2020年の演劇界の成果を顕彰する第28回読売演劇大賞(主催:読売新聞社、後援:日本テレビ放送網)の受賞作・受賞者が9日、明らかになった。同賞は演劇文化の振興のために1992年に創設され、選考委員のノミネート、投票委員の投票という2段階を経て、作品、男優、女優、演出家、スタッフの5部門の年間最優秀賞を決定する。このほか、新人を顕彰する杉村春子賞や、長年の功績や優れた企画を顕彰する芸術栄誉賞を設けている。大賞・最優秀女優賞には世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、及び東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技が評価された女優の鈴木杏が選ばれた。最優秀作品賞には『リチャード二世』(新国立劇場)、最優秀男優賞には山崎一、最優秀演出家賞には藤田俊太郎が選ばれ、さらに世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』ジョン・メリック役の演技が評価された小瀧望が、杉村春子賞に輝いた。選考委員特別賞には「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」が選出された。正賞はブロンズ像「蒼穹」、副賞は大賞・最優秀女優賞に200万円、その他の最優秀賞並びに杉村春子賞、芸術栄誉賞、選考委員特別賞に各100万円が贈られる。贈賞式は2月25日17時半より開催され、式典の模様は、読売新聞オンラインにてライブ中継される。○大賞・最優秀受賞作・受賞者■大賞・最優秀女優賞鈴木杏:世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技■最優秀作品賞『リチャード二世』(新国立劇場)■最優秀男優賞山崎一:Bunkamura『十二人の怒れる男』の陪審員3番役の演技、シス・カンパニー『23階の笑い』のヴァル役の演技■最優秀演出家賞藤田俊太郎:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の演出、梅田芸術劇場『NINE』の演出、梅田芸術劇場『VIOLET』の演出■最優秀スタッフ賞齋藤茂男:KAAT神奈川芸術劇場『アルトゥロ・ウイの興隆』の照明、世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」の照明■杉村春子賞小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』のジョン・メリック役の演技■芸術栄誉賞緒方規矩子:舞台衣装デザイナーとして長年にわたり活躍し、多くの後進を育成した■選考委員特別賞「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」(世田谷パブリックシアター)○優秀賞受賞作・受賞者■優秀作品賞『天保十二年のシェイクスピア』(東宝)『ゲルニカ』(パルコ)『NINE』(梅田芸術劇場)■優秀男優賞大谷亮介:serial number『All My Sons』片岡仁左衛門:国立劇場『彦山権現誓助剣-毛谷村―』小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』城田優:梅田芸術劇場『NINE』■優秀女優賞安蘭けい:TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW『ビリー・エリオット 〜リトル・ダンサー〜』池谷のぶえ:パルコ『獣道一直線!』神野三鈴:serial number『All My Sons』那須佐代子:シアター風姿花伝『ミセス・クライン』、新国立劇場『リチャード二世』■優秀演出家賞詩森ろば:serial number『All My Sons』、流山児★事務所『コタン虐殺』瀬戸山美咲:世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」原田諒:宝塚歌劇団『ピガール狂騒曲』眞鍋卓嗣:俳優座『雉はじめて鳴く』、名取事務所『少年Bが住む家』■優秀スタッフ賞梅田哲也:Bunkamura『プレイタイム』の構成・演出乘峯雅寛:加藤健一事務所『プレッシャー-ノルマンディーの空-』の美術、シアター風姿花伝『ミセス・クライン』の美術前田文子:梅田芸術劇場『NINE』の衣装宮川彬良:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の作曲
2021年02月09日VR演劇「僕はまだ死んでない」が本日2月1日より配信開始された。コロナ禍で、劇場での有観客公演が依然として厳しい状況にある中、劇場体験の代替ではない、全く新しい演劇体験として、VR(バーチャルリアリティー)技術を用いて誕生した【VR 演劇】。演劇を楽しむ醍醐味である“舞台上の観たい部分に注目しながら”、かつ“舞台上の主人公の視点で”楽しめる、新感覚の演劇体験となっている。本作では、舞台上の、物語の主人公の視点に VR カメラを設置して収録。劇場上演の演劇では見ることのできない、舞台上から360度ぐるりと見渡せる映像で、主人公の気持ちに寄り添うも良し、ずっとひとりの人物を追い続けるも良し。自由な視点で、何度も、幾通りも楽しむことができる。本作「僕はまだ死んでない」の主人公・直人は、脳卒中で倒れ、自分の意思で動かせるのは眼球と瞼だけ、という状態。直人を取り囲むのは、父、兄貴分の幼馴染、担当医、離婚の話し合いが進んでいた妻。もしも、自分の大事な人が、もしくは自分自身が、倒れて生死の境をさ迷う状態になったら……。そのとき人は、何を想い、何を選択するのか。目を背けがちで話題には上がりにくい、けれど誰もがいつかは迎える「人生の最期」について、エンタテインメントとして、ときにコメディタッチに描いて観客を惹き込み、構えることなく思いを巡らすことのできる作品となっている。原案・演出をウォーリー木下、脚本を広田淳一が手がけ、キャストには、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔が名を連ねた。VR 演劇「僕はまだ死んでない」原案・演出:ウォーリー木下脚本:広田淳一音楽:吉田能出演:内海啓貴 斉藤直樹 加藤良輔 輝有子 渋谷飛鳥 瀧本弦音 木原悠翔企画・製作:シーエイティプロデュース公式サイト: ★配信概要配信チケット:発売中〜2 月 28 日(日) ※期間中何回でも購入可配信期間:2月1日(月)18:00〜3月7日(日)23:59視聴期限7日間配信チケット価格:3,500円(税込)●チケット販売◆Blinky 販売期間:2月1日(月) 18:00〜2月28 日(日) 23:59購入先: 視聴期間:購入から7日間◆ぴあ 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: https:/w.pia.jp/t/madashindenai/視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆楽天チケット 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆チケットペイ 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆イープラス 販売期間:1月22日(金) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録:
2021年02月01日VR演劇『僕はまだ死んでない』が2月1日より配信される。聴き慣れない「VR演劇」という言葉だが、舞台上から360°を収録できるカメラで撮影し配信、観客は自身のスマートフォンやヘッドマウントディスプレイを使用することによって、まるで自身が主人公であるかのような視界で、観たいアングルを自由に選択して楽しむことができる新たなスタイルの演劇となっている。新型コロナウイルスの影響により、集客型の上演が難しい中で、演劇ならではの臨場感を届けたいという思いから立ち上げられた。今回上演される『僕はまだ死んでない』は、原案・演出をウォーリー木下氏、脚本を広田淳一氏が手掛け、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥らが出演する。壁に包まれた病室で、脳卒中で倒れ意識はあるが体が動かない主人公・白井直人(内海)の視点から家族や友人のやりとりを見つめていくこととなる。今回は、原案・演出を務めたウォーリー木下氏にインタビューし、同作で目指したものやコロナ禍の演劇について話を聞いた。○■演劇を観に来るお客さんは、解釈の楽しさを知っている――「VR演劇」というなかなか聞き慣れない形式で、今回の企画はどのようにして今の形になったんですか?これまでに演劇の公演でVRカメラを使う配信もあったのですが、今回はせっかく企画から立ち上げるので、VRカメラでしか作れない作品にしてみようと考えました。視聴者が出演者となるような形で体験できるものを作りたいと思い、いろんな案を出したんです。中には、「椅子に縛りつけられてる人質」といった案もありました(笑)。いろいろ考えるうちに、いわゆる閉じ込め症候群だと「しゃべれないけど見ることができる」状態なのではないかと思い、僕が終末医療や安楽死といったテーマに興味があったので、結び付けてみたらどうだろうと提案しました。――映像作品に近いところもあるのかな? と想像するのですが、監督のような感覚はあったんですか?稽古の時は演出家ですが、撮影の日は監督みたいでしたね。稽古中はずっと、お客さんの視点である、役者たちの真ん中にいたので、すごく嫌だったと思います(笑)。不思議な稽古でした。――映像作品だけど演劇である、というのはどういうところがポイントでしょうか?“演劇の映像作品”だと思うポイントは、お客さんが自由に見るところを決められる部分です。例えば人物が目の前にいても、横の窓を見ていることもできるんです(笑)。――例えば、好きな俳優さんをずっと見ているなんてことも可能なんですね。全然構わないです。好きな情報を得て編集し、好きな解釈を入れて、世界に1つしかない自分の作品を作れます。多分、演劇を観に来られるお客さんはみんなその喜びを知っていて、1つの解を求めているわけではないのだと思います。――主演の内海さんのファンの方は、内海さんをずっと見るようなことは難しいでしょうか?それだけはちょっと残念なんですが、自分が内海さんになった気持ちにはなれますから、なかなかできない体験です(笑)。もちろん内海さんも臨場感のある形で登場しますので、そこは楽しみにしていただければ。――台本を拝見すると、セリフに対して「【★】前の人物の台詞の語尾に重ねて言う」など、いろいろな記号が書かれていますが、これは今回の企画に合わせていたんですか?いえ、もともと広田くんの脚本がそういうスタイルなんです。とても作りやすく、今回やりたかったこともすごく合っていました。日常の会話ではしゃべる順番がきれいに分かれることはなく、しゃべっている最中に相槌を打ったりもするじゃないですか。見ている方からすると「これは本当に今そこで起こってるんじゃないか」と錯覚するような、喫茶店で隣の人が会話しているのを聞いているようなリアルさになっていると思います。○■「自分の仕事が簡単になくなるんだ」という恐怖――先ほど終末医療などについて気になっていたということでしたが、どういうところが気になっていたんですか?カメラマンの幡野広志さんが、TEDで「安楽死について検討している」という話をされていて。医療はどうしても生きることを念頭に置くものだけど、もし自分がそうなった時、死にたい時に死ねることも大事なのかなと考えさせられたんです。そこからコロナの時代になって、より自分や身内が死ぬ時のことを考えたり。弱者が見捨てられていく世界は寂しいし、答えがあるわけじゃないんですけど、深く考えたいと思うテーマでした。――コロナの時代になってから、いつ自分がどうなるかわからないという気持ちも身近なものになりました。みんな、そうですよね。ただどうも、こういうことについて考えること自体をあまり良いものとしない傾向はあるかもしれないので、今回のようなアトラクション感覚であっても、自分に置き換えられるというのは、意味があることではないかと思って作ってみました。――やはりコロナがあって、新しいものを演劇に結びつけていくという試みは増えていきましたか?僕自身はもともと、舞台があり客席があるものだけが演劇じゃない、と思ってトライしてきたので、その延長線上にある感覚です。