SHINeeのリーダー、ONEWのソロコンサート「ONEW CONCERT "O-NEW-NOTE" in JAPAN」が2023年3月14、15日の2日間に渡って東京・国立代々木競技場第一体育場で開催された。SHINeeのカムバック予告もあった、3月15日のライブレポ!ONEWも身震いした、歓声に包まれたステージ!今回のコンサートは韓国で行われた同名コンサートの日本公演。昨年、日本で開催されたソロツアー「ONEW Japan 1st Concert Tour 2022 〜Life goes on〜」の追加公演以来、およそ半年ぶりの来日となった。「Sunshine」のイントロが始まると、花をあしらったイエローグリーンのカーディガンを着たONEWが花をバックに登場。サムホールになっている袖もかわいらしく、登場から笑顔を見せる。2階席のファンにも手を振ったり、前回のツアーで得た手応えが自信につながっているのか、序盤から余裕を感じさせた。新曲「Anywhere」に続いて、「Sign」ではまるでミュージカルの登場人物のように指ハートをしたり、ステップを踏んだり、表情豊かに歌い上げる。曲の合間にはかごから一輪の花を取り出し、客席に豪快に投げるサービスも。一転、「On the way」ではセンターステージにてスタンドマイクで歌い踊る。アコースティックギターのサウンドから始まる新曲「Paradise」はアップテンポのリズムに合わせてジャンプしたり、軽やかなダンスでONEWらしさ満点のステージでオープニングを終えた。「みなさん、こんばんはーーーーーーーー!」と超ロングトーンで挨拶すると、「これだけみなさんの前でライブするのが本当にうれしいですね」と半年ぶりのファンとの再会がうれしくてたまらない様子。しかも今回は日本のコンサートでは久しぶりに歓声が許された公演。「みなさんの歓声を聞きながら公演するから、本当にドキドキします」というと、客席からは大きな歓声があがり、それを聞いてONEWは大きく手を広げて歓声を思う存分味わいながら、「感動です!ありがとうございます」と思わず身震いしていた。コンサートのタイトルに”O-NEW-NOTE”、 “香調を意味するノート”と名付けられているように、今回のコンサートは香りがテーマ。コンサートの合間で流れる映像でもONEWが香調師のように花や草木など自然のものから香りを抽出する映像が流れ、さまざまな香りをイメージした演出がなされていたが、ONEW自らタイトルの意味を解説してくれた。「香水の香りには3つの種類があって、ベースノート、ミドルノートそしてトップノートがあります。その3つがあわさって1つの香りの香水ができます。今日は香水のように僕のいろいろな魅力をお見せしたいです。楽しみにしてください」。そして今回のコンサートは韓国で3月6日にリリースされた初の韓国フルアルバム『Circle』を引っさげ開催されたもの。「新曲が多いから、みなさんちゃんと意味がわかるか心配でしたけど、(前回のツアーとは)違う魅力だから、楽しんでくださいね」とあらためて公演への想いを伝えた。そして始まった「DICE」では、客席からコールが飛ぶ盛り上がり。続く「Yewoobi」は、天気雨を意味するタイトルにふさわしく、雨降る森をバックに、ブラウンに統一した衣装をまとったONEWはまるで森の中の大樹のよう。しっとりと、淡々としたONEWの歌声がまるで降りしきる雨音のように心地よい波動となって会場を満たしていく。「Love Phobia」では一転して、ピンクの照明の中で大人なムードに。「Cough」、「Always」ではファルセットの美しさが際立ち、途中、何かを思うようにステージの上を見上げていたのが印象的だった。曲が終わって「さっきの曲を歌ってからずっと心が(手をゆらゆら動かして)します。揺れる。『泣いたらダメ』と考えながら歌いましたけど、どうでしたか?」と問いかけると、客席からは大歓声がわきあがり、その反応に思わず「よかった!」とホッとした表情を見せた。続いて、ステージにはピアニストとギタリストが登場。ONEWも気心が知れているのか、2人を紹介する声がうれしそう。そして華やかなピアノの旋律が唐突に始まると、ピアノにもたれたONEWが慌ててそれに付き合い、SHINeeの「An Encore」のサビパートを歌い出す。「実はこのパートは僕が休むための時間だけど、歌っちゃいました。それで歌詞を間違えてしまいました。