唐沢寿明主演、仲間由紀恵、栗山千明らが出演する「24 JAPAN」19話が2月19日放送。佐野史郎演じる鬼束か、栗山さん演じる伊月か…CTUにいるはずの“もう1人の内通者”は誰かを巡る視聴者の考察合戦が白熱している。世界的人気ドラマ「24-TWENTY FOUR-」をテレビ朝日と20世紀FOXが共同でリメイクする本作は、原作シーズン1をベースに日本初の女性総理候補の暗殺計画を巡る総選挙前夜からの“24時間”を1話1時間のリアルタイムで描いていく。今回は18時~19時の1時間の物語が展開。CTU(テロ対策ユニット)第1支部A班班長・獅堂現馬に唐沢さん。テログループに命を狙われる日本初の女性総理候補で、自らの支持者たちと“対決”しようとしている朝倉麗に仲間さん。獅堂の部下で一時期は親しい関係でもあった水石伊月に栗山さん。現馬と麗を狙うテログループに誘拐され救出されるも隠れ家が襲われ脱出。逃走中に車が転落し記憶を失った現馬の妻・六花に木村多江。現馬の娘で誘拐犯の男に惹かれ、そのアジトに身を寄せている娘・美有に桜田ひより。麗の夫で家族の過去を隠蔽しようと考えている遥平に筒井道隆。麗の息子で妹を襲った相手を殺したが、その過去を明かす決意をし麗を説得した夕太に今井悠貴。CTUの南条巧に池内博之。CTUのマイロに時任勇気。美有を誘拐したKENこと研矢に上杉柊平。妻子が行方不明になっていることを現馬に隠しているCTUの東京本部第1支部長・鬼束元司に佐野さん。7年前、現馬に家族を殺され復讐に燃えるアンドレ・林に村上淳といったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。アレクシス・林(武田航平)が午後7時20分から5分間だけ御殿場の“A51地区”を停電させようとしていることを知った現馬は、鬼束とともにA51地区に。鳥獣保護区となっている同地区に違和感を覚える2人のもとに謎の車列が現れる。記憶喪失になった六花は友人の医師・浜畑圭介(西村直人)に付き添われ自宅に戻るが、テログループの暗殺者が六花を狙う。あわやのところで南条が助けに来るが、圭介は撃たれてしまう。研矢たちのアジトに身を寄せた美有だが、仁(蕨野友也)に剛(犬飼貴丈)が死んだことを継げると仁は逆上。さらに仁の“取引相手”が警察で、身柄を拘束されてしまう。そして麗はついに夕太の問題を会見で公表する…というのがこの1時間での出来事。家族のことが気になる現馬のスマホを借りるふりをして電源を切ってしまうなど、現馬を家族やCTUから孤立させるような行動を取る鬼束に「支部長怪しいんだけどどうなんだろ」「佐野史郎さんの演技がどことなく怪しい雰囲気」「佐野さん怪しすぎません?」などといった声が。また六花と美有を匿ったうえでその場を離れた途端、2人が襲われるなど伊月にも「水石必死すぎてあやしくない!?」「そろそろ水石も裏切りそうな予感が」と、2人に“疑念”を抱く視聴者からの声が続々とSNSに投稿。現馬が語る“CTU内部にいる(明智菫以外の)もう1人の内通者”が誰なのか、原作通りなのかも含め視聴者の考察合戦が熱く盛り上がっている。(笠緒)
2021年02月20日唐沢寿明主演「24 JAPAN」第8話が11月27日オンエア。栗山千明演じる伊月がみせた華麗な“蹴り”に「蹴りには定評のある栗山千明」「凛々しく美しい」などの声が集まる一方、“内通者”菫役の朝倉あきの悪役ぶりにも驚きの声が寄せられている。CTU(テロ対策ユニット)の獅堂現馬を唐沢さんが演じ、日本初の女性総理候補の暗殺計画が発覚するなか、犯行グループに娘・美有を誘拐された現馬と、現馬の行動に疑念を抱きながら暗殺計画に対応するCTU職員。そして総選挙当日に過去を暴かれようとされる女性総理候補・朝倉麗とその家族たち。さら総理暗殺犯らに誘拐された美有と獅堂の妻・六花らの物語がリアルタイムで進行する本作。日本初の女性総理候補・朝倉麗に仲間由紀恵。現場に撃たれたと見せかけ生きていたCTUの水石伊月に栗山さん。伊月の恋人でCTU職員の南条巧に池内博之。CTUの暗号解析係の明智菫に朝倉さん。誘拐された獅堂の一人娘・美有に桜田ひより。美有を探してこちらも拉致された六花に木村多江。美有誘拐犯の1人、長谷部研矢に上杉柊平。麗暗殺計画グループをまとめる神林民三に高橋和也といったキャストも出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。現場によってCTUから連れ出された伊月を、神林が殺すよう命じ現場は引き金をひくが、防弾ジャケットを着ていた伊月は無事で、意識を取り戻した伊月はCTUに連絡を取ろうとする。無人の小屋を見つけるがドアの鍵が開かない…すると伊月はドアを蹴り倒し室内に侵入。南条に電話することに成功する…。その華麗な蹴りに「蹴りには定評のある栗山千明さん」「さすが栗山千明」「凛々しく美しい姿に見惚れてしまう」などといった声が。伊月の連絡で南条は菫が内通者であることを知り、CTUに戻った伊月とともに菫を尋問するが、菫は自らの背後にいる黒幕の存在について口を割らない。その頃現場は麗の朝食会の会場に到着。暗殺の罪を着せられる運命となる。しかし南条がSPに連絡したことで現場とSPがもみ合いに。それを利用しSPの銃をわざと発砲させる現場。朝食会で息子の過去を告白しようとした麗だがそれは叶わず、現場もSPらに取り押さえられる…という展開に。“内通者”だった菫を演じる朝倉さんにも「すみれ役の女優さんって、グランメゾン東京の平子祥平の婚約者役の人か!すごいな! 全然雰囲気違う」「朝倉あきちゃん、グランメゾンよりも大役演じてる」など驚きの声が上がるとともに、菫の背後に控える“黒幕”に対しても「黒幕は誰だ」「内通者って菫だけなのかなあ?」といった反応が上がっている。(笠緒)
2020年11月28日2020年11月21日、俳優の栗山航(くりやま・わたる)さんが結婚したことを発表しました。栗山さんがリーダーを務めるグループ『男劇団 青山表参道X』のウェブサイトで、このようにコメントしています。いつも応援してくださっている皆様へこの度、ご縁があり先日入籍致しました。温かみのある笑顔溢れる家庭を築いていけたらと思います。これからも役者として邁進し、更なる高みを目指し、応援してくださっている皆様にこれからも御恩を返し続けていきたいと思っております。皆様、これからもどうぞよろしくお願いします!男劇団 青山表参道Xーより引用若い頃からモデルとして活躍し、2013年にテレビドラマ『牙狼〈GARO〉 ~闇を照らす者~』の主演として俳優デビューした栗山さん。仲間想いの青年である道外流牙(どうがい・りゅうが)役を演じ、俳優として一躍有名になりました。ほかにも数多くのドラマや映画、舞台などに出演し、活躍の幅を広げています。入籍致しましたことをご報告させていただきます。初心を忘れず、頑張らせていただきます^ ^これからもどうぞ、引き続きよろしくお願い致します!! — 栗山航 (@wataru_kuriyama) November 21, 2020 結婚の発表に「ビックリしました!おめでとうございます!」「末永くお幸せに!」「ファンの娘がショック受けちゃうかも…!」といった声が寄せられています。明るい人柄と笑顔で人気を博す栗山さん。笑顔あふれる、素敵な家庭になりそうですね![文・構成/grape編集部]
2020年11月21日10月28日から11月10日の14日間、伊勢丹新宿店本館5階で、 清水敏男のアトリエ・ギャラリー<セ・ル・ポエム>による 「Autumn in Paris フランスのアンティークでお茶をたのしむ清水敏男の眼×村瀬治兵衛の漆」を開催。 アール・デコを中心とした銀のポットやカトラリーなどと三代目村瀬治兵衛の漆を組み合わせ、アンティーク×現代アートを日常に取り入れたティータイムを演出します。清水敏男 Photo by Herbie Yamaguchiドーム・ナンシー 水差し (1900年頃)、ピュイフォルカゴブレット(純銀1935年頃)、嘉門工藝 古帛紗Photo by Hirofumi Taniクリストフル ティーポット (design リュック・ラネル、1930年代)、ピュイフォルカ トング (純銀、他4本セット) 村瀬治兵衛 沢栗香炉台、村瀬治兵衛 沢栗山皿(小)Photo by Hirofumi Taniオフィスや学校、駅、商業施設など、街の中で人とアートの出会いをプロデュースするパブリックアートの総合コンサルティング会社「TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE」の代表・清水敏男が、2020年、葉山にアトリエ・ギャラリー<セ・ル・ポエム>をオープン(営業日はwebサイトでご確認ください)。パブリックのみならずプライベートな空間でも、アートプロデュースをはじめました。フランス語で「それは詩」を意味する店名<セ・ル・ポエム>は、「山路を登りながら、こう考えた」ではじまる夏目漱石の『草枕』にインスピレーションを受けたことばです。「人の世は住みにくい」と嘆きながらも、「詩つまり芸術が私たちを救ってくれる」と考えた漱石。コロナウイルスが蔓延し自宅で過ごす時間が増えたいま、個人空間でも本物のアートや工芸に触れることは、豊かな時間や心の余裕を生みます。とりわけ清水は、フランスのアンティークは、美しい装飾や素材の経年変化による味わい、そして再現できないほどクオリティの高い100年前の職人の技が詰まっていて夢があると考えました。<セ・ル・ポエム>では、テーマ展、トークショー、ワークショップなどを通じて、時代を超えて愛されるアンティークや工芸の魅力、そしてアートを生活に取り入れ、豊かな詩心に満ちた日々をお届けすることを目指しています。<セ・ル・ポエム>のデビュー企画である本展覧会は、漆芸家である三代目・村瀬治兵衛の作品ならびに村瀬亜里プロデュースの嘉門工藝とのコラボレーション。パリのティータイムを素敵に演出する銀のポットやカトラリー、美しい装飾の陶磁器やガラスなど、アール・デコを中心にしたアンティークと村瀬治兵衛の漆を組み合わせたアンティーク×現代アートで楽しむティータイムをご提案します。清水と村瀬治兵衛氏・村瀬亜里氏は、「葉山アート茶会」をはじめ、2019年12月に開催した在英国日本大使館の「The New look of Tea 村瀬治兵衛展」で協働し、日本のアートと伝統を世界に発信する試みを展開しています。清水敏男 Toshio SHIMIZU1953年東京生まれ。77年東京都立大学人文学部フランス文学科卒業。83年Ecole du Louvre(ルーヴル美術館大学)修士課程修了後、東京都庭園美術館キューレーター、水戸芸術館芸術監督を歴任した。97年TOSHIO SHIMIZU ART OFFICEを設立。企業や芸術家と協働し、東京ミッドタウン(六本木)の安田侃「意心帰」、大手町フィナンシャルシティグランキューブのダニエル・ビュレンヌ「À partir de la grande porte, tout le parvis: travail in situ Tokyo 2015/2016」など数々のパブリックアートの設置を実現。2016年フランス芸術文化勲章シュヴァリエ章受章。2020年に<セ・ル・ポエム>を立ち上げた。セ・ル・ポエム ウェブサイト 清水敏男がプロデュースした作品事例などは、こちらをご確認ください。東京ミッドタウン(六本木)安田侃「意心帰」Photo by Hirofumi Tani大手町フィナンシャルシティグランキューブダニエル・ビュレンヌ「À partir de la grande porte,tout le parvis travail in situ Tokyo 2015 2016」Photo by Daishi Saito企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年10月26日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第61回アクマの辞典ア行【オ】➤「重い」(おもい)今回のテーマはあ行から「重い」である。体重の話ではない。確かに世の中には、物理的に重く、体積的に広い人が好み、といった人もいる。そういう方のために体重100キロ以上の淑女を揃えた、婚活パーティが秘密裏に開催されたりもしているようだが、エレベーターに1回3人ぐらいしかの乗せられないため、なかなか会場入りが終わらないという。ちなみに気合の入ったデブ専男性でも100キロあたりの女がボーダーでそれ以上だとキツと感じるらしい。このキツいとは、好みから外れるとかいう意味ではなく、むしろイイネなのだが、100キロ以上を超えると移動に支障が出てくる場合が多く、デートも満足にできなくなるといった意味でキツイのだそうだ。つまり「下半身(性的じゃない意味で)が強い動けるデブ」になれば、一部の層から熱烈にモテるかもしれないということだ。3ケタの大台を超えている人は中途半端なダイエットなどやめて、膝を鍛えたほうが良い。今回はそういう重さではなく、精神的な「重さ」の話である。昔から「重い女は男に嫌われる」と言われている。しかし、世の中には、女が自分の気に入らない行動を取った時に「重い」とか「お前のそういうところが嫌なんだ」と、あたかもそれが欠点かのように責めて支配しようと男もいるので注意が必要だ。