●貸与利率で注意することは?いまや大学生の過半数が受給しているという奨学金(日本学生支援機構「学生生活費調査(平成24年度)」)。返済不要の給付型奨学金でない限り、奨学金は返済しなければなりません。日本学生支援機構の奨学金は、無利息の第一種奨学金と有利息の第二奨学金がありますが、いずれも貸与型。奨学金といえど借入金なのです。独身時代は問題なく返済できても、学生時代の負債を40歳近くまで払い続けると思うと、重荷も感じますね。できる限り効率よく、上手に返済する方法を検討してみましょう。○貸与利率は申請時点ではわからない!?借入金を効率的に返済するための鉄則は、ムダな利息を払わないこと。しかしながら、日本学生支援機構の奨学金制度は一般的なローン返済と異なる点が数々あり、貸与利率もそのひとつ。第二種奨学金の貸与利率は奨学金申請時点の利率ではなく、貸与が終了した時点の利率を用います。つまり、申請時点では借入金に対する利息の金額が分からないため、毎回の返済金額は概算しか分かりません。4年後に貸与が終了して、初めて毎回の返済金額が確定するという仕組みです。そのうえ、「利率固定方式」及び「利率見直し方式」といった付利方式は、奨学金を申し込む際に選択しなければなりません。4年後にそれぞれの利率を確認するときに「違う方を選べば良かった…!」と後悔することもあり得ます。付利方式は申込時に選択した後でも、貸与期間が終了する年度の一定期間前までなら変更可能。まだ貸与中という人は市場金利等をチェックしながら、変更の検討をするようにしましょう。※写真は本文と関係ありません●おすすめの返済方法は?さて、奨学金の返済は13年~20年と長くかかります。一般的に「返済期間が長い」=「払う利息が多い」となります。奨学金の返済方法は、毎月支払う「月賦返還」、あるいは借入総額の半分は月払い、残り半分は半年ごと(1月と7月)に支払う「月賦・半年賦併用返還」の2つから選択します。ボーナス時にまとまった金額を返済することは、それだけ早く返すということで、支払利息を減少できます。できれば併用払いを選択したいですね。ところが、奨学金を申し込み、返還誓約書を提出するときにどちらかを決めなければならず、返済中には変更できません。○繰り上げ返済のメリットは?それなら繰り上げ返済を利用してみましょう。繰り上げ返済は残額全部でなく、一部でも可能です。一部返済の場合は期間短縮となり、繰り上げ期間分の利息が免除されます。また、一般的なローンと異なり、繰り上げ返済をしても手数料がかからないのは、大きなメリットです。繰り上げ返済をする際には申し込みが必要となりますが、併用払いのように半年ごとに6か月分をまとめて返すのも良いでしょう。あるいはボーナス等のまとまった収入があるときに、10~20万円でも返せれば、利息免除と早期完済の効果が得られます。例えば毎月1万5,000円返している人がボーナスで20万円返済するなら、約13カ月分を先に返すことになり、それに対する利息がなくなります。完済時期も約13カ月早まるのは嬉しいですね。20歳代後半から30歳代になって、結婚・子育てなどライフプランの変化が起こるときに困らないために、効率よく返済していってください。※写真は本文と関係ありません筆者プロフィール:武田明日香(たけだ あすか)エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。人生の"やりたい"が"できる"に変わるお金の教養スクール開講中!
2016年03月31日何かとお金がかかる子育て世帯には、自治体によるさまざまな支援制度が存在することをご存じでしょうか。児童手当や出産育児一時金だけではなく、不妊治療や資金贈与、独自の助成制度を設けている自治体もあります。けれども、あまり積極的なPRをしておらず、申請も必要なため「知っていれば利用したのに」と悔しい思いをすることも…。そうならないために今回は、知っておくと役に立つ「子育てお助け制度」についてご紹介しましょう。地域関係なし! 国が定める助成制度<特定不妊治療助成金>厚生労働省は不妊に悩んでいる人のため、「体外受精」「顕微授精」といった高度不妊治療の治療費助成制度を設けています。国がすすめている事業なので、日本に住んでいる人なら、全国どこでも対象です。ただし、所得や年齢制限、申請期限などがあるために事前確認が必要。自治体によっては国の制度で上限額を上回った分をさらに補助する制度のあるところも。住んでいる自治体の不妊治療制度についても事前にチェックをいれておくといいですね。・ 不妊に悩む夫婦への支援について|厚生労働省 <教育資金贈与の非課税制度>おじいちゃんやおばあちゃんが孫のために教育資金を提供したい…。そんなときに助かる制度が教育資金の非課税贈与です。通常お金を贈与すると贈与税という税金がかかってしまいますが、この制度を利用すれば教育費に限り、1,500万円まで非課税にすることができます。平成31年3月までと制度が期間限定であることや、贈与された子どもや孫は30歳になるまでに教育資金として使いきらなければいけないなどの点に注意が必要ですが、ムダな税金を抱えないという意味では検討の余地がありそうです。・ 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 : 財務省 あなたの住んでいる地域にもあるかも? 地方自治体独自の助成制度<引っ越し費用の助成金(東京都新宿区)>新宿区の「子育てファミリー世帯居住支援」では新宿区の内外から区内への引っ越し(ただし、民間賃貸住宅の利用に限る)で「契約時の礼金、仲介手数料の合計を最大36万円助成」「引っ越し代の実費最大20万円助成」などの制度を設けています。意外とかさんでしまう引っ越し費用を助成してくれるのはうれしいですね。・ 子育てファミリー世帯居住支援(転入転居助成):新宿区 <三世代同居の支援(千葉県千葉市)>千葉市の「三世代同居等支援事業」では「親と子と孫」を基本とする三世代家族の同居に必要な費用の一部を助成しています。貸家の場合は賃貸借契約に、持家の場合は新築・改築・購入に必要となる費用が対象です。・ 千葉市:千葉市三世代同居等支援事業 <子どもの通学費援助(東京都八王子市)>八王子市では通学区域内の学校を対象に、徒歩での通学が困難なケースや、身体的理由などでバスや電車などの交通機関を利用している小・中学生の保護者に対し、交通費を補助しています。通学定期運賃の3分の2までが補助され、対象者には学校から申請書が配付されます。学校配布の場合は申請忘れの心配がなくていいですね。・ 交通機関等利用児童・生徒通学費補助金|東京都八王子市Webサイト こうした制度の利用は申請のタイミングが事前・事後のどちらなのか、所得や家族状況が条件に見合っているかどうかなどをしっかりとチェックする必要があります。そのうえで条件を満たしていることを確認し、上手に制度を利用しましょう。
2016年03月19日IICパートナーズは3月16日、「退職金・企業年金に関する会社員の意識調査」の結果を発表した。対象は20代~50代の会社員1,000名。調査は2016年1月に実施。○退職金・企業年金制度、53.2%が「知っている」「勤め先の退職金・企業年金制度についてどれくらい知っているか」を聞いたところ、53.2%が「知っている」(「だいたい知っている」27.8%+「それなりに知っている」25.4%)、34.6%が「知らない」(「あまり知らない」22.2%+「ほとんど知らない」12.4%)、「なんともいえない」の割合は12.2%だった。「退職金・企業年金制度に関してお勤め先の会社から説明がなされているか」を質問した。結果、49.6%が「されていない」(「あまりなされていない」22.2%+「ほとんどなされていない」27.4%)、40.1%が「されている」(「ある程度なされている」29.1%+「詳しくなされている」11.0%)。10.3%が「なんともいえない」と回答した。「退職金・企業年金制度に関して、どんな情報を把握しておきたいと思うか」を聞くと、82.0%が「もらえる金額」で最多となった。次いで「制度内容」(68.2%)、「会社の方針・意図」(29.0%)。以降、「他社との比較」(18.4%)、「特にない」(3.7%)、「その他」(0.6%)と続いた。
2016年03月16日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。介護保険制度というのは社会的にも定着してきている現代ですが、「そもそも介護保険制度って何なのか」ということがよくわからない人もいると思います。高齢者が増えてきている日本においては、 非常に重要な制度であることは理解しておくといいでしょう。介護保険制度を理解していく上で重要になるのが、“保険者 ”“被保険者 ”“制度を利用したサービス ”になります。保険者は、主に国や市町村と考えておいて問題はありません。被保険者は、第1号保険者(65歳以上の人)、第2号保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)になります。制度を利用したサービスというのは、特定の介護施設や介護サービスなどになります。被保険者と保険者の関係は、被保険者から保険者に向けての保険料の支払いや介護保険の申請になり、保険者から被保険者に向けて保険証の交付や申請に対する認定ということになります。被保険者と制度を利用したサービスの関係は、サービスの提供と利用料の支払いになります。そして保険者と制度を利用したサービスの関係性は、保険者から介護報酬の支払いを受けるという関係になります。この3つの関係が成り立つことで、介護保険制度は社会的に機能していることになります。●介護保険制度の複雑な面は“制度によるサービス”が影響介護保険制度を利用していく場合、被保険者と保険者の関係というのはわかりやすいことが多いのですが、“制度によるサービス”に対して理解が難しくなってしまうことがあります。それは、“制度によるサービス”に関する施設やサービスが多種多様にあり、似たような名前になってしまっていることが多いからです。これを理解していくためには、ある程度、専門的な知識が必要になります。“制度によるサービス”で迷ってしまった場合、頼りになるのがケアマネージャーであり、このケアマネージャーを探したいと思った場合、市区町村の窓口 に相談をするか、地域包括支援センター という場所に相談をすることになります。【参考リンク】・介護保険制度の概要 | 厚生労働省()●ライター/yoshi
2016年03月08日中央労福協(労働者福祉中央協議会)は2月29日、奨学金の利用実態や問題点を明らかにするためのアンケート調査の結果を公表した。調査は2015年7~8月に勤労者を対象に行われ、1万3,342の有効回答を得た。○「知っている」人が少ない奨学金制度の内容奨学金制度について示した7項目について「知っている」の比率をみると、「貸与人数・金額は有利子の方が多い」が 44.6%で最も多いが、それでも半数に満たない。以下、「日本人への奨学金は貸与型しかない」(39.5%)と「返還の期限を猶予する制度がある」(38.6%)が4割弱、「自宅等へ電話等の督促が行われる」(27.5%)と「3カ月以上の延滞はブラックリスト」(23.5%)、「延滞は年5%の延滞金が賦課される」(22.3%)が2割台、「教員の返済免除制度は廃止された」(16.0%)が1割台という結果に。多くの人が日本学生支援機構の奨学金制度の内容をそれほどわかっていない。○34歳以下の奨学金制度利用者が2人に1人学生時代の奨学金制度の利用状況をみると、若い層ほど「利用した」が多くなっており、34歳以下では「利用した」が 53.2%と、2人に1人が制度を利用する結果となっている。なお、奨学金制度を利用した際の奨学金の返還条件や滞納リスクなどについての理解度では、「あまり理解していなかったと思う」(32.9%)と「まったく理解していなかったと思う」(8.2%)を合わせた「理解していなかった」が4割強を占め、リスクを十分に理解しないまま借りる人が少なくなかった。○奨学金の返還、「苦しい」が正規37%、非正規56%奨学金の借入総額は、平均312.9万円で、月の返還額の平均は約1万7,000円。ただし、借入総額が「500万円以上」も1割みられ、これらの層では月3万円以上の返還をしている人が4割を占めている。34歳以下の人に聞いた奨学金返還の負担感については「少し苦しい」が27.7%、「かなり苦しい」が11.3%で、これらを合わせた「苦しい」が4割近くに及ぶ。なお、雇用形態別で「苦しい」の比率をみると正規でも36.8%、非正規労働者では56.0%と半数を超える。○奨学金返済による生活設計への影響は?奨学金の返還が生活設計に影響を及ぼしているかどうかをライフイベントごとにたずねた結果、「影響している」の比率は、「結婚」が31.6%で最も高く、「持ち家取得」(27.1%)と「仕事や就職先の選択」(25.2%)、「子育て」(23.9%)、「出産」(21.0%)も2割台となっている。このうち、「結婚」に注目して借入総額別でみると、正規労働者では500万円以上、非正規労働者では200万円以上の借り入れがあると「影響している」が約半数を占めるようになる。
