大人女性柔らかセミディローレイヤー×毛先軽やかな王道ミディ☆顔の骨格が気になる方にもオススメな動きのあるスタイルは季節問わず人気のスタイルです!ハーフドライでスタイリング剤をもみこむだけのお手入れ簡単スタイルです。大人女性柔らかセミディを見る大人女性の艶ボブ大人女性に似合うショートスタイル。クセを見極めた似合わせカットで創るボブスタイル。小顔効果も♪ナチュラルに仕上がるストレートパーマやツヤカラーもご相談下さい!大人女性の艶ボブを見る大人女子のかきあげエアリーミディ20代、30代、40代の大人女子にオススメな、柔らかで空気感のある明るめなセミディヘア。ハイライトを入れるとより巻いた時の立体感が出やすく、いつものアッシュやベージュカラーに飽きた方にはオススメです!大人女子のかきあげエアリーミディを見る上品柔らか♪丸み美フォルム大人ボブ360度美フォルムな柔らか質感の上品ボブ。30代・40代・50代の方にも似合いやすく人気のスタイルです。ワンカールパーマでお手入れ簡単オシャレスタイル☆上品柔らか♪丸み美フォルム大人ボブを見る大人可愛いナチュラルツヤセミロング30代40代にもベーシックで人気の高いバランスのツヤツヤなセミロング。結べる長さは十分にありつつ、長すぎない絶妙なバランスで扱いもしやすく、アレンジもきく長さです。大人可愛いナチュラルツヤセミロングを見るフェミニン大人女子のイノセントショート30代40代50代〜と幅広い年齢層にオススメな重軽レイヤーショート。表面のみ段を入れることで、すきすぎない軽やかな動きのフェミニンなショートに。ひし形フォルムで面長・えら張りさんにもオススメなスタイルです。フェミニン大人女子のイノセントショートを見る30代40代〜大人可愛いフェミニンヘア☆上品なイメージの大人女性にぴったりなナチュラルヘア。20代30代40代50代〜どんな年代にも似合いやすいスタイルです!ストレートパーマや直毛の方はワンカールのパーマもオススメです。30代40代〜大人可愛いフェミニンヘア☆を見る大人可愛いリラクシーロング毛先のみゆるくワンカールした、大人女性ならではの優しくラフなロングスタイル。ほんのり明るいカラーだと軽やかなイメージに♪長すぎないベーシックなスタイルなので、カラーリングが暗めだとより大人女性も挑戦しやすい長さです。大人可愛いリラクシーロングを見るすっきり艶髪ショートチャレンジしやすいナチュラルショートニュアンスパーマもオススメです。ハイトーンや黒髪でも似合うお手入れ簡単スタイルです。お悩みの方はなんでもご相談下さい。すっきり艶髪ショートを見る大人女子の柔らか上品ショート☆30代40代50代のクセを見極め作るショートスタイル。大人可愛い、柔らかい質感の透け感ショート!大人女子にピッタリで小顔効果も♪癖がある方にもお勧め!大人女子の柔らか上品ショート☆を見る大人女性の上品ツヤ髪ブラウンボブベーシックで長年愛される、似合いやすいシンプルボブ。毛先を自然に内に入るようなループカットで、お顔周りを柔らかいテクスチャで包み込みエラハリが気になる方や小顔効果アップを狙う方にオススメです♪大人女性の上品ツヤ髪ブラウンボブを見る
2019年11月13日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/11/11(月)イラストレーション:高松啓二この週末に公開の作品は26本(ライブビューイングを除く)。全国のシネコンで拡大上映されるのは『ブライトバーン/恐怖の拡散者』『エンド・オブ・ステイツ』『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』『影踏み』の4本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が22本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作品をご紹介します。『ベル・カント とらわれのアリア』渡辺謙が主演のハリウッド映画です。海外で絶賛される俳優という意味で、かなりさかのぼり『グラン・プリ』の三船敏郎を思い出しました。その三船以来のかっこよさ。この作品ではジュリアン・ムーアを相手に、しっとりとラブシーンも演じています。1996年にペルーで起きた「日本大使公邸占拠事件」。それに発想を得たベストセラー小説を映画化しています。南米某国。大型工場建設を計画中のホソカワという日本企業のトップが渡辺謙です。政府は誘致への接待として、彼が敬愛する世界的なソプラノ歌手ロクサーヌ・コスのサロンコンサートを副大統領邸で開きます。ここをテロリストが襲撃、占拠。事件は長期化します。映画は、実際の事件で「リマ症候群」と名付けられた心の動きを描いています。長い監禁状態で人質と犯人とのあいだに、気持ちが通い始めるのです。それは様々な国籍、立場の違う人質たち同士も同じです。そのきっかけになったのがコスが歌ったアリアでした。歌を勉強したいという兵士や、ホソカワの通訳ゲンに外国語を教えてほしいという女性兵士も出てきます。ふたりはやがて親密な関係になっていきます。ゲンを演じているのは、加瀬亮。彼も外国映画の出演が多い国際派です。公邸の外を軍隊が取り囲み、緊張した日々が続くなか、人質とテロリストはくつろいでサッカーまで始めるのですが……。コス役ジュリアン・ムーアの歌声の部分は、「当代随一のソプラノ」といわれるルネ・フレミングが担当。こちらも大きな「聴きどころ」です。『影踏み』山崎まさよしが扮する主人公真壁は「ノビ師」。業界用語で、深夜に人の家に忍び込み金品を盗む泥棒のことです。彼は、ステータスのある家を専門に仕事をしているのですが、地元警察からは「ノビカベ」の異名で呼ばれています。ある時、忍び込んだ県会議員宅で殺人放火未遂事件に遭遇します。そこになぜか彼を尾行していた刑事が居合わせ、逮捕されてしまうのです。不可解な事件です。2年後、出所した真壁は、納得できない事件の真相を調べ始め……。つまりこれは泥棒が探偵役というミステリーなのです。警察小説の名手・横山秀夫による同名小説の映画化です。横山原作ですからいつものように舞台は群馬。地方都市らしい警察、検察、裁判所などのダークな人間関係がからむ事件の謎と、真壁の、幼馴染の恋人久子との屈折したラブストーリーが並行して進みます。久子役は尾野真千子。他にも、真壁の母親役に大竹しのぶ、幼馴染でありながら真壁を追う刑事役に竹原ピストル、滝藤賢一や田中要次、鶴見辰吾など個性的な役者が出演。それぞれの人間群像や、幾層ものドラマが重なり合った、観ごたえのある作品になっています。北村匠海演じる真壁を慕う「弟分」の、影のような存在も気になります。そのあたり、リアルな犯罪ものというだけではありません。ファンタジーの味わいもあります。篠原哲雄は、森田芳光や金子修介作品の助監督をしながら、自主制作もてがけ、PFFで特別賞を受賞したこともある監督です。1996年の初長編『月とキャベツ』の主役が山崎まさよし。それ以来のコンビ復活です。『完璧な他人』イタリア映画『おとなの事情』はよくできたブラック・コメディで、どこかでリメイクされると思っていましたが、ついに韓国で作られました。これがいい感じ!です。新居祝いということで、月食の夜に、幼馴染の男友達4人がカップルで集まります。美容外科医と精神科医、弁護士と専業主婦、失敗を繰り返す事業家と若手の獣医、今はニートの元教師は同伴者なしといった顔ぶれ。同じ郷里の料理を楽しみ、ワインやマッコリ、チャミスルで宴が進みます。月食が始まるころ、ふとしたことがきっかけでゲームが始まります。スマホを皆テーブルの上に置き、これから着信する電話やメール全てを公開するというゲーム。自分は秘密なんてありません、と、半ばその場の空気に押され、このゲームを始めたのですが……。それぞれの家庭のお恥ずかしい事情とか、個人の密やかなお楽しみ事情などが次々と露見し、ウソがウソをよんで、月が見えなくなる頃にはパーティは修羅場となってしまったのです。『毒戦 BELIEVER』のチョ・ジヌンや『タクシー運転手〜約束は海を越えて』のユ・ヘジンなど、実力派の役者たちが繰り広げるドタバタ会話劇。感情表現の豊かさは、イタリアも韓国もピカイチです。東京は11/15(金)からシネマート新宿ほかで公開。名古屋は11/16(土)からシネマスコーレで公開。関西は11/15(金)からシネマート心斎橋で公開。『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』こんなインド映画は初めて。盲目を装ったピアニストが殺人事件を目撃した、というサスペンスコメディです。理由はともかく「装った」というのがミソ。結婚記念日のサプライズとして往年の映画スターに出張演奏を頼まれた主人公アーカッシュが、邸宅で「見た」のは妻とその浮気相手の警察署長、そして銃弾に倒れたそのスターでした。署長は、彼の目の前で、死体をこっそり他の場所に運び、別の殺人事件をでっちあげるのですが……。どんどん深みにはまっていくアーカッシュ。予測がつかない展開の連発です。偽装殺人、拉致監禁、臓器密売までからんでくるのですから。つっこみどころもいっぱいなのがまた魅力。踊りはありませんが、インドで大ヒット。インド人もビックリ、です。
2019年11月11日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/11/4(月)イラストレーション:高松啓二この週末に公開の作品は21本(ライブビューイングを除く)。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『ターミネーター:ニュー・フェイト』『ひとよ』の2本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が19本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『永遠の門 ゴッホの見た未来』これまでの映画のように狂気が前面にでた感じでなく、世の中の無理解からも達観した求道者のようなゴッホです。最後の数年間、ゴッホは何を見て、どう考え、どう生きたかを、できるだけ、彼自身の視点で描こうとしています。そこが新鮮です。自撮りをしたかのようなアングルや、ドキュメンタリーのような映像が多く使われています。冬はアルルのアトリエに吹き込む木枯らしの音、夏は田園の虫の声、自然の音も印象的です。手を広げ、風のなかに身を委ねるゴッホ。精神病院に入院中、あんたは何を描くのだ、と問われ、「太陽の光」と即答します。漂泊の芸術家の数少ない理解者だったゴーギャンがパリに去ると、ゴッホは発作的に自分の耳を切り落とすという事件を起こします。そして長い入院生活。いわゆる閉鎖病棟で、退院には医者と牧師の許可が必要です。病がほぼ癒えたゴッホと牧師とのやりとりが意味深です。63歳のウィレム・デフォーが37歳のゴッホを演じています。年輪とキャリアがあってこその演技。この作品でヴェネチア映画祭最優秀男優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされています。牧師役でデンマークの人気俳優マッツ・ミケルセンが出演しています。監督は自身が画家でもあり、『バスキア』がデビュー作のジュリアン・シュナーベルです。『ターミネーター:ニュー・フェイト』正統な『ターミネーター2』の続編、です。1と2を監督したジェームズ・キャメロンが製作者として復帰、アーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンも出演しています。1997年の「審判の日」は回避されたか? 未来社会の救世主、ジョン・コナーとその母、サラ・コナーはその後どうなったか???人類滅亡の危機は、まだ終わっていなかった……のです。今回は、未来に重要な役割を持つとされるメキシコ人女性ダニー、未来から送り込まれた「強化型女性兵士」のグレース、そしてサラ・コナー、この3人の女性が映画の中心です。もちろん、シュワちゃんもT-800型ターミネーターで元気なところを見せてくれます。そして新たな敵は、最新型ターミネーターREV-9。これが最強!なかでもサラ・コナーの登場シーンは、ただひたすらカッコいいんです。髪は銀色、鍛えられた身体、鋭い眼光、沈着冷静で滅法強い。演じるリンダ・ハミルトンは63歳。シュワルツェネッガー自身の72歳という実年齢もうまく活かしたストーリー展開は見事です。SFXやCG技術の進歩も第一作から35年、すさまじいものがあります。何よりも進んだのはコンピュータとAIが当たり前になった私達の意識かも知れません。『グレタ GRETA』NYの地下鉄で、身なりもきちんとした中年女性がハンドバックを忘れる。それを見つけた若い女性フランシスが、後日、家まで届けます。ふたりは仲良くなり、まるで親子のような付き合いが始まります。美しくて気品がある、孤独だが、生活には困っていない、60代の未亡人。愛する母を最近亡くしたばかりのフランシスにとって、放っておけない、少し甘えたい、そんな存在でした。その瀟洒な家に通ううちに、彼女はとんでもないものを見つけるのです。イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モッツのサイコスリラー。思わぬ展開にぐいぐい引き込まれます。孤独のなかに狂気をはらんだマダム、イザベル・ユペールが、まじ怖いです。『国家が破産する日』このところ、史実に基づいた韓国現代史の暗部を暴く映画が続きます。『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』は光州事件を、『1987、ある闘いの真実』は韓国民主化闘争を描き、『工作 黒金星と呼ばれた男』は北朝鮮に潜入した韓国大物スパイを扱っていました。いずれも力作、問題作です。そして今回は、1997年の韓国経済危機をテーマにした経済サスペンスです。好景気の真っ只中だと国民が信じていたこの年。アジアの通貨危機が飛び火し、国家経済が破綻、韓国政府がIMF(国際通貨基金)に金融支援をもとめるまでにいたってしまったのはなぜか?その「国家破産」の危機に直面した政府内のごたごたと、現実は現実としてIMF交渉でなんとか韓国の国益を守ろうとする韓国側の特別チームの活躍を描いています。この手のドラマではありがちですが、危機が直撃する国内の中小企業の悲劇、逆にこれをチャンスとして富を得ようとする集団の物語も同時進行していきます。制作スタッフによれば「IMF経済危機は全国民の傷。それはまだ癒えていない」といいます。金利の高騰、倒産率の急上昇、解雇や雇用形態の悪化など、その後の韓国が直面した現実は厳しいものがあったのです。映画は歴史は繰り返される、と暗示して終わります。東京は11/8(金)からシネマート新宿ほかで公開。名古屋は11/9(土)からセンチュリーシネマで公開。関西は11/8(金)からシネマート心斎橋で公開。
2019年11月04日モデルで女優の水原希子が、世界一周旅行に出かけるHuluオリジナルドラマ「ブラを捨て旅に出よう~水原希子の世界一周ひとり旅~」の配信が決定した。本作は、旅作家・歩りえこの著書「ブラを捨て旅に出よう」を原案に据えた“半分ドラマ、半分ドキュメンタリー”という新ジャンルの作品。原案エッセイの実話エピソードをベースとしたストーリー展開は予定されているものの、いざ現地へ赴けば、あとは水原さんにおまかせ。想定している旅から180度変わる可能性を大いに秘めた“水原希子の瑞々しい感性&力強い生命力が炸裂するドキュメンタリー”の一部始終を、カメラがとらえ配信していくのだという。「今年も仕事とプライベート合わせて32都市に行ったほど、私は旅が好き!」と話す水原さんは、「この作品は本当に特殊!セリフを丸暗記して臨むのは違う気がするし、自分でもどう消化して表現していけばいいか、まるで想像がつかないというのが正直な気持ちです。でも、カジュアルに旅をしている感覚で、自分が見たいものや行きたい場所はフレキシブルに取り入れていきたい。どう転んでも“私自身の旅”になるのは間違いないので、楽しみです!」と今回の企画について語る。さらに、自身は「海外へ旅に出ると、強くなるタイプ」「不測の事態にも強くて、特に言葉が通じず“会話ができない”みたいなシチュエーションが好きなんですよ」と、知らない土地での旅への強みを明かした水原さん。「中国で仕事をし始めた時も、全然言葉は通じないけど、中国人の友達をいっぱい作って、みんなで遊びに行ったりしてたんです。言葉が通じないからこそ、人としての度量が試される…じゃないけど(笑)、その時に起こる化学反応やムード自体がすごく好きで…。何でも面白いと思うと、乗り切れちゃうんですよね。今回も本当に“答えのない実験的なプロジェクト”なので、とにかく果敢に挑んでいきたいです」と意気込んだ。また行ってみたい場所は「中国の成都」だと言い、「以前、中国でカモの血をゼリー状に固めた『鴨血』にチャレンジしたら、見た目に反して本当に美味しくてハマったことがあるんですけど、今回はぜひ大好きな四川料理を本場で堪能したいです。成都は若者の活気に満ちているらしいので、その雰囲気も絶対に味わいたいですね」とコメント。そして「世界はすべて繋がっていて、境界もないということを感じていただきたいですし、言葉が通じなくても同じ人間同士であって、パッションや想いなど、色んな側面で伝わり合うことができるということ、そしてお互いのカルチャーをシェアしたり、学んだり、受け入れ合うという事の喜びや、美しさを知っていただきたいです。私自身もこの作品ですべてを解放して、オープンな気持ちでいろんなものを吸収したいと思いますので、少しでも皆さんにポジティブなメッセージを受け取ってもらえたら嬉しいです」とメッセージを寄せている。Huluオリジナルドラマ「ブラを捨て旅に出よう~水原希子の世界一周ひとり旅~」は2020年1月より毎週1話ずつHuluにて独占配信(全6話予定)。(cinemacafe.net)
