今日から、映画『喰女—クイメ−』が全国で公開されます!日本三大怪談の一つ『四谷怪談』をモチーフに、虚構と現実を交錯させつつ、男女の愛憎と狂気を描いたホラー作品。柴咲コウさんの特殊メイク、伊藤英明さんの丸刈り姿などが各方面で話題と期待を呼んでいますよね。「ゼッタイニ、ユルサナイ」というゾワゾワくるコピーもまた、お岩さんの強い怨念を彷彿とさせます。さて、この『四谷怪談』。もともとは、江戸時代の歌舞伎『忠臣蔵』のサブストーリーとして演じられてきたお話で、本来は登場人物も多く人間関係も複雑で、意外と長編だったりします。そのためか、大雑把にあらすじを語ろうとすると「夫に裏切られ、毒を盛られた女が、恨みのために幽霊となって夫をとり殺す復讐話」という印象だけが一人歩きしているような。まぁ、そこが最大の見せ場でもあり、怪談たる所以なのですが…。改めて読んでみると、まず、お岩さんの夫・伊右衛門のダメっぷりに開いた口がふさがりません。というか、話の前半はこの伊右衛門のダメ話が中心。・もともとは貧乏な浪人。仕事を得るあてもない。しかも公金に手を付けるコソ泥。↓・それをお岩さんの父に知られ、殺してしまう。↓・父殺しの犯人の「仇を討ってやる」とだまし、美しいお岩さんと半ば無理矢理結婚。↓・しばらくは仲睦まじく暮らすが、出産後やつれたお岩さんに冷たく当たるようになる。↓・隣家のおじいさんに「孫娘(美人)と結婚したら士官を保証する」と言われ、簡単に心変わり。↓・他の男にお岩さんを襲わせ、不倫をでっちあげて一方的に別れようとする。「相手の親を殺す」ってのはないにしても、こういう男って現代もいるよね、ネット上でよく見かけるよね…って思ったのは筆者だけではないでしょう。しかし、その間もお岩さんは耐えに耐え、夫に尽くすわけ。ひどい男とはつゆ知らず、お岩さんは伊右衛門を信じ、愛していたようです。産後に美貌が衰えたのだって仕方ないことなのに、きっと自分の不甲斐なさゆえと悔やんでいたはず。それだけに別の女に目移りした、あまつさえ自分を他の男に襲わせ、それを理由に離縁しようと仕組まれたと知ったときのショックといったら。もし自分だったら、毒を盛られずとも憤死しちゃうかも。事実を知り、狂乱したまま事切れた後、お岩さんの復讐が始まります。愛していたからこそ、許せなかった…だから報いた。死んでも叶わぬ想いをぶつけるには、そうするより他なかった。これは単なる裏切りへの『怨念』ではなく、女なら誰でも本来心に秘めている強い情念を、わかりやすく描写したに過ぎないのかもしれません。そう考えると、三池監督が寄せた「映画『喰女クイメ』は、恋する女性を応援しています」というコメントも、「ゼッタイニ、ユルサナイ」という怖ろしいキャッチコピーも、イメージソングが「難破船」(中森明菜さんの名曲、華原朋美さんがカバー)なのもうなずける気がします。ところで、この『四谷怪談』、様々な解釈で映画化やドラマ化をされているからか、原作とは違う内容で覚えている人もいるのではないでしょうか?原作では・お岩さんに毒を盛ったのは伊右衛門ではなく、隣りのおじいさん(孫娘と結婚させたくて、伊右衛門がお岩さんに嫌気がさすよう、顔が崩れてブスになる薬を飲ませた)。・お岩さんは毒殺されたのではない。狂乱してもみ合ううち、はずみで近くにあった刀で喉を切り、死んでしまった。・伊右衛門の直接の死因はお岩さんの妹の夫に仇討で切られたこと。他にも数多くのエピソードが盛り込まれ、登場人物の思惑が複雑に絡み合う人間ドラマとしても面白いので、興味のある方は原作を読んでみては。なお、お岩さんは実在の人物で現在もお墓が残っていますが、実は『四谷怪談』と直接の関係はないそうです。書かれたのはお岩さんの没後200年近く後になってのことであり、そもそもこの復讐劇は別の事件をモチーフに描かれているんだとか。お岩さんにとっては、実はちょっと迷惑な話なのかもしれませんね。ちなみに日本三大怪談の残りの二つは「一枚、二枚…」の『番町皿屋敷』と「から~んころ~ん」の『牡丹燈籠』です。どれも怖くて面白いですよ。落語や歌舞伎で楽しめるので、機会があったらチェックしてみてくださいね。(文=石村佐和子)ちゃんと見分けられますか?結婚に向いていない男の特徴【無料占い】
