「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが毎週異なるテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「つなぎ彼氏」。本命の彼氏ができるまで、とりあえず間をつなぐ彼氏をつくる女性のこと。恋愛に慣れたモテ女性のように思われるが、じつは独りでいることに耐えられない寂しがり屋かも?「つなぎ彼氏がいる女性はアリですか?」と男子100人にアンケートすると、当然のように81%がナシと回答しました。土田さんのご意見は?***失恋したら、すぐにでも次の恋愛!といきたいけど、年をとるにつれて結構しんどいもんですよ。彼氏のいない時期がつい長くなって「いまさらオトコなんてさ~」なんて言ってしまうより、つなぎでもなんでも、恋愛している方がいいんじゃないですか?つなぎの彼氏ができる人は、基本モテるんでしょうね。想像ですけど、容姿がキレイな人というより、なぜか不思議とモテる人ってイメージ。特定の彼氏以外の男性への接し方がうまかったり、ちょっとした所作がかわいかったり。オトコ側も、容姿はそこそこだからそんなにモテないだろうと油断していたら、すぐ次のオトコに乗り換えられたりして。なおさら魅力的に見えたりね。相当な恋愛体質なのでは!?でも、間口が広くて経験値が高いってことは、人を選ぶ能力も高いわけで…。あまたのオトコを取り込む、一種の能力ですね。きっと同性からのやっかみはすごいんでしょうけど、やっかむ方が僕はイヤですね。経験値を高めるためにも、つなぎ彼氏を持ってみる練習を一度してみたらいいんじゃない?◇つちだ・てるゆき芸人。『この差って何ですか?』(TBS 日曜19:00~)、『日曜のへそ』(ニッポン放送日曜12:00~)、『そうだ旅に行こう。』(テレビ東京)ほか、出演番組多数。※『anan』2015年9月16日号より。写真・ y-studio文・神保亜紀子
2015年09月15日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「マイルドヤンキー」。地元に根ざした若者。小・中学校からの友人関係を継続、地元で就職、早婚、親との同居など、現代の一般的な若者の志向と正反対の彼ら。そんなマイルドヤンキーについて土田さんはこう話します。* **まず、このネーミングがよくない!育った町に住み続ける若者ってエライなと思うんですよね。一度は都会へ出て…っていう思いはあったかもしれないけど、理由はどうあれ、地元にとどまって、根を張って生活するのはすごくいいことだと思うんです。わが町を発展させるも廃れさせるも自分たち次第。自分の住んでいる町に愛着を持って、真剣に町の将来を考えることが、日本全体を考えることにも繋がるわけだし。マジメな話、今の日本にとって最も重要なことだと思いますよ。都会がすべてじゃないです。都会に出れば何かがある、なんていうのは妄想。いい加減古いですよ。埼玉県出身の僕が言うのもなんですが、僕自身、東京に対する憧れが全然ない。何区に住みたいとか、どこぞの高層マンションに住みたいとか、そういう願望もない。仕事上、東京に住んでいるけど、そうじゃなければ、地元に住みたいですよ。第一に、実際に東京に住んでいる人は田舎から出てきた人たちが大半。マイルドヤンキーなんて呼んでいる人こそ、田舎者なんですよ!※『anan』2015年9月9日号より。文・神保亜紀子写真・Electra-K-Vasileiadou
2015年09月07日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回はデートでも恋愛でもセックスでも、男に誘われることで“女”であることを感じられる「誘われたがる女」。30歳を過ぎても、変わらず誘われたいと願い、待ちの姿勢を貫く女性をどう思うか、男子100人にアンケートしました。するとナシと答えたのは59%。誘われ待ちは、かまってちゃんとも近い印象なのか、敬遠されがち。そもそも、本当に魅力的な女性なら、自然と誘われているはず。土田さんのご意見は?* **きっと、基本きれいな女性なんでしょうね。20 代の頃はちやほやされて、誘われるのも当たり前だったんでしょう。だから、いつまでも女であることを感じていたいとか、男から誘うべきだとか、「誘われる=女として見られる」的な、20 代からのセオリーがあるんでしょうけどね。でも、30 歳を過ぎても男から誘われたいっていう考えはキビシイ。申し訳ないけど、その時期はもう終わりました。特に、女性の30代って1歳ごとに刻む年代だと思うんですよ。31歳は、まだなんとなく20 代とさほど変化なく過ごせる。35 歳になると、結婚や出産を現実的に考えなきゃいけなくて、39 歳にもなるともっと重くのしかかってくる。男性から見たって、30 代半ばの女性とは気軽には遊べないですからね。今まで声をかけてきてくれていた男にこだわらず、いっそのこと新規開拓して対象を変えてみたらどう?なんなら、僕らがよく集まる若手芸人の会なんかおもしろいですよ。自分の知らない世界って楽しいし、意外とモテるかもしれないしね!※『anan』2015年8月26日号より。文・神保亜紀子写真・Casarsa
2015年08月25日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回は男子100人に「決められない、優柔不断な女性はアリですか?」とアンケート。すると、優柔不断な態度は相手をイライラさせるだけ…とばかりに、ノーの男性が半数近くにも。即断できないのは女性に限らないのでは?では、「決められない女子」に関して、土田さんの意見はいかがでしょうか。* **ネガティブ思考は誰にでもある要素ですよね。優柔不断だし、曖昧な態度も取るし、気も使う。どっちつかずになってしまうのは、しょうがないことですよ。ただ、アラサーにもなれば、ある程度の取捨選択もできて、判断力もそれなりについていていいはず。度が過ぎる優柔不断さんは、ちょっと困りモノですね。結局、こういう人って、一見ほわっとしているようだけど、ただ単に我が強いだけ。優柔不断をタテにしているにすぎないんじゃないの。「私、ネガティブな性格だから…」って、深刻な悩みのようだけど、本人がそう思い込んでいるだけだと思いますけどね。たとえば、AかBか決められない=ネガティブと考えるんじゃなくて、選択肢がいくつもあるって考えたらどうですか?その方が次に行きやすいですよ。ちょっといいなと思う人が2人いたら、2人に接近しちゃえばいい。本当に好きな人を探している過程だと考えれば、別に尻軽なんかじゃないと思うし。もうそう簡単にときめく年齢じゃなくなってくるんだし、選べるうちに決断すべきです!◇「決められない女子」は恋愛において自分がどうしたいのか、何を求めているかが曖昧。きっぱり断ることもできず、本音も言えず、頭の中で悶々としてしまう女性。ネガティブ思考な面も。※『anan』2015年8月5日号より。イラスト・3rdeye文・神保亜紀子
