子どもたち、つまり、かつての私たちが主人公の小説をたくさん書いてきた辻村深月さん。最新エッセイ集『あなたの言葉を』は、そういった物語を読んだ子どもからたびたび寄せられる「大人なのにどうして子どもの気持ちがわかるんですか?」という問いがきっかけになっている。「自分の言葉」ってそもそも何?子どもと本音で向き合うエッセイ。「言われるたびに嬉しい半面、『仲間だよ!』と寂しい気持ちにもなりました。その質問が出てくるには、『大人は自分たちの気持ちがわからなくて当然』という思いがあるはずなので。だとしたら、子どもの頃の悔しかったこと、もやもやしたことなどを覚えているのが私の強みなので、大人の中の子どものスパイとして頑張ってみようと思ったのです」毎日小学生新聞に連載されたこのエッセイ。言語化や自身の言葉で話すことが尊ばれる昨今、「自分の言葉がある」とはどういうことなのか、辻村さんの子どもの頃の経験や時事問題、読者からの投稿を交えながら深めていく試みでもある。「大人が思う子どもらしい言葉ではなく、自分の感情や本音の部分を言語化すること。それを表に発さないとしても、心に保つことの大切さについて書きたいと思い、このタイトルにしました。そしてある程度記事が溜まってきて、これは同調圧力に屈しないことについての連載だったのだと、しみじみ思いました」たとえば、遠足のお弁当の時間、よく知らない子の陰口が始まって、「そうなんだ」と相づちを打ったエピソード。大人の世界でもよくあるシチュエーションといえるが、一緒にいた女の子のとった行動に小学生の辻村さんはハッとさせられる。「周りに流されず、思ったことはどんどん出したほうがいいとか、大人の思う正しさで語られることが多いけれど、表明することだけが向き合い方ではないと思うんです。子どもに伝えようと思うと表現はよりストレートになるのですが、だからこそ言葉の選び方は大人向けのエッセイ以上に時間をかけました」迷いが生じたときに本を開きたくなるような、辻村さんが子どもというひとりの人間と真摯に向き合った優しい言葉がちりばめられている。「作家としていろんな方の言葉や文章に触れる機会が増えてくると、本音で書いてあるものに勝る強さはないと感じます。そのことが、全体を通して伝わったら嬉しいですね」『あなたの言葉を』学校生活、出会いと別れ、読むこと、書くこと。かつての子どもたちにも響くエッセイ集。朝倉世界一さんの挿絵が文章に寄り添う。毎日新聞出版1540円つじむら・みづき作家。2004年デビュー。本誌で連載された『ハケンアニメ!』は、舞台・映画・ウェブトゥーン化された。近著『この夏の星を見る』はコロナ禍でつながる中高生の青春物語。※『anan』2024年4月24日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)中島慶子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2024年04月24日女性たちの本音を代弁、考察し、鼓舞する小説を書き続ける柚木麻子さん。『きょうの料理ビギナーズ』などでの連載をまとめた、単著での初エッセイ集『とりあえずお湯わかせ』も、必ずや共感を呼ぶだろう一冊だ。タイトルの由来は、お母さまの口癖。重い腰を上げるとっかかりとして、家訓のように柚木さんにも引き継がれているという。人気作家の初めてのエッセイ集は、元気を取り戻すためのカンフル剤。「連載の最初にそう書いたのですが、すぐに、実は母が桐島洋子さんのベストセラー『聡明な女は料理がうまい』から、ある部分のエッセンスをとったものだとわかって。小耳に挟んだところでは、料理家の故・小林カツ代さんも『お湯わかせ』と言っていたらしいです。’80年代から女性たちをエンパワーメントしてきた彼女たちの核にもなった名言であり、コンビニもSNSも時短アイデアも便利家電もいまほどないとき、まずはお湯というのは、家事を担っていた人にとってのライフハックでもあったのだなと。それを聞いて読んで育った私も、見習っています」エッセイのテーマは広く、料理やワンオペ育児のこと、小さなイベント、コロナ禍、思い出、フェミニズム…。どれも、むちうちが心配になるほど首肯してしまう。「私の理想のエッセイとは何かと考えてみたら、妄想が暴走するものなんです。私自身が、うっかり『良さそうなこと』に飛びついて、実行してしまうタイプですし」連載中に、女子教育に貢献した河井道の半生を軸にした長編小説『らんたん』を執筆。資料として、戦時中の婦人雑誌などを読み込んだ。「戦争の苦しい状況を楽しくする工夫とかが面白くて。それによかれと飛びついて、後悔することになってもいい。大切なのは声を上げること、連帯することだと言いたいですね」読むと、この4年ほどに日本で何が起きたかが、ありありとわかる。「子どもに野菜を食べさせなきゃとか、ものすごい工夫していましたね、私。子どもは『野菜は大人になったら食べる。いまはまだそのときじゃない』と理屈で抵抗できるくらいに成長していますが(笑)。ただ、私だけでなく社会もメディアも変わった。私への仕事のオーダーも、ジェンダーに関するものが増えました」現在もエッセイは連載中。柚木さんの書く“いま”には、読者の“いま”を見つめるヒントもてんこ盛り。『とりあえずお湯わかせ』連載エッセイ(2018年~’22年3月)、他誌に書いたもの、書き下ろし(章ごとに「後日談」、各編にセルフコメント)を合わせた59編。NHK出版1650円ゆずき・あさこ1981年、東京都生まれ。2010年にデビュー短編集『終点のあの子』を刊行。’15年、『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。『BUTTER』など著書多数。※『anan』2022年11月16日号より。写真・土佐麻理子(柚木さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年11月14日【2分で読める子育てエッセイ】我が家が静まりかえる必殺技〇〇我が子から学ぶ、言葉と行動の奥深さ。日常生活の「あるある」から子どもの成長まで、思わずクスッと笑えて共感できる、まいまいまま(mymymama)さんのエッセイをお届けします。題名の通り、2分でサクッと読めるので日々の家事の合間やお仕事の休憩時間にぜひご覧ください。リビングでの独り言うちのだんなはテレビを観ながら独り言がやたらと多い。リビングに家族がいるのにも関わらずマイペースで、映画やドラマの主人公の行動やセリフにいちいちツッコミを入れる。「そんなバカな!あんな怖そうな人が来たら、アワアワ言わずに逃げるよ?普通」さらに、アナウンサーの発音や言い間違いに訂正と解説を入れるので、我が家のテレビは知らず知らずのうちに二重音声。挙句の果てにはCMの背景にまで、イチャモンを入れるという念の入れよう。テレビを観ているより、だんなを眺めている方が断然面白い。※※※ある日、小1の息子と小4の娘が学校に行っている間、ワタクシ、大好きなドラマを観ていたら、在宅勤務のだんながお茶を取りにリビングにやってきた。すると、反射的にポツリポツリといつものが始まった。おかげで泣ける場面も、イケメンの甘~いシーンも台無し。「ちょっと~!早く仕事に戻りなさいよ~!」こうして静けさを求めて、夜中にこっそりドラマを見るという悪習慣が出来上がる。※※※なかなか静かにならないリビングだんなは一人暮らしが長かったので、独り言が多くなったのかな。でも、結婚してもう10年以上経つよ?そのテレビへの独り言、いる?必需品なの?大人げなく小4の娘に愚痴ったら、娘が大きくうなずきながら同意してくれた。「私も思ってた~。お父さんのツッコミがうるさくて、ゆっくり観られないのよね~。」ところが、気が付くと今では娘もだんなと同様、テレビに向かってこんな事を言い始めた。「え~。現実ではそんな訳ないよね~。」え!?今言ったのお姉ちゃん?それってだんなのいつものセリフじゃーん。テレビにツッコミを入れる家族が、また一人増えた。だんなによる、英才教育。お見事。「ちょっと!お姉ちゃん。お父さんみたいにテレビに向かってツッコミ入れてるよ!」と注意したら、驚いたのは娘でなく、だんなの方だった。「え、俺?何か言ってる?」ー賑やかにテレビにツッコミ入れてる「うそ。俺、いつも?いつも言ってるの?」今度はこっちが驚いた。うそ~ん。今?今気が付いたの?もっと早く言っておけばよかった!この後、ワタクシ10年分後悔した。※※※別の日の夕食後。さらに、騒音が増え、我が家のリビングはますます賑やかに。だんながニュースを見始めると、1ミリも興味がなく退屈になった息子が、暇つぶしを始めた。今お気に入りのキャスター付きの椅子に乗って、リビングのわずかなスペースを行ったり来たり、それはそれは楽しそうにシャーシャーしている。ところがそのスペースはよりによってテレビの画面の前。画面に映るキレ~イな風景が、息子のシャーシャーとマルかぶり。「テレビが観えなーい!」何度も何度も息子を注意するだんなの声と相まって、テレビどころではなくなる。※※※我が家が静まりかえる必殺技!『家族が揃っている状態で、リビングでくつろぐことは無理なのかな?』と諦めかけたワタクシ。そのタイミングで、しゃべり疲れた娘のリクエストで甘~いあれを作る事になった。●あれの準備物●☆スライスしたリンゴ+ザラメ(砂糖)☆テレビでよく見るあれ、焼き目をつける道具ガスバーナーザラメをガスバーナーで炙ると、あっという間に即席の「りんご飴」の出来上がり!作った直後は熱いので要注意!「わ!これ、パリパリするよ!音、聞いて!聞いて」娘が食べる、その音を聞こうとする他の3人。「・・・。」なんと!奇跡的に静まりかえる我が家のリビング!直後に聞こえてくるおいしそうな音。「わ!本当だ!パリパリ言ってる」みんな思い思いに食感を確かめる。※※※「おおっ!めっちゃ静か!」ワタクシ、美味しいより、その静けさに驚いた。結局、おいしい物を食べている時が手っ取り早く静かになるのではないかと思った。ほんのひと時の静かな時間の作り方。ほんのひと時だけね。ちなみに、バナナバージョンのバナナ飴もイケます。ー完ー
