2020年の東京オリンピック開催が決まってから1年以上がたち、官民あげてのインバウンド対応、つまり訪日外国人受け入れのための対応策が着々と進んでいる。そうした中、セブン銀行では、すでに2007年から、海外発行カードが使えるATMを全国に設置してきた。今回は、海外発行カードを使えるようにした理由や、そのサービスの詳細について、同社営業推進部 副部長の伊藤浩太郎氏にインタビューした内容を紹介したい。○「いつでも、どこでも、誰でも、安心して使える」という理念――訪日外国人が日本に来て最も困ることの一つに、国内に設置されているATMの多くが海外で発行されたクレジットカードやキャッシュカードが使えないということがあるのですが、セブン銀行のATMでは海外発行カードが使えるわけですよね。観光庁の担当者の方も、御社のATMで海外発行カードが使えることに関し、「素晴らしい取組み」と話していましたが、セブン銀行ATMで海外発行カードが使えるようになったのはいつからでしょうか?2007年です。全国のATMでの海外発行カード対応開始と同時に、海外発行カードが使われる頻度が最も高いと予想された成田空港に当社のATMを設置しました。セブン&アイホールディングスの店舗以外に当社のATMを設置したのは、成田空港が最初になります。――そもそも2007年に海外発行カードを使えるようにしたのは、何かきっかけはあったのですか?当社は創業以来、「いつでも、どこでも、誰でも、安心して使えるATMサービス」としてサービス提供に努めてきましたが、まさに誰でも使えるために、海外からの訪日されたお客様にも使っていただけるようにしたのです。――かなり先駆的な取組みですよね。お客様が必要なときに現金を引き出せるように、より多くの金融機関のカードが使えるように取り組んだ結果といえると思います。――最初はどのブランドから使えるようになったのでしょうか?当初は、VISA、MasterCard、AMERICAN EXPRESS、海外JCB、銀聯でしたが、今では、DISCOVER、DinersClubも使えるようになっています。セブン銀行ATMで使える海外発行カードのブランド○英語、中国語、韓国語、ポルトガル語の4言語に対応した、画面表示や明細票――訪日外国人の方々にご利用いただくためには、多言語対応ということも課題になってくるかと思いますが、セブン銀行ATMはどのような言語で操作できるのでしょうか?海外発行カードを入れると、まず、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語の4つの言語から選択できるようになっています。選択すると、その言葉で「いらっしゃいませ」とごあいさつをします。――利用している外国人の方は、まずそこで安心できるわけですね。明細票も4カ国語に対応しています。何か理由があって利用ができなかったときには、単純に「お金がおろせませんでした」ということだけではなくて、どうしてそれができなかったという理由も、明細票に書かれるようになっています。また、ATMからの問い合わせには、日本語と英語で24時間対応しています。――セブン銀行ATMは全て海外発行カードが使えるということですが、現在、セブン銀行ATMの設置状況はどのようになっていますか?セブン銀行のATMは2014年9月末時点で全国に2万台以上あります。そのうち90%にあたる1万8000台以上がセブン-イレブンに設置されており、それ以外に約500台がイトーヨーカドーなどグループ内、残り約1500台がグループ外の場所に設置されています。海外発行カードが最も使われるのは、空港と観光地です。たとえば外国人の方が1週間日本に滞在するということであれば、1週間の行動の流れに沿って、空港から始まって、駅、観光地、滞在するホテルの近くなどのATMになります。○全国の各自治体でもインバウンドに尽力、高山では十六銀行内にセブン銀行ATM――私も昨年、飛騨高山の十六銀行に設置されたセブン銀行のATMの取材をしましたが、飛騨高山もかなり外国の方が多くいらっしゃいましたね。そうですね。全国の各市町村自治体はインバウンド対応にすごく力を入れていますが、十六銀行さんは高山市からインバウンド政策として海外発行カードが使えるATMを設置できないか相談されたそうです。そこで十六銀行さんから当社にお声がけいただいて、高山市の十六銀行の店舗内に、同行のATMと当社のATMを並べて設置することになりました。自分の銀行の店舗内に他の銀行のATMを設置するということは、通常ではあまり考えられないことです。ですが十六銀行さんは、高山を中心とした岐阜県のインバウンドの政策に協力する目的でそうした大胆な試みに踏み切ったわけですから、同じ銀行という立場からも大変尊敬できます。――私も一泊させていただいて、高山市はすごくいい観光地で、外国の人も気に入るだろうな、と率直に思いました。ここで海外発行のカードが使えると、大変便利だと思います。ところで、観光庁さんに取材したとき、外国人観光客の来るルートがだいたい決まっているというようなお話がありました。東京や京都など、大都市とその周辺を中心としたいわゆる「ゴールデンルート」というのがあるらしいのですが、それ以外のルートを整備しないと、2020年に政府が目標としている訪日外国人客2000万人には到達できないというお話でした。それはそうでしょうね。せっかく来ていただくにしても、同じルートを何回も回るよりも、新しい日本を見たいはずです。そう考えると、我々のATMが海外発行カードが使えるということは、ゴールデンルート以外のルート開拓にも大変役立つと思っています。