「辻本貴則」について知りたいことや今話題の「辻本貴則」についての記事をチェック!
NHK交響楽団首席チェリストとしてお馴染みの辻本玲のリサイタルが目前だ(2022年4月23日:トッパンホール)。プログラム前半には、チェリストのバイブル、バッハの「無伴奏チェロ組曲(第4番)」にブラームスの「チェロ・ソナタ第1番」という王道の曲目が置かれ、後半はアメリカンオールスターとでも言うべき3人の作曲家(ジョージ・ガーシュウィン、ジョージ・クラム&サミュエル・バーバー)の作品を連ねるあたりに、“新時代のチェリスト”と謳われる辻本玲の自信と意気込みが感じられる。2009年のガスパール・カサド国際チェロコンクール第3位入賞(日本人最高位)を果たした期待の新鋭が、名門NHK交響楽団を通じて育まれた音楽性とはいかに。それを確認する最高のステージがここにある。●公演概要4月23日(土)トッパンホール「辻本玲チェロ・リサイタル」●辻本玲/Rei Tsujimoto(チェロ)1982年生まれ。7歳よりチェロを始める。11歳まで米国フィラデルフィアで過ごし、東京藝術大学音楽学部器楽科を首席で卒業(アカンサス音楽賞受賞)。2003年、第72日本音楽コンクール第2位、併せて「聴衆賞」受賞。 2007年度青山音楽賞新人賞受賞。ロームミュージックファンデーションより奨学金を得て、シベリウスアカデミー(フィンランド)、ベルン芸術大学(スイス)に留学し卒業。第2回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第3位入賞(日本人最高位)、併せて「日本人作品最優秀演奏賞」を受賞。(その模様はNHK-BSにてドキュメンタリー番組「チェロ・エスプレッシーボ!~国際コンクールに懸ける青春~」としてオンエアされた)「第12回齋藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞。2015年6月からは日本フィルハーモニー交響楽団「ソロ・チェロ奏者」に就任するなど、今後の活躍が期待されている。使用楽器は、NPO法人イエロー・エンジェルより1724年製作のアントニオ・ストラディヴァリウスを貸与されている。クワルテット・エクスプローチェのメンバー。
2022年04月15日シルク・ドゥ・ソレイユ初の日本人男性ダンサーとして知られ、現在は振付家としても活動するダンサーの辻本知彦。大河ドラマ『いだてん』で毎週活躍を見せ、ダンサーとしても数々の公演を重ねている森山未來。このふたりが、2010年に立ち上げたパフォーマンスユニット「きゅうかくうしお」の新作公演『素晴らしい偶然をちらして』が11月22日(金)から12月1日(日)まで横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで行われる。きゅうかくうしおはふたりではじまったユニットだが、これまでの公演に関わった照明、音響、映像、宣伝美術、舞台監督、制作のスタッフもメンバーに。現在は9人のグループとして活動している。キャストとスタッフの間に区別はなく、出演するふたりも「踊り子」として他のメンバーと並ぶ。通常、演劇やダンスの公演は、本番の1カ月ほど前にスタッフとキャストが集まり、集中的に稽古を重ねて上演を迎えることが多い。しかしきゅうかくうしおは、作品の創作方法自体を考えるところからはじめている。前作『素晴らしい偶然をあつめて』以降、2年半をかけて定期的なミーティング、リサーチ、さらに愛知県幡豆や香港での滞在制作などを重ねてきた。さらにその記録をwebサイト上に公開し、観客にも共有するようにしている。活動の中には、たとえば「言葉と動きの関係性を探る」ため、メンバーが川柳を詠み、それに動きをつけるというものも。それにちなみ、土屋太鳳や柄本時生、森山直太朗ら親交のある著名人たちがきゅうかくうしおを表現した川柳もサイトにアップされている。これらも、観客が彼らを知るのに役立つかもしれない。言葉を尽くし、身体を使って長いスパンでクリエイションを行う彼ら。その膨大な体験から抽出されたものが、満を持して公演の形で観客の目の前に現れる。それはおそらく、即席では生まれない何かを携えていることだろう。2年半で彼らが見つけたものはいったい何なのか、この目で確かめたい。文:釣木文恵