2015年08月05日注目のイットガールが登場する連載。第10回のゲストは、「カロリーメイト」のCMでも話題になった女優・平祐奈さん。デビューは小学生の頃。是枝裕和監督の映画『奇跡』のオーディションに家族が応募したことがきっかけだった。「バレエやフィギュアを習っていて表現することが好きだったし、お姉ちゃんの影響もあり演技に興味はありました。小学生でデビューするとは思っていませんでしたが…」。“お姉ちゃん”とは、女優の平愛梨さん。6人きょうだいで、祐奈さんは末っ子。「兄と姉はみんな人生のお手本。でも家族全員O型で自由人だから、集まると大変。話と笑いが止まらず、口が開きっぱなしになります(笑)」◇たいら・ゆうな1998年生まれ。ヒロイン役で出演している映画『青鬼ver.2.0』が公開中。CM「カロリーメイト」「JAバンク兵庫」にも出演。ブログは◇休日は映画観賞。月10本くらい観ます。「特に好きなのは『ローマの休日』。オードリー・ヘップバーンが素敵!」◇一眼レフのカメラで風景を撮るのが好き。「これはお正月のレインボーブリッジ。朝焼けがきれいだったんです」◇ハマっていることは御朱印集め!「仕事で京都によく行くので、空いた時間に神社やお寺を巡っています」※『anan』2015年7月15日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子
2015年07月09日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「カラ恋」。カラダから始まる恋愛のことで、男子100人にこの「カラ恋」についてアンケートをとったところ、55%が「アリ」、45%が「ナシ」と回答しました。これについて、土田さんの意見は?***これははっきり言って「年」だから!もちろん男側にはヤレればいいと思っている輩がたくさんいますよ。でも、最初はエッチ目的だったけど、「やっぱりあのコ、いいコだったな…」なんて、真面目につき合いたいと思うこともあるだろうから。30 代にもなれば、このパターンなんじゃないですか。わざわざ「ではつき合いましょう」なんていうスタートは重たいし、流れに身を任せるほうがスムーズだったりしますから。大人の恋ですから、ね。つき合うまではいかないけど、エッチはしたいっていう女性もいますよね。「彼氏はいないけど、男はいる」ってきっぱり言える女性は、むしろ清々しいなって思いますし。自分の中でうまくバランスをとればいいんです。この場合は、“カラダ確認”だから、“カラ確”ですけどね…。恋愛にルールはないから、こういう恋があってもいい。やれる人たちは、やればいいんです!自由恋愛をもっと謳歌してもいいはず。むしろ、恋愛のハウツーやらルールを奨励するほど、恋愛に億劫になっちゃうのかもよ!?※『anan』2015年7月8日号より。文・神保亜紀子(C)LifesizeImages
2015年07月02日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「炎上系女子」。SNSで自分の恋愛やプライベートを露出しすぎたために、批判を受けてしまう女性のこと。何を言われても頑なに意見を曲げない姿勢が問題視されることも。そんな炎上系女子について土田さんはこう話します。***炎上している女性って、けっこうな肉食系だと思いますよ。「人は人、私は私」という典型。ネット上でもなんでも、自我を貫くことに躊躇なし。少数の人に支持されていればいいっていう開き直りがあるから、ある意味強いですよね。きっとその強がっている感じが、同性からすると鼻に付いてイヤなんでしょうね。で、叩くという行為に出てしまう。それを総じて“ひがみ”って言うんでしょうけど。男からしても、叩かれる脇の甘い女性が好みかというと、むしろ眼中にないですよ。男ウケは悪いでしょうし、モテの要素はない気がしますけど。女性が女性を叩いているのを、男は対岸の火事のように遠巻きに見ているだけですから。でも皮肉なことに、そうやってひたすら炎上させようと、一生懸命薪をくべることが、結果その人の話題を振りまいていることになるんですけどね。一番効果てきめんなのは、まったく興味を示さない、一切触れないことなんですよ。まぁそもそもネット上の話なんて興味ないからなぁ。ネットでごちゃごちゃ言っていること自体が僕はキライです。※『anan』2015年6月3日号より。文・神保亜紀子(C)deeeoblue
2015年06月02日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「ありのまま女子」。映画『アナと雪の女王』から流行った言葉“ありのまま”より、自分を解放して開き直る強さを身につけた女性の呼び名に。これに対する土田さんの意見は?***昨年の流行ワードを踏まえて、アラサー女性が自分を解放する暴挙に出はじめた!?僕自身、『アナ雪』は観てないけど、歌くらいはなんとなく知っています。けど、そんな趣旨の歌でしたっけ?「ありのままの私を受け入れて」なんて言っちゃってるんですか。じゃあ、相手の“あるがまま”も受け入れられるってことでいいんですよね? というか…、これ、ただの開き直りですよね。ありのままっていう言葉を、自分勝手に解釈しているだけでしょう。もっと言えば、自己プロデュースができない自分を正当化しているだけですね。自分の感情にブレーキがかけられない、コントロールできない時点で、もう大人じゃないですよ。人間社会で協調性をなくしたら、どうしようもないですよね。もっとタチが悪いなって思うのは、“ありのまま”スタイルをアピールしてくる人。相当キライですね。つくづく、人に対する気遣いって大切だと思うんです。みんな気を使いあって生きて いるんです。それができないなら、無人島で一人、ありのままに生きればいいんですよ。※『anan』2015年5月27日号より。文・神保亜紀子
