「女の勘が鋭いって不幸せなのかも」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは、1年半交際した彼氏の浮気が原因で別れたばかり。なんとなく勘が働いてカマをかけてみたところ、彼が白状したそうです。過去にも同じようなことが何度かあり、その時は「別れて正解!」と思えたけれど、「今回はかなりキツイ」とのこと。「もっと鈍い女だったら何も疑いもせず上手くいってたのかなと思ってしまう」とつらい心境を吐露しています。女の勘は、自分を守ろうとする“心の防犯アラート”かも携帯を見るなど詮索しているわけではないのに、「なんか(浮気が)わかってしまう」というトピ主さん。勘が働くのは一体何なのか……とのことですが、これはある意味で“心の防犯アラート”と言えるのでは? 「この男性は不誠実だから、悲しい思いをしますよ!」と知らせることで、結果的にはトピ主さんの幸せを守ろうとしてくれている、という考え方もできます。もちろん、“知らぬが仏”という考え方もあります。世の中には、相手の男性が浮気をしていても気づかない、あるいは気づかないふりや許すことで関係を継続しているカップルもいますよね。彼女たちは、トピ主さんが考えるように「女の勘が鈍い」のか、あえて「鈍いふり」をしているのか、あるいは「嫉妬心が極端に少ない」か「相手への関心が低い」のか、それぞれに理由やカップルの関係性があるのだろうと思います。いずれにせよトピ主さんの場合は、相手の些細な変化に気づいてしまうし、知らぬふりもできないし、浮気は許したくないわけですよね。そういうトピ主さんだからこその魅力もあり、勘が鋭い(=人の言動や心理に敏感)からこそ得られているメリットも、仕事や人付き合いのなかでは必ずあるはず。一生付き合っていくかけがえのない存在は、彼ではなく自分自身です。“この自分”が幸せなパートナーシップを築いていくための道を模索していきましょう。「信頼できる男性」と、末長く交際するためには?投稿には、「付き合いが長くなくても、なぜか信用できる人」もいれば、「付き合いが長くても、いつまでも信用できない人」がいる、という記述も。トピ主さんが過去に浮気や二股をされた男性はいずれも後者のタイプで、最初から「なんか信用できないかも」と思いながらも交際し、でも結局「やっぱり(浮気した)か〜」となって破局を繰り返してきた。一方で、前者タイプの男性たちと交際した経験もあり、彼らは「最後まで誠実」だったものの、逆にトピ主さんに好きな人ができて振ってしまった……とのこと。これらの経験を糧にし、「次こそは誠実な男性と長く付き合いたい」と思っているならば、以下のような選択肢があるかと思います。(1) 最初から「信用できる」と思う男性を意識的に選び、自分もよそ見をしない努力をする最初から安心できるタイプの男性を選び、そこで安定した関係性を目指すのは、ひとつの良策です。ただ、トピ主さんは逆のタイプに惹かれてしまう傾向もある様子。刺激やドキドキ感を求める人に顕著ですが、異性的魅力にあふれ、女性を安心させない相手だからこそ惹かれてしまう――というのは、恋愛ではままあることです。ただ、そういう相手との恋愛に「心底懲りた」結果、意識的にそういう相手を選ばなくなる方もいます。もともとタイプではなかった相手で満足できるかはその人次第ですが、「勘が鋭く、浮気に耐えられない自分の性質」をしっかり自覚していれば、誠実に向き合ってくれる男性の有難みも、今までより強く感じられるかもしれません。(2)「信用できると思うまで付き合わない」もしくは「交際後も安心させすぎないよう努力する」「心惹かれても、すぐには付き合わない」のも一案。恋愛感情は瞬間的に盛り上がることもありますが、信頼関係を構築するためには、それなりに時間がかかります。その過程を経てから、ゆっくりパートナーとなるのも良策です。とはいえ、「交際をしながら信頼関係を育てていくこと」も可能ですし、そうした実例も多くあります。今回の彼はその途中で誠実に向き合うことを放棄したわけですが、トピ主さんに惚れられている自信があり、タカを括っていたのかもしれませんね。そのような事態を避け、真面目に向き合い続けてもらうには、こちら側はどう接していくとベストなのか――。そうした考察にも、今後の幸せのヒントが潜んでいると思います。彼が好きだった分だけ、浮気に気づいてしまったことや裏切られた悲しみは強いのだろうとお察しします。それでも、鈍感なふりをしてみたところで、一生無理は続かなかったはず。「いずれ判明してショックを受けるくらいなら、このタイミングでわかってよかった」と考えてみるのもオススメです。曇りのない幸せな未来を第一に考えれば、“女の勘”はとても心強い存在。失恋から立ち直れた暁にはぜひ味方につけて、妥協なき幸せを見つけてほしいなと思います。応援しています。(外山ゆひら)
2018年06月18日●『凶悪』『日悪』に続いて「心中した」原作『凶悪』(13)や『日本で一番悪い奴ら』(16)で、人間の業を炙り出してきた白石和彌監督が一転、「無償の愛」に挑んだ。10月28日に公開となる映画『彼女がその名を知らない鳥たち』。クレームで憂さ晴らししながら、地位も金もない陣治(阿部サダヲ)を足蹴にする依存女・十和子(蒼井優)。そんな十和子への執着心を隠さない不潔男・陣治と、薄っぺらな甘い言葉で十和子と肉体関係を結ぶ不倫男・水島(松坂桃李)。そして、自らの地位のために十和子を踏み台にする野心家の男・黒崎(竹野内豊)。不倫報道が日常化してきた今、ただその是か非かを問いただすのではなく、それら登場人物たちを通して、一観客に「あなたの愛とは?」を鋭く投げかける。その担い手となる役者を手とし、足とするからには。白石監督はそんな強いこだわりと責任を腹に据えて本作と向き合っていた。奇しくも映画作品で遺作となった中嶋しゅうさんとの思い出にも、役者への尊敬の念がにじみ出ている。○「同じような役」をオファーしないワケ――高校の先輩から数冊の本をもらい、その中の一冊が今回の原作だったそうですね。