2016年03月04日東京商工リサーチは2月26日、「社会保障・税番号(通称:マイナンバー)制度に関するアンケート調査」の結果を発表した。これによると、マイナンバー制度に対する認知は高まったが、利活用が進んでいない実態が明らかになった。同調査は、2016年1月19日から1月29日にかけてインターネットによるアンケートを実施し、有効回答を得た7887社の回答を集計・分析したもの。マイナンバー法の内容についてどの程度知っているかを聞いたところ、「概ね知っている、よく知っている」が5046社(構成比64.0%)で約6割を占めた。これに「少し知っている」(2513社。同31.9%)を合わせると、「知っている」と回答したのは7559社(同95.8%)あり、9割以上に認知されていることがわかった。続けて、自社にとってマイナンバー制度の一番のメリットは何かを聞いたところ、「メリットはない」が最多の5881社(構成比74.6%)で約7割を占めた。これに、「情報管理の利便性向上」が637社(同8.1%)、「公平性が徹底される」が552社(同7.0%)と続いた。「メリットなし」は前回調査(同65.9%)より8.7ポイント増加しており、マイナンバー制度の導入とともに、メリットなしと判断した企業の比率が高まっているという。一方、「その他」の中には「まだ(社内で運用されていないから)わからない」「始まったばかりで、わからない」といった回答が145社あり、一部ではまだ把握できていないことも垣間見えるようだ。逆に、マイナンバー制度の最大のデメリットを聞いたところ、「情報漏洩のリスク」が最多の3194社(構成比40.5%)で約4割を占めた。これに、「業務の煩雑化」が1809社(同22.9%)、「業務の増加」が1802社(同22.8%)、「コスト増加」が548社(同6.9%)、「デメリットはない」が344社(同4.4%)、「その他」が156社(同2.0%)、「公平性が解消できない」が34社(同0.4%)と続いた。前回調査でもデメリットは「情報漏洩のリスク」(同53.3%)が最多だったが、構成比は12.8ポイント下がった。この結果について、同社は企業がセキュリティ強化に努めたことや、行政による広報活動で安全性への認識が広がっていることがうかがえるとしている。
2016年02月29日IICパートナーズは2月22日、「退職金・企業年金の現状に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2015年11月~2015年12月、有効回答は全国の会社員100人。○退職金・企業年金の見通し、8割が「減る」勤務先の退職金・企業年金制度の水準に満足しているか尋ねたところ、「不満がある(計)」人は過半数の52%。一方、「満足できている(計)」人は20%にとどまり、「水準がわからない」人も24%いた。回答者からは「老後を考えると全く足りない。定年年齢をあげてもらわなければ先々が不安」(50代男性/会社員)などの声が寄せられたほか、退職金制度自体がない人もいた。同社は「老後への漠然とした不安が大きい中で、自分がもらえる退職金・企業年金が不安を解消するほどのものではないと捉える方が多かったのではないか。老後にどれくらいお金がかかるのか明確に見えていないことが大きい」と分析している。退職金・企業年金の支給額は今後どうなるか聞くと、「減る(計)」が圧倒的に多く80%。他方、「増える(計)」と「わからない」は同率の10%となった。減ると答えた人の間では「少子高齢化の進むこのご時世、1人当たりの定年退職者へ支払われる退職金の額は減る一方だと思うから」(20代女性/会社員)といった悲観的な声が多かった。また、増えるとした人でも「増えるかわからないが、増えてもらわないと困る」という意見が目立ったという。
2016年02月23日ストレスチェックやマイナンバーなど、人事業務に大きく関わる制度の義務化が進められている。2016年上半期において人事担当者はどういった準備をし、どういった対応をしておくべきなのだろうか? 特定社会保険労務士の小岩和男氏に話を伺った。――昨年の12月から、ストレスチェック制度の実施が義務付けられるようになりました。従業員のメンタル不調を未然に防ぐための制度ですが、いま導入しようとしている企業からはどのような悩みが聞かれますか?この制度ができる前から先進的にストレス対策を講じていた企業に、混乱があるようです。例えば「これまでやっていた対策をストレスチェックに変更しなければならないのか?」といった質問をよく聞きます。ストレスチェック制度では、本人の同意を得なければ会社は結果を知ることはできません。また、ストレスチェックは従業員にとっては任意であり、強制はできません。こうしたことが、踏み込んだ対策をしたい会社にとっては悩みのタネになっているようです。ですが、ストレスチェック制度とは別の労働安全衛生法第69条第1項による任意の取り組み(トータルヘルスプロモーションプラン)であることを明確にすれば、従来実施していたメンタル調査などもストレスチェックとは別に実施することが可能です。――ストレスチェック制度では、医師などによる面接指導の実施が求められるようになります。こちらの準備については、どのような相談が寄せられていますか?「自社の産業医がメンタルの専門ではないのでどうしたらいいのか?」という相談を受けることがありますが、必ずしも産業医と面談しなければいけないわけではありません。別の専門医からも面接指導を受けることができます。ただし、その場合は自社の事業場の状況を把握していない場合も考えられますので、産業医からも就業上の配慮に関する意見聴取をしておきましょう。――これからストレスチェック制度の実施に向けて準備をしていく企業に、アドバイスをいただけないでしょうかストレスチェックをいつ・どのように実施していくか、具体的な導入手順については、企業の衛生委員会等で審議する必要があります。衛生委員会等は、従業員50人以上の事業場に設置が義務付けられているものです。今回のストレスチェック制度義務化を契機に、委員会をきちんと運用して労働環境改善に役立てていきましょう。――今年の1月からは、マイナンバー制度の運用もスタートしました。こちらはどのような状況でしょうか?マイナンバーは社会保障・税・災害対策の行政事務で必要となります。企業実務で一番早く運用されているのは雇用保険で、1月1日入社からマイナンバーが必要です。安全管理措置体制を整え適切に取得しましょう。――人事担当者以外の一般社員にも、マイナンバー制度の理解は浸透しているのでしょうか?全国民に必要になる重要な制度なのですが、まだまだ理解は薄いと思います。ですから、人事担当者のみなさんには説明会の実施をお勧めしています。内閣官房が運営しているマイナンバーのWebサイトに20分ほどの紹介動画がありますから、部内ミーティングなどのタイミングで見てもらうとよいでしょう。――マイナンバーの管理については、セキュリティが非常に重要だと思いますが、情報の取り扱いについてはどのようにしていくべきでしょうか?マイナンバーガイドラインに記載されている事業規模に応じた管理体制を取りましょう。いかに漏洩しない体制づくりをしていくかがポイントです。アナログ的ですが、従業員から番号を収集する際は、100人程度の規模でしたら書面を用いることを提案しています。従業員は所定書式に自身と扶養家族の番号を記載し封入して直接人事担当部門に持参。人事担当部門は書式を鍵のかかる書庫等へ収納。マイナンバー事務処理ごとに取り出し、終了後は定位置に戻す。またその事務処理ごとの記録をきちんと取っておく。これが最も漏洩リスクが少ないやり方でしょう。また、提出されたマイナンバーが正しいかどうかを確認するために「通知カードのコピーをとっていいのか」という質問が多いのですが、これは国がOKを出しています。ただし、コピーも厳重に管理することが必要です。会社によっては、人事担当部門で確認したのちに、コピーを当人に返却しているところもあります。また、書面で回収できないような大規模企業であれば、ITシステム会社へアウトソーシングという手もあります。マイナンバー法には委託する側に監督責任があると明記されていますので、安全管理措置が適切に記載されている契約書を交わしておきましょう。――2016年の上半期において、人事担当者はどのような点に注意して業務を進めるべきでしょうか?当面はストレスチェックとマイナンバーが主な取り組み課題になりますので、この二つを粛々と進めていきましょう。また、労働基準法や雇用保険法など、大きな制度改正の動きもありますから、こちらについても情報のアンテナを立てておくことが重要です。
2016年02月15日IoT検定制度準備委員会は2月5日、IoTの普及と知識スキルを可視化する策として検定制度を開始することを発表した。同検定は技術的な視点だけでなく、マーケティング担当、サービス提供者、ユーザーなどの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件を網羅し、それぞれの立場でIoTのシステムを企画・開発するために必要な知識があることを証明できるものとなっている。主な受験対象者は、IoTを取り入れる組織の経営者および管理者、IoT化を推進するプロジェクトの企画担当者、IoTを活用しデータ分析などを行う利用者、IoTシステムの構築・保守運用に携わるエンジニア。検定分野は、企画推進・戦略立案のための基礎知識やプロジェクトマネジメントに関する知識を問う「戦略とマネジメント」、産業システム・スマート製品に関する知識やIoT関連の標準化に関する知識を問う「産業システムと標準化」、通信関連の法律に関する知識を問う「法律」、データ送信プロトコルやWAN、LANなどに関する知識を問う「ネットワーク」、電子工学やセンサ技術に関する知識を問う「IoTデバイス」、クラウド環境や分散処理システム利用に関する知識を問う「プラットフォーム」、データベースや機械学習に関する知識を問う「データ分析」、暗号化や攻撃対策に関する知識を問う「セキュリティ」を予定している。3月より希望者および有識者に対してベータ試験が実施される予定で、詳細については後日発表される。
2016年02月05日メルカリは2月1日、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」の導入を発表した。2月1日に創業3周年を迎えた同社は、これまでも副業の推奨やフレックス制度の導入など、各種支援を行ってきたが、今後さらなるメンバーの採用や、出産・育児をはじめとしたライフイベントを迎えるメンバーへの支援をより拡充するため、同制度の導入を決定したという。新人事制度「merci box」の概要は以下の通り。社員の家族を含めた環境の支援産休・育休支援の拡充産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度。女性は産前10週+産後約6カ月間の給与を100%保障、男性は産後8週の給与を100%保障。育児・介護休暇の有償化子どもの看護および家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇取得が可能(1年あたり)。万が一の時のセーフティライン病気やけがの時のサポート病気やけがにより仕事ができない期間、経済面も安心して入院や治療に専念できるよう支援。全社員の死亡保険加入メルカリで働く全社員に対して死亡保険に加入することで、万が一の時に社員の家族を最大限(数千万円~)支援する。ライフイベントのサポート結婚休暇&お祝い金結婚にあわせて、特別有給休暇(5日間)とお祝い金(5万円)を支給。出産休暇&お祝い金子どもの出産にあわせて、立会いに十分な特別有給休暇(3日間)とお祝い金(10万円)を支給。慶弔時の支援万が一の不幸があった場合には、特別有給休暇(3日~7日)や弔慰金(5~10万円)でサポート。
2016年02月02日サイボウズは1月28日、サイボウズ脆弱性報奨金制度についての説明会を開催し、2015年の制度で約600万円の報奨金が支払われる予定を公表した。○26名のバグハンターによって116件の脆弱性が認定され、45件は改修済サイボウズでは同社のクラウドサービスの品質向上を目的とした「cybozu.com Security Challenge」を2013年に実施し、2014年からは本番環境と物理的に隔離した脆弱性検証環境の常設提供や脆弱性報奨金制度を始めている。現在、検証環境を継続的に利用されている研究者は47名。2015年の脆弱性報告は26名から総計238件の連絡を受け、説明会までに116件を脆弱性(うち深刻度の高い脆弱性1件)として認定した。報奨金は約600万円(確定約400万+現在評価中の脆弱性78件から50件程度が認定される見込み)が支払われる。説明会では、サイボウズCSIRTの窓口業務を行っている伊藤 彰嗣氏が報奨金制度の説明会を行った。サイボウズではプログラマーにセキュア開発トレーニングを行ったり、リリース前に社内テストを行っている。それでも見つけきれない未知の脅威が存在する事に加え、外部から「〇〇は脆弱性」と指摘されることで「社内では脆弱性ではないと判断していたものを脅威として認識することがある」と同制度の意義を説明する。2015年のルールではCVSS v2に基づき脆弱性を判断し、基本値が7.0以上の場合は数値×3万円、6.9以下の場合は数値×1万円。Webサイトの問題は一律1万円とし、特別ルールとしてCVSS v2基本値が5.0のXSS脆弱性は10万円、基本値が6.5を超えるSQLインジェクションは数値×3万円が支払われる。昨年の結果との比較では、おおよそ同程度の脆弱性が発見(認定作業が完了していない)されたが、深刻度の高い脆弱性が1件と激減する一方で、外部通報の脆弱性のうち、改修完了案件がまだ45件と2014年の81件よりも少なくなってしまったため、これが「今後の課題」という認識を示している。遅れの原因は、「XSSやSQLインジェクションなどのわかりやすい脆弱性が減った」ことだそうで、不適切な入力確認などの抽象度の高い報告が増えたという。そのため、報告者と連絡を繰り返さないと判断できないケースが増えたことを挙げていた。また、2016年ルールの説明も行われた。対象サービスに、モバイルサービス(サイボウズoffice新着通知/サイボウズLive Timeline)と周辺サービス(サイボウズDesktop Win/Mac)を加えるほか、脆弱性の評価方法をCVSS(Common Vulnerability Scoring System) v3に移行して深刻度判定が5段階に増加した。新たに加わった「緊急」の深刻度(基本値9.0-10.0)に関しては数値×5万円に増額する。ただし基本値が6.9以下のSQLインジェクションは、数値×3万円のみと設定した。○バグハンターによる説明も当日は「バグハンター感謝祭」も兼ねており、9名のバグハンターが参加。NTTコムセキュリティの東内 裕二氏がライトニングトークを行った。東内氏は2014年にサイボウズの脆弱性を報告したものの、有用と判断されなかった。一方で、「cybozu.comバグハンター合宿」に呼ばれたという。合宿では、ほかの参加者がアクセス制御不備を見つけていたので、そこに着目。ユーザーAで作成したものが(権限のない)ユーザーBでアクセスできるかどうかの作業を行ったところ、8件のアクセス制御に関する脆弱性を発見し、うち6件が現在までに認定されたそうだ。アクセス不備の脆弱性は現実的な攻撃に結び付く可能性がある一方で、脆弱性なのか仕様なのか判断しにくく、機械的な診断で見つけにくい。総当たりで試す必要があるが、自動化しにくい上に単純作業のため、モチベーション向上が今後の課題だという。