2015年05月21日本誌の連載「あなたがいいならそれでいいけど」で、フラットな目線と語り口でアラサー女性の事象ワードを切る、お笑い芸人の土田晃之さん。 月刊誌で連載していた、サラリーマンからの悩みに答える連載が一冊の“ビジネス書”としてまとめられた。そのタイトルも『納得させる話力』。なるほど、出演しているテレビ番組での土田さんは、「いかに説得力があるか」「いかにふつうの話をおもしろく語れるか」というポジションのことが多い。その話力にいつも納得させられ、時にはユーモアを交えた熱っぽい語り口にひきこまれてしまう。 そんな“トークのプロ”土田さんだが、実は子供時代はとてつもなく人見知りだったという。 「恥ずかしがり屋で人前に出るのがすごく苦手でした。でも、小学校の卒業アルバムにも書いているんですが、お笑い芸人にはなりたかったんですよね。なぜかって、僕、根がおもしろかったんですよ(笑)。でも、クラスの先頭に立って何かやるかというと、面倒くさい、恥ずかしいで何もやらなかったんです」 そんな土田さんが芸人を目指して入った専門学校時代に、転機がやってきたという。 「タレント科っていうところに在籍していたんですけど、そこには歌手、レポーター、お笑い志望など、いろんなタイプのヤツがいたんです。このままじっとしていたら輪から外れてしまうと思って、片っぱしから話しかけていったんですよ。どうやってみんなの輪に入っていくか、自己プロデュースできるかどうかが、そこで試されたんです」 いまや芸歴20年以上。人間交差点のような芸能界で培ったスキルは、初対面の人との接し方から話題のふりまき方、プレゼン術、説明が苦手…などのビジネスから対人関係まで、コミュニケーションにおけるさまざまな悩みを解消するヒントとなって、本書にちりばめられている。 「どんな仕事の場でも、必ず人との接点がありますよね。そこをどう磨いていくか、どう自分に取り込んでいくか、なんです。初対面の人が苦手…、みんなそうですよ。だって、 相手のことを知らないんですから。 苦手じゃない人はこの世で、(明石 家)さんまさんくらいです!でも、誰もが持っている苦手意識って、ちょっとしたコツだったり、見方を変えることで、解消されることが多いと思うんです。この本の中で『ふーん』って思えることがあれば、参考にしてもらって、あとはどう思ってもらってもいいですよ」 つちだ・てるゆき芸人。『直撃LIVEグッディ!』(フジ月~金曜13:55~)金曜レギュラー、『そうだ旅に行こう』(テレ東火曜18:57~)レギュラーはじめ、出演番組多数。 トーク、交渉、プレゼン、コミュニケーション…。人間関係において大事な「話し方」のコツを、トークのプロらしい語り口で指南したビジネス書。実践テクニック編では、“ひな壇芸人”の本領を存分に発揮。双葉社926円 写真・土佐麻理子 ※『anan』2015年5月20日号より
2015年05月19日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。 今回のテーマは「涙婚」。意識的に涙を流す“涙活”などを通じて、泣きのツボが同じ異性を見つけて結婚するというもの。価値観が同じ人と結婚したい人にとっては注目の婚活になっているようですが、土田さんはこう話します。 * ** 涙のツボが同じ人を見つける婚活があるんですか。感動のツボが同じ=価値観が同じだと…?僕はそうは思いませんけどね。価値観が一緒の人が結婚相手としてふさわしいかというと、そんな甘いものじゃないですよ。 そもそも、涙のツボが同じっていうデータひとつだけで価値観が一緒だと決めるのも、どうなのかな。ツボにしたって、長く一緒に生活していたらだんだん好みや趣味嗜好は変わっていくんでしょうから。 人って、気持ちが盛り上がっていれば泣けちゃうんですよね。泣ける映画は、だいたいの人が泣くでしょう。そこで泣けない人は、逆に反感を買っちゃったりして。感動するって、けっこう簡単なことだと思うんですよ。こう見えて僕も、意外と泣くタイプだし。スポーツ選手の引退とかノンフィクションに弱いんですよ。ただ、自分の意志で泣きたいとは思いませんけどね。 まぁ、涙活がひとつの入り口になるならOKじゃないの。ただ、泣こうが泣くまいが、結婚してから一緒に生活することの現実のキツさは、まったく関係ないですからね! ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月08日東京オペラシティ アートギャラリーで「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」が開催される。期間は4月18日から6月28日まで。この展覧会では現代アートのコレクターとして名高い、精神科医の高橋龍太郎のコレクションを紹介。草間彌生、舟越桂、名和晃ら52作家、約140点の作品がかつてない規模で出展される。その中には、名和晃平が高橋のために制作した「PixCell-Lion」など、今回が初公開となる作品も見ることが出来る。なお、展示会名の「ミラー・ニューロン」とは、他者との共感や模倣行動を司るとされる、脳内の神経細胞を指す単語。これを、高橋は日本のアートと文化を考えるキーワードとして用いた。日本の現代アートにおける“なぞらえ”の手法が、現代アートにおける“模倣”や“引用”などの世界的潮流のみならず、“見立て”や“やつし”といった日本の伝統的な美意識にも通底していることを表している。4月18日と5月24日には高橋によるギャラリートークを開催。当日は多くのアーティストがゲスト出演者として参加する。更に、5月16日には名和晃平と、美術ジャーナリストの鈴木芳雄による対談が行われる予定だ。【イベント情報】高橋コレクション展 ミラー・ニューロンTAKAHASHI COLLECTION:Mirror Neuron会場:東京オペラシティ アートギャラリー住所:東京都新宿区西新宿3-20-2会期:4月18日から6月28日時間:11:00から19:00(金曜日・土曜日は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,200円大高生800円休館日:月曜日(5月4日は開館)