幻冬舎さんに小玉(圭太)さんという高校の大先輩がいらっしゃるのですが、小玉さんが『凶悪』を観て僕の存在に気づいてくださり、食事に誘ってもらって、それ以降かわいがっていただいてたんです。小玉さんが出版社問わず映画化したい本を数冊持ってきてくださって、その中の一冊が『彼女がその名を知らない鳥たち』でした。――『凶悪』がなければ、今回の作品も生まれなかったと。そうですね。『凶悪』問わず、すべての作品はそうやっていろいろなことに繋がっているんだと思います。――「無償の愛を描きたい」という思いが一致した作品だったと聞きました。映画化しづらい原作だと思います。過去の話が重要な要素を占めていますし、ラストの描き方もとても難しい。原作を読み終わって、1週間ぐらいそのあたりが引っかかっていました。でも、繰り返し考えているうちに、「好きかも」となってきて(笑)。そう思ってしまうと「もう、やるしかない」。――物語の起承転結も含めて、そうやって冷静に判断されてから決断されるんですね。もちろん。『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』もそうでしたが、「この原作と心中できるか」という覚悟がないと。もう少し手軽に撮っちゃえばいいのかもしれないですけど、「そうはいかん」と言い聞かせています。――原作に忠実に。ご自身の解釈で映画化することは本意ではないというお考えですか?もちろんそういうこともあり得るし、正しいとも思います。今回も読み終わって、ラストを変更することも考えて、いくつか書き出しました。でもやっぱりしっくりこなかった。最終的には「このラストしかない」と。これ以上の衝撃はありませんからね。――映画を観た後、何か引きずられているような独特の"魔力"がありました。CMで蒼井優さんを見ると十和子と重なって、以前とは違う魅力を感じたり。出ている役者さんが、それぞれ自分が抱いていたイメージとは少しずれているというか、キャスティングの妙を感じました。起用は原作を読んでの直感なのですが、阿部サダヲさんや蒼井優さんをはじめ、パブリックイメージと違う役割をいかに与えるのかというのが重要と考えています。阿部さんは最近「いい人」というか、潔癖感のある役が多かったのですが、今回のだらしない男も喜々として演じてくださいました。――そのあたりが「役者冥利」なんですかね。そうだと思いますよ。同じような役をやってもね。それを課されている俳優本人がいちばん思っているんじゃないですかね? でもみんな文句も言わず、当然プロだからきちんと全うしています。起用する側は、役者の将来性も踏まえてちゃんと考えてあげた方がいいと思います。●少女漫画映画の「恋」頼りを憂う――表現は正しくないのかもしれませんが、心理テストを受けているような映画でした。つまり、登場人物に対して自分がどのような印象を抱いているのか。そこがとても肝となるストーリー展開でした。そうですか(笑)。原作の流れには基本的に沿っていますが、陣治についても阿部さんから「どうやって演じたらいいですか?」と聞かれると、「さっき人を殺してきたような顔で」とお願いしていました。○連日の不倫報道と世間の「愛」――最近の映画は恋を描く作品が多くて、愛を描く作品が少ない。そんなこともプロダクションノートに書かれていました。今回の映画では、その「愛」を描こうとしている。少女漫画を原作にした映画がたくさん作られてますが、そのほとんどが恋の映画。また、そういう映画でしかヒット作を生み出せない日本の現状を憂いているというか、愛は愛でも気軽に口に出せる愛ではなくて、口に出すこと自体が軽く感じてしまうようなものをせめて作ろうよと。――そういう点での「無償の愛」は、とても覚悟のいるテーマですね。伝わっている人には伝わると信じたいですね。この映画は、最後に提示されるのが「愛」であるからこそ、観ていてつらくなるような展開を経ても残るものがあるんだと思います。いつか十和子が死ぬ時、きっと「良い人生だった」と前向きになるに違いない。そう思っています。――ここ数年、著名人の不倫が連日取り上げられています。今回の「無償の愛」は世相に対する問いかけとも受け取れます。でも映画を観て、ほとんどの人は無意識に「有償の愛」を求めているんじゃないかと思ってしまいました。本当にその通りだと思います。「無償の愛」は容易ではありません。相手に見返りを求めず、すべてを捧げることができる人はなかなかいない。そうやって深く考えていくと、この作品に潜んでいる過激なメッセージが聞こえてきます。でも、なかなか「無償側」にはなれませんよね。――そうですね。でも人として「無償でありたい」とも思います。1万分の1ミリでも、そうありたい (笑)。そうなれれば、何かが変わるんじゃないか。そんな予感がするんですよね。――松坂桃李さん演じる水島。十和子をもてあそぶゲス男でしたが、自分都合で考えてしまうことは多かれ少なかれ、自分も含めて誰にでもあるような気もしました。"そっち側"の人がほとんどだと思います。出演者の方には世の中の不倫についてとか具体的なことは話しませんでしたが、みんな共通して同じようなことを思っていたんじゃないですかね。○ピエール瀧の悪役像を生み出した起源――阿部さんからは「脚本に対して忠実に演じようとするルール」を感じたそうですね。脚本に書いてあることや僕がしてほしいと思っていることを、まずは素直に再現しようとする努力を惜しまない。そういう印象を感じましたね。役者さんが受け入れられなければ話し合うこともありますが、そういうこともあまりなかったです。互いに陣治のイメージが一致していたんだと思います。思い入れが強い役だったので、脚本にもだいぶ手を入れさせてもらいました。――『アウトレイジ 最終章』のピエール瀧さんを見て、『凶悪』を思い出しました。そういう悪役イメージを引き出したように、白石監督ならではの役者さんとの距離感、独自の演出法があるのではないかと。今の阿部さんの話を聞いても思いました。どうなんだろう。さきほど言われてうれしかったのが、もともとのイメージとずれている配役だったと。パブリックイメージと違う役割を与えるというのが、まずは僕の役目だと思うんですよね。