直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作の現場で働く人々が織りなすドラマを描いた映画『ハケンアニメ!』が先日、公開を迎えた。計441ページ(単行本)におよぶ原作小説を約2時間の映画として脚色したのが、ドラマ「死役所」、「レンタルなんもしない人」、「あのコの夢を見たんです。」など、一風変わった設定やシチュエーションの異色ドラマを数多く手がけてきた脚本家の政池洋佑である。新卒で一般企業に就職するも突如、サラリーマンとしての生活を捨て、脚本家を志したという政池だが、どのようにしてこの世界に入り、年に数本の連ドラを任される人気脚本家となったのか? いまの時代に、脚本家に必要とされる視点や能力とは? たっぷりと話を聞いた。――まず、政池さんが脚本家になられるまでの道のりについて伺ってまいります。大学卒業後、まず企業に就職されて、その後、エンタテインメントの世界に入られたそうですね。学生時代から脚本家になりたいという気持ちはあったんですか?いや、なかったですね。ただ、TVドラマは好きで、ドラマのプロデューサーや監督になりたくて、就職活動でTV局は受けていました。ただ、選考はわりと進むんですけど、最後の最後で落ちるんですよ。たぶん、薄っぺらさが伝わるんでしょうね…(苦笑)。実際、薄っぺらかったと思います。「ドラマが好き」と言いつつも、僕よりももっと好きな人はたくさんいたと思いますし、なんとなくノリだけで面接は進んでたんでしょうね。結局、TV局は全部落ちたんですけど、就活で受かったUSENで新卒で働き始めたんです。そこで毎朝、1時間ひたすらバナーの確認をするといった仕事をしてまして。1時間ずっと「F5」ボタンを押し続けて、特定の広告が何回出たのかをカウントするんですけど「これはつらいぞ…」と(苦笑)。僕、大学の頃にママチャリで日本縦断をしたことがあるんですけど、その頃の親友がTBSで働いていたんです。そのつながりである日、音楽番組の収録を見学させてもらったんですけど、なんて楽しそうな世界なんだろう!って。大学時代は2人ともあんなに楽しそうだったのに、一方はいまもキラキラ楽しそうにしてて、俺は「F5」を延々と押し続けてて…。加えてその頃、大失恋をしたんですね。そのイキオイで会社を辞めて「脚本家になろう」と思ったんです。――会社を辞める時は、この先、生きていく自信はあったんですか?いや、完全なノリですね。当時、付き合ってた彼女にフラれて「絶対にあいつを見返してやる!」って感じでそのままノリで辞めちゃいました(笑)。いや、こう言いつつ、僕はもともと、ものすごい安定志向なんですよ。メチャメチャ貯金するタイプだし。なのにイキオイで辞めちゃったんですね。つくづく、いろんな歯車が狂った結果として、いま、ここにいるんだなと思いますね(笑)。だから『ハケンアニメ!』を書くときも、主人公の瞳に感情移入できる部分は大きかったです。彼女は大学を出て、県庁で働いていたのに、退路を断ってアニメの世界に飛び込んでくるじゃないですか。自分自身を重ねながら脚本を書いていました。――会社を辞められて、その後、有名な放送作家の元に弟子入りしたと伺いました。そうです。当初から脚本家を目指してはいたんですが、構成作家にも興味があって一度、そちらも勉強してみたいなと思って、放送作家さんの弟子として働き始めました。――その後、すんなりと構成作家に?そうですね。構成作家というのはわりと人数が多い業界なんですね。いまも僕は朝の情報番組で仕事をさせてもらっていますが、わりと早い段階からいくつかの番組に入れましたね。――構成作家のお仕事というのは、ドラマや映画の脚本家とは全く違うものですか?違うと思われる部分が多いと思いますけど、僕は構成作家であることが、脚本を書く上ですごく活きているなと感じることが多いです。『ハケンアニメ!』もそうですね。今回の原作小説を読むと、3人の主人公たちが少しだけ時系列がずれているところで奮闘していて、それぞれがすごく良いセリフを口にするんですよね。それを俯瞰で見て「このセリフは絶対に大事にしなきゃ」とか「このシーンは大切だな」というふうに組み替えながら1本の映画として“構成”していくんです。僕はこの“構成力”が、脚本家として自分が得意な部分なのかなと感じていて、おそらく今回、僕を起用してくださった東映の須藤(泰司)プロデューサーもそこを評価してくださったんじゃないかと思います。――構成作家が具体的にどういうお仕事なのか詳しく説明していただけますか?やることはメチャクチャいっぱいあります。それこそ番組の企画書を書いて、その企画を会議で通して…、といったこともしますし。先ほどもお話した映画やドラマ脚本の仕事との類似という部分で言うと、例えば、ある俳優さんのことを、情報番組で紹介するとします。「昨日の映画のイベントに出席しました」とか「過去にこういう作品に出演しています」とか「インタビューの映像があります」とかいくつも“素材”があって、それらを決められた時間の中で、どういうふうに見せたら視聴者の興味を引くことができるか? というのを考えます。「オリンピック」であれば、「競技の映像」、「過去の映像」、「表彰式」や「インタビュー」の映像があって、それらをどういうふうに組み合わせて、どういうふうにVTRを終わらせたら、一番面白いか? カタルシスを感じられるか? といったことを考える仕事ですね。素材は決まっているので、“ゼロ”から“1”を作ることはできないんですけど、素材を並べて魅力的なVTRを作っていくということをやります。――構成作家として仕事をしつつ、どのように脚本家にシフトしていったのでしょうか?まずはシナリオセンターというところに通ってみました。その後、賞に応募したりもしたんですが、なかなかそこからは仕事につながらなかったんですよね。ただ、ある幸運な出会いがありまして…。サラリーマン時代にお世話になっていた先輩がいて、その人から「昼間に西荻窪で飲もう」ってずっと誘われてたんですね。最初のうちは何度か断ってたんですけど、5回目くらいにようやく行ったんです。そこになぜかリンボーダンスを踊る人たちがいて(笑)、そこで先輩に「お前も踊れよ」と言われて僕も「イェーイ!」ってメッチャ踊ったんですけど、なぜか先輩たちはすぐに帰っちゃって、せっかくリンボーダンスを踊ったのに、ひとりで寂しく飲んでたんですよ(苦笑)。――なかなか酷い展開です…。「もう帰ろう」と思ったら、隣に座ってた2人組の女性が「さっき踊ってたよね?」と話しかけてくれて、ひとりがドラマのAPをやっている方で、もうひとりは脚本家の大島里美さん(※「1リットルの涙」、大河ドラマ「花燃ゆ」など)だったんですよ! 僕は「1リットルの涙」が大好きだったので「えぇっ! 大島里美がいるよ! 嘘でしょ?」って感じで(笑)。「こんなチャンスはない!」と思って、そこから親しくさせていただいて、自分が書いたシナリオを送って読んでもらったり、一緒に飲みに行ったりするようになって、ある時、大島さんのピアノの発表会に行ったら、そこでテレ東のプロデューサーの方と知り合って、その出会いがきっかけで、脚本家として連ドラデビューすることになったんです。いま振り返ると、あそこでリンボーダンスを踊ったことがデカかったなって思います。リンボーダンスで人生変わりましたから(笑)。だから、若い脚本家の人と話をするとき、「何かあったら、自分から動けば人生変わるかもしれない」ってことはよく言いますね。――脚本家の金子ありささん(「恋はつづくよどこまでも」、「中学聖日記」など)に師事されていた時期もあったそうですね?そうですね。金子さんは大島さんの先輩で、大島さんから「いま、金子さんが弟子を募集してるけどやらない?」ってお話をいただいて、「やる!」と食い気味に行きまして(笑)、金子さんの下で1年ほど修行させていただきました。金子さんは本当に優しくて面倒見がよくて、とにかく脚本会議などの現場に常に連れて行ってくださって、そこで、僕が考えたプロットも発表する時間を持たせてくれるんです。もちろん僕のプロットなんて1ミリも使われないんですけど(苦笑)。まず会議で、金子さんがプロットをどうやって練り上げていくか? というシナリオ術と会議術を見ることができて、さらに会議の後にカフェで1~2時間ほど、金子さんが僕のプロットの何が悪いのか? どうしたら良くなるかということをマンツーマンで指導してくださるんです。それは本当に貴重でありがたい時間でした。その時のメモは「一生忘れちゃいけないな」と思って大切にとってあるし、いまでもたまに見返してます。「あぁ、金子さん、このことを言ってたんだ!」って当時はわかってなかったことが理解できたりしています。――そもそも「脚本家になろう!」と思ったのはなぜだったんでしょう? 映画やドラマは昔から好きだったんですか?好きでしたね。ただ、学生時代にそういう創作活動は全くやってなかったんです。さっきも言いましたけど、学生時代にやったことと言えば、ママチャリで日本縦断ですから。後は遊び歩いてました。だから我ながら、よくこの仕事をやれてるなぁって思います。僕は「自分に才能がない」と認める才能があって、そのぶん、吸収力はハンパないと思うんです(笑)。他人が作った面白いストーリーから学んで、自分のものにしていくのが得意なんだと思います。いまでもいろんな作品から勉強させてもらって、自分の力にしていますね。――好きなドラマや影響を受けた作品はありますか?ドラマは好きでわりと何でも見てましたけど「やまとなでしこ」とか「マイ ボス マイ ヒーロー」、映画だと『耳をすませば』とかメチャメチャ好きでした。クリエイターで言うと古沢良太さんとかは本当にすごいなぁと思います。ただ、さっきも言いましたけど、僕の武器ってたぶん「普通」であることなんですよね。ドラマがメチャクチャ大好きで、メチャメチャ見ているという人もいるじゃないですか? でも、僕は「普通」に好きで、「普通」に見てるんですよね。だから就活の時、TV局を落ちたんだと思いますけど、それは弱点でもありつつ「普通の感覚を持っている」ことが自分の特徴なのかなと思います。なので「○○さんが大好きで、憧れて、追いかけてます!」みたいなのはないですね。――先ほど、お話に出た「武器」と通じるかと思いますが、これまでいくつもの作品を手がけてきて、ご自身の作風だったり、作品の特徴ってどういう部分だと思いますか?『ハケンアニメ!』はちょっと違いますけど、「ぶっ飛んだ設定」と「ぶっ飛んだキャラクター」ですね。ドラマ「スナイパー時村正義の働き方改革」(※)なんかはまさにそうですね。※「スナイパー時村正義の働き方改革」:2020年3月にCBCテレビで深夜枠で放送された連続ドラマ。情報機関の伝説のスナイパーと同機関の人事部のOLの2人だけで繰り広げられるシチュエーションコメディで、仕事一筋のスナイパーが社会の波を受け、ミッションのさなかに“残業ゼロの定時退社”や“デジタル化”といった働き方改革を強いられていくさまを描く。2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組最優秀賞、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞、JNNネットワーク協議会 特別番組賞などを受賞。ただ、こうして賞をいただいたりもしたんですけど、番組自体は全然見られていないんですよね…(苦笑)。――CBCでの深夜放送ということもあって、「見られなかった」という人も多いのかと思います。Paravi(パラビ)でも配信されてるんですけど、なかなかね…(苦笑)。ネットでバズることもなく、「月刊ドラマ」の5月号にもシナリオを載せてもらったんですけど、これもあんまり売れてないのかなぁ…(苦笑)?ちょっと話が脱線してしまうんですけど、今回、シネマカフェさんにこの「映画お仕事図鑑」でインタビューをしていただこうと思った理由が、この「スナイパー時村正義の働き方改革」がきっかけなんですけど、自分で自信のある面白いものを書いて、それが賞をとったとしても、意外と人々に届かないというのを感じたからなんです。民放連の最優秀賞をいただいた時に「よし、これで売れるぞ」「大ブレイクするな」と思ってたんですけど、この作品をきっかけにしたお仕事のオファーというのがひとつもなかったんです。そこにはもちろん、いろんな要素があると思うんですけど、“僕”という人間のコンテンツ力がメチャメチャ低いというのも原因のひとつだなと思ったんです。まず、僕自身が多少なりとも有名になることも大事なことだなと。この連載で、少し前に『罪の声』の野木亜紀子さん(「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など)のインタビューが掲載されていましたが「野木亜紀子の新作!」となると、その時点で「絶対見る!」というファンの方が多くいると思いますけど、脚本家でなかなかあのレベル、あのゾーンに達するのって簡単なことではないですよね。もちろん、「面白いものを書く」というのが一番大切なのは言うまでもないですが、それと同時に違うアプローチ、違う戦い方も必要なんじゃないかと考えるようになったんですね。「スナイパー時村正義の働き方改革」のシナリオが「月刊ドラマ」に掲載されたのも、その一環で「今度、Paraviで配信されるので、載せてもらえませんか?」と自分から編集部に売り込んだんです。これまでは「面白いものさえ書いてれば、いつか評価される」と思ってた部分があったんですが、民放連の受賞をきっかけに、それだけじゃダメなんだって勉強させてもらいました。――ここまで話をうかがってきて、『ハケンアニメ!』の脚本を政池さんに任せようと考えた須藤プロデューサーが慧眼だなと思います。僕がお話をいただいたのは5~6年前かな? 当時はまだドラマは1本くらいしか書いてなかったと思います。実は、最終的に実現には至らなかったあるプロジェクトがあったんですけど、その作品のプロットを僕が書かせていただいたんです。それを須藤さんが読んで気に入ってくださって、そのことがきっかけで『ハケンアニメ!』で僕を抜擢してくださったんだと思います。――ここから今回の『ハケンアニメ!』の脚本の執筆に関して、詳しくお話をうかがってまいりますが、政池さんはこれまで、『ハケンアニメ!』以外のドラマ作品でも、漫画や小説の脚本家を手がけてきています。原作を脚本にする際に大事にしていること、心がけていることはありますか?一番大切にしているのは最初に読んだ時に「素晴らしい!」と思ったセリフやシーン、展開で、読みながら「おぉっ!」って心が動いた部分に関しては印を付けていくようにしています。で、脚本にする際に、その部分を確実に入れるということを大事にしています。それって当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、他の脚本家の方が書いた作品を見ていて「え? あの原作のセリフなくす?」「あのシーン、削っちゃったの?」って思うことってわりとあるんですよね。「ちょっと待って! あのセリフのためにここまでの展開があったんじゃないの?」という部分がバッサリなくなってたりしてると「この作品の面白さの“核”を理解してますか?」って思っちゃう。まあ、これは他人の作品だからこそ冷静に見られる部分もあると思いますけど(笑)。これはやはり、構成作家をやっている影響が大きいと思います。「このコンテンツがなぜ世の中で流行っているのか?」「この作品がなぜ多くの人の心を打つのか?」ということを考えていかなくてはいけない仕事なので。この原作の一番面白い部分はどこなのか? を的確に見つけて、それをきちんと脚本に組み込むことが大切だなと思います。――辻村深月さんの書かれた小説「ハケンアニメ!」を最初に読んだ時は、どんなことを感じましたか?とにかくキャラクターが魅力的過ぎるなと。全キャラクターが本当に魅力的で、これを2時間の映画にまとめるのはメチャクチャ難しいぞと思いましたね。あとはセリフのうまさが印象的でしたね。小説家もいろんなタイプの方がいらして、必ずしもセリフで勝負しない方もいると思うんですけど、辻村さんが書くセリフは本当に“刺さる”んですよね。これは一文字も変えちゃいけないな! と思わせるセリフが多いので、それは実際に原作のまま変えずに脚本にしています。中村倫也さんが演じた王子監督が新作発表の場で熱く語るシーンとかはまさにそうですね。――原作は、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)、アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)、アニメーターの並澤和奈(小野花梨)をそれぞれ主人公にした3章の物語で展開します。この3つの物語をどのように1本の映画にしていったのでしょうか? また、映画では、同時刻に放送される瞳と王子(中村倫也)のアニメ対決が中心に据えられています。こうした構成はどのようにして生まれたのでしょうか?映画として作るとき、バトルとした方が見やすいだろうというのはありました。原作では瞳が手がける「サウンドバック 奏の石」と王子の「運命戦線リデルライト」は違う時間帯に放送されることになってるんですけど、“ハケン(覇権)”を争うということを考えても、同じ時間帯に放送されて対決するとした方が、わかりやすく多くの観客に刺さるだろうと思いました。