2015年04月02日東京、谷中にある銭湯を改築し1993年にオープンしたギャラリー「スカイザバスハウス(SCAI THE BATHHOUSE)」で、名和晃平の個展「FORCE」が開催される。期間は3月7日から4月18日まで。名和晃平はプリズムシートや発泡ポリウレタン、ガラスビーズなどを用いた作品で知られる現代アーティスト。最先端の3Dテクノロジーや化学的なアプローチを駆使したオブジェは、表層のテクスチャーにおける情報量を増幅させるとともに、その素材特性を最大限に引き出している。観察者の知覚体験によって現代彫刻の新たな可能性を示すとともに、その一方で希薄化していくオブジェの実体を対比させ、デジタル社会における存在のリアリティーを問いかけてきた。今回の展示会では三つの新作が発表される。そのうちの一つ、インスタレーション「Force」では黒いシリコンオイルが雨のように降り、床の所々に黒い池を構成。一定方向に高速で流れ続けるオイルは、独特の粘性と重力によって空間に配置され、液状化した彫刻作品を完成させる。一方、平面作品「Direction」シリーズは、垂直に張ったキャンバスの上端から顔料を滴らせたもの。モノクロームの反復、自律的な階調が強いコントラストを生む。また、「Moment」では顔料入りのタンクを振り子にして、インクの軌跡を円心状に錯綜させながら、画布を動かすことで局所的なカオスを発生させた。【イベント情報】FORCE会場:SCAI THE BATHHOUSE住所:東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡会期:3月7日から4月18日時間:12:00から18:00休館日:日・月曜日(3月21日は開館)
2015年03月03日2015年1月、京都にある彫刻家・名和晃平が主宰するプラットフォーム「サンドイッチ(SANDWICH)」でファッション撮影が行われた。モデルは松岡モナ。フォトグラファー・鈴木親が、名和制作の全高約4.8mに及ぶ、松岡をモチーフにしたアート作品と共に生身の彼女を次々にシューティングしていった。2014年最も活躍した日本人モデルであろう、松岡。撮影を終えたばかりの彼女にモデルという仕事を聞いた。ここ数年の躍進は目覚ましい。転機は二つある。「モデル事務所『イマージュ(image)』に所属したことと、伊勢丹新宿店リモデルのミューズに選ばれたこと」という。「2年前の伊勢丹リモデルビジュアル撮影で、カメラマンの篠山紀信さんと初めて出会いました。紀信さんは、変態おじさん(笑)。だけと、女性の魅力を引き出すのはすごく上手。1カット数枚しか撮らないので、すごくスピーディーな撮影なんです。でも、完成した作品を見た時、短い時間だったけど実は構図などすごく考えて撮影していたことに気づかされました」と当時を振り返る。イマージュに入ってからは、海外での仕事が増えた。そして、海外ブランドのコレクションショーに出られる16歳になった2014年春夏シーズンでは、「ケンゾー(KENZO)」「シャネル(CHANEL)」「ミュウミュウ(MIUMIU)」など、名だたるブランドのランウエイを歩くことになる。凛々しく大舞台をウォーキングする彼女を、まさに世界中の人が目にすることとなったのだ。コレクションシーズンが始まると1ヶ月に渡り、オーディション、キャットウォークと、移動を繰り返しながら各国を回るハードなスケジュールが続く。プロのモデルとして、慣れない土地での食事やスキンケア、モデルなりの体型維持には気をつけているという。普段から肌の保湿を欠かさず、食事もオーガニックなものを取ったりしているそうだ。「最近はケールを食べるようになりました。青山のTHREE CAFEにあるケールのサラダもお気に入りだし、ファーマーズマーケットで見つけた野菜を使って自分で料理することもありますね」■自分に負けないことモデルの仕事は「ショーに行くまでの準備期間が大事」と語る彼女。ランウエイショーはわずか15分ほどの間に50近いルックが現れる。モデル1人ひとりにとっては、一瞬ともいえるウォーキングの瞬間。その一刻における緊張感は計り知れない。どうメンタルをコントロールしているのだろう?「私の大好きな人が見ているから、という思いが強くしてくれます。例えば、アナ・ウィンターの目に触れる機会だし、他にも有名な編集者やカメラマンとかいろんな人が見に来る場だから、その人達が見ていると思うことで頑張れる」とを強い意志を垣間見せる。そんな彼女が表現者として憧れる女性は、「小学生の頃から水原希子さんが憧れです。それから、シャルロット・ゲンズブールも尊敬しています。また、最近一緒に撮影をした沢尻エリカさんも大好きになりました。人間らしくて、自分を持っている素敵な女性で、自然体で話せたことが嬉しかった」と撮影時のエピソードを交えて話してくれた。これからの活躍がますます楽しみな松岡。彼女自身も「自分がどれだけ自分に負けないかが楽しみ」とにこやかに、しかし確かな口調で話してくれた。「時間があればどんどん新しいことをやってみたい。将来色んな仕事ができるように、そのための勉強です」と締めくくった。
