音楽劇『プラネタリウムのふたご』が2021年2月に上演される。演出・脚本のウォーリー木下、W主演の永田崇人と阿久津仁愛に話を聞いた。いしいしんじの小説を原作にした音楽劇で描かれるのは、星の見えない村にあるプラネタリウムで働く“星の語り部”の男に拾われた、ふたごの兄弟の物語。永田が「この作品には“人はだまされる才覚があるから、しあわせに生きていける”ということが描かれているのですが、僕もすごくそう思います。特に舞台をやりながら感じるし、舞台を観ながらも感じることです」、阿久津も「本を読んで、“うそ”や“人をだます”ということに対してのイメージが変わりました」と語る、“うそ”がキーになるストーリーだ。それを脚本にするうえでウォーリーは「小説はひとつのテーマにくくることができないような作品なのですが、その中の『僕らはどうやって“うそ”を“うそ”として受け止めて生きていくのか』というテーマに、僕は舞台人としてとても興味があって。そこはかなり深く掘って戯曲にしたつもりです。作品に出てくるプラネタリウムも、そこに本当の星があるわけじゃなくて、“光の点”を僕らは星だと思って見る。その原理は演劇ととても似ていて。そういうものが描かれる作品だからこそ、舞台で表現できることは多いと思います」トクマルシューゴの音楽を楽しみにしているという永田は「以前、ウォーリーさんがトクマルさんとつくられた『つながる音楽劇「麦ふみクーツェ」~everything is symphony!!~』(’15)を観てすごく感動したのを覚えています。なにか、わけがわからない感じで涙が出てきたんです。それは初めての体験でした」とうれしそう。その永田との共演を楽しみにしているのは阿久津。「ずっと崇人くんと共演したかった。先日、(ウォーリーが演出・脚本を手掛け、永田が出演する)演劇『ハイキュー!!』を観劇したときも感動しっぱなしでした。カッコよくて……すごく尊敬しています。W主演ではありますが、崇人くんからも学んでいきたいです」と目を輝かせる。そんなふたりにウォーリーは「ふたりが演じるふたごは“よくわからない感じ”が重要だなと思っているので、ふたりから出てくるものを見ながらやっていきたい」と話した。今年6月~7月に上演予定であったが新型コロナウイルスの影響で上演延期となった本作。「音楽も美術も衣裳も台本も揃った後に延期が決まったので、今回もっとできる部分が増えそうです」(ウォーリー)と更に楽しみな公演は、2021年2月6日(土)・7日(日)に東京・東京芸術劇場 プレイハウス、2月13日(土)・14日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホール、2月19日(金)~23日(火・祝)に東京・日本青年館ホールにて上演。チケット一般発売は12月19日(土)より。チケットぴあでは12月12日(土)からチケット先行先着販売を実施。文:中川實穂
2020年12月11日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「フットサル」です。ビッケ(ビッケブランカ)さんたちとフットサルチームを結成しました。オンラインのサッカーゲームを一緒にやっていたメンツを中心になかなか豪華な顔ぶれが集まりました。メンバーは、w-inds.の橘慶太さん、Benthamの須田(原生)さん、GLIM SPANKYの亀本(寛貴)くん、ハンブレッダーズのでらしくんなどです。フットサルチームを組んでいるミュージシャンで有名な方といえばミスチルの桜井和寿さんやナオト・インティライミさんを思い浮かべる方も多いと思いますが、その桜井さんたちも参加する音楽業界人によるフットサル大会「音蹴杯」というのが毎年、さいたまスーパーアリーナで開催されています。一応、その大会への出場が第一目標です。チーム名は「サンドバックスFC」。オンラインゲームで僕がオーナーとなっているチーム「京都サンドバックス」から新たに付け直しました。なので、形ばかりですが、これは僕のチームなんです。でも、コートを予約したり、スケジュールを管理してもらったりとみなさんに甘えてばかりいたので、ユニフォームの準備やエンブレムは「ここは俺がやらな!」と一念発起して、僕が考えて作りました。渋谷のサッカーショップまで足を運んで、生地を選んだり、背番号のフォントはこれがいいと選んだりしました。エンブレムもデザイナーさんにお願いして本格的なものを制作。制作費は僕のポケットマネーです。さらに、ユニフォームの“顔”となる胸スポンサーもゲット。提供ゼロ円ですけど、胸に「ヘアサロンロビン」と入っています。はい、僕の幼なじみの美容室の名前です。プレーの面では、僕はサッカー経験者ではないので、経験あるみなさんの指示に従っています。基本的にポジションはFW。フットサルにはオフサイドがないので、いつもゴールのギリギリ近くにいといて、仲間からのパスを待っています。なんなら相手キーパーと雑談とかしています。というのは冗談で、実はかなり動けるFWです。ゲームで培った“裏に抜ける”動きが得意なので、相手DFを惑わせる駆け引きのある走りは、かなり効果的にできていると思います。体を動かすとぐっすり眠れるし、気分もいい。ミュージシャン仲間との時間も楽しく、これ、一石五鳥くらいお得なのでは!?と、思うくらい充実しています!※『anan』2020年12月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年12月10日映画『護られなかった者たちへ』の第1弾となるビジュアルが発表された。音楽を務めるのは村松崇継、公開は2021年の秋となる。本品は「このミステリーがすごい」の受賞作家である、中山七里の傑作小説を映画化したもの。殺人事件の容疑者として追われる主人公・利根役に佐藤健、彼を追う刑事・笘篠役を阿部寛が演じるほか、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都ら日本映画界を代表する豪華演技派キャストが集結する。監督は瀬々敬久(『64-ロクヨン-前編/後編』)、脚本は林民夫(『永遠の0』)、瀬々敬久と、これ以上ない布陣で贈る第一級のヒューマンミステリーだ。物語は全身を縛られたまま餓死させられるという、異様な手口の連続殺人事件の発生から始まる。捜査線上に浮かび上がったのは、過去に起こした事件で服役し、出所したばかりの利根(佐藤)という男。刑事の笘篠(阿部)は利根を追い詰めるが、決定的な証拠がつかめないまま第3の事件が起きようとしていた。なぜ、被害者はこのような無残な殺され方をしたのか?利根の過去に何があったのか?さまざまな想いが交錯する中、事件の裏に隠された切なくも衝撃の真実が明らかになっていく。発表となったビジュアルは「容疑者×刑事」として対峙する佐藤健と阿部寛の気迫に満ちた表情を映し出す。激しい怒りをむき出しにして、刃物のような鋭い目線で睨みつける利根(佐藤)と、胸中に渦巻く想いを抱え、事件の奥に隠された真実を解き明かそうと見据えるような眼差しを向ける笘篠(阿部)。これらの表情に込められた想いとは何なのか、それぞれの想いが激しく交差した先に一体どのような真実が待ち受けるのか。さらに音楽を『思い出のマーニー』や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』等を手掛けた村松崇継が担当することも決定した。『護られなかった者たちへ』2021年秋公開
2020年12月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ヘアメイク」です。メジャーデビュー以降、テレビに出させていただく機会が増えてヘアメイクをしてもらうことがあります。これまでの人生、自分で髪型を整える場合は、アイロンでクセを伸ばすくらいのことしかしてきていませんから、ヘアメイクさんに整えていただくと、こんなに違うものかと驚くことがあります。先日も、とあるテレビ局でヘアメイクしていただいたのですが、そのときのヘアメイクさんが素晴らしかったです。僕は、昔からおでこが広くて、加齢とともに生え際が気になるように……。その上、クセ毛なのでスタイリングの仕方によっては前髪が割れちゃって、おでこがぱっくり見えてしまい残念な感じになることがあります。ですが、この方は逆毛とかを入れてちょうどよく前髪をふんわりボリューミーに仕上げてくれた。あ、この人は僕の髪質やクセの感じを理解して、こういう感じにセッティングしてくれたんやな、と思ってうれしかったです。できるだけ僕の髪や肌質のことを理解している方にヘアメイクしていただけたらと思いますが、テレビ局は局ごとにヘアメイクさんが違うので、ときには今日の岡崎体育、メイク濃いな……というときもあるかもしれません。テレビを見たファンの方々の反応が気になる部分でもありますし、もっとも厳しいチェックをするのが(マネージャーの)松下なので、彼女に「今日はいい感じですね」と言われるとホッとします。僕の場合は、メイクといっても目をぱっちりさせるわけでもなく、余分な脂を抑えたり、肌のトーンを整える程度です。たとえば、ビジュアル系バンドのように盛ったメイクはやったことがないので、いつか挑戦してみたいなという気持ちもあります。僕は、顔のパーツが結構ボヤッとしているほうなので、それがメイクによってどれくらい変わるのか。このつぶらな瞳がどれほどバチッと大きくなるのか、試してみても面白そうです。そうして美容への意識も高めていきたいものです。……とはいえ、普段の散髪は、相変わらず地元・宇治にある幼なじみがやっているヘアサロンに通っています。東京に出てきたからといって、表参道や代官山の美容室へ行くことはないですね。すごい技術があるとか、最先端のスタイルよりも、やっぱり、自分のことをわかってくれている人にやってほしいと思ってしまいます。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。『おはスタ』(テレビ東京系)火曜レギュラー。『「劇場版ポケットモンスター ココ」テーマソング集』を12/23にリリース。※『anan』2020年12月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年12月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「データ紛失」です。