中村勘九郎と今井翼が初共演する舞台、新橋演舞場11月公演『さらば八月の大地』の製作発表が9月23日、都内で行われ、中村、今井をはじめ、檀れい、木場勝己ら出演者と、演出の山田洋次、脚本の鄭義信が会見に顔を揃えた。舞台『さらば八月の大地』チケット情報1944年の満州映画協会撮影所を舞台に、映画作りに情熱を燃やす日中のふたりの若者、助監督の張凌風(中村勘九郎)と撮影助手の池田五郎の厚い友情を描く作品。中国人女優・陳美雨に檀れい、満映理事長に木場勝己が出演する。会見では、勘九郎が今井との初共演にふれ「家族全員共演しているんです。弟(中村七之助)も妻(前田愛)も父(故勘三郎)も共演していて、僕が一番最後。今回、ガッツリ組まさせてもらいます」と意気込みを。今井は勘九郎について「お父様の雰囲気をすごく感じます」と話しながら、10代の頃に大河ドラマ『元禄繚乱』で勘三郎(当時は勘九郎)と共演したことを振り返り、「勘三郎さんから励みになる言葉をいただいて、得たものもたくさんある。息子さんである勘九郎くんと共演できるのは、とてもありがたいこと」とコメントした。満映のあった長春で少年時代を過ごしたという山田は「やがて松竹の撮影所に入ることになり、そこには満映帰りのスタッフもまだたくさんいた。たぶんあの時代と満映の撮影所の雰囲気は非常に似ているんじゃないかと思う。あの頃の僕の青春時代を想起しつつ、日本の戦争と敗戦という重い歴史を底に沈めるようにして作品を作り上げていきたい」、脚本の鄭は「人種とか民族とか、そういう壁を映画は軽々と乗り越えることができるのではないいかと僕は信じている。そういう意味で山田監督と今回ご一緒できて本当によかったと思う」と、それぞれ舞台への意気込みと期待を話した。公演は11月1日(金)から25日(月)まで。チケットの一般発売は9月25日(水)午前10時より。
2013年09月24日ファッションブランド「ジャックローズ(JACKROSE)」は、シンガーソングライター清木場俊介とコラボレーションをし、オリジナル商品の販売やスペシャルライブの開催を行うことを発表した。10代から20代の男性を中心に支持を集めるブランド「ジャックローズ」は、過去に「ザ ローリング ストーンズ(The Rolling Stones)」、「スギゾー(SUGIZO)」などのアーティストや「ディッキーズ(Dickies)」、「ホワイツ(WHITE’S)」、「ショット(Schott)」といった老舗ファッションブランドとのコラボレーション商品を展開してきた。今回は、歌うことに対してストイックな姿勢を貫いている清木場俊介をイメージキャラクターとして起用。同氏のライフスタイルイメージをブランドと融合し、”男が憧れる服作り”を目指す。コラボレーション第一弾として、オリジナルマーク「ロックスター(ROCK STAR)」を作成。清木場俊介の代名詞である「ロック」を数字の「69(ロック)」で表現し、ダークレッドとブラックのツートーンで星形にアレンジしたもの。力強さや男の渋さを表現した躍動感のあるデザインで、今後同マークを使用した商品を発売していく予定。第二弾では、清木場が2009年より定期的に開催している男性限定ライブ「男祭」とのコラボレーションライブを行う。同イベントを「男祭2013 (ジャックローズ×キヨキバ)JACKROSE×KIYOKIBA」と銘打ち、2013年11月に開催する。 【ライブ概要】清木場俊介 男祭2013 (ジャックローズ×キヨキバ)JACKROSE×KIYOKIBA開催日:2013年11月2日(土)開場時間:17:30(開演時間 18:30)会場:渋谷 O-EAST所在地:東京都渋谷区道玄坂2-14-8入場料:7,500円 (税込)元の記事を読む