もちろん、男が気に入らないことをすると「私を大事にしてくれてない」とさらに漠然としたことを言って、手こずらせてくる女もいる。では「重い」と言われる行動とは何か、というと第一に「束縛」だそうだ。いつどこで何をしていたか全て把握するだけで飽き足らず、コイツとは会うな、など行動を管理しようとするタイプは「重い」と言われる。他にもネガティブな発言が多いのも「重い」と思われるようだ。確かに、赤の他人がネガティブな発言ばかりしていたら「暗くていいなあ!好き!」と、映画『刑務所の中』の山崎努のように逆に元気になれるだろう。だが、家族や恋人がネガティブ発言ばかりしてくる場合、それを励まし続けるのは正直面倒だし、励ましミッションに失敗した時に送られてくる死をほのめかすLINEに逐一対処しなければいけないのも疲れる。しかも相手の希死念慮は、なぜか仕事中や午前2時など明らかに「試される時間帯」に起こるのである。だが、常に自由でいさせてくれて、俺の前ではいつも元気で明るく振る舞ってほしいなんていうのもわがままであり、それは結局、重い女が嫌なのではなく、俺に都合の悪い女が嫌、ということだ。よって、相手の行動を全て把握制限し、左内股にお互いの名前を彫り、右にはこれから生まれてくるであろう二人の子どもの名前を彫ろうなどという提案もしていないのに「お前重いんだよ」と言われた場合は、ただ俺の思い通りに動けと言っているにすぎない場合もあるので真に受ける必要はない。そもそも、物理的重さにも好みがあるように、精神的重さにも好みはあるのだ。世の中には束縛すら「愛されている」と感じ、放任されると不安になってしまうタイプもいるだろう。「重いんだよ」と言われたら、相性が悪かったと思って、内股タトゥー案をイイネと言ってくれる相手を探すというのも手である。--------------------------■ア行【ア】➤「あいみょん」(あいみょん)…腐せば老害と言われ、好きと言ったら媚びていると言われる、中年以上が触れづらいゾーン【イ】➤「陰キャ」(いんきゃ)…陰キャは、陽キャに陰キャ呼ばわりされるのがちょっと嬉しかったりする【ウ】➤「映り込み」(うつりこみ)…飯を二人分映りこませるのは彼氏アピールではなく、本当に二人前食う女もいるということを覚えておいてほしい【エ】➤「エモい」(えもい)…褒め言葉ではなく「よくわからない」という意味【オ】➤「重い」(おもい)…逆に自分の積載量が少ないのが悪いというケースもある**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。『ひとりでしにたい』 (モーニング KC)『ひとりでしにたい』 (モーニング KC)も発売中。
2020年07月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第60回アクマの辞典パ行【ピ】➤「ピンヒール」(ぴんひーる)今回のテーマはパ行から「ピンヒール」だ。近年、ネット上で「#Ku Too」という、職場で女性にヒール靴を履くことを強要するのをやめようという運動が起こったために、ヒールを義務付けするのをやめる企業も増えている。ヒール靴というのは機動力を低下させ、さらに体への負担も大きい。魚であれば「職場ではエラを3分の1塞いで働きましょう」と言われているようなものであり、社会人うんぬん以前に生物として不自然なことをさせていると言ってもいい。しかし、人間というのは、体に悪いとわかっていて好きな物ばかり食ったり酒やタバコやクスリをやったりと、他の動物より圧倒的に生物としてトチくるった行動をしてしまう生き物なのだ。ヤギとかが「草よりこっちのほうが美味いから」と、ピザポテトばかり食っているところを見たことがないだろう。だが、徹底して合理的に生きる動物に対し、無駄な行動をしがちなのが人間らしさとも言える。よって強要するのはおかしいが、多少動きづらくて足が痛くてもカッコいいヒールを履きたいと思うのは個人の自由であり、その動機が己のオシャレのためだろうが、男にモテるためだろうが、それも自由でなのある。ちなみにヒールを履くことがモテにつながるか、というと、いつもの根拠0.02ミリサガミオリジナルネット情報によると「モテる」らしい。ペタンコ靴よりピンヒールを履いた女のほうが、男に声を掛けられやすく、また男に助けを求めた時も応じてもらえる率が高かったそうだ。しかし、これは海外での調査なので、日本でも同様なのかはわからない、むしろ日本の男はピンヒールという目立つファッションをしている女を避ける傾向にあるのではないだろうか。痴漢や、“駅で女に体当たりマン”のような輩は、相手が女であればビヨンセでも果敢に立ち向かうというわけではなく、抵抗しなさそうな地味めな女を狙ってやるのだという。また、少し前に「童貞を殺す服」と称して、セクシーなニットがネットで流行ったが、本物の童貞に言わせると「こんな格好している女がいたら怖くて逃げる」そうだ。だからといって、ヒールを履いた女に「そんな靴じゃ逆にモテないよ」などと忠告するのは余計なお世話だ。仮にモテるために履いているのだとしても、ヒールごときにビビって逃げる男はお呼びでないだろう、かかとにピザカッターがついていても挑んでくる男をご所望のはずだ。ちなみに「背が高い女がデートにヒールの靴を履いてくるのは相手の男に配慮がない」という意見もあるらしい。100歩譲って女が自主的に配慮するならいいが、カップルと無関係な人間や、男のほうが言っているのなら性質が悪い。そもそも相手の背が高いというのは、デートするまで常にスネまで地中にめり込んでいたというのでなければ、はじめからわかっていたはずである。つきあってみないとわからないことは多々ある、しかし一目でわかることに対して後から文句をつけるというのはただのクレーマーと呼ばれても仕方ないだろう。--------------------------■パ行【パ】➤「パプリカ」(ぱぷりか)…自意識が目覚めつつある年頃の子どもに無理やりパプリカを踊らせるのはやめよう【ピ】➤「ピンヒール」(ぴんひーる)…ヒール自体をやめたい人に「痛くないヒールの履き方」を送るというクソリプ【プ】➤「プロフィール」(ぷろふぃーる)…プロフに(笑)を入れてるヤツとはつきあうなとおばあちゃんが言っていた【ペ】➤「ペアルック」(ぺあるっく)…初期からダサくないペアルックに成功していた林家ペーパー【ポ】➤「ポーカーフェイス」(ポーカーフェイス)…事件後に同級生から「何考えているかわかんないヤツだった」と言われるタイプ**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。『ひとりでしにたい』 (モーニング KC)『ひとりでしにたい』 (モーニング KC)も発売中。
2020年06月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第59回アクマの辞典バ行【ブ】➤「ブロック」(ぶろっく)今回のテーマはバ行から「ブロック」である。言葉が生まれて以来、人間の最もポピュラーなコミュニケーション方法と言えば会話であった。しかし、時代の流れと共に、手紙、電話、聞いたあと爆発するメッセージなど手段が増えていき、ネットが生まれたことによりさらに多様化していった。そしてついに最後の砦であった仕事まで、コロナウィルスの影響により対面ではなくネットを使ったリモートで行われるようになった。未だに紙の書類や印鑑にこだわる企業が多かった状況を考えれば飛躍的な進化である。石器で狩りをしていた旧人類が、アイパッドでヘラジカを仕留めるようになったみたいなものだ。しかし、こういう対面ではないネット上のコミュニケーションは人間に思わぬ影響を与える。気が巨大になってしまうのだ。見つめ合うと素直におしゃべりできないどころか、「ンフッ」という鼻呼吸をするだけがやっとの人間も、ネット上であれば、同じクラスにいたとしたら3年間1度も話せないような可愛いアイドルに暴言や卑猥な言葉を送ったりしてしまえるのである。リモート業務でも、今まで会社ではそんな素振りを見せたこともなかった人間が、リモートになった途端、女子社員にプライベートなことを尋ねたりする「リモートセクハラおじさん」と化した例もあるようだ。ネットでよく見る、隙あらばワンチャン狙う痛いLINEおじさんも、現実では若い女に声もかけられないノーチャンおじさんである可能性が高い。エロ自撮りアカウントは、リアルでは大胆になれない女が脱ぎ、リアルでは積極的に女に声を掛けられない男がワンチャン狙うという地獄のマッチングが成立しているともいえる。このように、良くも悪くもネットなどを介したコミュニケーションはリアルより積極的になれるため、もちろん恋愛でもよく使われている。「LINEモテテク」や、意中の相手と仲良くなるためにまずSNSのアカウントを尋ねたりと、昨今ではネットコミュニケーションツールを上手く使いこなすことが、モテや恋愛を成就させる鍵と言っても過言ではなくなってきている。そして、ネットコミュニケーションには「ブロック」できる、という最大の特徴がある。「ブロック」とは相手が送ってくるメッセージを拒否したり、相手が自分のSNSを見られないようにしたりする機能である。リアルであれば、話しかけようとする相手の口に馬糞を詰めたり、こちらを見ようとしてくる目に薬指と人差し指を使った本格的目つぶしを食らわせたりするようなものだ。そんなリアルでは絶対できないことをやってのけられる、痺れて憧れる機能なのだが「ブロック」するのは勇気がいるのでなかなかできない、という人も多い。明確な拒否表示なため、相手を不快に思っているからブロックしたいのに、ブロックしたことを相手に知られたら不快に思われるのでは、というワケのわからない心理である。しかしブロックはブロックである、アタックではない、相手を攻撃しているのではなく自分を守っているだけだ。何かあればすぐ「自衛しろ」と言われる昨今である、不穏なものを感じたら防御は躊躇なくしたほうが良いのだ。そもそも使って良い機能だからついているのだ、リアルで馬糞をお見舞いするのを我慢してやっているのだからネット上でくらいは我慢しなくて良いだろう。しかし、押せば相手に巨漢が3人ぐらい体当たりしてくる「アタック」ボタンがついたらそれはそれで需要がある気はする。--------------------------■バ行【バ】➤「バチェラー」(ばちぇらー)…結婚してはいけない3B男子の第4候補【ビ】➤「ビデオ会議」(びでおかいぎ)…「顔映す必要あるか」と思うが、外出自粛中、人の形を保つのに一役買っている【ブ】➤「ブロック」(ぶろっく)…ブロックを攻撃と取る者もいるが、己が攻撃したからブロック(防御)された可能性が高い【ベ】➤「別腹」(べつばら)…浮気を繰り返す人間も「別腹」と思っているので罪悪感を持たせることはできない【ボ】➤「ボイチャ」(ぼいちゃ)…顔出しリモート飲み会をやっているのはリア充、比較的陽気な陰キャはこれ、普通の陰キャはツイッターだけ**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。★オフィシャルサイト★Twitter
2020年06月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第58回アクマの辞典ダ行【ド】➤「ドライブデート」(どらいぶでーと)今回のテーマは「ドライブデート」である。都会は交通が発達しているので、車好き以外そんなに車を所有していないと思うが、私の住んでいる村では、車がないのはIQが低いジョブズレベルのヤバさなのだ。もはや一家に一台どころか、大人一人あたり一台がデフォルトなので、男だろうが女だろうが車を所有しており、大正や明治生まれでなければ免許も大体持っている。よって「女子だけでランチしよーよ! 」とガーリーなことを言っても「全員車で現地集合」という走り屋の集会スタイルになるのだが、田舎ではこれが普通だ。したがって、車を持っていることに全く特別感がなく、むしろ持ってないほうが「こいつどうやって生きてるんだ? 」と一目置かれてしまう。それゆえ「車はステータス」と言われてもピンと来ないのだが、ひと昔前には、車は男のステータスで、所有はもちろん、何に乗っているかで男の価値が決まり、そして良い車の助手席に乗せてもらうのが女のステータス、という価値観があったらしい。確かに我が村とて、全員軽トラに乗っているわけではない。むしろ、「女は軽だが男で軽は恥」とか、「ラパンのコフレピンクやフレンチミントは女子らしさをアピりたい雑魚ども全員が乗ってるから、あえてフェニックスレッドで差をつけろ」みたいな田舎特有の車マウントがあるような気がする。ただ、田舎も都会も共通するのは「車にこだわっているのは男」という印象だ。確かに、男女によって「好みがちなもの」というものはある。男は、車や新幹線などの乗り物、怪獣、ロボット、『ダークナイト』を好み、女は『セックス・アンド・ザ・シティ』やセーラーウラヌスを好みがち、というような一般論だ。確かに、男女によって好む傾向に差があるのは否定できない。しかし、その傾向からはずれている者に対して厳しくなりがちなのは良くない風潮だろう。