意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「年金制度改革」です。年金制度存続のために様々な案が出ています。令和2年の通常国会では、「年金制度改革関連法案」が閣議決定されました。少子高齢化により、このままの状態では、年金制度の存続が危ぶまれています。昨年も老後のお金の問題が大きくニュースになりましたよね。そこで、年金制度の様々な改正案がいま審議されていますが、その一つは、定年を延長して高齢者の働く期間を延ばし、老齢年金の受給開始を60~75歳まで幅をもたせるという案です。受給を先に延ばした人には、そのぶん受給額を増額するというもの。実際、いまの60代はとても若い。60歳以上の働く方々のうち8割が65歳以降も働きたいと答えています。また、働く高齢者の年金を減らすという案も出ています。もう一つ注目されているのは、厚生年金に加入できる人のハードルを下げるというもの。現状では、パート従業員やアルバイトは厚生年金ではなく、国民年金です。しかし、年金の加入と納付は国民の義務にもかかわらず、国民年金は未納者も多くいるので、厚生年金に一本化していこうという改革です。現在は、従業員501人以上の会社が加入要件でしたが、それを段階的に引き下げて、2024年には51人以上の規模の会社であれば厚生年金の対象にしようとしています。これにより新たに65万人、加入者が増えると試算されています。また、自分で掛け金や運用を決められる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入できる年齢も、20歳以上60歳未満から、65歳未満に変更します。昔は60歳定年で、定年後も年金だけで十分生活ができていました。しかし、高齢者は増えますし、寿命も延びますから、これからは自分でなんとかしなければいけない割合は増えていくと思います。100年時代の人生設計のプランを教えてもらいたいですよね。とくにお金に関する教育は、アメリカやヨーロッパのように、国が積極的にやってほしいと思います。何も知らないままでは、資産運用には怖くて手が出せませんし、失敗しても自己責任と突き放すのは問題なのではないでしょうか。これから何歳まで働くことになるのか。みなさんの将来に関わる問題なので、注目していてください。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年4月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年03月30日住宅ローンを組むときにどのような影響があるか気になる方もいらっしゃるでしょう。本記事では、奨学金が住宅ローン審査に与える影響や、審査を出すときの注意点、計算方法などお伝えしていきます。奨学金を返済中だと住宅ローン審査に影響するの?自動車ローンなど一般的なローンは利用していないものの、学生時代に借りた奨学金が残っていて、住宅ローン審査にどう影響するのか心配といった方は多いのではないでしょうか。奨学金には給付型と貸与型の2種類があり、給付型の場合は返済不要のため住宅ローン審査に影響はありませんが、貸与型の奨学金で住宅ローン審査時にまだ返済している場合には借入として見られてしまいます。なお、貸与型には第一種奨学金と第二種奨学金の2種類があり利息の有無等の違いがありますが、基本的にはどちらであっても住宅ローン審査に影響が及びます。住宅ローン審査に影響しない奨学金もある?奨学金は原則として住宅ローン審査に影響が及びますが、奨学金の種類によっては審査に影響しないものもあります。例えば、日本学生支援機構の奨学金は平成20年に個人信用情報機関に加盟しているため、平成20年以前に同機構から貸与を受けていた場合には住宅ローン審査時にばれない可能性が高いです。なお、上記の場合あくまでも金融機関に申告しないという選択をすることになります。このため、住宅ローンの審査を申し込む金融機関の口座で奨学金の返済をしていないか確認しておく必要があります。奨学金返済中でも住宅ローンを借入する方法奨学金の貸与を受けていると原則として住宅ローン審査に影響が及ぶことをお伝えしました。とはいえ、奨学金があると不利にはなりますが住宅ローンを組めないわけではありません。奨学金を完済して住宅ローンを組むまずは住宅ローンの融資実行までの間に奨学金を完済する方法があります。これまで貯金してきた自己資金があるような場合や、ご両親から援助を受けられる場合で、奨学金を完済できるのであればこちらの方法を選ぶとよいでしょう。住宅ローン融資実行までに完済できるのであれば、何の影響もなく住宅ローンの審査を受けることができます。返済比率内に借入額を調整するまた、奨学金の返済額と新しく借りる住宅ローンの返済額、年収の額によっては奨学金があっても住宅ローンの融資を受けることは可能です。住宅ローンの審査では、借入可能額を計算する際に返済比率を用います。返済比率を確認しよう返済比率とは、年収の内、住宅ローンやその他ローンの返済額の比率がいくらになるのかを示すものです。返済比率は以下の計算式で計算できます。返済比率=住宅ローンやその他ローンの返済額÷年収×100(%)例えば、年収400万円の方が住宅ローンで月に10万円、奨学金で月に2万円返済するようなケースでは、返済比率は(10万円+2万円×12カ月)÷400万円×100(%)=36%となります。住宅ローンの審査時には金融機関ごとに定められた返済比率以下に納めなければ融資を受けられません。例えば、住宅金融支援機構では以下のように返済比率が定められています。つまり、上記の計算では返済比率が36%になっているため、借入額を少なくして住宅ローンの返済額を抑えなければ融資の審査承認を得ることはできません。例えば、住宅ローンの返済額を9.5万円に抑えれば(9.5万円+2万円×12カ月)÷400万円×100(%)=34.5%となるため、返済比率内に抑えることは可能となります。ただし、利用条件内であっても返済比率が高いとそれだけ審査に不利となり、減額承認や否決になってしまうこともある点には注意が必要です。審査金利を確認しよう返済比率の計算方法についてお伝えしましたが、実は返済比率の計算において求める住宅ローン返済額は金融機関ごとに設定される審査金利で行われます。例えば、借入期間35年、借入額3,000万円の場合、審査金利が1%であれば毎月返済額は約8.5万円ですが、審査金利が3%だと毎月返済額は約11.5万円になります。フラット35の場合審査金利は実質金利(審査時点の融資金利)で計算されますが、民間の金融機関だと2~3%に設定されていることも多く、それだけ返済比率は高くなってしまいやすいです。特に奨学金のある方が住宅ローン審査を受ける際には、先に金融機関に審査金利について確認しておくとよいでしょう。奨学金に延滞歴がある場合どうなる?奨学金があっても返済比率次第では借入できることをお伝えしましたが、奨学金の返済途中、何らかの理由で延滞してしまった場合はどうなるのでしょうか?奨学金を延滞した履歴がある場合、個人信用情報にその旨が登録されることになります。住宅ローンの審査では個人信用情報に延滞歴が登録されている場合、大きなマイナス要因となります。原則として、延滞歴が残っている限り住宅ローンを借りるのは非常に難しいと考えておきましょう。延滞の理由は汲んでくれるの?奨学金の返済を延滞した経験があるものの、その延滞の理由がうっかりであったり、返済口座を変更したことを忘れていたといったものだったりした場合、審査時にその理由を汲んでくれるものなのでしょうか?これについても、基本的には延滞の理由を問わず審査には大きなマイナスになると考える必要があります。とはいえ、十分な年収があるなど条件がよいことを前提に、金融機関によっては積極的に検討してもらえることもあります。この場合、延滞した当初の他の金融機関の口座で、当初返済できるだけのお金が十分にあったことを示すもの等を用意できるとよいでしょう。具体的にどのような書類が必要かについては個別に金融機関に確認する必要があります。延滞歴を確認する方法返済を延滞した場合でも、例えば返済日から2~3日後にうっかりに気付いて入金していたようなケースでは、個人信用情報に登録されていないことがあります。また、延滞から年数が経っている場合にはその記録が消えている場合もあります。住宅ローンの審査では個人信用情報に記録が残っているかどうかで見られるため、心当たりがあるかたは信用情報機関に情報を請求するようにしましょう。奨学金がある人が住宅ローン審査を申し込む際の注意点ここでは、奨学金のある人が住宅ローン審査を申し込む注意点についてお伝えしていきたいと思います。[adsense_middle]仮審査と本審査で違いはある?住宅ローン審査では仮審査と本審査がありますが、何か違いがあるのでしょうか?金融機関により取扱いは異なりますが、一般的に仮審査は源泉徴収票等の所得証明書類や本人確認書類があれば申込できます。一方、本審査は売買契約後に審査申込するもので、売買契約書や登記簿謄本、測量図など必要書類を全て揃えた上で審査申込をする必要があります。奨学金がある場合、その返済予定表などを提出しなければなりません。仮審査では返済予定表なしで提出することもできますが、借入額や返済額について申込書に記載する必要があります。多くの場合、仮審査で承認を得られれば本審査でも承認を得られる可能性が高いですが、仮審査で記入した借入額や返済額が、本審査で記入した実際のものと相違がある場合には審査結果が変わってしまうこともある点に注意しましょう。必要書類を準備しておこう上記の通り、住宅ローンの仮審査では所得を証明できるものや本人確認書類があれば審査申込自体は可能ですが、奨学金の借入があり、融資実行までに完済する予定がないのであれば、返済予定表を用意したうえで審査申込したほうがよいでしょう。仮審査で承認を得たものの、売買契約書の本申し込みで否決となってしまってはそれまでの手間が台無しになってしまいます。延滞した覚えがあるのであれば、先に個人信用情報を取得しておくとより安心です。妻が奨学金を返済している場合住宅ローンの審査に影響はあるの?夫が住宅ローンの申込人である場合で、夫だけでなく妻にも奨学金がある場合、住宅ローンの審査に影響はあるのでしょうか?通常、夫単独で審査申込するのであれば妻が奨学金を返済中であっても住宅ローン審査には影響しません。(ただし、金融機関によっては夫単独であっても世帯全体の収支を考慮するケースもあります)一方、妻の収入を合算して審査申込するようなケースでは、妻の奨学金についても住宅ローン審査に影響が及びます。この場合、借入できるかどうかの計算は単独の場合と同様、返済比率を用いて計算されます。妻が奨学金返済かつ収入合算するケースの返済比率の計算例えば、夫の収入が300万円で奨学金の返済額が2万円/月、妻の収入が200万円で奨学金の返済額が2万円/月で、フラット35の返済額が10万円/月となる額を借入する場合、(10万円/月+2万円/月+2万円/月×12カ月)÷(300万円+200万円)×100(%)=33.6%となります。上記ケースでは夫単独だと(10万円/月+2万円/月×12カ月)÷300万円=48%なので、夫単独では審査申し込みできませんが、夫婦で収入合算すれば申込できる計算となります。このように、夫婦で奨学金を返済しているようなケースでも収入合算することで審査申込に有利となることもあります。奨学金と住宅ローンに関するまとめ奨学金が住宅ローン審査に及ぼす影響や、奨学金の返済中でも住宅ローンを借りる方法、返済比率の計算方法などお伝えしました。奨学金は他の借入と同様、返済比率を計算したうえで、住宅ローンを含めた返済額が返済比率内でなければなりません。奨学金のある方が住宅ローンの審査を受ける際には、本記事でご紹介した内容を元に自分で返済比率を計算できるようにしておくとよいでしょう。
2020年03月17日奨学金の返済が厳しいからと言って延滞をしてしまうと、督促が入ったり個人信用情報機関に事故記録が載ってしまいます。そのようなことになる前に減額申請を検討しましょう。この記事では減額の対象条件や手続き方法について解説します。奨学金の返済は減額が可能奨学金は多くの学生が利用しており、日本学生支援機構の利用は3人に1人以上の割合となっています。しかし、奨学金とは学生時代に大きな金額の借金をし、新卒の社会人から継続して返済すべきものですので、経済的にマイナススタートとなる側面があります。低賃金である場合や非正規社員となった場合など、返済が厳しいというケースも多いようです。そのような時には奨学金の減額を検討しましょう。まずはその内容として以下について解説します。奨学金は3分の1に減額可能減額可能な期間返済総額は増えない奨学金は3分の1に減額可能奨学金の減額は、毎月の返済を2分の1または3分の1に減額できる制度です。奨学金を返したいのはやまやまだけれども、返してしまうと生活費がないというケースもあるでしょう。たとえば、就職活動に失敗してしまうとアルバイト生活を余儀なくされる場合もあります。また、正規社員になったものの、転職や独立によって一時的にお金が不足する場合もあり得ます。そのような場合に、毎月の返済額を2分の1または3分の1に減額できれば、随分助かりますよね。奨学金によって生活苦になっているのであれば、減額によって解決策を見出しましょう。減額可能な期間奨学金の減額が認められれば、毎月の支払いが1年間減額されます。1年という長い期間減額されるわけですから、その間に生活を立て直すと良いでしょう。失職している人は就職を目指したり、非正規社員の人は正規社員を目指したり、正規社員で低収入の人は副収入を得るなど、状況に合った対策が必要です。1年が経過しても、期間終了前に再申請すると期間を延ばすこともできます。繰り返し延長すれば、2分の1減額の場合は15年(180カ月)、3分の1減額の場合は30年(360カ月)まで延ばせますので、うまく活用すると良いでしょう。返済総額は増えない奨学金の減額を行うと返済期間が延びます。減額分を免除するわけではありませんから、返済期間の延長で調整するわけです。返済期間が延長されると追加で利子が増えたり、遅延損害金が発生すると考える人がいらっしゃるようですが、これらは特に不要です。利息は増えることなく返済総額は一定し、延滞するわけでもありませんので遅延損害金もかかりません。さらに、保証料などもかかりませんので、余分な出費を心配することなく利用可能です。減額申請に年収などの条件はある?減額申請をしたからと言って、誰でも許可されるわけではありません。減額が認められるためには一定の条件が設けられています。ここではその条件として以下の内容について紹介します。奨学金減額返還の年収条件延滞がないことは前提返済方法の条件その他条件奨学金減額返還の年収条件減額の条件として収入要件があります。サラリーマンの場合は、必要経費を控除した年間所得から25万円を控除して300万円以下である場合(または所得証明書などの年収)、自営業者の場合は200万円以下が条件となっています。また、誰かを扶養しているのであれば1名ごとに38万円の控除、すでに減額返還中であれば25万円の控除が受けられます。つまり、収入が少なくて返還が厳しい状況の基準として、上記金額が設けられているのです。延滞がないことは前提延滞がないことは前提となります。もしも奨学金が払えないからと言って遅延や滞納をしてしまうと、減額制度の条件から外れててしまいます。具体的には減額申請をする段階で遅延や滞納をしていると認可されないのです。とはいえ、遅延や延滞を解消すれば申請することは可能ですので、該当する場合は早めに金策を行いましょう。延滞リスクは遅延損害金や信用情報機関への記録だけでなく、このようなところにもあるのです。返済方法の条件減額が認められる条件として、月払いで返済している必要があります。たとえば年払いや半年払いなど、ほかの方法で返済している場合には、月払いに自動変更されます。また、リレー口座という本人名義の引き落とし口座の設定も原則です。ちなみに、月払いで口座引き落としであれば、リレー口座となっています。もしリレー口座未加入であれば、リレー口座手続きをしてから金融機関印のある「預・貯金者控」のコピーを、後述の「奨学金減額返還願」に添付する必要があります。その他条件「個人信用情報の取扱に関する同意書」の提出も前提です。もしも提出していない場合には、記入・押印をした上で「奨学金減額返還願」に添付しましょう。減額申請の方法奨学金の減額申請は、どのようなやり方をすれば良いのでしょうか?ここでは減額申請の方法として以下内容について解説します。手続きの必要書類を郵送する申請のタイミングいつから減額されるのか[adsense_middle]手続きの必要書類を郵送する減額申請はとてもシンプルで、必要書類を日本学生支援機構に郵送するだけです。「日本学生支援機構返還部返還猶予課(〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7)」に必要書類を送りましょう。必要書類は「奨学金減額返還願」「チェックシート」「返済が難しいことを示す証明書」の3つです。「奨学金減額返還願」「チェックシート」は日本学生支援機構の公式サイトからダウンロード可能です。返済が難しいことを示す証明書は主に以下のとおりです。住民税非課税証明書(原本)所得証明書(原本)市・県民税(所得・課税)証明書(原本)雇用保険受給資格者証(コピー)雇用保険被保険者離職票(コピー)失業者退職手当受給資格証(コピー)雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(コピー)2ヶ月以内に発行された診断書(原本)罹災証明書(原本)申請のタイミング減額返還を希望する場合には、減額希望月の前月末までに申請が必要です。たとえば6月から減額を希望するのであれば、5月末までに申請しなければなりません。逆に早すぎても受付してもらえない場合があります。減額希望月の4カ月以上前に減額申請をしても、書類が送り返されてしまいます。4カ月以上とならない範囲で前月末までに申請しましょう。いつから減額されるのか奨学金の減額は「奨学金減額返還承認通知」が届き次第行われます。申請書類に不備などがなければ、奨学金が減額され始める月の中頃に「奨学金減額返還承認通知」が送られてきますので、その月から減額開始と考えておきましょう。ただし注意点としては、連帯保証人にも「奨学金減額返還承認通知」が送られます。びっくりさせてトラブルとならないよう、連帯保証人にはあらかじめ伝えておいた方が良いでしょう。奨学金減額返還のメリット奨学金減額返還をした場合にはどのようなメリットが考えられるのでしょうか?ここでは具体的な内容として以下について紹介します。お金を貯めやすくなる延滞を回避しやすくなる気持ちにゆとりが出るお金を貯めやすくなる奨学金の減額返還をするとお金を貯めやすくなります。減額してもらうことで生活にゆとりが出れば、その分貯金や投資に回すことができるでしょう。積立投資の場合には少額でも行えますので、無理なく将来のための資金を作ることが可能です。特に奨学金の金利よりも投資による利回りが大きい場合は、奨学金を満額で返済するよりも得となりますので、お金を貯めることに有利となるでしょう。もちろん、投資にはリスクもありますので、しっかりと学んだ上での運用が前提です。延滞を回避しやすくなる延滞を回避しやすくなるということも大きなメリットです。延滞をして信用情報にキズが付いてしまうと、ライフプランに悪影響となってしまいます。住宅ローンはおろか、自動車ローンやカードローンなど、各種ローンの審査で不利となりますし、クレジットカードの審査通過も厳しくなるでしょう。これら金融取引でマイナスとなってしまうと、住宅購入ができなくなったり、ここぞという時の金策が難しくなったり、ハイクオリティーな生活ができなくなるなどの影響が出てしまいます。減額により延滞を回避できれば、これらのリスクを避けられます。気持ちにゆとりが出る精神面でも大きなメリットがあります。毎日お金のことを考えながら生活するのは精神的にキツイものがあります。次の返還日までにお金を工面しなければならないという生活を繰り返していると心が休まりません。心にゆとりがないと、前向きな取り組みがしにくくなりますので、心のゆとりは大切なのです。減額返還によってお金の悩みが少しでも解決すれば、収入を増やすための行動にも前向きになれるでしょう。奨学金減額返還のデメリット奨学金の減額返還はメリットばかりではありません。いくつかのデメリットもあります。デメリットも把握してから申請しないと後で後悔することにもなりかねません。ここでは以下のデメリットについて紹介します。返還期間が長くなる家計管理が甘くなる可能性がある将来設計が立てにくくなる返還期間が長くなる減額返還をすると、毎月の返済額は少なくなって家計負担が軽くなりますが、その分返済期間は延びてしまいます。2分の1に減額してもらった場合は最大で15年間、3分の1に減額してもらった場合は最大で30年延びますので、いつまでたっても完済しないことになります。最初の設定で20年の返済期間だったものが、35~50年の返済期間となるため、ずっと自分の学費を支払うことになります。ほかのローンと合わせれば多重ローンとなり、生活苦に陥るリスクも高まるでしょう。お金にゆとりができた段階で繰り上げ返済を検討しましょう。家計管理が甘くなる可能性がある減額によって生活にゆとりが出ると、家計管理が甘くなるケースがあります。折角切り詰めて生活できていたにも関わらず、負担軽減による油断で浪費してしまうのです。収支が増えたからと言って生活水準を上げてしまうと、先送りした借金の負担を増やしているだけですので、減額しても生活水準はこれまで通りに保つ必要があります。できれば家計簿をつけて予算組みをし、これまでどおりの支出に抑えましょう。将来設計が立てにくくなる奨学金の減額をすると、将来設計が立てにくくなるというデメリットもあります。先述のとおりいつまでも借金が残っていると、たとえそれが少額だったとしても、新たなローンを組みにくくなるでしょう。減額によって借金の返済を先送りする分、将来の自分に返済を課していることになります。減額返還では追いつかない場合の対処法家計のやり繰りが厳しく、減額返還では追いつかなくなった場合には、「返還期限猶予を利用する」「債務整理をする」などの方法があります。それぞれ具体的に解説します。[adsense_middle]返還期限猶予を利用するたとえ2分の1や3分の1に減額してもらったとしても、そもそもその返済すら厳しいという状況の場合には、返還期限猶予制度を利用しましょう。返還期限猶予制度とは、一旦返済を止めてもらう制度です。経済困難や失業、傷病などの理由で返還ができない場合に申し込めます。返還期限猶予は10年が限度で、1年ごとに申請が必要です。減額の場合は延滞中には新生できませんが、猶予の場合には延滞していても申請可能です。債務整理をする債務整理をするという方法もあります。債務整理とは合法的に借金を軽減してもらう方法で、借金の程度によって任意整理、個人再生、自己破産を選ぶことになります。任意整理は将来利息の免除などで負担軽減をしてくれる方法で、借金の程度が軽い場合に有効です。個人再生は借金を5分の1程度に減らす方法で、数百万円の借金がある場合に有効です。自己破産は資産を没収される代わりに借金を帳消しにしてくれる方法で、安定収入がない場合などに有効です。司法書士や弁護士に依頼すれば、手続きを代行してくれます。ただし、5年から10年の間はローンやクレジットカードなどの金融取引ができなくなるというデメリットがあります。奨学金の減額返還に関するまとめ奨学金は状況により、最大3分の1に減額が可能です。返済が厳しい場合には検討すると良いでしょう。ただし、誰でも申請できるわけではなく、年収300万円以下などの条件があります。あらかじめ把握しておきましょう。また、奨学金の減額は、お金を貯めやすくなるなどのメリットや、返還期間が長くなるなどのデメリットがあります。それぞれのバランスを踏まえて検討することが重要です。