2013年08月21日年頭から始まった〈井上ひさし生誕77フェスティバル2012〉。第7弾は1978年の初演時に杉村春子がヒロインを演じた『日の浦姫物語』だ。幻の名作、その復活に相応しく日本を代表する二大スター・大竹しのぶと藤原竜也の初共演も実現。11月10日(土)の幕開けを控え、佳境を迎える稽古場を訪ねた。舞台は平安時代の奥州・米田庄。この地の棟梁・成親(辻萬長)の家に生まれた美しい双子の兄妹・稲若(藤原)と日の浦姫(大竹)は互いを愛おしむうち一線を越え、子供も生まれてしまう。父母亡き後の後見人・叔父の宗親(たかお鷹)はふたりを諌め、稲若は都へ武士の修行に出すが途上で客死。幼い息子に手紙と守りの鏡を持たせて海に流した後、日の浦姫が棟梁となる。時が流れ、成長した息子・魚名(藤原のふた役)がそれとは知らぬ姫たちの前に現れて……という波乱万丈な筋立て。舞台は近親相姦の宿命に翻弄されるふた組の男女の物語を、説教聖(木場勝己)と三味線女(立石涼子)の夫婦が語る形で進められていく。この日の稽古は姫と魚名が再会の後、夫婦となって以降の場面。15歳から30、50代と劇中で年を経る大竹は、その時々に異なる美しさを見せ思わず息を飲む。兄と子を失って以来、女を捨てた姫が再び愛する人と懐妊の兆しを得て、輝きを取り戻した様子を大竹が艶やかに演じれば、年上の美女に溺れる若武者・藤原が熱っぽく荒々しい愛撫の仕草で応える。初共演とは思えぬ息の合った演技に、演出・蜷川幸雄の止めも入らぬまま稽古は進む。愛の交歓は姫が魚名を生き別れた息子と疑い、確かめ始めるところから急転直下で愁嘆場へ。事実の符合を激しく驚き、哀しみながら受け入れ始めるふたりを、語り部の聖・木場が強烈な視線で物語の外から射抜く。姫が挙げる親子の証に動揺する魚名と、別世界にいるはずの聖の表情、動き、感情がいつしかシンクロし、倍増した哀しみが場の空気を満たすのだ。ギリシア悲劇のようなスケール感の戯曲を演出・蜷川は、歌舞伎の絵画的演出や邦楽と聖歌を交えた音楽など、ボーダレスな感性で魅せていく。ツワモノ俳優が居並ぶ稽古は、ほぼノンストップだが、俳優としての誕生の瞬間から知る藤原には蜷川も「恥知らず!」「ここで笑いが起きなきゃ本番でも止めるゾ!!」など愛ある檄を飛ばし、笑いが起こる一幕も。悲劇に加え人間の根源に迫るエロス、作家の真骨頂である言葉遊びや戯れ歌など魅力満載の今作は、終幕さらに、私たち誰もが内心に抱える後ろめたさに鋭い一突きまでを残す。古えの物語を現代人へのメッセージに、皮肉に反転させるラストは驚きとともに劇場で味わっていただきたい。東京・シアターコクーンにて11月10日(土)から12月2日(日)まで上演された後、宮城・イズミティ21 大ホール、大阪・シアターBRAVA!で公演を行う。なお、東京公演の中2階立見のチケットが、10月27日(土)より発売される。取材・文:尾上そら
2012年10月26日村上春樹のベストセラー小説『海辺のカフカ』を演出家・蜷川幸雄が舞台化。5月3日の初日を迎えた彩の国さいたま芸術劇場は、世界に名を轟かせる両者のタッグ、さらに映画『誰も知らない』で衝撃的デビューを果たした、主演の柳楽優弥の初舞台に期待をかける観客で賑わった。『海辺のカフカ』チケット情報脚本はアメリカ人脚本家フランク・ギャラティが手がけ、2008年にシカゴで上演したものを使用。長年の村上文学ファンであるという蜷川も「非常によくまとめられている」と感心したそうだが、それだけに原作を損なわずに演劇に昇華させることに苦心し、巨匠にして危機感を伴う挑戦だったようだ。「メタファーで綴られた繊細な村上文学の世界を、あえて真逆の具体的なビジュアルを並べることで、多面的に立ち上げていく」。稽古場でそう語っていた蜷川の賭けの答えが、初日の舞台上に鮮やかに現れていた。「世界でいちばんタフな15歳の少年になる」ためにカフカ少年(柳楽)は家を出る。旅路で出会う商店街の看板や自動販売機、公衆トイレ、夜行バスなどの猥雑なノイズを想起させるアイテムたち、またカフカが行き着く図書館の整然とした書架などが、すべて黒枠のボックスに入って舞台に現れ、流れ過ぎていく。並行して描かれる、猫と会話ができる不思議な老人・ナカタ(木場勝己)の物語も同様で、ナカタが猫と語らう公園や、謎の人物ジョニー・ウォーカーの家、トラックなどがボックスに収められ、ほとんどの芝居がその中で進行。観客は展示物をひとつひとつ眺めるようにして、現実と非現実が錯綜するカフカとナカタの不安定な旅に誘われる。またピンライトの雨のような美しい照明効果が、カフカ少年の純粋な迷いを感じさせて印象深い。翻訳台本のセリフが、ほぼ原作小説での表現に沿っている点も難関だったであろうと想像するが、キャスト陣が健闘を見せた。