4月〜5月の自粛中は落ち込みはしなかったんですけど、新しいことをしたいという気も起きず、ようやく夏くらいから、僕の周りのやる気がある方たちに感化されてきました(笑)。業界として風当たりも強かったですし、これから先どうやったら文化として演劇を認めてもらえるのか。きちんと演劇のことを伝えていって、また第二第三の危機がきた時にもできることを増やしていかないと、と思います。とにかく日本は演劇を見ている人が少ないので、本当に1人でも増やしていかないと。――役者さんにインタビューすると、「エンターテインメントは不要不急なものである」とダメージを受けてるのかな、と思うことがあります。一方で見ている方としては、必要なものだと思っていたので、そこまで皆さんが「不要不急」という言葉を気にしているんだと意外でもありました。みんな、単純に「自分の仕事が簡単になくなるんだ」と思ったんですよね。舞台を中心にしている俳優さんからすると、あっけなく公演中止になるし、とても怖い時代で戦々恐々としていると思います。でも見ている方が「そんなことないよ」と言ってくれることが、大きな糧にもなりますし、この作品を作るにあたって、余計なお世話だけど「役者さんの仕事をちゃんと増やさないといけないな」という気持ちもあったんです。たとえコロナで誰か陽性者が出ても、このVR演劇は永久に上演できる。今後も、他の方法も含めて色々な作戦を考えていかなきゃいけないなと思っています。――例えばチーム制にするとか…?もちろん、チーム制、Wキャスト、トリプルキャスト、アンダースタディも方法の1つです。あとは舞台上に役者が出てこなくても出ている形をとれる演劇とか、いろいろな形はあるはずなんです。37.5度出たら、もう公演が中止になるかもしれないとか、かわいそうじゃないですか。37.5度くらい、コロナにかからなくても出ることはある。それで公演中止とならないような仕組みを、作っていかないといけないですよね。――それはすごく楽しみです。ぜひ最後にメッセージもいただけたら。重たいテーマで、かつ聞き慣れない「VR演劇」というジャンルなんですけど、演劇の初心者の方でも楽しめるようになっています。見終わった後に深く考えられるところがたくさんあって、何度見ても楽しめる作品になっていますので、ぜひ1人で楽しんでください(笑)。1人でしか楽しめないので、絶対に密にならない演劇です。※配信チケットは2月28日23時59分まで、期間中何回でも購入可能となっている。閲覧は2月1日18時~3月7日23時59分で閲覧期限は7日間、配信チケット価格は3,500円(税込)。■ウォーリー木下93年、神戸大学在学中に演劇活動を始め、劇団☆世界一団を結成し、現在は「sunday(劇団☆世界一団を改称)」の代表として全ての作品の作・演出を担当。外部公演も数多く手がけ、役者の身体性に音楽と映像とを融合させた演出を特徴としている。また、ノンバーバルパフォーマンス集団「THE ORIGINAL TEMPO」のプロデュースにおいてはエジンバラ演劇祭にて五つ星を獲得するなど、海外で高い評価を得る。10ヶ国以上の国際フェスティバルに招聘され、演出家として韓国およびスロヴェニアでの国際共同製作も行う。2018年4月より「神戸アートビレッジセンター(KAVC)」舞台芸術プログラム・ディレクターに就任。2017年と2018年には手塚治虫生誕90周年記念MANGA Performance『W3 ワンダースリー』ではノンバール作品として構成・演出を、2019年と2020年にはデイヴィッド・アーモンド作『スケリグ』の演出を手掛ける。
2021年01月31日演劇集団 円が林業のあり方にスポットを当てた、新作公演『光射ス森』が12月19日(土)に開幕する。1975年から良質な演劇作品を上演し続けてきた老舗集団「演劇集団 円」。渡辺謙や津田寛治ら演技派俳優を多く輩出してきた同集団は、さまざまなテーマや形態で、上演活動をひたむきに重ねている。今回、作・演出を担うのは内藤裕子。漫画家、噺家、政治家、藍染め職人など、少々特殊な職業の現場を舞台にした、人間味溢れる物語作りに定評がある。そんな内藤が今回採り上げるのは「林業」。木を植えた者の何代も先、子や孫の世代がようやく伐採までたどり着く、壮大なスケールの産業である。親族だけでなく、山を慈しむ者たちによって受け継がれていくこの営みの、来し方行く末を丁寧に描き出す本作。内藤は「利便性や、経済が優先される今、その森が見捨てられ、荒廃している。そこに踏みとどまり、あるいは飛び込んで、豊かな森を残そうと、懸命に生きる人々の物語を創りたい」とコメントしている。公演は27日(日)まで、東京・両国シアターXにて。文:小川志津子(チラシより)日本の国土、3分の2を覆う森林。その4割が人口林と言われている。ほとんどが戦後、復興を目指した私たちの祖父母の世代が、土にまみれ、急峻な山に苗を背負って登り植えた杉やヒノキだ。林業は思いを込め、遠い未来のために大切に木育てていく生業である。利便性や、経済が優先される今、その森が見捨てられ、荒廃している。そこに踏みとどまり、あるいは飛び込んで、豊かな森を残そうと、懸命に生きる人々の物語。演劇集団円『光射ス森』作・演出:内藤裕子出演:野村昇史 / 佐々木敏 / 岡本瑞恵 / 世古陽丸 / 石井英明 / 高橋理恵子 / 吉田久美 / 清田智彦 / 戎哲史 / 木原ゆい / 清水一雅子2020年12月19日(土)~27日(日)会場:東京・シアターX
2020年12月19日関西の劇団が集まって芝居を繰り広げ、演劇人の新たな才能の発掘の場となる「関西演劇祭2020~お前ら、芝居たろか!」が開催される。フェスティバル・ディレクターで芸人、役者、映画監督の板尾創路、スペシャルサポーターで演出家の西田シャトナー、映画監督の行定勲、実行委員長で女優の羽野晶紀らが大阪市内で会見し、思いを語った。「関西演劇祭 2020 ~お前ら、芝居たろか!~」チケット情報昨年初めて開かれた関西演劇祭2019は大好評のうちに終了。板尾は「今年は新型コロナウイルスの影響があり、開催が危ぶまれましたが、みなさんのお力や気持ちがあってできることになりました。ホッとしたのとうれしさと、いろんな思いが混じっています。万全の予防対策を取り、ぜひ、成功させたい」と力を込める。西田は「この祭は未来に向けて作られている。劇団や観客も心ブレずに未来を見続けてほしいです」。行定も「立ち止まっている時に文化に触れることは、これからの人生にとって意義があることだと思います」と、それぞれ熱く話す。また今年の実行委員長には、かつて関西に演劇ブームが起きた1980~90年代に、劇団☆新感線の看板女優として活躍した羽野を抜擢。「37年前に小劇場でお芝居を一生懸命やっていて、それをきっかけに今は芸能界で幅広くお仕事をさせていただいています。本当にやっていて良かったと思いますし、あれ以上にしんどいことはなかったから、大人でおばさんになったけど(笑)、今の私があります。関西の劇場は原点であり土台。その証人として応援したい」とエールを送る。同祭の特色は、各公演後に審査員や観客が、演者に質問や感想を話せる時間を設けるティーチイン形式をとる。板尾は「さっきまで芝居をしていた役者に、あれはどういう気持ちでどんな意味?なんて聞けますか。そういうことが聞けちゃう機会はなかなかない」。羽野は「劇場は夢を与える場なので、そんなタネ明かししてもいいの?とびっくりした。でも、演者とお近づきになれるのは今の時代ならでは。私も芝居のどのシーンを一番稽古したのか聞いてみたい」と期待する。今年は関西の劇団を中心に、東京を含めて10劇団が参加。行定は「関西の演劇は濃いというイメージがありますが、それに対してほかの劇団がどうアピールしてくるか楽しみ」だという。東京在住のため、関西の劇団をよく知らないという羽野は、ユニークだと思う劇団名を問われ、「みんな、思い入れを込めてる名前ですねぇ」と言いながら、高知の幡多弁を使った、ばぶれるりぐるを挙げた。また、劇団 右脳爆発については、「荒くれものな感じですやん。爆発してへんかったらほんまに怒るで(笑)」と会場を笑わせた。1公演に2劇団が参加し、配信も予定されている。コロナ禍を吹き飛ばすような各劇団の爆発を期待したい。「関西演劇祭2020~お前ら、芝居たろか!」は、11月21日(土)~29日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて開催。チケット発売中。取材・文:米満ゆう子
2020年10月23日舞台「演劇の街をつくった男」が、6月19日(金)から21日(日)まで東京・小劇場B1で上演される。【チケット情報はこちら】「演劇の街をつくった男」は、東京・下北沢にある8つの劇場を運営する本多一夫の足跡をたどった書籍「『演劇の街』をつくった男 本多一夫と下北沢」を原作とした作品。とくお組の徳尾浩司が脚本・演出を手がけ、現代の下北沢で演劇を始めた若者が、タイムスリップして「演劇の街」の始まりに出逢うというオリジナルストーリーとなる。なお本公演は、ライブ動画配信サービス・PIA LIVE STREAMにて有料ライブ配信される。配信チケットは発売中。■本多劇場グループ PRESENTS ACALINO TOKYO「演劇の街をつくった男」日程:6月19日(金)~21日(日)会場:東京都 小劇場B1脚本・演出:徳尾浩司出演: 石川啓介/大部恵理子/笠井里美/杉山圭一/とみやまあゆみ/中薗菜々子/野川雄大/林雄大 /本多一夫(特別出演)
2020年06月15日株式会社パルコが運営するPARCO劇場が、演劇をはじめとするライブエンタテインメントの魅力をオンラインで伝えるプロジェクト「PARCO STAGE @ONLINE」の始動を発表した。「PARCO STAGE @ONLINE」では、演劇を「観る」「参加する」「もっと知る」という3つの柱から、PARCOプロデュース過去作品のオンライン配信や、PARCO劇場ゆかりのアーティストや気鋭のクリエイターとコラボしたオンラインならではの作品公開、視聴者参加型の講義スタイルのオンラインイベントやワークショップの開催や、 演劇がさらに楽しくなるプログラムを配信。これらを通じて、演劇の魅力やPARCO劇場の魅力を発信する。「観る」コンテンツ第1弾では、「『転校生』オンライン同窓会~卒業生にまた会える~」と題し、2019年上演の「転校生」(作・平田オリザ、演出・本広克行)の本編フル映像をYouTube にて無料プレミア公開。同公演は、21世紀に羽ばたくネクストスター俳優を発掘するべく、21人の出演者をフルオーディションで選抜し、これまで2015年と2019年に上演してきた高校生群像劇となっている。また、演劇に「参加する」「もっと知る」コンテンツ群を「PARCO THEATER ACADEMY」と総称し、第1弾に「戯曲を読むということ〜朗読劇『ラヴ・レターズ』を通して〜」を6月中旬に公開。演出家の藤田俊太郎が、朗読劇の金字塔である『ラヴ・レターズ』を精読することを通じて、「戯曲を読むということ」の神髄を語る。スペシャルゲストには「こけら落としスペシャル」で497回目のアンディとメリッサを演じた井上芳雄、坂本真綾も登場。視聴者からも幅広く質問を受け付け、出演者が回答するコーナーも設けられる予定だ。「観る」コンテンツ第1弾:『転校生』オンライン同窓会~卒業生にまた会える~●配信URL: ●配信期間第一週「転校生」2019 年女子校版:6月6日(土)15:00~プレミア配信/配信終了後〜6月13日(土)14:59 までアーカイブ視聴可能第二週「転校生」2019 年男子校版:6月13日(土)15:00~プレミア配信/配信終了後〜6月20日(土)14:59 までアーカイブ視聴可能※本編の上演時間は、女子校版・男子校版ともに 75 分程度「もっと知る」コンテンツ第1弾:戯曲を読むということ〜朗読劇『ラヴ・レターズ』を通して〜●配信期間:6月中旬配信予定●出演者:藤田俊太郎/ゲスト:井上芳雄、坂本真綾
