4人の出演者によるミュージカル『トゥモロー・モーニング』が、東京・シアタークリエにて4月18日(木)から上演される。開幕を前に、4月10日、都内で公開稽古が行われた。日本でまだ紹介されていない、小さいながらも新鮮な驚きや感動に満ちた作品をラインナップする〈シアタークリエ Excellent ミュージカル シリーズ〉の第1弾。ローレンス・マーク・ワイスが脚本・作詞・作曲を手がけた『トゥモロー・モーニング』は、2006年にロンドンの小劇場で初演され、2011年にはNYのオフ・ブロードウェイに渡ったほか、アメリカのシカゴとコネティカット、オーストラリアのメルボルンでも上演されている。離婚前夜の夫婦、そして結婚を翌日に控えた恋人同士という対照的な2組のドラマを同時に描いていく。しかもそれが、あるカップルの現在と10年前の姿だとわかると、両者の対比から新たな意味が見えてきて面白い。浮き彫りになるのは、愛を保ち続けることの難しさと大切さだ。ひとり息子がありながら別居している30代の夫婦、ジャックとキャサリンに扮するのは、石井一孝と島田歌穂。「怒られたり、にらまれたりしながら、キャサリンと対峙する毎日です」と石井が言うと、島田は「『レ・ミゼラブル』ではふられ続け、『ゾロ』では背中を撃たれた石井さんと、離婚前夜ではありますが初めてじっくり向き合います」と返し、笑いを誘う。一方、新しい一歩を踏み出す気持ちの高揚を抑えきれない20代のカップル、ジョンとキャットには、田代万里生と新妻聖子が扮する。「脚本も音楽も良い。誰も死なないし、最後はほっこり幸せな気持ちになれるミュージカルです」(田代)、「大人が楽しめる上質な作品。新年度の始まりなので、いい1年になるような春らしいミュージカルにしたい」(新妻)、とそれぞれ作品の魅力を言葉にした。この日は、ピアノの伴奏にのせてミュージカル・ナンバー3曲が披露された。曲調が多彩で、ひとつの楽曲の中でも次々と色を変えていく。人に言えない胸の内やデリケートな人間関係を歌で表現するというのは、ミュージカルの特権だ。歌唱力の豊かなキャストが揃うとその効果は何倍にもなるということが、『トゥモロー・モーニング』で実感できるに違いない。荻田浩一の翻訳・訳詞・演出で、4月24日(水)までシアタークリエ、4月26日(金)・27日(土)に名古屋・中日劇場で上演される。
2013年04月12日ルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』をもとに現代人の自己発見の物語として編みなおし、今春ブロードウェイで話題を集めたミュージカル『アリス・イン・ワンダーランド』。その日本版が早くも11月、東京・青山劇場で上演される。『ジキルとハイド』『スカーレット・ピンパーネル』でもおなじみの作曲家フランク・ワイルドホーンの最新作で、日本版演出は丁寧な心理描写とリズム感のある構成で人気の鈴木裕美。カラフルなセットと衣裳の“ワンダーランド”で展開する、大人のストーリーが楽しめそうだ。仕事に家族にと悩みを抱える主人公のアリスには安蘭けい、不思議の国の傲慢な帽子屋には濱田めぐみが扮する。安蘭は宝塚歌劇団、濱田は劇団四季とそれぞれトップスターとして一時代を築いたふたり。退団後もそのずば抜けた実力で活躍する者同士なだけに、安蘭が「めぐちゃん(濱田)の歌唱力にずっと憧れていた」と言えば、濱田も「とうこさん(安蘭)のそばにいるだけで安心できる」と初共演ながらすっかり意気投合した様子。濱田が言う「昔も今も、自分の信じる道を選んできたところが似てる」との言葉通り、自然体でありながら強い意思で道を切り拓いてきたその姿が多くの女性ファンから共感を得ている両者だけに、今回はまさに期待の競演といったところ。「こんなに悪い役は初めて」と話す濱田は「帽子屋はアリスの悪いところをキャラクターにした存在なので、酷いことばかりアリスに言うんです。自己中心的!とか傲慢!とかバンバン言うし、“ひれ伏して溺れたいはず”という歌詞もあって、慌ててとうこさんに“嫌いにならないで!”ってメールを送りました」と笑う。悪女の魅力たっぷりに歌い上げるシーンは見ものだが、一方のアリスは、情緒不安定なウサギ(田代万里生)や訳知り顔の芋虫(JOY)、キザな猫エル・ガト(柿澤勇人)らに囲まれた等身大の女性として存在する。「私もこんなに自分に近い部分が多い役は初めてです。アリスが帽子屋に指摘される言葉の数々は、身に覚えがありすぎて……(笑)」と安蘭からは意外な発言も飛び出した。「じゃあ(役作りは)めっちゃ厳しくないですか?」と尋ねる濱田に、「めっちゃ厳しいと思う!」と安蘭が返して思わず笑い合うひと幕も。「でもアリスは、いろんなキャラクターたちと触れ合ううち、そんなネガティブなところも全て自分の成長には必要なんだと気づくんです。子どもはもちろん、大人の方が観たら、もっと深く楽しめるミュージカル」と安蘭。一見ファンタジーに思える世界観にショーアップされた歌とダンス、だがそこにリアルなストーリーが織り込まれるのは、さすがブロードウェイ流。最高のキャストを得た日本版、その初日を楽しみに待ちたい。公演は11月18日(日)から12月4日(火)まで東京・青山劇場にて、12月14日(金)から16日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。チケットは発売中。なお、チケットぴあでは限定公演のみ観劇とディナー付きの「アリスレストラン付チケット」を発売する。
