東京都・広尾の山種美術館は、江戸時代から近代・現代まで、「HAPPY」を切り口に日本美術をたどる特別展「伊藤若冲 生誕300年記念 ゆかいな若冲・めでたい大観 ―HAPPYな日本美術―」を開催している。会期は3月6日まで(月曜休館)。開館時間は10:00~17:00(入館は16:30まで)。入館料は一般1,200円、大高生900円、中学生以下無料、きもの割引も実施している。同展は、幸福への願いが込められためでたい主題や、思わず笑みがこぼれる楽しいモティーフの日本美術作品約70点を集めたもの。祭事・婚礼などの慶事や節句、あるいは日常の営みの中で用いる図様として、日本美術ではさまざまな吉祥画題が表現されてきた。同展では、その中から長寿や子宝、富や繁栄などを象徴する美術に焦点をあて、おなじみの鶴亀、松竹梅、七福神など現代人からみてもラッキーアイテムとなる対象を描いた絵画が紹介される。さらに、ユーモラスな表現、幸福な情景など、HAPPY な気持ちをもたらす作品も展示されるということだ。同展で注目すべき作品として、初公開作品5点を含む伊藤若冲の墨画が挙げられる。おどけた様子の七福神《布袋図》や《恵比寿図》(以上2点は初公開)、表情豊かに動物の姿を描いた《河豚と蛙の相撲図》、押絵貼屛風《群鶏図》など、大胆なデフォルメと機知にトンだ富んだ表現を観ることができる。また、歌川国芳のユーモアあふれる猫や金魚の戯画(会期中、展示替え有り)、鮮烈な色彩と滑稽さが魅力の吉祥画・柴田是真《円窓鐘馗》、重厚感のある筆力が際立つ河鍋暁斎《五月幟図》など幕末・明治時代の作品も展示される。そして、日本を象徴する霊峰富士の堂々たる姿を描いた横山大観《心神》、陰影や立体感を意識し、近代的な人物表現を取り入れた下村観山《寿老》など、伝統的な画題を土台としながらも、時代に即した新しい表現を試みた近代の画家たちの優品も見どころということだ。
2016年01月28日東京都・品川の「原美術館」にて、キュレーターの育成や若手作家の支援を目的に開催する不定期のプロジェクト「ハラドキュメンツ」の第10弾「佐藤雅晴―東京尾行」展が1月23日(土)より開催される。佐藤雅晴は、パソコンソフトのペンツールを用いて実写をトレースして作りだすアニメーション作品に取り組んでいる。 トレースとは、対象を「自分の中に取り込む」ことだと自ら語っている。ビデオカメラで撮影された身近な人々や身の回りの風景をただただ忠実にトレース(写し取る・なぞる)し、何百ものコマを作って仕上げられたアニメーションは、無意味のようにも思えるが、実写とのわずかな差異によって生まれる違和感が、作品を前にした者それぞれの感覚に訴えかけ、さまざまな感情を呼び起こすという。本展では、「Calling」(ドイツ編、2009~2010年)を始め、「トレースとは尾行である」という新たな発想の下、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて変わり行く東京の今を描いた最新のアニメーション作品「東京尾行」(2015~2016年)、さらに平面作品数点を加え、作家の表現の変遷を展観する。佐藤氏が作家として日本で注目されるきっかけとなったアニメーション作品「Calling」のドイツ編(2009-2010 年)では、10年間過ごしたドイツのデュッセルドルフで、12の身近な光景を時間の移ろいも交えて精緻にトレースした作品。一方、ニューヨークで開催された「Duality of Existence - Post Fukushima」展(2014年、Friedman Benda Gallery)の出品作「Calling」の日本編(2014 年)は、ドイツから日本に帰国した直後に遭った東日本大震災、そして間もなく自身と家族を続けざまに襲った病魔との闘いなどを経て生まれた作品だ。今回、ドイツ編と日本編が同時展示されている。同じように周囲の風景をトレースして作り上げられたアニメーションでありながら、映像に浮かび上がってくる表現の違いを見比べることができそうだ。佐藤雅晴は、1973年、大分県生まれ。1999年、東京芸術大学大学院修士課程修了。2000~2002年、国立デュッセルドルフクンストアカデミーにガストシュラー(研究生)として在籍。2009年、「第12回岡本太郎現代芸術賞」にて特別賞を受賞。以後、川崎市市民ミュージアム(2013年、神奈川)やギャラリーαM(2014年、東京)等で個展開催している。ハラドキュメンツは、原美術館賛助会員のサポートの下、1992年の福田美蘭に始まり 2012年の安藤正子まで、過去9回開催されており、美術の範疇に留まらず、着せ替え人形作家の真鍋奈見江など、次代を担う若手の創作を紹介している。本展の開催は、5月8日(日)まで。(text:cinemacafe.net)
2016年01月20日大原美術館のコレクションが集う「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」が16年1月20日から4月4日まで、国立新美術館で開催される。大原美術館は、岡山県倉敷市の大実業家であり、社会貢献や福祉の分野でも活躍した大原孫三郎が、1930年に創設した西洋美術を紹介する日本初の本格的な美術館。同展では、大原美術館が収集した美術品の数々のなかから、代表作を展示しつつ、1世紀近くにわたる活動を紹介する。展示されるのは、エル・グレコの《受胎告知》をはじめ、西洋の近代美術からはクロード・モネの《睡蓮》、パブロ・ピカソの《頭蓋骨のある静物》、アメデオ・モディリアーニ の《ジャンヌ・エビュテルヌの肖像》、ジョルジョ・デ・キリコの《ヘクトールとアンドロマケーの別れ》、ポール・ゴーギャンの《かぐわしき大地》など。このほか、《白玉弥勒仏倚座像》、《女神イシスまたはネフティス像》、38歳で夭折した岸田劉生の《童女舞姿》、大原美術館の礎を築いた児島虎次郎の《和服を着たベルギーの少女》など日本の近代洋画や民芸運動に関わった作家の作品、戦後の美術たちが展示される。また、芥川賞を受賞したピースの又吉直樹が同展のサポーターに就任。見どころや楽しみ方を又吉ならではの表現方法で展覧会ムービーなど様々な機会で紹介していく。又吉が出演する全10話のオリジナルムービーは、謎解きのストーリー仕立てになっており、現在展覧会サイトおよびYoutubeにて公開中だ。動画引用元: (はじまり展オフィシャルYouTube: 【イベント情報】「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」会場:国立新美術館住所:東京都港区六本木7-22-2会期:16年1月20日~16年4月4日休館日:火曜日時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)料金:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円
2016年01月16日GOB Incubation Partnersは、至峰堂画廊銀座店と共同でオフィスに代わる"働ける美術館"「ARTHOUSE(アートハウス)」のサービスを4月より開始すると発表した。同施設の場所は、東京都・西新宿。7:00~23:00までオープン(毎週、平日1日定休)し、座席は6席(貸し切りの場合は8名まで可)。本日15日 11:00よりクラウドファンディングサービス「Makuake」にて資金支援(先行予約受付)を募っている。「ARTHOUSE」は、オフィスに代わる"働ける美術館"がコンセプトのコワーキングスペース。遊休スペース(主にワンルーム)の内装を美術館にリフォームして絵画を掲げ、ビジネスパーソンが本物の絵画に囲まれながら創造的な思索ができる空間となっている。施設内には、飛び石や畳、障子、木で創られたトンネルなどが設けられるなど、日本の美を味わえる「和の美術館」をテーマに、都会で働く人が仕事もしながら心が安らげるような美術館になっている。また、掲げる絵画は事前にWebから予約でき、貸し切ることでミーティングスペースやワークショップ、講演スペースとしても利用可能。Wi-Fiやプロジェクター、ホワイトボードなどの設備も揃っているということだ。料金は、10:00~18:00のドロップイン利用が1時間:1,500円、3時間:4,000円(平日は500円引き)。モーニングパックやナイトパック、1Dayパックなどの割安なパックも用意される。また、貸し切り料金は1日:8万円/日、3時間:3万円。月額会員は平日4日間使い放題が12万円、土日祝の使い放題が6万円など(今後変更の可能性あり)。また、今回クラウドファンディングサービス「Makuake」で募っている支援コースおよびリワードには、2時間利用チケット1枚の「3,000円コース」、2時間利用チケット2枚+美術館メンバー会員証の「6,000円コース」、3時間利用チケット3枚+美術館メンバー会員証、あるいは1日利用チケット1枚+美術館メンバー会員証の「1万円コース」、3時間貸し切りチケット1枚+美術館メンバー会員証の「2万5,000円コース」などが用意されている。なお、募っている資金の「目標額」は50万円だが、15日 11:00の開始から1時間で早くも目標額を達成し、12:00の時点で60万を超える支援金が集まっている。集まった支援金は、店内改装工事や壁面構築工事の費用などに充填する予定とのことだ。