それは役者にとってはうれしいことだし、一方では不安になるかのどちらかなんですよね。その役をやってみたいと思えばうれしいし、絶対にできないと思っていれば不安になるだろうけど。ただ、確実に普段やり慣れていることよりは、何かアプローチを変えなきゃいけないから。そういう役割をちょっとでも与えると、役者は急激に輝きを増すと思います。それは一般社会でも同じじゃないですか? プロ野球の監督も優勝すると、どのように指揮したのか分析する記事が上がりますよね。でも、その内容は結果を残したからこそ引きがあるわけで、結局は「勝てば官軍」。そういう考えに近いというか。新しい何かを発見してあげれば、役者は喜んでくれると信じています。●中嶋しゅうさん「また出てやるよ」――役者への尊敬の念ともいえますね。黒崎(竹野内豊)の妻・カヨ(村川絵梨)の叔父である国枝を演じた中嶋しゅうさん。残念ながら今年7月6日、舞台出演中に倒れ、帰らぬ人となってしまいました。映画で観ていただいた通り、役者としてとても輝いている方でした。嬉々として演じてくださって。国枝という役は原作では回想シーンしか登場しなくて、現在の十和子とは会わない。映画では2人が対面して。そのためにセリフを設けました。――「お前のことは覚えている」。身の毛もよだつセリフでした。やりたい放題やってきた国枝が五体満足で出てくるのも面白くないので、半身不随の設定にしました。どうですかねと尋ねてみたら、すごく喜んでくださって。「こんな感じの歩き方でいいかな?」とかいろいろ細かいアイデアをくださって。本当に楽しかったです。――どのような経緯で出演が決まったんですか?しゅうさんは前から出てもらいたいと思っていたんですけど、舞台でお忙しいのでなかなか映画のスケジュールと合わなかった。今回は、映画『関ヶ原』が終わって、ロケ地が大阪と近かったのでその足で来られるということになって、たまたまタイミングが合ったんです。やっと出てもらえてよかった、またお願いしますね、なんて話していたんですけどね。「また出てやるよ」と言ってくださっていたのに。――貴重なお話ありがとうございました。強烈な存在感とインパクトを残した役だったと思います。監督ご自身としてはここ最近、オファーが続々と舞い込んでいるそうですね。どのような基準で作品を選ばれているんですか?基本的には「面白い」と思えたもので、「ハートに火がつくかどうか」を方針としているんですけど、作品が増えすぎてきたのでまた方針を変えていこうかなと思っています。みなさん付き合いが長いと僕のことを知っていて「次にこういうのやりたいんじゃないの?」みたいなものを持ってきてくださって、それをやっちゃったりするので(笑)。『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』と同じように、この子(映画のプレスを指しながら)がまた新しい扉を開いてくれる映画になるんじゃないかとすごく期待していて。「お前、実録の人だろ?」みたいに言ってくるヤツもいましたが(笑)、職人でいたいなとは思いますよね。アレも撮れるし、コレも撮れる。そういった意味での新たな一面に挑戦できたことはよかったと思います。この作品も、新たな出会いのきっかけになることを願っています。■プロフィール白石和彌(しらいし・かずや)1974年北海道生まれ。1995年、中村幻児監督主催の映画塾に参加し、その後、若松孝二監督に師事。助監督時代を経て、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加。初の長編映画監督作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10)の後、ノンフィクションベストセラー小説を実写化した『凶悪』(13年)は、第37回日本アカデミー賞優秀監督賞ほか、各映画賞を総なめした。その後、『日本で一番悪い奴ら』(16)、『牝猫たち』(16)、Netflixドラマ『火花』(16)など、幅広いジャンルを映像化し、来年は『サニー/32』(18)、『孤狼の血』(18)の公開を控えている。(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年10月27日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんの両国散歩も、いよいよ佳境。 まずは彌十郎さん、相撲にまつわる芝居のお話をしながら両国の町の象徴、両国国技館の前をぶらりぶらり。ついつい興が乗って、三波春夫の浪曲を一節、ご披露してくれちゃいます。さらに、名横綱たちの手形のレリーフにご自分の手のひらを合わせながら、交流のあった関取たちとの思い出話まで。 そして、歩き疲れた彌十郎さんがたどり着いたのは……彌十郎さんが子供の頃から気になっていたというお店。歌舞伎界でも大のグルメで知られる彌十郎さんが今回、セレクトしたのは来年で創業300年、両国で九代続く、“ジャパニーズ・ジビエ”の老舗「もゝんじや」です。「山くじら」とも呼ばれる猪肉料理が有名で、彌十郎さんも伝統の味噌仕立てのすき焼き「猪鍋」(4,000円/税別)を注文。臭みゼロ、脂の甘さが絶品の丹波産天然猪肉に、彌十郎さんも大満足です。 【もゝんじ】住所:東京都墨田区両国1-10-2TEL:03-3631-5596営業時間:17:00~21:00(火・木・土のみ、ランチタイム11:30~14:00も営業)定休日:毎日曜日 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年07月17日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんが今回、まず訪れたのは、歌舞伎界にも隠れファンが大勢いる、下町が誇るスイーツの名店「マリーズ(MARRYS)」です。彌十郎さん、店内のイートインコーナーに陣取って、まずは大好きな「シュークリーム(1個250円/税別)」をペロリ。