阿佐ヶ谷スパイダースの新作公演、長塚圭史作・演出による『桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡(もえてこがれてばんどごろし)〜』が9月10日、東京・吉祥寺シアターにて開幕する。四代目鶴屋南北が手がけた歌舞伎の人気演目『桜姫東文章』を原作とした長塚作品と聞いて、十年前、2009年に上演された、故・中村勘三郎、大竹しのぶ、白井晃らが出演した舞台『桜姫〜清玄阿闍梨改始於南米版(せいげんあじゃりあらためはじめなんべいばん)〜』を思い出した人もいるだろう。本作は、その十年前の公演の際に長塚が書き上げていて、上演されなかったもうひとつの『桜姫』である。長塚に話を訊いた。「書き上げたといっても、推敲する前の段階でしたけど。それがさまざまな理由で採用されず、南米版を新たに書くことになった。それ以降、こっちの『桜姫』についてはすっかり忘れていたんです。だってこれに執着していたら次の作品が書けないから、切り替えていかないとね。僕は、過去のことを忘れる能力に長けているので(笑)」埋没していた未発表作品を掘り起こしたのは、当時、推敲前の戯曲を読んでいた劇団員で演出助手の山田美紀だ。今、形にするに至った経緯には、一昨年に阿佐ヶ谷スパイダースが“劇団”として再始動したことも関わりがあるようだ。「このような過去のプロデュース公演などで、自分の中で心残りのあるものにもう一度、スポットを当ててみる。そうした試みを劇団でやってみたらいいなと思っていたんですよね。以前の僕には、次から次へと新作を書き飛ばす……といった時代があった。それらをもう一回見直して、きちんと作品化する。その時も作ってはいたけれど、書きあがったらすぐに短期間で立ち上げる……といったことをしていたわけだから。もうちょっと冷静になって作り上げたい、ずっとそう考えていたんですね」奇しくも今回、2006年に長塚が書き下ろした戯曲『アジアの女』の再演が重なっている。「自分がかつて書いたものを眺める機会が続きました。恥ずかしさもあるけど、やっぱりその時の思考、エネルギーは面白いし、どちらも僕にとっては転機となった作品。考えてみたら、原作モノを扱って書いたのは『桜姫』が初めての経験でしたね」十年前の自作を改訂していく作業は「自分を疑うというより、信用してみる」感覚だったという。「原作の『桜姫東文章』自体が荒唐無稽で、これを現代劇にするにはどういうやり方がいいんだろう?と自分なりに考えた痕跡があって、それを見つめるのが面白いですね。当時は、演出は串田(和美)さんがやるんだから演出家が勝手になんとかやればいいと、僕も乱暴に書いていて(笑)。とんでもなく荒唐無稽なことを書いているから大変なんですけど、なんだかあの時の串田さん、勘三郎さんと対話しているような気もして、面白いんです」稚児白菊との心中に失敗して生き残った高僧清玄は、後に出会った高貴な生まれの桜姫を白菊の生まれ変わりと信じて執着する。桜姫は、かつて自分を凌辱した盗賊・権助に焦がれ、再会して夫婦になるも女郎として売られることに……。この奇天烈な原作を、長塚は戦後占領下の東京を舞台とした物語に移し替え、大胆に改稿。不思議な楽隊に導かれるようにして嬉々と堕ちてゆく美しき桜姫、彼女を追いかける聖人・清玄、運命に巻き込まれていく極悪人・権助ほか、生への執念をたぎらせた人々が痛快に絡み合うドラマとして再生した。その展開の鮮やかな飛躍に、長塚圭史の真髄が覗く。「今、立ち稽古をやっていて、荒唐無稽でムチャクチャだし、ほとんど血まみれだったりするんだけど、そんなに違和感がないんですよね(笑)。鶴屋南北が書いたこの突拍子もない世界と、相性がいいのかもしれない。歌舞伎についてアドバイスをいただいた国文学の先生によると、いわゆるその時代の世相をアレンジして歌舞伎は作られていると。それはどうしたって現代劇には通用しないから、だったらもう思い切って変えてしまう。カブいていいわけですからね。意外と違和感なく、工作を作るように人物の関係性をつなげて、立ち上げていっていますね。その中で、僕が戦後という時代にしたかった思いは何なのかが、段々と明確になって来ています。清玄は、白菊とともに死ねずに生き残った生命力、そして後に殺されても幽霊になってまで桜姫に纏い付く生命力がある。桜姫は、私の人生はこれじゃない、もっとスリリングに、ドラマチックに生きたいと願う、その熱量はつまり生きることへの渇望です。獣みたいな権助は、戦争でおそらく人を殺して来ている。彼はもう理屈じゃなく、人を殺してでも生きていくしかない。そんな彼らの思いは、戦後の、本当だと思っていたことが全部嘘になってしまったあの時代、ひっくり返ってしまった世の中を、どうにか生き抜こうとするエネルギーに繋がっていくんじゃないかと思うわけです。やっぱり人を殺してでも僕らは生きたい、そういう理不尽な生き物なんだと。そのことに僕らは向き合って生きていくしかない、今、そんなことを思いながら稽古をしています」物語の鍵を握る“楽隊”、その音楽を、数々の長塚作品を支えてきた強力な助っ人、荻野清子が手がけている点にも注目だ。「荻野さん、最高ですよ。楽器は、ウクレレとクラリネットと段ボールの太鼓とピアニカ。そんな編成で本当に楽隊になるのかな、どうなることやら……と最初は思ったんだけど、やっぱり楽譜が良ければなるんですね(笑)。素敵な曲を作ってくれて、ある種の見世物小屋みたいな光景が楽隊に重なる……そんなイメージの広がりを見せています」桜姫を演じる藤間爽子をはじめとする若手の面々に、中村まこと、村岡希美などの巧者が混ざって、14名の劇団員キャストで放つ新作舞台。熟考して積み上げた芝居、全員の生きるエネルギーの結実を、ぜひ見届けたい。主要スタッフも劇団員である。どうやら阿佐ヶ谷スパイダースの“劇団員”は今後も増え続けていくらしい。「今も増えていて、幽霊みたいに(笑)精神だけは共にしている、って人もいる。僕が認識できるのは100人程度だと思うので、100人くらいの集団で、公演によって伸び縮みしながらやっていけたらと思っていますね。ただ、劇団って閉じていく傾向があるので、閉じないように、でもいたずらに肥大しないで……と、試行錯誤してやっていくしかない。今回みたいな荒唐無稽な作品に劇団の皆が頭を使って、必死になって考えている光景はいいな〜と思って(笑)。これからも、劇団でしかできない公演をやっていくつもりです」取材・文:上野紀子
2019年09月04日長塚圭史の作・演出により2006年に上演された『アジアの女』。本作が吉田鋼太郎の演出・出演で新たに甦る。そこで吉田とともに、出演者のひとりである山内圭哉に話を聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりの初共演作となった『悪魔の唄』(2005年)を始め、これまでも多くの長塚作品に参加してきた吉田と山内。吉田は「分かりづらい、容赦ない、観たあとの酒がまずい(笑)。でもそこが好き」と独特の切り口で長塚作品を語る。一方山内は、「今も子供のように演劇を扱っているというか、演劇を自由なものとして無邪気に遊んでいる。そこはホンマに面白いなと思います」と、長塚と親交の深い山内ならではの視点でその魅力を話す。物語の舞台は大災害が起きたアジアのどこかの国。半壊した家に住み続ける晃郎(山内)と麻希子(石原さとみ)兄妹のもと、書けない作家・一ノ瀬(吉田)が訪ねて来る。吉田が「この芝居を語る時、3.11のことを無視はできない」と話すように、舞台上の景色に東日本大震災を重ねる観客も多いだろう。書かれた当時は震災前だが、長塚はそこに何を見ていたのか。「この物語に登場するのは明らかに未来のない、死ぬしかないような人たち。つまり世界は終わっているのに、彼らの日常はそれほど変わっていない、そんな不条理さがあって」とは吉田。すると山内も「だから変にリアルに思える瞬間があるんですよね。圧倒的な虚しさが常に敷かれている中であっても、実際に生きていくってそういうことなのかな」と推察。さらに吉田は、「結果そこに希望を見出すかどうかは、演出する人間によってどちらでもいいのかもしれません」と思案の表情を浮かべた。実力派のふたりにとっても大きな難題をはらんだ作品だが、演出も担う吉田が本作を選んだ1番の理由とは?「石原さとみちゃんとやるからには、彼女がとんでもなく活躍出来るホンがいいと思ったんです。しかもザ・ヒロインではない、今まで彼女がやったことがないような役。その点『アジアの女』の麻希子はいかようにも出来る役ですし、何しろ僕は圭史のファンですから。1度圭史ワールドというものをつくってみたい、そんな希望があったんです」と笑う。そんな吉田の演出を受けることを、誰よりも望んでいたのが山内。「鋼太郎さんの劇団(AUN)に出してくれってお願いしたこともあるくらい。僕ら世代にとってはホンマにおってありがたい先輩ですし、ひとつひとつを大事に、稽古に臨んでいけたらと思います」と意気込みを見せた。公演は9月6日(金)から29日(日)まで、東京・シアターコクーンにて。取材・文:野上瑠美子