2016年01月15日セゾン現代美術館が12月1日、東京・表参道にギャラリー・SEZON ART GALLERY(東京都渋谷区神宮前3-6-7)をオープンした。「芸術の日常性」をテーマに、1階、地下1階、地下2階で構成される同ギャラリー。作品が生み出されるアーティストのアトリエ、生み出されたものを展示・販売するギャラリー、想像力を膨らます人々の対話の場となるカフェ・ダイニングバーが一体化した空間となっている。1階は自由度の高いギャラリーとなっており、制作テーマに基づいてアート作品を募集し、企画展を開催していく。また、アーティストのアトリエも併設しており、貴重な制作の様子などを見ることも出来る。地下1階には、人々の対話の場となるカフェ・ダイニングバーを設置。同ギャラリーの所属アーティストによる作品に囲まれた空間で、リラックスしながら飲食を楽しむことが出来る。夜にはアルコールも提供される予定だ。地下2階では、国内外から厳選した新進気鋭アーティストの個展や企画展などを開催。音響や照明を備えたステージも用意しており、アートの展示の他、ライブパフォーマンスや映像作品の上映なども行われる。なお、1階では1月29日まで、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)とのコラボレーションでも知られる現代美術家・笹田靖人の展覧会「YASUTO SASADA展」を行っている。2月5日からは、画家・門田光雅による「MITSUMASA KADOTA展」を予定。
2016年01月10日人間国宝である染織作家・志村ふくみの大規模な回顧展「志村ふくみ―母衣(ぼろ)への回帰―」が2月2日より、京都国立近代美術館で開催される。志村の作品は草木からの自然染料で染められた糸によって織り上げられており、国際的な評価も高い。2014年には「民衆の知恵の結晶である紬の創作を通して、自然との共生という人間にとって根源的な価値観を思索し続ける芸術家」として第30回京都賞(思想・芸術部門)を受賞し、15年には文化勲章を受章した。文化勲章受章記念として開催される同展では、代表作を中心に、初期の作品から最新作までを一堂に展示。60年におよぶ創作の歩みを紹介するとともに、志村の魅力と芸術の核心に迫るものとなっている。会期中の2月13日には志村と熊倉功夫(静岡文化芸術大学学長)との対談「紬の着物を着て茶室に入ること」、3月6日には志村による講演会「母衣(ぼろ)への回帰」、2月20日と3月12日にはキッズプログラム鑑賞ツアー「これはどんな色?」が開催される。【イベント情報】文化勲章受章記念「志村ふくみ―母衣(ぼろ)への回帰―」会場:京都国立近代美術館 3階企画展示室住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町会期:2月2日~3月21日時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)休館日:毎週月曜日(ただし、3月21日は開館)料金:一般900円、大学生500円、高校生・18歳未満は無料
2016年01月07日京都府・東山の細見美術館では、江戸時代を通じて制作され、大名から庶民まで貴賤を問わず広く親しまれた"春画"の名作を集めた展示会「春画展」を開催する。会期は2月6日~4月10日(月曜休館、3月21日は開館)。開館時間は10:00~18:00(3月18日以降の金・土曜日は20:00まで開館。入館は閉館30分前まで)。入館料は当日券 1,500円/前売り券 1,300円。18歳未満は入館禁止。同展は、昨年9月19日~12月23日にかけて東京・永青文庫で開催され、約20万人を動員した日本初の「春画展」を、京都展用に一部内容を変更して開催するもの。「春画」とは、江戸時代には笑い絵とも呼ばれ、性的な事柄と笑いが同居したユーモラスで芸術性の高い肉筆画や浮世絵版画の総称。大名から庶民にまで広く愛された春画が一同にそろう機会となっている。今回は、海外からはデンマーク、また、日本の美術館や研究所、個人が秘蔵する鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎など江戸時代の浮世絵の大家たちによる「春画の名品」が勢ぞろいするのに加え、京都会場限定となる、京都の西川祐信や大坂の月岡雪鼎の作品も展示されるということだ。なお、会期中は「前期」(2月6日~3月6日)と「後期」(3月8日~4月10日)とで、展示替えが予定されている。
2016年01月07日東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、読売新聞社、TBS、WOWOWは3月5日~5月2日、東京都現代美術館(東京都江東区)にてピクサー・アニメーション・スタジオの設立30周年を記念した展覧会「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」を開催する。ピクサー・アニメーション・スタジオは、『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』『インサイド・ヘッド』などのアニメーション映画作品を手がけてきた制作スタジオ。コンピューターグラフィックを支える技術スタッフと同規模のアーティストやデザイナーも在籍しており、企画構想段階から手描きのドローイングやパステル画、デジタルペインティングや彫刻などを生み出してピクサー作品の創造性を支えているという。同展ではそれらの創作活動にスポットライトを当て、ピクサーに所属するアーティストが作り出したアートワークの全容を紹介。2005年にニューヨーク近代美術館でスタートした世界巡回展で、今回はスタジオ設立30周年を記念した作品群を加え、構成を新たに日本に上陸する。展示するアートワークは約500点。また、世界巡回展のために特別に開発された2つのインスタレーション「トイ・ストーリー ゾートロープ」「アートスケープ」も登場。「トイ・ストーリー ゾートロープ」は、ウッディやバズなどの『トイ・ストーリー』登場キャラクターの立体フィギュアを円盤の上に配置し、暗闇の中で高速回転させてストロボライトで照らすことで、キャラクターが生きて動いているように見せる装置。「アートスケープ」は、平面に描かれたアートワークを3Dの動画に変換し、幅10mを超える大型スクリーンに投影するインスタレーションとなる。同展の前売り券は、1月9日午前10時にファミリーマート店舗のマルチメディア端末「Famiポート」や東京都現代美術館などで発売。ファミリーマートで前売り券を購入した人には、先着1万枚限定で「ピクサー展限定クリアファイル」をプレゼントする。チケットの価格は一般1,300円(当日1,500円)、高校・大学生900円(当日1,000円)、小・中学生400円(当日500円)。未就学児は無料となる。開館時間は10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)。
2016年01月06日教科書に必ず載っている超有名画家、黒田清輝(1866~1924)。彼の代表作などを集めた大回顧展、特別展『生誕150年 黒田清輝 ─日本近代絵画の巨匠』が2016年3月23日から上野の東京国立博物館で開かれます。子爵の家で育った黒田清輝は、17歳で法律を学ぶためフランスに留学します。しかしパリ滞在中、進路に迷い、画家になると決意。法律学校をやめて絵を学びます。やがてフランスで画壇デビューを果たし、才能を認められたあと帰国。日本で画家として活躍しながら後進の指導も行い、日本美術の近代化に尽力しました。本展では、黒田の初期から晩年までの代表作をまとめて展示。さらに、師ラファエル・コランやミレーなど、黒田がフランスで影響を受けた作品もパリのオルセー美術館などから来日しています。オススメの作品は、黒田の最高傑作《湖畔》。切手にもなった有名な絵で、きっと一度は教科書で見たことがあるはず。日本でもっとも美しい肖像画ともいわれ、黒田は後に本作のモデル、照子と結婚しました。また、フランスの展覧会で初入選した記念すべき作品《読書》も見どころのひとつです。この絵のモデル、マリアはフランス留学時代の恋人。本を読む女性の姿が描かれた本作は、穏やかな雰囲気が漂う美しい作品です。本展では、黒田清輝の画業だけでなく、その人生も詳しく紹介されています。進路や恋に悩む等身大の姿を知ると、巨匠にちょっと親しみを感じるかも。ぜひ美術館に足を運んでみて。イベントデータ:特別展『生誕150年 黒田清輝 ─日本近代絵画の巨匠』会期:2016年3月23日(水)~ 5月15日(日)※休館日は月曜日(ただし、3月28日(月)、4月4日(月)、5月2日(月)は開館)時間:9:30 ~ 17:00(金曜日は20時まで、土・日曜、祝日、5月2日(月)は18時まで)※入館は閉館の30分前まで会場:東京国立博物館 平成館料金:一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 900円/中学生以下無料