僕はDTMで音楽制作をしています。すべてパソコン上の作業です。なので、データの管理はとても大事。もっとも重要なことのひとつです。でもデビュー前の僕は、一切のバックアップをしていませんでした。USBに完パケのミックスデータだけを保存していて、当時はそれでいいと思っていたのです。でも実は、ひとつひとつの楽器のオーディオファイルを取り出せるパラデータというものがあって、それが残っていないと再度、制作を続けたり、ミックスやマスタリングをすることもできないんです。デビュー前、すべての楽曲データが入っているパソコンのOSをアップデートしたら音楽ソフトが立ち上がらなくなったことがありました。これはどうすればいいんだろうといろいろ調べたら、工場出荷状態に初期化したら直りますと言われました。でも当然ですが、初期化したらすべてのデータがなくなります。つまり、そのとき僕は、初期化によって、当時所持していたすべての音源の元データを失ってしまったんです。これはかなりショックでした。立ち直るのにだいぶ時間がかかりました。だから、僕にはデビュー以前の音源データがありません。曲数でいうと500~600曲くらいでしょうか。まだ形になっていない作りかけのものがほとんどですが、結構な痛手です。過去の楽曲を掘り起こして制作することができませんし、昔の音源を再ミックスしてリリースすることも不可能になってしまいました。なので、それ以来しっかりバックアップをとるようになりました。とにかく保存です。1音打ち込んだらショートカットキーの「コマンド+S」を押すくらいこまめに保存しています。常に指はキーボードの「S」上に置くくらい気を使っています。僕は、性格的にどこか抜けているところがあって、こういうことがないと気を抜いてしまうので、今となっては、あれはいい勉強だったな…と思っています。これを読んで怖いなと思った方は、本当に本当に気をつけてくださいね。仕事でさまざまなデータを取り扱う方だとか、学生さんでもパソコンでレポートを書いている方などいると思います。一瞬の気の緩みや、思いがけない負荷でパソコンが落ちることもあります。そんなときに、取り返しがつかないことにならないように、とにかくデータはこまめに保存&バックアップをきちんととること。忘れてはいけない作業です!おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。『おはスタ』(テレビ東京系)火曜レギュラー。『「劇場版ポケットモンスター ココ」テーマソング集』を12/23にリリース。※『anan』2020年12月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ご褒美」です。よく女性が「がんばったご褒美」として自分のためにエステに行ったり、ちょっといい鞄やアクセサリーなんかを買ったりするというのを目にします。僕はそういう「ご褒美」を自分のためにわざわざ考えることってないなぁって思います。実際に、念願だったさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを終えたあとも、とくにこれといったご褒美はなかったように思います。ぶっちゃけると、スタッフとの打ち上げもしていませんから。もう、たまアリ終えて1年以上たっていますが、パーッと打ち上げてさえいないわけです。でも、僕的にはそれがいいんです。だって、がんばったご褒美においしいお寿司やお肉を食べに連れていってもらったりしたら、もうそれは食べるほうが主になるじゃないですか。「おいしい」ことに目的がいってしまう。僕は、おいしいものを食べられるのはもちろんうれしいんですが、何か自分で自分を褒めたいようなことがあったら、家でひとりでじっくり浸りたいんです。たまアリのあとも、終わったら即実家に帰って、部屋でひとりで寝ているときに、ついに達成したんだって、じわーっと感動が蘇っていちばん幸せでした。そういう時間を持てることのほうが僕にとっては贅沢なことのように感じています。それで言うと、もうひとつ思い出深いのが、たまアリ終わってちょっと長めのお休みをいただいたときに、地元の幼馴染みと遊んだことかもしれません。一緒に近所のリサイクルショップで漫画を全巻一気買いして、そのあとファミマでエナジードリンクとファミチキをおごってあげて一緒に食べて。で、なんか帰る途中にやったこともないのに勢いでパチンコに寄って。でも、全然やり方わからんからすぐに終わっちゃって、「もう二度とやらん」と家に帰って漫画を読んだだけの日。多分、総額2万円くらいの出来事ですが、音楽のことも考えず友達と好きなことだけして…。そういう時間が僕にとって贅沢であり、がんばったご褒美なのかもと思いました。ご褒美は、自分にとって幸せであればいいわけで、金額の問題じゃない。そのためには、まずは自分にとっての幸せが何かを知っていることが大事ですよね。僕にとっての幸せは、友達とオンラインゲームしたり、一緒に遊んだりすること。だから、やっぱりご褒美は、それが気兼ねなくできる時間を持てることだなって思いますね。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!※『anan』2020年11月25日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「譜割」です。譜割とは音符に対して、歌詞の一音一音をどういう配分で置いていくかを考えていく作業です。基本は、メロディラインの音符ひとつに対して1文字。ですが、それに限らず音便(発音上、語中・語尾の音が他の音に変化すること)によっては2音、ときには3音流し込んだほうが気持ちいい場合もある。例えば僕の「なにをやってもあかんわ」を聴いていただくとわかりやすいと思います。冒頭の歌詞「もうなにをやってもあかんわ」は、単純に文字数で言えば13文字です。しかし、このメロディの音符の数は8音。「もぅ・な・に・を・やっ・ても・あかん・わ」と割っています。「っ」や「ん」などのほか、「かきくけこ/さしすせそ/たちつてと」などは子音である「k」「s」「t」の音だけでの表現も可能です。「く」=「ku」とはっきり発音すれば1音カウントになりますが、「クッ」と「k」の音だけで母音を崩し圧縮することが可能です。と、専門的になってしまいますが、僕はけっこうこの譜割にこだわるタイプです。でも、J‐POPでは譜割を意識せず無理やり言葉を入れたり、2音あるのに1文字しか入れていなくて気持ち悪い…と思う曲もたまにあります。でも気持ちよく譜割が入っていることが正解ではなく、逆にバランス悪くいびつに入っていることで記憶に残る場合もあるので、どれが正解ということはありません。僕は歌詞に意味を持たせず音運びの良さだけで歌詞を作ることがあり(「スペツナズ」「XXL」など)、そういう楽曲で「譜割が気持ちいいね」と言っていただけると、わかってもらえたとすごくうれしい気持ちになります。今、僕が耳にしてもっとも日本語の譜割が巧みやなと思うのは、R-指定さん。ダントツで流し込みがうまいです。ラップの部分もそうですし、サビでメロディをつけつつ言葉のフックを作るのとか、めちゃくちゃ気持ちいい音選びをされていて、これはテクニックというよりも元々持っている勘の良さ、センスではないかなと。あとは、SUSHIBOYSのファームハウスくんもいいなと思います。ラッパーの方々は日本語を既存の概念で捉えすぎないから、面白い表現がいろいろできるのではないでしょうか。洋楽にある音の取り方、韻の踏み方などを日本語の中にもうまく活かせている方々に魅力を感じます。言葉の選び方に興味を持って聴くと、また音楽の聴き方の幅が広がると思うのでおすすめです。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!※『anan』2020年11月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月16日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「曲の終わり方」です。ひとつの曲はイントロから始まってアウトロで終わります。僕はこのアウトロを作ること=曲をどう終わらせるかに、むちゃくちゃコンプレックスがあります。なぜなら、僕の中で終わらせ方が2パターンしかないからです。ひとつが「ジャーーーーン」って終わるやつ。もうひとつが「ジャーーーーン、ダダン」で終わるやつ。この2パターンでここまでやってきました。あと、最近になってフェードアウトして終わるという手法も取り入れたので、やっと3つに増えました。メジャーデビューしてもう4年半。けっこう経ちましたが、これまでこの3つですべての楽曲を乗り切ってきました。なんで終わり方の手法が増えないかというと、僕はパソコンを使って、“DTM”で音楽を作っています。いつも作業の最初に、だいたいの絵コンテみたいなものを作るんです。簡単なイントロを作り、平メロ、サビ、落ちサビはこんな感じで…と全体の構成を考えて、終わり方はまだラフコンテやし、とりあえずドラムのキックとシンバルを置いとこか、となります。で、そこから肉付けをいろいろしていくのですが、サビをこだわって、イントロはもっと工夫して…とやっているうちに気づくと締め切り間近になっている。歌詞も考えないといけないし、譜割の調整もしないと…、と作業がどんどん追いつかなくなってくる。そうなると、アウトロにとりあえず置いといたドラムとシンバル、「最初のままだけどまあええか…」と、どうしてもなってしまうんです。ほかのミュージシャンの方、どうですか。そうなりませんか?個人的には、どうにかしたいと思っている案件です。また終わり方これやん…と自分でも呆れているんですが、これまで誰からも「岡崎くん、終わり方もっと工夫できないの?」とはわざわざ言われなかったので、手数が3つから増えません。かっこいい終わらせ方を開発したいと思う一方で、もういっそのこと終わらせない、というのはどうか?という考えにたどり着きました。曲はずっと続いていて、終わらせるのは聴き手の役割にしてしまうという、聴いている人がミュートするとか次の曲に飛ばすとかしないと終わらない。そんな曲があってもいいのではないか…。