2012年10月18日鹿賀丈史主演ミュージカル『シラノ』の製作発表が9月5日、都内にて行われた。2009年に世界に先駆け日本で初演の幕を開け、好評を博した作品の待望の再演となる。原作はエドモン・ロスタン作の『シラノ・ド・ベルジュラック』。剣豪でもあり文才にも恵まれた男・シラノが、美しい従妹ロクサーヌに恋をしながらも、人並み外れた大鼻を恥じてその思いを打ち明けられず、逆に彼女から恋の取り持ちを頼まれてしまう……という物語で、世界各国で様々な形で舞台化・映画化されている戯曲だ。脚本・作曲は、ミュージカル『ジキル&ハイド』でも知られるレスリー・ブリカッスとフランク・ワイルドホーンのコンビが手がけている。シラノを演じる鹿賀はこの日も本番同様大鼻をつけた扮装で登場。「ここ(鼻)にスポンジ状のものがついていて、さらに帽子をかぶると非常に歌いづらい。今回はそういうところも勉強して、少しでもいい歌が歌えるようにしたい」と語る。また来年、俳優デビュー40周年を迎えることにも触れ「見かけは若そうに見えるかもしれませんが、中身はボロボロなんですよ(笑)」と会場を笑わせ、さらに「記念すべき年の正月に、この『シラノ』を上演することができて嬉しい。僕はこの作品の中で16曲を歌っていますし、シラノは雄弁なのでよくしゃべる。まずは身体を鍛えるところから始めたい」と気合いを入れていた。鹿賀以外のメインキャストは一新、ロクサーヌには濱田めぐみと彩吹真央、シラノの友人にしてロクサーヌと恋をするクリスチャンは田代万里生と平方元基がそれぞれダブルキャストで扮する。濱田は「(鹿賀との共演が初めてで)ここにいること自体が夢のよう。ロクサーヌは私がいつもやっている強いタイプの女性とは異なり、今回は本当にチャレンジだなと思いますが、自分の中にあればいいなと思う可愛い部分を引き出して、大切に大切に育てていきたい」と意気込み、宝塚男役出身の彩吹も「こういうキレイなドレスを着させていただくのも初めてで、私もチャレンジです。タイプではないふたりがロクサーヌをやるのも、作品の楽しみのひとつになれば」と話した。演出は初演に続き山田和也が務める。「色んな『シラノ』がありますが、この『シラノ』は人を好きになる、人に好きになられる時に感じる気持ち…不安や恐れ、喜びが等身大に描かれている。ストーリー自体は波乱万丈でドラマチックですが、登場人物ひとりひとりの心の動きがすごく瑞々しい」と見どころをアピールしていた。公演は2013年1月6日(日)から29日(火)に東京・日生劇場で(1月5日(土)にプレビュー公演あり)、2月8日(金)から10日(日)に大阪・新歌舞伎座にて。チケットは東京公演が9月8日(土)、大阪公演が9月15日(土)に一般発売を開始する。
2012年09月06日ふたりの俳優と1台のピアノだけで展開するミュージカル『スリル・ミー』が、東京・天王洲 銀河劇場で7月15日(日)に開幕する。昨年9月の日本初演、今年3月の追加公演を経て、興行規模は拡大し、キャストも2組から4組に増えた。同じ芝居が1年以内に3度上演されるのは、異例のケースといって間違いない。躍進の理由はどこにあるのか、稽古場で探った。ミュージカル『スリル・ミー』公演情報登場人物である「私」と「彼」は、19歳の法科大学院生。「彼」は、ニーチェの“超人”思想に傾倒しており、世間に対する優越感を得たいがために、完全犯罪を目論む。一方、道連れに選ばれた「私」は、「彼」に対する同性愛的愛情から、それを拒むことができない。放火遊びに始まった犯罪はエスカレートし、ついには誘拐殺人にまで発展してしまう。この日の稽古では、「私」を良知真次、「彼」を小西遼生が演じていた。オーディションで選ばれた初参加ペアながら、演出の栗山民也ら2度の上演を経験してきた頼もしいスタッフ陣に囲まれているせいか、ふたりとも落ち着きのある演技をみせ、表現に迷いを感じさせない。良知は、話し方と姿勢だけで54歳と19歳を巧みに演じ分けるなど、丁寧な表現が光り、小西は、冷徹な人物像を自分のものとして、異常な言動にリアリティを与えている。階段を中央に配しただけのシンプルな舞台美術。そこで様々に動き回るふたりの位置関係が、「私」と「彼」の心の距離を示すようで面白い。特筆したいのは、視線の一つひとつが生む劇的効果だ。たとえば、なかなか目を合わせないふたりが初めて真正面から見つめ合う瞬間は、キスシーン以上に衝撃的だった。1924年にアメリカで実際に起きた誘拐殺人事件をベースにして、2005年にNYのオフ・ブロードウェイで初演。