2020年06月01日世界21の映画祭が参加する、10日間のデジタル映画祭「We Are One: A Global Film Festival」。この映画祭に参加する「東京国際映画祭」の配信プログラムが発表された。本映画祭は、これまでにない試みで、10日間のデジタル映画祭として、国際的な映画製作者のコミュニティを結集し、5月29日(金)からYouTubeのプラットフォーム上( )で、世界各国21(前回の発表時から新たにロッテルダム国際映画祭が追加)の映画祭のプログラムを無料で公開する。視聴者は、この映画祭を通じて、様々な異なる文化を新しいレンズ越しに観ることができるだけでなく、新型コロナウィルスで影響を受けている方々の救援活動を支援する団体に直接寄付することができる。また、映画祭の収益は世界保健機関(WHO)、そしてとコロナ感染の救援活動を支援している各地域の機関に役立てられる。本イベントにおける「東京国際映画祭」の配信プログラムの内容と、「東京国際映画祭」シニア・プログラマー矢田部吉彦のコメントは、以下の通り。1. 湯浅政明監督短編アニメーション『夢見るキカイ』 (2007年作品、15分)(c)Genius PartySTUDIO4℃が7人の映像作家を集め制作したオムニバス『Genius Party』の中の一篇。無垢な赤ん坊が入り込んだシュールな世界を描くファンタジー。2. 深田晃司監督特集『いなべ』 (2013年作品、38分)(c)2013 『いなべ』製作委員会17年ぶりに突然赤ちゃんを連れて帰ってきた姉に誘われ、子供のころに埋めた「何か」を探しに行くことになり、次第に幼い頃の姉弟の思い出がよみがえってくる、ほろ苦くもちょっと不思議な物語。『ジェファーソンの東』 (2018年作品、18分)(c)深田晃司監督映画まつりラブホテルの一室。相席カフェで出会った男女が事に及ぼうとしている。身体を重ねようとしたその時、ふたりの間に思わぬ過去のつながりがあることが発覚し……。都会の片隅、ぐるぐる回るベッドの上で記憶が邂逅する奇妙な短編。『ヤルタ会談オンライン』(2020年新作、40分予定)第2次世界大戦の終戦間際、戦後世界の支配をめぐって米・英・ソ首脳によって行われた「ヤルタ会談」を痛快にパロディ化した劇団青年団の人気レパートリーの30分の演劇をコロナ禍のさなかに置き換えそのままオンライン化。3.長編作品『勝手にふるえてろ』2018年作品、117分、大九明子監督)(c)2017 『勝手にふるえてろ』作委員会芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化で、恋愛経験のない主人公のOLがふたつの恋に悩み暴走する様を、松岡茉優の映画初主演で描くコメディ。2017年東京国際映画祭コンペティション部門で上映、観客賞を受賞。『アイスと雨音』(2018年作品、74分、松居大悟監督)(c)『アイスと雨音』製作委員会ある小さな村での初舞台に向けて稽古に励んでいたが、突如舞台の中止を告げられてしまう6人の少年少女たち。現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を、74分ワンカットで描いた意欲作。2017年東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で上映。■矢田部吉彦コメント:高い志を掲げる「We Are One: A Global Film Festival」に参加できることを光栄に感じ、不自由を強いられている世界の人々に、映画を見る喜びを通じて少しでも開放感を味わってもらえる作品を選ぼうと試みました。ユニークなアニメーションや、勢いに乗る気鋭の映画監督たちによる刺激的な作品を、世界の映画ファンに楽しんでもらうことを意図しています。東京国際映画祭は数々の才能ある作家たちの作品に恵まれてきており、今回の選定はそのようなご縁の深い監督たちの作品が中心になりました。『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得し、2018年のTIFFでも特集をした湯浅監督の短編アニメーションは、セリフが無いゆえにグローバルな鑑賞者の想像力をダイレクトに刺激しうる作品です。『歓待』がTIFFで受賞をした深田晃司監督は、その後カンヌ国際映画祭で受賞するなど、いまや日本映画界を牽引する存在でもありますが、貴重な短編と今回の為の新作をご覧頂くことで深田ワールドの多様性を深く体験してもらいたいと思います。TIFFで観客賞を受賞した大九明子監督による 『勝手にふるえてろ』は、センス溢れる女性監督と天才的女優の出会いが育んだ傑作であり、世界中の観客にあらためてその存在を訴えたい作品です。松居大悟監督による『アイスと雨音』は演劇の実現に向けて障害を乗り越えようとする少年少女たちの奮闘のドラマであり、催事の中止が相次ぐ現在の世界にエネルギーを与えてくれるに違いありません。今後の日本を牽引していくであろう、才能あふれた監督たちを紹介していく未来目線の選定であります。「We Are One: A Global Film Festival」( )5月29日(金)より
2020年05月27日新型コロナウイルスの感染拡大による政府からの自粛要請により、演劇、ライブハウス、クラブ、小規模映画館(ミニシアター)などで存続困難な状況が発生するなか、「演劇緊急支援プロジェクト」「SaveOurSpace」「SAVE the CINEMA プロジェクト」の3団体が5月22日、衆議院第一議員会館で「文化芸術復興基金」の創設を提案し、関係省庁に対して統一の要望書や署名を提出した。「コロナ時の補填のみならず、コロナ終息後の復興支援の土台として、強く要請する」ことを目的に、3団体は共同で「#WeNeedCulture」と銘打ったプロジェクトを立ち上げ、同基金の創設を提案。3団体を代表し、日本劇作家協会会長を務める女優の渡辺えりが統一要望書を文化庁に提出し、「演劇、ミニシアター、ライブハウスの人たちが一丸となり、熱い思いを込めて要望書を送らせていただいた。ぜひお読みいただきたいと思います」と訴えた。その上で渡辺は「演劇もミニシアターも、そうですけど、大事なのは人材育成。もの作りには多くのスタッフが必要ですし、それを育ててきたのがライブハウス、ミニシアター、演劇なんです」と力説。人材の育成をさくらんぼの栽培に例え「田畑はすごく手間がかかるが、その木を育てて、一緒に収穫して実を食べる感覚で、手を取り合い、支え合って頑張っていきたい」と協力を誓った。会見に参加した映画監督の諏訪敦彦は、関係省庁とのやり取りについて「具体的な回答には至らなかったが、何かが動いていくのではないかという機運を言葉の端々に感じた」と見解を示し、「この1カ月半ほど、いろんな意味で勇気づけられている。普段会うことのない人たちが、いてもたってもいられず、ふっと自然と集まった」と前向きな発言。また、ユーロスペース支配人の北條誠人氏は「今年に関しては、3月から5月の売り上げはほとんどない」と厳しい現状を明かし、「アクリル板や消毒液など、興行組合の(再開に向けた)ガイドラインに従って、感染拡大防止の準備をする」と6月以降の営業再開を視野。「基金で、劇場の持続を支援いただきたい」と話していた。▽以下、会見出席者【演劇緊急支援プロジェクト】渡辺えり(劇作家・演出家・俳優/オフィス3○○/ (一社)日本劇作家協会会長)詩森ろば (劇作家・演出家/serial number/TOKYO 演劇人の会 代表)西川信廣 (演出家/文学座/(公社)日本劇団協議会 会長)福島明夫 (製作/青年劇場/(公社)日本劇団協議会)【SaveOurSpace】スガナミユウ (LIVEHAUS/SaveOurSpace)加藤梅造 (ロフトプロジェクト社長)【SAVE the CINEMA プロジェクト】諏訪敦彦(映画監督)北條誠人(ユーロスペース支配人/ (一社)コミュニティシネマセンター理事)▽以下、各プロジェクトの公式サイト【WeNeedCultrue 公式HP】 (要望書・ステートメント掲載)【演劇緊急支援プロジェクト公式HP】 公式Twitter: 【SaveOurSpace 公式HP】 公式Twitter: 【SAVEtheCINEMA公式HP】 公式Twitter: 取材・文=内田涼
2020年05月22日文:大島幸久(ぴあ水先案内人・演劇ジャーナリスト)「緊急事態宣言」の延長発令を受けて、演劇界も新たな計画変更を余儀なくされている。4月から5月にかけて予定していた公演が中止、あるいは延期という主催者にとっては泣いても泣き足らない姿を想像すると胸が痛む。しかし——。今月に入ってパタリと止まっていた情報が届き始めた。とりあえず、「水先案内人」としては延期を知らせる情報を「番外編」でおしらせしよう。公演中止となった前進座5月国立劇場公演チラシ。2021年5月の上演を目指す劇団前進座の会報「月刊・前進座」によれば5月9日開幕予定だった5月国立劇場公演『操り三番叟』『俊寛』『たが屋の金太』は来年5月、劇団創立90周年記念として上演する心づもりという。また、『ひとごろし』や全国巡演の『東海道四谷怪談』、秋の『残り物』などは年内開催を模索中だ。劇団四季『コーラスライン』より撮影:下坂敦俊次は劇団四季。全国公演予定だった『コーラスライン』は中止したが、来年5月以降の全国公演を目指す。既に発表された5、6、7月の連続3ヶ月、歌舞伎座での「十三代市川團十郎襲名披露公演」の延期は、来年同5~7月に上演されるのが有力だ。4月に上演予定だった劇団民藝『どん底~1947・東京~』は8月の上演を目指す(5/19現在)新劇では劇団民藝が4月9日から予定していた『どん底~1947・東京~』(紀伊國屋サザンシアター)は8月の上演を目指して検討中だ。劇団文学座では、4・5月アトリエの会『熱海殺人事件』は全公演が中止となった。今年は作者つかこうへいの没後10年だから断腸の思いだろう。演出の稲葉賀恵は「文学座通信」の中で「皆様に安心してこの作品の誕生に立ち会っていただけるその日まで、今しばらく時間を頂けたら、と思います」と記し、心機巻き直しを練っているようだ。また、6月に予定していた『昭和虞美人草』も上演の可能性を検討しているという。加えて劇団の俳優が出演予定だった本多劇場『サンシャイン・ボーイズ』、演劇集団プラチナネクスト『どんぶりの底』、シアタートラム『4』、ザ・スズナリなどでの『富島松五郎傳~無法松の一生~』、さらに俳優座劇場『美しきものの伝説』の公演延期も伝えていた。虚構の劇団は延期上演の可能性を探りつつ『日本人のへそ』公演の中止を決めた座・高円寺からは再演の可能性を探りながらの中止として虚構の劇団『日本人のへそ』、JACROW『鶏口午後』、チーズtheater『THE VOICE2020』、劇団扉座『お伽の棺~三つの棺』を知らせてくれた。大阪の南河内万歳一座は東京で6月3日から予定した『ラブレター』を来年の同時期頃に延期するという葉書連絡。座長の内藤裕敬は「本当、スンマセン! その分、来春の爆発は、ハンパないからな!」と意気軒昂のメッセージが来た。演劇人の心意気、ここにありーと、それぞれがヤル気満々だ。とりあえず、皆さん、コロナにはご用心を!プロフィール大島幸久(おおしま・ゆきひさ)東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には『名優の食卓』(演劇出版社)など。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。「毎日が劇場通い」という。
2020年05月19日ついに最終回を迎えてしまった『鬼滅の刃』。テレビアニメ化で盛り上がり、原作漫画はシリーズ累計発行部数2,500万部を突破し、最終回でファンの熱量も現在ピークに。アニメ『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』(10月16日公開)の公開を楽しみに待ちたいが、その前に、舞台『鬼滅の刃』レビューを試みた。新型コロナウイルス感染予防のためたくさんの演劇が中止や延期になっているなかで、配信(dアニメストア×新体感ライブCONNECT ※配信は6月30日まで)を見て演劇を応援しようと思う企画だったが、最終回記念も込みでお届けします。舞台版は原作漫画の1~4巻くらいまでを描いている。大正時代、主人公の少年・竈門炭治郎(小林亮太)の家族が鬼に殺された。深い哀しみのなか、たったひとり残った妹・禰豆子(高石あかり)は鬼になってしまい、彼女を救うため炭治郎は鬼と闘い続ける。炭治郎が鱗滝左近次(高木トモユキ)に弟子入りして鬼殺隊に入るまでが1幕。2幕目は大正ロマンあふれる浅草で鬼ながら鬼の欲望(人を食う)を抑制して生きている医師・珠世(舞羽美海)と出会い、禰豆子を助ける希望を見出すところまで、休憩をのぞいて2時間30分ほど。舞台だと1幕と2幕の間に休憩が入るが、配信ではノンストップ。それでも疲れを感じないで一気に見ることができた。○■映像だけでなく、アナログの見せ場もはじまりは、炭治郎が雪山を下りていく場面。「人生には空模様があるからな」というセリフを噛み締めながら深い雪を踏みしめていく炭治郎の姿が描かれる。原作もアニメも血まみれの禰豆子を背負って必死の形相の炭治郎からはじまりインパクトがあるけれど、舞台は時系列順になっていて、地道な生活者の姿から描かれる。そして事件が起こり、漫画やアニメの冒頭の場面へ――。斬っても斬っても次々現れる鬼との最初のアクションは、禰豆子が目覚め、炭治郎を襲う場面。