原作の3章の物語は、つながってはいるけれど、時間軸がちょっとずれてるんですよね。それを同じ時間軸の物語にしつつ、対決させることで物語として見やすく、まとまるなと思いました。そうすることで、映画オリジナルのシーンとして生まれたのが、瞳と王子がアニメイベントで、それぞれの新作について語る対談のシーンです。僕自身、あのシーンが映画オリジナルであることを忘れてて(笑)、撮影現場にお邪魔して「良いシーンだな」とか思って見てたら、ちょうど辻村さんもいらして「こういうつくり方もあるんですね」とおっしゃって「そうか、俺が作ったんだ!」って(笑)。――原作では、瞳がアニメの世界を志すきっかけになった作品が、別の監督の作品だったのが、映画では王子のデビュー作という設定に変更されていますね。「憧れの監督との対決」となることで、瞳と王子のバトルがより運命的なものになっていると感じました。そうですね。そこは映画として2時間で見せる上で、ギュッとコンパクトにするというのもありましたし、そうすることで瞳の思いをより強く感じさせられるんじゃないかと思いました。――原作を読んで「キャラクターが魅力的過ぎる」と感じたとおっしゃっていましたが、この魅力的なキャラクターを映画で描く上でどんなことを意識されたんでしょうか?2時間の映画にする上で、どうしても描き切れないキャラクターというのは出てきてしまうんですが、それでも、そのキャラクターが放つ魅力的なセリフは短くても最大限活きるように――たとえワンシーンだけだったとしてもなんとか残したいなと思って、死守しました。映画では決して長くはないですけど、並澤と市役所の宗森(工藤阿須加)のやりとりはまさにそんなシーンですね。――特に政池さんの心に残っている大事なセリフやシーンを教えてください。一番を選ぶのは本当に難しいですが…やっぱり、王子が瞳との対談で“オタク”について熱く語るところですかね。僕自身、読んでてしびれたし、これを中村倫也さんが演じたら面白くなるなと。このセリフを辻村さんがどれほど大切に思って書いたかということも感じました。行城(柄本佑)が「うちは大手だからこそ、こういう作品を作る」ということを言うところも好きですね。あと、その少し前の瞳の独白で「人生には、何かを失っても、それでも何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある」というのがあるんですけど、これは瞳の人生、彼女のストーリーの全てが詰まっているような言葉だなと思いますね。――いま、話に出ました「サウンドバック」のプロデューサーである行城に関して、映画を観てファンになる人が多いと思います。原作では「ポロシャツにジーンズ」と描写されていますが、映画では一貫してスーツを着ていますね。こうした変更など含め、“キャラクターを立てる”ためにどういった工夫をされたんでしょうか?衣装に関しては、衣装合わせで監督や柄本さん、衣装スタッフさんが話し合って決めたんだと思います。行城のキャラクターに関しては、とにかく瞳を振り回す男にしたいなというのはありました。彼なりに「作品を届ける」という思いもあって、そうしているんですけど、それをイヤ~な感じで見せたいなというのがあって、映画オリジナルで瞳を振り回す描写をいくつか入れています。辻村さんが描いたキャラクターをより魅力的に見せるために一度、僕自身で飲み込んで、咀嚼して、自分に憑依させて「この男なら、こういうことをするんじゃないか?」「こうすると、辻村さんが描いたキャラクターの魅力が最大限に際立つな」と考えながら、行動を描いていきました。――先ほど、個人的に思い入れのあるセリフやシーンについて伺いましたが、登場人物で政池さんが最も感情移入したのは誰ですか?やっぱり瞳かな? 僕自身、この作品が初めての映画脚本で、吉野耕平監督は2本目なんですよね。だからこそ、長編アニメデビュー作のために奮闘する瞳の心情をここまで丁寧に描けたんじゃないかっていう内容の感想を試写会で映画を鑑賞したお客さんからいただいて「なるほど!そうかも」って思いました。仕事をしている中で「これは絶対に外しちゃダメだ!」という仕事ってあると思うんです。最近は僕もそれなりにお仕事をいただけるようになりましたけど、最初の頃ってそんなにチャンスをいくつももらえないんですよ。まさに野球でいうところの“代打”みたいな感じで、巡ってきたその1打席で結果を出さないといけないという。僕の場合、文字通り最初にいただいたテレ東のドラマの仕事は、別の方が降板しての代打でしたからね(笑)。代打って難しいんですよ(苦笑)! 誰かが作っていたものを引き継いだり、時間があまりなかったり、条件が決して良くない中で、その1回で結果出さなきゃいけないんですから。だからこそ瞳に感情移入する部分があるのかなと思いますね。――改めて、『ハケンアニメ!』の脚本執筆の中で、一番大変だったこと、苦労されたのはどういう部分ですか?原作でそれぞれ別の章で描かれている3人をきちんと絡めるという部分ですかね。原作では、有科と並澤ってそこまで深く絡む描写ってないんですけど、映画では有科が「リデルライト」の原画を並澤に頼みに行くシーンを描いてますし、あれは良いシーンになったなと思います。それから、瞳と有科がボクシングジムで偶然出会って、銭湯に浸かって…というシーンも映画オリジナルですね。原作はそれぞれの章が独立して素晴らしいので、あまり必要なかったんですけど、映画にする上で、3人の女性がそれぞれ戦いつつ、支え合うという描写は絶対に必要だなと思っていました。かといって、あまりに都合よく、無理やり描いてもよくないので、辻村さんの世界観を大切にしつつ、彼女たちをいかに絡めるか? 瞳と王子の対談のシーンを作ったのもそうだし、冒頭に雑誌の表紙を巡るシーンを入れたのをそのためです。最初に表紙のシーンがあるからこそ、並澤をそこできちんと出して、群像劇として描くことができたんです。そのあたりはすごく考えて、工夫しましたね。完成した映画と原作を比べてみると、時間軸を組み替えたり、オリジナルで加えたりしている部分は結構あるんです。でも、原作を読まれている方が見ても、都合よく変更したような無理やりな印象を受けることはないと思います。――映画は瞳を中心に進みますが、瞳だけでなく有科、並澤、王子、行城らに感情移入し、自身を投影する観客も多そうですね。本当にひとりひとりの人物が“脇役”ではなく、それぞれ“主人公”として丁寧に描かれていると思います。原作者の辻村さんが映画オリジナルのセリフで一番刺さったとおっしゃっていたのが、有科が王子に「私に(TV)局と戦えるだけの武器をください」というセリフなんですけど、出来上がった映像を見て、書いた僕もしびれましたね。“心で戦っている”というのを尾野さんと中村さんのお2人が表現してくださったなと思いました。実は、最初の時点で瞳を主人公にするか? それとも有科を主人公にするか? というのは、結構時間をかけて議論した部分でした。初見では有科のほうが入りやすいところはありました。最終的には須藤プロデューサーが瞳を中心に据えることを決めましたが、そういう議論があるくらい、全ての登場人物が本当に魅力的でした。――ここから再び、政池さんご自身のお仕事観などについて伺って参りますが、今後、やってみたいお仕事や目標などはありますか?昔は「朝ドラを書きたい!」とか目標はあったんですけど、最近はとにかく「誰も書いてないような話を書きたいな」と思っています。こんな話、1億回は見たなって話じゃなく、設定やキャラクターがぶっ飛んだ物語を作りたいです。最近、フジテレビで放送された「ここにタイトルを入力」という深夜バラエティでドラマを書いたんですけど「予算が足りなくて、撮影中にどんどんセットが減っていく」という設定のドラマなんです。徐々に会議室の机や椅子がなくなっていったり、主人公の男がパンツ一丁になってしまったりして、最終的に主人公とヒロインがパネルの写真になってしまって、会話もできなくなるんですけど、なぜかグッとくるという展開になってます。視聴者には事前に設定などは説明されないので、物語が進むにつれて「あれ?どうなってんだ、これ?」ってなると思います。こういう仕事をしている時に、自分はこういうのが好きなんだなって実感しました。誰もやらないようなクレイジーな話を書いてるとワクワクするんです。個人的に「笑って泣ける」話が好きなんですよね。くだらなくて「あははは!」って笑ってるのに、最後に泣けてきちゃって「え? なんで俺、これで泣いちゃってるの?」となるような。そういう話を書きたいです。――物語の着想を得るために大事にしていることやアイディアを考える上での自分なりの方法はありますか?よくあるのは「逆のことをぶつける」ってことですよね。「スナイパー時村正義の働き方改革」はまさにそうですけど、スナイパーという“働き方改革”とか関係なさそうな仕事にあえてそれをぶつけてみるという。アイディア帳という意味では、スマホのメモに10年以上前から「この設定、面白いな」と思ったことをメモするようにしています。――本作も人気小説の映画化ですが、最近の日本の映画やドラマでは、オリジナル脚本による作品よりも、どうしても人気漫画や小説を原作とした作品が多い傾向があります。脚本家としてはこうした傾向をどう感じていますか?原作ものが好まれるのもわかります。制作側からしても、オリジナルで連ドラ全10話を作るって、メチャクチャ大変ですから。とはいえ最近、またオリジナルの作品が少しずつ増えてきている気もします。そこはチャンスだと思うので、面白い企画を考えて、通していくしかないなと思いますね。――いま、脚本家になりたいと思っている人に「こういうことをやっておくといい」というアドバイスがあればお願いします。いまの時代、昔と比べて脚本家になりやすいかなりにくいかで言うと、なりやすいと思います。深夜も含めてTVドラマは増えていますから。とはいえ、狭き門ではあるので、なるための戦略は必要だと思います。いま、僕の下にひとりアシスタントがいるんですが、その子はYouTubeで漫画やシナリオを配信しています。そういうところでストーリーを作ることで脚本家としての“筋肉”をつけることはできるなと思います。昔よりはこうした“ストーリーコンテンツ”をアウトプットする場は増えているので、ドラマを書きたいなら、その手前にあって誰でも自分の作品を発表できるところで、ストーリーを作る筋力や技術を身に着けることは役に立つと思いますね。いまはNETFLIXやAmazonプライムビデオなど、配信事業も増えていて、コンテンツの量が増えているのはもちろん、自分が書いた作品が届く範囲も昔よりも広がっているので、そういう意味で“夢”を持てる業界でもあると思います。もちろん、大変なことはたくさんありますけど。コンテンツが増えるのは、ありがたいことですけど、TikTokとかと戦わなきゃいけなかったりするわけですから、大変ですよ!――政池さんご自身も配信作品や韓国ドラマ、海外のドラマなどもご覧になりますか?見ますね。「参考のために」というのもありますけど、見てるとやっぱり面白いですね。もちろん、韓国ドラマが何でも面白いというわけではないんでしょうけど、人気のある作品は日本の作品と比べてもバーンっと突き抜けてると思いますね。先ほども言いましたけど、僕は自分で見ていて心が「おぉっ!」って動いたら、一度止めて、なぜそう感じたのか? というのを分析し、メモしておくということを10年以上やっているんですけど、韓国ドラマを見てると「おぉっ!」というシーンの連続ですね。「愛の不時着」とか一時停止しまくってなかなか進まなかったです(笑)。あれは本当に勉強になりましたねぇ。――「愛の不時着」はプロの脚本家の方から見てもすごい作品なんですね?抜群に面白かったですね。僕の中で「やまとなでしこ」が長くNo.1ドラマだったんですが、久々に「やまとなでしこ」を脅かす…ヘタしたら陵駕するような作品が出てきたなと。大前提としてやはり、設定が面白いですよね。先ほどの「どうしたら見てもらえるか?」という話とも通じるんですけど、いまの時代、「見てみたら面白かった」じゃなくて、「見る前から面白そう」なコンテンツを作らないといけないんだと思っています。だからこそタイトル、設定が本当に大事なんですよね。意外とドラマを作っている人たちって、自分も含め、そのことを忘れがちな気もしてて。バラエティを作ってる人たちは「タイトル命!」というくらい、そこは大事にするんですけど、ドラマだと、わりとフワッとしたタイトルが多かったりしますよね。タイトル、設定に関しては以前から大事だけど、ここ数年、より大事になっているなと感じています。――お話を伺っていて、改めて「面白い作品を作る」ということが大事なのはもちろんですが、それをどう届けるか? 「面白そう」「見てみようかな」と感じてもらうためにコミュニケーション力やマーケター的な視点も必要なんだなということを感じました。そう思います。行城と同じですね。実際、行城が映画の中で言ってることは「わかる!わかる!」って思います。“クリエイター”というのは本来、そういう部分からもっとも遠い存在だと思うんですけど、もはやそういう時代ではないんですよね。最初の話に戻るんですけど、やっぱり自分は「才能がない」ことを認める才能があるからこそ、一歩引いた視点で物事を見ているんだと思います。今回の映画で言うと王子のようなタイプは、才能と寝食を忘れるほどの情熱で自分の作りたいものを作って、その作品が世間に称賛される天才ですけど、自分はそうじゃないんですよね。だからこそマーケター的な視点も必要だし、実際、この映画を通じて行城に教えてもらったことはすごく多いなと思いますし、瞳と一緒に成長させてもらえたなと感じています。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日第31回 日本映画批評家大賞 アニメーション作品賞 受賞!昨年12月3日(金)に全国公開しましたオリジナル長編アニメ映画『フラ・フラダンス』(配給:アニプレックス)。第31回日本映画批評家大賞アニメーション作品賞を受賞しました本作のBlu-ray&DVDが2022年8月3日(水)に発売決定しました。福島県いわき市に実在するスパリゾートハワイアンズのダンシングチーム、通称〔フラガール〕。そのフラガールの新入社員・夏凪日羽(なつなぎ・ひわ)と同期の仲間たち、彼女たちを取り巻く人々との絆を描くオリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』。オリジナルアニメ映画初主演を務めるのは、NHK朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(2023年後期)の主演で、オリジナルアニメ映画初主演の福原遥。加えて、美山加恋や富田望生ら実力を兼ね備えた女優としても活躍するフレッシュなキャスト、さらに「ウマ娘 プリティーダービー」にも出演中の声優・前田佳織里、「アイカツフレンズ!」出演の陶山恵実里といった人気声優も出演。さらには、映画・ドラマに活躍する山田裕貴や自信が福島生まれで本作に強い思いを持って収録に臨んだディーン・フジオカが、脇を固めます。総監督には「鋼の錬金術師」「機動戦士ガンダム00」の水島精二、監督に『劇場版アイカツスターズ!』「ガンダムビルドダイバーズ」の綿田慎也、脚本には「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」『きみと、波にのれたら』の吉田玲子、キャラクターデザインは「アイカツ!」「UN-GO」のやぐちひろこといった日本を代表するトップクリエイターが集結。「銀魂」や「アイカツ!」のBN Pictures制作で、新たなフラガールの歴史を紡ぎました。本作のBlu-ray&DVDの完全生産限定版特典には、キャラクターデザイン:やぐちひろこの描き下ろしジャケット・特製ブックレットに加え、映画本編内で登場し、実際に福原遥、美山加恋、富田望生、前田佳織里、陶山恵実里が歌唱した、劇中アイドル「いついろディライト!!」の楽曲「ありがとFOR YOU」のフルVer.や特典映像を封入するなど豪華仕様となっています。映画公開時にSNS上で「とっても元気をもらえた!」「感情移入して号泣…」「気持ちがポカポカした」とたくさんの温かい感想で溢れた本作の感動を、永遠に残るBlu-ray&DVDでお届けいたします。Blu-ray&DVD パッケージ仕様価格:完全生産限定版Blu-ray8,800円(税込)[品番:ANZX 14042]通常版Blu-ray6,380円(税込)[品番:ANSX 14042]通常版DVD5,280円(税込)[品番:ANSB 14042]仕様:完全生産限定版・ディスク2枚組(本編ディスク+特典CD)【完全生産限定版特典】・特典CD:挿入歌「ありがとFOR YOU」フルVer.収録・やぐちひろこ描き下ろしジャケット・特製ブックレット(水島総監督インタビュー、設定資料集ほか)・映像特典(特報、本予告、公開直前予告、Web PR映像ほか)【通常版】・本編ディスク・キービジュアルジャケット全形態共通:音声:2ch&5.1ch / 字幕:日本語バリアフリー字幕店舗特典【店舗共通購入特典】マルチクリアケース対象店舗にて、『フラ・フラダンス』完全生産限定版Blu-rayをご購入いただいたお客様に、先着で差し上げます。