2022年03月28日2021年のウーマンエキサイトの「コミックエッセイ」記事を閲覧数別TOP10にして発表! 現役ママたちに支持されたコミックエッセイを一挙に紹介します!■【第1位】 小学生のお友達トラブル/じゃがいもころりんさん子どもにはお友達とのトラブルがつきもの。しかし、もし大切なわが子が怪我をして帰ってきたら…。実体験を元にしたじゃがいもころりんさんのエッセイが、2021年もっとも読まれたコミックエッセイ第1位に輝きました! 【じゃがいもころりんさんの受賞コメント】このたび、コミック大賞を受賞する事ができ心より嬉しく思います! 第一子の時のエピソードなので、私自身どうしたら良いのやら迷い悩みつつではありましたが、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉を忘れないように心がけた記憶があります(笑)。今となっては、(重大な取り返しつかないことでなければですが)子どもに起きたトラブルは親子で経験値を積むチャンスだと思っています。読んでくださった皆様本当にありがとうございました! >>この作品を見る ■【第2位】 親に整形させられた私が、母になる/グラハム子さん中学を卒業した春、「あなたのためになんでもしてあげる」と実の母親から言われ、整形させられてしまう主人公。それから20年、主人公が結婚して母になるまでのストーリーが描かれます。母になった自分自身と、そして実母とどう向き合っていくのか…。最終回を迎えたばかりの本作は一気読み必須です!【グラハム子さんの受賞コメント】こんなにたくさんの方に読んでいただけたなんて嬉しいです。この作品は、虐待まではいかないけれど、親の過干渉により心が少しずつ歪んでいってしまう女の子の話です。フィクションは混ぜていますが、私の体験談でもあります。どこまでが親の愛や教育で、どこからが虐待という明確な基準がないからこそ、親子関係は難しいんですよね。読者の皆様からいただいた感想もとても嬉しかったし、励みになりました。どうもありがとうございました! >>この作品を見る ■【第3位】 サヨナラ、心がくじけたパパ/もりりんパパさん家では育児、会社では新しい仕事…。あらゆるプレッシャーを抱える中、自分の病気が見つかり…。心がくじけてしまったパパの目線で描かれるリアルストーリー。今回のTOP10内で唯一パパ目線で描かれた作品です!【もりりんパパさんの受賞コメント】ま…まさか僕の記事がランクインしてしまうとは。編集部の方からご連絡を受けた際に、驚きすぎて時間がとまってしまいました。これも読者の皆様や編集部の方々のおかげです。本当にありがとうございます。当時はとにかく大変な時期でしたが、子ども達も含めて家族が一丸となることでどうにか乗り越えることが出来ました。今も似たような状況でまた大変なのですが、また乗り越えてみせます!これからもどうぞ宜しくお願い致します! >>この作品を見る ■【第4位】 娘が夜驚症になった話/ケイコモエナさん夜中突然スイッチが入ったように泣き出してしまう「夜驚症」。医師に原因はないと言われるものの、お友達のマリーが関係しているような気がして…。原因がはっきりしないがゆえに悩んでしまう母の葛藤が描かれています。【ケイコモエナさんの受賞コメント】とてもとても嬉しです! ありがとうございますー!人間関係って自分のことならどうにかなるものですが、我が子のこととなると、そんなわけにも到底行かず…。あーだ、こーだ悩みまくって、一母のリアルな心の葛藤をそのまま描いてみました。今では問題になったマリーとは大大大親友で、この時のお話が嘘のようです。 >>この作品を見る ■【第5位】 産後バセドウ病になった話/まつざきしおりさん「いいお母さんになるんだ」と張り切っていた産前。しかし、実際に育児が始まると現実は理想通りにはいかず…。ある日体が悲鳴を上げしまい、バセドウ病であることが分かり…。【まつざきしおりさんの受賞コメント】この度は、このような素敵な賞をありがとうございます! 病気について書くのは今回が初めてで、デリケートな題材でもあるので、筆を執るのもとても悩み、試行錯誤しつつドキドキしながら描きました。私自身、当時病気の原因がわかるまで本当に怖くて不安だったので、私の体験が少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。本当にありがとうございました!! >>この作品を見る ■【第6位】授乳が気持ち悪い…「私は母性がないの?」と苦しんだあの感覚の正体がわかった/オギャ子さん授乳している時間が尊い、わが子がおっぱいを飲む姿が愛おしい…。そんな感情は母親なら感じて当たり前? 授乳が苦痛で仕方がなかったオギャ子さんは、その不快な感覚に名前があることを知り…。同じような悩みを持つママたちから多くの共感を呼んだコミックエッセイがラインクイン!【オギャ子さんの受賞コメント】この度は6位に入賞をさせて頂きまして大変光栄です。言葉にできなかった授乳時の不快感に名前があることがわかり、大変多くの反響があったように感じています。同じような経験をしてきたお母さん同士が共感しあえる場所を作る事ができ、まるで当時の私の気持ちも浮かばれたような気がしています。そして何より私の「授乳が辛かった」というつぶやきに対して「それってD-MERじゃない?」と教えてくれた読者さんに何より感謝しています。 >>この作品を見る ■【第7位】4年間の不妊治療の記録〜私の願いと夫の気持ち〜/にわゆりさん当たり前のように子どもができると思っていた夫婦が、4年近くかけて不妊治療に挑んだリアルストーリー。治療をステップアップしていくたびに、夫婦が感じるプレッシャーやゴールの見えない辛さ…。そして最後に迎えた結末とは…!【にわゆりさんの受賞コメント】この度は7位に選んでいただきありがとうございます! 不妊治療というデリケートなテーマ。全体を通して治療過程での苦労や感情の流れを丁寧に、時には涙ぐみながら描きました。とても思い入れが強い作品なので、たくさんの方に読んでいただけてとても嬉しく思います。そしてこのお話の主人公となった本人も、大変喜んでいます!本当に、読んでいただいてありがとうございました! >>この作品を見る ■【第8位】お風呂を促すのやめてみたら…子どもたちはいつ動き出すのかを実験してみた!/ホリカンさん5人の子どもを育てるホリカンさんの課題は、子どもたちがすんなりお風呂に入ってくれないこと。そこでお風呂に入ることを促すのをやめてみたところ、子ども達はある理由で自主的にお風呂に入ることが分かり…。【ホリカンさんの受賞コメント】この度は誠にありがとうございます!わが家のお風呂事情を(笑)沢山の方に読んでいただけて嬉しいです!全員が幼かった頃はいっぺんにまとめて入れていましたが、大きくなってくるとそういうわけにもいかず。人数が多い分、一人一人がいかに素早く入るかが毎日の課題なんですが…なかなかすんなりいきません(笑)子どもたちの【なんでやねん(怒)!】ということほど観察すると面白い発見があったりするので日々学びだな~と思う今日この頃です! >>この作品を見る ■【第9位】それは違う…親の職業について問われた息子がまさかの回答を!/ちょっ子さんデザインの仕事をしているちょっ子さんご夫婦は、日ごろから公表できない制作物を手掛けているケースもあるため、息子のきゃん太くんを仕事部屋には入れないようにしていたとか。そしてある日、友達に両親の職業を聞かれるとまさかの回答が…!【ちょっ子さんの受賞コメント】この度のランクイン、大変うれしいです。いつも読んでくださる読者さまと、編集部の皆さまに感謝です!両親に言われたことを守らなければと、おそらく息子なりに一生懸命考えて出したこの返答…。息子に必要以上に気をつかわせてしまっていたのかな、と少し申し訳ない気持ちにもなった出来事でした。ちなみに今も我が家は息子のお友達から「怪しい家庭」と思われたままだと思います。 >>この作品を見る ■【第10位】やって良かった習い事は…? 何度も間違ってようやく本質に気がついた!/tomekkoさん同じマンションのお友達に誘われて入ったサッカーチーム、体力づくりのためにもと始めたスイミングスクール…。しかし、どちらも長男くんは辞めたいと言い…。初めての習い事、親がわが子に身につけさせてあげたいことや、苦手そうなことの克服のために習い事を勝手に選んでしまった後悔の後、行き着いた着地点とは…!【tomekkoさんの受賞コメント】習い事って子どものためのはずなのに、ついつい親のコンプレックスやエゴを押し付けてしまったり、子ども自身のモチベーション低下にイライラしてしまったり…そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。今回は毒親道まっしぐらだった長男幼児期からの大反省会のようになってしまいましたが、習い事で得られる本当のメリットって、身につける内容とはまたちがうところにあるのかも…と描きながらつくづく実感しました。私の失敗談が読んでくださった方の参考になれば幸いです。ありがとうございました。 >>この作品を見る 以上、2021年に読者の皆さんに読んでいただいたコミックエッセイランキングTOP10でした! コミックライターのみなさんが綴るエッセイは、現役ママたちが抱える悩みや葛藤から笑いや感動まで、さまざまな感情が動かされるテーマばかりです。2022年も引き続きウーマンエキサイトのコミックエッセイをお楽しみに!