その後、世界各国に上演地を広げ、今やその数60都市におよぶ。描かれている事件が特異でありながら、作品が広く受け入れられているのは、「私」の心情に共感しやすいからだろう。愛するより愛されたい。相手の心をつかみたい。それは誰にとっても当たり前の感情だ。また、誰かと秘密を共有したことのある人なら、その絆が生む甘美さを思い出すに違いない。良知×小西組のほか、田代万里生×新納慎也、松下洸平×柿澤勇人の初演キャスト2組が登場し、韓国版を200回以上演じてきたチェ・ジェウン×キム・ムヨルが日本初登場を果たす。7月15日(日)から29日(日)まで天王洲 銀河劇場、8月8日(水)に大阪・サンケイホールブリーゼで上演。
2012年07月10日安蘭けい主演のミュージカル『サンセット大通り』が6月16日、東京・赤坂ACTシアターで日本初演の幕を開けた。本作は『オペラ座の怪人』や『キャッツ』で有名な作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが、1950年の同名映画をミュージカル化したもので、1995年のトニー賞で作品賞、作詞・作曲賞、主演女優賞など7部門を受賞した大作だ。ミュージカル『サンセット大通り』チケット情報無声映画時代の大女優ノーマ(安蘭けい)は、トーキーの到来とともに忘れ去られ、執事のマックス(鈴木綜馬)と、古びた豪邸で暮らしている。そんなある日、売れない脚本家ジョー(田代万里生)が敷地内に偶然迷い込むと、ノーマ自らが銀幕への復帰を期して書いた『サロメ』のシナリオの推敲を依頼される。やがて、抜き差しならない関係に陥るノーマとジョー。一方でジョーは、映画会社で働く若い女性ベティ(彩吹真央)に惹かれ始める。ノーマ、ジョー、ベティ、マックスそれぞれの思いと思惑が錯綜し、物語は思いもよらぬ方向へと転がっていく。この作品では、ふたつの世界が描かれている。ひとつは時が止まったような夢の世界。もうひとつは、めまぐるしい現実の世界。前者にいるのがノーマだ。安蘭は貫禄の演技の中に、弱さや悲哀、時にはコミカルさも滲ませ、役柄に新たな命を吹き込んだ。彼女に付き従うマックスを演じる鈴木の、情愛に満ちた歌声も忘れ難い。一方、後者の世界を担うのが、彩吹扮するベティら若者たち。貧しくとも希望に胸膨らませて生きる彼らの姿は、瑞々しい音楽や軽快なダンスで表現される。衣裳や照明も、前者を陰影に富む重厚な色合いで、後者を明るくビビッドな色彩で描き分け、対比を浮き彫りにした。舞台中央に盆で回転する階段を設えた装置は一見シンプルながら、角度や光によって表情を鮮やかに変化させ、夢と現実の世界をつないだ。そして、ふたつの世界を行き来するのが、ジョーだ。田代が、成功を求めてさまよう男の焦燥感と欲望を歌うナンバー『Sunset Boulevard』は、激烈な勢いで劇中を駆け巡った。ノーマが映画の撮影所で、若い俳優たちに取り囲まれ賞賛される場面では、乖離していた世界が束の間結びつく。ここでのナンバー『As If We Never Said Goodbye』は煌めくような美しさだ。しかしなんと言っても圧巻は、大女優の生き様が凝縮するラストだろう。安蘭の声には凄みが宿り、鬼気迫る表情は神々しくすらあった。ロイド=ウェバーの雄弁で色彩豊かな楽曲と実力派俳優たちの演技が描き出す、栄華と凋落、欲望と破滅のドラマ。カーテンコールは幾度も続き、久しく待ち望まれていた日本初演が華やかに祝われた。演出は鈴木裕美。公演は同所にて7月1日(日)まで上演。その後7月6日(金)から8日(日)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて開催する。チケットはいずれも発売中。取材・文:高橋彩子
2012年06月18日ベンジャミン・ウォーカーが、万里の長城をテーマにした新作『The Great Wall』(原題)に出演するようだ。『ラスト サムライ』のエドワード・ズウィック監督が脚本兼監督を手がける本作には、2013年公開予定の『マン・オブ・スティール』(原題)でスーパーマン役に抜擢されたヘンリー・カヴィルの主演が既に決定しているが、今回ベンジャミンもキャストの一員に加わったという。先日、その総延長がこれまで発表されていたものよりも長かったという報道がなされたばかりの世界文化遺産、万里の長城。映画のストーリーは、15世紀、イギリスの戦士たちが中国の地に現れ、モンゴル軍やそれ以上に恐ろしい“何か”が襲ってくるのに備えるべく万里の長城の建設を急ぐというもの。ベンジャミンとヘンリーのほかに、チャン・ツィイーを始めとした中国の大スターも出演を検討中だという。同作は本来今秋にクランクイン予定だったものの、撮影地の中国とニュージーランドの天候不順により、撮影は来年春までずれ込む見込み。ベンジャミンは、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンに扮した『リンカーン/秘密の書』の日本公開を11月1日(木)に控えている。■関連作品:マン・オブ・スティール (原題) 2013年夏、全国にて公開© Warner Bros. Ent. All Rights Reservedリンカーン/秘密の書 2012年秋、TOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開
