Cypress Semiconductorは2月9日(米国時間)、100Wの電力供給に対応するUSB Type-Cポートコントローラ「CYPD11XX CCG1」ファミリのサンプル出荷を開始したと発表した。USB Type-C標準は、コネクタプラグの高さが2.4mmと、既存のUSB Type-A標準コネクタの4.5mmからスリム化されているほか、プラグの方向と向きはリバーシブルで対応できる。また、USB信号をはじめPCIeやDisplayPort信号を1つのコネクタですべて伝送可能となっている。そして、最も注目を集めているのが、前世代の7.5Wから改善され、最大100Wで電源供給できる点である。これらの特徴により、PCメーカーからは、ケーブルや電源アダプタ、ノートPC、モニタなどの次世代製品がいち早く市場投入できるコントローラソリューションが求められていた。この状況を受けて発表された「CCG1」ファミリは、独自のPSoC 4プログラマブルSoCをベースに構築されている。「Type-Cのスペックが決定したのが2014年8月だった。その後、PSoCのプログラマビリティを利用することで、通信トランシーバの統合を数週間内のうちに実現し、他社に先駆けて12月には先行サンプル出荷を開始した」(日本サイプレス社長の吉沢仁氏)という。具体的には、同ファミリは最新のUSB Type-Cおよび電力供給(PD)標準に準拠する他、32ビットの48MHz ARM Cortex-M0プロセッサを搭載する。また、過電流保護(OCP)および過電圧保護(OVP)をサポートするType-Cトランシーバを2個を搭載している。さらに、製品の開発中や量産中、出荷後でもファームウェアの書き換えが可能となっている。同機能により、USB Type-Cおよび電源供給のコンプライアンステスト規格が2015年末まで完成しないが、今後の仕様変更にも柔軟に対応できるとしている。なお、パッケージは、ノートブック向けに40ピンQFN、電源アダプタ向けに16ピンSOICおよび28ピンSSOP、ケーブルおよびモバイルアプリケーション向けに35ピンWLCSPが用意されている。すでにサンプル出荷を開始しており、3月より量産出荷を開始する予定。搭載製品は今年中頃より登場するという。
2015年02月10日2016年4月から予定されている電力小売りの全面自由化に向け、“新電力会社”のエネットは2月9日、ニュースサイト「電気を選ぶ.JP」を開設した。このサイトでは、2016年4月に予定されている電力小売り全面自由化を見据えて電力自由化にまつわる疑問や不安などを様々な角度から解説していく。具体的には、「ところで、「電力自由化」って何ですか」、「電力自由化 Q&A!」といった電力自由化に関する基本を抑えた記事や、電力自由化の歴史、既に自由化が進む海外各国の今などの記事を随時更新していく。PC版とスマートフォン版のふたつが用意される。なお、同社は、NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが出資して2000年に設立した会社。現在、日本全国の2万件を超える顧客に対し新電力会社として電力を供給し、新電力の約50%のシェア第1位を誇る。
2015年02月09日Lattice Semiconductorは2月3日(米国時間)に、ウェアラブル機器などをターゲットにしたFPGAとして「iCE40 Ultraシリーズ」の省電力版「iCE40 Ultra Lite」を発表した。同社は昨年7月に、モバイルコンシューマ機器向けのFPGAとしてiCE40 Ultraファミリーを発表しているが、今回発表になったiCE40 Ultra Liteファミリーはその小規模・省電力版という位置づけになる。ターゲットとなるのは、従来のiCE40 Ultraファミリーがターゲットとしていた小型・省電力機器に加えて、最近急速に盛り上がりつつあるウェアラブル機器も視野に入れている(Photo01)。こうしたマーケットに向け、従来のiCE40 Ultraのさらに省電力版という位置づけにあるのが、iCE40 Ultra Liteという形になる(Photo02)。そのiCE40 Ultra Liteの詳細はこちら(Photo03)。プログラマブルはFPGAである以上当然なのだが、これに関しては「特にウェアラブルのマーケットでは、ASICなりASSPなりを使って数年掛けて作るというのは市場にそぐわず、半年位の開発期間で製品を立ち上げるケースが珍しくない」(同社エリアマネージャの菅原昭治氏)としており、こうしたニーズにはやはりFPGAが適しているという趣旨である。ここからは具体的な製品の違いである。まずiCE40 UltraとUltra Liteの比較である。端的に言えば、Ultra LiteはUltraと比較してLUTの数を半減させており、これにより消費電力そのものを下げることに成功している。またこれによりパッケージもより小さいものを提供できるようになっている(Photo04。次が「同等と思われる他社製品との比較」(Photo05)である。ここで競合製品として取り上げられているのはおそらくQuickLogicのArcticLink 3 S1と思われる。実のところArcticLink 3 S1はセンサハブ向けに特化した製品で、9軸センサ内蔵とかいうあたりは逆にiCE40 Ultra Liteよりも優れているので、微妙に目的が違うという気はするのだが、敢えて1000LE(Logic Element)規模のFPGA同士で比較すればこんな感じになるのだろう。ちなみにiCE40 Ultraの場合スタティック消費電流は71μAで、ここから半減させられたのはLUT数の半減などにより、物理的な回路規模を小さくしており、当然その分リークが少なくなるからということであり、製造プロセス(TSMC 40nm)とか内部回路に何か変更があるという話ではないとの事だった。もう1つ面白いのが、ハードIPの充実である(Photo06)。Photo05に24mA定電流シンク×3、100mA定電流シンク×1、400mA定電流シンク×1という記述があったかと思うが、この24mA定電流シンクはLEDの駆動用であり、これによりフルカラーLED×1を外部回路なしに駆動できる。