2019年08月16日女優の伊藤蘭が、31日(22:00~)に放送されるニッポン放送『伊藤蘭のオールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティを務めることが決定した。伊藤はキャンディーズ解散後の1980年から1982年の2年にわたり、同局で『伊藤蘭 通りすぎる夜に』を担当。さらには2012年、1日限りの年末特別番組『伊藤蘭 通り過ぎる季節に』で30年ぶりにラジオパーソナリティを務めた。今回は自身初となる『オールナイトニッポンGOLD』の生放送に挑戦する。当日は、ソロ歌手としてのデビューアルバム「My Bouquet」の紹介をはじめ、キャンディーズ時代の話、仕事や家族、プライベートのことなどについて、トークをするほか、リスナーからのメールのメッセージにも答える予定だ。さらに番組のゲストとして、アルバム『My Bouquet』のプロデューサーの佐藤準氏、作詞家の森雪之丞氏を迎える予定とのこと。伊藤は「6年ぶりにラジオパーソナリティをさせていただくことになりました。しかも今回は生放送! 今からもう緊張でドキドキしてますが、皆さまからのメールを励みに頑張ります」とコメント。そして「ソロアルバムからの曲もたくさん紹介しますので楽しみにしていてくださいね」と話した。
2019年05月24日演出家・劇作家・俳優の長塚圭史が4月1日よりKAAT神奈川芸術劇場の芸術参与に就任する。その記者懇談会が開かれ、同劇場の芸術監督・白井晃と共に取材に応じた。今回の就任について白井は「神奈川芸術文化財団には今まで“芸術参与”という役職はなかったのですが、この度、制度を整備していただきました」と説明し、その理由を「ひとつは、私の芸術監督の任期が2020年度までになっているので、それまで芸術面で私の仕事のサポートをしていただくことが目的です。もうひとつは、2021年度からの新監督就任を見据えての準備期間です」と話した。長塚は「(これから着手する)2021年度からのプログラムを一緒に作っていくという大きな狙いもあるのですが、それと同時に劇場にとってのインフラを整えていく力になれたらと考えています」と意気込む。それに向けてまずやるべきは「散歩かな」と笑い、「この街がどういう場所なのかよくよく見つめる時間が持てたらと改めて思っています。そしてこの場所にちなんだことを、長期的な展望の中でつくりたい」を語った。白井は長塚を「数少ないよく話す演劇人。私にとってよきパートナーでもありますし、相談相手でもあります」と話し、この抜擢の理由を「1番大きいのは、彼が僕より18歳も若いことです。私が経験してきた演劇的な経験と、長塚さん世代が経験されてきたことは違う。演劇観というものが徐々に変化していることを肌で感じており、そういう意味で長塚さんの若い視点が必要になると思いました。僕はこの劇場に“事件を起こしていきたい”と思ってやってきましたが、その事件を起こすためには馬力が必要です。今までが芸術監督ひとりでの1輪駆動だったとするならば、2輪駆動にして2年間走って、その状態で長塚さんに(芸術監督を)お渡ししたいという思いがあります」と述べた。自身が演劇で積んできた経験がこの新しい任務にどう活かされるかの問いに長塚は「僕は、習慣的になって慣れ親しんで忘れてしまうことに対していつも危機感を抱いていて、“このままじゃダメだ”と思ったら、それは時に乱暴なやり方でも、つくっては壊し、壊してはつくって、どうにかやってきました。そういう思い切りの良さを携えながら、まずは参与をまっとうし、その先に繋げていきたいと思います」と答えた。長塚はこれから2年間、芸術参与の任務を遂行する。また、同劇場で12月に上演される「常陸坊海尊」の演出を手掛ける。取材・文:中川 實穗
2019年03月27日長塚圭史(作・演出)、近藤良平(振付・音楽)、首藤康之、松たか子の4人が、鏡のあちらとこちらで騒動を繰り広げる『かがみのかなたはたなかのなかに』。2015年の初演で評判をとった舞台が再演されることになり、12月5日(火)に新国立劇場で幕を開ける。2年前から何が進化し、どんな魅力が加わったのか? 開演まで2週間を切った11月下旬、稽古場に足を運んだ。新国立劇場演劇『かがみのかなたはたなかのなチケットかに』チケット情報兵隊の“たなか(首藤)”と鏡の向こうの“かなた(近藤)”。同じく鏡を挟んで向き合う美女“けいこ(松)”と彼女とは全てが正反対の“こいけ(長塚)”。鏡を通してそれぞれの恋心や対抗心が交錯するが……。鏡を挟んで対となるふたり(首藤×近藤/松×長塚)が、ぴったりと同じ動きを見せるのが本作の“肝”となる部分。再演とあって、基本的な動きは既に出来上がってはいるのだが、稽古場ではじっくりと丁寧にその動きの必然性や動機を探り、もう一度、構築し直していく様子が見られた。近藤や首藤の動きに対し、長塚から「そこに行くことが目的になってるのが見えちゃう」との指摘が飛び、ふたりは動きを合わせつつ、自然な動作を探求していく。長塚はこの“再構築”を「前作を踏襲しつつ、再演ではさらにディティールの精度を上げていきたい。初演時に勢いや高揚の中で何となくやっていた部分が気になってくるんですよ。よりロジカルに、そこにあったはずの“動機”をきちんと繋げていく作業が必要になる」と説明する。共に高度な身体性を武器としつつ、筋肉の付き方から発想まで異なる個性を持つ首藤と近藤。見た目からして全く異なる松と長塚。異質な4人が鏡によって“縛り”を受けて動きをシンクロさせていく様子は、セリフなど無くとも、ただ動きを見ているだけで楽しい。中でも、唯一の女性として他の3人とは明らかに違うキャラクター性を発揮しているのが“けいこ”を演じる松だ。“たなか”と“かなた”の両者から熱烈なラブコールを送られ、ふたりの間を行き来する中で、徐々にその奥に隠された恐ろしい一面が見えてくるのだが、松は小悪魔のようにキュートに軽やかに舞台を駆け巡り、明るく怖い悪女を体現! 長塚は「松さんは悪女が合う(笑)。自分がどう見えるのかしっかり研究してますよ。かわいいですね(笑)」と称賛する。この笑いを誘いつつも、ひんやりと背筋が冷たくなるような怖さこそ本作の見どころ。「未来のおとなと、かつての子どもたちへ」と銘打って、大人のみならず子どもにも楽しんでもらうために企画された舞台だが、長塚はわかりやすい“子どもだまし”の作品を作る気は毛頭ない。「劇場ってそれだけでちょっと怖いんですよ。だから面白い。明るくフワフワした優しさと安全に包まれた場所ではなく、ちょっと猥雑で『え? ここ入っていいの?』と思うような場所を作っているつもり」と見世物小屋の主人のような笑みを浮かべる。一流の大人たちが真剣に作り上げたコミカルでゾッとするような世界を楽しんでほしい。公演は東京・新国立劇場にて12月5日(火)より上演。その後全国を巡演。取材・文:黒豆直樹
