原美術館で19年前に開催し大きな反響を呼んだ、世界的に注目されるフランスの女性現代美術作家・ソフィ カル(Sophie Calle)の個展「限局性激痛」を、フルスケールで展示する再現展『「ソフィ カル―限局性激痛」 原美術館コレクションより』を、2019年1月5日から3月28日まで、原美術館にて開催する。Sophie Calle Exquisite Pain, 1984-2003 © Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018同展は日本の美術館におけるカルの初個展として開催され、会期終了後、全出品作品がコレクションに加えられた。「限局性激痛」とは、医学用語で身体部位を襲う限局性(狭い範囲)の鋭い痛みや苦しみを意味し、カル自身の失恋体験による痛みとその治癒を、写真と文章で作品化したもの。人生最悪の日までの出来事を、最愛の人への手紙や写真で綴った第一部と、不幸話を他人に語り、代わりに相手の最も辛い経験を聞くことで自身の心の傷を少しずつ癒していく様子を美しい写真と刺繍で綴った第二部で構成されている。Photo : Jean-Baptiste Mondino見知らぬ人々を自宅へ招き、自分のベッドで眠る様子を撮影したものにインタビューを加えた「眠る人々」(1979年)や、ヴェネツィアのホテルでメイドをしながら、宿泊客の部屋の様子を撮影した「ホテル」(1981年)、拾ったアドレス帳に載っていた人物にその持ち主についてのインタビューを行い、日刊紙リベラシオンに連載した「アドレス帳」(1983年)など、常に論争を巻き起こしている彼女の作品。90年代の「本当の話」や「ヴェネツィア組曲」などの初期の代表作を制作する一方で、「盲目の人々」(1986年)から始まった盲人に焦点を当てたシリーズにおいて、美術の根幹に関わる視覚・認識についての深い考察を行っている。また、カルの生き方に感銘を受けたポール オースター(Paul Auster)が、彼女を小説「リヴァイアサン」の登場人物マリア ターナーのモデルとしたことをきっかけに、逆にカルがターナーを演じた作品「ダブル・ゲーム」(1998年)を発表するなど、その活動は現代美術の枠組みを超えて広く注目を集めている。「ソフィ カル―限局性激痛」1999-2000年 原美術館での展示© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018日本滞在が契機となって誕生した作品「限局性激痛」は、日本で最初に発表したいという作家の希望を受けて1999年の原美術館での展覧会のためにまず日本語版が制作され、その後フランス語や英語版も世界各国で発表された。フランス語版は、ポンピドゥー国立近代美術館での大個展(2003 - 2004年)に出品された後、同館コレクションに加わった。「限局性激痛」第二部で特徴的なのは、テキストが全て刺繍でつづられている点。「見本と寸分違わず刺繍できる凄腕の職人がフランスにいる」という作家の情報を受けて、当初、日本語のテキストをフランスで手刺繍してもらう予定だったが、新潟にある刺繍工場の方と偶然にも幸福な出会いがあり、まずは膨大な量の日本語版の機械刺繍が完成した。生地は作家こだわりの麻布をベルギーから取り寄せ、作家も出来栄えに大いに満足。その結果、フランス語版と英語版も新潟で制作。ソフィ作品の命ともいえるテキストは、コピーライターの竹内桃子が、原文にあるニュアンスを取り込みながら日本語版テキストを完成させた。「ソフィ カル―限局性激痛」1999-2000年 原美術館での展示© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018また15年間封印されていた思い出の品々、例えば行動を記録した手書きのメモ、地図、ポラロイドやコンタクトプリント、(中国の)紙幣、そしてあってはいけない某ホテルの鍵など、全てひとまとめにしまわれていた第一部で被写体となった品々は、作品制作を決めた作家がこれを開封し、メモや記憶をたよりに必要に応じてその地を再訪するなどして、数年をかけてこのシリーズ作品が完成。第二部で、自らの最もつらい体験をカルの失恋体験と交換した相手の中には、哲学者やアーティストもおり、同館にて2012年に個展を開催したフランスの現代美術作家、ジャン=ミシェル オトニエル(Jean-Michel Othoniel)も実はその一人だ。会期中の2月1日には、原美術館のザ・ホールにて、アーティスト・トーク(作家来日予定)が開催。詳細は決まり次第、原美術館ウェブサイトにて掲載。日曜日と祝日には、学芸員によるギャラリーガイドを実施。ザ・ミュージアムショップでは、フランス語版『Douleur Exquise』を、ショップ限定の和訳テキストを付録として販売する。また、緑ゆたかな庭に展示された作品を眺めながら、季節感あふれる菓子や食事、ドリンクを楽しめる館内のカフェ ダールでは、開催中の展覧会にあわせた「イメージケーキ」(755円)を提供する。会期中、都内2箇所でもソフィ カルの個展を同時開催。2019年2月2日から3月5日にギャラリー小柳にて「ソフィ カル «Parce Que »(なぜなら)」が、2月2日から3月11日にはペロタン東京にて「ソフィ カル «Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre. »(私の母、私の猫、私の父、この順に。)」が開催され、作家も来日する予定。自身の人生をさらけ出し、他人の人生に向き合うカルの制作に触れてみては。【展覧会情報】「ソフィ カル―限局性激痛」 原美術館コレクションより会期:2019年1月5日〜3月28日会場:原美術館住所:東京都品川区北品川4-7-25休館日:月曜日(1月14日、2月11日は開館)、1月15日、2月12日時間:11:00〜17:00(水曜日は20:00まで、入館は閉館時刻の30分前まで)料金:一般1,100円、大高生700円、小中生500円※原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引
2018年12月06日東京都現代美術館が2019年3月下旬にリニューアル・オープン。これを記念し、企画展「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」とコレクション展「MOT コレクション ただいま / はじめまして」が3月29日から6月16日まで開催される。岸田劉生《椿君に贈る自画像》19141995年の開館から20年を経て、諸設備の改修と利便性の向上のためおよそ3年にわたる休館を挟み、リニューアル・オープンする同館。今回開催する2つの展覧会を通して、美術館全館で同館のコレクションを大規模に紹介する。同館のコレクションは、遡れば大正末年より同時代美術の展示を行ってきた上野の東京都美術館の収蔵作品およそ3,000点を、同館の開館を機に移管し、現在に至るまでの間に収集された2,200点あまりの作品を合わせた、計約5,200点で構成される。その特質は、それぞれの時代における突出した独自の創造に着目してきたものであり、オーソドックスな美術史の体系とは別の方向性を持っている。これら戦前と戦後を繋ぐ前衛や、今世紀の創造も視野に入れたコレクションを、同館の新たな出発のときに、全館での展示を通して再考することは、常に同時代の創造活動と向き合ってきた同館の意味をひろく問う、大切な試みとなるだろう。桂ゆき《抵抗》1952企画展「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」は、1910年代から現在までの百年にわたる日本の美術について、編集的な視点で新旧の表現を捉えて独自の創作を展開した編み手である作家たちの実践として、同館のコレクションを核に再考するもの。岸田劉生が活躍した大正時代から現在まで、それぞれの時代の「編み手たち」は、その時々の課題と向き合い、「日本の美術のありよう」をめぐって批評的に制作してきた。同展で試みる日本の近現代美術をめぐる語りは、揺るがぬ史観に基づくものというより、さまざまな要素の選択的な「編集」を通して主体を揺るがせつつ制作を行う作家たちの活動に着目し、その背景を探っていくもの。さらに、時代とともに変化してきた、同館が位置する木場という地域をめぐる創造も紹介する。企画展示室3フロア全てを使って、1910年代から現在までの、同館の実験精神あふれる作品の数々を、現在の創造に繋がる視点で紹介する、初めての機会。日本の近現代の創造を、新旧の多様な表現や技術を編集し、そして社会と創造的な関係を切り結んできた「編み手たち」による試みという側面から再考することで、ハイブリッドな性格をもつ日本における創造のありようそのものを主題とする、先駆的な制作のあり方が見えてくる。同時代美術の多様なあり方と伴走してきた同館のコレクションの中から、選りすぐりの作品だけでなく、図書室の創作版画誌や特別文庫など戦前からの貴重な資料も紹介する。中園孔二《無題》2012一方、コレクション展「MOTコレクション ただいま / はじめまして」では、戦後美術を中心に、近代から現代に至る幅広いジャンルに及ぶ、現在約5,200点の作品を収蔵する同館のコレクションから作品を紹介する。会期ごとに様々な切り口を設け、同じ作品であっても常に新たな視点から鑑賞できるよう工夫し、現代美術の持つ多様な魅力の発信に努めている同館。この3年弱に及ぶ休館中に、約300点の作品が新たに収蔵され、リニューアル・オープンを記念した今年度のコレクション展では、新収蔵作品を中心に紹介する。その第1弾となる同展では、主に2010年代に制作された作品群に焦点を当てながら、修復後の作品のお披露目なども加え、リニューアルした展示室で作品それぞれの魅力に触れることができる。【展覧会情報】百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-(Weavers of Worlds - A Century of Flux in Japanese Modern / Contemporary Art -)会期:2019年3月29日〜6月16日会場:東京都現代美術館 企画展示室1階、3階、地下2階MOT コレクション ただいま / はじめまして(MOT Collection: Pleased to meet you. New Acquisitions in recent years)会期:2019年3月29日〜6月16日会場:東京都現代美術館 コレクション展示室1階、3階