2012年06月12日ハリウッドの光と闇をリアリティ豊かに、かつスタイリッシュに描いた名作映画『サンセット大通り』(1950年)。その哀愁はそのままに、ブロードウェイのヒットメーカー、アンドリュー・ロイド=ウェバーが1993年に舞台化、作品賞などトニー賞で7部門を受賞したのが、この同名ミュージカルだ。待望の日本版初演に際し、安蘭けい、田代万里生、鈴木綜馬、彩吹真央ら華も実力も備えたキャストが集結。演出は、人間ドラマを深い視点で描き、多くの演劇賞を受賞している鈴木裕美が担当する。今回、“日本ミュージカル界のプリンス”と称されながら、成功を求めてあがく脚本家ジョーという“汚れ役”に挑む田代万里生にその胸中を訊いた。『サンセット大通り』チケット情報本作についての印象をこう話す。「ドラマや映画のミュージカル化は『××のリメイク』という風にとらえられがちですが、この舞台は原作の映画がもつテーマを、クラシックをベースにした多彩な楽曲で表現しているから単体で完成されているんですね。コントラバスの不気味な音が響く中での会話や、音がシン……と止んでいる空白ですら、作曲家ロイド=ウェバーの計算のうち。そんな細かなスコアからも芝居のヒントを得ながら、ジョーという役を作っていきたいです」。4月25日に行われた制作発表で初披露された楽曲『サンセット大通り』は、酔ったジョーが芸能界に魅入られた身の上を自嘲気味に歌うソロナンバー。その内容からか多くの俳優が好きな曲として挙げるが、田代はすでにジョーの憤りを自分のものとして歌っているように見受けられた。幾多の挫折を経てボロボロになっているジョーと、田代は正反対なのでは?と問うと、「ある、ありますよ!挫折はいっぱい」と勢い込んだ答えが返ってきた。「確かに芸大卒とかミュージカルデビューとか、それだけを見たら順調に思われるかもしれないけれど、苦労や挫折なんかはいちいち言葉にする必要がないから言わないだけで。毎日の舞台だって、毎公演がオーディションと思いながら立っているくらいです。でも俳優なら誰だってそういう気持ちを持ってやっていると思うし、だからこそもがきながらも夢を捨てきれないジョーに、俳優も観客も惹かれてしまうんだと思いますね」。稽古に先立ち、鈴木裕美のワークショップに参加したという田代。「一番前で話を聞いて、われ先にと手を挙げてました(笑)。(ワークショップでは)“ラーメン屋のミノル役”を演じたり、本当に楽しかった!ミュージカル俳優でない、素の役者としてのあり方を学べました」と手応えを感じた様子。デビュー4年目にして体当たりで挑む新境地。本番では、新しい田代の表情が見られるはずだ。公演は6月16日(土)から7月1日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。その後7月6日(金)から8日(日)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて開催する。チケットはいずれも発売中。取材・文:佐藤さくら
2012年05月08日過去の栄光が忘れられないかつての大女優と、ハリウッドでの成功を夢見てもがく脚本家。孤独な魂が呼応するように惹かれ合い、悲劇へとひた走るドラマを圧倒的な美学で描いたフィルム・ノワール(犯罪映画)の名作『サンセット大通り』(1950年制作)。それをもとに『オペラ座の怪人』など多くのヒットミュージカルで知られる作曲家のアンドリュー・ロイド=ウェバーが舞台化、1995年のトニー賞最優秀ミュージカル作品賞ほか7部門を受賞したのが、ミュージカル『サンセット大通り』だ。長らく日本版の公演が待たれていた本作が、最強のキャストとスタッフを得て、ついに上演が決定した。4月25日に行われた制作発表には、安蘭けい、田代万里生、鈴木綜馬、彩吹真央ら主要キャストと、演出の鈴木裕美が出席。また一般公募のオーディエンス150人も参加した。ミュージカル『サンセット大通り』チケット情報拍手と共にステージに登場した5人は、すでに笑顔。まず演出の鈴木裕美が「この作品はロイド・ウェバーならではの華やかさを備えつつ、本質はテネシー・ウィリアムズのような人間同士の確執をストイックに描いた作品。私もシンプルに、ストイックに作り上げたい」と抱負を語った。続いて大女優ノーマ・デズモンドを演じる安蘭が「こんなに大きな作品の(日本)初演をさせていただけるとは、本当にラッキーガールだなと思っています。プレッシャーもありますが、この役をやるために生まれてきたと思えるように頑張りたい」と意欲を見せた。