俳優の東ちづる(63)が17日、自身のインスタグラムを更新し、母・ヒデコさんとの“顔出し”親子2ショットを公開した。ヒデコさんは白髪のショートカットヘア。大ぶりの花柄がオシャレなモダンな着物を、見事に着こなしている。東は「母ヒデコ85歳と郵便局での諸々の手続きをし、経理打ち合わせ」「経理としてのキャリアのある彼女に、これまで丸投げお任せだったことをちょっとづつ引き継いでいく」(原文ママ)と説明し、2枚の写真をアップ。母も自身も高齢になってきたが「こういう終活的なことをすると、長生きできそうな気がします」と、2人とも弾けるような笑顔を見せている。コメント欄には「あッやっぱ似てる」「綺麗なお母さまですね」「20年くらい前でしょうか、三軒茶屋でお母様をよくお見かけしていました。いまもお元気そうでうれしいです」など、さまざまな反応が寄せられている。
2024年04月18日株式会社実業之日本社は、作家・恩田 陸さん『いのちのパレード』の文庫新装版を2023年10月6日に刊行いたします。本書は、2010年に実業之日本社文庫の創刊ラインナップとして刊行。短編の名手としても定評ある著者が、ホラー、SF、ミステリ、ファンタジーなど、小説のあらゆるジャンルに“越境”し、読者を幻惑する摩訶不思議な作品集として話題になりました。新装版では、旧版の表紙に使用されたジョセフ・クーデルカの写真作品を斬新なデザインで再構成。パッケージの奇想度合いもバージョンアップした「ジャケ買い」必至の一冊です。さらに、今回初めて本作品の電子書籍も制作。紙版発売と同日に配信がスタートします。紙版または電子版、お好きなスタイルで、恩田 陸さんが描く壮大×芳醇×クレイジーな奇想の世界を堪能していただけます。『いのちのパレード 新装版』書影デザイン 坂野 公一(welle design) 写真 (C) Josef Koudelka/Magnum Photos/アフロ【恩田 陸さんのメッセージ】密かにとても愛着のある短編集です。これを入口に、めくるめく奇想短編の世界に足を踏み入れてもらえれば嬉しいです。恩田 陸【商品詳細】商品名 : 『いのちのパレード 新装版』発売日 : 2023年10月6日価格 : 定価869円(税込)判型 : 実業之日本社文庫 A6判 384ページURL : 指や手の形をした巨岩があちこちから生える奇妙な村に、妻と私はやって来た(「観光旅行」)。後期ロト7の当籤通知が届いた。まさか、この俺が?(「当籤者」)。大人なんだから不用意な発言はやめてほしいよ。だって僕らは…(「夕飯は七時」)。恩田ワールドの原点<異色作家短篇集>への熱きオマージュ。小説のあらゆるジャンルに越境し読者を幻惑する15篇。【作者プロフィール】恩田 陸(おんだ・りく)1964年宮城県生まれ。早稲田大学卒業。1992年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞、2006年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木賞と2度目の本屋大賞(第14回)をそれぞれ受賞。ホラー、ミステリ、SFなど、ジャンルを超えて多彩な執筆活動を展開する。他に『三月は深き紅の淵を』に始まる「理瀬シリーズ」、『光の帝国 常野物語』に始まる「常野物語シリーズ」、『ライオンハート』『チョコレートコスモス』『ドミノ』『夜の底は柔らかな幻』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』など、多数の著書がある。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月23日俳優の東ちづるさんが、2023年4月9日に自身のInstagramを更新。夫と、友人2人とともに韓国を旅行した時の出来事をつづりました。東さんの夫は難病を患い、かつて2年間寝たきりになっていたといいます。懸命なリハビリもあり、夫は車イスを使って生活できるようになるまで回復。今回13年ぶりに、東さんは夫と一緒に、海外旅行に出かけたそうです。旅行中、東さんは友人2人の支えがありながらも、韓国の人々の優しさにも助けられたと振り返りました。友人2人のおかげで、ずっとずっと笑いっぱなし。車イスユーザーがいる不自由不便さもなんのその。そして、韓国の人たちも優しかった。車イスの彼を舌打ちする人どころか、色々気遣い配慮し、時に優先してくれた。azuma.chizuruーより引用※写真は複数枚あります。左右にスライドしてご覧ください。 この投稿をInstagramで見る 東 ちづる(@azuma.chizuru)がシェアした投稿 訪れた先々で、車イスに乗る夫に対し、配慮してくれたという韓国の人々。国境を越えて感じた人々の温かさに、東さんをはじめ多くの人が「素敵!」「いい旅行だったんでしょうね!」と心を打たれました。久しぶりに夫と海外旅行に行けた東さん。現地の人々の優しさにも触れ、思い出に残る旅行になったのではないでしょうか![文・構成/grape編集部]
2023年04月10日アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが9日、都内で行われた「令和2年度・3年度 吉川英治賞贈呈式」に出席。選考委員の恩田陸氏から「すごい力のある人だと思いました」と称賛された。加藤は、著書『オルタネート』(新潮社)で「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞。同作は、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代が舞台で、SNSの存在に翻弄されていく若者たちの姿を、繊細かつエモーショナルな筆致で表現した。恩田氏は『オルタネート』について、「マッチングアプリを使う人、使わない人、使えない人についての群像劇ですが、そこのところがすごく端正に描かれている。登場人物は恵まれていて才能があって、いい環境の子供たちなんですけど、恵まれているからって満たされているわけではないし、幸福だとは限らない。みんなまだ何者でもないけれど、何者かになりたいと思って一生懸命考えている。そのヒリヒリした感じがとても端正に描かれていて、すごい力のある人だと思いました」と称賛した。加藤とともに武田綾乃氏も『愛されなくても別に』(講談社)で同賞を受賞したが、恩田氏は「加藤さんも武田さんもご自分の表現を持っていらして、自分のやりたいことはこれなんだ、こういう覚悟でやっていくんだと強く感じました」と作品から感じた印象を述べ、「去年の先輩2人を見習って、これからもガシガシいい作品を書いていただきたいと思います」とメッセージを送った。