2016年01月30日●ストレスチェック制度にどう対応していくか?いよいよ今月からストレスチェック制度が施行となった。とはいえ、すでにストレスチェックを実施したという企業は少ないだろう。むしろ、これから準備を進めていくという企業がほとんどかと思われる。従業員50人以上の事業場では、2015年12月1日から2016年11月30日までの間に、1回目のストレスチェックを実施するよう義務付けられたが、「まだ時間はある」と悠長に構えているほどの時間はない。もし、まだストレスチェック制度に対する対応方針や実施時期が決まっていないようであれば、すぐに取りかかった方がよいだろう。というのも、同制度は実施体制や運用フローが非常に複雑化しており、マイナンバー制度への対応よりも大変なように感じられる。まだ準備を進めていない企業は、これからどのように進めていけばよいのか? 11月にキーポート・ソリューションズ(KPS)は同制度に関するセミナーを開催。セミナーでは、ストレスチェック対策をより効果的にサポートする同社のソリューションと、産業医である三宅琢医師が「本音で教えるストレスチェック活用法」が紹介された。○ストレスチェック制度とは?まず、そもそも「ストレスチェック」とは何か? 厚生労働省によると、「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に従業員が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査であるとしている。「労働安全衛生法」という法律が改正されて、従業員が50人以上いる事業場では、2015年12月から毎年1回、この検査を全ての従業員に対して実施することが義務付けられた。「企業としてやらなければいけないことは実施義務。従業員にアンケートに回答してもらうよう案内することが義務ということ。その結果、アンケートに回答してもらえなかったとしても、それは企業の義務ではない。そこが健康診断との違い。実施していない企業は罰則の対象となる」(三宅医師)ストレスチェック制度は従業員が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みである。三宅先生は同制度を「会社の元気度を測るもの」と述べた。同制度への実施手順として、厚生労働省からは以下の流れで進めていくように示されている。○どう運用すればよいのか?実施方法など社内ルールの策定から、ストレスチェックの実施、必要がある場合の医師による面接指導、集団分析など、やらなければいけないことはたくさんある。まず、ストレスチェック制度の導入前には事業所の衛生委員会で、ストレスチェック制度の実施方法などを決める必要がある。話し合う必要のある主な事項として、厚生労働省では下記の8点をあげている。ストレスチェックは誰に実施させるのかストレスチェックはいつ実施するのかどんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのかどんな方法でストレスの高い人を選ぶのか面接指導の申し出は誰にすれば良いのか面接指導はどの医師に依頼して実施するのか集団分析はどんな方法で行うのかストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのかまた、実施体制や役割分担を決めることも必要だ。厚生労働省では実施体制の例として、下記をあげている。制度全体の担当者事業所において、ストレスチェック制度の計画づくりや進捗状況を把握・管理する者ストレスチェックの実施者ストレスチェックを実施する者。医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選ぶ必要がある。外部委託も可能。ストレスチェックの実施事務従事者実施者の補助をする者。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当。外部委託も可能。面接指導を担当する医師質問票に関しては、厚生労働省から57項目からなる職業性ストレス簡易調査票が公表されているが、「ストレッサー(ストレスの原因に関する質問項目)」「サポート(労働者の周囲のサポートに関する質問項目)」「ストレス反応(ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目)」の3つの要素があれば、この質問票以外のものを使用することが認められている。「簡単に説明すると、『ストレッサー』は過去、『ストレス反応』は現在、『サポート』は未来の評価に分けられている。この中で、国が一番重要視するように言っているのが、ストレス反応である。今、頭痛がしたり、食欲がないなど、現在の状態をハイスコアとして扱うように言われている」(三宅医師)高ストレス者の選出方法については、「何点以上の人は面接する」という基準を、企業が考えなければいけない。記入が終わった質問票は、医師などの実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が回収する必要がある。ここで注意すべき点は、実施事務従事者は、人事権を持つ職員が携わってはいけないということ。また、結果(ストレスの程度の評価結果、高ストレスか否か、医師の面接指導が必要か否か)は、実施者から直接本人に通知される。つまり、結果は企業には返ってこない。さらに、この結果は医師などの実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が第三者に閲覧されないように保存することになっている。「実施事務従事者は事業所の中から選ぶこともできるが、作業や管理などが多岐にわたり、さらに守秘義務を負うことになるため、実際にはなかなか難しいだろう。事務の担当が倒れることがないよう、外注を利用していくことがポイント」(三宅医師)また、実施事務従事者だけでなく、ストレスチェックの実施者を誰に依頼するかといった問題もある。通常であれば、自社の産業医に依頼するところであろうが、医師によっては断られるケースも想定される。これに対し三宅医師は、「いい産業医か、使えない産業医か、判断する機会になった」と言う。今回の法改正によって、産業医の職務は「労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査の実施ならびに面接指導の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」が定められた。「ストレスチェックの実施をしぶるような医師は、職務を理解していないということ」と三宅医師は指摘した。これらのフローをふまえて、ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされた従業員から面接の申し出があった場合は、企業は医師に依頼して面接指導を実施する流れとなる。では、そもそもストレスチェックは何のために実施されるのだろうか? その解について、三宅医師は次のように回答した。「従業員にとっては、自分の健康状態を知るため。しかし一番は、企業が組織診断を行って、職場改善を行うためだ」(三宅医師)ストレスチェック制度は年に1回以上実施することが求められているが、年1回だけの実施なのであれば、職場分析が非常に重要になってくるという。この職場分析は努力義務となっており、ストレスチェックの実施者に、ストレスチェック結果を一定規模の集団(部、課、グループなど原則10人以上の集団)ごとに集計・分析してもらい、その結果から職場環境の改善を行うことが推奨されている。職場分析の重要性について、三宅医師は次のように述べた。「欝病は移る。なぜかというと、一人の従業員が休むことによって周囲にそのしわ寄せが生じる。だから組織分析が重要」(三宅医師)●産業医が教える、ストレスチェック活用法三宅医師は「風邪と一緒で年に1回測っても、ストレスチェックの意味がない。いつ実施するのかで、値が変わってくるからだ」とストレスチェック制度の問題を指摘する。○今からできる、ストレスチェック対策「組織全体が沈んでいる部門は何かが起こっているということ。早くレスキューしないと一人の問題ではなく、全体に広がっていく」(三宅医師)また、企業はこれまで以上に安全配慮義務が必要になってくるという。「労災の対象となった従業員が訴訟の対象とするのは、社長と上司。この2本立てが法曹界では当たり前のパッケージ商品となっている。つまり、自分の部下の健康状態を把握していないと、民事裁判に巻き込まれるケースがあるということ。上司が部下にしなければいけない義務が安全配慮義務である。この義務は、予見義務・結果回避義務と言われていて、『そのまま働かせていたら倒れるのはわかりますよね?』という義務。こういう義務がある以上、企業は労働者の健康状態に配慮することが必要となってくる」(三宅医師)ところが、忙しいと部下のパフォーマンスを把握することはなかなか難しい。三宅医師は「今後メンタリティやモチベーションの見える化が必要。そうでないと、安全配慮義務を守れない」と言うが、では一体、どうすればよいのだろうか? 三宅医師は今からできる予見法として、次のようにアドバイスした。「ストレス不調を起こす人は必ず、当日の遅刻・欠勤の連絡が続く。また、個人スペースがすごく汚れていたり、逆にいつも汚れているのに急にきれいになったりする。そのほかにも気分の浮き沈みなどもチェックするポイントとしてあげられるが、これらを毎日チェックしていくことは難しい。そこで、今日から始められるストレスケアの一番簡単な方法は、あいさつ。毎日あいさつをすることによって、その人の変化に気付くことができる」(三宅医師)また三宅医師は、まわりを助けるよりも、まずは「自分が元気であることが大切」と話した。「私が産業面談で社員をケアする時に聞くポイントは、『食う』『寝る』『遊ぶ』の3つ。この3つの変化しか聞かない。この3つをチェックしていれば、ほとんどの人のメンタルケアができる。自分のストレスをケアする上で大事なことは、食事や睡眠に変化がないか、また趣味を持ってもらうこと。趣味はストレス発散にもなり、また趣味をしていても楽しいと感じない時は、ストレス値が高くなっているサインになる。年に1回ではなく、日頃から自分に問いていかないと、ストレスのレベルはわからない。自分が元気でいることが、一人でもストレス値の高い社員を出さないために一番大事なこと」(三宅医師)○メンタリティを可視化するには?三宅医師が推奨する「メンタリティやモチベーションの見える化」について、KPSでは8月に、個人と組織の「気持ち」を可視化・数値化する「Willysm(ウィリズム)」の提供を開始した。同ソリューションで従業員がすることは大きく分けて3つ。まず、毎日決められた時間に自分の気持ちを「Excellent」「Well Done」「Not So Good」の3つから選択し、その日にあった幸運・幸福な出来事を3つ記入、さらに同僚に感謝の気持ちを伝えるメッセージ・プレゼントをあげる、といった3つの行動から、従業員のモチベーションを可視化するだけでなく、気持ちを前向きにする仕組みとなっている。これにより、例えば「Not So Good」が続いている従業員がいれば、年1回のタイミングでなく、適宜ストレスチェックを促し、早期改善を図ることが可能となる。12月1日からは、同ソリューションにストレスチェック制度へ準拠した「ストレスチェックサービス」機能が追加された。KPS ビジネスイニシアティブユニットのシニアコンサルタントである稲田勇祐氏は、同ソリューションについて次のように説明した。「Willysmは前向きな改善の機会、健康経営による企業価値向上につなげる一つの有効な施策と位置付けている。健康で前向きな個人を増やしていくことによって、重大疾病予備軍を減らし、休業者も減らしていくことができると考えている」(稲田氏)***組織分析から職場改善まで実施するとなると、2016年11月まで時間の余裕がないことは感じてもらえただろう。今回のストレスチェック制度を、「義務だからやる」だけではなく、ぜひ前向きに経営戦略の一つとして、しっかり考えて取り組んでもらいたい。