2016年01月02日横浜・みなとみらいにある横浜美術館をご存じでしょうか。その中には「子どものアトリエ」という、子どもたちが体験的に美術とふれあうことのできる施設が存在します。意外と知られておらず「一体、どんなところ?」「どんなことをするの?」という人も多いので、その全貌についてご紹介しましょう!「みて、ふれて、やってみる」それが「子どものアトリエ」「子どものアトリエ」は「小学校6年生(12歳)までの子どもたちを対象とした創造の場」。と言っても、「早くから美術や芸術にふれて、将来は子どもを美術家にしよう!」というわけではありません。子どもが自分で見て、触れて、やってみるという造形体験を通じて、自立心を養うことをおもな目的としています。大人だけのものと思われがちな美術館ですが、こうして子どもの頃から楽しめる取り組みを率先してやってもらえることは、親としてもありがたいですね。そんな「子どものアトリエ」にはいくつものプログラムが用意されていますが、今回は・ 親子のフリーゾーン ・ ワークショップ(個人向け) ・ 子どものアトリエ展示(ミニ展覧会) の3つについて、詳しくご紹介します。「できた!」の声で満たされる、親子のフリーゾーン12歳までの子どもと保護者を対象とした「親子のフリーゾーン」は、「ねんど」「えのぐ」「かみ」など基本的な素材を使って親子で造形を楽しめる人気のプログラムです。ここでは「汚さないで!」「はみだしちゃダメ」「もう時間だよ」などネガティブな言葉がけは必要ありません。やわらかい土ねんどを使って頭の中に思い描いたものをかたちにしてみたり、床や壁など好きな場所に絵の具で色づけしたり、はさみやテープを駆使して紙やダンボールを材料に自分だけの「何か」をつくったり…。体と頭をめいいっぱい働かせながら、「思いきり自由な造形体験」を叶えることができます。子どもたちの「自分でする」「自分がする」という意欲を育てることを目的としている親子のフリーゾーンは月に3回程度、日曜日に開催されています。遊びを通して子どもたちの自立心を育む場ともなっているようです。費用は、小学生以下は無料ですが、保護者を含む中学生以上は100円/人の参加費がかかります。また、予約のいらない自由参加ですが、定員があり、それを超える場合は参加できないこともありますのでご注意を。・ 親子のフリーゾーン | 子どものアトリエ | 教育・創作体験 | 横浜美術館 もっと濃密な造形体験がしたいなら「対象年齢別のワークショップ」も幼稚園・保育園の年長児、小学校1・2・3年生、小学校4・5・6年生向けにワークショップも開催されています。年齢ごとに違った素材や方法で、子どもたちが楽しみながら造形や鑑賞に取り組める指導がなされています。野菜やくだもの、魚など、おもしろい形をしているものをモデルに紙ねんどで再現してみたり、発砲スチロールを熱線カッターで好きな形に切り貼りして色づけしたり、竹ひごをたて糸にして毛糸をおりこんでいく織りものアートなどバラエティ豊かな内容で、子どもの可能性を新たに発見する場となっています。申込みは往復はがきで、抽選結果は締め切り後、返信はがきで応募者全員に(当落に関わらず)連絡があります。講座に参加する場合は全日程の参加が条件となりますので、気になる方はホームページをチェックしてみましょう。・ ピコラガイド(講座一覧)| 横浜美術館(PDF) ミニ展覧会で育む「やってみたくなる気持ち」「親子のフリーゾーン」や「ワークショップ」に参加した人だけが見られる「子どものアトリエ展示」では、子どもたちの造形に対する興味や「やってみたくなる気持ち」 を育むため、年間を通じてさまざまな素材や表現を紹介しています。たとえば、2015年前期には、ページを開くと動物や家が立ち上がったり音を鳴らしたりと、いくつもの仕掛けで驚きをあたえてくれる仕掛け絵本の紹介展示を行いました。そのほか、「手で見るギャラリー」として、さわってもよい彫刻6体が常設展示されています。普段は「さわっちゃだめ!」と言われる美術作品にベタベタさわっても怒られないなんて、素敵ですね。みたくなる、知りたくなるコンデションづくりを目指している子どものアトリエは「興味の入り口」に立つ子どもたちの良き案内役になるはずです。この機会に、子どものアトリエで美術にふれあってみてはいかがでしょうか?【取材協力】横浜美術館(すだあゆみ)
2015年12月22日「美術館に行ってみたいけど、美術の知識がないから行きづらい」「美術館の雰囲気が嫌いじゃないけど、楽しめているかどうかは疑問」そんな方も、決して少なくないはずです。そこでぜひともおすすめしたいのが、『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』(藤田令伊著、秀和システム)。タイトルからも推測できるとおり、「見る力」の養い方や、美術館の楽しみ方を紹介した書籍。つまり、“興味はあっても知識を持たない”美術鑑賞ビギナーにとって心強い一冊なのです。著者は、「鑑賞者の立ち位置を大事にしながらアートの愉しみを広げる活動に尽力している」というアートライター。そして本書の目的は、「美術館という素敵な箱を通して、自分の感性やセンス、ものの見方を磨く方法を探っていく」ことなのだそうです。つまり「知識があるかないか」「作品を理解しているか否か」ではなく、「美術館のカフェで過ごすだけでも大きな価値がある」というような考え方。■美術館の中では早足で歩こうところで美術館には、「順路」が示されています。そのため、多くの人はその指示に従い、最初から最後まで順番に作品を見ていくのではないでしょうか。しかし著者は、そういう見方をおすすめしていないといいます。なぜなら厳密に「順路」に従って見ていくと、次第に疲れてきて、最後の方は「もういいや」ということになりがちだから。そこでおすすめしているのが、最初に展覧会全体をさっと早歩きで見る方法。はじめから終わりまでを、先にひととおり大まかに見て回るわけです。すると、「引っかかり」をおぼえる作品がいくつか出てくるもの。「いいな」と思ったり、なぜかわからないけどきになったり、素通りできないなにかを感じる作品が必ずあるということです。そして、そのような「引っかかり」をおぼえた作品を中心に、あとでゆっくり見ればいいということ。なお、もしも会場が複数の場所に分かれていたり、展覧会に規模が大きかったりした場合でもご心配なく。ブロックごとに、同じ方法を繰り返していけばいいだけだそうです。あるいは、展示室の真ん中に立ち、周囲の壁に掛けられている作品をざっと見渡すのもいい方法。いいかげんなことのように思えるかもしれませんが、この「引っかかり」が意外とたしかな道しるべになるのだそうです。なぜなら「無自覚的知覚」は、その人の主観にのっとったうえで、見るべき要素を直感的に汲み取っているものだから。だから決していいかげんではないということ。安心して、「引っかかり」を根拠に作品をピックアップしていけばいいということです。■美術作品は3分間かけて見る著者は、「小難しいことは抜きにして、美術作品を見るスキルを向上させる手っ取り早い方法はないのか?」と質問されたら、「3分間かけて見る」ことですと答えるといいます。たとえばインスタントラーメンをつくる時間であり、通勤電車の次の駅までの時間であり、ウルトラマンが怪獣をやっつける時間であり……。そう考えてみると、「3分間」は私たちにとってなにかと身近な時間であるということがわかります。決して長大ではないけれど、それなりの長さがある時間だということ。そして、そんな3分間を美術鑑賞にあてはめると、それだけで見えてくる世界が確実に違ってくるというのです。3分間かけてひとつの作品と向かい合っていると、パッと見ただけでは感じなかったものを感じることができたり、気づかなかったことに気づいたりするのだと著者はいいます。あるいは、作品が伝えようとしているメッセージが、だんだんわかってきたりもする。また、作品の細かい部分にも目が行き届くようになるというわけで、3分間という時間は自動的に鑑賞を深めてくれるというのです。とはいえ、すべての作品に3分かけることは現実的に不可能。だからこそ、上記の「引っかかり鑑賞法」を応用すればいいということ。まずざっくりと見て、引っかかりをおぼえた作品に3分間かけるという見方で十分だというわけです。*本書を読むと、美術は決して難解なものではなく、アプローチの仕方次第榮倉でも身近になるということを実感できるはず。美術や美術館に少しでも興味があるなら、ぜひ手にとってみていただきたい一冊です。(文/書評家・印南敦史)【参考】※藤田令伊(2015)『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』秀和システム