2018年11月28日フランス・ヴェルサイユ宮殿の現代美術プロジェクトとして、日本の現代美術作家・杉本博司の展覧会「SUGIMOTO VERSAILLES 展(仮)」を、10月16日から翌2019年1月20日まで開催する。©château de Versailles Thomas Garnier Vue arienne du Temple de l’amour au domaine de Trianon2008年より、ヴェルサイユ宮殿では年一回、国内外のアーティストによる展覧会を企画。2008年にジェフ・クーンズ(Jeff Koons)、2009年にグザヴィエ・ヴェイヤン(Xavier Veilhan)、2010年に村上隆、2011年にベルナール・ヴネ(Bernar Venet)、2012年にジョアンナ・ヴァスコンセロス(Joana Vasconcelos)、2013年にジュゼッペ・ペノーネ(Giuseppe Penone)、2014年にリー・ウーファン(Lee Ufan)、2015年にアニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)、2016年にオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)、そして2017年にはグループ展「Voyage d’Hiver/冬の旅」を開催し、それぞれの作品とヴェルサイユ宮殿、庭園との間に独自の対話を生み出してきた。第11回目となる、2018年の招聘作家に選ばれた杉本博司は、かつて王族のプライベートな場所として用いられていたトリアノン離宮を選び、主にプチ・トリアノンのフォリー(装飾的建築)および庭園にて作品を発表する。ルイ14世によって作られたこの区域には、グラン・トリアノンと呼ばれる大理石の宮殿が建てられた。その後、ルイ16世王妃、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿での窮屈な生活から逃れるため、この区域を改造し、プチ・トリアノンを隠れ家として用いるようになり、この地にフォリーや劇場、そして村里まで有するロマンティックな庭園を作らせた。杉本博司は、ヴェルサイユを象徴する場所のひとつであるこのトリアノン離宮を初めて使用し、アート、建築、ライブパフォーマンスで構成される展覧会を行う。Versailles Sugimoto 9434 ©Tadzio「ヴェルサイユに杉本博司を招聘することは、この偉大なる日本人アーティストの特異性を形成する折衷主義を迎え入れることでもあります。ルイ14世からナポレオン、マリー・アントワネットからオルレアン公へと受け継がれ、それぞれの時代の創作を生み出してきたトリアノン離宮が初めて使用され、杉本博司が現代的な解釈をもたらします。『ジャポニズム 2018』が開催される今年、ここヴェルサイユにて、杉本は日本とフランスの文化的関連性を明示するのです」と、ヴェルサイユ宮殿美術館館長カトリーヌ・ぺガールは語っている。杉本博司は、「私のアーティストとしての活動は2次元を扱う写真から始まった。その後使いにくい美術館空間での展覧会という難行苦行を重ね、自らが望む3次元空間を創出する為に建築家となった。3次元空間が出来てみると、その空間に時間の要素を加えた演劇に興味が向いていった。私のアーティストとしての一生は予定調和へと向かわずに支離滅裂へと向かっているようだ。この与えられた機会に感謝し、私自身を整理して、私の活動をどのように統合できるかを検討することにした」とコメントしている。キュレーションは、ヴェルサイユ現代美術展キュレーターであるアルフレッド・パックマン(Alfred Pacquement)と、パリの現代美術館パレ・ド・トーキョーの館長であるジャン・ド・ロワジー(Jean de Loisy)が務める。また本展覧会情報は、CHÂTEAU DE VERSAILLES公式HPでも確認できる。【展覧会情報】SUGIMOTO VERSAILLES 展(仮)会期:10月16日〜2019年1月20日会場:CHÂTEAU DE VERSAILLES
2018年08月02日現代美術家・内藤礼による、自然光での展覧会『内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える』が7月28日から10月8日まで、水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催される。《無題》2009年(2008年−)神奈川県立近代美術館 鎌倉、神奈川 撮影:畠山直哉「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する内藤は、光・空気・風・水・重力など無尽蔵な自然と、それらがもたらす色彩や音を受け取る地上の生を、ひそやかでありながら確かな希望を放つ形に昇華させた空間作品で国内外より高い評価を得ている。内藤はこれまで、きんざ《このことを》(直島、2001年)、《母型》(豊島美術館、2010年)のような自然や建築空間と呼応するパーマネント作品を手がけた他、フランクフルトのカルメル会修道院や東京都庭園美術館など、歴史的な場所で展示を開催してきた。国内において2014年以来の個展、かつ過去最大規模となる本展では、光を自身の作品における根源の一つとしてきた内藤が、初めて自然光のみによる光と生命と芸術が決して分別されることのない「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出す。《無題(母型)》2008年 三渓園 横笛庵、神奈川[横浜トリエンナーレ2008] 撮影:畠山直哉内藤はある時、「地上の生の内にいる者(私)が生の外に出て他者の眼差しを持ち、生の内を眼差す無意識の働き」に気づき、「私たちは遠くから眼差され、慈悲を受け取っているのではないか」と感じるようになったという。本展は、一日を通して移り変わる豊かな自然光のもと、地上に生きる私たちと死者、生まれ来る者、動植物、精霊との交歓の場として、また永続する自然の動きと私たちとを貫く連続性を可感化する空間として立ち現れる。タイトルの「明るい地上には あなたの姿が見える」をもとに、内藤が水戸芸術館現代美術の空間と向き合う本展。新作を中心として、ギャラリー全8室が絵画や彫刻といった様々なメディアで構成され、一つの作品として立ち上がる。鑑賞者は全室を巡ることで、新たな内藤の作品世界と出会うことができる。《タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)》2005年 アサヒビール大山崎山荘美術館、京都 撮影:森川昇内藤は、日中の太陽の光が自室に注ぎ込む間のみ制作を行う。今回は、内藤が制作する光の環境に近い条件での作品鑑賞となる。とりわけ、絵画作品《color beginning》においては、人工照明では見ることのできない繊細で神秘的な色彩が立ち現れ、移りかわる光景を目にすることになる。関連プログラムとして、企画担当学芸員が展示について話すキュレータートークも開催される。【イベント情報】内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える会期:7月28日〜10月8日会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8 時間:9:30〜18:00(7月28日〜8月31日、入場時間は17:30まで)、9:30〜17:00(9月1日〜10月8日、入場時間は16:30まで)休館日:月曜日、9月18日、25日(9月17日、9月24日は開館)入場料:一般900円、前売・団体(20 名以上)700円、高校生以下・70 歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名 無料キュレータートーク会期:8月25日、9月15日会場:現代美術ギャラリー時間:14:00〜15:00 料金:無料(展覧会入場料に含まれる)
2018年07月05日現代美術のホテル型アートフェア「ART OSAKA 2018」が、2018年7月7日(土)、8日(日)にホテルグランヴィア大阪で開催される。「ART OSAKA」は、現代美術に特化したアートフェアとしては日本最大規模のイベント。第16回目を迎える今回は、国内外より初出展4軒を含む54のギャラリーが集結し、ホテルの部屋を使って作品を展示販売する。また、4軒のギャラリーが新規出展するため、新たなアート作品との出会いも期待できそうだ。今回から新しく、35歳以下の若手注目作家を個展形式で紹介する「U-35セクション」を設置。ウィーン発の覆面アーティスト・タビーの日本初個展や、動物をモチーフに、刺繍や油彩などを用いて作品を制作する佐藤香菜を紹介する。最大の見どころは、今まさに旬の中堅作家や若手作家の作品の数々。社会問題や著作権問題を扱い、メディアでも大きな注目を集めている岡本光博や、キャンパス上に行為の反復とその痕跡によって新たな空間を生み出し、絵画の存在を問う横溝美由紀など、多彩な作品が揃う。【詳細】ART OSAKA 2018開催日時:2018年7月7日(土) 11:00~20:00、7月8日(日) 11:00~19:00※入場はフェア終了1時間前まで開催場所:ホテルグランヴィア大阪 26階(ワンフロア貸切)住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-1(JR 大阪駅直結)TEL:06-6344-1235(代表)入場料 : 1,500円(1デイパス) ※チケットはフェア受付にて販売。※小学生以下無料。保護者同伴必須。■関連イベントトークイベント「再考:80年代のアートシーン」日時:7月7日(土) 14:00~15:30会場:ホテルグランヴィア大阪 20階クリスタルルーム入場料:無料 ※フェア入場料1,500円が別途必要定員:40名 ※事前予約制(先着順)ゲストスピーカー:安來正博(国立国際美術館主任研究員)
2018年05月29日「タグチ・アートコレクション」とは? 「タグチ・アートコレクション」とは、実業家・田口弘氏により収集された国内有数の現代美術のコレクションのこと。400点を超える芸術作品を所有するコレクションから、世界で活躍する作家たちの作品を通して、現在の美術の動向が一望できます。本展覧会ではそのコレクションの中から、2000年代に制作された作品を中心に、約70点にも及ぶ作品を紹介しています。性別、出身地、宗教や文化が異なる作家たちは、私たちと同一の現代社会の暮らしの中で生きています。しかし、その作品からは社会の側面をユーモアに映し出す鏡であり、知らない価値観を教えてくれる大切なツールでもあります。会場を構成している分類にならいながら、美術的背景とともに作品をご紹介します。 モダンとポップ ー 美術とは何か?ー 左)ジュリアン・オピー街中で見るサインや標識のように簡略化された人物ですが、黒の輪郭線や小さく描かれた目によって表情を的確に捉えられています。17〜18世紀の肖像画家による古典的な作品が重ねられています。右)ヴィック・ムニーズマウリッツハイス美術館に所属されているヨハネス・フェルメール《デルフトの眺望》の裏面を忠実に再現した作品。19世紀後期から20世紀初期にかけて “写真” が登場すると、報道や記録の目的以外に芸術的表現も探求されるようになります。写真は美術の在り方を変えていきました。現実を再現するという写実主義が重要視されなくなり、20世紀前半は抽象表現が開拓されます。そして、20世紀後半には大衆文化を取り入れながらも大衆文化を批判する、大量生産・消費社会をテーマを軸とした写真を活用する「ポップアート」が誕生。その中でも、広告やアニメーションのイメージを取り込んだアンディー・ウォーホルは、日常的な人工物を作品に取り入れて非日常的なものと示し、美術の概念を問い直すような作品を手掛けました。このような「ポップアート」の系譜は、ジュリアン・オピーやロブ・プルイットの作品に見られます。その後、既存の美術作品や一般に流布しているイメージをそのまま流用する作品も登場しました。ヴィック・ムニーズやジョナサン・モンクは、古典的な作品を引き写して、美術にとって重要と考えられる「オリジナル」とは何かを問うような作品を制作しています。20世紀は「芸術とは何か?」という問いから、様々な表現方法が試みられ、各作家が考える作品が誕生しました。続く、21世紀もその概念は拡張し続けています。身体・アイデンティティ・物語 ー何故、私は私であるのか?ー 左)ガーナ系イギリス人のリネット・ヤドム=ボアキエは、黒人のモデルにして描く画家として知られています。描かれる人物には実在のモデルがいるわけではなく、自身の記憶をもとに思考のおもむくままに制作しているそうです。