【対象店舗】ANIPLEX+、Amazon(【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象)、アニメイト、楽天ブックス(特典付きカートのみ)、TSUTAYA、HMV、タワーレコード(一部店舗を除く)、WonderGOO/新星堂、キャラアニ.com、コーチャンフォー、ノイタミナショップ、エムズエクスポ盛岡店※特典内容は予告無く変更になる場合がございます。あらかじめご了承下さい。※特典は商品のお受け取り時にお渡しいたします。※特典は無くなり次第終了となります。※詳しくは各店舗までお問い合わせ下さい。【店舗別特典】■ANIPLEX+:スマホスタンド兼アクリルチャーム■Amazon(【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象):ビジュアルシート2枚セット■アニメイト:ブロマイド3枚セット■楽天ブックス(特典付きカートのみ対象):布ポスター■ノイタミナショップ:箔押しポストカード東北エリア店舗キャンペーン開催!東北エリアの キャンペーン対象店舗にて対象商品をお買い求めのお客様に抽選で豪華非売品グッズが当たります!ご購入時にプレゼント抽選応募券をお渡しします。■景品ラインナップA賞:日羽のラーメンどんぶりペアセット×10名様B賞:スポーツタオル(マイクロファイバー製)×15名様C賞:オリジナル不織布マスク3枚セット×30名様■対象商品2022年8月3日発売『フラ・フランダンス』完全生産限定版Blu-ray■プレゼント抽選応募券配布期間2022年8月2日(火)~※各店舗無くなり次第終了となります。■応募期間2022年8月2日(火)~2022年8月21日(日)■対象店舗は映画『フラ・フラダンス』公式サイトよりご覧ください。--------------------------■公式サイト ■作品公式Twitter --------------------------©BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年05月14日韓国のドラマ、映画などの優秀作品を表彰する、栄誉ある総合芸術の祭典「第58回百想芸術大賞」の授賞式が5月6日(金)夜に行われ、受賞者が発表。日本の韓ドラファンも注目するTV部門は、大賞を世界的にも人気を博した「イカゲーム」、作品賞は「D.P. −脱走兵追跡官−」とNetflixオリジナルシリーズが初めて分け合った。「第58回百想芸術大賞」の対象となるのは、2021年4月12日から2022年3月31日まで、地上波・総合編成チャンネル・ケーブル・OTT(動画配信サービス)・ウェブで提供されたコンテンツ、および同時期に国内で公開された作品。MCに俳優のペ・スジ、タレントのシン・ドンヨプ、さらに除隊後初の活動となる俳優のパク・ボゴムに迎えて行われた今年。「イカゲーム」主演のイ・ジョンジェらを抑え、本国で大きな話題を呼んだ「赤い袖先」(原題)のジュノ(2PM)が男性最優秀演技賞、および一般投票によるTikTok人気賞を受賞。女性最優秀演技賞も混戦が予想されたが、「マイネーム:偽りと復讐」ハン・ソヒ、「未成年裁判」キム・ヘス、「赤い袖先」イ・セヨン、「恋慕」パク・ウンビンがノミネートされる中、「二十五、二十一」で高校生役を熱演したキム・テリが受賞。TikTok人気賞にも選ばれた。映画部門では、ホン・サンス監督作品に初めて出演したベテラン、イ・ヘヨンが『あなたの顔の前に』で女性最優秀演技賞を受賞。イ・ヘヨン『あなたの顔の前に』「イカゲーム」「今、私たちの学校は…」に相次いで出演し注目を集めたイ・ユミが『ヤングアダルト・マターズ』(原題)にて映画部門の女性新人賞に。7月1日(金)より公開、リュ・スンワン監督の『モガディシュ 脱出までの14日間』が大賞と作品賞を獲得した。『モガディシュ 脱出までの14日間』TVドラマ部門主な受賞結果大賞「イカゲーム」作品賞「D.P. −脱走兵追跡官−」演出賞ファン・ドンヒョク「イカゲーム」脚本賞キム・ミンソク「未成年裁判」男性最優秀演技賞ジュノ「赤い袖先」(原題)女性最優秀演技賞キム・テリ「二十五、二十一」男性助演賞チョ・ヒョンチョル「D.P. −脱走兵追跡官−」女性助演賞キム・シンロク「地獄が呼んでいる」男性新人賞ク・ギョファン「D.P. −脱走兵追跡官−」女性新人賞キム・ヘジュン「調査官ク・ギョンイ」TikTok人気賞ジュノ/キム・テリ映画部門主な受賞結果大賞『モガディシュ 脱出までの14日間』作品賞『モガディシュ 脱出までの14日間』監督賞ビョン・ソンヒョン『キングメーカー:選挙の狐』(原題)新人監督賞チョ・ウンジ『おそらく愛』(原題)脚本賞チョン・ガヨン、ワン・ヘジ『恋愛の抜けたロマンス』男性最優秀演技賞ソル・ギョング『キングメーカー:選挙の狐』女性最優秀演技賞イ・ヘヨン『あなたの顔の前に』男性助演賞チョ・ウジン『キングメーカー:選挙の狐』女性助演賞イ・スギョン『手紙と線路と小さな奇跡』男性新人賞イ・ホンネ『Hot Blooded』(英題)女性新人賞イ・ユミ『ヤングアダルト・マターズ』(原題)(text:Reiko Uehara)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-手紙と線路と小さな奇跡 2022年4月29日よりシネマート新宿ほか全国にて公開© 2021 LOTTE ENTERTAINMENT & BLOSSOM PICTURES CO., LTD. All Rights Reserved.あなたの顔の前に 2022年6月24日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開© 2021 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reservedモガディシュ 脱出までの14日間 2022年7月1日より新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© 2021 LOTTE ENTERTAINMENT & DEXTER STUDIOS & FILMMAKERS R&K All Rights Reserved.恋愛の抜けたロマンス 2022年7月8日よりシネマート新宿ほか全国にて公開ⓒ2021 CJ ENM Co., Ltd., TWELVE JOURNEY ALL RIGHTS RESERVED
2022年05月07日地中海の島国・マルタ製作の映画としては日本初上陸となる『ルッツ 海に生きる』(原題:LUZZU)の公開が決定。ポスタービジュアルも完成した。景観の美しさから、映画の撮影地としてよく知られているマルタ共和国。マルタには、映像制作への奨励金制度があることから、『グラディエーター』、『モンテクリスト伯』、『トロイ』、『ミュンヘン』など、数多くの映画が撮影されている。そんなマルタ製作映画日本初上陸作となる本作は、マルタ特有の伝統漁船ルッツの漁師ジェスマークを主人公にした人間ドラマ。誇りを持てる漁師という仕事と、家族を養うためにお金を稼がなければならないという現実との狭間で、もがく主人公の苦悩と葛藤を描き、さらには地球温暖化の問題、EUの共通漁業政策、格差問題など社会の不条理に切り込んだ。主演を務めたのは、俳優ではなく、実際ルッツの漁師として働いているジェスマーク・シクルーナ。演技未経験ながら、自然かつ見事な演技を見せ、サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック部門で俳優賞を受賞。そして、サンダンス映画祭出品以来、映画批評サイト「ロッテントマト」で1年以上にわたり、評価が100%になっている秀作だ(4月25日現在)。併せて公開されたポスタービジュアルは、生まれたばかりの子どもに発育不良が見つかったシーンをデザイン。ジェスマークの苦悩と葛藤を表現した。なお本作は、映画を語るWeb番組として活動してきた「活弁シネマ倶楽部」が初めて共同配給する作品となる。『ルッツ 海に生きる』は6月24日(金)より新宿武蔵野館ほかにて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ルッツ 海に生きる 2022年6月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2021 Luzzu Ltd
2022年04月27日ゲームの映画化作品『Ghost of Tsushima』の脚本家がタケシ・ドッシャーに決まった。ドッシャーはアトランタ生まれ。2018年のファンタジー映画『Still』で長編映画デビューを果たした。長編2作目のSF映画『Only』には、フリーダ・ピントとレスリー・オドム・Jr.が出演している。監督は『ジョン・ウィック』のチャド・スタエルスキ。プレイステーションのゲーム「Ghost of Tsushima」は、これまでに800万を売り上げた大ベストセラー。今作は、『アンチャーテッド』に続く、ソニー・ピクチャーズとプレイステーション・プロダクションの共同製作映画となる。文=猿渡由紀
2022年04月13日4月6日、『ヒミズ』、『蛇にピアス』などに携わってきた映画プロデューサーの梅川治男氏(62)が、女性に性的な写真を要求していたことが報じられた。相次ぐ日本映画界での性加害報道に、ネット上では怒りの声が上がっている。『文春オンライン』によると’19年7月に梅川氏は女優のAさんと食事にいった。始めは舞台についての話をしていたものの話題は次第に性的な方向へ。Aさんが終電を気にしていると「女優としてやっていきたいなら、もうちょっと飲もう」といい、それでも帰ろうとすると梅川氏はトイレで性的な写真を撮影して送るよう強要したという。この1ヵ月の間、日本映画界での性加害が次々と報じられてきた。さかのぼること3月9日、“女性の性被害”をテーマにした映画『蜜月』の監督であり、俳優としても活躍する榊英雄氏(51)が女優たちに性行為を強要していたとの報道が。続いて23日、榊氏とも親交の深い俳優・木下ほうか(58)の性暴力が報じられ、木下は無期限の活動休止を発表した。そして今月4日には『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』などの話題作を世に送り出してきた映画監督・園子温氏(60)が、強引に女優をベッドに押し倒し性行為を働こうとしたことなどを『週刊女性PRIME』が報じた。5日、園氏は映画制作会社『シオンプロダクション』の公式サイトで「皆様にお騒がせをしてしまっていることにつきまして、深くお詫びいたします」とのコメントを発表。いっぽうで「今回の週刊誌報道の記事については事実と異なる点が多く、自分自身以外への関係者にも多くのご迷惑がかかっていることを考慮し、代理人を通じて、しかるべき措置をとって参る所存です」とつづっている。そんななか飛び出した梅川氏の報道。ネット上では日本の映画界の体質に批判の声が多数上がっている。《日本映画界って人間がダメなのね》《映画界って、ほんとに性暴力が蔓延してるんだな》《映画界の不祥事はこの際叩きまくって膿を出しきらないとこの先ずっと「あの業界はパワハラとセクハラに耐えないと役すら貰えない」って言われ続けると思うよ》《映画界の「MeToo」もっと被害の声が上がるといいね。ひどい問題だ》
2022年04月08日カンヌ国際映画祭で監督賞・国際批評家連盟賞のW受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表作品にも選出されたロシア映画『戦争と女の顔』(原題:Beanpole)が7月15日(金)より公開決定、本作の監督とプロデューサーから反戦のメッセージが到着した。1945年、終戦直後のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)。荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、ある日、後遺症の発作のせいで面倒をみていた子どもを死なせてしまう。そこに子どもの母親で、戦友のマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還。彼女もまた後遺症を抱えていた。心身ともにボロボロの2人の元女性兵士は、なんとか自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだすが...。本作は、ノーベル文学賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案に、巨匠アレクサンドル・ソクーロフの下に学んだ新鋭カンテミール・バラーゴフ監督が戦後の女性の運命を描いた。プロデューサーは、『チェルノブイリ1986』(20)『ラブレス』(17)『裁かれるは善人のみ』(14)をはじめ、ハリウッドでも実績のあるウクライナ出身のアレクサンドル・ロドニャンスキー。主演の2人は、新人のヴィクトリア・ミロシニチェンコとヴァシリサ・ペレリギナが見事に複雑な心理状態を演じきった。第2次世界大戦から77年。その戦争を知らない世代のスタッフ、キャストらが、現在も起こっている戦争の恐ろしさを伝える作品である。監督&プロデューサーの反戦メッセージ現在、ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアのカバルダ・バルカル共和国出身のバラーゴフ監督は、侵攻後すぐに国外へ脱出。また、ウクライナ出身のプロデューサーで、息子がゼレンスキー大統領の経済顧問をしているロドニャンスキーは、ロシア政府から名指しで彼の作品がロシア国内での放映が禁止され、SNSで反戦のコメントを連日投稿している。『戦争と女の顔』の日本公開に際し、2人から反戦のメッセージが届いた。カンテミール・パラーゴフ(監督)戦争と、それを招いたロシア政府の政治的決断に強く反対している。だから私はロシアを去らなければならないと感じた。この戦争は、ただ普通に人生を送りたい何百万という人々にとっての悲劇だ。彼らの多くにとっては、この戦争を乗り越えること、これからの人生を送ることが難しくなるかもしれない。ましてや、不可能になるかもしれない。これは、『Beanpole』で描かれていることと一緒だ。戦争より悪は存在しない。アレクサンドル・ロドニャンスキー(プロデューサー)私は今までロシア大統領選で投票をしたことがないが(ウクライナのパスポートを持っているので)、耐え難いほど恥じている。そして、とてつもなく深い悲しみにいる。戦争に言い訳などはない。どんな主張があったとしても。私はよく覚えている。ソ連が私たちにアフガニスタン戦争の絶対的な必要性を説明した時のことを。それが悲劇的な間違いだったと認めるまで、10年の月日を費やし、15,000人のソ連兵士と100万人近くのアフガニスタン人の命を犠牲にしたことも。今日、ベトナム、イラク、アフガニスタン戦争など自国の戦争について言い訳できるアメリカ人はほとんどいない。そして、またしてもこの戦争は痛ましい過ちだ。国家の経済が崩壊し、私たちの国が世界的な孤立の中停滞し、かつてないテクノロジーの格差が深まるから、という理由ではなく、この過ちにおける恥は消え去ることがないからだ。これは私たちの子供や孫の代にも残る。私たちは黙ってはいられない。戦争に「NO」を。『戦争と女の顔』は7月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:戦争と女の顔 2022年7月15日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© Non-Stop Production, LLC, 2019