2015年12月16日昭和シェル石油は、 同社が選出する「シェル美術賞2015」の受賞・入賞作品を展示する「シェル美術賞展2015」を開催している。会期は12月21日まで(15日は休館)。開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで/11日、18日は夜間開館10:00~20:00、入館19:30 まで/最終日は10:00~16:00、入館15:30まで)。会場は東京都・乃木坂の国立新美術館 1階展示室1B。入場料は一般400円、大学生200円、高校生以下および70歳以上は無料。同展では、昭和シェル石油が現代美術を担う将来性のある若手作家(40歳以下)の発掘を目的として1956年に創設した「シェル美術賞」の44回目となる「シェル美術賞2015」の受賞・入賞作品53点を展示する。2015年は552名の作家から807点の作品応募が寄せられた。同賞においてグランプリは選出なしとなったが、石井奏子さんの「雪の研究」と矢島史織さんの「モンスター」といった計2点を準グランプリとして選出。このほか、審査員賞3点、 審査員奨励賞3点を含む計53点の受賞・入選作品を決定、同展にて公開。それに加え、過去受賞・入選作家の活動サポートを目的に過去受賞入選作家4名の作品を展示する「シェル美術賞アーティストセレクション(SAS)」も併設する。なお、同賞の本江審査員長、保坂審査員と受賞作家8名によるトークショーを展覧会場内で実施する。開催日時は12月12日 14:00~15:00。
2015年12月10日Cygamesが東京・渋谷「AmebaFRESH!Studio」にて開催したオンライン対戦型スマホ麻雀ゲーム『近代麻雀オールスターズ 闘牌伝』のイベントで、サイバーエージェント代表取締役社長・藤田晋氏と、福本伸行氏ら『近代麻雀』の漫画家陣が対局を行った。『近代麻雀オールスターズ 闘牌伝』は、麻雀漫画雑誌『近代麻雀』とCygamesがコラボした本格麻雀アプリ。『近代麻雀』のキャラクター達が登場する「闘牌伝モード」を搭載し、作品の垣根を越えたオリジナルストーリーが楽しめる。ゲームでは「闘牌伝モード」で集めた雀士たちをフリー対局で使用できるほか、オンライン対戦で全国のプレイヤーとの対戦モードも用意する。イベントに登場したのは、サイバーエージェント代表取締役社長であり、2014年度麻雀最強位の藤田晋氏と、福本伸行氏、西原理恵子氏、片山まさゆき氏という豪華・漫画家陣。当日はゲームを中心とした座談会も行われたので、本稿ではその模様をお届けする。対局にあたっては、勝敗に関して2つのインセンティブが設けられた。一つは「藤田氏が勝利すると、イラスト入りサイン色紙を各自に書いてもらい、『闘牌伝』公式ツイッターのキャンペーンツイートをリツイートした人の中から抽選でプレゼントする」というもの。そして二つ目は「漫画家陣のうち誰か一人でも藤田氏に勝利すると、『闘牌伝』アプリのオンライン戦に藤田氏がリアル参戦する」というものだった。対局メンバーは、本ゲーム初体験ということであったが、序盤から好ゲームを展開。最終的に抜群の押し引きセンスを見せた藤田氏がみごと勝利し、2位に片山氏、3位に福本氏、4位に西原氏という結果に。この対局の模様は、YouTubeの「Cygames」チャンネルや、ニコニコ動画にて公開されている。対局後には藤田氏と漫画家陣による座談会が開かれ、対局の司会を務めた声優・竹内幸輔氏と、麻雀ライター・馬場裕一氏も登場。まず、ゲームの特徴であるスタンプに関する話題では、西原氏が「自分の描いた漫画のキャラはもう少し汚い言葉でいい」と冗談交じりに話し、片山氏は「セリフとイラストが面白いが、選択する時間がもったいないので、最初にいくつか選べるようにしてほしい」と改善点を指摘した。「対戦させてみたいキャラクターは?」というテーマでは、『むこうぶち』(著:天獅子悦也)の傀(カイ)と『アカギ』のアカギとの対決の話題で大盛り上がり。福本氏は「カイは自動卓、アカギは自動卓じゃない時代の話なので、もし自動卓になると、アカギがずいぶん上になるのでは?」と分析。また、片山氏は「『哭きの竜』の竜を使って、門前(メンゼン)でやりたい」とコメントし、周囲を爆笑させた。さらに西原氏は、本作のボスキャラとして藤田氏の登場を提案。「若い子ってお金ないからIT社長って嫌いでしょ。上から目線の悪役っぽいキャラを出してほしい」とコメントし、会場を沸かせた。麻雀漫画の中で一番好きなキャラクターとして、藤田氏は『ノーマーク爆弾党』(著:片山まさゆき)の爆岡弾十郎を挙げ、「片岡さんのキャラはとても懐かしく、青春時代を思い出しました」と、雀荘に明け暮れたという若かりしころのエピソードを披露した。また、今後追加してほしいスタンプとしては、絵のインパクトが強烈な福本氏のキャラクターに集中。福本氏がアカギのセリフである「奴は死ぬまで保留する」を候補に挙げると、一方の片山氏からも「豊臣くんの"ツカンポ"や、ミーコの"ムフー"のスタンプが使いやすいかも」と自身の作品『スーパーヅガン』のキャラクターが提案された。『近代麻雀オールスターズ 闘牌伝』では、今後定期的にオンラインイベントを予定。また、12月31日までの期間限定でオールスターズ第2弾対局スタンプガチャも登場する。なお、福本氏、 西原氏、 片山氏のイラスト入りサイン色紙が各1名にプレゼントされるリツイートキャンペーンは12月28日23時59分までの期間で開催されている。(C)Cygames, Inc. 竹書房 copyrights 2015 takeshobo co. Ltd., all rights reserved.(C)天獅子悦也/伊藤誠/大和田秀樹/福本伸行/押川雲太朗/片山まさゆき/須本壮一/能條純一
2015年12月09日国立科学博物館(東京都台東区)では2016年3月8日~6月12日、「恐竜博 2016」が開催される。「恐竜博 2016」では、全長約15mに及ぶ肉食恐竜・スピノサウルスの最新復元骨格を日本で初めて公開。二足歩行で立ち上がる恐竜と考えられていたが、2014年には「四足歩行で水中に潜んでいた」という仮説も発表されたという。同展では水中を泳ぐ姿勢でスピノサウルスの復元骨格を展示するほか、全長約12mのティラノサウルスの復元骨格もあわせて展示する。ほかにも、2015年に発表された飛膜を持つ恐竜や、恐竜の子供の実物化石といった日本初公開の標本、映像シアターなども公開。開館時間は9時~17時(金曜日は~18時)となる。入館は閉館時間の30分前までで、毎週月曜日は閉館。なお、イベント情報やチケット情報は順次公式サイトにて発表されるとのこと。
2015年12月02日紙の専門商社・竹尾は、世界の第一線で活躍した近代のデザイナーによる選りすぐりのレターヘッドを展示する「タイピングスケープス - モダニズム以降のレターヘッド」を開催する。会期は12月1日~2016年1月15日(土日・祝日および12月29日~1月4日は休館)の10:00~19:00(1月5日は18:00まで)。会場は東京都・神保町の竹尾見本帖本店2F。入場無料。同展は、彫刻家・デザイナーの五十嵐威暢氏が1970年代より収集した、貴重なレターヘッドのコレクションから厳選して展示するもの。ヤン・チヒョルト、ヘルベルト・バイヤー、ポール・ランド、ソール・バス、ペンタグラム、プッシュピン・スタジオといった、モダンデザイナーによるレターヘッドを鑑賞できるという。また、同社のステーショナリー用紙も紹介されるということだ。なお、同展で紹介されるレターヘッドの一部は、2016年版竹尾デスクダイアリー『TAKEO DESK DIARY 2016「タイピングスケープス -モダニズム以降のレターヘッド」』に掲載されているとのことだ。同書は同展会期中、見本帖本店にて税別3,500円で特別限定販売されるとのこと。
2015年11月26日朝日新聞社は、東京国立近代美術館およびBS朝日との共催により、歴史上の人物や場面を描いた名作で知られる日本画家・安田靫彦の大回顧展「安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)展」を開催する。会期は3月23日~5月15日(月曜休館、ただし3月26日/ 4月4日/5月2日は開館)。会場は東京都・竹橋の東京国立近代美術館。開館時間は10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで/金曜日は20:00まで開館)。入場料は一般1,400円/大学生900円/高校生400円で、前売り券(12月1日~3月22日販売)は一般1,200円/大学生800円/高校生300円。(会期中、一部作品の展示替えあり)同展は、源平合戦での源頼朝・義経兄弟の対面を描いた「黄瀬川陣(きせがわのじん)」や、女性人物画の傑作「飛鳥の春の額田王(ぬかたのおおきみ)」など、歴史画の名作で知られる巨匠日本画家・安田靫彦の大回顧展。ヤマトタケルや聖徳太子、源頼朝、源義経、織田信長、豊臣秀吉、宮本武蔵など、教科書や切手などでお馴染みの有名作品から、"靫彦戦後の3大美女"と言える「王昭君(おうしょうくん)」(3月23日~4月17日展示)、「卑弥呼(ひみこ)」(3月23日~4月17日展示)、「飛鳥の春の額田王」(4月19日~5月15日展示)まで、100点を超える作品が展示される。なお、展示作品のすべてがデッサンや下図を経て描かれた"本画"とのこと。なお、同展は作品保護のため、会期中一部作品の展示替えがある。2回訪館してすべての作品を観たいという人向けに、割安となる観覧券2枚セット「頼朝・義経券」も用意されている(当日券2,500円/前売り券2,000円)。なお、頼朝・義経券は「2人で訪館(1度)」の際にも利用可能とのことだ。前売り券は、東京国立近代美術館(開館日のみ)、本展特設サイト(オンラインチケット)、チケットぴあ、ローソンチケット、セブンチケット、イープラスで購入できる。