2021年12月25日おばさんという言葉が背負う悪印象を、解体し、再構築するカルチャーエッセイ。岡田育さんによる『我は、おばさん』をご紹介します。「おばさん」は女性にとって悩ましい呼称だ。ニュートラルには、中年女性を意味する言葉でしかないはずなのに、そう呼びかけられるといい気持ちはしない。女性にとって、なることに怯える「おばさん」とは何なのか。おばさんを侮蔑語のままにしておいてよいのか。シスターフッドのために、どうしたらよりよきおばさんになれるのだろう。そんな難題を噛み砕いて考察してくれたのが、岡田育さんの『我は、おばさん』である。岡田さんがその単語を意識したのは29~30歳頃だそう。「ちょうど“オトナ女子”という表現が出てきた2000年代の終わり頃で、『私たちはもしや、このままずっと女子でいられるんじゃないの』という錯覚も抱いたのですが、個人的には妹に子どもが生まれたタイミングでもありました、私は自動的に、アラサーで、伯母さん(笑)。いったいどっちなの、という気持ちに決着がつかないまま40、50に突入するのかとモヤモヤしました」おばさんという言葉の印象を女性自身がどこか内在化していることも問題ではないかと思った岡田さん。「ならば、マイナスからプラスへ視座を変えられないかなと思って。私自身、10代のときから母親とは異なる価値観を見せてくれる大人の女性に憧れていましたし、すでに多くの小説や映画などには、見習いたい魅力的なおばさんがいたんです」『若草物語』のマーチ伯母、『更級日記』の菅原孝標女、ヤマシタトモコ著『違国日記』の高代槙生、黒柳徹子や後藤久美子など。輝いているおばさんや、ときに反面教師にしたいおばさんも拾い上げながら、古典やエンタメをひもとく。「これからの女性たちは、自分の母や祖母とも違う生き方をするのだと思います。職場や周囲に真似したいような人がいない、あるいは生き方がすごすぎてお手本にならない、と思わないでください。ファッションを真似するのと同じ感覚で、なんとなくステキだなと思った人を参考に、少しずつ自分の独自性を見つけていけばいいのではないかなと」岡田さんは語る。女性たち自身が選び取れば〈あなたが待ち望んだ、私がなりたかった、「おばさん」になることができる〉のだと。本書には、そのヒントが詰まっている。岡田 育『我は、おばさん』引用した多数の作品は巻末にリスト化。著者と同世代なら懐かしさに胸躍るはず。妹世代にとっては新しいカルチャーとの出合いになるかも。集英社1760円おかだ・いく1980年生まれ、東京都出身。編集者を経て、2012年より本格的にエッセイの執筆を始める。著書に『ハジの多い人生』(文春文庫)ほか。‘15年よりニューヨーク在住。©Omi Tanaka※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年08月03日モデルでタレントの井手上漠が21日、東京・護国寺の講談社でフォトエッセイ『井手上漠フォトエッセイ normal?』(発売中 1,430円税込 講談社刊)の刊行記者会見を行った。"可愛すぎるジュノンボーイ"として話題沸騰中の井手上漠が、初めてのフォトエッセイを発売。彼のルーツでもある島根県隠岐諸島にある海士町での撮り下ろし写真はもちろん、エッセイパートでは生い立ちから家族、SNSや性など多岐にわたり自身の言葉で綴っている。初めてのフォトエッセイについて井手上は「オファーを受けた時はうれしかったです。作っている時は不安が大きかったんですが、自分の思っていることや生い立ちを本という形で誰かに伝えることができるというのは楽しみでした。最後の1カ月は中々納得が行かず間に合うのか心配でしたが、皆さんに読んでいただくには完璧に完成したものを読んでいただきたかったので、何度も書き直しました」と4カ月掛けて作り上げたエッセイパートは苦労した様子。続けて、「ジェンターを救える本になって欲しいという思いもありますし、当事者ではない人にも届くエッセイになっています。メディアで喋ったことがないことや深いことまで語っています」と紹介。3割を占める写真のパートは「隠岐の島で撮ったので普段の表情やラフな感じが伝われば。中々出せない表情が奇跡的に撮れたと思います」とアピールし、「(自己採点は)120点です。自分でも何でこんなに素晴らしい物ができたんだろうと思いますし、そのぐらい私の思いが詰まった作品になっています」と自信を見せた。この春から故郷の隠岐諸島を離れ、東京で一人暮らしを始めたという井手上。「楽しいですね。何でも自分でやるというのは楽しいですよ。お洗濯や家事全般も面倒とは思ってないですし、何でも自分でできるのがすごく楽しいです」と笑顔を見せ、「最近は帰ったらソファーでくつろぐのが一番幸せだと思っています。一人になれる時間が家しかないので、ソファーで落ち着くと抜けていく感じがするし、毎日家に帰ったらソファーでくつろぐのがルーティンになっています」と東京生活を楽しんでいるという。また、今後の芸能活動については「これからはお芝居にも挑戦していきたいですね。役は与えられてやるモノだと思っているので、やってみたい役はあまりないですが、自分と真逆の役を演じられたらすごいと思います。与えられた役を精一杯やりたいです」と目を輝かせていた。
2021年04月22日ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。今回のコンテストには、888本もの応募作品が寄せられました。その中から、最優秀賞が1作品、タカラレーベン賞が1作品、優秀賞が2作品、佳作が3作品選ばれています。grape Award 2020 入選作品一覧最優秀賞『リンツァートルテの想い出』/作者:一期一会ツアーコンダクターとして働いている女性。海外で出会った旅行客から、あることを頼まれて…。旅先のホテルで、固い表情のままたたずむ高齢女性添乗員が声をかけると?タカラレーベン賞『心を拾ってくれたタクシー』/作者:飯沼 綾激務に疲れて、泣きながら都会の街を歩いていた若い女性。そこへ、1台のタクシーがやってきます。泣いている女性の前に停まった、タクシー運転手の行動に心打たれる優秀賞『子育て応援バス』/作者:鵠 更紗慣れない育児に不安でいっぱいだった母親。2歳の息子を連れて、バスに乗った際のエピソードです。2歳息子とバスに乗ったら…運転手の『行動』に、母親が涙こらえた理由優秀賞『優しき山バア』/作者:安部 飯駄友達と駄菓子店を訪れた女の子。お金が足りなくて、友達とおそろいのお菓子を買えずに困っていたら…。駄菓子店でお菓子を買えず、落ち込む子供店主の『行動』に、目頭が熱くなる佳作『母ちゃんと作業着』/作者:よもぎ焼き鳥の店を営む母親。常連客との触れ合いに、じんわりと胸が熱くなります。作業服の男性客が「こんな格好でごめん」というと…店員の『返答』に、胸が熱くなる佳作『『生まれてはじめて』』/作者:村上 敬亮小学生の頃に、初めて猫を飼った男性。一緒に過ごした10年間を振り返って感じたことは…。愛猫が旅立って飼い主が『知ったこと』に涙10年間を振り返ると…佳作『特別授業』/作者:奥村 敏生東日本大震災の影響で、避難していた時に出会った、見知らぬ女の子。意外なお願いをされた男性の行動に、グッときます。3.11の日、恐怖で固まっていた少女男性に告げた『まさかのお願い』は…『grape Award』に関する詳細はこちらからご確認ください。『grape Award 2020』詳細はこちら[文・構成/grape編集部]