2015年12月21日保健同人社とヒューマネージは12月5日、12月1日に施行した「ストレスチェック制度」(労働安全衛生法の一部を改正する法律)について、企業のメンタルヘルス担当者に実施したアンケート調査の結果を発表した。同調査は両社が10月22日と27日に企業のメンタルヘルス担当者を対象に実施したもので、有効回答者数は366人。調査によると、施行1カ月前の時点においても企業の準備は進んでおらず、3割強が具体的な実施時期を決めていという結果となった。ストレスチェック義務化が施行される1カ月前となる10月末の時点において、準備状況について「ほぼ完了している」と回答した担当者は2%未満だった一方、7割以上が「検討中/情報収集中」と回答している。ストレス・チェック義務化施行の直前でも、企業の準備はなかなか進んでいない実態が明らかになった。準備状況を従業員規模別に見ると、「検討中/情報収集中」の割合は、従業員1,001人以上の企業では60.2%、従業員301人以上1,000人以下の企業では73.8%、従業員300人以下の企業では81.6%であり、規模が小さくなるほど準備が進んでいないことが分かった。ストレスチェック義務化への対応で懸念している点については、ストレスチェック実施後のフォロー体制が42.3%で最多であり、以下、規程の整備(35.8%)、高ストレス者への対応(34.4%)、担当者の業務負荷増大(30.9%)、医師面談の実施(28.1%)と続く。法律が定める「やらなければならないこと」にどう対応するかという点とともに、義務化対応を担うメンタルヘルス担当者のマンパワーについても不安を抱いていることがうかがえると両社は見る。ストレスチェックを既に導入・実施しているまたは導入を検討中の企業の担当者に対して、実際にストレスチェックを実施する時期を尋ねると、具体的な時期では「2016年4月~6月」と「2016年7月~9月」が多かった。ただし、最多は33.5%の「未定/無回答」であり、スケジュールなどの実施に関する具体的な事項はまだ検討中の企業が多いようだと両社は推測する。ストレスチェック義務化対応で外部委託先を選ぶ際に重視する点を複数回答で尋ねたところ、費用が56.8%と最多であり、以下、運用サポートの充実(45.9%)、ストレス・チェックの信頼性(43.7%)、セキュリティ体制(38.5%)、システムの使い勝手(36.9%)の順だった。委託先を選ぶ際に費用を重視することに加えて、「実施する際のサポートがどれだけ充実しているか」「ストレスチェックは科学的に信頼できるものか」「セキュリティは万全か」「スムーズに実施できるシステムかどうか」など、多岐にわたるポイントでパートナーを選定していることが分かる結果となった。これらの結果を受けて、両社が提供する企業向けEAP(従業員支援プログラム)サービスである「TEAMS」のEAPコンサルタントは「マイナンバーや新卒採用スケジュールの変更などさまざまな対応が重なるなか、ストレスチェック義務化の制度を理解し、運用体制を整えるにあたって、企業のメンタルヘルス担当者が非常に苦労していることがうかがえる」とコメントとした。外部委託先を選ぶポイントとして「『ただストレスチェックを実施するだけ』の対応では、情報漏洩など、取り返しのつかない経営リスクに直結する。堅牢なセキュリティ、科学的に根拠のあるストレスチェックを提供できることに加え、コンサルティングから業務プロセスの企画・設計・遂行までトータルにサポートできる外部パートナーを戦略的に使いながら、ぜひ、今回のストレスチェック義務化対応を組織の生産性向上へつなげてもらいたい」としている。
2015年12月15日Beat Communicationは11月24日、社内表彰制度システム「BEAT AWARD」の提供を開始した。従来の社内表彰制度は、Eメールやポータルサイトを利用したものが多く、現場からアイデアがうまく集まらなかったり、制度自体を活用する社員に偏りがあったりすることから、うまく機能しないという問題点があったという。このような課題を解決するために開発された「BEAT AWARD」は、全社員からアイデアを募集して成功している企業の、カスタマイズ要望から生まれた社内表彰用のパッケージサービスとなっている。本サービスは、「金銭」よりも従業員への「感謝」や「認知」というモチベーションをアップさせる仕組みを「見える化」することで、個人の潜在能力を引き出し、会社の全体的な底力を増し、強い企業作りの役に立つことを目的としたものだとしている。また、同社のコンサルティングのノウハウと、社内向けに実施してきた表彰制度実施プログラムを体系化し、これまで社内システム上で数多くの表彰制度を実施してきた実績や知見をプログラム化した、システムとリアルが一体となったサービスだという。同社は、システム提供だけを主眼に置くのではなく、企業風土を育成していくために、ソフト面からの支援も行い、さらに、経営層に対するコンサルティングサービスもオプションとして提供することで、システム以外でのサービスも実施していくとしている。
2015年11月25日日本労働組合総連合会は20日、「大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」の結果を発表した。期間は10月6日~10月8日。対象は大学生または大学院生の父母1,000名。○大学の年間授業料、平均103.6万円大学在学中の費用を聞いたところ、「年間の授業料(施設維持費・実習費など含む)」は「100万円~125万円未満」(29.0%)が最多だった。以降、「50万円~75万円未満」(28.2%)、「75万円~100万円未満」(12.2%)が上位にあがった。「0円」・「不明」を除いた平均額は103.6万円だった。学校種別の平均額は、「国公立」は67.5万円、「私立文系」が103.8万円、「私立理系(医歯薬除く)」が133.0万円、「私立 医・歯・薬学」が204.6万円となった。「奨学金を利用しているか」を聞くと、31.7%が「利用している」、68.3%が「利用していない」と回答した。世帯年収別に利用割合をみると、世帯年収が下がるにつれ利用率は高くなり、「200万円~400万円未満」の層が61.5%で最多となった。奨学金を利用している人に対して、「卒業までの借入総額(予定額)」を聞いたところ、最多は200万円~250万円未満」(30.5%)。平均額(不明を除いて算出)は301.8万円となった。「奨学金のタイプを提示し、どの程度望ましいか」を聞くと、76.3%で「無利子の奨学金」が最多に。次いで、「給付型(返済義務がない)の奨学金」(73.6%)、「地元に就職した場合、返済(全部または一部)が免除される奨学金」(61.2%)と続いた。「家庭の所得と教育・大学進学の関係について」の内容を提示し、自身の気持ち・考えにあてはまるものを選択してもらった。「そう思う」(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合計)の割合が最多となった項目は「高所得世帯の子どものほうが、大学までの教育環境に恵まれていると思う」(91.4%)だった。次いで、「子どもを大学で学ばせるための費用は高いと思う」(90.3%)、「所得の高低にかかわらず同水準の教育を受けられるようにするべきだと思う」(81.0%)となった。
2015年11月25日FiNCは11月20日、ストレスチェック制度に対応した法人向け新ウェルネス経営サービスを提供開始した。同社では、医師による面接指導など同制度に対応したサービスを幅広く提供できるよう、全国37都道府県に1,000人以上の産業医/医師のネットワークもあわせて構築したとしている。同社のストレスチェックでは、厚生労働省準拠の57項目もしくは同社によって充実させた110項目の質問により、従業員のメンタルの状況を計測し、従業員にフィードバックする。また、高ストレス者への医師面談の勧奨から、医師面談の設定、意見書の取得などすべて同社のシステム上で完結させることができるほか、集団分析についても各社の要望に合致したものが提供されるという。スマートフォンや紙による受検にも対応しており、改善ソリューションとしてスマートフォンなどを通じたセルフケアや相談センターなどのサポートも提供される。さらに、産業医/医師のネットワーク構築により、産業医の選任支援や医師面談が必要な高ストレス従業員に対する産業医のスポット紹介なども提供される。
2015年11月24日トマト銀行はこのたび、2016年1月4日より、地域発展を目的として岡山県が創設した岡山就職準備資金貸付制度に基づくトマト「岡山就職準備資金」ローンを取り扱うと発表した。○就職の準備に必要な資金を無利息で利用できる岡山県内の企業などへの就職が内定している学生などは、就職の準備に必要な資金を無利息で利用できるという。トマト銀行によると「岡山県が今年度からの新規事業で創設したのが岡山就職準備資金貸付制度で、利息分は岡山県が負担する。当行をはじめ中国銀行さんなど6つの金融機関で、同じ商品を扱う」としている。トマト銀行は、2014年8月に岡山県と地域の一層の発展に寄与することを目的として、連携・協力に関する包括協定を締結しており、今後も岡山県と協力し、地方創生・地域経済の活性化に積極的に取り組んでいくとしている。○トマト「岡山就職準備資金」ローンの概要申込期間:2016年1月4日(月)~2016年2月29日(月)。融資の実行は2016年3月31日(木)まで利用できる人:(1)申込時の年齢が満20歳以上の人、(2)岡山県(産業労働部労働雇用政策課)へ「岡山就職準備資金借入申請書」を提出し、受付が済んでいる人、(3)その他トマト銀行所定の融資条件を満たした人、(4)保証会社の保証が受けられる人使いみち:(1)引越し費用または賃貸住宅の敷金、礼金および不動産業者の紹介手数料、(2)就職後の通勤に使用する交通用具(自動車、バイクなど)の購入またはリースに係る費用、(3)家電製品(日常生活において使用する家庭用電気製品で、趣味・娯楽的要素の強いものを除く)の購入費用、(4)勤務・通勤に使用する被服などの購入費用、(5)その他就職準備のために特に必要と認められる費用借入金額:30万円以上50万円以下(1万円単位)借入期間:36ヵ月(据置期間6ヵ月、据置期間を除く返済期間は30ヵ月)借入利率:無利息返済方法:毎月元金均等返済担保・保証人:不要保証会社:ジャックス必要書類:(1)本人確認資料(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、各種健康保険証など)、(2)印鑑(取引のある人は銀行届印)申し込み受付・問い合わせ:契約時には、トマト銀行本支店窓口(ももたろう支店を除く)への来店が必要。また、収入印紙代が別途必要
2015年11月13日ビデオ会議システムや音声会議システムなど、世界中で40万以上のユーザーがソリューションを利用しているポリコム。その日本法人であるポリコムジャパンでは、制度改革やオフィスの効率化などをふまえて自社製品を活用したテレワークを実践している。テレワークを支援するソリューションの提供を本業とする同社の取り組みについて取材した。○震災後、テレワークを全社員対象に自社の製品自体がテレワークを可能とするものだけに、ポリコムジャパンでは以前から海外とのやり取りや、営業スタッフ、地方にいるスタッフなどとはテレビ会議をはじめとする自社のユニファイド・コミュニケーション製品を用いてテレワークを行っていた。しかし同社が全社員規模にまでテレワークを拡大したきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災だった。震災の直後、社員全員が自宅に待機することとなったが、そうした状況下で各社員は自主的に自分のパソコンに入っているビデオ会議アプリケーションや内線を受けられるIPフォンなどを駆使して業務を継続させていった。一週間、一人も出社することなく事業を継続できたことで、テレワークの意義を改めて認識した同社では、翌4月には全社的にテレワークが行える環境を整えたのである。ポリコムジャパン ビジネスオペレーションズのシニアマネージャー、藤井浩美氏は「震災以前からテレワークを拡大したいという意向はあったのですが、オフィスにいない社員との連絡のとり方や人事面での評価をどうするのかなど課題もあってなかなか全社員を対象にするまでには踏み込めませんでした。それが震災後にいざ実践してみると、業務の滞りもなく、またオフィスにいなくても社員のプレゼンスやステータスが確認できるため、全員が“見えている”状態にできることが実感できたことから、全社展開が決まりました」と言う。社員のスケジュールはOutlookのカレンダーで社内に公開されているため、お互いに確認しながら動きを同期させることも容易に行えたという。○テレワークのための制度改革を実施ポリコムジャパンでは、全社員がテレワークを行うための制度改革として、テレワーク・フレックス制度や育児サポート関連、介護サポート関連といった3つの制度を新たに整えた。このうちテレワーク・フレックス制度は、以前から実施していたフレックス制度にテレワークに必要な要素を盛り込んだもの。全社員を対象にテレワークを許可し、上長の許可を得ることで誰でも利用が可能(総務・特定技術職は状況に応じて)としている。またコアタイム(11時~15時)以外の時間は、開始時間と終了時間について8時間の間で自由に設定可能とした。育児サポート関連の制度としては、最長1年間、育児休業を取得可能とするとともに、産前・産後の休暇や子どもの看護のための休暇も実施。このうち育児休暇と子どもの看護のための休暇は男性でも取得することが可能だ。こうした整備の拡充により、現在、育児休業からの復帰率は100%となっている。そして介護サポート関連の制度では、まず最大93日まで介護休業の期間を設け、配偶者や父母、子ども、配偶者の父母、その他会社が認めた人への介護に対して申請可能とした。これと合わせて別途時短勤務制度も整えている。○オフィススペースも50%削減ポリコムジャパンにおける、こうしたテレワークを軸とした多様な働き方の実践は、同社の「ダイバーシティ推進戦略」に基づいたものだ。「生産性の向上と業務の効率化、事業継続・リスクマネジメント、経費の削減をきっかけに、テレワーク活用を中心戦略とした柔軟な職場環境の構築を目指すのがダイバーシティ推進戦略です」と藤井氏は説明する。