右)セバスチャン・ディアズ・モラレスの映像は、主人公が扉を通り抜けて別の空間へと移るシーンをループさせ、迷宮にいるかのような幻想的なストーリーを感じさせます。 「美術とは何か?」という問いが続けられている一方で、作品から意味を切り離すことができないと考え、作家の内発的なものを強調する場合もあります。このことは、人間の身体そのものや個人のアイデンティティーをテーマにした作品に特徴的にあらわれています。身体は個人にとって逃れようのないものですが、同時に鑑賞者が個人の意志に関わりなく、社会的に価値づけてしまうものです。作家たちは、自身をたらしめている要点となる身体そのものや、民族やジェンダーといったアイデンティティーの構成要素を、人間の存在に関わる問題として捉えています。また、ストーリーの要素を含んだ物語の手法による作品は、自身を取り巻く社会や人間関係が問いかけています。アイデンティティーに関わるものや物語を要素を感じさせる作品は、作家の個人的な体験や内発的な動機に依ながら、鑑賞者のイメージを喚起しているのです。作品の声に耳を傾けて会期中には担当学芸員によるギャラリートークが開催されなど、現代美術に馴染みがない人でも楽しめる取り組みが行われます。会場に展示されている様々な作品は、作家の独創的アイデアより、ユーモアと機知に富んでいます。一点、一点、作品の声に耳を傾けながら鑑賞することで、自分の知り得なかった概念や社会を教えてくれる重要なものとなるでしょう。作品を鑑賞しながら、おかしくて笑ってしまったり、ハッと気づかされたり、深く考えさせたりしながら、美術館でアート体験を楽しんでみてください。 【情報】『21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで』会期:4月21日(土)〜6月17日(日)会場:平塚市美術館開館時間9:30 ~ 17:00( 入場は16:30 まで)休館日 月曜日(ただし、4/30 は開館)観覧料金一般800(640) 円/高大生500(400) 円※( ) 内は20 名以上の団体料金※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添1 名は無料※65 歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
2018年05月17日青森の十和田市現代美術館が開館10周年記念企画展として、アジアを代表する世界的美術家であるスゥ・ドーホー(Do Ho Suh)の個展「スゥ・ドーホー:Passage/s パサージュ」を 6月2日から10月14日まで開催。《Hub, 310 Union Wharf, 23 Wenlock Road, London, N1 7ST, UK》Photo by Taegsu Jeon Courtesy the artist, Lehmann Maupin, New York, Hong Kong and Seoul and Victoria Miro,London/Venice(参考画像)ロンドン、ニューヨーク、ソウルを拠点とし、家や家の中のアイテムを象った彫刻と、没入感のあるインスタレーションを通して、異なる文化間を移動するときに感じられる気持ちを表現しつづけるスゥ・ドーホー。半透明の布を用いた彫刻のシリーズは、彼がそれまで住んだ空間の手触りと繊細な細部を再現するものであり、軽くて持ち運びができ、どんな場所にでも設置できることから、スゥ自身によって「スーツケース・ホーム」と呼ばれている。本展では、彼の代表的スタイルである、半透明の布を使った大型彫刻作品の新作3点が発表される他、ロンドン、ニューヨーク、ソウルという異なる文化間を行き来する作家の視点をとらえた映像作品「My Home/s」が日本で初公開となる。これらの作品は、いくつかの場所とその文化を経験するときに見えてくるものを通して、人間性やアイデンティティとは何かという、根本的な問いを投げかける。《コーズ・アンド・エフェクト》2008年Photo by Mami Iwasaki Courtesy the Artist and Lehmann Maupin Gallery, New York and Hong Kongこれまで、家、物理的な空間、移動、そして記憶といったテーマについて考え、ドローイング、映像、彫刻などさまざまな素材に取り組んできたスゥ。一方彼には、個人と集団の関係性を探るという、もう一つのテーマがあり、そのテーマに沿った作品の一つ、「コーズ・アンド・エフェクト」(2008)が十和田市現代美術館の常設展示となっている。この作品は、高さ9メートルの最も大きな展示室に、展示される巨大な作品。赤、オレンジそして透明のグラデーションが美しいこの作品は、数万体の樹脂製の人型彫刻が肩車をするように、天井からの華やかさを感じさせる一方で、つねに生と死は表裏一体の関係であり、長い時間の中で連綿と繰り返されていくという、輪廻転生的な考えを表現している。スゥの他の作品と共鳴しあい、新しいイメージを想起させる。本展初日には、スゥ・ドーホー本人が展示作品について語るオープニングトークイベントも開催。また10月14日には、本展キュレーターの金澤韻による、展覧会に即した解説が聞けるキュレータートークなど、会期中に関連イベントが開催される予定。詳しくは、ホームページ()にて随時確認できる。【展覧会情報】スゥ・ドーホー:Passage/s パサージュ会期:6月2日〜10月14日会場:十和田市現代美術館住所:青森県十和田市西二番町10-9時間:9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)ただし、8月6日、13日は開館料金:企画展+常設展セット券1200円、企画展の個別料金 一般800円、高校生以下無料【関連イベント】オープニングトーク日時:6月2日会場:十和田市現代美術館 市民活動スペース時間:10:00〜10:30登壇者:本展覧会作家スゥ・ドーホー(通訳あり)料金:無料 (要企画展チケット)キュレータートーク日時:10月14日会場:十和田市現代美術館 市民活動スペース時間:13:00〜14:00登壇者:本展キュレーター金澤韻料金:無料 (要企画展チケット)
2018年04月26日六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展「カタストロフと美術のちから展」が2018年10月6日(土)から2019年1月20日(日)まで開催される。これまで森美術館は、2003年の開館記念展で“幸福”をテーマにした「ハピネス」展、10周年を迎えた2013年の“愛”に注目した「LOVE展」といった具合に、節目となる年において全人類にとって普遍的なテーマを掲げ、展覧会を開催してきた。そして15周年を記念して開催する今回は、あえて“カタストロフ”つまりは大惨事をテーマとし、今日の国際社会における美術の役割を問う。現代美術のスーパースターから注目の若手作家まで、社会の変革を目指す美術作品を紹介一般的に、アーティストが社会に介入し、彼らの作品や活動を通して社会に変革をもたらそうとすることを「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」と呼び、近年日本でも注目を集めている。本展では、現代美術が秘めている「社会をよりよくする可能性」に着目。宮島達男やオノ・ヨーコによる鑑賞者参加型の作品をはじめとする社会的メッセージが込められた美術作品を多数紹介し、美術と社会のつながりを考察していく。そのほか参加アーティストも多彩な顔触れだ。現代美術界で最も権威ある祭典「ヴェネチア・ビエンナーレ」や「ドクメンタ」への参加経験をもつトーマス・ヒルシュホーン、アイザック・ジュリアン、畠山直哉、宮本隆司といったベテラン作家、ストリート・アート界のスターであるスウーン、注目若手勢として加藤翼や平川恒太ら国内外を問わず幅広いジャンルの作家が集う。また日本初公開となる作家としてヒワ・Kやヘルムット・スタラーツも参加する。風化させぬよう、あの大惨事について考える――問題が山積の現代社会における美術の役割を問う中、最も大きな出来事として、2011年に発生した東日本大震災を取り上げる。日本社会だけでなく日本の現代美術界にも大きな影響を与えた東日本大震災は、今でも復興が思うように進まないなど多くの問題を抱えている一方、私たちの震災体験や記憶は風化しつつある。今回は、この議論を再燃させるべく、震災を契機に制作されたChim↑Pom、トーマス・デマンド、池田学など約10作家の作品も紹介する。開催概要カタストロフと美術のちから展会期:2018年10月6日(土)~2019年1月20日(日)場所:森美術館住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー開館時間:10:00~22:00 火 10:00~17:00※いずれも閉館時間の30分前まで。会期中無休。入館料:一般 1,800円、学生(高校・大学生) 1,200円、子供(4歳~中学生) 600円、シニア(65歳以上) 1,500円※本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可(スカイデッキを除く)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
2018年04月21日平塚市美術館では、実業家・田口弘が収集した国内有数の現代美術コレクションの中から約70点を紹介する企画展「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで」を、4月21日から6月17日まで開催する。クリスチャン・ローザ《OHNE TITLE》2014年© Jonas Burgert Image courtesy of the Artist and Blain|Southern Photo: Lepkowski Studios, 2017タグチ・アートコレクションは、実業家の田口弘が収集した国内有数の現代美術コレクション。400点を超えるコレクションはさまざまな出身地のグローバルに活躍する作家たちの作品からなり、いまの美術の動向を一望することが出来る。本展では、コレクションの中から2000年代に制作された作品を中心に、現代の美術作品を約70点を紹介する。マシュー・バーニー《Ms. グッドヤー》1995年© Matthew Barney現代の美術の特徴の一つに、作品の中に「美術とは何か」という自己言及性を抱えていることが挙げられる。アンディ・ウォーホルのように広告やアニメーションのイメージを取り込んだり、あるいは、過去の巨匠の作品を引用したりしながら、「私の考える美術」を提示している。また、ものをつくるという行為は、作家の体そのものから発する内的なものだという考え方もあり、民族やジェンダーを主題にした作品や、映像作品にみられる物語性を取り入れた作品は、「私はなぜ私であるのか」を見る人に問いかける。出品作家は、青山悟、淺井裕介、マシュー・バーニー、ヨナス・ブルゲルト、ホセ・ダヴィラ、セバスチャン・ディアズ・モラレス、ナタリー・ユールベリ&ハンス・ベリ、トレーシー・エミン、マーク・フラッド、モリーン・ギャレース、五木田智夫、ジョアン・グスマン&ペドロ・パイヴァ、キース・ヘリング、セクンディノ・ヘルナンデス、カンディダ・ヘファー、今津景、ハイヴィ・カーラマン、金氏徹平、加藤泉、川俣正、小泉明郎、丸山直文、ライアン・マッギンレー、ミヤギフトシ、ジョナサン・モンク、リチャード・モス、ヴィック・ムニーズ、村上隆、オスカー・ムリーリョ、奈良美智、西村有、大竹伸朗、オスカール大岩、ヨーコ・オノ、ジュリアン・オピー、ジョルジュ・オズボルト、ロブ・プリット、ゲド・クイン、マリナ・レインガンツ、クリスチャン・ローザ、ウィレム・サスナル、さわひらき、澤田知子、杉本博司、杉戸洋、鈴木ヒラク、照屋勇賢、トゥークラル&タグラ、マリオ・ガルシア・トレス、アンディ・ウォーホル、リネット・ヤドム・ボアキエ、総勢51作家。どのような作品であれ、作家のアイデアは独創的で、ユーモアと機知に富む。本展で様々な作品に触れ、おかしくて笑ってしまったり、はっと気付かされたり、深く考えさせられたりしながら、アート体験を楽しんでみては。なお、5月12日と6月3日の14時から14時半には「担当学芸員によるギャラリートーク」も開催。申し込みは不要。【展覧会情報】21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで会期:4月21日~6月17日会場:平塚市美術館住所:神奈川県平塚市西八幡 1-3-3時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜日(4月30日は開館)料金:一般800円 高校生・大学生500円 中学生以下無料(毎週土曜日は高校生無料)
