各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『Loops』Anders Edströmスウェーデン人フォトグラファーで映像作家のアンダース・エドストロームの作品集。本作は本の表紙から裏表紙までを使って時系列に沿った物語を展開。散歩やドライブ、旅の途中で撮影をし、常に周りを見ては何かに目を留め、光の加減と情景が結びつくところで足を止める。華々しい光景や奇抜なものでなく、むしろ不思議な力で導かれたかのように目の前の光景と光が一つになる瞬間を探し求める。このため彼のイメージは平凡に見えるかもしれないが、その一つひとつに光、時間、そしてエナジーの結びつきが示されている。本書では、こうしたイメージの間に光を反射する顔料の水たまりが顔を出す。光の反射を作品に活かそうと自宅で作った水たまりは、美術史家のエルンスト・ゴンブリッチ(E.H. Gombrich)が15世紀の南北アルプスの絵画について書いたエッセイの言葉を借りるならば、それぞれが「光、形そしてテクスチャー」の研究となっている。またこれらは、この年代記の中でクリエーティブな角度からの考察という役割を果たしている。ロシア人作家のウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)がかの有名な『ロリータ』の前に書いたディストピア小説『ベンド・シニスター』もまた水たまりを一つのテーマとしている。この小説の主人公、妻を亡くしたばかりのアダム・クリュッグ(Adam Krug)は、窓の外を眺めている時に初めて水たまりに注意を引かれる。紋章学において「ベンド」とは、盾の帯状の部分のことで、右上から左下にわたるものにはベンド・デクスターが通常使われる。これに対し左上から右下へわたるものをベンド・シニスターと呼ぶ。水たまりに映る像はベンド・シニスターのように左右が逆で、かつ歪んでいる。エドストロームの描く水たまりは、インクの染みや模様または足跡のように見える。ナボコフは一般人には羨ましくさえ思える共感覚という不思議で特殊な感覚を持っていた。音に色を感じたり光を味わったりできる感覚で書かれた言葉には、それぞれ異なる意味が隠されている。音やイメージと同じように言葉で遊び、ディテールを「愛撫した」と言う。そうして彼は自分以外には誰も気づかないものを探し、その特別な直感で捉えた感覚を表面からは分からないように物語に沁み込ませていった。エドストロームが最初に頭角を現したのはファッション界だったが、彼を見出したのは、ブーツやジーンズ、バックパックといったなんでもないものをシンプルに白いペンキで塗りつくし、ファッション界の既成概念に反旗を翻してきたマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)だった。エドストロームもまたマルジェラのように並外れたもの、あっと言わせるようなもの、決まった型にはまったものを避け、ありのままの自然主義に傾倒しつつ、自らの共感覚を活かした写真を通じてオルタナティブな世界の見方を表現してきた。本書は彼の研究を収めたタイムカプセルの役割を担っている。――ジェフ・ライアン(Jeff Rian)【書籍情報】『Loops』写真:Anders Edström出版社:ANTENNE PUBLISHING言語:英語ソフトカバー/136ページ/28×210mm発刊:2019年価格:2,800円■Shelfオフィシャルサイトで『Loops』を購入する
2019年06月01日顔をワントーン明るくする正しい産毛ケア5月17日、電池式のフェイスシェーバーが付属した書籍『つるつる肌BOOK スッキリ美肌シェーバー付き』が宝島社より発売された。価格は2,138円(税込)である。同書では医師で医学博士の髙田女里(たかだめり)氏が肌をワントーン明るくする正しい産毛ケアを解説しているほか、シェービング方法も紹介されている。リップのような「スッキリ美肌シェーバー」性別を問わず生えている産毛。産毛は無色透明ではないため、そのままの状態では顔の色が黒ずんで見えることがある。また、メイクでは化粧のりが悪くなり、スキンケアでは化粧水や乳液、美容液などが産毛のために肌に届きにくくなってしまっているかもしれない。美容において、顔の産毛は処理するべきだとしても、理容室や顔そりを行っている美容室、女性向けシェービングサロンなどで産毛の処理は可能であるが、産毛は気になった時に処理する必要があり、いつでも手軽に安価に行える方法が望ましい。『つるつる肌BOOK スッキリ美肌シェーバー付き』の「スッキリ美肌シェーバー」は、リップのような形状をしており、電池式であるためいつでも使用可能。長さ10cm余りのコンパクトサイズなのでメイクポーチに入れておくこともできる。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※つるつる肌BOOK スッキリ美肌シェーバー付き - 宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル
2019年05月24日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『The Master IV』Juergen Tellerファッション写真家ユルゲン・テラーが2005年にスタートした「The Masters」シリーズの2012年『The Master III』振りとなる新作。このシリーズはユルゲン・テラーが「マスター」あるいは「マスターフル」と信じるものへ捧げた小型写真集で、今回は彼にとって最も重要な4人のマスターである荒木経惟、ウィリアム・エグルストン(William Eggleston)、ボリス・ミヒャロフ(Boris Mikhailov)、シャー・ロットランプリング(Charlotte Rampling)に捧げられ、この4人を撮ったポートレート作品で構成されている。【書籍情報】『The Master IV』写真:Juergen Teller出版社:Steidl言語:英語ソフトカバー/48ページ/230×180mm発刊:2019年価格:1,910円■Shelfオフィシャルサイトで『The Master IV』を購入する
2019年05月04日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『Trails』ホンマタカシ日本人写真家、ホンマタカシの作品集『Trails』には、北海道の知床国立公園で狩猟された鹿の血の痕跡(trails)が、影を感じさせながらも美しく綴られている。儀式的に描かれた痕跡か、それともカリグラフィーで書かれた文字か。2009年から2018年の冬の間に撮影された鹿の血痕は、この一冊の作品集の中で抽象的かつ象徴的に描かれる。神聖視されながらも鹿の過度な増加は度々物議を醸してきており、殊に農作物の被害に関しては問題視され、行政は地元の猟師たちに自らの手でこの問題を対処するよう呼びかけている。作者は、鹿の頭数を減らした結果生じたもの、雪を染める野生の赤い爪痕を記録する。【書籍情報】『Trails』写真:ホンマタカシ出版社:MACK言語:英語ソフトカバー/68ページ/320×220mm発刊:2019年価格:6,400円■Shelfオフィシャルサイトで『Trails』を購入する
2019年04月27日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『Busy Living』Coco Capitánスペイン人フォトグラファー、アーティストのココ・キャピタン(Coco Capitán)の作品集。1992年生まれのココ・キャピタンは、グッチの2017-2018年秋冬シーズンにコラボレーション相手としてアレッサンドロ・ミケーレより指名を受けたことで、ファッション業界でも一躍有名となった人物である。その年齢からは想像がつかないほど、本作は万華鏡のように千変万化な作者のスタイルを魅せており、制作年数を超えた自由さと開放感に満ちている。ファッション、コマーシャル写真の慣例の逆を行く遊び心溢れるセッティングから始まり、アメリカと中国を巡る旅を通して物語られるオリンピックの競泳選手や個人的な回想録の優雅な描写まで、本作はまさにすさまじい速度で変化していく現代社会において、作者が経験し、吸収し、そして反映して来たまさにタイトルにある「BUSY LIVING(必死に生きる)」を表している。作者の作品はじっと座っているような表現ではない。確立したスタイルを貫き、既に世に認められた写真作品と並び、今日の我々を取り巻いている暗号を作者が解読しようとする試みの中で生まれた文章や絵、インスタレーションが本書には収められている。このような作品群は、時に個人的なものであり、また別の側面では自虐的とも取れるユーモアで満ちた壮大な宣誓でもある。このことは、作者の情熱と不思議さ、そして健康的かつ皮肉と機知に富んだ世界観を確固たるものとしている。本書は、 2019年3月6日から5月25日にかけて行われているヨーロッパ写真美術館(MEP/フランス) での展覧会開催に伴い刊行されたもの。同美術館でディレクターを務めるサイモン・ベーカー(Simon Baker)がエッセイを寄稿している。【書籍情報】『Busy Living』写真:Coco Capitán出版社:LOOSE JOINTS言語:英語ソフトカバー/172ページ/300×210mm発刊:2019年価格:6,600円■Shelfオフィシャルサイトで『Busy Living』を購入する
2019年04月20日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『MEMORIA』Chad Mooreライアン・マッギンレー(Ryan McGinley)のアシスタントを経て、ニューヨークを拠点に現在はファッションなどを中心に活躍するフロリダ出身の気鋭フォトグラファー、チャド・ムーア。友人らを主な被写体とし、ニューヨークのユースカルチャーをドリーミーに表現した世界観は多くの支持を集め、次世代を担う気鋭の写真家として世界でも高く評価されている。本書は、アニエスベー(agnès b.)のギャラリーで開催された同名展覧会に合わせて出版された本書には、チャド・ムーアのこれまでの作品が「Memoria」というタイトルに沿って集約されている。アニエスベーは、同社が経営するパリのギャラリー「デュ ジュール(Rue du Jour)」で、チャド・ムーアにとってアメリカ国外初となる個展をサポートした。【書籍情報】『MEMORIA』写真:Chad Moore出版社:agnès b.、Pacific言語:英語ハードカバー/160ページ/290×220mm発刊:2019年価格:6,400円■Shelfオフィシャルサイトで『MEMORIA』を購入する