2020年01月15日進学する際の経済事情で、奨学金を利用する人は多いです。奨学金は学生の時に仮、社会人になってから返済する仕組みであるため、社会人生活が経済的にマイナススタートとなります。しかし、「給付型奨学金」という制度もあり、この場合は返済が不要です。この記事では「給付型奨学金」について詳しく解説します。まずは奨学金の種類をおさえよう!終身雇用制や年功序列賃金が崩壊している日本社会において、大学進学の学費を奨学金に頼るケースが増えています。しかし、奨学金は返済能力がない学生の間に融資を受け、社会人になってから返済していく仕組みであるため、苦しい社会人生活を送っている人もいらっしゃいます。そんな奨学金は利息や返済など、条件によってさまざまなものがあります。まずは基礎知識として以下奨学金の種類を知っておきましょう。利息がかからない奨学金利息がかかる奨学金返済不要な奨学金利息がかからない奨学金日本学生支援機構(JASSO)が提供している第一種奨学金は、利息がかからない奨学金です。評定平均3.5以上の成績優秀な高校3年生(専門学生)や、卒業後2年以内の人が申し込めます。利息がかからないという利用者に有利な奨学金であるため、成績優秀者というハードルを設けているのです。融資される金額は国公立や私立、大学や短大、専門学校などによって異なり、自宅生と自宅外生でも変わります。詳しくは以下の表にまとめますのでご確認ください。利息がかかる奨学金第二種奨学金は有利子の奨学金で、およそ最大3%の金利となっています。第一種のような進学先や通学方法にかかわらず、月額2万円~12万円の間で希望金額を設定します。第一種奨学金のような成績基準はありませんので、門戸が広く開放されています。具体的な内容は以下のとおりです。返済不要な奨学金奨学金は返済しなければならないものがほとんどですが、返還不要な奨学金が給付型奨学金です。返還が要らないということは、その分審査基準がシビアであると覚悟が必要ですが、利用できれば大きなメリットがあります。企業や財団などが独自で給付型奨学金を提供していますが、日本学生支援機構も給付型奨学金を提供しています。学生のうちから大きな借金をするのは、その後の人生で経済的不利となってしまいますので、可能であれば給付型奨学金を利用したいものです。第一種との併用には制限あり具体的な金額は後述しますが、給付型奨学金だけでは学費などを賄うことは困難です。不足分として第一種奨学金や第二種奨学金を考えるのは自然な流れでしょう。しかし、第一種奨学金と併用する場合には、制限が設けられているため想定しておく必要があります。利用可能な金額は、第一種奨学金の貸与上限額から、授業料の減免上限額と給付型奨学金額の合計を差し引かれます。つまり「利用可能額=第一種奨学金貸与上限額-(授業料の減免上限額+給付型奨学金)」となりますので知っておきましょう。返済不要の給付型奨学金の仕組み・対象者・条件では、給付型奨学金というのはどのような仕組みで、どのような人が利用できるのでしょうか?具体的な内容として以下について解説します。申し込みができる学生とはどんな基準で選考される制度なのか支給される金額在学中にも手続きは必要申し込みができる学生とは給付型奨学金の申し込み条件は、大学や短大、専門学校に進学することが前提で、高校3年生や専門学校生のほか、それら卒業後2年以内の人が申し込めます。また、高等専門学校第4学年に進級予定の同第3学年や修了後2年以内の人のほか、高校卒業程度認定試験合格者および出願者も申し込みできます。その上で、家計について住民税非課税世帯、生活保護世帯、社会的養護を必要とする人が対象となっていますので知っておきましょう。どんな基準で選考される制度なのか選考基準としては、人物や学力、将来性などが検証されます。人物や将来性については、学生生活全般で給付に値するかどうかが基準となります。態度の良さや将来設計が立っているか、社会貢献しうる人物かなどが見られます。学力については、成績が優秀かどうか(高校生の場合は5段階評価で3.5以上など、大学生の場合は平均成績が上位2分の1の範囲であることなど)、進学後にも好成績を収められそうかどうかなどが見られます。テストの点数や単位だけでなく、将来性も確認されることを知っておきましょう。支給される金額給付型奨学金は、国立、公立、私立によって異なるほか、自宅生か自宅外生によっても変わります。具体的な支給月額は以下の表のとおりです。在学中にも手続きは必要在学している間にも、手続きをしなければならないタイミングがあります。毎年7月と10月の年2回、在籍報告が課せられています。在籍報告は在籍状況や通学形態を報告しなければなりませんが、在籍している学校から連絡が入るので忘れる心配はありません。学校から連絡が来れば、インターネットで報告するだけですのでカンタンです。これらの手続きをきっちりしておかなければ、奨学金の給付を止められてしまう可能性がありますので注意が必要です。給付型奨学金のメリットデメリット給付型奨学金を利用する場合には、メリットだけでなくデメリットも検証しておきましょう。両面を知らなければ、利用後に「こんなはずではなかった」ということになり得ますので、事前確認が必要です。[adsense_middle]給付型奨学金のメリット給付型奨学金のメリットは、何と言っても返さなくて良いというところです。経済面で信用力のない学生が数百万円の借金をすることは、金融取引として極めて異例です。銀行ローンを利用する際にも、ノンバンクカードローンを利用する際にも、必ず安定収入がチェックされますが、奨学金にはその概念がありません。結果的に社会人になってから安定収入が得られず、借金を焦げ付かせる人もいるため、返さなくても良いということは大きなメリットなのです。給付型奨学金のデメリット給付型奨学金のデメリットは、借りれる金額が低いことと、返還を求められるケースがあることです。借りられる金額は先述のとおり低水準であるため、給付型奨学金だけでは不足することが多いです。返還を求められるケースとしては、卒業延期、単位不足、学校処分(除籍、退学、停学)を受けた時などが挙げられます。返還が不要だと思って借りたのに返還を要求されると、金策に苦しむことになり得ます。このようなことにならないよう気を付けましょう。そもそも奨学金を利用している人は多いの?最初に奨学金の種類を紹介しましたが、そもそも奨学金を利用している人は多いのでしょうか?実は奨学金利用者は年々増加し、数多くの学生が利用しています。奨学金利用者の実態として以下を見て行きましょう。奨学金利用者は増えている受給者増加の理由返せない人もいる奨学金利用者は増えている日本学生支援機構のIR情報(平成31年3月)によると、奨学金利用者の数は右肩上がりに増加しています。たとえば、平成19年度に3.3人に1人(29.9%)だった大学・短大での奨学金利用は年々増え続け、平成29年に2.7人に1人(37.5%)と1.3倍になっています。専修学校専門課程に至っては、平成19年度に4.3人に1人(23.4%)だったのが、平成29年に2.4人に1人(41.3%)と1.8倍になっています。全体で見た場合も3.4人に1人(29.2%)から2.7人に1人(37.2%)へと1.3倍となり、多くの学生が利用している実態が分かります。受給者増加の理由受給者増加の理由として、社会情勢が親の懐事情に影響を与えています。平均年収が右肩下がりとなっており、平成9年に460万円だったのが、平成29年には432万円となっています。一方で、授業料や入学料は国立大学・私立大学ともに高止まりしており(私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額〈定員1人当たり〉の調査結果について〈文部科学省〉)、親の苦しい懐事情が見て取れます。返せない人もいるまた、借りたは良いものの返せない人もいます。平成29年度末における延滞3カ月以上の延滞債権額は、2,398億円(要返還債権額に対して3.4%)で、このうち6カ月以上の延滞債権額は、1,811億円(同2.6%)となっています。20代前半という若い間から数百万円の借金を背負っていることが、社会人生活に影を落としている実態が分かります。安定した会社に努められれば良いのですが、就職できなかったり失業した際には苦しい現実が待ち構えているのです。返せない場合の影響もしも奨学金を返せなかった場合には、さまざまなリスクが生じます。延滞をしてしまうと個人信用情報機関に事故記録が記載されるため、その後の金融取引で不利となります。具体的にはクレジットカードやローン審査で不利となるため、その後のライフプランを立て辛くなります。住宅購入や自動車購入、教育ローンなどの利用ができなければ、金策で苦しむ確率が上がるため、奨学金はきっちりと返済しなければなりません。給付型奨学金利用の注意点給付型奨学金を利用する場合には、いくつかの注意点があります。具体的な内容として以下について解説します。学業に励む必要がある貸与型やほかのローンとの併用に注意無駄遣いに注意[adsense_middle]学業に励む必要がある給付型奨学金を利用する際には、学業に励まなければなりません。先述のとおり、学業を疎かにしてしまうと返還を求められる可能性があります。奨学金によって学生生活を成り立たせている人は、アルバイトなどで不足分を賄っているケースがあり、結果的に学業が疎かになることもあります。学びのために奨学金を借りて学業が疎かになれば本末転倒ですし、その上返還を求められれば目も当てられません。学業に専念するか、アルバイトとの両立を図りましょう。貸与型やほかのローンとの併用に注意貸与型の奨学金やほかの教育ローンとの併用には注意が必要です。これらの利用金額が負担となって、社会人になってから生活苦に陥る可能性も考えられます。給付型奨学金がもらえるという油断が、借金返済意識を低下させるケースもありますので、常に計画性を持っておきましょう。ちなみに、銀行の教育ローンは親が借金するものですが、消費者金融の教育ローン(学生ローン)は本人が借金するものです。その辺りの違いも踏まえ、借入れ時は慎重になりましょう。無駄遣いに注意給付型奨学金が得られたとしても、その分無駄遣いしていては意味がありません。しかし、奨学金を一定の収入だと錯覚して浪費してしまうケースもあるのです。下手をすれば奨学金給付額よりも多くの浪費をし、自分で自分の首を絞めてしまうこともあるため、ちゃんと節約に励みましょう。学生の間から金銭感覚を養えれば、その後の経済がいやすくなります。浪費を防ぎ、節約するコツとして、家計簿をつけると良いでしょう。家計簿はつけるだけでも節約意識が高まります。給付型奨学金に関するまとめ奨学金には、貸与型だけでなく返済しなくても良い「給付型奨学金」があります。給付型奨学金は成績優秀な高校3年生や卒業後2年以内の人が利用できるため、条件に合う人は申し込みをおすすめします。ただし、少額であることや、返済を求められる可能性があるというデメリットがありますので、あらかじめ想定しておくことが必要です。給付後はしっかりと学業に励み、無駄遣いしないよう気を付けましょう。
2020年01月08日あけましておめでとうございます。今年も良い年になりますように。今年1回目の記事は、株式投資の話になります。■銀行の定期預金を見て愕然…!休眠預金の記事を新聞で読んだときに、自分の通帳が気になったので、長女が生まれたころに作ってそのままにしてある定期預金を銀行へ行って確認したことがありました。すると、数年たってもその利息はほとんど増えていないということに気づき、愕然としました。今は、お金を銀行に預けていても、ほとんと増えないのだと実感。この定期預金は解約し、株式投資で使おうと決心しました。私は若い頃に株式投資をした経験があります。でも、久しぶりなので、本や昔、株式投資をしていた頃につけていたノートを読んで勉強し直しました。そのとき、新たにネットの証券会社で特定口座とNISA口座を開設することにしました。開設はネットで申し込みしてから1週間くらいかかりました。NISA口座だと、毎年一定額の非課税の投資枠が設定されるので、普通の証券口座とちがい、利益が出ればその分の税金分はお得になります。■子どもたちも投資ができる制度を発見!そのNISA口座について調べたりしていたときに、「ジュニアNISA」という制度があるということを知りました。これは未成年者を対象とした投資の非課税制度(※)です。これからの時代「お金を投資して増やす」という方法を、子どものころから学ぶことが必須になってくると思います。そういう勉強をするために娘たちにこの制度を利用させることがあるかもしれません。ジュニアNISAは18歳までは払い出し制限はありますが、その制度を活用することは、少額を預け入れて損をしながらも子どもが投資を学んでいくいい機会になるとも思います。親としては、挑戦してもらいたいと思っていますが、現在小学校3年生の長女には、まだ「株式投資」といってもピンときていないようで、ちょっと早い気がしました。でも、娘がもう少し大きくなって挑戦したいといったら、ぜひやらせてみたいです。使える制度は活用して、投資の知識や経験をもった子に育てたいなと思います。※ジュニアNISA対象年齢:0歳から19歳(口座を開設する年の1月1日時点)※株式投資にはリスクがあり、投資の判断は自己責任になります。
2020年01月06日奨学金は、経済的理由で大学などに進学できない学生を支援する制度で、多くの人に教育の機会を提供する役割を担っています。しかし、申し込み時には保証人を立てなければなりません。もしも奨学金の保証人を依頼されたら、どうすれば良いのでしょうか?この記事で詳しく解説します。奨学金保証人制度の仕組みや条件(日本学生支援機構の場合)奨学金を利用する場合には、保証人が必要となります。子供の進学のために父母が保証人になったり、身内に頼むことが一般的です。保証人とひと口に言っても、複数の種類があります。保証人を依頼する場合も、頼まれた側も、3つの種類を把握しておく必要があります。まずは、その3つの種類として、日本学生支援機構の例を前提とした以下を解説します。保証人連帯保証人機関保証1.保証人保証人とは、本人が返済できなくなった際に、肩代わりしなければならない人のことを指します。保証人は請求額を半分に減額要請する「分別の利益」や、先に本人に請求を求める「催告の抗弁権」、本人の財産の差し押さえなどを求める「検索の抗弁権」などの権利があります。ただ単に請求額を無条件に引き受ける必要はなく、与えられた責任の中で一定の権利を主張することが可能なのです。2.連帯保証人連帯保証人には、保証人よりも重い責任が課せられています。連帯保証人には「分別の利益」や「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」がありません。つまり、債権者から返済を求められれば、半額にする要求も、先に本人に請求を求めることも、本人の財産の差し押さえを求めることもできないのです。その結果、債権者から求められるままに支払わなければなりません。つまり、連帯保証人とは、本人と同じ責任を負うこととなるのです。3.機関保証機関保証とは、日本学生支援機構の奨学金を利用する際に、保証機関を利用する制度のことを指します。機関保証制度を利用すると、保証人も連帯保証人も不要となるため、家族や親類に迷惑をかけることがなくなります。万が一延滞してしまった場合、保証機関が肩代わりをしてくれます。ただし、保証機関が一括返済後、本人に請求するため、借金を返さなくて良いというわけではありません。機関保証制度を利用するには保証料(1,300円~6,900円)が必要で、毎月振り込まれる奨学金から差し引かれます。保証人や連帯保証人になるリスクもしも奨学金の保証人や連帯保証人になると、大きなリスクを背負うこととなります。では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?ここでは奨学金の保証人や連帯保証人のリスクとして以下を紹介します。返済の責任に苦しめられる自己破産が連鎖する可能性がある人間関係のトラブルとなる返済の責任に苦しめられる奨学金の保証人や連帯保証人になったとして、本人が返せずに請求が回ってくると、返済の責任に苦しめられることとなるでしょう。可愛い子供や甥っ子・姪っ子のためとはいえ、自分がしたわけではない借金の返済をし続けることになるのです。住宅ローンなど他のローンを組んでいる場合には、奨学金の返済が上乗せされ、生活苦に陥る場合もあるでしょう。今後のライフプランが破綻するリスクがあるのです。自己破産が連鎖する可能性がある万が一奨学金を利用した本人が自己破産をした場合には、自己破産が連鎖する可能性もあります。本人が自己破産をすると保証人が返さなければならなくなりますが、保証人にとってもいきなり借金がのしかかることになりますから、返済できなければ自己破産せざるを得ない場合もあるのです。子供が自己破産したことによって、親が自己破産するケースも考えられます。仮に親も他の借金の保証人を立てている場合、その保証人まで自己破産をするという連鎖もあり得ます。人間関係のトラブルとなる人間関係のトラブルも発生しやすくなります。子供の保証人になっている場合、借金の返済を巡って親子関係が悪くなる可能性があります。また、甥っ子や姪っ子の借金をしている場合、親戚同士でのトラブルとなる可能性も高いでしょう。甥っ子や姪っ子だけでなく、その親との間も含め、トラブルが拡大してしまうこともあるでしょう。保証人や連帯保証人を頼まれた時は?もしも、保証人や連帯保証人になって欲しいと頼まれた場合、どのような想定や対策が必要なのでしょうか?ここではその内容として以下を解説します。本当に返還できそうか確認する救済措置制度の存在を話し合う万一を想定してから検討する機関保証をすすめる安請け合いせず断わる[adsense_middle]本当に返還できそうか確認する保証人や連帯保証人を頼まれた場合には、本当に返還できそうかを確認しましょう。借金は計画的に返済していくものですので、奨学金を利用する本人の計画性が重要となります。たとえば、時間や約束にルーズな性格ではないかどうかや、浪費癖がないか、なんでも長続きする性格かどうかなど、本人の信用力を検証する必要があります。また、安定収入を得られなければ、借金返済は不可能となりますので、卒業後就職できそうかどうかの予測も大切です。救済措置制度の存在を話し合うどれだけ信頼ができる相手だったとしても、不測の事態で借金返済が滞る可能性があります。たとえば病気で仕事ができなくなったり、会社が倒産するなど、本人の責任以外の理由で保証人や連帯保証人に借金が回ってくることも考えられます。このようなケースを想定し、返済免除制度の存在を伝えておきましょう。日本学生支援機構の返済免除制度は、一定期間借金を2分の1や3分の1に減額して返済を先送りする「減額返還」や、返還を猶予して先送りにする「返還期限猶予」があります。また、本人が死亡・障害、教育・研究職に就いた場合の「返還免除」もあります。これらを知っておけば、借金の焦げ付きを防ぐことが可能です。万一を想定してから検討する万一を想定してから検討することも大切です。万一本人が借金の返済ができず、債務が回って来た場合に対処できるかどうか検証してみましょう。奨学金の利用額分を返済できる金銭的ゆとりがあるならば、保証人を引き受けても差し支えありません。しかし、利用額分を返済するほど金銭的ゆとりがなければ、自己破産の可能性が出てきます。自己破産までいかないとしても、借金を軽減する「任意整理」や借金を5分の1程度まで減らす「個人再生」など、債務整理に迫られる可能性もあるため、あらかじめ想定が必要です。機関保証をすすめる保証人を依頼された場合、機関保証をすすめるのも1つの手です。先述のとおり機関保証は保証人を立てる必要がないため、万一の際に借金を被ることがありません。本人が自己責任で利用することとなりますので、家族間や身内でのトラブルを避けることができます。ただし、デメリットとして保証料がかかるため、本人にとっての負担は大きくなります。借金が焦げ付いた際の対応能力とのバランスを考慮しながら検討すると良いでしょう。安請け合いせず断わる借金が焦げ付いた場合に対応が難しいのであれば、安請け合いせずに断わることも1つの選択肢です。自分の子供が奨学金利用をして進学を目指す場合、進学に意義を感じない場合には自分で何とかするように促すことも教育かも知れません。また、親類から頼まれた場合には、その親類の中だけで何とかしてもらうように伝えることも考えましょう。頼る前に自分たちで何とかしてもらうことを前提としなければ、大きな被害を受けかねません。知っておきたい分別の利益連帯保証人ではなく保証人になった場合には、先述した分別の利益を把握しておきましょう。実は、この分別の利益を知らないがために、払わなくても良い分まで返済してしまっているケースが多いのです。知っておきたい分別の利益として、以下の順に紹介します。日本学生支援機構は全額請求する全額払っている人が大半主張すれば減額される日本学生支援機構は全額請求する保証人の権利である「分別の利益」によって、保証人が返還しなければならないのは、未返還額の半分となります。しかし、日本学生支援機構は全額請求しますので、分別の利益を知らない人は全額返還してしまいがちです。奨学金は借りたお金で、保証人はその肩代わりをしなければならないから、全額返還してしまうのは自然な発想かも知れませんが、保証人は半分に減額してもらう権利を有していると認識しておきましょう。ちなみに、連帯保証人の場合は先述のとおり全額返還が必要です。全額払っている人が大半2018年11月1日の朝日新聞によると、日本学生支援機構は分別の利益を知らせずに、全額請求していることが報じられています。その結果、過去8年間で延べ825人に対して総額約13億円を全額請求し、9割以上が全額返還をしているとのことです。つまり、法律の知識を知らない多くの人は、分別の利益の存在を知るきっかけもないまま、全額返還に応じていることになります。主張すれば減額される知らせずに請求するやり方に対し、報道では法的な問題にも言及していますが、日本学生支援機構の担当者は「法解釈上、保証人から主張すべきもの」との認識を示しています。つまり、分別の利益は保証人に選択が委ねられており、知らなければ損をしてしまうのです。主張すればちゃんと減額されますので、保証人になる際のたしなみとして知っておきましょう。奨学金の保証人に関するまとめ奨学金保証人制度には保証人、連帯保証人、機関保証の3つがあり、学生はいずれかを利用して借金を行います。しかし、学生やその親から頼まれて保証人や連帯保証人になると自己破産などのリスクがあります。保証人や連帯保証人を頼まれた時は、本当に返還できそうか確認するなど、しっかりと事前想定する必要があります。場合によっては断わるか、機関保証をすすめるなど、安請け合いしないことも重要です。