でも演奏が素晴らしかったから(よかった)」と言うと、客席からはあたたかい拍手がわきあがる。一方のギタリストも即興で「Replay」を弾きはじめ、またしてもONEWがそれに合わせて歌い出し、「韓国でも日本でもデビューした曲ですよね。メンバーに会いたいなあ!」としみじみ。「ここは SHINeeがデビュー前にライブしたところですよね。初めて日本で公演した場所だから、いろいろ意味がある、思い出がたくさんある場所ですよね。こんな大きなアリーナで、みなさんとまた会えたからうれしいです。みなさんのおかげです、ありがとうございます」とあらためて感謝の気持ちを表現した。韓国のコンサートでは「夜と星の歌」という曲がセットリストに入っていたのだけど、意味と発音が難しいかなと思い、今回は他の曲を準備したそう。でも、「それがさみしい人のために、ここでちょっとだけでも一緒に歌ったらどうかと思って」ということで、ピアノとギター伴奏で少しだけ観客も一緒に歌うことに。客席から聞こえる歌声に、ONEWは「みなさんと一緒に作る公演ですね。うれしいなあ!」と満面の笑み&拍手で讃えた。ここからはピアノとアコースティックギター伴奏によるバラードパート。「Under The Starlight」にはじまり「Timepiece」、「Mind Warning」をメドレーで歌いつないでいく。シンプルな構成なだけにONEWの素晴らしい歌声が際立って、拍手と歓声がなかなかやまないほどだった。続く「Illusion」ではたっぷりの声量で感情豊かに歌い上げ、会場をONEW色に染めた。海をイメージした映像を挟んだ後には、まるで海の中のような雰囲気で歌われた「In the whale」に続き、真っ赤な照明の中でセクシーなダンスが映える新曲「Expectations」、そして艶っぽい表情で「Beauty」と一気に駆け抜ける。トークでは「日本のオリジナル新曲、そしてプラスワン、もう一曲あります。準備しました!」とネタバレしたり、「もしかしたらアンコールとか、したらいいじゃないですかね」とアンコールを予告して、本編最後の曲「No Parachute」がスタート。曲間に銀テープが飛び出すとともに、会場が一気に香りに包まれ、まさに「ONEW NOTE」の名前にふさわしいラスト・ソングとなった。香りにまつわる想いを語った映像が終わると、いよいよアンコールがスタート。繰り返されるメロディと淡々としたリズムながら力強さと独自の世界観に引き込まれる「O (Circle)」ではONEWが今いる到達点を感じさせるパフォーマンスで場内を圧倒し、「さっき言ったプレゼントです!」という声で始まった「INSPIRATION」ではステージから大きく手を降り、客席も一緒に踊らせる。大きな笑顔で楽しそうに歌いながらジャンプすると、最後はダブルピースからの「わーー!」っと絶叫&ダンサーたちとハイタッチするほど、感情を爆発させた。「INSPIRATION」は3月22日にデジタル配信スタートしている日本オリジナルの新曲で、「ファンのみなさんと盛り上がりたくて作った曲です。みなさんも盛り上がって楽しんでくださいね」とアピール。そしてもう1曲、「Knock On My Door」も同時配信されるので、「これも聴いていただきたいんですけど、自分の携帯が(手元に)ないから、無理かな」と残念がっていた。「でも、みなさんと、この意味がある場所で一緒にいられたから、胸がいっぱいです。いつまでかわからないけど、いつまでもみなさんの笑顔とか、みなさんの幸せとか、安心とかのためにがんばりますね、僕は!」と力強く語った。そして、本編最後に会場を満たした香りについて、「今、香りを感じてますか?いいにおい?私が作ったNOTEです。この香りはみなさんにどんなにおいを感じてもらいたいか考えて、癒やされたらいいなと思って作りました。この香りのように、みなさんの隣で、かすかに、いつもみなさんの隣にいたいです。記憶の奥とかでも大丈夫だから、ちょっとだけでもいいですから」と、いつまでもファンとともに一緒にいたいと語った。最後には「みなさんの心があたたかくなる曲だと思います」と、会場の香りによく合う曲として「Shine On You」をしっとりと歌い上げる。ペンライトを掲げながら、左右にゆっくりと振りながら、最後には「愛してるよ」というメッセージも。「久しぶりに日本に来て、みなさんと会って、本当に本当に心の深いところから全体的に幸せです」と語り、幸せを噛み締めた。そして「SHINeeのみんなも、みなさんを待ってるから。ちょっと後にはSHINeeのアルバムが出るから、それも待ってくださいね」と、いよいよSHINeeのカムバックが間近であることを感じさせた。「みなさんの記憶の奥でも大丈夫だから、どこでも一緒に存在するだけでもいいから、幸せになるから、僕は。ちょっとだけでもいいから、記憶してくださいね」と語り、「Your Scent」でONEWのソロコンサートは幕を閉じた。次ページ>>SHINeeのリーダー、ONEW の画像特設ページはコチラ文・尹 秀姫 写真・田中聖太郎