例えば、女でロボットアニメが好きと言えば「どうせ彼氏の影響だろう」「女にロボットの良さはわからんだろう」、「女はリカちゃん人形で昼顔ごっこでもやってな」と言われ、男が魔法少女アニメを好むと、どストレートに「変態」と言われたりするヤツである。その発想は古いとしか表現しようがなく、ツイッターで炎上したくてそう言っているとしか思えない。「車は男のステータス」という価値観を自分が持つのは良いが「よって、女は車を語るべからず」というような否定的価値観を持つのは前時代的である。それゆえ、パートナーが何を好きでも構わないが「この良さは男、もしくは女にしかわからない」という論調の場合は注意が必要である。ただし「風呂場でキンタマの上に座ってしまった」「湯船で股間にメチャクチャ湯が入って時間差で出てきた」など、本当に男や女にしかわからない事象、というものは存在するので、そういう発言はノーカンにしてあげよう。--------------------------■ダ行【ダ】➤「誰でもいい」(だれでもいい)…顔がよくて年収1000万円以上なら誰でもいい、の略なので注意【ヂ】➤「地蔵」(ぢぞう)…周りが、自分には興味のない話題で盛り上がっている時のオタク【ヅ】➤「妻」(つま/づま)…この肩書きを得ることでモテるようになる場合もあるらしいが、それに魅かれて来る男は全員ヤバい【デ】➤「電撃結婚」(でんげきけっこん)…「妊娠○カ月」というオプションがついてない者だけ電撃結婚を名乗りなさい【ド】➤「ドライブデート」(どらいぶでーと)…ドライブデートの時、「私が運転するんですよ。変わってますよね!」とアピる女も同様に古い**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年05月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第57回アクマの辞典ザ行【ゼ】➤「絶叫マシン」(ぜっきょうましん)今回のテーマはザ行から「絶叫マシン」だ。私は遊園地に行っても絶叫マシンにだけは乗らない、なぜなら怖いし、怖いことを楽しいとも思わないからだ。一体何が楽しくて乗るのか全く理解できないので、絶叫マシンが好きだという人間に聞いてみた。すると「スピード感がいい」「爽快感がある」「無重力最高」「その後に来るGで絶頂」など、今世ではわかりあえない言葉のみが返ってきた。ただしGがゴリラなら、そこだけはまだ理解の余地がある。このように「絶叫マシン」は人によって好き嫌いがはっきりと分かれるため、「絶叫マシン好きはこういうタイプ」といった心理分析も巷でよく見かける。こういう「赤縁メガネをかけている女は欲求不満だからヤれる」的な「○○な奴は××情報」をなくすのが世界平和の第一歩である。言い切っていいのは「絶叫マシン好きの人は絶叫マシンが好き」ということだけだ。これに関してだけは「オニギリ好き太郎さんについて調べてみました!好き太郎さんはオニギリが好きみたいですね!」のように、わかりきったことしか言わないクソキュレ―ションサイトの姿勢のほうが正しい。よって無根拠なのは前提として、絶叫マシンが好きな人はどんなタイプかというと「スリルを好むタイプ」らしい。何となくそんな気がしていたし、おそらく間違いではないだろうと思う。しかし「恋愛心理学」などと呼ばれる、治安維持のため、一生童貞を誓う者以外には信じることを法律で禁じるしかない心理学によると、絶叫マシンを好む女はスリルを求めるため、口説きやすいらしい。もはや「ヤレる」という結論にもっていければ何でもいいような気がするが、その結論は少し短絡的すぎる。絶叫マシン好きな人は、確かにスリルを好むのかもしれない。しかし、スリルを得るために「絶叫マシン」という、一応安全が保障された乗り物を選んでいるのである。そういうタイプは、むしろ「見ず知らずの男についていく」といったリスクの高いスリルを求めたりしないのではないか。つまり「いきなりトラックの前に飛び出す女は口説きやすい」のほうがまだ理屈が通っている。世の中には生まれ持った性癖が法に反するという人もいるが、その全員が犯罪者になるわけではなく、多くの人は、妄想やフィクションなどで欲求を解消し、ホンモノに手を出すことはないだろう。それと同様に、スリルを求める性格は生まれつきでも、全員がそれを、ワンナイトラブや、浮気、不倫、連続殺人で満たそうとするわけではなく、絶叫マシンのように、合法、安全、人の迷惑にならない行為で満たしている者もいるのだ。よって「絶叫マシンが好きな女はスリルを求めるので、即ヤリしやすい」という結論にはならない。もちろん絶叫マシン好きのヤリマンもいるだろうが、全員がそうではない。過去に偉人がこう言っていた「赤縁メガネをかけている女がドスケベなのではない、ドスケベな赤縁メガネの女がいるだけだ」と。一例をすべてに当てはめようとするから、誤解や、犯罪は起きるのだ。■ザ行【ザ】➤「雑食」(ざっしょく)…何でも食うという意味にされがちだが、我々がそこらへんの草とか食わないように、やっぱり相手も選んでくる【ジ】➤「地味系女子」(じみけいじょし)…男性向け○○女子の説明の最後は必ず、「○○系女子は××だから落としやすい!」になる【ズ】➤「図々しい女」(ずうずうしいおんな)…産休、育休、時短勤務など、与えられた権利を行使しただけで言われる時もある【ゼ】➤「絶叫マシン」(ぜっきょうましん)…乗りたがらない人を乗せようとするのはハラスメントである【ゾ】➤「(ストライク)ゾーン」(ぞーん)…ストライクゾーン広めだからをアピールする奴ほど、死球はきれいに避ける**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年05月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第56回アクマの辞典ガ行【ゲ】➤「幻滅」(げんめつ)今回のテーマは、が行から「幻滅」である。「幻滅」とは、イケていると思っていた男の初デート先がポッポだった上、財布がマジックテープで、その場にいたどの中学生よりも軽快なバリバリ音を轟かせた、など「思っていたのと違った」ためがっかりする現象である。しかしこの幻滅は男が悪いというより、勝手にしゃらくさいイタリアンレストランに連れて行ってくれて、会計はこっちが便所に行っている間に済ませてくれるから、仮に財布がマジックテープでもこちらが目にすることはない、と思い込んだほうに非がある。このように幻滅というのは、自分のイメージと実際の相手との差が大きかったときに起こりやすい。よって、相手がいくらイトーヨーカドー前に、ウォレットチェーンをチャカつかせながら参上してもそれがイメージ通りなら幻滅などしないのである。つまり、幻滅しないためには、まず相手に間違ったイメージを持たないことが大事である。私の知り合いに、旦那が金にだらしなく多額の借金すらある、という人がいる。さぞ結婚したことを後悔しているだろう、と思うかもしれないが、少なくともそんなそぶりはなく、旦那の悪口や愚痴も全然言わないのだ。なぜなら、出会ったときから、周りに「あいつは金にだらしないから関わるな」と忠告されていたからである。それを知っていて、つきあって結婚しているので、特に幻滅も後悔もないのだ。そうは言うても家族に借金があるのは困るやろという気もするが、別家計なので今のところ自分に害はないし、害が出ても自分に収入があるのですぐ別れれば良いから、特に不安やストレスはないらしい。このように、幻滅を防ぐためには、過度に相手を美化しないことも大事だが「相手に期待しすぎない」つまり「頼る」という発想を持ちすぎないことが大事である。例えば「この人と結婚すれば一生安泰」と思い込めば、当然そうじゃなくなったときに「思ってたんと違う」となってしまう。「病気」や「失業」など、生きていれば当然起こり得ることすら「裏切り」と感じ、「一緒に乗り切っていこう」という発想すら起こせなくなってしまうのだ。逆に、最初から頼るつもりでなければ、相手が思っていたのと違っても、そこまで動揺することはない。むしろ己に自立心がないから、自分の人生を変えてくれる王子様が現れるのを期待してしまい、相手を過度に美化してしまいがちになるという現象が起こるのかもしれない。よって、まずは、万が一相手が借金モラハラバリ財布野郎でも、なるようになると思えるぐらい己が自立すれば、自然と幻滅という現象自体起こらなくなるのではないだろうか。ポッポが不満なら、自分がイタリアンレストランに連れていけば良いだけなのである。あとポッポもバリ財布も別に悪くない、それで勝手に幻滅したり一喜一憂してしまったりする我々が悪いのだ。■ガ行【ガ】➤「ガラスの仮面」(がらすのかめん)…完結させないと死後勝手にAIに続きを描かせそうなので頑張ってほしい【ギ】➤「ギリイケメン」(ぎりいけめん)…人を「ギリイケメン」「ギリ抱ける」などと言ってくる人間とは付き合うなと、ばあちゃんという概念が言っていた【グ】➤「グルチャ」(ぐるちゃ)…すぐ「俺のいないところでグルチャが行われている」被害妄想が起こるので最初から入らないほうが良い【ゲ】➤「幻滅」(げんめつ)…女にムダ毛が生えていることに幻滅する男は、こちらを人間と思っていないということなので別れたほうが良い【ゴ】➤「ゴールイン」(ごーるいん)…結婚をゴールと考えていると後々問題が起こりやすいので「終わりの始まり」という意味では正しい用法**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年04月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第55回アクマの辞典ワ行【ワ】➤「若作り」(わかづくり)今回のテーマはワ行から「若作り」だ。人間、成人したあたりから、実年齢より若くありたいと思うようになる。なぜそう思うのか、まずは自分の気持ちの問題だ。誰だって、朝っぱらから鏡を見て、お母さんやお祖母ちゃんを越えて「ご先祖様光臨!?」と思いたくはない。自分の顔を見てテンションが下がるという地味なメデューサみたいな目にあわないために、いつまでも若々しく元気な顔でありたいと思うのだ。もう1つは、それによって周囲からの扱いが変わってきたりするからである。若い女はチヤホヤされ、逆に年増は三段オチの三段目にされた上、それを「ヤダ~もう! キンタマもいじゃうぞ! 」と笑って流すのが、正しい職場のババアの姿である、という世界観のもとで生きていかなければならないとしたら、処女の生き血をジャブジャブ浴びてでも若くありたいと思ってしまうだろう。日本は未だに、その世界観寄りなところがある。若さがもてはやされるとは「年を取ると急激にチヤホヤされなくなる」ということでもある、その恐怖が女を処女狩りに走らせるのである。しかし、私は昔、ブスについて研究した自著の中で「ブスは加齢に強い」という話をしたような気がする。ただ、読んだ人間の記憶に残らないのはもちろん、書いた人間の記憶にも残っていないので定かではない。若ければ全員チヤホヤされるわけではない、若くても全く神輿に乗せてもらえない女は存在する、ソースは私だ。よく年を取って「美貌が衰えた」などと言うが、衰える美貌がそもそもない人間だっているのである。そういうタイプは、年を取っても失う美貌もチヤホヤもないため「30を超えてから、周りの対応が急に冷たくなくなった」などと感じることはないだろう。むしろ「30代も20代と変わらず塩、そして40代になってもおそらく塩」なのだ。それがわかっているため「加齢に対する過剰な恐怖」がないのである。美人は失う物が多くて大変デブスなあ、という話だが、加齢によってなくなるチヤホヤなどそんなに惜しむ必要はない。年を取ってチヤホヤがなくなったのは「若さ、一点のみを評価していた勢」が消えたと考えるべきである。逆に言えば、今後評価してくれる人は「若さ」とかいう誰もが一度は持てる物ではなく「君は上手投げの型がすごくキレイだね」など、能力や内面を評価してくれている、とも言える。年を取り、周りの態度が変わることで自分を「オワコン」と感じてしまう場合もあるかもしれない。ただむやみに落ち込み、無理に若さに執着するよりは、「ワンチャン狙われる若い女」という性消費コンテンツとしても終われたのだ、と前向きに考えてみてはどうだろうか。■ワ行【ワ】➤「若作り」(わかづくり)…美容意識が低い中年ほど「中学生みたいな格好で外に出る」といった超若作りをしてしまう【ヲ】➤「ヲタクに恋は難しい」(をたくにこいはむずかしい)…映画版にオタクが軒並み激怒したため「やっぱりオタクは面倒くさい」という偏見を強調することになった、と言われているが、偏見ではなく本当に面倒くさい【ン】➤「ンジャメナ」(んじゃめな)…恒例の「無理やり」としか言いようのない「ん」。今回はアフリカの地名です。お納めください**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。★オフィシャルサイト★Twitter