2021年04月09日恩田陸の代表作を原作に、2016年に初演された音楽劇『夜のピクニック』が本日10月1日(木)に開幕する。物語の軸となるのは、高校生活最後に行われる「歩行祭」なる学校行事だ。高校3年生全員が、24時間たっぷりかけて、各自のペースで70kmを歩ききるという伝統の催し。恩田自身が青春を過ごした茨城県立水戸第一高校で、実在の行事である。誰とどこをどのように歩き、どんな思い出を獲得して帰るか。大人にとってはささやかでも、彼らにとっては切実なあれこれが、細やかに描かれて読者を魅了した。音楽劇『夜のピクニック』舞台稽古より(撮影:刑部アツシ)水戸で芽生えたこの物語の、舞台化に取り組んだのが水戸芸術館ACM劇場だ。初演当時、同劇場の演劇部門芸術監督を務めた高橋知伽江が脚本を手掛け、映画にとどまらず舞台作品も多く手掛ける深作健太が演出を担当。ミュージシャンとしても華やかな活躍を見せる扇谷研人の音楽で、みずみずしくも力強い音楽劇に仕上がった。音楽劇『夜のピクニック』舞台稽古より(撮影:刑部アツシ)とある目論見を胸に秘めながら、「歩く会」に参加しようとしている甲田貴子。その視界の端には常に、クラスメイトの西脇融がいた。ふたりの仲を勘ぐる級友たちだったが、貴子が抱えていたのはもっと切実なこと。一方、1年前の「歩く会」に現れた幽霊の噂でにわかに盛り上がる歩行行列。やがて、1年前にアメリカへ発った、貴子の親友・杏奈が仕掛けた「おまじない」が動き出す——。音楽劇『夜のピクニック』舞台稽古より(撮影:刑部アツシ)キャスティングも実に個性豊かだ。10年前の「歩く会」を振り返る杏奈を吉川友が、貴子の母親である聡子を剣幸が演じるほか、加藤良輔、安達勇人、北川理恵ら、ミュージカルの舞台で百戦錬磨の若手俳優陣が数多く登板。ピアノとパーカッションの演奏にのせて、若者たちの繊細な心情が絡み合い、高まって夜空に溶ける。公演は10月4日(日)まで、水戸芸術劇場ACM劇場にて。音楽劇『夜のピクニック』原作:恩田陸脚本:高橋知伽江演出:深作健太作曲・音楽監督:扇谷研人10月4日(日)まで会場:水戸芸術館ACM劇場文・小川志津子写真提供:水戸芸術館
2020年10月01日海外商品の輸入販売を手掛ける株式会社リブインコンフォート(所在地:東京都新宿区、代表取締役:恩田ちづる)はこの度、「イタリア製オーガニックヘアケア〈PIANTEFELICI〉」を発売いたします。イタリアのオーガニック認証取得「高品質・低価格」の本格ヘアケア〈PIANTEFELICI〉デビューサスティナビリティの高い植物原料を使用し、環境や人体への影響を配慮し、山の恵み、海の恵みが融合するイタリアの工房で生産しています。髪に潤いとコシをあたえ、健康な地肌を育む。内側から美しさを放ち、輝く髪へと導きます。自然の恵みを生かしつつ、複雑で爽やかな残り香が魅力の芳香も実現しました。完全オーガニック、本格ヘアケアブランド、誕生。公式ブランドサイトはこちら■イタリアの工房よりお届け!本格オーガニックヘアケア〈PIANTEFELICI〉(ピアンテフェリーチ)<4つの特長>・AIABのオーガニック認証を取得日本には、オーガニックを認定する法的な基準がありません。だからこそ本物のオーガニックにこだわり、サスティナビリティの高い植物原料を使用し、環境や人体への影響を配慮しました。AIAB(イタリアのオーガニック認証機関)のオーガニック認証を取得しています。・良質なオーガニックを手の届く価格で日常生活の中に”オーガニック”が溶け込み、そして継続的に使っていただきたいという強い想いを込めて。通常の生産プロセスを見直し、中間コストを徹底的に省きました。さらに、一般的な利益構造の概念も覆すことで、本当の意味での「高品質・低価格」を実現しました。・イタリアの素晴らしい生産背景山の恵み、海の恵みが融合する街、イタリア・ジェノバ。美しい自然豊かな森の中にひっそりと佇む工房で生産しています。世界有数のオーガニック製品の生産を担っているため、こだわりの原材料を用い、環境にも人にも配慮したサスティナブルな製品を追求しています。・香りにとことんこだわり抜きましたラグジュアリーブランドのパフュームやディフューザーを手掛ける工房なので、とにかく香りに自信があります。それぞれの製品の目的に合わせ、幾度となく調合を繰り返してもらいました。自然の恵みを生かしつつ、複雑で、爽やかな残り香が魅力の芳香を実現しました。ShampooandConditionerforMoisturizingScalp&Hairパサつき頭皮ケアが気になる方へしっとりなめらかな泡で、潤いを与えるシャンプー。オリーブ果実エキス・ビート由来のアミノ酸・米タンパク質・小麦タンパク質が、乾燥している髪の芯1本1本に水分を補給しながら潤いを与えみずみずしいつやのある髪に保ちます。ラベンダーやタイムなどのハーブも加わり大自然の中で森林浴をしているような香りです。バスタイムをまるで壮大な自然の中でくつろいでいるようなひとときに。■モイスチャライジングスカルプ&ヘアシャンプー・コンディショナー価格:各1,800円(税別)容量:各500mlDeepRepairShampooandConditionerforDamagedHair枝毛などのダメージが気になる方へオリーブ果実油、アーモンドエキス、ラベンダー花エキス、アロエベラ葉エキスなどが痛んだ髪に潤いを与えるコンディショナー。枝毛を防ぎ髪にハリ、コシを与えます。リンゴやピーチ、ジャスミンなども加わり上品なフラワーブーケのような香りです。香り華やぐバスタイムに。■ディープリペアシャンプー・コンディショナー価格:各1,800円(税別)容量:各500ml■お試しセットモイスチャライジングスカプル&ヘア/ディープリペア価格:150円(税別)容量:10mlOut-bathCollectionMulti-BalmforBodyandHairヘアもモディもマルチに潤う天然植物原料でできたバーム。