2019年10月28日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの5作品。ぴあ編集部 坂口英明19/10/28(月)イラストレーション:高松啓二この週末に公開の作品は28本。今週もとても多い本数です。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』『マチネの終わりに』の3本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が25本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい5作をご紹介します。『NO SMOKING』日本の音楽界を代表するひとり、細野晴臣さんのデビュー50周年記念ドキュメンタリーです。超貴重な映像を交えながら、細野さんが気さくにご自身を語る、トークライブのような映画です。この人、お話が面白いのです。そのうえサービス精神旺盛で、茶目っ気たっぷりのエンターテイナー。突然、ホッピングとか、火星歩行ダンスなんかやりだしちゃいますし。タイトルもシャレ。タバコをひっきりなしに吸っています。1947年、戦後すぐの生まれ。少年時代の思い出から始まり、音楽に熱中した高校、大学時代。小坂忠とエイプリル・フールを結成し、デビューしたいきさつ。大瀧詠一・松本隆・鈴木茂との伝説のはっぴいえんどはどんなふうにして生まれたか。ソロになってトロピカル・ダンディー、横尾忠則がきっかけになったインドとの出会い、そしてYMO、アイドルへの楽曲提供、YENレーベル……。軽やかに、何事も面白がって生きてきた。そうしたら自然に人が集まって、ムーブメントが起きていった、そんな半生を、少し照れながら話します。彼を敬愛する星野源がリスペクト感のあるトーンでナレーションを担当しています。1976年横浜中華街の同發新館で行われたライブ映像、それを星野源と再現した40年後のコンサート。小山田圭吾、高橋幸宏、そして飛び入りで坂本龍一が加わった2018年のワールドツアーのロンドン公演は貴重です。2005年、狭山で行われたフェスも収められています。雨上がりの会場、MCのあと、ギタ一1本で歌いだします。「昔のメロディ、口ずさみ……」から始まるあの名曲『ろっかばいまいべいびい』です。しみじみとしていて。ちょっと泣けます。『最初の晩餐』家族といっても連れ子あり同士の再婚となれば、食事も異文化の衝突です。65歳になる直前に父がなくなり、その通夜振舞で、母が用意したのは、そんな家族の食の歴史の再現。最初に出てきたのは、ふたつの家族が一緒になった夜の、ちょっと風変わりな目玉焼き。それがこの一家の「最初の晩餐」でした。東京でカメラマンをしている染谷将太と、もう結婚をして子供もいる戸田恵梨香が父の連れ子。染谷の視点で思い出が語られます。物静かな父を演じるのは永瀬正敏。母役は斉藤由貴です。父は名の知れた登山家だったのですが、再婚と同時に家族のために山をあきらめ工場勤めに。味噌汁の味から家族のギャップがはじまり、秋刀魚の骨の話で母娘がうちとけあう……。ある理由で家族を離れた母の連れ子が登場するのは、通夜の終盤です。窪塚洋介が演じています。家族の秘密が徐々に明かされていきます。親族や弔問客が話す小さなエピソードから、まるで複雑な結び目をほどくかのように、父の家族への思いが明らかになっていきます。そんな食事と家族の物語は、常盤司郎監督のオリジナル。父親の思い出をたぐりよせて作ったといいます。「最後」の晩餐のシーンは、自分の父親のことを思い出し、ジーンときました。食のことは、家族の記憶につながります。『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』「笑わない」笑福亭鶴瓶主演映画です。微笑むくらいはあったと思いますが、映画を観終わって残る印象は、沈痛な影を持った悩める男、です。あのあふれんばかりの笑顔は封印されています。鶴瓶さん主演としては『ディア・ドクター』(2009年)から10年、今回も演技賞候補まちがいなしでしょう。冒頭はショッキングな死刑執行シーン。かわって、看護師長の小林聡美が、ひとつひとつ鍵を開けて病棟に入るシーンに続きます。「閉鎖病棟」、つまり精神科の隔離病棟です。さまざまな理由で、ここに入れられたり、または自分から望んで入院した患者さんたちがいます。鶴瓶が演じるのは初老の元死刑囚。死刑執行されたにもかかわらず奇跡的に一命をとりとめ、再執行されずに、精神病院をたらい回しにされたのです。彼と、幻聴に悩まされる元サラリーマン役の綾野剛、家族のDVから逃れて入院した女子高生役、小松菜奈がドラマの中心です。患者さんたちの日常は、もちろん多少異形な感じはしますが、いたって平和で、のどかなものです。ある事件がおきるまでは……。監督は『愛を乞うひと』の平山秀幸。帚木蓬生による山本周五郎賞受賞の同名の小説が原作です。救いようのない話の連続ですが、小さな希望の灯がともる結末。サブタイトルの「それぞれの朝」、しっくりきます。『キューブリックに愛された男』『キューブリックに魅せられた男』『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック。天才映画監督です。作品はほとんどが映画史に残る名作。常に完璧を追い求め、細部にもこだわり抜く芸術至上主義者で、独裁的。行動には狂気をはらみ、逸話に事欠きません。その伝説、神話に新たに加わったのが、この2本のドキュメンタリー。キューブリックを支えたふたりにスポットをあてた作品です。このふたりがいなかったら、キューブリック映画の何本かは世に出なかったかもしれません。全然無関係に作られた2本を、セットにして一挙公開するのは日本の配給会社のアイデアです。キューブリックのお抱え運転手のはずが、あらゆる私的な用まで任されるようになったエミリオ・ダレッサンドロ。その半生を描いたのが『キューブリックに愛された男』。原題は『S is for STANLEY』、SはスタンリーのS、メモの最後に書かれていた名前の略からつけられています。キューブリックは日常のこまごまとしたことを、メモや、時には電話で彼に依頼したのです。エミリオはスタンリーにとって便利な人、というだけでなく、心の支えでもあり、いなくては困る存在です。やめて引退生活に入ろうとする彼を思いとどまらせるために、キューブリックが次々と考えだすやり方がほほえましいというか、悪魔的です。『キューブリックに魅せられた男』のレオン・ヴィターリは、悲劇としかいいようがない、もう完全にキューブリックに振り回された人生です。『バリー・リンドン』で役者として出演し、その映画作りに魅せられたレオンは、キューブリックのスタッフの道を選びます。実はそのまま進めば、人気役者というコースにのっていたのですが…。役者のオーディション、教育係など、これまでの経験を生かすだけでなく、クリエイティブに関する総プロデューサーの役割も担うことになります。10分おきに、キューブリックから電話がきます。メモも運転手のエミリオ以上にとんできます。キューブリック没後も過去作のDVD化、ブルーレイ、デジタル化……すべてに関わっていくのですが……。げっそりやせた彼の顔がすべてを物語っています。2本を通して観ると、キューブリックはやはり、この人のためならと思わせるに足る魅力の持ち主だったと痛感します。にしてもすごすぎる献身!東京は11/1(金)からヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。名古屋は11/9(金)から名古屋シネマテークで公開。関西は11/15(金)からシネ・リーブル梅田ほかで公開。
2019年10月28日おとな向け映画ガイド今週は公開ラッシュ! オススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/10/21(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は、なんと31本。最近ではみたことのない本数です。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『ジェミニマン』1本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が30本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。3本は、CG技術が突出したエンタテインメント作品。4本目は、それとは真逆、体を張ったといいますか、R18の日本製コメディ映画であります。『ジェミニマン』ウィル・スミスが「二役」を演じています。51歳の「史上最強のスナイパー」、ま、これは当たり前。もう一役は23歳の「クローン」です。若い方は、特殊メイクではなく、実際にスミスが演じた上でCG処理をし、新しいキャラクターを作り出したとのこと。まさに映像上のクローンです。それが全然不自然じゃない。これまで観たCGは何か違和感を覚えたものですが、それがありません。恐竜たちがスクリーンせましと駆け回った『ジュラシック・パーク』以来の映像革命。いよいよそういう時代になったかと驚嘆しました。スミスが扮するスナイパー(狙撃手)の、ゴルゴ13のような凄腕ぶりが冒頭にでてきます。このエピソードだけでも見応えがあります。ちょっとしたミスがあり、職人肌の彼は引退を決めるのですが、政府の秘密組織から追われることに。知りすぎた奴は消せ、というわけです。最初に送りこまれたスナイパーが、若い彼自身のクローン。政府は、彼の並外れた殺傷能力に目をつけ、こっそりDNAを採取し、軍事用クローン人間を秘密裏に完成させていたのでした。不思議な感覚でしょうね。姿かたちは若い頃と同じ。食などの嗜好、くせ、思考回路も同じ、すごい奴が目の前にいるんです。監督は巨匠アン・リー。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのヒットメーカー、ジェリー・ブラッカイマーが製作を担当しています。彼が採用したのは、最新鋭のCGだけではなく、最も立体感のある3D技術(3D+in HFR)です。普通の映画のコマ数の2.5倍。この臨場感はこれまで経験したことのないもの。この映画こそ、3Dで観るべき作品です。『ロボット2.0』いやあ、こってりしています。ギトギトのラーメンのようなくせになる魅力。強烈な男くささいっぱいのおじさんロボットが大暴れした、あのインド映画『ロボット』の続編です。タイトルバックから異常な長さです。日本のホンダとか、協力企業のクレジットだって最初にバーンと出します。舞台はたぶん近未来のインド。町から突然、スマホが消える。通話している途中で、何者かに吸い寄せられるように空中高くどんどん飛んでいくのです。当然パニック状態。今やスマホなしでは生活が成り立ちません。しかもスマホは合体し、怪鳥となって町の破壊を始めます。政府にこの怪事件解決の協力を求められたロボット工学の専門家バシー博士は、チッティを復活させるしかないと助言するのですが……。チッティ、前作で暴走の限りを尽くしたロボット。確か解体を命じられ、自らの手で分解。博物館に展示されていたはず。それが博士の力で蘇り、超弩級の破壊アクションがまた、始まります。やや現代的なテーマも背景にあり、悪漢がやっつけられるのを一方的に楽しめませんが、着想がすごい。これでもかとクライマックスがずっと続くし、もちろん歌と踊りも盛り盛り入って145分。おかわりはいりません。満腹まちがいなしです。『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』久しぶりの戦争痛快アクションです。しかもロシア製。ナチスの戦車軍団に立ち向かう、ロシアの命知らずの男たちと、戦車T-34の物語です。第2次大戦中。食料運搬の軍務から人材不足で戦車長を任されたロシア軍将校が1台のT-34で敵の機甲師団に大善戦。しかし捕虜となってしまいます。彼の活躍を覚えていたナチスの隊長は、自軍の戦車隊の訓練演習のため、彼とその部下たちに、標的となって、砲弾を持たずただ逃げまわる役を命じます。戦場で回収されたT-34が与えられ、演習が始まるのですが……。チャンバラや西部劇などのテイストです。敵はナチスですが、相手の武勇を認めるサムライのような軍人。こいつと戦ってみたい、的なスピリットを持っています。対するロシア軍将校も、スティーブ・マックィーンのような不敵な男。それに応え、戦車を自在にあやつり、まるでガンファイトのように戦います。彼は彼で、なんとかこのチャンスに大脱走を、と企てていたのです。大戦後保存されていたロシアの戦車T-34の実物が撮影に使われています。そこから発射される大きな砲弾が、まるで『マトリックス』の銃弾のように、スローモーションで弾道を描きます。VFX(視覚効果)は、『バーフバリ 王の帰還』を手がけたFilm Direction FXを筆頭にロシアのチームが担当。戦車が片輪走行し、ドリフト旋回、まるで生き物のように動き回ります。カメラは戦車内部にも取り付けられ、これもリアリティある映像を生み出しています。四の五の言わず楽しんでくれ、というロシアン・エンタテインメントです。『108~海馬五郎の復讐と冒険~』昔風にいうと艶笑コメディというやつですが、これがすこぶる面白いのです。「大人計画」松尾スズキの監督・脚本・主演作。松尾扮する人気脚本家 海馬五郎が妻の浮気を知り、その復讐に108人の女性を抱くことを考えつく、といった破天荒な話。この手の日本映画はディテールなどがたいてい寒く、のれないのですが、さすが、松尾スズキ。小さなセリフや細かい演出が面白いんです。50代夫婦の危機とか、親のこと、仕事のこと、そのあたりのリアリティも感じられます。決して「やりまくり」映画というだけではありません。海馬がいま手掛けている舞台は、ミュージカル『踊る精神科病院』。そのオーディションに落ちた女優から「これ多分奥さんですよね」と突きつけられたSNS。それは自分の知らない妻のアカウントで、コンテンポラリーダンサーと浮気しているという告白がつづられていたのです。友人から離婚すると資産の半分は妻に渡すことになると聞き、逆上した海馬は、妻がダンサーのおっかけで旅行にでかけている間に、貯金1000万円を女で使い切ると宣言します。妻役は中山美穂です。海馬の妹で、イタリアンレストランのオーナーシェフに坂井真紀、友人役に秋山菜津子、劇団ハイバイの岩井秀人。特に、秋山さんは海馬のセフレ、という役どころ。紀伊国屋演劇賞を2度もとったことをひけらかす女優役です。実際に数々の演劇賞を受賞したベテラン。楽しんでやっている感じですが、素敵です。すごいシーンもあり、まさに体張ってます。
2019年10月21日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/10/14(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は16本。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『マレフィセント2』『楽園』の2本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が14本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『アダムズ・アップル』このタイトルで教会が舞台、というと難しい宗教的なテーマの映画かと思うかもしれませんが、そうシリアスではありません。イブも出てきません。アダムはネオナチで、犯罪者で、スキンヘッドです。現代のデンマーク。港町にある小さな教会へアダムがやってきます。仮釈放中に、ここで更生プログラムを受けるのです。教会には敬虔な牧師と、居ついてしまった前科のあるふたり。アルコール依存症で盗みやレイプ常習犯のメタボなデンマーク人と、ガソリンスタンドの強盗を繰り返した中東系。彼らとの共同生活が始まります。アダムのここでの目標は、庭のりんごを育て、アップルケーキを作るという牧歌的なものですが……。「悪魔が我々を試している」という牧師イヴァン、客にだすビスケットの数に異常にこだわるような細かいところもありますが、極端なポジティブ・シンキング。アダムにボコられてもケロッとしていたりします。演じているのはマッツ・ミケルセン。この秋、日本公開の出演作が3本、いま人気のデンマーク男優です。試練は続きます。教会に起きるさまざまなトラブル、謎の訪問者。庭に植えられたりんごの大木には、虫がつき、カラスが襲い…。全篇不気味で不思議なテイストがおおいます。登場人物も怪しげなのばかり。最初は悪漢だったアダムが、気づけば、一番まともに見えてきます。さて、この話、どう落ちをつけるのかと心配になりますが。これがなかなかのエンディング。どこかとぼけた味の、北欧ブラックコメディ仕立て。実は、聖書をバックボーンとしたヒューマン・ドラマの傑作です。このところ北欧映画がよく公開されます。このブームの火付け役ともいえるのが、「トーキョーノーザンライツフェスティバル」という映画祭。毎年冬に渋谷で開催され、ことしの2月で10年目でした。その2017年のフェスで上映され、大人気だったのがこの作品です。製作は2005年。映画祭の有志たちが、直接買い付けて、今回公開にこぎつけたといいます。東京は10/19(土)から新宿シネマカリテほか、名古屋はシネマテークで近日公開、関西は11/23(土)から京都・出町座、大阪・第七藝術劇場ほかで近日公開。『楽園』逢魔が辻、といいますか、夕暮れ時のY字路、限界集落にちかい農村のこの分かれ道で、学校帰りの少女が行方不明になります。事件は解決されないまま12年がたち、再び少女の失踪事件がおきます。映画は、この事件にからみ、犯人扱いされて集団リンチに遭う移民の青年と、同じ村の村八分にあう養蜂家、ふたりをそれぞれ主人公にした2部構成で、日本の農村に潜む闇の部分を描いています。吉田修一の『犯罪小説集』を『64ーロクヨン』や『菊とギロチン』でいまや日本を代表する監督のひとりとなった瀬々敬久が映画化。『青田Y字路』を元にした前半は少女失踪事件。犯人と擬せられる青年を綾野剛が演じています。綾野に好意を持つ、失踪した少女の同級生役が杉咲花。『万屋善次郎』を原作とした物語の後半は佐藤浩市が中心となります。養蜂の傍ら、便利屋のような仕事もする好人物で、よかれと思ってやったことがどんどん裏目にでてしまう悲劇の主人公。彼に想いを寄せる片岡礼子との大人のラブシーンがせつなくて心に残ります。ほかに、失踪した少女の祖父母役に柄本明と根岸季衣、杉咲の幼馴染役に村上虹郎など、個性的な役者もそろい、その演技がぶつかりあいながら、サスペンスタッチでドラマが展開し、ぐいぐい引っ張られます。『楽園』というタイトルは、アイロニーともとれるのですが、観終わったあと、「なるほど」とも思えます。『駅までの道をおしえて』子役と犬に、つい泣いてしまいます。特にわんちゃんは、スチールではそんなにわかりませんが、大変かわいいです。それと京急線が大活躍でして、鉄オタにもたまらない映画になっております。かわいがっていた犬のルーがいなくなったことを理解できず、ひとり必死で探しているとき、犬が縁で不思議なおじいさんと出会った、8歳の少女サヤカの、ある夏のお話です。古びた小さな喫茶店を営むその老人も、数十年前に亡くなった息子の死を受け入れられずにいました。ふたりは次第に仲の良い友だちになりますが…。サヤカを演じる新津ちせが素晴らしい演技です。新海誠監督のお嬢さんだそうです。1年半にわたった撮影で、彼女の成長がそのままカメラに収められています。映画では普通、よく似た犬をスタンバイさせて撮影されますが、愛犬ルー役は同じ柴犬だけが演じています。本名も同じそのルーを、ちせちゃんが自宅で散歩など世話をしたといいます。絶妙のコンビです。おじいさん役は笈田ヨシ。ピーター・ブルックの国際演劇研究センターに参加した国際演劇人。『沈黙ーサイレンスー』では村人を演じていました。ことし86歳の名優です。神奈川の海沿いを走る京浜急行沿線の街。ルーは赤い電車が好き。サヤカと駆け回る、海の近くの緑地のシーンが印象的です。この緑地は、ドラマの後半、ファンタジックな夢のシーンにも登場します。おじいさんの喫茶店は、野毛のジャズ喫茶ちぐさで撮影されています。『ドリーミング 村上春樹』村上春樹の小説はこれまで50言語に翻訳されているといいます。この映画は、そのデンマーク語版を20年近く手がける女性翻訳家を描いたドキュメンタリーです。監督もデンマークの二テーシュ・アンジャーン。撮影は、村上がアンデルセン文学賞を受賞し、デンマークを訪れた2016年に行われています。が、村上春樹自身のインタビューはありませんし、村上さんは登場しません。翻訳家のメッテ・ホルムさんをストイックに追っています。『風の歌を聴け』を訳しているホルムさんは、「完璧な文章などといったものは存在しない。」という文の「完璧な文章」をどう訳すか自問します。ポーランドやドイツの翻訳者ともこの訳語について議論します。ドイツのウルズラ・グレーフェさんは、「日本語には曖昧さが含まれていて、翻訳者は自分の裁量で解釈する自由がある」といいます。ホルムさんはなるべく原作に忠実に、という派ですが、この場合、どの訳語をあてたらよいか、悩みます。インタビューだけでなく、ホルムさんが日本を旅行し、村上春樹ゆかりの地を訪れた映像もインサートされています。かえるくんも登場します。村上ファンは必見の映画です。ところで、ノーベル賞、残念!東京は10/19(土)から新宿武蔵野館ほか、名古屋は11/9(土)からセンチュリーシネマ、大阪は10/19(土)からシネ・リーブル梅田ほかで上映。