また同戦略に基づきテレワークを推進するための3つの柱として、先に挙げた制度改革と合わせて、インフラ・運用ルールの整備、オフィスの最適化を掲げている。このうち運用ルールとしては、Microsoft Lyncによる労働時間中のプレゼンス表示、Outlook利用でのスケジュール開示、セキュリティに関する社員の意識向上など6項目が必須として定められている。そしてオフィス最適化を象徴するのが、2014年6月9日に移転した東京・東新宿の新オフィスである。新オフィスでは、必要時のみオフィスに出勤する「テレワーク特化型」の仕事環境へとシフトするべく、フリーアドレス型のオフィスとして個々の固定デスクを廃止(技術職などの専門職を除く)。また資料など私物保管用のロッカーを設け、社員のニーズに対応しながら、仕切りのある席やオープンスペースなど用途に合わせて利用できる設計とした。「さまざまなライフステージにいる社員の自由な働き方を支援するために、これまで当社で培われてきたノウハウをベースにしながら新たなオフィス環境を構築しました」(藤井氏)社長室についても、社長が不在の際は会議室として利用可能とするなど、徹底的なオフィススペースの最適化を図った結果、前オフィス比で約50%ものスペースを削減することができた。そうして、顧客やパートナーへのサポートを強化するための「東京カスタマーエクスペリエンスセンター(TCEC)」を同オフィス内に新設することができたという。○テレワークが自然と可能になる技術の提供をポリコムジャパンの代表執行役社長、三ッ森隆司氏は、自社でのテレワークの取り組みについて次のような見解を示す。「われわれ自身が離れた場所にあるPCやモバイルからでもコミュニケーションを行うための技術手段を提供しているわけですが、それがあることで自然とテレワークやモバイルワークが実践可能なのだといった効果や意義を実感することができました。それとともに、テレワークを活用する社員自身のプロフェッショナルな業務遂行と高い意識も、テレワークを成功させるポイントであることも再認識しました」「お客さまを見渡すと、出張旅費の削減など、最初は目に見える効果を動機として当社の製品を導入いただき、その後、効果を実感しながらワークスタイル変革へと広げていくケースが多いようです。自社でテレワークを実践することで、ワークスタイルの部分に拡大していく際のサポートも充実できればと思っています」(藤井氏)今後ポリコムジャパンでは、さまざまな場所で働くことができるワークスタイルを普及していくというミッションのもと、自ら製品を活用し実践しつつ、自然とそうした働き方が浸透していくような展開を目指していくという。
2015年11月05日LINEは11月2日、コミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」(iPhone/Android)を対象に行った、脆弱性報告による報奨金支払い制度「LINE Bug Bounty Program」の結果を公開した。(関連記事:LINEのCISOがメディアに初めて語る「脆弱性報奨金プログラム」「LINEのセキュリティ」)同社は、ユーザーに対してより安心で安全なサービスを提供することを目的に、8月24日~9月23日の期間、LINEアプリの脆弱性の発見を公募し・報告者に報奨金を支払う「LINE Bug Bounty Program」を実施した。期間中、国内外あわせて総計約200件の応募・報告があったという。その後、社内で確認・検証の結果、XSSを利用してセッションハイジャックやスクリプトを実行させる「Cross-Site Scripting」や、ユーザーが意図しない挙動を実行させる「Cross-Site Request Forgery 」など、7名14件の報告を「新たに発見された脆弱性」として認定。同社公式サイト内の特設ページで「Hall of fame」として公表した。あわせて、認定の対象範囲外ではあったものの、同社サービスの安全性向上のために有益な発見・報告をした参加者11名も、「Special Contributors」として、同特設ページで公表している。なお、同プログラムで認定された脆弱性については、すべて修正対応が完了している。
2015年11月05日●日本が抱える課題世間ではマイナンバー制度に関するニュースが多数報道されているが、今年の12月から施行される重要な法律があることも忘れてはいけない。改正労働安全衛生法に基づく、ストレスチェック制度である。従業員50人以上の事業場では、今後年に1回全従業員へストレスチェックを実施し、従業員のストレスの状況について検査を行わなければならない。マイナンバー制度への対応に向けて、業務も費用も企業にとって負担が生じるなか、この法律も重荷に感じている企業も少なくないだろう。しかし、この法律の背景には、日本の経済力を高めることを目的とした政府の考えがある。10月13日、メンタルヘルス関連サービスを展開するアドバンテッジ リスク マネジメントは、ストレスチェック制度に関するセミナーを開催した。当日は同社の代表取締役社長である鳥越慎二氏が講演。当日の講演内容についてお届けしよう。○職場におけるメンタルヘルスの状況警察庁による自殺者数の調査では、総数は減少傾向にあるものの、「被雇用者・勤め人」にあたる労働者の自殺者数は横ばいで推移している。平成26年度では、総数が25,427人に対し、労働者の自殺者数は7,164人で、全体のおよそ28.2%を占める高い割合となっている。自殺の理由はさまざまであるが、「その多くが鬱状態ではないか」と鳥越氏は推測する。ちなみに、交通事故による死亡者数は平成26年度で4,113人となっている。比較すると、労働者の自殺者数は交通事故死者数の1.7倍となっていることがわかる。また、厚生労働省による精神障害などの労災補償の調査では、平成26年度の労災請求件数は1,456件、認定件数は497件、うち自殺件数は99件となっており、いずれの件数も過去最多となっている。従業員がメンタル不調などで休職・退職することによって、実は大きなコストがかかっている。休職前後の周囲の従業員が手伝う残業代や、休職中の本人への手当、周囲の業務調整、事務対応など、さまざまな場面で人件費が発生し、内閣府によると一人の従業員(年収約600万円想定)が6カ月間休職した場合に発生するコストは、422万円にのぼるという。さらに、その従業員が退職し、新たな人材を採用するためのコストは、約180万円(年収×30%で試算)だと言われている。これらの状況を受けて、政府は企業の健康経営の推奨やブラック企業の是正など、さまざまな施策を実施・検討している。●ストレスチェック制度のポイント○ストレスチェック制度の目的は?鳥越氏は、ストレスチェック制度のポイントとして次の3点を挙げた。50名以上の事業場について、医師・保健師などによる全従業員へストレスチェックを実施し、実施した医師・保健師より従業員へ直接チェック結果を返却高ストレス状態かつ申し出を行った従業員への医師による面接指導の実施面接指導の結果に基づき、医師の意見をふまえて必要に応じた就業上の措置これは、法律で定められている基本的なポイントとなる。しかし、鳥越氏も参加していたという法案公布後の審議会では、法律で触れられていない点に対して付け加えを行ったという。鳥越氏は「ストレスチェックを実施するだけでなく、ストレス問題を改善することが重要」とし、さらに3つのポイントについて説明した。まず、「企業の集団分析」である。ストレスチェックの結果を部署ごとに分析し、企業は職場環境改善のために活用するよう求められている。集団分析は努力義務とされているが、鳥越氏は「"努力義務"とは、"努力することが義務"なので、これはほぼ義務ということ。ストレスチェックを行っただけでは、改善されない。改善するためにはストレスチェックの結果を利用し、企業が努力することが必要」と説明した。2つめは、「相談窓口の案内」である。ストレスチェックを行った結果、高ストレス判定を受けた従業員は、その後会社に対して医師による面接指導の申し出を行う必要がある。「高ストレス状態の人が、果たして自分で申し出をするものか?」と鳥越氏は疑問を投じる。そこで、医師面談とは別にカウンセリングなどが受けられるような環境の整備をすることが、推奨されている。3つめは、「労働基準監督署への報告」である。企業はストレスチェックの実施日・チェックを受けた人数・フォロー状況を、労働基準監督署に報告することが義務付けされている。「この報告内容によって規制や取り締まりは行わないとされているが、十分に注意した方がよい。政府はこの報告内容をブラック企業対策の参考にすると考えられる」と鳥越氏は促す。「ストレスチェック義務化の目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止が主な目的であって、ストレスチェックをすることが目的ではない。この目的のために、ストレスの原因となる職場環境の改善を行うことが、企業が求められている対応である」(鳥越氏)●ストレスチェック制度で求められる対策○企業と従業員、双方に求められる対策ストレスチェック制度の実施にあたり、企業が行わなければならないこととして、まず、衛生委員会などで調査審議を行い、社内規定を定め、従業員に周知する必要がある。また、実施する医師は誰にするのか、帳票の回収やデータ入力など、ストレスチェック結果を出力するまでの情報を扱う実施事務従事者を誰にするのかなど、体制を決めていく必要もある。鳥越氏は「事業者はストレスチェック制度に対する基本方針を決める必要がある。それによって、対応の仕方が変わってくるからだ」と話す。今回の法令に遵守するレベルで考えるのであれば、ストレスチェックの実施と医師面接の実施を行えばよい。しかし、メンタル不調者の未然予防も考えるのであれば、前出の外部相談窓口の設置についても検討する必要が出てくる。さらに、メンタルヘルス対策にとどまらず、組織改善や活性化をはかり、企業の生産性を向上させようと考えるのであれば、しっかりとした組織分析・改善施策の実行が必要となってくる。また「企業だけでなく、従業員も意識を変える必要がある」と鳥越氏は話す。「政府が推奨するストレスチェックに関する57の質問項目はNIOSH職業性ストレスモデルを参考にしてつくられている。しかし、このモデルにあって、ストレスチェック推奨項目に欠けているのが、『個人的要因』に関するチェックだ。個人の性格などを抜きにしてストレス対策を進めても、効果が出ないケースがある。ストレスは客観的には存在しないもの。個人の受け止め方によってストレスに変わる。従業員も刺激に強くなるために努力する必要がある」(鳥越氏)鳥越氏は、ストレスチェック制度の実施にあたって「自分の会社がどういった対応をするのか、従業員は会社を判断するきっかけになる」と言う。きちんと運用できる体制で、従業員の期待に応える制度運用を行うことが、望まれる。
2015年10月21日LINEは8月24日から1カ月間にわたり、LINEアプリの脆弱性報告への報奨金制度「LINE Bug Bounty Program」を実施した。なぜLINEがバグバウンティ(脆弱性報奨金プログラム)を始めたのか、LINEのセキュリティ体制はどうなっているのか、執行役員でCPO(Chief Privacy Office:個人情報保護に関する最高責任者)およびCISO(Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)を務める中山 剛志氏に尋ねた。○最大2万ドルの報奨金がもらえる「LINE Bug Bounty Program」LINEでは初の試みとなる脆弱性報奨金プログラム「LINE Bug Bounty Program」。バグ・バウンティ・プログラムである脆弱性報奨金プログラムとは、自社のアプリやサービスの脆弱性を報告してくれた外部のユーザー(いわゆるバグ・ハンター)に対し、お金を支払う仕組みのこと。日本ではごく一部の企業しか実施していないが、海外ではGoogleやFacebookなど、大手のIT企業がこぞって実施している。――「LINE Bug Bounty Program」を始めた理由は?中山氏「第三者の目で、世界中の人々にいろいろな角度からチェックしてもらって、LINEを安全にするため。LINEでは、アプリの企画当初からセキュリティチームが入って安全性を確かめ、リリース後も脆弱性の確認を行っている。しかし、どんなアプリ・サービスにも脆弱性はある。あらゆる方法を使って脆弱性を見つけるために、初めての試みとしてバグ・バウンティ・プログラムを実施した」――「リモートコード実行の脆弱性発見で2万ドル以上」「盗聴・解読で1万ドル以上」など、高額な報奨金を用意されていたようだが、全体の予算は?中山氏「全体の予算は特に決めていない。決めているのは最低金額のみで、重要な脆弱性であれば、これ以上払うつもりでいる。もしセキュリティ・ホールが見つかったとしても、出し惜しみするつもりはない。それで問題を防ぐことができるのなら、先行投資として安いものだと考えている。LINEはユーザーの情報を預かっており、それらはお金には代えられない大切なものであるからだ」――脆弱性のランク付けは国際的な基準? それともLINE独自のものなのだろうか?中山氏「LINE独自の基準で決めている。LINEで最も重要なポイントは『ユーザーの個人情報・プライバシー』なので、それに基づいて審査を行う。参加基準としては個人だけでなく企業も受け付けたほか、監督者がいれば未成年でも参加できる。英語ページも作って海外への呼びかけも行った」――9月23日まで1カ月間かけて行われたということだが、反響は?中山氏「スタートして10日ほどで100件を超える報告・問い合わせをいただいた。