2020年04月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第54回アクマの辞典ラ行【ル】➤「ルッキズム」(るっきずむ)今回のテーマはラ行から「ルックス(ルッキズム)」だ。コンプラが重要視される現代。意識の高い国では、他人を容姿でからかったり、見た目で差別したりするなんて、もはや原始人のやることであり、ウケるどころか、そんな北京原人はわが社にいらないとさえ言われてしまう。しかし私は、その昔「ブスの本懐」という本を出したことがある。「ブス」なんて「1秒でも早く燃えたい」という自短炎上目的以外、言わないほうが良い言葉である。幸い拙作は、内容があまりにもなさ過ぎたため燃えるところにすら行けなかったのだが、今ならタイトルだけで「ジャケ燃え」できるかもしれない。確かに、全く良い言葉ではないので、見るだけで不快という人がいるのもわかる。そんな攻撃的な言葉を使わずとも「攻めたデザイン」「プロ向け」「時代が追いついていない顔」など、ポジティブな表現はいくらでもできる。しかし「見た目で判断するのは良くない」と頭でわかっていても、われわれ人間は他のお動物様より能力が劣っているため、基本的に判断を「視覚」に頼り切って生きざるを得ないのだ。他のお動物様方なら臭いや鳴き声、ブチャラティなら相手の頬を舐めるなどして、相手が嘘をついているかなどを判断できるが、人間は下等生物なのでそれができない。よって人間のこともとりあえず見た目で判断するしかないのである。だが、この「見た目で判断する」というのは、時に必要なことだ。子どもに「人間は見た目じゃない」と言いながら「怪しい人には近づくな」とも言っているだろう。この「怪しい」というのは明らかに見た目のことを言っている「見た目が何かヤバいヤツには近づくな」ということだ。もちろん、見た目は紳士、中身はゴリゴリのロリコン、という御仁も多くいるので、それで全て判断できるわけではないが、ヤバい見た目の人がマジでヤバいケースももちろんある。「見た目で判断することにより回避できる危機もある」ということだ。「人は見た目じゃない」と言って、全裸に青龍刀、という武器にだけ金をかけすぎたアバターみたいな人に積極的に声をかけていたら命がいくつあっても足りない。見た目で判断することも大事、つまり「見た目も大事」ということである。ただ、ここで大切にすべき「見た目」というのは「パンツを履いている」「洗った服を着ている」「3日以内に風呂に入った痕跡がある髪」などの社会的見た目のほうである。生まれつきの顔の設計やデザイン、耐震強度を見て「基準以下だから不採用」と容姿が関係ない場でビジュアル差別するのは、やはり「㈱北京原人」の人間がやることである。逆に言えば、風呂に入って洗濯された服を着るだけで避けられるマイナス査定があるということだ。見た目で判断するなんてバカらしいと思うなら、逆に「清潔感」という見た目にこだわったほうが良いということだ。ちなみに恋愛対象として「顔が良い人が好き」「ブサイクとは付き合いたくない」というのは差別ではない。これはただの個人の好みの問題であり「無職はちょっと」というのと同じである。つまり、大変遺憾ながら「顔がいい人間がモテる」という現象に不当性はない、ということである。■ラ行【ラ】➤「ランジェリー」(らんじぇりー)…キャラクターパンツは「元カノからのプレゼント」と決めつけられるので履かないほうがいい【リ】➤「リモートワーク」(りもーとわーく)…ただの仕事持ち帰りなら平時でもやっている【ル】➤「ルッキズム」(るっきずむ)…中身を見られたらもっと困るのでむしろ見た目で判断してほしい【レ】➤「令和婚」(れいわこん)…令和離婚のほうが再スタートという意味で正しい【ロ】➤「ロック画面」(ろっくがめん)…ここが無難なヤツほど中身がヤバい**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年03月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第53回アクマの辞典ヤ行【ヤ】➤「病みアピール」(やみあぴーる)今回のテーマはヤ行から「病みアピール」である。病(ビョウ)には二種類ある、肉体的なものと精神的なもの、そして同じクリアファイルを10枚以上買ってしまうオタクだ。肉体的な病(ビョウ)というのは、精神的なものに比べれば、わかりやすいし、心配もされやすい。骨折している人に「このわざとらしい松葉づえ!」と井之頭五郎の顔で言うヤツがいたら、そっちのほうが何らかの病(ビョウ)に罹っている。しかし、精神的なほうは見た目ではわかりづらく、理解もされにくい、心配どころか「メンヘラ」と揶揄され、ただの面倒くさいヤツ扱いされることさえある。病(ビョウ)が理解されないのは由々しきことである。しかし病(ビョウ)でもないのに、病(ビョウ)みアピールをする面倒くさいヤツが実在するのも事実だ。そういうタイプがなぜ病みアピールをするか、というと、よく言われている通り、人の気を引くためである場合が多い。よって「かまってちゃん」と呼ばれることもある。しかし、かまって氏が求めるかまわれ方は、的確なアドバイス、間違っても厳しいご意見などではない。彼女たちが求めるのは、己から無限に繰り出される「でも」「だって」を全て笑顔で受けきる合気道の達人、そして「私のこと嫌いになったでしょ?」に永遠に「好きに決まってんだろ」と言ってくれる語彙少な目な人間だ。病みアピールをする人とはつまり、他人からの関心がないと不安になるタイプであり、その気の引き方が「心配させること」なのである。どれだけ励ましてもネガティブなことしか言わず、黙ったかと思えば、本文なしで大量の錠剤の写真が送られてきたりするので、結局「面倒くさい」ということになり、人が離れやすくなってしまう。しかし、なぜ世の中にかまって氏が存在するかというと必ず「かまう氏」がいるからである。「マジ…ムリ…リスカしょ…」というつぶやきにリプ0件、いいね1件だったら、二度とそんな投稿はしないし、もちろんリスカもしない。「病みアピールでかまわれた」という成功体験があるから、何度でもアピるのである。人の関心を求めるタイプは、他人を強く必要としているということだ。求めれば「お?俺の出番か?」とベンチコートを脱ぎだすヤツの一人や二人現れるものなのである。よって、他人を全く必要としていない人間より、むしろこっちのタイプのほうがモテてしまう。しかしベンチから出てくるのは、包容力のある男ではなく「こういう女に優しくすればすぐヤレる、という成功体験を得ているおじさん」かもしれないのだ。誰しも、人にかまわれたい、認められたいと思う時はある。しかし「溺れる者はクソリプおじさんにも抱かれる」という。そのたびに誰でもいいから抱きしめてと叫ぶのは非常に危険だ。孤独にさいなまれた時、平成初期の同人便箋でよく見た、自分で自分を抱きしめる「己抱き」のポーズをとることで気持ちを落ち着かせられるよう、日ごろから訓練しておこう。■ヤ行【ヤ】➤「病みアピール」(やみあぴーる)…SNSで繰り返すたびに周囲の人間の質が落ちる逆ふるい【ヰ】➤「ヰトゲンシュタイン」(ゐとげんしゅたいん)…ドイツにある姓それ以上言うことがない【ユ】➤「指毛」(ゆびげ)…第二関節から上に生えていると逆にモテる【ヱ】➤「酔い泣き」(ゑいなき)…本物の泣き上戸と、酔って泣き言を言ったらちやほやしてもらえた体験が死ぬまで忘れられないタイプに分かれる【ヨ】➤「米津玄師」(よねづけんし)…推しカプのイメソンを歌ってくれる人としてオタクにも人気**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年03月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第52回アクマの辞典ハ行【フ】➤「不機嫌」(ふきげん)ゲーム「龍が如くシリーズ」には赤ちゃんプレイ好きのヤクザがオムツ姿で出てくる。帰るな、今からすごく大事な話が始まる。登場した時はただの変態という位置づけだったが、最新作ではついに「子どもが生まれてから妻が冷たくなった」と嘆く、男に子育ての大変さを説く存在にまでなっている。保母役の嬢曰く「夜泣きをされても、どうしたら泣き止むのか、どうして泣いているのかさえもわからない」のだそうだ。理不尽ですらある、しかしそれが赤ん坊というものであり、それを育てることがいかに大変かということがよくわかる。最初、坊主頭の強面がオムツ姿で「バブー!」と現れた時は、こんな重要なことを伝える役になるとは夢にも思わなかった。しかし、世の中には赤ちゃんでもないくせに、このような理不尽をやってのける人間もいる。今回のテーマは、は行から「不機嫌」だ。人間、生きていれば不機嫌な時もある。むしろこのストレス社会、機嫌がいい時のほうが☆5のSSレアかもしれない。しかし、大人になったら、どれだけ心のオムツがビショ濡れでも、他人の前では「股間の通気性抜群」という顔をしなければならない。そして一人になってから、ファミチキなどを食って心のオムツを取り換える「自分の機嫌は自分で取る」行為をしていかなければいけないのだ。それにもかかわらず、プレイ料金を払っているわけでもないのに、未だにオムツを他人に取り換えてもらおうとする人間がいる。会社などでも、不機嫌を全く隠さないのに、どうして不機嫌なのか全く説明しない、まさに夜泣きしている赤ちゃんみたいなのが一人はいるのではないだろうか。赤ちゃんでも正直ストレスなのに、大人であればそのウザさは計り知れず、職場の空気は極めて悪くなる。それが上司だったりしたら、周囲は「赤ちゃんプレイの保母嬢」という、求人票に書いてない業務をしなければならなくなってしまう。もちろん、恋人や家族間でもこの「赤ちゃん」は現れる。むしろ、恋人や家族ほど甘えが強くなるので、赤ちゃん出現率が高い。なぜ怒っているのか説明せず、不機嫌アピールをして、相手に機嫌を取らせようとする行為自体が恋人同士の「プレイ」とも言える。だが、この不機嫌赤ちゃんプレイばかり続けるのは自分のためにもならない。怒っている理由を説明せず、ただ謝らせたり機嫌を取らせたりして終わりにすれば、相手はまた同じことをするからである。説明責任を放棄して、ただ「アバー」とおムズがっているだけでは、相手は「これをすれば怒る」ということを学べないままなのだ。乳幼児とお母さんのまま関係性が成長しないのである。最近、ツイッターなどには怒っている人ばかりで、昔の飯と猫とIQ3の下ネタしかなかったころが懐かしいという声も耳にする。しかし、怒りをはっきり表明しなければ何も変わらないという面もあるので、それはそれで必要なことだとは思う。赤ちゃんだって成長して、いつかは自分の要求を言葉で伝えるようになるのだ。恋人同士の赤ちゃんプレイも1年ぐらいで卒業して、後は言語でコミュニケーションを取るべきだろう。■ハ行【ハ】➤「初恋」(はつこい)…一番キレイなのを初恋にしがち、ノーカンにされた初恋が2~3個ある【ヒ】➤「冷え性」(ひえしょう)…すぐに「僕が温めてあげようか? ナンチャッテσ(^_^;)」とLINEが送れないようでは一人前のおじさんとは言えない【フ】➤「不機嫌」(ふきげん)…若いころは機嫌をとってもらえても、そのうち居酒屋の隅に放置されるようになる【ヘ】➤「ヘイシリ」(へいしり)…シリと二人きりじゃない時に言える人間は稀【ホ】➤「包容力」(ほうようりょく)…ただ「丈夫」と思われている節がある**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年02月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第51回アクマの辞典マ行【メ】➤「目が合う」(めがあう)今回のテーマはマ行から「目が合う」だ。昔「目と目で通じ合う」というような歌もあった。知らない? あの『闇金ウシジマくん』1巻で、風俗に沈められて妖怪人間ベラみたいになったOLが歌ってたやつだよ、と力説しても仕方ないのだが、目が合うことで始まる恋もあるらしい。一度目が合っただけで「俺に気がある」などと思うようなヤツは完全に危険人物なのでGPSを埋め込むべきだと思うが、俺に気があるのではと思うことで、逆に相手のことが気になり、いつの間にか好きになっている、ということもあるようだ。しかし、元来人間は、自分の見たいものを見ようとする生き物である。コンサートでアイドルがアリーナ2階席に視線を向けたら150人ぐらいが「自分を見た」と感じるだろうし、推しカプが同じコマにいたら「付き合っている」ように見えるのだ。よって「よく目が合う」というのも、既に相手に好意を持っているがゆえの錯覚である場合も多い。そもそも、よく目が合うのは、自分も相手をよく見ているからなのだ。もしくは、自分か相手が「後頭部に目がある系女子」の時だけである。たかが「目が合う・合わない」で、恋愛にまで発展するものかと疑問が生じるかもしれない。しかし、何とも思ってなかった人が夢に出てきたり、好きなガンダムが自分と同じGだったりしただけで相手のことが気になりだすように、人間は割とちょっとしたことで相手に興味を持つものなのだ。相手の気を引くために、頻繁に目を合わせる、というテクニックがないこともないだろう。それに「目を合わせない」というのは、常にコミュ症あるあるランキングのトップに食い込んでくる条件である。コミュ症あるある全部当てるまで帰れま10でも大体最初に出てくる。ちなみに当てづらいのが「『フヒっ』ではなく、よく聞いたら『ンフっ』が多い」だ。つまり、コミュニケーションにおいて「目を合わせる」ことが重要であることは否定できない。