2019年10月14日おとな向け映画ガイドオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/10/07(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は19本。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『最高の人生の見つけ方』『空の青さを知る人よ』『真実』『クロールー凶暴領域ー』の4本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が15本です。今週は粒ぞろいです。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『真実』なにしろ、カトリーヌ・ドヌーヴが主演、その娘夫婦役にジュリエット・ビノシュとイーサン・ホーク。で、監督は是枝裕和。すごいことであります。ドヌーヴ演じるファビエンヌは、フランスの国民的大女優。『真実』というタイトルの自伝を書き終えたところ。ちょうどその本が刷り上がり、出版を祝うため、アメリカから、疎遠だった娘一家がやってきます。新作の映画も撮影中です。大女優ですから、もうすべてわたしがルールブック、言いたい放題、やりたい放題ですが、にくめない存在。役者としてはさすが、の演技をみせます。まさにドヌーヴそのものといえます。娘は、家族のことがどう書かれているか心配です。事前に原稿を読ませてもらう約束をしたのに、母は「あら、送ったわよ。いきちがいね」ととぼける。印刷部数をきくと「10万部」。でも実は5万部。できたばかりの本を一晩かかって娘がチェックをしてみると、ふせんが付く付く、ともかく嘘ばかり。「このどこに真実が?」と母をなじると「事実なんて退屈だわ」と一蹴される。長年にわたって尽くしてくれた秘書について1行も書かれていない。彼女の人生に重要な役割を果たした親友のサラについても。そんなことが、波紋をよんで…。家族のこと、親しいひとたち、女優であることも、実は、書かれなかったことの中に「真実」が隠れているのです。是枝監督作品でおなじみの樹木希林さんが演じても、すてきな映画になったと思います。希林さんに似合いそうなセリフもあります。けれど、ドヌーヴが演じるからこそ、こんなにノーブルで華やぐ作品になったのでしょう。女優を描いた映画ですが、テーマは家族について。「是枝映画」、です。『ボーダー 二つの世界』注意深く紹介をします。その結末にきっと、驚かれると思いますが、そこにふれないように。ひとことでいうと、いままで観たことのない映画です。ショッカーでもホラーでもありません。どちらかというとファンタジーです。主人公はスウェーデンで税関の仕事をしているティーナ。正直、かなり醜悪な顔をしています。違法なものだけでなく、何かを隠しているという罪悪感まで匂いで嗅ぎ取れる、という能力を持っています。税関を通るとき、彼女が怪しいと判断した旅行客はたいていアウトです。ところがある日、彼女以上に醜悪で、怪しげな男が入国してきます。別室に連れていき、仔細に調べるのですが、証拠がでません。彼に、なぜか、どこか惹かれる彼女。後日再会したふたりは…。永遠に歳をとらないバンパイアの少女を主人公にした『ぼくのエリ 200歳の少女』の原作者、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが原作と脚本を担当しています。異世界的という着想はこの映画も同じです。タイトルはそれを暗示しています。いったい彼女は何者か、なぜそういう顔をしているのか、なぜ超能力をもっているのか、そしてあのシーンとか、あれとか、あー、これ以上はとても言えない。『イエスタデイ』これはアイデアの勝利です。とても面白かったので、感想を何人にも吹聴したのですが、10人中ふたりくらいは、そんなのありえないといいます。12秒間だけ世界規模で謎の大停電がおき、そこから何かが狂う。例えば、ビートルズという存在が世界から消えてしまう。それがなぜか主人公の記憶だけに残っている、というお話です。パラレルワールドものといっていいでしょう。世の中の誰もがビートルズを知らない。自分が持っていたレコードコレクションも消えてしまった。売れないシンガーソングライターのジャックが、彼らの曲を思い出しながら、ためしに歌ってみると、もちろん誰も知らない。そして、聴いた人はみんな、なんていい曲なんだと感動してくれる。それはそうだ、ビートルズなんだから。記憶を掘り起こし、次々とレノン&マッカートニーの曲を発表するジャックはまたたく間に大スターになっていくのです。見方を変えますと、この映画、ビートルズが今デビューしたら、という仮説への答えなのかもしれません。SNS時代、音楽はレコードやCDが全盛ではありません。ジャックはビートルズが考え出したアイデアをそのままやろうとするのですが、うまくはまらないものもあります。そのあたり、逆にビートルズ好きにはたまりません。ホワイト・アルバム?、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド?、バック・イン・ザ・U.S.S.R.? なるほどと思います。ジャック役のヒメーシュ・パテルが歌う楽曲は30曲近く。観終わって一週間は曲が頭に残ります。ビートルズは偉大だ、と痛感します。『天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~』こちらもワン・コンセプトの映画です。現代を代表するクリエイターなどに「Why are you creative?あなたはなぜクリエイティブなのか」を訊いたドキュメンタリー。デヴィッド・ボウイ、タランティーノ、ヘルツォーク、ジャームッシュ、ビョーク……。日本人では、北野武、オノ・ヨーコ、山本耀司、荒木経惟。ともかく、著名人なら遠慮会釈なくマイクとカメラを突きつける。これを30年にわたって続けてきたドイツ人ハーマン・ヴァスケ監督の映像記録です。これまでにアタックした人の数は1000人以上。うち107人がこの映画に登場します。アーティストだけでなく、ホーキング博士や法王ダライ・ラマ14世、ネルソン・マンデラ元大統領などのVIP、スイスのダボス会議に現れ、経済人や政治家にも同じ質問をあびせます。突然の問いかけに、とまどいながらも、自分の発想の原点や、発想の仕方などをていねいに話してくれる人が多数。とんちんかんな返答をする政治家もいます。中国の現代美術の巨人、アイ・ウェイウェイの受け答えなんて、さすが、と思いました。アラーキーのインタビューをとるために、カラオケで朝5時まで飲み「あんなに深酒をしたこととはない」とぼやく、ヴァスケ監督の突撃ぶりもユーモラスです。アサヒビールの金のオブジェを作ったデザイナー、フィリップ・スタルクとか、デヴィッド・リンチ、ペドロ・アルモドバル、デヴィッド・ホクニー…、へーっ、こういう風に話す人なんだ、という驚きの連続でもあります。東京は10/12から新宿武蔵野館ほか、名古屋は10/19から名演小劇場、大阪は11/1からシネ・リーブル梅田ほかで上映。
2019年10月07日おとな向け映画ガイドオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/9/30(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は23本。1日3本観ても1週間では観きれないとんでもない数です。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『蜜蜂と遠雷』『ジョーカー』『HiGH&LOW THE WORST』『ジョン・ウィック:パラベラム』の4本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が19本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『ジョーカー』体調と精神状態が万全なときにご覧下さい。結構ヘビーです。が、この秋のベストといっていい映画だと思います。DCコミックス、『バットマン』シリーズのあの悪役がいかにして生まれたか、と軽く考えていたのですが、いやあ凄い!映画の舞台は1981年の「ゴッサム・シティ」、つまりニューヨークです。荒廃しきった大都会の片隅、ピエロのメイクで街頭宣伝の仕事をしながらコメディアンをめざすアーサー。少し情緒不安定で、医療補助を受けています。アパートには病弱な母が同居している、そんなつましい暮らしです。そこにある事件がおき……。ここからの展開は圧倒的な迫力。ホアキン・フェニックスが、孤独で、ときおり狂気をはらんだアーサー役。これが鬼気迫る演技です。アーサーが憧れるテレビの人気者にロバート・デ・ニーロ。彼の存在がこの映画を第一級のグレードに押しあげています。デ・ニーロの『キング・オブ・コメディ』、そしてあの『タクシードライバー』を連想させるシーンやイメージにも魅了されます。こうなると『バットマン』シリーズはこの映画の後日談にすぎない感じです。『毒戦 BELIEVER』これまた、ハードな犯罪サスペンスです。香港ノワールの巨匠、ジョニー・トーの『ドラッグ・ウォー 毒戦』を韓国でリメイクしています。国際的な麻薬取引に絡む、麻薬取締局によるおとり捜査、という設定やストーリー展開は受け継いでいますが、人間関係などは韓国映画らしく濃密なドラマとなっていて、香港-中国大陸という犯罪の舞台も、韓国-中国大陸になるといろいろ状況も変化します。なかなか面白い翻案と思いました。イ先生というニックネームの麻薬王が率いる密売組織を追う麻薬取締官。イ先生の存在は謎で、組織内でも実際に会った人間はいない。その秘密工場が何者かに爆破される事件があり、これを突破口に、潜入捜査を開始します……。麻薬取締官チームのリーダー、ウォノに扮しているのはチョ・ジヌン。夏に公開され評判をよんだ『工作 黒金星と呼ばれた男』では韓国スパイのボスを演じていました。闇マーケットの支配者役のキム・ジュヒョクは2017年に交通事故で亡くなり、この映画が遺作です。「捜査対象:全員狂人」とチラシに書いてありますが、追う方も追われる方も狂気が漂っています。さらに、これまでの韓国の暗黒映画と比べても、でてくる風景の荒涼感が半端ない感じです。韓国ノワール、さすがです。『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』日本ではあまりテーマになったことのない「妊活」の映画です。50歳近い夫と一回り以上年下の妻。こどもは作らないはずだったのですが、突然妻が、友達の影響で「私、ヒキタさんのこどもに会いたい」と言い出すのです。愛する妻の願い。まずは基礎体温を計り、この日ならと子作りに励むのですが、その徴候すらありません。クリニックの検診では、どうやら原因はヒキタさんにあるようで……。原作はヒキタクニオさんの自伝的エッセイ。物書きのヒキタさんを演じる松重豊さんが、髪の毛をごま塩にし、ふだん着の気楽な雰囲気で演じています。サウナとビールが好き。何冊かの著書もあり、ま、のんきな暮らし。それが妊活に励むことになり、えっなに?「精子運動率が低い」って、どういうこと!? 松重さんは映画初主演。妻役は北川景子さんです。タイトルからしてハッピーエンドを宣言している、ハッピーな映画です。『“樹木希林”を生きる』観始めは「面白い人だな」、だったのが、「すごい人」に変わり、最後は「とんでもなくすごい人」になりました。樹木希林恐るべし。昨年他界した希林さんの最後に長期密着取材したドキュメンタリー。NHKで放送されたものを元に、未公開映像を加え再編集された映画です。資料に「ディレクターを家まで自家用車で迎えに行き、撮影現場までの間、自ら運転し語り続ける」とあり、えーまさか、と思いましたが、驚きました。希林さんが本当に、自分の車で木寺一孝監督を迎えに行って、運転しながら語るのです。監督はそれを助手席から撮影し続けます。2017年、希林さんに密着したいというオファーに、『モリのいる場所』『万引き家族』『日日是好日』『命みじかし、恋せよ乙女』の4本の撮影現場に同行すれば何とかなるでしょうとOKがでます。希林さんのつけた条件は、監督が一人でカメラを回し、わたしと向き合うこと、でした。ライトだの、助手だの大げさなのはいや、というわけです。それがとんでもない撮影、映像になりました。このところ、残された言葉をもとにした著書は何冊も出版され、なかには100万部を越えたものもあるといいます。わかるような気がします。大変魅力的な女優さん、とほうもない人物です。
2019年09月30日前作『イタリアは呼んでいる』が日本でも大ヒットとなった、スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンがグルメ取材の旅に出る人気シリーズ待望の新作『スぺインは呼んでいる』の公開が決定。併せて、日本版予告映像が解禁となった。今回解禁された予告編では、子育て疲れからスペインへのグルメ取材の誘いに首を縦に振るロブと、気持ちだけは前向きだが船酔いで具合の悪いスティーヴの相変わらずの凸凹コンビのやり取りから始まる。スペインで「人生を肯定するバター」などと言わしめる極上料理やワインに舌鼓する2人。マーロン・ブランドやデヴィッド・ボウイをはじめ、ミック・ジャガー、マイケル・ケインのモノマネをする楽しそうな姿も垣間見える。「50代はあらゆる点で最高の年頃」と充実感に浸っているかのように見えた2人だったが、恋人との距離感や離れて暮らす息子のこと、まだまだ若いと思っていた自分がおじいちゃんになることなど、中年男性ならではの悩みがちらほらと顔を出し始める。5泊6日の旅を終える頃、スティーヴはある決断をロブに伝えるのだが…。人生の岐路に立つ中年男性が、旅の終わりに気づく本当に大切なものとは?カミーノ・デ・サンティアゴの巡礼ルートや世界遺産の街クエンカ、イスラム文化の色濃く残るグラナダなど一度は訪れたい観光名所も随所に映し出され、2人と一緒に旅した気分になれる予告映像となっている。コメディタッチでありながらスペインに関する細やかな知識で、観る者の知的好奇心を刺激し楽しませてくれる2人の珍道中。実生活でも親しい彼らから繰り出される、アドリブだらけのウィットに富んだ会話は必見だ。『スペインは呼んでいる』は11月8日(金)よりBunkamura ル・シネマにて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年09月26日おとな向け映画ガイドオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/9/23(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は22本。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『任侠学園』。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が多くて21本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン…』を使ったタイトルはこれが元祖。1968年に『ウエスタン』という邦題で公開されたイタリア製西部劇の傑作です。クエンティン・タランティーノはこの映画を見て映画監督になろうと思ったそうで、新作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、まさにこの映画タイトルの引用です。今回、50年の時を経て、オリジナル版が日本初上映されます。どこをとってもカッコいいんです。荒野の駅に到着する汽車、待ち受けるロングコートの男三人、どこからともなく現れた謎のガンマンとの銃撃戦……。冒頭からひきこまれます。小さなハーモニカを持つガンマンはチャールズ・ブロンソン。なんと、アメリカの良心のようなヘンリー・フォンダが悪役で出演しています。ほかに、ジェイソン・ロバーズ、ジャック・イーラムと渋い役者が並び、イタリアン・ビューティ、クラウディア・カルディナーレが花を添えます。流れる哀愁のメロディーはエンニオ・モリコーネ。アメリカの西部劇が下火となり、それを受け継いだ形で、イタリアの「マカロニ・ウエスタン(英米伊での呼称はスパゲッティ・ウエスタン)」が世界的にブームとなりました。その代表的な監督、セルジオ・レオーネが、これまでの用心棒ものから西部開拓物語といえる大叙事詩に作風を変えた野心作です。アメリカの西部劇役者を多く起用しただけでなく、撮影も行われ、『駅馬車』でおなじみのモニュメントバレーも登場します。68年といえば、サム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』が発表されたのもこの年。『明日に向って撃て!』が翌69年。消えゆく西部劇を惜しむかのような作品が続きます。そういう流れの中で作られた映画。大いなる西部への挽歌をイタリア人監督が作り、さらに50年後、アメリカ人であるタランティーノがこの作品にオマージュを捧げているということも面白いです。『エセルとアーネスト ふたりの物語』『さむがりやのサンタ』『スノーマン』『風が吹くとき』といった名作絵本の作者、レイモンド・ブリッグズが自身の父母について描いた物語をアニメ映画にしています。あの絵本同様、なんともあったかくて、イギリス人ならずとも懐かしく感じる、ささやかな家族のお話です。1928年のロンドン、お金持ちの家のメイドをしていたエセルと、牛乳配達を仕事にするアーネストの出会い、結婚、出産、そして戦争、戦後の混乱や子供の成長……。その暮らしぶりが、手描きのアニメーションで丹念に表現されています。息子のブリッグズは1934年生まれ。ジョン・レノンやポール・マッカートニー(エンディング曲を担当)よりは少し年上ですが、50〜60年代、髪を長くし、世の中に反抗したイギリス「怒れる若者たち」の世代です。両親が希望する通りの人生を歩む訳ではありません。親子の世代間ギャップはありますし、この時代、電化や通信の変化も劇的です。でも変わらないのは日々の暮らしと家族への思いやりの気持ちです。イギリス公開時のキャッチフレーズは「40年、1つの愛、数えきれない紅茶」だったそうです。紅茶は変わらない日常の象徴。そういう普通の人たちの20世紀の歴史です。『パリに見出されたピアニスト』パリ、北駅。乗降客が自由に弾けるよう設置されたピアノで、バッハを無心に弾く若者の姿から物語が始まります。クラシックには縁のなさそうな格好の彼の演奏に足を止めたのが、パリ音楽学院のディレクター。天才を発見した、と思ったのです……。若者の名はマチュー。郊外の貧しい家庭に育ち、友達もワルばかり。そんな彼がピアノを弾けるのには、ある理由があったのです。最近はこういうの、たいてい「実話に基づく」なのですが、この作品はオリジナル脚本。貧困な家庭に育った若者が、ピアノコンクールの優勝を目指す、という、王道ではありますが、実によくできたサクセスストーリーです。セーヌ川、サン・マルタン運河、ノートルダム大聖堂など、パリ各地でロケをした映像。演奏される曲は、リスト、ショパン、そしてラフマニノフの作品。クラシックファンならずとも楽しめます。マチューを演じるジュール・ベンシェトリが、名優ジャン=ルイ・トランティニャンの孫だというのはフランス映画ファンにとっては、へーっの話題では。『春画と日本人』文化記録映画として作られた作品ですが、劇場公開されます。2015年に開催された、日本で初めての大規模な春画の展覧会、「春画展」の内幕を描いています。もともとは2013年に大英博物館で大成功を収めた企画、その日本巡回展として考えられていたのですが、東京国立博物館をはじめ、20以上の美術館、博物館に断られ、細川家18代当主の細川護煕さんが館長をつとめる永青文庫が引き受けたいきさつなどが関係者の証言で明らかになります。なかには、さる高名な博物館関係者のように、イギリスの展覧会のことを褒め称え、自腹でも行きたいというのですが、「では日本展をお宅の館で」ともちかけると、モニャモニャと腰砕けになる、といった風に、本音と建前がちがう日本の現実が浮き彫りになります。無修正の浮世絵「春画」が、地道な出版活動の積み重ねをへて、いまや堂々と書店で売られるようになったことや、普通のアートとは微妙に異なる図書館での春画の扱いなど、興味深い内容ばかりです。展覧会は18歳未満は入場禁止でした。展示を振り返っての関係者のコメント「ひとりの逮捕者もださずによかった」というのが、まさに本音でしょうね。あ、この映画も無修正の春画がでますので、18歳未満は入場禁止です。文京区の小さな博物館、永青文庫には異例の21万もの人が訪れました。私もこの展覧会に行き、感動した一人です。その時手に入れた600ページ以上におよぶ貴重な図録は家宝と思っています。文:ぴあ編集部 坂口英明