今回は期間限定だが、脆弱性報奨金プログラムがうまくいくようであれば、今後も実施したいと考えている」○LINEがセキュリティにしっかり取り組んでいるというアピールでもあり――LINEでは「政府による盗聴がある」という一部報道があったが、それについてはどうか?中山氏「端末とサーバ間など外に出る通信については、世界最高水準の暗号化を行っている。調査した結果、盗聴などのアタックはなかったと判明した。私自身も妻とのやり取りなどびプライベートなメッセージにLINEを使っており、もし危険性があるのなら安心して使えない。安全性に自信があるからこそ、私自身もLINEを利用している」――LINEでは今までセキュリティのことをあまり公開しないイメージがあったが、どうか?中山氏「今までセキュリティチームが表立って情報発信をしてこなかったという反省はある。セキュリティチームはグローバルで40人、日本だけでも20人のチームが専任で動いているが、一部アピールが足りなかったと思っている。LINEが積極的にセキュリティに取り組んでいることを知ってもらい、ユーザーに安心してもらうために、これからは情報公開を進めていきたい」――具体的には?中山氏「今回のように脆弱性報奨金プログラムを実施したほか、情報公開ページ『LINEセキュリティ・プライバシーセンター』を開設した。見つかった脆弱性は、このページで公開していく」――LINEにおけるセキュリティで最も大切なポイントは何か?中山氏「LINEのミッションは『安心安全なサービスをスピーディーにユーザーに提供する』こと。LINEは他のSNSとは異なり『親しい人とより親密なコミュニケーションをする』ことが主眼のサービス。だからこそ、大事な人との会話を安全にすることが絶対的に重要になる。お題目ではなく、トップマネジメント(取締役会)が責任を持ってセキュリティとプライバシー保護に取り組んでいる」――ユーザー側のセキュリティ意識はどうだろうか?中山氏「5千万人以上のユーザーがいるため、セキュリティの意識はばらつきがある。パスワードやスマートフォンの管理をしっかりすることなど、ネットサービス全般を使う時の基礎知識から伝えていかなくてはならないだろう。LINEではCSRチームが全国を飛び回って啓蒙を行っている」――昨年の乗っ取り騒ぎの時に、ユーザーに対して最も効果があったのは何か?中山氏「注意喚起やパスワード変更を行った人に対するスタンプ配布、PINコードの導入など、いくつもの対策を積み重ねていった。LINEはユーザー数が多いので、少しずつわかるように対策をしていく必要があった。その意味では、パスワード変更によるスタンプ配布は、ユーザーの多くに利用していただき効果があったようだ」――LINEの今後のセキュリティの取り組みは?中山氏「今回の『LINE Bug Bounty Program』は初めての試みであり、1カ月の限定で行った。効果があるようなら今後も実施して、LINEの安全性向上につなげていきたい。またユーザー向けに、LINEを安全に使うための知識を高めてもらう取り組みも行っていく」今回のインタビューは、LINEのセキュリティ責任者が初めてメディアに登場するものだった。このような情報公開と、バグ・バウンティのような第三者の目によるチェックで、LINEが安心して使えるようになることを期待したい。
2015年10月14日いよいよマイナンバーの通知カードの送付が始まります。また、マイナンバー制度のもうひとつの番号、法人番号の通知、公表も始まり、ここからマイナンバー制度がスタートします。その一方で、内閣府が9月に公表した世論調査では、マイナンバー制度について「内容まで知っていた」と答えた人の割合が43.5%と5割にも満たない現状が明らかになっています。そのほか民間企業などの調査結果では、マイナンバーの取り扱いが必須となる中小企業の取り組みの遅れも明らかになってきており、平成28年1月から利用が開始されるマイナンバー制度がスムーズにスタートできるのか懸念の声もあがっています。今回は、最新の情報を整理、確認してみましょう。○通知カードの送付および個人番号カードの交付申請最新情報整理総務省のお知らせ「個人番号の通知に係るスケジュールについて」によると、マイナンバー通知カードの「お届けの時期」について「概ね10月中旬~11月中を予定」としています。住民票を有するすべての個人(約1億2,800万人)にマイナンバーを付番した後、世帯単位(約5,600万世帯)に簡易書留で送付するわけですが、これだけの数の簡易書留が送付されること自体、前代未聞のことですので、さすがに一時期に集中して送付することは難しく、1カ月以上の時間をかけての送付となってしまいます。また、簡易書留での送付ですので、届け時本人不在の場合は再配達が必要となったり、土日に地区の郵便本局へ引き取りにくる人が殺到したり、受取人不在のまま市区町村まで返送されるものも多数でることが想定されています。返送されたマイナンバーの通知カードは再送付が行われることになっているようですが、住民票を有するすべての個人がマイナンバーを受け取るまでには相当の混乱が起きてしまうことが予想されます。送られてくる通知カードですが、図1のように、マイナンバーの通知カードと個人番号カードの交付申請書が一体となった様式で送られてきます。通知カードは氏名、住所、生年月日、性別の個人4情報とともにマイナンバーが記載されています。顔写真が掲載されていないため身元確認には使用できませんが、番号確認が必要なシーンでは個人番号カードを取得するまで、この通知カードを使用することになりますので、大事に保管しておく必要があります。また、個人番号カードを申請する場合は、この交付申請書書に顔写真を添付して書面で申請するのが基本ですが、パソコンから指定のWebサイトに進み、申請書に記載されている「申請書ID」を入力して申請する方法や、申請書下部のQRコードをスマートフォンで読み取ってWebサイトへ進み申請する方法なども用意されています。○法人番号の通知・公開法人番号の通知・公開のスケジュールも法人番号の付番機関である国税庁より、図2のとおり公表されています。こちらも10月下旬から11月中くらいの期間に通知書が発送されるとともに、国税庁の法人番号公表サイトに法人名称・所在地・法人番号の基本3情報が公表される予定です。法人番号は公表される番号ですから、いつでも入手可能ではありますが、取引先などの法人番号を記載しなければならない書類の提出時期までには、確実に入手できるように段取りだけはつけておく必要があります。○今年中にマイナンバーを収集するために考慮しておくことこの連載では、中小企業のマイナンバー取り扱いの入り口となる従業員などからのマイナンバーの収集を、マイナンバーが送付される10月から11月にかけての期間で行うことを提案してきました。それは、来年の年末調整時期以前にもマイナンバーの利用が必要となるケースもあること、また来年のこの時期に収集しようとすると必ず通知カードを失くした従業員や扶養親族が出てくることが想定されることを考慮した提案でした。先に見たとおり、市区町村によっては送付時期が11月下旬までかかってしまうことや、最初の送付で受け取れず再送付を待たなければならない従業員も出てくることを想定すると、従業員などからの収集に12月までかかることは想定の上で、収集スケジュールを組み直す必要があります。すでに、従業員へのマイナンバー提供依頼の案内や収集したマイナンバーの安全管理措置など必要な準備を整えている場合は、通知カードが手元に届いた従業員から順次収集していくほうが、一斉に収集することにくらべると非効率のようでも実際的な対応方法といえます。また、現時点でマイナンバー制度への対応準備が充分にできていない中小企業の場合は、あわてて従業員などからのマイナンバーの収集を始めるのではなく、マイナンバーの利用分野である税や社会保障の専門家である税理士や社会保険労務士に相談して、まず制度への理解を深めるとともに、自らの企業規模に応じた方法として、これら外部の専門家にマイナンバーの取り扱いも委託する方向で相談していくことが、対応準備の近道となります。そのうえで、信頼できる税理士などにマイナンバーが必要となる源泉徴収票作成業務とあわせてマイナンバーの取り扱いを委託する場合は、税理士事務所と企業との役割分担を決め、企業がうけもつ役割に応じて安全管理措置を講じてから、従業員などからのマイナンバーの収集を開始しても、遅くはないのではないでしょうか。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月13日大学に進学している学生の約半分が受給している奨学金。大学卒業後、就業してからも返済している人が多いのではないでしょうか。ご自身のライフプランに合わせ、奨学金を返済していくことが重要なポイント。今一度奨学金について見直してみましょう。○独身時代は問題なくても……日本学生支援機構の「学生生活費調査(平成24年度)」によると、大学(4年生昼間部)に進学している学生のうち52.5%の人が何らかの奨学金を受給しています。奨学金の種類や額にもよりますが、奨学金の返済は、開始から終了するまで12年から20年という長期間続く支出。読者の皆さんの中にも、現在奨学金を返済しているという人も多いでしょう。例えば、大学4年間にわたり月額5万円を利息付の第二種奨学金で貸与を受けていたとします。利息は「利率固定方式」と「利率見直し方式」のうち申し込み時に選択した一方で計算されますが、利率固定方式を選択した場合、貸与終了時に決定された利率が返還が終了するまで適用されます。現在の固定方式の年利率は0.69%と低めですが、現在返済中という方の中には1.5~1.9%の利率が適用されている人もいるでしょう。総額240万円の貸与を受けた場合、返済期間は15年間となり、毎月約15,000円の返済義務が課されているでしょう。夫婦共に同条件で貸与を受けている場合は、毎月約3万円が家計の固定支出として出て行くことになります。独身時代は各自問題なく返済できていたとしても、20歳代後半から30歳代になって、結婚・子育て・ファミリーカーへの買い替え・マイホームの購入など、ライフプランの中で支出項目および金額が大きく変化してくると、現在の家計や将来への貯蓄にも影響を及ぼしかねません。特に女性が奨学金を受給していた場合で、出産・育児などで一時的にでも収入が途絶えると、3万円の支出は家計への影響度も高いです。しかし家計が厳しいからといっても、返済を甘く見るのはNG。延滞金(平成27年現在、年5%)が課されたり、長期滞納者には法的措置も取られます。個人信用情報機関に登録され、俗に言うブラックリストに載るのもその1つです。慌てて滞納分を払っても、一旦ブラックリストに載ると5年間は抹消されません。クレジットカードや住宅ローンを申込みたくても拒否されてしまう可能性もあるのです。そのためにも返済を怠らず、家計全体で必要な支出や貯蓄をする工夫が必要です。今一度家計を見直し、毎月の出費に無駄がないか確認しましょう。通話料や外食費など縮小できる支出は縮小していきましょう。共働きのうちは早く完済することを目標に、ボーナスなどで繰上げ返済を検討するのもその1つです。繰上げ返済は一部でも全部でも可能ですが、一部返済の場合は期間短縮となり、繰上げ期間分の利息が免除されます。ただし他に返済すべきローンがある場合は、奨学金にこだわる必要はありません。借入金利・返済期間・残高を考慮して節約効果が最も高いものを繰上げ返済するようにします。夫婦の一方が育児に専念する期間がある場合は、奨学金の返済が家計を圧迫してしまう可能性もあります。仕事復帰までの間の奨学金返済を減額する「減額返還制度」も検討してみましょう。一定期間返済を停止して先送りにする「返還期限猶予」という方法もあります。いずれも申請をして承認を受ける必要がありますが、延滞にならないので安心です。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール武田明日香エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)
2015年10月07日会社勤めの方が加入している健康保険には、「傷病手当金」という制度があります。業務外の病気やケガで働けなくなり、給与等がもらえなかったり減額されたりしたときに、傷病手当金が健康保険より支給され、収入減を補うことができます。傷病手当金が受けられる条件業務外の病気やケガの療養のための休業であること療養のため仕事につくことができないこと連続する3日間を含み4日以上仕事につけなかったこと休業した期間について給与等の支払いがないこと上記4つの条件をすべて満たしているときに支給されます。上記、3.について説明します。業務外の病気やケガにより、連続して3日間休み、4日目以降仕事につけなかった場合に、4日目から休んだ日数分に対して傷病手当金が支給されます。最初の連続3日間の休みのことを「待期期間」といい、支給対象になりません。この3日間には有給休暇、土日祝日等の公休日も含まれます。図 待期期間の考え方支給される期間傷病手当金が支給される期間は、一つの傷病ごとに、支給開始日から最長1年6カ月です。1年6カ月間の途中で、一時的に出勤した日があっても、その出勤日数も1年6カ月に含まれます。支給開始後1年6カ月を超えて仕事に復帰できない場合でも、支給は1年6カ月までで、それ以上の支給はありません。支給される傷病手当金の額傷病手当金は、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。標準報酬日額は標準報酬月額の30分の1となります。休んでいる間に給与等の支払いがあっても、その金額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。退職後の傷病手当金について会社を退職した場合でも、一定の条件を満たせば傷病手当金の支給を受けることができます。一定の条件とは、退職日の前日まで1年以上被保険者期間が継続していて、退職したとき傷病手当金の支給を受けているか、支給を受ける条件を満たしているとき(上記1.2.3.の条件を満たしている場合)です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年09月25日小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは9月24日、沖縄県の地元企業2社と共同し、プログラミング学習のための奨学金制度「CA-Frogsキッズプログラマー奨学金」を設立し、奨学生2名を採択したと発表した。「CA-Frogs キッズプログラマー奨学金」は、沖縄のIT人材を育成・輩出するためのプログラミング学習奨学金制度。CA Tech Kidsのほか、シーエー・アドバンス、レキサス、沖縄県内の中学生~大学生をシリコンバレーへ派遣し次世代リーダーの育成を目指す教育プログラム「Ryukyufrogs」との四者共同で実施する。今回、奨学生として採択されたのは、上原匠人君(金城小学校5年生)と譜久原理樹人君(宜野湾小学校5年生)。2名は小学生向けプログラミングスクール「Tech Kids School」沖縄那覇校にて、半年間・計約100時間のプログラミング学習を行う予定。開発ツール「Xcode」を使ったiPhoneアプリ開発や、HTMLやJavaScriptを用いたWebアプリ開発を学び、12月には奨学生自身が企画・開発したオリジナルの作品をプレゼンテーションする発表会を行うという。学習に係る諸費用はシーエー・アドバンスおよびレキサスが負担し、奨学生は無償で学習することができる。将来的には、同プログラムで学習した奨学生を、「Ryukyufrogs」を通じてシリコンバレーに派遣し、高度なリーダー育成につなげていきたい考えだ。