2023年03月22日ONEW初のジャパンソロツアーが2022年9月11日、東京・代々木第一体育館で終幕を迎えた。7月8日の日本武道館を皮切りに、大阪、名古屋、福岡など4都市6公演をめぐった「ONEW Japan 1st Concert Tour 2022 ~Life goes on~」は全席ソールドアウトの盛況ぶり。その人気を受けて9月10日、11日の追加公演が決定し、2か月に渡るジャパンツアーのフィナーレを飾ることとなった。思い出に満ちた場所、代々木第一体育館に「ただいま!」窓から陽の光が差し込むようなやわらかな照明の中、ONEWがステージに登場すると、「夜明けの世界」からライブはスタート。「指先の震えだって生きてる証さ」と歌うONEWは、ツアー初日に見せた緊張もほぐれた様子で、客席のSHINee WORLD(SHINeeのファンの名称)を愛おしそうに眺めながら大きな会場を包み込むように歌声を響かせる。スタンドマイクで歌う「One the way」まで続けて2曲披露したところで、「みなさん、ただいま!ONEWです!」と挨拶。「今日は緊張じゃなくて、みなさんの前で本当にいい姿を見せるために…って、それが緊張かな?」と笑顔を見せつつ、長いようで短かったツアーが今日で最後を迎えることに感慨深げ。代々木第一体育館は、SHINeeが日本で初めてライブを披露した場所で、ONEWにとってもSHINee WORLDにとっても思い出深い会場。「みなさんのおかげで追加公演が決まって、こんなに大きな場所に一人で立つことができて本当にうれしいです」と、あらためて想いを口にした。アコースティックギターとONEWの歌声というシンプルな構成から始まる「Life is…」、そしてピアノとストリングスの美しい響きの中、「ここにおかえり」と締めくくられる「Lighthouse」を歌い終えると、ONEWの万感の想いを受け取った客席からはまたしても惜しみない拍手が。「ああ、どうしよう…。足に力が入らない、泣いちゃうかも」と、ONEWの頬を涙がつたう。「いつもみなさんに幸せになってほしいから、そのために僕が努力しますと言ってきましたけど、今の状況はみなさんに(幸せを)もらったと思います」と話しながら涙が止まらなくなるONEWを、客席は声を上げずに拍手ではげました。「次の曲はみなさんを想像しながら作詞した曲です」と歌った「In the whale」と続く「Love Phobia」ではスクリーンに日本語歌詞を映し出し、韓国語曲の世界観を共有。「Beauty」ではシャンデリアが煌くゴージャスな雰囲気の中で、そしてパリのカフェで繰り広げられる恋模様を描いたミュージカルのような「Sign」まで、曲調もテーマも異なる曲を歌声ひとつで見事に表現し、シンガーとしてのONEWの懐の深さを感じさせた。真っ青な王子さまルックに着替えて再びステージに登場したONEWは、「鱗(うろこ)」と「やさしいキスをして」とカバー2曲を披露し、衣装について「空みたいに青いでしょう?」と満足げ。その後はファンからのリクエストに応えて、3曲をアカペラで歌ってくれた。そのうちの「거리마다 (Your Scent)」は今まで一度も公式の場で歌ったことがなく、これが初公開。歌い終わって「この曲を歌わなかったのはたぶん難しかったからかも(笑)」と笑顔を見せた。「Shine On You」、そしてSHINeeの曲から、SHINee WORLDとの絆を象徴する歌でもある「Diamond Sky」を披露した。「みなさんが僕のすべてです」と言って歌ったMISIAの「Everything」、ヘッドセットを使って歌い踊る「Sunshine」まで歌ったところで、話題はアルバム『Life goes on』の話に。