2022年04月07日3月19日、河出書房新社より好評発売中!連続ドラマも多数手掛ける脚本家の小説デビュー作第23回函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞にて、審査員の荒俣宏氏(作家)・大森一樹氏(映画監督)・河井信哉氏(プロデューサー)に高い評価を得てグランプリを受賞した作品『副音声』が小説化され、3月19日に河出書房新社より出版されました。『副声音』は、視覚障がい者を声で補助する「副音声」のアルバイトを始めたフリーターの「僕」が、光を失った「彼女」と、東京と函館で、心を通わせていく恋愛小説です。脚本家として多数の映像作品のシナリオを手がけてきた著者にとって、本作は小説家としてのデビュー作となります。小説ではヒロインの視点を大幅加筆。「僕」と「彼女」ふたりの物語として、「彼女」の心理描写なども細部に至るまでこだわりました。SNSで簡単につながり、別れられる現代だからこそ、「副音声」制度というたった一つの接点でだんだんと心を通わせるふたりの愛と再生の物語が読者の心に響きます。心を閉ざし、人との交流を避けていたふたりが紡いだ感動のラストでは落涙必至!「どうか、あなたが今、この瞬間も、笑っていますように――」【あらすじ】東京で司法試験連敗中のフリーター・山里陽介(やまさとようすけ)は、視覚障害者の歩行をリモートで補助する「副音声」のバイトにスカウトされます。故郷に住む依頼人のサングラスについた小型カメラの映像に、淡々と一方的に「状況説明」をしていく陽介。しかし一つの視界を共有するうちに「副音声」に変化が生まれます。職場と家の行き来をするだけだった依頼人の世界は広がり、陽介も「状況説明」の範疇を越えて景色の美しさを伝え、時には人に騙された依頼人を熱く励まし……。顔を見たことも話したこともない男女がピュアに想いを寄せ合う、もっとも純粋な恋愛小説です。副音声 | 大林利江子 |本 | 通販 | Amazon : 函館港イルミナシオン映画祭 : 【著者プロフィール】大林利江子(おおばやしりえこ)愛知県出身。広告コピーライター、CMプランナーを経て、シナリオセンターで脚本の基礎を学ぶ。第2回「TBS連ドラ・シナリオ大賞」グランプリ受賞を機に、脚本家デビュー。『江戸モアゼル』『ラブコメの掟』『グッドモーニング・コール』をはじめ、テレビやネットフリックスでの脚本担当作品は多数。『副音声』で第23回函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリを受賞し、本作が作家デビュー作。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年04月05日第9回開催となる「サッカー本大賞2022」授賞式はオンライン配信で行われ、各受賞作品が発表されました。「サッカー本大賞2022」詳細URL: 結果は以下の通りです。授賞された著者、翻訳者、出版社、関係者の皆様おめでとうございます。■大賞ディエゴを探して(イースト・プレス)藤坂ガルシア千鶴 著ディエゴを探して書籍詳細 - ディエゴを探して|イースト・プレス : ■特別賞FCバイエルンの軌跡 ナチズムと戦ったサッカーの歴史(白水社)ディートリヒ・シュルツェ=マルメリング 著、中村修 訳FCバイエルンの軌跡 ナチズムと戦ったサッカーの歴史FCバイエルンの軌跡 - 白水社 : ■特別賞ULTRAS(ウルトラス)世界最凶のゴール裏ジャーニー(カンゼン)ジェームス・モンタギュー 著、田邊雅之 訳ULTRAS(ウルトラス)世界最凶のゴール裏ジャーニーULTRASウルトラス - 株式会社カンゼン : ■読者賞サムシングオレンジ THE ORANGE TOWN STORIES(ニューズ・ライン)藤田雅史 著※「読者賞」はフットボールチャンネル上での読者投票で最も得票数が多かった本に贈られます。サムシングオレンジ THE ORANGE TOWN STORIESトップページ : ■CB賞(クレイジーブーツ賞)該当作品なし※CB賞とは、ヨーロッパのリーグで最も多くの得点を挙げた選手に与えられる「ゴールデンブーツ賞」(現在はゴールデンシュー)をオマージュし、最も多くの「ユーモアな文章」を綴った著者に贈られる特別な賞です。Cはクレイジー、Bはブーツで、その名も「クレイジーブーツ賞」となります。「サッカー本大賞」概要良質なサッカー書籍が、日本のサッカー文化を豊かにする。2014年(平成26年)に設立された、サッカーに関する書籍を対象にした文学賞です。良い本はサッカーの見方を豊かにしてくれます。また、日本でサッカーがナンバー1スポーツになり、世界に誇れるサッカー文化を築いていくためには、高い志と情熱をもって作られた良質なサッカー書籍がもっともっと多く世に出て、多くの人に読まれて欲しいと思っています。サッカー本大賞の創設はそうした思いが出発点になっています。■選考委員(五十音順、敬称略)選考委員:金井真紀、佐山一郎、陣野俊史、幅允孝■対象作品毎年1月1日~12月31日までに発売されたサッカー本。ただし読み物に限る。いわゆる技法書、テクニック本は選考対象外。【選考方法】■1次選考①選考委員が各自複数冊を推薦。(2021年度に刊行された書籍に限る)②選考委員会で協議され、選考された書籍を優秀作品とする。■大賞選考第一次投票で選ばれた優秀作品に対して、選考委員が協議を行い、大賞が決定する(決定しない場合は再投票で決定)。大賞は授賞式で発表。【受賞一覧】●サッカー本大賞選考委員の合議または投票によって決定します。●特別賞選考委員の合議または投票によって決定します。●読者賞WEBサイト『フットボールチャンネル』での読者投票が最も多かった書籍に贈られます。【協賛・副賞提供】猿田彦珈琲株式会社コーヒーとサッカーをこよなく愛する珈琲屋、猿田彦珈琲様より副賞を提供していただきます。■サッカー本大賞2022優秀作品『旅する練習』(講談社)乗代雄介 著『予測不能のプレミアリーグ完全ガイド』(三栄書房)内藤秀明 著、エルゴラッソ編集部 編『フットボール新世代名将図鑑』(カンゼン)結城康平 著『カルチョメルカート劇場世界一クレイジーな移籍市場の秘密をすべて教えよう』(ソル・メディア)"ジャンルカ・ディ・マルツィオ 著、片野道郎 訳『いまさら誰にも聞けないサッカー隠語の基礎知識』(カンゼン)サッカーネット用語辞典 著『サムシングオレンジ THE ORANGE TOWN STORIES』(ニューズ・ライン)藤田雅史 著『ディエゴを探して』(イースト・プレス)藤坂ガルシア千鶴 著『蹴日本紀行47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)宇都宮徹壱 著『ディエゴ・マラドーナの真実 追悼・増補版』(ベースボール・マガジン社)ジミー・バーンズ 著、宮川毅 訳『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』(西葛西出版)OWL magazine 編著『FCバイエルンの軌跡:ナチズムと戦ったサッカーの歴史』(白水社)ディートリヒ・シュルツェ=マルメリング 著、中村修 訳『ULTRAS(ウルトラス)世界最凶のゴール裏ジャーニー』(カンゼン)ジェームス・モンタギュー 著、田邊雅之 訳選考委員プロフィール金井真紀(かない・まき)1974年生まれ。文筆家・イラストレーター。任務は「多様性をおもしろがること」。著書に『世界はフムフムで満ちている』(皓星社)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『マル農のひと』(左右社)など。共著に『サッカーことばランド』(ころから)、『世界のおすもうさん』(岩波書店)、『戦争とバスタオル』(亜紀書房)ほか。雑誌『フットボール批評』で「世界サッカー狂図鑑」を連載中。好きなサッカー選手は松田直樹で、その背番号にちなみ銭湯の下駄箱は3番を使う。佐山一郎(さやま・いちろう)作家、編集者。アンディ・ウォーホルズ『Interview』誌と独占契約を結んでいた『Studio Voice』編集長を経て84年、独立。主著書に『東京ファッション・ビート』(新潮カラー文庫)、『「私立」の仕事』(筑摩書房)、『闘技場の人』(河出書房新社)、『サッカー細見 ’98~’99』(晶文社)、『デザインと人』(マーブルトロン)、『雑誌的人間』(リトル・モア)、『VANから遠く離れて −評伝石津謙介−』(岩波書店)、『夢想するサッカー狂の書斎−ぼくの採点表から−』(カンゼン)、『日本サッカー辛航紀 愛と憎しみの100年史』(光文社新書)。Instagram: @sayamabar陣野俊史(じんの・としふみ)1961年生まれ。文芸評論家、フランス語圏文学者。長崎生まれ。現在、立教大学大学院特任教授。サッカー関連の著書に『フットボール・エクスプロージョン!』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)、『サッカーと人種差別』(文春新書)、翻訳書に『ジダン』(共訳、白水社)、『フーリガンの社会学』(共訳、文庫クセジュ)など。幅 允孝(はば・よしたか)有限会社BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。人と本の距離を縮めるため、公共図書館や病院、学校、ホテル、オフィスなど様々な場所でライブラリーの制作をしている。最近の仕事として「早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)」での選書・配架、札幌市図書・情報館の立ち上げや、ロンドン・サンパウロ・ロサンゼルスのJAPAN HOUSEなど。安藤忠雄氏の建築による「こども本の森 中之島」ではクリエイティブ・ディレクションを担当。早稲田大学文化構想学部非常勤講師。神奈川県教育委員会顧問。Instagram: @yoshitaka_haba■本賞に関するお問い合わせ先㈱カンゼンサッカー本大賞実行委員:宇佐美光洋〒101-0021 東京都千代田区外神田2-7-1開花ビルTEL:03-5295-7723FAX:03-5295-7725MAIL: soccerbook_award@kanzen.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年04月04日日本酒アーキテクト(日本酒の味覚設計士)山本 将守は、愛知の日本酒醸造の技術向上・育成を目的とした「匿名醸造家による日本酒」づくり、「PHANTOM PROJECT」を発足いたしました。匿名醸造家の製造する日本酒は通常流通はなく、全長6.5mを超えるフードトラック型の移動式日本酒BAR「BLACK BOX」のみで提供します。そしてこの度「BLACK BOX」製作の資金調達のため、愛知出身のHIPHOPアーティストである「AK-69」、ミュージシャンやアスリートに人気の彫師「美漸」とコラボレーションした日本酒をリターンとしたプロジェクト(Makuake)を3月29日(火)に開始いたしました。▼応援購入サービス「Makuake」 phantom project01phantom project02■PHANTOM PROJECTの特徴PHANTOMは日本酒アーキテクト・山本 将守を中心とした、匿名の日本酒醸造家たちの名称であり、日本酒技術の向上・育成を目的として毎年メンバーを替えて酒作りを行います。蔵の名前・蔵人の個人を匿名(アノニマス)とすることは、普段酒蔵の方針や売上目標の元、ルールに縛られた酒造りを自由にする試みです。初年度は6つの酒蔵・20名以上の醸造家が酒蔵の枠を超え4つのチームを組織、それぞれ全く別の設計の日本酒を製造します。(2022年7月完成予定)PHANTOM PROJECTの日本酒を提供する「BLACK BOX」は完全予約制、会員のみへ情報提供する9席のみのモビリティレストラン。日本酒+αとしてコーヒー、カクテル、漢方、お茶や料理人とのペアリングを準備しています。空間デザインは茶道の「夜咄酒事」を日本酒にアレンジ、暗闇の幽かな灯りの元、視覚に頼らない飲食体験を提供します。■異業界とのコラボレーションMakuake実施にあたり、プロジェクトのビジョンに共感したAK-69がエヴァンジェリストとして全面協力。AK-69にとって初めてとなる日本酒「録と玖」をプロデュース。ラベルデザインをAK-69と親交があり、ミュージシャン、ボクサー、格闘家などから信頼を得る人気彫師「美漸」こと松本 篤志氏へ書き下ろしデザインを依頼しました。MakuakeではPHANTOM PROJECTの4種の日本酒、通常廃棄される酒粕を使ったエシカルスイーツや、山本が企画を手がける酒器も一般発売に先駆け発表いたします。phantom project04phantom project06■プロジェクト概要プロジェクト名: PHANTOM PROJECT期間 : 2022年3月29日 10:00 ~ 6月24日Makuake URL : ■会社概要商号 : 株式会社マグネティックフィールド代表者 : 代表取締役 山本 将守所在地 : 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワーKITTE 1F設立 : 平成22年11月事業内容: 酒類販売卸・小売業 飲食店経営 など資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月30日展覧会「日本の映画館」が、2022年4月12日(火)から7月17日(日)まで東京・国立映画アーカイブ 展示室で開催される。“日本の映画館の歴史”を辿る展覧会今でこそ、1か所に多くのスクリーンを持ち効率的経営を行う「シネマコンプレックス(シネコン)」が映画館の主流となっているが、かつては豪勢な大型劇場や小さな映画館が人々に映画という娯楽を提供する場であった。「日本の映画館」は、そんなシネマコンプレックス登場以前の“観客の映画史”に迫る展覧会。映画館の写真やプログラム、雑誌・書籍、実際に映画館で使われた品々などを通して、日本初の映画館が誕生した1903年から、映画興行の発展期、ミニシアターの時代までの映画館の歴史を辿る。写真や模型、ポスターなどを展示会場内で展示されるのは、東京・浅草に開業した日本初の映画常設館・電気館の初期を捉えた写真や浅草六区の模型、映画説明者の人気を反映した活動写真弁士番付表、日本初の映画スター「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助主演作品のポスターなど。また、関東大震災から急速に復興し、娯楽産業の中心となった戦前期の映画興行を象徴するモダンなデザインの映画ポスターも多数鑑賞できる。“映写技師の仕事”や“ミニシアター”に関する紹介もさらに、かつては免許制度もあった“映写技師の仕事”にも着目するほか、1974年にスタートした岩波ホールの「エキプ・ド・シネマ」など、1960年代から1980年代にかけてのアートシアター/ミニシアターの活動についても紹介する。映画興行主の旧蔵資料また、特別コーナーでは、川崎市で映画館を主とする事業を展開している「チネチッタ(旧美須興行)」と、北九州市の映画・芸能資料館「松永文庫」が所蔵する映画興行主の旧蔵資料を展示。映画館が人々の日常に寄り添ってきた時代を振り返ることができる。【詳細】展覧会「日本の映画館」開催期間:2022年4月12日(火)~7月17日(日)休室日:月曜日、5月24日(火)~27日(金)開室時間:11:00~18:30(入室は18:00まで)※毎月末の金曜日のみ開室時間を20:00まで延長する。(入室は19:30まで)会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)住所:東京都中央区京橋3-7-6料金:一般 250円(200円)/大学生 130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料※料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含む。※( )内は20名以上の団体料金。※学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズは入室の際、証明できるものを提示。※国立映画アーカイブが主催する上映会の観覧券(半券可)提示者は、1回に限り団体料金が適用される。※2022年5月18日(水)「国際博物館の日(毎年5月18日)」は、無料で観覧可能。【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年03月18日クリティックス・チョイス・アワード(旧・放送映画批評家協会賞)が発表された。映画部門で作品賞を受賞したのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。今作ではジェーン・カンピオンが監督賞と脚色賞を受賞している。主演男優賞は『ドリームプラン』のウィル・スミス、主演女優賞は『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステイン。助演男優賞は『コーダ あいのうた』のトロイ・コッツァー、助演女優賞は『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボース。ほかに『ベルファスト』が、脚本賞、アンサンブル賞、若手俳優賞を受賞している。外国語映画部門は『ドライブ・マイ・カー』。テレビ部門では、『メディア王〜華麗なる一族〜』がドラマシリーズ部門、『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』がコメディシリーズ部門を受賞。ドラマシリーズの主演男優賞は、『イカゲーム』のイ・ジョンジェだった。文=猿渡由紀