2019年12月28日奨学金を払えず、自己破産したら一体どうなるのでしょうか?自己破産は借金が帳消しとなり、その後の生活を立て直しやすくなる方法ではありますが、一方でリスクもあります。この記事では自己破産の仕組みやその後のリスクを解説した上で、自己破産前に検討すべきことを紹介します。奨学金が払えないとどうなるの?日本学生支援機構(旧日本育英会)のIR資料(平成31年3月)によると、学生の2.7人に1人が同機構の奨学金を利用しています。つまり、多くの学生が社会人になってから、数百万円の返済をして行かなければならないのです。もしも最高利率の3.0%で奨学金を利用した場合、借金は1,000万円を超えることもあるため、返済が苦しくなる人がいることも用意に想像できます。自己破産者の客観的数は後述するとして、まずは奨学金が払えないとどうなるのか、以下内容を解説します。返済できないと督促が来る債権回収会社が回収する仕組み裁判所から一括返済が求められる返済できないと督促が来る奨学金の返済ができないと、日本学生支援機構から督促が来ます。借金の督促というと、嫌がらせをされたり、乱暴な取り立てのイメージがあるかも知れませんが、そのようなことはありません。借金の督促は文書や電話で行われます。借金の取り立ては法律でさまざまな規制がありますので、闇金を利用しない限り安全ではあります。しかし、遅延金として5%返済金が上乗せされますので、借金が増えてしまいます。その結果、より生活が厳しくなる可能性があるのです。債権回収会社が回収する仕組み遅延が3カ月以上続くと滞納となり、信用情報機関に金融事故情報が記録されてしまいます。信用情報機関には個人の金融取引が記録されており、事故記録が載るとさまざまな金融取引で不利となります。滞納が4カ月以上となると回収の専門である債権回収会社からの督促が始まります。これまでのような文書での督促だけでなく、訪問の可能性も出てきます。つまり、日本学生支援機構は一定期間を過ぎると、回収の専門会社に任せてしまうのです。裁判所から一括返済が求められるそれでも返済できなければ、一括返済を求められます。滞納9カ月が過ぎた頃がその目安となります。一括返済は裁判所から求められるため、逃げることはできません。給与の差し押さえなどがなされるケースもあります。元本だけでなく、利息や遅延損害金も含めて返済しなければなりませんので、返済負担が一気にのしかかることとなります。しかし、毎月の支払いすら返済できないのに、一括返済できる余裕はありませんよね?その結果、自己破産せざるを得なくなるという人が出てくるのです。奨学金により自己破産した人のその後奨学金が返せなくなって自己破産した場合、その後どのような影響が出るのでしょうか?奨学金による自己破産者の数も含めて以下の内容を解説します。奨学金による自己破産者は多い人的保証した場合は家族も自己破産の可能性あり自己破産の仕組みとデメリット自己破産のメリット奨学金による自己破産者は多い日本学生支援機構の奨学金利用者のうち、15,338人が自己破産しています(2012年~2016年)。内訳は以下のとおりです。日本学生支援機構は自己破産の直接原因は不明としていますが、各種メディアの報道によると低収入な奨学金利用者の自己破産が多く、毎月返済が迫られる奨学金との因果関係が透けて見えます。人的保証した場合は家族も自己破産の可能性あり奨学金には人的保証と機関保証があります。もしも、機関保証を利用せず、人的保証をしている場合には、自己破産が連鎖してしまう可能性があります。本人が自己破産をした場合、連帯保証人の親が返済を迫られ、返せなければ親まで自己破産してしまうのです。人的保証と機関保証の違いとは人的保証は保証人を立てて借りる方法で、機関保証とは公益財団法人日本国際教育支援協会が連帯保証する制度です。機関保証を行うと連帯保証人も保証人も要らないというメリットがありますが、月額保証料が奨学金から差し引かれるため、受け取る奨学金が少なくなるというデメリットがあります。保証期間は貸与の開始から完済までで、保証料は1,300円~6,900円程度です。自己破産の仕組みとデメリット自己破産とは債務整理の方法の1つで、財産を没収される代わりに借金が帳消しになります。もしも自己破産をした場合にはどのような影響が出るのでしょうか?デメリットから紹介します。信用情報ブラックで不自由な生活自己破産をすると信用情報ブラックとなるため、一定期間不自由な生活を強いられます。自己破産が終了後10年程度はローンを組むことができなくなりますし、クレジットカードを発行することもできません。これらの利用ができなければ、ライフプランを立てにくくなったり、金策がしづらくなってしまいます。また、スマートフォンの本体代分割やETCカードの利用もできなくなりますので、生活の利便性が低下します。10年経過後も信用情報が真っ白な状態となりますので、金融取引の審査では不利となるでしょう。財産が没収される自己破産をすると財産を没収されます。具体的には住宅などの不動産や車など、20万円以上の資産は没収されます。また、99万円以上の現金も没収されるほか、20万円を超えている口座の現金も没収されます。財産がない人の場合には、自己破産をした方が良いケースも多いのですが、財産がある場合には大きなデメリットとなるでしょう。特に持ち家に住んでいる人の場合、住居を探さなければならないことから自己破産をためらうケースもあるようです。弁護士費用がかかる自己破産の手続きを自分でするのはハードルが高いため、弁護士などの専門家に相談することとなります。しかし、弁護士に依頼すると着手金が20万円~30万円程度、成功報酬が20万円~30万円程度、合計40万円~60万円ほどの費用がかかります。お金がなくて自己破産するのに、多額の費用が必要であることを疑問に思うかも知れませんが、基本的に分割払いなどに応じてくれるため、計画的な返済が可能です。いずれにせよ、一定の費用が必要であるというデメリットがあります。就けない職業がある手続きが終わるまでは就けない職業があります。たとえば弁護士や税理士などの士業、公務員の委員長や委員、商工会議所や信用金庫などの団体企業の役員は就くことができません。また、貸金業者の登録者や生命保険募集人など一定の業種も就けません。職業に制限がかかることは自己破産の大きなデメリットといえるでしょう。自己破産のメリット一方で、自己破産には借金が帳消しになることや、督促・強制執行されなくなるなどのメリットもあります。これまで借金返済に苦しんでいた人には有難いはずです。自己破産のメリットについて見て行きましょう。借金が帳消しになる借金が帳消しになることで、今まで背負って来たお金の悩みから一気に開放されることになります。これまで借金の返済に追われていたからこそ、生活が苦しかったけれど、借金がなくなれば支障なく生活ができるという人は多いでしょう。自己破産をすることによって生活再建、自立がしやすくなるのです。督促や強制執行されなくなる自己破産をすると督促が止まります。返済したくてもできない人にとって、督促は精神的な負い目となります。督促が止まることでその負担がなくなります。また、強制執行をされる心配もありません。たとえば給料の差し押さえなどをされてしまうと、会社に借金苦が明るみになってしまいますが、その心配も必要がなくなります。自己破産の前に活用すべき方法奨学金が返せない場合に、自己破産は1つの手段ではありますが、先述のリスクも付いて回ります。そこで、より低リスクな方法を検討してみましょう。ここではおすすめのやり方として以下を紹介します。返還免除制度減額返還制度返還期限猶予制度任意整理や個人再生の利用[adsense_middle]返還免除制度もしも大学院在学中に優れた成績をあげていたり、教育研究職に就いた場合には、返済を免除してもらえる可能性があります。いずれも第一種奨学金の場合が前提となります。ちなみに、心身障害による労働能力喪失や、死亡障害で返済能力がなくなった場合にも返済免除となります。減額返還制度返済金額を半分にしてもらえる制度もあります。給与所得者の場合は税込年収が325万円以下の場合、給与所得者以外の場合は年間取得金額225万円以下の場合(必要経費控除後)が条件となります。ただし、返済期間は倍となりますので、期間を延ばすことで月々の負担を軽くするという方法です。返還期限猶予制度返還期限猶予制度というのもあります。これは、返済を一時的に猶予してもらう方法です。1回の利用で12カ月まで猶予可能で、繰り返すと最大10年間となります。利用条件は、給与所得者の場合は年収300万円以下(税込み)、給与所得者以外の場合は年間取得金額200万円以下(必要経費控除後)となっています。任意整理や個人再生の利用任意整理や個人再生の利用も1つの方法です。任意整理は将来利息などを帳消しにしてもらうことで借金の負担を軽くする方法です。個人再生は資産を失うことなく借金を5分の1程度まで軽減する方法です。自宅や車などの財産を保有しながら、借金の負担を軽くしたい場合には、これらの方法を取ると良いでしょう。利用条件の分かれ目借金額によって最適な方法は異なりますので、任意整理が良いのか個人再生が良いのか自己破産が良いのかは、弁護士などの専門家に相談することが原則となります。ただし、一般的に目安とされている内容がありますので紹介いたします。まず、借金額が年収の3分の1を超えている場合には任意整理を検討しましょう。借金額が100万円を超えているなら個人再生するのが一般的です。個人再生での返済負担がキャパオーバーとなっている場合や、安定収入がない場合は自己破産となります。奨学金が払えない場合の自己破産に関するまとめ奨学金が払えないと督促が来たり、強制執行が行われるなどのリスクがありますが、自己破産をすると、家族も連鎖して自己破産する可能性もあります。ただし、自己破産は借金が帳消しになるというメリットもありますので、奨学金が払えない場合の1つの手段となります。とはいえ、自己破産をする前に、返還免除制度やその他債務整理など活用すべき制度があります。ぜひ最適な方法で生活再建を行いましょう。
2019年12月20日奨学金返済中に結婚することは難しいのでしょうか?奨学金を利用して大学に通ったのは良いものの、社会人になった途端に返済していかなければなりません。経済面においては社会人生活がマイナススタートとなってしまいます。その結果、奨学金返済中の結婚を躊躇してしまう人もいるようです。しかし計画的に生活をすればなんとかなるものです。この記事では家庭の負担にならないための対策を解説します。あなただけではない!奨学金の利用実態奨学金の返済は、経済的ハンデとなってしまいがちであるため、なかなか結婚に踏み切れないケースがあります。しかし奨学金利用者は多いため、奨学金の返済を理由に結婚ができないとなると、膨大な数の人たちが伴侶を得られなくなってしまいます。決してあなただけではなく、多くの人が奨学金を利用しているという実態から知っておきましょう。 ここでは奨学金の利用実態について以下内容を紹介します。奨学金利用者割合毎月の平均返済額平均利用期間延滞経験者の割合奨学金利用者割合日本学生支援機構のIR情報(平成31年3月)によると、学生の37.2%(平成29年度)が奨学金を利用していることが分かります。これは2.7人に1人の計算ですので、利用者の多さが見て取れます。結婚は2人でするものですから、カップルのうちいずれかが奨学金利用者である確率はとても高いです。具体的な奨学金の利用者割合は以下のとおりです。毎月の平均返済額奨学金利用者が総額いくら借りて、毎月どれぐらいずつ返しているかを紹介します。「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」によると、奨学金利用者は平均で総額324.3万円借入をしています。毎月の返済額は平均16,880円となっており、毎月コツコツと返していることが伺えます。平均利用期間同じく「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」によると、奨学金の平均利用期間は14.7年となっており、30代の半ば頃まで奨学金の返済が必要であることが分かります。延滞経験者の割合一方で、奨学金利用者の苦しい経済事情を読み取ることもできます。奨学金利用者のうち、延滞経験がある人は15.7%で、延滞理由は「収入が少ない」が42.5%となっています。つまり、奨学金利用者の約6.7%が収入事情での延滞をしたことが分かります。結婚はさまざまな支払いを想定しておくべき奨学金返済中に結婚することはハードルがあるとはいえ、事前に人生で必要な支払いを想定し対策を取っておけば結婚しても問題はありません。結婚の際や結婚後には以下の費用がかかると想定しておきましょう。結婚資金がかかる子どもの教育費がかかる住宅購入費用がかかる老後資金は2000万円必要結婚資金がかかる結婚する際には式場代や披露宴代など、結婚資金が必要です。一般的に結婚資金は約350万円程度必要だと言われていますので、結婚前から早めに貯めておく必要があります。ただし、ご祝儀である程度戻ってくることや、ジミ婚(派手な結婚披露宴を控える)やナシ婚(結婚式や披露宴をしない)、フォトウェディング(記念撮影だけ行う)で費用を浮かせる方法もあります。子どもの教育費がかかる文部科学省の「子供の学習費調査(平成28年度)」や「私立大学入学者に係る初年度学生納付金、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成29年度)」を要約すると、子供の教育費用は、全て公立か私立かによって大幅に異なり、1人あたり約800万円~3,000万円必要です。結婚後の教育資金を念頭に家族計画を立てる必要があります。教育資金は早く準備するほど有利となりますので、結婚を具体化する時点である程度想定しておきましょう。住宅購入費用がかかる結婚して家族が増えると、住居をどうするかというテーマが出てきます。もし住宅購入をする場合の話しですが、住宅には多くの資金が必要です。「住宅金融支援機構(フラット35利用者調査2017年度)」によると、土地付注文住宅は4,000万円台、建売住宅は3,300万円台、マンションは4,300万円台が相場です。教育資金と同様に、たとえ少額でも早目に頭金の準備を始めた方が有利です。老後資金は2,000万円必要金融庁が2019年6月3日に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、老後資金は2,000万円必要との試算が出されています。この金額は貯蓄が多い団塊の世代が、ゆとりある生活をしている可能性もあるため、切り詰めた生活をすればこれほど必要とは限りません。とはいえまとまった資金は必要となりますので、結婚の段階から先回りで捻出して行きましょう。奨学金返済中の結婚は難しい?6つのハードル奨学金を返済中の結婚にはさまざまなハードルがあります。ウェブサイトや各種SNSでリサーチをしていると、奨学金返済中に結婚するハードルは主に以下の6つに集約できます。相手に伝えるタイミングが難しい夫婦共働きが前提となりやすい2人とも奨学金返済中なら借金が倍新たなローンが組みにくい預貯金が増えにくい子どもを大学へ行かせるのが不利それぞれの内容を見て行きましょう。[adsense_middle]1.相手に伝えるタイミングが難しい結婚を考えている場合、奨学金の返済中であることはなるべく早く相手に伝えましょう。交際中の何気ない会話の中、早い段階であれば伝えやすいことではありますが、結婚が具体化してからなど、遅くなればなるほど言い出しにくくなります。プロポーズの後に伝えてしまうと、相手に騙されたと思われてしまうかも知れません。2.夫婦共働きが前提となりやすい結婚生活では夫婦共働きか専業主婦かなど、自由に選択ができるはずです。しかし一方に奨学金の返済がある場合、夫婦共働きが前提となりやすいです。最初から生活の形に対して選択肢が少なくなってしまうというハードルがあります。3.2人とも奨学金返済中なら借金が倍万が一、カップルの男性女性ともに奨学金返済中であれば、借金が倍となっていまします(厳密には借入金額などにより異なる)。先述の平均で見れば、15年間近く毎月3万円以上返さなければなりません。社会人生活がスタートして毎月1万6千円、結婚生活がスタートして毎月3万2千円の返済が必要となり、節目ごとにマイナススタートとなってしまいます。4.新たなローンが組みにくい結婚は、後述の結婚資金や子供の教育費など、何かと物入りです。しかし、借金があると新たなローンが組みにくくなります。借入審査の条件面で不利になるほか、万が一借り入れができたとしても返済負担が大きくなるため、ローンの利用によって生活苦に陥る可能性が高くなります。5.預貯金が増えにくい預貯金が増えにくいというハードルもあります。独身の時には自由に使えるお金があったかもしれませんが、結婚後は住居費や保険代、教育費など、独身時代にはかからなかった支出が出てきます。その上、借金の返済まであれば預貯金が増えにくくなってしまいます。6.子どもを大学へ行かせるのが不利奨学金の返済によって経済的に出遅れた結果、子供の教育資金が満足に捻出できない可能性が高くなります。結果的に子供にも奨学金を利用させることになり、同じ問題を引き継いでしまうことも考えられます。先述の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」でも、親世代が子どもの奨学金返済に不安を持っている人が75.8%と多数いらっしゃいます。奨学金返済中の結婚生活で負担を軽減する対策奨学金返済中に無理のない結婚生活を送るためには、どうすれば良いのでしょうか?ここでは具体的な対策として以下を紹介します。夫婦で財布を1つにする家計簿をつけて節約する繰り上げ返済をするクレジットカードを上手に活用する結婚前にほかの借金を完済する債務整理で借金自体を軽くする[adsense_middle]夫婦で財布を1つにする結婚後は夫婦で財布を一つにすることをおすすめします。夫婦によっては家計をバラバラにしているところや、生活費だけ出し合って貯蓄はバラバラにしているところ、一方が生活費を賄って他方は自由にしているところなどさまざまです。しかし、夫婦の財布がバラバラだと、それぞれが自由にお金を使ってしまいやすくなります。結婚後のライフプランに対して効率良く資金捻出をするのであれば、財布を1つにまとめ、お互いが家計を把握している状態が望ましいでしょう。結果的に浪費を防ぎ、協力しながら各種資金の準備が進められます。家計簿をつけて節約する結婚生活で負担を軽減するためには、家計簿をつけましょう。家計簿はつけるだけで節約ができると言われるほど効果のある方法です。家計簿をつけることによって今まで気づかなかった浪費が浮き彫りになったり、収支の差が分かる事で資金計画が立てやすくなります。また、家計全体の中に占める割合が大きい支出に対して節約を検討するなど、節約のポイントが分かりやすくなるでしょう。固定費の見直しや食費の予算化など、節約の工夫がしやすくなります。繰り上げ返済をするまとまったお金がある場合は、繰り上げ返済を検討しましょう。有利子の奨学金の場合、繰り上げ返済をすれば、今後支払うはずだった利息が浮きます。少しでも早い段階で繰り上げ返済した方が、将来利息の軽減分が増えますので、早ければ早い返済ほどお得です。支払い総額を下げるほか、完済すれば今後の家計が楽になりますので、ぜひ検討すると良いでしょう。繰り上げ返済しない方が良い場合もあるただし、繰り上げ返済しない方が良い場合もあります。それは借入している奨学金の金利よりも利率の良い金融商品を利用する場合です。たとえば、奨学金の金利が年率0.3%だとした時に、もし年率1.0%の金融商品に投資できれば、投資の方が年率0.7%得となります。まとまったお金を返済に充てるよりも、返済を続けながら投資した方が得である可能性もありますので、総合的な判断が大切です。クレジットカードを上手に活用するクレジットカードを上手く活用することも大切です。クレジットカードはショッピング利用分に対してポイントが貯まりますので、ポイント還元率が高いクレジットカードを選ぶと良いでしょう。また、大きな支出がある際には、分割払いやリボ払いを計画的に活用することが有効ですが、2回分割までは手数料がかかりませんので、知っておくとお得です。カードによって、スーパーの割引デー、ガソリン代の値引、交通機関でお得な利用ができるなど、家計負担を軽くしてくれますので、あなたのライフスタイルに合ったカード選びが重要です。結婚前にほかの借金を完済する奨学金以外の借金がある場合には、なるべく結婚前に完済しておきましょう。結婚後にローンを組む際、ほかの借金があるとより一層借入しにくくなります。各種ローンの審査では、たとえば年収の3分の1までが上限などのケースがありますので、借金を減らすほどローン審査で有利となります。債務整理で借金自体を軽くするこのまま結婚すると生活の目途が立たないという場合には、債務整理も検討しましょう。債務整理とは合法的に借金を軽減する方法で、借金の負担軽減する任意整理や借金を5分の1程度に減らす個人再生、資産がなくなる代わりに借金もゼロになる自己破産などがあります。クレジットカード発行やローン利用が不可となるデメリットはありますが、生活再建がしやすくなりますので、状況に合わせて検討しましょう。弁護士や司法書士などが無料相談に応じてくれますので、お近くの専門家事務所に相談すると良いでしょう。奨学金返済中の結婚に関するまとめ奨学金返済中は、結婚式や子供の教育費などのライフプランをしっかりと考えておけば、無理のない結婚生活が送れるでしょう。夫婦共働きが前提となりやすいなど、いくつかのハードルがありますが、結婚できないというわけではありません。奨学金返済中の結婚生活で負担を軽減する方法としては、夫婦で財布を1つにすることや、繰り上げ返済をする、クレジットカードを上手に活用するなどの方法があります。夫婦で話し合いながら、やりくりして行くと良いでしょう。
2019年12月08日奨学金を借りたのは良いものの、年功序列賃金が崩壊している昨今では、返済しながらの社会人生活は大変です。特に生活が苦しい場合には、何とか奨学金返済の負担を軽減したいものですよね。そこでこの記事では、奨学金の返済免除制度について解説します。奨学金返済免除制度とは親の所得が少ないなど、経済的に学費が賄えない場合には奨学金を利用するケースが多いです。ただ、奨学金返済免除制度とひと口に言っても、実はいくつかの種類があります。後述する奨学金返済免除制度を把握しやすくするため、まずは奨学金の種類についておさらいしておきましょう。奨学金の種類奨学金制度には、日本学生支援機構の奨学金や入学時特別増額付与奨学金、地方自治体の奨学金のほか、民間企業の奨学金などさまざまなものがあります。具体的には以下の内容をご確認ください。奨学金返済免除制度の条件・基準奨学金は、学生の時期に借りて、卒業後に返済して行くため、社会人生活がマイナススタートとなります。たとえば公務員などの安定した職業に就ければ計画的に返済していけるでしょうけれど、零細企業や非正規雇用の場合には生活苦に陥る可能性もありますので、返済免除も視野に入れておくことが無難です。ここでは、奨学金返済免除制度の条件・基準として、以下の内容について解説します。本人が死亡した場合精神・身体障害の場合返還特別免除特に優れた学業による返済免除(大学院)本人が死亡した場合本人が死亡した場合には、当然のことながら本人が払えなくなるわけですから、返済免除となります。厳密に言うと借金自体が亡くなる訳ではなく、本人の代わりに他の人や機関が支払うことになります。連帯保証人を付けている場合は連帯保証人が、機関保証を選んでいる場合は保証会社が返済することになります。ただし、連帯保証人が日本学生支援機構に対して申請すれば、連帯保証人による返済は免除されます。万一気付かずに延滞してしまっていた場合にも、過去に遡って免除申請が可能です。精神・身体障害の場合精神・身体障害の場合にも、免除申請が可能です。具体的な基準は公表されていませんので、奨学金返還相談センターに相談しましょう。それぞれのケースごとに奨学金返還相談センターが判断してくれることとなります。ただし、何の条件もなく返済が免除されることはありません。申請書と返済不能の状況を証明する書類、診断書などが求められます。返還特別免除返還特別免除とは、教員や研究職に就くことで返済が免除となる制度です。常勤の先生や、少年院で勉強を教える人、文部科学大臣指定の試験所などで教育や研究を行う人が対象でした。ただし、2004年3月31日より前に、大学院の第一種奨学生となった場合の制度であり、2005年以降は廃止されています。特に優れた学業による返済免除(大学院)大学院で第一種奨学金を受けている場合には、成績優秀者に奨学金免除がなされます。全額免除のケースと半額免除のケースがあり、学内選考によって半額、特に成績優秀な人は全額が免除となります。ただし、単に機械的に成績だけ見られるわけではなく、教授推薦によって免除が受けられるケースもあるようです。奨学金を返済免除するための申請方法と手順奨学金を返済免除してもらうには、具体的にどのような手順を踏めば良いのでしょうか?ここで申請方法と手順として以下の順に紹介します。大学が申請者を決定申請書や推薦状を記載する日本学生支援機構(旧日本育英会)による決定[adsense_middle]大学が申請者を決定大学が申請者を決定します。いきなり自分で奨学金借入元に申請するわけではなく、大学が候補者を決めるのです。大学が学内ポスターなどで募集するため、応募が遅れないようにアンテナを張っておきましょう。成績優秀者は前提となりますが、具体的な選考基準は大学ごとに異なります。募集を見逃し、応募すらできなければ勿体ないので、こまめに大学の掲示版をチェックする必要があります。申請書や推薦状を記載する奨学金免除の申請書には、「大学院における研究課題等」「教育研究活動等の業績」「特に優れた業績の要旨」などの記載が必要です。書き方は書面に例示されていますので、参考にして記載しましょう。推薦状に関しては教授などが書いてくれることもありますが、自分で下書きをして教授に渡す方が良いでしょう。申請書の内容を踏まえて記載し、推薦者(教授など)に捺印をお願いします。日本学生支援機構(旧日本育英会)による決定大学に申請書と教授からの推薦文などを提出すれば、手続きは完了です。結果通知されるまで特にすべきことはありません。免除となる際には大学から連絡が入ります。大学からの推薦を元に日本学生支援機構が返済免除を行いますが、大学の選考をクリアしている場合には、大半の場合が免除してもられます。そのため、免除申請は大学をターゲットとして準備しなければなりません。奨学金返済免除制度に関する豆知識奨学金返済免除を受ける場合には、それにまつわるさまざまな事柄を知っておくと有利です。ここでは、知っておきたい奨学金返済免除制度に関する豆知識として、以下内容を紹介します。いつ申し込めば良いのか免除される人の割合都道府県や市町村の制度もある勤務先が返済してくれる企業返済支援制度いつ申し込めば良いのか奨学金返済免除に関する告知は、各大学ごとに年末から年始の時期に行われます。