2020年12月18日美味しそうな料理の描写が食欲を刺激するコミックエッセイ『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』について、作者のスケラッコさんに話を聞きました。作る、食べる!食の喜び満載のお腹がすく一冊。自粛期間中の楽しかったことといえば、やっぱり“食”!そんな時期に発売されたこちらの本。ツイッターの食べ物&料理好きの間で、美味しそうな料理の描写、そして作ること、食べることの喜びが伝わる本として、とても話題になりました。「単行本の発売がコロナと重なったのはもちろん偶然で、書店が休業する中、私としては正直複雑な思いでした。でも、個人経営の書店の通販などを利用して読んでくださる方がいたのは、本当に嬉しかったです」と語るのは、作者のスケラッコさん。京都在住のマンガ家さんです。「子供のときから食べることが大好きで、高校生の頃、それを絵に描くようになりました。見た目と、美味しさと、ちょっとめずらしい食べ物に出合ったときに、“マンガにしたい!”と思うことが多いです」前半は好きな料理をレシピ込みで描いた作品が、後半は旅で訪れた広島や、地元・京都の食とお店を紹介する作品が収録されています。「今回は連載をまとめる形ではなく、自主的な執筆と描き下ろしを収録した本なので、構成なども自分で考えました。結果、思い入れのある一冊になったと思います。読んだ方が実際に作ってくださるのはとても嬉しいです。ただ、漫画にも描きましたが、私の料理は“なんとなく”なので、ご自分でレシピをアレンジしてくださったほうが、美味しいものができると思います。また、落ち着いたらぜひ、掲載されているお店にも行ってみてほしいです」豚肉のピカタをパスタにのせた料理のページ。調理中の興奮と勢いが溢れる描写に、思わずゴクリ…!!ライターKが実際に作り、心の底から感動したのがこの“チートー”。チーズはケチるな、を学びました。スケラッコ『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』京都在住のマンガ家“しょうゆさし”と、同居人の“ビッグフットくん”が、作って食べて、飲んで旅をするコミックエッセイ。とにかくすべてが美味しそう!リイド社1500円スケラッコマンガ家、イラストレーター。餃子、シュウマイ、ピザ、春巻き、中華まんなど、“皮と具”が組み合わさった食べ物が好き。※『anan』2020年7月1日号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2020年06月26日大容量オールカラーのセルフプロデュース本モデルやタレントなどとして活躍している益若つばささんのセルフプロデュースフォトエッセイ『TSUBASA REAL』が発売された。同書では「つばさファッション」を大公開しているほか、メイクのプロセスからヘアアレンジまでを詳細に紹介。鈴木奈々さんや、佐藤ノアさんなどとの対談も収録されている。オールカラー208ページでA5判。2,145円(税込)の価格にて、KADOKAWAより発売中である。SNSの自撮り 写真を撮るポイントも細かく解説益若つばささんは、「セルフプロデュースの天才」とされ、カリスマ読者モデルとして人気を博していた当時は使用や着用のものがヒット商品になるなど「経済効果100億円」などと言われていた。1児の母である現在も大人気であり、SNSで約180万人のフォロワーを持つインフルエンサーである。新刊では、ピンク&ミルクティーヘアのヘアメイク、全私服のファッションページ、「私流NGコーデ」を紹介。メイクのプロセスまでもが掲載されている。そのほか、基礎化粧品、料理、ネイル、生き方、仕事、恋愛などについても語られており、インタビューには6時間を要している。また、SNSでの自撮りの方法や写真を撮るポイントまで細かく解説されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※TSUBASA REAL 益若 つばさ:コミック - KADOKAWA
2020年03月28日この春、コミックエッセイ『母ハハハ!』を出版したお笑い芸人で夫婦コンビ「夫婦のじかん」(相方は元・トンファー 山西章博)兼イラストレーターとして活動している大貫さん。相方であり夫でもある山西さんと付き合って10年で結婚、偶然が重なり夫婦でお笑いコンビを組むことになり、妊娠、出産、ドタバタの育児……。『母ハハハ!』に掲載されているエピソードはすべて、大貫さんのインスタグラムにアップされていた漫画がベース。現在、1歳の男の子のママである大貫さんに、子どもができて夫婦関係の変化と、“妻が稼いで夫は主夫” という夫婦の形についてお話を伺ってきました。PROFILE夫婦のじかん 大貫さん1981年栃木県生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。夫婦コンビ「夫婦のじかん」として活動中。大貫ミキエ名義でイラストレーター、漫画家としても活動中。Instagram:@ohnuki_fufutimeTwitter:@takada_ohnuki貧乏2人暮らし、リアル夫婦コンビを組んだ矢先に妊娠、出産…編集部:『母ハハハ!』の出版おめでとうございます。つわりで絶不調だった妊娠中から出産、産後……と、タスクが山積みになる怒涛の生活の中で、毎日漫画を更新されていたことに驚きました。大貫さん/以下、大:ありがとうございます。漫画は、元々、お笑いコンビを夫婦でやることになったときに、一人でも多くの人に知ってもらえるきっかけになれば!と、コンビ結成の日から更新を始めて、わたしたち夫婦の日常についてアップしていたんです。その時は書籍化は全く考えていなくて、純粋に宣伝のためにやっていただけなんです。それまでは私と旦那が結婚したことを知らない吉本の先輩も多く、SNSをきっかけに「え、おまえら結婚したの!おめでとう」と声をかけられることもあったので、よかったですけど。毎日漫画を描いてアップするのは正直大変ですが、コンビ結成から1年後に妊娠するまで毎日更新していたので、ここで流れを止めない方がいいなって。育児は未知のできごとだし、大変だと耳にしていたので漫画を描くのはしんどいかな?と少し不安だったんですけど……結果的に出産数ヵ月で書籍化の話がいただけたのはラッキーでした。編集部:それでも毎日更新するのは大変だと思います。「夫婦のじかん」を組む前、インスタグラムはされていなかったんですか?山西/以下、山:はい、僕はSNS自体やっていませんでした。大:私は……実は、アカウントを持ってました(笑)。ただ大好きなBIGBANG関連の投稿に「いいね!」をするためだけに、仕事は無関係のアカウントを(笑)。山:そうだったの?今知りました(笑)。大:でも、芸人として公に始めたのは旦那とコンビを組んでからです。漫画で日常を描くのはしんどそうだなと思ったんですけど、モノマネでブレイクしたガリットチュウの福島さんを始め、周りの芸人が褒めてくれたことが大きかったですね。福島さんはアカウントを開設した当初からフォローしてくれていて。「毎日描くのは大変だけど絶対にやった方がいいぞ。フォロワーが全然いなくても、意外とテレビ業界の人は見ていたりするから仕事に繋がるかもしれないし、とりあえず続けろ」とアドバイスしてくれて。最初はフォロワー数もなかなか増えなくて、大変な思いをしてまでなんのためにやっているんだろうと思うこともあったんですが、いいタイミングで、ムーディ勝山さんやハリセンボンの(近藤)春菜さんが「漫画めっちゃ面白かったよ!」と褒めてくれて。自分が面白いと思っている人が面白かったよ、と言ってくれたことが、励みになりました。編集部:大貫さんが漫画を描いている間、山西さんはどのようにサポートされていたんですか?山:コーヒーをいれたり肩をもんだり。彼女が仕事に集中できる環境を整えていました。編集部:漫画について独学で学んだと聞いて驚きました。大:漫画を描くのは大好きで、昔は芸人になるか漫画家になるか本気で悩んだこともあったんです。漫画は自己流なんです。プロの漫画家の元でアシスタント経験があるわけではないので必死に勉強して。美大で学ぶようなパースをとったり構図を考えるのは独学で、イラストは描くことによって上達するのでとにかく経験を積むようにしました。ハリセンボンの単独ライブ用に、春菜さんを『NANA』(矢沢あい作)風に描いたりと、吉本はイラストを描く仕事も沢山あったんです。気がつくとほぼほぼ吉本専属イラストレーターみたいになってました(笑)。編集部:その後、プロになろう!と奮起して「ちびまる子ちゃんファンコミック大賞」や「小学館漫画賞」を始めとする各漫画賞にも入選され、CMの絵コンテやゲームアプリなどのイラストも手がけられたんですよね。大:イラストも描ける芸人のままだと悲しいほどギャラが安いので、受ける仕事の幅を広げるためにもプロになってやろう!と思ったんですよね(笑)。たまに、芸人もイラストもやっているので、「どっちかに絞った方がいい」と言われることもあるけど、自分の中で「息子のことは一番にする!」と決めてさえいれば、あとは楽しんでやればいいなと。流れに身を流せて。楽しんで生きる方がいいやって。編集部:大貫さんがイラストで稼ぎ、山西さんが主夫として家事を担当と、いわゆる一般的とされている男女の役割とは正反対な点も興味深かったです。