2022年03月15日野外映画上映イベント「夜桜シアター supported by OUTDOOR THEATER JAPAN」が、2022年4月2日(土)にグランドプリンスホテル高輪の日本庭園にて開催される。夜桜×映画鑑賞「夜桜シアター」ザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、そしてグランドプリンスホテル新高輪の3つのホテルに囲まれた、約20,000㎡の広大な日本庭園。本イベントは、17種類約210本の桜が咲き誇るこの美しい庭園を舞台にした映画上映会だ。映画『ピーターラビット』を上映上映作品は、世界中で親しまれているビアトリクス・ポターの人気絵本を初めて実写映画化した『ピーターラビット』。いたずら好きのうさぎのピーターの日常や親友ビアとの恋をコミカルに描いた、心温まる作品となっている。なお、参加料金には、野外映画鑑賞券に加えて、お花見弁当と食事中のフリードリンクが含まれる。3月下旬に満開を迎えると予想されているソメイヨシノなど、様々な桜が咲き誇る満点の桜空を眺めながら、贅沢な映画鑑賞を楽しんでみてはいかがだろう。開催概要「夜桜シアター supported by OUTDOOR THEATER JAPAN」開催日:2022年4月2日(土)時間:開場 17:00、食事開始 17:30、上映開始 19:00※雨天時は屋内にて開催。場所:[上映会場]グランドプリンスホテル高輪1F「グランカフェ パティオ」前 日本庭園[受付・食事会場]ザ・プリンス さくらタワー東京2F コンファレンスフロア内容:①野外映画鑑賞券②お花見弁当③フリードリンク(お食事時)料金:1名 8,900円 ※未就学児童入場不可チケット発売:3月12日(土) 10:00〜プレイガイドにて発売上映作品:『ピーターラビット』© 2018 Columbia Pictures Industries, Inc., 2.0 Entertainment Financing, LLC and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved. | PETER RABBIT and all associated characters ™ & © Frederick Warne & Co Limited.【問い合わせ先】グランドプリンスホテル高輪 イベント係TEL:03-3442-1120(受付10:00~17:30 ※平日のみ)
2022年03月14日西島秀俊が『ドライブ・マイ・カー』で、第45回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞した。本作では、アジア人俳優として初めて全米批評家協会賞主演男優賞に輝くなど、言葉の壁を超えて海外の観客の心も震わせていた西島さん。日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞するのも初となった。主演男優賞では、ベテランから若手俳優まで豪華な顔ぶれが揃った。『護られなかった者たちへ』の佐藤健、『花束みたいな恋をした』の菅田将暉、『孤狼の血 LEVEL2』の松坂桃李、そして『すばらしき世界』の役所広司と、まさに誰が最優秀を受賞してもおかしくない、そんな空気が会場を漂っていた。『ドライブ・マイ・カー』にて、西島さんは妻を亡くした喪失感を抱える舞台演出家であり、俳優の家福悠介を演じた。常に穏やかで冷静にふるまう家福だが、専属ドライバーのみさき(三浦透子)との交流を通じ、無意識下にあった本心に気づき、すべての感情をさらけ出す。控えめながら揺れる心の機微を、もの悲しさを漂わせる圧巻の演技で披露した。タイトル通り、車の中でのシーンが多かった本作。その大変さを尋ねられると、西島さんは「撮影は車を走らせずにすることが多いですけど、監督は実際の風景が流れたり、音がしたりすることが演技に影響する(と感じている)ので、リアルに車を走らせていたんです。演技にとにかく本当を突き詰めるひとつの形だったのかなと思います」と、徹底的な現場作りを刊行した濱口組に愛を寄せていた。授賞式のスピーチでは、西島さんは「驚いています。名誉な賞をいただいて感謝しています。濱口監督、スタッフの皆さんの力でいただいた賞だと思います。そして岡田将生くん、霧島さん、世界中から参加した俳優の皆さん、三浦さん、僕たちはとにかく毎日ホン読みしていました。改めて相手の言葉に耳を澄ますことが、自分の演技のためではなく相手のそこにいることにすごく影響を与えると、改めて実感させてもらえた現場でした」と、全員で獲った賞だと改めて感謝を伝えた。最後に、西島さんは「そして、今世界が混乱していて、いろいろなつながりが切れている中、今日は3月11日ということで東日本大震災から11年経ちました。人とのつながり、魂の再生の物語がこうやって賞をいただいたことは何か大きな意味があるのではないか、と思っています。これからも人生、それから人に寄り添う希望を持つような素晴らしい作品に参加したいと思います。日本映画のためにこれからも身を捧げたいです」と力強いメッセージを送っていた。(cinamacafe.net)
2022年03月11日吉阪隆正(1917~1980)は、戦後復興期から1980年まで建築家として、また、建築を中心とした教育者、登山家、冒険家、文明批評家など横断的に活躍した。東京都現代美術館で3月19日(土)から開催される『吉阪隆正展ひげから地球へ、パノラみる』では、そんな幅広い顔を持った吉阪の活動を紹介する。1917年に東京で生まれた吉阪は、「考現学」の創始者として知られる今和次郎、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事。戦後の住宅難解消のため、住むためにすべてが準備されている大地を人工の力でつくる「人工土地」を提唱した。そんな人工土地の上に住む住宅《吉阪自邸》や、《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》、《アテネ・フランセ》などを手掛け、コンクリートによる彫塑的な造形を持った独特の建築で知られている。世界各国の大学や会議に招聘されるなど国際的に活躍する一方、吉阪は新しい社会や環境、未来へ向けた集住とすがたを提言した。自身の著作執筆だけでなく、師のコルビュジエの著作も数多く翻訳して、日本での普及に努めた。さらに住宅建築、公共建築、山岳建築や地域計画を手掛けたり、アラスカやアフリカなどへ探検する冒険家・アルピニストの活動も行った。同展では吉阪の生涯と領域横断的な活動を、7章に構成して紹介する。主宰した設計アトリエの「U研究室」、教鞭を執った大学院の学生らと共に、ディスカッションをしながら、集団で建築を作り上げていった30の建築とプロジェクトを、スケッチ、原稿、ノート、書類、写真といった創造の源泉となる資料とともに紹介。吉阪が建築によって目指したものとは何か、社会へのメッセージを紐解いていく。その中でも、地域計画のプロジェクト展示は初めてとなる。同展を、地域や時代を超えて見渡すことなどを意味する、吉阪自身の造語“パノラみる”ことで、個から地球規模への活動の広がりを知り、現代における吉阪隆正の仕事を再評価する絶好の機会となるだろう。《サイコロ世界地図》1942年(C)吉阪隆正《吉阪自邸》1955年 (撮影:北田英治、1982年)《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》1956年 (撮影:北田英治、1997年)自画像《一筆描きのタカ》1979年(C)吉阪隆正【開催概要】『吉阪隆正展ひげから地球へ、パノラみる』会期:2022年3月19日(土)~6月19日(日)会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F時間:10:00~18:00(展示室入場は17:30まで)休館日:月曜(3月21日は開館)、3月22日(火)料金:一般1,400円、大学・65歳以上1,000円、高中500円■公式サイト:
2022年03月07日全国のCDショップ店員の投票で選出される『第14回CDショップ大賞2022』の授賞式が3月3日に開催。Official髭男dismの『Editorial』ならびに21世紀生まれのソロアーティスト・WurtSの『ワンス・アポン・ア・リバイバル』の2作品が大賞受賞作品<赤><青>として選出された。『CDショップ大賞』では、2019年より大賞を「何回でも聴きたい素晴らしい作品=#神アルバム(と呼べるようなスタンダードとなりうる作品)」<赤>、「新人の素晴らしいアルバム。受賞をきっかけにブレイクが期待される、お客様にお勧めしたい作品」<青>というふたつのコンセプトに基づいて選出している。今回大賞に輝いた2組のうち、Official髭男dism『Editorial』は<赤>、WurtS『ワンス・アポン・ア・リバイバル』は<青>での選出となった。Official髭男dism『Editorial』を選出したCDショップ店員は、「リード曲に6分のバラードをもってくる、かなり挑戦的なヒゲダンの最新作。『生と死と愛』をテーマにした大長編小説かのような聴きごたえのある1枚。聴きこむ毎に、コロナ禍でライブを始めとした活動を制限された2020年の伝えたい思いが、ひしひしと伝わってくる。収録曲順も秀逸で、『I LOVE...』『Universe』と多幸感溢れるヒゲダンPOPSが、アルバムを重たくさせないのも好き。ぜひCDで聴きこんで、彼らの髄所に散りばめられた思いや音を感じてほしい!」と称賛。なおOfficial髭男dismは前作『Traveler』でもCDショップ大賞<赤>を受賞しており、2作連続で大賞を受賞するのはバンドとしては史上初となる。そしてWurtS『ワンス・アポン・ア・リバイバル』に投票したCDショップ店員は、「口ずさみたくなるメロディとリフに、オルタナを中心としてEDMやディスコっぽい雰囲気を取り入れたサウンド、そのサウンドとのアンバランスが癖になる気だるい歌声に乗せて踏まれる遊び心ある韻、全ての音が相乗効果を生み出す、絵画のパズルを組み立てたような美しい作品。アルバムを通して多幸感に溢れており、若い世代から発信されながらもどこか懐かしさを感じることが出来、年代問わずおススメしたい1枚です。」とコメントしている。WurtS『ワンス・アポン・ア・リバイバル』ジャケットこのほか部門賞では、洋楽賞にマネスキン『テアトロ・ディーラ Vol.1』、クラシック賞に朴葵姫 『Le Départ』、ジャズ賞に挾間美帆 フィーチャリング デンマーク・ラジオ・ビッグバンド『イマジナリー・ビジョンズ』、歌謡曲賞に林部智史『まあだだよ』、ライブ作品賞に藤井風『Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020 " HELP EVER HURT NEVER』が選出された。また今年は該当年に特筆すべき活躍があったアーティストの作品に授与する特別賞が3年ぶりに復活し、YOASOBI『THE BOOK』『THE BOOK 2』の2作品が受賞した。今回の各受賞作品の紹介ならびに受賞アーティストのビデオメッセージなどが観れる授賞式の模様は、YouTubeで3月4日20時よりアーカイブ公開される。また3月5日21時からは地域ブロック賞アーティストによるオンラインライブが行われる予定だ。■Official髭男dism 藤原聡(Vo/Pf) コメント前作の『Traveler』から2作連続でのCDショップ大賞<赤>を受賞させていただきましたが、バンドとしては史上初ということ、本当にありがとうございます。CDショップの店員さんはバンドの魅力を伝える側にいる人たち、一緒に動いてくれている仲間だと思っていますし、そういう人たちがいいCDだったと言ってくれるようなものが2作連続で作れたことは誇るべきことなんじゃないかなと思っています。なので、全国のCDショップの店員さんにこの賞を捧げたいと思います。おめでとうございます!■WurtS コメントこのたび、CDショップ大賞<青>に選ばれて大変光栄です。昨年のTikTokで「分かってないよ」が拡散されて以降、テレビCMや雑誌、企業とのコラボなどによって順調にネットアーティストを抜け出す準備をしていました。そして配信だけでなく、今回のようなフィジカルの評価をいただくことができ、ついにアーティストとしての活動を進めていくスタートラインに立つことができました。WurtSの目標が音楽で持続的に社会問題へ支援する仕組みを考えることであり、これからはアーティストとしての評価から、表現者としての評価を目指すことになりそうです。ぜひ皆さんも、WurtSが目指す、大きなプロジェクトのゴール地点の一部始終をご覧ください■『第14回CDショップ大賞2022授賞式』アーカイブ公開期間:3月4日(金) 20:00~4月3日(日) 23:59MC:藤田琢己配信内容:全受賞作品の発表、受賞アーティストのビデオメッセージ、CDショップ店員応援コメント視聴URL:■『地域ブロック賞 SPECIAL LIVE』配信時間:3月5日(土) 21:00~(アーカイブ無し)視聴URL:『第14回CDショップ大賞2022』受賞作品『第14回CDショップ大賞2022』ロゴ【大賞作品<赤>】■Official髭男dism 『Editorial』【大賞作品<青>】■WurtS『ワンス・アポン・ア・リバイバル』【部門賞】■洋楽賞:マネスキン『テアトロ・ディーラ Vol.1』■クラシック賞:朴葵姫 『Le Départ』■ジャズ賞:挾間美帆 フィーチャリング デンマーク・ラジオ・ビッグバンド『イマジナリー・ビジョンズ』■歌謡曲賞:林部智史『まあだだよ』■ライブ作品賞:藤井風『Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020 " HELP EVER HURT NEVER』■特別賞:YOASOBI『THE BOOK』、YOASOBI『THE BOOK 2』【入賞】※アーティスト名50音順■Awesome City Club『Grower』■Official髭男dism『Editorial』■折坂悠太『心理』■カネコアヤノ『よすが』■KID FRESINO『20,Stop it.』■Creepy Nuts『Case』■クリープハイプ『夜にしがみついて、朝で溶かして』■Kroi『LENS』■グソクムズ『グソクムズ』■Saucy Dog『レイジーサンデー』■STUTS & 松たか子 with 3exes『Presence』■sumika『AMUSIC』■SUPER BEAVER『アイラヴユー』■ずっと真夜中でいいのに。『ぐされ』■NEE『NEE』■日食なつこ『アンチ・フリーズ』■NiziU『U』■Hakubi『era』■Hump Back『ACHATTER』■マハラージャン『僕のスピな☆ムン太郎』■millennium parade『THE MILLENNIUM PARADE』■YOASOBI『THE BOOK』■YOASOBI『THE BOOK 2』■WurtS『ワンス・アポン・ア・リバイバル』【地域ブロック賞】■北海道ブロック賞:KALMA『ミレニアムヒーロー』■東北ブロック賞:菅原信介 & 6th Generation『SUGAROKU』■関東ブロック賞:Kroi『LENS』■甲信越ブロック賞:youth『フロムユー』■北陸ブロック賞:プッシュプルポット『僕らのままで』■東海ブロック賞:Atomic Skipper『人間讃歌』■関西ブロック賞:YMB『トンネルの向こう』■中国ブロック賞:Rose One『さんかくえらぶはなし』■四国ブロック賞:みゆはん『かいこ』■九州ブロック賞:クレナズム『Touch the figure』■沖縄ブロック賞:MONGOL800『etc.works3』全日本CDショップ店員組合 オフィシャルサイト:
2022年03月04日株式会社カンゼンは、サッカー専門誌「フットボール批評issue35」を、3月7日より発売いたします。デザインをリニューアルした今号の特集は「サッカー4局面の解剖学」です。4局面の始祖ともいえるヴィトール・フラーデの愛弟子カルロス・カルヴァリャル(ブラガ監督)、ポルト大学卒の安田好隆(ガンバ大阪ヘッドコーチ)のインタビューをはじめ、トランジション、フットサルの4局面、バスケットボールの4局面など、サッカーにおける4局面を再考する濃厚な企画が満載となっています。『フットボール批評issue35』表紙「攻守の切り替え」は死語であるサッカーの局面は大まかにボール保持、ボール非保持、攻撃→守備、守備→攻撃の4つに分けられる、とされている。一方でビジネスの局面は商談、契約などには分けず、プロジェクトの一区切りを指す意味合いで使われることが多いという。しかし、考えてみれば、サッカーの試合は区切りにくいのに局面を分けようとしているのに対し、ビジネスの場面は区切れそうなのに局面を分けようとしていない。禅問答のようで非常にややこしい。が、局面そのものを一区切りとするビジネスの割り切り方は本質を突いている。プロジェクト成功という目的さえあれば、やるべきことは様々な局面で自然と明確になるからだ。ならば、ビジネス以上にクリアな目的(ゴール)があるサッカーは本来、ビジネス以上の割り切り方ができる、はず。結局のところ、4局面を解剖する行為は、サッカーの目的(ゴール)を再確認するだけの行為なのかもしれない。サッカー4局面の解剖学愛弟子が語るヴィトール・フラーデInterview:カルロス・カルヴァリャル(ブラガ監督)4局面再考Interview:安田好隆(ガンバ大阪ヘッドコーチ)4局面クロニクル現代サッカーの教科書目次目次【好評連載】●現代サッカーの教科書3ゲーゲンプレスの構造河岸貴●フットボールの主旋律Op.2~カオスに抗うアナリスト~〈第3楽章〉修正→構築→継続「3+3+1」+「3」がサッカーの4局面を0局面にする庄司悟【特集:サッカー4局面の解剖学】●愛弟子が語るヴィトール・フラーデInterview:カルロス・カルヴァリャル(ブラガ監督)「彼の理論は試合を妨害しない科学である」ジョゼ・フレイタス●4局面再考Interview:安田好隆(ガンバ大阪ヘッドコーチ)サッカーの局面を切り取り、指導に生かすには小澤一郎●トランジションを巡る攻防「認知されたカオス」を追い求めるワケ結城康平●本能が4局面を制する「無意識レベル」の判断基準は育てられるのか柴村直弥●4局面クロニクル「ターン期」→「循環期」→「完全一体期」までの流れを辿る龍岡歩●ドイツ×スペイン在住若手指導者対談Conversation:TOSHI(ケーニシュタインU-16・U-17監督兼トップチームコーチ)×高田純(コルネジャU-13コーチ兼アナリスト)二大育成大国の局面論孫勝基●ポゼッション志向の田坂和昭はなぜボールを捨てたのか?ドイツサッカー愛好家が日本で試行錯誤したストーミング実践論鈴木康浩●フットサルの再現性の高さからサッカーの進化系を考察するInterview:橋谷英志郎(バルドラール浦安GKコーチ兼セットプレーコーチ兼アナリスト)明確な言語化と緻密な整備による最先端のオーガナイズとは? 清水英斗●バスケットボールからサッカーを再考するInterview:三原学(安田学園高校男子バスケットボール部ヘッドコーチ)サッカーの先を行く攻守の切り替え木崎伸也●本質に従う外国人と原則に従う日本人文化人類学的視点から見る局面の捉え方中野遼太郎【フットボールの深海】●大学サッカー界最後の開拓者かく語りき部員11人だった阪南大学を一代で屈指の強豪に押し上げた須佐徹太郎の戦記加部究●コロナ禍における基礎技術向上メソッド川添孝一が伝授する得点量産マル秘テク清水英斗●「フットボールとは何か?」を考える⑧Today’s themeJリーガーの幸福Conversation:呉屋大翔(大分トリニータ)×井筒陸也(クリアソン新宿ブランド戦略担当)「成功した『サッカー選手』が幸せになることは、意外と難しい」井筒陸也●「サッカー本大賞2022」一次選考会レポート●書籍刊行記念!フォーメーションの基礎知識Interview:龍岡歩(おこしやす京都AC戦術兼分析官)「○○」×「サッカー」で理解する配置の妙高橋大地【連載&コラム】蹴人のジレンマ龍岡歩汚点横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか田崎健太世界サッカー狂図鑑金井真紀フットボーラー経歴マニアックス土屋雅史※新連載一生蹴念サッカー論を進化させる平岡和徳※新連載再構築「世界一」からの脱却籾木結花サッカー文化異論武田砂鉄青年監督の本棚河内一馬書架へのロングパス陣野俊史サッカー洋書時評実川元子サッカー本新刊ガイド書誌情報書名:フットボール批評issue35(季刊誌3月、6月、9月、12月刊行)ページ数:160判型:B5判定価:1,650円(本体1,500円+税)出版社:カンゼン発売日:2022年3月7日商品情報 : amazon : 楽天ブックス : Twitter投稿 : 【この件に関する問い合わせ先】株式会社カンゼン営業部担当:伊藤真TEL:03-5295-7723MAIL: ito@kanzen.co.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月03日辻村深月の本屋大賞受賞作「かがみの孤城」が、劇場アニメーションとしてこの冬、公開されることが決定した。学校での居場所をなくし、家に閉じこもっていた中学生のこころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、城のような不思議な建物に行き着く。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の鍵が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという――。「朝が来る」「ハケンアニメ!」の映像化でも注目を集める辻村さん。「かがみの孤城」は、本屋大賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し1位に輝いたほか、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2017、2021など9冠を獲得し、TV・新聞など各メディアでも絶賛された、累計発行部数125万部突破の話題作。また、コミカライズ、オーディオブック化、舞台化もされている。青春期独特の繊細な感情や感性をリアルに描いた最高純度のファンタジーミステリーである本作。この冬、子どもから大人まで、全世代が共感できる青春映画の新たな金字塔として珠玉の感動作が誕生する。『かがみの孤城』は冬、公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年冬、公開予定©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年02月24日6日夜(現地時間)、第42回ロンドン映画批評家協会賞授賞式がロンドンのメイフェアホテルでバーチャル開催された。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が4冠の栄光に輝いた。同作のジェーン・カンピオン監督にとって、ロンドン映画批評家協会賞の作品賞を受賞するのは『ピアノ・レッスン』以来28年ぶり。2冠を手にしたのは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、ジョアンナ・ホッグ監督の半自伝的映画『The Souvenir: Part II』、レベッカ・ホールの初監督作『PASSING -白い黒人-』だった。新型コロナウイルスの影響により、2年連続でバーチャル開催という形がとられたロンドン映画批評家協会賞授賞式だが、同協会は今年末に今年の受賞者たちを祝う対面イベントを計画しているという。主な受賞作品・受賞者は以下の通り。作品賞『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督賞ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』非英語映画賞『ドライブ・マイ・カー』脚本賞濱口竜介&大江崇允『ドライブ・マイ・カー』主演女優賞オリヴィア・コールマン『ロスト・ドーター』主演男優賞ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』助演女優賞ルース・ネッガ『PASSING -白い黒人-』助演男優賞コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会【Netflix映画】パワー・オブ・ザ・ドッグ 2021年11⽉19⽇より一部劇場にて公開、12月1日よりNetflixにて配信
2022年02月07日「女に落語はできない」の声をはねのけ、昨年11月、女性で史上初の“落語界の登竜門”NHK新人落語大賞を受賞の快挙を成し遂げた落語家・桂二葉さん(によう・35)。落語は、男性がネタを演じることを前提として、その長い歴史を積み重ねてきた。二葉さん自身、入門前のいちファンだったころは「寄席で見た女性の落語家さんの噺に、違和感を覚えたこともありました」と打ち明ける。数多の弟子を育てた人間国宝、故・桂米朝(べいちょう)ですら、自著のなかで女性の落語家を育てることを「あたらしい芸を一つ創り上げるぐらいむずかしい」と書いたほどだ。かように、女性にとっては難しい世界に飛び込んで10年。先輩はもちろん、稽古後に足を運ぶ飲み屋のおっちゃんたちからも、幾度となく「女に落語はできひん」と言われてきた。それでも、「絶対とる!」と宣言していた落語大賞を、女性として史上初めて、しかも審査員全員から満点の評価を勝ちとり、つかみとった。受賞会見では、「満点というのはテストでもとったことがなかったので、意外でした。びっくりしています」こう、涙ながらに喜びを語った二葉さん。さらに万感の思いのこもった、こんな言葉も飛び出した。「ジジイども、見たか!」彼女はいかにして、分厚く硬い“ガラスの天井”を、突き破ることができたのだろうか。■何度も頼み込み米二師匠の初の女性の弟子に。“女だから”の苦労は常につきまとった大学在学中に笑福亭鶴瓶さん(70)の追っかけになり、熱心な落語ファンにもなった二葉さん。しだいに落語家になりたいと思ったが、卒業後、いったんはスーパーに就職した。しかしやはり、寄席に通ううちに、桂米二(よねじ・64)という落語家の弟子になりたいと考えるように。「うちの師匠は地味なんですけど。でも、高座はとても自然で、無理してるところが一つもない、そういう落語家で。なんとなく面倒見もよさそうに見えたんですよね」まずはアピールやと、彼の目に留まるための行動に出た。「師匠が出演してた繁昌亭に1週間、毎日通って同じ席に。そんとき私、アフロやったんで、めっちゃ目立ってたと思います。『ここにおるでー』って感じで(笑)」作戦は大成功だったようだ。米二さんが述懐する。「珍しい髪形のコがおるな、と目にはついてましたよ。それが、3日も続けて客席に。『これは、ただごとやないな』と思っておったらもう、すぐに『弟子にしてください』と言うてきて……」返事は「女のコはとってへんねん」と、にべもないものだった。米二さんは次のように補足した。「うちの師匠(3代目桂米朝)の持論ですね、『落語は男が男を演じ、男が女を演じるようにできてる芸や』と。つまり、歌舞伎と一緒です。だから『女が落語をするいうんは、宝塚版がいるわけや。わしはそんなんはよう教えん』と。その点は私も同意見。女性に教えるつもりなんて、サラサラなかった」それでも二葉さんは諦めない。何度も足を運んでは頭を下げた。やがて根負けした米二さん、「話だけでも聞こか」とあいなった。そこで、彼女が鶴瓶さんの追っかけファンだったことも知った。「鶴瓶兄さんにすぐ電話しましたよ。『こんなコが来て困ってますねん、どないしたら?』と。そしたら兄さん、『弟子にしたりいな〜』と、わりと無責任に言われて。でも、私自身もなんとなくね、むげに断ったら、あとで後悔するような、そんな気がしてたんは確かです」「ほな一回、稽古つけよか」と口を滑らせた師匠。その言葉に「よっしゃ!」と心の中でガッツポーズを決めたまではよかったが。「三遍稽古、言うんですけど。一つの演目を何個にも区切って、私の目の前で師匠がやってくれはるのを3回だけ見て聴いて、覚えるっていう。『こんにちは』『おー、ま、こっち上がりいな』……という感じで、だいたい1分ぐらいずつ、教わるんですけど。私、『こんにちは』だけしか、覚えられなくて。『お前、そんだけしか覚えられへんって、どういうことや!』と怒られました。仕方なしに4回目も実演してくれはったんですけど……そんでも、『こんにちは』『おー、ま、こっち上がりいな』までしか覚えられへん、みたいな。もう、そんなんの連続で、15分の前座ネタ覚えるのに半年かかりました」米二さんも呆れ顔で振り返る。「落語はたくさん聴いてきてたはずやのに、基本的な約束事、“上手、下手”のこともようわかってない。対面で稽古つけるとき、師匠が上手向いたら弟子も当然、自分の上手を向かなあかんのに、あいつは鏡と同じ要領で逆を向く。仕方なしに隣に座って『ええか、あっこに甚兵衛さんがいてると思え』と指さしながら教えましたよ」こらあかんな……とサジを投げかけた米二さんだったが。「何日かたってまた来たので、覚えたとこをやらせてみると……、これが、なかなかよかったんです。なぜか面白いと、そう思えた」芸人独特のなんとも説明のつかぬおかしみのことを、落語の世界では「ふらがある」と評する。まさに米二さんは目の前のズブの素人に、ふらを感じ取っていた。「ほんで、押し切られる形で『弟子にとろか』と。それが、忘れもしません、11年の3月9日です。東日本大震災の2日前。以前の阪神・淡路大震災のとき、私も仕事なくなりましたから。もし、震災が先やったら、弟子にとってなかったでしょうね。自分のことで手いっぱいやと。でも、震災直前に弟子に。そんなところも、なんか二葉は持ってたんかもしれませんね」こうして二葉さんは24歳で、米二師匠初めての女性の弟子に。勇んで入った落語界だが、女性ならではの苦労も多かった。高座では客からの冷たい視線にさらされた。出番直前、舞台袖で先輩から撞木でお尻を突かれるなんてセクハラは日常茶飯事。さらに、「女に落語はできひん、高座返しだけしとけ!」ある業界の人間からぶつけられた言葉。振り返る二葉さんの表情には、いまも怒りが滲んで見えた。「高座返しというのは前座の仕事で、舞台のお座布団ひっくり返して次の演者さんのための準備をするもの。男性の前座落語家もするんですけど。私は『前掛け、してやれ』とも言われて。『男の人は、してませんやんか!』と反論すると『女は前掛けがしきたりや』と」上方落語の寄席では、高座返しなど裏方仕事を専門とする“お茶子”と呼ばれる女性がいる。「彼女らは前掛けをしてるんです。でも、当然ですが『私はお茶子と違う、落語家や!』と。ただ、そんときはけんかしてる時間もなく、しゃあなしに前掛けつけて高座返しして。袖に戻った瞬間、パッと外して、投げ捨ててやりました」■ボロカスに言われた一昨年の決勝で「目が覚めた」。翌年、大爆笑をさらって見事優勝入門半年後の9月6日。大阪・梅田太融寺での二葉さんの初高座は、大入り満員だった。「うちの師匠は落語ファンからも正統派と言われていたので。『米二のとこの女の弟子やて、どんなやつや』と。ふだんは60人ぐらいしか入らんとこやのに、その日は200人以上もお客が入ってました」大勢の前で披露したのは、古典落語の演目の一つ『道具屋』。「よう、覚えてません。緊張で、もう声出すのにただただ必死で。でも、そのときは、とちらなかったと思います。その後はよう、とちりましたけど(笑)」とくに思い出深いのが、入門3年目でやらかした、こんな失敗談。「『牛ほめ』という演目のネタおろしの日で。それまでは、私が(ネタが飛んで)止まったときのために師匠、近くにいてくれはったんです。でも『3年目や、さすがにもういけるやろ』と、そんときはトイレに行ってもうて……」そんなときに限って二葉さん、演目の途中でフリーズしてしまう。「誰かが呼んでくれて師匠、ズボンをずりずり上げながら出てきてくれて(笑)。『どこや、ここらへんか?』って袖から小声で教えてくれようと。『そこじゃないです、その次です!』って答えたら、『それがわかるんやったら、次も言わんかい!』って舞台上で怒鳴られて(笑)。お客さん?それはもう大爆笑。情けないんですけど、いまだに、たまに止まるんで。いまは最前列の席のおっちゃんに教えてもらってます(苦笑)」女性というだけであれほど冷たかった客の目が、いつの間にか温かく感じられるほど、落語ファンにも愛されるようになった二葉さん。賞レースにも貪欲に挑んだ。なかでも狙っていたのが落語大賞。毎年のように挑戦し、じつは大賞獲得の前年も決勝に残っていた。「20年は決勝の会場が東京で。お客さんも少なく、私もめちゃくちゃ緊張してしまった。自分でもあかんなと思うほどできが悪くて。結果、公開説教のように審査員からボロカス言われて。『ネタ、何本持ってるの?』とまで。『そんなんいま、関係ないやろ!』いう言葉が喉元まで出かかりました(苦笑)。もう悔しいし、情けないしで……」でも、その苦い経験が初心に立ち戻る契機にもなった。「一昨年は自分に期待しすぎたのと、大賞目前と思ったら賞金の50万円に目がくらんでしまって。でも、目が覚めたというか『私はなんのために落語やってんねん?お客さんを笑かすためや』と」雪辱を果たすべく昨年、彼女が選んだネタは、やっぱり古典の『天狗さし』。主人公は、天狗を捕まえてひともうけ企む愛すべきアホ・喜六。それを、二葉さんが熱演し観客は大ウケだった。「そのときの会場は大阪。いつも応援してくれはるお客さんがぎょうさんいてて。ほんま、押し上げてくれはったなと思います」結果は先述のとおりの快挙。その大手柄を師匠も手放しに喜んだ。「二葉は誰よりも根性がありました。NHKの賞も何年も前から『絶対とります』と宣言して、有言実行しよったわけで。それはもう、素直に褒めてやりたいですね」当の本人は前年から手のひらを返したような高い評価に「え、本当にいいんですか、と思いました」と舌を出す。「でも、女性には無理と思われてた古典で、受賞できたことは、素直にうれしかった。自分で言うのもなんですけど、歴史、変わったんちゃうかな(笑)」