さらに同店の看板商品「両国すふれ(1個210円/税別)」までいただいて大満足なご様子です。 続いて、彌十郎さんが向かったのが「吉良邸跡」。そう、忠臣蔵のクライマックスの舞台、歌舞伎とは切っても切れない場所です。実際にこの場所に足を運ぶのは初めて、という彌十郎さん。何やら新しい発見があったようです。 【マリーズ(MARRYS)】住所:東京都墨田区千歳1丁目6-5TEL:03-3846-7188営業時間:9:30~19:00定休日:火曜日、第3月曜日 【吉良邸跡(本所松坂町公園)】住所:東京都墨田区両国3-13-9 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年07月03日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんが今回、訪問したのは、いまからおよそ360年前の明暦3年(1657年)に開かれた浄土宗の寺院「回向院」です。 門をくぐって境内に足を踏み入れると、まず見えてくるのが、相撲の町・両国らしい「力塚」。じつは明治42年(1909年)に両国国技館が完成するまで、春秋2回の相撲興行の定場所はここ回向院の境内でした。この力塚は、昭和11年に相撲協会が歴代相撲年寄の慰霊のために建立。その後も新弟子たちが、力が授かるようにと祈願に訪れます。歌舞伎界いち背が高く、濡髪長五郎など力士を演じることも少なくない彌十郎さん。まずは力塚にお参りです。 そして、境内のさらに奥に足を踏み入れると……意外にも、ここ回向院も、歌舞伎とは縁の深いお寺だったのでした。 【諸宗山 回向院】住所:東京都墨田区両国2-8-10 TEL:03-3634-7776 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年06月19日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんと歌舞伎に所縁の町を歩く「楽・食・歌舞伎 彌十散歩」。今回、彌十郎さんは東京・隅田川の東岸、両国の町を歩きます。 両国国技館に代表されるように“相撲の町”という印象ばかりが強い両国ですが、どうしてどうして、歌舞伎にまつわるお寺や史跡、それにグルメスポットも少なくありません。まずは彌十郎さん、歌舞伎をはじめとした江戸の文化をいまに伝える「江戸東京博物館」に足を運びます。常設されている江戸歌舞伎最初の劇場、中村座の実寸大模型に彌十郎さん、目をキラキラと輝かせるのでした。 【江戸東京博物館】住所:東京都墨田区横網1-4-1TEL:03-3626-9974(代表)開館時間:9:30~17:30(土曜日は19:30まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:毎週月曜(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始常設展観覧料:一般600円(480円)、大学生・専門学校生480円(380円)、高校生・中学生(都外)と65歳以上300円(240円)、中学生(都内在学または在住)と小学生以下は無料※()内は20名以上の団体料金 ※平成29年7月21日(金)から平成29年8月25日(金)の毎金曜日17:30~21:00(サマーナイト・ミュージアム割引)大学生・専門学校生、高校生・中学生(都外):無料/一般・65歳以上は2割引(要証明) ※平成29年10月から翌年3月まで改修工事により全館休館となりますので、あらかじめご了承ください。 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年05月22日人形町散歩を続ける坂東彌十郎さん。今回、グルメな彌十郎さんのアンテナがキャッチしたのは、路地裏の洋食店「そよいち」でした。じつはここ、「ビーフかつ」で名を馳せた、同じ人形町の老舗店の味を受け継ぐ人気店。彌十郎さんも、やっぱりその逸品・ビーフかつ(ライス付き1,800円・税込)を注文しました。彌十郎さんが「兄」と慕った名優も愛したというビーフかつ、さてさて、そのお味は……。 いよいよ人形町編も大詰め。最後の最後に彌十郎さんがたどり着いたのは、マンションの自転車置き場の奥という、ちょっと変わった場所に鎮座する、かわいらしいお社。その「???」な見た目とは裏腹に、すごいパワーが秘められていそう。というのも江戸時代、初代市川團十郎が日参し、名声を博したことからその名がついたというありがた~い神社なのです。彌十郎さんはここで、歌舞伎界のさらなる発展を祈念して人形町を後にするのでした。 【そよいち】住所:東京都中央区日本橋人形町1-9-6TEL:03-3666-9993営業時間:11:00~14:30/17:30~20:00定休日:日・月曜日 【出世稲荷神社】住所:東京都中央区日本橋堀留町1-6-11 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年05月08日今回、坂東彌十郎さんはお江戸の町をいったん離れ、讃岐路はこんぴらの町を歩きます。じつは彌十郎さん、4月23日まで「第三十三回四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演中なのです。 まずは彌十郎さん、自分が立つ舞台でもある「旧金毘羅大芝居(金丸座)」へ。江戸時代からいまに続く芝居小屋の内部の詳細を、そこに息づく風情を、ぜいたくにも出演俳優自らがご案内です。 続いては、こんぴら歌舞伎出演の際には欠かすことのできない金刀比羅宮参詣。息を切らして785段の石段を登りきり、御本宮へ手を合わせました。その後、また下界へ戻った彌十郎さん。今度は琴平の町をぶらぶら。そして、食い道楽の彌十郎さん、鼻を聞かせて門前町の美味しいお店に突入です。 カメラは上演が始まる前日、そして当日の彌十郎さんを追いました。俳優陣揃っての成功祈願、歌舞伎公演恒例の「おねり」ではパレードする人力車に乗った彌十郎さんの「自撮り」映像も。