現実的ではないでしょうか。でも、それくらい曲の終わり方を考えるのは難しいです。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。10月より、『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!※『anan』2020年11月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月09日共通の趣味であるオンラインゲームで親交を深めることおよそ2年。ついに待望のコラボレーションを実現したビッケブランカvs岡崎体育。岡崎体育(以下、岡):「いつか一緒にやりたいね」と言い合うのってけっこうミュージシャン同士の社交辞令あるあるなんです。でも、それをその場限りの言葉にしないで、行動に移してくれたのはビッケさん。ビッケブランカ(以下、ビ):僕、そういうのイヤなんです。やると決めたらちゃんと行動しないと。最初の一歩を踏み出すのは得意なのでレーベルと話して正式なオファーを体育さんにさせていただきました。岡:引っ張ってくれてありがとう。ビ:体育さんはいっつも空気を読みますからね。京都の方だから。壁が一枚二枚の先に障子が三枚も四枚もある。オンラインでサッカーゲームしている時だって、実際にフットサルやろうよって話になってから実現するまでに何年かかった?岡:……それも2年くらい?ビ:それだって僕が日時決めてコートを予約してやっと実現したんすよ。岡:でも僕、シューズと審判の笛も買ってちゃんと準備してたで。――互いのことを「きつね」「たぬき」と呼び、違う個性でありつつ音楽へのシンパシーをハッピーなダンスミュージックに落とし込んだ「化かしHOUR NIGHT」。昔話のように“同じ山を目指した”2匹のケモノは“まるで透明な鏡を見てるみたい”によく似ていた。茶化しながら、“こうやって何十年もばかしていたいね”と歌う二人の友情がくすぐったくも愛らしい。岡:聴き心地いいポップさと今っぽい四つ打ちテックハウス。その絶妙なブレンドはアレンジを担当してくれたビッケさんならでは。一緒に制作をして、いざやるとなったらの集中力のすごさに驚かされました。ビ:まず、体育くんが作曲してくれて、それを踏襲しながらトラックを作りました。ビッケブランカと岡崎体育、それぞれのらしさが出ていると思います。この二人でしかできないことができたよね。大きい音で聴いてほしい。デシベル勝負です。岡:ビッケさんはいつも全力、本気なのがめっちゃ素敵なんです。本当に熱い男。ゲームをしていてもめっちゃ熱い台詞言ってくれるし。ビ:ゲーム内で体育くんを助けられなかった時ね。思わず「守れなかったー!」って叫んじゃった。岡:それ、映画の主人公が言うやつやんと思いました。――当初、実は二人でバラードを作ろうとしていたという裏話もちらり。岡:なんとなく、卒業ソングを作ろうという話になったんだよね。ビ:だけど、持ち寄った曲が単独でよすぎて合わせられないぞって(笑)。岡:でも、いつかバラードもやってみたいよね。ビ:だから、正式に二人の活動名を決めてやっていこうよ。“ライクアニマルズ”っていうのはどう?岡:……なんか、プロレスラーのリングネームみたいでイヤ!楽しい二人の“ばかしあい”。まだまだ、当分は終わらなそうだ。ビッケブランカ1987年生まれ、愛知県出身。2016年メジャーデビュー。ドラマ挿入歌の「まっしろ」やSpotifyのTVCM曲「Ca Va?」が大きな話題に。得意のゲームを活かしたeSportsストリーマーとしての活動も注目を集めている。おかざきたいいく1989年生まれ、京都府出身。2016年、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。TV、映画など俳優活動やバラエティ出演などマルチな活躍も。本誌で「岡崎体育の体育ですけど、オンガクです。」を連載中。ビッケブランカと岡崎体育それぞれのvocal onlyバージョンも収録。二人のトークを存分に味わうオーディオコメンタリーも。『化かしHOUR NIGHT』【CD+DVD】¥2,000【CD ONLY】¥1,000(avex trax)※『anan』2020年11月4日号より。写真・小笠原真紀取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月03日新垣結衣と星野源が共演する「逃げるは恥だが役に立つ」の新春スペシャルドラマに新キャストとして西田尚美と青木崇高が出演することが分かった。またタイトルも「ガンバレ人類!新春スペシャル!!」に決定した。スペシャルドラマでは、原作の10&11巻を基に、契約結婚から生まれた恋を経て、みくり(新垣さん)と平匡(星野さん)がついに本当の結婚を決めた連続ドラマのその後が描かれる。また、みくりの伯母・百合ちゃん(石田ゆり子)と風見涼太(大谷亮平)のその後の関係も描いていく。「半沢直樹」の“鉄の女”ぶりが話題となった西田さんが今作で演じるのは、百合の高校時代の同級生・花村伊吹。病院で看護師長として働いており、互いにキャリアウーマンとなった2人は、卒業以来34年ぶりに再会することに。一方、大河ドラマ「西郷どん」、『るろうに剣心』シリーズなどに参加する青木さんは、平匡の新しい職場の上司・灰原慎之介役で出演。コミュニケーションスキルは高いが、体育会系のノリで下ネタも話す、平匡とは対照的な役どころ。また、みくりと平匡に訪れる人生の一大事に関わるキャラクターでもある。西田さんは「実際にゆり子さんとは20年前にドラマ で共演して以来の共演だったので、セリフがすごくリンクして、本当に友達と久しぶりに会えた感覚で現場に居させていただきました」と撮影に参加した感想を語り、「『いろんな人がいる。いていいんだよ』っていう、見てくださる方の気持ちが楽になるような、そういう風になれば良いかな」とコメントしている。出演決定時は「ひっかきまわしてやろう」と思ったという青木さんは、「このドラマは悪者が出てくるっていう訳ではないですし、それぞれ等身大で、皆さんの周りにも居そうなキャラクターの人たちが描かれています。その複合体が社会なんじゃないかなって思いますし、そこを丁寧に描かれていると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください」と視聴者へメッセージを寄せた。「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」は2021年1月、TBSにて放送予定。(cinemacafe.net)
2020年11月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「誰かに歌ってもらうこと」です。すでにニュースにもなっていますが、12月25日に公開されるポケモン映画の最新作『劇場版ポケットモンスター ココ』のテーマソングを担当しています。全部で6曲も書き下ろさせていただき、映画のシーンに相応しいさまざまなアーティストの方々に歌唱のお願いをしています。なかでも、メインテーマである「ふしぎなふしぎな生きもの」は絶対にウルフルズのトータス松本さんにお願いしたい!これ、トータスさんに歌ってもらえないんだったら、俺はこの仕事を降りる!と、半分本気で思ったくらい、この人しかおらんと思ってお願いしました。快く引き受けてくださったトータスさんには本当に感謝しかありません。キャリアでいったら超がつくほどの大先輩です。こんな30そこそこの若造の曲を、よっしゃ、歌ってやろうと参加してくださったトータスさんの心意気、めちゃくちゃありがたかったです。なので、僕も120%の力で楽曲制作しました。僕のキャリアハイのひとつとなる楽曲になったのではないかと思います。今回、なぜトータスさんにメインテーマをお願いしたかというと、矢嶋(哲生)監督から、「この映画では、全国の父ちゃんを泣かせたいんだ」というのを伺っていたからです。僕の知る限りで、もっとも父ちゃん感のあるアーティストがトータスさんだった。男っぽさと包容力。まさに理想の親父です。なので、レコーディングのときも、監督の言葉をそのままトータスさんにお伝えしました。そして、さすがトータスさん、見事に歌ってくださり、僕の理想通りの一曲に仕上がったと思います。映画音楽を制作することは僕のひとつの夢でもありました。自分のやりたいことをやるよりも、ひとつの作品の一部分として裏方に徹する。監督が実現したい世界を音楽から手助けすること。それを素晴らしいミュージシャンの方々と一緒にできることは、本当に贅沢で幸せなことだなと思います。また、自分の名義で誰かに歌っていただくことは初めての経験でしたが、誰かに曲を提供するのとはまた違った感覚なのだなと改めて感じました。提供曲と違い、最終的なクレジットは岡崎体育です。最後の最後まで見届ける責任があるし、せっかく客演で参加してくださった方々の顔に泥を塗らないようにしないといけない。ひとりきりでやるのとは、また違うプレッシャーがあるんだなと勉強になりました。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。10月より、『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!※『anan』2020年11月4日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年11月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「弟子」です。いつか弟子をとってみたいです。クラシック音楽の世界では誰かに師事するなどあると思いますがJ-POPでは弟子の概念はあまりない。だからこそ、岡崎体育がJ-POPにおける師弟制度を採用したい。イメージは、Jリーグの京都サンガ F.C.が実践する選手育成のためのスカラーアスリートプロジェクト。第一線で活躍するプレーヤーや監督、スタッフが高校生たちに直接指導をするプログラムがあるのですが、これを僕自身もやってみたいんです。本気でメジャーデビューしたい、音楽で生計を立てたいと思っている人に、今まさにミュージシャンとして活動している自分の姿を通して、その経験やノウハウを伝えられたらいいなと思いました。