先述のとおりポスターなどで行われた上、応募方法や締め切り日なども明確にされていますので、しっかりと確認しておきましょう。免除される人の割合奨学金が免除されるのはどれくらいの割合の人なのでしょうか?日本学生支援機構(平成30年度特に優れた業績による大学院第一種奨学生返還免除の認定)によると、平成30年度に大学院第1種奨学金貸与が修了したのは25,107人で、推薦は7,632人だったとのことです。その中から7,568人が全額もしくは半額免除となったとのことですので、貸与修了者のうち3割程度が免除されています。また、推薦者の大半が免除されているという実態も見て取れます。具体的には以下の表をご確認ください。都道府県や市町村の制度もある都道府県や市町村が、奨学金返済に対して支援してくれる制度もあります。以下にて具体例を紹介しますので、お住まいの都道府県の制度を確認してみましょう。勤務先が返済してくれる企業返済支援制度優秀な人材確保や早期離職防止などを目的に、企業が奨学金返済を肩代わりしてくれるケースも増えています。奨学金返済分を給料に上乗せして支給する企業や、規定勤続年数に達した段階で一定金額をまとめて支給するなど、企業ごとにさまざまなケースがあります。これら制度を魅力に感じて就職する人も多く、人手不足が進む日本企業の新たな取り組みとして注目を集めています。奨学金の返済免除のコツ奨学金は数百万円ほど借りるケースが多いため、もし免除されればその後の生活費の負担がとても軽くなります。何とか奨学金の免除を勝ち取りたいものですよね。奨学金の返済を免除してもらうためには、いくつかのコツがあります。知っていると有利になるコツについて以下の内容を紹介します。申請書の内容を充実させる学校以外の実績を作る奨学金が免除されない場合は債務整理もあり[adsense_middle]申請書の内容を充実させる申請書の内容のうち、「大学院における研究課題等」については、修士論文があるためマル印を付けることができますが、「教育研究活動等の業績」「特に優れた業績の要旨」については、なるべく多くのマル印を付けたいところです。「教育研究活動等の業績」について、優(大学によって表記が異なる場合あり)が60%を超えている場合にはマル印を付けることができます。「特に優れた業績の要旨」に関しては、ボランティアや著作物、研究、発明、スポーツ、芸術などで実績があればマル印が付けられます。なるべく多くのマル印を付けることができれば有利となりますので、マル印を付けられる取組を充実化させましょう。学校以外の実績を作る「特に優れた業績の要旨」のマル印を増やすというのは、学校以外の実績作りをするという意味です。奨学金の免除は学校の成績が優秀であることが前提となるので、逆に言うとそれだけでは他者との差別化が図れません。先述のボランティアや著作物、研究、発明、スポーツ、芸術などに取り組んだ実績が分かるものが必要です。たとえばテレビや新聞などのメディアに取り上げられたとか、成果物となる資料があるなど、証拠となる資料があると有利となるでしょう。推薦してくれる人にアピールする奨学金の免除は学内選考がメインターゲットとなりますので、学業に励むことは当然です。とはいえ、学業の成績が芳しくなかったとしても、それだけで諦める必要はありません。教授などから推薦されれば免除となる可能性があるからです。もちろんこれは原則ではありませんので一概に言えない部分もあるのですが、将来社会に貢献するポテンシャルが認められれば、推薦してくれることもあるでしょう。日頃から教授や担任とコミュニケーションを図り、人間関係を作ることも大切です。奨学金が免除されない場合は債務整理もありどうしても奨学金が免除されない場合は、債務整理をして自分で奨学金の負担を軽減する方法もあります。債務整理とは法律に乗っ取って借金の負担を軽くする方法で、債権者との話し合いで借金を軽くする任意整理、簡易裁判所で調停をする特定調停、裁判所に申し立てて借金を軽くする個人再生、借金を帳消しにしてもらう自己破産などがあります。借金の程度によって選択すべき方法は異なりますので、司法書士や弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。ただし、特定調停に関しては自分で手続きするため、素人にはハードルが高いです。ほかの3つのいずれかを選択することとなるでしょう。ただし、借金が軽くなったり借金が帳消しとなるメリットがある反面、10年ほどローンが組めなくなったり、クレジットカードの発行ができなくなるというデメリットがあります。ETCカードやスマホ本体料金の分割払いも行えないため、生活が不便となることも想定しておきましょう。奨学金の返済免除に関するまとめ奨学金は本人死亡や障害、学業が優れている場合など、一定基準を満たせば免除されます。対象者のうち3割が全額か半額免除となっているため、利用しない手はありません。奨学金の申請は大学による推薦・決定のあと、日本学生支援機構で決済がなされます。とはいえ、大学で認められればほぼ免除となりますので、大学での認定がターゲットとなります。奨学金返済免除をするには、学業で成績を伸ばすことだけでなく、ボランティアやスポーツ・芸術活動など、学業以外の実績を作ることも大切です。これら取組で他者との差別化を図りましょう。
2019年12月07日親の経済事情で学費が工面できない場合、奨学金を利用するケースがあります。奨学金により安心して学業に専念できる反面、延滞してしまうと信用情報にキズが付くなどのリスクがあります。この記事では返還できない場合のリスクや対処法をお伝えいたします。奨学金を返済できない人は多い奨学金は教育を受ける権利を守るために有効な制度ではありますが、学生のうちから大きな借金を背負うこともあり、返せなくなってしまう人もいらっしゃいます。日本学生支援機構のIR情報(2016年)を踏まえ、以下内容について紹介します。日本学生支援機構のIR情報で分かる利用者数30万人以上が期限超え返済できない理由日本学生支援機構のIR情報で分かる利用者数日本学生支援機構の奨学金利用者は131万人で、その数は学生全体37.8%にものぼります。2007年の利用者割合は29.2%で、そこから右肩上がりに利用者数は伸びています。奨学金は他の借金よりも借りやすいため、多くの学生が教育の機会を得るために利用しているのです。30万人以上が期限超え3カ月以上滞納している人はおよそ16万1,000人です。つまり、利用者の12%以上の人が遅延や延滞した計算となります。1日以上の延滞者で見れば327,512人(2015年)となっており、30万人以上が遅延や滞納をしています。会社に入る段階から借金返済をしていかなくてはならないため、社会人生活がマイナスからスタートする苦しい経済状況が見て取れます。返済できない理由日本学生支援機構は2013年に延滞者に関する属性調査を行っています。その結果、延滞のきっかけで最も多かったのが「家計収入が減った(72.9%)」、延滞が続いている理由で最も多かったのが「本人の低所得(51.1%)」となっています。一般的に、借金は返済能力を査定して融資されますが、奨学金は返済能力が分からない学生の間から融資されますので、厳しい状況に陥っている人も多いようです。奨学金未納時の督促とは奨学金未納の場合には、電話や郵便など督促が行われます。借金の督促と聞くと不安を感じる人もいらっしゃるかも知れません。そこで、どのような督促が行われるのか、以下の順に解説します。契約者に連絡連帯保証人宛に連絡保証人以外には連絡しない契約者に連絡まずは日本学生支援機構から契約者に電話連絡が入ります。延滞状況や引き落とし日などについて説明がありますので、できる限り迅速な返済が必要です。厳密にいうと、日本学生支援機構が委託している回収会社から連絡が入ります。そのまま返済しなければ、自宅に督促状が届いたり、支払督促申立が行われ、最悪の場合は後述の強制執行によって財産を差し押さえられてしまいます。そうなるまでに対処しなければなりません。連帯保証人宛に連絡もしも契約者が返済できない場合には、保証人や連帯保証人に連絡が入ります。保証人は滞納額の半分、連帯保証人は全額を払わなければなりません。保証人や連帯保証人には、「奨学金の返還について」という郵便が届きますが、契約者と連絡が取れなかったり、返済意志がない場合には、電話で連絡が入るケースもあります。保証人以外には連絡しない返済遅延や滞納が第三者に分かってしまうことを心配する人もいるかと思いますが、第三者にリークされることはありません。督促は契約者本人や保証人、連帯保証人以外に行うことはありませんので、不安になる必要はありません。ただし、契約者の携帯電話や自宅に連絡が付かない場合には、勤務先に連絡が入ることがあります。同僚に感づかれる可能性はゼロとは言えません。長期間未払いなら大きなリスク奨学金の返済を長期間放置してしまうとどうなるのでしょうか?実は今後の人生に影を落とすようなさまざまなリスクが生じます。ここでは奨学金延滞のリスクとして、以下の内容を紹介します。延滞金として余分な利子が付く一括返済を求められる信用情報にキズが付く差し押さえの可能性がある[adsense_middle]延滞金として余分な利子が付く2カ月以上滞納すると、遅延金として余分な利息の支払いが必要です。遅延金の計算式は「滞納額×延滞金の金利÷365日×滞納日数」で算出可能です。遅延金の金利は奨学金の種類や時期によって異なりますので、あなたの情報を元に計算してみましょう。一括返済を求められる奨学金を返済せずに放置していると、一括返済を求められる可能性があります。滞納分だけではなく借入れ金額全額分の返済を求められるため、大きな負担となるでしょう。契約者が返済できなければ、保証人や連帯保証人に一括返済が求められます。一括返済が求められるケースは、9カ月以上の滞納が目安です。信用情報にキズが付く個人の金融取引は、個人信用情報機関に記録されています。もしも延滞をしてしまうと俗にいうブラックリストとなります。実際にそのようなリストがある訳でなく、信用情報に事故情報の履歴が残ってしまいます。信用情報に事故記録が載せられると、他のローンを組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなるなど、今後のライフプランに悪影響となります。他のローンを組めなくなる信用情報ブラックになると、住宅ローンや自動車ローンなどのほか、カードローンの審査でも不利となります。これらのローンが組めなくなると、現金一括払いでしか購入できなくなるため、大きな買い物ができなくなります。特に住宅ローンが組めないとなると、人生設計が立て辛くなります。ライフプランでは、住宅購入資金、子どもの教育資金、老後資金を早めに準備するほど有利となりますので、ローンが組めないのは手痛いことなのです。クレジットカードが作れなくなる信用情報にキズが付くと、クレジットカード審査でも不利となります。クレジットカードの審査も信用情報の照会がなされますので、金融取引が不健全だと審査落ちの原因となります。クレジットカードが作れなければ、ポイントプログラムによる恩恵も受けられませんし、各種カードごとの優待も受けられません。また、分割払いやリボ払いなど、キャッシュフローに合わせた支払いもできなくなりますので、ライフスタイルに制限が生じます。差し押さえの可能性がある最終的には財産を差し押さえられる可能性があります。差し押さえは裁判所を通して行われるため、拒否することはできません。財産を没収されたり、給料を差し押さえられる場合もありますので、生活が破綻する可能性もあります。奨学金の返済が厳しい時の対処法どうしても奨学金の返済が厳しい場合にはどうすれば良いのでしょうか?ここでは具体的な対処法として以下を紹介します。減額返還制度を利用する返還期限猶予制度を利用する債務整理をする減額返還制度を利用する日本学生支援機構のケースでは、減額返済制度というものがあります。カンタンにいうと毎回の返済金額を半分に減らしてもらう制度です。もちろん、そんなにうまい話がある訳ではないので、その代わり返済期間が延長となります。そのため、借金総額が半分に減るというわけではなく、総額を変えずに返済のペースを変える方法だと考えましょう。1回の申請で適用されるのは1年となっていますが、繰り返し申請することによって、最長10年まで延長が可能です。完済までの期間が延びるのは大きなデメリットではありますが、現在の経済状況を好転させることは可能です。返還期限猶予制度を利用する返還期限猶予制度とは、一定期間返済を待ってもらう制度です。待ってもらっている間にお金を貯めたり、収入を増やすことができれば、その後はきっちりと返しやすくなるでしょう。各奨学金窓口に相談し、猶予が認められれば、承認期間は返済しなくても良くなります。返済猶予期間分は1回の返済金額に積み上げるのではなく、完済終了機関が伸びる形となります。延滞金も課されませんので、返済再開後に負担が増えることもありません。返還期限猶予制度が認めらえるケースは以下のとおりです。債務整理をする上記の制度を利用しても成り立たない場合には、債務整理を検討しましょう。債務整理とは法的に借金を整理する方法で、弁護士や司法書士に相談することでスムーズに手続きが可能です。債務整理をしてしまうと、5年~10年の間はローンを組むことやクレジットカードの発行ができなくなりますが、借金の負担は一気に軽くなります。今後の長い人生を考え、早めに借金をリセットしたい場合に検討しましょう。債務整理にはいくつかの種類があります。以下にて簡単にまとめます。奨学金が返せない場合の対処法&滞納リスクに関するまとめ奨学金利用者は130万人以上で、そのうち遅延を起こした人は30万人以上となっています。多くの人が奨学金の返済を潤沢にできていないことが見て取れます。しかし、奨学金を滞納すると、遅延金の支払いや一括返済、信用情報にキズがつくなどのリスクがあります。どうしても返還できない場合は、減額返還制度や返還期限猶予制度のほか、債務整理をするなど、早めの対策を取りましょう。対策が早ければ早いほど、その後のライフプランを立てやすくなります。
2019年11月28日返礼品の充実で利用者が増えたふるさと納税ですが、過剰となった返礼品競争を抑制するために2019(令和1)年6月1日から制度が変更となりました。返礼品の上限や条件が定められ、対象とならない自治体も出てきました。年末は駆け込みでのふるさと納税が多い時期ですので、新たなふるさと納税のルールや活用法についてお伝えします。 新しいふるさと納税の制度2019(令和1)年6月1日に変更となったふるさと納税については、総務大臣が以下の要件に該当した自治体のみをふるさと納税の対象として指定することとなりました。その要件とは、以下のとおりです。 (1)寄付金の募集を適正に実施する自治体(2)返礼品を送付する場合は、以下の2要件を満たす自治体①返礼品の返戻割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること この要件に該当しない小山町(静岡県)、泉佐野市(大阪府)、高野町(和歌山県)、みやき町(佐賀県)と申し出を行わなかった東京都の5団体(2019年6月1日現在)に寄付(ふるさと納税)を行っても、所得税・住民税の控除対象とはなりません。なお2019年10月現在、泉佐野市が国地方係争処理委員会に審査の申し出を行い、結論は出ていない状況です。新しいふるさと納税と返礼品の考え方新制度では返礼品が寄付金の3割以下になったため、単純に返戻品が欲しい場合にはお得度が減った形になりました。例えば、旧制度では1万円の寄付(ふるさと納税)に対し5000円相当のお米やお肉などの返礼品が届いたこともありますが、新制度ではお米やお肉などにしても3000円相当が上限となっています。自己負担額が2000円ですので(※)1万円の寄付をした場合は1000円程度のお得度合いとなります。そのため、自己負担額が2000円以内の範囲であれば、寄付金額を増やした方がお得な度合いが増える形となります。 【寄付金の比較例】寄付金1万円の場合返礼品上限3,000円自己負担2,000円所得税・住民税還付額 8,000円 寄付金3万円の場合返礼品上限9,000円自己負担2,000円所得税・住民税還付額28,000円 返礼品の要件に上限額や地場産品が求められているため、各自治体も工夫を凝らし、花火大会やキャンプ・バーベキュー、地元施設のレジャー券等の体験型のものや、寄付をした人限定の見学ツアーなど独自色が強くなっています。また、返礼品はないものの被災地への寄付も自己負担2000円でできますので、被災地支援を考えている人は従来のふるさと納税と合わせて、利用を検討してみましょう。 6月1日以前にふるさと納税で返礼品を受け取っていた人には物足りない制度変更ですが、本来の目的である出身地や応援したい自治体に寄付をすることで、地場産品の返礼品を受け取れるという形になりました。上記の比較にもあるように制度変更後の3割を上限とした返礼品でも、寄付金額次第では実質負担より返礼品の価値が高くなる場合もあります。今後も自己負担額が2,000円となる寄付の上限を確認した上で、ふるさと納税の利用を引き続き検討されると良いでしょう。 ※ふるさと納税は所得などに応じた範囲内の寄付であれば、2,000円のみが実質負担となります。(範囲を超えて寄付をすると自己負担額が2,000円以上に増える)一例として、ある地方自治体に1万円を寄付して、返礼品として5,000円相当のお米をもらったとします。それだけでは、1万円を払って5,000円のお米をもらっただけになりますが、2,000円を超えた部分は手続きすれば、所得税・住民税が8,000円が減額されるので、実質2,000円で5,000円のお米を手に入れたことになるのです。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年11月01日日本の労働者は男性でも育児休業(育休)は制度上利用できるのですが、利用率は低いまま推移しています。2019年9月に小泉進次郎衆議院議員が自身の育休取得についてコメントし、賛否の意見が多く上がりました。 また、外国の首相や自治体の首長(知事や市長等)、有名企業のトップなどが育休を取ることが度々ニュースで取り上げられますが、男性の会社員等の育休はどうなっているのか、実態と制度についてお伝えします。 男性の育休の実態 2018年(平成30年)の男性の育休取得率は、厚生労働省・平成30年度雇用均等基本調査(速報版)によると6.16%でした。これは女性の育休取得率82.2%と比べると低い数字ですが、6年連続で上昇しています。なお、6年前の2012年(平成24年)の男性の育休取得率は1.89%でした。 同調査によると、男性の育児休業の取得期間は5日未満が最も多く全体の56.9%で、1カ月以上の育児休業を取得した割合は16.7%に留まりました。一方、女性は6カ月以上の育児休業を所得した割合は88.2%でした。また、育児休業の希望をした男性の35.3%は利用できておらず、育児休業を利用しなかった人の理由を見ると、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」等が上位の理由となっていました。 参考資料::厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得推進のための取り組みについて」 父親の育休の取得促進の制度と助成金育児休業(育休)は、以下の①~③の要件をすべて満たすと、男女の区別なく取得できる制度です。原則子どもが1歳になるまで(保育所に入れない場合等は最大2歳になるまで)育児休業が取得できます。①同一の勤務先に継続して1年以上雇用されていること、②子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること、③子どもの1歳6カ月または2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかでないこと(左記までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかな人は育児休業が取得できない) また、父親の育児休業の取得促進の制度として、以下の2つの制度があります。【1】パパ・ママ育休プラス母だけでなく、父も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2カ月に達するまでに延長される制度(通常は1歳まで、延長された2カ月分は父が対象・また母と父は逆のパターンも可能)【2】パパ休暇(出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進)出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても再度の取得が可能。育児休業中は男女の区別なく給料は支払われませんが、雇用保険から月給の3分の2相当(180日以降は2分の1)の育児休業給付金が支払われます。父・母ともに育児休業中であれば、それぞれに育児休業給付金が支払われます。 男性の育休取得率は上昇中ですが、これからさらに育休取得をしやすくなるように政府も会社もさらなる制度の充実が見込まれます。ご夫婦のライフプランやキャリアプランによってパパが育休を取得するかどうかは異なると思いますが、取得したいパパや取得してほしいママは、この制度を最大限利用してください。また、定期的に制度は変わりますので、これから出産を控えている人や検討している人は利用前に制度を改めて確認することをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年10月25日母子家庭で子供を大学に行かせたいとき、お金の準備が難しいなら、奨学金を検討しましょう。本記事では、母子家庭がもらえる奨学金について説明します。お子さんを大学に進ませたいシングルマザーの方はぜひ参考にしてください。母子家庭でも子供を大学に行かせたい!奨学金ガイドブック2019第二種については、国公立・私立・自宅・自宅外の区別に関係なく、2万円~12万円の範囲で1万円きざみで金額を選べます。返還方法貸与奨学金は借金と同じなので、返済が必要です。ちなみに、奨学金の場合には返済ではなく返還という言葉を使います。在学している間は返さなくてもかまいません。返還開始は卒業後7か月目です。保証人が必要貸与奨学金を申し込むときには、要件を満たす連帯保証人と保証人を用意するか、保証機関の保証を受けなければなりません。保証機関の保証を受けるときには、毎月の奨学金の振込額から保証料が差し引きされます。返さなかったらどうなる?奨学金を借りたら、卒業後、必ず返さなければなりません。もし返さなかった場合には、信用情報機関に情報登録され、ブラックリストに載ることもあります。返還が難しくなったときには、毎月の返還額を減らしてもらったり猶予してもらったりすることも出来ますので、早めに相談しましょう。もらえるので返さなくていい!給付奨学金JASSOの給付奨学金制度は2017年度に開始しましたが、2020年度からは要件を満たす人が増えます。新制度の条件や金額について知っておきましょう。学生本人に求められる要件次の1、2のどちらかを満たさなければなりません。全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする学修意欲を有すること2については、高校が面談・レポートなどで判断します。親の収入に関する要件親が住民税非課税か、それに近いくらい収入が少ない人が対象です。収入基準には第I区分から第III区分の3つの区分があり、いずれかの区分に当てはまると対象になります。具体的な収入の額は家族構成等によって変わります。たとえば、子どもと母親(給与所得者)の2人世帯の場合、年収の目安は、次のようになります。支給金額区分、学校の設置者、通学形態によって支給月額が次の表のように決まっています。奨学金制度早わかりガイド授業料・入学金の減免と併せて高等教育無償化がスタート2020年度からの新制度は高等教育無償化と呼ばれており、給付奨学金の対象になる人は、大学に入学してから授業料・入学金の減免も受けられます。高等教育無償化は日本の大学・短大ならほとんどが対象になりますが、専門学校の中には対象外の学校があります。奨学金の申込手続き大学に入る前の高校3年生の時点で申し込むことができます。通常、学校から案内があるのでそのときに申込しましょう。大学に入ってからの申込も可能です。奨学金がもらえるかどうか確認するには?JASSOのホームページに、進学資金シミュレーターが設置されています。必要事項を入力すれば、もらえる奨学金の種類や金額を知ることができます。スマホのアプリでも利用可能です。奨学金を利用する際の注意点JASSOの奨学金は、大学入学後に入金が開始します。一方、大学の入学金や前期授業料は入学前に払込しなければなりません。入学前の支払いをするお金が足りない場合には、金融機関で教育ローンの申込を検討しましょう。奨学金制度は変更されることがあります。ホームページで最新の情報を確認するようにしましょう。その他の奨学金や授業料免除制度を申請できることもJASSO以外でも、奨学金制度を運営している団体は多数あります。利用できるものがないかどうかを確認しておきましょう。[adsense_middle]ひとり親家庭支援奨学金制度一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会(全母子協)がローソンと共同で運営しているひとり親家庭向けの奨学金制度です。夢を実現する意欲があるにもかかわらず経済的に就学が困難な生徒に対し、月額3万円が最長4年間支給されます。ひとり親家庭支援奨学金制度を利用するには、全母子協加盟団体の会員になる必要があります。詳細については、全母子協ホームページ等で確認してください。公益財団法人等の奨学金民間企業が設立した公益財団法人等で、返還不要の奨学金制度を実施しているところがたくさんあります。詳細については、各財団のホームページ等で確認してください。大学独自の奨学金制度もある大学や専門学校の中には、独自の奨学金制度や授業料減免制度を設けているところがたくさんあります。進学を希望する大学にどのような費用支援制度があるか、ホームページやパンフレットでしっかり確認しておきましょう。奨学金制度の探し方JASSOのホームページで、JASSO以外の奨学金制度についても検索できます。都道府県別、申込時期別などの条件で調べることができるので、探してみましょう。教育ローン等の貸付制度進学費用を借りる場合、貸与型の奨学金を利用する以外に、教育ローンなどの貸付制度を利用する方法があります。以下、母子家庭が利用しやすい代表的な貸付制度をご紹介します。無利子で借りられる母子父子寡婦福祉資金貸付金全母子協が実施している貸付制度です。連帯保証人を立てれば無利子で、連帯保証人を立てられない場合には1.5%の有利子で貸付が受けられます。利用を希望する場合には、市区町村の役所に早めに相談しましょう。母子家庭向け優遇のある国の教育ローン日本政策金融公庫が行っている教育一般貸付のことです。固定金利で最大350万円の借入が可能です。母子家庭の場合、金利、返済期間、保証料が優遇されます。母子家庭がもらえる奨学金に関するまとめ母子家庭で進学費用に不安がある場合、まずは給付型の奨学金を利用できないかどうか確認しましょう。住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯であれば、JASSOの給付奨学金を利用可能です。その他の奨学金や、授業料の減免等の制度もあります。母子家庭の大学進学費用は軽減できることがありますので、制度についてしっかり調べておきましょう。