大:私は家事が苦手で。それよりもイラストを描いたり、何をどう描いてどうPRすれば営業利益が上がるのか、という経営の視点で考えることも含めて、仕事をする方が向いてるし、得意(笑)。といっても、付き合い始めた頃は今のように考えていたわけじゃなくて。自分は料理だってできる方だと思っていたんです。といっても実際は料理を作るといってもインスタントラーメンを作ったり、レトルトカレーを温めることぐらいしかやったことがなくて。ある日、ぶり大根を作ろうとしてボヤ騒ぎを起こしたことをきっかけに、料理から完全に手を引き、家事は旦那に担当してもらうことにしました(笑)。編集部:漫画でも、山西さんが常に携帯で近所のスーパーの安売り情報をチェックしていたり、そんな山西さんのために大貫さんが新しいフライパンを買ってあげたり、といったエピソードがあって微笑ましいです。大:私達、性格が正反対なんです。私は感情的で、なにかあると言わずにいられないタイプ。でも夫は達観しているというか。穏やかなんですよね。つわりで吐いてしまった時も、「吐瀉物を見たらまた気持ち悪くなっちゃうでしょ?俺が片付けておくからゆっくり寝ていて」と言ってくれて。本当に優しいんです。だから、子どもを生むことに関して小さな不安はあったけれど、「旦那がこういう人なので絶対大丈夫!」と確信がしていました。夫には天才って言って!とピンポイントでオーダーしています(笑)編集部:優しいですね。ちなみに、お子さんが生まれて大きく変わったことはありますか?大:私も旦那もあまり変わっていないんですけど、夫が感情を出すようになりましたね!それまではずっとフラットというか起伏がない人だったんですけど、子どもをあやすために歌を歌っていたり。山:音痴ということもあり、それまでは鼻歌すら歌ったことがなかったんですけど、赤ちゃんって歌が大好きじゃないですか?だからあやしたり寝かしつけたり、年がら年中歌っていますね。大:子どものこと好きなんだ!って新しい発見でしたね。山:自分の子どもが生まれて一気に変わりましたね。生まれた瞬間から可愛くて仕方がなくって。他人の子もめちゃくちゃ可愛く感じるし、ホンマ人生観が変わりました。大:旦那が息子をものすごく可愛がるので、つい「私のことも同じぐらい丁重に扱って欲しいんだけど」と言ったことも。普通は奥さんが子ども一直線になるっていうじゃないですか?でもうちは反対で、しかもここまで子ども命!になるとは思わなくて。だから思わず「ちょっとまってよ、産んだのは私なんだから、まず私のことをねぎらってよ」と(笑)。編集部:子どもが生まれると夫婦喧嘩が増えることが多いと言われますが、お二人はどうでしたか?大:一方的に私が怒ることはあるけれど、旦那はそこで反論してこないので大喧嘩には発展しないんです。山:僕は常に奥さんと子どもの機嫌をとっていますから(笑)。というのも、そこさえおさえていたら家庭がまわりますから。夫婦喧嘩って、だいたいがきっかけは些細なことなのに、お互い主張をしているうちにヒートアップするじゃないですか?それってもったいない。「なんでこんなことになってんねん。こんなにもめてるねん!」て思うんですよね。編集部:夫婦でバランスがとれているんですね。大:自覚はあるんですが……私はそれでも言わないと気がすまない(笑)。ある日、いつもは優しく受け止めてくれる夫が、珍しく言い返してきたときに「ちょっと、刃向かわないでよ!」と言ったことがあって(笑)。それは自分でもさすがに横暴だなと思いました(笑)。まぁでも結局、10年付き合ってお互いの性格は理解しあえているので喧嘩の引きどころも心得ているんですよね。そもそもなんで夫婦喧嘩をするかというと、女の人は別に小言を言いたいわけじゃないんです。共感したり話を聞いてほしくて話しているのに、それが伝わらないから口うるさくなっているだけなんですよね。だからとりあえず聞いてもらって。でもリアクションがないのは嫌なので、コメントや謝罪は欲しい。だから男の人が優しければ家庭はまわると思います!編集部:1歳の息子さんを育てる中で大変だったこと、忘れられないことはありますか?山:一番大変だったのは、僕がぎっくり背中になった時。ウチの息子は抱っこでしか寝ない時期があり、基本ぼくが寝かしつけをしていたんですが、物理的にできなくなってしまって。で、奥さんにスイッチしたいと思っても彼女は漫画を描く作業があるし。そのときに「ウチの家は奥さんが動けなくなるよりオレが動けなくなる方がやばいな。家庭が回らなくなるんやな、と思いましたね(笑)」大:そうなんです!旦那が倒れたらご飯作ってくれる人がいないんで困る(笑)。ウーバーイーツを頼むにしても高いし。山:ウチの場合経済を回してるのは妻だけど、家庭を回してるのは夫。夫がダウンしてしまったら息子に専念することになるので、家事も仕事もできなくなるし。山:だから俺が健康に気をつけないとな、と再確認しましたね。編集部:お互い、今後こうしてほしいという希望はありますか?山:『母ハハハ!』の出版をきっかけに大先生になってもらって、お金をじゃんじゃん稼いで潤していただきたいです!大:私は特にこれといって旦那に変わってほしいところはないんですが……。あ、でも、たまに旦那が若手の仲間たちの「バイトは大変だ、辛い」という話を聞いて、アルバイトしようとするのはやめて欲しい。うちはそんなに余裕がない生活はしてないでしょ?苦労はしてないでしょ?って。単刀直入に言っちゃうと、旦那が働きに出るより、その時間私が仕事した方が稼げるからって(笑)。山:若手のみんなが苦労している話を聞くと、おれだけ全然やってないんじゃないかと思っちゃうんですよね。大:いやいや。だってあなたは家事をやってるから。家事と仕事って同じぐらい大変じゃないですか?あなたが家事育児を一生懸命やってくれているから私は漫画に集中できるんだし。だから、仕事をしている方が偉いとかいう世の中の風潮は変わっていくべきだなと思いますね。『母ハハハ!』絶賛発売中!『母ハハハ!』 著/夫婦のじかん 大貫さん税別1200円PARCO出版:Shiho Kodama
2019年04月09日シンガーソングライター、映像作家、コミック作家、エッセイストとして、多才さを発揮するソウル出身のイ・ラン(Lang Lee)が、エッセイ集『悲しくてかっこいい人』を発売した。音楽のみならず、詞やエッセイが人々の心をつかみ、日本のカルチャーシーンからもオファー殺到中のイ・ラン。 2017年には、韓国のグラミーともいわれる、韓国大衆音楽賞最優秀フォーク賞を受賞した。同書は、2016年冬に韓国で発売し、7刷のヒット作となった待望の日本語版となる。ままならない日々の葛藤や疑問。生きることにつきものの、労働、孤独、恋愛、退屈、自意識との戦い…。アーティストとしての創作、社会との接点を通して、「いったい何者なのか? 」と自分をみつめる。日常を悲しみながら、あははと笑い飛ばすイ・ランの洒脱なユーモアあふれるひとりごとエッセイとなっている。撮影:熊谷直子すべてが過ぎ去ったあとに ようやく君は泣くのかい? 境界もピラミッドもない世界を願い、イ・ランが今日もまた問う。 「ほんとうにそうすべき?」「何をしたら面白い?」「わたしは何になれるだろうか?」【プロフィール】イ・ラン(이랑 Lang Lee)1986 年ソウル生まれ。シンガーソングライター、映像作家、コミック作家、エッセイスト。16 歳で高校中退、家出、独立後、イラストレーター、漫画家として仕事を始める。その後、国立の芸術大学に入り、映画の演出を専攻。日記代わりに録りためた自作曲が話題となり、歌手デビュー。短編映画『変わらなくてはいけない』、『ゆとり』、コミック『イ・ラン 4 コマ漫画』、『私が 30 代になった』、アルバム『ヨンヨンスン』、『神様ごっこ』を発表(2016 年、スウィート・ドリームス・プレスより日本盤リリース)。『神様ごっこ』で、2017 年の第 14 回韓国大衆音楽賞最優秀フォーク楽曲賞を受賞。授賞式では、スピーチの最中にトロフィーをオークションにかけ、50 万ウォンで売ったことが話題となった(その顛末を『早稲田文学女性号』に本人が寄稿している)。【書籍情報】『悲しくてかっこいい人』著者:イ・ラン出版社:リトルモアソフトカバー/280ページ/四六判翻訳:呉永雅(オ・ヨンア)装幀:名久井直子価格:1,800円