2022年02月06日企画上映「1990年代日本映画――躍動する個の時代」が、東京・京橋の国立映画アーカイブにて開催される。第1期は2022年2月1日(火)から3月6日(日)まで、第2期は4月5日(火)から5月1日(日)まで。1990年代の映画を回顧する上映イベント企画上映「1990年代日本映画――躍動する個の時代」は、1990年代の映画を回顧する上映イベントだ。2021年に行われた企画上映「1980年代日本映画――試行と新生」に続く形で行われる本イベントでは、時代を代表するヒット作や新しい才能による重要作などを中心に、1990年代の映画、計66本を上映。国内外を通して前例のない試みとなる。『もののけ姫』『Shall we ダンス?』など当時の話題作上映当時の日本映画の歴代配給収入記録を塗り替えた、宮崎駿の手がけるスタジオジブリ作品『もののけ姫』をはじめ、90年代の実写日本映画最大のヒットとなりシリーズ化もされた『踊る大捜査線 THE MOVIE』、一大ブームとなり後にハリウッドでもリメイクされた『Shall we ダンス?』『リング』、単館系26週ロングランとなり映画賞を席巻した話題作『月はどっちに出ている』など、90年代当時の話題作が目白押し。北野武の『HANA-BI』など、海外映画祭などで国際的に評価された作品も登場する。是枝裕和、岩井俊二の初期作品もまた、是枝裕和の『ワンダフルライフ』や岩井俊二の『Love Letter』をはじめ、橋口亮輔、松岡錠司、佐藤嗣麻子、園子温、熊切和嘉、三池崇史、廣木隆一、平山秀幸、青山真治、矢口史靖といった日本映画を牽引する監督陣の初期作品も上映。作家性の深まったアニメ作品加えて、幅広いファン層の獲得によって作家性の深まったアニメーション作品にも注目だ。押井守の『機動警察パトレイバー2 the Movie』、近藤喜文の『耳をすませば』、今敏の『PERFECT BLUE』などを35mmフィルムで鑑賞できる。社会のジェンダー観を反映した映画さらに、90年代以降に女性監督による映画作品が増え始めたり、劇中で描かれる女性のライフスタイルに変化があったり、また、多様なセクシュアリティを意欲的に題材にしたりと、社会のジェンダー観の変化が映画にも反映されているのが見て取れる。今回は、働く女性のシスターフッドを題材とした原隆仁の『OL 忠臣蔵』や、女性同性愛描写を含む佐藤嗣麻子の『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』、日常ドラマにおいて男性同性愛者を描いた『二十才の微熱』といった作品がラインナップしている。【詳細】企画上映「1990年代日本映画――躍動する個の時代」会期:・第1期 2022年2月1日(火)~3月6日(日)・第2期 2022年4月5日(火)~5月1日(日)会期中の休館日:月曜日会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]住所:東京都中央区京橋3-7-6■前売指定席券発売日:第1期 1月25日(火)~/第2期 3月29日(火)~※発売日以降、毎週火曜日10:00~にチケットぴあ[Pコード:551-909]にて翌週(火~日)上映回の前売指定席券(全席指定席)を発売(発売日変更等の場合はホームページで告知)。料金:一般 520円/高校・大学生・65歳以上 310円/小・中学生 100円※障害者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料。※前売指定席券のみ販売。※会場でのチケットの販売はなし。※障害者(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズも、入場には前売指定席券が必要。【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年02月03日サンダンス映画祭で、日本に関係した作品が2本上映された。ひとつは、オリヴァー・ハーマナス監督の『Living』。黒澤明監督の『生きる』を、1950年代初期のイギリスに設定を置き換えて語るものだ。主演はビル・ナイ、脚本を手がけたのは、ノーベル文学賞受賞者で『日の名残り』『わたしを離さないで』の原作者カズオ・イシグロ。主人公ミスター・ウィリアムズは、毎日淡々と仕事をこなす、お役所勤務の男性。そんなある日、医者から余命半年だと伝えられた。ショックのあまり、最初はどうしていいかわからないウィリアムズ。しかし、そのうち、残された時間を有効に使おうと、仕事への態度を変えていく。ナイは上映後のヴァーチャル会見で、いかにもイギリス人らしい、おとなしく謙虚なウィリアムズのキャラクター像に惹かれたと、今作の魅力について語った。「品があって、真面目。私自身の父もそんな感じだった。そんな人が、とても極端な状況に置かれるんだ」。出演オファーを受けるまで「生きる」を見たことがなく、志村喬の演技にも影響は受けていないとも述べている。それでも「日本とイギリスの文化には似ているところがあるとよく言われるし、私もそうだと思う」「今作にかかわったみんなもそうだが、私も黒澤と彼(志村喬)には敬意を表したかった」と語った。ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが、アメリカ、カナダを含む数カ国の配給権を獲得している。もう1本は、ブラッドリー・ラスト・グレイ監督の『blood』。夫を失った白人女性が友人のいる日本を訪れ、心を癒していくという物語だ。主人公の女性クロエを演じるのは、スイス人女優カーラ・ユーリ。日本人の友人トシには、ミュージシャンの植野隆司が大抜擢された。グレイ監督によれば、「有名な俳優も何人か検討したがしっくりこなかったところへ、誰かがYouTubeの動画を送ってくれて植野を知った」とのことだ。トシ家として登場するのは、植野が実際に住む家で、「僕らは彼の家を乗っ取った感じ(笑)。そして彼をひたすら追いかけて撮影しただけだ」とも、グレイ監督。その自然な撮影のしかたについては、ユーリも「カメラがあることも感じなかった。お互いと一緒にそこにいるだけだったわ」と述べている。そんな植野は、ヴァーチャル会見で「また演技をしたいですか?」と聞かれると、「どうなんだろうね?」と日本語で言って笑った。だが、「でも、very enjoy!」と、この体験がとても楽しかったことを明かしている。文=猿渡由紀
2022年01月27日近鉄グループの文化事業である「松伯美術館」では、2月11日(金・祝)から3月13日(日)まで、企画展「未来につなぐ日本画展―松伯美術館公募展大賞受賞作家の現在(いま)―」を開催します。本展では、松伯美術館公募展の歴代の大賞受賞作家の現在の作品をご紹介いたします。松伯美術館では1994年の開館以来、毎年、日本画を模索する作家達の育成と伸長を企図して公募展を開催してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等の諸事情により昨年度、本年度につきましては、公募展の開催を残念ながら中止いたしました。そこで、このたび作家の育成という公募展の歩みを振り返る機会として、大賞受賞作家の皆さまに現在の作品を自由に発表していただく展覧会を企画しました。豊かな感性で描かれた多様な表現の作品一点一点をご高覧いただき、本展が環境や価値観の激しい変化の中で日本画の未来について問いかける貴重な機会となるよう願っています。詳細は下記のとおりです。詳細本展では、松伯美術館公募展の歴代の大賞受賞作家の皆さまが自らセレクトした現在の作品をご紹介いたします。また、会期中、特別展示室では上村松園・松篁・淳之の作品もご覧いただけます。入館料は、現代日本画家の制作を応援し、その作品をより多くの皆さまに紹介するという企画展の趣旨から、通常に比べて、ご入館していただきやすい特別入館料[大人:410円(通常820円)、高校生・大学生:無料(通常820円)、小学生・中学生:無料(通常410円)]といたします。1. 名称「企画展未来につなぐ日本画展―松伯美術館公募展大賞受賞作家の現在―」2. 開催期間 2022年2月11日(金・祝)から2022年3月13日(日)3. 主催 公益財団法人 松伯美術館4. 後援 読売新聞社5. 会場 松伯美術館6. 休館日 月曜日7. 開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)8. 入館料 大人:410円、 学生(高校生・大学生を含む):無料* 高校生・大学生の方は学生証をご提示ください。* 特別入館料のため割引の取扱はございません。9. 展示作品数 約40点10. 展示作品 ※( )内は大賞受賞公募展鈴木 周子(第2回花鳥画展) 「緑蔭」、「微風」檜垣 智子(第3回花鳥画展) 「椿之図」、「夢」、「黄昏」沖谷 晃司(第4回花鳥画展) 「入梅」、「初夏」安宅 惠 (第5回花鳥画展) 「よどみなき流れの中に在る」、「沈黙の泉」永吉 秀司(第8回花鳥画展) 「雪日譚」、「思春」只内 寿則(第10回花鳥画展) 「転生」増田 貴司(第11回花鳥画展) 「秋」、「慈光」松岡 歩 (第12回花鳥画展) 「牡」、「月下」長田 佳子(第13回花鳥画展) 「まほう」石田 育代(第14回花鳥画展) 「秋麗」、「山桜」、「向日葵」柳沢 優子(第15回花鳥画展) 「水簾」、「遊蛍」秋山 洋平(第17回花鳥画展) 「季節は穏やかに」田中 翔子(第19回花鳥画展) 「La glycine du soir ~宵の藤~」鹿間 麻衣(第20回花鳥画展) 「紫季 ー桜ー」、「紫季ー朝顔ー」、「紫季 ー藤ー」、「紫季 ー紫陽花ー」前川 祥子(第21回花鳥画展) 「巡るいのち」森 友紀恵(第1回日本画展) 「降りつもる」、「葉の音」山田 雄貴(第22回花鳥画展) 「太古の痕跡」、「集積空間」杉木 智美(第2回日本画展) 「月影」、「水のほとり」大森 正哉(第23回花鳥画展) 「風櫛雨沐」島田 滋 (第3回花鳥画展) 「願い」特別出品 上村松園「雪」、上村松篁「軍鶏」・「双鳩」、上村淳之「鵲」他≪松伯美術館の公募展について≫松伯美術館の開館(1994年)以来、毎年開催している公募展で、これまで26回開催してきました。2014年度まではテーマを花鳥画に限定し「松伯美術館花鳥画展」として23回開催し、2015年度からはジャンルを限らず広く日本画を対象とした「松伯日本画展」を隔年で交互に開催することとし、これまで3回開催しました。≪松伯美術館の企画展の取組みについて≫今後も松伯美術館は、今回のような現代日本画家の制作を応援し、その作品をご紹介する場としての展覧会開催も企画してまいります。自然との共生の中で日本の風土、日本人の感性によって培われ、描き続けられてきた花鳥画。日本画にしかない花鳥画に深く取り組むことにより、日本画の独自性への理解を深めていただきたいという願いを変わらず発信しつづけます。以 上参考:新型コロナウイルス感染症予防・拡大防止のために 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月26日濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』が脚本賞を受賞し、日本でも大きな話題を呼んだ昨年のカンヌ国際映画祭で批評家たちを驚かせ、喝采を浴びた『LETO-レト-』キリル・セレブレンニコフ監督によるロシア映画『Petrov's Flu』(英題)が、邦題『インフル病みのペトロフ家』として4月23日(土)より日本公開されることが決定した。カンヌ国際映画祭ではレオス・カラックス監督『アネット』やアピチャッポン・ウィーラセタクン監督『MEMORIAメモリア』など話題作が目白押しの中で喝采を浴び、その斬新さに最高賞パルム・ドールに強く推す批評家もいたという本作。監督は、ロシア演劇界の鬼才であり、『The Student』(2016/日本未公開)や『LETO -レト-』(2018)でカンヌをはじめとする数々の映画祭で多数の賞を受賞するなど、すでに映画監督としても世界から注目を浴びているキリル・セレブレンニコフ。若くして2012年からモスクワのゴーゴリ・センターの芸術監督に任命された演出家でありながら、2017年に国からの予算を横領した疑いで逮捕されて自宅軟禁状態に。日本でも公開された『LETO -レト-』がカンヌで絶賛され、サウンドトラック賞最優秀作曲家賞を受賞した際には、多くの映画人がセレブレンニコフの無罪を訴え、解放を求めたがカンヌには参加できなかった。本作の脚本は、その軟禁という不条理な環境の中で書いたという。原作は、2016年に発売され、ロシア文学界でセンセーションを巻き起こしたアレクセイ・サリニコフによるベストセラー小説(邦訳未出)。ソヴィエト崩壊後、2004年のロシア、エカテリンブルグでインフルエンザが流行する中、主人公のペトロフは高熱にうなされる。妄想と現実の間を行ったり来たりするうちに、次第にペトロフの妄想は、まだ国がソヴィエトだった子ども時代の記憶へと回帰していく…という物語。映画は、ロシア社会への強烈な風刺を孕みながら、妄想と現実の境目が曖昧な原作の世界観そのままに、セレブレンニコフ監督らしい型破りな芸術的感性と刺激的なアクションに彩られ、強烈なインパクトに溢れた1編として完成。いくつものプロットが絡み合い、頻繁に幻覚のトリックにすり替わっては次々に展開され、熱に浮かされたような刺激的な映像体験をもたらす本作。どのように撮影されたのか気になってしまう複雑な長回しショットや、めくるめく場面転換が必見となっている。なお本作は、カンヌ国際映画祭で芸術的貢献を認められる「CST Artist-Technician Prize」を受賞。上映後、アメリカのザ・プレイリスト紙は「映画の熱病的譫妄。(中略)純粋で、粗野で、心かき乱す映画」、イギリスのリトル・ホワイト・ライズ誌は「驚くほどに奇妙な、ポスト・ソヴィエト時代のロシア像。幻想的で、刺激的。息を呑む映画作りだ」と大絶賛を贈っている。『インフル病みのペトロフ家』は4月23日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:インフル病みのペトロフ家 2022年4月23日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて公開© 2020 – HYPE FILM – KINOPRIME - LOGICAL PICTURES – CHARADES PRODUCTIONS – RAZOR FILM – BORD CADRE FILMS – ARTE FRANCE CINEMA -ZDF
2022年01月20日国内で最も歴史のある「第76回毎日映画コンクール」の受賞結果と受賞者が決定し、ハリウッドの映画賞でも注目を集めている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が日本映画大賞を受賞。また、『すばらしき世界』(西川美和監督)が日本映画優秀賞ほか最多となる4冠を獲得した。『すばらしき世界』男優主演賞は、佐藤健(『護られなかった者たちへ』)、女優主演賞は、尾野真千子(『茜色に焼かれる』)が受賞。男優助演賞には『すばらしき世界』の仲野太賀が受賞、女優助演賞には『護られなかった者たちへ』の清原果耶が受賞。『護られなかった者たちへ』また、スポニチグランプリ新人賞は『茜色に焼かれる』の和田庵と片山友希に贈られ、『茜色に焼かれる』が3冠となった。『茜色に焼かれる』映画ファンが選ぶTSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門は『るろうに剣心 最終章 The Final』(大友啓史監督)に、外国映画部門は『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(キャリー・フクナガ監督)が受賞。さらに特別賞は、今年7月に54年の歴史に幕を閉じることになったミニシアターの先駆け、岩波ホールに決まった。なお、表彰式はめぐろパーシモンホールで2月15日(火)に開催が予定されている。第76回毎日映画コンクール受賞結果日本映画大賞:『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)日本映画優秀賞:『すばらしき世界』(西川美和監督)外国映画ベストワン賞:『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督)男優主演賞:佐藤健『護られなかった者たちへ』女優主演賞:尾野真千子『茜色に焼かれる』男優助演賞:仲野太賀『すばらしき世界』女優助演賞:清原果耶『護られなかった者たちへ』スポニチグランプリ新人賞(男性):和田庵『茜色に焼かれる』スポニチグランプリ新人賞(女性):片山友希『茜色に焼かれる』監督賞:濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』脚本賞:吉田恵輔『空白』撮影賞:笠松則通『すばらしき世界』美術賞:原田哲男『燃えよ剣』音楽賞:林正樹『すばらしき世界』録音賞:浦田和治『孤狼の血 LEVEL2』アニメーション映画賞:『岬のマヨイガ』(川面真也監督)大藤信郎賞:『プックラポッタと森の時間』(八代健志監督)ドキュメンタリー映画賞:『水俣曼荼羅』(原一男監督)TSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門:『るろうに剣心 最終章 The Final』TSUTAYA映画ファン賞・外国映画部門:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』田中絹代賞:宮本信子特別賞:岩波ホール(エキプ・ド・シネマの活動)(敬称略)(text:cinemacafe.net)■関連作品:Bond 25(仮題) 2020年2月14日世界公開007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 2021年10年1月より全国にて公開© Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.All Rights Reserved.るろうに剣心最終章 The Final 2021年4月23日より全国にて公開© 和月伸宏/ 集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final」製作委員会るろうに剣心最終章 The Beginning 2021年6月4日より全国にて公開© 和月伸宏/ 集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会すばらしき世界 2021年2月11日より全国にて公開©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会護られなかった者たちへ 2021年10月1日より全国にて公開©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会岬のマヨイガ 2021年8月27日より公開Ⓒ柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会茜色に焼かれる 2021年5月21日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