2015年11月20日東京都現代美術館、読売新聞社、TBSは、『トイ・ストーリー』シリーズなど多くのアニメーション作品を生み出すピクサー・アニメーション・スタジオの30周年記念展「スタジオ設立30周年記念ピクサー展」を開催する。会期は3月5日~5月29日(月曜日および3月22日は休館、ただし月曜であっても3月21日、5月2日、5月23日は開館)。開館時間は10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)。会場は東京都現代美術館。観覧料は一般1,500円、高校・大学生1,000円、小・中学生500円。未就学児は無料。同展は、『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』、2015年公開の『インサイド・ヘッド』、そしてこれから公開となる最新作『アーロと少年』など、数々のアニメーション作品を世界に送り出している「ピクサー・アニメーション・スタジオ」(以下、ピクサー)の設立30周年を記念して行われるもの。また、同展は2005年にニューヨーク近代美術館でスタートし、世界各国で好評を博した世界巡回展で、今回新たな作品群を加え日本に上陸する。1986年、アメリカのカリフォルニアで、ジョン・ラセター、エド・キャットムル、スティーブ・ジョブズらが集って設立された「ピクサー」。同スタジオの生み出すアニメーション作品は、日本やアメリカだけでなく世界中で上映され、多くのファンに愛され続けているが、「ピクサー」には最終的に人々の目に触れるCGアニメーションを形にする技術スタッフと同じくらい多くのアーティストやデザイナーたちが在籍しており、彼らはストーリーや映画のビジュアルなどを考える企画の構想段階で、手描きのドローイングや、パステル画、彫刻などを生みだしている。同展では、そうした同スタジオ内での創作活動にスポットライトをあて、ピクサーに所属するアーティストたちが創り出したドローイング、カラースクリプト、マケット(キャラクター模型)など、多種多様なアートワークの数々を紹介。フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』(1996年日本公開)から最新作『アーロと少年』まで、 映画制作の源となったアートワーク約500点を一挙公開するほか、 アニメーションの原理を体感できる「トイ・ストーリー ゾートロープ」、平面のアートワークをデジタル技術で3Dに変換して大型スクリーンに投影する「アートスケープ」といったふたつのインスタレーションも登場するということだ。ちなみに、マイナビニュースではピクサーで『トイ・ストーリー3』等の作品でアートディレクターを務めた日本人クリエイター・堤大介氏のインタビューを掲載している。
2015年11月19日東京都・清澄白河の東京都現代美術館は、オノ・ヨーコの活動を、出身地である東京という都市の文脈で再考する展覧会「オノ・ヨーコ 私の窓から」を開催している。会期は2016年2月14日(月曜・11月24日・12月28日~1月1日、1月12日休館、ただし11月23日・1月11日は開館)。開館時間は10:00~18:00。観覧料は一般1,200円、大学生・65歳以上900円、中高生700円、小学生以下無料。同展は、これまで主に戦後アメリカ美術のなかで語られてきたオノの活動を、出身地である東京という都市の文脈で再考するもの。作家活動を開始するまでの関連資料や創作、1950-70年代の東京での活動、近年の作品を通して、近代と現代、欧州と日本と米国、美術と音楽と文学、前衛とポピュラーカルチャー、そして社会と個人を繋ぐ独創的な創造活動が紹介される。オノは独自の詩のあり方を核とする、コンセプチュアル・アートの先駆者として、社会のシリアスな課題を、ユーモアに溢れたアプローチで多くの人に向けて発信してきており、同展は、戦前に既に充分に国際化していた東京を起点に育まれたその軌跡が、今日的視点から辿られるということだ。1930年代、自由学園で音楽教育を受けたオノは、時計の音など生活のなかで触れる音をもとに作曲するなど、芸術と生活を線引きすることのない考え方に接したという。同展では、米国の音楽動向に触れる遥か前、アーティストとしての活動を開始するまでのオノを育んだものや初期の活動が紹介される。また、1964年の夏、2年半の東京滞在の集大成として発行されたオノの代表作でありコンセプチュアル・アートの歴史の中でも重要な本「グレープフルーツ」の、葉書に記された膨大なタイプ原稿や、指示絵画を複製絵媒体に変換し、コンセプチュアルな性格を進めたものなどの作品も紹介される。同時に、そのオリジナルの手書きの指示絵画や同館蔵の「グレープルーツ」初版本もあわせて展示することで、鑑賞者の想像や行為を喚起する新しい美術のあり方が、東京で展開した過程が明らかにされるということだ。そのほか、関連プログラムとして、筑波大学教授・五十殿利治による講演会(11月21日14:00~)が開催される。また、Wish Treeのイベント(12月9日)などが予定されている。プログラムなどの詳細は同館HPにて案内されるということだ。
2015年11月18日国立新美術館は、画家・ルノワールの全貌に迫る展覧会「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵ルノワール展」を開催する。会期は2016年4月27日~8月22日(火曜休館、ただし5月3日・8月16日は開館)。開館時間は10:00~18:00(金曜・8月6日・8月13日・8月20日は20時まで)。観覧料は一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料。同展は、世界でも有数のルノワール・コレクションを誇る、オルセー美術館とオランジュリー美術館が所蔵する、100点を超える絵画や彫刻、デッサン、パステル、貴重な資料の数々によって画家ピエール・オーギュスト・ルノワールの全貌に迫るもの。写実的な初期作品から、薔薇色の裸婦を描いた晩年の大作まで、多様な展開を見せたその画業の、肖像や風景、風俗、花、子ども、裸婦といった画家が愛した主題が紹介される。同時に、革新的な印象派の試みから、伝統への回帰、両者の融合へと至る軌跡も浮かび上がる展示となる。また今回、オルセー美術館の所蔵作品の中でも他館に貸し出すことの稀なルノワールの印象派時代の傑作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」と、最晩年の大作「浴女たち」が初めて日本で展示される。「田舎のダンス」「都会のダンス」が揃って来日するのも45年ぶりとなる。オルセー美術館の絵画部門主任学芸員で、本展監修者でもあるシルヴィ・パトリ氏は、同展に関して「本展は作品の質、量ともに特別なルノワール展です。フランスを代表するオルセー美術館とオランジュリー美術館の傑作が勢揃いして、それらの作品を同じ会場で見ることができるというのは、フランスでも体験できない大変貴重な機会です。」と語っている。
2015年11月17日国立がん研究センター(国立がん研)は11月9日、膵がん早期診断の血液バイオマーカーを発見したと発表した。同成果は、国立がん研 創薬臨床研究分野 本田一文 ユニット長の研究グループらによるもので、11月9日付の英オンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載された。同研究グループはこれまでに、血液中に存在するタンパク質「apoA2 アイソフォーム」が膵がんや膵がんリスク疾患の患者で低下することを質量分析の結果から発見・報告していたが、今回、米国国立がん研究所(NCI)との共同研究においても、健常者に比べ早期膵がん患者でapoA2 アイソフォームが低下していることが確認された。また、既存の膵がんバイオマーカーである「CA19-9」と比べて高い精度でI期、II期膵がんを検出できることも確認。この結果からNCIは、apoA2 アイソフォームが膵がんにおける信頼性の高い血液バイオマーカーになりうる可能性があると評価している。また従来、apoA2 アイソフォーム濃度を計測するためには高価な機器を必要とする質量分析を用いた測定法しかなかったが、今回、同研究グループは、apoA2 アイソフォーム検査を実用化するために簡便な検査法の開発に取り組み、検査キット「Human APOA2 C-terminal ELISA kit(研究用試薬)」の作製に成功した。同検査キットで国内多施設共同研究で集められた膵がんを含む消化器疾患患者と健常者の血液検体を測定し、その判別性能を検討したところ、CA19-9に比べ、より高精度に早期膵がんを検出できたという。また、CA19-9が反応しない膵管内乳頭粘液性腫瘍や慢性膵炎などの膵がんリスク疾患も高い精度で検出。さらにapoA2 アイソフォームとCA19-9との組み合わせにより、早期膵がんの検出率はさらに向上した。今後、国立がん研と神戸大学などが協力し「apoA2 アイソフォームを用いた膵がん模擬検診」が開始予定。この模擬検診を含めたさらなる研究により、apoA2 アイソフォームの検査が本当に早期膵がんや膵がんリスク疾患を適切にスクリーニングでき、検診に実用化できるかどうかを確認していくという。また、同検査キットは研究用試薬であるため、体外診断薬としての承認を得ることも目指していく。