2019年04月06日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『Self Service #50』500ページに及ぶ、いつもにもましてボリューミーなハードカバーに2019年春夏のファッション・エディトリアルをぎっしりと詰め込んだ25周年記念号。デイビッド・シムズ(David Sims)、パオロ・ロベルシ(Paolo Roversi)、ジェイミー・ホークスワース(Jamie Hawkesworth)、キャス・バード(Cass Bird)らのファッションフォト、ジョー・マッケナー(Joe McKenna)、メラニー・ワード(Melanie Ward)らによるスタイリングなど、見どころたっぷりの1冊となっている。ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)の手掛けたルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2019春夏と、同じくニコラが手掛けたバレンシアガ(BALENCIAGA)2001年春夏、2003年春夏をフィーチャーした2種類の表紙は、ともにデヴィッド・シムズが撮影。【書籍情報】『Self Service #50』出版社:SELF SERVICE言語:英語ハードカバー/500ページ/310×230mm発刊:2019年価格:5,300円(為替により変動)■Shelfオフィシャルサイトで『Self Service #50』を購入する
2019年03月30日朝井リョウさん、伊坂幸太郎さんら8組9人の作家による競作企画「螺旋プロジェクト」。古代から未来にわたるまで、各時代を各作家が受け持ち、“対立”をテーマに長編を執筆。朝井さんが受け持ったのは平成のパートだ。もともとは伊坂さんが編集者と雑談したなかで生まれた企画とのことで、「依頼をいただいた時、私からすると文壇高校の伊坂先輩に呼んでいただいたという感覚で、それはもう応えないわけにはいきませんでした」植物状態で入院する青年、智也と彼を見舞う雄介。二人は幼馴染みだ。しかし幼少の頃から周囲は違和感を抱いていた。自己顕示欲が強く“やりがい”を見つけては実行する雄介と、彼を冷静な目で見つめる控えめな智也。正反対の二人がなぜ友人同士なのか―。「最初、平成を舞台に対立を描くとなっても、何も浮かばなかったんです。連載開始の前に何度か全員で集まって話し合ったんですけれど、僕だけ何も意見が言えなくて。自分を無価値で、無意味に感じました」もともと日常生活でも、原稿が書けない日は美味しいものを食べることができない、などと自分を責めがちな朝井さん。と同時に、頭をよぎることもあった。「僕にとって印象に残る平成の事件というと、秋葉原通り魔事件や、『黒子のバスケ』脅迫事件。犯人の供述書や関連書を読んで感じたのは、どちらも“社会にとって自分は無価値である”という思いから起こした事件だということだったんです」犯人らも自分も、どうして自分を無価値と考えてしまうのか。「平成って、個人間の対立や争いごとをなくしていこうという試みが強かったと思うんです。学校でテストの順位を張り出さず、運動会で順位を決めず、ナンバーワンではなく自分らしいオンリーワンを目指そうという。でも自分らしさを探そうとすると、どうしても私は自分と人を比べることがやめられなかった。自分の価値を測るために“この部分はあいつより下だ”などと自分で自分をジャッジするしかなかった。そうすると小さい自己否定がちょっとずつ積もっていく。それは内側から腐っていく感覚だなと思ったんです」その痛みを、二人の青年を軸に少しずつ描き出したのが本作だ。「条件だけ抽出すれば、二人は立派な大学を出ているし貧困層でもなく友人もいる。何に悩んでいるのか分からない人も多いと思う。それは今の社会全体にも言えること。内側から腐る痛みを書くことによって、逆説的に平成で対立を書くことができるのではないかと思いました」自分は雄介タイプ、と朝井さん。「対立軸が奪われ、自分らしさを探して“自分地獄”に陥り、自滅していく。私のこれまでの小説でもそういうことが書かれたものがありますが、今回はその集大成みたいなもの」後半は何度も書き直したという。「大変でしたが、でも連載中、伊坂さんが毎回すごく褒めてくださったのが嬉しかったです(笑)」各作家の作品に共通するモチーフや共通するシーンも盛り込まれているという。本作はもちろん、今後刊行予定の他の作家の作品も楽しみ。あさい・りょう1989年生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。’13年『何者』で直木賞受賞。著作に『世にも奇妙な君物語』など。『死にがいを求めて生きているの』伊坂幸太郎、天野純希、薬丸岳、乾ルカ、澤田瞳子、大森兄弟、吉田篤弘による「螺旋プロジェクト」の単行本第1弾。平成の暗部を浮き彫りにする。中央公論新社1600円※『anan』2019年4月3日号より。写真・土佐麻理子(朝井さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年03月29日心身の不調を食事で解消しよう3月23日、女性の心身の不調を食事で解消するための知恵が掲載されている新刊『不調女子のカラダよろこぶ栄養BOOK』が発売された。著者は元バレーボール選手で、オリンピックの出場経験もあるヘルスコーディネーターの杉山明美氏である。同書は四六判で1,500円、徳間書店より刊行されている。自身の経験から分子整合栄養医学を学んだ杉山明美氏杉山明美氏は1987年にNECレッドロケッツに入団し、Vリーグで優勝、日本代表にも選ばれ、ソウルオリンピックに出場している。しかし、任されたチームリーダーという重圧もあり、食欲不振、不眠、鉄欠乏性貧血を経験している。引退後、目標を失いさらに体調は悪化。一人でトイレに行くこともできない状態となった頃、血液検査データから栄養バランスの乱れが不調の原因だと判明し、分子整合栄養医学を学ぶこととなる。現在はアスリートなどのヘルスコーディネーターとして活躍している。その不調は栄養が原因かも?デリケートな女性の体はちょっとしたことで不調を抱えることがある。特に食事の影響は大きく、ダイエットにより栄養不足に陥るケースが少なくない。また、精神的な部分における気力不足、やる気不足も、脳に栄養が不足しているからかもしれない。新刊では「目まいには朝ごはんに目玉焼き」など、疲れがとれない、生理痛がつらい、ダイエットがうまくいかないといった不調や悩みを解消し、体を目覚めさせる食事と栄養の知恵が多数掲載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※不調女子のカラダよろこぶ栄養BOOK - 徳間書店
2019年03月29日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿・外苑前のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『ANTIGLOSSY: Fashion Photography Now』近代のトレンドと、未来のファッションの予想をまとめた新しいファッション写真集。本書では、ユルゲン・テラー(Juergen Teller)、グレン・ルックフォード(Glen Luchford)、セバスチャン・キム(Sebastian Kim)、シャーロット・ウェールズ(Charlotte Wales)、ジョアンナ・ピオトロヴスカ(Joanna Piotrowska)、カレン・ノール(Karen Knorr)など、ファッションの分野を中心に時代の最先端をいくフォトグラファーをピックアップ。ソーシャルメディアと電子出版物が主流となった現代に、写真とファッションとは、写真トレンドの本質とは何かを探る。【書籍情報】『ANTIGLOSSY: Fashion Photography Now』出版社:Rizzoli言語:英語ハードカバー/256ページ/330×220mm発刊:2019年価格:7,100円(為替により変動)■Shelfオフィシャルサイトで『ANTIGLOSSY: Fashion Photography Now』を購入する
2019年03月23日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介。■『Purple #31 The Paris issue』フランスを代表するインディペンデントファッション誌『パープル(Purple)』の最新号となる31号は、パリを特集。パリの時代の再来だ。1992年、私たちがこの雑誌を立ち上げた頃、当時のパリはとにかく保守的で進行が遅く、変化とは正反対の街だった。そのため我々は、新しい発見を求めてロンドン、ベルリン、ニューヨーク、東京まで飛ばなくてはならなかった。しかし、そんな時代は終わったのだ。今回、約30年の『Purple』の歴史上初めて、色々な意味でこのフランス雑誌の美学を形作ってきた街、パリにフィーチャーした号を発行する。――オリヴィエ・ザーム(Olivier Zahm)荒木経惟の撮るプラダ(PRADA)、パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)の撮るコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の他、マーティン・パー(Martin Parr)、森山大道、オラ・リンダル(Ola Rindal)、ユルゲン・テラー(Juergen Teller)、アンダース・エドストローム(Anders Edstrom)らの撮りおろしファッションフォトが満載の一冊。【書籍情報】『Purple #31 The Paris issue』出版社:Purple Institute言語:英語ハードカバー/452ページ/330×240mm発刊:2019年価格:5,900円(為替により変動)■Shelfオフィシャルサイトで『Purple #31 The Paris issue』 を購入する