2015年09月24日オービックビジネスコンサルタント(OBC)は9月18日、企業が行う初めてのストレスチェック制度の準備に対応したオールインワンサービス「OMSS+ストレスチェックサービス」を同月24日から同社の販売パートナーを通じて発売すると発表した。同サービスはOBCの業務サービスとして年間利用型で提供し、価格は税別でProfessionalタイプ(実施者・相談センターIT受検/分析)は9万5000円(社員数100名まで、人事奉行所有のOMSSユーザーの場合)~。同サービスは厚生労働省のガイドラインに則ったサービス設計をしており、法令完全準拠。専用導入運用ガイドでは企業に必要な体制構築の手順や準備書式を提供し、IT受検サービスでは「職業性ストレス診断簡易票」をベースに、57問・23問・80問の設定が可能。努力義務となっているストレス状況の組織分析は厚生労働省が提唱する「仕事のストレス判定図」に沿って、企業全体、組織のストレス状態を把握でき、努力義務となっている職場環境改善の指標として利用できる。また、メンタルヘルスに精通した専門医を実施者として提供し、実施者はITによって収集された診断結果を総合的に判断し、高ストレス対象者と面接勧奨などを適切に判定。実施結果に対して、実施者は企業の状況を適切に分析し、改善ポイントやアドバイスをレポート。さらに、利用企業の総合的なサポートするために相談センターを設置し、対応するスタッフは産業保健に精通した事務スタッフ・産業カウンセラー・社会保険労務士などのプロ集団が総合的に対応。相談は体制構築・書面作成・ストレス実施・分析など多岐に渡る内容に対応し、初めての制度対応・ストレスという未経験な内容に対し相談することが可能で従業員からのストレス診断結果に関する直接のお問い合わせに対応する。
2015年09月18日NECは9月16日、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の開始に伴い、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、全国の地方公共団体(7月時点で1743団体)の個人番号カード(ICカード)交付窓口で、本人確認に利用される「個人番号カード交付窓口用顔認証システム」を受注したことを発表した。同社によると、顔認証システムが全国の地方公共団体において統一的に導入されるのは、今回が初めての事例となるという。本システムは、地方公共団体の窓口において個人番号カードの交付を希望する住民に対し、来庁者と個人番号カードの顔写真を照合、もしくは、来庁者と個人番号カード交付申請書の顔写真を照合するもの。これにより、地方公共団体における個人番号カード交付時のなりすまし対策などに対して有効だとしている。同社によると、採用されたシステムには、同社の顔認証エンジン「NeoFace」を活用しているという。
2015年09月16日NECは9月14日、山梨県甲州市から、社会保障・税番号制度(以下、マイナンバー制度)を扱うすべての住民基本台帳システム端末約160台のセキュリティ強化に向け、顔認証セキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor V2」を受注したと発表した。甲州市は2016年1月のマイナンバー制度運用開始に合わせ、同ソフトウェアの利用を開始する予定。「NeoFace Monitor V2」は、顔認証エンジンをベースに、顔認証によるPCログオン、ログオン中の利用者の常時監視を可能とするソフトウェア。端末を複数の職員で共有する場合でも、利用者を個人単位で認証し、いつ誰がアクセスしたという利用履歴が確実に残るため、職員の不正利用への心理的な抑止効果も期待できる。常時監視機能により、端末利用者の離席をすぐに検知して自動で画面をロックするとともに、ログオン中に未登録ユーザーが着席した場合も検知して画面をロックする。これにより、未登録ユーザによる不正利用を確実に防ぐ。
2015年09月15日株価が乱高下する中、上場各社が長期株主確保のために充実させているのが「株主優待制度」だ。だが、これまで株式を保有したことのない人にとっては、株の購入はハードルが高いかもしれない。そこで今回は、投資情報会社のフィスコ 情報配信部 株式アナリストの小林大純氏に、株主優待を受けるための株式購入の方法など、「株主優待制度」の基本についてインタビューした。○「株主優待制度」、利用できる条件とは?――株主優待の基本について、株を持てば受けられるというのはわかるのですが、何株持てばいいのかなど、その辺りから教えていただけますでしょうか。株主優待というのは、上場企業が株主に長期的に株を保有してもらいたいとか、そういった目的のために、自社の商品をプレゼントしたり、あるいはサービスを提供したりといった、文字通り贈呈する仕組みです。受けるためには幾つかの条件があります。1つ目が、1年の決まった時に株式を保有している必要があることです。おおむね、企業には1年のうちで決算期があり、大抵の場合は3月ですが、2月、1月というところもあります。決算の期末であるとか、3月期末の決算企業であれば9月など中間期ですね。多いのは年に1回期末のとき、あるいは期末と中間の年に2回、その時時点の株主さんに株主優待をするというケースです。ですので、株主優待を受けるには、その企業が、いつ時点の株主さんに株主優待するかを確認する必要があります。――なるほど。企業ごとに決まった時点でその企業の株を持っているかどうかが株主優待を受ける第一の条件なんですね。それはどうやって調べればいいのですか?企業のホームページを見ますと、IRサイト、つまり株主向けページに、株主優待のコーナーを設けている企業が多く、「基準日」といいますが、いつ時点で株主である必要があるかということが記載されています。――たとえば、3月期末の会社は、3月31日に持っていればいいということですか。そこが注意点です。初めて株をする人は間違いやすいことなので、ぜひ注意してほしいのですが、3月期末の会社は3月31日時点で株主であることが必要であることが多いのですが、証券会社さんで株を買いますと、発注して即日それが自分のものになるわけではないのです。たとえば31日の3営業日前までに買う必要があると、決済が終了して自分の名義になるのが3営業日後になります。3営業日前が「権利付の最終売買日」となります。権利を取得するためにその日までに買っておく必要があるのです。――最終売買日は、3月31日の3営業日前になるということですね。そうです。その時点で買っておく必要があります。3月末が株主優待の「権利確定日」である場合は、その3営業日前が「権利付の最終売買日」です。具体的にいいますと、今年の3月は、31日が火曜日、この時点で証券会社さんで株を買いますと言ってもだめです。3月27日までに買っておく必要がありました。この3月27日が「権利付の最終売買日」です。企業のホームページを見ると、「権利確定日」は3月末時点の株主様と書いてあったりしますが、これを3月末に買えばいいという誤解をしてしまうと、31日に買っても優待は受けられないのです。――なるほど。「権利付の最終売買日」が重要なんですね。もう一つ注意してほしいのは、保有株数の条件が設定されています。大抵の場合は、売買するための最小単位、「単元」といいますが、100株、1000株の企業が多いです。今は大抵100株ですね。最低の売買単位が100株の企業ですと、100株持っている株主から優待を提供しますよという企業が多くありますが、たまに300株以上の株主とか、500株以上の株主いう条件がある場合もあるので、何株以上からの株主が対象かということを確認する必要があります。また、100株以上が対象の企業でも、500株以上の株主さんになると贈呈品が倍になるとか、段階的に優待のボリュームがアップするケースが多くあるので、これも確認しておきたい点です。――よく条件を確認しておく必要がありますね。株主優待を受けるためには1単元以上という企業が多いのでしょうか。そうですね。そもそも、株式投資は1単元以上から可能ですので、最低投資金額以上であれば優待対象という企業さんが多いです。まれに、「1単元」が100株でも、500株以上でないと株主優待の対象にならないというような企業もあるので気をつけたほうがいいですね。○企業は何のために株主優待をやっている?――最初の話に戻るかもしれませんが、企業は何のために株主優待をやっているのでしょう?自社の商品を提供してファンになっていただいて、直接株を保有してもらう。BtoCの企業ですと、優良顧客にもなり得るわけです。そういった意味で、長期株主を定着させたり、消費者としてのターゲットとして自社の商品のファンになってもらう、そういう狙いで株主優待を提供している企業が多いですね。また、最近出てきた動きですが、保有している期間によって優待内容に差をつける企業が出てきています。たとえば、100株以上を3年以上保有していると、今までの優待が1000円分だったのが2000円分になります、など。長く持っている株主さんに手厚くする傾向が最近徐々に出てきていまして、これも注目すべき動きです。――それはどういった理由からですか。ファンになってもらうことや、株価の安定でしょうか。そうですね。株価の安定や、安定株主をつくるということですね。企業同士の株の持合いの解消ということもあり、個人投資家に安定株主になってもらおうと。――なぜ持合いの解消が必要なのでしょう。「コーポレートガバナンス・コード」で、極力持ち合いはやめましょう、やる場合は説明しましょう、という制限がついてきました。○株主優待のリスクはある?――中国の問題で株が下がったりしています。個人の投資家にとっての株主優待のメリットは、商品・サービスが受けられるということだと思いますが、リスクはどうでしょうか。当然、株式ですので、投資した原資が100%返ってくるというわけではなく、場合によっては100万円投資したものが50万円になってしまうとか、ほとんどないですが、倒産してゼロ円になってしまうとか、そういうケースもあります。ですので、優待の商品の中身も大切ですが、その企業がどういったビジョンで経営していて、どういった成長戦略を持っているのかとか、そういった見極めも大事になってくるのです。――企業がどうなるか予測するのは個人投資家にとって、経済の勉強にもなると思いますが、どのあたりを見ればいいですか。ファンドマネージャーでもなく、アナリストでもなくという場合に、企業の株を買う買わないという、どの辺に判断の基準はありますか。1つは業績のトレンドです。決算短信、東証の適時開示システム(TDnet)など、企業の業績を開示する資料はたくさんありますので、そういったところをごらんになっていただいたらいいと思います。赤字か黒字かだけではなく、直近2期、3期ぐらいの利益の増勢、トレンドが出ているかとか、そういったところは簡単に見ることができると思います。また、財務情報を見るのは一般の投資家には難しいと思いますが、企業の決算を監査する監査法人が、企業が継続していくことに対して注意すべきところがあるのかどうか意見を付している、継続疑義の注記というのがあります。これは、企業が継続していく際に、たとえば何期赤字になっているので、このまま赤字が続くと資本を食いつぶして危ないとか、負債が増えていて危ないとか、注意点があれば投資家さんに知らしめるための注記を付しています。継続疑義の注記がついている、ついていないとかを見るだけでも参考になります。短信自体に継続疑義の注記が付されているのですが、たとえばネット証券会社のWebサイトでは、継続疑義の注記がついている企業の一覧が載っているケースが多いです。投資情報の一環としてそういうリストがあったりします。投資したいと思っている企業がそこに該当するかどうかのチェックは簡単にできます。○「配当」も考慮すべき?――株式を持っていると配当もあるかと思うのですが、株主優待目的で株を購入する場合でも、配当は気にするべきですか。配当も株主への還元という意味で、個人投資家にメリットがあります。