売れない脚本家ジョー・ギリスに挑む田代は「名だたる俳優の方たちがやりたいとおっしゃる役。絶対やりたい!と思っていたので、出演が決まった時は本当に嬉しかった。稽古場でぜひ演出の鈴木さんにしごかれたいです」と話して場内の笑いを誘った。さらに、ノーマのかつての夫で今は執事を務めるマックス役の鈴木綜馬は「全てが非日常の世界で、劇場に入ってから出るまでお客様がこの世界観にどっぷり浸れるのが魅力」とアピール。ジョーと恋に落ちる脚本家のベティー・シェーファー役の彩吹も「15年ほど前にロンドンで観て、あまりの感動にCDを買ってずっと聴いていました。脚本と音楽、すべてが揃っている作品」とその魅力を語った。制作発表後には、日本語詞がついたばかりという劇中歌が4曲、特別に披露された。田代が感情を爆発させながら歌う「サンセット大通り」には大きな拍手。続けて彩吹が加わりデュエット「トゥー・マッチ・イン・ラブ・トゥ・ケア」を、お互いを思いやるような表情で。さらに鈴木綜馬が「ザ・グレイテスト・スター・オブ・オール」を切々と歌い、最後に登場した安蘭が「ウィズ・ワン・ルック」をドラマチックに歌い上げると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。公演は6月16日(土)から7月1日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。その後7月6日(金)から8日(日)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて開催する。チケットはいずれも発売中。取材・文佐藤さくら
2012年04月26日『オペラ座の怪人』や『キャッツ』で知られる作曲家・アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作のひとつで、1995年のトニー賞で作品賞、作詞・作曲賞、主演女優賞など7部門を受賞した『サンセット大通り』が、ついに日本でも上演される。原作は1950年の同名の映画。今は忘れられたかつての大女優が、若い脚本家・ジョーと出会い妄執を募らせていく物語だ。ブロードウェイではグレン・クローズが演じたヒロイン・ノーマ役に安蘭けい、ジョーと恋仲になる映画会社の若手脚本部員ベティ役に彩吹真央。共に宝塚歌劇団出身で、歌唱力にも定評があるふたりに、日本初演で臨む同作への意欲を訊いた。『サンセット大通り』チケット情報ロイド=ウェバーが大好きだという安蘭は「いろんな女優さんがやりたいとおっしゃる大役を演じるのはとても光栄で、神様が巡り合わせてくれたのだと思います。仕事仲間からは『落ちぶれた女優役は、まだ早いんじゃないの』とも言われましたが、去年は『ピアフ』や『MITSUKO』で女性の晩年も演じさせていただいたので、その経験がうまく役に反映できればいいですね。全力を尽くし、足りない部分は勉強します」と語る。彩吹は「日本での上演が待たれていた作品の初演に参加させていただくので、心して頑張りたいです。若いけれど自分なりの生き方を持ったまっすぐなベティという役を、お芝居でしっかり演じれば、歌でもキャラクターを表現できるかなと思います」と控えめに話す。そんな彩吹を見て安蘭は「結構、そのまんまじゃない?ゆみこ(彩吹の愛称)は、まっすぐないい子だよ。一緒に作品を作ってきた信頼関係があるから、ゆみこには何でも言えるし、ここまでやっても大丈夫という安心感がありますね」。「下級生の時から、とうこさん(安蘭の愛称)の背中を見て、いろいろ教えていただきました。昔は男役同士だったのに、今はスカートをはいて女優としてご一緒させていただくのが不思議です」と彩吹。男性のメインキャストは、ジョー役の田代万里生と、ノーマの元夫で執事のマックス役の鈴木綜馬。田代と同じ事務所の安蘭は「よく知っているから、ノーマとジョーみたいに私がリードする立場になるのかな」と楽しげに話す。シャネルの生涯を描いたミュージカル『COCO』で鈴木と共演した彩吹は「綜馬さんやとうこさんとは一緒に作品を作り上げた絆がありますが、田代さんも初めてお会いしたとは思えない雰囲気があるんですよね。のんびりしていて、面白い方です(笑)」。シリアスでゴージャスな本作の日本版ならではの舞台に期待したい。公演は6月16日(土)から7月1日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、7月6日(金)から7月8日(日)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて上演。チケットは東京公演が2月25日(土)、大阪公演は3月31日(土)に一般発売する。取材・文:笠松綾