逆に言えば、コミュ症と目が合うようになったら相手はかなり自分に心を開いている、もしくは相手が「目を合わせたまま完全に心を手放す術」を習得したかである。そういう相手にムリに視線を合わせようとしてはいけない「コミュ強がマウントをとってきている」としか思われないので、ますます閉じてしまう。野生動物がいきなり人間の手から餌を食ってくれないのと同じだ、まずは100メートルぐらい離れるか、壁を3枚ぐらい隔てて目を合わせることから始めよう。なぜコミュ症が人と目を合わせないかというと、恥ずかしい、緊張する、怖い、など様々理由もあるが、じっと見られることにより悪事を見透かされそうで嫌というのもある。これは、コミュ症が全員時効待ちの連続殺人犯というわけではない。特に悪い事もしていないのに、交番の前で早足になってしまうように、コミュ症やネガティブな人間は「見られる」=「悪いところを見られる」と思ってしまうのだ。よって目を合わせたり、見つめたりすることで相手の気を引く方法というのは、それなりにポジティブで自分に自信のある人間にしか通用しない。ネガティブな人間を見つめても「格好がダサいと思われている」「そんなに俺がPIKOを着ているのがおもしろいか」という被害妄想を爆発させてしまうだけだ。郷に入れば郷に従えだ、もしコミュ症の気を引きたいという奇特な方がいたら、まず目を全く合わさずに会話するところから始めよう。そうすれば「珍しく話しやすい人に会った」と思われるだろう。■マ行【マ】➤「マクラ営業」(まくらえいぎょう)…すぐ相手がSNSに書くので減ったらしい【ミ】➤「見合い結婚」(みあいけっこん)…そのうちマッチング結婚と言われるかもしれない【ム】➤「無人島」(むじんとう)…「無人島に持って行くなら何?」という質問、「宝くじ当たったら…」に次ぐ虚無【メ】➤「目が合う」(めがあう)…コミュ症は大体、襟あたりを見ているので、胸元が開いていない服を着て来てくれるとありがたい【モ】➤「モブキャラ」(もぶきゃら)…モブおじさんのように主役と絡めるモブもいるので希望を捨ててはいけない**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年02月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第50回アクマの辞典ナ行【ニ】➤「肉じゃが」(にくじゃが)今回のテーマは、ナ行から「肉じゃが」だ。それとは直接関係ないのだが、先日テレビでローカル番組を見ていたところ、どこかの市町村が「イクメン表彰式」をした、というニュースが流れてきた。その地域で育児を頑張っている男性に表彰状を送ったのだという。てっきり壇上に上がっている男性たちは、赤の他人の子供の世話を無償で頑張ったに違いない、それは偉い、表彰状の一つや二つくれてやるべきだろう、と思ったのだが、どうやら頑張ったのは「自分の子供の育児」のようである。つまり、当たり前のことをしているだけなのに「偉い」と表彰状を貰っているのだ。これは我が地域、納得の過疎化、限界集落待ったなしと言ったところである。おそらく、妻のほうも同じぐらい育児をしているだろうに、表彰されるのは男だけだという。父親の育児が表彰されるなら、我々全員「息してる」という理由で金一封を貰っていいはずである。なぜ男が、己の子供を育てただけで讃えられるのかというと、今でも「育てないヤツ」のほうが多いからだ。つまり「珍しい」という理由で褒められているのだ。希少価値で褒めるなら、もっとイリオモテおキャット様や、マヌルおキャット様とかを讃えるべきだろう。それと同じように「料理ができる男」も、未だに「すごーい」と合コンに住んでるサーバルちゃんに褒められていたりする。「得意」とかいうレベルではなく「できる」だけで褒められる対象なのだ。片や女は「料理ができる」というのは、それこそ「息ができる」と同じぐらいできて当たり前と思われているので「毎日人間が食えるものを作っている」という偉業を成し遂げていても、全く褒められない。だが昔から、男は胃袋と玉袋をつかめ、お袋(おふくろ)はこっそり殺せ、と言うように「料理上手」は現在でも女のチャームポイントの一つとされている。そして「肉じゃが」というのは、男が喜ぶ料理の鉄板と言われていた。なにゆえ「肉じゃが」なのかは諸説ある。もちろん芋と肉が甘辛く煮てあれば、誰でも泣いて喜ぶに決まっているのだが、それに加え「肉じゃが」が「おふくろの味」という人が多かったからではないか、とも言われている。今では、おふくろの味もハンバーグやグラタン、ハッピーセットなど多様化しているので、肉じゃがはすでに男ウケメニューとは言えなくなっているのかもしれない。料理上手をセールスポイントにするのは悪くない。飯というのはマストなため、それが毎日致命的に不味いと、すぐに精神に異常をきたすので美味いに越したことはない。しかし、料理ができない女がダメというわけでもない。ひと昔前まで「嫁がメシマズで」というと、嫁のほうが悪く、夫は同情される側であった。だが、今ではもう「じゃあ、なんで自分で作らないの」と言われてもおかしくない。料理ができないなら他のできることを担当すれば良い。仕事も家事も、得意な人がやるほうが効率も良くなるに決まっているのだ。性別で役割を決めて、ムリヤリ苦手なことをさせるから、メシマズ女や甲斐性なし男という悲しきモンスターが爆誕するのである。■ナ行【ナ】➤「涙袋」(なみだぶくろ)…たまに目よりでかくなっていることに気付いてない人がいる【ニ】➤「肉じゃが」(にくじゃが)…好みのタイプ「家庭的」「肉じゃが をおいしく作れる人」は「処女一択」と同じレベルの地雷になりつつある【ヌ】➤「濡れ髪」(ぬれがみ)…見るだけならセクシーだが、髪を拭かずにウロウロするヤツとは結婚しないほうがいい【ネ】➤「ネット婚活」(ねっとこんかつ)…ネットで出会った人なんて、というが現実で出会うヤツも結構ろくでもない【ノ】➤「ノーメーク」(のーめーく)…化粧動画は、いかにノーメーク状態がブスか、にかかっている**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年01月21日グラビアアイドルの栗山ことねがこのほど、東京・秋葉原のソフマップで最新イメージDVD『初めてのとき』(発売中 4,180円税込 発売元:竹書房)の発売記念イベントを行った。高校3年生だった2012年に女優としてデビューを果たし、同DVDがグラビアデビューとなる栗山ことね。上からB88・W60・H86という細身のボディーにHカップバストというグラビア映えしたボディーが魅力的だ。そんな彼女の初めてとなる同DVDは、昨年9月に初めて訪れたというバリ島で撮影。バリ島の大自然をバックに、セクシーな衣装や水着姿となって自慢のボディーを披露している。初めてのDVDについて栗山は「グラビアは初めてで何も分からずに言われるがまま撮りました。全編イメージで、セリフもその場で教えていただいた言葉を言った感じです」とロケを振り返り、「個人的にオススメなのが競泳水着のシーンです。競泳水着が結構ギリギリで、揺れる度に危ないみたいな感じでした。それと人生初のローションを使いました。そのシーンは結構頑張りましたね」とオススメのシーンを紹介した。1stDVDにも関わらず、表紙にもなった紫の超セクシーな変形水着や手ブラも披露していることについては「グラビアってこんなに攻めるんだ! と思いましたね。表紙にもなった水着はセクシーに撮っていただいたのでお気に入りのショットです」と満足げだった。同じ事務所に所属するグラドル・泉水蒼空(いずみ そら)の紹介でグラビア活動をスタートさせたという栗山。初めてのグラビア活動は「思ったよりも楽しかったです。もうちょっと恥ずかしさが勝つのかな? とも思いましたが、撮っている間に皆さん気分を乗せてくれるので、すごく良かったですね」とグラビアの撮影を楽しめたといい、「今後はファンの数を増やしていきたいですね。将来的にはダウンタウンさんの『笑ってはいけない』に出られるぐらい、有名になれたらと思います」と抱負を。栗山は細身にも関わらずバストはHカップと豊満なスタイル。「隔世遺伝ですね。姉妹はFカップ以上あって、私だけHカップ(笑)。毎日豆乳を飲んだら大きくなりました」と巨乳になった理由を説明していた。
2020年01月17日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第49回アクマの辞典タ行【チ】➤「遅刻癖」(ちこくへき)今回のはタ行から「遅刻癖」である。まず、この原稿が締切りを3日過ぎている。だが私はこれでも編集者から「締め切りを守るほう」と言われているのだ。それ以外褒めるところがないので消去法で言っているのかもしれないが、裏を返せば、他の作家がいかに締め切りを守っていないか、という話である。どのぐらい守っていないか、というと私が聞いた最長は「半年」だ。しかしこの業界の特殊なところは、人気作家、作品であれば、出版社も読者も半年どころか18年ぐらい待ち続けてしまうという点である。しかも、ようやくやって来た時のコメントは「遅えよ」ではなく「ありがとう」なのだ。だが、これは本当に特殊な世界で、さらに選ばれた者のみが持つ異能力である。赤子が絶対夜泣きしないベビーベッドがあったとしても、納期を18年も遅らせるようでは商売にならない。確かに夜泣きは18歳どころか40近くなった今でもするのだが、さすがに体のサイズが合わないだろう。このように「時間を守らない」というのは、ほとんどの仕事で致命的なのである。いくら他の仕事ができても、遅刻癖があったり納期が守れなかったりすると全てが台無しなのだ。そういう人は作家のように「全員守らない」世界に行くことをお勧めする。恋愛面でも、遅刻というのは大きなマイナスである。デートに遅刻してくることの何がマイナスかというと、遅れてきたことよりも「軽んじられている」という印象を相手に与える点だ。誰だって、石原さとみとのデートだったら、遅刻などしないだろう。むしろ3日前から待っても遅いぐらいだ。つまり、初デートで遅刻をするというのは、“ディナーの店がサイゼリア”よりも明確に「自分に気がない」と思われてしまうのだ。本当に気がなくても、時間を守らないのは人間的信用も落とすため、遅刻はサイゼリアのハイグレード版と言って良い。また遅刻というのは、相手を軽んじているだけでなく「このぐらい遅刻しても相手は待つし、怒りもしない、なぜなら俺のことが好きだから」という、何様感の演出にも一躍買っている。逆に言うと、相手がいつもデートに遅刻するという場合は、相手に軽く見られているか、何をしても怒らないと思われている可能性が高いだろう。だが、決して相手を軽視しているわけではないが、遅刻してくる人というのもいる。「待ったら死ぬ病患者」はそれにあたる。世の中には生まれつき1分待つごとに寿命が1年縮むという、病(ビョウ)に罹っているものがいるのだ。待ち合わせでも待ちたくないため、「ちょっと遅れていく」という行動を取りがちなのだ。このタイプは、3時間など派手な遅刻はしない、毎回きっかり5分遅刻してくるなど、むしろ誰よりも時間を守った遅れ方をしてくる。病(ビョウ)なので、自信過剰系の遅刻魔よりある意味矯正が難しい。これはもう難病のパートナーを支えていると思って我慢するしかないだろう。また先天的特性上、どうしても遅刻してしまうという人もいるので、頭ごなしに怒るのではなく、一緒に原因を究明してあげることも必要だ遅刻というと軽く聞こえるが「約束を守る」というのは、信用問題であり、相手へのリスペクトの表れでもある。これから付き合いたい、長く付き合いたいという相手にはするべきではないだろう。もしくは、1時間とかぬるい遅刻はせず18年待たせたほうが良い。そうすれば相手は怒りなど超えて「来てくれてありがとう」という感謝と感動に変わっているはずだ。■タ行【タ】➤「タイミング」(たいみんぐ)…運の次に失敗責任をなすりつけられている存在【チ】➤「遅刻癖」(ちこくへき)…じっとしていられないので予定を入れまくり、それがちょっとずつズレることで遅刻するというヤツもいたので理由は様々【ツ】➤「妻スタグラム」(つますたぐらむ)…他人の写真をネットに載せる以上、俺スタグラムも並行してやるのが平等だと思う【テ】➤「てへぺろ」(てへぺろ)…「殴ってください」という意味【ト】➤「トリセツ」(とりせつ)…カナさんが激怒する男を見ながらワインを飲むために作った曲**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2020年01月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第48回アクマの辞典サ行【ス】➤「好きのサイン」(すきのさいん)今回のテーマはサ行から「好きのサイン」である。結論から言うとこういった「サイン文化」はあまりよろしくない。人差し指と中指の間に親指を握りこむとか、親指と人差し指で作った輪っかに、もう片方の人差し指をぶっ刺すとか、単純明快でわかりやすいサインならよい。しかし「部屋に来たということはOK」「スカートをはいて来たからヤッてよい」など、相手が全く出してないサインを勝手に受信するのは犯罪のもとである。