100mAの定電流シンクはバーコードエミュレーション、400mA定電流シンクはIR LED駆動用ということで、こうした特定用途向けの周辺回路をハードIPの形で実装しておくことで、実装コストと部品コストの両方の節約になるという話であった。iCE40 Ultra Liteの製品ターゲットをまとめたのがPhoto07である。昨年10月にはシチズンのF100にiCE40が採用された話が紹介されたが、腕時計とか昨今ならSmartWatch系などの実装面積が限られる用途、あるいは低価格性が強く求められる用途向けということになるだろう。また開発を促進するため、定番アプリケーションをLatticeの方で用意しており、これを利用して迅速なアプリケーション開発も可能としている(Photo08)。さて、説明はこの程度であるが以下にもう少し補足を。Photo09がiCE40 UltraとiCE40 Ultra Liteのスペック一覧となっている。基本的にはLUT数が半減しており、これにあわせてBlock Memoryと、さらにDSPブロックを丸ごと省いてしまったのがiCE40 Ultra Liteという位置づけだ。これに関しては、Ultra LiteではDSPによる高速処理といった用途は狙わない(そうした用途のニーズは既存のiCE40 Ultraでカバーする)ということである。実際、スマートフォンに内蔵するなどの用途(これによる出荷量はiCE40ファミリーではかなり大きな比率の模様)ではDSPを使う場合もあるが、簡単なセンサハブ的な用途であればDSPが必要ない場合も多く、そうしたケースではむしろDSPを省いて消費電力とコストを節約したほうがメリットが多いという判断らしい。またセンサハブについても、昨今のセンサはインテリジェンス化が進んでおり、I2Cで直接接続というケースが多いのでI2Cは2系統残しており、逆にSPIの高速性が必要なニーズは少ないということでiCE40 Ultra LiteではSPIは落としたとの事。またConfigurationは内部のメモリからロード可能(このため、Power Onで直ぐに立ち上がり、また外部にConfiguration Memoryを用意する必要はない)だが、これはFlash MemoryではなくOTPとの事。実際のところまだ40nmプロセスではEmbedded Flashは現実的ではない(TSMCは2012年にルネサス エレクトロニクスと共同で40nmプロセス向けにEmbedded Flashを共同開発する事を発表しているが、まだ量産に載せられる状況にはなっていない)し、Embedded FlashはOTPよりも大きくなるから、コスト面で不利である。これについては、より大規模なFPGAであれば煩雑にFirmware Updateを掛けるといった事が考えられるが、iCE40 Ultra/Ultra Liteの規模ではそうした事は考えにくいと判断されることもあって、OTPで良いと判断しているそうだ。ちなみに開発段階ではOTPのShadowとなるSRAMがあり、ここにConfigurationを書き込んで起動する形で行い、開発が完了したらそのConfigurationをLatticeの方で書き込んで出荷する形になるという。OTPをユーザーが書き込むことも「不可能ではない」(推奨はしていない)そうで、理由は? というと「数百万個のFPGAをミスなくお客様が書き込む、というのは非常に大変だから」(菅原氏)だそうだ。ちなみにこのOTP Shadow SRAMそのものはアプリケーションエンジニアからは不可視になっているそうだ。パッケージもちょっと面白く、iCE40 Ultraでは36ballのWLCSPのみだが、iCE40 Ultra Liteでは16ballのWLCSPと36ball BGAの2種類で、この36ball BGAでは0.4mmピッチになっている。これは一部のお客様の中には、0.35mmピッチだと実装できない場合があったから、という事だそうだ。iCE40 Ultra Liteは現在はES段階であり、量産は今年4月からを予定している。開発環境は、現状のiCEcube2は未対応で、Control Packを追加することでサポート可能という状態だが、4月の量産のタイミングでは正式にサポート予定との事だった。また価格はHigh Volume(数百万個単位)では50セント未満で、これはiCE40 Ultraと変わらない。iCE40 Ultra Liteの場合、ダイコストはiCE40 Ultraの半分近いが、パッケージコストは大差ないので、潜在的にはiCE40 Ultraの1~2割減というあたりの価格は可能であろうが、むしろ省電力性の方がiCE40 Ultra Liteの武器になってゆくと思われる。
2015年02月05日東京電力は2月2日、多摩支店サービスエリアのスマートメーターが設置された約14万台(1月20日時点)の顧客に対し、スマートメーターシステムを活用したサービスの提供を順次開始すると発表した。同社はこれまで、東芝と「スマートメーター用通信システム」を、NTTデータと「スマートメーター運用管理システム」をそれぞれ共同で開発していた。具体的には、顧客が引っ越しなどの際に、スマートメーターの電力量(検針値)を遠隔で取得することにより、顧客の立ち会いなどの負担を軽減するとともに、停電の際、遠隔でスマートメーターの通電状況を確認することにより、復旧までの時間を短縮化する。今後、多摩支店サービスエリアにおけるサービスの提供状況を踏まえ、段階的にエリアを拡大し、7月からはサービスエリア全域においてサービスを提供する予定。
2015年02月03日ダイキンは1月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公開している小惑星探査機「はやぶさ」発の技術を応用した電力ピークカット制御技術を、ルームエアコンへ適用する技術検証を開始すると発表した。同技術は、「はやぶさ」が宇宙空間で限られた電力を有効利用するために開発された技術を基に、それぞれの機器が独立して並列にピーク電力を下げる制御法を、家電機器の消費電力ピークカット制御に応用するものである。家庭内の照明、冷蔵庫やエアコンなどの機器に優先順位をつけ、同時に消費電力を制御することができる。具体的には、すでにリモコンなどで使われている赤外線通信の技術を利用し、電力消費を抑えるための制御信号を一斉送信するシンプルなシステムで、高速なデマンドレスポンスの実現が可能である。また、大掛かりな追加投資をせずに短期間で効果を出すことができるため、通信インフラに課題がある新興国においても、使用電力量の低減や電力の安定供給が期待できるという。現在、JAXAでは航空宇宙分野における研究開発成果の民間転用を進めている。その一環として、同技術に関連する技術的仕様を公開し、多くの企業や団体に採用を促している。ダイキンは、この技術公開の取り組みに協力し、製品に適用するための検証を進めていくとしている。