2012年02月23日日本に猫島は数あれど、猫を神様として祀るほど猫を大切にしている島はそうはないだろう。今回紹介するのは、猫の聖地ともいうべき宮城県石巻市の田代島。東日本大震災の影響を受けつつもノラ猫たちは元気に暮らしていた。猫好きの方ならご存知、田代島。石巻から船で1時間あまり。面積わずか約3平方キロメートルの小さな島には人口100人に対してノラ猫100匹がいるとも言われている。ただこの島が猫島と呼ばれるゆえんは、単に猫が多いからではない。猫を祀る猫神社があるからだ。昔から大網漁が盛んだったこの島では、猫の動作により天候や漁の具合を予測していたという。猫は漁師にとって良きパートナーだった。猫は”大漁をまねく”招き猫として島では大切にされてきた。ところが不幸な出来事が起きてしまう。網の錨に使う岩を取る作業をしていた際、崩れ落ちた岩が猫にぶつかり、瀕死の重傷を負わせてしまった。これに心を痛めた島民が、猫の安全と大漁を祈願し、小さな祠を設置。以来、猫を神様としてお供え物をするなどして信仰を深めていった。こうして世にも珍しい猫神社ができたのである。ちなみに猫を大切にするため、天敵である犬は島内持込禁止という徹底ぶりだ。この猫島も、2011年3月11日の東日本大震災で被害を受けた。津波により、漁具や小屋などが流されたり破壊されたりしてしまった。船乗り場は地震による地盤沈下のため水没するなど、大きな被害を受けた。しかし幸いにして多くのノラ猫は無事だったという。震災後に田代島を訪れると、相変わらず猫が多く、島を縦横無尽に闊歩していた。港がガレキ置き場になっていて、震災被害の痛ましさを物語っているのだが、そんなガレキ置き場も猫にとっては遊び場。ガレキの山を駆け上ったりするなど、楽しげに暮らしているようだった。子猫も多く、猫の生命力の強さ、たくましさを目の当たりにした。全国の猫好きの方から猫のエサなどの救援物資も届き、今は十分足りているという。島には売店や食堂、トイレの施設がない状況だが、船は運航しているので猫が神様の島に行ってみてはいかがだろうか。かさこ1975年生まれ。執筆と撮影もこなすカメライター(カメラ+ライター)。トラベル系、金融分野を特意とする。25歳から編集・ライターの仕事をはじめ、27歳からカメラマンの仕事も担当。世界各国、日本各地を飛び回り、取材・撮影したストックを生かし、記事の提供、執筆、写真貸出などを行う。これまでの渡航回数は42回で渡航先は29カ国。合計滞在日数は455日に及ぶ(2011年2月現在)。著書は、写真集10冊、一般書籍5冊、合計15冊(2011年2月現在)。オフィシャルサイト「かさこワールド」も立ち上げている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月23日濱田めぐみと田代万里生が主演するミュージカル『ボニー&クライド』が1月8日、東京・青山劇場で開幕した。劇団四季で活躍していた濱田はこれが退団後、初の舞台出演。初日前日に行われたインタビューで「舞台上が自分の生きる場所だとすごく思った。新しい出発、新しい風が吹いています。このスタッフとキャストと一緒に新しいスタートが切れたら、という期待感でいっぱい」と約1年ぶりの舞台復帰への思いを語った濱田が、今までにない等身大の女の子の役に挑戦している。『ボニー&クライド』チケット情報はこちら作品は、映画『俺たちに明日はない』のモデルとなったことでも知られる実在のギャング・カップル、ボニーとクライドを主人公にした物語。世界恐慌などもあり閉塞した状況下の1930年代アメリカの空気を舞台上に再現、そこに“暴走する若者たち”の姿を痛快さと悲劇的な両面から描いていく。今まで自己主張のはっきりした、自立した女性の役が多かった濱田が、恋のために道を踏み外していきながらも、ふと「ママに会いたい」と呟くような普通の女の子を熱演。一方クライドも、育ちの良い役が多かった田代が生き生きと演じ、ふたりとも新境地を見せている。強盗と殺人を繰り返しアンチ・ヒーローとされるボニーとクライドだが、思いがけず悪い方向へと転がっていってしまう運命の中、「死んだように生きたくはない」と目に見えない何かと戦っているかのようなふたりの懸命な生き方が切なく映る。昨年12月にブロードウェイでも開幕したばかりのこのミュージカル、音楽はフランク・ワイルドホーンが手がける。インパクトの強い壮大な楽曲で日本でも人気が高い作曲家だが、本作はジャジーなナンバーが多用され、今までのワイルドホーン作品とは一線を画しクールな風合いに。「日本にはなかなかない香りがする音楽がたくさんあって、アメリカらしいノリのいい曲もいっぱい。でもすごく役柄によって求められる歌の力が必要になってきます」と田代。濱田も「聴くと気持ちがいいのですが、実際歌うとなると、基本どおりに歌ってもその曲の良さが出ない。手ごわいです」と苦労を語る。だがともに抜群の歌唱力を持つふたり、迫力満点、聴き応え充分。特に濱田が後半歌う『死ぬのもそれほど悪くない』は情感たっぷりのバラードナンバーで濱田めぐみここに健在、といわんばかりの熱唱、劇場空間を圧倒していた。悲劇的なシーンでもカッコよくスウィング・ジャズ調の楽曲がかかるなど、作劇的にも面白い。また幼なじみで彼女を愛するテッド役の藤岡正明(中河内雅貴とのWキャスト)や牧師役のつのだ☆ひろ等、ふたりを取り囲むキャストも個性的で力強い歌声を響かせ、非常に充実した舞台になっている。「ストーリーはボニーとクライドの恋愛ものですが、拳銃や保安官が出てきたりとあの時代のアメリカの空気感がすごく出ている。男の子たちが昔憧れてた世界じゃないかな。たぶんイメージなさってるものよりもっとハードですよ」と濱田。公演は1月22日(日)まで。1月28日(土)・29日(日)には大阪・新歌舞伎座でも上演される。チケットはともに発売中。