このとき炭治郎は後ろにすっと下がる動きが多い。小林亮太はすごくなめらかに後ろに下がる。後ろに下がることは意外と大変な気がするが足腰が鍛えられているんだなあと思う。反対に禰豆子の高石あかりは激しく攻撃的だ。手足が長くて豪快に動く。18歳の若さで動いて叫んで力強い。そこに割って入ってくる冨岡義勇(本田礼生)。彼は炭治郎とも禰豆子とも違い静かな一撃に力がある。「笑止千万」「笑止千万」と歌い上げるところ(セリフと歌詞合わせて6回言った)が盛り上がった。ここで注目したいのは、禰豆子が不利になる炭治郎をかばって義勇に立ちふさがるところ。2人がぶつかり合うストップモーションを肉体でしっかり表現して見せた。この舞台、映像を多用して、めくるめく背景の変化や、原作漫画やアニメでは絵による自由な表現力で描かれる鬼の様々な魔力を表現し、その高い技術にも目を奪われるのだが(映像:大鹿奈穂)、それだけに頼っていない。要所要所、アナログの人間の力で見せているのである。そのひとつが、このストップモーション。これが印象的に決まったあと、テーマ曲がかかって、出演者が全員出てきて映像におけるタイトルバックになる。○■構成の妙に、演劇好きも納得その後、炭治郎は鱗滝左近次に弟子入りして訓練を積んでいく。箱や丸太みたいなものが次々出てきてそれを避けていく炭治郎。不思議な雰囲気の漂う(この作品、炭治郎以外はみんな不思議な雰囲気がするけども)、錆兎(星璃)と真菰(其原有沙)にも助けられ、炭治郎は長い長い期間、訓練を続ける。前述のアスレチック場面をはじめとして、「死ぬほど鍛える。結局それ以外にできることはないと思うよ」というセリフがリアルに響く大変そうな訓練場面は、「俺は刀を振り続けた」と歌で半年の大変さが説明される。「より強く より速いほうが勝つ」ということで炭治郎の動きが強く速くなっていく。アクションでは、黒子が俳優の飛ぶ動きを補助することで躍動感がアップする。アナログの力といえば、水の映像が出たときに、布も使って立体感を出すところも良かった。とにかく裏方が頑張っている。背景を変えるために複数の板を素早く動かし、照明も素早く変化しているところなんかも演劇好きには堪らない(美術:松生紘子、照明:吉枝康幸)。2幕に出てくる、朱紗丸(西分綾香)による手毬攻撃もアナログテクが使われ、矢琶羽(星乃勇太)の不可視の矢印(ベクトル)も映像と黒子が操る赤い布とのコラボになっていた。極めつけは、元十二鬼月・響凱(高木トモユキ二役)の鼓屋敷場面。回転する部屋は映像だけど、そこでも黒子が大活躍する。ここまでで2時間くらい。本番では休憩がはさまっていたにしても、俳優たちは休む間もなく動き回っている。アクションしながらセリフを言ったり歌ったり、相当なカロリーを消費しているはず。とりわけ小林亮太はほぼ出ずっぱり。当然水分補給はしてるだろうけど酸素吸入器も使っているんじゃなかろうかと心配になってしまう。そんな過酷な場面にもかかわらず、嘴平伊之助(佐藤祐吾)を見て「なんだこの男は イノシシの皮をかぶって日輪刀をもってる」という説明セリフや、我妻善逸(植田圭輔)の歌う「眠ると強くなる男 我妻善逸」という説明歌など、ふと冷静になる瞬間もあるという面白さ。原作が主人公のモノローグが多くて、心情や状況をそこで説明しているところを演劇ではセリフや歌やいろいろ工夫してメリハリをつけているように感じる(脚本・演出:末満健一)。よくできた構成。○■主演・小林亮太の闘いを見守る炭治郎には様々な負荷がかかりまくり、2時間超えたところで、おお来たか! とばかりに見てる方の感情もマックスに跳ね上がる。まさにクライマックス。「おれはずっと我慢してきた」「己を鼓舞しろ」「がんばれ炭治郎」「俺はやれるやれる」「成し遂げる男だ」と自分で自分を応援。そう、炭治郎はこの2時間、ずっと孤独なのである。助けてくれる人もいるけれど、家族を亡くし、禰豆子のためにたったひとりで闘ってここまで来た。とにかく自分を信じてやりきるしかないのである。そんなキャラクターと同じく、演じる小林亮太も2時間ずっと頑張ってきた。ここで最後に力を振り絞らされる。よく言うところの、雑巾を絞って最後の一滴まで絞って、なお絞るみたいなことを小林亮太はやるのである。2時間前、登場してきたときは、声がとても繊細で、優しい少年そのものだった炭治郎。「禰豆子」と呼ぶときの慈愛に満ち溢れた声が染みる。闘うとき全身に力を入れたら声が変わってしまいそうにもかかわらず、極力優しい声を保っていた炭治郎が、ここに来て、繊細さを残しつつ、たくましく成長した、闘う男の声ものぞかせる。最初の頃に(禰豆子との闘いであったとはいえ)後ろに下がり気味だった炭治郎はここではぐいぐい前に前に出て剣を振るう。注目作の舞台版の主演に大抜擢された小林亮太は現在21歳。年齢的にはもう少年ではないとはいえ、少年を客観視しながら演じるにはいい時期のような気がする。舞台版『パタリロ』のビョルン&アンドレセン役や『僕のヒーローアカデミア The”Ultra”Stage』の爆豪勝己役など近年目覚ましい成長を感じる。3、4月の舞台公演が中止になってしまったことが残念だが、7月の『PLUS ULTRA ver.』に期待する。炭治郎が雪の中をひとりで歩くところからはじまって、彼の精神の成長が技の成長と合わせてじょじょにじょじょに上昇していて大爆発する流れを2時間30分ノンストップで体感できただけで映像配信を見てよかったと思えた。「死ぬほど鍛える 結局それ以外にできることはないと思うよ」のセリフに尽きる舞台である。盛りだくさんで満足感たっぷり!
2020年05月18日今年で第10回目となるWOWOW「勝手に演劇大賞」の投票結果が本日発表された。「勝手に演劇大賞」は、を演劇ファンからのWEB投票によって選出された作品・演出家・俳優を表彰する賞。投票は11月1日から12月31日まで行われた。「作品賞(ストレートプレイ部門/ミュージカル部門/2.5次元部門)」 「演出家賞」「女優賞」「男優賞」「新人賞」による7部門の受賞結果は下記の通り。●作品賞ストレートプレイ部門:「罪と罰」ミュージカル部門:ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」2.5次元部門:舞台「どろろ」●演出家賞:三谷幸喜2019年演出作品三谷かぶき『月光露針路日本 風雲児たち』愛と哀しみのシャーロック・ホームズ日本の歴史(上演期間:2018年12月〜2019年1月)●男優賞:三浦春馬2019年出演作品「罪と罰」ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」●女優賞:ソニン2019年出演作品ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」A New Musical「FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜」マリー・アントワネット(上演期間:2018年9月〜2019年1月)●新人賞:広瀬すず2019年出演作品NODA・MAP第23回公演『Q』:A Night At The Kabuki
2020年02月26日“カタヤブリな浪花のロックンガール”としてライブを中心に活動中の6人組女性ダンス&ヴォーカルグループ、大阪☆春夏秋冬(略称:しゅかしゅん)がグループ初となる演劇公演『艶姿河内六人娘』を大阪・ABCホールにて開催する。公演を前に、メンバーのMAINA、ANNA、MANA、EON、YUNA、RUNAと、本公演に全面協力しているエンターテインメント時代劇集団STAR☆JACKSメンバーの浜口望海、ドヰタイジ、寺井竜哉が会見を行い、見どころや意気込みを語った。「劇団☆春夏秋冬 艶姿河内六人娘」チケット情報物語の舞台は元和三年(1617年)、河内国(大坂)のとある村。村に古くから伝わる、年に一度の祭典。この祭の真ん中で踊れる者はこの村の娘たちの羨望の的であった。しかし、そんな祭も流れゆく時代とともに廃止されてしまう。それを再興するべく、村の娘や旅の踊り子たちが奮闘する…。脚本、演出を手掛けるのは、「古き良き文化を大切にし、かつ時代の感覚を取り込んだ極上のエンターテインメント」をコンセプトに活動するSTAR☆JACKSの浜口とドヰ。脚本の浜口は「昨年の夏ごろにプレ稽古を始めて、そこでみんなのキャラクターを見て書きました。それぞれの一番いいところを引っ張り出せたらと思って描いています」とコメント。劇中では、大阪☆春夏秋冬の楽曲も使用。演出のドヰは「しゅかしゅんらしさを出したい」と思いを語る。「劇団公演では時代劇らしさを全面に出すようにしていますが、今回はしゅかしゅんの持っている楽曲のパワーを時代劇に融合させていいコラボレーションをしたい。彼女たちの曲は、曲ごとにいろんな表情があるので、それも活かすような演出にしています。ロックな時代劇を楽しんでいただきたいです」。また、鮮やかな衣装に身を包んだメンバーも「セリフを発している人だけではなく、その周りの人たちの演技も面白いので、そこにも注目していただきたい」(MANA)、「殺陣のシーンでも私たちの楽曲が使われていて、秒単位のタイミングまでこだわっています。それに、長年歌い続けてきた楽曲たちなので、聴いていただくだけで、私たち一人ひとりの生き様も分かっていただけると思います」(YUNA)、「役者さんの演技が本当にすごい。魂が込められた一言に自分が励まされたり、勇気付けられたり。みなさんと出演させていただけることを光栄に思っています」(MAINA)、「稽古を重ねるごとに言葉が身体に沁みこんでいく感覚があります。私はいくつか長ゼリフがあるので、そのセリフに注目していただけたら」(ANNA)、「大阪☆春夏秋冬が時代を超えて江戸時代の舞台に立っている。その姿をぜひご覧いただきたいと思います」(EON)、「一年後、二年後のしゅかしゅんの未来を一緒にのぞいていただける、そんな舞台になっていると思います」(YUNA)と、それぞれに見どころを語る。劇場では、本公演用として特別にデザインされたオリジナルお菓子も限定販売される。公演は2月21日(金)から24日(月・祝)まで、大阪・ABCホールにて。チケット発売中。
2020年02月13日日本酒「獺祭(だっさい)」がシートマスクになって登場。「獺祭フェイシャルマスク」が発売される。ハイクオリティな純米大吟醸として、日本だけでなく世界でも注目を集める「獺祭」がシートマスクに。美容家・山本未奈子監修のもと作られた「獺祭フェイシャルマスク」には、獺祭の代名詞と言われる「純米大吟醸 磨き二割三分」を使用した。同時に、16種類の天然アミノ酸を含んだ、醸造過程の酒粕から抽出した獺祭酒粕エキスも贅沢に配合した。さらに、美肌にナノコラーゲンやビタミンC誘導体も取り入れた。洗顔後、顔全体に密着させ10分程度置きケアすれば、キメの整った透明感のある肌へと導いてくれる。【詳細】獺祭フェイシャルマスク 25mL×5枚入 2,500円+税発売日:2020年1月22日(水)【問い合わせ先】TEL:03-6805-1417