2019年11月21日映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』が、2017年5月27日(土)に公開される。『バイオハザード:ヴェンデッタ』は、シリーズ累計販売本数7,100万本を超えるサバイバルホラー・アクションゲームの代名詞、『バイオハザード』シリーズの世界観をベースにした長編アニメーション映画。歴代ゲームに登場した人気のキャラクター、そして不気味な存在を醸し出すオリジナルの新キャラクターたちが繰り広げる予測不可能なバトルが、最新のフルCG技術で描かれる。監督は、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』などで知られる辻本貴則。制作は、松本零士原作の漫画作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』を原作にしたCGアニメ映画『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』などを手がけたマーザ・アニメーションプラネットが務める。そのほか、脚本に『PSYCHO-PASS サイコパス』の深見真、音楽に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の川井憲次、原作監修に『バイオハザード』シリーズの小林裕幸と豪華スタッフが集結している。【ストーリー】対バイオテロ組織「BSAA」のクリス・レッドフィールドは、ある情報を基に、武器密売組織の拠点である謎の洋館へ突入する。探索の最中、クリスは国際指名手配犯であるグレン・アリアスと対峙するも、信じがたい光景を目の当たりにし、結果アリアスを逃してしまう。一方、元ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の一員だったレベッカ・チェンバースは、現在は大学教授として、「死者が甦り、凶暴化する」という不可解な事件の調査、研究に携わっていた。事件の調査により、「新型ウィルス」が関係していることを突き止めた彼女は、治療薬の開発に成功。その直後、研究所が何者かに襲撃され、レベッカは死の危険にさらされてしまう。幸いにも駆けつけたクリス達によって、九死に一生を得るのであった。この襲撃後、クリスとレベッカは、アメリカ大統領直轄のエージェント組織「DSO」に所属しているレオン・S・ケネディのもとへ…彼は、この新型ウィルスが関わる事件を最もよく知る人物だった。再会を果たす、クリスとレオン。アリアスの真の目的が“バイオテロ”だと掴んだ二人は、レベッカと共に、その策略を阻止し人々を救う為、彼を追いニューヨークへと向かうのであった。【作品情報】映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』公開日:2017年5月27日(土)エグゼクティブ・プロデューサー:清水崇 『呪怨』シリーズ監督:辻本貴則 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』脚本:深見真 『PSYCHO-PASS サイコパス』音楽:川井憲次 『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』原作監修:小林裕幸 『バイオハザード』シリーズ製作:マーザ・アニメーションプラネット(c) CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.
2016年12月18日モデル、女優として活躍する光宗薫が10月3日、話題のSF映画『チャッピー』のブルーレイ&DVD発売を記念し、ニコニコ生放送でオンエアされたスペシャル番組「オレたちのロボット映画ベスト10」に出演。収録を前に、同作の魅力やロボット映画への愛を語った。『第9地区』『エリジウム』のニール・ブロムカンプ監督が、犯罪都市となった2016年の南アフリカ・ヨハネスブルグを舞台に、治安維持のために製造された兵器用のAI搭載ロボット“チャッピー”が、自分を誘拐したギャングに育てられる過程で、自我と感情に目覚め、葛藤する姿を描くSFアクション。そんな同作について、「シリアスな『第9地区』に比べて、笑えるシーンもあって、女性でも入りやすい。ここまでロボットが生活に密着し、人間の教えや感情を吸収しながら、同化していく設定がとても新鮮」と光宗さん。メタリックな見た目に反して、感情豊かなキャラクター造形に「表情の動きはわずかなのに、感情描写がすごい。ちょっとした動きで、泣けちゃうんです」と目を細めていた。お気に入りのロボット映画は、ロビン・ウィリアムズさんが主演した『アンドリューNDR114』、スティーブン・スピルバーグ監督の『A.I.』