自然に恵まれた海の町で、耳の不自由な両親と兄と暮らす高校生のルビー。4人家族のなかで唯一耳が聞こえるルビーは、家族のために幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期に入り、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択。ルビーに歌の才能があることに気がついた顧問の先生から、都会の名門音楽大学への受験を強く勧められる。ところが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じることができず、家業のほうが大事だと大反対。家族を選ぶ決断をした娘に対し、父は意外なある行動を取ることに……。2014年に製作され、大ヒットとなったフランス映画『エール!』をリメイクした本作。昨年開催されたサンダンス映画祭では史上最多受賞に加え、映画祭史上最高額となる約26億円で配給権が落札されたことでも大きな話題となりました。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。シアン・ヘダー監督本作の脚本と監督を務め、その実力が高く評価されているヘダー監督。今回は、取材を重ねるうえで得た気づきや手話から学んだこと、ろう者と作り上げた現場で感銘を受けた出来事などについて、語っていただきました。―最初は、脚本家として本作の依頼を受けたそうですが、監督も手掛けることになったいきさつから教えてください。監督私はもともと監督も脚本も手掛けるフィルムメイカーなので、脚本家として雇われた当初から監督もしたいという思いはありました。製作陣としては、私がどんな脚本を出すかで監督も任せるか検討しようと考えていたようですが。その後、脚本の出来に満足していただけたので、監督も任せてもらえることになりました。―この作品に惹かれた理由はどんなところですか?監督オリジナルの作品を観たとき、物語をより深く掘り下げるポテンシャルがすごくある作品だなと感じました。たとえば、家族の描かれ方やそれぞれのキャラクターをより立体的に描けると思ったんです。特にこの家族というのは、聴者とろう者の両方に属しているようで、両方ともに属していないような存在なので、そんな彼らの道のりをしっかりと見せたいと考えました。取材を通して、いろいろな発見があった―タイトルのコーダ(CODA)とは「Children of Deaf Adults」のことで、⽿の聴こえない両親に育てられた⼦どものことを指していますが、今回は実際にコーダと呼ばれる子どもたちにも取材を行ったそうですね。彼らと出会ったことで脚本に影響を与えた部分もあったのではないでしょうか。監督すごくいい質問なので、この話ができるのはうれしいです。脚本を書き始めたころ、まずはSNSや友人を通じてコーダの経験がある人たちを探したんですが、話を聞いていくと、人によってまったく違う経験もあれば、共通点もあり、いろいろな発見がありました。そのなかでも、興味深かったのは、大人同士の会話の通訳をしなければいけなかったので、まだ心の準備ができてない年齢からかなり大人な話題に触れなければいけないということ。彼らは早く大人になることを求められてしまうんですよね。ときには「どうして自分だけこんなに頼られなければいけないんだ」とコーダであることを重荷に思うこともあるそうですが、同時に「自分は家族にとってすごく重要な人間なんだ」という誇りも持っていると感じました。そういった彼らの心にある矛盾はおもしろいと思ったので、キャラクターにも反映させています。劇中でも描いているように、性的な話を何でもはっきり言ってしまう親がいる人や家のなかの音がうるさくて大変だったという人など、リサーチのなかでは笑える話もたくさん聞かせてもらいました。手話は人と人をつなげてくれる言語だと感じた―劇中では手話の持つ表現力の美しさも感じましたが、監督ご自身も手話を習得されたとか。実際に体験してみていかがでしたか?監督手話で話すときは、中身のない話をする余地がないように感じました。というのも、いまそこで起きている真実だけを話し、それを心から信じて伝えるので、社交辞令や沈黙が怖いから意味のないことを口にする、みたいなことがない言語というのが私の受けた印象です。あと、手話ではスマホを見ながら話したりできないので、人の目を見ながらでないと話せないという意味でも人と人とをつなげてくれる言語なのではないかなと。100%相手と向き合うこと、しっかりと考えてから自分の思いを伝えること、言葉の選択など、いろいろなことを手話から学びました。―なるほど。本作は超高額で配給権の争奪戦が行われたり、各賞レースでも有力候補として注目を集めたりしていますが、いまの状況をどう受け止めていますか?監督とにかくワクワクして興奮しています!今回の作品を通して、現場の作り方やコミュニケーションの取り方も変わりましたし、聴者とろう者が一緒になって作品づくりをする過程もとても誇らしく思っていたので。実は映画が完成した時点で、「私は人生で最高の経験をしてしまった」と感じていたので、そこがピークだと思っていたんです。なので、そのあとに起きたことは予想もしていなかったことばかりで、本当に奇跡のような出来事。こんなふうに評価をされ、作品がさらに成長していくとは思っていなかったので、いまはただ喜びでいっぱいです。うれしかったは、ろう者の俳優たちが評価されたこと―出演者のみなさんも、同じお気持ちだと思います。