そしてカメラは、芝居が始まる直前、大勢の観客で賑わう芝居小屋前の熱気も捉えます。 【旧金毘羅大芝居(金丸座)】天保6年(1835年)に上棟された、現存する日本最古の芝居小屋で、国指定重要文化財。移築復元・大改修を経て1985年から始まったのが「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。いまでは四国路に春を呼ぶ風物詩に。住所:香川県仲多度郡琴平町1241 【金刀比羅宮】象頭山中腹に鎮座。全国約600社の金比羅神社の総本宮で、古くから「こんぴらさん」と親しまれた。象頭山が瀬戸内海を航行する船の目印だったことから海上交通の守り神、さらに祈雨の農業神としても信仰を集める。住所:香川県仲多度郡琴平町892-1 【こんぴらうどん本店】良質な小麦、こんぴらの水、瀬戸内の塩を使い、うどん作りすべての工程を店内で行なう。人気はしょうゆうどん(510円)、ぶっかけうどん(520円・どちらも税込)など。「そば党の私ですが、やっぱり讃岐に来たらうどんですね。好きなのは、しょうゆうどんです」(彌十郎さん)住所:香川県仲多度郡琴平町810-3TEL:0877-73-5785営業時間:8時~17時定休日:無休 【ナカノヤ琴平】あのマツコデラックスも某番組で絶賛した、地元伝統の餅菓子「おいり」をまぶした「和三盆おいりソフト」(350円・税込)は絶品。「和三盆の上品な甘さに、軽い食感のおいりのマリアージュは秀逸です」(彌十郎さん)住所:香川県仲多度郡琴平町796TEL:0877-75-0001営業時間:8時30分~18時定休日:無休 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年04月17日人形町を散歩中の坂東彌十郎さん。不意に、歌舞伎とは切っても切れない大事な場所がここ、人形町にあることを思い出しました。それは「東京演劇かつら株式会社」。歌舞伎のかつらを専門に扱うかつら屋さんです。突然、訪問したにもかかわらず、偶然にも顔なじみの職人さんが、彌十郎さんの役の頭(かつら)を仕上げている真っ最中でした。 思いがけず歌舞伎の“舞台裏”を覗き見たあと、彌十郎さんは水天宮方面に足を伸ばしました。その先に彌十郎さんを待っていたのは江戸時代のレシピを再現した「人形町風鈴」なる魅惑の食べ物でした。 【江戸甘味處水天宮つくし】創業140年の老舗甘味店。平成13年、菩提寺の蔵から見つかったのが、現在の店主・鷺谷眞觀さんから遡ること5代前、「初代鷺谷米蔵」の秘伝帖(レシピ集)。明治34年の文献の中にしたためられていたのが「西洋風茶碗蒸し菓子」なる菓子のレシピだった。これを再現して作られたのが「人形町風鈴(プリンとルビをふってください)」。現在は持ち帰りのみ、4個入り1080円(税込)。今回、彌十郎さんは特別に店頭で「人形町風鈴餡蜜」を供していただきました。 住所:東京都中央区日本橋人形町2-1-12TEL:03-3664-7357営業時間:8:00~20:00定休日:不定休 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年04月03日●拳銃の不正押収は「絶対に楽しいこと」死刑囚の告発をもとに、記者が殺人事件の首謀者を追い詰めていく犯罪ドキュメント小説『凶悪』。山田孝之の主演で2013年に実写化され、第37回日本アカデミー賞の優秀監督賞をはじめその年の映画賞の28冠に輝いた。原作からはジャーナリズム精神を正義とする記者の姿が浮かび上がるが、映画では悪事を暴くことにのめり込み、家庭が崩壊するという闇の部分も映し出す。妻からの「面白かったんでしょ?」という言葉は、山田演じる藤井の心を深くえぐる。この作品を手掛けて一躍時の人となった白石和彌監督が、今度は北海道警察の不祥事をテーマにした映画『日本で一番悪い奴ら』(6月25日公開)でメガホンをとった。綾野剛演じる刑事・諸星要一は「正義の味方、悪を絶つ」という信念を持ちながら、先輩刑事・村井(ピエール瀧)の教えに従って、裏社会に身を投じる。スパイであるSの協力により次々と拳銃を押収し、「銃器対策課のエース」と呼ばれるまで昇りつめるが、「日本警察史上、最大の不祥事」によって破滅の運命へと導かれる。『日本で一番悪い奴ら』の原作が、主人公のモデルである稲葉圭昭氏のノンフィクション小説『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』。この小説は同氏の懺悔録とも言える内容だが、一方で映画はド派手で浮世離れした私生活や倫理観が麻痺した姿も描くことで、笑いのエッセンスも加えている。この常に"二面性"を重視する白石監督とはどのような人物なのか。「インモラルなことをできる範囲でやらなきゃダメ」「そういうものを作る責任が自分にはある」という強い信念で突進する北海道出身の白石監督。撮影秘話のほか、「表現の自主規制」や「邦画界の未来」といった"白石イズム"の根底にも触れた。○「不正」テーマの作品に正義感はない――試写室が大混雑で、途中からは笑い声も。評判はどのように伝わっていますか。試写で入れない方がたくさんいるとは聞いていますけど……僕にはいい話しか伝わってこないですからね(笑)。まぁ、興奮気味に褒めてくださる方もいるので、まず1つ目の階段は上がったかなという気はします。――前作の『凶悪』が重いテーマだったことから、今作はエンターテイメント性に重きを置いたそうですね。原作が懺悔録のような内容だったので、「告発するヒーロー」として描く選択肢もあったのではないでしょうか。私も原作を読んだ時に、告発したい気持ちが全面に出た懺悔録だと受け止めました。ただ、100丁もの拳銃を押収するのは、「絶対に楽しいこと」なんじゃないかと。右折禁止のところで警察に待ち伏せされたことってありますよね? そういうのも、実は楽しいはずなんです。低姿勢に「すみませんね。急いでるのは分かるんですけど、免許証見せてもらっていいですか?」なんて言われますけど、こちらがキレるのを待ってますからね(笑)。警察の方も同じ人間ですから、そんなもんだと思います。