2017年12月01日渋谷スペイン坂のGALLERY X BY PARCOにて、乃木坂46のメンバー・伊藤万理華の脳内に迫る「伊藤万理華の脳内博覧会」が10月15日まで開催中。本企画は、ファッション、アート、カルチャーにとどまらず鉱物や苔までをも愛し、独自の視点で世界を見つめる伊藤万理華のやりたいことをとことん追求した脳内博覧会。生駒里奈、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、新内眞衣、松村沙友理、若月佑美など乃木坂46メンバーを伊藤万理華が撮影した「犬会」や、フォトグラファー前康輔、間仲宇がが伊藤万理華をファッションシューティングした写真展示を始め、「脳内ROOM」、オリジナルショートフィルムなども公開される。さらに、会場限定グッズの販売も。【展覧会情報】乃木坂46 伊藤万理華「伊藤万理華の脳内博覧会」会期:10月5日~15日会場:GALLERY X BY PARCO住所:東京都渋谷区宇田川町13-17時間:10:00~21:00(最終日のみ18:00閉場)料金:500円(入場特典ポストカード付)
2017年10月08日暮らしまわりのスタイリストとして活躍する伊藤まさこさんは、実は「さりげない気配りの達人」。その絶妙な“気配り”の秘訣、そして周囲の人からの、伊藤さんの「気配りエピソード」を紹介します。***18時からのオフの時間は、「友人たちとの食事を楽しむことが多い」と伊藤さん。アトリエにはよく友人が集まり、その楽しそうな様子は彼女のインスタグラムでも垣間見られる。「人を招いたときに気をつけているのが、ゲストを緊張させないこと。我が家に到着したら、すぐに自由に過ごしてもらえるように工夫をしています」例えば、グラスやカトラリーははじめから用意し、誰でもすぐ手にできる場所にセット。食事が始まれば、伊藤さんも一緒にテーブルについて、おしゃべりに興じる。ゲストがくつろげるように、丹念な準備をしているのだ。また、楽しかった様子はSNSにもアップ。「多くの人が目にするものだから、言葉は選んでいます。アップする写真も、見て楽しい、おいしそうって思ってもらえるものだけと決めていますね」とはいえ、耳に心地よいことばかりを並べて済ませているわけではない。言いにくいこともちゃんと伝えるようにしている。「おかしいと思ったら、すぐその人に伝え、それで終わり。引きずりません。思ったことをいつ伝えるかも大切にします」そんな伊藤さんのことを、料理家の坂田阿希子さんは「温かさのあるカジュアルな気配り名人」だと話します。「とにかくフットワークが軽いんです。SNSで彼女が和菓子をアップしていたので“食べたい”とコメントしたら、すぐに差し入れてくれて(笑)。不思議なことに、彼女の行動からは、これは特別なことじゃないのという雰囲気を感じとれるから、お返ししなきゃと思わず、素直に受け取れるんです」つい最近も料理の差し入れをもらったという坂田阿希子さん。伊藤さんには、男らしさと女らしさが共存しているとも話す。「愛猫が亡くなってしばらく経ったとき、“娘と庭で摘んだから”という簡単な手紙と一緒にブーケを玄関のドアにかけてくれていたことがあって。その心遣いが本当に嬉しかったんです。悲しんでいた私と適度な距離を保つ男前な感じと、花や料理にこめられた女らしさと。そんなバランスがちょうどいい人なんです」◇伊藤まさこさん暮らしまわりのスタイリストとして活躍する傍ら、旅や食にまつわる本も出版。ほぼ日刊イトイ新聞のサイトでは、お弁当の連載も担当する。『ちびちび もぐもぐ お酒とごはん』(PHP研究所)は11月に発売。◇坂田阿希子さん料理家。「studio SPOON」主宰。雑誌や書籍で活躍しながら、料理教室も開催。著書『わたしの作りおき便利帖』が発売されたばかり。※『anan』2016年10月5日号より。写真・馬場わかなスタイリスト・伊藤まさこ取材、文・野村紀沙枝
2016年09月29日スタイリング、そしてそのライフスタイルも支持されるスタイリストの伊藤まさこさん。彼女を知る人々は、「さりげない気配りの達人」と、伊藤さんを評します。ご本人への取材から見えてきた、気配りのコツとは。***大人ならではの気配りができる人を取材するなら?編集部の周辺できいてみると、みんな口を揃えて伊藤まさこさんの名を挙げる。それを本人に伝えると、「自分では普通のことをしているだけなので…。でも、そう言っていただけるのは嬉しいですね」と少し照れ笑い。伊藤さんの言う“普通のこと”とは、とてもシンプル。それは自分がされて嬉しいことを相手にするということ。「されて嫌なことは、絶対にしないようにしています。ただそう考えているだけだから、無理なく自然と動けているのかもしれない。私自身、気を使わせるのが苦手な部分もあるので、やりすぎないようにはしています」そんな絶妙な塩梅の伊藤さんの気配りをいくつか例に挙げてみると…。近所のホームパーティには、シャンパンをワインクーラーに入れて持っていき、相手に氷を用意させないように。あるときは、家の庭で摘んだミントでブーケを作って、お裾分けの惣菜と一緒にプレゼントと、まさに人柄溢れる温かな心遣い。この発想は、心の余裕から生まれるらしい。「いつもどうやったら気持ちよく過ごせるかを考えているんです。自分が機嫌よくいられれば、誰に対しても自然と心配りができると思うから。だから仕事は18時には終わらせて、その後はきっぱりオフの時間に。時間の使い方は潔いタイプかも。あと、悪口や噂話も苦手だから、ネガティブなことは言わない。こうやって、常に自分を健やかにしておくことが、大切だと思うんです」そんな伊藤さんに、誰もがふっと笑顔になれる贈りものアイデアを教えてもらうと、驚き・手間・備え・組み合わせ、この4つのキーワードが浮かんできた。なかでも、伊藤さんが一番大切にしているのが、手間をかけること。「特に目上の方になりますが、みなさんおいしいものや高価なものをよくご存じなんですよね。だからあえて手作りのものを差し上げています。自分の手足を動かして用意したものって、案外喜んでもらえるんですよ」その代表的なものが、手作りのお弁当。詰めるおかずは、作り慣れている和惣菜を4~5種ほど。お弁当箱やお箸は使い捨てを選び、食べた後の返却などで相手をわずらわせないようにしている。この優しいひと手間が、伊藤さんらしい気の配り方。さらに、料理上手ならではのおみやげも。「よく海外に行くんですが、毎回みんなの分のおみやげを買って帰って配るのは正直難しい。だから、持ち帰った現地の食材で料理を作り、おみやげ代わりに友人を招待。旅先での話も自然とはずみます」贈りもの上手の伊藤さんが、ものをいただいたらどうする?「できるだけお礼状を書くようにはしていますが、なかなか手紙を出せないときもありますよね。そういう状況にあるなら、すぐに電話をかけるようにしています。嬉しかったことは、早く伝えたくなっちゃうんです」◇伊藤まさこさん暮らしまわりのスタイリストとして活躍する傍ら、旅や食にまつわる本も出版。ほぼ日刊イトイ新聞のサイトでは、お弁当の連載も担当する。『ちびちび もぐもぐ お酒とごはん』(PHP研究所)は11月に発売。※『anan』2016年10月5日号より。写真・馬場わかなスタイリスト・伊藤まさこ取材、文・野村紀沙枝