2019年10月24日奨学金を払うことができずに自己破産にいたってしまう人が急増しており、累計1万人を超えていると言われています。労働者福祉中央協議会が2015年に行なった調査によると、奨学金借入額の平均は312万円とされており、500万円以上借りている学生も少なくありません。大学院まで行ってしまうと借りすぎてしまい、社会人になって返済に困窮する若者は決して少なくありません。「奨学金を払うのが厳しい。自己破産をするしかないのか」と思いつめている人もいるのではないでしょうか?しかし、奨学金をどのように借りたのかによって家族に迷惑がかかるかどうかが大きく異なります。それが、連帯保証人をつけたのか、機関保証を利用したのかということです。奨学金を借りた人が自己破産をするとどうなってしまうのでしょう?機関保証をつけた場合と連帯保証人を立てた場合それぞれのケースについて具体的に解説していきます。奨学金の機関保証と保証人制度とは?奨学金を借りる場合には、学生個人の名義だけで借りることはできません。奨学金は未成年の学生であっても本人名義で借りることができますが、経済力の乏しい学生単体へ融資をしてしまうと、奨学金を融資する日本学生支援機構のリスクが高くなってしまいます。そこで、奨学金を借りる時には機関保証か連帯保証人をつけるといういずれかの方法で、返済能力の乏しい学生に対する信用力を補完し、学生でもお金が借りられるようになっています。奨学金における機関保証と連帯保証人制度について詳しく解説していきます。機関保証とは機関保証とは、個人ではなく保証機関が奨学金の保証を行うことです。銀行カードローンなどにおける保証会社と同じ役割で、もしも債務者が奨学金を返済することができない場合には、保証機関が日本学生支援機関へ奨学金の残金を返済します。連帯保証人を立てる必要はありませんが、保証料を支払わなければなりません。連帯保証人を立てない代わりに日本国際教育支援協会が保証を行う後述しますが、奨学金の連帯保証人になるには一定の条件を満たす必要があります。この条件を満たすことができる人がいない場合や、家族や親戚などに迷惑をかけたくないという人は、連帯保証人を立てずに、日本国際教育支援協会という保証機関に奨学金の保証をしてもらうことができます。保証料が発生する奨学金の保証機関である日本国際教育支援協会は無料で保証を行なってくれるわけではありません。保証をしてもらうためには保証料を払う必要があります。例えば利息の発生する第2種奨学金を月額5万円で60ヶ月借りた場合には月額2,603円の保証料(2019年度)が発生します。連帯保証人制度とは連帯保証人制度とは、保証機関ではなく個人が奨学金の連帯保証人になる制度です。連帯保証人は債務者と同じ返済義務を負っているので、もしも返済できない場合には連帯保証人が奨学金を返済しなければなりません。保証機関を立てて保証料を支払う必要はありませんが、連帯保証人になった親には奨学金を返済できない場合に、債務者と同じリスクを背負う必要が生じてしまいます。連帯保証人には条件がある奨学金の連帯保証人には誰もがなれるわけではありません。奨学金の連帯保証人となる人は原則として奨学金を借りる学生の「父母」とされています。父母がない場合には以下の条件を満たしている人しか連帯保証人になることができません。1.学生本人が未成年者の場合は、その親権者(親権者がいない場合は未成年後見人)であること。2.学生本人が成年者の場合はその父母。父母がいない等の場合は、学生本人の兄弟姉妹・叔父・叔母などの4親等以内の親族であること。3.未成年者および学生でないこと。4.学生本人の配偶者(婚約者)でないこと。5.債務整理中でないこと。6.貸与終了時に学生本人が満45歳を超える場合、貸与終了時に60歳未満であること。基本的に奨学金の連帯保証人は親ですが、親がいない場合には4親等以内の親族であることが求められます。連帯保証人は借主が返済できない場合に返済義務を負う連帯保証人は借主と全く同じ返済義務を負っていますが、実務上は借主が返済できている間は連帯保証人に請求されることはありません。しかし、もしも返済が滞ってしまうと連帯保証人に請求が行われ、親などに大きな迷惑がかかってしまう可能性があることを理解しておきましょう。機関保証を利用した人が奨学金の返済ができないと機関保証を受けた人が奨学金の返済に遅れてしまうと、保証会社による代位弁済が行われ、信用情報はブラックになります。以後は保証機関である日本国際教育支援協会に返済を行なっていくことになります。[adsense_middle]保証機関による代位弁済で信用情報がブラックになる一般的に2ヶ月返済が滞ると、日本学生支援機関は保証機関へ代位弁済請求を行います。代位弁済請求とは、借主の代わりに保証会社に対して融資金の残金の返済を請求することです。代位弁済が行われた時点で信用情報はブラックとなってしまいます。信用情報がブラックになるとローンやクレジットカードの契約は不可能になってしまいます。保証機関に返済の義務が生じる代位弁済が行われると、保証機関が日本学生支援機構へ返済を行なってくれますが、これで借金がチャラになるわけではありません。債権は日本学生支援機構から保証機関へ移るので、代位弁済以降は保証機関である日本国際教育支援協会へ返済を行なっていく必要があります。代位弁済の記録は信用情報にブラックとして記録されますが、この情報は保証機関への支払いを完済してから5年間保存されます。したがって、完済までに10年かかってしまうと、合計15年間は信用情報はブラックのままです。なお、保証機関を利用した場合には連帯保証人がいるわけではないので、親などに請求が行われることはありません。連帯保証人を立てた人が奨学金の返済ができないと連帯保証人を立てた人が奨学金を返さないと、連帯保証人に対して請求が行われることになります。5万円や10万円程度の金額であれば、親なら立て替えてくれるかもしれませんが、100万円を超えるような金額の請求が行われると、親も返済ができずに自己破産にいたってしまうケースも実在します。連帯保証人に請求が行われる前述したように、借主が返済に遅れると連帯保証人に請求が行われ、借主も連帯保証人も長期間返済をしないと、奨学金の残金の一括返済請求が行われ、連帯保証人になっている親の財産が差し押さえられてしまう可能性があります。連帯保証人を立てて奨学金を借りた人は、返済に遅れると自分を飛び越えて親に請求が行われてしまうことがあるので、返済は責任をもって行う必要があるのです。機関保証を受けた人が自己破産すると「奨学金で一家全員自己破産」などと言う言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。しかし、機関保証を受けた人が奨学金を払えずに自己破産をしても家族にまで迷惑がかかることはあり得ません。機関保証においては、保証会社が保証をしているので、「本人と日本学生支援機構」「本人と保証機関」の関係しかありませんので、家族にまで迷惑がかかってしまうことはありません。保証機関が奨学金を返済する自己破産をする前は、弁護士などから債権者全員に受任通知という通知を送付します。この通知を受け取った時点で、日本学生支援機構は保証機関へ代位弁済請求を行いますので、日本学生支援機構から保証機関へ債権は移ります。保証機関への返済義務は消滅する自己破産が裁判所から認められれば奨学金も免責になるので、保証機関への返済義務は消滅し奨学金の支払いから逃れることができます。やはり、保証機関の保証を受けて奨学金を借りた場合には、自己破産をしたとしても家族に迷惑がかかることはありません。連帯保証人を立てた人が自己破産をすると奨学金借入時に連帯保証人を立てた人が自己破産をすると家族にまで大きな迷惑がかかってしまうということに十分に注意が必要になります。自己破産をすると、本人の債務は免責されるかもしれませんが、連帯保証人に対しては請求が行われることになります。これが「奨学金の返済不能で一家全員自己破産」になってしまう最大のリスクです。連帯保証人を立てた人が自己破産をした場合にはどのような流れで家族に迷惑がかかってしまうのか、詳しく見ていきましょう。[adsense_middle]親などの連帯保証人に請求が行われる自己破産をすると、本人の奨学金は免責になりますが、親の連帯保証人としての義務は残ります。そこで、日本学生支援機構は連帯保証人である親に対して一括返済請求を行います。自己破産して借金から逃げることができるのは債務者本人だけで、連帯保証人には債務の返済請求が行われるということは十分に理解しておきましょう。親が返済できないと家族で自己破産になることも債務者の自己破産後に連帯保証人である親に請求が行った時、親にも返済能力がなければ、親も自己破産するしかない事態に陥ってしまう可能性は十分にあります。これが「奨学金の返済ができずに一家全員自己破産」となってしまうケースです。奨学金だけではないですが、連帯保証人を立てた借金を抱えたまま自己破産をすると連帯保証人への迷惑は避けられないということはよく覚えておくようにしてください。借金総額を減らす方法は自己破産だけではない自己破産は数ある借金整理の方法である債務整理の中の1つにすぎません。奨学金を返済することができない理由は様々で、もしかしたら他の借金を抱えて返済に追われている人もいるかもしれません。このような場合には債務整理によって他の借金を減額すれば奨学金の支払いができるようになる可能性があります。状況に合わせてどの方法が最適なのか、連帯保証人に迷惑をかけないのはどの方法なのか、ということについてはプロと相談した方がよいでしょう。奨学金は個人再生の対象になるが・・・個人再生とは住宅などの財産を残したまま借金を原則3年以内に返済できるように減額させる方法です。奨学金は個人再生の対象になるので、個人再生が裁判所に認められれば奨学金を減額させることも可能です。しかし、連帯保証人を立てて奨学金を借りている人は、やはり連帯保証人への迷惑を避けて通ることはできません。連帯保証人の保証債務まで減額されるわけではない個人再生によって奨学金を減額させることができたとしても、連帯保証人の支払い義務まで減額されるわけではありません。例えば500万円の奨学金が100万円に減額されたとしても、連帯保証人には500万円の借金を保証する義務が残ってしまうのです。後悔しないためにはまずはプロに相談を!このように、連帯保証人を立てて奨学金を借りた場合には、自己破産にせよ個人再生にせよ連帯保証人への迷惑を避けることはできません。ただし、他に借金があるのであれば、その借金を整理すれば奨学金を期日通りに返済して行くことができるかもしれません。いずれにせよ、数ある債務整理の方法の中からどの方法を選択すれば連帯保証人に迷惑をかけずに奨学金の支払いができるのかということは、借金の状況や本人の収入の状況によって様々です。そこで、いきなり自己破産という選択をせずに、まずは相談料無料のプロへ相談してみるとよいでしょう。まとめ連帯保証人を立てて奨学金を借りてしまうと、自己破産をしても連帯保証人である家族に請求が行われてしまい、一家全員で自己破産になってしまうケースもあります。奨学金は借りる時に本当に返済することができるかどうかということまでよく考えてから借りないと、返済が始まってから大変になってしまいます。連帯保証人を立てて奨学金を借りると、本人は自己破産や個人再生などで奨学金の返済から逃れることができたとしても連帯保証人は保証義務から逃れることはできません。奨学金以外の借金の返済で困っているのであれば、債務整理を行えば借金が減額できる可能性もあるので、まずは一度プロの法律事務所へ相談してみるのがよいでしょう。
2019年08月17日2019年10月に消費税が10%に増税されますが、注文住宅は引き渡しが2019年9月30日以降になる場合は、増税前の契約でも消費税10%として手続きをする必要があります。 この増税を緩和する目的として“次世代住宅ポイント”制度が設けられ、2019年6月3日から申請が始まりました。今回は新築だけでなくリフォームにも適用される“次世代住宅ポイント”についてお伝えします。 要件を満たした住宅の新築・購入・リフォームを対象にポイントが支給次世代住宅ポイント制度は2019年10月の消費税増税に備え、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に役立つ住宅の新築やリフォームをされた人に対して、多くの商品と交換できるポイントを発行する制度です。 2019年6月3日から申請が始まり、2020年3月31日までを限度に(申請が予算を超える前に受付終了)申請を受け付けます。主な要件は以下のとおりです。 1)「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に資すると国土交通省が選定した、①注文住宅の新築、②新築分譲住宅の購入、③リフォームが対象となります。 2)新築では、①エコ住宅 (断熱等級4又は一次エネ等級4を満たす住宅)、②長持ち住宅 (劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2等を満たす住宅)、③耐震住宅 (耐震等級2を満たす住宅又は免震建築物)、④バリアフリー住宅(高齢者等配慮対策等級3を満たす住宅)に適合すると1戸当たり30万ポイント付与されます。 3)リフォームでは、①窓・ドアの断熱改修、②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修、③エコ住宅設備の設置、④耐震改修、⑤バリアフリー改修、⑥家事負担軽減に資する設備の設置、⑦若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う一定規模以上のリフォーム工事等がポイント付与の対象となります。 工事の内容によって2,000ポイントから150,000ポイントが付与され、合計の上限を1戸当たり300,000ポイントとしています。 ポイントの交換商品は食料品や日用品、家電など次世代住宅ポイントの申請はすでに始まっていますが、ポイントの交換申込は2019年10月1日以降の予定となっています。対象商品は米・肉・魚等の食料品、キッチン用品やバス用品等の日用品、テレビや空気清浄機等の家電等が用意されています。アウトドア用品や防災用品、キッズ用品等のカテゴリーもあり、2019年6月12日時点では、約2600件の交換商品が登録されており、今後も増える予定となっています。 ポイント交換があるから住宅を購入したり、リフォームをしたりと考える人は少ないと思いますが、消費税増税を理由として住宅購入を迷われている人はこの次世代住宅ポイントで付与されるポイントと合わせて住宅購入の総費用を検討すると良いでしょう。 現在、新築の住宅購入やリフォームを検討されている人は不動産やリフォームの担当者にこの制度の対象となる部分があるか確認してみてください。なお、この制度の詳細は、次世代住宅ポイントのサイトから確認できますので、参考になさってください。監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年06月22日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。老後を助ける公的制度はまだまだある。将来への不安を抱えている人は、老後資金を助ける制度を覚えておいても損はない。■老後資金を助ける制度【生活福祉資金貸付制度】低所得者や障害者、65歳以上の高齢者世帯を対象に、全国の社会福祉協議会が実施する貸付制度。たとえば、介護サービスを受けるために必要な経費や生計を維持するための資金の貸し付けなどを行っている。保証人、用途や金額などによっては無利子になる場合も。【不動産担保型生活資金】「生活福祉資金貸付制度」のひとつで自宅を担保にお金を借りられる。貸付限度額は土地の評価額の70%程度で、月30万円以内。貸付期間は借受人の死亡時、あるいは貸したお金と利息が限度額に達するまで。貸付利子は年利3%、または長期プライムレート(現在1%)のいずれか低い利率。【年金担保融資】年金受給者が対象。たとえば、年金収入が200万円であれば、160万円まで融資される(年金額の0.8倍以内)。急な入院などで、まとまったお金が必要になったときに借りられる。返済は2年6カ月以内で、年金支給額から差し引かれる。1回あたりの返済額は年金支給額の3分の1以下で1万円単位。【年金の繰上げ受給】老齢年金は原則として65歳からの受給だが、希望すれば60歳から繰り上げて年金を受けることができる。ただし、繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は一生変わらない。1カ月繰り上げるごとに0.5%減。60歳まで繰り上げると30%減。また、高齢者になれば、公共交通機関の割引制度や、運転免許を返納した場合の特典なども受けることができる。これらを活用すれば、現役世代よりも生活費を減らすことができるのだ。■公共料金の割引など【シニア向け優待サービス】映画館や美術館のシニア割引が身近だが、公共交通機関にも、シルバー会員制度などがある。たとえばJR西日本の「ジパング倶楽部」は、女性は60歳から3,770円の年会費で加入ができて、年間20回まで全国JRのきっぷを最大30%引きで購入できる。【シルバーパス】各自治体が発行しているシルバーパス。バスを無料、あるいは少ない額で利用できる。取得できる年齢や負担金は自治体によって違う。【免許返納特典】運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を申請できる。これを所有している高齢者は、タクシー代の割引や、デパートの配送料が無料になったり、指定の商店などでの買い物が割引される。特典は、各自治体によって異なる。「元気なうちはいいですが、病気や介護が必要な状態になれば、想像以上にお金がかかります。有料老人ホームなどの施設に入る場合、入居一時金などを含めてトータルで1,000万円を超えることも多い。限られた老後資金を有効に活用するためには、公的制度を利用し、無駄な費用をどうやって抑えるかが大切になってきます」逆に、老後資金の計画を立てるときは、こういった制度の活用を前提にしよう。そうすれば、“人生100年時代”とはいえ、天文学的な金額にはならないはずだ。
2019年03月25日保険会社はとにかく不安をあおって、不要な保険に勧誘しがち。為替リスクがあったり、そもそも手数料が高く設定されていたり、公的な制度で十分なことも。大事な虎の子、奪われないで!「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。「子どもが独立する前であれば、生活費や学費がかかりますので、公的な遺族年金の不足分を死亡保険金でまかなう、という方法もありますが、すでに独立していれば、妻の生活費だけ考えればいいので、保険は必要ないでしょう。まずは受け取れる遺族年金がいくらになるか計算すること」遺族は受け取る死亡保険金は、一定額、非課税になるので、終身保険は相続対策には有効だが、葬式を挙げる程度の死亡保険金であれば、中途解約時にお金が減るリスクなどもあるので、現金で持っていてもいいという。■“2人に1人はがんになる”と病気への不安をあおる言葉に注意入院一時金、入院・手術給付金などが受け取れる「医療保険」も不要だという。加入が義務づけられている健康保険によって、治療費に何十万円、何百万円とかかっても、治療費の自己負担額3割の上限を超えたら、超過分が払い戻される「高額療養費制度」が使える。平均的な所得の世帯で1カ月100万円の医療費がかかったとしても、自己負担分は約9万円で済む。「最近は入院期間が短くなってきているので、入院給付金が受け取れるタイプの医療保険に加入しても、保険を請求する機会が減ってきています。また、『2人に1人はがんになる時代』と、がんへの不安をあおって、『がん保険』への加入も勧められますが、そもそも2人に1人ががんにかかるのは、男女ともに80歳以降からなのです。しかも、高額療養費制度はがん治療にも適用されます。複数の保険会社の調査や医療関係者の情報では、一般的な費用負担は50万円程度のことが多いです」最近は、「65歳以上の5人に1人は認知症になる」などと認知症へのリスクに備える「介護・認知症保険」が登場している。認知症と診断されたら一時金がもらえる、年額60万円など年金で受け取れるタイプがあるが、50代以降で加入すると保険料が高くつく。また、現在50歳の人が加入したとすると、認知症になって一時金が受け取れるのは30年ぐらい先の話なので、お金の価値も変わり、医療も進歩している可能性がある。加入後の健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が受け取れたりする「健康増進型」の医療保険もあるが、健康増進のための努力は保険契約に縛られなくてもいいはずだ。それでも医療保険に入りたいという人には、保険料が掛け捨ての「都道府県民共済」がある。「『入院保障2型』では、月々2,000円の掛金で、1日1万円の入院給付金があります。剰余金は『割戻金』として、例年30%くらい、加入者に還付されていますから、実質的な掛金は月1,400円程度で済みます。老後までの期間、共済で負担を抑え、その後は健康保険を利用するのが一番と考えても大丈夫です」公的保険や公的年金など、将来受け取れるお金を計算してみると、それを補う預貯金があれば十分だということがわかる。さまざまな“不安”をあおる言葉に気をつけて!