2015年02月14日伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越で、アートを通じて東日本の復興を支援するプログラム「KISS THE HEART」を開催している(チャリティー募集期間は2月17日18時まで)。三越伊勢丹グループが主催する同プロジェクトは、国内外で活躍するアーティストの作品を上記各店ショーウインドーで発表し、展示終了後にインターネットを通じてチャリティーオークションを行う社会貢献事業として2012年にスタートした。チャリティーオークションの収益金は、東日本大震災被災地の子供達を支援する活動として、姉妹校である東北芸術工科大学と京都造形芸術大学が教育支援を行うプロジェクト「こども芸術の家」に消費税を除く全額が寄付される。2015年より新たな企業メッセージ「this is japan.」を掲げる同社。今回3回目となる同プロジェクトのテーマは誕生から400年を迎える日本の伝統美術・琳派に着目し、「LOVELY RIMPA」とした。プロデューサー後藤繁雄がキュレーションした9名のアーティストの「扇面アート作品」が各店のショーウインドーを彩る。伊勢丹新宿店では、現代美術家の名和晃平、フォトグラファーの鈴木親、デザイナーの仲條正義、画家・絵本作家のミロコマチコ、フォトアーティストの赤石隆明。日本橋三越本店では、ファッションデザイナーでITSジュエリー部門グランプリ・スワロフスキー賞の受賞も記憶に新しい中里周子、ガーデンデザイナーの吉谷桂子。銀座三越では、現代美術家の鬼頭健吾、椿昇がそれぞれ参加している。アート作品の展示期間は、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店が2月16日、銀座三越は2月15日まで。展示会終了後に行われるオークションの応募受付は、「KISS THE HEART」特設サイト()にて2月17日18時まで随時行っている。販売価格は3万円。
2015年01月30日中川晃教らが出演するトップシンガーとトップダンサーによるショー「THE SHOW INFECTED “CONNECTION”」(3月19日(木)から東京・天王洲 銀河劇場にて)に、河村隆一がスペシャルシンガーとして出演決定。THE SHOW INFECTED “CONNECTION”チケット情報また、アフタートークイベントも3月20日(金)昼公演と21日(土)夜公演終演後に実施される事が決まった。アフタートークイベントにはキャストの中川、蓮水ゆうやが出演。さらに20日(金)にはショーの構成・演出・振付を手がける大澄賢也と、河村隆一も登場する。同ショーは2部構成。1部では『白鳥の湖』の楽曲を様々なアプローチで歌い踊りながら男女のドラマを描き、2部ではボブ・フォッシーなどのミュージカル曲やマイケル・ジャクソンの楽曲などを現代風のアレンジも加えながら綴っていく。公演は3月19日(木)から22日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットの一般発売は1月24日(土)午前10時より。なおチケットぴあではインターネット先着先行「プリセール」を実施中、1月20日(火)午後11時59分まで受付。
2015年01月20日水戸芸術館の現代美術ギャラリーで「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」が開催される。期間は2月21日から5月17日まで。山口晃とは馬を模るバイクに武士を乗せるなど、個性的な芸術観で注目を集める画家。13年には「ヘンな日本美術史」で小林秀雄賞を受賞するなど、キャンバスには美術や歴史に対する批判精神が描き込まれ、そのタッチは大和絵や浮世絵を思わせる。細部を緻密に書き込む作風も有名で、『Tokio山水』シリーズといった都市の鳥瞰図、合戦図などを数多く手掛けてきた。今回の展覧会では大作『続・無残ノ介』が50m規模の大展示室に飾られる他、代表作『忘れじの電柱』が発表時とは別の形で展示される。その他、小道のような通路につながる各部屋には、それぞれに異なる山口の作品世界が広がり、その先には新作のインスタレーションが待ち受けるという構成だ。3月21日と4月19日には山口によるトークイベントが開催される予定。また、5月2日には「お絵描き道場」として、会場を訪れた人から提案されたお題を元に、山口がその場で絵を描き上げる。その他、3月7日から5月17日までは週末に、市民ボランティアによるギャラリートークも催される。【イベント情報】山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8会期:2月21日から5月17日時間:9:30から18:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(5月4日は開館)入場料:一般800円(中学生以下、65歳以上は無料)
2014年12月23日日替わりでふたりの実力派ミュージシャンを迎え、コラボレーションを繰り広げる3夜連続のライブ『I Sing~Versus~』を、2015年1月に開催する中川晃教。4か月ぶりのワンマンライブにして、自身にとって初のセッションライブとなるこの公演にかける意気込みを、本人が語ってくれた。今回の共演者は「テクニックが抜群なのはもちろんですが、一緒にプレイしながら“リミッターが外れる瞬間”をともに感じることができる方々ばかり。正直、展開が読めないんですけど、だからこそ絶対にすごいコンサートになるぞっていう予感がある」と自信をのぞかせる。セットリストは取材時点では未定だが、彼が近年展開している、クラシック音楽とポップスを融合させた“POPSSIC”を基調としながらも、フュージョン、ロック、ブラックミュージックなど、さまざまなジャンルを採り入れたバラエティ豊かなステージとなるようだ。「編成はシンプルだけど、いや、シンプルだからこそ、ユニバース(宇宙)を感じさせるような、壮大で深遠な音楽の世界を感じていただけると思います」。サブタイトルの『Versus』は、もちろん「中川晃教“vs”楽器(そしてミュージシャン)」を意味しているが、「実はもうひとつ、『中川晃教“vs”歌』、つまり僕が歌と対峙する、という意味も込められている」のだとか。「『I Sing』と銘打ったライブは今回で5回目ですが、過去4回、歌というものに正面から向き合ってきて、今改めて、歌うことの楽しさを感じているんです」。