2020年01月31日歌舞伎上演400年の歴史を持つ京都・南座が、今、ニューヨークなどで注目の“イマーシブシアター”と呼ぶ新たなスタイルの演劇を開催中だ。それが、イマーシブシアター『サクラヒメ』~「桜姫東文章」より~。南座1階の観客席を取り払い、客席エリアと舞台面を同じ高さにして一体化、2階3階をも含む広い空間を使って大胆に繰り広げるエンタテインメントだ。1月24日に開幕した初日、2階席下手(舞台に向かって左側)から体験した。イマーシブシアター『サクラヒメ』 ~「桜姫東文章」より~チケット情報その昔、決められた結婚に異を唱え、自らの想い人と心中した白菊。のちに花魁・サクラヒメとして転生した彼女が、前世の愛しい相手との再会を願い、見つけ出すという物語で、歌舞伎の『桜姫東文章』をもとにした新作だ。サクラヒメの前に現れる5人の男たちの中から運命の人を選ぶのは観客。そのため、物語は5種類のマルチエンディングが用意されている。1階は移動型体験エリア。1階入場者は荷物を預け、黒い法被を身に着けて“都人”となり、江戸の町を歩きながら物語の中に入り込む。2階・3階の客席エリアで着席観賞する観客は、“雲上人”となって物語を俯瞰し、運命の人を裁決(投票)する権利を持つ。刺激的な幕開きに続き、華やかな花魁道中から物語が始まる。“都人”たちはその見物客となり、また、博打場を訪れたり、剣術指南やお座敷遊びに参加したり。目当ての出演者を間近で追う“都人”たちは、最初はとまどいながらも徐々に慣れ、目を輝かせながら回遊する。廻り舞台やせり上がりなど、南座の舞台機構を駆使して魅せる歌や踊り、アクション。ふたつの新たなステージは部屋のしつらえとなり、1階のそこかしこでサクラヒメの愛を求める5人の男たちがさまざまな得意技を披露する。また2階も4か所の特設場所でタップを踏んだり、歌を歌ったり。2階から1階へハシゴで降りるなど、劇場空間を縦横無尽に駆け巡る。“都人”も“雲上人”も、豪快な連続バック宙や高難度の多彩なダンス、迫力のタップに見とれているヒマはない。上下左右に手前に奥、観どころ満載! 実力ある若い出演者を配したエンタテインメントの世界を、物語のうねりの中で立体的に見せながら、結末まで引っ張っていく。そして最後に“雲上人”が投票用紙を掲げる。選ばれし運命の人は…!?どこで観ても参加型、どこで観ても楽しめる、このイマーシブシアター。“都人”はハイヒールを避け、動きやすい服装がオススメだ。同時多発的に行われる盛りだくさんのパフォーマンスをすべて観るには、1度ならず2度、3度、視点を変えて楽しみたい。公演は2月4日(火)まで、京都・南座にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2020年01月30日数年後に振り返ったとき、2020年がオリンピック・パラリンピックと共に語られることは確かだろうが、同様に、演劇の話題作が目白押しだった年、としても記憶されるかもしれない。現在すでに発表されているラインナップを目にしただけでも、そう感じる人は少なくないはずだ。約4年のブランクを経て新たにオープンするのが、PARCO劇場。1月の『志の輔らくご 』、2月の『ラヴ・レターズ』に続いて、 3月よりオープニング・シリーズとして多彩な作品が上演を控えている。3~4月に渡辺謙主演『ピサロ』、5月に演出・森新太郎と佐々木蔵之介のタッグによる『佐渡島他吉の生涯』を上演。続いて、“三谷幸喜三作品三か月連続上演”と題し、6月から8月まで三谷による新生PARCO劇場への書き下ろし第1作『大地』を披露する一方、7月には『大地』終演後の舞台を使って22時に開演する『三谷幸喜のショーガール』、8月には三谷文楽『其礼成心中』を上演。9月には作・長田育恵&演出・栗山民也『ゲルニカ』、10月には生瀬勝久、池田成志、古田新太が組む「ねずみの三銃士」の最新作(作・宮藤官九郎、演出・河原雅彦)、11月には前川知大作・演出作品、12月には同名の米映画を音楽劇として宮本亞門が舞台化する『チョコレートドーナツ』を上演。オープニング・シリーズは2021年 5月上旬まで続き、全14作品がラインナップされている。渋谷でPARCO劇場と双璧をなすBunkamuraのシアターコクーンは、松尾スズキ新芸術監督のもと、劇場そのものがどのように表現されていくかに注目が集まっている。主催公演としてラインナップされているのは、鄭義信作・演出による『泣くロミオと怒るジュリエット』(2~3月)、1999年、2010年に上演された松尾スズキの戯曲をノゾエ征爾が演出する『母を逃がす』(5月)、赤堀雅秋の作・演出作品(6月)、DISCOVER WORLD THEATRE(8~9月)、松尾自らの作・演出作品(10月)、三浦大輔の作・演出作品(12月)。松尾芸術監督らしい、清濁併せのむような独自の色を期待したい。また4月のシアターコクーンでシス・カンパニー公演として上演される『桜の園』は、ケラリーノ・サンドロヴィッチがチェーホフ四大戯曲に取り組む企画の第4弾で、大竹しのぶ、宮沢りえ、井上芳雄、黒木華、杉咲花ら華々しいキャストがシリーズの掉尾を飾る。現代演劇としてはほかに、草なぎ剛が白井晃演出のもとブレヒトの世界に挑む『アルトゥロ・ウイの興隆』が1月に開幕。劇団☆新感線が2月から4月まで東京と福岡で『偽義経冥界歌』を上演。宮藤官九郎は、「ねずみの三銃士」への書き下ろしに加え、4~5月には5年ぶりとなるウーマンリブの公演『もうがまんできない』を行う。吉田鋼太郎が芸術監督を務める〈彩の国シェイクスピア・シリーズ〉では、2月に『ヘンリー八世』、6月に『ジョン王』の開幕が控える。また、2月開幕の『ねじまき鳥クロニクル』では、村上春樹の原作を藤田貴大がインバル・ピントらと組んでどう具現化するかに興味が寄せられている。そして、『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』(1~2月、佐藤隆太出演、谷賢一演出)、『ガールズ&ボーイズ -Girls & Boys-』(5月、長澤まさみ出演、蓬莱竜太演出)、『殺意(ストリップショウ)』(7月、鈴木杏出演、栗山民也演出)と一人芝居の注目作も今年は多い。2020年のミュージカルの上演予定作品を見てまず気がつくのは、イギリスの巨匠作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの作品の多さだろう。3月に三浦春馬、生田絵梨花らの出演で日本初演を果たす『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』、同じく3月に5年ぶり3度目の上演となる『サンセット大通り』、4~5月にHey! Say! JUMPの薮宏太が主演する『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』、8~9月に鴻上尚史の演出で日本初演となる『スクール・オブ・ロック』が待機している。一方、ロイド=ウェバー屈指の名作『キャッツ』を大井町の専用劇場でロングラン上演しているのは、劇団四季。四季といえば、2020年にはJR東日本四季劇場[春]、JR東日本四季劇場[秋]の2劇場のオープンが控えており、[春]では9月から待望の『アナと雪の女王』を上演、7月にオリジナル作品『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』で開場する[秋]では、やはりロイド=ウェバーの『オペラ座の怪人』が10月にロングラン公演を開始する。また、台本・作詞を長田育恵、演出を小山ゆうなに託した四季の新作オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(自由劇場で10月に開幕)にも演劇ファンの視線が集まるにちがいない。また、NYやロンドンで人気を博したミュージカルの翻訳上演も目立ち、3~4月にはアニメ映画を下敷きにした『アナスタシア』、大ヒット映画を舞台化した『ボディガード』、5月にはアラン・メンケン作曲、小池修一郎演出・訳詞による『ニュージーズ』、6月には渡辺直美主演『ヘアスプレー』が上演を控えている。ちなみに『アナスタシア』は、6~8月に宝塚歌劇宙組が上演を予定しており、ふたつのバージョンを見比べるのも面白い。鉄板の再演作品といえば、東宝版主演から20周年を迎えた『エリザベート』を筆頭に挙げたい。4月から8月まで5カ月にわたって、東京・帝国劇場のほか、大阪、名古屋、福岡をまわり、節目の公演を各地の観客と分かち合う。これに加えて、帝劇では、上演回数が1500回に迫る『ミス・サイゴン』を5~6月に、7~8月にシアタークリエ版のスケールアップが楽しみな『ジャージー・ボーイズ』を上演、11月にはWキャストの平原綾香と水樹奈々が圧巻のパフォーマンスを競った『ビューティフル』の3年ぶりの再演が実現する。一方、徹底したオーディションとレッスンでビリー役の少年たちが驚異的な成長を見せ、2017年の日本初演が大きな反響を呼んだ『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が7月から11月にかけて東京・大阪で上演されるのもうれしい。古典芸能に目を移すと、ふたつの大きな襲名が一際大きな注目を集めている。歌舞伎では、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露興行が、5~7月の歌舞伎座を皮切りに、11月に博多座、2021年2月に大阪松竹座、4月に御園座、11月に南座で開催される。襲名披露がこれほど長期にわたって行われるのは、團十郎がそれだけ大きな名跡である証にほかならない。また、講談師・神田松之丞は、2月の真打昇進に伴って、神田伯山を六代目として襲名。実に44年ぶりとなる大名跡の復活であり、歌舞伎界、講談界ともに、求心力のある存在の活躍があるからこそ、シーン全体の盛り上がりを期待したくなる。
2020年01月01日大人計画の俳優、声優、ミュージシャンとして活躍する宮崎吐夢。彼が観た演劇について存分に語り尽くす『吐夢の演劇夜話』 が、今年7、8、9、10月の各月末の開催に続き、12月30日(月)に「第五夜」を迎える。宮崎のSNSには、知る人ぞ知る、というか、知っている人しか知らないような、マニアックな演劇公演の感想が並ぶ。劇場に足しげく通う彼は「演劇をするよりも人がやっているのを観ている方が自分には合ってるのではないか」「観た演劇について、ああだこうだ人に話したりしている方が向いているのではないだろうか」と気づいたそうだ。そんな彼が行ってきたトークイベントがこの『吐夢の演劇夜話』。2019年の最後を飾る今回は、インターネット上で「年間ベスト10」と「モスト・スリーパブル・プレイ(最も安眠に誘ってくれた舞台・熟睡できた作品)」を募集。演劇ジャーナリストの徳永京子氏を迎え、2019年の演劇シーンを大いに語らう。観た演劇について自分ひとりで感想を温めるだけでは物足りない演劇ファンにはうってつけの催しだ。18時から東新宿のライブハウス、PetitMOAにて。文:小川志津子
2019年12月26日子どものための映画祭「キネコ国際映画祭」が明日から開幕する。本映画祭では国内外の24か国・54作品が集まり、作品の審査も子どもたちが行う。キネコ国際映画祭は子どもたちがスクリーンで映画を楽しめる恒例行事で、今年で27回目を迎える。プログラムは年齢別に組まれているため、言葉をまだ完全におぼえていない小さな子どもが楽しめる作品もあれば、観たあとに親と一緒に内容について話し合ったり、考えさせられるような作品も。4日(月)には字幕ナシで『スーパーパワー・ドッグス』をIMAX上映するプログラムも予定されている。また野外映画上映やミュージックライブ、気球体験、クイズ大会など、家族そろって、友達と一緒に参加できる催しも多数用意されている。毎年、会場は子どもたちでにぎわっており、小さな子どもが思わず泣きだしたり、大声をあげてしまっても周囲がそれを受け入れて、会場がより楽しいムードになることも。日ごろはあまり映画館に足を運べない、まだ一度も映画館に行ったことのない子どもが“映画館デビュー”を果たすのにも適したイベントになっている。なお、スマートフォンアプリ「ぴあ」をダウンロードして、アプリ内で表示できる“マルぴ“マークを映画祭期間中に子玉川ライズ中央広場インフォメーション&チケットカウンターに提示すると、先着100人に「キネコ国際映画祭」特製クリアファイルがプレゼントされる。27th キネコ国際映画祭11月1日(金)から11月5日(火)まで公式ホームページ:会場:109 シネマズ二子玉川、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ、二子玉川公園、二子玉川ライズ ガレリア・二子玉川ライズ 中央広場
2019年10月31日歴史をテーマにした世界で唯一の国際映画祭「第11回京都ヒストリカ国際映画祭」の全上映作品が発表になった。本映画祭は今年で11回を迎える関西の映画ファンにはおなじみの存在。今年も京都文化博物館を会場に、京都だから可能な企画、京都で観たいプログラムが揃った。オープニングを飾るのは、周防正行監督最新作『カツベン!』。タイトルの通り、サイレント映画に合わせて巧みな話術で作品を伝える“活弁士”の姿を描いた作品で、当日は上映だけでなく、本作を手がけた桝井省志プロデューサーと活動弁士の片岡一郎氏がトークショーを行う。日本のアニメーションの歴史を紹介する特別企画では日本初の長編カラーアニメーション『白蛇伝』4Kデジタル復元版が上映され、小田部羊一氏、勝間田具治氏、清水慎治氏が来場するほか、人気作や映画史を語る上で欠かせない貴重な作品が上映される。また、先ごろ放送が終了した連続テレビ小説『なつぞら』で描かれた時代の傑作アニメーションが集結。『太陽の王子 ホルスの大冒険』や『長靴をはいた猫』などの作品をスクリーンで堪能できる。さらに日本だけでなく海外にも熱狂的なファンを多くもつ『子連れ狼』シリーズ4作品を上映。京都は海外からの観客も多く、盛り上がりが期待できる。他にも世界中から集めた最新歴史映画の日本初上映や、映画の可能性を探るVR上映など多岐に渡るプログラムが決定。会場になっている京都文化博物館は丁寧な映写で映画ファンから愛されている場所だけに、今年も映画を愛する、歴史を愛する人々が連日、足を運ぶことになりそうだ。第11回京都ヒストリカ国際映画祭10月26日(土)から11月4日(月・祝)まで京都文化博物館で開催チケット発売日:10月5日(土)