2019年02月20日リフォームが決まったら、自治体のHPなどを確認し、お得な補助金制度や減税制度がないかを調べてみましょう。特に、介護・省エネ・耐震などの特定分野のリフォームは要チェックです。申請時の注意点や次世代住宅ポイント制度についても紹介します。リフォームにより受け取れる補助金を知ろう省エネ化やバリアフリー化など、特定のリフォームをすると、国や自治体から補助金を受けられます。補助金が交付されるには、決められた条件を全て満たすことが前提です。補助金を上手に活用して、リフォーム費用を少しでも安く抑えましょう♪リフォームに関する『補助金制度』は、工事前に補助金を申請すると工事費の一部を負担してもらえる制度です。制度の主体は国と各自治体の2つに分けられます。太陽光発電など、環境に配慮した省エネ住宅を推進するためや、家の老朽化を防ぎ耐震性を強化するため、高齢者の自立を目指すためなど、さまざまな理由から補助金を交付しているのです。このように、リフォームの補助金には、特定の『目的』があるため、定められた『要件』を全て満たしている住宅が対象となります。リフォーム補助金は、年間を通して常に申請できるわけではありません。補助金制度の申請期間があり、受理日の早い順に補助金の交付対象が決まっていくのが通常です。補助金の申請期間内でも、補助金の予定総額を超えてしまった場合は、途中で終了になるケースがあるので注意しましょう。補助金の募集については、各省または自治体の公式HPなどで発表されます。内容によっては応募者が殺到する可能性があるため、希望者はスピーディーな準備が必要です。以下の点は早めに確認をしてくださいね!●併用不可の補助金を受けていないか●補助金対象外のリフォーム会社に委託していないか●着工は補助金の期限内かどうかバリアフリー化のリフォームの場合バリアフリー化のリフォームは、障がい者や高齢者が生活していく上で障害になるものを取り除き、より安全・安心な住まいを目指します◎介護保険にもかかわってくるため、補助金を受け取るには内容や要件をしっかり把握しておきましょう。バリアフリー化のリフォームにおける補助金は、『介護保険制度』と関係があります。『介護保険制度』とは、高齢者の介護に対する公的制度で、本人の介護レベルによって必要な支援が受けられる仕組みです。介護保険制度の補助金には『居宅介護(介護予防)住宅改修費』があります。古くなった外壁の修理など、単に生活を快適にするリフォームは制度の対象外で、高齢者・障がい者の生活の安全・安心にかかわるリフォームに限られます。また、本人の『自立した生活』や『介護者の負担の軽減』も目的であることを忘れないでくださいね。具体的なリフォーム内容については以下の項目で解説します♪介護保険制度の『居宅介護(介護予防)住宅改修費』は、要支援1~2、要介護1~5のいずれかに認定された被保険者が受給できる補助金です。●補助金の対象:介護保険被保険者証に記されている住居●補助金内容:被保険者一人につき1回、改修費用20万円を上限に、9割(所得によっては7~8割)の費用が補助される。補助金の利用回数は指定されておらず、1回で20万円を使っても、数回に分けてもOKです。自治体によっては独自の制度を設け、上乗せして支給しているケースもあります。詳しくはお住まいの市町村の窓口で確認しましょう!介護保険の補助金対象になるリフォームは、屋内だけでなく屋外も含まれます。なお、新築や増築工事は支給の対象にならないという点に注意しましょう。●手すりの取り付け(廊下・便所・浴室・玄関など)●床の段差解消●転倒や滑りの防止(床や通路の素材の変更など)●扉・ドアノブの取り換え(引き戸をアコーディオンカーテンなどに変える)●洋式便器への取り換え『手すりの取り付け』に関しては、身体を支え、転倒を防止する『福祉用具貸与』に該当するものに限られます。また、『便器の取り換え』は、和式から洋式に変更する場合に限られ、洗浄などの『付加機能』のみが目的の取り換えは認めない自治体がほとんどです。介護保険制度の補助金を申請する方法補助金の申請から受給までの流れを解説します。ここでは、横浜市の例をご紹介しますね。自治体ごとにルールや必要な書類が異なるケースがあるので、お住まい市町村の窓口、またはケアマネージャーに相談するのが安心です。介護保険住宅改修費の申請に必要な以下の書類をそろえ、『区役所保険年金課(自治体によって異なる)』に提出します。●介護保険給付費支給申請書●明細入力票●住宅改修が必要な理由書●介護保険給付の申請・受領委任状(受領委任払い事業者に工事を依頼した場合)●見積書および見積額内訳書●日付入りの施工前の写真●完成予定の状態がわかる写真や図また、賃貸住宅の場合は、『賃貸契約書の写し』と『住宅改修に関する承認書(賃貸人のサイン)』が必要です。書類のフォームは、自治体のHPからダウンロードができますよ◎申請を行う前に、ケアマネージャーにリフォームを行いたいと相談しましょう!上記の必要書類にある『住宅改修が必要な理由書』は、ケアマネージャーが作成する必要があるためです。ケアマネージャーがいない場合は、区役所の高齢・障害支援課(自治体により異なる)などに相談します。その後希望者は、工事がはじまる前に市町村の区役所保険年金課に相談し、『住宅改修費の申請』を行います。申請が承認される前に着工すると、補助金が支給されないケースもあるので注意しましょう。工事完了後に『支給申請(払い戻しの申請)』を行うことではじめて補助金が支給されます。おおよその流れはどの自治体も同じですが、書類の作成方法や流れが異なる場合もあるので、個別の相談をおすすめします♪省エネ化のリフォームの場合『省エネ化リフォーム』とは、エネルギーの無駄を省き、効率的な利用を目指すリフォームのことです。代表的なものに、太陽エネルギーの利用や断熱性能の向上などが挙げられます。これらを住宅に活用すると、どのくらいの補助金が受けられるのでしょうか?国または自治体から支給される省エネリフォームの補助金は、補助金受給の申請期間が決まっており、予算が達した時点で締め切りになるものがほとんどです。自治体の中には、省エネリフォームの補助金を出していないところもあるので、事前に確認してくださいね。受け取れる金額はリフォームの内容によって異なります。『太陽光発電システムの設置』では『1kWあたりの金額』で補助されるケースもあれば、『1件あたりで定額』というケースもあります。たとえば、福岡県遠賀郡遠賀町の場合、2018年度は、10kW未満の太陽光発電の工事を対象とし、2万円/kW(上限7万円)の補助を行っています◎省エネ効果の高いエコキュートなどの『給湯器導入』については、工事費の何割かを負担してくれる自治体もありますよ。省エネリフォームの補助金対象になるリフォームは、以下のようなものがあります♪●太陽光発電システムの導入●高効率給湯器の設置(エコキュート・エネファームなど)●高性能建材による断熱リフォーム(窓・壁・屋根)●LED照明・蓄電システム・潜熱蓄熱材の設置●節水型トイレへの交換●節湯水栓の設置窓や断熱材などは、補助対象製品が指定されている場合があります。省エネリフォームについて、大阪府茨木市の例をみてみましょう。茨木市は、太陽光発電システム(10kW未満)の設置費用の一部を負担する『住宅用太陽光発電システム等設置事業補助制度』を導入しています。補助金額は1万2,500円/1kW(上限4kW・5万円)で、申請は電力会社と電力の受給契約を開始した日から6カ月以内に行わなければなりません。太陽光発電システムのほかに、以下のような補助もあります。●太陽光発電システムと同時申請の家庭用燃料電池(エネファーム):4万円●自然循環型太陽熱温水器:3万円●強制循環型ソーラーシステム:4万円耐震化のリフォームの場合国や自治体では、将来的な地震の被害を最小限に食い止めることを目的とし、『耐震診断』や『耐震補強工事』に対する補助を行っています。ここからは対象となる住宅や補助の概要について解説します♪耐震化のリフォームは、主に『1981年以前の耐震基準で建築された戸建て住宅』が対象で、耐震化リフォームによって、現在の耐震基準に適合させるのが目的です。古い家全てが合致するわけではなく、プロの建築診断士の『耐震判断』によって、耐震性が不足していると認められたものだけになります。申請できる建物の条件や基準は自治体ごとに異なるため、事前の確認が必要です。また、倒壊する恐れのあるブロック塀の解体・撤去を行ってくれる自治体もあります◎千葉県市川市の耐震改修工事の助成制度は、戸建て住宅だけでなく、分譲マンションも対象になります。『専用部分の区分所有者が2人以上』や『耐火建築物または準耐火建築物』など、いくつかの条件を満たす必要があり、建物だけでなく『補助金交付対象者』に対する条件も定められています。申請は設計・工事前に行う必要があり、予算枠を超えると、早めに終了する可能性があるので注意しましょう。補助金申請が承認されると、耐震改修設計・工事・工事監理費用の一部が補助金として支給されます♡次世代住宅ポイント制度将来的に住宅の購入・リフォームを考えている人は、『次世代住宅ポイント制度』が活用できます。2019年より創設される新たな制度で、国の予算は1,300億円が見込まれています。この制度をうまく使えば、家計の大きな助けになりますね♪2019年10月に消費税引き上げが行われることが決まっています。増税前の駆け込み需要が多くなると、増税後は消費が落ち込む傾向があり、この反動の差を埋めるために、国土交通省では一定の住宅取得者に対する『次世代住宅ポイント制度』を創設しました◎これは、税率10%で住宅の新築・新築分譲住宅の購入・リフォームをする人に対し、商品と交換できるポイントを発行する制度です。若者・子育て世帯がリフォームまたは住宅の購入を行う場合は、付与されるポイントが高めに設定されている点も見逃せませんね♪次世代住宅ポイント制度の対象になるリフォームを確認してみましょう。●断熱改修(窓・ドア・屋根・外壁・天井など)●耐震改修●バリアフリー改修●エコ住宅設備の設置●家事負担軽減に役立つ設備の設置(食器洗い機、宅配ボックスなど)●既存住宅の購入に伴う一定規模以上のリフォーム工事(若者・子育て世帯が対象)基本的には2019年10月の増税後に引き渡される住宅や、19年4月~20年3月に請負契約・着工をしたものが対象ですが、特例的に対象となる住宅もあります。次世代住宅ポイント制度でもらえるポイントは、主に、省エネに優れた商品・防災関連商品・子育て関連商品・健康関連商品などに利用できます。具体的な商品内容については、これから公募によって決定される予定です。1ポイントは1円相当で、戸建ての住宅リフォームの場合、最大ポイントが30万ポイント(特例以外)、すなわち30万円相当の商品と交換ができることになります♡住んでいる地域の補助金制度を知るには?補助金制度の内容は各自治体によって異なるため、個別の確認が必要です。お住まいの地域の補助金制度を積極的に調べ、リフォームの負担を少しでも減らしましょう!検索には、インターネットの『支援制度検索サイト』などを活用するのが便利です♪お住まいの都道府県・支援分類・支援方法などの条件にチェックを入れると、該当するものが表示されます。補助金制度は年度ごとに内容・申請期間が変わるため、最新版を利用しましょう。支援制度検索サイトのほかに、各自治体のHPを確認する方法もおすすめです。正確な最新情報が入手でき、わからない部分があれば、窓口に電話して詳細を聞くこともできます。積極的な行動により、さまざまな補助金制度や優遇制度が見つかるかもしれませんよ♡減税の手続きも忘れずにリフォームに関しては、補助金制度のほかに『減税制度』があるのを知っていますか?一定の要件を満たす工事をすると、所得税が控除されるお得な制度です◎ただし、工事費用をどう工面するかで条件が変わる点に注意しましょう。所得税の減税制度には自己資金でリフォームをした人が対象の『投資型減税』と、ローンを組んだ人のための『ローン型減税』の2つがあります。『省エネ改修リフォーム』を行った場合の控除額と期間を確認してみましょう。『投資型減税』の控除率は工事費の10%で、控除対象限度額は200~250万円(あわせて太陽光発電設備を設置する場合は300~350万円)です。控除期間は改修後、居住を開始した1年間分のみとなっています。一方、『ローン型』は、返済期間5年以上のローンが対象です。工事費用の2%(または1%)が所得税から控除されます。控除限度額の年間上限は12万5,000円ですので、5年間で最大62万5,000円の控除が受けられることになります♡10年以上にわたり、分割返済をする住宅ローンを組んだ場合にも税制上の優遇措置があります♪『住宅借入金等特別控除』は、マイホームを新築・取得・増改築した場合が対象の減税措置です。条件を満たすと実際に居住した年分以後の各年分の所得税額から、ローンの年末残高の合計額を基として計算した額が控除されます。なお、バリアフリー改修工事・省エネ改修工事・多世帯同居改修工事のどれかを含む場合は、『住宅借入金等特別控除』に代わり『特定増改築等住宅借入金等特別控除』が適用になります。(選択可能)減税の申請は『確定申告時』です。『住宅借入金等特別控除額の計算明細書』や『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』などの必要書類を添付し、税務局に提出しましょう。住宅借入金等特別控除の詳細はコチラ♪住宅リフォームには一定の要件を満たせば、1年間の固定資産税が減額される『固定資産税の減額』があります。対象は、耐震リフォーム・省エネリフォーム・バリアフリー化リフォームを行った場合です。たとえば『省エネリフォーム』の場合、翌年分の固定資産税額(120平米相当分)の3分の1が減額になりますが、『賃貸住宅でないこと』『工事後の床面積が50平米以上280平米以下』『家屋の床面積の半分以上が居住用の家屋であること』など、いくつかの要件を満たさなければなりません。補助金制度はさまざま!下調べはしっかり行いましょう♪リフォームや増築にかかわる優遇制度は、意外にも多いことがわかりました。一方で、対象になる工事や併用の可否など、条件がやや複雑なので十分な下調べが大切です♪特に、補助金制度においては申請期間があり、工事をする前に申請しなければならないので、情報収集を怠るとチャンスを逃してしまうかもしれません。大きな修繕やリフォームを行う前に、自治体のHPなどを確認するようにしてくださいね。【無料】見積もり・比較でリフォームが安くなる!
2019年02月19日過去に大病を患った人でなくても「高額療養費制度」は必ず知っておくべき知識。制度を熟知することで、あなたの“老後の不安”が一つ消えるかもしれない--。「重篤ながんになったとしても“医療費が払えなくて苦労した”という声はあまり聞きません。日本には『高額療養費制度』という、収入に応じて上限を設けて医療費の負担を抑えてくれる制度がありますから、一般的な保険診療であれば“実費で数百万円”なんてことにはならないのです」こう語るのは、NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長・看護師の賢見卓也さん。「ただし、すべて“病院におまかせ”というわけにはいきません。基本的に、こういった制度は、加入者自らが保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請する必要があるからです。とりわけがん患者となると、診断直後は、家族みんなで慌ててしまうこともあるでしょう。だからこそ、元気なうちから、医療費についての制度とその手続きの仕方について十分に知っておいていただきたい」賢見さんと社会保険労務士で同会理事でもある石田周平さんの2人に、月収に応じて5つに区分されている「自己負担限度額」について教えてもらった。【「自己負担限度額」の早見表】医療費100万円、自己負担(窓口支払い)30万円(3割適用)の場合□所得区分(ア)標準報酬月額:83万円以上(報酬月額81万円以上)/自己負担限度額:25万4,180円、支給額:4万5,820円/多数回該当の限度額:14万100円□所得区分(イ)標準報酬月額:53万~79万円(報酬月額51万5,000円以上~81万円未満)/自己負担限度額:17万1,820円、支給額:12万8,180円/多数回該当の限度額:9万3,000円□所得区分(ウ)標準報酬月額:28万~50万円円(報酬月額27万円以上~51万5,000円未満)/自己負担限度額:8万7,430円、支給額:21万2,570円/多数回該当の限度額:4万4,400円□所得区分(エ)標準報酬月額:26万円以下(報酬月額27万円未満)/自己負担限度額:5万7,600円、支給額:24万2,400円/多数回該当の限度額:4万4,400円□所得区分(オ)低所得者・市区町村税の非課税者など/自己負担限度額:3万5,400円、支給額:26万4,600円/多数回該当の限度額:2万4,600円※「報酬月額」は一般的な月収。過去1年間に3カ月以上の自己負担限度額を支払った場合、4カ月目から「多数回該当」となり、月当たり上記減額が適用される。監修:石田周平さん「自己負担限度額」について、詳しい数字を見ていこう。■自分の収入から「自己負担限度額」を確認する「高額療養費制度では、基本的に『自己負担限度額』以上を支払う必要はありません。たとえば月収50万円の世帯であれば、医療費が100万円かかったとしても、1カ月の上限である8万7,430円で済むわけです」(石田さん)その仕組みは、「自己負担限度額」の早見表のとおり。条件はすべて「医療費100万円、自己負担30万円」の場合だ。月収(報酬月額)は、区分(ア)「81万円以上」から(オ)「低所得者や非課税者」までの、5段階に分かれているので、自分が該当する世帯区分を確認してみてほしい。たとえば区分(ウ)は月収27万~51万5,000円の世帯が対象で、標準報酬月額は28万~50万円となり、自己負担限度額は8万7,430円になるとわかる。つまり自己負担の30万円から自己負担限度額8万7,430円を差し引いた21万2,570円が、高額療養費の支給額となる。■「戻ってくるお金がゼロ」になるケースがある「医療費は、すべて『暦月単位』(2月なら「1~28日」まで)で計算されます。たとえば月をまたいで翌月まで入院などをした場合は、当月と翌月の医療費が発生することになり、それは高額療養費の考え方では合算されません。するとそれぞれの月で自己負担限度額に満たないケースが生まれ、高額療養費の制度は使えなくなってしまうのです」(石田さん)医療費50万円、自己負担(窓口支払い)計15万円(3割適用)、自己負担限度額8万2,430円の場合。月またぎで治療した場合、自己負担額の合算はできない。全額を月の1日~末日に支払えば6万7,570円還付されるが、月を真ん中でまたぐと0円に!そうなるとこの約7万円の差に“月初めの入院や月末の退院”を希望する人もいるかもしれないが、賢見さんは「それはおすすめできない」として続ける。「あくまで病気などの治療が目的ですから、“1日から入院”など計画的手段がいいはずがない。必ず医師に相談してください」
2019年02月13日女性が熟年離婚する場合には、老後の資金が足りなくなることに不安を感じるはずです。老後の資金になるものと言えば、主に年金と退職金。年金には離婚時年金分割の制度が用意されていますが、退職金の分割制度はありません。ただし、退職金は財産分与により分けてもらえる可能性があります。ここでは、離婚時に夫の退職金を財産分与してもらう方法について説明します。退職金は金額も大きいですから、老後の資金として忘れずに確保しておきましょう。離婚時に退職金を分割してもらえるケースとは?婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚の際に財産分与の請求ができます。夫が勤務先から退職金をもらう場合には、退職金も財産分与の対象となり、妻も退職金を分割してもらう権利があります。会社員や公務員と離婚するなら退職金も分けられる会社員や公務員は、勤務先を退職するときに、退職金をもらえることが多いでしょう。退職金は、給料の後払い的性質を持つものです。婚姻期間中に夫が受け取った給料には妻の貢献も入っているため、夫婦が共同で築いた財産と考えられます。退職金は、給料の一部を貯金しているようなものです。婚姻期間中に夫婦でした貯金が財産分与の対象となるのと同様に、退職金についても、婚姻期間中に貯金したと考えられる部分は、財産分与の対象になります。将来受け取る退職金も離婚時の財産分与の対象離婚時に夫が既に退職金を受け取っている場合、残っていれば当然分けてもらうよう請求できます。また、離婚時にまだ退職金を受け取っていない場合でも、退職金を分割してもらえる可能性があります。将来の退職金を分割してもらえるのは、退職まであと少しで、退職金をもらえるのがほぼ確実と思われる場合になります。この場合、退職後に離婚すれば退職金を分割してもらえるのに、退職前に離婚すると分割してもらえないとなると不合理だからです。離婚時に20代や30代の場合には、今の会社に定年まで勤めるかどうかはきわめて不明確です。定年まで勤めたとしても、必ず退職金をもらえるという保証もありません。このような場合には、退職金を分けてもらうことはできないことになります。何歳以降の離婚なら退職金を分けてもらえるのかなどの明確な基準はありません。判例では、退職まで概ね10年以内であれば、将来の退職金の財産分与が認められるケースが多くなっています。将来の退職金を分与する場合の支払時期夫が将来受け取る退職金の財産分与について合意をした場合、離婚時にその金額を前もって払ってもらってもかまいません。しかし、実際に退職金を受け取っていないので、夫側は払えるだけの現金を持っていないことが多いでしょう。離婚時に払えない場合には、将来退職金を受け取った時期に支払う旨の合意をしておきます。なお、将来受け取るはずのお金を前もって払ってもらう場合、本来の受け取り時までに生じる利息を差し引きし、現在の価値に直すという処理をします。これが「中間利息控除」と呼ばれるものです。将来の退職金を離婚時に受け取る場合、中間利息控除を行うため、受取金額が少なくなります。離婚後も2年以内なら財産分与請求が可能離婚時に退職金の財産分与について決めなかった場合、離婚後に退職金の分与を請求することも可能です。ただし、財産分与請求には、離婚後2年以内という期限がありますから、注意しておきましょう。なお、離婚後2年以内というのは、家庭裁判所に財産分与の調停や審判を申し立てる期限です。離婚後2年以内に申し立てさえしておけば、調停・審判中に離婚後2年が経過しても問題ありません。離婚時に分割する退職金はどうやって計算する?財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつです。しかし、退職金の分与割合は、必ずしも半分ずつとは限りません。退職金のうち財産分与できるのは、婚姻期間中の給料に相当する部分のみです。既に退職金を受け取っている場合の計算方法離婚時に既に退職金が支払われている場合には、退職金額が確定していますから、計算も比較的簡単です。具体的には、次のようになります。結婚した後でその会社に就職した場合退職金の全部が婚姻期間中に築いた財産ということになります。退職金の全額が財産分与の対象となり、妻は退職金の半分の請求が可能です。結婚する前からその会社に勤務していた場合退職金の全部ではなく、勤務期間のうち婚姻期間が占める割合分が財産分与の対象になります。たとえば、勤務期間が30年で婚姻期間が20年の場合には、退職金の3分の2が財産分与の対象となり、妻は退職金の3分の1の請求が可能です。将来の退職金を財産分与する場合の計算方法将来の退職金については、金額が確定していません。分与額の計算について明確なルールが定まっているわけではありませんが、一般には次の2つのどちらかの考え方にもとづき計算します。1. 離婚時に退職したと仮定して算出される退職金を基準にする離婚時点で自己都合退職したと仮定して、就業規則や退職金規程を参考に、退職金を計算します。仮に算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。2. 定年退職時に受け取りが予想される退職金を基準にする定年退職まで勤務したと仮定して受け取る退職金額を試算します。算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。離婚するまで共働きだった場合の退職金の計算方法共働きの場合でも、夫の退職金の分与を請求できます。一方で、自分の退職金も夫に分与しなければならない可能性があります。夫婦双方の退職金が財産分与の対象になる場合、財産分与の対象となる額を合計して2分の1ずつ分ける形で調整することになります。離婚までに別居期間がある場合の退職金の計算方法離婚の前から別居している場合、財産分与については、原則として別居時の財産を基準にします。退職金も、婚姻期間のうち別居時までの期間に相当する部分が財産分与の対象となります。離婚後に退職金を払ってもらえないときに差押えはできる?将来の退職金の財産分与について離婚時に合意をしても、手元に現金がなければ、実際に受け取ったときの支払いにせざるを得ません。約束した退職金を将来必ず払ってもらうためには、差押えなどの強制執行が可能な形にしておくのが理想です。退職金の財産分与で差押えを可能にするには、次のような方法があります。離婚調停で退職金について取り決めする離婚時に退職金の財産分与を行う場合、分与額の計算は複雑です。計算方法によって分与額も変わってくるため、話し合いで簡単に合意できないことも多いでしょう。離婚自体に合意しているけれど離婚条件で合意できない場合にも、家庭裁判所の離婚調停で解決することが可能です。離婚調停では、裁判官・調停委員のアドバイスにもとづき、退職金の分与方法を決めることができます。調停が成立すれば、裁判所で調停調書を作成してもらえます。この場合、約束どおり退職金を払ってもらえない場合には、調停調書にもとづき差押えが可能です。協議離婚する場合には公正証書を作成金銭の支払いに関する約束を公正証書にしておけば、公正証書にもとづき差押えが可能になります。離婚時には、退職金の支払いや他の合意事項について、離婚公正証書を作成しておきましょう。なお、差押えを可能にするためには、支払金額が確定していなければなりません。「退職金の2分の1の金額を支払う」というだけの取り決めでは、具体的な金額が特定できず、そのままでは差押えができないことになります。協議離婚する場合でも、将来の退職金の財産分与については、専門家に相談した上で取り決めするのがおすすめです。離婚時に退職金を分割してもらう方法:まとめ退職金は財産分与の対象になります。夫が定年退職するまで概ね10年以内で退職金をもらえるのがほぼ確実なら、夫が将来受け取る退職金を分けてもらうことも可能です。退職金は金額も大きいため、どう分けるかで争いになりがちです。話し合いで合意できない場合には、調停を利用する方法もあります。老後の資金として重要なものの1つですから、安易に妥協しないようにしましょう。