また、誰かに教えることで、自分のこれまでの活動や考え方を言語化できるのもいいなと思っています。そういう機会がないと、あらためて考えることができなそうなので。教えるために、自分の考えや取り組み方をまとめて、果たしてそれがちゃんと伝わるのか。それを受けて、デビューを迎える弟子が誕生するのか。やってみたいです。じゃ、どうやって弟子をとるのかというと、道場を構えるわけにもいかないですから、そこはソニーミュージックに新しい部門を発足させたいですね。あくまで窓口はソニーミュージックです。弟子の生活費とか鍛錬に必要な機材やステージなどもレコード会社側に支援いただいて。僕はできるだけ責任を負わないでいい立場で師匠としてどんと構えていたい。そして撮影現場などに弟子が来てくれて、僕の身の回りの世話などしてくれたらうれしい。お茶とかサッと出してほしい。憧れます。レコード会社がプロジェクトとして取り組めば、師弟制度がJ-POP業界でも当たり前になっていくかもしれない。僕の弟子は屋号の「岡崎」が使えますから、何十年後かには「今週のヒットチャート、岡崎が4人も入ってるやんけ」となるかもしれない。「いや、ビッケも6人おるで」とか「米津家も相変わらずすごいな~」とか。そういう家系図のようなつながりがオーディエンスに見えるようになるのも面白そうですよね。……って、米津くんは間違いなく弟子はとらなそうです。名前はもっとも師匠らしいんですけどね。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。10月より、『おはスタ』(テレビ東京系 月~金曜7:05~7:30)の火曜レギュラーとして出演中!※『anan』2020年10月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年10月23日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「死ぬまでにやりたい100のことリスト」です。以前から作っていた「死ぬまでにやりたい100のことリスト」がついに完成したので先日、ツイッターで公開してみました。結構、反響があって63番目に書いた「岡崎慎司選手とサッカーをする」では、実際に岡崎選手からレスをいただいたり、48番目に書いた「ホストクラブに行く」でも、現役ホストの方から連絡があったりしました。そもそもは、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが共演した『最高の人生の見つけ方』という映画に出てきたバケットリスト。余命6か月の彼らが人生でやりのこしたやりたいことをリストにしていて、それを僕も真似して、短い人生の中でやりたいことは何かと考えてみることにしたんです。始めたのはデビュー前の2013年です。最初に書いた大きな願いは「作曲家になる」と「さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをする」でした。その2つともすでに叶えているって、かっこよすぎると思いませんか?ほかにも「Eテレでレギュラー番組を持つ」とか「RIJF(ロック・イン・ジャパン・フェスティバル)のグラスステージでライブをする」なども、最初のころに書いていたので、すでに叶えていることが本当にうれしい。ここまで大きな願いを叶えていることで、俺はなんでもできるぞ!と自尊心を得られたこともあって、前向きにリストを追加していくことができ、今年ついに100個を考え切ることができました。リストを見た方々からは自分も真似してやってみたいと、たくさんのコメントをいただきました。実際、やって公開している人も多いです。自分がやりたいことに対してモチベーションを持って取り組めるようになると思うので、まだの方はぜひトライしてみてください。リストの作り方のコツは、できるだけ項目を抽象化せず具体的に書くことですね。たとえば「人に優しくする」だと、判断基準がどこにあるか難しくてどのタイミングで達成といえるのかわかりにくい。まず具体的なこと、さらに数字をつけると目標化しやすいです。リフティング100回とかアルバム30枚とか。あとは、1~20番は仕事のこと、21~40番は私生活、41~60番は行きたい場所とかカテゴリーを分けてみると作りやすいかもしれません。まあ、とにかくみなさんやってみてください。自分がやりたいことを100個見つけるって、意外とめちゃくちゃ大変ですから!おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。ビッケブランカさんとのコラボシングル『化かしHOUR NIGHT』(avex trax)が、10/28発売に!※『anan』2020年10月21日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年10月18日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「やる気」です。制作期間が続いています。やらないといけないことが増えれば増えるほど、すべてのことができなくなるってありませんか?大きく気になることがひとつあると、友達へのメールの返事も、洗濯機を回すのもできなくなる。悪循環です。やりさえすれば、2~3分で終わることもあるのですが、どうしても実行に移せない。ああ、こうやってゴミ屋敷って生まれるんやなぁと思います。みなさんは、そういうときどうやって“やる気”を出していますか?僕は、やる気が出ないときは、とにかく寝るしかないなと思って、とりあえず寝てしまいます。音楽家の作業として、どこでやる気が停滞してしまうかというと、人によってそれぞれあると思いますが、僕の場合はいつも最初の最初で悩みます。着想がとにかく大事なので、アイデアさえ思いつけばそのあとはオケをつけるとか、肉付けする、歌詞を書く作業は、スルスルと軌道に乗るんです。でも、このアイデアを出すというのが本当にしんどい。ネタ曲を得意としているので、どなたかの依頼を受けるときも、ちょっと変わったひねったテーマをいただくことが多いです。まあ、たいてい無茶振りです。「こんな、あるあるできますか?」とか「こういうものをいくつかオムニバスで構成してほしい」とか。そういうときって、なぜか打ち合わせでは「できそうっすねー」と答えてしまうのですが、家帰ってから「え、あれ、どういう意味?」となることが多く、時間がかかります。そして、僕はソロアーティストなので、要求がどんなに難しくても自分ひとりで考えてアイデアを出す必要があります。レコード会社やマネージャーなど僕のチームとして働いてくれるスタッフはいますが、さすがに曲は書いてくれない。だから、ここは踏ん張って僕がひとりで乗り越えないといけないんです。やる気が出ないとしても締め切りはやってくるので、日々がんばっています。ここ最近、岡崎体育名義でのリリースはないですし、ライブもほぼない。だけど水面下でいろんなプロジェクトが進んでいて、それぞれに対してやる気を出そうと寝て、起きて…としていますのでそれはわかってほしいです。でも、納期に追われながら、ひいひい言いつつ作業をしていると、僕も本物のミュージシャンになったものだな…とあらためて実感できて、辛い半面ちょっとうれしくもあります。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。ビッケブランカさんとのコラボシングル『化かしHOUR NIGHT』(avextrax)が、10/28発売に!※『anan』2020年10月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年10月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「SNSからメジャーへ」です。このところCDデビューやリリースをせず、YouTubeやTikTokなどSNSでの発信から話題になるミュージシャンが増えています。それをひとくくりに「SNSから生まれた」と言うのはもはやナンセンスなくらい、当たり前のことになってきていると思います。10代、20代からしてみたら、この時代、自己表現したかったらそりゃ誰でもSNSで発信するやろ、と思うので、「SNSから生まれる」というのはもうごく普通のこと。それをことさら強調するのは、単純に「若者に人気がある」ということの言い換えでしかないと思います。確かに20~30年前と比べると、音楽の流行の仕方ってまったく違うのではないかと思います。従来、ミュージシャンはレコード会社がオーディションやライブ、ストリートなどでスカウトCDデビューTVやCM出演ヒットが順当な流れでしたが、今はSNSなどでのミュージシャンの発信が、直接リスナーに届いています。そこで多く反響のあったもの、話題になっているものをレコード会社があとから追って契約し、CDリリースしたりTVに出たりする。レコード会社とリスナーの順番が逆になっているんです。リスナーは、これまではTVで見たり、CDを買ったりという受け身でしかなかったけれど、今はSNSやサブスクで、自分でいいと思うものを能動的に探して、見て、聴ける時代。それがリツイートやコメントなど口コミで広がってムーブメントになっている。これは、レコード会社の在り方が問われることだと思います。だって、リスナーより耳の遅いレコード会社ってどういうことやねん、と思いますから。そして、それはレコード会社だけでなくミュージシャン自身にも言えることです。レコード会社におんぶに抱っこでは売れない時代。自分で考えて、発信をしていかないと置いていかれる。これは、前からこの連載でも言っていることですが念押しで、“今はミュージシャンが自分で自分の売り方を考える時代”になっているんです。…と、偉そうに言ってる僕ですが、僕自身は今のマネージャーの松下にライブハウスでスカウトされてレコード会社に入ったので、古い方のスタイルにギリギリいた世代。だけど、ゲーム配信やインスタライブなどSNS発信は、デビュー以降も僕が勝手に考えて自由にやらせてもらってます!おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の新コンテンツ「THE FIRST TAKE FES」への出演が話題に!