柳楽は初舞台のぎこちなさはあれど、その心もとない表情がカフカ少年そのもので、原作にある「砂嵐を通り過ぎる」体験をまさに実践しているひたむきさが胸を打つ。多感なカフカを惑わせながらも安堵をもたらす女性さくらを、佐藤江梨子が小気味よく演じていて、ふたりのコントラストが愉快。飄々としたたたずまいから匂い立つ木場の巧さ、図書館の責任者・佐伯を演じる田中裕子の、浮遊感のある幻想的な立ち姿に惹きつけられる。図書館司書の大島を演じる長谷川博己は、人間味の薄い中性的な透明感をただよわせて面白い存在だ。15歳の少年が傷を受け、癒され、変化する成長潭を立体化した舞台は、ささやかな胸の痛みの余韻を残す。原作小説ファンにもぜひ踏み込んでもらいたい、新たな刺激を含んだ村上ワールドだ。公演は同劇場にて5月20日(日)まで上演。その後、大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて6月21日(木)から24日(日)まで上演される。チケットはいずれも発売中。取材・文:上野紀子
2012年05月07日故・井上ひさしが共同脚本に名を連ねた山田洋次監督の映画でその名を知られる『キネマの天地』(1986年公開)。映画公開と舞台初演から25年を経てこまつ座で初上演される本作の公開舞台稽古が、9月4日、東京・紀伊國屋サザンシアターで行われた。チケット情報舞台版『キネマの天地』は映画の続編として企画され、映画公開と同年の1986年に井上ひさしの作・演出により日生劇場で上演。ゆえに、新進女優・田中小春ら数人は映画版と同じキャラクターが登場するが、ストーリーは映画版とまるで異なるサスペンス・コメディだ。映画全盛期の昭和10年。“K.T”のイニシャルを持つ4人のスター女優が、ある映画監督に呼び出されて築地東京劇場に集められる。そこで舞台『豚草物語』への出演をオファーされ、早速稽古を始めることになった4人。実はこの監督の妻は彼女たちとも面識があり、「K.Tに殺される」と日記に書き残して謎の死を遂げた女優だった。監督はある万年下積役者を刑事に仕立て、妻殺しの真犯人を暴こうと画策しており……。麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆の各世代を代表する実力派女優たちがスター女優に扮し、豪華競演。彼女たちを迎え撃つ男性陣も、監督役に浅野和之、助監督役に古河耕史、そして下積俳優役に木場勝己と、いずれ劣らぬ実力者揃いだ。演出は、本作初演で演出助手として演出家・井上ひさしをサポートした経験を持つ栗山民也が務める。「時代や社会批判が重いテーマとして作品に潜んでいるのが井上作品の特長ですが、これは演劇論・俳優論に徹した珍しい作品」と三田和代が語るように、井上作品の系譜においては性質を異にする印象。ドンデン返し連発の娯楽作として肩肘張らずに楽しめ、約2時間半(休憩含)の上演中も笑いが絶えなかった。一幕は、スター女優たちの美しくもオソロしい自己顕示のバトル。いがみ合いながらも、愛すべき4人が絶妙なコンビネーションを見せる。彼女たちの化けの皮が次々とはがされてゆく二幕では、笑いの中に、“演じること”にとりつかれた者の悲哀が色濃く加わる。このコントラストが見事だ。役者の凄まじいまでの執念が結実したラストは、名優・木場勝己渾身の名演もあいまって、切なく、深く心に刻まれた。また同時に、作者・井上ひさしが役者に対して抱いていたであろう親愛とリスペクトが胸に迫る。そんな思いを役を通じて体現できることは、役者にとって無上の喜びであるだろう。客席を関係者が占める舞台稽古には珍しくもある熱のこもった拍手が、“演じることにとりつかれた”舞台上の役者たちを暖かく包み込んでいた。10月1日(土)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演。その後、10月4日(火)・5日(水)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、10月8日(土)に岩手・盛岡劇場、10月10日(月)に山形・川西町フレンドリープラザでも上演する。東京、大阪のチケットはぴあにて発売中。取材・文:武田吏都
2011年09月05日