だといい、「ロボット映画なら、ヒューマンドラマに寄った作品が好きですね」と“ロボット愛”を語った。取材には『アップルシード アルファ』『キャプテンハーロック』などを手がけた映像作家の荒牧伸志、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』で演出を手がけた辻本貴則が同席し、「80年代の日本のアニメを実写化したような作品で、悔しさとともに『見せてくれてありがとう』という気持ちがある」(荒牧氏)、「ロボット映画における発想の転換と進化を感じる」(辻本氏)と『チャッピー』の魅力を分析していた。『チャッピー』ブルーレイ&DVDは発売中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チャッピー 2015年5月23日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開(C) Chappie - Photos By STEPHANIE BLOMKAMP
2015年10月04日モデルで女優の光宗薫、アニメ監督の荒牧伸志、映画監督の辻本貴則が3日、都内で行われた、ニコニコ生放送のスペシャル番組『オレたちのロボット映画ベスト10』の出演した。同番組は、ニール・ブロムカンプ監督が手掛けたSFロボット映画『チャッピー』のブルーレイ&DVD発売を記念したもの。応援ゲストとして登場した光宗は、「『アンドリューNDR114』や『A.I.』など、ヒューマンよりの作品が好き。『チャッピー』は、生活に密着してる設定が新鮮で面白い」と作品の感想を語り、「ロボット映画は敷居が高いと思っている人にとって、見やすい作品だと思う。笑いもあるし、チャッピーの表情の変化だけで泣けます」と笑顔でアピールした。また、映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー』などを手掛ける辻本監督は、「チャッピーはロボコップと違い、人間みたいな動きをする。考え方が進化したんだなと思いました」とロボット映画の変化を感じた様子。一方、CGアニメーション映画『アップルシード』、『キャプテンハーロック』などを手掛けた荒牧監督は、「80年代アニメを実写で見せてくれてうれしいと同時に、面白いことをやられて悔しい気持ちもある。チャッピーが悪いヤツに育てられるというのが新しいですよね」と正直な気持ちを明かしていた。
2015年10月04日7月14日よりテレビ東京系で放送がスタートした特撮TVドラマ『ウルトラマンX』(毎週火曜日18時~18時30分)の第1話が、7月17日18時より円谷プロダクションのYouTube公式チャンネル「ウルトラチャンネル」にて、見逃し配信されることが明らかになった。『新ウルトラマン列伝』で放送される本作は、歴代41番目となる新ウルトラヒーロー・ウルトラマンエックス/大空大地とともに、特殊防衛チーム「Xio」の隊員たちが、巨大な怪獣や侵略宇宙人たちに立ち向かう戦いが描かれる。歴代ウルトラ怪獣が小さなフィギュアの姿になるという「スパークドールズ」の設定だけ受け継がれているものの、「サイバー怪獣」や「サイバーゴモラ」を身にまとった「ウルトラマンエックス ゴモラアーマー」などの新要素に加え、田口清隆監督、坂本浩一監督、辻本貴則監督、アベ ユーイチ監督、冨田卓監督という豪華製作陣が放送前から話題となっていた。そうして迎えた第1話の放送では、Twitterのトレンドの中に「ウルトラマンX」が並ぶなど、大反響をもって迎えられた。第1話を手がけたのは、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』『ウルトラマンギンガS』『ウルトラゾーン』『ネオ・ウルトラQ』などで知られる田口監督。怪獣愛に溢れたその特撮映像の数々を見せられたファンたちは、第1話直後からその喜びをTwitterやブログに残している。『ウルトラマンX』は、テレビ東京系『新ウルトラマン列伝』(毎週火曜日18時~18時30分)にて放送中。(C)円谷プロ