2019年09月23日おとな向け映画ガイドオススメはこの3作品と新文芸坐の鈴木英夫監督特集。ぴあ編集部 坂口英明19/9/16(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は21本。とても多い週です。全国100スクリーン以上で拡大上映される『アド・アストラ』『HELLO WORLD』『アナベル 死霊博物館』の3本と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される18本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アド・アストラ』やっぱり、こういう映画は、映画館の大画面で観ると最高です。ブラッド・ピット主演・製作のSF大作です。『スター・ウォーズ』を始めとしたスペースオペラや、ホラーの味付けをしたものとは異なり、科学的なリサーチを徹底し、リアリティを重視した作品です。とはいえ、エンタテインメントとして、面白いストーリー、わくわくする展開、ちょっと考えさせられる内容もほしい。そういう期待にも充分答えてくれます。近未来。地球上で大規模火災や事故が頻発。海王星周辺から発信される電流が原因とわかります。この時代は、月はもちろん、太陽系で人間の移動があたりまえになっているのですが、海王星はさすがに遠く、謎めいています。地球を滅ぼしかねない怪電流に、16年前に消息をたった探査船の船長が生存し、関係をしているかも、という極秘情報があり、「アメリカ宇宙軍」の命令で、その船長の実の息子で現役の宇宙飛行士が、父を探しに宇宙に飛び立ちます。英雄であり崇拝もしていたが実は家族には冷たかった父。果たして生きているのか、そして本当に邪悪な存在になってしまったのか……そんなストーリー。主演がブラピ、父親役はトミー・リー・ジョーンズです。どのくらいの未来なのかはわかりません。映画のディテールで想像するしかありません。それを考えるのも楽しいことです。宇宙服は逆に懐古的で、月旅行ロケットには客室乗務員がいますし、着いた月のターミナルは安っぽい地球の普通の空港のようです。いろいろツッコミどころもないわけではありませんが、そのあたりも面白いんです。プレス用資料でちらっと触れられていますが、『地獄の黙示録』を私も連想しました。エンドタイトルもあの映画と関係ありそうで……。親しい人と観終わって、あれこれ話したくなる映画です。『葬式の名人』このところ絶好調の前田敦子さん主演作です。大阪の茨木市がスポンサーになって作られた映画。当地で青春時代を過ごした川端康成の、初期小説に想を得ています。高校卒業から10年、突然届いた同級生の訃報で級友たちが集まります。葬儀場のトラブルでもめている間、思い出話の勢いで、野球部のピッチャーだった故人を偲び、母校まで棺を担いでいくことになります。話はもりあがり、お通夜はこちらで行うことになるのですが……。その高校が川端の母校でもある茨木高校です。前田さんの役どころは、同校の卒業生で、シングルマザー。同級生役で高良健吾も出演しています。話のなかにインサートされる青春時代のエピソード、謎のできごと、謎の登場人物、明かされる新事実など。ミステリアスで楽しめる一夜の青春ファンタジー映画です。ゲストスターが多彩です。まず、伝説の女優・有馬稲子、謎の役どころです。他に、僧侶役で栗塚旭、やくざの親分役で中島貞夫監督と京都時代劇の斬られ役者の福本清三がカメオ出演するなど、映画ファンにはうれしいキャスティングもいろいろ。びっくりしたのは上方落語の人気者、桂雀々。伊丹十三監督の『お葬式』で、江戸家猫八が演じた葬儀屋を完コピしています。映画評論家でもある樋口尚文監督の遊び、というか伊丹監督へのオマージュが粋です。『アルツハイマーと僕 〜グレン・キャンベル 音楽の奇跡〜』この作品、マジに感動します。アルツハイマーを患ったカントリー歌手グレン・キャンベルの、最後のコンサートツアーを収めたドキュメンタリーです。キャンベルは60〜70年代に活躍、『ジェントル・オン・マイ・マインド』『恋はフェニックス』『ラインストーン・カウボーイ』などの大ヒット曲を持つ、アメリカを代表する歌手のひとりです。2011年にアルツハイマー病であると発表、その病をおして、2年間で151回ものコンサートで全米を回ります。愛妻と、3人の子供を含むバックバンドとのツアーです。いつもにこやかに笑っています。もう子供の名前も思い出せない。いま、どこにいるのか、も実はあいまい。でもすごいですね。「ハロー!ニューヨーク!」とか、ご当地の地名もいれてコンサートのMCも立派にこなしていきます。体にメロディーが染み込んでいるのでしょう。かつてザ・ビーチボーイズの奏者として参加したこともある、ギターのストロークは確かです。一度、歌が止まったシーンがあります。歌詞を映し出すプロンプターが故障してしまうとお手上げです。歌詞は覚えていないのです。「2回歌いたいんなら歌って」「間違ったって全然かまわない」、温かいファンたちは、もう観られるのは最後、と覚悟しています。どこも満員の盛況です。ツアーの途中、2012年2月にはグラミー賞の特別功労賞生涯業績賞を受賞します。歌い終わり、スタンディングオベーションのあと、ポール・マッカートニーが興奮の面持ちで声をかけます。他にもブルース・スプリングスティーン、シェリル・クロウ、ジ・エッジ(U2)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)など多くのミュージシャンが賛辞をよせています。2012年11月、ツアーを終え、最後のレコーディングに臨みます。バックは、あの伝説のスタジオ・ミュージシャングループ、レッキング・クルーです。映画はここまで。グレン・キャンベルはそれから5年後、17年8月8日に亡くなります。享年81歳。なんという人生!特集上映、映画祭では。「精緻と克明 鈴木英夫の手腕」池袋・新文芸坐(9/20〜30)「精緻と克明 鈴木英夫の手腕」池袋・新文芸坐(9/20〜30)鈴木英夫監督は、現役を退いてだいぶ経ってから評価された映画監督です。三軒茶屋の西友(元ams)のなかに、かつてスタジオamsというスペースがあって、「1994年にここで、鈴木英夫特集を組んだのが、現在の鈴木英夫評価のきっかけでしょう」(川本三郎共著『日本映画 隠れた名作』)。ここに通った映画好きが、鈴木英夫を広めていったのです。その後も作品は、特集上映などでよくかかるようになりました。私も名画座で『非情都市』などを観て、すごい監督がいるなと思ったものです。今回は久しぶりの監督特集。代表作『その場所に女ありて』や、丹波哲郎主演で、戦後の人気ストリッパー、ジプシー・ローズが出演している『殺人容疑者』など、10本が上映されます。ぴあアプリの人気企画、水先案内では、居酒屋評論家の太田和彦さんが「待ってました!の鈴木英夫特集はすべて観る価値あり」と書いています。これは通わねば。
2019年09月16日おとな向け映画ガイドオススメはこの3作品と名画座の小沢昭一特集。ぴあ編集部 坂口英明19/9/9(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は15本。全国200スクリーン規模で拡大上映される『 記憶にございません!』『人間失格 太宰治と3人の女たち』『僕のワンダフル・ジャーニー』の3本と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される12本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『サウナのあるところ』フィンランド人はサウナがお好きです。何しろ「サウナ」という言葉はフィンランド語。人口550万人の国なのに約300万個あるというから驚きます。これは、サウナとフィンランドの男たちについてのドキュメンタリーです。ある調査で、フィンランド人が自分を表す形容詞を8つ選ぶとしたら、という問いに、誠実、恥ずかしがり屋、時間を守る、率直、正直、控えめ、ゆっくり、信頼できる、を選んだといいます。この映画にでてくるフィンランド人もみな、そんな雰囲気のひとばかりです。まるで、アキ・カウリスマキ監督作品の登場人物みたいです。フィンランドのさまざまな世代の男たちに、その人生を、彼らのお気に入りのサウナで語ってもらったら……というのが監督の発想です。サウナに入り、熱したサウナストーンに水をかけ、蒸気を発生させ、白樺の小枝を重ねたヴィヒタで体を叩き、ビールを飲む。木のベンチに腰をかけ、汗のでるのにまかせます。やがて、ひとりがゆっくりと口を開きます。自分の過去、死んだ仲間、家族、パートナーのこと……。横に座った友人たちはじっと聞きいり、ときどき、思い出したように相槌をうちます。でてくるサウナもつい笑ってしまうほどさまざまな種類があります。トレーラーハウスや廃車の自動車、電話ボックスを改造したものまで。クリスマスにはサンタのおじさんもサウナに勢揃いです。フィンランドでは1年以上ロングランするヒットとなった、2010年の映画です。こういう、少したそがれた感じの、やさしい映画も時にはよいと思います。こんなに多くの無防備な「おちんちん」がでてくる映画は初めてです。どこか哀愁を感じる風情すらあります。『ある船頭の話』オダギリジョーの初長編監督作品です。役者として、日本はもちろん、東アジアの巨匠たちとの現場も多いだけに、どんな作品になるのか、楽しみにしていました。予想外の題材に驚かされましたが、「便利なものが増えていく一方で、消えていく美しいものや大切な何か」というテーマで10年前に執筆したという彼のオリジナル脚本。役者、撮影、音楽などにもこれまでの人脈が活かされ、オダギリジョーの集大成のような作品です。やられました。明治から大正にかけて、日本のどこか、山あいの村(撮影は新潟の阿賀野川沿い)。川の渡しで船頭をする老人の物語です。まず、映像が素晴らしい。ゆったりとした時間が流れ、一艘の船だけが川面を静かに渡っていきます。まるで中国の山水画の世界です。撮影はクリストファー・ドイル。香港の巨匠、ウォン・カーウァイとのコンビで知られる世界トップクラスの腕です。近くに橋が作られ、船頭の仕事はまもなくなくなります。時代に抗うわけでなく、ひとり自分の仕事を淡々と続ける老船頭を演じるのは柄本明。渡し船に乗る村人や通りすがりの人々との言葉少ない会話で、映画が進みます。橋爪功、浅野忠信、村上虹郎、蒼井優、草笛光子……猟師父子を演じたの細野晴臣と永瀬正敏。いくつものエピソードが綴られます。これらの登場人物たちの姿もまた、懐かしく、日本の大切な原風景のようです。『プライベート・ウォー』2012年に他界した戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの半生を描いた映画です。ぴあアプリの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、池上さんは「(彼女のことを知ったのは)優秀な外国人記者に与えられる“英国プレス賞”の授賞式に黒い眼帯をして登場してからです。戦場取材で左目を失いながらも戦場取材を続ける彼女。これほどまでにジャーナリスト魂に溢れる記者がいることに驚嘆しました」といっています。トレードマークになった眼帯はスリランカ内戦を取材中にロケット弾に被弾し、左目の視力を失ってからつけ出したものです。事故後は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩むことにもなります。それでも戦場あるところに飛びこんでいくアイパッチの勇猛果敢なジャーナリストという姿は実に迫力があります。演じているのはロザムンド・パイク。『ゴーン・ガール』の妻役が印象的でした。映画は、2002年シリアで、孤立したホムス地区に乗り込んだメリーまでを描いています。政府軍の砲弾に倒れる前に送った最後の記事は「ここは、砲弾と銃撃戦の音がこだまする冷気と飢えの街だ。人々のくちびるは、こう問いかけている。“私たちは世界から見捨てられてしまったのか?”」というものでした。特集上映、映画祭では。「生誕90年記念 昭和の怪優 小沢昭一のすゝめ」神保町シアター(9/7-10/4)「生誕90年記念 昭和の怪優 小沢昭一のすゝめ」神保町シアター(9/7-10/4)チラシの大きな写真は『「エロ事師たち」より 人類学入門』、ブルーフィルムの制作から売春斡旋まで、エロならなんでも商売にする「エロ事師」を描いた今村昌平監督作品。この作品のような怪しげな人物、胡散臭い、情けない、そんな人間臭い役が小沢昭一さんのおはこでした。この特集では、大学8年生の主人公が親の反対を押し切って子連れの女性と結婚する『お父ちゃんは大学生』や、競輪場で説教をしながら予想を売る怪僧を演じた『競輪上人行状記』など、珍しい主演作も多く上映します。中でも、この機会にぜひ観たいのは『「経営学入門」より ネオン太平記』。小沢さんは大阪の大衆キャバレーの支配人役なのですが、他の出演者がすごい。西村晃、三國連太郎、北村和夫、そして着物姿でゲイボーイを演じているのが渥美清、加藤武も小指をたてた「オネエ役」。まさに昭和の怪優勢揃いです。
2019年09月09日北海道最大級の滞在型リゾート〔星野リゾートトマム〕から、鮭尽くしの宿泊プラン「鮭旅(しゃけたび)」が登場!お部屋からお料理、アクティビティなど「鮭旅」でしか味わえない特別なプランは必見です。2019年9月1日(日)〜10月31日(木)までの期間限定ですよ!鮭の魅力を存分に堪能できる「鮭旅」〔星野リゾートトマム〕から期間限定で登場する、宿泊プラン「鮭旅」。北海道は、国内有数の漁獲量を誇る鮭の産地。そんな北海道で、鮭の魅力を感じて欲しいという思いから実現した特別なプランです。鮭になった気分を味わえる(⁉︎)特別な体験が用意されていますよ。さっそく、「鮭旅」ならではの注目ポイントを詳しく見ていきましょう!鮭がたっぷり「鮭ルーム」宿泊するお部屋は、鮭の姿や切り身をモチーフとしたインテリアがたくさん設えられている「鮭ルーム」!ベッドルームは、さながら鮭の川流れ。ブルーのカーペットで川を泳ぐ鮭が表現されています。そして、ベッドボードには、鮭を狙うクマの姿も!鮭になった気分を味わえるこだわりがいっぱいの空間です。お部屋の中にはマグカップやバスタオルなど、かわいらしい鮭グッズがたくさん!オレンジ色のパジャマを着て、鮭になった気分でゆったり過ごせます。そしてご覧ください、このお風呂場!鮭ルームに設置されたバスルームでは、いくら丼をイメージしたお風呂を楽しめるのです。用意された入浴剤を入れると泡が立ち、ご飯のような見た目になるのだそう。プチプチのいくらを模したボールがところ狭しと浮かんでいる様子は、「鮭旅」ならでは。至る所に鮭、そして鮭。極上の「鮭体験」があなたを待っています……!ごはんもやっぱり鮭・鮭・鮭!鮭の豪華ディナーメニューメインの「鮭フィレの塩釜焼」朝食「究極の鮭茶漬け」気になるご飯もやっぱり鮭尽くし!鮭のさまざまな部位を使ったコース料理や、こだわりの食材を堪能できる朝食など、旬の鮭をたっぷり満喫できるぜいたくなお料理ばかりです。これぞ「鮭旅」!特別なアクティビティ体験も♪「鮭旅」でしか体験できないアクティビティもご紹介。リゾート内のプール「ミナミナビーチ」では、鮭がデザインされたボードで水上スポーツを楽しめます。鮭が川を遡上するような気分を味わえるかも……⁉︎また、オプションですが、鮭の燻製作りができる体験など、トマムの大自然を感じられるアクティビティも魅力的です。「鮭旅」で鮭を満喫しよう♪今回は、〔星野リゾートトマム〕の期間限定プラン「鮭旅」をご紹介しました。鮭を存分に感じ、滞在を満喫できる特別な体験は「鮭旅」ならではですね!詳細は、公式サイトをぜひチェックしてみてくださいね♪施設名:星野リゾートトマム住所:北海道勇払郡占冠村中トマム期間:2019年9月1日(日)〜10月31日(木)チェックインまで料金:1泊39,100円(税別)〜※2名1室利用時、1名あたり。夕朝食付。定員:1日1組限定(1組は2名まで)※掲載している情報は2019年8月時点のものです。〔星野リゾート トマム〕の詳細はこちらから♪