2015年01月27日ダイキン工業は1月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「小惑星探査機『はやぶさ』発の技術を応用した電力ピークカット制御の技術」をルームエアコンへ適用する技術検証を開始した。電力需要が集中する時間帯の消費電力量を低く抑える効果が期待できる。JAXAは民生用家電機器への応用を促進することを目的として、「小惑星探査機『はやぶさ』発の技術を応用した電力ピークカット制御の技術」を1月13日に公開した。宇宙空間において「はやぶさ」が限られた電力を有効活用するための技術だ。家電機器に応用すれば、照明や冷蔵庫、エアコンなどの家電機器に優先順位を付けて、消費電力を制御できるようになる。このたびダイキン工業は、ルームエアコンのピークカットを目指して、同技術を適用する技術検証を開始した。すでにリモコンなどで採用されている赤外線通信の技術を利用したシンプルなシステムで、大掛かりな追加投資をせずに短期間で効果を出すことが可能だという。通信インフラに課題がある新興国などにおいても、使用電力量の低減や安定した電力供給が期待できる。また、1月28日から30日に東京ビッグサイトで開催される「新電力EXPO」において、同技術を搭載したルームエアコンのテストモデルを展示する。
2015年01月26日宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこのほど、小惑星探査機「はやぶさ」に端を発した電力制御技術を家電へ応用するための通信情報をオープンプラットフォームで公開した。「はやぶさ」では、イオンエンジンに一定の電力を供給する必要あり、搭載された計200個のヒーターのスイッチを、温度状況に合わせて切り替える必要があったため、電力のピークカット技術が採用された。このときの技術は、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)などと同様に、コンピューターが各機器の電力使用量を監視し、一度サーバーに情報を集積して、各機器に電力を割り振る方式だった。この方式では、1個体とサーバーが双方向通信するため、個体の数が増えると、制御に時間がかかってしまう。今回の技術では、各機器に優先順位を設定することにより、制御装置から各機器へ、使用できる電力の総量のみを通信し、それぞれの機器が優先順位に応じて使用する電力を自分の判断で変更する。双方向で通信する必要が無いため、従来の制御方式とは違い、個体数が増えても制御速度が落ちることはない。各機器が独立分散の並列処理をするため、制御系統に機器を新たに追加、もしくは途中で離脱させる場合にも対応できる。制御システムの構築には配電盤・家電に小さな機器を取り付けた上で、家電機器側に設けられる並列処理のための論理を導入するだけで済む。既存設備を活用できるため、導入コストを抑えることができる。今回公開されたオープンプラットフォームは、同報発信する情報の記述方法にあたるもので、同方式を利用したいという家電機器メーカーに対しては、JAXAから並列処理のための論理を無償で提供する。JAXA宇宙科学研究所の川口淳一郎 教授によれば、同技術は電車の電力制御や、携帯電話での情報処理などへも応用可能で、電力事業に関する新たなビジネスモデル創出の鍵となり得るとのこと。なお、同技術は1月28日~30日に東京ビッグサイトで開催される「新電力EXPO2015」でデモンストレーションが実施される予定となっている。
2015年01月21日Broadcomは1月9日、低消費電力の車載アプリケーション向けに最適化された6mm角の車載Ethernetチップ「BroadR-Reach BCM89811」を発表した。近年、Ethernetがコネクテッドカーで利用されている。独自の車載Ethernet技術「BroadR-Reach」は高度な安全性およびインフォテインメントアプリケーションにおいて必要とされる高帯域幅と、コネクテッドカーをサーバー攻撃の脅威から保護するのに必要な認証および暗号化機能の両方を提供する。すでに2014年型、2015年型「BMW X5」、2015年型「Jaguar Land Rover XJ」、2015年型「Volkswagen Passat」など幅広い車両で数多くの高度な機能を実現している。同製品は、「BroadR-Reach」技術に加え、自動車業界認定の低消費電力デザインで電力消費を最大30%削減する。これにより、車載Ethernetの用途をインフォテインメントやADAS(高度ドライバー支援システム)だけでなく、テレマティックス、シャークフィンアンテナ、計装クラスタ、ヘッドユニット、センタースタックモジュールなどのアプリケーションにまで拡大できる。さらに、統合型の内蔵レギュレータがオンチップで電力を供給し、外部レギュレータを不要にした他、車載向け仕様を上回るノイズキャンセリングおよび伝送ジッタ性能を備えている。加えて、シールドなしシングルツイストペアケーブルで100Mbpsを実現しており、接続性コストを最大80%、ケーブル重量を30%削減できる。なお、サンプル出荷がすでに開始されている。
2015年01月13日東芝は12月18日、鉄道車両の減速時に発生する回生電力を貯蔵し、加速時に放電することで回生電力を有効活用できる回生電力貯蔵装置を東武鉄道に納入したと発表した。同装置は12月22日から稼働する予定。今回納入された装置は、東武アーバンパークラインの運河駅構内に設置され、高い安全性、広いSOCレンジ、低温動作といった特徴を持つ同社のリチウムイオン二次電池「SCiB」を採用している。また、一般的な回生電力貯蔵装置に比べて約10倍のバッテリー容量であるとともに、「SCiB」の広いSOCレンジの特性を生かした独自の充放電制御技術の採用により効率的な充放電を実現する。東武アーバンパークラインは、2013年度から電力回生ブレーキを搭載した省エネ車両(回生車両)である新型車両60000系などの運転を開始し、2014年度末には同線を運行する車両の過半数が回生車両となるという。