2016年09月29日長塚圭史、中山祐一朗、伊達暁による演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」が、旗揚げ20周年の今年、2004年の作品『はたらくおとこ』を再演する。キャストは阿佐ヶ谷スパイダースの3人に加え、池田成志、中村まこと、松村武、池田鉄洋、富岡晃一郎と初演時のメンバーが再集結。女性キャストの北浦愛は今作で初出演。作・演出の長塚に話を聞いた。【チケット情報はこちら】20周年の公演に『はたらくおとこ』を選んだことについては「ひとつは『はたらくおとこ』を2016年に上演したらどういう反応が返ってくるのかなっていう興味。12年前とは世の中が全く変わってるわけで、今、どういう風にこの作品が響くのかという興味は大きくありました。それと、阿佐ヶ谷スパイダースを好きなお客さんから再演の希望がすごく高いこともあります。でも、成志さんもまことさんもいないってなったら、やらなかったかもしれないです。そのくらいにこの作品は彼らと作ってきたので。それで上演が決まって、気が付くと『20周年だ』みたいな」と、20周年は後からついてきたものだったそう。長塚は「僕ら10周年も15周年も見落としてきてるから」と笑う。再演については「楽しみですよ。僕は『失われた時間を求めて』(2008年)くらいから、『はたらくおとこ』時代のお客さんに随分敬遠されたんじゃないかと思ってるんです。わざわざ難しいことをやってるみたいに言われるんだけど。そんなつもりはなくて。でも言われ続けるわけですよ。『圭史くんの作品、変わった』って。で、まあじゃあそういうのを1回景気づけにやるか、みたいな。やるなら面白くしますよ、当然ですけど。前回以上の作品にしたいなって思うし。ギャグもやりますよ。この『はたらくおとこ』に笑いは絶対必要だから」再集結するキャストについては「みんな多分、阿佐ヶ谷スパイダースがどうとかっていう考えではないと思うんですよ。『はたらくおとこ』をどう面白くするかっていうことだけで向かってくると思うから。有意義なクリエイションができることは確信しています。でもまあ会ってみないとわからないですね。なんか盗賊みたいな人たちが1回わかれて、もう1回集まるみたいな。そういう感じあるんですよ(笑)。それも、集まって同窓会するんじゃなくて、同じかそれ以上のことしようっていうんですから。その盗賊が成志さんとかまことさんでしょ?おかしいよね(笑)」公演は11月3日(木・祝)から20日(日)まで東京・本多劇場にて。その後、福岡、大阪、仙台など全国6か所を巡演。取材・文:中川實穗
2016年09月08日2011年1月、ロンドンに留学中の阿佐ヶ谷スパイダース主宰・長塚圭史が手にし、号泣しながら読んだという三好十郎作の戯曲『浮標(ぶい)』。「万葉の時代から続く日本人の思想が全体に表現され、それでいて古臭くなくてセリフがモダン。そして知的。これを是非上演したいと強く思った」と語る長塚。帰国後、自身のソロプロジェクト葛河思潮社の第1回公演として2011年に上演。その後に起こった東日本大震災で日本が大きく揺らぐ中、翌2012年に東京、仙台で上演。こちらも大きな反響を呼んだ。3度めとなる今年は、神奈川を皮切りに西日本を中心に回り、三好十郎の出身地・佐賀での公演も実現。葛河思潮社『浮標』チケット情報「上演したら4時間になるらしいと聞いてたので、まずは自分が本読みで“久我五郎”をやったんですが、そこでも大泣きして(笑)。どれだけ好きなんだって話ですけど。それで自分の中でイメージが一番近かった田中哲司に台本を送りつけて。そしたら『これ、もし演るのだったらギャラなんていらない』と言われて。俺は何ていい人に声をかけたんだと(笑)。でも実際にやりだしたら、彼がみるみる痩せていったんですよ。初演は特に地獄だったみたいですね」日中戦争の影が忍び寄る時代を舞台に、自己の芸術を信じる洋画家・久我五郎(田中哲司)が、肺を病む妻の美緒(原田夏希)を看護しながら貧困と闘う姿を描く本作。 セットは木枠に敷き詰められた砂のみ。そのシンプルな舞台で繰り広げられるのは「生と死」だ。「生きる事とは?というテーマを徹底的に解剖する約4時間(1幕75分、2幕55分、3幕90分)。一瞬に人が死んでいく戦争というものを背景にしながら、美しい言葉を感じながら生と死に対する思考ができる。こんな豊かな時間はないと思います。久我夫妻と対峙する、市井の人々の生き方やセリフも素晴らしくて。4時間というと長く感じられるかもしれませんが、実際観てくださった方からは『あっという間だった』という感想を多く頂き、戯曲の力、そして役者の力も実感しましたね。こんな劇があるんだ、という事を知ってもらえたら嬉しいです」。劇作家としても、この三好十郎作品との出会いを大きかったと語る。「これまでの自分の作品に対する愛はもちろんありますが、劇作に対する考え方が大きく変わったかもしれないですね。これからまた、阿佐ヶ谷スパイダースの以前の作品を上演したりするのですが、そこにも影響があるかも。こんな風に後世に残せる作品を書きたい気持ちが強くなったと思います」今回で田中哲司の出演は最後になるらしく、長塚本人が寂しくて仕方ない、と嘆く。「ああ、あと何回だなあと終わる度に切なくなってます(笑)。今回3回めにして、よりよく熟成されたというか、言葉の輪郭みたいなものがより深く出せるようになりました。是非、新たな感動を味わって欲しいですね」公演は今後、三重、福岡、佐賀、東京で上演。チケットは発売中。
2016年08月17日長塚圭史のソロプロジェクト葛河思潮社の第五回公演『浮標(ぶい)』が、8月4日に神奈川で開幕した。本作は、1940年に初演された三好十郎の戯曲で、葛河思潮社の公演全5回のうち3回上演している作品。日中戦争の影が忍び寄る時代を舞台に、洋画家・久我五郎(田中哲司)が、自己の芸術を信じ、肺を病む妻の美緒(原田夏希)を看護しながら貧困と闘う姿を描く。舞台セットは、黒い木枠の中に白い砂が敷き詰められた、砂場のような造り。両側に椅子が並べられ、出演者は出番以外もその椅子に座り、砂の上で繰り広げられる芝居を見つめる。死にゆく妻を必死で看病する男・五郎を演じるのは、田中哲司。葛河思潮社の本作初演から3度目の出演で、最愛の妻が生き延びられるならどんなことでもする、というギリギリの精神状態で、約4時間(1幕75分、2幕55分、3幕90分)を演じ切る。そして、病床の妻・美緒を演じるのは原田夏希。長塚演出作品は2作目で、本作は初めての出演。最初から最後まで寝たきりの状態、つまりほぼ上半身だけで、死を目前にした人間の揺れ動く感情を豊かに演じていた。夫婦のそばには、耳は遠いがおしゃべりで明るい“小母さん”がいて、五郎と共に美緒の看病をしている。そこに訪ねてくるのが、美緒の親兄弟や、金貸しの友人、大家、腕利きの医者、兵隊の友人らだ。彼らは、五郎に画壇の話をして圧力をかけたり、美緒の財産を譲るように画策したり、出征が決まって挨拶に来たりする。しかしだからといって、単純なヒールやヒーローにはならない。夫婦を困らせるために存在しているのではなく、彼らは彼らで生きていくために今この場面に登場していると感じさせるのだ。生きることはきれいごとでは済まされない。しかし、きれいなこともちゃんとある。さまざまな想いが幾重にも重なった芝居で、生きることと切り離せない“生々しさ”を際立たせる。命が終わりつつある美緒にねだられ五郎が詠むのは『万葉集』だ。言わずと知れた、日本に現存する最古の和歌集。約1300年前の歌が今も詠み継がれていることに、美緒に残された「生」を見つつも、やはり「生きる」ことの絶対的な価値を突きつけられた。公演は、8月7日(日)までの神奈川・KAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、愛知、兵庫、三重、福岡、佐賀、東京にて上演。取材・文:中川實穗