監督あとは、自分の作品に出てくれた俳優たちが称賛を受けているというのが、何よりもうれしいです。母親を演じたマーリー・マトリンは、オスカーの受賞経験がありながらいままであまり多くの機会が与えられていませんでしたし、父親役のトロイ・コッツァーと兄役のダニエル・デュラントもあまり知られていない俳優でしたから。いろいろな賞にノミネートされていて、感動しました。いままで苦労してがんばってきた彼らがこの作品で報われてよかったです。―本当に、素晴らしい演技でした。耳の聞こえない人の役は聴覚に障がいのある人に演じてほしいというのが、監督の当初からのこだわりだったとうかがっています。実際に彼らと現場をともにして、気づかされることもあったのでは?監督最初は、現場に手話の通訳を入れて彼らと話をする計画でしたが、初日の撮影をした際、彼らが私ではなくて通訳さんのほうしか見ていないことに気がつき、うまくつながれていないように感じてしまったんです。そこで、できれば通訳を介さずに進めたいと彼らに相談をしました。当時は私の手話もまだ流暢ではなかったので、表情や目を使ったり、お互いの体を触れ合わせたり、照明で合図をしたり、いろいろな形でコミュニケーションを取ることに。撮影を進めながらやり方を探していくような感じでしたが、それはとても親密なプロセスとなりました。彼らとは手話や言葉を使わなくても理解できるほどになったので、さまざまな発見とともに楽しい現場でしたね。自分が思うほど、他人との違いは大きくない―まもなく公開を迎える日本には、どのような印象をお持ちですか?監督実は日本にはまだ行ったことがないんですが、すごく行きたい場所のひとつではあります。日本の文化や食事が大好きなので、ぜひ日本を訪れてさまざまな経験をしたいです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督この映画では、ある家族を中心に描いているものの、普遍的な物語になっているので、ろう者でも聴者でも、誰でも共感していただける作品になっていると思います。あとは、この作品がきっかけで、ろう者の方々とコミュニケーションを取ってみたいと手話の勉強を始めていただく方が増えたらうれしいですね。いまの時代は自分と違うものに対する恐怖心が大きくなっており、他者とつながれないと感じている人も多いと思うので、この映画を通してそういった“バリア”を少しでも壊せたらいいなと。誰もが同じ人間で、同じような葛藤や家族の問題を抱えているものなので、自分が考えているほど他人との違いは大きなものではないというのも知ってほしいと思っています。家族の愛に、胸も目頭も熱くなる!理想と現実という名の“荒波”にもまれながらも、夢が広がる大海原へと飛び込む少女から勇気をもらえる本作。そして、家族がお互いを想う涙あり笑いありの愛には、誰もが魅了されてしまうはず。耳も心も虜にする美しい歌声とともに、爽やかな感動に包まれてみては?取材、文・志村昌美心が震える予告編はこちら!作品情報『コーダ あいのうた』1月21日(⾦)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー※バリアフリー字幕版も上映決定(詳細はHPの劇場情報欄にて)配給:ギャガ© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年03月28日プロデューサー組合賞(PGA)が発表された。劇場用映画賞を受賞したのは、『コーダ あいのうた』。オスカーの作品賞と同じ投票方式を採用し、投票者のかぶりも多いPGAは、オスカー予測で非常に重視される。ひと足先に『コーダ〜』は俳優組合賞(SAG)も受賞しており、フロントランナーである『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を深刻に脅かすことになった。ドキュメンタリー映画賞は、『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった日)』。劇場用アニメーション賞は『ミラベルと魔法だらけの家』。テレビドラマ賞は『メディア王〜華麗なる一族〜』、コメディシリーズ賞は『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』、ミニシリーズ賞は『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人じ事件の真実』だった。文=猿渡由紀
2022年03月22日監督組合賞(DGA)が発表された。劇場用長編映画賞を受賞したのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン。この受賞で、カンピオンのオスカー監督賞受賞は、より確かなものになった。1949年から昨年までの間に、DGAの結果とオスカー監督部門の結果が一致しなかったことは7回しかない。劇場用映画初監督賞の受賞者は、『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホール。ドラマシリーズ部門は『メディア王〜華麗なる一族〜』のマーク・マイロード、コメディシリーズ部門は『Hacks』のルチア・アニエロ」、テレビ用映画またはミニシリーズ部門は『地下鉄道〜自由への旅路〜』のバリー・ジェンキンスが受賞した。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』Netflixで配信中文=猿渡由紀
2022年03月14日