2019年09月06日おとな向け映画ガイド今週のオススメは、この3作品。「ぴあフィルムフェスティバル」へもぜひ。ぴあ編集部 坂口英明19/9/2(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は22本。とても多い週です。全国200スクリーン規模で拡大上映される『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される21本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ラスト・ムービースター』かつてクリント・イーストウッドと人気を二分したアクションスター、バート・レイノルズを覚えていますか? 1978年から82年にかけて、マネーメイキング・スターのトップでした。昨年8月にこの世を去ったレイノルズが、2017年、生涯最後に出演した作品。これがなんとも素敵な、泣かせる映画です。主人公は、いまや忘れられた、伝説のスター。孤独な老人です。その彼に「国際ナッシュビル映画祭」という地方映画祭から、特別功労賞を贈りたいという招待状が届きます。つい誘いにのって、ナッシュビルまででかけます。ところが、この映画祭、映画オタクのマニアたちが企画した超マイナーな手作り催事で……。自虐ネタとしか思えないストーリー。よくこういう役を頼み、そして受けたなと、製作者にもレイノルズにも驚嘆します。劇中、『トランザム7000』や『脱出』の映像も引用されますし、雑誌『コスモポリタン』で発表されて話題になった男性ヌードも使われます。役名こそ、ヴィック・エドワーズですが、レイノルズそのものです。しみじみとした映画、素晴らしいオマージュ。こんな遺作は初めて観ました。『SHADOW/影武者』マット・デイモンが万里の長城で、CGで作られた無数の怪物と戦う、『グレートウォール』を観たときは、ああ、チャン・イーモウは終わったな、と正直思いました。が、この作品はどうでしょう。見事な復活、といっていいと思います。数あるフィルモグラフィーのなかでは、『HERO』『LOVERS』の系譜。戦国時代を舞台にした武侠アクションです。時は『三国志』の頃。ある小国の都督(軍司令官)とその影武者による、隣国に奪われた領地の奪還作戦がテーマ。病に伏した都督が、影武者を使って国政を操り、隣国との開戦に挑みます。都督と影武者はダン・チャオの一人二役です。ずっと降り続く雨。頻出する陰と陽のシンボル、白と黒の太極図。カラーなのですが、色味を極力おさえた水墨画の世界は、ちょっとやりすぎなくらいで、これこそチャン・イーモウです。つまりはそれらが、テーマである影武者の暗喩。影武者を描くために用意した見事な舞台装置です。戦いは刀と弓矢が中心ですが、やはり「けれん」が売りの監督、雨傘のような新兵器を登場させます。生地の部分が刃という雨傘を持った部隊が、くるくる回して、敵の剣をかわしながら倒していきます。極力VFXを避け、セットやアクション、衣装などほとんどが手作りで製作されたといいます。『帰れない二人』チャン・イーモウが旧世代の代表とすれば、現代の中国の巨匠はジャ・ジャンクー。国内で商業的に大成功しているわけではありませんが、世界の映画祭では常に注目の的です。ジャ・ジャンクーの映画のヒロインはいつも、チャオ・タオが演じています。もちろんこの作品も彼女が主演。役名もチャオです。そのチャオとやくざ者の恋人ビンの、17年におよぶ愛の物語と、21世紀の中国を重ね合わせたジャ・ジャンクーらしい叙事詩のような映画です。チャオ・タオはインタビューで「人生で初めて銃を撃ちました。銃の音が鳴り響くのを聞きながら、チャオの青春は終わったのだと自分に言い聞かせていました」。このシーン、とても印象に残ります。特集上映、映画祭では。「第41回ぴあフィルムフェスティバル」国立映画アーカイブ(9/7〜21)「第41回ぴあフィルムフェスティバル」国立映画アーカイブ(9/7〜21)今年のPFFはもりだくさんです。その中から「招待作品部門」をご紹介しましょう。上映作品は長短編をあわせて40本。7つのプログラムに分かれています。いずれも凝った内容なのでご期待ください。まず、特別先行上映されるのは、劇場版『ガンダム GのレコンギスタⅠ』。あの富野由悠季総監督がトークゲストです。「凄すぎる人たち」というプログラムの「カッコいい女編」では、在宅医療の終末治療に取り組むチームを描いた『おみおくり〜Sending Off〜』、ベイルートが舞台の映画をテーマにした『昔々ベイルートで』、マフィアを撮り続ける女性写真家を追う『シューティング・マフィア』など、凄い女性たちの映画を上映。「諦めない男編」では、フリードキンの『恐怖の報酬』、不条理な恐怖を描く『変態村』、小林正樹の『東京裁判』、セルジオ・コルブッチの『殺しが静かにやって来る』など、異色作ばかりです。デビュー作を集めた「巨匠たちのファーストステップPart4」というプログラムでは、ヤン・イクチュン『息もできない』、ジャ・ジャンクー『一瞬の夢』、ヴィスコンティ『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、ルイ・マル『死刑台のエレベーター」、バリー・ジェンキンス『メランコリーの妙薬』、ジャック・ドゥミ『ローラ』、ライアン・クーグラー『フルートベール駅で』、レオス・カラックス『ボーイ・ミーツ・ガール』。巨匠のデビュー作、新旧様々なかなかのチョイスです。ブラック映画とブラック音楽にこだわった「ブラック&ブラック」というプログラムもあります。『私はあなたのニグロではない』や、ピーター・バラカンさんがトークゲストの『真夏の夜のジャズ』、DJ YANATAKEのトークがつく『DOPE/ドープ!!』を上映。他に。PFFスペシャル講座では、今年も原恵一監督、橋口亮輔監督の対談「天才・木下惠介は知っている」と『日本の悲劇』の上映。「カンヌ映画祭批評家週間って何?」では、批評家週間出品の『典座』と短編コンペ作品を上映。フランス在住のプロデューサーで、6月に急逝した吉武美知子さんの追悼企画もあり、黒沢清監督が登壇し『ダゲレオタイプの女』を、諏訪敦彦監督と『ライオンは今夜死ぬ』、堀越謙三プロデューサーと『TOKYO!』といったゆかりの作品を上映し、ゆかりの人が故人を偲びます。
2019年09月02日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、この4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/8/30(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は14本。全国で拡大上映される『引っ越し大名!』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』と、ミニシアターなどで上映の11本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』ぴあ(アプリ版)の名物企画「水先案内」で、エンタメ目利きのプロ、過去最多の11人が推している映画。鬼才クエンティン・タランティーノの新作です。皆さん絶賛の理由は3つ。まず、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピッドという超ビッグな俳優の初共演。ディカプリオはやや人気にかげりのあるTVのアクションスター、ブラピは彼と仲のいいスタントマンという役どころ。つぎに、1969年8月のハリウッド、という時代と場所の面白さ。スティーブ・マックイーンやブルース・リーなどの当時のスター、映画スタジオ、映画館、街の風景の細かいところまで再現していて、これが映画ファンにとっては、たまりません。そして、シャロン・テート事件の描かれ方。私もこの結末には驚きました。これら全てを、映画オタクのタランティーノがいかに凝って作り上げたか、が最大の魅力です。上映時間が2時間41分と相変わらず長いのですが、あれもこれも好き放題入れたせいで。逆にそれが高評価の理由にもなっています。『やっぱり契約破棄していいですか!?』やっぱりイギリスはブラック・ユーモアが冴える国です。ノルマに追われる殺し屋なんて、かつて「どうも雑用が多くて、いけねえ」とつぶやいた、われらが宍戸錠さん以来のおかしさです。現代のロンドン。この映画に登場する殺し屋は、英国暗殺組合のベテラン会員なのですが、課せられたノルマの達成が困難になってきた今日このごろ。未達だと「卒業」せざるをえません。そこで考えついたのが、自殺の名所に行き、自殺志願者に声をかけ、その手伝いとして殺人契約を結び、目標を達成しようというアイデア。夜のチェルシー橋で、身投げをしようとする若者を見つけ、やっと契約にこぎつけます。若者は小説家志望だが人生に絶望、実に7回も自殺に失敗していたのです。にもかかわらず、この殺し屋と契約を交わしたとたん、運命が開けてきて、タイトルのようなことになってしまい……。クールな殺し屋なんだけれど、定年間際のサラリーマン家庭のような日常、組合活動とか、研修も受けなきゃいけないし、雑用も多い。そのへんのギャップと、老いと若きの人生を賭けたドタバタがなんとも楽しいコメディです。『ガーンジー島の読書会の秘密』第2次世界大戦中、イギリス海峡に浮かぶガーンジー島は、イギリスで唯一、ドイツの占領下にありました。家畜を没収され、外出にも制限が加えられたこの島で、住民は、密かに読書会を開いていたのです。戦後、この読書会の存在を知ったロンドンの作家が、彼らを取材し、『タイムズ』に記事を書こうと、島へ渡るのですが……。戦争中にこの島で何がおきたのか? それを探る作家を演じるのはディズニー『シンデレラ』の主演、リリー・ジェームズ。彼女を探偵にしたロマンティック・ミステリーです。アメリカ人の裕福な恋人がいる彼女、読書会をめぐるいくつかの人間ドラマに接し、魅力的な人たちに出会うことで、気持ちに微妙な変化が出始めます。そして思わぬ展開が。当時のファッションや、時代背景の描写、緑豊かな島ののどかな暮らしなど、アンティーク感も楽しめます。イギリスではおなじみの「フッシャーマンズセーター」、その元祖ともいえる「ガンジーセーター」はこの島から生まれたそうです。『おしえて!ドクター・ルース』日本では知名度の低い人物ですが、アメリカにおいてはニューヨーク・タイムズに誕生日を祝う記事が載るほどの有名人。こういう人がいるんだ、と感動し、元気になれます。アメリカのメディアで活躍する、セックス・セラピスト、ドクター・ルースを描いたドキュメンタリーです。90歳でエネルギッシュに世界を駆け回る彼女。話題になったのは1980年代のラジオ出演から。ニューヨークの独立局で始まった日曜深夜のトーク番組が、密かな人気を博しました。誰もが知りたいけれど、話すのをためらう、性の悩み。ルースおばさんが、ストレート、かつリアルな言葉でわかりやすく解決してくれたのです。ついに84年には全国ネットのテレビ番組に進出。140センチと小柄で、実に愛嬌のあるひょうきんな顔。テレビで人気になるのもうなずけます。実はドイツ生まれのユダヤ人。波乱万丈とはこのこと。ホロコーストで家族を失い、イスラエルからアメリカへ流浪の人生を送ったつらい過去があります。パレスチナ時代に一時ついた仕事にも、驚きます。詳しくは、是非、映画館で。特集上映では。「獅子文六 ハイカラ日和」(ラピュタ阿佐ヶ谷) 9/1〜11/30「獅子文六 ハイカラ日和」(ラピュタ阿佐ヶ谷) 9/1〜11/30本屋さんの文庫本コーナーで、最近見かける小説家、獅子文六。戦後まもない頃のベストセラー作家で、作品はユーモア小説とよばれています。これがなぜかいま受けて、シリーズ累計25万部突破、だそうです。そういう人気作家ですから、当時絶頂期だった映画界も目をつけ、映画化された作品も多いのです。そんな獅子文六原作の、1950年代から60年代初頭に発表された14本が上映されます。株屋の「ギューちゃん」を加東大介が演じた『大番』シリーズ4作。松竹・渋谷実監督の不思議なタイトル『てんやわんや』『やっさもっさ』と『自由学校』。チラシに使われた『特急にっぽん』は川島雄三監督作品で、原作のタイトルは『七時間半』。東京ー大阪を7時間半で結んだ特急こだまの食堂車を舞台にしたコメディです。*編集部からご愛読いただいている「おとな向け週末映画ガイド」は9月から「おとな向け映画ガイド」として、掲載を毎週月曜日に変更させていただきます。次回掲載は、9月2日(月)です。よろしくお願いいたします。
2019年08月30日2019年8月11日(日)、神奈川・箱根 強羅に「箱根ゆとわ」がオープンしました。ミレニアル世代(20~30代前半の若者)をターゲットとした、新しい旅スタイルを提案する新感覚ホテルをご紹介。新しい体験ができる「箱根ゆとわ」「箱根ゆとわ」は「箱根・強羅から始まる新たな旅」をコンセプトに今までの旅スタイルとは違った経験を提案する新感覚のホテルです。気の合う人と「空間」や「体験」を共有(シェア)することがトレンドのミレニアル世代に向けて、ここでしか味わえない「非日常感」を演出してくれます。「箱根ゆとわ」の新しい旅スタイルとは?新しい旅スタイル①今までのホテルにはあまりなかった、大きなパブリックスペースが2つ設けられています。一つ目の「スパラウンジ・ナカニワ」ではウッドデッキに足湯や焚き火炉などがあります。2つ目の「ライブラリーラウンジ」には約700冊もの蔵書があり、ゆったりと時間を過ごすことができます。新しい旅スタイル②客室タイプは「ホテル」と「コンドミニアム」の2種類。少ない人数で「ホテル」タイプに泊まるもよし。大人数や中長期の滞在で「コンドミニアム」タイプに泊まるもよし。様々なシーンで選べる客室がそろっています。新しい旅スタイル③夕・朝食付きのプランはなんと追加料金を気にせず楽しめる「オールインクルーシブ」のサービス。レストランはもちろんアルコールやパブリックスペースの利用やドリンクなどもすべてフリー。好きな人たちと好きな場所で好きなだけ楽しめる、新しいスタイルのホテルです。「箱根 ゆとわ」のパブリックスペース「スパラウンジ・ナカニワ」(西棟2階)ここでは仲間同士で楽しんだり、お風呂上りにゆったりとできる自由なスペースです。温かみのあるウッドデッキには自家源泉の足湯や、焚き火炉(ガス式)があり、昼でも夜でも楽しめるスペースとなっています。また、可動式のオーニングも設置されているので多少の雨でも楽しめます。「ライブラリーラウンジ」(東棟2階)「ライブラリーラウンジ」では人と人との交流が生まれるようにという思いが込められたスペースとなっています。席はテーブル席やカウンター席、ソファ席などがあり過ごし方は人それぞれです。ドリンク片手にお話ししたり、静かにゆったりと読書をしたり。蔵書が700冊あり、様々な本を楽しめるほかにもカードゲームやオセロやピロスなどのボードゲームも用意されているプレイラウンジも併設されているのでいろいろな人たちと交流を図ることができます。また、13種類のフリードリンクが用意されているので好きなだけ楽しむことができます。癒しの浴場&スパ温泉大浴場(西棟2階)大浴場は男性用と女性用が一つずつあります。女性用大浴場は光の演出が独特な見たことない大浴場となっています。まるで芸術作品のようなきれいな光とともにゆったりと過ごしてみては?リラクゼーションサロン(西棟2階)スパラウンジの一角にはリラクゼーションサロンが完備されています。ここではボディケアや足つぼのトリートメントメニューなど、旅の疲れをいやしてくれるサービスが充実しています。新しい癒しのカタチ「箱根 ゆとわ」パブリックスペースやコンドミニアム、オールインクルーシブなど新しいスタイルを存分に取り入れた「箱根 ゆとわ」。利用する人次第で様々な過ごし方ができるので、何回も訪れちゃいそうですね。今までのスタイルにない体験を味わいたい方や体験を共有したい方にとてもおすすめのホテルです。ぜひ、自分だけの癒しのカタチを見つけてくださいね。「箱根 ゆとわ」概要<名称>箱根 ゆとわ<運営>株式会社小田急リゾーツ<開業日>2019年8月11月(日)<所在地>〒250-0408 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-27<電話>TEL 0460-82-0321(受付時間10:00~18:00)<アクセス>【電車】新宿から小田急ロマンスカーで箱根湯本駅下車。箱根湯本駅から箱根登山鉄道強羅駅下車、徒歩約5分。【車】 小田原厚木道路~箱根口ICより国道1号線経由で約25分。<公式HP>スポット情報スポット名:箱根 ゆとわ住所:〒250-0408 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-27電話番号:0460-82-0321(受付時間10:00~18:00)
2019年08月25日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、『ロケットマン』『火口のふたり』など4作品と市川雷蔵映画祭。ぴあ編集部 坂口英明19/8/23(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は15本。全国で拡大上映される『ロケットマン』『二ノ国』『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』と、ミニシアターなどで上映の12本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ロケットマン』ロックのレジェンド、エルトン・ジョンの半生を描いた映画です。彼自身がプロデュースしているのに、普通触れたくない想い出まで、容赦なく取り上げられていて、美化もされていません。まずそれに好感が持てます。さらに、この映画が単なる「伝記映画」でなく、ミュージカル仕立てで、ぶっとんだ作りになっていること。ぶっとんだ人生が、エルトン自身の歌22曲で綴られるのです。エルトンは、常に突飛なスタイルでライブに登場していました。そうか、あの格好のときは、そんなことが背景にあったのか、と精神状態や健康状態がすべてよくわかります。1975年のLA、トルバドールのアメリカデビューなど、ライブシーンも見ものです。声はエルトンで口パク、ではなく、実際に歌ってのけたタロン・エジャトンが素晴らしいです。アニメ映画『SING/シング』のゴリラ君の声で、エルトン・ジョンの『I’m still standing」を歌っていたのが、彼です。『火口のふたり』セックスがテーマの映画、です。近ごろ珍しく真っ向勝負、といった感じで、すがすがしいとすら思えます。登場人物は、男と女、ほとんどふたりです。いとこ、直子の結婚話で秋田の郷里に帰った30がらみのフリーター、賢治。かつて直子とは恋人同士。結婚式の5日前、誘ったのは直子の方でした。青春の日々に戻りたかったのでしょう。一晩だけ、のはずだったのですが…。賢治を演じるのは柄本佑。やや無感動にみえますが、決して投げやりでも捨て鉢でもない、でも、どんどん深みにはまっていく役どころ。『愛のコリーダ』の藤竜也のようです。さらに魅力的なのは、その賢治を無意識のうちに翻弄していく直子役の瀧内公美。はっとする美しい裸体です。ふたりには悲壮感も、罪悪感もありません。世界がどうなろうと知ったこっちゃないという潔さで、最後のそれに、夢中になっていきます。監督はロマンポルノの名作『赫い髪の女』の脚本を手がけた荒井晴彦。青春ラブストーリーの傑作です。R18+ですが。『ディリリとパリの時間旅行』フランスのアニメ作品です。ニューカレドニアからやって来たチャーミングな少女ディリリが、ベル・エポックのパリで、少女誘拐団をめぐる事件に巻き込まれ、街中を駆け回るという冒険物語です。特筆すべき魅力が3つあります。まず、パリの風景が素敵です。石畳を馬車が行き来し、まだ出始めの自動車もちらほら、空には飛行船が飛ぶ。1900年のこの街の名所が次から次へとでてきます。凱旋門、エッフェル塔、オペラ座、コンコルド広場、いくつもの美術館…。ロマンチックな風景は写真を加工して描かれています。つぎに、ディリリが遭遇する、この時代のパリの著名人たちの豪華なこと。アートの世界だけでも、ルノワール、ドガ、ロートレック、ピカソ、モジリアニ、モネ…。ロダンは重要な役で出演です。彼らもセリフをしゃべるキャスト。その人数は100を超えます。探すだけでもとても楽しめます。最後に、ディリリが、実に上品なレディであること。出会う人たちへの敬いと礼儀を忘れず、優雅に振る舞う少女の姿がとても印象的です。『ジョアン・ジルベルトを探して』『イパネマの娘』で知られる、”ボサノヴァの神様”ジョアン・ジルベルトをめぐるドキュメンタリーです。この映画の公開が決まったあと、7月6日にジルベルトの訃報が伝えられ、予期せぬ追悼上映になりました。世の中と関係を絶ち、謎の隠遁生活を送る芸術家に、なんとか接触を試みるというのは、小説家のサリンジャーが有名ですが、ジルベルトも2008年、リオ・デ・ジャネイロのライブ出演を最後に、公の世界から姿を消しています。この映画は、ジルベルトに接触を試み、結局実現できずに世を去ったドイツ人作家マーク・フィッシャーの著書をもとに、フランスのドキュメンタリストが、意思を継ぎ再チャレンジする一部始終です。彼の近況を探る中で、『サマー・サンバ』のマルコス・ヴァーリなど、様々なミュージシャンにもインタビューをしていき、ジョアン・ジルベルトとはどういう存在であったか、そしてボサノヴァがいかに魅力的な音楽であるかも語られます。電話で出前をうけるが実際に会ったことはないというレストンのシェフ、口の固い床屋、インタビュー中にジルベルト本人から電話がかかってきても、紹介すらしてくれない実の妹など、ミステリーのような登場人物や展開があり、さて、どうなるか…。なかなか面白い結末です。特集上映では。「没後五〇年特別企画 市川雷蔵祭」(角川シネマ有楽町) 8/23〜9/26「没後五〇年特別企画 市川雷蔵祭」ここ数年、連続上映されている大映の回顧企画、今回は市川雷蔵作品40本です。注目は、森一生監督、雷蔵の代表作のひとつ『薄桜記』が初の4Kデジタル修復版で上映されること。赤穂浪士にからめた剣士の悲劇。中山安兵衛役で勝新太郎が共演しています。他に『旅はお色気』を含む21本が新規デジタル化作品です。