2018年04月06日パメオ ポーズ(PAMEO POSE)から、現代美術家・加賀美健(Ken Kagami)とのコラボレーションアイテム「Ken Kagami × PAMEO POSE」が登場。2018年2月7日(水)から2月20日(火)まで、伊勢丹新宿店本館2階=イーストパーク/プロモーションの期間限定ストアにて先行販売される。加賀美健は美術史や時事的なテーマを題材に、ジョークやコメディを交えた彫刻やドローイングを発表し、海外でも活躍する現代美術家。過去にはシップスジェットブルー(SHIPS JET BLUE)などのアパレルブランドとのコラボレーションを手掛けている。パメオ ポーズとのコラボレーションアイテムはTシャツ、ロングTシャツ、スウェット、トートバッグの4種類。モナリザやシュメール人という歴史的なモチーフを、ポップなイラストで表現した。期間限定ストアにはその他にも、パメオ ポーズ2018年春コレクションの伊勢丹新宿店限定・先行販売アイテムが登場。先行販売されるのは、ショート丈やノースリーブへのアレンジも可能な3WAYのデニムジャケットや、デニムパンツ、レースブラウスなど。繊細なリボンを飾ったラメ糸のニットワンピースは、伊勢丹新宿店限定カラーとしてブラックが用意される。【詳細】PAMEO POSE 期間限定ストア期間:2018年2月7日(水)~2月20日(火)時間:10:30~20:00場所:伊勢丹新宿店本館2階=イーストパーク/プロモーション住所:東京都新宿区新宿3-14-1TEL:03-3352-1111(代)※購入者にオリジナルトートバッグをプレゼント。(先着順/無くなり次第終了)【問合せ先】パメオ ポーズ伊勢丹新宿店TEL:03-3352-1111(大代表)
2018年01月29日BSフジで毎週火曜日に放映中のテレビ番組「ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜」に登場した、若手アーティスト達の現代美術展が2月から東京・渋谷のBunkamura Galleryにて開催される。「太陽のダンス」亀井 三千代それぞれ多彩な分野で活躍する作家たちの作品が一堂に会する本展では、これまでに同番組で放映された油彩や日本画をはじめ、写真、彫刻、インスタレーション、陶芸、ガラス、アニメーションから盆栽など多様な活動領域のアーティスト達をPart I、Part IIの2回に分けて紹介する。2月1日から2月12日までのPart Iは足立篤史、池田俊彦、泉東臣、内田太郎、江本創、オーガフミヒロ、岡西佑奈、小川剛、亀井三千代、かわさきみなみ、木下武、光嶋裕介、佐野藍、常信明子、すずきゆきひろ、瀬戸優、高嶋英男、橘京身、土田圭介、冨岡奈津江、永島信也、成田朱希、二階武宏、林茂樹、松島純、南正彦、宮岡貴泉、村上仁美、村田勇気、森天飛、安岡亜蘭、山田命佳の作品を展示。「cool it (Dpg-o)」内田 有2月24から3月4日までのPart IIはあおいうに、石井七歩、石川美奈子、伊東千紘、内田有、川田龍、神田さおり、北村佳奈、木原千春、坂本一樹、阪本トクロウ、佐藤令奈、志水堅二、清水真理、杉田陽平、杉本克哉、スクリプカリウ落合安奈、タムラサトル、徳永博子、冨田伊織、富田菜摘、長久保華子、西岡良太、長谷川維雄、原田郁、ヒグラシユウイチ、藤川さき、宝居智子、森洋史、森山亜希、若原瑞昌、渡辺おさむの作品を展示する。番組ではアトリエロケという各アーティストの制作環境を通し、それぞれの創作における思いをインタビュー形式で放映。鑑賞方法や理解が難しいと言われる現代美術だが、本展と同番組の相互作用によって現代美術を身近に感じられることだろう。また、Bunkamura Galleryのホームページ()では作家各々の動画を公開中。日夜作品と向き合い、悩み、そして没頭する彼ら。将来の巨匠たちの現在に注目が集まる。【イベント情報】ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜 Part I & Part II会期:Part I 2月1日〜2月12日、Part II 2月24日〜3月4日会場:Bunkamura Gallery住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura 1階メインロビーフロア時間:10:00~19:30(2月12日のみ16:00まで)会期中無休、入場無料
2018年01月19日国内外で活躍する現代美術アーティスト・加賀美健によるコレクション展「加賀美健の そ展 KEN KAGAMI’s COLLECTION “SO”」が、1月26日から2月4日まで東京・中目黒にあるギャラリー ボイルド(VOILLD)にて開催される。ドローイング、スカルプチャー、パフォーマンスなど、幅広い表現で人々に刺激を与え続けている加賀美健。国内外で活躍する傍ら、自身がバイヤーを務める「ストレンジストア(STRANGE STORE)」では、オリジナルアイテムや古着、雑貨、若手作家による作品集やグッズを展開し、「面白いもの」を収集するという事に日々余念がなく、彼の類を見ないユーモアや審美眼は常に多くの人々を惹きつけている。本展では、加賀美健が長年にわたり様々なコレクションを増やしていく中で、ある時、ある事がきっかけになって取り憑かれたように収集しはじめた「ある物」を一挙に展示。今となっては滅多に会うことのできないが、多くの人々の記憶の片隅には残っている貴重な「ある物」。彼を夢中にさせた「ある物」とは一体なんなのか、「そ」とは何を意味しているのか、会場にてすべての謎が解かれる。また1月26日には個展の開催を記念し、加賀美健・平山昌尚・とんだ林蘭の3名によるトークショーを20時より開催。参加費は無料、先着順となる。【展覧会情報】加賀美健の そ展 KEN KAGAMI’s COLLECTION “SO”会期:1月26日~2月4日会場:ボイルド(VOILLD)住所:東京都目黒区青葉台3-18-10 カーサ青葉台B1F時間:14:00〜19:00(土日は18:00まで)休館日:月曜、火曜
2018年01月17日展覧会「資生堂アートハウス名品展 開館40周年記念 後期 洋画・現代美術・陶芸・金工・ガラス」が、静岡・資生堂アートハウスにて開催される。会期は2018年1月16日(火)から4月1日(日)まで。資生堂アートハウスは、資生堂(SHISEIDO)の芸術への理解と共感、「美しい生活文化の創造」という企業理念を体現した美術館だ。美術館の開館40周年を記念した今回の展覧会では、日本画と漆芸などを展示した前期展に引き続き、東京・銀座の資生堂ギャラリーを会場に1947年から現在まで断続的に催している「椿会美術展」と、1975年から1995年に渡り開催した「現代工藝展」の出品作を中心に、洋画、陶芸、ガラス工芸、金工、現代美術など約80点を紹介する。洋画からは梅原龍三郎の「薔薇圖」、現代美術からは舟越桂の「唐突な山」、工芸からは岩田久利の「硝子大鉢 牡丹」などを楽しむことができる。また2018年1月26日(金)、2月23日(金)、3月23日(金)には、学芸員によるギャラリートークが実施される。【概要】展覧会「資生堂アートハウス名品展 開館40周年記念 後期 洋画・現代美術・陶芸・金工・ガラス」会期:2018年1月16日(火)~4月1日(日)※月曜休館(月曜祝日の場合その翌日)開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)場所:資生堂アートハウス(静岡県掛川市下俣751-1)TEL:0537-23-6122入場料:無料■関連企画「学芸員によるギャラリートーク」日時:2018年1月26日(金)、2月23日(金)、3月23日(金)時間:14:00~14:30参加費:無料申込み:不要
2018年01月08日横尾忠則や宇野亞喜良ら、有名美術家やグラフィックデザイナーが手掛けたポスターを展示する『現代演劇ポスター展 2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶』が12月21日(木)から1月10日(水)までの期間、東京・渋谷の3会場で開催される。【チケット情報はこちら】ポスターを貼る事で「街」と「演劇」と「デザイン」と「観客」を繋げてきたポスターハリス・ カンパニーの30周年を記念して開催されるこのイベントでは、カンパニーが所蔵する2万点以上のポスターコレクションの中から、厳選したポスターが展示される。展示点数は当初予定されていた300点から増え、約480点というボリューム。1960年代後半に劇団の旗印として登場し、時代を挑発したアングラ演劇ポスターから、静かな演劇、新劇やミュージカルまで、時代の流れとともに、演劇がどう変化していったのか。ポスターを通して垣間見ることができる貴重な機会になりそうだ。展示されるポスターの中には、現代美術として評価の高い作品も多く、当時の時代性や世相、演劇、デザインの歴史を感じることができる。また、開催期間中は日替わりで演劇やアート業界を代表する舞台芸術家や演出家、デザイナーらによるトークショーが行なわれる。大駱駝艦を主宰する麿赤兒、劇作家・演出家・俳優の長塚圭史、アートディレクターの増田セバスチャンら錚々たる顔ぶれが揃う。1月6日(土)には雑誌「ぴあ」の表紙を描き続けたことでギネス世界記録となったイラストレーターの及川正通が登場する。及川は同展示会とトークショーに向け次のようにコメントを寄せた。「ヒッピー、サイケデリック、アングラの時代。横尾忠則との出会い、寺山修司との出会い。天井桟敷のポスター、舞台美術、音楽、アングラとエロチシズム。マスコミのファッションは「反体制」だった。トリップ劇画とパロディ、そして…「ぴあ」の時代。初期のぴあ表紙~ぴあのホップ~そして36年。ライフワークの「ドリームマップ」。これからは、いよいよデジタル版の「ぴあ」も?!ここだけの話がたくさん飛び出すかもしれないね!」(及川正通)開催期間は12月21日(木)から1月10日(水)まで。会場は東京・渋谷ヒカリエ ホールB、渋谷キャスト スペース、アツコバルー rts drinks talkの3会場を周遊するスタイル。特典付き前売チケットは12月20日(水)まで発売。なおチケットぴあでは、会期中もセット割引券を販売。トークショーの詳細は公式サイトに掲載。