2015年11月10日東京都・六本木の国立新美術館は、デザイナー・三宅一生が活動を開始した1970年から現在に至る約45年間の仕事を紹介する「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」を開催する。会期は2016年3月16日~6月13日(火曜休館、ただし5月3日は開館)。開館時間は10:00~18:00(金曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)。観覧料は一般1,300円、大学生800円、高校生以下無料。同展は、初期から最新プロジェクトまでの全仕事を通して、ものづくりに対する三宅氏の考え方やデザインアプローチを明らかにし、未来に向けた更なる創作の可能性を探るもの。三宅氏は常に次の時代を見据えながら、新しい服づくりの方法論と可能性を示しているという。それは、1960年に日本で初めて開催された世界デザイン会議において、当時、多摩美術大学在学中であった三宅氏が、衣服デザインが含まれないことに疑問を持ち質問状を送ったことに始まる。既にそこには、衣服は時代と共に移ろう「ファッション」として存在するのではなく、より普遍的なレベルで私たちの生活と密接に結びついて生まれる「デザイン」であるという三宅氏の思想が見て取れる。以来、既成の枠にとらわれない自由な発想のもと、独自の素材づくりから始まり、「一枚の布」と身体との関係や、そこに生まれる「ゆとり」や「間(ま)」を追求し、また、チームと共に粘り強いリサーチと実験を行い、革新性と着心地のよさを兼ね備えた衣服を生み出しているということだ。また、三宅氏は、伝統技術や職人技を自身の衣服デザインに生かすとともに、新しい素材の開発や服づくりの方法を探求し、従来の服づくりとは異なる画期的なデザインを生み出してきた。同展では、三宅氏独自の「製品プリーツ」の制作過程が初めて展示される。会場の一部の部屋は、グラフィック・デザイナーの佐藤卓氏が会場デザインを担当し、展覧会のヴィジュアル・デザインも行っている。また、吉岡徳仁氏が空間デザインを手がけた部屋もあり、今回の展覧会のために吉岡氏により新たにデザインされた「グリッド・ボディ」に服を着せた展示も行われる。そのほか、同展のために写真家、岩崎寛が全作品を撮り下ろした写真を収録した展覧会図録が求龍堂から出版される予定となっている。
2015年11月06日©Aura2015年11月末オープン予定のシンガポール最大規模の美術館「ナショナル・ギャラリー・シンガポール」。美術館オープンに先駆けて営業が始まったのは、5、6階に入るイタリアンレストラン&ラウンジ「Aura(アウラ)」だ。フォーマルなディナーから、絶景を楽しむラウンジまで、あらゆるニーズに応えてくれる全390席。マリーナ地区を一望できるスカイラウンジからの眺めは、新たな絶景スポットになること間違いなし!最大級の美術館の上にオープン東南アジアのアートシーンを牽引するシンガポール。2015年5月に開業したフランス発の美術館「シンガポール ピナコテーク・ド・パリ」に続き、11月24日にオープン予定の「National Gallery Singapore(ナショナル・ギャラリー・シンガポール)」は、旧市庁舎と最高裁判所であった建物を改装した、シンガポール最大規模の美術館だ。©Aura美術館の開業に先駆けて2015年10月にオープンしたのは、イタリアンレストラン&ラウンジ「Aura(アウラ)」。ラグジュアリーなイタリアンレストランに加え、お酒と夜景を愉しめるスカイラウンジもお目見え。ゲストはあらゆるシチュエーションに合わせて食事の場所を選ぶことができるのが嬉しい。シーンに合わせたバラエティ豊かなメニュー©Auraレストランフロアでは、3コースから成るランチと、4コースのディナーを用意。週末はプロセッコとベリーニの飲み放題も含まれるお得なブランチセットも。全90席のラグジュアリーな空間には、おめかしして出かけたい。©Auraスカイラウンジでは、平日のランチタイムにサラダバーと自家製パンのセットや、ハイティーメニューも提供。夜はマリーナベイの絶景を存分に堪能しながらお酒と食事を楽しめる。特にテラスラウンジから望むマリーナベイエリアの夜景は特別。目の前がPadang広場のため、その絶景を邪魔するものがなく、高層ビル群のライトアップの向こうにはマリーナ・ベイ・サンズまで見渡せる。フォーマルなイタリア料理と、絶景に酔いしれる夜を過ごしてみてはいかがだろうか。Restaurantメニュー・Weekday Lunch日替わりの3コース。S$32(税抜き)・Weekend Brunch前菜盛り合わせ、メイン、デザートの3コースにプロセッコとベリーニの飲み放題付き。S$98(税抜き)※食事のみはS$48(税抜き)・Set Dinner Menuおススメ4コース。S$80Sky Loungeメニュー・Salad Bar平日11:30-14:30。フレッシュサラダや焼き野菜の豪華なビュッフェと、地中海風自家製パンのセット。S$18。・High Tea平日15:00-17:00。クラシックなヨーロッパ式ハイティーのセット。(サンドイッチとペストリー、イタリア紅茶とコーヒー)S$18。・Bar Menuシャンパンやカクテル、ワインなど。※景色は、6階のスカイラウンジからのみ見ることができます。
2015年11月04日現在、竹橋の東京国立近代美術館で開かれている『MOMAT コレクション』展では、藤田嗣治の全所蔵作品を公開中です。美術館の4階と3階の2フロアを使って展示されているのは、藤田の初期から晩年までの作品、計26点。さらに、藤田が装丁を手がけた豪華なアーティストブックや執筆した書籍も紹介されています。藤田嗣治(1886~1968)は東京で生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)で絵を学んだあと渡仏、「乳白色の肌」をもつ裸婦の絵画で人気を博します。パリの画壇で大成功をおさめ、1933年に帰国。戦時中は積極的に戦争画を制作します。しかし、そのことが原因で戦後は戦争協力者として批判を浴び、やがて日本を去ることに……。その後、藤田はフランス国籍を取得してレオナール・フジタと改名し、そのまま日本に戻ることはありませんでした。本展では、「乳白色の肌」をもつ裸婦像や猫を描いた作品など、藤田の代表的な作品とあわせて、戦争画も公開しています。これまでにも常設展示で藤田の作品を見ることはできましたが、同館が所蔵する戦争画全14点を一挙に公開するのは今回がはじめて。戦後70年にあたる2015年の特別展示となります。なかでも見逃せないのは、日米の兵士たちによる凄絶な激戦シーンを描いた作品《アッツ島玉砕》。軍刀を振りかざす者、すでに息絶えている者、差し違える兵士たちの姿などがドラマチックに表現されています。勝ち戦だけでなく、戦況悪化後の負け戦も描いた藤田の作品は、むごたらしくて直視できないものもあるかもしれません。ですが、やはり美術館で実物を見ることをおすすめします。11月には、藤田の半生を描いた映画『FOUJITA』(監督:小栗康平、主演:オダギリジョー)が公開されることもあり、フジタ・ブームが到来中です。この機会に、美術館を訪れてみてはいかが?イベントデータ:『MOMAT コレクション特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示』会期:2015年9月19日(土)~ 12月13日(日)※休館日は月曜日(ただし11月23日(月・祝)は開館)、11月24日(火)時間:10:00 ~ 17:00(金曜日 10:00~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:東京国立近代美術館料金:一般 430円/大学生 130円/高校生以下無料