2019年08月23日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、この4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/8/16(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は13本。全国270スクリーンで拡大上映される『ダンスウィズミー』、100スクリーンで上映される『イソップの思うツボ』と、ミニシアターなどで上映の11本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『鉄道運転士の花束』ブラックな味わいもありますが、浮世ばなれした雰囲気が魅力の、実に心温まるセルビア映画の傑作です。のっけから鉄道の轢死事故で始まります。6人のロマ(ジプシー)の楽団が犠牲者。車ごと跳ね飛ばされます。鉄道運転士は60がらみのベテラン、イリヤ。この映画の主人公です。祖父の代からこの仕事を継いで、住まいは鉄道の官舎。中庭で白い花を大切に栽培し、小さなわんちゃんが同居人。隣に運転士仲間が廃列車を改造して暮らしています。すぐ横を、深夜までバルカン半島を横切る遠距離列車が通過し、鉄道から離れることのない質素な生活です。携帯がでてきますので、時代は現代と思われますが、20世紀後半、といわれても不自然ではありません。鉄道員仲間が集まると、俺は何人殺した、と人身事故の話題ばかり。その恐怖を克服して初めて一人前とか、世間の人が聞いたらヒンシュクものの会話が飛び交います。しかしそれは、笑い飛ばさないとやってはいられないほど、トラウマになっているからです。実はイリヤも、美しい自慢の妻を若い時に列車事故で亡くしています。大事に育てている花は、犠牲者たちへの弔いの花束用でもあるのです。ある日、鉄道自殺をしようとしたみなしごの少年シーマを、すんでのところで救ったイリヤは、実の息子のように育ててゆきます。やがてその息子も鉄道運転士をめざすのですが……。「線路は幸せを運んでくる……ごくたまに」。イリヤが心を許す女友だちの、この言葉がとても印象的でした。人生悪いことばかりではない、そんな作品です。イリヤ役は、バルカンを代表する名優ラザル・リストフスキー。この作品のプロデューサーも兼ねています。監督はベテランの、ミロシュ・ラドヴィッチ。同じバルカン半島出身の監督、エミール・クストリッツァの『オン・ザ・ミルキー・ロード』や、北欧フィンランドのアキ・カウリスマキのテイストも感じられます。『永遠に僕のもの』1970年代初頭のアルゼンチンを震撼させた、連続強盗殺人犯がモデルの物語です。彼は17歳。「黒い天使」とよばれ、まるでマリリン・モンローのような美少年だったそうです。盗みも人を殺すことも、悪事とはみじんも思わず犯罪を重ねていく、そんな若くて、クールで魅惑的な悪党の、ピカレスクロマンです。ひとりで、他人の家に忍び込み、ごくごく自然にレコードをかけ、踊って、軽く盗みもする。最初はほんの遊び心から。やがてクラスメートに同じ肌合いの少年をみつけ、ワル仲間に。この相棒の家族の稼業が泥棒で、不敵なツラをしたオヤジたちと犯行を繰り返しますが、仲間が気後れするくらい、彼の犯行はどんどん大胆、かつど派手になっていきます。主人公と相棒のちょっとした同性愛的な関係描写は、制作にあたったスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル、監督のルイス・オルテガのテイストでしょうか。そのあたりの味付けもなかなか。『朝日のあたる家』や、カンツォーネ『夢みる想い』など、音楽の使われ方も面白く、印象的です。本国アルゼンチンでは2018年最大のヒットとなった作品です。『アートのお値段』アートの世界を、「で、それおいくら?」という金銭感覚中心に描いたドキュメンタリーです。主戦場はサザビーズのNYでのオークション。その準備から競売当日の表裏を追いかけるだけでなく、コレクター、業者、批評家など多くの人々の、アートビジネスに関する証言を加えて構成されています。興味深いのは、現代を代表するアーティストたちの制作現場にもカメラが向けられていること。100人のスタッフをかかえ、大規模な工房で制作をするジェフ・クーンズ、抽象画家ラリー・プーンズの風変わりな日常、価格高騰に直面するナイジェリア生まれのアーティスト、ジデカ・アクーニーリ・クロスビーなど。もちろん美術品の数々も紹介されます。いくらで買って、いくらで売れた、不動産よりも大胆に価格が変わるアート売買で、自分の目利きぶりを自慢するコレクター。「値段は知っていても価値は知らない」と冷やかされますが、1970年代に比べ、100倍のコレクターがいて、1000倍のアーティストが作品を作っている。「まさにいまがバブルだ」といいます。『ダンスウィズミー』突然歌いだしたり、踊りだしたりするの変だと思いませんか?この設定なら必然性があり、ミュージカル・シーンも嘘っぽくない、というのが矢口史靖監督のコンセプト。そうわりきったら、どんな場所でもミュージカルの舞台に。さあ、これで固いこといわず、楽しみましょう。ヒロインの静香(三吉彩花)はたまたま行った遊園地で、老催眠術師に、音楽が聞こえてくると歌いだし、踊ってしまうという術をかけられます。その翌日、会社のプレゼンに音楽が使われていたものですから、オフィスはまるで『ラ・ラ・ランド』のような群舞のシーンに。夜の先輩とのデートはシャンデリアにぶらさがるハリウッド・ミュージカルと化してしまい……。困ったヒロインは、謎の催眠術師を探して日本全国を駆け回ります。旅の途中でも『狙いうち』『夢の中へ』『年下の男の子』『タイムマシンにおねがい』など、懐かしいナンバーが続々登場します。懐かしいといえば、老催眠術師役として出演の宝田明さん。85歳の和製ミュージカルのレジェンドが、歌って踊る大活躍。「ザッツ・エンタテインメント!」です。
2019年08月16日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『カーライル ニューヨークが恋したホテル』『カーマイン・ストリート・ギター』『シークレット・スーパースター』。特集上映では「にっぽんのアツい男たち2」に注目!ぴあ編集部 坂口英明19/8/2(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は11本。全国300スクリーン規模で拡大上映される『ライオン・キング』『ONE PIECE STAMPEDE』と、ミニシアターなどで上映される9本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『カーライル ニューヨークが恋したホテル』ケネディ大統領一家や、イギリスのロイヤルファミリー、ハリウッドセレブが愛してやまない、ニューヨークを代表するホテル。それが「ザ・カーライル」です。インテリア、エクステリア、レストラン、ロビーに飾られた絵画、そしてエンタテインメント、どれをとっても超一流ですが、絢爛豪華ではなく、すべてが洗練されていて、ひとことでいうとエレガント。でも、なによりもこのホテルが愛される理由は、働いている人の魅力、ホスピタリティなんです。これは、そんなホテルマンや常連たちの話を交えたドキュメンタリーです。インタビュアーの興味本位な質問に「それは話せない」「答えられない」と、矜持にあふれたホテルマンたち。しかし許容範囲内で話すエピソードですら魅力的です。ケネディとマリリン・モンローのデートの謎?、ダイアナ妃とスティーブ・ジョブズとマイケル・ジャクソンがエレベーターに乗り合わせたときに何が起こったか?いま彼らの間でいちばんの人気者はジョージ・クルーニーです。それはなぜ?このホテルと最も相性の悪そうな現大統領が来たときの話題もかなり笑えます。ウディ・アレンは、『ハンナとその姉妹』でこのホテルのピアノラウンジを使っています。このラウンジは70年代、ボビー・ショートという芸達者なピアノ弾きの牙城でした。いまもさまざまな心揺さぶるエンターテイナーが出演しています。アレンがここでクラリネットを演奏することも。噂には聞いていましたが、なるほどこれはニューヨークならではのホテル。観ているだけでお洒落な気分になります。『カーマイン・ストリート・ギター』こちらもニューヨークが舞台のドキュメンタリー。グリニッジ・ヴィレッジ、カーマイン・ストリートに実在する、ハンドメイドのエレキギター専門店。その1週間を描いています。店の主人は白髪の物静かな職人リック・ケリー。ニューヨークの古い建造物の廃材をボディに使ってギターを作り続けているのです。街の古い建物で工事があるのを聞きつけると、ケリーが出かけていって、古材を貰い受けます。映画では、1854年創業、NYで一番古いというバー、マクソリーズから出た古材を入手し、ギターにする過程が描かれます。完成品をスマホで撮り、「ハッシュタグ=エールが染み込んでいます」と書いてインスタに上げるのは、若い見習いシンディの仕事です。ちょっと色っぽいチャーミングな女性です。ルー・リードやボブ・ディランなどのミュージシャンも愛用しています。この店のギターのファンで主人を慕う愛好家が毎日立ち寄り、店のギターを手にして演奏したり、雑談をしたり、まるで小さなライブハウスのよう。パティ・スミス・バンドのレニー・ケイ、ウィルコのネルス・クライン、ビル・フリゼール、チャーリー・セクストン、映画監督のジム・ジャームッシュも顔を出します。みんな店のギターを手にして、試しに一曲弾いてみます。終わって、主人とかわす満足そうな笑顔が素敵なんです。『シークレット・スーパースター』インド映画『きっと、うまくいく』をご覧になった皆さんへ。あの主演、アーミル・カーンの映画です。この前の『ダンガル きっと、つよくなる』では、女子レスリングのスパルタ親父を演じていましたが、今回は製作と脇役にまわっています。主役はミュージシャンでの成功を夢見る14歳の少女インシア。父親が暴君で、母へのDVなど日常茶飯事ですから、そんなことを言い出したらどんなことになるかわかりません。で、考え出したのはYouTubeデビュー。イスラムのヴェール、ブルカで顔を覆い、自作自演でアップするとなんとこれが大人気に。メディアは「シークレット・スーパースター」と書きたてます。アーミル・カーンはやや人気に陰りがみえている大物歌手でプロデューサーの役。何度も離婚を繰り返す色男です。でもそれが、彼女を発掘するきっかけとなり、見事売出しに成功、終盤に向けてインド映画らしい、ドラマチックな悲喜劇が展開されます。ムキムキでド派手なプロデューサーと清純な少女歌手のアンバランスさが、また面白いんです。インドの離婚や家庭事情などシリアスな面もみせつつ、全体としては、肩の凝らない痛快エンタテインメントになっています。インドの映画興行史上で『ダンガル…』『バーフバリ 王の凱旋』に続いて第3位の大ヒット作です。特集上映では。「にっぽんのアツい男たち〜無鉄砲野郎の美学」(神保町シアター)8/10〜9/6「にっぽんのアツい男たち〜無鉄砲野郎の美学」(神保町シアター)8/10〜9/6チラシには「アナーキーで無鉄砲、かっこよくて優しい、アツすぎる男たちのドラマチックな映画をお送りします。」とあります。確かに。男騒ぎのする16本、なかなかのチョイスです。先ごろあいついで他界したおふたり、萩原健一と内田裕也の作品も入っています。ショーケン主演では、神代辰巳監督の『アフリカの光』『青春の蹉跌』、市川崑監督『股旅』、五社英雄監督『226』。内田主演作は崔洋一監督の『十階のモスキート』が。アウトローたちがはじける菅原文太『仁義なき戦い』、北野武『ソナチネ』、松田優作『蘇える金狼』、渡瀬恒彦『狂った野獣』、渡哲也『青春の裁き』などなど。60〜70年代の閉塞感をぶっこわすエネルギーにあふれた映画ばかりです。
2019年08月09日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『グッド・ヴァイブレーションズ』『トム・オブ・フィンランド』『あなたの名前を呼べたなら』『風をつかまえた少年』。特集上映では「京マチ子追悼映画祭」に注目!ぴあ編集部 坂口英明19/8/2(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は15本。このうち、全国300スクリーン規模で拡大上映されるのは『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の2本、あとはミニシアターなど小規模での公開とライブビューイングです。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。世界は矛盾と理不尽なことで満ち満ちているけれど、あながち捨てたもんじゃないな、と思える4本です。『グッド・ヴァイブレーションズ』右か左か、バーで政治論争をしていた頃はよかったが、プロテスタントかカトリックか、の争いとなり、やがて店から客が消え、銃弾飛び交う内戦が始まった。そんな北アイルランドの1970年代が舞台です。「戦争の前は、街のホールでストーンズを観た。ディランもジミヘンもフーもアニマルズもキンクスも観た。ベルファストに来たアーティストは全部観た。だけど、いつしか誰も来なくなった」と嘆くひとりの音楽好きが、こんな時こそと思い立ち、テロの標的となってしまった"爆弾横町”と呼ばれる荒れ果てた街の一角に、「グッド・ヴァイブレーションズ」という名のレコード店を開きました。彼はそれがきっかけで地元のパンクバンドにのめり込み、北のパンクのゴッドファーザーとロンドンの雑誌にとりあげられるまでになります。バンドのテレビ出演、戦火の中のツアー敢行、損得は二の次で駆け抜けるのです。そういう実話の映画化です。アイルランド紛争が解決したのはそれから20年くらい後の1998年。その間、主人公のテリーさんは決して大成功を収めませんし、バンドも大スターにはなりません。お店も何度も開閉を繰り返します。でもいいじゃないか、この元気。逆境の中でも夢を追う主人公の、愛すべきキャラと簡単にはメゲない持続する志が素晴らしい映画です。ピーター・バラカンさんがぴあアプリ版の連載で、この映画のことを書いています。ピーターさんいわく、彼は「今もまだ店を細々とやっているんじゃないかな」。『トム・オブ・フィンランド』ハードゲイを描いて、世界で有名になったフィンランドのイラストレーター、トウコ・ラークソネンの半生。あのヴィレッジ・ピープルのようなコスチュームの男たち、どこかで見たことのある絵です。第2次大戦後のフィンランド、同性愛は法律で固く禁じられていました。ラークソネンは、戦争から復員したあと、CMのイラストを描く本業のかたわら、深夜、鍵をかけた自室で、密かにそんな絵を描き続けます。やがて、それがアンダーグラウンドの世界に出回り、アメリカにまで輸出されることに。アメリカの雑誌編集者がつけた名前が「トム・オブ・フィンランド」。彼はゲイの世界のアイコンになるのです。フィンランドで同性愛が合法化されたのは1971年。ムーミンについで、2014年にフィンランド郵便が「トム・オブ・フィンランド」の記念切手を発行しました。しかもこの切手、同国郵便史上最高の売上を記録したそうです。ムーミンで有名な国は、いまやLGBTに理解のある国でもあるのです。ラークソネン没後23年のことでした。『あなたの名前を呼べたなら』インド映画です。ただ少し趣がちがって、歌や踊りのエンタテインメントではありません。上映時間も99分と短い。テーマは、主人とメイドの恋、というインドでは現代でも考えにくいタブーにふれたものです。舞台はムンバイ。新婚家庭のメイドに雇われた農村出身の未亡人ラトナが主人公です。雇い主は建築会社の御曹司アシュヴィン。アメリカ帰りのぼんぼんです。新婚のはずが、結婚直前に破談、一人暮らしとなってしまいます。彼の食事を始め、身の回りのケアは住み込みのメイド、ラトナの仕事となります。こうなると、ふたりが接近しても不自然でないのですが、インドではこれは絶対にありえないことなのだそうです。結婚4カ月で夫に死別したあとも、村の風習により婚家に縛られ、自由が利かない暮らし。そこから逃げ出し、都会でメイドをしながら、ファッションデザイナーになる夢にチャレンジしているラトナ。そのひたむきな姿に、アシュヴィンは次第にひかれていき……。原題は『Sir』、ご主人さまと訳されます。日本語タイトルとあわせてみると、ラトナの心の叫びを汲み取ったなんとも見事な題名です。『風をつかまえた少年』これも実話を基にした映画。イギリスとマラウイの合作です。マラウイはアフリカ南部の小さな内陸国。2001年、この国を洪水とそれに続いて干ばつが襲います。零細な農業を営む主人公ウィリアム少年の家族も、その日の食事に困る生活で、入ったばかりの中学校の学費が払えません。しかし、退学させられてもなお、学びたい一心で、図書室に潜り込み理科の勉強を続けます。彼が熱中したのは発電の仕組み。今の貧困を変えられるのではないかと感じたからです。そして、父の唯一の移動手段である自転車を分解して利用すれば、風力発電でポンプをまわし、井戸の水を田畑に導くことができると思いつきます。それを奇想天外としか思えなかった父も、家族の説得と彼の情熱に動かされ、子供を信じ、自転車を手放す決意をし……。主人公のモデルになった少年は、その後奨学金を得て大学へ進み、アメリカに留学、現在は本国に戻って活躍しています。『TIME』誌の「世界を変える30人」に選ばれたことも。ぴあアプリ版の連載「池上彰の映画で世界がわかる」で池上さんがこの映画をとりあげ、「人はなぜ勉強をする必要があるのか。その答えがある」と紹介しています。特集上映では。「京マチ子追悼映画祭」(YEBISU GARDEN CINEMA)8/2〜15)「京マチ子追悼映画祭」(YEBISU GARDEN CINEMA)8/2〜15昭和の名女優、京マチ子さんの追悼特集上映です。今春、大規模な京マチ子映画祭が開かれ、彼女にスポットライトが当たっていました。そこに入ってきた訃報です。5月12日のことです。映画ファンにとっては衝撃でした。今回は「追悼」の2文字を新たに加え、代表作11本が上映されます。京マチ子は「国際グランプリ女優」とよばれました。戦後まもなく、1950年製作の『羅生門』がヴェネチア映画祭金獅子賞と米アカデミー賞名誉賞を受賞。以降『雨月物語』でヴェネチア映画祭銀獅子賞、『地獄門』でカンヌ映画祭グランプリと米アカデミー賞名誉賞、出演作が相次いで国際映画祭で賞を受けます。今回は、黒澤明監督『羅生門』、溝口健二『雨月物語』『赤線地帯』、小津安二郎『浮草』が4Kデジタル復元版、衣笠貞之助『地獄門』がデジタル復元版での上映。他に、春の回顧作品には入っていなかった市川崑監督の『穴』が上映されます。それにしてもすごい監督陣。すべて日本映画史に残る作品です。この機会に大スクリーンでどうぞ。