2017年12月20日広島県・広島市現代美術館にて、特別展「交わるいと『あいだ』をひらく術として」が、12月22日から2018年3月4日まで開催される。野間口圭介(nui project)シャツ 2004-06 しょうぶ学園蔵主役は糸と布。糸や布、繊維を素材にした作品は、工芸や美術といったジャンルを問わず多く発表されているが、本展では16組の作家に注目し、彼らが糸や布と向き合うことで生まれた作品の数々を紹介する。参加作家たちの年齢は20代から90代まで、また人間国宝(重要無形文化財保持者)や知的障害者支援施設発信の布の工房活動など、唯一無二の多彩な顔ぶれ。「交わり」や「あいだ(すき間)」により性質を変える糸と布の特徴を感じながら作品を見つめられるのもみどころ。タイトルとなっている「いと」は糸であり意図でもある。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が交わることで布があるように、ひとりの作家の意図ともう一人の意図とが交わることでどのような空間が生まれるのか。参加作家16組が、2組で一つの展示空間を構成する本展限りの共演展示形態で、8組の展示空間をつくりだす。関島寿子《容と線 Ⅵ》2008 作家蔵撮影:桜井ただひさ会期中12月22日には、作家によるリレー・トークイベントを10時30分より開催。出品作家が展覧会場にて自身の作活動や今回の作品について語る。また、1月20日には「ほどいて、ひらいて」、27日と28日には「ほどいて、あみなおす」と題したワークショップも開催。その他、12月23日、2018年1月2日、1月21日、2月18日には学芸員によるギャラリートーク、2月12日にはヌイ・プロジェクトを発信する、知的障害者施設しょうぶ学園の日常を描きだしたドキュメンタリー映画『幸福は日々の中に。』を上映、上映後にはしょうぶ学園の施設長を迎えてアフタートークを開催する。各イベントの詳細は特設サイト()にて。【展覧会情報】交わるいと「あいだ」をひらく術として会期:12月22日~2018年3月4日会場:広島市現代美術館住所:広島県広島市南区比治山公園1-1時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月27日〜1月1日、1月9日、2月13日、料金:一般1,030円、大学生720円、高校生・65歳以上510円、中学生以下無料
2017年12月19日恵比寿にあるブックショップ、ナディッフアパート(NADiff a/p/a/r/t)では、美術批評家・椹木野衣の新著『震美術論』をめぐるトークイベント「EVENINGS #後美術から震美術へ、そしてこれからの話を」を12月15日に開催する。『震美術論』(税込4,536円)本イベントでは、『震美術論』、『後美術論』を編集担当した、『美術手帖』編集長の岩渕貞哉と、『震美術論』の著者である椹木野衣が対談を行う。トークイベントの題材となる『震美術論』は、自然災害による破壊と復興を繰り返してきた揺れる日本列島の地質学的条件と、今日の美術状況を接続して論じる『後美術論』(2015年、第25回吉田秀和賞受賞)に続く画期的美術評論。『震美術論』以降の2017年の美術状況や、今後の活動の展望について対談を実施。2017年もまだなお続く、非常時における美術を捉える鍵が、二人の対話から明らかになるだろう。なお、本トークイベントは参加定員は50名、残席僅かとなる。参加方法は、ウェブ()または電話(03-3446-4977)にて受付中。【イベント情報】EVENINGS #後美術から震美術へ、そしてこれからの話を。会期:12月15日会場:NADiff a/p/a/r/t住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 1F時間:20:00〜21:30(開場は19:45~)料金:1,000円(定員50名)【書籍情報】『震美術論』著者:椹木野衣出版社:美術出版社452ページ/190×138×31mm発刊:2017年9月価格:税込4,536円
2017年12月08日デイヴィッド・シュリグリー「アーティスト」2012 アニメーション 2分24秒 / Courtesy: Artist and Stephen Friedman Gallery, Londonイギリス人現代美術家であるデイヴィッド・シュリグリー(David Shrigley)の日本初大規模個展「ルーズ・ユア・マインド―ようこそダークなせかいへ」が、10月14日から18年1月21日まで水戸芸術館 現代美術ギャラリーにて開催される。1968年イングランド北部マックルズフィールドに生まれたデイヴィッド・シュリグリー。イギリス人もしくはイギリス在住作家に贈られる名声高いターナー賞に2013年にノミネートされ、2016年にはイギリスで最も重要なパブリックアートの一つとされる「第4の台座」プロジェクト(ロンドン、トラファルガー広場)に、異様に長い親指を突き立てて「いいね」のしぐさを示す7メートルのブロンズ彫刻「リアリー・グッド」が選出されて話題となった。それらの作品は、ブラックユーモアを取り込んだアイロニーさがあり、中でも日々の生活を題材としたウィットに富んだドローイングが人気を博し、雑誌やTシャツ、バッジ、グリーディングカードなどの商品にも起用されている。「Lose Your Mind(ルーズ・ユア・マインド)」という、「気が狂う」などを意味する熟語の命令形で正気を失うよう促す挑発的なタイトルの同展では、人気の高いドローイングを圧倒的なボリュームで展示。加えて、思わず笑いがこぼれるようなアニメーションや、剥製の彫刻、芸術を揶揄するコンセプチュアルな作品などを目にすることができる。さらに、2016年秋からロンドンのファルガー広場にて展示され、話題を呼んでいるパブリックアート「リアリー・グッド」のバルーン版が制作され、世界に先駆けて初公開される。【展覧情報】「デイヴィッド・シュリグリー『ルーズ・ユア・マインド-ようこそダークなせかいへ』」会期:10月14日~18年1月21日会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8時間:9:30~18:00(入場は17:30まで)休館日:月曜(18年1月8日は開館)、12月27日~18年1月3日、9日入場料:一般800円(600円)、中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添い1名無料※()内は前売、20名以上の団体料金
2017年09月24日東京・表参道のセゾンアートギャラリー(SEZON ART GALLERY)で9月18日から25日まで、建築・土木・震災・オリンピックをテーマに都市の「豊かな仮設」を考察する現代美術展「グラウンドアンダー(ground under)」が開催される。本展では、去りまた来る避けることのできない大規模災害を踏まえ、この先「いかなる街をつくるか」という難問に答えを出すべく、11名の気鋭アーティストがそれぞれ思い描く「豊かな仮設」を独自の手法により表現する。キュレーターを務めるのは、参加アーティストでもある美術家・建築家の秋山佑太。秋山は、昨年末から今年初旬にかけて東京・江東区の取り壊し予定の民家で開催された展覧会「バラックアウト(BARRACKOUT)」の企画・立案を手掛け、「会場をバラック小屋に見立て、関東大震災や東京大空襲の土地の記憶と現在とを重ね合わせ接続する」という試みを展開。今回の美術展では、“その先”を提示するものとして、過去に福島県で発表した「地蔵堂修復」の続編を出展する。秋山とともに参加する10名のアーティストには、古典彫刻の研究と保存修復をテーマとした作品を制作する井戸博章、映像や写真など幅広い表現方法を持つ美術家の大槌秀樹、筑波大学在学中の関優花、若手アートユニットの立入禁止、オルタナティブなアートシーンを横断的に活動する美術家兼ラッパーの中島晴矢、岡本太郎現代芸術賞入選の経験をもつユアサエボシ、海外のエキシビションへの出展経験もある山田はじめ、WEBサイトの制作からインスタレーションまで手掛けるコウリョウ(KOURYOU)、ライブペイントや壁画制作を中心に活動するアートユニットのホールナイン(WHOLE9)、ニューヨークを拠点に活動するアーティストデュオのザックバラン(Zakkubalan)という多彩な表現者が名を連ねている。なお、オープニング当日の9月18日19時から22時まで、ホールナイン(WHOLE9)によるライブペインティングイベントが予定されている。【展覧会情報】「ground under」会期:9月18日~9月25日会場:SEZON ART GALLERY住所:東京都渋谷区神宮前3-6-7 B1F/B2F時間:11:00~18:00(入館は17:30まで)会期中無休出展作家:秋山佑太、井戸博章、大槌秀樹、関優花、立入禁止、中島晴矢、ユアサエボシ、山田はじめ、KOURYOU、Zakkubalanイベントパフォーマンス : WHOLE9※イベント入場料:1,500円
2017年09月11日京都の二条城と京都芸術センターで開催中の「アジア回廊現代美術展」では、8月19日から10月15日の日程で、日中韓のアーティスト25組、約33点の展示が行われている。歴史的建造物×東アジア現代美術が織り成す、幻想的な展示の見どころをお届けしよう。「アジア回廊 現代美術展」は、毎年、日本・中国・韓国の各国政府から一都市が選定され、文化の力で東アジアの相互理解を促進し、開催都市のさらなる発展を目指すプロジェクトのメインプログラムで、2017年は京都市で8月から11月にかけて現代美術の展示の他、舞台、音楽、マンガやアニメなど多様な展示やイベントが催される。二条城の会場で最初に目に飛び込んでくるのは、ソウル在住のアーティスト、チェ・ジョンファの「フルーツの木」。「台所」の前庭に展示されているこの巨大なバルーンは、フルーツや野菜がたわわに実った木で“異次元の憩いの空間を提供する”意図が込められているのだそう。チェ・ジョンファ《フルーツの木》(2015)ほの暗い「台所」に足を踏み入れると、チェ・ジョンファによる2点の作品が出迎えてくれる。普段は非公開となっている「台所」の、高い天井と風通しよく設計された建築に感動しつつ、プラスチック製のボウルを組み合わせてクリスタルのオブジェのように設えた「アルケミー(錬金術)」と、入口の背後に横たわる巨大な大根のバルーン「涅槃」に目を奪われることだろう。「涅槃」は、チェ氏が敬愛する伊藤若冲の「果蔬涅槃図」に描かれている大根をモチーフにしているのだという。チェ・ジョンファ《涅槃》(2017)続いて、草間彌生の「無限の網のうちに消滅するミロのヴィーナス」と、一筋の糸にさまざまな海の水から育てられた塩の結晶が結ばれた、宮永愛子の「結〈二条城〉」。隣の展示室には、キム・スージャによる鏡張りの作品「遭遇 ー 鏡の女」が展示されている。草間彌生《無限の網のうちに消滅するミロのビーナス》(1998)日中韓の3人のアーティストグループ西京人が架空の国「西京」について語る映像作品「第4章:アイラブ西京ー西京国大統領の日常」、台所から望む中庭に展示されているツァイ・グオチャンの「盆栽の舟:東アジア文化都市2017京都のためのプロジェクト」も必見だ。「盆栽の舟」は、東アジア文化都市2016奈良市で、東大寺の境内の池に設置していた木造船を移築したもので、この展覧会のテーマである“東アジアの国々の文化の相互存続”を象徴する作品といえるだろう。ツァイ・グオチャン《盆栽の舟》2017東アジア文化都市2017京都のためのプロジェクト広大な二の丸庭園と本丸庭園を抜けた先にある、お堀の池に展示されている三嶋りつ惠の「光はいつでもそこにある」も印象的な作品だ。水面に浮かぶ約600個のヴェネツィアンガラスがきらきらと輝く様を眺めていると、遥か昔の時代へタイムスリップしたような気分に浸れる。世界遺産「元離宮二条城」の敷地内に忽然と現れた現代美術の展示は、重厚な雰囲気の会場とのコントラストが鮮やかで、忘れ難いアート体験をもたらしてくれることだろう。屋外展示が多く、写真撮影可能な作品も多数あるため、散策しながら“東アジアのアート回廊”を歩く楽しみを満喫してほしい。また、登録有形文化財でもある元小学校をリノベーションしたアート施設「京都芸術センター」にも多数の作品が展示されている。三嶋りつ惠《光はいつでもそこにある》(2017)【イベント情報】「東アジア文化都市 2017京都 アジア回廊 現代美術展」■元離宮二条城会期:8月19日~10月15日住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町541時間:8:45~17:00(最終入城16:00)なお二の丸御殿台所・東南隅櫓は9:00~16:45入場料:現代美術展600円(別途二条城の入場料が必要)■京都芸術センター会期:8月19日~10月15日住所:京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2時間:10:00〜20:00入場料:無料