2019年03月16日普段の生活の中で災害にあったら…。今話題の「自衛隊防災BOOK」からシチュエーション別のテクニックをご紹介します!教えてくれたのは現役自衛官の林田賢明さんです。地震発生時に役立つライフハック災害発生直後=発災時にどんな初動対応をとるかで、その後の被害の大きさが変わってきます。普段の生活でよくあるシチュエーション別に、テクニックを習得しましょう。【1】入浴中だったらお風呂場には着替えと携帯を持っていく習慣を身につけて。裸ということもあり、入浴中の地震は焦りが倍増。揺れを感じたら、閉じ込められないよう迅速にドアを開け、強い揺れがおさまってから服を着て、安全な場所への避難を。焦って転倒したり、鏡の破片などで負傷しないように、お風呂場でこそ冷静な行動を心がけて。自衛官の自宅ではお風呂の水を空にしない人が多いらしい浴槽にためた水は、断水時のトイレ用水や洗濯水、火災発生時の消火水にも利用可能。このため、入浴直後に栓を抜くのではなく、次にお風呂を掃除する直前までためた状態をキープして。また、浴槽がないタイプのお部屋に住んでいる人は、使用済みペットボトルに水道水を入れてストックしておくだけでも。【ひとことアドバイス】お風呂場にも、そのまま外出できる着替えを1セット用意しておくと、いざという時に安心です!【2】睡眠中だったら真っ先に足元をガードし、ドアを開けて出口の確保を。緊急地震速報が入ったり強い揺れを感じたら、真っ先にスリッパや靴を履き、窓ガラスの破片などから足元を守って。その後、素早く寝室のドアを開けて出口を確保しましょう。揺れで家が歪み、ドアが開かなくなる可能性があるので、迅速な対応が重要です。【ひとことアドバイス】もしもに備え、ベッド付近にはスリッパ、懐中電灯、笛の3点セットのご用意をおすすめします!【3】料理中だったらガスコンロの火を消すのは激しい揺れがおさまってから。火を消そうと、慌てて熱湯や揚げ油の入った鍋に近づくのは危険。最近のコンロは揺れを感知して自動消火する機能が付いたものもあるので、まずは自宅のコンロの確認を。また、出火時に安全に取りに行けるよう、火元から2~3歩離れた場所に消火器を常備して。【ひとことアドバイス】女性でも簡単に使用できる、スプレータイプの簡易消火具も売られているので、チェックを!【4】スーパー、コンビニにいたら陳列棚から離れ、店員さんの指示に従い非常口から避難を。倒れた陳列棚の下敷きとなって圧迫死する可能性もあるので、陳列棚からは素早く離れましょう。周りを見ずに慌てて外に飛び出すのは、殺到した客同士による将棋倒しの可能性があり逆に危険なので、店員さんの指示に従って非常口からの避難を。【ひとことアドバイス】天井から吊るされた標示板が落下する恐れもあるので、上への意識も忘れないようにしましょう!【5】街中を歩行中だったら落下物がないか頭上の危険を確認しながら安全な場所へ。街中での地震は、落下物から身を守ろうと、つい体をかがめて下を向いてしまいがち。でもそれでは、看板や窓ガラスの破片などの落下物からの危険を回避することができません。身を守るためにも、まずは上を確認しながら安全な場所へ移動しましょう。【ひとことアドバイス】荷物が多い日ほど、両手がふさがらないように、バッグはショルダーかリュックタイプに!【6】電車に乗っていたら飛ばされないように両足もしっかり踏ん張って。大地震が発生すると、電車は自動停車します。その際の急ブレーキで飛ばされないようにするために、立っている場合には両手それぞれでつり革につかまりましょう。両足もしっかりと踏ん張ることで、安定感がアップします。飛ばされてきた人との衝突にも注意が必要。座っている場合には、乗っている車両内で進行方向に近いポールに両手でつかまると、急ブレーキ時に飛ばされる心配も減る。視線は進行方向の逆に向け、飛んでくるものや人を避けましょう。さらに、バッグを膝上に置くとエアバッグの効果も。【ひとことアドバイス】自分が飛ばされないようにするのはもちろん、網棚からの落下物にも気をつけましょう!「自衛隊防災BOOK」マガジンハウス林田賢明さん陸上幕僚監部人事教育部募集・援護課3等陸佐。募集広報係長として採用や広報を担当。自衛官募集の一環でスタートした動画サイト「自衛隊ライフハックチャンネル」は、防災、日常生活、ダイエットなど、私たちの生活に欠かせない役立つ情報が満載!“平和を仕事にする”というスローガンにピンときた方は、自衛官を目指すという道もアリ。性別や運動神経は関係ないそう。※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・柏原昇店取材、文・辻岡直美協力・自衛隊/防衛省博報堂ADBAKA濱田恵理(by anan編集部)
2019年03月10日地震、台風、豪雨…と大災害が続いた昨年。防災意識が薄れがちな今こそ、話題の本「自衛隊防災BOOK」の中でも特に反響の高かったテクを、一人暮らしの多いアンアン読者目線でピックアップ!教えてくれたのは、現役自衛官の林田賢明さんです。――『自衛隊防災BOOK』の発売経緯を教えてください!危機管理のプロとして、災害時や日常生活で役立つ知識を紹介したいという思いから「自衛隊ライフハックチャンネル」がスタートしました。この動画をYouTubeで見た編集さんから「自衛隊がこんなに身近な存在だとは知りませんでした。一般人に役立つ情報が満載なので、取材を加えて書籍化しましょう!」とご連絡をいただき、全国の陸海空自衛隊の協力のもと、書籍化が実現しました。――自衛隊直伝のテクニックというと難易度が高そうですが…?年齢や性別を問わずマネしていただきやすいテクニックを紹介してますので、ご安心ください!特に今回はアンアン読者の皆さんの立場になって考えました。――ズバリ、大切な人を守るために必要なことは何ですか?まず“自分を守る”ということです。一人暮らしの方はもちろん、ご家族や恋人とお住まいの方も、自分がケガをした状態で誰かを救助することは至難の業です。大切な人を守るためにも“自分を守る”ことを優先してください。――時間の経過とともに防災意識は薄れがちです。注意すべきは?一番重要なことは日頃の備えです。“もし今災害が起こったら?”とシミュレーションするクセをつけるだけで、防災のスキルは格段に上がります。その上で今回紹介するテクニックを習得すれば、もしもの時に皆さんや、皆さんの大切な人を守る力になるはずです!まずは備えの基本が重要「備え」といっても難しく考えずに、少し日常生活を見直すことから始めましょう。家具の配置を変更したり、初期消火について知ること、避難場所の確認をすることが防災の第一歩!【BASIC 1】自宅の家具配置を見直す!避難経路を確保するため、入り口を妨げないレイアウトに。震災時は転倒した家具の下敷きになったり、通路がふさがれて避難できないケースが多く発生します。そこで、本棚やキャビネットなど大きめの家具は、入り口から一番遠くへ配置しましょう。さらに、転倒防止のネジ留めなどで家具を固定しておくことが理想です。【ひとことアドバイス】大きな揺れの中では、化粧品のボトルや香水の瓶などが凶器になることも。高い場所に置くのは避けて。【BASIC 2】自宅の周りの避難場所を知っておく!スマホで調べるだけでなく、実際に歩いて確認してみて!発災後に慌ててスマホに頼るのではなく、事前に自宅周辺の避難場所を歩いて確認しておくことが大切です。歩いてみることで「この高架下は危険だな」など、避難経路の危険予測もできます。ハザードマップを見て安心するのではなく、実際に歩いて確認することが重要です。【ひとことアドバイス】案外知られていないのですが、避難場所は一人暮らしの方も利用できますのでご安心を!【BASIC 3】初期消火の基本を身につける!Q. 次の3つのうち、水をかけてはいけないものはどれでしょう?A. 正解は2と3です!落ち着いてコンセントを抜いて電流をストップさせましょう。タコ足配線で過剰な電流が流れたことによる出火など、電気タップ(延長コード)による火災は水をかけると感電する恐れがあります。まずはコンセントを抜いたり、ブレーカーを落として、電流を止めてからであれば、水での消火もOKです。流しに近いからと、油に水は逆効果! 消火器での対処を。揚げ物油や石油ストーブなど、油が原因の火災時に、慌てて水で消火しようとするのはNG。火柱が上がって燃え広がったり、水蒸気爆発を引き起こす可能性もあるので、必ず消火器での消火を心がけて。そのためにも消火器の常備を徹底しましょう。【ひとことアドバイス】電気タップ付近のホコリが引火の原因となる場合もあるので、こまめな掃除も大切です!「自衛隊防災BOOK」マガジンハウス林田賢明さん陸上幕僚監部人事教育部募集・援護課3等陸佐。募集広報係長として採用や広報を担当。自衛官募集の一環でスタートした動画サイト「自衛隊ライフハックチャンネル」は、防災、日常生活、ダイエットなど、私たちの生活に欠かせない役立つ情報が満載!“平和を仕事にする”というスローガンにピンときた方は、自衛官を目指すという道もアリ。性別や運動神経は関係ないそう。※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・柏原昇店取材、文・辻岡直美協力・自衛隊/防衛省博報堂ADBAKA濱田恵理(by anan編集部)