※『anan』2020年10月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年10月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「NiziU」です。韓国大手芸能事務所のJYPエンターテインメントとソニーミュージックが共同で企画したオーディション番組から生まれた、9人組グローバル・ガールズグループ“NiziU”が話題です。僕もたまたまテレビで見て、面白い企画だなと興味を持ちました。これまでも、オーディションなどでメンバー選出、そこからのメンバーたちの下積みを見せるアイドルグループとその成長を追ったドキュメンタリータッチの番組はありましたが、それを日韓の共同で、しかも韓国のプロデュース方式を使って世界水準のアイドルを目指すというのが新しくていいなと思いました。これは、単に新しいスタイルのアイドルが誕生したというのではなく、日本の音楽業界のあり方、動き方にも大きな変化を与えるきっかけになるのではないでしょうか。日本でヒットする音楽って世界から見たらちょっと独特で、独自のルールがあって、ガラパゴス化しているなどとよく言われます。サビがないと売れないとか、日本語の歌詞じゃないと売れないとか。日本では、こうじゃないと売れないというルールがどうしてもあるのが現状です。僕自身は、それを面白いと感じているタイプで、自分の発信したい音楽を日本的なスタイルの中でどうすればみんなに受け入れてもらえるかをいつも考えています。でも、僕は10代のころから洋楽が好きで聴いているので、w-inds.の橘慶太さんのようなグローバルな音楽トレンドを意識的に取り入れている先鋭的なサウンドメイクもいいなと思うし、それがもっと認められる日本の音楽シーンであってほしいとも思います。日本が作り出す音楽が世界に出ても引けをとらないくらい、何ならめちゃくちゃヒットするくらいに追いついたら、それはそれで最高です。つまり、日本的な独自の発展も、世界のマーケットを視野に入れた活動もどっちも面白いと思うし、大事だと思う。これはどっちとも言い切れない複雑なところです。その一方で僕が作った『ポケモン』の主題歌が世界中のテレビやネットで流れることで評価されることもある。ある日突然、ブラジルの若者から「ナイスミュージック!」とコメントが届いて驚かされることもある。海外の標準やマーケットにこちらが合わせなくても評価してもらえることだってあるんです。だからこそ今後、NiziUが日本で、世界で、どんな旋風を巻き起こすのか、いまから楽しみです。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の新コンテンツ「THE FIRST TAKE FES」への出演が話題に!※『anan』2020年9月30日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年09月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「歌入れ」です。普段のレコーディングでは気に入った音が録れるまで何度もテイクを重ねます。とくに歌入れでは、僕はまあまあテイクを録るほうだと思います。歌がうまくないので、ピッチが外れていたとか、タイミングが合ってないなどテクニック的なところで納得するまで歌入れをします。歌入れをするときは、一気に歌うのではなく、まずAメロ、次にBメロと区切って入れていきます。細かく区切ったほうが、さらに丁寧に間違いなく歌うことができるからです。ひとつのラインにつき、だいたい10テイクずつくらいは録ってます。時にはこれが、15とか20くらいになるときも。そうなるとだんだん何が正解かわからなくなってきます。僕の場合は、周囲のスタッフをとても信頼しているので彼らのジャッジが頼り。チームみんなでいいテイクを選んでいます。こんないい環境で歌入れができるようになったのは、当然、メジャーデビューしてからです。インディーズ時代は実家でひとりで歌入れをしてました。実家で歌入れができるのは11時~14時の3時間だけ。パソコンで作業できるオケ作りはヘッドホンをしていれば深夜でもできますが、歌入れはできる時間が限られています。音を出すから夜中はできません。かといって日中も、余計な音がしない時間帯を選ばないといけない。11時ごろまでは洗濯物を干したり、掃除したりと家族の生活音が気になるし、それが落ち着いても14時を過ぎると小学生の下校が始まるのでその音に邪魔される。だから、だいたい11時から14時までがもっとも静かに音入れができる時間です。そこで急いでレコーディングするので、インディーズ時代はそんなに丁寧にテイクを重ねるなんてことはなかったと記憶しています。歌入れにもっともこだわったのは、最初のアルバム『BASIN TECHNO』ですね。こだわったというか、本格的なレコーディングが初めてだったので、慣れるまですごく時間がかかった記憶があります。このアルバムではMISIAさん、加藤ミリヤさん、AIさんなどを手がける与田春生さんとレコーディングをしたんです。ディーヴァ系を得意とする名プロデューサーの方です。歌もうまくない、田舎から出てきたようわからん兄ちゃんが歌う歌に根気よく付き合ってくれた。あらためて、歌姫要素ゼロの僕に奇跡のディレクションをしてくれたな、と思います。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の新コンテンツ「THE FIRST TAKE FES」への出演が話題に!※『anan』2020年9月23日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年09月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「一発録り」です。「レコーディングで一発録りをした」なんていうコメントを雑誌のインタビュー記事などで見かけることがあると思います。みなさん、「一発録り」とは、どういうものを想像されますか?言葉の通り受け取るとバンド全員で一斉に演奏して、それ一発で決めることのように思いませんか?僕もずっとそうだと勘違いしていました。ライブのように一発で決めることを指すのだと。ディープ・パープルの名曲「SMOKE ON THE WATER」で有名なギターリフをリッチー・ブラックモアがミスピックしたけど、そのまま収録された音源があります。ああいうのを「一発録り」やなと思っていましたが、あれはライブ盤であり「一発録り」とは違うそうです。実際の「一発録り」とは、メンバー全員が同じ空間で同時に演奏していることは間違いないのですが、その演奏がたった一度きりとは限りません。僕がバンドをやっている友達に素朴な疑問として「この前、一発録りしたって雑誌で読んだけど、そんなにうまいこと演奏できるもんやねんな」と感想を述べたところ、「いや、確かに一斉に演奏はしてるけど、それを何回も録ってるんやで」と教えてもらったことで、そのことが判明しました。ファーストテイクで決めなくてはいけないわけではなく、何テイク録るかはうまくいくか次第なんです。だから、正確に言うと「一発録り」とは「一斉録り」または「一気録り」のことなんですね。ちなみに「一発録り」の対になるのが「バラ録り」です。これは、ひとつずつ楽器の演奏を録音していって、音を重ねていきます。「一発録り」のメリットとしては、一体感があるということでしょうか。バンドとしてのグルーヴを出したいなら、一斉に演奏したほうが、それが醸し出されるはずです。デメリットは、録音の難しさがあると思います。バンドの形態に合わせてマイクもたくさん立てないといけないですし、ギターとベースはめっちゃうまくいったけど、ドラムがイマイチだったから録り直ししないとあかんとか、全員の息が合ってないと難しい。バラ録りなら、それぞれのベストテイクを使えばいいわけですから、それぞれにいいところ、難しいところがあります。とはいえ、僕は常に一人きりなので、ある意味何やっても「一発録り」です。常に緊張感を持って、一人でレコーディングしております。おかざきたいいく『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の新コンテンツ「THE FIRST TAKE FES」への出演が話題に!※『anan』2020年9月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年09月14日2020年9月9日から放送の『トヨタ自動車』のミニバン『ヴォクシー』のCMで、俳優の青木崇高(あおき・むねたか)さんと妻で女優の優香(ゆうか)さんが夫婦として初共演。同CMには、青木崇高さんが登場する『父と娘』篇と、優香さんが登場する『母と息子』篇の2つがあります。青木崇高、親子デートでアドリブCMでは、青木崇高さんと優香さんがそれぞれ子供役と『親子デート』。2人がデートとしてとっておきの場所に子供を連れていくという、親心あふれるシーンを見ることができます。青木崇高出演CM『父と娘』篇青木崇高さんは、森林や海岸といった自然あふれる場所をドライブし、ワイルドな父親像を見せました。CMでは助手席の娘から「パパよりかっこいい人と結婚できるかな」と尋ねられ、「楽しみだな」と答えた青木崇高さん。実はこのシーンで青木崇高さんは「そんな奴いる訳ないだろ」とアドリブを入れたそうです。父親の本音ともいえる言葉に、撮影スタジオでは笑い声が響いたといいます。優香出演CM『母と息子』篇一方、『母と息子』篇では優香さんが母親としてハンドルを握り、息子とデートを楽しんでいました。優香さんはレザージャケットに赤い口紅というクールな姿。「こんなおしゃれでスタイリッシュなママなんてうらやましい!」と、見た人からは歓声が上がりました。優香・青木崇高出演CM『親子デート』ロング篇さらに、優香さんと青木崇高さんが共演する『親子デート』ロングバージョンはWEB動画として公開。2人の共演は結婚後初めてということで、注目が集まっています。青木崇高さんと優香さんは2016年に結婚後、2020年4月に第1子に恵まれました。2人の子供に対する愛情が、CMからも伝わってくるようです。青木崇高と妻・優香の結婚生活に「うらやましい」の声ブログのセンスがやばい…優香が出産を発表し「温かく見守って」『羊の木』での演技が「セクシーすぎる」と話題に[文・構成/grape編集部]