2019年02月04日作家・柴崎友香さんがチョコレートにまつわるエッセイを書き下ろしました。以下、『チョコレートのある世界』の全文です。なぜ、チョコレートだけが特別なのだろう。甘くておいしいものはたくさんあって、そのたくさんの中で、チョコレートはいつも特別だ。わたしには、チョコレートをとっておく癖がある。箱の中に、一つだけ。最後の一つを、食べてしまうのには、勇気がいる。深みのある褐色の、あの小さな一粒がいつまでもそこにあったらこのしあわせが続くのに、と思ってしまう。ところでわたしは、甘いものはそんなに得意ではない。「そんなに」というところが重要で、きらいではない。「好き」と言ってしまうと、とっても甘いのをたくさん食べられることになるが、そうではなくて、ちょっと甘いくらいのを、少し食べる。それが幸福を感じる時間だ。それもできれば、苦みや渋みのあるものといっしょに。お茶とかお酒とか。チョコレートは、甘いけど、苦い。その甘さと苦さの合わさったところ、同時に味わえるところに、限りない豊かさがある。チョコレートは融けるから、メインの季節は冬だということになっていて、空気がだんだん冷えて夜が長くなってくると、いつもと違うよそゆきのチョコレートにたくさん会える。気取って装飾品みたいに並んでいたり、ちょっとユーモアのある動物や身近なものをかたどっていたり、それが工夫を凝らした夢みたいな箱に入って届けられる。いろんな種類が詰められた箱をいただいたりすると、わたしはまず解説の小さな紙を熟読する。最初はまずシンプルなの、次は少し変わったフレーバーの、それから、と食べる順番に迷いに迷う時間さえ楽しい。好きなお茶を濃いめに淹れて、一粒一粒、それぞれの苦さと甘さに、驚いたりうっとりしたり。自分で辞書を作るなら「贅沢」の項目にこの時間のことを書こう、と思うくらいだ。宝石なみにきらきらしたチョコレートの一方で、毎日の時間に染み込んだ、地元の友だちみたいに気楽に付き合えるのもやっぱりチョコレートだったりする。スーパーやコンビニで売っている、定番の板チョコ、駄菓子的なチョコバー、毎シーズン出現する新商品。銀紙をわざと無造作に剥いて、ぱきっときれいに割れるとうれしい。いちご味にも弱くて、パステルピンクと焦茶色の組み合わせは何回食べても子供のころのもっとも無邪気な楽しい時間をすぐによみがえらせてくれる。パフェやパンケーキにかけるチョコレートソースになると、悪友的な存在感さえある。子供みたいに手や顔をべたべたにして食べたい誘惑にかられたりもする。ずっしり重みがあるチョコレートケーキも忘れてはならない。さんざんおいしいごはんを食べて満腹なのに食後のデザートを選ぶとき、よりによってあのほとんど黒に近い密度の高い一切れを選んでしまうのはなぜなのか。しかし運ばれて来たそれは、選択が正しかったことを毎回必ず実感させてくれるのだ。家にいるときは甘いものはたまにしか食べないのだけど、仕事をしているあいだは違う。特に小説が佳境にさしかかって、ここでがんばろう、というときに、いちばん「効く」のはチョコレートだ。ひとかけら口に入れると、充電という言葉がふさわしいくらい、そのほろ苦い甘い塊が融けて体内に入っていくのが感じられる。普段ならほんの二、三かけでじゅうぶんなのに、仕事をしているときはついつい、食べてしまう。脳がエネルギーを欲してるのだなあ、と思う。その疲労感も、チョコレートのためにある気もする。チョコレートだけが。ゆったりした憧れも、懐かしさも、ちょっとうしろめたい快楽も、繰り返しの毎日の中の小さな楽しみも、みんな味わわせてくれる。チョコレートだけがいつも特別だから、わたしは箱の中に一粒、そのしあわせを取っておきたくなる。しばさき・ともか作家。1973年、大阪府生まれ。2000年『きょうのできごと』でデビュー。近著に『つかのまのこと』(KADOKAWA)、『公園へ行かないか?火曜日に』(新潮社)など。’18年は、著書『寝ても覚めても』の映画化も話題となった。※『anan』2019年1月23日号より。写真・枦木 功(nomadica)スタイリスト・岡尾美代子撮影協力・AWABEES(by anan編集部)
2019年01月16日読むのに真面目な理由も目的も不要。ただただ楽しいエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』について、著者・朝井リョウさんに話をうかがいました。トリュフチョコレートを彷彿させる色合いに金色の飾り文字が並ぶ表紙。どんな重厚な作品かと思ったら、朝井リョウさんのエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』である。「装丁はできるだけ名作っぽくしてください、ってお願いしました」本を開きページをめくってまた驚く。紙がやたらと、妙に、分厚い。「間違えて2枚めくっちゃった、って思いますよねー。名作らしくボリューム感を出したかったんです」小説家の随筆集は、新聞や雑誌に載ったものを収録する場合が多い。だが本作は書き下ろしがメイン。「新聞連載分以外は全部、雑誌に掲載した数本も含め、この本のために書きました。エッセイを書くこと自体が楽しくて幸せなんです」眼科医との攻防、作家仲間・柚木麻子さんと臨んだ結婚式の余興、レンタル彼氏との騙し合い…。軽妙な語り口に笑いつつも、自分の感情を客観視するバランスの良さに感服。日頃から自発的に書くそうで、「一日のうちにある程度枚数を書かないと、全然生産していなくていいのかという気分になってしまう。なので小説が進まなかった日は、発表するあてがなくてもエッセイを書くんです。エッセイ用の語彙は別腹のようで、言葉が湯水のように出てくる。小説で堅苦しい言葉を使うと気取った感じになりますが、エッセイだとそれが面白かったりする。使える言葉の範囲が広がるので、小説を書いている時より辞書をよく使います。それも楽しくて」帯には<ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに>とある。「小さい頃、本が好きなのに“読んで何か得なければ”と感じることもありました。そうしたプレッシャーが一切なく読めたのがさくらももこさんの『もものかんづめ』から始まるエッセイ三部作。どこから読んでも、5分だけ読んでも1時間読んでも面白くて、何も試されることなく文章を読む楽しさを味わえて、ありがたかった。その感謝の気持ちもあって、自分も作家になったらそういうものを出したいと思っていました。さくらさんに倣って三部作を目指します」噴き出すこと間違いなしなので人前で読むのは危険。また、278、282ページは人前で開くのも危険かも…。理由は見れば分かります。あさい・りょう作家。1989年生まれ。‘09年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。‘13年『何者』で直木賞、‘14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞受賞。※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年08月07日歌手・俳優として活躍する星野源のエッセイ「いのちの車窓から」が、3月30日(木)より発売されることが決定しているが、この度その著書の発売に先駆け、カバービジュアルが公開された。「コウノドリ」「逃げるは恥だが役に立つ」や大河ドラマ「真田丸」に出演し、4月には劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』で主演を務めるなど話題作に立て続けに出演する星野さん。本著書は、星野さんが雑誌「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)で2014年12月号より現在も連載中のエッセイ「いのちの車窓から」に、新たに書き下ろしを加えて単行本化したもの。話題のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」撮影現場での秘話から、念願だった紅白出場、“兄さん”こと大泉洋の存在…などなど、約2年間にわたり彼がが見てきたもの、感じてきたことが満載の一冊となっている。そして今回、発売される著書のカバービジュアルがいち早く公開!今回カバーイラストを手掛けたのは、TVアニメ「キルラキル」のキャラクターデザインも務めたすしお。装丁は大ヒットシングル「恋」のジャケットなども担当した吉田ユニが手掛けている。また、このカバーにはちょっとしたサプライズ(?)が隠されているという。どんなサプライスなのかは、ぜひ手に取って確認してみて。星野源著書「いのちの車窓から」は3月30日(木)より発売。(cinemacafe.net)