2015年07月16日7月14日より放送がスタートする特撮TVドラマ『ウルトラマンX』に登場する、ウルトラマンエックスの必殺技「ザナディウム光線」の設定が明らかになった。「ウルトラマン」シリーズでは、腕を十字に組んだ初代ウルトラマンの「スペシウム光線」が代表的だが、「ザナディウム光線」は、ウルトラマンエックスの名前の通り、両腕を胸の前で「X」字にクロスさせて発射される光線技。さらに、歴代のウルトラヒーローの技が怪獣を倒すことを目的とした必"殺"光線であったこととは大きく方向性を変え、敵をデータ化して人形のサイズに「圧縮」するという斬新な光線技として描かれているという。加えて、第1話に登場するシリーズ最初の相手、「熔鉄怪獣デマーガ」との対決の場面写真も公開。「デマーガ」を相手に、「ザナディウム光線」の初披露、そして人形のサイズに「圧縮」された怪獣の姿にも注目が集まる。本作は「つながる力」をテーマに、特殊防衛チーム「Xio」(ジオ)の隊員たちが、巨大な怪獣や侵略宇宙人たちに立ち向かう戦いが描かれる。主人公・大地のもつスマートフォン型通信機に、ウルトラマンエックスの体がデータ化して宿っているという斬新な設定や、データをリードすることで、エックスがその力を身につけることができる新メカ「サイバー怪獣」など、サイバー感満載の作品となっている。監督には田口清隆氏、坂本浩一氏、辻本貴則氏、アベ ユーイチ氏、冨田卓氏が名を連ね、ウルトラマンXに変身する主人公・大空大地には、NHK・Eテレの教育バラエティー番組『Rの法則』などに出演する若手俳優・高橋健介を抜てき。ほかにも、坂ノ上茜、細田善彦、松本享恭、月船さらら、神尾佑、原田隼人、百川晴香らが名を連ねる。(C)円谷プロ
2015年05月29日●"3"という数字はいつも根拠があると思っている。押井守監督といえば、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『機動警察パトレイバー the Movie』そして『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(以下、パト2)といった作品が真っ先に挙がるが、多数の実写映画も監督している。だがそれらは熱心な押井ファン以外にはあまり語られることがない。見る人を選ぶというか、趣味と思想に走り過ぎというか、とにかくその1本だけを見て監督の言わんとすることを読みとるのは難しい映画だ。押井監督の実写映画に対してファンが持つ期待感総量の約半分はこうした「わからなさ」の価値ではないだろうか。あの『パトレイバー』が実写化されると聞いた時も、そう思ったファンは少なくないだろう。しかしフタを開けてみれば、趣味と思想が随所に色濃く出ながらも、エンターテインメントとしてしっかり面白く、オールドファンへのサービスもあり、その上で"実写のパトレイバー世界"の魅力が見えてくるシリーズ作品となっていた。コメディ、アクション、特撮、ほろ苦い恋まで、特車ニ課という器にさまざまな味わいの作品が盛られたが、その最終話で我々は『パト2』の中心にいた人物たちの影を見ることになった。『パト2』と実写シリーズ、二つの線の重なりに押井監督は何を映しだしたのか。シリーズを締めくくる長編劇場版『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』公開を前に、お話を伺った。○シリーズ13本があってこそ描けるもの――今回はシリーズ全体の総監督を務められましたが、各話にはどのように関わっていらっしゃったのですか?演出家が何人かいる場合に上に立つ人間くらいに思われているかもしれないけど、もっと明快です。演出部と文芸部の人事権・決定権、仕上げ・音響に関する全ての権限、それと編集権。この作業に関する全ての権限を持つことを総監督制と言います。脚本の決定に関しては、誰に発注していつ上げるかも含めて全て総監督である僕が責任を持つ。3人の監督(※)も僕が選んだ。音楽に関しては川井(憲次)君と僕で全て決めました。カッティングに関しては最終的に僕が全部チェックして、それぞれの監督が編集した後で順番を入れ替えたり、カットすることもありました。ダビングも全て立ち会ってます。それと、第一話の監督は必ずやる。こういうものだと実際にやってみせ見せなきゃいけないから。(※シリーズ各話を担当した辻本貴則監督、湯浅弘章監督、田口清隆監督)頭の部分と締めの部分に関する全ての権限を持つのが総監督なんです。逆に言えば、中間の部分には介入しない。だから現場にも行くべきじゃない。今回の現場はその通りやらせてもらった。――各話の現場はそれぞれの監督にお任せだったんですね。途中の2話(※)と最終話も僕がやったけど、やらない方があの三人は喜んだと思う。一本でも多くやりたいのに、僕たちの出番が減るじゃないですかと。もっといえば、なぜ三人なのか、二人じゃいけなのかと。僕は二人では出来るわけはないと思ったから三人にした。四人だと多すぎて統一が取れなくなってしまう。(今回のシリーズ作品制作について)あの三人組に関して言えば、まあ、うまくいったかな。