2019年03月09日『テルマエ・ロマエ』の大ヒットで、一躍人気マンガ家となったヤマザキマリさん。名が知られるにつれ、ヤマザキさんの破天荒な半生も話題になった。美術の勉強のため、17歳にして単身イタリアに渡ったことや、イタリア人の詩人と恋に落ち、シングルマザーとなったこと…。まるで“朝ドラ”規格外で心優しき母リョウコの生き方とは。ヤマザキさんのボーダーレスな生き方は、「この母にしてこの娘あり」を地で行く世界。そんなヤマザキさんの目を通して綴られた、母リョウコさんの一代記的な読み物『ヴィオラ母さん』が滅法面白い。「インタビューや講演などで自分の話が出てくると、『なぜそんな若さで、単身イタリアに行ったのですか』と尋ねられるんですね。きっかけは、母に行ってこいと提案され、14歳のときにヨーロッパを1か月くらい一人旅したことだと説明すると、今度は必ず『ヤマザキさんのお母さんてどういう人なんですか』と驚かれるんです。私の自伝的なマンガやエッセイなどにも登場するリョウコという女性のことを、一度まとめてみてもいいのかなと思いました」実際、リョウコさんは仰天のエピソードに事欠かない。やっと戦争の痛手から立ち上がりかけた昭和20~30年代に、女性が音楽の道で食べていこうというのも無謀なら、知り合いがひとりもいない札幌へ乗り込んで、交響楽団の演奏家になろうというのも無謀。子育てしながら、北海道各地へバンを運転して、子どもにバイオリンを教えに行くというのも向こう見ずすぎる。大自然が好きで、泳げないのに川に入っていって流され、ペット禁止の団地住まいなのに、拾ってきた犬を堂々と許可を求めて飼い始める。「母は、祖父母の影響もあって、小さな世界のルールなんて何ほどのものかという人。友達のお母さんとあまりに違うので、友達の家で“お母さんらしいお母さん”を観察するのが楽しみでした。リョウコさんには、母親とは、子育てとは、『こうあらねば』がなかった…というか、忙しくて考える暇もなかったのかもしれません(笑)」本書では少し触れられているだけだが、リョウコさんは、サウジアラビアに海外赴任していた再婚相手の母親と同居し、その夫と離婚後も義母と一緒に暮らす道を選ぶ。並外れて情に厚いのだ。「バイオリンを習いたいという子がいれば、バンを飛ばし、ほぼ無償で北海道中に教えに行っていました。その代わりに、季節の野菜だの海産物だのがしょっちゅう送られてくるので、『物々交換だ』なんて悦に入ってる。母はお金が必要だという概念が薄かったんですよね。生きている、それだけでうれしくてしかたがないという人なんです」そんな〈規格外〉の母の背中を見て育ったヤマザキさん。「私はたぶん母よりひどいですよ。『ここから先は行くな』と学校で注意をされたら、必ず行く。規則やルールがあるのは知っていても、その先にもっと面白いものがあるかもと思うと、自分を抑えられない」自らの生き方はもちろん、成人した息子さんの子育てについても、どこか母譲りな部分があったようだ。「海外へ引っ越した直後、息子は言葉もわからないと悩んでいたけれど、私は一緒に深刻にはならない。『それが楽しいんだって』と笑い飛ばしていました。生きていればみな絶対につらいことに直面するけれど、どんなときも笑っている母親は慰めになると思う。7歳にして花輪和一さんのマンガ『刑務所の中』を愛読していた息子ですから、好きなように生きてほしい、それだけですね」ヤマザキマリ1984年に渡伊。フィレンツェの美術学校で油絵と美術史を学ぶ。’97年にマンガ家デビュー、2010年に『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞など多数の賞に輝く。現在は日伊を行き来。『ヴィオラ母さん』御年86歳というリョウコさんの生い立ちや、夫と死別したのち、女手一つで2人の娘を育てていたころを、エッセイとコミックで振り返る。文藝春秋1300円※『anan』2019年3月13日号より。写真・土佐麻理子(ヤマザキさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年03月08日書籍『猫いっぱいのスイーツBOOK』が、“ねこの日”2019年2月22日(金)に発売される。書籍『猫いっぱいのスイーツBOOK』では、“かわいすぎて食べられない”ほどキュートなねこスイーツにフォーカス。スイーツアーティスト・ハンドメイドアーティストのローラ(Laura)によるレシピを掲載し、誰でもコツさえつかめば手作りできる、猫スイーツを紹介する。マシュマロフォンダンの猫たちをトッピングした「猫が集めるジャーケーキ」は、スポンジケーキにジャム、生クリーム、いちごムースを重ねた、見た目にも華やかなケーキ。間にフレッシュな苺の組み合わせ、猫のマシュマロフォンダンでデコレーションした。着色・形成もしやすいねりきりを使用した、猫の和スイーツも登場。どらやきの生地で挟んだり、ねりきりの葉っぱで包んだり…想像力を搔き立てられるユニークなスイーツが紹介される。掲載されたスイーツは、どれも材料は意外にシンプルで簡単に作れるが特徴。かわいくて作れる・食べれる猫スイーツをぜひ自宅で作ってみては。【詳細】書籍『猫いっぱいのスイーツBOOK』1,300円+税発売日:2019年2月22日(金)発行:株式会社KADOKAWA仕様:A5判 96ページ【問い合わせ先】KADOKAWAカスタマーサポート・ナビダイヤルTEL:0570-002-301※土日祝日を除く、11:00~12:00、13:00~17:00
2019年02月23日文芸評論や編集者として知られる仲俣暁生さん。意外にも学生の頃は、マンガ評論家になりたかったのだとか。新刊『失われた娯楽を求めて』では、そんな著者が数々の名作マンガを論ずる。といっても堅苦しくなく、分かりやすく魅力を伝えてくれるガイド的な一冊だ。「10年ほど前に書いたマンガ論と、最近書いたものをまとめました。編集者に薦められて読んだ作品もあるので、僕の好みに偏っているわけではなく、結果的に間口の広い一冊になったと思います」岡崎京子、楳図かずお、安野モヨコ、島本和彦、藤田和日郎、衿沢世衣子、渡辺ペコ…。各論の中で別の作家にも言及され、結果的に登場する作家・作品数は多数。女性作家が多いのが印象的だが、「僕は学生の頃『別冊マーガレット』を買っていましたが、『少年ジャンプ』を買う女の子もいた。へだたりなく男子も女子も同じマンガを楽しめた時期って、戦後民主主義の中で小春日和のいい時期だった気がします。この本のタイトルには、そういう意味も込められていますね」まえがきでは1964年生まれの仲俣さんのマンガ遍歴が語られ、「ニューウェーブ」の登場など、日本のマンガ史の一端として読める。「本にまとめるにあたってひとつ背骨を作ろうと思って、ちょっと長いまえがきを書いたら、個人史になっちゃって(笑)。でもそこも面白がってくれる人が意外と多いんです」巻末には、カバー絵を描き下ろした今日マチ子さんとの対談も。『COCOON』など戦争三部作についての思いなどを丁寧に聞いている。「戦争マンガや戦争映画って、最初は娯楽として作られ、次第にテーマが深くなっていった気がします。いま戦争を描く今日さんは、娯楽の構造を踏まえつつリアルなストーリーを生み出している。今日さんのお話には発見がいっぱいありました」時を経て読み継がれる名作から、現代の注目作まで、きっとあなたの気になる作品に出合える本書。「最近はマンガに詳しい人でも、全体像を把握している人は少なくて、それぞれ好きなジャンルの中で楽しんでいる印象。だから垣根を越えて紹介したい気持ちもありました。マンガって正面から向き合って読むと、やはりどれも面白いですから」『失われた娯楽を求めて極西マンガ論』過去の雑誌連載や近年発表したマンガ論を収録、新たに今日マチ子さんとも対談した著者初のマンガ評論集。紹介作家は他に西原理恵子、松本大洋、西島大介ら。駒草出版1000円なかまた・あきお1964年、東京都生まれ。文筆家、編集者。オンラインメディア「マガジン航」編集発行人。著書に『ポスト・ムラカミの日本文学』『極西文学論』『再起動せよと雑誌はいう』など。※『anan』2019年2月20日号より。写真・土佐麻理子(仲俣さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年02月14日『ゲイだけど質問ある?』の著者・鈴掛真さんにお話を伺いました。歌人の著者が明るく丁寧に回答、LGBTがぐっと身近になる一冊。「なんで男なのに男を好きになるの?」「ゲイの友情と恋愛の境目はどこ?」「ゲイの息子を持つ親として大切なことは?」……ぶしつけな質問の数々に、明るく分かりやすく回答する話題の書、『ゲイだけど質問ある?』。著者は歌人としても活動する鈴掛真さん。「いつもは硬めの文章を書くんですけれど、普段本を読まない人にも手にとってもらいたくて、あえて軽い文体で書きました」もともとは2年半ほど前からWEBの2つの媒体で連載していたもの。「それまで短歌の中で同性愛をさりげなく表現することはありましたが、そろそろしっかり書いてもいいという社会の風潮を感じたんです。同性愛者と話してみたいけれど身近にいない人に向けて書きましたが、自分がゲイであることに悩んでいる子にも、こんなふうにオープンにできる人間もいるんだよと伝えたかった。本来、アンタッチャブルなものではなく明るく話せるものなんだ、ということを表現できた気がします」“絶対に手の届かないあの星にあなたと同じ名前を付けた”などぐっとくる短歌も多数掲載、昔の片思いを振り返ったりSexy Zoneについて熱く語ったり、胸襟を開いていて親しみがもてる。「同性愛者でもいろんな考えの人がいるので、僕がゲイを代表して書いているわけでないです。これは“僕みたいなゲイもいるんですよ”という本だと思ってもらえたら」時には、知人から「何のためにそんなこと書いているの」と冷たく言われたこともあるという。「やはり、これまで差別に対して頑張ってきた人がいて今があるのだから、自分も何か未来を作るきっかけを生み出せたら、と思いました」また、連載中に気づいたことも。「“ゲイは女の気持ちが分かる”と言われるなど、男性を好きになる男性はフェミニンだという固定観念ってありますよね。僕自身も自分は中性的だと思っていたんです。でも連載中に女性編集者に『鈴掛さんってすごく“男”ですよね』と言われて、はっとしました。同性愛のことに限らず、周りの影響で自分自身にも暗示をかけていることっていろいろあるんでしょうね」先入観を解かすこの一冊から、あなたの中で始まることがきっとある。鈴掛真『ゲイだけど質問ある?』同性愛者であることをオープンにしている歌人の著者が、さまざまな素朴な質問に丁寧に回答する入門書。恋心の滲む短歌の数々も魅力的。講談社1500円すずかけ・しん歌人。1986年生まれ。大学時代から短歌を始め、広告会社でコピーライターとして3年勤務ののち、本格的に作家活動を開始。著書に『好きと言えたらよかったのに。』ほか。※『anan』2019年2月6日号より。写真・土佐麻理子(鈴掛さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年02月02日読めばみな、幼少期の記憶が喚起されるはず。それくらい、能町みね子さんの小説『私以外みんな不潔』の中には、生身の5歳児がいる。「自分は幼稚園の頃の記憶が人より鮮明なようなので、その頃の感覚を今大人の言葉で書いたら面白くなるんじゃないかなと思いました」子どもの内面を大人に響く小説として成立させている巧さに驚くが、「会話文が多いと大人の語彙が使えず子どもっぽい文章になるので、地の文を多くしました。