2016年08月10日長塚圭史さんが約10年ぶりに古田新太さんと組んで舞台『ツインズ』(PARCO PRODUCE)を描く。このコンビといえば、岸田國士戯曲賞候補にもなり、傑作との呼び声の高い舞台『ラストショウ』のタッグ。しかし数年前から、長塚さんはそれまでの作風を封印し、脚本家というより演出を主軸にした舞台作りへとシフトしている。ただ今度の新作は、人間関係はグロテスクで、過激な描写もありながら、どこか哀切さを感じさせる、“長塚節”が発揮された物語になるらしい。脚本家・長塚圭史が帰ってきた!と、思い切って言ってしまおう。古田:そろそろまた一緒にやりたいね、ってとこから始まったんだよね。長塚:うん。その会話のなかで、古田さんから「家族の嫌な話を書いてくれ」という要望が出てきて…。古田:だってオイラ、ほっこりとか、そういういい話に興味ないもん。あと、いちファンとしては、圭史がかつて描いていた“父親ってほんと腹立つ”とか“兄妹って気持ち悪いよな”っていうような感じ悪いものを見たかったってのもある。長塚:(笑)。ここしばらく、芝居の可能性を追っかけたい時期が続いていたんだよね。演劇をやっていくうえで、そこを素通りしては先に進めない気がして。でも、こうやって古田さんにチャンスをもらったことで、この間に培った要素を使って、嫌な話を(笑)、昔とはまた違う形で面白くできるのかなと思って。古田さんから、現代においての家族っていうテーマをふられたので、いまの僕が思う家族のあり方を、どっちかといえば甘くない視点で描いたんです。終末的な世界だけど、非常に日常的なやり取りのなかで人間の怖さを感じさせるような恐怖劇。古田:表層的には不気味な話なんだけど、読了感は意外にも「家族っていいね~」だった(ニヤリ)。長塚:そうなんだよね。互いにいがみ合って、何も和解してなくても食卓を囲むのが家族だから。古田:オイラと(吉田)鋼太郎さんが、めちゃくちゃ仲悪い兄弟だったり、結構バイオレンスな部分もあるんだけど。そういや圭史は、最初の話し合いの段階から、鋼太郎さんを呼びたいって言ってたよな。長塚:古田さんとの2ショットがどうしても見たくて。だって…ふたりが兄弟だったら鬱陶しいじゃない。古田:脂っこいオジさんふたりだからね。鋼太郎さんとは、お酒好きで女好きってところで共通項もあるし(笑)、酒場ではたまに顔を合わせるんだけど、がっつり芝居するのは20年前のラジオドラマ以来。で、今回一緒にやって、鋼太郎さんは剛腕投手だってことがわかった。長塚:そうそう(笑)。古田:すごい変化球を投げるんだけど、じつは本人は全然狙ってないっていう(笑)。でも、それが確実にストライクになる。オイラはキャッチャータイプだから、一緒にやっていて、すっげー面白れぇの。長塚:今回、手練れな役者さんたちばっかりだから、変な機微を端折っても、ちゃんとゴールに辿り着ける安心感がある。極端な飛躍もできるし、試してみたいことが次々と出てきて、僕もすごく楽しいですね。◇information 海辺の大きな家で、その家族は一見穏やかに暮らしているように見えていた。しかし、そこに東京から次男とその娘が帰省してくると、徐々に不穏の色が濃くなっていく―。12月6日(日)~30日(水)渋谷・パルコ劇場作・演出/長塚圭史出演/古田新太、多部未華子、りょう、石橋けい、葉山奨之、中山祐一朗、吉田鋼太郎全席指定9500円U‐25チケット6000円 (観劇時25歳以下対象、要証明書)パルコ劇場 TEL:03・3477・5858www.parco-play.com大阪、北九州、長岡、松本公演もあり◇ながつか・けいし作・演出・出演を担う演劇プロデュースユニット・阿佐ヶ谷スパイダースと、ソロプロジェクト・葛河思潮社を中心に活動。俳優としても、ドラマ、映画などで活躍。◇ふるた・あらた劇団☆新感線所属。来年1月放送のドラマ『坊っちゃん』(CX系)、1月公開映画『信長協奏曲』、2月公開映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』などに出演。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2015年12月02日はじめまして。Leonis&Co.とトランスコスモスという会社で、消費行動やモノの売り方の研究をしている伊藤圭史と申します。本連載では、小売・流通やデジタルマーケティング領域で注目されているキーワードや気になったニュースをテーマに、私なりの観点で解説していきたいと思っています。第一回は、近年、小売・流通業を中心に大きな注目を集める (しかし、実はイマイチよく理解されていない)「オムニチャネル」というキーワードについて考えてみたいと思います。○オムニチャネルとは?(原義で言うと)オムニチャネルとは、「自社チャネルを統合することで、いつでもどこでも商品を購入することができる環境を整備する経営戦略」です。例えば、店舗で見た商品をあとからスマホで買えるようにしたり、ネットショッピングをしても店舗の会員カードのポイントを貰えるようにするなど、店舗とネットの行き来を促進するようなサービスがオムニチャネル戦略の代表的な施策となります。オムニチャネルが注目を浴びるようになった背景には、消費者の消費行動の変化があります。企業はこれまで、「実店舗で買ってもらうこと」を前提として戦略を組み立てていました。例えば、家電量販店は人が集まる場所に店舗をおき、地域にあった品を揃え、チラシを撒くというのが当たり前の展開でした。近年、スマホやITが普及・定着化してきたことで、消費者は自在にチャネルを使い分けるようになりました。このような消費者は店舗に来てくれなかったり、店舗に来ても気になった商品をメモしてカカクコムで買ってしまいます。その結果、米国では、書店業界2位のBorders Groupや家電量販店業界2番手のCircuitCity、Radio Shackなど大手小売業が相次いで倒産に追い込まれてしまいました。この新しい消費行動への対応方法に各社が頭を悩ませるなか、急速に業績を伸ばしたのが「オムニチャネルリテーラー宣言」を行った米国大手百貨店「Macy’s」でした。○Macy’sの成功が、オムニチャネルに注目を集めたMacy’s の戦略は非常にシンプルで、「Macy’sが持っているものであれば、いつでもどこでも買ってもらえるようにする」ことにより「お客さまにとって一番便利なお買物方法」を目指す、というものでした。例えば、「店頭で見かけた商品をあとでスマホからも買えるようにする」といった施策で、色々なチャネルを行き来する消費者にとっての利便性向上を図っています。(オムニチャネルという言葉は、「お客様にいつでもどこでも買ってもらえるように自社の販売・流通チャネルを統合する」という考え方から来ています)この戦略は新しい消費行動を好む消費者から強烈な支持を集め、Macy’s は、2009年からわずか6年で売上を20%増、営業利益率を約2倍に伸長させることに成功しました。また、同社のECサイトは、40億ドル以上 (日本円で4000億円以上)の売上を誇るまでに成長しています。このように Macy’s が成果を出したことで、彼らが掲げていた「オムニチャネル」は、長年の悩みを解決する画期的な戦略として注目を集めるようになりました。○オムニチャネルは、企業それぞれオムニチャネルという言葉は、Macy’sが新しい消費行動に対応するためにとった戦略として注目を浴びたわけですが、それはあくまでもやり口の一つであり、(当然)そのまま処方してすべての会社に効く万能薬というわけではありません。オムニチャネルという言葉が流行した結果、多くの会社が「とりあえずチャネルを統合しよう」という動きをしましたが、本当に成果が出ている会社はこの言葉に引きずられず、オムニチャネルを一つの手段として参考とし、自社のお客様を見つめなおすことに専念している会社です。そういった意味で、私は、オムニチャネルを検討する際には原義にこだわらず、「スマホ時代の消費行動に対応することを目的とした経営戦略」と捉えておくべきと考えています。(あるいは、オムニチャネルという言葉を外してしまってもよいかもしれません)○オムニチャネルは、業種を超えて注目すべき取り組みに消費者の行動の変化に対応するための戦略であるオムニチャネルは、当然、最も消費者と近い位置にいる小売・流通業が先駆的な役割を果たしていますが、最近は、メーカーや金融業など、幅広い業種に拡がりを見せ始めています。