(※エピソード5『大怪獣現わる 前編』/エピソード6『大怪獣現わる 後編』)三人というのは微妙な数なんです。二人ならどちらが勝つか、どちらが前に出るかわかりやすい。三人は微妙に拮抗して、決着をつけなくて済む部分と、つけられない部分が両方出てくる。もっと言えば、一人が倒れても成立する数字。僕は3という数字はいつも根拠があると思っている。例えば『パト2』は、全部3が基準になっている映画なんだよね。三人だったり三機だったり、三カ所だったり。そういうところは、割といろいろ考えているんです。――今回の作品がシリーズ13本+長編1本という形になった理由は?最初から決まっていた。監督からすれば、シリーズを通してキャラクターを固定できて、お客さんがある程度中身を分かった上で(長編を)やるというのは、当然有利だから。最初に長編をやって後からシリーズをやるのは、アニメのパトレイバーがそうだったけど、通常はあり得ない。だから、ごく自然と決まった。●『首都決戦』がアニメだったとしても同じことをやった――シリーズ13本の積み重ねがあっての長編なんですね。もちろん。その方がはるかに作りやすいです。インフラができるから。道具や衣装というところ以外に、役者さんのインフラができる。自分の役をつかんだ上で映画に入れば、どんな違う部分を見せるか、という上乗せが効きます。○『パト2』と現在の"差分"――『パト2』は、東京で戦争を起こすことを徹底的に思考実験して組み上げたとのことでしたが、今回の『首都決戦』は現在の東京で再度それを行われたのでしょうか?いや、全然逆ですね。『パト2』の続編であって、リメイクでもリニューアルでもないんです。『パト2』で起きたクーデターの16年後の世界。その16年の間に何が変わったのか、どう変わったのか、何が変わっていないのか。16年経っても変えてはいけないものが果たしてあるのか。いわば"差分"です。最初から言っていますが、今回はその差分そのものを描くことがテーマ。ストーリーも変える必要がないんですよ。だからほとんど変わっていない。それに付き合っている人間たちが変わったんだという部分を中心に描いています。クーデターを起こすプロセスとか、展開のダイナミズムのようなものはやっていません。『パト2』ではそれを丹念に描いた。だから方向性は全く逆なんです。それはやはり16年経ってテーマが変わったから。同じようなシチュエーションで、アニメでやったことを映画で作り直したものでしかないわけ。(『首都決戦』が)アニメだったとしても同じことをやったと思う。繰り返すけど、何が変わっていないのか、何が変わったのか。変わっていいものと変わっていけないものは何なのか。それが全て。骨はそういうことです。後はみんな、映画としての"お肉"ですね。アクションだったり、キャラクターだったり。――『パト2』の続編として作ったのはなぜですか?最初からそう決めていたし、プロデューサーの要望でもあったので、利害が一致したんです。多分、(プロデューサーが)『パト2』を好きだったのかな。パトレイバーではいくつもアニメーションを作ったけど、どれが好きか10人に聞いたら6人は『パト2』と言うと思う。作った当時はコテンパンに言われたけどね。ただ、何年か経つとパトレイバーというと『パト2』になっちゃった。だから『パトレイバー』をちゃんと作ろうとした時に、全く(『パト2』と)無関係に違う事件を起こすか? と。特車ニ課は警備部だから、犯罪捜査はしないし、できない。犯人を逮捕する組織ではなくて、社会的な犯罪、テロと戦う組織なんですよ。その最大限のものがクーデターです。(『首都決戦』では)そういう意図はないけど、少なくとも国を根底から揺るがす、考えうる限り最大限の犯罪です。――『パト2』ではバックボーンとしてPKO協力法案の成立が描かれたり、毒ガスの飛行船が地下鉄サリン事件を思わせるなど、図らずも当時の時代を先読みしていた部分がありました。今回も昨今の無差別テロを思わせる描写が見られましたが、そうした時代性を取り入れることについてはどうお考えでしたか?それしか考える事はなかったよね……。今回はより一層テロの要素が前面に出ています。一番のポイントは"見えない"ということなんです。その象徴が見えない戦闘ヘリということ。テロの実態が見えない、もっと言えば動機すら分からない。つまり、"敵が見えない"んです。何となく察しがつくのは、もしかしたらあいつ遊んでいるんじゃないか、ということ。人の命どころか、自分の命も。そうだとして、無差別にミサイルや機関砲を撃ちまくることで遊び足りうるのかと。多分ね、足り得るんだよ。足り得る部分が"時代"なんだよ。