2014年08月23日市川海老蔵と柴咲コウをメインキャストに迎え、鬼才・三池崇史監督が「四谷怪談」をモチーフに描く映画『喰女-クイメ-』。6月20日(金)、大阪・梅田ブルク7にて完成披露会見が行われ、企画・主演の海老蔵さんと、共演の中西美帆が出席した。舞台「真四谷怪談」の伊右衛門役に抜擢された俳優・長谷川浩介(市川海老蔵)。浩介の恋人役で舞台「真四谷怪談」のお岩役を演じるスター女優・後藤美雪(柴咲コウ)。舞台に出演する男と女は、日常の繰り返しがいつしか愛と欲にまみれ、“芝居”と“現実”の絡み合いはやがて狂気となり恐怖のどん底へ。彼らを待ち受けるのは、愛の成就か、それとも残酷な闇か…。この日、会場には100人を超えるマスコミが詰めかけたが、海老蔵さんは「夏休みに楽しんだ男性は、夏の終わりに特に反省することが多いと思いますので、ぜひそんな男性に見てほしい映画が完成しました」とプレイボーイなコメントで会場を沸かせる。しかし、一方で「初めてのラブシーンに挑戦したのですが、中でも印象的だったのは、中西さん(※浩介が浮気する共演者・莉緒役)との車中でのキスシーン。こんなに可愛い姿からは想像もつかない積極的な感じだったので一瞬ひるんでしまいました。僕は歌舞伎役者なので、普段はラブシーンも男性との絡みばかりなので、女性との絡みは初めてでした。キスシーンを演じるのも戸惑い、そんなに直球でこないだろうと思っていたら、彼女があまりにも積極的だったのでとてもびっくりしました」とウブなエピソードを明かす。当の中西さんは、「海老蔵さんと初めてのラブシーンに挑戦し、最初はとても恥ずかしかったのですが、後悔の無いように思いっきりさせていただきました。三池監督が、グロテスクなシーンや、ラブシーンをイキイキと、少年のように演出されていたのがとても印象的でした。ただ、海老蔵さんが演じた浩介は、いち女性としてとても嫌です(笑)」と語り、記者陣を笑わせていた。そして、海老蔵さんは「映画『一命』で、三池監督と出会い、170年前に鶴屋南北が書いた「四谷怪談」をやりたいと話しました。僕の中では、人の心が変わっていくというのが恐ろしくて、そういう部分がこの映画にはたくさん描かれていると思います。ここで描かれている女性の怨念には、これからも気を付けて生きていきたいと思います(笑)」と締めくくり、最後まで笑いの絶えない会見となった。『喰女-クイメ-』は8月23日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年06月21日昨春の『ラスト』で全体公演に一旦終止符を打ち、充電期間に入ったワハハ本舗。実はその楽屋で、創立メンバー6名による新たなレーベル“完熟ワハハ”が始動していた。あえて客席数294のシアターサンモールを選んで5月末から上演される『太陽と恋とポッと出のベテラン』について、久本雅美と梅垣義明に話を訊いた。WAHAHA本舗PRESENTS 完熟ワハハ『太陽と恋とポッと出のベテラン』チケット情報柴田理恵の「年寄りだけでやってみない?」という提案に、久本、佐藤正宏、梅垣、すずまさ、なんきんが応じて誕生した“完熟ワハハ”。