シンガーとして活躍する一方、ミュージカル俳優としても確固たる地位を築いているが「昔は、2足のわらじを履いている自分に少し引け目を感じていたんですけど、今はそんな不安はまったくなくなりました。むしろ、ミュージカルや芝居の経験が、自分の音楽性を広げてくれることも多々ありますし。やっぱり、歌こそが自分の核を成すものなんだと思いますね」と語る。そんな確信を得た彼にとって、この『I Sing』シリーズは、今や大切なライフワークとなっているようだ。「最近つくづく思うのは、歌という表現には“人生”がつきまとうものなんだなって。自分はこれまでどう生きてきたのか、なぜ自分は歌うのか、歌い続けるのか。歌には、そのすべてが表れる。それを僕自身が実感するためにも、そしてファンの方々に見届けていただくためにも、『I Sing』というコンサートは長く続けていきたいと思っています」。公演は1月16日(金)から18日(日)まで東京・日本橋三井ホールにて。チケット発売中。取材・文:泉 英一■中川晃教『I Sing~Versus~』1月16日(金)VS ベース&チェロ(渡辺等 and 結城貴弘)1月17日(土)VS ピアノ&キーボード(旭 純 and 大坪正)1月18日(日)VS ギター&パーカッション(鈴木英俊 and MATARO)
2014年12月17日そこは暴力や憎悪がはびこる凄惨な世界だが高橋一生は「美しい舞台になるはず。そこだけは確信を持っています」と語る。演出・白井晃の生み出す舞台『マーキュリー・ファー』の世界に飛び込むことに恐怖も不安もない。「いろんな感情が希薄になりがちな社会において、僕も含め現代を生きる人間が必要としている感覚に出会う瞬間があると思います」とうなずく。舞台『マーキュリー・ファー』チケット情報英国の作家フィリップ・リドリーによる戯曲の本邦初演。人間の本能をさらけ出し“第二のデヴィッド・リンチ”とも評される彼の面目躍如とも言える作品で、ある“パーティ”の準備をする兄弟とそこに集まる人々の物語が展開する。暴力的でグロテスクな描写の中から高橋が感じたのは本質的かつ普遍的な“愛”。「この兄弟愛ってすごく野性的で普遍的。動物がじゃれ合うように、傷つけることでしか表現できない愛ってあると思うんです。先行して凄惨な描写があるけど、その内側に『透明な暴力』というか、心臓が見えている状態で殴られるような感覚を秘めているホンですね」。リドリーはイラク戦争に対する怒りを込めて本作を書いたと演出・白井晃が語るように、随所に様々なメタファーが見られるが、高橋は「兄弟が巻き込まれていく現実が、決して自分たちと遠いものとは思わない」とも。「内なるところで僕らは既に“戦争”を抱えていて、それはもしかしたらイラクの戦争よりも残酷かもしれない。僕のこれまでの三十数年の体感として持っている戦争のイメージをイラクに飛躍させることはできないけど、そうせずとも戦々恐々とした感覚はいまの僕の中にあるはず。その感覚をまずは舞台上で試してみたいと思います」。演出の白井とは2012年の『4 four』(作・川村毅)以来2度目の仕事となるが、「美」への確信は白井の存在があるゆえ。絶対的な信頼を持った上で、前回、完全な“合致”を見せた互いの感性を「溶け合わせたい」とも。「白井さんが言う“白”にあえて違う“白”をぶつけて溶けあわせたらどうなるか?白井さんとならそうやって別次元に進める気がします。今年は大河ドラマをはじめ、映像での露出も多かったが、TVの中とは全く違う姿を舞台上で見せてくれそうだ。「作品を観たあとの感想は『分からなかった』でもいいと思う。いまの時代、分からないまま放置することが難しくなっているけれど、時間をかけて咀嚼してもらって、いつかふとした瞬間に『あぁ、そういうことか!』と感じてもらえたらいいなと思います」。舞台は2月1日(日)より東京・シアタートラムにて。その後、兵庫・福岡でも公演。チケットの一般発売は12月14日(日)午前10時より。撮影・取材・原稿:黒豆直樹スタイリスト:秋山貴紀ヘアメイク:Tetsuya Mori
2014年12月11日1930年に竣工された銀座4丁目の名古屋商工会館で、10月16日より『THEMIRROR』展がスタートした。11月9日までの開催期間中、1日400人限定、完全前売り予約入れ替えという斬新なスタイルを起用した同展は、80余年の歴史あるレトロ感満載の建物ならではの試みといえる。「Hold the Mirror up to nature. いまアートの鏡が真実を映す」のキャッチコピーと共に、かつてイギリスの劇作家・シェイクスピアが「芝居すなわち芸術とはこの世のありようを鏡に映し出すことだ」とハムレットに語らせたように、銀座に出現するスペース『THE MIRROR』も、次の時代の真実を映す鏡となることを主旨としている。建物は6階建て、展示面積は900平方メートル、18部屋。大御所から新進気鋭のアーティストまで、本展のコンセプトに基づき、1ヶ所に集結した様々な作品の展示は、各階ごとに異なる趣を醸し、観る者に異国を訪れたような驚きの連続を与えてくれる。展覧会タイトルのデザインは浅葉克己。1階エントランスの受付周辺のデザインは内田繁。足を踏み入れると、そこにはしなやかに動くガラスの生き物、イルカのように呼吸するガラスの物体が展示されている。生命体ではないのに、空気の働きによってあたかも生きているように動く作品は、小松宏誠と三好賢聖によって作られた。2階では、“自然の偉大さ”を空間いっぱいに表現したフランシス真悟の「枯山水サラウンディング」が出迎えてくれる。「視覚的、聴覚的に作った」という同作は、様々な色彩、動き、感情の詰まった水平線・地平線と、地上の現実音と人工音を組み合わせた独自のサウンドから成るもの。眺めれば眺めるほど、絵の中に包まれていくような心地良いスリルが体感できる。ロンドン在住のアーティスト・さわひらきによる映像作品は、本人の幽体離脱の体験を元にして作られたという。映像の映しだされるスクリーンの両脇にある鏡はスピーカー。暗闇の中、視覚と聴覚をじかに刺激され、幻想的な世界へと誘う。「ミュージアムショップ」は、小池一子のキュレーションのもと、トラフ建築設計事務所がデザインした小さなミュージアム。