2014年12月19日IDTは12月18日、フィールドプログラマブル低電力クロックジェネレータ「VersaClock 5」ファミリに6品種を追加したと発表した。同社の多出力タイミングソリューションは、高い設計の柔軟性によってシステムのコンポーネントを集約できるため、低電力とコスト重視の民生向け用途や低ジッタの通信向け用途に理想的である。「VersaClock 5」ファミリの従来製品「5P49V5901」は、350MHzまでの4つの独立したプログラム可能な周波数を生成できる4組のユニバーサル出力ペアを備えている。また、プログラム可能な出力の種類はLVPECL、LVDS、HCSL、LVCMOSの4つであり、消費電流30mAで、わずか0.7ピコ秒のRMS位相ジッタという業界トップクラスのジッタ性能を有する。今回の新製品はユニバーサル出力の他に、出力がLVCMOSのみのバージョンも提供される。いずれも、同じジッタ性能と消費電流で350MHzまでのどのような出力周波数も生成できる。このうち、「5P49V5913/4」の2品種はそれぞれ2つと3つのユニバーサル出力に加えてリファレンス出力を持つため、必要な機能をコストを踏まえてシステムに搭載できる。「5P49V592/5/7/9」の4品種はそれぞれ3、5、7、9つのLVCMOS出力を備え、複数のLVCMOS水晶発振器を低コスト、低電力のシングルデバイスソリューションに置き換えることで基板面積と費用を節約できる。なお、6品種はすでに出荷が開始されている。価格は1000個出荷時で1.0~4.5ドル。
2014年12月18日IDC Japanは12月3日、国内データセンターの電力消費の予測を発表した。これによると2013年から2018年にかけての5年間で年間消費電力量は減少するが、事業者データセンターでは消費電力量が増加する見込み。同社によると、2013年の国内データセンターにおける年間消費電力量は、122億5,000万キロワット時で、2013年に国内大手電力会社10社が販売した年間総電力量の約1.4%に相当するという。2018年の年間消費電力量の予測値は117億キロワット時で、2013年から年間平均変化率マイナス0.9%で減少すると予測されている。減少の要因としては、データセンター内に設置されるサーバ台数が減少すること、サーバ自体の省電力性能が向上することが挙げられている。クラウドサービスやシステムアウトソーシングの拠点となる「事業者データセンター」の年間消費電力量は2013年から2018年にかけて増加する見込みである一方、企業内データセンターでは減少傾向となると、同社では見ている。その理由として、クラウドサービスとアウトソーシングの利用が拡大しており、企業のサーバが企業内データセンターから事業者データセンターへ移設される傾向が強まっていることが指摘されている。なお、国内では電気料金は値上がり傾向にあるため、今回の調査で明らかになった消費電力量の減少率(年平均0.9%)を考慮しても、データセンターで消費する電力のコストは増加する可能性が高いという。ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「「IT機器の省電力性能の向上のほか、データセンター内のレイアウトや運用方法を工夫することで、さらなる省電力が可能。今後は、データセンターの省電力コンサルティングや運用管理手法の革新が重要になる」とコメントしている。
2014年12月03日NXP Semiconductorsは、「常時ON」センサの信号処理を低消費電力で実現することを可能とするマイコン「LPC54100シリーズ」を発表した。同シリーズは、センサ・リスニング時に必要な電流を3μAに抑えているほか、非対称デュアルコア・アーキテクチャを採用することで、スケーラブルなアクティブ消費電力/性能の最適化を実現することが可能となっている。このため、競合製品に対し平均消費電力を20%低減することが可能だという。また、センサ・データの収集や蓄積、外部との通信には55μA/MHz Cortex-M0+コアを用い、高度な数値演算を伴うアルゴリズム(モーション・センサ・フュージョンなど)ではCortex-M4Fコア(100μA/MHz)を使用することで処理時間を短縮することから、全体的な消費電力の節減が可能となっている。さらに、電力効率向上のためにゼロから開発したアナログ/デジタル・インタフェースを採用しており、センサ信号処理ではクラス最小の消費電力を実現しているほか、全電圧範囲(1.62V~3.6V)でフルスペック性能の実現を可能にする12ビット、4.8MspsのA/Dコンバータ(ADC)や低消費電力のシリアル・インタフェースなども含まれているという。なお同シリーズは3.2mm角のWLCSP49と10mm角のLQFP64パッケージで2015年第1四半期から出荷開始予定で、単価は1万個で1.99ドルからとなっている。
2014年11月13日Microchip Technologyは11月6日、単相スマートメータおよび電力監視向けに高精度、高集積電力計測アナログフロントエンド(AFE)「MCP3919/3912」2品種を発表した。電力計測インフラは世界各地で刷新が進んでおり、最新世代のスマートメータ開発では、より高い精度と多機能化を備えたAFEが求められている。また、サーバ用電源および分配器(PDU)、電子式サーキットブレーカ、スマート電源タップ、そして産業、商業およびコンシューマ市場向けのその他のデータ収集製品などで用いる先進の電力監視システムの設計でもこのような高機能、高性能AFEが求められている。同社のAFEは、高精度、高集積度、単相電力計測に最適な内蔵回路数でアプリケーションの性能を向上させるのに加え、AFEの精度が電力メータの校正を容易にし、生産コストが削減できるという。具体的には、24ビットΔΣ型A/Dコンバータ(ADC)を「MCP3919/3912」でそれぞれ3回路と4回路内蔵している。これらのADCは、業界最高クラスの精度の93.5dB SINAD、-107dB THD、112dB SFDRを達成し、高精度な信号収集と高性能な電力監視用最終製品を実現する。また、中性線監視付きの単相電力メータ(3回路必要)、単相3線式電力メータ(4回路必要)に最適な内蔵回路数となっている。さらに、低ドリフトの参照電圧源、プログラマブルゲインアンプ、位相遅延補償、巡回冗長検査(CRC)なども内蔵している。なお、パッケージは、28ピンQFNおよびSSOP。2品種ともすでにサンプル出荷、および5000個単位の量産出荷を開始している。この他、「MCP3912」の評価用ボード「ADM00499」と「MCP3919」の評価用ボード「ADM00573」も合わせて発表している。