毛先に潤いを与え、立体的な動きをデザインします。■マルチバーム価格:1,900円(税別)容量:50mlCrystalHairTreatmentツヤを与えまとめやすい輝く髪へヒアルロン酸、アーモンド油、オリーブ果実油を配合したダメージヘア用洗い流さないトリートメントです。つやを与えまとめやすい髪に整えます。■クリスタルヘアトリートメント価格:2,000円(税別)容量:100ml■なぜオーガニック?〈PIANTEFELICI〉(ピアンテフェリーチ)のこだわりにある背景弊社は、オーガニック化粧品だけでなく、オーガニック食品も扱ってきました。そこで違和感を感じること。日本では、食品に対しては厳しい有機認証規制があるにも関わらず、化粧品には何の規制もないのです!この点は、オーガニックの本場ヨーロッパと比較すると、日本は極めて遅れています。したがって、お客様が良いと思って手に取って使っているものが、実は新たなお悩みを生み出しているということもあるのです。それぞれのお悩みは、有害物質が蓄積されていくことで、数年後、数十年後に顕在化してきます。例えば、ハリコシがなくなってしまうことや、薄毛の症状など。もちろん全ての商品に当てはまる訳ではありませんが、少なからず発生している現象と言えます。だからこそ、安心して使い続けることのできるヘアケア商品、しかも、質と価格を両立させたものを今のこの日本市場に作るべきだと考えました。ありきたりですが、曇り一点もない誠実な商品を作りたかったのです。なぜオーガニックにこだわったのか。それは、本来持ち合わせている自己免疫力を高め、まやかしではなく自らの力を引き出す魅力と重要性をお伝えする必然性を感じたからです。紀元前より、人々の健康と美のために用いられてきた自然の恵みを用いながら、現代の最新技術と融合させることにより、使用感への満足度にもこだわりました。そして、本場イタリアのオーガニック基準(AIAB認証)で製品づくりがコントロールされることにより、マーケティング要素など売り手側の都合に偏らない、偏れない環境をあえて選択しました。数々の有名ブランドを手掛ける工房と手を組み、使用感、香り、手の届く価格に徹底的にこだわった結果、この商品が出来上がりました。発売日/流通2020年2月17日(月)発売:全国バラエティショップ、全国ドラッグストア※一部店舗除くオンラインショップはこちら【お客様のお問い合わせ先】株式会社リブインコンフォート〒162-0065東京都新宿区住吉町8-6野村ビルディング曙橋3階Tel:03-5925-8791Fax:03-5925-8792株式会社リブインコンフォート HPへ企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年03月20日直木賞・本屋大賞を史上初めてW受賞した小説家・恩田陸の『蜜蜂と遠雷』が若手実力派キャストにより実写映画化され、10月4日より公開された。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜(松岡茉優)、明石(松坂桃李)、マサル(森崎ウィン)、塵(鈴鹿央士)という世界を目指す若き4人の天才ピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描いた同作は、「小説なのに音楽が聴こえるようだ」と話題を呼び、映画でも一流ピアニストの音×吹き替えなしで演奏演技に挑む役者陣という驚くべき手法で数々のシーンが浮かび上がっている。今回は、原作者・恩田陸と、妻子を持ち楽器店に勤めながら、年齢制限最後のコンクールに挑む高島明石を演じた松坂桃李にインタビュー。原作者と俳優、それぞれの視点から見た同作の魅力や、表現者として向き合う"賞"について話を聞いた。○■「かっこよすぎる」キャストも演技に納得――先ほどお話を伺ったんですが、お二人は今日が初対面なんですね。恩田先生が撮影現場にいらしたときは、松坂さんの撮影がなかったとか。松坂:この瞬間が初です。恩田:お目にかかれて光栄でございます。松坂:こちらこそ! よろしくお願いいたします。――それでは、ぜひ松坂さんから見た原作の魅力と、恩田先生から見た映画の魅力をそれぞれ教えていただければ。松坂:オファーをいただいて『蜜蜂と遠雷』を読んだんですが、今までは小説を読んでめくるたびに音が聴こえる感じを経験したがことがなかったので、すごい本だと思いました。これを映画化するなんて、可能なのか? と、衝撃でした(笑)。小説が本当に面白いからこそ、我々にとってはハードルが高いと思っちゃうんです。仮に上手に置き換えられたとしても「小説の内容のまま表現されてるじゃん!」と思われてしまうので、今回は「実写化するからこそできること」はなんなのか、ものすごく意義を迫られた感覚がありました。恩田:よく映像化したなと思いました(笑)。私も「小説でなければできないことをやろう」と思って書いていたので、逆に皆さんが映画でしかできないことをやってくださったなと思って。映画として完成されていたので、嬉しかったです。松坂:そういう言葉を聞くと、ほっとします。恩田:松坂さんが、明石を演じると聞いて、「それはかっこよすぎるだろう」とは思っていたんですけど、映画を見たら本当に明石そのものでした。松坂:いやいや、とんでもないです!――原作で思い描いていた明石はどういうイメージだったんですか?恩田:もうちょっと、普通の人です(笑)。でも、2次予選の後に松坂さんが1人でカメラに向かってしゃべっているシーンはすごくリアルで、驚きました。松坂:実は、あのシーンが初日だったんですよ……。恩田:初日だったんですか! みなさん、意外なシーンが初日なんですよね。いきなりあのシーンだとは……すごいですね。松坂:とにかく、体の中にいろんな実感を入れるようにイメージして。すごく緊張しました。――ちなみに、明石じゃない松坂さんを目の前にされた感想はいかがでしたか?恩田:「やっぱりかっこいいわ!!」と思いました(笑)。――松坂さんは、そういうかっこよさをどうやって封印されてたんでしょうか?