2019年10月02日大人計画の俳優として、あるいは声優、ミュージシャン、コラムニストとして、八面六臂の活躍を見せる宮崎吐夢。彼が観た演劇について語る催し『「吐夢の演劇夜話」第三夜』が、本日9月30日に開催される。今年で俳優生活27年。「演劇をするよりも人がやっているのを観ている方が自分には合ってるのではないか」「観た演劇について、ああだこうだ人に話したりしている方が向いているのではないだろうか」と最近気がついたそうだ。日頃、観に行った芝居の感想をSNSでつぶやくなど、演劇通ぶりを垣間見せている宮崎。彼のコラムを読むと分かる通り、その着眼点は独特で絶妙だ。そんな彼の芝居談義が、終演後、関係者限定の飲みの席で泡と帰してしまってはもったいない。観客の前で存分に語り倒すことで、演劇へのあふれる思いを大いに成仏させようとするこの企画。7月31日の『第一夜』、8月30日の『第二夜』に続き、『第三夜』と題した今回のゲストは、演劇的要素あふれる舞台を繰り広げるダンスカンパニー・CHAiroiPLINのスズキ拓朗。10月にCHAiroiPLINの公演『AZUKI』への出演を控えた宮崎が、果たしてどんな話を引き出すのか。大仰ではなく、内輪受けでもなく。ほどよい勘所を押さえまくりの、彼のトークに身を委ねよう。東新宿のライブハウス・PetitMOAにて19:00開演。文:小川志津子
2019年09月30日客席への同時VR映像配信を演出に取り入れた“新たな演劇”、VR演劇『Visual Record ~記憶法廷~』がこの度誕生。吉倉あおい・岡本至恩の出演で、6月に上演されることとなった。本作で主演を務めるのが、人気ファッション誌にてモデルとして活躍し、初主演映画『ゆるせない、逢いたい』で国内外で高い評価を得た吉倉。舞台は3月に行なわれた朗読劇『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』以来の2度目となり、初の単独主演となる。被告人・樋口役は、ファッションモデルや大手TVCMなどで活躍しながら、『テラスハウス』軽井沢編にて“テラスハウス史上No.1イイ奴”として話題を呼んだ岡本が務め、そのほか、山口景子、小築舞衣、サトウヒカル、堤匡孝らが出演する。演出は、TAIYO MAGIC FILM主宰で、齊藤工監督作『Blank13』にて脚本も務めた西条みつとし。脚本は、緻密な脚本で演劇玄人をも唸らせるロジカル・コメディで有名な電動夏子安置システム主宰の竹田哲士が、今作のために書き下ろした。作品は、“モノ”が目撃した記憶(ヴィジュアル)を取り出すことが可能になった、近未来の裁判を描く。被告人・樋口(岡本)にかけられた殺人容疑を裁くために招集された門倉(吉倉)はじめ代表陪審員たち4名は、サイバー・テロによって、不完全にしか記録されていないさまざまなヴィジュアルをもとに隠された真実を追究していく。樋口を裁くのは門倉たち代表陪審員の4名と、陪審員である客席の“あなた”だ。あわせて、主演の吉倉、岡本のコメントが公開された。■吉倉あおい(門倉真澄役)近い将来もしかしたら……と思えてしまうようなSFミステリー。観に来てくださる方にも陪審員として一緒に推理して頂きます!VRでしかできない演出で1秒たりとも目が離せません。私自身舞台初挑戦になりますが、楽しんで臨めたらと思っています!■岡本至恩(樋口克哉役)樋口克哉役の岡本至恩です。今回、VR×演劇というとても新しい取り組みに参加できることを大変嬉しく思います!初めての舞台のお仕事で緊張もありますが、先日台本も読ませて頂き、企画、ストーリー共にとても面白く頭の中で思い浮かべてはワクワクしております!(笑)そのワクワクを少しでもリアルに皆さんにお伝えできるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします!!VR演劇『Visual Record ~記憶法廷~』公演日程:6月27日(木)~7月1日(月) 全12公演予定劇場:中目黒ウッディシアターチケット料金:6,000円※他、各種割引あり。
2019年04月25日これは落語なのか、演劇なのか――。昨年の『志らくひとり会』が文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞した立川志らく。その続編にあたる新作落語「不幸の家族」を上演するのが、4月22日に本多劇場で開幕した『志らくひとり舞台』だ。2016年に自身の劇団で上演したものを、落語版としてひとりで演じる。まず「志らく 半生を語る」の語りで幕を開ける。次いで始まった「不幸の家族」は、2025年の大三次世界大戦突入寸前の日本が舞台。かつて海上自衛隊で親友であり、恋敵でもあった男ふたりが、18年ぶりに再会することになる。心躍らせいそいそと準備するくだりは、いかにも落語的。はりきりすぎてちょっとドジをしたり、家族との少しズレた日常会話などに、思わず吹き出してしまう。社会風刺や、落語家に対する毒舌も痛快。志らくの得意な映画ネタも満載で、有名映画たちにツッコミを入れていく。映画を観ていなくてもネタが楽しめる気配りも忘れない。時事ネタも織り交ぜ、教養と遊び心たっぷりに会話が展開する。男は娘や息子も巻き込んで再会の準備を進めるが、そのうちに、思いもよらなかった事実が明らかになってくる……。上演時間1時間。男たちの単純な再会話かと思いきや、男同士の友情、夫婦の形、親子の縁、家族の愛情など、さまざまな人間関係が複雑に重なっていく。前半に散りばめられた伏線が、細かいネタにいたるまで丁寧に回収されるうち、なぜか笑っていたのに泣かされている。そこには、人は迫りくる戦争よりも、目の前のちょっとした出来事が重要だという風刺も効いている。がしかし、とても温かい作品だ。演劇作品を落語にしたことで、全役をたったひとりで演じる。しかし、照明も衣装も変わらず高座のみがあるステージには、ふたりの初老の男と、その家族たちの表情豊かな姿が見えた。落語を聞いていたつもりが、いつの間にか1本の小さくも壮大な演劇を観た気分になる。それは古典の技術と経験を踏まえ、試行錯誤の末にたどりついた志らくの新作落語(現代落語)が成せる技だろう。そこには、ひとり芸の要素がふんだんに詰まっていた。これは落語か演劇か。語り、コント、マイム、音楽などを盛り込み、ジャンルを越えたひとり舞台の最高峰を「ひとり話芸の元祖であり極みである落語」(立川志らく)で表現する。上演は23日(火)19時の回が最後。当日券は開演1時間前より劇場受付にて発売。また、チケットぴあでは「立川志らく独演会」等出演公演も販売中。取材:河野桃子
2019年04月23日集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の古舘春一のバレーボール漫画「ハイキュー!!」。2015年にハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」と題して舞台化、これまで数々の名勝負を繰り広げてきた。そして2018年10月の前作で主役の烏野高校キャストが卒業。2019年4月、物語の舞台を宮城から東京へと移し、音駒高校を中心とした新章が幕を開けた。【チケット情報はこちら】春の高校バレー東京都代表の座をかけ、音駒高校、梟谷学園高校、戸美学園高校が熱戦を繰り広げる“東京の陣”。演出・脚本のウォーリー木下がゲネプロ前の会見で「映像、振付、音楽を刷新。まだまだ進化している」と話したように、巨大モニターやLEDなどデジタル技術をふんだんに取り入れつつも、役者たちの身体能力を最大限に生かしたアクロバットやパフォーマンスでも魅了した。狙った獲物を抜群の瞬発力で仕留める音駒高校。チームの中心人物は永田崇人演じる狐爪研磨と近藤頌利演じる黒尾鉄朗で、静と動という対照的な存在が鮮やかだ。思慮深い狐爪を軸に、黒尾らチームメイトが彼の周辺で大きなうねりを見せた。お祭り騒ぎのように盛り上げる梟谷学園高校は、中心人物の木兎光太郎役を桜庭大翔が熱演。長身を生かした熱血プレイヤーを演じた桜庭は、初舞台とは思えぬ頼もしさを見せた。巧みな心理戦で相手チームをじわじわと追い詰める、狡猾で冷血な戸美学園高校。その頭脳である大将 優役を演じた福澤 侑は、ポーカーフェイスで相手を惑わせる難役をクールに演じ、勝負のゆくえを見守る観客をも翻弄した。試合の見せ方も絶妙だ。ネットやコートをほぼ介さず、混然一体となりながらも、アクロバットやフォーメーションでバレーボールという競技の醍醐味を味わわせてくれた。もちろん青春群像劇の要素もふんだんにちりばめ、バレーに駆ける彼らのかけがえのない一瞬一瞬をキラキラと映し出していた。シリーズも7作目。これまでを知るファンの方には新鮮に描く一方、山本あかね役の重石邑菜と灰羽アリサ役の楓がストーリテラーの役どころとなり初心者を誘う。“東京の陣”の背景や展開を分かりやすく解説するふたり。彼女たちの存在が、今作から演劇「ハイキュー!!」の世界に飛び込んでも躊躇なく楽しめることを保証している。ヒップホップの要素もさらに取り入れ、試合中もキャストたちが会場をあおっていく。“観るだけ”にとどまらない、演劇「ハイキュー!!」ならではのエンターテイメントをぜひ体感してほしい。4月14日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演後、20日(土)・21日(日)は宮城で公演を実施。東京公演は4月27日(土)から5月6日(月・休)まで、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて。取材・文:岩本和子
2019年04月15日膨大な演劇作品の中から当たりを見つけるのは、初心者には至難の業。そんな人にとって『現代演劇大全』は格好のナビ。本の後半には大衆演劇という異界なページも…。その担当編集ヤスとユカが魅力を熱く語ります。これも現代演劇のひとつの形。大衆演劇という沼の誘惑…。ヤス:知り合いに勧められて浅草の木馬館に一見(ひとみ)劇団を観に行ったら、とにかく圧倒されて。お芝居がめちゃくちゃかっこいいし、舞踊ショーも着物やかつらを見てるだけでびっくりするし。失礼ながら大衆演劇ってB級のイメージがあったけど、演劇の一ジャンルとして純粋に面白い。特に、一見好太郎座長の芝居が最高。小さい劇場は他にもあるけど、あれだけ熱量のある芝居を目の前で観られるっていうのは、今まで味わったことがなかった。五臓六腑に刺さってくるのよ。感動も涙も半端ない!ユカ:私も、講談を聞きに木馬亭には行ったことあったけど、隣の木馬館で大衆演劇をやってることさえ知らなかった。でも、ヤスに誘われて観に行ったらすごいエネルギーで、座長の色気にもやられた…。ヤス:1600円で3時間半堪能できるってコスパもすごい。しかも1か月の公演中、毎日演目が変わる!ユカ:お花(ご祝儀の現金)がつくっていう、他の芝居では絶対見られないシステムも見どころ。自分では花をつけられなくても、他の人がつけるのを見てるだけでも楽しめます。客席と舞台が一体化するんですよ。ヤス:ハンチョ(掛け声)も面白い!一緒に舞台を作ってるような感じで。ユカ:関西だとさらににぎやかで、20代の女の子もキャー!って感じで観てるよね。ヤス:それに、舞踊ショーは写真が撮り放題っていうのもうれしい。ユカ:終演後に役者さんが表に出てきて、握手したりもしてくれるのよ。――地下アイドルみたいですね。別料金出すと2ショット撮れたり。ヤス:お金渡さなくてもいいのよ。ユカ:そう…渡さなくていいの。ヤス:芝居の出来がイマイチだったとしても劇場空間全体を楽しめるから、なにかしらお土産はあるはず。――初めての人におすすめは?ヤス:本でたっぷり取材してますが、まずは一見劇団。そして、最近テレビで人気の梅沢富美男さん。お約束をこれほど鮮やかに面白くやってのける役者は他にいません。――初心者が直近で観に行くなら?ヤス:4月に浅草の木馬館に一見劇団が出ます!木馬館は昼夜で演目が変わるから、一日中楽しめます。ユカ:お花見の行楽気分と一緒にね。抜群のイケメンっぷりと女形姿が同じ役者とは思えない一見好太郎座長。座員はほぼ家族。演劇が家業という形態ゆえに応援し続けたくなるのも他の演劇にない魅力。ヤス大衆演劇のせいで服がヒョウ柄だらけに。好物はカレーと中村吉右衛門。ユカ建築系ライターなのにスマホ内写真が大衆演劇一色に。好物はアジフライ。『現代演劇大全 いま観るべき 舞台のすべてがわかる』 本の前半では、NODA・MAP 、劇団☆新感線などいまや老舗的存在から、本誌連載でおなじみの月刊「根本宗子」など気鋭の劇団、三谷幸喜や栗山民也といった演劇人まで、何がどういいのかを多くの舞台写真や資料とともに詳細に解説。面白い演劇が見つかるキーワードが全162ページに凝縮。発売まもなく二刷に。マガジンハウス2700円※『anan』2019年3月6日号より。写真・水野昭子(by anan編集部)