それと、親は子どもにとってあまりに絶対的なので、存在感を薄めています」読み書きを早くにおぼえ、イラストを描くのが好きな誇り高き幼稚園児・なつき。転居により新しい幼稚園に通うが、それが苦痛だ。「うちは家族が円満だったのですが、子どもだからそれが当たり前だと思っている。でも幼稚園に行くと誰もが自分を愛してくれるわけじゃなくて、それが嫌で仕方がなかった。家では絵を褒められたので、幼稚園では何も言われないだけでマイナスに感じていました。ようやく褒められた時も“当然なのに、なんで今まで気づかなかったんだ”と(笑)」絵や文字が下手な子への眼差しは冷淡。一方できないことがあってつらくても、ひどく恥じたりはしない。「5歳児の自我はまだ、人と自分を比べて劣っている部分を恥ずかしく思ったりする前の段階。失敗しても、周囲の子たちもまだ注意力散漫なので、気を付けていればしつこくいじめられたりしませんでしたし」他人に関心がないわけでもない。超然とした子が気になったり、あっけらかんとした子と友達めいた仲になったり…。やがて来る卒園の日、なつきが抱く感覚に、ぐっとくる。「人生ではじめての、人と別れるという体験だったんですよね。その時に自分がああいう気持ちになったことにも、びっくりしました」5歳にだって不安や不満も、自尊心だってあるのだと実感させる本作。「“共感した”という感想も多くて、結構みんな共通の部分があるんだなと思いました。あの頃の、大人はなんでこんなに子ども扱いするんだという感覚はいまだに残っていて。今、自分が小さい子に話しかける時には一人の人間として接していますね」子どもの人格をもっと尊重したくなる作品でもあるのだ。のうまち・みねこ1979年、北海道生まれ、茨城県育ち。文筆業、自称漫画家。2006年『オカマだけどOLやってます。』でデビュー。著書に『文字通り激震が走りました』『雑誌の人格』など。『私以外みんな不潔』聡明で潔癖ななつきは、新しい幼稚園で乱暴な子や字の下手な子に馴染めない。そんなある日、「おたのしみ」時間に危機的状況が訪れて…。幻冬舎1300円※『anan』2019年1月30日号より。写真・土佐麻理子(能町さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年01月24日面倒見のよい堀川次郎、容姿に恵まれ皮肉屋の松倉詩門。高校2年生の彼らの共通点は、図書委員であること。放課後、図書室で暇をつぶす二人に持ち込まれる数々の謎とは?米澤穂信さんの新作『本と鍵の季節』は、魅力的な男子コンビが活躍する青春ミステリ短編集だ。「もともと、いろんなタイプのミステリを書こう、と始まった企画でした。それで1話目を“暗号もの”にして、こういう謎を解くのは誰だろうと考えた時、二人の人物像が出来上がりました。次の短編では違う登場人物を考えていたのですが、周囲から“彼らの話がもっと読みたい”と言ってもらえたので、二人の話を続けることになりました」物語は堀川の視点で進む。謎を解く二人組とくればホームズとワトソンのような「探偵と助手」という役割分担をイメージしがちであるが、本作では二人が共に推理に挑戦し合っていく。「堀川はわりと真っすぐにものを見ると同時に発想が優れ、松倉は斜めからものを見ていて、鋭さがある。視点が少しずつ違うダブル探偵が一緒に謎を解いていくという形です」どれも本もしくは鍵に関わる謎が登場するが、ミステリのタイプのバリエーションについては、「表向きはこういうミステリだけど、その奥にはこういうミステリの狙いもある、という二重構成です」ネタバレを避け表向きだけ説明すると、先述の“暗号もの”に加え“アリバイ探し”、他人の何気ない言動から秘密を暴く“ワンシチュエーションからの推理連鎖”、“日常の謎” “テキストクリティーク(資料の読み込み)”といったタイプがあり、読めばどれもその展開に驚くはず。ミステリの手練れの米澤さんだけに、細部も周到に組み立てられている。探偵役が最終的に犯人を追い詰めて裁いたりしないのも特徴で、「ここから先は一介の高校生の領分ではない、と彼らもわきまえていますね。それに、事件を解決することが動機というより、好奇心のために行動している部分もあります。それでも、そこから踏み出す場面があります。人が本当に死ぬかもしれない場面と、作中ただ一度だけ“君”という言葉が使われている場面の、2か所です」というから、ぜひチェックを。そして、季節のうつろいとともに堀川と松倉の二人の関係がどう変化していくのかも、読みどころだ。「第1話の時点で二人はすでに友人同士でお互いのことを分かり合っている。でもお互いが知っているのは、放課後の図書室にいる相手なんですよね。それが、いろんな謎に出合い、外の世界を見るなかで、相手の知らない一面も見えてくる。そして…ということを考えていました。彼らは今は未熟なところがありますが、これからの時間で、いろんなことを知っていくはず。そんなニュアンスもこめて、タイトルに“季節”という言葉を入れています」上質な謎解きと、青春のきらめきとほろ苦さ、そこからほの見える男子たちの友情。ディテールまでしっかり噛みしめたい一冊なのです。よねざわ・ほのぶ作家。1978年生まれ。2001年のデビュー作『氷菓』から始まる〈古典部シリーズ〉などが人気。’11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、’14年『満願』で山本周五郎賞受賞。『本と鍵の季節』放課後の図書室にいた堀川と松倉のもとに、先輩から「開かずの金庫を開けてほしい」と相談が。二人が推理に挑む「913」ほか5編収録。集英社1400円※『anan』2019年1月16日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年01月15日不二家「ルックチョコレート」人気のバナナ味がアイスに!「LOOK チョコレートアイスバー バナナ」が、2019年1月22日(火)より全国で発売される。1962年の誕生以来、ロングセラー商品として愛され続けている不二家「ルックチョコレート」。その中でも人気のバナナ味が、アイスになって登場する。新作「LOOK チョコレートアイスバー バナナ」は、ルックチョコレートのチョコレート原料をアイス部分に使用。外側のチョコレートアイスに、ルックチョコレートのチョコレート原料を入れ、不二家「ルックチョコレート」の風味を再現した。中のバナナアイスには、果肉入りバナナソースを混ぜ込み、ルックチョコレートのバナナ味を想起させる味わいに。バナナアイス部分は、アイスクリームにすることでコク深い味わいを実現した。一口頬張れば、バナナのフルーティな味わいが堪能できるはず。ぜひ手にとって試してみて。【詳細】「LOOK チョコレートアイスバー バナナ」160円+税発売日:2019年1月22日(火)発売エリア:全国
2019年01月13日平成が終わりを迎える今、本の力を借りて知識や思考のブラッシュアップと、心身の浄化を。書店員の方々に分析していただいた2018年のベストセラーの傾向から、来る新時代、幸せに生きる手がかりを探ります。新時代を生きるヒント:好きなものに“狂う”その熱量が道を拓く。『死ぬこと以外かすり傷』箕輪厚介売り上げ:10万部NewsPicks Bookの編集長としてベストセラーを連発する著者が革命的な仕事術や生き方を語る。「まず、タイトルがセンセーショナルで、思わず手に取らされます。そして『無知こそ武器だ。バカになって飛べ!』『こっちの世界に来て、革命を起こそう』など、既存の価値観をぶち壊して新しい道を切り拓こうという熱量、熱狂ぶりが読者に伝播した、そんな印象です。20~30代の男性を中心に、今も売れ続けています」(紀伊國屋書店・吉野裕司さん)マガジンハウス1400円新時代を生きるヒント:誰かと一緒にいるから人は幸せになれる。『大家さんと僕』矢部太郎売り上げ:76万部お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さんが80代の大家さんと過ごした日々を綴ったエッセイ漫画。くすっと笑えてほろりと沁みる。「時代は一巡していて、今、懐かしいが新しい。隣人の顔が見えなくなったからこそ、この作品で描かれる“昭和の人情”が身に沁みて、読者の支持を集めたのでしょう。『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子著小学館)の大ヒットの流れも受けて、親、子、孫の3世代から反応がありました」(三省堂書店・内田剛さん)新潮社1000円新時代を生きるヒント:甘えない強い女性のしなやかさと美しさ。『Lily ―日々のカケラ―』石田ゆり子売り上げ:20万部大好きなものや衣食住にまつわるエッセイから、仕事や恋愛について語ったインタビュー、お気に入りレシピ、愛猫の成長記録まで。著者流の暮らしと哲学がぎっしり。「石田ゆり子さんの好感度の高さを実証した作品。SNSで発信するライフスタイルが女性たちの憧れの的になり、それが書籍の大ヒットに直結しました。立ち読みできない内容の濃さで、紹介されるファッションのブランドなど、細かい部分にも反響が」(内田さん)文藝春秋1800円新時代を生きるヒント:多岐にわたる教養が自分を高める武器に。『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』デイヴィッド・S・キダー 、ノア・D・オッペンハイム翻訳 小林朋則売り上げ:30万部アメリカのベストセラーを邦訳。芸術、科学、哲学など7つの分野から、教養を高める知識を1年分収録。「2017年あたりから“教養”がヒットのキーワードに。“世界”と渡り合っていくために、あらゆる教養を広く身につけなければという意識を感じます。1日1ページで無理なく読み進められるのも人気の理由でしょう。爆発的に、というよりは長く売れ続けている印象で、美しい装丁ゆえか、女性もよく手に取っています」(吉野さん)文響社2380円新時代を生きるヒント:体を整えれば自分らしさがより輝く。『ゼロトレ』石村友見売り上げ:80万部舞台女優でもある著者が、縮んだ体の各部位を本来の位置(ゼロポジション)に戻すことで、体型と体調を整える「ゼロトレーニング」を考案。「ゼロトレ呼吸」を使ったエクササイズや心をゼロにする方法を紹介する。「ニューヨークで開発された画期的なダイエット法が初上陸という触れ込みで話題に。1日5分、寝ながらできる、取り組みやすいところも支持を集めたポイントです。