2017年02月17日アンバー・ハードが雑誌にドメスティック・バイオレンス(DV)についてのエッセイを発表した。アンバーは今年5月にジョニー・デップとの離婚を申請、顔にあざができた写真を公表してジョニーからDVを受けたと主張し、否定するジョニー側と争ったが、8月に離婚の合意に達した。アンバーはファッション誌「Porter」に「あなたは1人じゃない。閉ざされた扉の後ろで1人苦しんでいるかもしれないけれど、あなたは1人じゃない。それを知ってほしい」と、DVに苦しむ女性たちに訴えかけた。「自分に強さがあることを思い出してほしい。あなたを背後から静かに支える何人もの女性たちの数も掛け合わせてきた強さです」「冷たくつらい真実から始めましょう。女性が前に出て、不正や彼女の苦しみについて語ると、助けや尊重、支えの代わりに彼女が直面するのは敵意と懐疑の眼差し、そして恥辱です。彼女の真意や目的は疑われ、真実は無視されます」と綴った。「私は、自立して他者を頼らない人間になるよう育てられました」とふり返るアンバーは誰かが自分を救ってくれるとは思わなかったという。「 “被害者”というレッテルを貼られることに憤慨しました」というアンバーは「今日、これを書きながら、私は沈黙の中で苦しんでいる女性たち1人1人に約束できる。あなたは1人じゃない。私たちの姿は見えないかもしれないけれど、私たちはここにいます」と結んだ。(text:Yuki Tominaga)
2016年12月14日大泉洋が自ら綴った、北海道時代や「水曜どうでしょう」の裏話などを凝縮したエッセイ「大泉エッセイ ~僕が綴った16年」が、台湾・香港・マカオにて発売されることが決定。大泉さんから感謝のコメントが到着した。北海道を拠点に活動していた1997年から雑誌3誌で連載・執筆していた幻の原稿108編に加え、「水曜どうでしょう」秘話、「TEAM NACS」にまつわる爆笑話、“大泉洋の在り方”についての自身の考察、また自身の“プロポーズ”時に起きた思わず泣ける感動エピソードなど、大量書き下ろしを加え、「大泉洋が綴った16年のすべて」を一挙収録したこのエッセイ。2013年に発売され、2015年に角川文庫化、日本国内でエッセイとしては驚異の累計発行部数40万部を突破している。今回の“海外進出”は、大泉さんのファンである台湾の編集者から、「大泉洋さんは何か特別なものを持っている人。彼の青春、仕事への情熱、何かを信じて自分や家族に向き合うこと、そういった彼の面白さが詰まったこのエッセイを広めたく、ぜひ自分の手でこの本を手掛けさせていただきたい」と、熱い手紙が届いたことがきっかけ。熱烈なオファーを受け、翻訳版が発売されることになった。マンガ家・あだち充が描いた装画はそのままに、来年1月には台湾、香港、マカオの書店に並ぶ予定。ついに、彼の唯一無二な“面白さ”が海を越える!<大泉洋コメント>果たして、私の人生の失敗ばかりを綴ったあの赤裸々なエッセイを、私をよく知らない海外の人たちがどう読んでくれるのか?そもそも誰が読んでくれるのか(笑)?不安と期待でいっぱいです。でも、めちゃめちゃ嬉しいです!ありがとう!台湾、香港、マカオ!「大泉エッセイ」(海外版)は台湾、香港、マカオにて2017年1月予定。「大泉エッセイ~僕が綴った16年」(日本版)はKADOKAWAにて発売中。(text:cinemacafe.net)
2016年12月08日大ヒット痛快エッセイ「世界一周ひとりメシ」の著書で旅人、エッセイストのイシコの新刊大人旅エッセイ「世界一周飲み歩き」(朝日文庫/620円+税)が好評発売中だ。著者のイシコは、旅のエッセイやブログを中心に執筆活動を行う旅人エッセイスト。2008年より1都市1週間のペースで旅をするプロジェクト「セカイサンポ」を始め、世界一周を達成。帰国後に発行された「世界一周ひとりメシ」は、2万5千部を突破(2016年7月時点)。自称旅ベタで人見知り、どこへ行ってもピンチの連続なのに、どんな場所でもそれを楽しんでしまうような底なしの明るさを秘めた著者が贈る肩に力の抜けたエピソードが満載の一冊。本書は、アジア編、ヨーロッパ編、南米・アフリカ編の3部構成で、犬ぞりで向かう雪原の店(スウェーデン)、地元のおじさんとビールを片手に見た夕日(タイ)、朝から立ち飲み屋をはしご(スペイン)、デモから逃げ込んだバーには…(アルゼンチン)など、著者の目を通した世界中の街角が一冊の中に詰め込まれている。「今年の夏は旅行に行けなかった」、「これからバカンスを計画中」という人にもぴったり。ゴーイングマイウェイな旅のすすめに一冊いかが?(text:Miwa Ogata)
2016年09月01日移動中でもリラックスタイムでも、場所と時間を選ばないで読めるエッセイ。笑いがついつい噴き出してしまうものから、人生を少し考えさせられるものまで、大人女子のためのエッセイを3冊紹介します。■爆笑必至「生きるコント」(大宮エリー/文藝春秋)作者の大宮エリーさんは、高学歴で元大手広告代理店に勤めていたという経歴をもつ女性。現在は映画監督から芸術家までと、あらゆる才能を発揮されています。そんな彼女が実際に体験したエピソードをつづったエッセイが「生きるコント」です。電車の中で読むことは絶対にオススメしません!なぜなら面白くて笑いが抑えられないから。ひとりで大爆笑すること間違いなしの一冊です。大宮エリーさんはたびたびトークショーも開催しているので、内容の濃い話を聞きに行ってみるのもおススメです。■衝撃の仕事内容が満載「督促OL 修行日記」(榎本まみ/文藝春秋)クレジットカード会社に新卒採用された榎本まみさん。配属となった部署では毎日が督促の電話業務。ときおり四コマ漫画が描かれており楽しみながら読める本ですが、仕事内容に関しては大変さがうかがえます。督促電話をしてこんなことをいわれた! など日々の業務を愉快に紹介しています。どんな仕事でも苦労は絶えないものですが、笑いあり涙あり自分も頑張ろうと奮起させられる一冊です。■女性なら誰もが考える「結婚願望」(山本文緒/角川書店)結婚願望がある人も、ない人にもオススメな一冊。山本文緒さん自身の結婚と離婚経験について書かれているエッセイ。最終的に結婚とは何なのか、に対するヒントがこの本で見つかるかもしれません。ただただ笑いたい時間をつくりたいときと、じっくり自分と向きあう時間をつくりたいときと、自分のペースに合わせて読めるエッセイをチョイスしてみました。本を手にとって週末に自宅でゆっくり、リフレッシュしてみてはいかが。
2016年01月21日これまでポップカルチャーを中心に執筆してきた“ロック漫筆家”安田謙一の、初の全編書き下ろしによるエッセイ『神戸、書いてどうなるのか』が11月26日(木)に発売される。本書は、神戸生まれ神戸在住の氏がこれまでに体感してきた“神戸というまち”の魅力を、さまざまな角度から綴った内容となっている。神戸を知る人はもちろん、そうでない人にとっても、神戸という街が浮かび上がってくるような、“ガイドブックには載らない神戸案内”と言える1冊だ。また、発売に先駆けてVIDEOTAPEMUSICが手がけた予告編プロモーション・ビデオも2バージョン公開されている。そして、12月には本書の刊行記念イベントが続々と決定。東京では「Time Out Cafe & Diner」にて前述のVIDEOTAPEMUSICのほか、町あかり、DJ2741、松永良平らが出演するパーティが開催される。さらに書店等でのトークショウも各地で開催。神戸は「旧グッゲンハイム邸」にて、ゲストにtofubeatsを迎えるほか、京都は元・恵文社一乗寺店店長の堀部篤史による新店「誠光社」で堀部篤史と、そして大阪は「FOLK old bookstore」にて、著者の盟友でありPVのナレーションも担当したキングジョーと、それぞれトークイベントを行う。■安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』刊行記念イベント「ビデオナイトラウンジ -世界各国の夜。そして神戸の夜-」12月11日(金)東京・恵比寿Time Out Cafe&Diner[リキッドルーム2F]ライブ:町あかりDJ:VIDEOTAPEMUSIC、DJ2741、キングジョー、松永良平トーク:安田謙一×松永良平「電波の届かない場所 2015 思い出し怒りのデス・ロード」12月12日(土)東京・高円寺円盤トーク:安田謙一×キングジョー「神戸、喋ってどうなるのか 神戸編」12月17日(木)神戸・旧グッゲンハイム邸トーク:安田謙一×tofubeats「神戸、喋ってどうなるのか 京都編」12月23日(水・祝)京都・誠光社トーク:安田謙一×堀部篤史「神戸、喋ってどうなるのか 大阪編」12月26日(土)大阪・FOLK old book storeトーク:安田謙一×キングジョー※番外編「藤脇邦夫×安田謙一 ダブル刊行記念トークショー&サイン会」12月16日(水)大阪・スタンダードブックストア心斎橋トーク:藤脇邦夫×安田謙一■『神戸、書いてどうなるのか』安田謙一2015年11月26日(木)発売1500円+税978-4-8356-2853-0四六版並製本256ページ