このあたりのことを原作の稲葉(圭昭)さんに尋ねてみたら、やっぱり「楽しかった」と。ヤクザを養って一丁1~2万円で拳銃を仕入れるのは、コスト的に完全な赤字なわけですから、楽しさや興奮がないとやってられませんよね。――綾野さんが演じた諸星は、見方によっては仕事熱心なタイプとも。ただ、一線を越えると人が離れていくのも、残酷ではありますが現実ですね。組織というものは、調子に乗っている時は頼られますが、不要とされると煙たがられるもの。政治、野球、相撲……世の中の組織内ではだいたい同じようなことが繰り返されていると思います。――『凶悪』の原作はジャーナリズム精神で突き進む週刊誌記者の話でしたが、映画では奥さんから「面白かったんでしょ?」という核心をつく言葉がありました。そういう人間の二面性は常に意識されているんですか。『凶悪』の原作者・宮本太一さんはとてもすばらしい方ですし、ジャーナリズム精神を実践して高い評価を得た方。そこを映画で描くことは重要だと思いますが、一方で「結局それで飯食ってるやん」「何部売れたって話をしてるんでしょ」という見方もされるわけです。それはテレビやほかのメディアも同じだと思います。僕らだって北海道警察の悪事をテーマにしていますが、公開初日に果たして何人見てくれたのかはやっぱり気になります。そこには「正義」も「悪」もないと思うので、そこから一歩引いたところで見たいという思いは常にあります。――『週刊文春』の編集長を取材したことがあったのですが、仕事に「正義」はないと。同じようなことをおっしゃっていました。そうなんですね(笑)。売れるものが「良いネタ」とされるわけで、われわれもヒットをすればそれは「良い映画」になる。○シートベルトしない描写は「もっと自由を」の悪意――今回の映画では、刑事がシートベルトをしない描写がありました。表現の自主規制として、よく話題に上がるのがこの"シートベルト問題"です。テレビだけでなく映画でも、俳優さんが車のCMに出演している場合は必ずシートベルトをしないといけません。そもそも「道路交通法違反」という指摘もありますから、仮にシートベルトをしないのであれば私有地で撮るしかありません。実は今回はCG合成の停め撮り。そういった制約によって撮りたいものも撮れない時代。すごくつまらないですよね(笑)。これは良い意味での"悪意"というか。こんな自主規制をよしとするクリエイターなんて一人もいないはずですから。表現はそういうことに左右されるのではなくて、もっと自由であるべきだという、僕なりのエールでもあります。覚せい剤や濡れ場のシーンもそこに含まれるのですが、昔は映画の中で当たり前のようにやっていたこと。そんなに難しいことやっているつもりはないんですけどね。――本音をいえば、諸星が悪事の限りを尽くして絶頂期を迎える銃器対策課時代をまだまだ観たかったです。こうして観客側も倫理観が崩壊してしまうんですね(笑)。ありがとうございます(笑)。ただ、「調子に乗っているとヤケドをする」というメッセージを伝えるためには堕ちていく様も描かなければなりません。きっと人間のバイオリズムなんでしょうね。うまくいっている時もあればダメな時も。それを「堕ちていく=ダメ」じゃなくて、そういうバイオリズムの中で生きているということを客観的に映したいという思いがありました。そもそも堕ちていく人間、実は美しかったりするんですよね。――稲葉さんにも直接会われたそうですが、どんな方なんですか。人当たりがよく色っぽい方。原作にも入ってない話も聞きましたが、やっていたことがひどすぎて……。映画ではできないことがいっぱいあるなと思いました(笑)。部屋で拳銃が暴発したり、喫茶店で拳銃とお金を交換したりするシーンがありますが、実際には拳銃を喫茶店に忘れてしまったこともあったそうです。――なんといううっかりミス(笑)。上司である課長も、押収した拳銃を棚にぶん投げてましたね。ははははは(笑)。――そういう何気ない描写が、道警の体質を物語っているわけですね。ただ、道警だけでなく日本全国規模でまかり通っていたことなので、多かれ少なかれあっただろうし、やっていなくてもそういうことは必ず目にしていたはずです。●元大阪府警は絶賛も「笑えなかった」――本作でいえば勝矢さん演じる経理担当の次長が、"緩く"ではありますが「ストッパー」的な役割を果たしています。そういう正義感がある人でも、大きな組織の中では次第に染まり、「NO」という方が変人扱いされてしまう。――拳銃を押収するために密売することについて「買うんですか!?」とツッコミを入れてくれるのがその次長。ただ、その笑いが行き過ぎるとコントのようになってしまいます。そうなんですよ。そのバランスが一番難しかったです。心がけたのは「笑いをとりにいく芝居」にしないこと。組織の中で、それぞれが必死になって動いていることを念頭に演じてもらいました。――撮影初日の前夜、綾野さんとお酒を飲んで一致した部分があったと聞きました。具体的にはどのようなことだったのでしょうか。今作は諸星の22歳から48歳までを描いています。綾野くんは34歳で、経験値や想像だけではその年齢差は埋められない。そこに迷いがあったようなので、「それを埋める方法は僕もわからない。ただ、この人は真面目で一生懸命。選択肢を求められた時に、常によりベターなことを考えて実行していた。その先に事件があった。でも根底にあるのは真面目な部分。先々のことを考えず、正直に生きていたという彼の姿を1シーン、1シーンに置き換えて、まずは全力でやっていくしかない」と伝えました。そういうルール作りが互いに一致したんです。展開によってテンションをあえて変えるとか、そういう計算は一切しませんでした。人生って、そうじゃないですか? 人がいつ死ぬなんて誰にも分からない。「その時その時のことを考える」とはそういうことだと思います。○運命を変えた孝行息子"凶悪"――北海道にキャンペーンに行かれたそうですね。地元は盛り上がっていましたよ。社会正義のためだけにこの映画を作ったわけではないということが、観てくれた方に伝わったみたいなので安心しました。ただ、道警さんは面白くはないでしょうね。