テレビで取り上げられてさらにヒットしました」(丸善・丸の内本店・高頭佐和子さん)サンマーク出版1200円新時代を生きるヒント:誰かを傷つけた後悔でまた一歩、大人になる。『青くて痛くて脆い』住野よる売り上げ:23万部大学に入ったばかりの楓は、自分と同じように周囲となじめない秋好と出会い、「モアイ」という秘密結社を始めるが…。『君の膵臓をたべたい』の著者が青春のきらめきと残酷さを痛切に描く。「デビュー作“キミスイ”が小説投稿サイトから書籍化され大ヒット。それ以降、新作が期待される作家となっただけにこの作品のヒットも想定内です。10~20代の若い世代から圧倒的な支持を集め、ネット発の作家の出世頭に」(内田さん)KADOKAWA1400円紀伊國屋書店・吉野裕司さん新宿本店で文庫、新書を担当。司馬遼太郎が好き。読者に読んでほしい本は『仕事にしばられない生き方』(ヤマザキマリ著小学館新書)。三省堂書店・内田 剛さん有楽町店で文芸書、文庫を担当。吉田修一や薬丸岳ら同世代作家を熱烈に支持。通を唸らせビギナーを立ち止まらせる棚作りを目指している。丸善・丸の内本店・高頭佐和子さん丸の内本店で文芸書を担当。読者に読んでほしい本は『これからの私をつくる29の美しいこと』(光野桃著講談社)。おすすめの作家は中山可穂。※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・中島慶子取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2018年12月30日2018年のベストセラーの傾向から見える、新時代を幸せに生きるためのヒントとは?2018年のベストセラーのキーワードのひとつが、人工知能であるAI。今やAIが台頭する社会は仮想ではなくなり、生活に及ぼす影響や共生の道を示した本が反響を呼んだ。また、多様性社会や時代の変革期にあって、従来の価値観にとらわれない生き方を見せる著者や、「どう生きるか」を説いた普遍的な作品、「教養」関連の本もブームに。小説やエッセイでは、いじめ、孤独、心の闇といった、閉塞感のある時代を反映しつつ、その中に希望を見出せる作品がヒットした。新時代を生きるヒント:葛藤や苦しみが成長と前進の糧となる。『漫画 君たちはどう生きるか』原作 吉野源三郎漫画 羽賀翔一売り上げ:210万部1937年に出版された教養小説を初めて漫画化。原作と同様に、生きる意味をわかりやすく深く説きながら、読者に考えを促す仕立てに。「長年読み継がれる名著がコミックになったことで、読んでみよう、もう一度読み返そうと、幅広い世代が手に取りました。親子で読みたい、孫に贈りたいという方が多かったのもこの作品ならではです。“どう生きるか”という永遠のテーマを、あらためて見つめるきっかけになります」(丸善・丸の内本店・高頭佐和子さん)マガジンハウス1300円新時代を生きるヒント:読解力を磨けば人間はAIに負けない。『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子売り上げ:25万部著者は東大合格を目指すAI「東ロボくん」の開発者であり気鋭の数学者。研究と調査から見えてきたAIの可能性と限界、そして人間の現状とは。「〈人工知能はすでにMARCH合格レベル〉という帯と、AIも現代の中高生も読解力が低いという序文が衝撃だったのでは。親しみやすい文章で読みやすく書かれている点もヒットの要因。類書もよく売れ、AIへの関心の高さが窺えました」(高頭さん)東洋経済新報社1500円新時代を生きるヒント:誰もが揺れながら生きていることを知る。『かがみの孤城』辻村深月売り上げ:55万部学校で居場所をなくした中学生のこころが、鏡の中の世界で出会ったのは、自分と似た境遇の7人だった。生きづらさを感じるすべての人をやさしく照らす物語。2018年本屋大賞受賞作。「いま最も書店員に愛されている辻村深月が満を持して送り出した一冊がヒットしないはずがありません。本屋大賞作品は年々注目度を増しているうえ、不登校やいじめというテーマ性でも若い女性や学生の心をつかみました」(三省堂書店・内田剛さん)ポプラ社1800円新時代を生きるヒント:未来を悲観しない。おもしろがる。『10年後の仕事図鑑』堀江貴文、落合陽一売り上げ:24万部多彩な肩書を持つふたりが、AIの普及で変わる社会のありよう、46の職業の未来、お金の価値の変容など、新時代をサバイブする戦略を提示する。「広い見識を持った堀江貴文氏と落合陽一氏の目に未来の仕事はどう映るのか。その興味と、『AIに仕事を奪われるかもしれない』という先行き不透明な世相にマッチしたことがヒットの理由といえそうです。就活生やビジネスマンによく売れています」(紀伊國屋書店・吉野裕司さん)SBクリエイティブ1400円丸善・丸の内本店・高頭佐和子さん丸の内本店で文芸書を担当。読者に読んでほしい本は『これからの私をつくる29の美しいこと』(光野桃著講談社)。おすすめの作家は中山可穂。三省堂書店・内田 剛さん有楽町店で文芸書、文庫を担当。吉田修一や薬丸岳ら同世代作家を熱烈に支持。通を唸らせビギナーを立ち止まらせる棚作りを目指している。紀伊國屋書店・吉野裕司さん新宿本店で文庫、新書を担当。司馬遼太郎が好き。読者に読んでほしい本は『仕事にしばられない生き方』(ヤマザキマリ著小学館新書)。※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・中島慶子取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2018年12月28日最新コレクションでは上質で機能的なデイリーウェアを提案 クラシックな英国式のテーラリングをクリエーションのベースとしながら、独自のカッティングと高度な仕立て技術、オリジナルの素材開発で、スタンダードなアイテムに新たな機能と価値をプラスしている『Scye』。 2019年春夏コレクションでは、ミリタリーやワーク、スポーツなどの要素を取り入れた“上質で機能的な日常着”を提案しています。 まずは1枚で主役になるような美しいディテールが施されたシャツやカットソーが充実しているのが特徴のひとつ。ウィメンズでは、半袖のビッグシャツやパフスリーブ、ノーカラーシャツなど、程よいボリューム感が新鮮なアイテムに注目。 カットソーは、オーガニック天竺で仕立てたユニークなディテールのTシャツやロングワンピース、インドのスビンコットンで編み立てたタンクトップやフレンチスリーブTシャツなど、豊富なバリエーションがラインナップ。 スポーティーな機能素材をScyeらしく上品に昇華 また、機能素材を採用したアイテムも充実しています。メゾンでも使用されている撥水とストレッチ機能を兼ね備えたナイロン素材を使ったアノラックやイージーパンツ、Tシャツ、カーディガンを展開。 細番手の糸を高密度に織り上げたコットンギャバジンで仕立てたクラシックなハリントンジャケットやショーツ、ロングプリーツスカートなどは、撥水機能を持ちつつ、自然な光沢感があり上質な風合いに仕上がっています。 春夏を彩るチェック柄、ニュアンスカラー&パステルカラー さらに、前回の秋冬コレクションから継続してトラッドなチェック柄もキーワードに。軽量で清涼感のあるウールモヘアガンクラブチェックで仕立てたテーパードトラウザーズやロングシャツドレスなどは美しいドレープが印象的。コーディネートのアクセントとして取り入れたいアイテムです。 コートやワンピース、スカートはロング丈でボリュームのあるシルエットがポイントに。 カラーはベージュやカーキ、オークルなどをベースに、パステルトーンのブルー、グリーン、ピンク、グレーが春夏らしい爽やかなムードを演出します。 クラシックなテーラリングと、“今”を捉えた高い感度が織りなす『Scye』独自の世界観。新シーズンもその魅力は健在です。取り扱いのある店頭では続々とニューアイテムがリリースされていくので、素材の肌触りやシルエットの美しさ、絶妙な色味など、ぜひ実物に触れて確かめてみてください。 【お問い合わせ先】マスターピースショールーム03-5414-3531Scye
2018年12月21日私たちのライフスタイルの指針となる本を発表している、さまざまな業界で活躍する著者たち。自身の体験から、現状を打破し運命を動かすためのメッセージをいただきました。神崎 恵さん(美容家)『あの人がいつも色っぽいワケ』今の仕事に出合う前、20代後半の頃は、「これからどうやって生きていこう…」と迷った時期が長くありました。でも今後を考えた時に、“まあまあの人生”か“私でよかったと思える人生”、どちらかを選ぶとしたら「後者しかない!」と、とにかく行動を起こすことにしたんです。その時は、ブライダルフラワーのスクールに通ったり、宅建や簿記の勉強をしたり、あらゆる興味のあることに挑戦しました。実際に動いてみると、一見仕事に関係がなさそうなことが意外な点と点で結びついたり、「何が自分の運命を変えるかわからないし、何が人生を作っていくかわからないな」と実感することも。ずいぶん遠回りや失敗もしたけれど、そのすべてが必要なものだったと今では思っています。リスクを恐れず、そこに飛び込めた人だけが、チャンスを掴み取る権利を得ることができるんです。“自分磨き”という言葉がありますが、これは外見のことだけを指しているのではないはず。私が思う本当の“自分磨き”とは、人生で何度か必ず訪れるチャンスを全力で掴み取るためのスキルのこと。例えば、いろいろな本を読んで言葉の選び方を学んだり、海外に行って経験を積んだり、写真集を見て色彩のセンスを磨くこともそうです。自分が思いもよらないタイミングでチャンスが巡ってきた時に、それを確実にモノにするための準備をしておくと、可能性はぐっと広がると思います。また自分の運命を拓くためには、人としてはもちろん、女性として魅力的であることも大事。その中で私が今も心がけている習慣の一つは、“古い女にならない”ということ。例えばメイクも髪型も、いつも同じスタイルではつまらないですよね。トレンドに流されるのとは違いますが、常に時代の流れを掴みながら、それを自分らしく落とし込んで表現したり、毎回違った提案をしていくことが、今の時代を生きる女性たちにはきっと必要とされているはず。強さの中にも軽やかさをまといつつ、私自身も自分を日々バージョンアップしていきたいです大草直子さん(エディター、スタイリスト)『大草直子のSTYLING & IDEA』自分のこれまでの人生を振り返ると、20代30代と、たくさんのターニングポイントを経験してきました。