今回のアルバムは、「みなさんがいつどんな時でも、少しでもたくさんでも、幸せであったらいいと思う」という想いを込めたそう。以前、ananwebのインタビューでも語ってくれたように、今のONEWには「幸せであること」がとても大切なテーマになっていることが、アルバムだけでなく今回のツアーを通しても感じられる。そしてその幸せを一緒に作り上げることができるのがライブなのだということも。「僕が考えるに、ライブは自分だけ一生懸命がんばっても作れないステージだと思います。みなさんと一緒に作っていくものだから。周りのスタッフさん、バンドのみなさんもストリングスのみなさんもダンサーのみなさんも一緒に、ここで今日、一緒に作るというのがライブの第一の意味だと思います」と言って、次の曲「Life goes on」では「みなさんとサビのところで一緒に踊りたいです」と、振り付けをダンサーとともに解説。ONEWの熱心な教えのおかげで、本番では客席が見事な一体感を見せ、「じゃあまたね!」と笑顔を残して本編は終了。アンコールでは、フロントにダイスがデザインされたホテルマンのようなピンクの衣装をまとって登場。韓国の最新曲「DICE」ではキレキレのダンスを披露し、続くSHINeeメドレーではさらに激しく踊り続け、終わる頃にはステージに座り込むほど。しばらく息をするだけという時間が続き、「こんなライブは初めてでしょう?」と客席に問いかける一幕も。「今朝は8時くらいに起きたので、今日とは別の日ですね」と笑いながら紹介した「遅く起きた朝に」、そしてツアー最終日の2日前に公開したばかりの「Dance Whole Day」はライブでみんなと盛り上がるためにと「2週間前にレコーディングした」と明かして、トロッコに乗り込み大きな会場をぐるりと巡る。2・3階席や後方の席まで目を合わせ、手を振り、声を届けようとするONEWの姿勢は、これまでの長いキャリアの中で育まれたファンとの絆を感じさせた。「まるでみなさんみたいな曲です」と紹介して歌った小田和正さんのカバー曲「キラキラ」では、「約束する」という歌詞のところで小指を見せ、ステージを左右に駆けて、客席に向かって手を振り続け、ツアー最後の曲を噛みしめるように歌っていた姿が印象的。ラストはONEWのジャンプで曲を締め、満面の笑顔を見せた。この日はツアーファイナルということもあり、バンドメンバーとダンサー陣からもツアーの感想が語られ、会場からあたたかい拍手が贈られた。最後にはダンサー、バンドのみなさんと一列になって最後の挨拶を済ませた後、退場するみんなをステージに残って見送ると、「じゃあまたね!」とイヤモニを外し、名残を惜しむように会場の拍手に聞き入ってステージを去っていった。ONEW(オンユ)1989年12月14日生まれ。韓国の人気グループSHINeeのリーダーでありメインボーカル。包み込むように柔らかく伸びのある歌声の持ち主。写真・田中聖太郎 取材、文・尹秀姫
2022年09月23日SHINeeのONEWが日本で初めてのソロアルバム『Life goes on』をリリース。小田和正の「キラキラ」をはじめ、カバー曲4曲とオリジナル曲6曲を収録したアルバムは、「ONEWの声」を詰め込んだ作品となった。このアルバムを引っさげて、日本初ソロツアー「ONEW Japan 1st Concert Tour 2022 〜Life goes on〜」も開催。アルバムとツアーの話だけでなく、今のONEWの想いを存分に語ってもらった。「僕の声を詰め込んだ」アルバムのこだわり【ペンになってもいいですか!?】vol. 161−−5月18日に先行配信された「キラキラ」は小田和正さんの曲のカバーということもあり、ファンの方はもちろん初めてONEWさんを知る方たちにも大変好評でした!反応についてはご存知ですか?はい、 好評いただいているということは周りの方から聞きました。これほど気に入っていただけるとは思ってなかったので、すごくうれしいです。これからも、僕ができることをやっていこうと思いました。−−この曲を含めてアルバムには4曲のカバー曲が収録されていますが、選曲の理由は?もともとこのアルバムは、僕の声を詰め込んだものにしようというのを一番の目標に掲げていました。カバー曲については、僕が日本の曲についてそれほど詳しくないので、まずはプロデューサーの方にお願いして、僕の声に似合うと思う曲を候補にあげてもらい、聴かせていただきました。