2019年08月02日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アルキメデスの大戦』『隣の影』『北の果ての小さな村で』『パラダイス・ネクスト』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/26(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は20本。うち全国300スクリーン規模で上映されるのは4本。大ヒット作の続編『ペット2』、東映の『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』、そして東宝の戦争映画大作『アルキメデスの大戦』。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アルキメデスの大戦』黒煙を上げて沈んでいく戦艦大和の映像と、海軍幹部を演じるこれまでにない役者の顔ぶれを予告編で観て、期待していました。が、直球の戦争映画大作ではなく、それ以上に面白いエンタテインメントです。1933年、これからの戦いは飛行機と空母が中心になると確信する山本五十六海軍少将は、軍中枢が進める巨大戦艦建造計画に反対し、それがいかに国家予算の無駄使いかを立証しようと考える。そこで抜擢されたのが菅田将暉演じる天才数学者。計画決定の会議までに、対抗勢力の妨害をくぐり、それを証明できるか、というタイムリミット付きのサスペンスです。山本五十六役は舘ひろし。おお、ついにこういう役をやるようになったか、という感じです。菅田の敵、戦艦大和設計の中心人物は田中泯扮する造船中将、戦艦派の頭目は橋爪功、反対派は國村隼、他に小林克也、笑福亭鶴瓶、小日向文世、主人公の部下役で柄本佑、なかなか新鮮な顔ぶれです。もちろんどう反対しようと歴史は歴史。戦艦大和は建造され、危惧したように大した活躍もせずに撃沈されます。これまでに観た中でもリアルで壮絶な最後です。『隣の影』このところ、北欧映画が静かなブーム。そのどれもが結構面白いのです。全体的に静かで、独特の空気感があります。別の時間が流れている感じ。それと着想がいい。これはアイスランドの作品。2017年のアイスランド・アカデミー賞で、作品賞を受賞しています。ロケ地は特定していませんが、たぶんレイキャビク。出てくる人々の暮らしぶり、インテリアなど、どことなくおしゃれです。大きな木を挟んだ左右対称のテラスハウスで、世代の違うお隣同士が諍いを起こしてしまいます。日光浴をするのに木で陰ができる、ペットの排泄物が気になる、そんな些細なことが始まりで、罵り合いからどんどんエスカレートしていきます。夜のない、白夜の国の悪夢です。誰にでも起こりうる狂気を巧みに描く大人向けのサスペンス、またはホラーか。真夏の映画館で、じわじわとアイスランドの冷気を感じて下さい。『北の果ての小さな村で』これも北欧。アイスランドより、さらに北に位置するグリーンランドが舞台の映画です。地球儀をみると、ドイツ、フランス、スペインを合わせたくらいの巨大な島。いろんな歴史的経緯があり、長くデンマークの支配下におかれています。例えば、教育はデンマーク語で。学校の先生はデンマーク政府が雇い、グリーンランドに派遣します。この映画の主人公もそういう教師のひとり。人口80人の寒村にある、小さな海辺の学校に赴任します。演じているのは、デンマーク人の青年ご本人。実は彼の経験をもとにした映画なんです。ドキュメンタリーとドラマを合わせたドキュラマというスタイルです。オーロラ、大雪原、北極クマ、犬そり…イヌイットの人たちと暮らすなかで、彼がどんな風に変わっていったか。こんな生き方もあるのだな、世界は広いなあ、と子どものような純な気持ちになること必至。グリーンランドの大自然も一見の価値あり、です。『パラダイス・ネクスト』がらっと変わって、ねっとりとしたアジアの空気感。日本映画なんですが、全編台湾ロケ。東南アジアだろうと、南米だろうと、どんな土地でも現地に溶け込んで、ふてぶてしく生きていけそうな面構えの豊川悦司、てんで情けなく誰かに頼らないと生きていけそうもない妻夫木聡、このヤクザな二人と旅の途中で出会った台湾女性ニッキー・シエの逃避行の映画です。ごった煮的な、いかにもアジアな町なかのシーン、深夜や早朝に繰り広げられるアクションなど、エキゾチックで、日本映画としては異色です。中国語の赤い大文字タイトルとか、映像も、どことなくウォン・カーウァイの若い頃の作品を彷彿とさせます。特集上映では。「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30シネマヴェーラ渋谷で人気の外国映画1930〜50年代の旧作特集。今回は、名脚本家であり名監督とも評価された、プレストン・スタージェス、ビリー・ワイルダー、ジョセフ・L・マンキウィッツ、エルンスト・ルビッチなどの35作品を上映します。例えば、ビリー・ワイルダーでは、フランス時代の監督(共同)作『ろくでなし』、脚本家時代の『青髭八人目の妻』『ミッドナイト』『ニノチカ』『教授と美女』、ハリウッドでの監督作『熱砂の秘密』『深夜の告白』『失われた週末』『異国の出来事』『サンセット大通り』『地獄の英雄』『第十七捕虜収容所』と、これだけでもボリューム感のある特集。この機会に全踏破したくなるラインナップです。■関連作品・公演『アルキメデスの大戦』7/26日(金)〜TOHOシネマズ日比谷ほか公開『隣の影』7/27(土)〜ユーロスペースほか公開『北の果ての小さな村で』7/27(土)〜シネスイッチ銀座ほか公開『パラダイス・ネクスト』7/27(土)〜新宿武蔵野館ほか公開「名脚本家から名監督へ」7/27(土) 〜 8/30(金) シネマヴェーラ渋谷
2019年07月26日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アポロ11完全版』『天気の子』『工作』『存在のない子供たち』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/19(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は17本。全国350スクリーン規模で上映の新海誠監督新作アニメ『天気の子』と、250スクリーンの『東京喰種 トーキョーグール【S】』、そしてこれらに続く135スクリーンの『チャイルド・プレイ』、以上3本がいわゆる拡大ロードショー。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アポロ11 完全版』いまから50年前の7月20日、人類が初めて月に降り立った、あのアポロ11号のミッションを収めたドキュメンタリーです。信じられないことですが、NASAによって70ミリの高精細フィルムで撮影された未公開映像や、管制センターと宇宙飛行士たちとの交信記録など11,000時間を越える音声データが残っていて、それが今回「発掘」されました。映像は4Kリマスター処理され、現代に蘇り、これが驚くほどにドラマチックなのです。打ち上げの日、ロケットに乗り込む宇宙飛行士たち、見守る管制センター内部の様子、打ち上げ見物で宇宙基地のあるフロリダのビーチに集まった100万人の観衆を歓声とともに高精細のカメラでとらえます。50年前のアメリカ人の姿、形です。センターにつめるスタッフの大半はワイシャツに細身のタイ、女性とアフリカ系の人の姿はほんのわずかです。そして、当たり前ですが、パソコンがない。ぼけたモニター画面と、膨大なスイッチ、ダイヤル式の電話など。いまみると恐ろしくローテクです。そして始まる9日間の旅の記録。探査船の月面着陸時、「鷲は舞い降りた」と交信し、アームストロング船長が「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ」と月に足を踏み入れる。いちいちカッコいいんです。夢を信じた時代です。こういう映画こそ大きなスクリーンの映画館で是非!『天気の子』雨の多いこの7月にお似合いの映画です。公開初日、東京の朝は気持ち雨模様でしたが、9時からの上映が終わって外に出ると、青空さえ顔をのぞかせ、これは天気の子の神通力かと思いました。家出をして東京に出てきた16歳の少年が、天気を晴れにする超能力を持った少女と出会い、「世界を変える」というファンタジー。新海誠さんの作品は、背景や風景が実写の街よりもフォトジェニックで、詩情があり、ロマンティックにすら感じるのですが、それがこの映画のテーマにぴったりです。実景のなかに映り込む、商品名やビルボード、ネオンの実名も、アニメなら普通消しますが、逆にかなり精彩に描き込んでいて、とても効果的です。東京のあちこちが登場します。田端なんて聖地巡礼、流行りそうですね。平泉成さんや倍賞千恵子さんなど、安定感ある声の出演にも親しみを感じます。シニアの方まで充分楽しめる映画です。『工作 黒金星と呼ばれた男』韓国のポリティカルサスペンス映画は絶好調です。この作品も実話に基づく、ブラック・ヴィーナス(黒金星)というコード名でよばれたスパイの物語。舞台は1990年代初頭。主人公は、核開発の疑惑を探るため、なんと北朝鮮まで潜入し、当時の金正日総書記接見までやってのける「韓国のスパイ史上最も成功した対北工作員」です。黒金星がいかにして、北の信頼を勝ち取っていくか。その大胆不敵な行動も見ものですが、彼の所属する国家安全企画部についてもていねいに描かれます。かつてKCIAとよばれた、金大中拉致事件の実行犯とされる組織。金大中が大統領選の有力候補となり、もし政権交代にでもなったらその組織があぶない、そんな背景がスリリングです。ぴあの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、この映画をとりあげた池上さんは、例えば平壌の空港に降り立つシーンなど「過去に2回、北朝鮮を取材したことのある私から見ても、このあたりの描写はリアルです」と書かれています。そのリアルさに裏打ちされた、サスペンスの傑作です。『存在のない子供たち』現代のレバノン。12歳の少年が「どうしてこんな世の中に、僕を産んだのか」と両親を法廷で訴える、というショッキングな出だし。なぜ、彼はそういう行動に出たのか。貧民窟に生まれ、親が出生届をださなかったので、誕生日もわからないし、学校へも行っていない。まさに社会に「存在をしていない」子供なのです。演じているゼイン・アル=ラフィーアという子役の目に吸い寄せられます。目力があります。利発な少年で、生活力もある。こんな環境の中ですら、粗暴で、言葉もきたないのですが、弱い存在へのまなざし、彼らを必死で守ろうとするやさしさに胸をうたれます。フィクションなのですが、この少年の未来をみてみたい、そんな気持ちになりました。悪党かもしれないし、社会の役にたっているかもしれない、でも、ひとかどの人物になっていると思います。厳しい現実を突きつけられますが、一筋の希望の光を感じる、そんな映画です。特集上映では。「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22〜30「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22~30池袋の新文芸坐では、5月に他界した降旗康男監督の追悼回顧上映が行われます。東映出身、プログラム・ピクチャーで鍛えた「職人監督」です。高倉健出演の作品が多く、東映での代表作は健さん主演の『新網走番外地』シリーズ。フリーになってからも、『あなたへ』(2012年)まで、ふたりの共作は続きます。今回上映する14本も半分以上が高倉健主演作。『新網走番外地』は入っていませんが、最初にコンビを組んだ『地獄の掟に明日はない』(1966年)や、任侠ものというよりは文芸映画のテイスト『冬の華』(1978年)、『駅 STATION』(1981年)など6本や、監督デビュー作、緑魔子主演の『非行少女ヨーコ』(1966年)も上映されます。
2019年07月19日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『さらば愛しきアウトロー』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/12(金)イラストレーション:高松啓二今週ロードショー公開の作品は17本。全国300スクリーン規模での拡大上映は、『トイストーリー4』と『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のアニメーション2本。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファン向けの作品をご紹介します。今週のオススメ『さらば愛しきアウトロー』ロバート・レッドフォードの俳優引退作品です。レッドフォードは今年82歳。イーストウッドが89歳で、相変わらず元気に主役を演じているし、まだまだいけるのではと思うのですが。そこがイケメンスターの難しいところ。確かに近年のレッドフォードには、顔に多少老いを感じていました。でも今回は、その老いがとてもよく生かされている感じです。銀行強盗でありながら、生涯誰も傷つけず、逆に襲われた銀行マンには「彼は紳士だった。微笑んでいた。」といわれるノーブルなギャング。強盗、逮捕、脱獄、強盗を繰り返した懲りない男を楽しそうに演じています。初期の『逃亡地帯』『明日に向って撃て!』や、70年代の『ホットロック』『スティング』、90年代の『スニーカーズ』など、様々な代表作を思い出します。監督のデヴィッド・ロウリーの前作は、なんとも静かなホラー映画『ア・ゴースト・ストーリー』でした。レッドフォードが主催するサンダンス映画祭において『セインツ〜約束の果て』でグランプリを取った監督というのが彼とのつながり。プロデューサーでもあるレッドフォードのご指名でしょう。全編、このレジェンドへの敬意に満ち満ちていて、気持ちがよいです。ぴあ水先案内では4人(春日太一/高崎俊夫/高松啓二/野村正昭)の皆さんがオススメです。『シンク・オア・スイム イチかバチが俺たちの夢』中年のオジさんたちがアーティスティック(シンクロナイズド)スイミングの世界大会に挑戦する、というフランスのコメディ。男性のシンクロといえば妻夫木聡君の『ウォーターボーイズ』を思い出しますし、オジさんチャレンジものでは『ドッジボール』とか『フル・モンティ』など、いろいろ連想します。つまりネタとしてはそんなに珍しくはありませんが、結構楽しめます。生活に困ったり、精神的に落ち込んでいたりした中年男たちが、最初はシロウトでまるでダメなのですが、やる気というか、やらざるを得ない理由があって、次第に様になり、もちろんトラブルにもあいながら、チームメートの友情や本人の努力もあり、成功を掴みます。映画の設定からそんな展開予想は想像がつきます。それを決して裏切らないところが嬉しいんです。しかも面白い、笑える、ちょっと泣かせる、まるで寅さんのような映画です。フランスのアカデミー賞ともいえるセザール賞で10部門にノミネートされるも、受賞は助演男優賞のみ。それも結構目立たない役の人です。そんなところも好感が持てます。おとなが気軽に楽しめる映画として、オススメです。ぴあ水先案内では佐藤久理子さんもとりあげています。『トイ・ストーリー4』ウッディたちを託され、新しい持ち主になった女の子ボニーとトイたちの物語。いつもながらおとなが観ても十分楽しめますし、セリフの奥深さなど侮れません。羊飼い人形のおもちゃボー・ピープが19年ぶり、『トイ・ストーリー2』以来の再登場。日本語版では戸田恵子さんが前作に続いて声の出演です。ピクサーアニメ初期短編に出演し,トイストーリーの元になった「あの」キャラクターも顔を出します。いろいろな世代の映画ファンにオススメ。ぴあ水先案内では、3人(相田冬二/伊藤さとり/渡辺祥子)のみなさんがセレクトしています。『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』ナチスが月の裏側に逃亡し、力を蓄え、地球を襲うという7年前に作られたトンデモ映画『アイアン・スカイ』の続編です。インパクトは前回ほどではありませんが、前作の世界的ヒットで、クラウドファンディングにも成功し、資金が潤沢になったんでしょうね、特撮など全般的にスケールアップしています。2018年にナチスとの戦いには勝ったものの、核戦争で自滅した地球。その30年後という設定です。ポスターなどでネタバレしてますので、書きますが、ヒトラーが恐竜に乗って登場するというのを始め、世界の政治家などを茶化しまくります。iPhoneや、スティーブ・ジョブズのような存在も重要な悪玉として登場します。どうやらフィンランド人監督ティモ・ブオレンソラのノキア愛がでた感じです。『スター・ウォーズ』愛、もあちこちに。かなりクセが強く、全ての人にオススメとはいいませんが、私は好きです。前作がネットの配信サービスであがっています。この新作を観たあとで、そちらも再見しました。今観ても強烈です。ぴあ水先案内では高松啓二さんがオススメです。上記4作品以外で、ぴあ水先案内人のオススメは (敬称略)『ブロードウェイ版 ロミオとジュリエット』(12日〜)渡辺祥子オーランド・ブルームがブロードウェイデビューを飾ったブロードウェイのステージを、映画館で上映。『ハッパGOGO大統領極秘司令』(13日〜)水上賢治マリファナを合法化したウルグアイの大統領が考えた秘策とは。『ANIARA アニアーラ』(13日〜)春錵かつら「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2019」で上映特集上映で気になったのは。「常田富士男 じっちゃに逢える日」ポレポレ東中野7/13〜192018年に他界した常田さんの回顧上映です。今村昌平監督の『楢山節考』『黒い雨』『うなぎ』と、河瀬直美監督の『2つ目の窓』の4本が連続上映されます。7/13には長男倉崎青児さん他のトークイベントと短編『輪廻』の上映、7/16には小室等の六文銭などによる、「別役実『スパイものがたり』を歌うコンサート」が予定されています。『スパイ…』は別役が常田富士男主演で書いたミュージカル。名曲『雨が空から降れば』はここから生まれたといいます。常田さんといえば、「まんが日本昔ばなし」で有名ですが、映画でも貴重なバイプレーヤーでした。