2014年11月07日IDTは11月6日、消費電力を最小化すると同時に、LTEとTDDのシステムで歪みを減らすRFミキサ「IDT F1178」を発表した。同製品は、デュアルミキサ「Zero-Distortion」ファミリの製品であり、5Vの単一電源で動作するよう設計された高性能RF-IFミキサである。競合する製品と比べてIP3Oを最大で8dB改善し、消費電力を最大で30%削減している。また、RF帯域幅が3300~3800MHzのレシーバで動作するよう最適化されており、基地局の無線カード、リピータ、分散アンテナシステム、マイクロ波バックホール機器に最適なチップとなっている。そして、消費電力が低いことによって、無線カードでのヒートシンク要件を緩和でき、IP3が極めて高いためフロントエンドのゲインを高くすることが可能。さらに、LOインピーダンスが一定で電源投入後に素早く整定する。これにより、TDD Rxスロット間のミキサーをパワーダウンでき、さらに消費電力を削減できるという。なお、特定の顧客向けに現在サンプル出荷中。
2014年11月07日Maxim Integrated Productsは10月29日(現地時間)、世界の電力会社の規格に適合する1つの共通コアを使用して電力メータを設計し、開発期間を短縮できるメータ用SoC「ZON」ファミリを発表した。電力メータの規格は世界各国で異なり、電力会社は顧客と地域のニーズに応じてさまざまなタイプのメータを求めている。このため、メータ会社は電力会社の要件が変化したとき、柔軟かつ迅速に対応する必要がある。また、現在のメータ用IC設計においては、同一チップ上で各種のメモリ容量を提供することによって柔軟性を持たせているが、メモリサイズの変更のみであり、電力会社の規格およびモデルの進化に合わせてメータを最適化させることができないため、ファミリソリューションと呼ぶことはできない状況にあった。今回発表の「ZON」ファミリは、メータ会社が同じファームウェアを採用する1つのプラットフォームを用いて機能を最適化し、まったく異なる顧客ニーズに対応することができる汎用的なソリューションとなっている。具体的には、あらゆる構成に対応するため、単相(1相)用の「M」と多相(3相)用の「P」の2つの製品シリーズがラインナップされており、ローエンド、ミッドレンジ、およびハイエンドのメータ用に調整されたオプションを備えている。さらに、両シリーズは同じ高精度32ビット計算エンジンを、メータのアプリケーションマイコンとは別に搭載している。これにより、システムコアの作業負荷が軽減される他、ユーザーがデバイス間でアプリケーションコードを移植することが可能なため、高度なIPの再利用が促進されるという。なお、「M1/M1L」、「M3」、および「P3/P3L」製品は、同社のWebサイトおよび一部の販売代理店で提供中。今後、さらに多くの製品の発売が予定されているという。また、リファレンスデザイン、評価キット、および検証されたDLMSソフトウェアスタックも利用可能となっている。
2014年10月31日日立製作所は10月21日、冷却性能に優れた両面冷却パワーモジュールを用い、さまざまな電力変換器に適用可能なモジュラー型電力変換ユニットを開発したと発表した。従来の片面冷却パワーモジュールでは、下面のベースプレートのみから放熱するのに対し、両面冷却パワーモジュールでは両側面から放熱するため、従来とは異なる冷却システムを新たに開発する必要があった。開発したモジュラー型電力変換ユニットでは、両面冷却パワーモジュールの両放熱面に、熱伝達性に優れたヒートパイプを配置する独自の空冷システムを採用した。ヒートパイプの実装位置や空冷フィンの形状、厚さを熱解析により最適化することで、冷却効率を従来比で20%高め、さらに空冷フィンの体積を従来に比べ50%削減したという。また、電力変換ユニットの小型化と保守を簡易にするため、ユニット自体の幅を縮小するとともに、ユニット自体をスライドさせて、電力変換器の前面から抜き差しすることが可能な薄型ユニットが必要だった。そのため、複数の両面冷却パワーモジュールとコンデンサを直線上に配置したが、その配置により、熱に弱いコンデンサがパワーモジュールからの熱の影響を受けること、またコンデンサから距離の近いパワーモジュールに電流が偏って流れやすくなることが課題だった。これに対し、今回開発したモジュラー型電力変換ユニットでは下面からの風で冷却されるが、コンデンサをユニットの底部に配置することで冷却効率を高めるとともに、電磁界解析により、配線の幅と形状を最適化することで、複数のパワーモジュールへの電流を均等にする配線実装技術を開発した。これらの技術により、幅が5cm、体積が従来よりも55%削減した小型モジュラー型電力変換ユニットが実現したという。開発したモジュラー型電力変換ユニットは、従来器よりも小型で保守性に優れた次世代無停電電源装置(UPS)に導入される。UPSは、インバータとコンバータに加え、蓄電池からの電力を変換するチョッパ回路で構成されている。それぞれが持つ機能は、同一のモジュラー型電力変換ユニットを複数接続することで実現できる。さらに、容量アップが必要な場合は、必要な数のモジュラー型電力変換ユニットを並列接続することで対応が可能である。日立は、今後、ビル内に設置されるデータセンタや、銀行、病院などの公共性の高いシステム向けに、容量100kVA~300kVAの次世代UPSをシリーズ展開していく予定。