松坂:明石は他の3人に比べて、家族と過ごしたりと、生活を描写しているシーンが多かったので、そこはすごく大事にしたいなと思いました。たぶん、すごく不器用でめんどくさいやつだなと思ったんです。自分のことを天才とは思っていないけど、他人には言われたくない、という。恩田:その通りです。松坂:たとえば奥さんと少し口論になったシーンでも、明石のめんどくさい感じが出ている。すごく人間くさいけど、良いところでもあると思います。恩田:そういう役を演じるのは、珍しいんじゃないですか?松坂:そうなんです。これだけの不器用さと人間臭さを表す役はあまりやったことがなかったので、嬉しかったです。恩田:本当に松坂さんはキラキラしたイメージだったので、地に足をついた感じが出ていて、びっくりしました。松坂:嬉しいです。○■流れをつかむことが大切――今回はピアノコンクールが舞台となっていますが、作品自体も直木賞と本屋大賞を史上初めてW受賞されていて、松坂さんも昨年たくさんの賞に輝いていて。賞にかける思いについて、お二人はどう感じているのかなということも気になりました。恩田:結果としての賞なので、書いてる時にはもちろん考えていないです。でも、「流れが来てる」みたいな時って、あるじゃないですか。そういう意味では幸運な本だったと思います。こんなにハードルが高そうな作品がスムーズに映画化できたというのも、やっぱりいい流れがあったのかな、と。松坂:確かに、流れってありますよね。僕のマネージャーさんも「今年は流れ、来てますから」とよく言ってたんですよ。「じゃあ、信じます」と言ったら、ありがたいことに本当に賞をいただけたりしたので、実感しています。――松岡茉優さんも、同じように昨年いろいろな賞に輝かれて、全部の流れが『蜜蜂と遠雷』に集中しているようですね。松坂:授賞式で、松岡さんとは会うことが多かったです! 会うたびに『蜜蜂と遠雷』盛り上げましょう、という話をしていました。恩田:幸運な流れが来ていますね。実際にコンクールを見ていても、最初は目立てなかった方が2週間の間でどんどん良くなっていったりして、成長する人は本当に成長するし、順番の違いひとつでもまったく印象が違ってきてしまうんです。どんどん人が減っていくから、何番を掴むかという運もあって。本当に、流れを掴むことが大事なんだと思いました。――松坂さんは今回、ステージの上で演奏するシーンも多かったですが、音楽家を演じて、役者との共通点などは感じられたんですか?松坂:舞台上で、お客さんの前でお芝居をするときの緊張感や、稽古で失敗を繰り返しながら初日を迎える緊張感は共通すると思いました。演奏シーンは最後の方だったので、スタッフ・キャスト全員が「あと1週間だぞ!」「あと5日だぞ!」みたいに、プレッシャーがすごくて(笑)。だんだん音楽チームも顔がピリついてくるんです。だからこそ生々しくて、良い緊張感でした。エキストラの方もたくさん来てくださったので、入場シーンも本当のコンクールのような緊張感でした。怖いんですよ! でも演奏はお芝居と違って、お客さんの反応を見て動きを変えられるところは、羨ましくも思いました。恩田:私も演奏をしていた経験がありますが、自分があがっているかって、全然わからないですよね。絶好調と思ってもボロボロだったりとか。逆に「ダメだ」と思った時が良かったりする。松坂:それはあります! 自分がダメだと思っていても、周りから「良かったね!」と言われたりとか。恩田:意外とありますよね。それって、なぜなんだろう? 不思議ですね。小説でも、書いてる時には乗っていたけど、後で読むと「なんなんだろう」と思う時もありますし(笑)。○■小説家と役者、原動力は――せっかくなので、何か松坂さんから恩田先生に聞きたいことなどはありますか?松坂:これだけの作品を生み出す原動力がなんなのか、伺いたかったんです。続けるためのモチベーションを保つのは難しくはないんですか?恩田:きっと、なんでもそうですよね。役者さんも、毎回毎回違う役を演じると思うので、どういう原動力なのか、逆にお聞きしたいです。松坂:作品に入ってる時は辛いことの方が多いし、考えなきゃいけないことや不安要素がたくさんあるばかりなんですが、終わった瞬間が本当に楽しくて。スタッフやキャストの方と、「じゃあ、一杯いきますか!」という瞬間(笑)。その一瞬が、辛かったメーターを上回るんです。それが持続的にやってくるので、乗り越えられるというか、支えになっている感覚はあります。恩田:どこも同じですね(笑)。私も原稿を書いているときは全く楽しくなくて。――でも、これだけずっとコンスタントに作品を出されてる作家さんも、なかなかいらっしゃらないのではないかと思いました。恩田:続けていないと不安になってしまうんです。常に書いてないと「小説家」と名乗れないような気がして。縮小再生産になってしまうのが怖いし、「休んじゃうと戻れないんじゃないか」と思うので、そこが原動力なのかもしれません。松坂:「休みたい」と思ったことはないんですか?恩田:いつも、思ってはいるんですけどね(笑)――それでは、最後に作品を楽しみにしている方へのメッセージをいただけたら。恩田:原作ファンでも、原作を読んでない方でも楽しめると思います。音もすごく贅沢な作りになっているので、ぜひ、映画館でご覧ください。松坂:僕自身、クラシックからは縁遠い男だったので、この作品で初めて「クラシックって静かなだけじゃないんだ!」と思いました。まるで縦ノリのように心が踊る、前のめりになる感じが味わえたのはこの作品が初めてだったんです。僕のような、クラシック初心者ですという人でも、味わえる体験が待っていますので、ぜひ音響のいい劇場でご覧いただけたら嬉しいです。■恩田陸1964年生まれ、宮城県出身。1992年、『六番目の小夜子』でデビュー。『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞。『中庭の出来事』で山本周五郎賞を受賞。『蜜蜂と遠雷』で直木三十五賞と二度目の本屋大賞を受賞(直木賞と本屋大賞のダブル受賞も、二度の本屋大賞も史上唯一)。著書多数。■松坂桃李1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。近年の主な出演作は、映画『不能犯』(18/白石晃士監督)、『居眠り磐音』(19年)、『新聞記者』(19年)。2019年には『孤狼の血』(18年)で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。現在、声の出演をしている映画『HELLO WORLD』が公開中。