2015年10月21日国立新美術館、大原美術館、NHKプロモーションは10月31日、国立新美術館(東京都港区)にて仮装イベント「美の饗宴 アートになりきり ハロウィン 仮装コンテスト」を開催する。同イベントは、国立新美術館にて2016年1月20日~4月4日に開催される企画展示「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」の開催に先駆けて行われる仮装コンテストとなる。参加条件は20歳以上の男女で、指定の絵画作品の画像から1点をモチーフにした仮装が必須。指定作品は、大原美術館が所蔵するエル・グレコの『受胎告知』や、アメディオ・モディリアーニの『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』など10点。クロード・モネの『睡蓮』やジャクソン・ポロックの『カット・アウト』など、風景絵画や人物の像がはっきりと描かれていない作品も含まれる。仮装に関するアイディアやコスチュームは自由となっており、イベント担当者は「それぞれのアイディアと工夫を凝らした仮装・アートになりきって、コンテスト参加者をアッと言わせてください」と参加者に呼びかけている。また、審査基準については「特に決まっていない」としながらも、「自分が『これだ』と思うモチーフの仮装を自分なりの解釈でしてほしい。参加者自身が楽しめる仮装が一番」とコメント。『睡蓮』など特定の人物像が描かれていない作品については、「どのような仮装になるのか運営側も予想がつかない」とした。同コンテストの審査員は、世界大会などでも活躍するエア・ギターパフォーマーの金剛地武志氏や、コスプレ(cosplay)という言葉の生みの親でもある高橋信之氏らが務める。当日はコンテストの他にも金剛地氏によるエア・ギターのパフォーマンスや、「その名はスペィド」(THE LADY SPADE)によるDJイベントなども行われるとのこと。なお、参加者の応募は同展の公式サイトにて受け付けている。イベントの開催時間は18:30~20:00、開催場所は同館3階「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」を予定。募集期間は10月1日~21日で、募集人員は40人。応募者多数の場合、抽選の上参加者を決定する。また、同コンテストで最優秀賞を受賞した参加者には、賞品として岡山県倉敷・大原美術館旅行(ペア1組)をプレゼントする。また、優秀賞(2名)、審査員賞(3名)、参加賞など多数の賞品を用意するとのこと。
2015年10月13日「建物自体」が展示作品とも言える美術館が、東京の玄関口・丸の内にあります。東京駅から徒歩5分、二重橋前駅から徒歩3分とアクセス良好。緑の美しい中庭を抜けたところに入り口を構える美しい赤レンガのたたずまいの「三菱一号館美術館」が今回の主役です。○鹿鳴館・ニコライ堂を手がけた建築家による建物を忠実に復元この美術館は、三菱が1894年に建設した丸の内初のオフィスビル「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元したもの。コンドルは「お雇い外国人」として来日し、鹿鳴館やニコライ堂、旧岩崎邸庭園、旧古河庭園など数々の素晴らしい設計を手がけた建築家で、明治以降の日本近代建築の基礎を築いた人物です。建築様式は、19世紀後半の英国で流行した「クイーン・アン様式」で、当時は館内に三菱合資会社の銀行部が入っていたほか、階段でつながった三階建ての棟割長屋の物件が、事務所(オフィス)として貸し出されていました。コンドルが設計した「三菱一号館」は、老朽化のために1968(昭和43)年に解体されました。そこから40年あまりの時を経て、2009年に同じ場所に復元され、2010年春に「三菱一号館美術館」として生まれ変わったのです。「旧三菱一号館」竣工当時に撮影されたと思われる写真のほか、コンドルの作成した図面や保存部材から、可能な限り当時の建物に忠実な復元を目指してつくられ、その製造方法や建築技術までもが再現されています。三菱一号館美術館は19世紀末西洋美術を中心としたコレクションを収蔵しています。10月10日からは開館5周年を記念して「プラド美術館展 ―スペイン宮廷 美への情熱」を開催予定です。スペイン三大画家ともいわれるエル・グレコやベラスケス、ゴヤなどヨーロッパ絵画史を彩った名だたる巨匠たちの作品群が集合する、日本ではめったにない機会。「特に板絵(木の板に直接描かれた絵画)はぜひ見ていただきたいですね、と言うのは、ブランド担当の嶋田さん。「日本はヨーロッパと違ってとても湿度が高いため、通例では作品保護の観点から板絵は輸送と公開が厳しく制限されていました。それがついに実現したこの展覧会で、世界で20点しか存在しないボスの日本初公開の真筆など、ぜひお楽しみいただければ」とのことでした。明治時代にコンドルの設計した「作品」の中で、この機会にスペインの巨匠たちの作品に触れてみてはどうでしょうか。○趣深いミュージアムカフェで建築を眺めるたっぷりと作品を楽しんだ後は、お楽しみの三菱一号館美術館内にあるミュージアムカフェ・バー「Café 1894」へと向かいます。同じ建物内にありますが、入り口は大通り沿いですのでその美しい外観を楽しんでみて。こちらは明治期に「銀行営業室」として利用されていた空間をそのまま復元したクラシックな趣のカフェで、美術館同様、精密に復元された建築美を堪能することができるスポットとなっています。嶋田さんによると「カフェはいつもにぎわっていますね。ランチタイムは近隣オフィスの方々、ティータイムは美術館帰りの奥さま方などが多いようです。ディナータイムは予約も可能なので、大人数でいらっしゃる方も多いです」とのこと。この「Café 1894」はいわゆる「カフェ」とは思えないほど、味にこだわった料理が楽しめるのも大きな特徴。10月10日からの「プラド美術館展」に合わせ、期間限定で「Passion of Beauty」と「王様のチョコラーテ」という展覧会にちなんだランチとデザートも楽しめる予定です。「Passion of Beauty」(税抜2,000円)は、プラド美術館の濃密で芳醇なコレクションを作り上げた歴代スペイン王たちの美への情熱と、華やかな宮廷を表現した繊細で美しいランチメニューです。前菜には「ガスパチョ シェリー酒の香り」「サーモンマリネと季節野菜のスペイン風サラダ仕立て」。スペインの伝統的なトマトベースのソースの赤は「情熱」を、イクラはきらびやかなスペイン宮廷をイメージしているそうで、厚めにカットされたサーモンとはじける食感のイクラが口の中で爽やかに混じり合います。メインは「スパイスを効かせた鴨胸肉のロティ バルサミコソース」。柔らかい鴨胸肉と、洋梨のコンポートの甘さが絶妙で、ついつい昼からワインがすすんでしまいそうです。こちらは自家製のスパイスを使用しているそうで、その香りと共に味わってほしい一皿ですね。ちなみにこちらのランチ、プラス900円でスペインのスパークリングワイン「カヴァ」も楽しめます(提供時間 11:00~14:00)。午後のスイーツを楽しみたいという方は、スペイン王室が愛した「王様のチョコラーテ」(税抜950円/提供時間 14:00~17:00)はいかがでしょう。「しっとり」「とろける」「パキパキ」の3つの食感を楽しめる濃厚なチョコレートに爽やかなフランボワーズの酸味がマッチしていて、口に入れると思わずうっとり。こちらはぜひ、コーヒーや紅茶と一緒に楽しみながら優雅な時間を堪能してほしい一品です。歴史が交差し、新たな進化をみせる「三菱一号館美術館」。「Café 1894」で「プラド美術館展」の余韻に浸りつつ、建物のこまやかな息遣いを感じる、まさに「芸術の秋」を満喫してみてはいかがでしょうか。
2015年10月05日東京都・渋谷のパルコミュージアム(渋谷パルコPART1・3階)では、親子アートユニット「アーブル美術館」 の大型個展「大々贋作展」を開催する。開催期間は10月30日~11月16日。開場時間は10:00~21:00(入場は閉場の30分前まで/最終日は18:00閉場)。入場料は一般500円、学生400円、小学生以下無料。同展は、メディアで注目を浴び、その作品画像がテレビCMにも使われるほどにもなった、"小学生ふたり+母親"で構成される3人組アートユニット「アーブル美術館」による初めての大型展覧会。アート鑑賞が趣味という館長(母親)の指導のもと、彼女のふたりの子ども(天馬くん、心海ちゃん)が、フェルメールやダヴィンチ、 ウォーホルからエリザベス・ペイトンといった古今東西の名画をユニークに模写したヘタウマ作品、約50点展示される。同展が初公開となる新作も展示されるということだ。また、10月31日と11月1日の各日15:00からは、アーブル美術館 館長・藤原晶子氏(ふたりの子どもの母親)によるギャラリートークが予定されている。参加費は無料(展覧会への入場料は必要)。なお、「アーブル美術館」は、親子で萬鉄五郎の"裸体美人"の贋作ごっこをしたのをきっかけにスタート。静岡県在住者を対象とした公募展「NCC Shizuoka 2012」に選出され、話題となる。その後、全国のイベントやギャラリーなどで展示会を開催するなど、「世界の名画」をテーマにした贋作で親子3人でアート活動を行なっている。ちなみに、アーブル美術館というユニット名は、母親・藤原晶子氏の「ルーブル美術館になりたい!」という想いで付けられているとのことだ。