2019年03月01日近年、コミュニケーション教育の観点から注目を集めている演劇。演劇を作るだけでなく、鑑賞することによっても十分な教育効果が得られることは『観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!』で以前、紹介しました。しかし、演劇はまだまだ文化として一般的ではありません。「子どもと観劇したいけれど何を見にいって良いかわからない……」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。そんな方のために、子どもとの初めての観劇におすすめの団体とその作品を紹介します。観劇で育まれる子どもの「感受性」団体の紹介の前に、観劇で得られる教育的効果を確認しておきましょう。前出の記事『観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!』では、演劇鑑賞のメリットを以下のようにまとめています。1. 様々な感情を体験し、感情表現が豊かになる2. 共感する力、社会性が育まれる3. 家族間のコミュニケーションが促進されるまた、現代演劇の振興を手がける日本芸能実演家団体協議会も、演劇鑑賞の効果について次のように解説しています。演劇を鑑賞すると、鑑賞者はその物語を通じて、感情が揺さぶられる。これは、日常で体験するコミュニケーション内でより、ダイナミックな感情の動きである。一方であくまでも疑似体験であるため、ある意味安全に様々な感情が抽象的に体験される。(引用元:公益社団法人日本劇団協議会|「芸術団体における社会包摂活動の調査研究」報告書)テレビや映画と違い、観劇には「直接性」と「過剰さ」があります。子どもたちは、スクリーンやモニターを挟むことなく「直接」、「過剰」に表現されたダイナミックな感情の動きを体験することができるのです。この体験が、子どもの「感受性」を育てます。そして、演劇で物語を疑似体験することで、日常においてもでも、他人の置かれた状況を想像する力を養うことができるでしょう。幼少期にこのような「感受性」を身につけた子どもは、成長するにしたがいコミュニケーション能力をも身につけることができると言われています。ほかにも、表現を楽しむ力などを養うことにもなるはず。こんなに教育効果の高い「観劇」、まさに「しないなんてもったいない!」ですね。子どもと一緒に本気で楽しめる作品5選!それでは、定期的に子ども向けの公演を行っている団体とその作品をご紹介します。観劇は子どもだけでなく大人も一緒に楽しむことが大切です。なぜならば、親の興味や趣味嗜好が子どもの好みに大きく影響を与えるから。親がなんだか楽しそうにしているもの、そこに子どもは憧れを感じ、興味を示すのです。ですから是非、「これは自分が見てもおもしろそうだぞ!」と思う作品を選んでみてくださいね。【劇団四季】■『裸の王様』日程:2019年5月4日(土)〜12月演劇といえば劇団四季を想像される方も多いのではないでしょうか。劇団四季は全国に専用の劇場を持つ、日本最大のミュージカル劇団です。ミュージカルは歌や踊りが含まれ、演劇の中でも特にダイナミックな体験を得ることができます。そのため、子供が飽きにくく、初めての観劇に向いているでしょう。劇団四季は子ども向けのファミリーミュージカルを毎年4本作成しています。2019年の作品の中でのおすすめは、劇団四季が作成した初めての子供向け作品であり、今も愛され続けている『裸の王様』です。台本は詩人・演出家として知られる寺山修司氏が執筆。世界で一番たくさんの服を持っているおしゃれな王様の元にやってきた、デザイナーのスリップとスリッパが引き起こす騒動を描きます。誰もが知っているアンデルセンの名作を、寺山氏が幻想的に再構成した『裸の王様』は大人も子どもも楽しむことができます。【日生劇場】■谷桃子バレエ団 バレエ『眠れる森の美女』日程:2019年8月23日(金)〜8月25日(日)1993年の日生劇場開館30周年を記念して始まったファミリーフェスティヴァルは、劇場主催ということで演劇だけでなく、クラッシクコンサートやバレエなど舞台芸術全般を楽しめます。毎年7月後半から8月にかけて4演目が行われますが、2019年作品のおすすめは、古典バレエの名作『眠れる森の美女』です。少し硬いイメージのするバレエですが、豪華な舞台セット、オーケストラの生演奏、訓練されぴったりと揃ったダンスに、お子さまはきっと圧倒されることでしょう。また、言葉がメインにならない分、想像力を養うこともできます。バレエを習い始めたお子さまに「本物」を見せてあげることで、お子さまの練習スイッチが入るかもしれませんよ。【演劇集団円】■円・こどもステージNo.38『青い鳥』日程:2019年12月21日(土)〜12月27日(金)演劇集団円は俳優の橋爪功が代表を務める劇団です。普段は難解な大人向けの内容ですが、毎年12月21日〜27日は「円・こどもステージ」を上演しています。この「円・こどもステージ」、良質な台本と音楽から数々の賞を受賞していて、かなり高い評価を受けています。かつては、詩人の谷川俊太郎が台本を担当したこともあるのです。2019年に38回を迎える「円・子どもステージ」ではモーリス・メーテルリンクの『青い鳥』を上演します。名作童話として知られていますが、元は童話劇として作られました。実際に上演されている作品を見たことのある方は少ないのではないでしょうか?チルチルとミチルの物語を通して、子どもに生と死、喜びと悲しみなど普遍的な問題を豊かなイメージとともに投げかけます。熟練した俳優の演技も魅力です。【人形劇団プーク】■人形劇団プーク×さくらプラザ こどもの日スペシャル!『三びきのやぎのがらがらどん』&『いつもちこくのおとこのこ』日程:2019年5月5日(日)人形劇団プークは1929年にできた老舗の人形劇団です。人形劇はアニメや絵本と同じくデフォルメされたキャラクターを用いるため、人間では限界のある豊かな世界を表現することができます。『かいじゅうがまちにやってきた』や『エルマーのぼうけん』など、有名な絵本を原作とした人形劇を上演しているため、子どもにとって観劇のハードルが低いでしょう。劇団が運営している、絵本から飛び出てきたような可愛らしいプーク人形劇場は全席が子ども仕様になっているので、その点でもおすすめです。人形劇団プークは毎年いくつかの演目をレパートリーとして用意しており、全国の劇場や学校など様々なところで公演を行なっています。その中で、2019年のこどもの日に戸塚区民センターさくらプラザで上演される『三びきのやぎのがらがらどん』&『いつもちこくのおとこのこ』を紹介します。『三びきのやぎのがらがらどん』は子どもの頃に読んだことのある方も少なくないのではないでしょうか。 『いつもちこくのおとこのこ』はブルガリアの美術家の手がける不思議な世界が魅力です。【鳥の劇場】■『鳥の演劇祭(タイトル未定)』 ※リンクは『鳥の演劇祭11』日程:2019年10月26日(土)~11月17日(日)「鳥の劇場」は鳥取県鳥取市で同名の劇場を運営する劇団です。地域とのつながりを大切にした取り組みが評価され全国的にも注目を集める鳥の劇場ですが、子ども向けのプログラムに特に力を入れています。託児サービスや子ども向け演劇だけでなく、「小鳥の学校」という子ども向け演劇学校や、高校生と海外のアーティストのワークショップなど数々の試みを実施しているのです。その中で最も大きな試みが毎年秋に行われる『鳥の演劇祭』です。鳥の劇場のある城下町、鹿野町全体を会場とし、世界中のカンパニーの作品を上演するだけでなく、様々なお店を誘致し、町歩きも楽しめる演劇祭です。サーカスや写真家が家族写真を撮影してくれる企画も実施しています。演劇教育で実施されていることがほぼ全て体験できるのが魅力です。2019年は日中韓共同開催の国際演劇祭「BeSeTo(ベセト)演劇祭」との合同開催だそう。これはかなり楽しめる内容だと思います。旅行も兼ねて、緑に囲まれた環境で、演劇漬けの一日を送ってみませんか?子どもが騒ぐかもしれないと不安な方へ子どもとの観劇を考えたとき、どうしても頭に浮かんでしまうのが「子どもが騒いでしまうかも……」という不安。でも安心してください。子ども向けの演劇は、劇団も他の観客も子どもが騒ぐことは織り込み済みなため、多少うるさくしても大丈夫。とはいえ、事前にしっかりと子どもに観劇マナーを教えておくことでもある程度対策できるでしょう。しかし、実際行ってみるまで何が起こるかわからないもの。そこで、そんな不安を解消するための対策を2つ紹介します。1.通路側の席に座る通路側に座ることで、他の人に迷惑をかけることなくロビーに戻ることができます。また、四季劇場は客席後方に前面がガラス張りの親子観劇席を用意していたり、日生劇場ではロビーにモニターを設置していたりなど、大きめの劇場では子どもが落ち着くまでの間も観劇できるサービスを用意しています。子どもが騒いでしまう危険性が高い時は、そのようなサービスのある大きめ劇場に訪れると良いでしょう。2.アウトリーチを活用する「子どもが騒いでしまうことが不安」なのは、知らない他の親子の観劇の邪魔をしてしまうかもと考えてしまうからですよね。だったら、子ども会などで劇団を呼んでみてはどうでしょうか。舞台芸術作品を劇場以外の場所で上演する(アウトリーチ)を行なっている子ども向け劇団は少なくありません。例えば、子ども向け作品を多数上演しているTheatre Ort(シアター・オルト)は「よみきかせ」の気軽さと「おしばい」の迫力を組み合わせた「よみしばい」を実施しています。園や子ども会などに提案してみてはいかがでしょう。***演出家の平田オリザさんを学長に迎えた、演劇を専門的に学べる国内初の国公立大学の開校が発表されるなど、ますます注目を集める演劇教育。東京大学の推薦入試実施など、教育におけるコミュニケーション能力の比重は徐々に大きくなっています。コミュニケーション教育に非常に効果的な演劇を、まずは気軽な観劇から始めてみてくださいね。(参考)Study Hackerこどもまなびラボ|観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!劇団四季日生劇場ファミリーフェスティヴァル演劇集団円人形劇団プーク 鳥の演劇祭11 |”BIRD” Theatre Festival TOTTORI 11劇団四季|心を育む 劇団四季ファミリーミュージカル 2017Theatre Ort|プロフィール of Theatre Ort神戸新聞NEXT|演劇学ぶ初の国公立大平田オリザさん学長に