2017年09月07日ザディグ エ ヴォルテール(ZADIG & VOLTAIRE)は、パリのグラフィックデザインスクールである「ペニンゲン上級美術学校」の学生達とコラボレーションしたカプセルコレクションを、2017年8月23日(水)から9月5日(火)の期間、伊勢丹新宿店にて先行販売する。クリエイティブディレクターのアントワーヌ・ルル=デュイス(Antoine Leroux-Dhuys)と、ザディグ エ ヴォルテールのアーティスティック・ディレクター、セシリア・ボンストロム(Cecilia Bonström)によって実現した今回のコレクションは、ブランドの20周年を記念して製作された。ザディグ エ ヴォルテールのアイコニックな定番アイテムであるミリタリ―ジャケット、カシミヤニット、レザーライダース、ヘンリーネックTシャツ、クラッチバッグ「ROCK」などに「ペニンゲン上級美術学校」の学生達の新しい視点や感性を取り入れたコレクションとなっている。学生達オリジナルのスカルデザインは、若い感性が生きた現代的でクールな仕上がりだ。グラフィカルなスローガンをバックに描いたレザージャケットは、学生達の自由なクリエイティビティを凝縮したかのように遊び心があり、アーティスティックなムードが漂っている。伊勢丹新宿店で行われる期間限定ストアでは、今回のカプセルコレクションをいち早く販売するとともに、コラボレーション商品購入者先着160名に、ノベルティのペニンゲンオリジナルトートバッグをプレゼントする。【詳細】ザディグ エ ヴォルテール×ペニンゲン上級美術学校カプセルコレクション■伊勢丹新宿店期間限定ストア詳細会期:2017年8月23日(水)~9月5日(火)場所:伊勢丹新宿本店 本館2階グローバルクローゼット コンテンポラリー プロモーションスペース 住所:東京都新宿区新宿 3-14-1 2FTEL:03-3341-3251■アイテム詳細例ジャケット48,000円+税レザージャケット110,000円+税ニット58,000円+税Tシャツ12,000円+税Tシャツ11,000円+税クラッチバッグ48,000円+税
2017年08月17日映画『君の名は。』の美術背景をまとめた書籍『新海誠監督作品 君の名は。美術画集』が発売。2016年大ヒットを記録し、社会現象にもなった劇場アニメーション『君の名は。』。本書には、『君の名は。』の劇中に登場した、糸守の豊かな自然、宮水家、宮水神社、御神体、カタワレ時、東京の町並み、立花家、飛騨への道のりなど、物語の舞台の美術背景約220点を、美術スタッフのコメント付きで掲載。また、これらの美術背景に加え、監督の新海誠をはじめ、美術監督やスタッフのインタビューも合わせて収録している。【書籍情報】書籍『新海誠監督作品 君の名は。美術画集』本体価格:2,800円+税判型:B5判ヨコ・208ページオールカラー・スリーブケース付き発行所:株式会社一迅社(c)2016「君の名は。」製作委員会
2017年08月11日国立新美術館と森美術館にて10月23日(月)まで開催中の東南アジア現代美術展「サンシャワー:東南アジアの現代美術展1980年代から現在まで」の関連企画として、8月10日(木)から4日間ジャンル別に、東南アジア映画を特集上映する「FUN!FUN!ASIAN CINEMA@サンシャワー」が実施される。国立新美術館と森美術館、国際交流基金アジアセンターが主催する同展覧会では、今年ASEAN(東南アジア諸国連合)50周年を記念し、東南アジアの現代美術を史上最大規模で展示。時代の潮流と変動を背景とした1980年代以降の東南アジアの現代アートの「発展」を9つの視点から掘り下げ、そのアートが持つダイナミズムと多様性を紹介している。同展の関連企画として実施される本イベントでは「ドキュメンタリーの日」、「アクションの日」、「オムニバスの日」、「愛&友情の日」とジャンル別に違ったテーマで全4日間、映画が上映される。8月10日(木)実施の「ドキュメンタリーの日」では、2つのプロジェクトから作品を上映する。1つは、毎年異なるテーマで日本と東南アジアの若手映像作家を対象に短編ドキュメンタリー作品を募集する「Visual Documentary Project」から、2015年(テーマ「越境する東南アジア」)と2016年(テーマ「日常生活のポリティクス」)にセレクトされた作品を上映。映像を通して東南アジアの現状を捉え、諸問題の解決へとつなげたいという想いが込められている。もう1つは、ドキュメンタリーの国際共同制作を支援する「Tokyo Docs」で誕生したプロジェクト「Colors of Asia」から「アジアのいまを生きる女性たち」をテーマにした2作品を上映。■「Visual Documentary Project」2015セレクション<12:10開場/12:30開映>・『2人のマイケル』(タイ、29分)・『ジウおじいちゃんへ捧ぐ』(ベトナム、23分)・『儚さ』(マレーシア、9分)・『私の足』(ミャンマー、16分)『我が政治人生』(ミャンマー、20分)■「Visual Documentary Project」2016セレクション<14:20開場/14:40開映>・『森に生きる女たち』(マレーシア、15分)・『60日』(ミャンマー、31分)・『鉱脈』(ミャンマー、31分)■Tokyo Docs「Colors of Asia」<16:10開場/16:30開映>・『日曜日のシンデレラ』(2015,日本、フィリピン,29分)・『ラグビーと女のわたし』(2016,日本、ラオス,25分)8月11日(金・祝)実施の「アクションの日」ではベトナム、インドネシア、ブルネイの3作品『超人X.』(2014,ベトナム,81分)、『レボリューション・ティガ』(2015,インドネシア,125分)、『ドラゴン・ガール』(2014,ブルネイ,110分)を上映。映像を通して各国の伝統武術を取り入れたものや、社会や文化を垣間見ることが出来る。■『超人X.』<12:40開場/13:00開映>■『レボリューション・ティガ』<14:30開場/14:50開映>■『ドラゴン・ガール』<17:100開場/17:30開映>8月12日(土)実施の「オムニバスの日」ではシンガポールの監督7人がラブレターをテーマに制作した『セブンレターズ』(2015,シンガポール、マレーシア,116分)、東南アジアの画家が描いた作品からインスピレーションを得た5人の監督による『Art Through Our Eyes』(2016,シンガポール,30分)、「アジアでともに生きる」というテーマでフィリピン、日本、カンボジアの気鋭監督がメガホンをとった『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』(2016,日本,118分)を上映。特に『Art Through Our Eyes』は、「サンシャワー展」でも注目のタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督、フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督らの独特の世界観が並ぶ珠玉の作品だ。■『セブンレターズ』<12:40開場/13:00開映>■『Art Through Our Eyes』<15:10開場/15:30開映>■『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』<17:10開場/17:30開映>8月13日(日)実施の「愛&友情の日」では、愛と友情をテーマにした『SHIFT~恋よりも強いミカタ』(2013,フィリピン,81分)『グッバイ・ボーイズ』(2005,マレーシア,88分)『イロイロぬくもりの記憶』(2013,シンガポール,99分)の3作品を上映。■『SHIFT~恋よりも強いミカタ』<11:40開場/12:00開映>■『グッバイ・ボーイズ』<13:30開場/13:50開映>■『イロイロぬくもりの記憶』<15:30開場/15:50開映>また、本イベントのほかにも、東南アジアの歴史やファッション、食など8テーマから成るレクチャーシリーズ「寺子屋サンシャワー」、日本と東南アジアの若手上映専門家の共同プログラミングによる映画上映会「ワーキングタイトル」など、9月にかけてイベントが目白押し。こちらも併せてチェックしてみて。「FUN!FUN!ASIAN CINEMA@サンシャワー」は8月10日(金)~13日(日)、国立新美術館3階講堂にて開催、参加費は無料。※定員は各回260名。(予約不要、各回入替制・先着順)※鑑賞には「サンシャワー展」の国立新美術館単館券もしくは二館共通券[半券可]が必要。※作品の解説・あらすじは国際交流基金アジアセンター公式サイトをチェック。(text:cinemacafe.net)