2020年09月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「旅の準備」です。なかなか自由に旅行もできないいま。だからこそ、行ってみたい場所のことをよく考えています。ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)と一緒にやっているNHKのレギュラー番組『よなよなラボ』で、自分にフィットする国を探すという企画をやりました。そのとき、僕の希望にもっとも適している国はフィンランドだという結果が出た。それ以来、フィンランドに行ってみたいと思い、いろいろ調べたり学んだりしています。まず、手始めにフィンランド語のドリルを購入しました。さらに、フィンランド語が学べるアプリにも1450円も課金し、本気で勉強しています。フィンランド語って、世界の中で難しい言語トップ5に入るらしいです。ただ、基本的にローマ字読みで発音できるので、日本人には比較的呑み込みやすい言語かもしれません。とはいえ、おはようが「Hyvaa(※aのウムラウト) huomenta!(ヒュヴァーフオメンタ)」と何一つ馴染みのない言葉なので、呪文を覚えるように、ひとつひとつ丸暗記しながら覚えています。何年後かに岡崎体育がフィンランド語ペラペラになったら面白くないですか?日本から意外と近いところもいいなと思っています。ヨーロッパの中では近いほうで、直行便なら10時間前後で到着します。飛行機が苦手な僕もギリギリ耐えられるライン。がんばって耐えたいと思います。じゃあ、実際に行けることになったら何をしたいかというと、地平線を見たり、自然に触れたりしてのんびりしたいです。何もないシンプルな国というところに惹かれているので、情報過多な日本から離れ、気疲れの多い日常を癒したい。季節は夏がいいと聞くので7月とかに行ってみたいですが、僕の「死ぬまでにやりたい100のリスト」に「オーロラを見る」という項目があるので、冬に行ってオーロラを見たいなとも思います。音楽的にも、訪れたことで何か刺激を受けたいですよね。雄大な自然の景色とか、その地で出会った人々や街の様子から、何かインスピレーションを得られたら最高。これまでと違う感性で曲を書くことができそうです。以前、僕はモンゴルに行きましたけど、モンゴルでは大自然の中に浸りすぎてしまって、気づけばひとフレーズも出てこなかった。もったいないことをしたので、フィンランドでは感性を研ぎ澄ませ、何節かは思いつきたいところです。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。※『anan』2020年9月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年09月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「天気」です。雨が苦手です。低気圧で頭も痛くなるし、肩も凝るので制作にも影響が出ます。ずっと家の中で作業をする日々なので、疲れた時、晴れていれば気分転換に散歩がてら近くのコンビニまで飲み物を買いに行くこともできますが、雨だとそれもできません。太陽の光を浴びる、外の匂いをかぐだけでリフレッシュできますが、雨だとなんかずっと家で、じとじとじめじめしてしまいます。でも、それがいいというミュージシャンの方もいると思います。雨のほうが、しっとりとして情緒ある曲が書けるとか、集中できるとか…。天気や気温、気候は確実に音楽制作に影響しますよね。音楽制作は、室内にこもる作業とはいえ、やっぱり夏の暑い日と冬の寒い日では作る曲に差が出ると思います。これが、ライブとなるともっと明確に雨がイヤです。今でこそ、レコード会社に車移動させていただいていますが、インディーズ時代やデビュー当初は、基本電車移動でした。僕は、機材をキャリーケースで持ち運んでいます。雨だと駅からライブハウスまで歩いて行かないといけない。機材を濡らすわけにはいきませんから、自分は雨ざらしでびちゃびちゃになりながら、傘で機材を守って歩くのは、本当にストレスが溜まる。会場に着くころには気分は最悪になっています。雨のライブは憂鬱です。デビューから1年間くらい、なぜかライブを開催すると雨になることが多かったんです。ライブ当日が75%くらいの確率で雨。その頃はちょっとしんどかったですね。だから、もし僕がフェスを主催するとしたら、絶対に屋内フェスにします。雨だと本当にテンションがだだ下がりになるので、主催者としてみなさんをお迎えする気分にはとてもなれない。それは避けないといけないので、やるとしたらきっと屋内フェスでしょう。とはいえ、僕は「雨女」とか「晴れ男」みたいな考え方は採用していません。どんな天気に恵まれるかは、これ、単純な運ですから。ときどき「俺が行ったら、晴れるから大丈夫」的なことを自信満々に言う方がいますが、お前どの目線で話しとんねん、と正直思います。気軽に、天気を操ってる側に立つなよ、と。僕は、さきほど話した雨が多かったデビュー1年目以降は、ライブは好天に恵まれがち。でも、それを自分が「晴れ男」だからとは申しません。晴れの日がたまたま多いだけです。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。※『anan』2020年9月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年08月31日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バースデーソング」です。先月、7月3日に誕生日を迎え、31歳になりました。そのときに、みんなが歌えるような僕なりのバースデーソングを作ってみたいとふと思ったんです。誕生日の歌ってやっぱ「ハッピ バースデー トゥー ユー」と歌う「Happy Birthday to You」が定番ですよね。最近、僕がハマっているBTSの動画を見ていたら韓国語版の「Happy Birthday to You」を歌っているシーンが出てきた。韓国では「センイル チュッカ ハムニダ~」と、韓国語で歌うんです。日本は英語のまま歌うから、その違いが面白いなと思いました。日本語でも「たんじょうび~ おめでと~」と、言葉数からいくとハマりそうなものですが、英語バージョンが一般的ですね。あと、リズムの取り方が違うんです。日本だと3拍子のリズムだけど2拍で刻むから、「こそばゆ!」ってなります。バースデーソングを歌うタイミングはやはりケーキを運んでいるときとか、ロウソクを吹き消す前でしょうか。だからあまり長すぎずにコンパクトに歌える曲がいいですよね。コロナの影響で、手を洗いながら「Happy Birthday to You」を2回歌うとちょうどいいと言います。だいたい30秒くらいだそうです。バースデーソングで有名な曲というとスティーヴィー・ワンダーの「Happy Birthday」もありますが、この曲はサビにたどり着くまで1分半くらいある。TV番組など編集してうまく使えるときはいいですが、サブスクで流すとかカラオケで歌うときは、“ハッピー バースデー”ってワードにたどり着くまで少しだけ時間がかかるので要注意です。個人的な誕生日の思い出はそんなに派手なものはないですね。家族からプレゼントもらって、夕ごはんがいつもより豪華になる。最近では、マネージャーとディレクター、そして僕の“岡崎体育チーム”の3人で誕生日にプレゼントを贈り合っています。僕はソロなので、バンドやグループ内でメンバー同士でプレゼントを贈り合うみたいなやつができない。なので、事務所やレコード会社の人に付き合ってもらっています。毎年、プレゼントには“しばり”を設けます。足元のモノとか、電池で動くとか。今年は色しばりです。僕はオレンジ、マネージャーは蛍光色、ディレクターはグリーン。さらにファッションアイテムは禁止という厳しいルールも上乗せしたので、モノ選びが難しくて全員で苦労しました。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。※『anan』2020年8月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年08月24日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「和歌」です。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌で「ニニニニニ」という曲を書かせていただきました。源氏物語といえば宇治、和歌といえば宇治なので、宇治出身のミュージシャンとしてはこの上なくうれしいお仕事でした。Aメロでは、紫式部の「世に知らぬ 心地こそすれ 有明の 月の行くゑを 空にまがへて」そして「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に雲隠れにし 夜半の月かな」という有名な2つの短歌を使わせていただきました。カルタで百人一首を読み上げるときと同じような抑揚をつけて、メロディラインを考えて、それもまた楽しかったです。長い歴史をもつ紫式部さんからしても、自分の和歌にメロディをつけて一つの曲としてリリースされるというのは、今までなかった経験だと思います。こんなデブのシンガーソングライターが勝手に売り出しているという事実、どう思ってはるんやろか。でも、地元の先輩だし、笑って許してくれるはずです。「ニニニニニ」というタイトルは曲を聴いていただければ、どういう意味かわかると思います。古の人たちは、5・7・5・7・7という31音に乗せて、愛の気持ちを伝えていた。和歌とは、ラブレターのようなものであり、短いラブソングでもあります。でも、現代の若者にとって、31文字に自分の気持ちを込めるのって難しいこと。もう単純に「好き」の2文字だけで十分。それがつまり、字足らずの「ニニニニニ」です。サビでは「好きー好きー好きー好きー好きー」と「好き」を連呼しようと思いついたとき、めっちゃええのができたと思いました。