社会人になってからの最初の転機は、新卒で入った出版社を27歳で退職した時です。憧れだったファッション編集者を辞めて次に目指したのは、南米。その頃、私はサルサに興味を持っていて、本場のダンスが見てみたいと、一人でその世界に飛び込みました。もちろん、周囲は大反対。でも、あの決断がなかったら今の人生はなかったと思うほど、自分の価値観に大きく影響を与える経験となりました。大人になると、仕事をしたり、結婚したり、子どもを産んだり、女性はさまざまな顔を持つものですが、私が大事だと思うのは“サード・プレイス”。つまり、“家庭での自分”がファースト・プレイス、“仕事での自分”がセカンド・プレイスだとしたら、サード・プレイスは、“自分自身の自分”です。私にとっては20代の時に出合ったサルサがそう。みずからの軸となるサード・プレイスがエアポケットのように心の中にあることで、いつだって自分らしさを失わずにいられると思っています。「まだそんなふうに思える存在に出合っていない」と感じる人も、焦る必要はありません。大事なのは、自分の心を動かすこと。「どうしても行きたい」とか「何が何でもやりたい」という素直な気持ちを持ち続けてさえいれば、運命は自然と拓けてくるはずですから。仕事で悩みを抱えているのであれば、すぐに結果を出そうとしないことも実は大切。今は、女性が100歳まで生きることもできる時代です。20代前半から社会人としての人生がスタートするとして、約80年間の人生を4つの期間に分けてみると、どこに仕事のピークを持っていけばいいかといったプランニングも可能。それなのに、たった2~3年のことで悩むなんてすごくもったいない。私も人生の第3ステージでは新しいことに挑戦したいと計画していて、できれば95歳まで働きたいと思っているんですよ(笑)。女の人生、まだまだこれからです。かんざき・めぐみ一人一人に合わせたメイクやビューティスタイルを提案するアトリエ「mnuit」を主宰しながら、美容雑誌をはじめ、幅広い世代の雑誌に連載を持つ。全国各地にてイベントやメイク講座も数多く開催。近著に『あの人がいつも色っぽいワケ「 なんか気になる女」になる。』(大和書房)、『わたしを幸せにする41のルール』(廣済堂出版)など。累計発行部数は120万部を超える。おおくさ・なおこ大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集に携わったのち、独立。2015年よりWebマガジン「mi‐mollet」の編集長、2018年コンセプトディレクターに就任。『大草直子のStyling Book』(ワニブックス)、『大草直子のSTYLING & IDEA 10年後も使える「おしゃれの結論」』(講談社)など著書多数。インスタグラムは@naokookusa※『anan』2018年12月12日号より。写真・中島慶子取材、文・瀬尾麻美撮影協力・PROPS NOW(by anan編集部)
2018年12月10日あの本の著者が語る、人生を好転させるために大切なこと。箕輪厚介さん(編集者)『死ぬこと以外かすり傷』行ったことのない国に行くとか、やったことのない作業をするとか、僕はそういうことにまったく抵抗がありません。例えば、最初に作ったビジネス雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』もそうで、当時、出版社の広告部に勤めていた僕の編集経験はゼロでした。基本的な編集用語すら知らないまま作業することも多かったのですが、だからこそ、あり得ないくらいの熱量で乗り切ることができたと思います。たとえ自分の行動が世間の常識から外れていても、力を入れるポイントさえわかれば、ヒットは作り出せる――それが僕の導き出した答えです。サッカーに例えると、ここぞという時に力一杯走る、というイメージですが、多くの人はジョギングをしてしまっている。責任感が強くて段取りは守るのに、いざという時に力が出せなかったり、押しが弱かったり。そうやって、なんとなくのっぺりと頑張っていては、いつまでも“その他大勢”のままでいてしまうと思います。「どんなに忙しくても、あの人の電話には必ず出る」とか「理不尽を押し付けてでも交渉する」など、その時どきで勝負時を見極めることが大切です。もちろん、世の中の人みんながチャレンジャーのようになったら、僕の商売あがったりなので困るのですが(笑)、10のパワーがあるとしたら10年かけて使うのではなく、1年で10使ってしまう、というのもアリだと思います。まるで飛行機が離陸する時みたいに、とんでもないパワーを発揮すべき1年なり2年なりが、人生のどこかのタイミングで絶対にあるはず。そして、世の中の多くの経営者や第一線で活躍している人と同じように、一度雲の上に行ってしまえば、あとは安定軌道に乗って落ち着くこともできる。だから、上昇していく時に完全に振り切れるかどうかが肝心。極論、仕事を辞めても死にはしませんから(笑)。だから遊びみたいなもの、と考えてもいいわけです。責任感とかお金を稼ぐとかではなく、楽しいからやっているだけ。“こうあるべき”という思い込みを外した瞬間に、人は案外強くなれるのかもしれません。坪田信貴さん(学習塾塾長、起業家)『才能の正体』僕はこれまで、塾講師としてさまざまな生徒さんの指導を行ったり、企業の中で人材育成の手助けをしたりしてきました。塾の生徒さんの中には偏差値30台からスタートして、見事に慶應や東大などの難関大学に合格した人もいますし、企業では多くの優秀な人材に触れることができました。しかし、そんな彼女・彼らを評価する際に、周囲の人間が決まって言う言葉があります。「あの人にはもともと才能がある」。地頭がいいとか、要領がいいだとか、生まれつき与えられた能力があったからこそ結果を残すことができた、と言うのです。でも、本当にそうでしょうか?僕が思うに、そんな才能は“幻想”。所詮は彼女・彼らが残した結果だけを見てあとから判断しているにすぎません。本当の意味での能力とは、正しいやり方で努力することで、少しずつ磨かれていくもの。現在結果を残している人や、第一線で活躍しているような人は、当然、そこまでの過程でものすごい鍛錬をしているというわけです。だから、そういう人と自身を比べて「あの人には才能があるから…」と自分が“やらない理由”にしてしまうのは、意味のないこと。僕らが「立つ」「歩く」「漢字を書く」などの能力を幼少期に身につけていったのと同じで、誰もが持っている“才能の芽”を繰り返しトレーニングして育てることが何より大事なのです。学生時代に比べ、社会人になるとより多くの選択肢があることに気づきます。例えば写真を撮る、文字を書く、話す。すべての動詞が職業になると言っても過言ではありません。選択肢が多いほど迷いも出てくると思いますが、何から手をつけていいかわからなければ、とにかく“一流の人”に会うことをおすすめします。優秀な人のインターンになったり、憧れの人に思い切って手紙を書いてみてもいいでしょう。一流の人の一流の仕事に触れることで自分の中での意識が必然的に変わり、“やりたいこと”も見えてくるかもしれません。最初から「無理だ」とは決めつけず、自分の可能性を常に磨き続けてください。みのわ・こうすけ2010年に双葉社に入社。広告部に籍を置きながら雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、Amazon総合ランキング1位を獲得。その後、幻冬舎に移籍し、2017年にNewsPicks Bookを立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(堀江貴文)や『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽)などを編集。自身初となる著書『死ぬこと以外かすり傷』(小社刊)が好評発売中。つぼた・のぶたか映画化もされて大ベストセラーになった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)の著者。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」。起業家としては、人材育成、チームビルディングの能力を企業から求められ、新人研修などを行う。新著『才能の正体』(幻冬舎)が好評発売中。※『anan』2018年12月12日号より。写真・中島慶子取材、文・瀬尾麻美撮影協力・PROPS NOW(by anan編集部)
2018年12月10日今年、直木賞受賞作『ファーストラヴ』が話題となった作家・島本理生さんに、運命が動いた瞬間、自身のターニングポイントについてお聞きしました。17歳で作家デビュー、若い女性を中心に幅広い支持を得、今年は『ファーストラヴ』で見事直木賞を受賞した島本理生さん。――人生の分岐点で、自分で選択をしてきた、という自覚はありますか?はい。子どもの頃から集団行動が苦手で、小説を書く時間だけが楽しくて。作家になると決めてから、そのための努力は常に必死でやってきたと思います。――作家になりたいと思ったのはいつ?小学校高学年の文集には将来の夢に「作家」と書いていました。中学生で投稿を始めて、15歳の時に短編の賞をもらい、「書く力があるかもしれない」と思えました。今思えば、それが一つ目の転機でした。――目標は立てるタイプ?その都度、先のことを考えますね。たとえば20歳で野間文芸新人賞を受賞した『リトル・バイ・リトル』は「もっと広く読まれる」ことを目標に、意図的に幅広い年齢層の人物が登場する家族の話にしました。『アンダスタンド・メイビー』を発表した時は、もう自分一人の人生で書けるものは全部書き終えたと感じたので、「次は子どもだ!」と(笑)。そして育児休暇後に、「次は大人の女性に読んでもらえるものを書こう」と決めて書いたのが『Red』でした。これで島清恋愛文学賞を受賞した時は本当に嬉しかったですね。――でも、そこで満足はしなかった、と。前は賞をもらうとそこで一旦安心してしまっていたので、新たに目標を持たないと駄目だ、と思って。変わらないといけないと思うことを手帳に何十項目も書き出して、実行したんです。たとえば「人前でうまく喋れるようになろう」と話し方教室や表情教室に通ったり、「外見も作風に近づけよう」とヘアメイクを習ったり。他ジャンルの人とも積極的な交流を心がけました。映像化も目標のひとつでした。『ナラタージュ』の映像化が決まった時は「ここから波に乗るぞ!」