2022年01月20日お笑いコンビ・すゑひろがりず(南條庄助、三島達矢)が10日、大阪・なんばグランド花月で行われた「第七回上方漫才協会大賞」で大賞に輝いた。イベント後に取材に応じ、南條は「鼓を叩くのを忘れました。とにかく驚きました。青天の霹靂とはこのことだなと。(受賞は)ないと思っていたので」と心境を告白。「上方っていう名前がついた賞で、小鼓を持って漫才をするというのはなかなか評価はしていただけないものだと思い込んでいた。こんなに吉本は心が広い会社だとは思いませんでした」と喜んだ。三島も「僕もずっと足が震えていました。もし呼ばれたらこう言おうと思っていたことを全部忘れてしまいました」と心境を述べ、「こういう評価をしていただけることは自分の人生ではないと思っていたので、ありがたい気持ちです」と語った。そして、今後について南條は「漫才の賞をいただいたので、もっとテレビで漫才が披露できるようにネタ番組とかに出演させていただきたい」と希望。三島は「本当に偉大な賞をいただいたので、一つひとつの舞台をより大切にしていきたい」と気を引き締めた。なお、上方漫才協会会長の中田カウスは、すゑひろがりずについて「古いものを新しく見せるために相当に研究したと思う。これから先が楽しみです。絶対に生き残ってほしいコンビです」と期待を寄せた。「上方漫才協会大賞」は、大阪のお笑い芸能文化の継承と発展のため、若手芸人を育成しサポートしていく「上方漫才協会」主催の賞。過去に、第一回はアインシュタイン、第二回は吉田たち、第三回はトット、第四回は見取り図、第五回はミキ、第六回はミルクボーイが大賞を受賞した。今回の大賞には、昨年活躍したニューヨーク、オズワルド、空気階段、ニッポンの社長、ロングコートダディ、オダウエダなどがノミネート。各分野のプロデューサーが2021年に活躍した芸人を対象に推薦した53組の中から大賞1組が決定した。また、新人賞には、ドーナツ・ピーナツが選出された。ドーナツは、「新人賞に挑戦させてもらったのが3回目だったので、やっとやという気持ちでした。挑戦し続けてよかった」と話し、ピーナツも「僕も3回目だったのでやっとという思いはありました。おっしゃー! と思いました」と喜びを語った。
2022年01月12日西島秀俊主演、濱口竜介監督が村上春樹の短編を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が、現地時間1月8日(土)(日本時間1月9日)に発表されたアメリカ最大の批評家協会である全米批評家協会賞にて作品賞、主演男優賞など4部門を受賞。主演男優賞を受賞した西島さんはアジア初の快挙、作品賞は日本映画では黒澤明監督の『乱』(85)以来の受賞となった(台湾・日本合作映画では2000年『ヤンヤン夏の想い出』以来)。第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、第94回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門ショートリストに選ばれている本作。今回、第56回全米批評家協会賞にて作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島さん)の主要4部門を受賞。賞レースで注目度の高いニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞でも作品賞に選ばれており、世界中ですでに35以上の賞を受賞している。過去に全米、ニューヨーク、ロサンゼルスの3つの批評家協会賞で作品賞を受賞した作品は 『グッドフェローズ』(90)、『シンドラーのリスト』(94)、『L.A.コンフィデンシャル』(98)、『ハート・ロッカー』(10)、『ソーシャル・ネットワーク』(11)など。 また、全米批評家協会賞の過去2年の作品賞受賞作は、映画賞レースを牽引し、アカデミー賞作品賞を受賞した『ノマドランド』と『パラサイト 半地下の家族』となっている。さらに、国内外のメディアが選ぶ2021年ベスト作品でも次々上位にランクイン。主人公・家福を演じた西島さんは「New York Times」「VanityFair」「SlantMagazine」にてベストパフォーマーの1人に選出されており、「TheFilmStage」では1位を獲得。同サイトではドライバーのみさき役の三浦透子もベストパフォーマー12位に選ばれるなど、本作キャストにも世界から注目が集まっている。日本でも「大傑作!美しいラストシーンに涙がこぼれた」「今年No.1」「時間を忘れて見入ってしまった」「観るたびに発見がある、3回見ても足りない」などSNSでは熱量のある口コミとリピーターたちの感想が溢れ、8月の公開から5か月近く各地でロングラン上映が続いている。『ドライブ・マイ・カー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年01月09日毎年好き&気になるマンガを紹介してきた「ananマンガ大賞」、なんと今回で12回目!ここでは大賞作を発表します。年末年始にぜひとも読んでくださーい!ananマンガ大賞:『恋するMOON DOG』山田南平満月を見ると犬になっちゃう男の子?!ファンタジー、でもリアル。“これぞマンガ”な恋物語。現実ではありえない設定、だからこそ引き込まれる!大人の女性におすすめのマンガを紹介する「ananマンガ大賞」。ありがたいことに今年で12年目を迎えたこの企画。改めて大賞選考基準をご説明すると、(1)カッコいい男性が出てくること、(2)ラブストーリーであること、(3)現在連載中であること、(4)読んだあとに前向きな気持ちになれること。以上の4つと照らし合わせながら、編集部内のマンガ好きスタッフらが厳正に審査した結果、今年の大賞は山田南平さんの『恋するMOON DOG』を選出!電子雑誌「花ゆめAi」で連載中の、満月を見ると犬になっちゃう20歳の男子と、ちょっぴり年上のトリマーとして働く女性のラブストーリーです。リアル世界では絶対にない設定は、マンガだからこそ楽しめる物語!いったいどんな作品なの?4 つのポイントで解説。POINT1:ヒロイン・律歌とアキラの出会いは真夜中の路上。偶然飛び出してきたのは犬だったけど…?初対面なのに、やけに懐く&お行儀の良いドーベルマン。近くに落ちている脱ぎたての衣服も気になるが、律歌は「とりあえず捕獲して、飼い主に連絡しよう」と犬を連れて自宅へ帰り、鑑札と名札をチェックするが…。POINT2:なんとアキラは、人狼の犬版。満月を見るとドーベルマンに変身!犬の首輪に付けられた小さなペンライトのスイッチをオン。すると満月が映し出され、それを見た犬が、突然人間、しかも若い男子、そして裸に!!いろいろありえない!!が、律歌はペットとしてアキラ(犬)を飼うことに!?POINT3:大型犬のごとく甘えてくるアキラが、正直たまりません。犬好きでも犬好きじゃなくても、オチます。犬になったり人間になったりしながら、律歌と暮らすことになったアキラ。人間の姿をしているときにも、口元を舐めてきたり擦り寄ってきたりと、甘え方がほぼ犬。それがめっちゃかわいい…。犬好きの律歌は翻弄されまくり。POINT4:出てくる犬が、リアルかつかわいい!犬同士の会話も読みどころ!律歌の働く犬の美容院には、スピッツ、シェパード、ゴールデンなどさまざまな犬がご来店。犬同士の井戸端会議の場面が、とにかく愛らしい!犬にもこんな性格の違いがあるんだろうな…と、妙に納得してしまいます。山田南平先生に、受賞特別インタビュー!受賞の報告をさせていただきつつ、作品への思いや創作の裏話、そして犬への愛を聞かせていただきました!――まずは受賞の感想をどうぞ!山田:私の夫(マネージャー)から受賞を知らされました。あまりに驚いて、「え、anan?anan??」と何度も聞き返しました。――この作品は、とにかくアキラがカッコよくて魅力的です!!山田:ありがとうございます!アキラは設定上全裸になることが多いので、細マッチョの筋肉質体型にし、また“愛されることが仕事の家庭犬”的な愛され方に慣れている子で、“女の子の気持ちを完璧に酌める王子様”であることを目指しました。犬種をドーベルマンにしたのは、ヒロインを押し倒せるサイズの大型犬で、スリム体型、筋肉質なのがひと目で分かる短毛種、という条件から出てきた結果ですね。「犬のときも人間のときもカッコいい」と言ってもらえたことがあり、本当に嬉しかったです。――このお話はファンタジーですが、恋物語としてはリアル。そのバランスはどう考えていますか?山田:犬になる、という設定以外の部分のリアリティを大事にしています。主人公の部屋や職場、遊びに行くお店の様子など、見慣れた現実感をしっかり描くと、ありえないことが起きてもすんなり読んでもらえるような気がします。また4巻でアキラの体質に関して遺伝の話が出てくるのですが、そこは医学監修を入れてリアルな設定を用意しました。ファンタジーとリアルのメリハリがあればあるほど、意外と違和感が生まれにくいのかもしれません。とはいえ「なんでアキラは日本人なのに和犬じゃないの?」というような素朴な疑問も出てくると思いますが、そこは見逃してください(笑)。――価値観が変わる昨今、恋愛マンガのあり方も変化していると思いますが、マンガ家として、そのあたりはどう思われていますか?山田:ネットやSNSのおかげなのか、ここ10年の変化の流れは本当に大きく、良い方に進化しているのだと思っています。一方で、以前私が描いた作品を今読んでくれる若い読者さんにとっては、驚きも多いだろうと、申し訳なく思う部分もありますね…。この作品も、アキラが律歌に「俺の子どもを産んで」というセリフがあり、正直“今の時代にどうなんだ?”と思い悩んだのも事実です。だからこそ、その部分を慎重に扱いながら物語を紡ぎ、7巻で律歌とアキラが一つの答えを出したので、ぜひそこまで読んでもらいたいです。――またこの作品は、犬への愛が溢れているところも素敵です。山田:作品を描く上で、“犬を生き生き幸せそうに描くこと”を大事にしています。また、“一度飼うと決めた動物と最後まで暮らす大切さ”を伝えたい、という気持ちも込めています。私自身が小さい頃から犬好きなので、いつか犬がテーマの作品が描けたら、日本のペットを取り巻く状況を盛り込みたいと思っていたので、そんな要素も少しずつ入れています。男の子カッコいいな、恋愛物語がおもしろいな、と思って読んでいたら、ついでにペット業界の暗い部分の知識もつるっとのんじゃった…的なものを目指しているので、そういうところも感じ取っていただけると、作者としては嬉しいですね。この後の律歌の心情に関して、編集長とバトルを繰り広げた、思い出の場面。2話のアキラが迫るシーン。このあと律歌は拒絶しバスルームに逃げ込む。「律歌の心の動きに関して、編集長と闘ったのを覚えています。双方折れられず、友人のマンガ家・日高万里さんにネームを見せて泣きつきました。苦し紛れに描いた律歌のモノローグを日高さんが褒めてくれたのが嬉しかった」友人、読者、編集長が揃って大絶賛!描きながらご自身も涙ぐんだ名シーン。「犬化する俺の気持ちはわからない」とアキラに言われ、律歌が泣きながら啖呵を切る場面。「友人が“すごい良かった!”と連絡をくれたり、前述の編集長からも“本当に良い回で、完璧だった”と電話をいただいたり…。読者さんの反応も、連載中で一番良かったと言われ…。本当に描けてよかった」読者さんからもらって嬉しかったのは、「読後、彼氏をハグしたくなる」という感想。「〈ananマンガ大賞〉の選考基準に、“読んだあとに前向きな気持ちになれる”というものがあると伺い、この作品に対して、そう思っていただけたということがとても光栄です。頑張って描いてよかった!家族がいる人は家族を、犬や猫を飼っている人はぜひ彼らをハグしてほしいと思います」『恋するMOON DOG』トリマーの律歌(25)が出会った犬は、満月を見ると人間になる20歳の男子だった!「俺の番(つがい)になって」と迫る年下イケメンに律歌は翻弄されるが…。電子雑誌「花ゆめAi」にて連載中。1~7巻各693円/白泉社©山田南平/白泉社やまだ・なんぺい1991年デビュー。代表作に『紅茶王子』が。現在「金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫―」をアプリ「マンガPark」で連載中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2022年01月01日米女性映画批評家サークル賞が発表された。女性についてのベスト映画に輝いたのは、レベッカ・ホールの監督デビュー作『PASSING/白い黒人』。女性によるベスト映画は、ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。今作は脚本賞も獲得している。主演女優賞は『スペンサー』のクリステン・スチュワート、主演男優賞は『ドリームプラン』のウィル・スミス。女性による外国語映画賞は『Titane』、女性アニメキャラクター賞は『ミラベルと魔法だらけの家』のミラベル。性の平等賞は『ドリームプラン』だった。文=猿渡由紀
2021年12月15日クリティックス・チョイス・アワード(旧・放送映画批評家賞)のノミネーションが発表された。最多ノミネートを果たしたのは、『ベルファスト』と『ウエスト・サイド・ストーリー』で、ともに11部門。作品部門には、この2本のほかに『コーダあいのうた』『ドント・ルック・アップ』『DUNE/デューン 砂の惑星』『ドリームプラン』『Licorice Pizza』『ナイトメア・アリー』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『Tick, Tick…BOOM!』が入った。主演男優部門の候補はニコラス・ケイジ(『Pig』)、ベネディクト・カンバーバッチ(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、ピーター・ディンクレイジ(『シラノ』)、アンドリュー・ガーフィールド(『Tick, Tick…BOOM! 』)、ウィル・スミス(『ドリームプラン』)、デンゼル・ワシントン(『The Tragedy of Macbeth』)。主演女優部門の候補はジェシカ・チャステイン(『The Eyes of Tammy Faye』)、オリヴィア・コールマン(『ロスト・ドーター』)、レディ・ガガ(『ハウス・オブ・グッチ』)、アラナ・ハイム(『Licorice Pizza』)、ニコール・キッドマン(『愛すべき夫妻の秘密』)、クリステン・スチュワート(『Spencer』)。助演男優部門の候補はジェイミー・ドーナン(『ベルファスト』)、シアラン・ヒンズ(『ベルファスト』)、トロイ・コッツァー(『コーダ〜』)、ジャレド・レト(『ハウス・オブ・グッチ』、J・K・シモンズ(『愛すべき夫妻の秘密』)、コディ・スミット=マクフィー(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)。助演女優部門の候補はカトリーナ・バルフ(『ベルファスト』)、アリアナ・デボース(『ウエスト・サイド・ストーリー』)、アン・ダウド(『Mass』)、キルステン・ダンスト(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、アーンジャニュー・エリス(『ドリームプラン』)、リタ・モレノ(『ウエスト・サイド・ストーリー』)。監督部門の候補はポール・トーマス・アンダーソン(『Licorice Pizza』)、ケネス・ブラナー(『ベルファスト』)、ジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、ギレルモ・デル・トロ(『ナイトメア・アリー』)、スティーブン・スピルバーグ(『ウエスト・サイド・ストーリー』)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(『DUNE〜』)だった。授賞式は1月9日、ロサンゼルスのフェアモント・センチュリープラザホテルにて行われる。文=猿渡由紀『ウエスト・サイド・ストーリー』日本公開日:2022年2月11日(金)
2021年12月14日