2017年07月28日世界中から“ビューティフル”と称賛されたというスタジオジブリが培ってきた手描き美術は、制作部の解散、そしてデジタル表現の飛躍的な進歩によって、いまや失われつつある。そんな現状を危惧し2015年、筆と絵の具による背景美術を継承するスタジオ「でほぎゃらりー」は設立された。そして、同スタジオに所属する美術の久保友孝氏(『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』)を中心に、ジブリ作品などで手腕を発揮してきた“絵描き”たちが背景美術を手がけたのが、米林宏昌監督の最新作にして、スタジオポノック第1回作品『メアリと魔女の花』。本稿では本作品で美術監督を務めた久保氏へのインタビューを通し、同作の制作エピソードや、手描き美術の置かれた現状と可能性を追う。「確かに手描きの背景美術は、無くなりつつある状況かもしれません。そもそも、いまはカメラがデジタルなので、どうしてもデータ化する必要があり、すべてを手描きで完結させることは難しいんですね。『描き手はPCを使わない』『とにかく紙で仕上げる』というこだわりで、僕が背景を担当した『思い出のマーニー』も、結果的にすばらしい背景美術が生まれたと思います、目指す映像表現によっては手描きより、デジタルでアプローチしたほうが成功することもあると思います」。「ですから、デジタルとの共存を目指しながら、手描き美術の良さを作品に活かすことが(手描き美術の)未来につながるのではないしょうか。意外に聞こえるかもしれませんが、実は手描きのほうが、情報量が多いんです。デジタルは、結局のところピクセルの集合体。でも、手描きは紙の上に、絵の具の粒子で描いていくので、より細かい表現が可能になります。それと、これは個人的な話ですが、アナログな筆のほうが扱いやすいので、イメージを絵に伝えやすいですね」。イギリスの児童文学を原作に、7年に1度しか咲かない不思議な花“夜間飛行”を偶然見つけた主人公のメアリの大冒険を描いた本作。メアリが引っ越してくる赤い館村、そして魔法世界の最高学府であるエンドア大学という2つの舞台が、手描き美術ならではの奥深いタッチで表現され、幻想的な光と闇は、物語の時間経過はもちろん、メアリのうつろう心情を代弁し、観客を魔法の世界に誘っていく。「米林監督は、こちらのアイデアを尊重してくださるんですが、譲れないこだわりもお持ちで。当初、メアリの大叔母が暮らす赤い館の屋根は、かやぶきにしようと思っていたんですが、監督は『メアリにとって、ここが居心地の良い場所であってはいけない』と。スタッフが描いたイギリスの美しい田園風景にも『ちょっと、美しすぎますね』とおっしゃっていて。つまり、メアリは新天地を受け入れていないんですね。一方、エンドア大学は、おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルで楽しい世界。映画を観た子どもが家に帰って、絵を描きたくなるような造形を強く求めていましたね」。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:メアリと魔女の花 2017年7月8日より全国東宝系にて公開(C) 2017「メアリと魔女の花」製作委員会
2017年07月16日現代美術のアートフェア「ART OSAKA 2017」を、2017年7月8日(土)と9日(日)にホテルグランヴィア大阪にて開催。国内だけでなく、台湾や韓国など海外もあわせた計54ギャラリーが参加する「ART OSAKA」。ホテルの客室を会場に、中堅から若手作家まで、ギャラリストが厳選した作品たちを展示・販売する。ある種、”生活の場”である客室という空間で、新鮮で緊張感を持ったアートに触れるというユニークな作品体験も魅力だ。まだ世間に知られていない実力派たちを発掘するのもこのイベントの楽しみの1つ。独特の存在感を放つ動物のモチーフの木彫を手掛ける土屋仁応や、空間全体をダイナミックな色彩で支配してしまうような壁画を制作する川田知志など、アートの次の世代を担う若手たちが参加。一方で、森村泰昌など、第一線で活躍する作家のレアな作品も紹介される。また会期中は、京都市立芸術大学とのコラボレーション企画や、トークショーなども実施。様々な企画を通してアートの今を生身で体験することができる。さらに、ホテルグランヴィア大阪では、お得な「ART OSAKA 2017 チケット付き宿泊プラン」も用意した。【詳細】ART OSAKA 2017会期:2017年7月8日(土)、9日(日)会場:ホテルグランヴィア大阪26階住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-1時間:8日(土) 11:00〜20:00 / 9日(日) 11:00〜19:00 入場料 : 1,500円 (1デイパス) ※チケットはフェア受付にて販売。参加アーティスト例:小澄源太、土屋仁応、若木くるみ、中島麦、川田知志、篠田守男、成田克彦、森村泰昌
2017年06月20日国立新美術館と森美術館では、2017年7月5日(水)から10月23日(月)まで、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」が開催されます。 ASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年にあたる2017年、東南アジアの現代美術を紹介する、史上最大規模の展覧会です。今回の展覧会は、国立新美術館と森美術館の両館長が発案し、国際交流基金の賛同により実現したもの。3者が総力を挙げ、2年半にわたる現地調査を経てASEAN10カ国より85組(予定)のアーティストを選定、計約180点の作品を2館の会場に展示する、初の共同企画展となります。時代の潮流と変動を背景とした東南アジアにおける1980年代以降の現代アートの発展を9つの視点から掘り下げ、そのダイナミズムと多様性に迫りましょう。ASEAN(東南アジア諸国連合って何?インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス(50音順)東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)は1967年のバンコク宣言によって設立されました。原加盟国は、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国で、1984年にブルネイが加盟後、加盟国が順次増加し、現在は10か国で構成されています。2015年に共同体となったASEANは、過去10年間に高い経済成長をみせており、今後、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が世界各国から注目されています。※出典:外務省ホームページ(セクション構成と主な作品を、美術館ごとにご紹介!●国立新美術館 企画展示室2E国立新美術館の展示は5つのセクションにわかれています。地図からみるアジアの成り立ち、厳しい戦争下での芸術作品、そして日常の生活に至るまでを数々の作品でたどりましょう。●■うつろう世界イー・イラン《うつろう世界》(「偉人」シリーズより)2010年Courtesy: Silverlens Galleries, Makati, The Philippines世界のいかなる地域や時代においても、地図には政治的、経済的に多様な価値観や視点が織り込まれています。アーティストが描き出す地図は、単に地理的な特徴を記すのではなく、東南アジアの複雑な歴史と空間を表しています。このセクションでは、異なる視点から土地とその意味を見つめる複層的な地図、人々の移動を記録することで記憶を呼び起こす地図、理想的な社会を求めた想像上の地図などをとおして、東南アジアという空間を考えます。●■情熱と革命ホー・ルイ・アン《ソーラー:メルトダウン》2014年~Courtesy: Maezawa Hideto; TPAM Performing Arts Meeting in Yokohama, 2016東南アジア諸国の多くは、第二次世界大戦後の1940年代から80年代まで、植民地支配からの独立が続きました。その間、独立戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦などが起こり、一方では芸術表現への抑圧や弾圧が続いた国も見られました。そうした環境のなかで、多くのアーティストは民主化や表現の自由、言論の自由に向けた活動を行ってきました。このセクションでは、こうした時代をリアルタイムで体験したアーティストの作品を中心に紹介します。●■アーカイブコウ・グワンハウ《シュ・ティエシェン――アーカイブから見る作家の100年》2014年撮影:Koh Nguang How近年、インターネットの発達によって、それまで発見や入手が困難だった情報へのアクセスが容易になり、それを起点にした調査研究をもとに、美術資料をアーカイブ化しようとする動きが見られます。東南アジアでも、各地で蓄積されてきた資料が公開されつつあり、その一方で、美術資料そのものを素材として作品化するアーティストも増えてきました。このセクションでは、そのうちシンガポールのザ・アーティスト・ビレッジ(TAV)の活動を総覧できるコウ・グワンハウの「シンガポール・アート・アーカイブ・プロジェクト」(2007年)をはじめ、いくつかの例を紹介します。●■さまざまなアイデンティティーアラヤー・ラートチャムルンスック《私たちが若かったころ》(「女性像」シリーズより)1990年所蔵:森美術館、東京脱植民地主義の時代に入り、独立や民主化が人々にもたらしたのは、新しい国家としてのアイデンティティー、民族としてのアイデンティティー、個人としてのアイデンティティーなど、自らを成り立たせているアイデンティティーとは何か、という問いでした。この複雑な問いは、冷戦構造が終焉を迎えた1989年以降、それまでのイデオロギーに替わる新しい価値の基軸を求める世界各地で共有されたものでもありました。この時期に制作された現代美術の作品には、さまざまなレベルでアイデンティティーを問うものが多く見られましたが、これは今日もなお複雑な課題として継承されています。●■日々の生活スラシー・クソンウォン《黄金の亡霊(現実に呼ばれて、私は目覚めた)》2014年パフォーマンス風景:台北ビエンナーレ20141990年代以降、多くのアーティストが毎日の暮らしや日常に目を向け始めました。国際的にもグローバル化や多文化主義が拡がり、世界各地それぞれの平凡な日常のなかに文化的、社会的、歴史的文脈を見出し作品化することが、新しい世代の表現として注目されたのです。そこでは、家族との思い出、毎日の食事や遊び、路上での多様な営みが、絵画、写真、映像、インスタレーションなどのメディアをとおして現代美術の文脈に持ち込まれました。同時期、世界各地で急速に拡張した国際展では、新しい世代のアーティストが注目され、東南アジアのアーティストも世界へ活躍の場をひろげていきました。●森美術館森美術館では4つのセクションから、急激な経済発展に隠された闇や多様に発展した宗教や文化、そしてアートを通して世代をこえた対話を試みます。●■発展とその影ジョンペット・クスウィダナント《言葉と動きの可能性》2013年所蔵:森美術館、東京総人口6億人を超えるASEANは、世界的にも今後の成長が期待されており、自由貿易によって生まれる巨大市場に海外資本も注目しています。成長率は国によって異なりますが、高度経済成長とそれに伴う開発は、都市部の景観を急速に変え、人々の生活にも劇的な変化を及ぼしています。その影で社会には格差が生まれ、伝統的な文化が喪失されることへの懸念もあります。アーティストは、しばしばそうした変化を批評的に見つめています。●■アートとは何か?なぜやるのか?公的な美術館など現代美術のための制度が発展途上にある東南アジアでは、創造活動の目的も現代美術を取り囲む制度内での成功に限定されていません。むしろ、若い世代のアーティストのなかには、環境問題や離散する地域社会などコミュニティーのさまざまな課題へ向けてアートに何ができるのかを問う姿勢が顕著に見られます。コミュニティーに介入し、一般の人たちの参加を求めるソーシャリー・エンゲイジド・アートの実践や、コレクティブ(集団)としての活動は、日本よりも色濃く見られる特徴のひとつと言えるでしょう。●■瞑想としてのメディアコラクリット・アルナーノンチャイ 《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵画を描く3》 2015年Courtesy: Carlos/Ishikawa,London; Clearing,Brussels/New York東南アジア諸国では多様な民族、言語、文化、宗教が共存しており、そこで継承されている年中行事や祭祀は、成長や開発が進む今日においても日々の暮らしに密接に関係し、現世だけでなく死後の世界や超自然界に向けられた関心などにも繋がっています。このセクションでは、古来の自然信仰から特定の宗教まで、より幅広い神秘的で崇高な世界を、伝統的な工芸のテクニックや思想をとおして作品化しているアーティストを紹介します。