2014年10月22日米ゼネラル・エレクトリック(GE)はこのほど、米大手電力会社Exelonからコンバインドサイクル発電プロジェクトに利用する、Hクラスのガスタービンを受注したと発表した。GEがExelonに供給するのは4基の7HAガスタービンで、世界最大かつ最高クラスの効率の60Hz用。スチームタービンと発電機を組み合わせて使用することで、合計2000MWの発電量を追加することができるという。このガスタービンを利用するコンバインドサイクル発電所は、米・ダラス近郊とヒューストン近郊のExelonの敷地に建設予定で、機器の出荷は2016年、発電所の稼働は2017年を予定している。GEは7HAガスタービン4基に加えて、D600スチームタービン2基、発電機6基および長期保守契約を受注しており、受注総額は5億ドルを超えるとのこと。HAガスタービンはこれまで日本を含めた4カ国で受注していたが、米国内では今回が初となった。
2014年10月15日政府は14日、物価問題に関する関係閣僚会議を開催し、北海道電力が申請した電気料金の再値上げ幅を圧縮して了承した。これを踏まえ、経済産業省は北海道電力に対し、家庭用向け電気料金の値上げ幅を当初申請していた平均17.03%から平均15.33%に修正するよう指示した。北海道電力の電気料金値上げ申請については、外部有識者で構成された委員会において、2014年8月7日以降、計5回にわたって審査を実施。また、同委員会での検討と並行して、9月11日に公聴会を開催し、インターネットを通じた「国民の声」の募集も行った。9月29日に委員会としての査定方針案が取りまとめられて以降、消費者庁との協議を経て、14日午前、物価問題に関する関係閣僚会議にて、「北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針」が了承された。東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、大手電力会社の中で再値上げを行うのは北海道電力が初めて。再値上げは2014年11月1日からの実施を予定している。なお、2015年3月までは冬季の電気料金負担を抑える激変緩和措置を設け、値上げ幅は平均12.43%に抑える。企業向け(自由化部門)料金の値上げ幅についても、当初は平均22.61%とする予定だったが、2015年3月まで激変緩和措置として平均16.48%にとどめた上で、2015年4月以降は平均20.32%に圧縮して値上げする。
2014年10月15日丸紅は10月10日、ミャンマーにおいて環境負荷が低く、エネルギー効率の高い発電技術を前提とした石炭火力発電事業の検討を始めることでミャンマー電力省と合意し、10月9日に同事業の開発に係る覚書を締結したと発表した。同プロジェクトは、ミャンマー南部のタニンタリー管区メイ地区に、最先端の技術を採用した環境負荷の低い石炭火力発電所(1800~2000MW)を建設し、タイ中部バンサパン地区まで送電線を施設し、ミャンマー国内および隣国のタイに向けて安定的に電力供給を行うこと目指すというもの。同社は今後、タイのGlobal Power Synergy CompanyとEGATInternational、およびミャンマー・タイの現地企業とコンソーシアムを組み、事業性の検討を行っていく。ミャンマーは昨今の経済成長に伴い電力需要が急増しており、安定的に電力供給を行うことが喫緊の課題となっている。また、隣国のタイにおいても、継続的な経済成長により今後も電力需要の増加が予想される。同社は、「ミャンマーでの大型発電事業分野へ参入することで、同国の電力安定供給に貢献できるものと考えている。また、石炭火力発電において環境負荷が低くエネルギー効率の高い超々臨界圧技術などの導入を図ることで、周辺住民の皆様にも安心して頂ける発電事業の実現を目指す」とコメントしている。
2014年10月10日Texas Instruments(TI)は10月8日、FRAMやLCDコントローラを搭載した低消費電力マイコン「MSP430FR4x/FR2x」ファミリとFRAMの利点を小さいメモリ容量で提供し、迅速な試作に役立つ、低価格のローンチパッド「MSP-EXP430FR4133」を発表した。「MSP430FR4x/FR2x」ファミリは、16KBのFRAMを搭載し、コードの互換性を提供する同社のFRAM製品ラインアップを拡張したもので、16KB~128KBのスケーラブルなメモリ容量オプションを提供する。さらに、最大60本のGPIOピンが、設計の簡略化、システムの複雑さの緩和、基板実装面積の縮小を実現する。そして、126µA/MHz(代表値)の消費電流とLCDに通電したままで1µA未満のスタンバイ時電流を提供する。この他、2本のタイマ、10ビットA/Dコンバータ(ADC)、RTCカウンタ、SPIやI2Cの各通信インタフェースを統合しており、システムコストの削減、および製品サイズの縮小が図れる。また、「MSP430FR4133」を搭載したローンチパッド「MSP-EXP430FR4133」では、FRAMやEnergyTraceテクノロジー、LCDコントローラの迅速かつ簡単な評価が可能となっている。なお、「MSP430FR4x/FR2x」はパッケージが48ピン~64ピン、LQFPもしくはTSSOPから選択できる。価格は1000個受注時で1.65ドルの予定。現在、サンプル供給中で、量産出荷は11月より開始される。また、「MSP-EXP430FR4133」は13.99ドルで販売されている。
2014年10月09日東京電力と中部電力は10月7日、火力発電と燃料調達の強化に向けた包括的アライアンスの基本合意書を締結したと発表した。今後、2014年度下半期に向けて最終契約書の締結と合弁会社の設立を目指して協議を進めていく。合弁会社への出資比率は50:50で、約3500万t~4000万tという世界最大級の調達規模となる見込み。調達規模を拡大することで、収益を増やしつつ燃料調達力をさらに強化していく。さらに、経年火力発電所を最新の高効率発電へとリプレースし、熱効率の大幅な向上と安価な電力供給の実現を目指すとともに、燃料費が低い石炭火力発電時業を拡大していくという。両社は今回のアライアンスについて「国際競争力あるエネルギーの安定的な供給は日本のエネルギー事業者の使命であり、世界的な資源獲得競争が激化する中で日本のエネルギー事業者が当該使命を遂行するためには、世界で戦うグローバルなエネルギー企業の創出が不可欠な環境にある」とコメントしている。