2012年01月10日クラシカル・クロスオーバーグループ、ESCOLTA(エスコルタ)が、来年2月にシリーズ・コンサート「Singing Drama」を東京国際フォーラム ホールCにて開催する。「ESCOLTA」の公演情報ESCOLTAは、ポップスボイスの結城安浩、バリトンの吉武大地、テノールの田代万里生の3人のソロ・ボーカリストによるグループ。2007年にアルバム『愛の流星群』でメジャーデビューし、美しく重厚なアンサンブルで注目を浴びた。シリーズ・コンサート「Singing Drama」はデビュー前より続く公演で、彼らのドラマチックな1曲1曲を通して、観客とともに物語を感じてもらおうというコンセプトで名付けられた。ジャンルの異なる3人の声が童謡や唱歌を奏でる“日本の歌”も人気のひとつだ。デビュー5周年となる2012年に開催する「Singing Drama 2012」では、これまでの集大成であるとともに、これまで歌ってこなかった童謡でも唱歌でもないカバー曲にも挑戦したいそうだ。リーダーの結城は、「ESCOLTAの集大成であることはもちろん、新しいESCOLTAを観ていただいてもっと愛してもらえるようにできたらと思っています。ぜひ生で体感していただきたい」とコメントした。「Singing Drama 2012」は、2012年2月10日(金)東京国際フォーラム ホールCにて開催。チケットは11月12日(土)10:00より一般発売。
2011年11月11日映画『俺たちに明日はない』のモデルになった伝説のギャング・カップルを描いたミュージカル『ボニー&クライド』が来年1月、東京・大阪で上演される。主役の2人を演じる濱田めぐみと田代万里生が10月某日、ぴあを訪れ、インタビューに答えた。ミュージカル「ボニー&クライド」のチケット情報インタビューでは、「ボニーは普通の人で、なぜあんなセンセーショナルな事件を起こすのかが理解されづらい。だからこそカリスマ的存在として人々の憧れを集めたんだと思う。演じる上で感情的なものがセッティング出来なくて、今からドキドキしてます」(濱田)「見た目で男っぽさやアウトローさを出すというよりは、彼の内面に寄り添った表現にしたいです」(田代)とそれぞれ、役柄に対して意気込みを語った。なお、本インタビューの全文はチケットぴあサイトにて掲載中。公演は、2012年1月8日(日)から22日(日)まで東京・青山劇場、1月28日(土)・29日(日)に大阪・新歌舞伎座にて上演。チケットは発売中。
2011年10月20日パリが最も愛したシャンソン歌手エディット・ピアフを、大竹しのぶが演じる舞台『ピアフ』が、10月13日(木)に東京・シアタークリエで開幕する。初日前日の10月12日、大竹と共演の田代万里生、碓井将大、KENTARO、山口馬木也が囲み取材に応じ、意気込みを語った。『ピアフ』チケット情報作品は、ブロードウェイ、ウェストエンドで名だたる女優が演じてきた、パム・ジェムス作の舞台『ピアフ』。これを、ジェムス自身が2008年のロンドン公演のために書き下ろした決定版の日本初演となる。日本版の演出は現代演劇を得意とする栗山民也が担当する。貧民街で生まれたピアフが、人々を魅了する歌声によって名声を得ていくが、私生活は孤独で、愛を求めて男たちと関係を持っていく。イブ・モンタン、シャルル・アズナブール、マルセル・セルダン、そして生涯最後の若き恋人テオ・サラポとの愛に生きる姿を描く。また、「愛の賛歌」「バラ色の人生」ほか15曲を大竹が絶唱するのも話題。会見で大竹は「ピアフの歌声がなぜこんなに惹きつけられるのかが知りたかったし、やっているうちにそれがみつかるかなと思いました。歌っている時、神聖な気持ちになります。(ピアフは)普段はめっちゃくちゃな性格だし、めちゃくちゃな生活をしてるんですけど、そこが逆に面白い」とピアフの魅力を語った。また4人の共演者のうち、もっとも若い碓井は「あんまり歳のことを言うとしのぶさんに怒られるので」と恐縮していると、大竹は「お父さんやお母さんが私より下なので、親子に見えないように頑張ります」と話すなど、すでに息もぴったり。田代が「稽古中も、しのぶさんが稽古をしている様子を全員がずっと見ていました。(本番では)客席で見れなくて残念です」と話すなど、共演する男性陣は大竹“ピアフ”に虜の様子だった。公演は11月6日(日)まで同劇場にて上演。その後、富山、石川、大阪、愛知と各地を回る。チケットは発売中。