2019年10月06日史上初の快挙となる〈直木賞〉(第156回)と〈本屋大賞〉(2017年)のW受賞を果たした恩田陸の代表作『蜜蜂と遠雷』が、豪華キャスト、スタッフ陣により映画化され10月4日(金)に公開される。そして、本作に即したインスパイアード・アルバムが9月4日(水)に発売されることが決定した!日本を代表するピアニストたちが、原作に登場するそれぞれのキャラクターに沿った演奏によって作り上げられた映像とアルバムに注目したい。主人公のひとり、松岡茉優演じる【栄伝亜夜】の演奏を担当するのは、感性豊かな音楽性と独創性で世界の数々の桧舞台で聴衆を魅了している実力派ソリスト河村尚子。松坂桃李演じる【高島明石】には国内外のコンクールで活躍し、2015年に行われたアイスショー『Fantasy on Ice』で羽生結弦と共演した実績を持つ福間洸太朗だ。森崎ウィン演じる【マサル・カルロス・レヴィ・アナトール】には、自身もマサル同様海外で育ち、その才能を幼いころから発揮してきた金子三勇士。そして鈴鹿央士演じる【風間塵】には、弱冠18歳にして第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝したほか、2019年6月に行われた第16回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門で第2位に輝いた藤田真央が参加。まさに映画史上最も贅沢な奏者陣が揃ったと言えそうだ。今回発売となるインスパイアード・アルバムは、亜夜、明石、マサル、塵が劇中のコンクールで演奏する楽曲を収録した全4種類!それぞれのキャラクターに寄り添って奏でられる演奏の美しさに酔いしれること間違いなしだ!さらには、劇中で演奏されるコンクールの課題曲でオリジナルの楽曲である『春と修羅』もキャラクター別に収録されている。*作曲を務めるのは国際的に評価の高いロンドン在住の作曲家・藤倉大。●アプリ版ぴあ“クローズアップ”のコーナーでは、水先案内人のひとりで音楽ライターの高坂はる香が、『あなたの知らない国際ピアノコンクールの世界』を連載中(7月30日から全10回予定)。これさえ読めば、映画もコンサートも、そしてアルバムも楽しめること間違いなしだ!
2019年08月08日史上初の快挙となる直木賞と本屋大賞のW受賞を果たした恩田陸原作小説『蜜蜂と遠雷』が、松岡茉優主演で映画化。映画『蜜蜂と遠雷』として2019年10月4日(金)に全国公開する。原作は"映像化不可能"と言われた恩田陸の小説原作は、史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)の"W受賞"となった恩田陸の「蜜蜂と遠雷」。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜、明石、マサル、塵(じん)という世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、そして成長を描いた物語だ。4人のメインキャラクター元天才少女・亜夜(松岡茉優)主人公はピアノの元天才少女・亜夜。彼女が演じるのは、かつて国内外のジュニアコンクールを制覇するも、13歳のときに母を亡くし、ピアニストになることから長らく逃げてきた。7年前の突然の失踪から再起を目指し、コンクールにチャレンジする。亜夜を演じるのは松岡茉優。2017年公開の『勝手にふるえてろ』で日本映画プロフェッショナル大賞 主演女優賞受賞、是枝裕和の『万引き家族』にも出演していた。高島明石(松坂桃李)明石は、社会人で妻子を持ち。それでも夢を諦めきれず、最後のチャンスと決意してコンクールにエントリーする。演じるのは『孤狼の血』などの話題作に出演する松坂桃李。マサル(森崎ウィン)音楽エリートとして超名門音楽院に在籍し、優勝候補最有力の重圧に挑むマサル役に森崎ウィン。人気と実力を兼ね備えており、コンクールの優勝大本命と言われる。風間塵(鈴鹿央士)“ピアノの神”と呼ばれた今は亡き世界最高のピアニストの「推薦状」を持つ。コンテストに参加した経歴もない“異端児”の謎の少年。演じるのは、『メンズノンノ』モデルとして活動し、ドラマ「なつぞら」や映画『決算!忠臣蔵』にも出演する、新人俳優の鈴鹿央士。鈴鹿は『蜜蜂と遠雷』が銀幕デビュー作となる。コンテスタントたちの課題曲として物語を彩るのは、オリジナル楽曲<春と修羅>。公開された特別映像には、4人のメインキャラクター達が、それぞれの想いを抱えながら、凛とした姿でピアノを演奏する姿が映し出されている。その他キャラクター高島満智子(臼田あさ美)明石(松坂桃李)の妻として、夫のコンクール挑戦を献身的に支える女性。ジェニファ・チャン(福島リラ)福島リラは、マサル(森崎ウィン)と同じ音楽院に在籍。マサルにアドバイスを贈りながらも自身もコンクールに参加する。演じるのはトップモデルとして活躍したのに女優としても活動する福島リラ。『ウルヴァリン』などに出演。小野寺昌幸(鹿賀丈史)小野寺昌幸は、世界的指揮者。コンクールの最終選考でオーケストラの指揮を執り、亜夜らピアニストたちを叱咤。演じるのは鹿賀丈史。仁科雅美(ブルゾンちえみ)松坂桃 李が演じる高島明石の同級生で、明石の国際コンクールへの挑戦を密着しているジャーナリスト。“実写化不可能”と言われたピアノ演奏を実力派ピアニストが担当これまで「映像化不可能」言われ、恩田文学の集大成でもある『蜜蜂と遠雷』を、新鋭・石川慶監督が映像化に挑む。全く異なる背景を持つ4人のピアニストに音が吹き込まれる。“実写化不可能”と言われた『蜜蜂と遠雷』の中で奏でられるピアノの音を担当するのは、河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央といった、第一線で活躍する実力派ピアニスト。また、作中でコンクール曲として登場するオリジナル楽曲「春と修羅」の作曲を手掛けたのは、ロンドンを拠点に国際的に活躍する現代音楽の作曲家・藤倉大。