2015年11月05日肩ヒジ張らずに読めて、爽快な読後感を味わえる秀逸なエッセイに出会った時の歓びは、ささくれた心を、洒脱なユーモアで包み込んでくれる親友を得たようなもの。そのおもしろさに快哉を叫びながら、大きく深呼吸できるような気分になれるから不思議です。著者がアラフォー、あるいは、アラフォーの頃に書かれたエッセイ集で、クスリと笑えるのにジンとくる、味わい深い珠玉の3冊をご紹介しましょう。類まれなるセンス。片桐はいりさんの文才にハマる!▼『わたしのマトカ』片桐はいり(幻冬舎文庫)片桐はいりさんという俳優をもともと好きだったのですが、2006年に出版された彼女の初エッセイ集「わたしのマトカ」を読んだとき、あまりのおもしろさと類まれな文章センスにぶっ飛びました。2005年、映画「かもめ食堂」の撮影のため、フィンランドに1カ月間滞在したことをきっかけに、書き下ろされたエッセイが本書。マトカは、フィンランド語で「旅」という意味だそうです。撮影の待ち時間、フィンランド人の若手俳優と「ヤッチマイナ!」と「キル・ビル」ごっこをしたり、フィンランドの鬼才、アキ・カウリスマキ監督映画の常連俳優との共演に胸ときめかせたり、サルミアッキという甘塩っぱいゴムみたいなお菓子に驚いたり、「大根おろしが食べたい」と発作のように思ったり、フィンランドの魅力のみならず、片桐さんの役者人生と世界各地への旅がレイヤーで描かれ、息もつかせぬおもしろさ。映画好き、芝居好きという芳醇な愛情が根底にピシッと1本通っており、生き方にも感銘を受けずにおれません。この後に出た『グアテマラの弟』(幻冬舎)、『もぎりよ今夜も有難う』(キネマ旬報社)も間違いなくおもしろいので、心から一読をお勧めします。電車で読んだら危険!? 報復絶倒のエッセイ『ワタシは最高にツイている』小林聡美(幻冬舎文庫)女優の小林聡美さんが、30代から40代にかけての3年間に書いたエッセイがまとめられ、2007年に出版されたもの。「かもめ食堂」つながりというわけではないのですが、主演された映画の撮影期間はこの3年間に含まれるので、ヘルシンキ滞在中のエッセイも2編。もちろん映画を観ていない人にも楽しめる内容で、笑いなしには読めません。長期滞在者向けのアパート型ホテルで、鉢植えの花を窓辺に飾って愛で、ささやかな幸せを満喫しながらも、控えめそうな国民性なのになぜか目立つ若者の尻出し率(パンツの位置が下過ぎ)を憂う。また、フィンランドと日本のスタッフが双方の言葉を覚えて、互いに「ホンバンイキマ~ス」「ウスコマトンタ(信じられない)!」などとやりとりする現場の雰囲気を活写。それ以外にも、3年分のリアルアラフォー感が味わえます。かつて夫であった三谷幸喜さんが、原稿が書けなくて七転八倒し、リビングルームで気分転換に彼女の本を手に取ったら、おもしろ過ぎてかえって自信をなくした…というエピソードが残っているくらいの名文家。同じく幻冬舎から出ている『マダム小林の優雅な生活』『マダムだもの』なども、報復絶倒なので電車の中では読まないほうがいいかもしれません。一切ハンパなし! 妄想炸裂の爆笑エッセイ『お友だちからお願いします』三浦しをん(大和書房)作家の三浦しをんさんは、もちろん小説も素晴らしいですが、エッセイの絶品さは他の追随を許さないものが。脳内で妄想が炸裂し、血中濃度の臨界点を振り切った描写は、一切ハンパなし。とはいえ、これは、様々な新聞や雑誌に書かれたものが1冊にまとめられ、2012年に刊行されたエッセイ集。帯に「よそゆき仕様・自社比」とある通り、初心者の方にも非常に入りやすく、食わず嫌いの方にも読みやすい内容となっています。「私はふだん、『アホ』としか言いようのないエッセイを書いているのだが、本書においてはちがう!(自社比) よそゆき仕様である!(あくまで自社比)」という前書きから始まり、個々のタイトルからして、「オヤジギャグのマナー」「加齢の初心者」「ヴィゴ・モーテンセンと妄想旅行」「町田も東京だったんだ」など、妙にそそられるものばかり。また、後書きで「いかがでしたでしょうか。お友だち以上になっていただけそうですか? 『なれるわけないだろ、ごるぁ!』という怒声が聞こえてくるようだ。精一杯よそゆきの姿勢を装ってみたつもりなのだが、ほうぼうで本性が表れてしまってるもんなあ……。今回読み返して、自分のあまりのダメぶりに、『お友だちですらご免です』と思った」としをんさん。いえいえ、もうお友だちですってば。よそゆきじゃないほうをお望みなら、新潮文庫の『しをんのしおり』『人生激場』『乙女なげやり』をぜひ!この3冊は、すべて“旅”が通底しています。それも魅力のひとつかもしれません。笑ったりジワッとしたりスカッとしたり…脳内の果てしない旅をどうぞお楽しみください。・ 『わたしのマトカ』(幻冬舎文庫) 片桐はいり ・ 『ワタシは最高にツイている』(幻冬舎文庫) 小林聡美 ・ 『お友だちからお願いします』(大和書房) 三浦しをん
2015年05月18日「いい仏壇.com」は、フォトエッセイ「手を合わせてつながる絆~お仏壇と家族のストーリー~」を募集する。今回募集するエッセイは、家族の絆が失われていく現代社会において、古来より家族のつながりの場として存在していた仏壇を通じ、家族とのつながりの大切さを伝えようというもの。入選作品はWebサイト上に掲載し、金賞1名には賞状および現金10万円、銀賞2名には賞状および現金3万円、銅賞5名には賞状および現金1万円が贈られる。応募は、仏壇と家族にまつわるエッセイと写真を合わせて投稿する。エッセイの文字数は600字以内で、写真は仏壇と人物(または仏壇のみ)が写っているもの。応募方法はメールまたは郵送、ファクスで。締め切りは10月31日。詳細は「いい仏壇.com」のキャンペーン概要を参照のこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月04日文芸誌「パピルス」にて2005年12月号から連載している中谷美紀氏のエッセイが、この度、一冊の本としてより幻冬舎から刊行される。およそ6年振りになる、待望の単行本発売だ。「自宅のベランダにひと粒だけなった南高梅」「厄落としと体質改善を兼ねての断食チャレンジ」「旅先で出会った忘れられない味と人々」など。何気ない毎日が、愛おしく思えてくる、珠玉のエッセイ集。自身による写真も多数掲載している。今回、著者・中谷に刊行にあたってのインタビューを行った。●中谷さんにとってエッセイを綴ることとは?様々な場面での素晴らしい出逢いについて、口から発する言葉では伝えきれないことを、文字にしています。●作品を書くことと、女優として演じること。その共通点と相違点は?他人の価値観を演じるストレスを自著で発散するのが初期の目的でしたが、いつしか演技と同様、私個人の気持ち云々よりも、優れた先人の話に耳を傾け、媒介に徹して書くことが心地よくなって来ました。●自分のエッセイを映像化するとしたらどう演出したい?今回のエッセイに書かせていただいた方々は皆さん魅力的なので、ドキュメンタリーで長期にわたって追いかけたいです。●今回の作品のオススメ点は?7年の間に、成長と後退を繰り返しながらずいぶんと変化を遂げましたが、「女心と秋の空」のタイトルのごとく、不確かな人生の変遷を見守っていただけたら嬉しいです。●最近他にハマっていることは?糖質制限で、強靱な肉体と精神を培っています。●今後チャレンジしたいことは?質問力を磨いて、人間の本質に迫りたいです。お問い合わせ:幻冬舎 tel. 03-5411-6211
2012年07月19日