逆に「察して」ではなく、ちゃんと言葉で伝える習慣もつけなければいけない。何事もサインではなく明確な意思表示が大事なのだ。しかし「やらないか」「スケベしようや」と、なかなか言葉で言えないのが我々である。サインを読んだり読ませたりする文化は今後も続くだろう。「好きのサイン」が使われるのはどんな時であろうか。時に我々は、どんなに魅力的でも「無理め」な相手より「イケそう」な相手を選んでしまうことがある。これは致し方ない。素人がエベレストに挑んで遭難死したら「無謀」と呆れられ「高尾山にしておけば…」と言われるだろう、それと同じだ。山は無難なのにしとけという癖に、恋愛は死を覚悟で過酷なエベレスト級の相手に挑むべき、というのはおかしい。そして「イケそう」かどうかを判断する材料が、相手が自分に「好きのサイン」を発しているかどうかである。また、自分からは告りたくない時に「好きのサイン」を発して、相手から告らせようという時にも使う。この「好きのサイン」の出し方だが、昔であれば、でかいネズミを捕まえて来たり、相手の前で石を遠くに投げたりする 、という方法が取られていたが、今では専ら「LINE」だという。恋愛記事でも「相手の気を引くLINEテク」などの記事をよく見かけるだろう。しかし、LINEでもサインの読み違いは起こる。「LINEを送ると必ず返事が来る」というだけで「イケる」と勘違いしてしまう人間もいるのだ。これはよくネットに晒されている「痛いLINEを送ってくるおじさん」にありがちなことだという。相手が「痛いLINEを送ってくる知らないおじさん」だったら無視できる、それ以前に貴様は誰だ、という話だ。しかし、その「おじさん」というのは、客だったり、上司だったり取引先だったり「立場上無視はできないおじさん」というケースがあるのだ。よって、たとえ嫌でも返事だけは返すため、おじさんはそれを「好きのサイン」と勘違いし、「ちゃんづけしてくる」「下ネタを入れてくる」からの「なんちゃって」とエスカレートしていってしまう。つまり、おじさんに限らず「返事が必ず返ってくる」だけで「イケる」と思うのは事故のもとだ。せめて相手のほうから業務連絡以外の「無意味なLINE」が来るようになってから、登る準備を始めたほうがよい。ネットで自分の出したLINEが晒されているのを発見したくはないだろう。■サ行【サ】➤「サプライズ」(さぷらいず)…フラッシュモブプロポーズを断られてびっくりすること【シ】➤「塩顔」(しおがお)…さっぱり系の美形、それ以外は「モブ」と呼ばれる【ス】➤「好きのサイン」(すきのさいん)…「気づいてくれない」ではなく「無視されている」可能性も考えよう【セ】➤「整形美人」(せいけいびじん)…整形は嫌と言う癖に「天然ブス」も嫌だと言う【ソ】➤「ソウルメイト」(そうるめいと)…「うちらソウルメイトじゃん?」は「絶対お前とは付き合わない」の意**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年12月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第47回アクマの辞典カ行【ケ】➤「倦怠期」(けんたいき)今回のテーマはか行から「倦怠期」だ。倦怠期とは、セックスさえしていれば二人の時間はあっという間という頃を過ぎ、やっと相手の全体像が見えるようになって「あれ、こいつこんなエロ大根みたいな形してたっけ?」と思う時期である。大体、付き合いたての頃というのは、ときめきで目が眩んでいるので、視力が0.03、視野が2度ぐらいしかなく、相手の良いところしか見えず、悪いところはぼやけて見える。その霧がだんだん晴れて、当初から薄々気になっていた違和感が浮き彫りになり始めるのが、付き合いだして3ヶ月頃だと言う。それに加えて「飽き」や「慣れ」も起こっているため、ここで最初の「こいつのこと本当に好きなのか」「このまま付き合って良いのか」のシンキングタイムが始まるという。「どう見ても働いてない」「とても殴ってくる」「独身と言っているが子連れ」「犬だ」などの、でかすぎる違和感は3日ぐらいで気づくはずだ。気づくのに3ヶ月かかる違和感というのは「別れる決定打になるほどの違和感」でないことが多いため、逆に悩ましいとも言える。完璧な人間などいない、大体完璧な相手なら自分と付き合うはずがない、今頃石原さとみと付き合っているだろう。むしろ、自分と付き合っている時点で「見る目がない」という欠点があるのは明らかではないか。よって、ある程度、我慢も妥協も必要である。しかし、その違和感が“今は許せても、今後絶対許せなくなる”というような「悪性」のものだったとしたら、病気と同じで、時間が経てば経つほど良くなるどころか病状が悪化していくだろう。さらに、時が過ぎるほど別れるのも難しくなっていく。初期症状のうちに「別れ」という名の根絶治療をしたほうが良い場合もあるのだ。このように、相手への違和感に気づいた場合は、それが良性か悪性かの見極めが重要になる。だが、倦怠期には「相手に不満があるわけではないが、ときめきもない」という状況も含む。このような倦怠期の解消については、すでにベストアンサーが出ている。「相手を変える」ことだ。どれだけマヨネーズやトリュフ塩で味変しても、カレーはカレーであり、「カレー味のウンコに変える」以上の抜本的改革にはならないのだ。それを承知の上で、味変でなんとかやり過ごしていくのが、長く交際することであり、もう味変すらすることなく同じものを食い続けるのが結婚だ。ここで、我慢できずに、家にカレーがあるのに、こっそりウンコを食いに行ってしまったりするタイプは、一人の相手と長く付き合うこと自体に向いていない。そう言うと、一人の相手と長く付き合ったり、結婚したりすることは、味気なくつまらないことのように思えるかもしれないが、飽きを超えると「食い飽きたが、これさえ食っていれば死なないし、腹は壊さない」という「安心感」や「信頼感」に変わったりもする。ときめきや、刺激は、長く付き合えば、確実に失われていく。だが、その分「寝ゲロを一緒に掃除してくれる相手」など、得ているものもあるはずなのだ。【カ】➤「隠れメンヘラ」(かくれめんへら)…最近は、逆に「見せるメンヘラ」というファッションがある【キ】➤「筋肉フェチ」(きんにくふぇち)…よく聞くと「痩せすぎで筋肉が浮き出ている細身の男が好き」だったりする【ク】➤「口説き文句」(くどきもんく)…「猫見にくる?」と言われたら、断れる自信がない【ケ】➤「倦怠期」(けんたいき)…感じているのが「飽き」なのか「嫌悪」なのかが重要【コ】➤「婚活」(こんかつ)…ベテランになるほどダメ、という珍しい業界プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年12月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第46回アクマの辞典ア行【エ】➤「映画デート」(えいがでーと)今回のテーマはあ行から「映画デート」だ。私の住んでいるような村で、交際1年以上のカップルが行くところと言ったら、カラオケ、ネカフェ、ラブホテルのフリータイムぐらいしかない。つまり、簡易ラブホに行くか、ラブホに行くかの二択になるのだが、そんなただれたカップルにとって「映画」というのは比較的、健康的なデートである。しかし、映画がカップルにとって決定的な破局原因につながることもある。選んだ映画が「巨乳ドラゴン温泉ゾンビVSストリッパー5」だったから、というわけではない。上映中、やたらしゃべりかけてきたり、スマホをいじったり、果ては終盤で「ゲッツ!」という着信音を鳴り響かせてくるなど、センスを含めて相手に「ないわ」と思わせる行動が山ほどあるからだ。モラルとマナーの問題であるから、デートにサイゼリヤ云々如きより、よほど速やかに相手を萎えさせることができる。逆に、そういうことさえしなければ、無難なデートとも言えるだろう。だが、もちろん観た映画の内容がその後に無影響というわけではない。今、公開中の映画『ジョーカー』では、上映後どんよりしているカップルが散見されており「むしろそれがジョーカーの見どころ」と言っても過言ではないようだ。このように「デートに向かない映画」というものも存在する。一番向かないのは「鬱になる映画」だ。人間は、これだけ現実に嫌なことしかないのにフィクションでさらに嫌なことをするという変態生物なので、何故か結末がバッドエンドになる「鬱映画」が普通に出回っている。そういうものを事故ってデートで観てしまうと、その後の「夕食後ホテル」という完璧な流れが「そんな気分じゃない」になりかねない。ホテル前の時間つぶしで観た映画でそんなことになったら「痛恨」としか言いようがない。しかも「鬱映画」というジャンルはどこにでも潜んでおり、恋愛映画だからと言って油断できない。『タイタニック』と思って観たら『レボリューショナリー・ロード』だった、という大惨事もあるのだ。次に避けたいのは「よくわからない映画」だ。もはや、つまらないのかどうかさえわからない映画を観てしまった時、人は無口になる。つまり盛り下がってしまい、これもまたホテルが危うい。デートで一番観るべきは当然、おもしろい映画だが、つまらない映画が悪いかと言うと場合による。つまらなすぎると、逆に盛り上がるということもあるからだ。そこでオススメしたいのが映画『デビルマン』だ。この映画を観て、盛り上がれるかどうかで、感性が合うかどうかの12割がわかる。私は『デビルマン』を、デートで初めて観たのだが、鑑賞後、数々のツッコミどころでその相手と話が盛り上がることなく、その後破局した。あの時『デビルマン』のことで話が盛り上がっていたら、私の運命も変わっていたかもしれない。映画『デビルマン』は人の運命を変える最高のデートムービーである。【ア】➤「悪妻」(あくさい)…自称「悪妻」の女は自分のことをデキる嫁と思っている【イ】➤「犬派猫派」(いぬはねこは)…愚かな人間の好みなど、おドッグ様もおキャット様も興味ないと思う【ウ】➤「ウエディングハイ」(うえでぃんぐはい)…巨額の金を使いがちなのでマリッジブルーより結婚生活に影響が出やすい【エ】➤「映画デート」(えいがでーと)…何だかんだで「火薬の量が多いほど偉い」みたいな映画が一番無難【オ】➤「奥手」(おくて)…自分に興味を持ってくれない人間を、奥手や草食系と言いたがるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年11月21日DisGOONie第7弾公演 舞台『PSY・S』の公開ゲネプロが7日に東京・シアター1010で行われ、栗山航、萩谷慧悟、松村龍之介らが登場した。同作は2002年にAND ENDLESSにより初演された作品。西田大輔が作・演出を手がけ、17年の時を経て、新たな脚本となりディスグーニー第7弾公演として上演する。ロンドンを舞台に、彼女を探しにきた1人の若き医師コナン・ドイル(萩谷慧悟)は、ジョン・H・ワトスン(栗山航)、シャーロック・ホームズ(栗山航)に出会い、大きな事件に巻き込まれていく。舞台にはほか、赤澤燈(アルセーヌ・ルパン役)、中村静香(リオン役)、谷口賢志(教授役)、田中良子(リサ役)、村田洋二郎(ワーカー役)、中島早貴(メアリー役)、松岡里英(ライザ役)、伊藤孝太郎(エドモンド大佐役)、書川勇輝(トビー役)、鈴木勝吾(ディマリア役)らが登場。ホームズ、ワトスンといったおなじみのキャラクターに加え、怪盗ルパンや切り裂き魔、果てはルパンが狙う名画にまつわる謎など様々な物語が交錯し、アクションや大掛かりな仕掛けも満載のエンターテインメント活劇を繰り広げた。東京公演はシアター1010にて7日〜15日、大阪公演は梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて23日〜25日。○栗山航 コメント至極のミステリーが始まります!!皆さまも一緒に頭を悩ませて、僕たちが時間をかけてつくってきた世界にどっぷりはまって帰っていただけれたら嬉しいです!それではベイカー街でお会いしましょう!○西田大輔 コメント小さな頃から、読んでいたシャーロック・ホームズを独自の視点で描いた物語です。この旅もかけがえのない冒険になると思います。