と思って。20代の頃、自分の経験値が足りなくて波をつかみきれなかった。それで、次こそは、と取材や直しを何度も重ねて仕上げたのが、直木賞を受賞した『ファーストラヴ』でした。――現在、目標としていることは?これまでは気後れして海外の仕事を断っていましたが、今年から受けよう、と英会話教室に通い、初めて韓国のシンポジウムに参加しました。叶わないこともあるけれど、願うことで始まることもたくさんある。そう思って先を考えています。島本理生さんの運命が動いた瞬間年表15歳:「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクールで受賞。プロの編集者に認められ、作家になろうという夢は単なる思い込みでないと実感できた。17歳:「シルエット」が第44回群像新人文学賞の優秀作に選ばれる。本を刊行するもあまり話題にならなかったため、「売れるものを書こう」と決意。21歳:短期間で一気に書き上げた『生まれる森』が第130回芥川龍之介賞候補になる。結果は選外で、「もっと大きな話を書かなくては」と思い『ナラタージュ』に着手。22歳:『ナラタージュ』が発売後すぐに重版する大ヒットとなる。一気に忙しくなったがそれに自分が追いつけず、ここから苦しい時期が続くことに。27歳:『アンダスタンド・メイビー』で第145回直木三十五賞候補に。力を入れた作品だったが選外で、落胆。ただ、今の自分が書けることは書き切ったと感じた。27歳~28歳:産休を取り、一時世間から離れる。次第に「子どもも産んだし、大人の女性に読んでもらえるものを書こう」と思うように。31歳:『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。←ターニングポイント「若手作家」を卒業し、新たな代表作を出すつもりで書いたので、受賞は嬉しかった!32歳:『夏の裁断』が第153回芥川龍之介賞候補に。結果は選外。だがこれで、純文学は卒業し、エンタメ小説を書いていこうと決心がついた。35歳:『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞受賞。波に乗っかる気持ちで、照準を合わせて書いた作品だったので、受賞にほっと一安心。しまもと・りお1983年生まれ、東京都出身。作家。’01年「シルエット」でデビュー。’17年『ナラタージュ』が映像化。今年、『ファーストラヴ』で初の直木賞受賞。※『anan』2018年12月12日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)ヘア&メイク・イワタユイナインタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年12月08日インターネット上や雑誌など、さまざまなフィールドで作品を発表する詩人・最果タヒさんの、待望の最新詩集が発売された。“みんなのことがあまり好きじゃない、ということがばれないようにしたくて、丁寧に、親切に接している。(「かるたの詩」)”のように、今作にも、私たちに寄り添う言葉が綴られている。「読む人が“ん?”と止まって現実に戻らないよう、できるだけ自然に読める言葉を使いたいんです。それは、生活と地続きの状態で読んでほしいから。今作にはルミネのクリスマスキャンペーンのために書いた詩がありますが、それは街中に出るものなので、景色と馴染みながらも、溶け込まない文章になるように意識しました。こうして、さまざまなお仕事をするにつれ、想像の中にしかいなかった“読者”の姿が見え、実感が蓄積し、言葉に手応えが増していく感覚があります。インスタで私の本を映している写真を見るのも、実感を得るのにとてもいいです」詩の選択や順番は自身で決める。「詩集を作るというのはただ詩をまとめるというよりは、それもまた一つの創作と思っています。タイトルは、詩集『空が分裂する』の作品のタイトルで、急に“これしかない”と思いだしたんです。また、今作には1行空きの詩がいくつかあります。普通、詩はページの一か所に塊となって載っていますが、全体に行き渡るように、まんべんなく載せたい詩が何編かありました。詩の印象は、レイアウトでかなり変わりますね」「言葉は、思いを伝えるには少なすぎる」と最果さん。「人それぞれ思うことが違うのに、言葉は同じものを使わなくてはいけないなんて無茶苦茶なことだと思い ます。気持ちを言葉にあてはめていくことで、本来あったものが切り捨てられていくこともあるはず。たとえば、大切な人を“親友だ”と表現した途端、たった一つだった関係性が、凡庸なものに変わってしまう。私にとって詩は、そうした固まった言葉に気持ちをあてはめていくのではなく、気持ちと同じぐらい曖昧で流動的な言葉を見つけ出していくこと。気持ちを切り捨てずに、言葉にしていくこと。そんな言葉は、きっと誰かに、共感よりずっと深くまで届くことができると思うんです。私は、そんな詩を目指しています」『天国と、とてつもない暇』現代を生きる若者たちを魅了した詩集三部作に次ぐ、最新詩集。「自分にご褒美」「冬の濃霧」「声」をはじめ、43編を収録。あとがきも必読。小学館1200円さいはて・たひ’86年生まれ。’07年に第一詩集『グッドモーニング』(新潮社)を刊行。『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(共にリトル・モア)など、数々の詩集を発表。※『anan』2018年12月12日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年12月06日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『Flowers』Lina Scheyniusスウェーデン人フォトグラファー、リナ・シェイニウスの作品集。作者の作品には、日常の中の美や神秘を浮き彫りにする親密なイメージを生み、屈託のない軽やかさがいつもそこにはある。本シリーズにおいても過去の作品群と同じようなアプローチで取り組んでいるが、無作為さや生々しさ、独特かつ官能美に満ちたその気配をより強く漂わせている。夢の中のような情景を自然光を用いながらパステルカラーやモノクロで写し出すことで、自然への愛情がページを捲るごとに表れており、その制作行為によって作者は自分自身を取り戻すことができる。それ故に、リナ・シェイニウスの作品は複雑に絡み合いかつ繊細に表現される視覚言語として進化しており、セクシュアリティやヌードを全面に押し出さずとも、これまで以上により親密なものとして存在する。本作において、花の質感がほのめかす明確な理解や自然への言及が作品にはっきりと現れている。本能や憧れやロマンスとして自然を捉え、あらゆる形や動きが持つ誠実さと同じように、自身の制作を通じて本質的にその親密さを形にしている。【書籍情報】『Flowers』写真:Lina Scheynius出版社:FOUNTAIN BOOKSニュースペーパーサイズ/48ページ/570×400mm発刊:2018年言語:英語価格:4,500円■Shelfオフィシャルサイトで『Flowers』を購入する
2018年10月20日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『Extraordinary Ideas—Realized』James Turrell光を用いて人々の知覚を揺さぶるインスタレーションで知られる現代美術家ジェームズ・タレル。2018年9月6日からドイツ・バーデンバーデンのミュージアム・フリーダー・ブルダでスタートした展覧会のために出版された本書は、1960年代以降の彼の様々なキャリアから包括的に作品を収録。彼は自分の芸術を「知覚芸術」と呼び、その作品は感覚と知性を通して芸術媒体としての光を体験させるものである。スローンレッド―幾何学的な光のオブジェクトが空間に浮かんで表示される彼の初期の作品も収録。また、重要なシリーズである「Wedgeworks」からの2016年の作品で、芸術家が光を使って幻想的な空間状況を作り出す方法を示す。2011年にヴェネツィア・ビエンナーレで注目された「ガンツフェルド」体験は、想像を絶するすべての空間的な輪郭が光と色に溶け込む方法を体験することを可能にした。彼の有名な長期プロジェクト「Roden Crater」はアリゾナの砂漠の絶滅した火山で1970年代から展望台に変貌を遂げた。今回の展示のために特別に作られた作品と共に提示されている。【書籍情報】『Extraordinary Ideas—Realized』作品:James Turrell出版社:Hatje Cantz言語:英語ハードカバー/300ページ/300×240mm発刊:2018年価格:1万640円(為替により変動)■Shelfオフィシャルサイトで『Extraordinary Ideas—Realized』を購入する【展覧会情報】JAMES TURRELL. THE SUBSTANCE OF LIGHT会期:9月6日〜10月28日会場:ミュージアム・フリーダー・ブルダ(Museum Frieder Burda)住所:Lichtentaler Allee 8 b, 76530 Baden-Baden, Germany時間:10:00〜18:00
2018年10月06日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『Purple #30』2018-19年秋冬号にあたるPurpleの今号は、この10年間でロサンゼルスへの関心が高まり、クリエイティブな人々が街に集まる中、この街の特有の神話、伝説、価値観、イメージ、夢、古今をテーマとする。エディ・スリマン(Hedi Slimane)のお気に入りモデルとして知られるグレース・ハーツェル(Grace Hartzel)を淡いシャーベットカラーで包んだコム デ ギャルソン(COMME des GARÇON)のエディトリアルページ他、ファッションページも充実。ボリュームあるハードカバーのスタイルがすっかり定着し、今回は白いクロス装に14種類の表紙ジャケットが制作された。【書籍情報】『Purple #30』出版社:Purple Institute言語:英語ハードカバー/492ページ/330×240mm発刊:2018年価格:5,800円(為替により変動)■Shelfオフィシャルサイトで『Purple #30』を購入する
2018年09月29日