“本物の音”を追求した、贅沢な映画音楽が物語を盛り上げる。インスパイア―ド・アルバムが発売公開に先駆けて、2019年9月4日(水)より本作のインスパイア―ド・アルバムが発売。亜夜、明石、マサル、塵が劇中のコンクールで演奏する楽曲を収録した全4種類で用意し、劇中で演奏されるオリジナルのコンクール課題曲『春と修羅』もキャラクター別に収録する。『蜜蜂と遠雷』あらすじ芳ヶ江 よしがえ国際ピアノコンクールは「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスをもち、近年高い注目を浴びている。ピアノの天才達が集まるコンクールの予選会に、若き4人のピアニストが現れる。7年前の突然の失踪から再起を目指す元・天才少女、英伝亜夜。“生活者の音楽”を掲げ、最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石。人気実力を兼ね備えたマサル。今は亡き“ピアノの神”からの「推薦状」を持つ謎の少年・風間塵。熱い“戦い”を経て、互いに刺激し合い、葛藤し、成長を遂げ”覚醒”していく4人。その先に待ち受ける運命とは?作品詳細映画『蜜蜂と遠雷』公開日:2019年10月4日(金)原作:恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎刊)監督・脚本:石川 慶出演:松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、臼田あさ美、福島リラ、眞島秀和、片桐はいり、光石研、平田満、アンジェイ・ヒラ、斉藤由貴、鹿賀丈史、ブルゾンちえみ配給:東宝■インスパイア―ド・アルバム発売日:9月4日(水)価格:全4種 各3,000円+税
2018年10月25日史上初の快挙となる直木賞と本屋大賞のW受賞を果たした小説「蜜蜂と遠雷」。若きピアニスト4人の姿を描いた話題作が、2019年秋に映画化されます。松岡茉優さんや松坂桃李さんといった豪華キャスト陣と、新鋭・石川慶監督が映像化に挑みます。2019年秋「蜜蜂と遠雷」公開予定「ここの優勝者は、世界最高峰のコンクールでも優勝できる」というジンクスがある芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台とした、若きピアニスト4人の挑戦・苦悩・努力・成長などを描く物語。話題作を多く生み出した原作者 恩田陸さん1992年に『六番目の小夜子』でデビューした恩田陸さん。SFやホラーから青春小説まで、さまざまなジャンルで執筆し、読みやすさと安定した面白さから幅広い年齢層の支持を得ています。2000年代から吉川英治文学新人賞や山本周五郎賞などをはじめとする、多くの賞を受賞してきました。そして2017年、「蜜蜂と遠雷」では直木賞と本屋大賞のW受賞という史上初の快挙を達成。話題作を豪華キャストが彩る松岡茉優さん松岡茉優さん2008年にデビューし、今や多くのCMやドラマなどに出演している松岡茉優さん。2016年~2018年に3部作で公開された映画「ちはやふる」に出演し、主人公のライバル役として圧倒的な存在感を放ちました。「蜜蜂と遠雷」では、かつて国内外のジュニアコンクールを制覇し天才少女と呼ばれたものの、母の死によりピアノが弾けなくなってしまった女性「栄伝亜夜」を演じます。松坂桃李さん松坂桃李さん2008年にモデルとしてデビューし、2009年「侍戦隊シンケンジャー」の志葉丈瑠 /シンケンレッド役で俳優としての活動がスタートしました。以降、話題の舞台の主演なども務め注目を集めています。本作では、音楽大学を卒業しながらも今はサラリーマンとなり今回を"最後の挑戦"としてエントリーした「高島明石」役を担当します。森崎ウィンさんPrizmaX左上:森崎ウィンさん2008年にダンスボーカルユニット「PrizmaX」に加入し、同年に俳優としてもデビュー。2016年にスティーヴン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」で主要キャストに抜擢され、話題となった若手俳優です。演技力だけでなく、甘い声と高い歌唱力にも注目です。本作では、優勝候補と言われており在学中の名門ジュリアード音楽院では"ジュリアードの王子"とも呼ばれる「マサル・C・レヴィ=アナトール」役に選ばれました。映画「蜜蜂と遠雷」作品詳細公開時期2019年秋原作恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎刊)監督・脚本石川慶キャスト松岡茉優松坂桃李森崎ウィン鈴鹿央士ほか映画「蜜蜂と遠雷」が待ち遠しい原作でも話題となった「蜜蜂と遠雷」に、石川慶監督による演出・豪華キャストが加わることでどのような作品となるのか、期待が高まります。公開は2019年秋です。注目の作品をお見逃しなく。
2018年10月22日「わっ、バケモノ!」と毒づいた、女優で一般社団法人「Get in touch!」の理事長・東ちづるさん(57)に、「あ~ら、あ・り・が・と」と野太い声ですかさず切り返したのは、髭面にド派手なメークとウイッグ姿の女装詩人「ベアリーヌ・ド・ピンク」こと、長谷川博史さん(65)。電動車いすの上で情感たっぷりにしなをつくる。そんな2人のやりとりに周囲の人たちはどっと笑う。 12月10日に東京・品川プリンスホテルの「クラブeX」で開催される一夜限りのショー『平成まぜこぜ一座・月夜のからくりハウス』の全体ミーティングである。“悪徳座長”役の東さんをはじめ、演者たちの大半が集合。進行の打ち合わせが行われ、終盤には、本番さながらのメークと衣装のフィッティングが行われた。 演者の1人、長谷川さんは長年日本のゲイカルチャーを牽引してきたドラァグクイーンだ。25年前にHIV感染がわかったのち、「恥ずかしい病気だと思われたくない」と実名を公表したうえで講演活動を開始。この病気に対する偏見を打ち壊してきた。一昨年、糖尿病の合併症で右足を切断し、義足になる。 「長谷川さんの義足、マシンみたいでカッコいいよねえ」と、骨格むき出しの義足に東さんが見惚れると、長谷川さんは「足だけじゃなく、ほかも見せたほうがいいかしら~」と、ニヤリと笑う。 