2019年01月31日公園や街角に設置された“スイッチ”に書かれたお願い事を実行(=押す)すると、突如始まる短い演劇。スイッチを押した人をゆるやかに巻き込みつつ始まる“作品”を、さまざまな形で発表しているスイッチ総研が、なんとお正月の浅草に現れる。それが「江戸まち たいとう芸楽祭冬の陣オープニングステージ」に登場する『浅草新仲見世商店街スイッチ』。「最初は、横浜の公園で通りすがりの方にも気軽に観てもらえるような何かを作れないか、という話から始まったんです。ただ、俳優の身で言うのも何ですが、縁のない方にとって演劇って圧が強いイメージがあると思うんです。目の前で唐突に始まった場合、参加したくなくても無視しづらい雰囲気がある。そこに引っかかっていたので、スイッチという仕掛けをみんなで考えたんです。観たい方がいて、押してくれればお見せしますよ、という形が、押し付けがましくなくてしっくりきたんです」とは所長の光瀬指絵さん。そこに、副所長の大石将弘さんが「僕らも好きで演劇をやっているんで、嫌われたくないんで(笑)」と付け加える。これが大好評を博し、小豆島や六本木の街中など各所に招聘されて上演するようになった。そして現在までに、400個以上のスイッチが作られている。「毎回、上演する土地でしかできないことを考えています。その土地の歴史や名産、そこにある建造物をお借りして作ることも。その方が面白いと思うので」(光瀬さん)上演場所が決まったら、その地の特性を把握するため、街をひたすら歩いてロケハンし、アイデアを練る。「くだらないけれど、つい笑っちゃうようなスイッチが多いかもしれません(笑)。ただ、どんなに面白くても、不快に思う人が一人でもいるようなネタはNG。参加者は、あくまでも通りすがりの方。チケットを買って、自主的に足を運ぶ公演とは違いますから」(光瀬さん)となると、新年の浅草新仲見世商店街でのスイッチが気になるところ。「浅草ならではのお店が多いので、商品を手に取ると始まったりすると面白いなと思います」(光瀬さん)「スイッチを体験された方が、それをきっかけに、浅草という土地や地元の店まで興味を広げてくれたらうれしいですね」(大石さん)2019年1月6日(日)15:00~15:30会場/浅草新仲見世商店街各所作/スイッチ総研総合演出/光瀬指絵観覧無料予約不要江戸まち たいとう芸楽祭実行委員会事務局 TEL:03・5246・1328(月曜~金曜 9:00~17:00)所長の光瀬指絵さんはニッポンの河川という劇団、副所長の大石将弘さんは、ままごととナイロン100℃にも所属する俳優。「スイッチを体験して、演劇ってイケてるなと思ってもらえたら」※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・中島慶子(光瀬さん、大石さん)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年01月01日ボーカル・luz、作詞作曲・奏音69、イラスト・RAHWIAによるクリエイターサークルRoyal Scandalの楽曲を原案に作られた、音楽と演劇が融合した新しいスタイルの舞台、LIVE THEATER『Royal Scandal~秘密の歌姫[ディーヴァ]』が、12月2日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXで上演中だ。LIVE THEATER 「Royal Scandal~秘恋の歌姫[ディーヴァ]」チケット情報Royal Scandalの人気ナンバーをもとにした本作は、「Barマスカレイド」で歌姫として活躍するチェルシー、バーテンダーとして店を影で支えるルイスを中心に展開。バーでの人間模様と、“祝い”と“呪い”を持つと伝わる「ロイヤルカード」の“おとぎ話”を軸に物語が繰り広げられていく。ルイス役を中村優一が、チェルシー役を礒部花凜が演じている。また、「LIVE THEATER」と銘打ったこのステージでは、Royal Scandalのボーカル・luzが、舞台上で登場人物の心の内を生歌で表現している。華やかな衣裳に身を包んだluzが、情熱的に踊るキャストを従えて『クイーンオブハート』と『R-18』を歌い上げ、観客を瞬く間に『Royal Scandal』の世界へと引き込んでいく。楽曲の中にいたキャラクターたちが、生身のキャストを得て、luzの歌声に乗って秘めていた感情を迸らせる。「Barマスカレイド」の一番の歌姫(ディーヴァ)・チェルシーと、バーテンダー・ルイスのすれ違う思いを『チェリーハント』が彩り、第二の歌姫であるロゼッタ(松久みのり)の回想は『REVOLVER』と共に届けられる。男女の悲劇が繰り広げられる『ビーストインザビューティ』では、スリリングな展開がステージに美しく描き出された。チェルシーに求愛する王子・アルベール(櫻井圭登)が巻き起こす騒動、「ロイヤルカード」の秘密を握る謎の男(上田堪大)の真意が、劇的な結末へと導いていく…。時に優雅で、時に激しいluzの歌声が芝居を盛り上げ、物語の軸となる中村の熱演が楽曲の魅力をより引き立たせる。両方の力が相乗効果として作用する、LIVE THEATERならではのステージだ。豪奢な舞台美術も品川プリンスホテル クラブeXの持つ上質な雰囲気にぴったりで、贅沢な空間の中、耽美で切ないRoyal Scandalの世界観を存分に味わえる。公演にあたりluzは「僕たちの音楽と、演者のみんなで磨き上げた演技の融合を、千秋楽まで楽しんでいただけるよう、精一杯お届けします」と意気込みを語り、ルイス役の中村も「劇中ではRoyal Scandalさんの新曲も披露します。お芝居もluzくんの歌、曲、Royal Scandalさんの世界観を表現しており、最初から最後まですべてが見どころです」とコメント。チェルシー役の礒部は「チェルシーはとても大人で素敵な女性ですが、純粋で可愛らしい部分も持ち合わせた素敵なキャラクターです。Royal Scandalの魅惑的な世界観とluzさんの迫力ある歌声、私たちがつなぐお芝居が融合したLIVE THEATERをぜひお楽しみに!」と魅力を語る。公演は12月2日(日)まで。
2018年11月29日「第10回下北沢映画祭」が、2018年10月26日(金)から28日(日)までの3日間、北沢タウンホールほか、下北沢の全4会場にて開催される。「下北沢映画祭」では、ドラマ・CG・アニメーション・ミュージックビデオ、ドキュメンタリーなどジャンル不問の映画作品コンペティションをメインに行う他、音楽や演劇、ファッション、グルメなど下北沢の多彩なカルチャーに触れられるプログラムも実施。今回は第10回目の開催となり、節目を迎える。「第10回下北沢映画祭」のテーマは「To be continued お楽しみはまだまだ続く」。映画、ドラマ、ゲームで「to be continued」というワードを見た時のワクワク感や期待感を映画祭を通して感じて欲しい、という思いが込められている。今回のコンペティションには、アニメーション作品や会話劇など、バラエティに富んだ10作品がノミネート。ゲスト審査員は、映画『勝手にふるえてろ』の大九明子監督が務める。また、「柄本佑×三宅唱」の特集上映を10月26日(金)に実施。『きみの声はうたえる』でのタッグも記憶に新しい2人が関わる3つの作品、『ムーンライト下落合』『NAGAHAMA』『八月八日』を一挙公開。その翌日27日(土)には、『ちょっとの雨ならがまん』を下北沢ReGで上映する。日本のハードコア・パンクシーンの黎明期を描いた作品だ。そして、北沢タウンホールでは「演劇×映画」特集を10月28日(日)に開催。10周年を迎える劇団ゴジゲン主宰の松居大悟監督最新作『君が君で君だ』など演劇にまつわる映画を上映する。上映後は松居監督をはじめ、関係者によるトークセッションも開催される。【詳細】第10回下北沢映画祭開催日程:2018年10月26日(金)~10月28日(日)会場:北沢タウンホールほか全4会場■柄本佑×三宅唱、特集上映日時:10月26日(金) 19:30(19:15開場)会場:下北沢トリウッド住所:東京都世田谷区代沢5-32-5-2Fチケット:1,800円■ちょっとの雨ならがまん in 下北沢日時:10月27日(土) 11:45(11:30開場)会場:下北沢ReG住所:東京都世田谷区代沢5-30-10チケット:2,000円+1ドリンク600円■「演劇×映画」特集日時:10月28日(日) 10:45(10:30開場)会場:北沢タウンホール住所:東京都世田谷区北沢2-8-18チケット:2,000円
2018年09月07日第10回目の開催を迎える「下北沢映画祭」が今年も開催。10月26日から28日の3日間、北沢タウンホール他、全3会場にて行われる。下北沢映画祭では、ジャンルを問わないコンペイティションをメインプログラムに、音楽や演劇、ファッションやグルメなど下北沢を彩る様々なカルチャーを切り口にしたプログラムを発信。記念すべき10回目となる今回のテーマは「To be continued お楽しみはまだまだ続く」。映画やドラマ、ゲームで「to be continued」というワードを見た時のワクワク感、期待感を映画祭を通して感じて欲しい、という思いが込められている。今年は北沢タウンホール、下北沢唯一の映画館トリウッド、ライブハウスのReGと、多彩な会場で5プログラムを開催。キービジュアルは昨年に続き、デザインユニット・コニコが手がけている。Ⓒ2018 「君が君で君だ」製作委員会10月28日には、“演劇の街”である下北沢にちなみ「演劇×映画」特集を北沢タウンホールにて開催。10周年を迎える劇団ゴジゲンを主宰する松居大悟が監督を務める最新作『君が君で君だ』を上映。またもう1作品、演劇にまつわる映画を併映予定です。上映後は松居監督をはじめ、関係者によるトークセッションも行われる。尚、その他の上映作品やイベント詳細は公式サイト()にて9月上旬より随時発表される。【イベント情報】第10回 下北沢映画祭会期:10月26日〜28日会場:北沢タウンホール(世田谷区北沢2-8-18)、下北沢ReG(世田谷区代沢5-30-10)、下北沢トリウッド(世田谷区代沢5-32-5-2F)
2018年08月21日「獺祭あります!」の文字、居酒屋などで一度は見たことがあるのではないでしょうか?獺祭とほかの日本酒って何かが違う……ということは分かっていても、何が違うかを言える方はそう多くはないのでは?今回は“獺祭あります!” の意味とともに、『獺祭酒粕カレー』をご紹介します。 「獺祭あります」ってなんでそんなに有名なの?出典: 『獺祭』は、日本酒の中でも特によく知られている山口県の有名なブランド純米大吟醸酒です。最近では、居酒屋などで“獺祭あります!”と書かれた看板を見かけることも多く、山口県育ちの筆者は誇らしげになります(ほかに誇るものが多くないということもありますが……笑)。他の日本酒と何が違うの?と思われるかもしれませんが、特筆すべきはその製造方針でしょう。獺祭は、通常なら杜氏と蔵人で行われる酒造りを、社長さんと社員さんだけで行っています。平均年齢はかなり若いようで、「若手の社員さんが、あの獺祭を造れるの?」と思ってしまいそうですが、実はここがポイントなんです。通常なら杜氏が十年以上をかけて経験する純米大吟醸だけの仕込み本数を、社員さんはなんと一年でこなすのだとか。短期間に圧倒的な経験を積むことで、ベテラン杜氏にもひけをとらない技術を磨いていくのですね。そして「酔うため売るための酒ではなく味わう酒を求めて」のコンセプトの通り、常識にとらわれず、遠心分離システムなどの新技術を導入したり、温度管理徹底のための設備を充実させたりと、手間とコストをいとわずに、美味しさのための工夫を凝らしているところが違いと言えるでしょう。(詳しくは公式HPを!)これらの工夫と研鑽の結果、数々の賞を受賞しており、日本酒界でも世界でも一目置かれる存在となっています。ここまで名高い日本酒だと、大人気で入荷は難しいもの。「獺祭あります!」とは、「あの特別な獺祭を当店では取り扱っておりますよ~」という居酒屋側のアピールなんですね。 酒粕ってなに?出典: 今回紹介するカレーには、その有名な獺祭の“酒粕(さけかす)”が使用されています。酒粕は、「健康や美容にいい!」というイメージがあるかと思いますが、実際のところ、どんなものなのでしょうか?酒粕とは、日本酒の“もろみ”を圧搾した後に残る白色の固形物のことです。はて……もろみとは?と思った皆さん!筆者もでした。もろみとは日本酒の原料である米(蒸したもの)、米麹、水を発酵させた、おかゆ状の酒のもとのことです。出典: 最終的には、もろみをこして、日本酒と酒粕にわけるのです。つまり、酒粕とは文字通り、お酒をつくる際にできた“カス”なのですね。酒粕は、昔はほとんど捨てられていた時代もあったそうですが、今ではたくさんの活用方法があります。料理に使われることも増えてきていて、レシピサイトを覗いてみると、酒粕を使ったケーキやピクルスなどのレシピがたくさんあります。また、酒粕パックや酒粕の化粧水など、原料に酒粕が使われているスキンケア商品もたくさん見かけます。さらに、栄養分が豊富なことから飼料や肥料として使われることも多いようです。 こだわりぬいた「獺祭」は、酒粕も人気!さて、有名な獺祭を使用した酒粕商品を調べたら、カレーに留まらず、バームクーヘン、ケーキ、アイスクリーム、せんべい、石鹸……さまざまな商品が出てきました。“獺祭”は酒粕も人気なのですね。前置きが長くなりましたが、今回紹介する『獺祭酒粕カレー ビーフ中辛』は、食品メーカー永谷園が販売。Amazonで5個セット3,500円(1パックあたり700円)で発売中です。まろやかで高級感のある上品な味わい。お肉もゴロゴロ入っています。“獺祭”というブランド力がある商品なので、贈り物にもおすすめ。お酒とセットでプレゼントするのも粋ですね! 総評辛さ★★☆☆☆(ほどよい辛さ♡)コスパ★★☆☆☆(やや高級です)贈り物におすすめ★★★★★(お酒好きの方へ!)獺祭と食べたい★★★★★(やっぱり獺祭と一緒にいただきたい!)いかがでしたか?次回から「獺祭あります!」との文字を見たら、その意味がしっくりくるはずです。そんな格別な日本酒『獺祭』の酒粕で作った永谷園の『獺祭酒粕カレービーフ中辛』もぜひ試してみてください!【参考】※ 獺祭の蔵元 旭酒造株式会社【画像】※ kitsune05、KPG_Payless、HikoPhotography/Shutterstock【筆者略歴】MARU
2018年07月11日