2019年01月21日病院などにおいて手術を受けたり入院をした場合、高額な料金の支払いをすることがありますが、その支払った代金の一部が返金される制度があります。この払いすぎた医療費が返還される制度のことを「高額療養費」といいます。高額療養費は、健康保険・国民健康保険のいずれの制度に加入している人であっても利用することが出来る制度ですが、制度が複雑であるため、なかなかイメージが出来ないことが多いかと思います。さらに、平成28年より法改正が行われて、高額療養費制度の区分が細分化されました。今回は、高額療養費制度の具体的な仕組み、どのような場合に申請することが出来るかといったことについて、近年改正が入りより細分化されたため、その点を踏まえて解説します。高額療養費とは高額療養費とは、同一月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合において、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとから払い戻される制度です。なお、70歳未満の人については、医療費が高額になることが事前にわかっている場合(長期入院が必要な病気やケガなどをしてしまった場合など)については、「限度額適用認定証」を提示することで高額療養費の請求をすることが出来ます。70歳未満の場合の高額療養費70歳未満の場合の高額療養費については、基本的には外来診察等で支払った医療費と入院等で支払った医療費の自己負担分の合計額が、自己負担額の上限額を超えている部分について高額療養費の支払いが行われる仕組みとなっています。つまり、同一月における医療費について、外来診療で支払った自己負担分と入院などで支払った自己負担分を合算した自己負担分が自己負担分の上限額を超えるかどうかで、高額療養費の支給が行われるかが判定されます。なお、1年間に4回以上高額療養費の支給が行われる場合は多数回該当といい、4回目以降の高額療養費の自己負担額の上限額の基準が変わります。70歳以上75歳未満の者の場合の高額療養費70歳以上75歳未満の者の場合の高額療養費は、70歳未満の人の場合とは異なり、外来診療などで支払った自己負担額と入院などで支払った自己負担額を分け上限額が設定されています。そのため、医療費の自己負担額が外来診療によるものなのか?それとも、入院などによるものなのかで、自己負担額の上限額が異なります。高額療養費の算定基準額高額療養費の算定基準となる金額は、標準報酬月額(保険料の算定の基準となる報酬月額)や報酬月額(実際の総支給額の給与や賞与などの合計を12で除して得た金額)がいくらになるかによって区分が異なります。70歳未満の者の場合70歳未満の場合、自己負担額の上限の区分は、標準報酬月額や報酬月額によって、大きく5つの区分に分かれています。70歳以上75歳未満の者の場合70歳以上75歳未満の場合、自己負担額の限度額も70歳未満と同様に所得状況によって区分されていますが、大きく4つの区分に分かれています。なお、自己負担限度額の計算は、外来分のみの場合については個人の自己負担額の合計で判断されますが、外来の自己負担額と入院等の自己負担額を合算した場合は、世帯全体で自己負担限度額の判定を行う仕組みになっているので注意が必要です。つまり、外来診察等で支払った医療費については、個人の支払額の合計額で判断されるが、入院等の費用が発生した場合については、世帯家族全体の医療費の自己負担額の合計で自己負担限度額を判断することになります。高額療養費の申請の流れ高額療養費の申請方法には「事前申請」と「事後申請」の2通りあります。いずれの方法であっても、申請先が保険証に記載されている保険者(協会けんぽであれば全国健康保険協会、健康保険組合であれば、保険証に記載されている健康保険組合)となります。事前申請の場合事前申請の場合は、保険者に健康保険限度額適用認定書申請書(協会けんぽの場合)を提出することで、「限度額適用認定証」の交付を受けます。その後、医療機関等で医療費を支払う際に限度額適用認定証を提示することで、自己負担額の上限までの支払いを行い、超える部分については支払わなくてもよいという流れとなります。(つまり、事前に自己負担額の上限がいくらですという証明書を発行することで、後から払い戻しの手続きに関する手間と時間を省略することができます事後申請の場合事後申請の場合は、いったん医療機関で医療費(10割)の支払いを行い、その後、高額療養費支給申請書と必要な書類(実際に支払った金額が証明できるものなど)を保険者に提出することで、払いすぎた部分の金額の償還払い(払い戻し)を行う手続きを行う方法です。つまり、事後申請の場合は先に医療費の支払いを行った後で、払いすぎた部分の金額については、事後精算という形で払い戻しが行われる方法で高額療養費の支払いが行われます。また、事後申請の場合、医療機関のレセプトの審査等を経て、通常であれば約3ヶ月後に払い戻しが行われるため、事前申請に比べると高額療養費が支払われるまでに時間がかかります。高額療養費制度まとめ高額療養費制度は、入院などをしたことにより高額な医療費の支払いにおいて、自己負担額を抑えることができる制度です。申請の方法については、現在加入している健康保険の保険者によって異なるため確認をしたうえで申請を行うようにしてください。高額療養費は事前申請をする場合と事後申請をする場合とでは、申請の流れが異なるだけでなく、実際に医療機関の窓口で支払う金額にも大きな差が出ます。そのため、医療費が高額になることが事前に予測できるようであれば、事前申請をすることで、自己負担限度額までの負担で済むため、経済的負担を軽減することも可能です。なお、高額療養費の対象になる医療費の支払いと対象にならない医療費の支払いがあり、年齢や所得状況によって、自己負担額の上限額が異なります。高額療養費は仕組みが複雑な部分が多いため、基本的な部分については上記に記載した内容を確認していただければ充分対応できるようになっていますので、しっかりと確認の上、制度を有効に活用することが重要になってきます。
2019年01月21日児童福祉制度とは、児童福祉法を基本として、様々な行政機関や施設、専門職の働きや実践によって推進される制度で、具体的には「保育子育て支援」「健全育成」「母子保健対策」などの施策があり、妊娠・出産に関する福祉だけでなく、育児を行っている世帯まで、幅広い世帯においてかかわりが深い制度といえます。今回は児童福祉制度の一つであり、もっとも身近に感じることが出来る給付の「児童手当」の制度の仕組みについて説明します。子どものいる世帯の経済的支援を行う「児童手当」の仕組み児童手当は、児童がいる世帯に対して、子の年齢、子の人数に応じて支給される金額が変わります。この児童手当は、過去には「こども手当」という名称で支給されていたこともありますが、現在では、児童手当として支給されています。対象者児童手当は、15歳に達した日後最初の3月31日までにある子(つまり、「中学卒業するまでの子」のことで、「支給要件児童」といいます。以下同じ)がいる世帯に対して、その子の年齢、人数に応じて市町村から支給される給付で、毎年2月・6月・10月にその前月までの4か月分をまとめて支給されます。児童手当の支給要件次の①~⑤のいずれかに該当する者に支給されます。①父母等中学卒業前の児童である子を監護(児童の面倒を見ており、通常必要な監督保護を行っていること)する必要があり、かつ、その子と生計を同じくする父また母、もしくは、未成年後見人であり、日本に住所がある人のこと②父母指定者日本に住所がない父母等が指定する人のうち、その父母等が仕送り等で生計を維持している子と同居している人で、日本国内に住所がある人(例えば、祖父母や叔父、叔母など)のこと③父母等又は父母指定者のいずれにも監護されず、または、これらと生計を同じくしない支給要件児童を監護し、かつ、その生計を維持する者であって、日本国内に住所を有するもの簡単に言うと、「両親が離婚等をして別居しており、生計を同じくしていない場合」に児童と同居している人のこと④施設等受給資格者何らかの理由によって里子として出された子を監護している里親等、または、障害児入所施設に入所している支給要件児童がいる施設の管理責任者のこと⑤所得制限(2019年度)世帯の所得の合計金額が以下の金額未満であることが必要です。なお、所得制限の判断基準は所得(給与所得控除語の金額)がいくらになるかで判断されます。なお、今までは所得制限を超えた世帯であっても児童1人当たり5,000円の特別支給が行われていましたが、2019年度は廃止されます。扶養親族がいないとき年収:833.3万円(所得:630万円)扶養親族が1人年収:875.6万円(所得:668万円)扶養親族が2人年収:917.8万円(所得:706万円)扶養親族が3人年収:960.0万円(所得:744万円)扶養親族が4人年収:1002.1万円(所得:782万円)ひとり親+扶養親族が0人(子供1人)年収:833.3万円(年収:622万円)児童手当の額児童手当の額は子どもの人数や年齢によって異なり、1月当たりの金額で規定されており、4か月分を2月・6月・10月の年3回にその前月分(2月:10~1月、6月:2~5月、10月:6~9月)を支給されます。ただし、15歳に達した日後最初の3月31日以降になる子がいる場合は、その子については支給の対象とはなりません。①3歳未満の子15,000円×該当する支給要件児童の数②3歳以上小学校卒業までの子2人目まで10,000円×該当する支給要件児童の数3人目以降15,000円×該当する支給要件児童の数③小学校卒業後中学校卒業までにある子10,000円×該当する支給要件児童の数児童手当の額の具体例①14歳・10歳・6歳の場合10,000円+10,000円+15,000円=35,000円/月②17歳・14歳・10歳の場合10,000円+10,000円=20,000円/月※第1子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第2子と第3子が児童手当の支給額の計算の対象となります。③17歳・16歳・14歳の場合10,000円/月※第1子と第2子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第3子の10,000円/月が児童手当の金額となります。児童手当を支給するために必要な手続き児童手当は、支給手続きを忘れてしまうと遡及(過去にさかのぼること)して支給を受けることが出来ないため、必ず手続きができるようになった時に行うことが必要です。支給手続きで必要なもの児童手当の支給手続きをするときに必要になるものは以下に挙げるものが必要です。児童手当認定請求書申請者の健康保険証の写し申請者名義の振込先口座のわかるもの申請者の印鑑支給手続きの注意点具体的に支給手続きを行う際の注意点は、以下のようになります初めて子が生まれた場合子が生まれて、児童手当の支給対象児童となった日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。2人目以降が生まれた場合その子を出産した日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。引越しをして住所が変わったとき転入日(転出予定日)の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。公務員になった場合基本的に勤務先である市町村に対して申請手続きを行いますが、新たに公務員になった場合、または、公務員を辞めた場合は、その事実があった日の翌日から15日以内に住所地の市町村に対して申請手続きを行う必要があります。まとめ児童福祉制度の一つである、子供・子育てに関する支援制度の一つとして児童手当があります。児童手当は、子が生まれた世帯に対する経済的支援を行うことで「生活の安定を図ると共に、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする(児童手当法1条)」とされている制度です。児童手当は、子供の年齢や人数によって支給される金額が異なり、また、世帯合算の所得によって制限がかかることがあります。さらに、自治体によっては児童手当以外にも、児童福祉に関する給付が行われているところがありますので、今、お住いの自治体が子供の育成に関する給付として、どのような支援を行っているのかを改めて確認することは重要なことといえます。児童手当の制度などを理解したうえで、妊娠・出産・育児を包括的に考えたうえで、今後のライフイベントをどのように計画していくべきかを、改めて考えてみるといいでしょう。
2018年12月29日働く女性にとって、妊娠・出産・育児は人生における大きなライフイベントとなります。そのため、妊娠・出産・育児における、法制度がどのようなものがあるのかを把握したうえで、今後のライフイベントにおける影響に対する備えをすることが重要になってきます。近年の法制度は、働く女性を意識した内容へと改正が進んでおり、これからのライフイベントを考えていくうえでも、押さえておいてほしい内容が増えてきました。今回は、妊娠・出産・育児について、具体的な法制度を説明したうえで、今後のライフイベントに向けてどのように備えるべきかについて解説します。妊娠・出産・育児にまつわる法制度を理解することが大切労働環境から見た「妊娠・出産・育児」にまつわる法制度は、労働環境の変化などにより進化しています。そのため、常に新しい情報を確認したうえで、今後のライフプランを計画していくことが必要となります。妊娠・出産・育児を理由として会社を休む場合は、会社の規定にもよりますが、無給(つまり、「休んでいる間は給料は出ない」ということ)のところが多く、有給休暇として扱われるところもあったりしますが、これらについては、会社の「就業規則」等の規定を確認してください。妊娠・出産にまつわる法制度妊娠・出産に関する規定は、主に「休業に関する規定」「各種保険料の取り扱いについての規定」「給付に関する規定」などが規定されています。具体的な規定の内容については以下の通りになります。労働環境に関する法制度労働環境に関する法的な制度としては、労働基準法があります。労働基準法は労働に関する基本的な原則部分について規定されているもので産前産後休業についても規定があります。労働基準法では、基本的に「産前6週間から産後8週間の期間については働かせてはならない」(労働基準法65条)と規定されており、産前産後期間においては労働をさせることはできないとされています。しかし、産前産後休業期間中の賃金等に関する規定は労働基準法には明確な規定がありません。そのため、会社の就業規則などに準拠した形で取り扱われることになります。保険料免除等で経済的負担の軽減などを図る規定産前産後休業期間中の社会保険の保険料負担は、非常に大きな負担といえます。そこで、この期間における経済的負担を軽減するために、出産に関する給付や保険料の免除といった制度が規定されています。健康保険法については、給付に関する規定として「出産手当金」「(家族)出産育児一時金」があります。また、保険料に関する規定では、「産前産後休業期間中の保険料は免除される」という規定(厚生年金保険法での同様の規定があります。)があり、妊娠・出産に関する経済的な負担を軽減する規定が設けられています。育児にまつわる法制度育児に関する規定は、育児休業の制度に関する規定や保険料の免除など、育児休業をしている期間に受けることが出来るメリットの規定も多く、また、労働に関する規定などもあります。育児休業の制度育児休業の基本的な考え方については、労働基準法では明確な規定はされていませんが、別で法的に明確にしたものが「育児介護休業法」です。育児介護休業法は、育児休業・介護休業に関する規定が定められています。育児休業に関しては、この育児介護休業法の内容をベースに制度が定められているため、この制度をしっかりと理解することが、育児休業を有効に取得し、活用することにもつながります。また、育児介護休業法では、育児を行っている人に対する労働環境の改善を図るために、労働時間の短縮措置を行うことについても規定されています。この規定は、3歳に満たない子を養育する労働者に対して、会社が一定の要件に該当する者を除き、対応しなければならない規定となっています。育児休業に係る給付制度育児休業に係る給付制度としては、雇用保険や児童手当法などで規定されています。雇用保険法では、育児休業中の被保険者について、「育児休業給付金」という給付を行う制度があります。これは、育児休業中の所得補償を行うことで、育児休業後の社会復帰を容易にすることを趣旨とした制度とも言えます。児童手当法では、15歳に達した日後最初の3月31日までにある子(つまり、中学卒業までの子のこと)がいる場合に、その子の人数に応じて児童手当を支給することで、家計の経済的負担の軽減を図るようにしています。保険料免除等による経済的負担の軽減を図るための規定産前産後休業の場合と同様に育児休業期間中においても、健康保険・厚生年金保険の保険料を免除する規定があります。育児休業期間中については、一定の要件を満たした場合であれば、最長で子が3歳になるまでの期間の保険料について免除されます。産前産後休業・育児休業を取得するうえでの注意点産前産後休業・育児休業は、法律上規定された公的な制度ですが、これらを取得する際に注意しなければならない点があります。例えば、「休業している期間中の収入をどうするのか?」「いつまでに会社に申告をしなければならないのか?」といったことがあります。産前産後休業を取得する上での注意点産前産後休業については、産前休業と産後休業では、法的な規定に若干違いがあるため、取得するうえで注意が必要な部分があります。産前休業の場合産前休業は出産予定日から6週間前の期間から取得することが出来ますが、会社は必ず休業を取得させる必要がない(休業を義務付ける規定ではないということ)ため、自身の申出をしなければ産前休業が出来ません。(実際のところ、申し出がなくても産前休業を予定日の6週間よりも前から取得させる会社もあります)産後休業の場合産後休業については、出産の日から6週間の期間については必ず休業させなければならないとされている点で、産前休業とは大きく違います。また、産後休業について、産後6週間を経過した日後については、医師の診察等を受けたうえで、労働をしても支障をきたさないという意見がもらえた場合には、職場復帰をすることも可能です。(原則としては、産後8週間は労働させてはなりません。)育児休業を取得するうえでの注意点育児休業についても、産前産後休業の場合と同様に、取得をするうえで注意しなければならない点があります。母親が育児休業を取得する場合育児休業は原則として「最長1年間まで」とされていますが、これは「産後休業期間」と「育児休業期間」の合計が1年まで育児休業を取得することが可能とされていますので、育児休業のみで1年間取得することが出来るわけではない点に注意が必要です。父親が育児休業を取得する場合父親が育児休業を取得した場合についても、原則として、育児休業期間は「最長で1年」となります。ただし、父親の育児休業の取得時期が「(母親の)産後休業期間」が終わった後に、母親が先に育児休業を取得している場合は、例外的に「子が1年2か月になるまでの期間内」であれば、育児休業の取得可能となります。(育児休業の取得可能期間は最長で1年です)まとめ妊娠・出産・育児に関する制度は、労働環境自体を改善するために規定や、保険料免除や給付の支給などによる経済的負担の軽減を図る規定など、様々な規定があります。しかし、実際に育児休業を取得している人の割合は「女性が約90%、男性が約1%」と圧倒的な差が出ています。しかし、近年では男女共働き世帯が増えてきていることもあり、育児休業自体を取得する人が減少しているようにも感じます。これらの制度を理解することで、一人でも多くの人が快適なワークライフバランスを実現できるようになることが大切だと考えます。
2018年12月23日「財形制度」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「勤労者財産形成促進制度」を略したもので、勤労者財産形成促進法に基づき、会社が雇用する社員の財産づくりを国とともに支援する制度です。「財形制度」を導入している企業の社員は、結婚やマイホーム購入など、あらゆるライフイベントに備えて給与天引きで確実に貯蓄できる「財形貯蓄制度」や財形貯蓄残高に応じて長期・低利・公的な住宅ローンが組める「財形持家転貸融資制度」などを利用することができます。今回はこの「財形制度」にまつわるお話です。■ 不動産会社に聞かれて存在を知った「財形制度」昨年、会社員の夫名義での戸建て購入の際に初めて財形制度の存在を知った筆者。欲しい家が決まり、さあ次は住宅ローンをどの銀行から借りようかと考えていた際、不動産会社から言われた「ご主人の会社は財形制度を導入されていますか?」の一言。財形制度を導入している会社で1年以上財形貯蓄をしているなど特定の条件を満たしていれば、年利率がなんと0.7%前後で住宅ローンが組めると聞きました。さらに中小企業勤労者や18歳以下の子どもを育てている勤労者であれば、金利引き下げ特例措置があるとのこと。なんと、はじめの5年間はここからさらに0.2%も低い固定金利で融資が受けられるんです。これはすごく安い!さらに、ほかの公的融資や「フラット35」との併用も可。結局、筆者夫の会社は財形制度に加入していなかったため、財形制度は諦め、中央労働金庫(ろうきん)で借りることになりました。ろうきんでも他銀行と比べたら金利は安かったのですが、それでも財形制度で借りた方が遥かに安い金利だったことは事実。「なんで夫の会社は財形制度を導入していなかったんだ~!」と思ってしまいました。■ 財形制度で借りた資金は新築購入、中古購入、リフォームに使える財形制度で住宅ローンを借りる時には、このように低金利という最大のメリットがありますが、実は注意したい点もあります。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)それは、借入可能額に制限があること。具体的には、申込日における一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の残高(合計)の10倍の額(最高4,000万円)、もしくは担保等の状況に応じて、住宅の建設・購入に必要な額および土地の取得(整備を含む)に必要な額(所要額)の90%以内の額、またはリフォームに必要な額(所要額)の90%以内の額の、いずれか低い金額が融資限度額になります。筆者宅は4,000万円を超える住宅ローンを借りたので、この限度額をオーバーしていましたが、もし財形制度を利用できていたら予算を少し下げて家探しをリスタートしたかもしれません。ローン返済に追われる今となると、それくらいこの低金利は羨ましいポイント。makaron* / PIXTA(ピクスタ)また、財形制度で融資を受けた資金は、新築住宅の購入だけではなく、中古住宅の購入、さらにリフォーム資金までもが対象です。家が欲しい、かつ低金利で融資を受けたいといった場合には、まず家を見つけてから住宅ローンを借りる銀行を探すのではなく、財形制度の条件内で欲しい家を探すという選択も決して悪くはないでしょう。新築購入、中古購入、中古住宅購入からのリフォームと、予算内ながらも選択肢を大きく広げることができるのは、非常に大きなお金が動くマイホーム購入においては非常に魅力的です。■ 澤穂希さん出演のウェブCMもスタート!単なる積立預金にとどまらず、国と会社がともに社員の人生設計を支援するしくみとなっている財形制度。社員が利用するには、勤めている企業が財形制度を導入している必要があります。12月3日からは財形制度の認知度アップのため、2017年1月に長女を出産し、今まさに子育て真っ只中である澤穂希さんが出演するWEBのCMがスタート。「財形貯蓄制度」「財形持家転貸融資制度」についてさらに詳しく、楽しく学べます。自分の会社が財形制度を導入していると、自分自身の住宅購入のあれこれがいろいろと変わってきます。もし低金利で住宅ローンを借りたいけれども、財形制度を導入していない中小企業にお勤めの方は、上層部に掛け合ってみるもの一つの手かもしれません。【参考】※澤穂希さんが“財産づくり”を学ぶ!? 初登場の「財形」広報キャラクター・財形姉妹と見事な掛け合いを披露 「財形制度」の新WEB CM 2018年12月3日(月)より公開