2019年07月12日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『ゴールデン・リバー』と『Girl/ガール』。野村芳太郎監督回顧、伊藤雄之助&西村晃の名脇役対決などの特集上映も好企画が並びました。ぴあ編集部 坂口英明19/7/5(金)伊藤さとり(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=93a38c60-dfa2-48cd-af06-83c2857e4101)真魚八重子(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=3565dab2-1ca9-4d27-b5bf-0792183f25a7)高松啓二(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=17c89031-2956-4e72-b8a8-45553e3c6697)春日太一(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=564cc792-5c0d-4e1d-9a06-ffd654b8f928)『ゴールデン・リバー』は昨年のヴェネチア映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞していますが、ベルギー映画の『Girl/ガール』は、今年のカンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)受賞とこちらも評価の高い作品です。15歳の主人公ララはトランスジェンダーで、バレリーナを目指しています。この映画はもちろん、その少女の物語なのですが、映画で重要な役どころは父親。少女を取り巻く医療スタッフなど、ベルギーは日本では考えられないほど、理解のある環境ではあるのですが、やはりいじめや、差別はある。その中で「女性になることを急ぐ必要はない。パパだって時間をかけて男になった。焦っちゃダメだ」と暖かく見守る父、そんな家族の映画でもあります。この作品も、渡辺祥子、伊藤さとり、水上賢治、杉本穂高の4人の水先案内人の方々がオススメです。この映画の水先案内渡辺祥子(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=dbc05f7b-0538-4572-80f7-00b4eed0a036)伊藤さとり(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=ba11039c-a3f7-4258-969b-a9a3d2762c37)水上賢治(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=ced68815-35ad-4bf2-af22-977f8986b98b)杉本穂高(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=3520c557-722b-4539-9ff1-f689c079b04b)今週は名画座の特集上映に注目すべき企画が3つもあります。「生誕100年記念 映画監督 野村芳太郎」(神保町シアター)7/6〜19 植草信和(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=2dc649d8-0919-4888-9dce-b2976a9a7a55)「名脇役列伝IV 伊藤雄之助生誕百年記念 怪優対決 伊藤雄之助vs西村晃」(シネマヴェーラ渋谷) 7/6〜26お人好しか、はたまた曲者か、馬面の怪優伊藤雄之助と、のちに水戸黄門に変身したが、映画では気が弱そうで実は悪人とか、暗躍する敵役が多いこれまた怪優の西村晃という名脇役二人に注目した特集。伊藤雄之助は『現代インチキ物語 騙し屋』の詐欺師や、『にっぽん泥棒物語』などの刑事役、『一等女房と三等亭主』では風采のあがらないサラリーマン…、どの映画も実は強い印象を残す脇役だ。西村晃は『ある脅迫』『散歩する霊柩車』のこれぞ小心者、『北陸代理戦争』で雪の中に首だけだして埋められ、リンチされる伝説のシーンも見ものです。「キネマ旬報創刊100年記念 キネ旬ベストワンからたどる昭和・戦後映画史」(新文芸坐)7/7〜17キャプションの内容を記載映画雑誌『キネマ旬報』が今年、創刊100年を迎えるのを記念した特集。この雑誌の看板企画であるキネ旬ベストテンの、ベストワン作品を集めて、昭和・戦後日本映画史を振り返ろうという企画です。小津安二郎『晩春』『麦秋』の2本立てから、山田洋次『幸福の黄色いハンカチ』と深作欣二『蒲田行進曲』までの20本。組み合わせも興味深い、いかにも新・文芸坐らしいプログラムです。映画の上映ではありませんが、映画ファンにとって見逃せない展覧会が始まりました。「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」(東京国立近代美術館) 7/2〜10/6よくこんな資料が残っていたと驚きます。台本、絵コンテ、セル画、演出メモなど。デビュー作『太陽の王子 ホルスの大冒険』では、登場人物の出番とドラマの「テンションチャート」を組み合わせたグラフや、制作の遅延を恐れた会社とのやりとり、いわば「一筆を入れた」書類まで。入り口近くに「ぼくらのかぐや姫」企画ノート、という企画書が展示されています。東映動画時代、内田吐夢監督でかぐや姫を映画化する話があり、自分なりのプランをまとめたもの。遺作『かぐや姫の物語』とループで繋がる高畑勲の原点というわけです。高畑さんは自分で絵を描く訳ではない、アニメの演出のプロです。作品に込めた思いをスタッフに伝えるために使われた様々な表現物で、高畑さんの世界をうかがえるまたとない展覧会です。『アルプスの少女ハイジ』のコーナーでは、ハイジの住む家と大自然のジオラマも設置されています。背景美術用に描かれた風景画の素晴らしさも見もの。関係したスタッフのコメントも入った音声ガイドは借りた方が良いです。
2019年07月05日Tシャツ 各¥16,200/FilMelange 極上のオーガニックコットンを、スポーティーなトレンドデザインで。 2007年にスタートした『FilMelange(フィルメランジェ)』は、選びぬかれた天然素材で最高の着心地を表現し、着る人がクールに見えるような衣服を作り続けている逸品ブランド。「わた」から「糸」「生地」「縫製」に至るまでを自社開発し、国内の優れた職人の技術で最高の商品を作ることで、衣服を着ることの意味や喜びを追求したものづくりを志しています。 こちらのカラフルな丸首Tシャツは、トレンドのスポーツテイストをスタイリッシュに取り入れた絶妙なデザインが魅力。スポーティーながらもどこか懐かしさを感じる雰囲気は、春夏コーデのアクセントにぴったり。そして特筆すべきは、一度着れば驚くほどの心地よさなんです! 表糸には世界各国から集められた最上級のオーガニックコットンを様々な手法でブレンドし、手紡ぎ糸のように太さにムラが出るよう作られたスラブ糸を使用。ふんわりとやわらかな風合いと、表情豊かなムラ感が魅力です。裏糸にもオーガニックコットンブレンドを使用。裏毛部分は毛足をコンパクトに抑えることで、春夏にぴったりなさらりとした清涼感あふれる生地に編み立てています。表と裏、それぞれに適した素材使いを追求することで、唯一無二の肌ざわりを実現しているというから驚きです。 汗ばむ季節も心地よい秘密は「肌離れ」の良さにあり。 Tシャツ ¥16,200/FilMelange ふんわりしたやわらかさはもちろん、裏毛の編み立てによって実現した「肌離れのよさ」も心地よさの秘密。生地が肌にはりつきにくくさらっとしているため、汗ばむ季節のデイリー使いにぴったりです。スラブ糸を使った表情豊かな表面感は、シンプルになりがちな春夏のコーデに立体感を添えてくれるすぐれもの。心地よさと今年らしさを両立してくれるゆったりめの身幅は、パンツにインしたり、ロングスカートに合わせたりと、いろんな着こなしが楽しめそう。 着れば着るほど手放せなくなる極上のオーガニックコットン遣い。自分らしい色を選んで、ぜひデイリーに楽しんでみてはいかがですか? フィルメランジェ03-6447-1107 Taruyamatext:Sakura Komiyama
2019年05月09日理想のスタイルに近づくためには?「冬の間にいつのまにか、増えていった体重をなんとか戻したい。」「薄着になる夏に向けて、理想のスタイルに近づくためには、何をしたらいいんだろう。」そう思っているのなら、今がチャンスです!体重は一気に落とせば、体への負担は大きくなります。だからこそ、今がチャンスなんです。少しずつ健康的に痩せることで、体重だけではなく、理想的なスタイルを目指すことができます。今回は、「理想のスタイルを目指す第一歩は、よく噛むこと」だということをお伝えします。よく噛むことによる、体への良い影響はたくさんあります。じつは、単純に食べる量が減るというだけではなく、スタイルにも関係してきます。噛むことで得られる変化とは?食事を取るときに、皆さんはどれくらい噛んでいますか?近頃は、やわらかく、食べやすい食事が増えたことによって、あまり噛まなくても食事ができるようになりました。筋肉は使っていないと、どんどん退化していきますが、噛む力も同様。あまり噛まないと、噛む力がどんどん弱くなっていきます。顎は、体のバランスを取るのに重要な役割があり、うまく機能することによって、頭にかかる負担を少なくしているんです。さらには、噛むことによって、頭を正しい位置に整える役割も持っています。つまり、噛むことで、姿勢悪化の予防が期待できるんです。どれくらい噛めば良いの?では、どれくらい噛めば良いのでしょうか?私がオススメしているのは、一口につき30~40回噛むことです。これくらい噛むと、食事のペースもゆっくりになり、満腹感を得られるので、食べる量も当然少なくなります。顎も「かなり、使っているな~」という感覚になるでしょう。顎をきちんと使って食事をすると、頭の位置が整うようになります。きちんと噛むには、頭の位置が整っていないと噛めないからです。頭の位置が整うだけでも、スタイルが良くなったように見えると言うわけです。また、よく噛んで味わうことで、食事も楽しくなります。食事をするときに「よく噛むこと」を心がけるだけで、姿勢が良くなり、さらにはダイエットにもつながるのですから、メリットが多いですよね。簡単に日常生活に取り込めることなので、ぜひ、今日から「よく噛む」習慣を身につけてください。
2019年03月29日いま注目度を増している「旅育」とは、「旅を通じておこなう子ども教育」のことです。でも、ただ子どもと旅に出ればいいのでしょうか?旅育初心者のため、その第一人者である旅行ジャーナリスト・村田和子さんが具体的なアドバイスをしてくれました。旅育をするにあたってまず重要となるのは「子どもを子ども扱いしない」ことだそう。そして、「体感をもって学ぶ」ことの重要性に子ども自身に気づかせることだとも。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「子どもを子ども扱いしない」という姿勢旅育とは「旅を通じておこなう子ども教育」。つまり、旅によって「子どもが大人に向かって成長する」ことが目的です。であれば、まず重要となるのは「子どもを子ども扱いしない」ことではないでしょうか。大人の友人同士で旅行するというときに、行き先を告げないとか相手の希望を聞かないということはあり得ませんよね。でも、家族旅行となると、親はどうしてもそうしてしまいがちです。そこで、子どもを子ども扱いしないために、「旅の計画から子どもと一緒にする」のです。ただ、小学校に上がる前くらいの幼い子どもだと、現実的な旅行プランを出すことは難しいでしょう。それに、せっかく子どもが「あれをしたい」「これをしたい」と言ったのに、現実的に難しいからと却下してしまうと、教育という点から見れば逆効果。自己肯定力を下げることになってしまいます。そこで、夏休みに海に行くのか山に行くのかといった複数の案から選択させるのです。ただ選択するだけですが、それでも子どもにとっては自分が決めた旅になるので、旅に臨むモチベーションがまったくちがってきます。意欲的に旅に出るわけですから、旅がもたらしてくれるさまざまな効果(インタビュー第1回・第2回参照)も格段にアップするというわけです。旅の計画を立てることは頭を使うことだらけもう少し子どもが大きくなったら、計画を立てるときに家族会議をしてください。家族それぞれが行きたい場所を挙げてプレゼンをするのです。どうしてその場所に行きたいのかといった理由を各自が訴え、他の家族はそれをしっかり聞く。すると、子どもは、「パパの案もいいな」と思ったりもします。そして、自分の案とどう折り合いをつければいいのかと考えて答えを導こうとする。こうして、社会に出たときにも重要となるコミュニケーション力や他者理解の力が自然と養われるのです。小学校中学年になれば、旅の計画の一部を思い切って子どもにまかせてみてください。目的地への行き方もひとつではありません。車がいいのか、電車がいいのか、電車でも新幹線を使うほうがいいのかと考えさせてみるのです。旅の計画というのは、本当に頭を使うことが多いものです。宿はどうするのか、観光はどうするのか、さらに予算も絡んでくる。考える要素がたくさんあるうえに、正解もない。それこそ、「正解がない」といわれる時代に必要な「考える力」を育むことになるのです。これにはインターネットの普及が好影響を与えてくれています。インターネットがない時代に、時刻表とにらめっこして予定を組むのは子どもには難しかったことでしょう。しかも、目的地周辺の観光や宿の情報を得る手段も限られていました。でもいまなら検索をすれば複数の経路に宿や観光の情報がすぐに示されます。いまの時代だからこそできるようになった教育だともいえます。身をもって「百聞は一見にしかず」を知るただ、インターネットにはデメリットもある。幼いときからあたりまえのようにインターネットに触れてきたいまの若い世代は、頻繁に旅行をする人とまったくしない人というふうに二極化しています。以前ならなかなか得られなかった情報に触れたからこそ「実際に体験してみたい」と思う人と、「家にいて得られるものになぜ時間やお金をかけるのかわからない」と思う人にわかれているのです。後者には「情報=リアル」という価値観が根底にあるのだと思います。でも、実際に旅先で本物を見ると、思っていたものとちがうということはよくあることですよね。それは、「思っていたよりも良かった」でも「思っていたほど良くなかった」でもいいのです。重要なのは、「情報とリアルはちがう」と体感すること。つまり、身をもって「百聞は一見にしかず」を知ることなのです。わたしの息子が小さいときにはじめて海に行ったときのことです。息子もテレビなどを通じて海も波も知っていて、海が見えてきたときには「わー!海だ!」とはしゃいでいました。ところが、実際にビーチに立ったら、「波が怖い」と言って海に近寄ろうともしなかった。息子はまさに五感で海を体感し、息子なりに海というものを知ったわけです。幼いときから体感をもって学ぶことの大切さを知る。そういう経験があれば、どんな情報化社会になろうとも、本物の重要性を見失うことはないと思うのです。『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』村田和子 著/日本実業出版社(2018)■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由第2回:旅先での行動は“親子別々”に。“親の不在”が深める子どもの「自信」第3回:旅の計画には“正解がない”。子どもの「考える力」を育む旅行プランの立て方第4回:忘れてはいけない“旅の記録”。旅先での成功体験を思い出すたび「自己肯定力」が高まる(※近日公開)【プロフィール】村田和子(むらた・かずこ)1969年8月29日生まれ、神奈川県出身。旅行ジャーナリスト。2001年、生活情報サイト「All About」運営スタート時に旅行情報のガイドに就任したことを機に執筆活動を開始。モットーは「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」。現在は家族旅行を応援する旅行情報サイト「家族deたびいく」を運営しながら、消費者視点での旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、旅行に関する講演、旅行サイトや宿泊施設のコンサルティングもおこなう。得意なテーマは旅育、家族旅行、ひとり旅、記念日旅行、ヘルスツーリズムなど。特に旅によって子どもの生きる力を育む旅育を村田式教育メソッドとして著書等を通じて啓蒙を進めている。一児の母。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月10日ヨガ世界チャンピオンによる極上レッスン2019年2月2日(土)、NHK文化センター青山教室 4階グランルームにおいて、『ヨガ世界チャンピオンによる極上パフォーマンス&レッスン』が開催される。講師は、ヨガ世界大会ワールドチャンピオンに輝いた経験をもつ、三和由香利が務める。オープニングには、三和由香利が、世界で披露したアーサナ(ポーズ)のパフォーマンスを披露。レッスンは、ヨガの基礎を中心としているため、初心者にもオススメだ。開催時間は10:30から12:00まで。受講料は、NHKカルチャー会員が5,616円(税込み)、一般が6,739円(税込み)。持ち物は、動きやすい服装、ヨガマット(大きめのタオルでもOK)、水分補給用のペットボトルの3点。問い合わせは、NHK文化センター青山教室(電話番号:03-3475-1151)まで。ヨガコーディネーター 三和由香利三和由香利は学校法人教職員を経て、ヨガコーディネーター、ヨガティーチャー、アーサナデモンストレーター、CMコレオグラファー、ピラティスインストラクターとして活躍。ヨガの世界大会「International Yoga Asana Championship」に、日本代表として5年連続で出場。2011年に、日本人で初めて、ヨガの世界チャンピオンに輝いている。著書には、『世界一かんたんに体がやわらかくなるヨガDVD BOOK』、ヨガ漫画『血流たっぷり!どこでもヨガ』がある。(画像は三和由香利 オフィシャルサイトより)【参考】※NHKカルチャー※三和由香利 オフィシャルサイト
2018年12月21日極上ブラシがセットになった限定品2018年12月11日より、コスメブランド『舞妓はん』の中でも人気の高いアイテム「BBパウダー」に、極上ブラシが付属する限定セットが発売される。美容オイルをたっぷり配合した「BBパウダー」は、肌にたっぷりとうるおいを与えてくれる。さらに極上ブラシによって磨き塗りができるため、しっとりでもさらりとした仕上がりが可能となっている。人気コスメの限定セットを、この機会に手に入れてみてはいかがだろうか?しっとりでもさらさら仕上げ「BBパウダー」は椿油や杏油といった美容オイルや美容液成分をたっぷり配合し、高保湿で肌にうるおいを与える。さらにシルキージェルパウダーによって皮脂を吸着し、しっかりとうるおいを与えながらも肌表面はさらさらの仕上がりだ。毛穴や肌の凹凸もカバーしてくれるため、しっとりさらさらでうぶな肌を作り上げてくれる。極上ブラシで磨き塗り今回の限定セットには、極上ブラシが付属される。「BBパウダー」をブラシに取り、顔の中心から円を描くように縫っていくことで、パウダーをむらなく塗ることができる。しっとりとうるおいがあり透明感のある、美しい仕上がりを実現するアイテムだ。うるおいを与えつつカバー力もあり、化粧崩れもしにくい「BBパウダー」。今だけの極上ブラシを手に入れて、さらに上級の仕上がりを体験してみてはいかがだろうか?(画像はプレスリリースより)【参考】※ノエビアグループのプレスリリース
2018年11月04日