苦笑しながら東さんの視線は、髪をセット中の佐藤ひらりさん(16)へ。東さんに「あ、ひらりちゃーん!そのウイッグ、かわいいねえ」と呼ばれた佐藤さんは、声の出どころを探して首を伸ばし、よくとおる声で「ありがとうございます!」と答えた。彼女に東さんの姿は見えない。 佐藤さんは、生まれつき全盲のシンガー・ソングライターである。5歳からピアノを始め、12歳でニューヨーク・ハーレムの音楽の殿堂・アポロシアターに挑戦。見事、アマチュアナイトのウイークリーチャンピオンに輝いた。 この日の彼女のウイッグは、とぐろを巻いた明るい茶髪。東さんの「ひらりちゃんの頭、うんこみたいで、ホントかわいい!」というぶっ飛んだ発言に、皆またも爆笑。佐藤さん自身も、付き添いの母親まで屈託なく大笑いだ。 『月夜のからくりハウス』の出演者のほとんどは“障害者”である。脊髄性筋萎縮症のため顔と左手親指以外は動かない「寝たきり芸人」、骨形成不全症の「身長100cmのコラムニスト」、先天性脊椎側彎症・二分脊椎症の「義足の女優・ダンサー」、ろう者でLGBTの「手話漫才師」、小人症の「日本で一番小さい手品師」……。 長年、ボランティア活動を続けている東さんだが、今回、「Get in touch!」でつくり上げる舞台は、障害という個性のある表現者たちのエンタテインメントだ。 《障害者を見せ物にするのか》 そんな批判も聞こえてくるが、東さんは意に介さない。 「そういう人には『はい、そうですよ』と答えます。『もう、最高に上等な、クオリティの高い見せ物にします』って」(東さん) ほがらかな笑顔に力みはない。長谷川さんが言う。 「障害者をこれだけ集めて見せ物にするってこと自体、僕たちからしたらすごくカッコいいですよ。ドラァグクイーンには、『男でも女でもない、特別な存在になってあげるわよ!』という開き直りがあって、わざと蓮っ葉な女のふりをするんですけど、たぶん東さんはね、同じようなメンタリティを持っているんです」(長谷川さん) 関心を持ってほしくて東さんは知恵を絞る。『月夜のからくりハウス』のコピーは刺激的だ。 《見世物小屋のドキドキ感が復活!》 「テレビ画面や一般の舞台で彼らのことを見慣れていないから、現実の社会でも見て見ぬふりをされて、街に出にくいから、ますますいないことになる。この悪循環をなんとかしたいんです」(東さん) 障害者が登場する舞台を「けしからん」と怒る人には、無自覚な差別意識があるのではないかと東さんは言う。演者の1人、佐藤ひらりさんの母親・絵美さん(43)も同意見だ。 「娘も私も、『日本のスティービー・ワンダーを目指す』って勝手に言ってるんですけど(笑)。そのためにも、見てもらってナンボなんです」(絵美さん) ちなみにチケットは公演の2週間前に完売した。 「この『月夜のからくりハウス』には弱者は一人も出ていません。皆が対等な立場で舞台に上がって、チケット代をきちんといただいて、彼らにきちんとギャラをお支払いする。そういう舞台です」(東さん) この舞台の先に、東さんが目指すのは――。 「色とりどりの人たちが街に、ごく普通にいる社会。それはきっと誰にとっても居心地のいい社会だと思います」(東さん)
2017年12月09日女優でタレントの東ちづるが2日、東京・渋谷のハチ公前で行われたマイノリティのPRイベント「Warm Blue Day 2016」に出席した。東ちづるが代表を務める一般社団法人「Get in touch!」は、あらゆる人々の別け隔てのない社会を目指すマイノリティPRイベント「Warm Blue Day」を、国連総会が定めた「自閉症啓発デー」に当たる4月2日に毎年開催。今年は同性カップルを夫婦と同等の関係と認めた「パートナーシップ証明書」を発行する条例を決めた渋谷区の象徴でもあるハチ公前でイベントが行われた。イベント前には報道陣向けの囲み会見に応じた東は「私たちGet in touch!は、誰も排除しないまぜこぜの社会作りを活動のテーマにしていて、アートや音楽、ファッション、スポーツなどを通してまぜこぜの社会は居心地が良いんだよ!という啓発を行っています」と説明。通りすがる一般人には「これは自分たちのことなんだ、支援ではないんだ、自分がこれから人生を歩んでいくのにどんな状況になっても自分らしく生きられるということを一緒に考えていきたいと思います。まぜこぜの社会は本当に心地良いということを考えて欲しいですね」と訴えた。23年前に見たテレビのドキュメンタリー番組を契機に、活動を始めようと思い立ったという東。「その番組の作り方に『えっ?』と思って泣いちゃいました。メッセージが伝わりきれてないという思いから始まり、せっかく芸能界という世界にいるんだから始めようと。その時は難病の人たちと一緒に始めてどんどん広がっていきましたが、2011年3月11日に避難所でマイノリティの人たちが追いつめられ、そのことは一切報道されませんでした。今までやって来た人たちと一緒に社会を変えようという思いで4年前に今回のイベントを始めました。目標は退散すること(笑)。早くやめられる社会になればいいですよね」と話していた。
2016年04月03日5月10日(日)に東京・北沢タウンホールで「1stシングル「光」リリースツアー“わたしのこえ”」 の追加公演を開催する、女性ソロシンガーソングライターの沖ちづるがぴあのインタビューに答えた。【チケット情報はこちら】沖は1995年、東京都生まれ。アーティストになる経緯について「小さい頃から歌を歌うのが好きで、合唱団に入っていました。その頃は“歌手になりたい”って思っているけど恥ずかしくて言えなくて…じゃあ何で今ソロでやっているの?って聞かれるんですが(笑)、自分の中で“目立ちたくないけど、目立ちたい”っていう相反する思いがあって(笑)。それで高校の時に部活でバンドをやっていたんですが、解散してからはずっとひとりで活動して、今に至る感じです」と説明。2014年9月に自身初となる1st ミニアルバム『はなれてごらん』をライブハウス限定発売の形で発表し追加プレス含め完売、今年の2月には初の全国流通となる1stシングル『光』を発売。