例えば、欧州の銀行では「利用しているチャネル数」が顧客生涯価値 (顧客が一生に支払う金額)と関連性があることに着目し、より多くのチャネル利用を促進するような取り組みを始めています。今後、新しい消費行動が浸透していくにつれ、広義での "オムニチャネル" は益々重要性を増していきます。本連載でも関連した動きを取り上げていきたいと思いますので、是非ご注目いただければと思います。○執筆者紹介伊藤 圭史Leonis & Co.共同代表および トランスコスモス オムニチャネル推進室 室長上智大学卒業後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現 : 日本IBM)に入社。2011年12月、オムニチャネルに特化したシステムとコンサルティングサービスを提供するLeonis & Co.を設立する。その後、オムニチャネルの専門家として通信会社や百貨店、電鉄などさまざまな企業を支援。現在は、トランスコスモスグループのオムニチャネル推進支援サービスの中核企業としてオムニチャネルマーケティングシステム「OFFERs」の提供を主軸とした展開を行っている。
2015年05月29日伊藤英明が人気コミックを実写映画化する『テラフォーマーズ』で主人公の小町小吉役を演じることが明らかになった。伊藤は「この映画がどこまで世界に通用するか楽しみ」とコメント。原作者の貴家悠は、「間違いなく今世紀日本最高峰の筋肉映画となるでしょう…!!映画化………やれます!!」と期待を寄せている。その他の画像『テラフォーマーズ』(作・貴家悠、画・橘賢一)は、週刊ヤングジャンプで連載中のSFアクション・コミックス。火星を舞台にゴキブリが進化した生物=テラフォーマーと人類の戦いを描く。原作コミックスは、現在12巻まで刊行されており、累計発行部数は1100万部を突破。“このマンガがすごい!2013”オトコ編で1位を獲得している。伊藤は「最初は“火星に行く”という設定があまりにも壮大すぎて一度は断ろうと思ったのですが、監督が三池(崇史)さんだったことと、原作がとても面白かったこともありこれはぜひやりたいと思いお受けしました」と言い、「三池組は朝から夜まで寝ずに撮影し、妥協しないので、それがまた始まると思うと…正直嫌ですが(笑)、本当に楽しみです」とコメント。伊藤とは『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『悪の教典』『喰女 -クイメ-』などでタッグを組んできた三池監督は、「逆境にこそ伊藤英明は光る。だから、史上『最凶の火星』に送り込もうと思っている。故に、この作品は世界で最高に輝く映画になる」と語り、原作者の橘賢一も「これほど人類を救うのが似合う男が他にいるでしょうか。屈強な肉体。優しくて力強いその眼差しはまさに小町小吉!スクリーンの中で暴れまわる日本原産オオスズメバチを今から楽しみにしています!!」とコメントを寄せている。本作の脚本は、劇団☆新感線の中島かずきが手がけ、ストーリー設定やキャストなどは順次発表される。撮影は5月中旬より開始され、アイスランドなどで撮影が行われる。『テラフォーマーズ』2016年公開
2015年05月01日伊藤英明が主演するWOWOWの連続ドラマW「罪人の嘘」と、大ヒット海外ドラマ「SUITS/スーツ3」のコラボ企画が決定。伊藤さんが、「SUITS/スーツ3」第11話に登場する水泳選手マイケル・フェルプスの日本語版吹き替え声優としてアフレコに挑戦したのだ。連続ドラマW「罪人の嘘」は、躍進し続ける悪名高い高級弁護士の栄光と闇を描いたリーガルサスペンス。主演の伊藤さんのほか、滝藤賢一や木村佳乃、中村蒼、松重豊、筒井道隆、仲代達矢など豪華キャストが脇を固める本格社会派ドラマだ。一方の人気海外ドラマ・シーズン「SUITS/スーツ」は、ニューヨークの大手法律事務所を舞台に、ハーバード・ロー・スクール卒で自信家のカリスマ弁護士ハーヴィー・スペクターと、そのアソシエイト(助手)になった驚異的な記憶力を持つ青年・マイクのコンビが、困難な訴訟に挑んでいくスタイリッシュ・サクセスストーリー。全米USA局で昨年より放送された第3シーズンをWOWOWが日本初放送する。“法律”というテーマを描いた、この日米の2作品。「罪人の嘘」で悪名高き高級弁護士を演じる伊藤さんが、法律事務所を舞台にした海外ドラマ「SUITS/スーツ」の大ファンということから実現した今回のコラボ企画。伊藤さんは、「SUITS/スーツ3」第11話(8月25日放送)に登場することで話題の水泳選手マイケル・フェルプス役(本人役の出演)の日本語吹き替え声優として特別ゲスト出演する。すでに、カリスマ弁護士ハーヴィー(声:桐本琢也)と同僚のデーナ・スコット(声:甲斐田裕子)、マイケル・フェルプス(声:伊藤英明)が一堂に会するシーンのアフレコも収録済みだとそう。また、本企画と連動したスペシャルWEBページも本日からオープンし、番宣映像も7月20日(日)から放送予定とのこと。連続ドラマW「罪人の嘘」は8月31日(日)スタート/毎週日曜22:00~(全5話)※第1話無料放送海外ドラマ「SUITS/スーツ3」は毎週月曜23:00~(吹替)/毎週火曜0:00(字幕)※伊藤さんが出演する第11話「父への思い」は、8月25日(月)放送予定。(text:cinemacafe.net)
2014年07月17日伊藤英明が3月25日(火)、都内で行われた出演作『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』の完成披露試写会に出席した。伊藤さんは劇中で“ふんどし姿”を披露しており、現場では共演する長澤まさみにも、その勇姿を見せつけたのだとか…。直木賞作家・三浦しをん氏の「神去なあなあ日常」を映画化した“林業”青春ストーリー。完成披露試写会には伊藤さん、長澤さんに加えて、主演を務める染谷将太、子役の升水柚希君、矢口史靖監督が駆けつけた。映画のクライマックスに、村の男たちがふんどし一丁で伝統の祭りに臨むシーンがあり、伊藤さんだけでなく、染谷さんもふんどし姿に…。「なかなか慣れなかったですね。まあ、食い込むわけですよ」と染谷さん。一方、伊藤さんは「そりゃ、恥ずかしいですよ」とふり返り、「でも、現場にはオレたちの憧れ、長澤まさみがいるわけですよ。これは超えないといけないなと(笑)」。そこで伊藤さんは、あえて長澤さんの前で、物を拾ってみたりし、ふんどし姿を見せつけたそうだ。当の長澤さんは「やめてくださいって言いましたよ」と赤面。それでも「祭りのシーンはすごく神聖で、みなさんの男気がカッコよく見せた」とも話していた。主人公は高校卒業したての18歳、平野勇気(染谷さん)。生まれ育った都会から遠く離れ、山奥の村で林業に従事することに。携帯も繋がらない、コンビニも無い、若者もあんまりいないと“ないない尽くし”の環境で、林業の魅力に気付いていく姿を描いている。染谷さん&主人公に林業を叩きこむ“林業の天才”を演じた伊藤さんは、ほぼスタント無しで、大木を切り倒す「伐倒」や、20メートルにおよぶ高所での「種取り」などを実演。染谷さんはチェーンソーを自在に使いこなすまでに成長したという。「楽しかったですね。割とチェーンソー、うまいんですよ。高いところも好きなので、いい映像が撮れました」(染谷さん)、「チェーンソーは難しかった。何より数十年も生きている木を切り倒すのは、緊張した」(伊藤さん)。また、長澤さんは山に生き、男たちを見守るヒロインを演じ「男勝りな女性なので、髪型だったりメイクだったり、普段気にすることを気にしないようにした」。ほぼノーメイクで登場するシーンも多々あり、林道を大型バイクで走り抜ける場面も。「運転はすごく難しかった」と話していた。『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』は5月10日(土)から全国で公開。(内田涼(cinema名義))■関連作品:WOOD JOB!~神去なあなあ日常~ 2014年、全国東宝系にて公開