2019年11月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第45回アクマの辞典パ行【ポ】➤「ポジティブ」(ぽじてぃぶ)今回はパ行から「ポジティブ」だ。ひと昔前なら、ポジティブシンキングこそ人類にとって不可欠なものであり「ネガティブは治してポジティブになりましょう」という「ネガティブが病(ビョウ)かよ」という暴論が平気で跋扈していた。だが最近は「ネガティブで何が悪い」という開き直りや「ネガティブこそ良いんだ」という逆張りも珍しくなくなってきた。自分を変えるより、頭をゾウさんに踏まれるなどして、今の自分を認め、好きになるよう意識を変えたほうが、手っ取り早い、ということである。実際ポジティブとネガティブ、どちらが良いかというと「どちらも良い所と悪い所がある」としか言いようがない。おそらく、野生動物などに不用意に近づいてランチになってしまう人というのはポジティブなのではないか、と思う。そういう人間はヒグマに遭っても「ぬいぐるみみたい!」というポジティブシンキングをしてしまううえ「これはバズりまっせ」と事態を前向きに捉えすぎてしまうのだ。さらに「少しぐらい近づいて写真撮っても大丈夫だろう」と楽観的ゆえに軽卒な行動を取ることも多い。その結果ゴールデンカムイ2巻、みたいなことになってしまうのだ。その点ネガティブな人間はヒグマを見た瞬間「死んだ」と、全てを諦め、声一つ出さずに食べられることが可能だ。もちろん、これはネガティブを極めた人間にしかできない偉業であり、少しネガティブなぐらいの人間なら、すぐに危険を察知し逃げる、程度が関の山だが、生存率が高いのはこちらである。このようにネガティブな人間はポジティブな人間に比べ、慎重さはあるのだ。しかし、逆に「常に最悪の事態を想定する」ため、行動力が著しく低いという欠点も持ち合わせている。私がひきこもりなのも、外に出たら、トレーラー、隕石、通り魔、いずれかに当たって死ぬに決まっているからだ。あらゆるリスクヘッジをした結果のひきこもりなのである。その点ポジティブな人間は、行動力やチャレンジ精神は高い。このように一長一短なのだから、どっちが良いわけでも悪いわけでもないのだ。だが、個人は良いとして、パートナーとして一緒にいるとしたら、多くの人は「ポジティブな人のほうが良い」と答えるのではないだろうか。しかし、考えてみてほしい。パートナーが怪しい商材を片手に「絶対儲かるから」とポジティブなことを言い、あなたが何を言っても聞く耳持たず、結果大損しても「これは勉強代!」とさらにポジティブ波状攻撃をされたら「やっぱポジティブな人とつきあって良かった」と思うだろうか。だからと言って、ネガティブな相手に何を言っても「でも」「だって」「そんなの無理」で返されるのも腹が立つだろう。パートナーとして大事なのはポジティブかネガティブかではない。「人の話を聞くか、聞かないか」である。【パ】➤「パジャマ」(ぱじゃま)…パジャマと部屋着の境界線がなくなり、そのうち外出着とも一体化する【ピ】➤「ピンキーリング」(ぴんきーりんぐ)…クリスマス後のメルカリのエース【プ】➤「プーチン」(ぷーちん)…「塩対応」は彼の表情をマスターすることからはじまる【ペ】➤「ペット」(ぺっと)…ペットを飼うと婚期を逃すという人間は、なぜペットより結婚のほうが上と思っているのか【ポ】➤「ポジティブ」(ぽじてぃぶ)…何も考えてない奴をどうしても褒めなければいけない時に使う言葉プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年11月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第44回アクマの辞典バ行【ベ】➤「ベッドテク」(べっどてく)今回のテーマはバ行から「ベッドテク」だ。若者のセックス離れ、草食化などと言うが、今でも男性誌からベッドテクページが消えることはない。もし本当にセックスに興味を失っているなら、このページはポメラニアンとかの写真になっているはずだ。むしろ女向けのベッドテクについては、情報が増えている。昔から存在してはいたのだろうが、一般誌で「女のお前ら! セックス特集だぞ! 集まれ! 」とやりだしたのは割と最近な気がする。「男に逃げられないようにつかむのは胃袋ではなく玉袋」と言えば語呂は良いが、そこは好みが分かれると思うので、まずは「その上にあるスティック状のもの」をつかみにいくべきだろう。しかし、ベッドテクで男の心をつかめ、と言われると「え~それだと~セフレとかにされちゃうじゃん~」と言葉より語尾のほうが長いんじゃねえの、といったような文句を垂れがちな我々だ。確かに、ベッドテクよりもっと大事なことあるだろ、という気がするが、諸外国から言わせると逆に「日本人はおセックス様を軽視しすぎ」だそうだ。実際、年間セックス回数は、おそらく日本がワースト1だった気がする。何故かというと、日本人は「明日仕事だから」と言ってセックスを控えたりするからだ。もうこの時点で、セックスがお盛んな国の人は「神よ…」とつぶやいて卒倒してしまうレベルだという。何故、楽しくない仕事のために、楽しいおセックス様を諦めなければいけないのか、という話だそうだ。そう言われてみれば、好きな食べ物を差し出されているのに「いや、これから嫌いな食い物を食うから、腹を空かせておかないと」と言って辞退するようなものである。意味がわからない。このように、日本はセックスに興味はあっても優先順位が低いので「ほかに大事なことがある」と何がほかに大事なのかわからぬまま、ベッドテクを学ぶということが後回しにされてきたのかもしれない。確かに女のほうも「観音様や! 」と拝まれるレベルのテクはなくて良いが、男同様、マナーレベルのベッドテクは「でも~セフレに~」などと言わず学んでおくべきだろう。しかし、女が男に求めるマナーと言ったら、避妊してほしい、乱暴にしないでほしい、ワキ毛をチェックする時間を与えろ、などいろいろあるが、男が女に求めるマナーとはなんだろうか。まず思いつくのは「噛まずにお舐めください」という、薬の用法によく書いてあるやつだが、それ以外あまり思いつかない。だが、もしかしたら男は女に「自分でオメガに気づいてほしい」と思っているのではないだろうか。オメガというのは股間が臭い女のことだ。あの部分はワキ同様、体質的にニオイがキツイ場合があるのである。しかし、0.01ミリ、サガミオリジナルレベルでも愛があれば、そんなことを男から女に伝えるのは憚られる。よって「我慢」するしかない。それを本人が気づき、自分で対策してくれたら、これほどありがたいことはない。もちろんこれは私の妄想であり、男が実際どう思っているかはわからない。このようにセックスマナーというのは「言ってくれなきゃわからない」の世界である。直接は言えなくても、どこかで言い続けていれば、いつかおセックス特集様が女に伝えてくれるだろう。【バ】➤「バイブス」(ばいぶす)…パリピにだけ「高まっている」ことを感じられる、謎の単位【ビ】➤「ビフォーアフター」(びふぉーあふたー)…美人にブスメイクをして「ビフォー」だと言っている説がある【ブ】➤「文学系男子」(ぶんがくけいだんし)…メガネをかけているイケメンのことちなみに理系男子はメガネをかけているイケメンのこと【ベ】➤「ベッドテク」(べっどてく)…知らなきゃ人体を破壊しかねないので、最低限知っとくべき【ボ】➤「ボディタッチ」(ぼでぃたっち)…セクハラをなくしたいなら、女のモテテクからもボディタッチを外すべきプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年10月21日京都コンサートホール 大ホールで10月20日(日)に開かれる文化の祭典『時の響2019』の公演に向け、京都市交響楽団常任指揮者の広上淳一、女優の栗山千明、作曲家の酒井健治が京都市内で開かれた会見に登壇し、抱負を語った。『時の響』は、同ホールのロビーで世界文化遺産のアーカイブの展示やワークショップが行われるほか、1階のエントランスでは飲食物も販売。ホール全体がパビリオンに変わる。舞台では第1部で日本とオーストリアの国交150周年を記念して、ロックバンド・くるりの岸田繁が選曲したウィーンにちなんだ楽曲や、岸田によるくるりのヒット曲などがオーケストラとともに演奏される。指揮・ナビゲーターを務める広上は「ホール一帯を散策しながらいろんな芸術や演者の気持ちの響きを味わっていただきたい。岸田さんは才能豊かな温かい音楽を作る方。彼が心の故郷と思っているのがウィーンで、現地でレコーディングしたときに思い付いた楽曲がくるりのヒット曲になっている。その作品を京都市交響楽団と演奏できるのは楽しみです」と話す。第2部では京都で生まれた歴史的エッセイ『徒然草』の243段の中から、哲学的要素が語られた部分を切り取り、栗山が着物姿で朗読するほか、岸田作・編曲の『京のわらべうた変奏曲』を栗山の朗読と交えて上演する。広上は「個人的に栗山さんの大ファンで、今日お会いできて思い残すことはありません(笑)。彼女の朗読とオーケストラの音がどう溶け合い、どう味わいが出るのか」と期待を寄せる。第1部でナビゲーターも務める栗山は「オーケストラとともに朗読するのと、生でライブのナビゲーターは初めてなので、正直不安ですが、来場者の方と一緒に楽しめるように挑みたいです」と応えた。また、この日世界初演されるヴィオラ協奏曲『ヒストリア』を作曲した酒井は「ヴィオラは、演劇でいうと渋いおじさん俳優が演じるオケの引き立て役。そんなヴィオラが一番前に立って演奏し、この楽器のいろんな表情が見られる作品です」と自信を見せた。会見後、ぴあの単独取材に応じた栗山は、「学生のときは『徒然草』は古文というだけで、気後れするような感覚だったんですが、今、改めて読み直すと、人の感情や思うことは時を超えても変わらないんだなと感じました。すごく共感するところがあり、時代を問わず人の心に響く作品です。難しいとは思いますが、オーケストラの音に助けていただいて、美しい日本語を気持ちよく朗読できればと思います。オーケストラはハードルが高いというイメージがあるかもしれませんが、ライブという感覚で音を楽しむことに変わりはない。気軽に来ていただきたいですね」と話した。公演は10月20日(日)、京都コンサートホール 大ホールにて。チケット発売中。取材・文:米満ゆうこ
2019年10月08日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第42回アクマの辞典ダ行【ダ】➤「だめんず好き」(だめんずずき)今回のテーマはダ行より「だめんず」だ。「だめんず」とは「ダメな男」を指すわけだが、「だめんず」はそれそのものより「そういう男が好きな女」を語る時に出てくることが多い。まず、だめんずの「だめ」とは何がダメかというと、ブサイクとかデブとか、ハゲとか、ハゲなのにまつ毛が長くてその割にスネ毛が薄いとか、そんな文字通り表面上の話ではない。だめんずの定義に外見的ダメさが入ってくることは滅多にない。そう言った意味では公平な世界である。「だめんず」の条件はいろいろあるが、いつの世も不動のトップ3である、イカれたメンバーを紹介するぜ。「DV(モラハラ)野郎」「金銭感覚崩壊太郎」「全身下半身」とても「だめんず」などというかわいい表現では収まりきらない、せめて「堕免豆」と漢字表記して、注意喚起すべきだろう。だが、そういう男とつきあったり結婚してしまったりした女を単純に「見る目がない」「選んだほうも悪い」と責めることはできない。そういう男は、交際や結婚した瞬間「リボーン」する場合も多く、ラーの鏡でも持ってないと見破れない、ということもあるのだ。しかし、普通の女なら「こいつボストロールやんけ」とわかった瞬間に逃げ出したり、倒して経験値を2500くらい手に入れた後は、同じ過ちを繰り返さなかったりするものである。それに対し「だめんず好き」と言われる女は、ボストロールだとわかった後も、正体がバレる前の姿を「本物のカレ」と自分に言い聞かせてつきあい続ける。もしくは正体がわかった上で「こんな緑色の紫ワンショルダー野郎とつきあってあげられるのは私だけ」と思い込んで離れられないのだ。そして別れたとしても、何度も狙って同じ犬のクソを踏むというより、踏み出したところに犬のクソが滑り込んでいるのか、というぐらい、自然に同じタイプとつきあってしまうのである。たまたま、つきあった男がダメだったり、支配されて別れられなくなったりすることは、誰にでもあり得ることだ。しかし、何度も同じようなタイプとつきあってしまうとは何事だろうか。理由としては「だめんずに目をつけられやすい」もしくは「だめんず(とつきあっている自分が)好き」もしくはその両方が挙げられる。自分に自信がない女はだめんずにつけこまれやすく、そして自信がない女はだめんずとつきあっている時だけ「普通の女なら逃げだしている男と私は互角にやりあっているんだ」という「自信」を持てるのではないか。そうだとしたら、別れた時に再び「自信喪失」してしまうので、また自信をつけにいってしまっても不思議ではない。だめんずに3千円渡すくらいなら「プロテイン一袋」買って、とりあえず「肉体的自信」でもつけたほうが良い。DV野郎に殴られても、殴り返せるようになって一石二鳥である。【ダ】➤「だめんず好き」(だめんずずき)…なぜ自慢げに言う女がいるかというと「手に負えない男と私はつきあえてる」という自負があるからだが、手に負えている時点でそんなにダメな男ではない【ヂ】➤「地雷」(じらい/ぢらい)…好きなものより「これが許せない」という話ばかりする人間がいる、もはや好きなのか【ヅ】➤「○○疲れ」(づかれ)…むしろなぜ疲れないのか不思議な生活をしているのがオタク【デ】➤「デート商法」(でーとしょうほう)…ターゲットが若者より、若者と話したい高齢者になりつつある、要注意【ド】➤「鈍感力」(どんかんりょく)…敏感や繊細を自称する人間ほど、他人の痛みへの鈍感力が凄まじいプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年10月05日小田急電鉄は、小田急小田原線の東北沢駅から世田谷代田駅間までの1.7kmにわたる新たな開発エリアを「下北線路街」として2020年度までに整備する。