2011年10月13日愛と歌で彩られた波乱万丈な人生で知られるシャンソンの女王、エディット・ピアフの生涯を描いた舞台『ピアフ』の製作発表が9月13日都内で行われ、ピアフを演じる大竹しのぶらキャスト6名と、翻訳の常田景子が出席した。チケット情報『ピアフ』はイギリスの女流劇作家パム・ジェムスによる傑作戯曲で、1978年にイギリスで初演。その後、ブロードウェイや世界各国で上演され、主役のピアフは名だたる女優たちによって演じ継がれてきた。その大役に、日本を代表する女優・大竹しのぶが初挑戦。路上で歌い始めた少女時代から47歳で亡くなるまでを演じ、『愛の讃歌』『バラ色の人生』ら約15曲ものナンバーを披露する。演出は、大竹とは5作目の顔合わせとなる栗山民也。二十歳の頃、舞台で共演中だった中村勘三郎(=勘九郎)からピアフの自伝を贈られたのが彼女との出会いだったという大竹。「ピアフを演じられるなんて夢のよう」とその喜びをストレートに表し、「なぜ彼女の歌がこんなにも心に響くのか、お客様が答えを出せるように一生懸命演じたい」と真摯に語った。またピアフは様々なタイプの男性との華やかな恋愛遍歴でも知られるが、「あんなにわがままでめちゃくちゃな生き方なのに、これだけの男性に愛されている(笑)。だけどそれも当然だなと感じてもらえるようなエネルギッシュでチャーミングな、そしてどこにもいない女性を演じられたら」と、思い描くピアフ像を語った。劇中にはピアフの歴代の恋人たちが登場するが、その中からこの日はイブ・モンタン役の田代万里生、テオ・サラポ役の碓井将大、マルセル・セルダン役の山口馬木也が出席。「マネージャー役なので色っぽいシーンがない」と嘆くルイ・バリエ役の高橋和也に田代が「僕はまるで映画のようなキスシーンもあるので申し訳ない(笑)」と応え、早くも大竹争奪戦が勃発!?またピアフの最後の恋人テオを演じる碓井の19歳という実年齢に、大竹が驚愕する一幕もあった。ピアフの生涯の友人トワーヌ役の梅沢昌代は、「とても展開の速い芝居なので、しのぶちゃんは本当に大変」と、気心の知れた大竹を気遣っていた。好きなピアフのナンバーに『水に流して』を挙げた大竹は、「『もういい、もう後悔しない。今日から新しい人生が始まる』という内容の歌詞で、私もそんな風に生きてきたし、これからもそう生きていきたい」とコメント。歌に全てを懸けたピアフと芝居に全てを懸ける大竹の生き様が交錯し、見応え、聴き応えのある音楽劇となりそうだ。公演は10月13日(木)から11月6日(日)まで東京・シアタークリエにて上演。その後、富山、石川、大阪、愛知にて上演される。チケットは一部を除き発売中。取材・文:武田吏都
2011年09月14日ミュージカル『ボニー&クライド』の製作発表が8月22日、都内にて行われた。劇団四季で数々のヒロインを演じた濱田めぐみが、退団後初出演することで注目の作品だ。ミュージカル「ボニー&クライド」 のチケット情報映画『俺たちに明日はない』で知られる実在したギャング・カップル、ボニーとクライドの人生をモデルに、日本でも『ジキル&ハイド』などで知られる作曲家フランク・ワイルドホーンの手によってミュージカル化された本作。2009年にカリフォルニアでトライアウトとして初演、今年12月にブロードウェイで開幕が決定している作品が、早くも1月に日本版として幕を開ける。ボニーを演じるのは、劇団四季の看板女優として数多くのミュージカル作品に出演してきた濱田めぐみ。『美女と野獣』『ライオンキング』『アイーダ』とディズニーミュージカル3作品すべてのヒロインを演じたことのある唯一の女優でもある。退団後第1作目に対する意気込みを、「自分にとってもこれはチャレンジ。今年、地球上で災害など色々なことが起こっていますが、今は全世界が一丸となって前に進むべきタイミングだと思っています。私も新しい創造に向かっての第一歩を踏み出そうと思いました」と語った。クライド役には、ミュージカル界の新星・田代万里生が扮する。今まで育ちの良い役が多かった田代は「伝説のギャングということで、自分の中に今までなかった面を一から創り上げていきたい」と意気込みを。また「念願のワイルドホーンさんの作品に出演できて嬉しい。ワイルドホーンさんの作品はたくさんありますが、きっとこの『ボニー&クライド』がベスト・ミュージカルになる」と早くも自信を見せていた。ともにミュージカル界でも抜群の歌唱力を持つふたり。この日の会見では『死ぬのもそれほど悪くない』『世界は二人を忘れない』の2曲の劇中歌をひと足早く披露したが、作曲家のフランク・ワイルドホーンも「登場人物の魂をすでに把握していらっしゃると実感しています」と絶賛、注目の公演は2012年1月8日(日)から22日(日)に東京・青山劇場にて。チケットは9月17日(土)に一般発売開始。その後大阪・新歌舞伎座での公演も決定している。
2011年08月24日