2014年03月25日劇作家・演出家で俳優としても活躍する長塚圭史が、2009年の英国留学後に立ち上げた「葛河思潮社」。国内外の名戯曲を取り上げ、ワークショップやリーディングを含めた稽古で作品づくりを目指す、長塚のソロプロジェクトだ。一昨年と昨年(再演)に上演した『浮標』(三好十郎作)は、休憩を含めて4時間という長丁場ながら、緊張感あふれる劇場空間を示して高い評価を得た。第3弾となる『冒した者』も、同じ三好の長編戯曲。演出と出演を兼ねる長塚と、『浮標』に続き『冒した者』でも主人公を演じる田中哲司に話を聞いた。舞台『冒した者』チケット情報みたび三好作品に挑むことになった理由を、長塚はこう語る。「初演の『浮標』で三好さんが描く“死を前にした生の物語”の力をつくづく感じました。東日本大震災の後に再演した時、その想いは一層強まって、もっと多くの人に三好作品を体感してほしいと思った。今回の『冒した者』は、主人公の妻の最期を描いた『浮標』の後に書かれていて、内容も作品世界の“その後”を思わせるもの。どちらも私小説ならぬ“私戯曲”ながら、『冒した者』は三好さんのもうひとつの魅力である社会への冷徹な批評眼が作品を覆っているんです。もしかしたら『浮標』よりも、演じる側は手こずるかもしれないですね」妻を亡くした主人公の“私”(田中)は、戦争で焼け残った大きな屋敷に、数組の家族と共同生活をしている。旧知の医師・舟木(長塚)や亡き主の庶子である柳子(松雪泰子)、株屋の若宮(中村まこと)、管理人の浮山(吉見一豊)、盲目の少女モモ(木下あかり)ら、住人たちの仲も悪くない。そんなある日、“私”を慕ってたびたびやってきていた須永(松田龍平)が、フラリと屋敷を訪れる。須永の秘密は、やがて住人たちの隠された現状に影響を及ぼし…。「僕が演じる“私”は、妻を亡くした後に屋敷へ引っ越してきた作家で、今は“死んでいるのか生きているのかわからない”状態なんです。幕開きの膨大なセリフも、モノローグなのかト書きなのか曖昧で、途中から住人たちの説明が入ったりする。その振れ幅の大きさというか、自由さがすごく面白いんです。ただなにしろ“度が過ぎている”と感じる長さなので必死です」と話す田中。だがその表情は、言葉とは裏腹にどこか楽しんでいるようだ。長期的な視点で作品に携わる「葛河思潮社」。すっかり長塚組ともいえる田中が「圭史くんとは一緒に作っていく楽しさがある」と言えば、長塚も「哲司さんは経験も技術もあって、でも新しいことには一緒に乗っかってくれる貴重な存在」と返す。「『浮標』に続いて出ていただく松雪さん、ずっと一緒にやりたかった松田さんと、キャストも揃いました。『葛河~』の作り方は確かに面倒くさいけれど(笑)、それだけ豊かさがあると信じています」と話す長塚。演出家と俳優が名戯曲に真っ向から対峙することで作られる、芳醇な舞台。観る側としては、こんなに贅沢なことはないだろう。9月5日(木)からKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ、9月20日(金)から東京・吉祥寺シアターにて。ともに現在先行販売中。
2013年07月23日長塚圭史主宰のユニット・阿佐ヶ谷スパイダースが、豪華キャストを得て約2年ぶりの新作「シアターコクーン・オンレパートリー2013+阿佐ヶ谷スパイダース『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』」を発表する。山田風太郎の歴史小説『魔群の通過』をベースに長塚が作・演出を手掛ける本作は、幕末期の水戸藩に実在した尊皇攘夷派・天狗党の残党である“さいみ党”の報復を描く。原作では天狗党の悲劇の後日譚として語られているに過ぎないさいみ党をフィーチャーし、オリジナルのキャラクターや設定を交えた長塚流の異色時代劇となる。第二次世界大戦後の世界からやって来る青年・長谷川作太郎役の小栗旬と、さいみ党大将の武田金次郎役・小日向文世に話を聞いた。『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』チケット情報両者とも長塚作品には、念願の初出演となる。「長塚さんとは飲み仲間で、出たいとずっと伝えていたんです。特に(プロデュース公演ではなく)阿佐ヶ谷スパイダースに参加したかったので、やっとできるという感じですね。阿佐ヶ谷スパイダースの前作『荒野に立つ』の作風がすごい好きで『こういうのがやりたい』と言ったら、『こういうのでいいんだな?』と確認されましたけど(笑)。今回どうなるのか、楽しみです」(小栗)。「僕は前にも何度か声掛けていただいてたんだけどスケジュールの都合で実現しなくて、ようやく一緒にできるタイミングが来たなって。長塚君は、直接話した印象ではものすごく物腰の柔らかい楽しい人。でも作品からは、僕の勝手な思いだけど、心の中のドロドロとかが見えるような気がする(笑)。見えない部分を、きっとまだいっぱい持っている人だよね。こういう人の作品作りに参加したら楽しいだろうなと思っていました」(小日向)ソフトな印象の下に凄みを垣間見せるというところに長塚との共通点を見出せそうな小日向は、凄惨な復讐に己の正義を見つけようとする男を演じる。「こういう血生臭い殺戮が実際にあったって初めて知ったんですけど、『長塚君、やっぱりこっち(こういう題材)にくるんだな』って。ますます楽しみ」と、台本の完成を心待ちにする。対する小栗演じるのは、原作にない長塚創作のキャラクター。「前の舞台(『髑髏城の七人』)からちょっと間が空きましたけど、アイドリングなしでイケそうです」と準備万端の彼が、数奇な運命を背負ってタイムスリップし、武田(小日向)の復讐劇に巻き込まれてゆく青年の心情をいかに表現するか。長塚と実力派キャストが今描き出す、“報復の連鎖”の行方を見定めたい。公演は、5月5日(日・祝)から26日(日)までBunkamuraシアターコクーンにて。チケットぴあでは、いち早プレリザーブを2月17日(日)18:00まで、プレリザーブを2月19日(火)11:00まで受付。取材・文:武田吏都
2013年02月15日小栗旬が来年5月、『髑髏城の七人』以来2年ぶりに舞台出演する。作品は、山田風太郎の異色の歴史小説『魔群の通過』を原作に、長塚圭史が書き下ろす新作『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』。小栗と長塚は今回初顔合わせとなる。小日向文世など『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』出演者の写真維新前夜、尊王攘夷の志を胸に決起し、京を目指した水戸藩天狗党の過酷な行軍を描いたのが原作。舞台では天狗党の残党による復讐集団、さいみ党にスポットを当て、目的も志も見失い復讐の幽鬼と化しながらも尚、正義を求める男たちの姿を描いていく。共演に小日向文世、白石加代子、小野武彦ら実力派を揃え、来年5月、東京・Bunkamuraシアターコクーンで上演。■「あかいくらやみ~天狗党幻譚~」日程:2013年5月5日(日)~26日(日)予定※その後、大阪公演も予定。会場:東京・Bunkamuraシアターコクーン出演:小栗旬、小日向文世、白石加代子、原田夏希、小松和重、古舘寛治、横田栄司、福田転球、中山祐一朗、伊達暁、長塚圭史、中村まこと、大鷹明良、小野武彦他チケット発売:2013年2月24日(日)