今でも働いている方もいらっしゃいますから。――北海道警察からのコメントは?今のところはありません。警察関係者の中で何人かは観た方もいると思いますけど……。そういえば、元大阪府警の銃器対策課の方がご覧になったみたいで、大絶賛してくれました。「周りは笑っていたけど、自分は笑えなかった」と(笑)。稲葉さんはこの映画を通して追体験するわけですから、「ひどいことしてたんだな」とあらためて感じたそうです。捕まった後に道警を擁護する場面がありますが、稲葉さんは観るたびに必ずそこで泣いてしまうとおっしゃっていました。――そういう意味でも観る人によって変化する映画だと思います。何が正義で、何が悪なのか。「だから何なの?」と思われるかもしれないですけどね(笑)。結論を訴えるのは簡単なことなのかもしれないですが、こういう実録系の話は結局、結論なんて出ない。過去にはそういう話があった……結局そこに着地します。――最近ではさまざまなオファーが舞い込んでいるそうですね。音楽を担当された安川午朗さんが「仕事を選んでほしい」とおっしゃっていました(笑)。しばらくはやれるだけやってみたいです。面白くないものはやりませんが、どんなものでも「面白い」と思ったことはやりたいと思っています。――『凶悪』で多くの賞を受賞されましたが、そこから風向きが変わった感じですか?今回の企画もこの『凶悪』という"孝行息子"がいたから。『凶悪』がないままこれを持ち込んでも、うまくいかなかったでしょうし、それはすべてがつながっていると思っています。『凶悪』がそこまで評価されるなんて……あんなひどい映画が(笑)。賞をもらいたくて映画を作っているわけではないんですが、いただいたことで今までは「白石って誰?」というところからはじまっていたのが、最近では「『凶悪』の人ね」と認識してもらえるようになりました。それに関してはよかったと思います。○これからの日本映画について――「インモラルなもの」をテーマとして掲げていらっしゃいますが、何かきっかけが?まさか自分がそうなるとは思っていませんでした。『凶悪』を撮る前ぐらいに若松(孝二)さんが亡くなられて、新藤(兼人)さんや大島(渚)さんもちょうどそのころで……。みなさんがインモラルなものばかり撮っていたわけではないんですが、日本映画の中で、ある地位を築かれていた。「大手配給の作品だけじゃない何か」というか。――エンターテイメントの幅は狭まっていると思いますか?お金をかけている映画の中では幅はあるのかもしれませんが、本来、映画はギャンブルなんですよ。当たるか当たらないかは誰にも分からない。それが分かるのであれば、当たる映画だけを作っていけばいいだけの話で。製作委員会方式が主流になると大穴は狙わずに、本命にしか張らなくなっているわけですよね。そうなるとレース自体がつまらなくなってしまう。買っても配当1.2倍みたいな。たまにはこういう、"大穴"みたいな映画にみんな張りたいはずなんですよね。――邦画界が盛り上がるには何が必要なのでしょうか。『凶悪』ぐらい低予算の枠組みで、連発して実績を残すことができれば……。2、3億かける映画でこういうものは難しいと思うので、あのぐらいのバジェットでもう少しいろんなことができる環境を作っていくことが大切だと思います。ただ、ミニシアターも少なくなってきている。そういうペイできる環境が縮小していることも、マイナス要因だと思います。シネコンに入ることができても最初の土日で評価されてしまって、お客さんが入らないものは一瞬にして淘汰されていく。そこで勝負しても瞬殺されるという厳しい現実が待っています。ミニシアター向けにその手の作品はたくさん作られてはいます。でもロングランでは上映できない。邦画の盛り上がりは興行の問題と密接なので、NetflixやHuluといった映像配信サービスで1カ月配信するという選択肢も今後重要になってくるかもしれません。■プロフィール白石和彌(しらいし・かずや)1974年北海道生まれ。1995年、中村幻児監督主催の映画塾に参加し、その後、若松孝二監督に師事。助監督時代を経て、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加。初の長編映画監督作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10年)の後、ノンフィクションベストセラー小説を実写化した『凶悪』(13年)は、第37回日本アカデミー賞優秀監督賞ほか、各映画賞を総なめした。最近ではNetflixのオリジナルドラマ『火花』の監督も務めた。
2016年07月05日「女の勘」には男子は敵いません。あなたが「なにかがおかしい・・・・・・」と思えば、とくに理由はなくても、おそらくその悪い予感はあたってしまっているはず。いろんな場面で働くことのあるこの「女の勘」ですが、とくにその命中率が高いのはどんな瞬間なのでしょうか? コミュニケーションデザイナーの佐々木栄造さんに、理由とともに伺ってきました。■1.LINEの雰囲気が違う「女性のするどい勘をもってすれば、直接話さずとも、カレのLINEの雰囲気がいつもと違うということだけでカレの心移りを見抜くことができるはずです。いつもより送ってくる時間が遅い、文章のテンションが違う。こういったものはどれもさりげない変化ですが、だからこそ嘘が上手な男子でも隠せません」さりげない変化とはいえ、長い間カレとLINEをしてきたあなたが「おかしい」と感じるのですから、必ずなにかはあると思っていいでしょう。おそらく、浮気まではいかなくても、今少しだけ気になり始めた子がいて、その子とのLINEで盛り上がっているなどが現実的な線では?■2.急におしゃれしだした「普段はおしゃれしない男子だと、服装を見ていればすごくわかりやすいです。男子は本命よりも浮気相手とのデートのほうがおしゃれをする傾向にありますから」女子だと普段からおしゃれなのでギャップは出ません。しかし、男子の場合ラフな人は本当にラフなので、「私とのデートよりもおしゃれだ・・・・・・帽子なんてかぶっちゃってるし・・・・・・」となれば、確実になにかあるでしょう。