CDのリリースと並行して精力的に行なっているライブについては「最初は何も分からない状態で、ちょっと怖いと思いながらライブをやっていたんですが、自分のライブに毎回来てくれる人が少しづつでも増えていくにしたがって、徐々にですが自信になっていって。今はワンマンライブ、イベント出演関係なく、自分のために時間を割いてくれた方に、心地良い時間と場所を提供できればと思っています」と語った。5月10日(日)にライブを行なう東京・北沢タウンホールについて彼女は「この前初めて会場に行ったんですが、凄く懐かしい感じがして。私が合唱団で発表会をやっていたホールと匂いとか雰囲気が似ていたんですね。合唱団の時は何も飾らずに“歌が楽しい”という思いだけで歌っていたので、そういう感じで5月の公演もできれば良いなと思っています」と語った。さらに「今年の1月に初めてのワンマンを昼・夜2回公演の形でやらせていただいたのですが、同日にやった2公演どちらも来てくれたお客さんとか、遠くから来てくれた同い年ぐらいの女の子とか、私がお客さんに感動する事が沢山あったんです。ただ5月の会場は、今私が把握しているお客さんの数というのを超えた会場であるので、そこに対する不安もあるんですが、見たことない景色を見てみたいし、前に進むしかないと思っています」と意気込んだ。今後の展望については「5月の公演に多くの人に来ていただくのはもちろんですが、今後はもっとたくさん曲を書いて、自分の中でイメージする自分を超える瞬間というのにもっと出会いたいですね」と話した。「1stシングル「光」リリースツアー“わたしのこえ”」東京追加公演は5月10日(日)に東京・北沢タウンホールで開催。チケットは発売中。
2015年03月20日昨年4月に3人組ダンスボーカルユニットSHAKEからソロデビューしたKanako.sが、プロデューサーの恩田快人(ex:JUDY AND MARY)、愛川ヒロキ(ex:remote)とともに、この1年半の活動を振り返った。Kanako.sは2010年にSHAKEに加入しアーティストデビュー。それまで行っていた女優業やモデル活動を減らし、大好きな歌とダンスに専念。2013年にメンバー2人が卒業するのをきっかけにソロデビューした。「何を始めるにもゼロからなんです。SHAKEの時はダンスユニットなのにダンスの経験がなく、ソロデビューの時はボイトレもやったことがないからちゃんと歌えない。人よりできない分、人一倍やるしかないという気持ちでやってきました」(Kanako.s)9月17日には3rdシングル『コイゴゴロ/koinouta』をリリース。「狂おしくもせつないバラードになった」という『koinouta』は恩田が作曲。作詞を担当したKanako.sは「恋愛ソングを聴いたり、恋愛の本を読んだりして、妄想を膨らませつつ(自分なりの恋愛観を)書きました」と明かす。『コイゴゴロ』を作曲した愛川は、「同世代の女性たちにも共感してもらいたいことから両A面ともにバラード調になった」と語った。同シングル発売日には、W-SHAKEで『転生ラブレター』、さらにダンスユニットFor fanで『For fun』を同時発売。同日に行なわれたリリースライブには、もうひとつのコラボも含め、4組すべてのステージに出演するというパワフルさ。「デビューした時は何にもできなかったのに、今ではいくつも並行して楽しめています」とKanako.s。さらに「分岐点の直前には必ず壁にぶち当たって大泣きするんです。でも泣いた後にはスッキリして壁を乗り越えてる。その繰り返しなんです」と振り返る。愛川は「自分に足りないものを見つけてはそこから努力を始める。スポンジが水を吸収するように急成長している」と分析。恩田も「どんなことでも自分で解決しなきゃと思っている。だから失敗した分だけ成長するし、同じ間違いを繰り返さない。これまでやってきたことが蓄積されている」と語る。来年4月24日には、渋谷TSUTAYA O-WESTでのデビュー2周年記念ライブが決まっている。「自分の中ですごく大きな目標で、いかに現実的なところまでもっていけるか。必ず成功させたいです」と意気込む。真摯に、前向きな姿勢で取り組んできたKanako.sが、またいくつもの壁を乗り越え、新たなステージを目指す。取材・文:門 宏
2014年09月25日「ぴあ」調査による10月28日、29日公開の映画・満足度ランキングは、立教大学現代心理学部映像身体学科の赤崎正和が監督したドキュメンタリー『ちづる』がトップに輝いた。2位に三谷幸喜監督の新作『ステキな金縛り』が、3位に劇場版“プリキュア”シリーズ第11作目となる『映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪』が入った。ぴあ映画生活「映画満足度ランキング」1位の『ちづる』は、赤崎監督が自閉症をもった妹の千鶴と母親を1年間に渡って撮り続けた家族の記録。出口調査では「勇気のいる行動だと思う。一緒に生活している姿を写し、日常の会話やケンカの場面など、カメラを意識せず撮られていて興味深い」「作品を観て初めてわかったことがあった。一歩前に踏み出す勇気をもらった」「自閉症とその家族という私の知らない世界を知ることができた。学生が撮ったとは思えない作品で驚いた」「初めて出会う、知らない家族なのにとても愛おしく感じた。重いテーマのように感じるが、それを微塵も感じさせないユーモアもあり、幸福感に満ちていた」など、作品を観て感じたことを真剣に語る観客の姿が印象的だった。2位の『ステキな金縛り』は、殺人事件を担当することになった弁護士(深津絵里)と落ち武者の幽霊(西田敏行)が繰り広げる騒動を描いた法廷サスペンスコメディ。アンケート調査では「死後の世界をあり得るものとして物語を進めていくスケールの大きさは三谷監督ならでは」「おもしろいのに泣ける。主役を務められる俳優を脇役に持ってくる演出など細部まで楽しめた」「幽霊と出会い成長していく弁護士の姿に感動。おもしろいのに“死”ということにも触れていて充実した作品」など、幅広い世代から高い満足度を獲得した。(本ランキングは、2011年10月28日(金)、29日(土)に公開された新作映画19本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)(C)2011 「ちづる」上映委員会
2011年10月31日