自治体などいろいろな関係機関と情報交換などをしながら、設置拡大を図っていくことでお役に立てるのではないかと思います。○商業施設でもセブン銀行が便利に、百貨店の免税コーナーに設置されるケースも――空港や駅以外に、インバウンド対応として重要な設置場所というのはありますか?商業施設があげられます。商業施設の方々は、その商業施設に来るお客様の利便性を向上させたいと考えています。そこで海外発行カードも使えるセブン銀行のATMを設置すれば、日本人のお客様だけでなく、外国人の方も利用できます。銀行の大きなATMよりも我々のATMのほうがコンパクトということもセールスポイントの一つです。最近は商業施設のご担当者さまから、設置に関するお問い合わせをいただくことも増えてきました。先方からぜひ置いてくださいと言われる場合もあります。――10月1日からは、外国人の免税対象品目も広がったようですが、そうした動きに対応している例などはありますか?つい最近の話では、銀座の松屋さんが免税コーナーを拡充されましたが、免税コーナーの中に当社のATMを設置させていただきました。――御社では8月27日から、ATM検索アプリ「セブン銀行ATMナビ」をリリースされていますが、これも外国の方にとって役に立ちそうですね。はい、現在地周辺にあるセブン銀行ATMを地図上で表示するだけでなく、スマートフォンのカメラで映した周辺の画像に方向と距離を重ね合わせて表示するため、ATMの位置を直感的に認識できます。画面表示は日本語と英語に対応していますが、文字を読まなくても分かるように工夫しています。○「海外発行カードが使えるATM」を、2020年に向けさまざまな場所でPR――御社の今後のインバウンド対応に関する展望をお聞かせいただけますか。これから2020年のオリンピックが近づくにつれて、国内さまざまな事業者の方々が、外国人対応をしなければいけないという話になってくると思います。そうした中で、我々のATMは間違いなくそのお力になれるということを、知っていただきたいと思っています。そのために、「ツーリズムEXPOジャパン」や「JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」、「SCビジネスフェア」などの展示会に積極的に出展してPRをしています。だいぶ認知されてきましたが、まだ「セブン銀行のATMでは海外発行カードが使える」ということを知らない方が多いのが現実です。先月は「ビジットジャパン事業」のイベントである、訪日外国人向けのセミナーに当社のデスクを出して、告知活動を行いました。今後も、2015年1月21日~23日に日本ショッピングセンター協会主催の「SCビジネスフェア2015」がパシフィコ横浜で、また、2015年2月10日~12日に新日本スーパーマーケット協会主催の「スーパーマーケットトレードショー」がビッグサイトで開かれるのですが、こちらにはATMを持ち込んでブースを出展します。3月3日には、日本経済新聞社主催の「リテールテックJAPAN 2015」で当社のATMをアピールする予定です。――2020年に向け、訪日外国人の方々に喜んでいただけるサービスを増やしていく必要がありますね。本日はありがとうございました。
2014年11月13日東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」の大会エンブレムのデザイン募集に関して、同委員会の公式Webサイト上にてエントリー受付を開始した。エントリー受付の期日は10月10日 12:00まで。審査対象となる制作物の受付期間は11月4日~11日 12:00正午(必着)。このたびの募集は、最初にWebサイト上にてエントリー手続きを行った後、審査に必要な制作物を指定された期間内に提出するフローとなっている。応募資格は、「東京ADC賞」、「TDC賞」、「JAGDA新人賞」、「亀倉雄策賞」、「ニューヨークADC賞」、「D&AD賞」、「ONE SHOW DESIGN」といったデザインアワードのうち、過去にふたつ以上を受賞しているデザイナー・グラフィックデザイナー・アートディレクター。ただし、佳作・ショートリスト・インブックの場合は応募対象外。一方、同一の賞を2回以上受賞している人は対象内となる。加えて、デザイナー個人としての応募が必須で、事務所・会社名義での応募は不可。そのほか、日本語でのコミュニケーションが可能な人(通訳によるコミュニケーションも可)、日本国内での行事・打ち合わせなどに参加可能な人とされている。審査員は、グラフィックデザイン領域からは永井一正、浅葉克己、細谷巖、平野敬子、長嶋りかこといった面々が名を連ね、CMを中心に広告分野で活躍する高崎卓馬、インテリアデザイン領域で国際的に活動を続ける片山正通、インタラクティブ/デジタルアート領域からはライゾマティクスの真鍋大度らが参加している。また、エンブレムが採用されたデザイナーに対する賞金・エンブレム制作および著作権譲渡対価は100万円(税込)。副賞として、2020年東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会開会式へ招待される。そのほかの入選作品(8名程度)には、賞金・エンブレム制作および著作権譲渡対価として10万円(税込)が支払われるということだ。エンブレムデザインに際する条件や提出物の内容といった詳細については、デザイン募集の要項ページを参照してほしい。
2014年09月19日