2015年10月02日東京国立博物館で10月2日と3日に、移動映画館のキノ・イグルーと共催で「博物館で野外シネマ」が開催される。昨年行われた第1回目では、2日間で計8,600人の来場者を迎え、大好評を博した「博物館で野外シネマ」。第2回目となる今年は、宮沢賢治による名作を、ますむらひろしによる猫のキャラクターで長編アニメーション化した、杉井ギザブロー監督作『銀河鉄道の夜』を上映。より多くの人々が楽しめるよう、前回よりも大きなスクリーンで上映される予定だ。なお、同作の上映日限定で、夜間開館も実施。特別展「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」などを、映画鑑賞後に観覧することが出来る。その他、当日は「博物館でアジアの旅」も開催しており、アジアの展示やイベントとともに、アジア料理やアジアビール、コーヒーなども楽しめる。【イベント情報】「博物館で野外シネマ」会場:東京国立博物館本館前住所:東京都台東区上野公園13-9会期:10月2日~3日時間:19:00~料金:無料 ※当日の入館料は有
2015年09月28日トリップアドバイザーはこのほど、世界の博物館・美術館をランキング化した「トラベラーズチョイス 世界の人気観光スポット 2015 ~博物館・美術館編~」を発表した。同社の「トラベラーズチョイス」では、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」に投稿された世界中の旅行者の口コミをもとに、優れた施設を表彰している。今回のランキングは、2014年1月~12月に同サイト上に投稿された旅行者のクチコミ評価の平均値や投稿数などを独自のアルゴリズムにて集計し、算出された。日本国内のランキングでは、「広島平和記念資料館」(広島県広島市)が2年連続でトップとなった。「Totally heartbreaking.(胸が張り裂けるような思いになった)」など、当時の資料を目の当たりにした時の衝撃を伝える口コミが数多く寄せられたという。また、2位には「箱根彫刻の森美術館」(神奈川県箱根町)、3位には「MIHO MUSEUM」(滋賀県甲賀市)がランクインした。アジアのランキングでは、「秦始皇兵馬俑博物館」(中国)が2年連続で1位に。3位に「広島平和記念資料館」がランクインしたほか、12位に「箱根彫刻の森美術館」、15位に「MIHO MUSEUM」、24位に「鉄道博物館」が入った。世界ランキングの1位には昨年の7位から大きく順位を上げて「メトロポリタン美術館」(アメリカ)がランクイン。世界各国の芸術・文明を先史時代から現代までカバーした300万点の展示物は、「1日では回りきれないほどのボリューム」と評判とのこと。アジア1位の「秦始皇兵馬俑博物館」は、世界ランキングでは23位となった。なお、ランキングの詳細は公式サイトにて公開されている。
2015年09月26日第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2015の表彰式が9月24日(木)、東京都国立近代美術館フィルムセンターで行われ、グランプリをはじめ、各賞が発表された。同映画祭は新しい才能の発見と育成、新しい映画の環境づくりを目的に1977年にスタートした、自主映画のコンペティションをメインプログラムとした映画祭。過去には、故森田芳光監督をはじめ、犬童一心、黒沢清、中島哲也、園子温、成島出、橋口亮輔、塚本晋也、中村義洋、熊切和嘉、深川栄洋、李相日、荻上直子、タナダユキ、内田けんじ、石井裕也ら名だたる監督たちがPFFアワード入選を経験している。今年は応募総数577本のうち、20作品が入選。奥田瑛二(俳優・映画監督)、『るろうに剣心』の大友啓史(映画監督)、阿部和重(小説家)、PFFアワード入選経験者の熊切和嘉(映画監督)、元スタジオジブリの西村義明(プロデューサー)が最終審査員を務め、栄えあるグランプリには、応募当時21歳だった杉本大地監督の『あるみち』が輝いた。杉本監督本人が主演を務めるほか、実の母親や友人も出演する自伝的青春ストーリー。杉本監督は「自分の物語として撮らせてもらった作品で、周りに感謝したい」と述べた上で、「人が死んだり、何かが爆発したりはしないが、内にある爆発や、現場の空気と匂いを捉えたかった。そこを皆さんにくみ取っていただき、うれしいなと思います」と喜びを語った。奥田監督は「いい作品もあれば、ダメな作品もある。それでも撮り続ける、書き続ける、考え続けることで見えてくるものがある。映画製作という命がけの冒険に励んでほしい」と若き才能に熱いエール。各審査員も「自主製作とは何かという意義を、作品にどう反映させるかが重要」(阿部氏)、「作品をつくっていきながら、『この人に見てもらいたい』という視点が生まれると思う」(西村氏)、「映画を撮るしかないと腹をくくる人だけが生き残る」(熊切監督)と総評。大友監督は急きょ海外出張が決まり、表彰式には欠席した。■PFFアワード2015受賞結果グランプリ:『あるみち』杉本大地監督準グランプリ:『ムーンライトハネムーン』冨永太郎監督審査員特別賞:『嘘と汚れ』猪狩裕子監督、『ゴロン、バタン、キュー』山元環監督、『わたしはアーティスト』籔下雷太監督エンタテインメント賞(ホリプロ賞):『したさきのさき』中山剛平監督ジェムストーン賞(日活賞):『したさきのさき』中山剛平監督映画ファン賞:『したさきのさき』中山剛平監督観客賞:『いさなとり』藤川史人監督日本映画ペンクラブ賞:『いさなとり』藤川史人監督■PFFアワード2015入選作品『甘党革命 特定甘味規制法』諸星厚希監督(21歳)『あるみち』杉本大地監督(21歳)『いさなとり』藤川史人監督(30歳)『異同識別』佐々岡沙樹監督(32歳)『嘘と汚れ』猪狩裕子監督(30歳)『海辺の暮らし』加藤正顕監督(28歳)『大村植物標本』須藤なつ美監督(24歳)『帰って来た珈琲隊長』佐々木健太監督(30歳)『ゴロン、バタン、キュー』山元環監督(22歳)『THE ESCAPE』島村拓也監督(25歳)『したさきのさき』中山剛平監督(24歳)『チュンゲリア』峯達哉監督(26歳)『ひとつのバガテル』清原惟監督(22歳)『船』中尾広道監督(36歳)『マイフォーム』跡地淳太朗監督(28歳)『みんな蒸してやる』大河原恵監督(21歳)『ムーンライトハネムーン』冨永太郎監督(22歳)『モラトリアム・カットアップ』柴野太朗監督(22歳)『幽霊アイドルこはる』井坂優介監督(26歳)『わたしはアーティスト』籔下雷太監督(31歳)(text:cinemacafe.net)
2015年09月24日第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)PFFアワード2015の表彰式が9月24日に、東京都国立近代美術館フィルムセンターで行われ、21歳(応募時)の杉本大地監督が手がけた『あるみち』がグランプリを受賞した。PFFアワード2015入選作品はこちら主人公の杉本大地を監督本人が演じるほか、実際の友人や母親も出演する本作は、監督自身の体験を再現し、浪人時代を経て大学に入学してからの日々を描く。杉本監督は「自分の物語として撮らせてもらった。意識したのは、どんなエモーションがあるものを撮れるかということ。内にある爆発、現場の空気や匂いが撮れないかと考えていたので、それをくみ取っていただき、とても嬉しいです」と受賞の喜びを語った。中山剛平監督の『したさきのさき』は、一般審査員による映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)をはじめ、ジェムストーン賞(日活賞)、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)の3冠に輝いた。片思いの相手に対し、常軌を逸した妄想を膨らませる異色青春映画で、中山監督は「中学時代のドキドキした実体験を、スクリーンで見ればきっとドキドキするんじゃないかと思い作った作品。自分が見たことない映像を見てみたいという思いもあった」と感激していた。表彰式には最終審査員を務めた奥田瑛二(俳優・映画監督)、阿部和重(小説家)、熊切和嘉(映画監督)、西村義明(プロデューサー)が出席。グランプリを受賞した『あるみち』について、阿部氏は「杉本さんにしか撮れないものが、画面から伝わり、現場で映画が作られている感覚があった」、熊切監督は「鮮度の高さがズバ抜けていた」と評していた。映画の新しい才能の発見と育成をテーマに1977年からスタートし、今年で37回目を迎えるPFF(ぴあフィルムフェスティバル)。今年はアワード応募総数577本のうち、20本が入選した。第37回PFFぴあフィルムフェスティバル10月3日(土)から9日(金)まで 京都シネマ10月31日(土)から11月3日(火・祝)まで 神戸アートビレッジセンター11月12日(木)から15日(日)まで 愛知芸術文化センター2016年4月(予定) 福岡市総合図書館で開催取材・文・写真:内田 涼
2015年09月24日