●■歴史との対話東南アジアの新しい世代のなかには、さまざまな政治的、経済的、社会的な変化を繰り返してきた地域の歴史、とりわけ戦争や抑圧の歴史を訪ね、記憶を継承しようとする動きが見られます。また、現代アートの発展に大きな貢献をしてきた先の世代のアーティストの実践を、現代に継承しようとする意識も見られます。このセクションでは、歴史の再訪や、世代を超えた対話をとおして、今日の社会や現代美術をより大きな歴史のなかに位置づけようとしている作品を紹介します。六本木エリアの2つの美術館での開催となる今回の展覧会。ぜひ足を運んで、東南アジアの今までとこれからをアートをとおして感じてみましょう。【イベント概要】名称:ASEAN設立50周年記念「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」会期 : 2017年7月5日(水)〜10月23日(月)会場 : 国立新美術館 企画展示室2E、森美術館主催 : 国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンター一般問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600展覧会HP:観覧料:【2館共通】(一般)当日1,800円、前売り1,600円(大学生)当日800円、前売り600円【単館】(一般)当日1,000円、団体800円(大学生)当日500円、団体300円※高校生及び18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は無料。※障がい者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料。※学生は身分証等をご提示ください。※団体券は各館で販売(国立新美術館は20名以上、森美術館は15名以上で団体料金を適用)します。※前売券(2館共通のみ販売)は、展覧会ホームページでお求めください。(販売期間については、後日、展覧会ホームページにてお知らせします。)※サントリー美術館、森美術館、国立新美術館で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、相互割引「あとろ割」(200円引)が適用されます。※森美術館併設の展望台 東京シティビュー、屋上 スカイデッキ、森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。■各会場案内【国立新美術館 企画展示室2E】住所〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2開館時間10:00〜18:00(毎週金曜日・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで休館日毎週火曜日美術館ホームページアクセス東京メトロ千代田線 乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)【森美術館】住所〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階開館時間10:00〜22:00(毎週火曜日は17:00まで)※入場は閉館の30分前まで休館日会期中無休美術館ホームページwww.mori.art.museumアクセス東京メトロ千代田線 六本木駅 1C出口徒歩0分(コンコースにて直結)
2017年03月23日村上隆の展覧会「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」が、3月11日から5月28日まで青森県の十和田市現代美術館にて開催される。アーティストとしてだけでなく、コレクター、キュレーター、ギャラリストとしての顔も持つ村上隆。そんな村上が近年特に興味を持っているのが、日本の現代陶芸だ。村上は陶芸をコレクションするだけでなく、現代陶芸のショップ「Oz Zingaro」も持っており、海外への紹介も行ってきた。さらに、昨年に横浜美術館で開催され、そのスケールで話題を呼んだ「村上隆のスーパーフラット・コレクション-蕭白、魯山人からキーファーまで-」では約400点もの現代陶芸を出品した。本展では、現代陶芸作家の作品から現代美術作家による陶芸作品まで28作家・約300点を村上のコレクションから展示予定。出展作家は、青木亮、安藤雅信、村田森、小嶋亜創、奈良美智や小出ナオキ、青島千穂、大谷工作室、ガブリエル・オロスコ(Gabriel Orozco)、ローズマリー・トロッケル(Rosemarie Trockel)、クララ・クリスタローヴァ(Klara Kristalova)など。【イベント情報】「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」会場:十和田市現代美術館住所:青森県十和田市西二番町10-9会期:3月11日~5月28日時間:9:00~17:00(入場は閉場の30分前まで)料金:企画展+常設展セット券1,000円、企画展のみ600円、高校生以下無料
2017年01月22日美術家のリアム・ギリックによる個展「Stardust Expression」が、11月12日まで東京・千代田区のTARO NASUにて開催中。リアム・ギリックは、イギリス出身でニューヨークを拠点に制作活動を行う美術家。これまでにシカゴ現代美術館、アイルランド現代美術館、グッゲンハイム美術館など各国で展覧会を開催してきた。第53回ヴェニス・ビエンナーレにはドイツ館代表作家として参加した他、第10回ドクメンタなど多数の国際展に参加している。同展は、17年に刊行を予定しているギリックの新書シリーズ『スターダスト・エクスプレッション(Stardust Expression)』のプロジェクトの一環として行われるもの。同シリーズはギリックが15年にモスクワ・ビエンナーレの出品作品として、ニューヨークの自身のアパートメントから一歩も出ることなく制作した「Letters from Moscow(モスクワからの手紙)」の流れを引き継ぐもので、新しいリニアな都市が構築される過程で発生する混乱や矛盾、陰謀めいた出来事についての調査に焦点を合わせている。展覧会は壁面に展示する構造物、グラフィック、テキスト作品で構成され、壁面には輪のような形をしたいくつものテキスト作品が展示される。作品は繰り返しそして次第に不安定かつ感情的な内容に変化しながら展覧会タイトルを告げる。また、光る壁のインスタレーションとテキスト作品が一連のグラフィックによって関連付けられ、それぞれの作品が新書の輪郭を浮かび上がらせる。展覧会を通じてギリックの新シリーズとなる著書のタイトルと骨組みを知ることができる機会となっている。【展覧会情報】「Stardust Expression」会場:TARO NASU住所:東京都千代田区東神田1-2-11会期:10月14日~11月12日時間:10:00~18:00休廊日:日月祝日
2016年10月17日美術家のリアム・ギリックによる個展「Stardust Expression」が、11月12日まで東京・千代田区のTARO NASUにて開催中。リアム・ギリックは、イギリス出身でニューヨークを拠点に制作活動を行う美術家。これまでにシカゴ現代美術館、アイルランド現代美術館、グッゲンハイム美術館など各国で展覧会を開催してきた。第53回ヴェニス・ビエンナーレにはドイツ館代表作家として参加した他、第10回ドクメンタなど多数の国際展に参加している。同展は、17年に刊行を予定しているギリックの新書シリーズ『スターダスト・エクスプレッション(Stardust Expression)』のプロジェクトの一環として行われるもの。同シリーズはギリックが15年にモスクワ・ビエンナーレの出品作品として、ニューヨークの自身のアパートメントから一歩も出ることなく制作した「Letters from Moscow(モスクワからの手紙)」の流れを引き継ぐもので、新しいリニアな都市が構築される過程で発生する混乱や矛盾、陰謀めいた出来事についての調査に焦点を合わせている。展覧会は壁面に展示する構造物、グラフィック、テキスト作品で構成され、壁面には輪のような形をしたいくつものテキスト作品が展示される。作品は繰り返しそして次第に不安定かつ感情的な内容に変化しながら展覧会タイトルを告げる。また、光る壁のインスタレーションとテキスト作品が一連のグラフィックによって関連付けられ、それぞれの作品が新書の輪郭を浮かび上がらせる。展覧会を通じてギリックの新シリーズとなる著書のタイトルと骨組みを知ることができる機会となっている。【イベント情報】「Stardust Expression」会場:TARO NASU住所:東京都千代田区東神田1-2-11会期:10月14日~11月12日時間:10:00~18:00休廊日:日月祝日
2016年10月17日~現代の若者はどうしてすぐムカツクのか〜 敬愛する斎藤孝先生との対談の中で「どうして現代の若者はすぐムカツクのか?」について話したことがあります。斎藤先生曰く「心に襞(ひだ)がなく、感情に起伏がなく慢性的に気分が悪い状態にあるから」。人間の生活には、人間味溢れた家の造作、インテリアや街並み、喧しくないゆったりとした甘く優しい音楽、絵画、文学、髪型、服装、映画演劇が失ったのが原因です。だから相手とコミュニケートが成立しない。現代の若者を取り巻く文化が、建物で言えば灰色の打ちっぱなしのコンクリートのような状態にあるのです。だからロマンや人情の優しさが無くなり思い通りに行かなかったり、少しでも気に触れば“ムカツク”とマイナス感情に陥る。まずは、優しく美しく上品で和やかな文化や芸術で心に栄養を与え潤し感情を豊かにすることからです。さざ波のような心の起伏や変化は、人間の魅力のひとつです。
2016年09月26日展覧会「恋する現代アート」が、7月24日から11月23日まで、長野・軽井沢のセゾン現代美術館で開催される。恋愛は、人類最古の叙事詩と言われる『ギルガメッシュ叙事詩』や、日本で平安時代に生まれた世界最古の小説『源氏物語』など、昔から存在する文学作品に登場する。そして、現代美術作品においても数多くの作家が恋愛をテーマに、また、恋愛からインスピレーションを得た作品を創作してきた。本展では恋愛の要素を中心に、「好きな人に切ないまでに深く想いを寄せること」だけでなく、「昔の場所や事物に思いをはせること」という広義の恋からも着想を得ながら、恋愛にまつわる作品や恋愛を彷彿とさせる作品が主観的に展示される。出展作家には、アンディ・ウォーホルと共にアメリカン・ポップ・アートの旗手として知られるロイ・リキテンスタインや、ニュー・ペインティングの代表的な作家で、近年は『バスキア』や『潜水服は蝶の夢を見る』など映画監督としての活動で知られるジュリアン・シュナーベルの他、A.R.ペンク、篠原有司男、エルズワース・ケリー、ロバート・ロンゴ、宇佐美圭司、箱嶋泰美、小林正人らが名を連ねる。軽井沢の森の中で作品に「恋」をして、一見難しそうな現代アートがいかに簡単で面白いかを感じてみては?【イベント情報】「恋する現代アート」会場:一般財団法人セゾン現代美術館住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140会期:7月24日~11月23日時間:10:00~18:00(11月は17:00閉館)※最終入館は閉館30分前料金:一般1000円、大高生700円、中小生300円休館日:木曜日(9月22日、11月3日は開館)但し8月は無休
2016年07月23日