配当は機関投資家も含めてメリットがありますが、株主優待は機関投資家にはあまり人気がありません。機関投資家は大量のロットで株を持っていても、優待が要らない人たちですので。個人の投資家さんにしてみれば、投資していることで得られるリターン・メリットの考え方として、優待と配当を合わせた総還元利回りというものがあります。たとえば100万円投資したら3万円の配当がもらえて、同時に優待が1万円分もらえるとします。100万円の投資に対して1年間で4万円、4%のリターンが得られるわけです。両方合わせてどのくらいのリターンが得られるのかという、総還元利回りという考え方で投資先を検討している投資家も増えています。――配当額はどうやってわかるのですか。企業さんの決算短信に記載されています。1株あたりで記載されています。100株持っていたら×100すればいいのです。自分がいくら投資したかによって、何%のリターンかというのがわかります。――優待もそうですが、配当もうれしいですね。個人投資家がひかれるのはワクワク感ですので、配当も考慮することで、その企業がどんなことをやっているのか理解する助けになると思います。○おすすめの銘柄は?――小林さんから見ておすすめの銘柄はありますか。外食系だと、食事券、割引券がもらえることが多いですが、注目して見ているのは、アスラポートダイニングです。牛角など多業態でレストランを経営しています。ダイヤモンドダイニングも多業態で展開しています。最近、多業態で展開している企業も多いので、優待の使い道がいろいろあるので注目しています。――なるほど。外食産業にそういう傾向があるのですね。注意点の1つになってくると思うのですが、外食企業などサービス系の企業全般にいえると思うのですが、近くに使える店舗があるかどうか確認していただきたいですね。首都圏で展開している企業で、大阪在住の投資家は店舗利用券をもらっても使えないということになりますので、実際に使える店舗が近くにあるかどうかが大事になってきます。一方、そういう株主に配慮しようということで、最近、サービス系とか外食系含めて、自社店舗での利用券または商品を発送しますという企業も増えてきている。そうすると、使える店舗が近くになくても、その企業の商品を取り寄せて楽しむことができます。――外食系以外におすすめの企業はありますか。皆さんのご趣味だとか、それぞれ違ってくると思うのですが、会社のサービスなどが目に見えるというのが株主優待を受ける楽しみでもありますので、サービス系がいいと思います。たとえば、カラオケをよくされるのであればシダックスですと利用券がもらえます。また、ネットカフェをよく利用する人にとっては、「自遊空間」を展開しているランシステムもいいかもしれません。身近でこういうサービスがいいなと気づいたときに、そこが上場されている企業であれば優待がないかと調べてみるのも楽しみの一つだと思います。自分の普段の生活から探してみるということです。――あらためて自分の生活を振返ってみるのもいいかもしれませんね。最近検索エンジンも進化していまして、FISCOウェブでもキーワード検索といって、「自遊空間」と入れるとランシステムが出てきます。弊社の投資情報アプリである「FISCOアプリ」は、投資家向けに提供させていただいているのですが、こちらでもキーワード検索ができますので、たとえば店名と会社名が違うというケースはあるのですが、店名検索していただければ、運営されている会社にたどり着くということはできます。○手元にいくらあれば、株主優待目的の投資を行える?――手元にいくらぐらいあれば、株主優待目的の投資を行えますか?最近は東証の指導がありまして、投資のために必要な最小単元を広く投資家に持ってもらうために引き下げましょうという動きがありまして、最小限の投資単位で持とうとすると安くてすむようになってきています。単元の株数が少ない会社ですと数万円から投資できますし、多いところでも数十万円、50万円未満にしましょうという指導されています。この範囲内に収まる企業さんが大抵です。――50万円未満でできるということですね。ボーナス1回分ぐらいでしょうか。10万円未満で買える株特集なども雑誌で組まれていますので、あきらめずに探せば、余裕資金が10万未満しかないという人でも投資できます。弊社でも特集をやっています。――フィスコさんで特集を組むというのはホームページ上でということですか。先ほどのFISCOアプリや、アプリがPCのWeb画面でも利用できる「FISCOウェブ」でも見ることができます。――「株主優待制度」を利用するだけで、いろいろな知識が身につきそうですね。本日はありがとうございました。
2015年09月15日高2女子です。奨学金だけで大学へ進学できるか心配です。こんにちは。わたし、真由子といいます。高校2年生です。両親と大学生の姉と暮らしています。先日、両親と姉が、姉が20歳になったために納付しなければならなくなった国民年金の保険料を、どうやって工面するか話し合いをしているのを聞いてしまいました。日頃から、我が家の家計が苦しいのはわたしも知っているので、話し合いをしていることには別に驚かなかったけど、聞いているうちに、このままだと、お金が足りなくて妹のわたしは大学に行けない、なんてことになるんじゃないかと心配になってきました。両親は、わたしのために学資保険に入ってくれているんですが、わたしが高校に進学した時に、その学資保険から出た「お祝い金」を、姉の大学の入学金に流用した“前科”があって、このまま両親を当てにしていて本当に大丈夫なのか正直不安です。そこで、最悪、両親からの支援がなくても、自分の力だけで大学へ行くことってできるのかどうか、調べてみることにしました。自分の力だけで進学するとなると、まず思い浮かぶのは奨学金かなと思うので、とりあえず奨学金について調べて、わかったことを書いていこうと思います。はじめに、パソコンで「奨学金」を検索してみたら、学校や自治体、企業、それにいろいろな団体が独自の奨学金制度を運営していて、とても全部は把握できそうもありませんでした。例えば、ある有名大学で利用できる奨学金の数は250種類以上あるそうです。なので、とりあえず一番有名な、「独立行政法人 日本学生支援機構」が運営している奨学金貸付制度について調べていきます。日本学生支援機構の奨学金まず、「日本学生支援機構」、といっても、お父さんもお母さんも知りませんでした。両親が大学生だった頃は「日本育英会」という名前だったそうです。当時から、「奨学金」といえば日本育英会だったそうなので、相当歴史は古いみたいです。次に、「奨学金」は、勉学を奨励するお金、と読めるし、友達のなかには、返済しなくてよいお金、と思っている子もいます。確かに返済しなくてよい奨学金もあり、そういう奨学金のことを「給付型」と呼ぶそうですが、日本学生支援機構の奨学金は「貸与型」で、必ず返済しなければいけません。日本学生支援機構の奨学金には3つの種類があります。(1)第一種奨学金→利息がつかない。貸与金額は表2を見てください。(2)第二種奨学金→利息がつく(大学在学中は無利息)。(3)入学時特別増額貸与奨学金→利息がつく(大学在学中は無利息)。10万円、20万円、30万円、40万円、50万円から選択。このうち、(3)の「入学時特別増額貸与奨学金」だけを単独で申し込むことはできません。希望する人は、第一種、第二種奨学金とあわせて申し込むことになります。また、入学時特別増額貸与奨学金は、低所得などの理由で日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を利用できない人を対象とした奨学金です。今回奨学金について調べているとき、よく比較されていたのが、今出てきた日本政策金融公庫の国の教育ローンだったので、日本学生支援機構の奨学金との違いがわかるように表にしてみました。今は、両親の支援なしに大学に行く方法を考えているので、保護者が対象の国の教育ローンは除外し、日本学生支援機構の奨学金についてのみ、もう少し調べます。「第一種奨学金(無利息)」だけでは志望大学に行けない日本学生支援機構の奨学金のうち「第一種奨学金」は利息がつかないのですが、この第一種奨学金で支給される金額は、国公立大学へ自宅から通う場合で月に4万5千円、自宅外から通学する場合で5万1千円、私立大学へ自宅から通う場合で5万4千円、自宅外から通学する場合で6万4千円と決められています。ほかに、国公立・私立、自宅・自宅外の区別なく、3万円を選択することもできます。わたしは、志望大学をまだはっきり決めていないんですが、自宅通学できる私立大学の理科系学部にする可能性が高いので、仮に第一種奨学金を借りたとすると、月に5万4千円、4年間で約259万円貸与されることになります。※1志望大学が決まっていないので、私立大学理科系学部の平均的な学費を、文部科学省が公表しているデータから算出してみると、入学金が必要な初年度が約150万円、2年生からは約123万円で、4年間で合計約519万円かかることがわかりました。※2この結果から、第一種奨学金だけで志望大学に行くことはできないことがわかります。不足額は、同じ文部科学省のデータから、私立大学理科系学部の平均的な入学金は26万5千595円だということがわかったので、入学時特別貸与奨学金を30万円利用すると、残りは230万円(519万円-259万円-30万円=230万円)となります。4年間で230万円必要ということは、月額では約4万8千円となり、これを第二種奨学金で借りればいいことになります。第二種奨学金は、月額3万円、5万円、8万円、10万円、12万円のいずれかから選択できるようになっているので、わたしの場合、5万円を選択すれば、あまり借りすぎたり、不足し過ぎたりせず、奨学金を利用できそうです。このように、第一種奨学金から月5万4千円、第二種奨学金から月5万円、それに入学時特別増額貸与奨学金30万円を受けることができれば、奨学金だけで志望大学へ進学することは可能だということがわかりました!よかった!ここまで調べた限りでは、奨学金を受けることができれば、両親の支援がなくても、なんとか自分の力だけで大学へ行けそうです!返済総額550万円、返済期間20年!次の問題は、月に10万4千円、入学時に30万円、合計529万2千円も借りて、果たして返済できるかどうかですよね、やっぱり。返済する時には利息が加算されますが、今回ネットでいろいろ調べた結果、日本学生支援機構の奨学金の利息は年利3%だと誤解している人が結構多いみたいでした。本当は、最大3%になる可能性がある、ということで、実際は、例えば今年(2015年)3月に卒業した人に適用される金利は、利率固定方式を選択した人で0.63%、利率見直し方式を選択した人で0.10%と、とても低い水準でした(入学時特別増額分についてはそれぞれ0.83%、0.30%)。仮に利率0.63%(入学時特別増額分は0.83%)として、日本学生支援機構のホームページで、わたしが借りる予定の529万2千円の返済方法をシミュレーションしてみると、毎月22,838円を20年間かけて返済するという結果になりました(最終月は22,907円)。ちなみに、返済総額548万1,189円のうち、利息分は18万9,189円でした。返済総額約550万円という金額がどのぐらいの値打ちなのか、高校生のわたしには正直ピンときません。家は買えないけど、車は買える、という感じでいいのかな。でも、返済が終わったら、自分は42歳か43歳になっているんだと思うと、やっぱり550万円という金額は、“ハンパじゃない!”ってことがわかります。月額22,838円という返済金額も、就職できれば返済可能な金額だとは感じるけど、結婚したり、子どもができたりするかもしれない20年という長い期間、無事に返し続けることができるのかは、自分でも全く予想がつかないです。仮に、返済ができなくなった場合どうなるかを調べてみると、連帯保証人に返済の請求が行われるほか、自分名義のクレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなったり、また、給与や財産が差し押さえられたりすることがあるそうです。ただ、病気や失業などの事情で返済がむずかしくなった場合は、日本学生支援機構に申し出ることにより、返済月額の減額や、返済期限を猶予してもらえる制度を利用できることがあるそうです。返済が困難になったときは、黙って延滞しないで、すぐに支援機構に相談することが大切なようでした。このように、万一のときのセーフティネットがあるとはいえ、とにかく、奨学金を受けるからには、卒業したら絶対就職する、という強い決意が必要だと思いました。入学金だけは事前の準備が必要今回調べてみて、少なくとも平均的な学費の私立大学理科系学部に自宅から通う場合、奨学金だけで大学へ行くことはできそうだということがわかったのですが、一つだけ奨学金では賄えない費用がありました。日本学生支援機構の「入学時特別増額貸与奨学金」は、貸与されるのは入学後になります。だから、たとえ貸与されることが決まっても、入学金の支払いには間に合いません。入学金だけは、奨学金が貸与されるまで両親に一時立て替えてもらうか、事前にバイトでもして貯めておく必要があります。両親が加入してくれているわたしの分の学資保険が、中途解約されて姉の学費に流用されたりせず、無事に満期になったら、ぜひ入学金に充てたいです!さて、奨学金を借りることができれば、自力で大学へ行けそうなことはわかったし、あとは合格するだけだな~っと!!※1 「第一種奨学金」「第二種奨学金」とも、奨学金を申し込む人の学力・家計等について、日本学生支援機構が基準に照らし、予算の範囲内で決定するため、希望すれば必ず受けられるわけではありません。※2 文部科学省「私立大学等の平成25年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年09月14日