2018年12月18日シングルマザーを悩ませる原因のひとつである金銭的な問題。家庭の負担を少しでもやわらげるために、さまざまな制度が設けられているのをご存じでしょうか。児童手当金や失業手当金などのほかにも、いろいろな手当金があります。生活保護を検討する前に一度、しっかり調べてみてはいかがでしょうか。母子家庭を支える手当や制度は実は沢山あります母子(父子)家庭を支えるシングルマザーのための手当は沢山あります。上手に活用することで精神的・物理的な負担を軽減することが可能です。国あるいは自治体が定めている公の制度ですから、利用するのに後ろめたい気持ちになる必要はまったくありません。積極的に利用しましょう。次項ではシングルマザーに役立つ手当をピックアップして解説します。 シングルマザーがもらえる手当の種類シングルマザーが受給対象となっている手当をピックアップしました。さらに詳しい情報が欲しい場合は、参考URLにアクセスしたり、国や自治体など当該機関に連絡したりしてみるとよいでしょう。児童扶養手当概要児童扶養手当は、母子・父子家庭を対象に地方自治体が支給する手当。理由を問わずすべての母子・父子家庭に支給されます。扶養人数や所得額によって支給される金額が異なります。対象者国内に住所がある母子・父子家庭の0歳から18歳まで(18歳になって最初の3月31日を迎えるまで)の児童が対象です。金額全額支給子供が1人の場合は月額4万2,500円。2人の場合は月額1万40円、3人目以降は月額6,020円が加算されます。一部支給扶養者の所得によっては一部支給となり、次のような計算式が用いられます(10円未満は四捨五入)。4万2,990円-(所得額-57万円)×0.0187630<第2子の場合の加算額>1万30円-(所得額-57万円)×0.0028960<第3子の場合の加算額>6,010円-(所得額-57万円)×0.0017341生活保護概要生活保護とは、生活に困窮している人を対象に国が必要な保護をする制度のこと。最低限度の生活を保障し、自立を助けることを目的とします。対象者預金や不動産などの資産を持っていないこと、働くことができないこと、年金など他の制度による給付を受けることができない、あるいはできたとしても厚生労働省が定める最低生活費を満たさないこと、親族等から援助を受けられないことが条件となります。金額次の計算式が用いられます。最低生活費-収入=保護費児童手当概要家族などの生活を安定させ、次代の社会を担う子供の健康に資することを目的として、国が全ての世帯を対象に実施する支援策です。対象者国内に住所がある0歳から15歳までの子供。なお、15歳とは中学校卒業の年度末のことを指します。金額0歳から3歳未満は一律1万5,000円。3歳から12歳(小学校卒業まで)は、第一子および二子が1万円。第三子以降は1万5,000円。中学生は一律1万円です。なお、児童手当には所得制限世帯があります。例えば夫婦と児童2人の世帯の場合、年間所得がおよそ960万円を越えると、支給金額は5,000円となります。住宅手当概要住宅手当とは、自治体が実施しているもの。対象世帯や資格要件などは自治体によって異なります。実施していない自治体もあります。目黒区を例にご紹介します。対象者ひとり親世帯を含む、18歳未満の子を扶養し同居する世帯。区内に1年以上居住し、賃料が5万円以上16万円以下の民間賃貸住宅に居住していること。世帯の年間所得が世帯人数によって定められた「年間総所得金額」に満たないこと。金額月額2万円医療費助成概要母子(父子)家庭を対象に、自治体が健康保険の自己負担分を助成する制度です。内容は自治体によって異なります。目黒区を例にご紹介します。対象者以下の児童を養育する者。離婚、死別などによって母子(父子)家庭となった児童、父もしくは母が重度の障害をもつもしくは生死不明である児童、父もしくは母によって1年以上遺棄されている児童、裁判所から父もしくは母がDV保護命令を受けている児童、父もしくは母が法の裁きにより1年以上拘禁されている児童、非嫡出子でない児童で、父もしくは母から扶養されていない児童。ただし所得制限があります。金額「ひとり親家庭等医療証」が交付され、健康保険の自己負担分の一部もしくは全額が助成されます。子ども医療費助成概要子ども医療費助成は、義務教育を終えるまでの児童が、保険診療にかかった医療費の自己負担額を自治体が助成するものです。親は医療費助成の対象とはなりません。自治体によって内容が異なります。目黒区を例にご紹介します。対象者健康保険に加入している目黒区内在住の0歳から義務教育修了までの児童。生活保護の受給者、児童福祉施設などに入所している場合、里親などに委託されている場合を除きます。金額保険診療にかかった医療費の自己負担額および入院時食事療養標準負担額特別児童扶養手当概要特別児童扶養手当とは、精神もしくは身体に障害を有する20歳未満の子供がいるすべての家庭に国が支給を行う制度。所得制限があります。対象者精神もしくは身体に障害を有する20歳未満の子供を家庭で監護、養育している父母など金額支給金額は障害の度合いによって異なります。1級5万1,700円2級3万4,430円障害児福祉手当概要重度の障害をもつ子供に対して、精神的・物質的な負担を軽減するのを助ける目的で支給される手当のこと。対象者精神もしくは身体に重度の障害を有する在宅者で、日常生活で常に介護を必要とする20歳未満の者。金額1万4,650円(月額)遺族年金概要遺族年金とは、夫ないしは妻を亡くした場合に受け取ることができる年金のこと。種類ごとに金額が異なります。対象者遺族基礎年金の場合配偶者が死亡し、18歳に到達する年度の末日(3月31日)を経過していない子供、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子、および当該の子がいる配偶者。遺族厚生年金の場合死亡した者によって生計を維持されていた妻や子など金額遺族基礎年金の場合77万9,300円に、第1子・第2子にはそれぞれ22万4,300円が、第3子以降には各7万4,800円が加算されます。遺族厚生年金の場合複雑な計算式が用いられますので詳しくは割愛しますが、なくなった本人が受け取る予定だった厚生年金のうちのおよそ4分の3の金額を受け取ることができます。児童育成手当概要児童育成手当とは、18歳までの子供を育てる母子(父子)家庭を対象に、生活の安定と児童福祉の充実を目的として支給される手当のこと。内容は自治体によって異なります。対象者離婚、死別などによって母子(父子)家庭となった児童、父もしくは母が重度の障害をもつもしくは生死不明である児童、父もしくは母によって1年以上遺棄されている児童、裁判所から父もしくは母がDV保護命令を受けている児童、父もしくは母が法の裁きにより1年以上拘禁されている児童、非嫡出子でない児童で、父もしくは母から扶養されていない児童を養育する者。ただし所得制限があります。金額1万3,500円(1人につき) 利用できる制度は賢く活用しよう手当以外にシングルマザーが利用できるさまざまな制度やサービスがあります。積極的に活用してください。自立支援訓練給付金概要自立支援訓練給付金とは、正式名称を「自立支援教育訓練給付金」といい、能力開発の取組みを支援する仕組みです。対象となる教育訓練を受講し、修了すると給付金が支給されます。対象者母子(父子)家庭の母もしくは父で、20歳に満たない子供を扶養し、次の要件を満たす人。児童扶養手当を受給している、もしくは同等の所得水準にある就業経験や技能、取得資格などから判断して、適職に就くには教育訓練が必要と認められる金額受講経費の60%(1万2,001円以上で20万円が上限)交通機関の割引制度概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、JRの通勤定期乗車券を割引で購入できる制度のことです。自治体が実施しており、自治体によって内容は異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額JR通勤定期を3割引きで購入できる。粗大ゴミの手数料割引概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、自治体が実施している粗大ごみの手数料免除制度です。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額手数料を全額免除公共料金の割引概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、上・下水道料金の基本料金を減免する制度です。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額水道料金は基本料金、下水道料金は1ヶ月あたり8立方メートル以下の料金が免除されます。保育料の免除など概要税額が一定の額に満たない母子(父子)家庭に対して、保育料の負担軽減を実施している自治体もあります。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者区市町村民税額のうち所得割額が4万8,600円未満の世帯および4万8,600円以上7万7,101円未満の世帯。金額所得割額が4万8,600円未満の世帯第1子の保育料が1,000円減額後に半額、第2子が無料所得割額が4万8,600円以上7万7,101円未満の世帯第1子の保育料が半額、第2子が無料 まとめシングルマザーが受け取ることができる手当金の種類はさまざま。それぞれに条件があって、重複してもらえる手当金もあれば減額されたり全額なしにされるものもありますので、自分のケースに当てはめてしっかりと検討しましょう。 参考:児童扶養手当:新宿区生活保護制度 |厚生労働省児童手当制度の概要 – 内閣府ファミリー世帯家賃助成目黒区ひとり親家庭等医療費助成制度目黒区子ども医療費助成制度とは目黒区特別児童扶養手当について|厚生労働省障害児福祉手当について|厚生労働省遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構児童育成手当目黒区母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について |厚生労働省都営交通無料乗車券・JR定期乗車券割引証明書の発行江戸川区公式ホームページ利用者負担額(保育料)について江戸川区ホームページ粗大ごみ等処理手数料の免除江戸川区公式ホームページ都営水道料金の免除江戸川区公式ホームページ
2018年10月10日いま、教育資金は「情報戦」です。たとえば、教育関係の公的な助成・補助金は、申請するからこそ、もらえるお金。申請しなければ、もらえません。また、いまや大学は、返さなくていい給付型の奨学金をこぞって増やしている時代です。これらを「知っている」のと「知らない」のでは、大違い! 充実してきた教育支援制度の情報を、教育資金に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにピックアップしてもらいました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ ■低所得のひとり親家庭に給付するお金児童扶養手当死別や離婚などで母親または父親、父母がいない場合は祖父母などひとり親家庭で18歳未満の子どもを養育している人が、低所得の場合にもらうことのできる手当です。受け取れる額は、「養育している子どもの人数」と「親の収入(所得)」によって違い、とても複雑なので、詳細はお住まいの市区町村窓口に問い合わせをすることが大切です。申請をした後、1~3ヶ月程度の認定審査があり、認定日の月の翌月分から支給が開始されます。■幼稚園の月謝、入園費の補助私立幼稚園就園奨励費補助金私立幼稚園に通う場合は、ぜひ「私立幼稚園就園奨励費補助金」の活用を!国が自治体に依頼している補助金制度で、満3歳児から5歳児(年長)までの月謝と入園費を対象に受けることができます。きょうだいの人数、年齢、親の収入(住民税の額)、そして住んでいる自治体などで補助金の額は異なります。なお、千葉県野田市のように公立幼稚園に通う世帯にも助成しているところもあります。一方で市区町村によっては制度がない場合や国の基準よりも厳しく設定しているところなど助成額も異なるため、まずは自治体に問い合わせをしましょう。■高校の授業料の無償化高等学校等就学支援金(国の制度)家庭の所得に応じて、高等学校の授業料が支給されるシステムです。現金で直接、生徒や保護者が受け取れるというものではなく、学校設置者(学校法人など)が生徒本人に代わって受け取り、授業料と相殺されます。申請書類は、入学時は4月に、継続して支給を受ける届け出手続き関係は6月~7月頃に高校から配布されます。ただし、モデル世帯(給与所得のみの夫婦・16歳以上の高校生一人・中学生一人の4人世帯の例)で言えば、年収約910万円以上になると就学支援金は受けられません。■返さなくていい奨学金!?今回の取材で、筆者が一番驚いたのは、「返さなくていい奨学金」が増えていること。そのなかでも、最近の一大トレンドとなっているのは、「予約型」の奨学金です。これはおもに地方からの受験生が対象で、受験前に申し込み、合格したら支給をされる奨学金のことです。申し込みは、前年度の秋のことが多く、それゆえ「予約型」。つまり、現役生の場合は、この情報を「知っていて」、高校3年生のときに応募しておかなければなりません。現在、多くの大学は、予約型の奨学金を設けています。●早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金(予約型)」半期(春学期)の授業料が免除。●慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金(予約型)」地方の新入生500人に年額60万円~90万円を卒業まで支給します。国立大学でも、たくさんの奨学金給付があります。たとえば、一橋大学の「一橋大学学業優秀学生奨学金制度」では、前年度にとくに優秀な成績を収めた学部生12名以上に月8万円(年96万円)を毎月送金します。支給は1年間限定ですが、親の年収制限を設けるなど家計の経済状況は加味されません。奨学金といえども、返済義務があるものは、大学を卒業した途端、数百万円もの借金を背負うもの。返さなくていい奨学金を上手に活用することで、親の家計への負担を減らし、子どもの進学に役立てることができます。そんな時代がやってきたのは、喜ばしいこと。みなさんに制度を知ってもらい、活用して欲しいです。いかがでしたか? いつの時代も、「わが子にできるだけのことをしてあげたい」というのは、当然の親心。けれども、先行き不透明ないま、教育資金作りに不安を感じる人も多いことでしょう。この連載が、教育資金の「情報格差」を解消し、前向きな教育資金作りの第1歩を踏み出すキッカケになるとうれしいです。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月29日出産費用の負担を軽減させるための制度、出産育児一時金の直接支払制度というものを利用すると、まとまった出産費用を用意しなくて済むようになります。こちらでは、これから出産をするみなさんが安心をして、出産育児一時金直接支払制度を利用することができるように、手続きの方法や差額分について、利用するメリットなど様々なギモンについて詳しくご説明していきます。出産育児一時金の直接支払制度とは出産育児一時金とは国が定めている制度で、女性が子供を出産する際に、勤め先や夫の健康保険に入っていればその健保から、国民健康保険に加入していれば自治体から出産費用の補助として給付金が支給される制度ものです。出産する子供ひとりにつき一律42万円、加入する健保によってはさらに付加給付金が上乗せされて支給されます。ただし産科医療制度に加入していない病院の場合は減額され、40万4000円の支給となります。そして出産育児一時金の直接支払制度とは、出産時の窓口実費負担を軽減させる制度です。直接支払制度を利用すると窓口での支払いは、出産費用から出産育児一時金の42万円を差し引いた金額が請求されます。 出産育児一時金直接支払制度のメリット出産をする際に出産育児一時金直接支払制度を利用することで得られるメリットには、次のようなことが上げられます。まとまったお金を用意しなくて済む金銭的にも余裕が出て心にもゆとりができる高額になりがちな出産費用ですが、出産育児一時金直接支払制度を利用することで医療機関の窓口で支払う額が軽減されます。まとまった大きな金額を支払わずに済むので、金銭的に余裕ができ、ゆとりのある心で子育てに入ることができます。 支払い額と支給金額に差額が発生したらどうする?出産育児一時金は42万円と定められていますが、実際に掛かる出産費用は出産する病院や検査内容によって大きく変わります。出産育児一時金の42万円を超える方もいれば下回る方もおり、金額の差は医療機関や入院する部屋などにもよりますが、大きな違いは出産する地域の差になります。都道府県別の平均的な出産費用北海道427,536円石川県456,037円岡山県479,016円青森県424,054円福井県453,697円広島県475,611円岩手県450,152円山梨県477,026円山口県426,973円宮城県513,764円長野県492,076円徳島県457,491円秋田県439,574円岐阜県474,691円香川県434,345円山形県486,012円静岡県481,314円愛媛県441,567円福島県461,714円愛知県497,657円福岡県459,253円茨城県496,897円三重県489,252円佐賀県430,352円栃木県525,763円滋賀県471,587円長崎県446,221円群馬県492,802円京都府472,706円熊本県441,449円埼玉県511,750円大阪府492,944円大分県422,215円千葉県492,400円兵庫県492,866円宮崎県420,879円東京都586,146円奈良県479,864円鹿児島県426,711円神奈川県534,153円和歌山県443,955円沖縄県414,548円新潟県486,386円鳥取県399,501円富山県457,650円島根県453,170円全国平均486,376円厚生労働省保健局/出産育児一時金の見直しについて:都道府県別の平均的な出産費用について(平成24年度)pdf上記の表図をみて分かる通り出産費用はの地域差がは大きいものになりますです。出産費用出産費が全国で一番安い鳥取県の出産費平均額は399,501円に対し、出産費が全国で一番高い東京都の出産費平均額は586,146円で約19万円もの差がついています。更に鳥取県と東京都で出産育児一時金を利用した場合を比較すると、鳥取県は約2万円下回り東京都は約17万円上回ります。地域によってこんなにも差があるのです。超えた分は医療機関の窓口で出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を超えた場合は、超えた分の金額を医療機関の窓口で支払います。下回った分は後日振込出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を下回った場合は、差額が銀行口座へ振り込まれます。加入しているされている健保の制度保健で付加給付金がある場合のほとんどは、差額が振り込まれるタイミングで付加給付金もが上乗せされて振り込まれます。 出産育児一時金直接支払制度の申請方法42万円もの補助金が出ることや窓口で支払わなくて済む制度を利用すると考えると、出産育児一時金直接支払制度の申請は面倒な書類が必要なのではないか……と心配になるかもしれませんが、出産育児一時金の申請や手続きは原則、必要ありません。しかし、被保険者と医療機関の間で直接支払制度利用の契約を結ぶ必要がありますので、医療機関で契約に必要な書類を手渡されます。書類の内容は医療機関によって異なりますが、大きな病院などでは被保険者証(保険証)の提出と書類にサインする程度の簡単な手続きで直接支払制度の契約が完了しますので、ほとんどの医療機関では直接支払制度を利用する為の特別な準備は必要ありませんないでしょう。出産育児一時金直接支払制度を利用しない場合出産育児一時金の直接支払制度を利用しない場合は、出産費用出産費の全額を窓口で支払った後日に出産育児一時金の42万円を受け取る流れになり、ご自分が加入している健康保険保険が定めている書類を提出し手続きを行う必要があります。また、海外で出産をした方も同様の手続きが必要です。直接支払制度の利用出産費用支払い受取利用する42万円以下窓口の支払いなし42万円の差額と付加給付金(制度がある場合)を受け取り42万円以上出産費用から42万円を差し引いた額を窓口で支払い付加給付金(制度がある場合)を受け取り利用しない–出産費用の全額を窓口で支払い42万円に付加給付金(制度がある場合)を上乗せで受け取り 予め確認が必要!負担が大きくなるケース出産育児一時金は日本に住む日本人であれば全員が利用できる制度ですが、一部の医療機関では出産する方の負担が大きくなる場合があります。小さな医療機関などでは直接支払制度を導入していないところがある他、産科医療保障制度というものに加入していない医療機関で出産場合した場合は出産育児一時金が減額になりますので、予め医療機関に確認しておくことが必要です。直接支払制度を導入していない医療機関もし、自分が出産する医療機関が直接支払制度を導入していない場合は受取代理制度という制度を利用する方法もあります。受取代理制度は直接支払制度と類似の制度で、出産育児一時金の受け取りを医療機関に委任する制度です。受取代理制度は直接支払制度に比べ面倒な手続きが必要になりますが、直接支払制度を導入していない医療機関でも出産育児一時金の42万円を差し引いた金額を窓口で支払うことになりますので、まとまった大きな金額を用意せずに済みます。受取代理制度の申請は事前手続きとなります。産科医療補償制度に加入していない医療機関出産育児一時金は42万円と説明しましたが、実は詳しい内訳をみると出産育児一時金は40万4千円と定められています。差額の1万6千円はというと産科医療補償制度の掛金分とされ、合わせた金額が42万円とされています。産科医療補償制度とは出産後に子どもが脳性まひなどの重度の障害を負った際に、家族へ保証金を支払う事を目的とした制度です。補償金の掛け金は出産する方が支払うことと定められていますが、出産育児一時金に産科医療補償制度の掛け金分として1万6千円が含まれています。一部の産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産をした場合は、産科医療補償制度の掛金も必要なくなるので出産育児一時金は掛金、1万6千円を差し引いた40万4千円となります。 まとめ出産には高額な費用が掛かるものです。出産育児一時金直接支払制度は面倒な手続きなく利用している方がほとんどですので、予め医療施設に確認をしゆとりのある出産をしましょう。また、出産前にある程度、自分のかかっている医療機関で必要となる出産費用を計算し、出産育児一時金を差し引いた差額を把握しておくと、より気持ちにゆとりが出るでしょう。
2018年09月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年09月04日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態――この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。しかし、40代、50代の人でも未納の年金を後納できる制度がある。加谷さんがこう説明する。「通常、納め忘れた場合は2年までさかのぼることができます。さらに、後納制度というものを使えば、申請することで5年まで遡って納付できますが、この制度は今年の9月末で打ち切りとなるんです。未納がある人は急いで後納を検討した方がよいでしょう。具体的には9月28日が期限となります」自分の未納期間などは、年1回、誕生月に郵送されるはがき「ねんきん定期便」、パソコンやスマホで見られる「ねんきんネット」で把握できるようになっている。
2018年08月22日企業従事者は出産時に「育児休業制度」を取得することができます。ある程度の期間を休むことができるということはご存知だと思いますが、どういった内容かはご存知ですか?この記事では育児休業の内容や平成29年に改正された点や、意外と知らない企業側が講じなければいけない細かな点をご紹介します。 育児休業制度とは?企業従事者が出産時に取得することのできる育児休暇制度。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言います。略称は「育児・介護休業法」、「育児・介護休業法のあらまし」です。制度が生まれた背景この制度が生まれた背景には日本の少子化、労働者の減少、地域差焼きの活力の減少があります。就労か結婚・出産・育児のどちらかを選ばなけれならないという状況を改善し、仕事と生活の調和を実現するために作られました。 平成29年の改正育児・介護休業法の概要平成29年10月に育児・介護休業法が一部改定されました。内容は以下のとおりです。育児休業期間の延長以前は1歳6ヶ月までとされていた育児休暇の取得期間が、子どもが受け入れ先保育園が決まらないなどの理由によっては、最長2歳になるまで取得可能になりました。合わせて育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。育児休業等の制度周知社員、従事者またはその配偶者が妊娠、出産を事業主が知った際、育児休業等に関する制度を周知する努力義務が創設されました。育児休暇の導入を促進事業主に対して、当該者の子どもが小学校入学までの間、育児に関する目的に対しての休暇制度を設ける努力義務が創設されました。 育児休業制度対象者この制度の対象は以下になります。・原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者・常勤の従事者であること(日々雇い入れられる人は対象外)期間採用の場合は以下に該当すれば育児休業の該当者とみなされます。・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること・子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと育児休暇に関する労使協定を結んだ場合は協定が優先されます。子の看護休暇子どもが看護が必要な場合も休暇を取ることができます。内容は以下のとおりです。子どもが小学校に入学するまでの間は1年の間に5日(子どもが2人以上の場合は10日)まで看病が必要な場合、予防接種や健康診断を受ける場合には休暇を取得することができます。所定外労働の制限3歳以下の子どもを持つ親に対して所定外労働についても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを養育する労働者が所定以上の労働を請求したとしても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。時間外労働の制限時間外労働・残業についても以下のように定められています。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者に対しが1ヶ月に24時間、1年で150時間を超える時間外労働を従事者が希望しても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。深夜業の制限深夜の労働に対しても制限があります。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者を、午後10時から午前5時までの間、事業が正常に運営できないなどの理由がない限り働かせてはいけません。短時間勤務制度労働時間の短縮に関しても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを持つ従事者が希望した場合は仕事と育児の両立が可能になる措置(就業時間の短縮)を取らなければなりません。育児休業等に関するハラスメントの防止措置育児休業が取りやすくなる環境整備について以下のように定められています。事業主は従事者が育児休業を取得しようと意思を表明した際に嫌がらせをされたり、職業環境が害されないように、相談しやすい環境、体制を講じなければなりません。
2018年07月22日