2014年10月08日ARMとCadenceは、TSMCの超低消費電力テクノロジープラットフォームを利用するIoTとウェアラブル機器に関して協力を強化すると発表した。この協力関係により、新しいTSMCのプロセステクノロジー、55ULP、40ULP、28ULP向けに、ARM Cortexプロセッサ、ARM CoreLinkシステムIP、ARM Artisan物理IPと、RF/アナログ/ミックスシグナルIP、およびエンベデッドフラッシュをVirtuoso-VDI Mixed-Signal Open Accessフローで統合するためのリファレンスデザインや物理設計のノウハウが提供されるようになる。また、この協力関係は、Cadenceのデジタル、ミックスシグナル、検証のフローとそれを補完するIP、さらにARM Cortex-A processorsやARM POP IPにより、TSMCの40/28nmプロセス向けに、性能、電力、面積(PPA)を最適化するための既存の複数年におよぶプログラムを拡充するものである。さらに、両社はTSMCの65/55nm以上のジオメトリーノード向けに、ミックスシグナルSoCで使用されるCortex-Mプロセッサ関連のソリューションの継続的な最適化を実施している。なお、TSMC 40LP向けの共同Cortex-M7リファレンスメソドロジーは、この協力関係の最新の成果であるとしている。
2014年10月08日Texas Instruments(TI)は10月2日、消費電力が25~160MSPSでピン互換の産業機器向けA/Dコンバータ(ADC)「ADC3k」ファミリを発表した。同ファミリは、サンプリングレートが最大160MSPSで、12/14ビット、2/4チャネル、インタフェースがJESD204B/LVDSの製品で構成されている。-40℃~85℃の産業用周囲温度範囲に対応しており、モータ制御、医療用画像処理、ポータブル試験/計測機器などの産業機器の他、ソフトウェア無線やMIMO通信などの防衛、通信機器に最適という。具体的には、サンプリングレートが最速の160MSPS時にチャネルあたりの消費電力を競合製品に比べて80mW低い200mWに低減しており、電力対性能比を30%向上させている他、25MSPS時のチャネルあたりの消費電力は44mWとなっている。さらに、幅広いピン互換製品で構成されており、サンプリングレートやチャネル数に関する多様なシステム要件に対応できる。また、4チャネル内蔵で160MSPS製品の場合、既存製品と比較してサイズを半減している。そして、JESD204Bインタフェース搭載製品は、サンプリングレートが最大3.2Gbpsで、サブクラス0、1、2に準拠。最大160MSPSのADCの1出力あたり1レーンをサポートし、最大80MSPSの時にはADCの2出力あたり1レーンをサポートする。この他、オプションのディザ機能やチョッパ機能により、SFDR(スプリアスフリーダイナミックレンジ)の向上や、1/fノイズの除去が可能なことから、システム要件に対応した製品性能の最適化が実現する。なお、パッケージは、4チャネル内蔵のLVDSバージョン製品が8mm角のQFN、その他すべての製品は7mm角のQFNで供給される。また、同ファミリは、2015年末までに製品数が32に増える予定。
2014年10月03日東芝は9月29日、エチオピア電力公社と、地熱発電分野における包括的な協業に合意し、覚書を締結したと発表した。エチオピア電力公社は、地熱資源の開発から発電所の建設に至るまでの事業を担っている同国の国営電力会社。今回の合意に基づき、両社は、エチオピアにおける地熱発電事業や人材育成を共同で進めていくことになる。エチオピアは、6000MW相当という豊富な地熱資源量を有する一方、既設の発電設備の90%以上が水力発電でまかなわれており、地熱発電は開発途上にある。建国50年に当たる2037年までに既存の2268MWの発電設備容量を3万7000MWまで急増させる計画をもち、そのなかでも地熱エネルギーの開発は大きな役割を担うことが期待される。東芝は「これまで培ってきたノウハウを活かし、主要機器の開発・供給 並びに運転・管理に関するガイドラインの作成や人材育成の協力などを通し、エチオピアにおける地熱発電事業に貢献していく」とコメントしており、今後も世界各地で地熱発電だけでなく、風力発電、水力発電、太陽光発電など多様な再生可能エネルギーの安定供給に取り組んでいくという。
2014年09月29日ON Semiconductorは、電力変換を専門とする米Transphormと、産業機器、コンピューティング、テレコムおよびネットワーキング分野におけるさまざまな高電圧アプリケーションに向けた、GaNベースの製品および電力システム・ソリューションの開発・マーケティングを共同で行っていくことを発表した。同戦略的パートナーシップは、両社独自の強みを活用しようというもので、Transphormの600V GaNデバイス技術とON Semiconductorの高効率電力ソリューションを組み合わせることで、設計者がこれまで実現できなかった効率と電力密度レベルを可能とする、信頼性の高い、適格なソリューションを実現できるようになるという。具体的には、600 V GaNトランジスタをベースとした共同開発ソリューションの第1弾を、2014年末までに、サンプル出荷する計画だとしており、テレコムおよびサーバ市場の小型電源およびアダプタ向けに200Wから1000Wの電力範囲の高電力密度アプリケーションに対応する予定だという。
2014年09月26日東京電力は4月2日、次世代電力計(スマートメーター)の通信機能に関する技術検証を目的に、4月より東京都小平市の一部地域において、1000台程度のスマートメーターを設置することを発表した。検証期間は2014年4月~6月までの3カ月間で、実フィールドにおける携帯電話方式の通信状況および計量器取替工事の作業性などに関する検証が行われる。同社では今後、2014年7月から東京都全域、2014年度後半からは同社のサービスエリア全域において、従来計器の検定有効期間満了時の定期的な取替のほか、新築などにおける新たな電気の使用申込みにあわせて本格的にスマートメーターの設置を行っていく予定としており、2014年度で約190万台の設置を見込むとするほか、2020年度までに同社サービスエリアすべての計器をスマートメーターとする計画としている。またこれに合わせて、2015年7月より、スマートメーターを活用した各種サービス(遠隔での検針やアンペア容量変更、より詳細な電力使用量の見える化、当該データを用いた新たなサービスの提供など)を提供していく予定とも説明している。