下北沢エリアの街づくり「下北沢線路街」小田急電鉄は、小田急小田原線の代々木上原駅から梅ヶ丘駅間において、鉄道地下形式での連続立体交差事業(事業主体:東京都)と、複々線化事業により創出された鉄道跡地の開発計画である「下北沢地区上部利用計画」に取り組み、世田谷区・京王電鉄とともに下北沢エリア一帯の街づくりを遂行していく。小田急電鉄の開発は、「BE YOU. シモキタらしく。ジブンらしく。」をコンセプトに、個性にあふれるシモキタの魅力をのばしつつ、街に不足している緑を増やし、街とのつながりを意識して回遊性を高める空間と賑わいづくりを推進する。「下北線路街」には、新たなコミュニティを創出する商業施設を設けるほか、日々の疲れを癒してくれる温泉宿泊施設、地域とつながる保育園、出会いと学びを提供する学生寮、新たなチャレンジや個人の商いを応援する長屋などの施設も開業。さらに、“みんなでつくる自由なあそび場”をコンセプトとする「下北線路街 空き地」には、トライアルでお店を開けるレンタルキッチンや、さまざまな活動ができるイベントスペースが設けられる。主な商業施設と宿泊施設商業施設「シモキタエキウエ」「シモキタエキウエ」は、生活雑貨やグリーンショップ等の販売店、カフェをはじめ大衆居酒屋や立ち飲み屋などの飲食店が集まる商業施設。シモキタの街中のような雑多な雰囲気で、あらゆるシーンに沿う店舗が軒を連ねる。2019年11月に開業予定だ。商業施設1(名称未定)“コミュニティをつくるライフスタイル提案型”の新商業施設には、グローサリー、 喫茶、ミニシアター、ラウンジ、宿泊施設などを併設する。駅前広場や施設内でさまざまなイベントを開催し、新たなコミュニティが生まれる場を目指す。2020年12月開業予定。商業施設2(名称未定)“洗練された個店が集まる次世代型の商業ゾーン”も誕生。セレクトショップやこだわりの食材を使ったレストランなどが路面店のように集う。2020年12月開業予定。商業施設3(名称未定)ちょっとしたライブや演劇など、パフォーマンスができる設備を兼ね備えたシモキタらしい“エンタメカフェ”も、2020年12月よりオープン予定。一般の人も、レンタルスペースとして貸し切り利用が可能となっており、カルチャーの街・シモキタの魅力をさらに盛りあげる。宿泊施設1(名称未定)温泉付きの宿泊施設は2020年9月オープン。都会の喧騒を忘れさせ、日々の疲れを癒す温泉旅館は、箱根から運ぶ温泉露天風呂のある大浴場のほか、レストランや茶寮&BAR、ボディケアサービスなど、宿泊客以外の方も利用できる設備が揃う。宿泊施設2(名称未定)国内外のさまざまな旅行者のため都市型ホテルも「下北線路街」に完備。個室仕様の客室に加え、ホテル内に併設のカフェバーもあり、一般の方も利用可能。音楽やイベントの発信も行っていく見込み。2020年12月より開業予定となっている。KALDINO世田谷代田が発祥の「カルディ」によるテストキッチン&カフェ「KALDINO」が、2019年12月にオープン。商品開発 キッチンと事務所&カフェを併設するほか、 試食会など地域に開く不定期イベントも開催する予定だ。【詳細】下北線路街整備完成予定:2020年度対象エリア:小田急小田原線 東北沢駅~世田谷代田駅敷地面積:約27,500平方メートル
2019年10月03日映画『種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~』の製作発表会見が昨日9月24日(火)映画の舞台となる石川県金沢市にて行われ、主演の栗山千明をはじめ、平岡祐太、監督の井上昌典らが出席した。大学卒業後、大阪・堺市で銀行マンとして働く山田良一にある日、故郷の金沢でれんこん農家を営む母から「父親が脳梗塞で倒れた」と電話が入る。父・竹一が倒れたことにより、畑を引き継ぐか売却か二択を迫られる良一。結婚を考えている恋人のこともあり、なかなか決断できないが、種まき・収穫など決められた時期に作業を行わなければならないため、良一は戸惑いながらも父に代わって畑へと向かう。一方、農林水産省かられんこん農家の視察として神野恵子が金沢へとやって来る――。本作は、日本の「食」を支える農業や漁業といった第一次産業を応援するためにスタートした『種まく旅人』シリーズの最新作。1作目は大分県の「お茶」、2作目は淡路島の「タマネギと海苔」、3作目は岡山県の「桃」を題材に製作。そして今回シリーズ4作目となる最新作は、石川県金沢市の伝統野菜でもある「加賀れんこん」。高齢化に伴う後継ぎ問題や農業で活躍する女性たち、通称「農業女子」をテーマに、心温まるヒューマンストーリーが金沢の美しい自然の風景とともに描かれるようだ。シリーズ2作目に続き、主人公・神野恵子役の栗山さんをはじめ、実家のれんこん畑の後継ぎ問題に直面する銀行マン・山田良一役の平岡祐太、大久保麻梨子、さらには木村祐一、永島敏行、綿引勝彦が出演。今回行われた会見では、2作目に続いての出演となる栗山さんは今回の参加を喜び、「前作では、作品を通して『食』に対して自分自身、向き合う機会を頂くことができました。『種まく旅人』の撮影は農業を体験する、ドキュメンタリーのような感覚もある作品なので、ひとつひとつの演技をリアルに、感情豊かに演じられたらと思います」と意気込み。また、平岡さんは「台本を読み返してみるたびに、自分が演じる良一役が、自分ことのように感じることが増してきていて、今では共感をもって演じています」と明かす。さらに、「実際の撮影がどのようになるのか楽しみです」(栗山さん)、「はじめて、くわ掘りでれんこんを収穫する映像をみましたが、生産者の方々がこんなに苦労されて収穫しているのかと驚きました」(平岡さん)と撮影を控えているというれんこんの収穫シーンについても語っていた。『種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~』は2020年初夏、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2019年09月25日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第42回アクマの辞典ザ行【ズ】➤「ズルズル」(ずるずる)今回のテーマはザ行から「ズルズル」だ。人間の人生の3分の1は「睡眠」だと言うが、それよりも長い時間、この「ズルズル」をやっているヤツもいる。物事というのは「はじめる」「つづける」「おわる」で1セットである。私ほどのスゴ腕無職になると「なにもしていない」が一番長くなるのだが、大体の人は上記の流れを繰り返しながら生きていると思う。その中でも「おわる」が苦手な人間は「ズルズル」しやすい。よく、ジムなどに会費だけ払って行かない、という慈善事業に従事している人がいる。普通の人から見れば、もったいないから早く退会すれば良いのにと思うかもしれない。しかし「おわる」が苦手な人間からすると、まず退会を伝えにいく「手間」が面倒、そして退会を伝える「勇気」が出ない。そして「ああ、こいつ続かなかったんだな」と思われるのが嫌という「見栄」がある。それらのコストを考えると退会より会費を払い続けたほうが「安い」と感じてしまうのが「おわれない人」である。おわれない人はとにかく「終わり」をマイナスなことと思っている。よって恋愛もなかなか終わらせることができない。恋愛には、愛情もなければ未来もない、バッグでずっとセックスピストルズが「ノーフュ―チャー ノーフュ―チャー」と歌っているような状況に陥るときがある。そういうときに限って、愛も未来もなければ「別れる理由もない」。つまり真の意味での「虚無」であり、この関係がラブホのポイントカード以外なにも生み出さないのは明白だ。これ以上の時間的損失を出さないために、多くの投資家が「損切り」のサインを出すところである。しかし、おわれない人は未来の時間より「これまで使った時間」が無駄になることを厭う。そして「こいつと別れても、次が見つかる気がしない」など終わることによるデメリットばかりに目を向け、「つきあい続ければ好転の可能性がある」と続けることのメリットを無理にでも作り出そうとする。つまり、終わることにより次が始められる、というポジティブな気持ちになれない、己の未来に悲観的でネガティブな人が「おわれない人」になりがちなのだ。だが、これは短所でしかないとも言い切れないだろう。続けられること自体が才能だし、続けることで上向く可能性もなくはない。それに、次の新しい相手がリアルセックスピストルズ、シド・ヴィシャスからカリスマとセンスを取ったような男で、前の相手のほうが5兆倍マシだった、ということもある。また「はじめる」が苦手な人は慎重だが、慎重すぎると「なにもしてない時間」だけが過ぎ、「慎重なだけの無職」になってしまう。「はじめる」のも「おわる」のも得意だが「つづける」が壊滅的に苦手というのは、ただの「飽きっぽい人」だ。「ときめき」が重要視される恋愛の場合、「ズルズル」は悪いことかもしれないが、結婚となると、良い事もないが悪い事もない状態は「ズルズル」ではなく「安定」と言われたりする。「ズルズルできる関係」というのも決して悪い事ではないのだ。【ザ】➤「残念男子」(ざんねんだんし)…他人に「残念」「惜しい」と言われるのは、告ってないのにフラれるに等しい【ジ】➤「ジェンダーレス男子」(じぇんだーれすだんし)…指毛や腕毛が生えていてもガタガタ言われない「ジェンダーレス女子」も認めてほしい【ズ】➤「ズルズル」(ずるずる)…継続は力なり、主に「忍耐力」がつく【ゼ】➤「前世」(ぜんせ)…前世恋人同士だったより、前世王族とカナブンだったものが、今世結ばれるほうがロマンチック【ゾ】➤「増税」(ぞうぜい)…「増税前に買っとこう浪費」を今すぐやめろプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年09月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第41回アクマの辞典ガ行【グ】➤「偶然(運命)の出会い」(ぐうぜんのであい)今回のテーマはガ行から「偶然の出会い」だ。日本には根強い「天然信仰」がある。養殖より天然、どんな美人でも整形とわかるや否や、皆「これは偽物ですよ」と美味しんぼの山岡の顔になる。よって「出会い」も天然、つまり自然なほうがよいとされてきた。ベストなのは、学校や職場などの出会うことが一番の目的ではないコミュニティでの出会いである。それに対し「インターネットで知り合った」というのは、私たち世代では養殖の出会いであり、結婚式などでは「(出会い系の)紹介で知り合った二人」と、そこは省略されることが多かった。しかし、そう言った自然な出会い、つまり偶然の出会いにこだわり過ぎると、針に何も引っかからないまま、人生の日が暮れてしまう、というリスクがある。それに「偶然の出会い」と言っても、実は必然要素もあるのだ。魅力的な人間であれば、周りが勝手に「これは運命(偶然)の出会い」と感じて近づいてくるので「偶然発生率」が高くなる。だが、そうでない人間だと、自分が「ペロッ!これは運命!」と思わなければ、偶然の出会いは発生しないし、自分はそう思っていても相手は「この合コンが終わったら二度と会うことはないだろう」という別の運命を感じている可能性もある。偶然の出会いを発生させるにも成立させるにも、それなりの魅力が必要なのである。あまりそれがない人間は、「偶然の出会いが起こるのをひたすら待つ」のみで時間ばかりが過ぎ去っていき「お客さんそろそろ閉店時間なんで」と言われてしまうだけなのだ。偶然の出会いが勝手に起こらない人間が偶然を起こそうと思ったら、出会いがありそうな場に積極的に出向き、進んでコミュニケーションをとる。偶然発生率を高める努力が必要となってくるのだ。つまりやる気と行動である。しかし最近は、そういったやる気と行動力があるなら「出会いに繋がるかもしれない人と出会えるかもしれない場」のような「友達のいとこの夫の愛人である義父」のごとき遠い場所で無駄撃ちするより「出会いを求めている人が集まる場」で的確に狙ったほうがよいだろう、という風潮が強まってきている。つまり、本気で出会いたければ、むしろ早めに信用のおける出会いアプリや結婚相談所などの、ネットや業者を挟めということである。確かに、職場のような「自然な出会いの場」にだって、妻子持ちなのに恋愛しようとする人間は潜んでいるものである。自然な出会いの場のほうが、養殖場より魚の質がよい、なんてことはないのだ。そして、天然物より美味い養殖物はいくらでもある。よい出会いを求めるなら、逆に漁場にはこだわらないほうがよいだろう。【ガ】➤「学歴」(がくれき)…これと年収の落差がひどいと、ないほうがマシなぐらいモテない【ギ】➤「義父母」(ぎふぼ)…夫ガチャで引くと強制的に引かなければならないガチャ、1つでも爆死すると死につながる【グ】➤「偶然(運命)の出会い」(ぐうぜんのであい)…ライブで「俺のほう見た」と思うのと同じ、思うことが幸せ【ゲ】➤「下戸」(げこ)…酒が飲めるヤツがやる失態を犯さずに済む、むしろ得な人【ゴ】➤「誤送信」(ごそうしん)…「あえて誤送信」というLINEモテテクがある。お母さんにエロ画像を送ってしまったときも「あえて」と思おうプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年09月05日