今回の公演のモチーフは、創立4年目の1986年に実際に起きたサンフランシスコ公演未遂事件だ。「生まれて初めてパスポート作って、お金も貯めていざ行こうってときになって、何だか怪しいぞって気が付いて止めたんです。それが案の定詐欺で。もし、あの時詐欺にひっかかっていたら……という設定はどうだろうか?とみんなで話しているところです。きっと劇団は解散になって、たとえば梅ちゃんは故郷でスナックやってたりとか、私はゆるキャラをやってるとか(笑)」と久本。主宰の喰始が「台本書きません。これからの役者は作家性がないと生き残れませんから」と宣言して以来、役者たちが話し合って作品を形づくるのがワハハスタイル。「あれが正解、これが不正解って自分たちで考えて、痛い目も見る。それが知らない間に自分の力になってたんだって、プロデュース公演をやってみて気付きました」と久本が話すと、梅垣も「外で仕事をするとワハハの良さがよく分かる。比べるものがあるから、30年ここにいられるんだと思う」と応じる。『太陽と~』のコンセプトを練るため、梅垣は1985年に下北沢ザ・スズナリで上演した第3回公演『底抜け』に目を通したという。「空気の密度が違うし、自分が桟敷席にいたらすごい緊張感だと思う。今でこそ僕ら、大きいホールでやらせていただいてますが、あんなにスマートでクールじゃないワハハもあるんですよ」。それを受けて「だから今回サンモールでやるんだもんね。ちょうどいいキャパだと思う」と久本。「せっかくだから、昔からのコアなワハハファンが“戻って来たね!”と思うようなことをやりたい、って私が言ったら、みんな乗ってくれました。50過ぎたおっちゃんとおばちゃんが(笑)、いよいよワハハの真髄をさらけ出しますんで、たっぷり味わっていただきたいです」公演は5月28日(水)から6月1日(日)まで新宿シアターサンモールにて。6月1日(日)16:00は追加公演。チケットは発売中。取材・文:山上裕子
2014年04月11日いまや老舗劇団として、また久本雅美や柴田理恵、佐藤正宏、梅垣義明など人気者が多数所属することでも知られるWAHAHA本舗。4月14日に東京・日本青年館で開幕した舞台『ミラクル』は、結成28年を経てなお攻め続けるWAHAHA本舗の底力を見せつけるものだった。WAHAHA本舗全体公演「ミラクル」チケット情報2006年の『NHK紅白歌合戦』で話題になった裸タイツをはじめ、梅ちゃん(梅垣)のシャンソンコーナーや、2009年入団の正司歌江、2010年入団のアジャ・コングが華を添えるネタもの、久本と柴田のここでしか見られない漫才など、その内容はバカバカしさとシモネタ満載。頭をカラッポにして思いきり笑えるステージだ。そして今回、『ミラクル』と銘打たれた公演のテーマは、なんと「祈り」。あの“大物歌手”のナレーションで幕が上がると、白いエンビ服を着た劇団員がズラリと登場。いつもなら、平均年齢45歳という彼らが必死に踊るダンスに笑うのだが、今回はなにやら違う様子だ。静かに流れ出す曲は、60年代のヒット曲『アクエリアス~レット・ザ・サンシャイン・イン』。全身で想いを表すような激しいダンスに笑顔はない。途中から座長・大久保ノブオが東日本大震災での記憶を、叫ぶように曲に重ねてゆく。元は若者たちの葛藤を描いた名作ミュージカル『ヘアー』のナンバー。思いがけず胸が詰まるような気持ちになるなか、オープニングが終わった。あえてストレートにこのシーンで始めたかったという、作・演出の喰始の言葉が大久保から紹介された後は、久本と柴田のMCも加わっていつもの“最高にくだらない”ステージに突入!その一発目が10年ぶりの復活演目だという「ハダカ影絵」なのだから、改めて振り幅の広さに笑ってしまった。