■3.冷たいけど、いつものイライラとは違う「男子は気になる女子ができると、彼女に対して冷たくなったりイライラしたりします。彼女であれば、『カレが機嫌悪くなるきっかけ』みたいなものを知っているはず。それがまったくないのに、なぜか機嫌が悪くなった。これは怪しいですよ」私なんにもカレに悪いことしてないのに、どうして今日はいきなりプンプンしてるの? そんなとき、原因はカレの気持ちがあなたではなく他のところに行ってしまっているからかも。「君より、あの子といたいのに」というフラストレーションなんでしょうね。■4.キスやエッチがいつもと違う「最後はなんといっても、スキンシップの変化でしょう。これは彼女なら絶対に見逃さないはず。『なんか愛情が入ってない気がする・・・・・・』漠然としてますが、これが最大にして唯一の理由です」これはまさに女の勘が発揮される場面。男子と違って、キスやエッチといったスキンシップに身体だけでなく「愛」を求める女子だからこそ敏感に気づく変化があるはず。その勘、大事にしてください。■おわりにいかがでしたでしょうか? 女の勘でカレのやましい言動を察知しても、証拠がなかったりするせいで問い詰めることはしないでおく人もいるかもしれません。ですが、女の勘にはロジックを超えたものすごい力があります。男子も、そのことには気がついています。いろいろと証拠を突き出すより、「なんとなくわかるの」と自信満々に言うほうが、かえってカレは観念してくれるかもしれませんし、「この子に隠し事は無理だな・・・・・・」と今後の火遊びは諦めてくれるかもしれませんよ?(P山P太/ライター)(ハウコレ編集部)
2015年12月01日最近どこか彼の様子がおかしいと思っている人はいませんか? よく「女の勘は当たる」と言われますが、これはあながち嘘ではないと思います。他の女性の影が見え隠れしているのであれば、彼が浮気しているかどうかを判断していきましょう。早い段階で解決しておかないと、大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。ただ、携帯をチェックすることに抵抗がある人も多いので、今回は携帯をチェックしなくても彼の浮気度が分かる方法をピックアップしてみました。■彼の行動スタイルをチェックして今までの彼のライフスタイルを知っているなら、ある程度、どういった行動をとっているのかも分かると思います。仕事に行く時間、休憩時間、帰宅する時間、お風呂に入って就寝する時間など、チェックするポイントは多々あります。急に連絡してくる頻度が少なくなった、寝る前には必ず電話をしていたのに最近は「疲れてるから」とそっけない態度をとるなどという場合は、浮気の疑いがあります。また、休日も仕事を理由にして会えない日が続くとなると、浮気の可能性は一気に上昇するでしょう。■携帯を触る頻度を今までと比較これまでの彼と比較して、携帯を触る頻度は高くなりましたか? あなたの目を気にして携帯を触っていたり、電話がかかってきたときに慌てるような素振りをしたり、その場で電話をしなかったりする場合は、あなたにやましいことがあるのは事実です。携帯でやり取りをしている相手が、まだ浮気相手だと断定はできないものの、あなたにとって要注意人物になることは確かだと思います。早い段階で「誰と電話していたの?」などと問いかけ、彼の出方を見極めてみてください。■急にお金に対してシビアになっていない? 彼が急にお金に対してケチになったなら、何かにお金が必要になっているということが考えられます。あなたにサプライズでプレゼントをしてあげようと考えている可能性もありますが、浮気相手がいるかもしれないと考えておきましょう。彼の言動を見ていると、何でお金が必要になっているのかもある程度予測がついてくると思います。彼の様子を伺って「最近お金にシビアよね」とひとこと釘を刺しておきましょう。そのあとの彼の対応の仕方で、浮気度を測ってみてください。引き続き後編でも、彼の浮気の可能性をチェックする方法について紹介しています。最近彼のことを疑い出している人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
2014年02月18日女性の勘は鋭く、恋人の浮気をすぐ見抜くといいます。でも、実際に女性って勘だけで浮気を見抜いているのでしょうか。そこで今回はマイナビニュース会員の女性594人に「浮気を見抜いたことがあるか」聞いてみました。調査期間: 2012/4/3~2012/4/6アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数594件(女性のみ)Q. 恋人の浮気を見抜いたことありますか?はい12%(69人)いいえ88%(525人)「浮気を見抜いたことがない」という人が多数という結果になりました。そのなかでも、浮気を見抜いたことがある人は、どうやって浮気を見つけたのでしょうか。・「見慣れないアクセサリーをつけ始めたとき」(27歳/女性)・「服装が変わってきた」(29歳/女性)急におしゃれをし始めたり、身なりを気にするようになったら怪しいというサインですね。・「急にケチになった」(31歳/女性)・「そわそわしてる」(26歳/女性)お金の使い方が変わっただけで、何にお金を使っているのか気になるのは女性ならでは?・「携帯を見たら、元カノのblogを見ていた」(29歳/女性)・「メールが素っ気なくなったので、携帯を見た。知らない女性に絵文字だらけの、長文ラブメールを送っていたので気づいた」(27歳/女性)携帯には多かれ少なかれ秘密が詰まっているってよく言いますもんね。・「mixiで相手からの足跡があった」(25歳/女性)・「ツイッター」(24歳/女性)そりゃあ、浮気をつぶやいちゃったら見つかっちゃいますね。女性はいつも相手の行動を気にして観察しているからこそ、ちょっとした変化に気づくのかもしれません。そうした優れた観察力に基づいた女の勘は……やっぱり鋭いのかも?(文/こうのゆみこ)
2012年04月26日