「ヨーロッパでルネッサンス期にはじまった博物館の原型“Cabinet de curiosite”でも、ワニは人気のアイテムでした。この空間にもワニがいることは面白い一致」と総合ディレクターの清水敏夫氏。タムラサトルの回転するワニの集合体「スピンクロコダイル・ガーデン・ミ二」他、ここに展示された作品は購入可能だ。同階に展示されている内田繁の茶室では、期間中、茶がもてなされる。銀座の喧騒の中におりたった静謐の空間はひときわ雅。THE MIRRORの建築に触発された作品を映像でみせるフロリアン・クラールの部屋も必見。建物の中にもう一つの建物をつくるという作家の発想を体感できるだろう。3階は見どころ満載。まずは、小池一子のキュレーションによる建築家・藤森輝信と写真家・ローランド・ハーゲンバーグの部屋。これまでにも木・草・土・炭など素材を単なる材料としてではなく、建築の意味そのものとして取り入れてきた藤森が掲げた今回のテーマは「コウノトリ」。スケッチ・ミニチュアの模型から実際の「鸛庵(こうのとりあん)」の制作映像を一挙公開。記憶を可視化する作家・土屋公雄や本展のためにフランスより来日し、現場での作品制作を行ったニコラ・ビュフ、タムラサトルの作品も展示。同階で最も印象深かったのは、名和晃平の部屋だ。記者内覧会の最中、「モーメント」と題された完成作品に囲まれる中、アーティスト本人は、本展のための壁画「カタリスト」の制作真っ最中だった。構図など計画的なものは何ひとつなく、「今この場で思いつくままに創っています」と同氏。4階は、「人間と自然の関わりをさまざまな作家の作品を通じて考えるフロア」。自然を撮る写真家、韓国のベー・ビヨンウや刺繍による美的世界を生み出す宮田彩加他、森万里子、神馬啓佑、尾関幹人、渡辺元佳、流麻二果、畠山直哉、堂本右美など錚々たるアーティストの作品がずらりと並ぶ。中でも、山上渡による天変地異の前と後に描かれた二幅対の作品、「セカイノセカイ」と「通過儀礼」は際立っていた。「2011年3月11日に起きた大地震の前と後では、人々の現実をみつめる目は大きく変わりましたよね。僕自身も、それを表現するべく、動物と植物の中間にある粘菌をモチーフに、地震前のファンタスティックな世界から、より現実を見る視線を表現したいと思いました」(山上氏)。展覧会はいよいよクライマックスへ。5階の中央には、ブルガリとのコラボレーションで知られる世界的彫刻家、アニッシュ・カプーアによる逸品が展示されている。全宇宙を写し出し、飲み込むような、無駄を削ぎ落した銀一色の崇高な一作。その向かいには、四川省の山奥にあるチベットの画僧が描いたタンカが飾られている。「この作品には過去、現在、未来の仏が描かれており、同展に時間軸的広がりを与えている」と総合ディレクターの清水氏。わずか15歳で1917年に岸田劉生の絵画展に参加した宮脇晴による自画像の他、中西夏之の貴重な作品も。同フロアには、松岡正剛の屋根裏部屋こと「松岡正剛のブックウェア」が出現。「本を着るくらい、本にかこまれる」ことを主旨とした“ライブラリー”の空間には、松岡がセレクトした2000冊の本と共に、赤字ゲラ、ドローイングなど本にまつわる未公開資料を展示。屋根裏部屋なのに屋根はなく“五色の雲”で演出した隅研吾のデザインは実に粋。頂上の6階には、西野達による“ありえない空間”が実現されている。来たる11月2日、日比谷界隈にて“ミラーボールカー”なる作品と共に、街そのものをクラブに変えるイベントも行われる予定だ。同展の開催にあたり、「銀座グランドホテル」と「デミルクスビームス銀座」で特別展示も同時開催される。ベー・ビヨンウ、山上渡、渡辺元佳などのアーティストが参加予定。また「THE MIRRORレクチャーシリーズ」と題して、浅葉克己、隅研吾、高橋純、小池一子、松岡正剛などの講師を招き、アート&デザイン、銀座、松岡正剛、学習院女子大学アートマネジメント国際セミナーシリーズなど、多岐にわたるプログラムも満載。“鏡”を思わせるシルバー箔を施したヘソ(heso)によるスタッフのユニフォームにも、徹底したこだわりが見られる。期間中、1階では博物館明治村開村50周年記念『デザインの黎明』も開催される。今回は日比谷にあった『鹿鳴館』の家具、宮廷家具を展示し、黎明期のインテリアデザインを紹介する。【イベント情報】Hold the Mirror up to nature THE MIRROR会場:名古屋商工会館住所:東京都中央区銀座4-3-6会期:10月16日から11月9日時間:13:00から21:00休館日:月曜日前売り券:チケットA(13:00から17:00)1,000円チケットB(17:00から21:00)1,000円※各回限定200枚。完全前売り予約入れ替え制。会場での当日券の販売は行っていない
2014年10月16日仏シャンパンブランド「ドンペリニヨン(DOM PERIGNON)」は16日、現代アーティストの山口晃、「新世紀エヴァンゲリオン」などの作品で知られるアニメーションスタジオ「ガイナックス(GAINAX)」とコラボレーションした映像作品を国立代々木競技場第二体育館で披露した。この作品は、ドンペリニヨンとクリエーター達とのコラボレーションプロジェクト「Dom Perignon The Power of Creation - 創造する力」の一環。同ブランドは今までマーク・ニューソンやデヴィッド・リンチなどと協働している。今企画では日本の伝統的手法で描いた山口の絵を、ガイナックスがXsens MVNという最新技術を使って12分の映像作品にした。円環状のスクリーンに走馬灯のように投影され展示される。山口の過去の作品や新作などで構成されるその映像の中には、ドンペリニヨンの産地であるオーヴィエールの風景を山水画に描く山口の姿や、コンテンポラリーダンス集団「コンドルズ」の藤田善宏が踊る姿も映し出さている。発表会には、山口晃、ガイナックス代表取締役・監督の山賀博之、ドンペリニヨン醸造最高責任者のリシャール・ジェフロワの3名も参加。山賀氏は、「ドンペリニヨンの味にテーマを見出し、自然に創作活動に入ることができた。2月に山口氏と訪れたオーヴィエール修道院での体験をそのまま映像化しようと思った。