2014年04月02日四国地方4県(香川県、徳島県、高知県、愛媛県)を営業区域とする四国電力は、11月29日に行われた定例会見で、電気料金値上げの検討に踏み切ることを明らかにした。同社では、今年1月13日から、同社唯一の原子力発電所である伊方発電所を全面停止しており、それに伴う火力発電所の燃料費の増大で収益が悪化。昨年度に続き今中間期も赤字となった。現在、費用・投資合計で約250億円を目標としてコスト削減に取り組んでおり、10月には「経営効率化特別委員会」を設置している。一方で、発電所停止に伴う需給関連費の増加は、1日当たり4億から5億円、通年では1000億円以上になることが見込まれており、効率化の取り組みだけで収支の改善を図ることは困難な状況だという。同社では今後、値上げする場合の時期・幅などについて、具体的な検討に入り、原価算定にあたっては、社内の計画を総点検し、さまざまな費目について効率化施策を織りこんでいくと述べている。なお、人件費に関しては、すでに夏季の賞与を一般社員は昨年比7%、管理職は8%から12%それぞれ減額。さらにこの冬は、管理職の賞与を15%から23%マイナスし、現在2割カットしている役員報酬についても、さらに切り込む予定とのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月03日6日、空調総合メーカーのダイキン工業は、「エアコンの節電対策実証試験」でエアコンの消費電力を15%カットする方法を、新宿にて発表した。同社が主婦100名を対象に行った調査によると、昨年に引き続き各家庭の節電意識は高いという。東京では「昨年の夏以上に節電をする」という家庭が85.4%、大阪では90.9%と多く、それぞれ28.29%、25.10%の使用電力の削減を目指していることがわかった。また、節電対象は75.5%の家庭が「リビング・ダイニング」と回答。家族が集まる場所であるため、消費電力量の高いエアコンを長時間稼働させなければならないことが背景にあるようだ。具体的に各家庭で行われているエアコンの節電方法は、「使用時間を短くする」、「設定温度を高めにする」などがトップに。しかし、こうした方法は「暑さを我慢しすぎて体調を崩す」といったトラブルを巻き起こしたり、また「高齢者や小さな子どもがいるので、そもそもエアコンの使用を控えることができなかった」といった問題があるという。そこで、ダイキン工業では、涼しさを保ちながら無理なく節電する方法を提案。今回は三軒の家庭協力のもと、「フィルター掃除」、「室外機対策」、「日射遮蔽」、「2℃高め」の4つの節電対策によって、どれほど消費電力を抑えることができるか、10日間の実験を行った。■フィルターをこまめに掃除して風量アップ同社が提案する一つ目の節電対策は、エアコンフィルターの掃除である。2週間に一度掃除するだけで約5%の消費電力量の削減につながるという。また、フィルターに付着したホコリなどがなくなるため、風量も1.5倍に。■室外機の周りにはモノを置いてはいけない二つ目の節電対策は、室外機の周りにモノをおかないこと。室外機は部屋の中の熱を外に出す働きをするため、この周りにモノがあると効率よく熱を排出できないばかりか、熱が部屋の中に逆流してしまうため、注意が必要だという。■カーテン、遮熱フィルムで部屋を涼しく!また、カーテンで日差しを遮ることも、部屋の温度を涼しく保つためには有効であるという。室内の明るさを保ちたい場合は、外が透けて見える遮熱フィルムも効果的で、そのほか”よしず”を立て掛けたり、ゴーヤをベランダで育て、葉っぱで日差しを遮ったりするのもオススメだ。■エアコンの設定温度は28℃にまた、涼しさと節電を両立させるためにエアコンの設定温度を28℃にすることが推奨されている。エアコンの設定温度は、1℃上げる度に消費電力を約10%削減することが可能。ただし、体調を崩している時は熱中症になる可能性があるため、無理せずに設定温度を下げることが望ましいという。今回ダイキン工業が行った節電実験の結果、エアコンを10時から16時までの6時間稼動させた場合の一日の消費電力量を、2.6kwhから2.2kwhへ約15%削減することに成功したという。今年の夏、暑さを我慢しない節電方法を試してみてはいかがだろうか。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月12日大阪証券取引所は15日、東京電力の株式(市場第一部、9501)を監理銘柄(確認中)に指定すると発表した。指定期間は、2012年5月16日から上場廃止基準に該当するかどうかを認定した日まで。指定理由は、上場廃止申請が行われたためとなっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日三菱自動車はこのほど、電気自動車「i-MiEV」(アイ・ミーブ)および「MINICAB-MiEV」(ミニキャブ・ミーブ)用のディーラーオプションとして、大電力の出力が可能な「MiEV power BOX」(ミーブ パワーボックス)を新設定し、4月27日に発売すると発表した。価格は14万9,800円。MiEV power BOXは、外出先や非常時における各種家電製品等への電力供給を想定した装置。i-MiEVやMINICAB-MiEVの急速充電コネクターに接続して、大容量の駆動用バッテリーに蓄えられた電力の一部を、交流(AC)100Vで最大1,500Wまで取り出すことができる。駆動用バッテリー16.0kWh仕様車(満充電)に接続して1,500Wで連続使用した場合、約5~6時間の使用が可能で、これは一般家庭約1日分の電力消費量に相当するとのこと。同社は、大規模災害等の非常時の電源供給を目的として、電気自動車(EV)の大容量バッテリーの蓄電能力が注目されていることを受け、環境問題への対応に加えて、エネルギー需給逼迫への対応という観点からも、電気自動車関連技術の研究・開発を進めていくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月12日