のちに、いしわたり淳治さんが、この歌詞のコンセプトをめっちゃ褒めてくださっていてうれしかった。日本を代表する作詞家の方に、天才と言っていただいたので、あ、俺、天才なんだなって素直に思いました。ありがとうございます。時代が違えば「愛している」の表現もがらりと変わる。和歌について考えているときには、現代のラブソングの名手たちが和歌を作ったらどんな想いを31音に込めるのだろうと考えたりもしました。逆に、紫式部がいま生きていたとしたら、どんなラブソングを作るんやろうとも思います。時代ごとに、歌の表現ってルールや枠組みがある。その中で、それぞれが、ずっと変わらない普遍的な“愛”を伝えあっているのって面白いことだな、とあらためて思いました。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題の『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。8/10(月)21:00~、BSテレ東特番『社歌で日本を元気に!シャカリズム』に出演。※『anan』2020年8月12日-19日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年08月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「NG項目」です。よくタレントさんが「NG項目」があると話していますが、ミュージシャンにもそれぞれNGなことがあります。よく事務所に質問としていただくのが、食べ物で苦手なものはありますか?というもの。フェスやライブでは、お弁当やケータリングで食事を出していただけます。その際に、アーティストが食べられないものがあってはいけないという配慮から、わざわざ聞いてくれるんです。僕は苦手な食べ物はほとんどないです。まあ、ひとつだけ苦手な食材があり、そしてそれをマネージメントサイドにも伝えていて「もし、これが入っている料理が出てきたら、俺はちゃぶ台をひっくり返すで」と言ってありますが、普通にちょいちょい出てきてます。なので、がんばって食べています。それくらいNGはありません。……もうひとつあるとするなら、宿泊するホテルのトイレは温水洗浄便座がついているとありがたいというくらい。それも、まあどうしてもついている宿が見当たらないのであれば仕方ないよね、と思います。海外のミュージシャンともなると待遇や食事のこと以外にも、ベッドの硬さまで細かく指定してくる方もいるそうです。そういうことを言えるようになったら本物のアーティストなのかな、と思う一方で、他の同世代くらいのミュージシャンが、スタッフに「これはできない」「こうはしたくない」と強くあたっているのを見かけると、なんかもったいないなあとも思ってしまいます。だって、これが普通のサラリーマンだったら絶対にありえないことじゃないですか。同世代やもっと下の10代、20代の人間が「これがNGです」と言って、まかり通る世界は他にないと思います。これを、当たり前と思ってはいけないと思うので、僕はマネージメントに強くはお願いしない。もちろん、「NG項目」は音楽制作やライブでのパフォーマンスに影響が出ないように周囲のスタッフが配慮してくれた結果としてあるもので、必要なものだと思います。だけれど、それに甘えてアーティスト側が過剰になりすぎて、“面倒な人”になるのも違うと思う。だから、僕は正直言うとジェットコースターも嫌だし、高い場所もめちゃくちゃ怖い、お腹がつかえるので正座も苦手……と、実際はNG多めの人間。でも、これをNG項目とは言いません。必要であれば、高~い崖の上にも立ちますし、足が痺れまくっても、泣き事言いません!おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題の『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。8/10(月)21:00~、BSテレ東特番『社歌で日本を元気に!シャカリズム』に出演。※『anan』2020年8月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年08月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「BTSが好き」です。ここ半年くらいさらにどっぷりBTSの魅力にハマっています。最初は、YouTubeでMVを観る程度だったのですが、この4月にリリースされた大阪・ヤンマースタジアム長居公演のブルーレイも購入しまして。以前は、まだメンバー全員の顔と名前が一致しない…くらいの感じだったのですが、今や全員の個性までしっかり把握しています。BTSは、ラップやダンスがうまいメンバーもいれば、歌がうまい、芝居ができる、曲が作れるなどそれぞれの個性がめちゃくちゃしっかりある。それが素晴らしいです。まるで少年漫画です。「こいつにはこんな特殊能力があるんや!」と、登場人物それぞれのキャラクターにワクワクするように、メンバーの個人個人の魅力を堪能することができます。とくに僕が大好きなメンバーは、J-HOPE。彼はBTSのダンス番長。ダンス初心者の僕から見ても、そのすごさがよくわかります。筋肉のしなやかさ、ずば抜けた表現力に見惚れます。また、もうひとつ魅力なのは彼の人柄の良さ。すごくキャッチーな方でファンに対するサービス精神もすごい。個性がそれぞれ異なるBTS。メンバーの中にはクールな方もいるわけです。そんな中で、彼はムードメイカー的な役割でグループ内のバランスを見事にとっています。実は、BTSのメンバーには以前、Mステスーパーライブでお会いしています。そのとき、僕は口パクで水を飲むというパフォーマンスをしたのですが、終わった後、彼らから「(歌っている途中なのに)水を飲んだ!」「すごく面白かった!」と褒めていただいた。もう、彼らは覚えてないと思いますが、あらためてうれしかったですね。彼らのライブ映像を観ていて勉強になるなと思うのは、ステージに立つ者としての矜持。僕は、観客のみなさんに「きゃー!」と歓声をあげていただくと、「俺なんかにええて」「そんなん言わんでええよ」と、つい照れてしまう。でも、彼らはそういう中途半端な感情は一切持っていない。動きひとつ、目線ひとつが完璧で、本気でファンの方々を楽しませよう、愛そうとしている。そこに一番、痺れています。僕も見習って、次ライブをやるときには、照れずにめちゃくちゃファンの方々を愛そうと思います。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題の『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。8/10(月)21:00~、BSテレ東特番『社歌で日本を元気に!シャカリズム』に出演。※『anan』2020年7月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年07月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「MIU404」です。綾野剛さん、星野源さんW主演のTBS系ドラマ『MIU404』第3話に、犯人役で出演させていただきました。現場では主演のお二人といる時間が長かったのですが、ゲストで1話だけ参加する僕にも、そりゃもう、めちゃくちゃ優しかったです。気遣いのレベルが半端じゃないんです。撮影はまだ寒い時期だったので、寒そうにしていたら熱いお茶を淹れてくれたり、アクションシーンのあとは「大丈夫?」「痛くなかった?」と声をかけてくれたり。そりゃ、お二人とも人気あるわ、と思いました。いっぺんでメロメロになりました。セットチェンジの空き時間などは、「いま、どんな音楽聴いているの?」と、音楽の話もしましたね。なんで俺、いま、星野源さんと綾野剛さんとおしゃべりしてんねん、とふと我に返って思ったりして。いや、すごい経験をさせていただきました。撮影中のお二人は、普通に友達って感じの印象でしたね。アクションシーンもあるし、アドリブも多いので二人で相談しながら、こうしよう、ああしようってよく話し込んでいて。すごく二人の間にある絆を感じました。撮影中には、「今度ごはんに行こう」と、星野さんとも綾野さんとも連絡先を交換させていただきました。これまた実現したらすごいことです。綾野さんとは、今回お会いするのが初めて。でも、以前インスタで僕のグッズのパーカにご自身の顔をはめた雑コラ作っていじってくれたり、曲をアップしてくれたり、僕の音楽を好きだと言ってくれていたんです。それに僕がコメントを返したこともあり、SNS上での交流はあってインスタは相互フォローでDMのやりとりをしたことも。そうしたら、今回、僕が撮影に入る当日の朝、いきなり「今日から一緒なんだね、うれしい!」ってメールをくれて。普通、そんなの送らないじゃないですか。うれしさをメールで表現してくださるなんて、これ最高の男なんじゃないかと思いました。さらに、いざ初対面のとき、僕は綾野さんがいるとは知らず、ひとりでセリフを覚えていたんです。そうしたら急に背の高い人に「会いたかったよー」ってハグされて。それが綾野さんだった。これは、もう、「惚れてまうやろ!」と叫ぶかと思いました。間違いなく、日本中の女性に羨ましがられるエピソードです。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌「ニニニニニ」が配信中。※『anan』2020年7月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年07月19日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「グループの人数」です。BTSが好きです。ハマっていて動画配信サイトなどで彼らの韓国のバラエティ番組を見たり、ツアーのDVDを買って見たりしています。それを見ながら、もし自分がアイドルやダンスユニットなどをプロデュースするとしたら、何人組がいいのだろうかと無駄に考えています(とくに今現在プロデュースをする予定はありません)。まず、20人を超えるような大人数グループは無理。ひとりひとりを丁寧に見たいので、少人数がいい。そして、やっぱり偶数がいいのかな?