山口氏とその作品を主役に、キーワードはジェフロワ氏から教わった"Intensity(強さ)"という言葉。そのイメージは桜の古木に託されている」と語る。山口氏は、「高校生の頃にDAICON FILM(ダイコンフィルム:ガイナックスの母体)を知り、その後もガイナックスさんの作品を見続けてきたので、今回山賀氏と一緒に仕事できたことをとても光栄に思う」と笑顔で挨拶。「ドンペリニヨンには力強さや複雑さ、繊細さなど相反する要素があるが均衡を保っている。まるでじわじわとしみとおって続く幸せのようなその均衡を作品にしようと思った。円環状のスクリーンは映像が回り、まるで酩酊しているような感覚にもなる。考えすぎず、考えなさすぎず、気持ちよく作品に向き合ってほしい」と話した。また、ジェフロワ氏は、「日本のトップクリエーターである山口氏と山賀氏の創造性に新しい表現の可能性を強く感じ、コラボをお願いすることになった。シャンパンも一つひとつがユニークなものであり、醸造とは今まであったものを壊して新しいものを作る作業。リスクを恐れないのが私達3人の共通項だと思う」と語った。作品は、YouTubeでも公開。また、同月26日から28日までの期間、東京ミッドタウンのセレクトショップ「リステア(RESTIR)」でも展示される。入場無料。
2013年07月18日佐々木蔵之介、溝端淳平、平幹二朗が出演する舞台、 二兎社『こんばんは、父さん』の制作発表が9月4日行われ、出演の3人と作・演出の永井愛が会見に登場した。二兎社「こんばんは、父さん」チケット情報物語の登場人物は男性3人のみ。たたき上げで財をなしたが、今では全てを失い借金とりから追われる70代の「父」を平が、その父と長年音信不通だった40代の「息子」を佐々木が演じる。溝端は父と関わりを持つ20代の若者役だ。会見で佐々木は「平さんは大先輩で(山の)頂のような方。しかもぼくのお父さんという役。半分平さんの血がぼくの中に入っている、DNAを受け継いでいると考えると、どうしたらいいのかなと思いますが、遠慮なく胸に飛び込んで父の愛に包まれようと思ってます」と抱負を語った。溝端はさらに恐縮した様子で「雲の上のような大先輩の平さん、蔵之介さんと共演させていただけて、本当にぼくでいいのかと、そわそわ緊張しています。永井さんから愛のあるダメ出しをしてもらい、しっかり成長していきたい」と話し、意欲を見せた。平は台本を読んで「ぼくにはとても痛い作品でした」と語り、女優の佐久間良子と離婚後、息子で俳優の平岳大と離れていたことを思い出し「10年近く自分の息子に会えなかった時期があったので、(役の父の)痛みがよくわかります。会えなかった息子の立場も痛いほどわかるので、そのへんを頼りに役作りをしていこうと思っています」とコメントした。「3人の男性がひょんなことをキッカケに自分の人生を振り返る芝居を書きたいと思っていた」と話す永井。これまで多くの印象的な女性像を描いてきた永井にとって、男だけの3人芝居は初の試みとなる。また、この公演は永井が主宰する二兎社と公立劇場5館が共同で制作する。5館は作品づくりをサポートし、制作資金の確保を二兎社と共に計画する。共同制作する劇場は、埼玉・富士見市民文化会館キラリふじみ、愛知・パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)、愛知・豊橋市民文化会館、岩手・盛岡市文化振興事業団(盛岡劇場)、福岡・北九州芸術劇場の5館。公演は10月13日(土)のキラリふじみを皮切りに、3か月にわたり全国15か所で巡演する。東京公演は10月26日(金)から11月7日(水)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットは一部を除き発売中。
2012年09月06日中川晃教、白羽ゆり、神田沙也加、米倉利紀が出演するオフ・ブロードウェイミュージカル『I LOVE YOU,YOU’RE PERFECT,NOW CHANGE』が10月8日に東京グローブ座にて開幕した。開幕前日の7日には舞台稽古が公開され、出演者が会見にも応じ意気込みを語った。作品はオフ・ブロードウェイで12年間・5003回のロングラン記録を打ち立てた伝説のミュージカル。今回の日本公演では、オリジナル版の演出家であるジョエル・ビショッフが来日し演出、オフ・ブロードウェイ版の魅力を残しつつ新たな舞台を作り上げた。物語は、全18話からなるオムニバス・ストーリー。男女の愛をテーマに、恋愛未満、恋愛中、そして結婚後と様々な形の愛を紡ぎ出していく。アメリカ産らしい毒の効いたジョークやセクシー・ジョークもありつつも、全体的にポップで愛らしい印象を受ける舞台に仕上がった。シーンタイトルも「しゃべる男たちと聞いてるふりをする女たち」や「ラザニア事件」など、それだけでクスリとさせられる。それぞれの話に繋がりはないものの、男女が出会い、恋愛をし、結婚をし、子どもが生まれ……と人生のイベントに沿う形で18話が展開していくのも、お洒落だ。4人の俳優はシーンごとにまったく違う役を演じ分けていくが、それぞれはっきりとわかりやすいキャラクター造形で、しかも楽しそうに演じていたのが印象的。実力者揃いの4人が織り成すハーモニーも、聴き応えがある。舞台稽古後の会見で中川は、4人芝居の良さを「ケータリングのおいしいものがなかなかなくならなくて、そこが良い所」と笑いながらも、「4人で楽しくはじけて、最後はお客さんも『観てよかったな』、僕らも『やってよかったな』と一体感を感じられるミュージカル。最高です」とアピール。神田も「4人は年齢も経歴もこの世界に入った入り口も違う。その分自分が見たことのない景色や経験を持っているので、普段のおしゃべりでもすごく刺激を受けます。しかも性格や声の質などのバランスも奇跡的」と話した。公演は10月23日(日)まで同所にて。その後10月27日(木)には宮城・電力ホール、11月3日(木・祝)には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、11月5日(土)には福岡・キャナルシティ劇場でも上演される。チケットは発売中。
2011年10月11日