2012年12月14日伊藤英明が主演する映画『悪の教典』の公開に先がけて、BeeTVでは15日(月)より映画の前日譚を描いたドラマ『悪の教典-序章-』が配信される。それを記念して伊藤のインタビュー動画が届いた。インタビュー動画映画『悪の教典』は、高いIQを持ち、生徒から絶大な人気を誇る高校の英語教師・蓮実聖司(伊藤)が、サイコパス(反社会性人格障害)として想像を絶する計画を遂行していく過程を描き出すサスペンス劇。ドラマ『…序章』は、映画で描かれる凶行の前夜までを描き、蓮実がいかに悪の本性を隠し、聖者の仮面で学園を支配していったのかを明かしていく。映画を手がけた三池崇史監督が監修を務めたドラマ『…序章』は、アメリカの投資銀行で働いていた蓮実の人物背景を描くにあたり、ドラマの中で重要なシークエンスとなる回想シーンの撮影をニューヨークで敢行。インタビュー動画で伊藤は、「(ドラマも映画も)どちらもうまく伏線がはってあるので、ドラマを見て映画館に行って頂いても良いですし、映画を見てからドラマに戻って頂いても楽しめる作りになっていると思います」とコメント。撮影での苦労や、ベストセラー小説『悪の教典』を映像化した映画とBeeTVという今回のプロジェクトに取り組んだ意気込みなどを語っている。『悪の教典-序章-』「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」&「BeeTV」で10月15日(月)から配信開始予定アクセス方法:ドコモの携帯から【iモードならBeeTV】iメニュー>動画>BeeTV【スマホならVIDEOストア】dメニュー>dマーケット>VIDEOストア powered by BeeTV『悪の教典』11月10日(土)全国東宝系ロードショー
2012年10月09日昨年1月に上演され、大きな反響を呼んだ長塚圭史・演出の『浮標』が今秋再演される。『浮標』は戦前から戦後にかけて活躍した劇作家、小説家の三好十郎の傑作戯曲で、初演は1940年だった。70年以上も前の戯曲だが、長塚はそこに新たな命を吹き込み、観客を大きく突き動かした。再演では、主人公の久我五郎を演じる田中哲司など一部は初演と同じキャストだが、新しく松雪泰子、木村了などが加わる。改めて本作に取り組む長塚に話を訊いた。『浮標』チケット情報「初演の時、稽古に入るだいぶ前に、上演時間を計るために少人数で本読みをしたんですが、その時僕自身が久我五郎のパートを担ったんです。そしたらもう気持ちがぐらぐらになってしまって。(読むのが)とても大変だったんだけれど、それくらい、強烈な戯曲なんです」。物語の舞台は、1930年代末の千葉県郊外の海岸。ここで暮らす洋画家・久我五郎は、病気の妻を懸命に看護しているが、貧困にあえぎ、画壇からは遠ざけられ、さらに唯一の親友は戦地へ送られようとしている。妻の容体は悪く、余命は短い。全ての支えがなくなろうとする中、五郎は自らの芸術、人生、生命と死を根源まで突き詰めていく。「大切な人が目の前で消えようとしている時に、徹底的に生きることを見つめ、現実とも真摯に向き合う五郎のエネルギーがすごい。そして画家としての五郎を通して浮かび上がる三好十郎という劇作家の魂を前に、自分だったらと考えてしまう部分もありましたね」。長塚は、1930年代へと観客を誘うため、ひとつひとつの役、背景についてなど全員でディスカッションを繰り返す稽古を行った。「最初はみんな驚いてました(笑)。ところが途中から、どんどん発言するようになってきて。今回もこの方法は実践しようと思います。俳優がイメージを広げておかなければ成立しないんです、特にシンプルな抽象的セットの中でこうした芝居をやろうと思ったら」。砂と回廊を使う舞台美術などは前回と基本的に変わらないが、これには長塚のある思いが込められている。「劇というのは、何か大きなセットがなくても成立するのではないかと。とりあえず俳優がいるというところから始まる、そうした根本的なところに立ち返ってみたいと思ったんですね。何もない空間から何かが生まれて来るなら、演劇も捨てたもんじゃないなって。それは、観客の想像力を信じることでもあります。青空と言ったら、俳優も観客も青空が見える、そこにないものを思い浮かべる力を一緒に体験してほしいと思う」。長塚と俳優たち、さらには観客との相互作用で、『浮標』の世界がより濃厚に立ち上がることだろう。公演は9月20日(木)から30日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットは8月11日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは7月22日(日)18時まで先行先着・プリセールを受付中。取材・文:沢美也子
2012年07月20日オフィシャルブログで秘訣を公開AAA(トリプルエー)のメンバーで、モデルや女優として活躍したこともある伊藤千晃。パフォーマンスはもちろんだが、白い美肌がとても印象的な美しさも彼女の大きな魅力の一つとなっている。そんな彼女が、31日のオフィシャルブログで、自身の美肌の秘訣を公開した。「美肌の作り方」と題して更新したブログによると、秘密は、日々の生活に合わせて作りとりいれる、特製のミックスジュースなのだそうだ。バイブルはこれ!そのミックスジュースをつくる際に、彼女が日々愛用し、参考にしている本があるという。そうして紹介されたのが、保健同人社から発刊されている「美肌タイミングジュース」という本だ。この本は皮膚科・内科医の友利新氏によるもので、料理研究家で栄養士、インナービューティースペシャリストである関口絢子氏が制作・監修を手がけている。発刊以来、テレビメディアや美容関連誌などでも多く取り上げられ、注目されてきたものだ。このなかでは、生理周期や季節変化に応じて変化する肌状態をふまえ、ホルモンバランスを整える栄養素を、肌が欲しがる栄養をジュースで適切に補ってあげれば、美肌がキープできるとし、年間を通じたレシピが紹介されている。伊藤もその効果を実感できており、かつダイエット効果も望めるので、参考にしながらジュース作りを続けているそうだ。これを受け、ブログ読者らからも、自分も参考にしてみたい、欲しいといった声が多数上がっている。美肌のためのジュースがさらに人気を高めそうだ。元の記事を読む
2012年06月01日2010年4月9日に永眠した井上ひさしの70近い戯曲の中から8作品を、蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、長塚圭史の4人が演出し、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』として開催されることが決定した。なお、長塚は井上戯曲初挑戦となる。『十一ぴきのネコ』チケット情報このフェスティバルは、2011年11月16日に井上ひさしが77歳の誕生日を迎えることを祝い、2012年に喜寿のフェスティバルとして開催を予定していたが、趣向を変えて“生誕77年のフェスティバル”として開催することとなった。生前、井上ひさし自身もこのフェスティバルについて「それは、大変おもしろいね」と楽しみにしていたそうで、今回、井上戯曲とつながりの深い演出家や、生前に親交のあった関係者らが協力する形での実現となる。なお、フェスティバル参加作品は以下のとおり。公演は1年を通じて上演される。・長塚圭史…『十一ぴきのネコ』紀伊國屋サザンシアター1月・鵜山 仁…『雪やこんこん』紀伊國屋サザンシアター2月、『芭蕉通夜舟』紀伊國屋サザンシアター8月・栗山民也…『闇に咲く花』紀伊國屋サザンシアター4月、『藪原検校』世田谷パブリックシアター6月、『組曲虐殺』天王洲・銀河劇場12月・蜷川幸雄…『しみじみ日本・乃木大将』彩の国さいたま芸術劇場7月、『日の浦姫物語』Bunkamuraシアターコクーン11月チケットは東京・紀伊國屋サザンシアターの『十一ぴきのネコ』が10月29日(土)より発売。上演スケジュールは2012年1月10日(火)から31日(火)まで。その他の公演は詳細が決定してからの発売。
2011年10月11日