全裸になった男性陣が、巨大な布の向こうで下半身(前張りナシ)を存分に利用した影絵を披露。プリミティブアートのような大らかさに、恥ずかしそうにしていた女性客も思わず爆笑。その後も趣向を凝らしたコーナーが20種ほど、10分の休憩を挟んで3時間たっぷり続く。意外にも本公演では初めてという、梅ちゃんが豆を鼻から飛ばしながら歌う『ろくでなし』や、久本のツッコミと柴田のボケが冴え渡るヘビメタ漫才、裸タイツの女性キャストと女装着物姿で日舞を舞う男性キャストのコラボなど、笑いの連打に客席も大喜び。中でも“綾小路ひさまろ”(久本)の独り身女性漫談は、テレビで見かけるそれ以上にひねりが効いて秀逸。お客様のリアルな不幸エピソードを読み上げ、客席まで行って励ますミニコーナーと共に、“バカでもダメでもいいじゃない”という弱者への共感とエールが、ひしひしと伝わってきた。公演は4月21日(土)の東京・オリンパスホール八王子、6月15日(金)から24日(日)まで東京・天王洲銀河劇場ほか、全国各地で7月8日(日)まで開催。チケットは一部を除き発売中。取材・文:佐藤さくら
2012年04月19日久本雅美や柴田理恵などが所属するWAHAHA本舗。2012年の全体公演となる『ミラクル』が4月14日(土)の東京・日本青年館を皮切りに、全国19か所で上演される。2月20日には代々木公園陸上競技場にて『ミラクル』の成功と、WAHAHA本舗所属である猫ひろしのオリンピック出場を祈願して「ワハハ本舗の第1回大マラソン大会」が開催、あわせて『ミラクル』の製作発表記者会見が行われた。WAHAHA本舗全体公演「ミラクル」チケット情報パワフルかつエネルギッシュ、そして「観る側も魅せる側も全員が楽しむ」をモットーに、ステージと客席が一体となれるのがWAHAHA本舗の舞台。ダンスあり、芝居あり、お祭り騒ぎあり、シュールなパフォーマンスありと、ありとあらゆるジャンルを「笑い」と「過剰なサービス精神」で展開するのが特徴だ。2012年のテーマは「ミラクル」。本公演では、以前、デニス・ホッパーが来日した際に絶賛していた「裸影絵」や、15年前に全国で大好評を呼んだ梅垣義明による「パンパース芸」などWAHAHA本舗に残る伝説のお家芸が復活。仮面ライダー1号・2号を演じたアクション俳優の岡田勝との競演や、インド映画を意識したワハハ版ボリウッドなど、盛りだくさんの内容だ。作品について柴田は「タイトル通り、まさにミラクルな舞台になると思います。WAHAHA本舗の舞台はただ見るだけでなく、お客さんも一緒に参加する舞台。一緒に楽しんで欲しい」と語り、構成・演出を手がける喰始も「前回は座布団投げをお客さん全員にやってもらいました。今回もお客さんが参加しないと成り立たないものが山ほどあります。観るよりも参加しに来るという感じできていただければ」と観客へ参加を呼びかけた。自身に起こったこれまでのミラクルな出来事をたずねられた久本は「むしろこれからのミラクルに期待したいですね。白馬の王子様に遅くなって悪かったと迎えにきてもらいたいです。落馬してるって噂ですけど」と冗談まじりに答えた。猫は「カンボジア代表になってロンドンオリンピックに出て、金メダルを獲ったらまさにミラクル」とコメント。出場することになったら応援に行きますか?という質問に久本は「行くわけないじゃないですか」とばっさり。その後「いつも心の中で応援してる」とフォローした。ちなみに『ミラクル』のポスターでは、和田アキ子が中央に大きく顔を見せているが、公演には出演はしないという。ポスターからしてWAHAHA本舗らしさが感じられるバカバカしく遊び心あふれる舞台になりそうだ。(文:大林計隆)
2012年02月21日