日本でもしテロがあり得るとすれば、政治的な要求などではなくて、一人が勝手に戦争を始めることだと思うんですよ。すでに、現実に戦争をやっているヤツが出ている。通りがかりの人を刺しちゃったりね。それは言ってみれば彼らにとっての戦争なんだよ。戦争なんだから、動機なんて必要ない。●パトレイバーは20年連れ添った奥さんみたいなもの(『首都決戦』では)そういう怖さや不気味さがちょっと出ればいいなと思ったけど、基本的には痛快アクション映画というご要望だから、やりすぎない範囲の中で。実は物語としては、ぜんぜん決着ついていない。またやるかもしれないよ、きっと。死んでないんだもん。それ以前に、そもそも灰原って誰よそれ、と。誰でも灰原になりえる。それは、今日性みたいなことを言うのであれば、そこのところにちょっと込めただけ。やりすぎると、たぶん楽しくない映画になる。いやな気分にならない範囲で見せるために、ああいう女の子にしたわけ。――"見えない戦闘ヘリ"グレイゴーストとイングラムの対決は見せ場の一つでしたね。CG描写のクオリティはご覧になっていかがでしたか?かなりやれたと思うよ。がんばったと思うし、うまくいったと思う。自分としては都庁上空のコブラの空中戦や、F2(が見せ場)ですね。F2も地味だけど実は大変なことをやってるんです。あとは中盤の突入シーン。アクションとしては長いんですけどね。ただ、撮影で一番面白かったのは冒頭のシーン。お金も時間もかかったけど、けっこううまくいったと思う。具体的にしていないけど中東のどこかという設定。もちろん国内で撮影したんだけど、大変だった。スタッフが(笑)。ロケセットを組むのに一週間以上かかって、実際に撮影したのは5時間くらい。たった3、4時間の撮影をするのにけっこうな人数が泊まり込んで準備をして、しかも後片付けにまた3、4日かかっている。それが映画なんだよね。金がかかりすぎると反対もあったけど、今回の映画は外国から始めたかったから、どうしても必要だった。外国から日本に入ってくる、外側の目が欲しかったから。○シリーズなら多分無限にできる――シリーズのエピソード5/6をとても楽しんで作っていらしゃった印象でした。映画よりもシリーズの方が、いろいろなことをできる。いっぱい楽しみたいから「シリーズ」というのは魅力です。だから、どちらをやりたいかと言われたらけっこう悩むと思います。シリーズなら多分無限にできる。無限といったら嘘だけど、『CSI:科学捜査班』のようにシーズン12や13くらいはできると思う。……その前に飽きるかもしれないけど(笑)。――まだシリーズの続きを楽しみにしてもよいということでしょうか?それは、やれといわれれば僕はいつでもやります。この映画が大ヒットすることがあればプロデューサーや偉い人たちが考えるでしょう。その時にまた僕が監督として呼ばれるかどうかはまた別の話ですが。でもまあ、多分、いったん僕の中で終わったんです。もしやるとしてもまた頭から考え直すしかない。ただ、確かに映画を作るという仕事は、他の何にも増して楽しいことには違いない。ああやって時々は休みながら、映画を作って生きていけるのなら、言うことはないと思うよ。だからみんなやっているんだよね。生活苦と戦いながらでも。――監督にとってパトレイバーとはどういう作品ですか?一番長くやっている仕事。実写の映画までやるとは思っていなかったけど、なんだかんだで20年以上。数もやったし、お客さんも一番入って、そういう意味では一番お金ももらった。好きとか嫌いとかいう感覚はもうなくなっているね。自分の身体の一部のような感じで、違和感がないんだよ。特に愛情があるかというとそういうワケでもない。20年連れ添った奥さんみたいなもので、もちろん好きだけど愛しているかどうかというと微妙だよね……というと怒られるんだろうけど(笑)。そういう感情を超えてしまっている。だから20年経っても平気で作れるし、また20年後にも平気でできると思う。『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』は、2015年5月1日より新宿ピカデリー他全国の劇場で公開される。『パト2』からのファンにとっては、20年以上を経て意外な形で続編を目にする日がやってきた。劇場へ見に行く前に『パト2』をじっくり見直しておくとより楽しめるだろう。また、実写のキャラクターや特車ニ課の立場といった『首都決戦』の前提として、可能な限りシリーズ作品を見ておくことがおススメだ。(C)2015 HEADGEAR/「THE NEXT GENERATION –PATLABOR-」製作委員会
2015年04月30日