と思います。BTSは7人です。奇数だと、ステージのフォーメーションを考えるときにセンターに1人おいて左右対称に広がる形が美しいのですが、それ以外のときには、割り切れるほうがいいことが多いように感じます。アイドルなどチーム制のグループが売れるためには、僕はレギュラーのバラエティ番組が必須だと考えています。そこで音楽やダンスだけではない、個々それぞれの魅力や面白さを知ってもらうことが大事だと思うんです。そうなると、例えばジェスチャーゲームしますよーとなったときに、8人グループで4対4とか、パッキリ分けられる人数がいい。握手会とかでもそうです。2人ずつとか3人ずつとか、きれいに分けられるほうが、ファンの方々から見ても不平等感がなくていいですよね。あれ?となると、3・3・3で分けることができる9人でもいいことになりますね。うーん、少し考え方が間違っていたかもしれません。……均等に割ることができる数字、つまり素数以外の数字がいいですね。6とか8とか9とか10人、それ以上なら15人くらいまでならいけそうです。って、別にプロデュースしてくれとは誰にも言われていませんが……。ついでに言うと、アイドルとして考えたときに僕はグループにセンターは必要ないけれどリーダーは必要かなと思っています。グループをひとつにまとめてくれる責任感のあるリーダーは、苦労も多いだろうし、憎まれ役になることもあるかもしれない。でも、グループを応援する方々から見たら、“彼・彼女がいたからこのグループは大きくなれた”と、ひとつの物語の柱になってくれる。そういう存在がいることで、応援したいという気持ちって強くなると思うんです。って、僕BTSのグループ論に影響受けすぎですか?おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌「ニニニニニ」が配信中。※『anan』2020年7月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年07月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「自己プロデュース」です。浜崎あゆみさんの誕生秘話をモデルにしたドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)が話題です。ミュージシャンにしろ、アイドルにしろ、どんなに原石が優れていてもプロデュース次第でうまくいく、いかないがあると思います。それは、浜崎あゆみさんほど才能も実力も持っていてもです。ドラマからは、敏腕プロデューサーがいたからこそ、日本を代表する歌姫になれた、ということがよくわかります。プロデューサーによって、魅力を伸ばす、底上げしてもらうことは、日本のエンターテインメント業界では必要なことなんですね。でも、プロデュースには大きく分けて、浜崎あゆみさんのような他者に演出をしてもらう他者プロデュースと、自分で自分自身をプロデュースしていく自己プロデュースがあると思います。僕、岡崎体育は完全なる自己プロデュース型です。自己プロデュース型は、他者によいところを引き出してもらうのとは真逆で、自分でまったく別の自分を見出す行為だと僕は思います。自己プロデュースでやっている人のほうが、本当の自分と表に出る自分を分けて考えてる人が多いんじゃないんでしょうか。たとえば、バンドを組んでいた大学時代の僕は、自分が心から作りたい、好きなものだけ演奏してやっていました。でも、それでは全然芽が出ず、就職後、退路を断った状態に自分を追い込んで、ネタ曲で勝負をするという“岡崎体育”のスタイルを生み出しました。自分に合っている表現、求められていることは何かを客観的に見ることが自己プロデュースでは大事なんです。そして、この自己プロデュースの発想は、エンタメ業界だけでなく、働く人だったら、みんな考えるべきことじゃないかなと思います。仕事をやっていく上で、自分のポジション、立ち回りはどうあるべきか客観的に考える。その上で、パスをもらいやすい隙間はどこか探して、自ら動く。居場所を見つける。僕の場合はそれが、“ネタ曲をやる”だったわけです。今の若い人たちはSNS世代ですから、そもそも自己プロデュース力に長けているはず。さらに、それを伸ばすためには、続けることも大事と伝えたい。続けてないといざというときに見つけてもらえないですから。居場所を見つけたら、難しいけど、そこにずっといることも大切です。僕もネタ曲という音楽業界の隙間、大事にしてます。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌「ニニニニニ」が配信中。※『anan』2020年7月8日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年07月07日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「身だしなみ」です。外出自粛期間中に、誰とも会わなかったのでずっとヒゲを伸ばしていました。だんだん長くなってきて、ふわふわしてきて愛着が湧いていたのですが、マネージャーの松下に「明日、収録なので剃ってくださいね」と言われました。Twitterでヒゲ面の顔写真を公開したらけっこう好評だったので、このままでいいのではないかと少しだけ反論してみましたが「ファンの方々は優しいだけです。一般の視聴者から見たら、この人清潔感ないと思われるのでやめてください」と、ぴしゃりと言われてしまいました。基本、僕は見た目とか身だしなみに無頓着なほうなので、いつもマネージャーの言うことを聞くようにしています。出かけない時は、お風呂に入るのも2日に一回とかだし、本当に最低限って感じです。でも、ミュージシャンにとって清潔感は大事だと思うので、スタッフが気にかけてくれるのは本当にありがたいです。だって、あいつ風呂入ってないんや、と思うとロマンティックな歌詞とか入ってきませんよね。切なげな雰囲気出して弾き語りしてかっこよくきめてても、髪の毛ぺったりしてたり、爪汚かったりしたら「うわ…」となります。ただ、ヒゲを伸ばすことに関しては評価が分かれるところです。だって、メタリカだとか、めっちゃヒゲ生えてるバンドもいます。あれは、ヒゲが生えてないとなりたたない音楽です。ヒゲがないと弱い。ロックバンドにしろ、ソロミュージシャンにしろ、やっている音楽の系統によって、ヒゲが許容されるされないがある。男性アイドルの方でもそうですよね。あってもいいとされている方とそうでない方がいる。そうなってくるとヒゲとは何なのかと考えさせられます。よくよく考えると、ヒゲには、野性味だったり、男らしさだったり、その人のヒューマニティが表れていると思います。では、今の僕はどうなのかというと、まだヒゲが許容される地点には到達していないと思います。だから、マネージャーの指示通りにきちんとヒゲを剃ります。でも、これから変わる可能性もあると思っています。今、30歳ですから40歳くらいになったころに岡崎体育といえばヒゲ、という時代がくるかもしれない。子どもたちから「あのヒゲのおじさん」と呼ばれてEテレで音楽番組をやっているかもしれない。それは、今後の僕の活動次第、生き方次第です。期待していてください。おかざきたいいくスマホに振り切った演出が話題のヤバTとの番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌「ニニニニニ」が配信中。※『anan』2020年7月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年06月28日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ライブハウス」です。新型コロナウイルスによって、ミュージシャンたちもライブ活動を自由にできない中で、自分たちの音楽活動をどう持続するかを考えています。そんな中、メジャーなアーティストたちが、弾き語りなど自宅からの演奏を届ける生配信という分野が、着実に市民権を得ています。音楽の楽しみ方、聴き方の選択が増えることはとてもいいことです。そう感じる一方で、ライブはライブでちゃんと戻ってくると僕は信じています。まだまだ時間はかかるかもしれませんが、新型コロナウイルスが終息したあかつきには、ライブハウスは以前と何の変化もなく同じ顔して戻ってくる。僕はそう思っています。なぜなら、ライブってそれだけで特別なものだからです。やはり、CDで聴く、パソコンやテレビの画面を通して観るものとは違う感動がある。それだけは何があろうと絶対に変わらないと思うんです。生の強さははかり知れないものがあり、それがなくなることは決してない。だから、帰ってくるのを待つだけです。僕の周りでも、営業できないライブハウスは多いです。お世話になっていたライブハウスが経営困難になっているという話を聞くのは辛いし、僕だって微力ながら協力していきたいと思っています。なくなることは絶対にないんだから、とにかく笑ってライブができる日まで、一緒に乗り越えていきたいです。不思議なもので、こういう状況になると自分でライブをやることより、誰かのライブに行きたいという思いが強くなりました。僕はミュージシャンの中では、他人のライブに行かないほうで知られていますが、そんな僕でさえ「ライブに行きたい」「誰かのライブを観たい」と、今、めちゃくちゃ思っています。おっきい音で聴いて「この曲かっこええな」と肌で感じたい。みなさんも、そう思っていますよね?もちろん、自分のライブをしたいと思う気持ちもあります。やるとしたら、思い切りさりげなく戻りたいです。コロナの前と後で何かを変えるとか、変わったとか、そういうギミックは入れなくていいと思うんです。僕のキャラ的になんか変わったことするのを期待されそうですけれど、最初のライブは、今まで通りの、変わらない岡崎体育のライブをみなさんにお見せしたいです。大きな音で。おかざきたいいくヤバTとの新番組『よなよなラボ』(NHK総合 毎月1回土曜24:05~)が好評放送中。NHK総合で放送されていた、よるドラ『いいね!光源氏くん』の主題歌「ニニニニニ」が配信中。※『anan』2020年6月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年06月21日