実はこのアルバムのためにレコーディングしたカバー曲は10曲以上あるんですよ。その中で、一番僕の声に合うと思った曲と、プロデューサーさんが僕にぜひ歌ってほしいと思った曲を選んで、このアルバムに収録することになりました。−−それぞれの曲についてONEWさんとしての解釈、歌い方で気をつけたところ、ONEWさんらしさを加えた部分について教えてください。カバー曲ではありますが、僕のカラーを見せるのも大事ですよね。でも今回のアルバムはもともと僕の声を込めるというのが目標だったので、メロディやリズムなどが変わらなくても、僕の声で歌うということだけでも曲の印象は変わるのではないかと思ったんです。僕の声は独特だとよく言われてきましたし。−−小田和正さんもONEWさんも世界で一人しか出せない声の持ち主なので、そんな小田さんの曲をONEWさんがカバーしたことでより注目が集まったとも思います。もっとうまく歌えたのではと思うところもあるんですが、今回は第一歩なので、より成長していきたいと思っています。−−では、もし日本のアーティストと楽曲提供や一緒に曲を作ったり歌ったりという形でコラボが実現するなら、一緒にやってみたいアーティストはいますか?最近、日本の曲をよく聴いているんですが、チャートに入ってる曲を流しっぱなしにしてるんです。いい曲がすごく多くて、「この曲、誰が歌ってるんだろう?」とか「どんなグループなんだろう?」「声が合いそう」と思う曲があって、特にバンドの方の曲に惹かれることが多いですね。もしその方々といい関係が築けて、カバーさせていただけたら嬉しいですし、一緒に歌えたらたくさんのことを学べそうですよね。−−アルバムタイトルにもなっている「Life goes on」は何があっても人生は続くという意味で、歌詞にも「受け入れたくなくても現実を見て顔をあげて」と歌っていて、悲しさを乗り越えた先の希望を感じさせる曲だと思いました。この曲に込めた想い、メッセージを教えてください。僕としては、「人生の意味を伝えたい!」と思って歌っているわけではないんです。僕は最近「幸せであることが最高なんだな」と感じているんですね。ささいなことでも幸せを感じて過ごせば、そういう一日一日が集まって、幸せな人生だったと言えるんじゃないかなって。それに加えて、「人生は何があっても続く」というふうに考え方も変わってきて、この二つは同じ意味ではあるけれど、違うように解釈もできるものだと思うので、多くの方が自分の人生について考えながら、他の方の人生も考えながら、いい方向に向かっていただければと思ってこの曲を歌いました。−−中でも“Blue Skyばっかりじゃないけど”という歌詞がとても印象的でした。その部分の歌詞は、僕が昔から考えていたことでもあるんです。空と言うと青空を思い浮かべる人が多いですが、日が暮れる時の夕焼け空もあれば、黄色く見える空の時もありますし、灰色の雲がある空もあれば、雨が降る日の暗い空もありますよね。でも、それらすべてをひっくるめて空なんです。人間で言えば、いろんな性格の人がいるということになりますが、そういった違いを認めて、当たり前のことだと気づくことから始めよう、ということを伝えたいと、僕は思いました。僕が表現することが合っているかどうかはわかりませんが、自分の人生を思い起こしながら曲を聴いていただいて、少しでも心に触れるものがあれば幸いだと思いながら歌いました。−−オリジナル曲6曲のうち、ONEWさんがもっとも気に入っている曲やお気に入りの歌詞、パートがありましたら教えてください。やっぱり「Life goes on」ですね。今回のアルバムの中では一番明るい曲なのでリード曲にしたいと思いました。もちろんどの曲もいいですし、どこに出しても遜色のない曲なんですけど、僕が歌った時、明るく楽しく表現できたのは「Life goes on」だなと思います。この歌詞、このパートが気に入っているというより、曲全体の明るい雰囲気が好きですね。−−すでに公開されている「キラキラ」のMVと「鱗」のLive Videoコメント欄では、「まさか韓国の人が歌っているとは思わないくらい発音がとても自然だった」「歌がうますぎる」など、大絶賛されています。日本語の曲を歌う時、気をつけていることはありますか?「韓国の人が歌ってると思わなかった」というコメントは僕も読んで驚きました。日本語曲を歌う上で一番気をつけているのはやはり発音ですね。発音に関しては本当に悩みました。リズムに乗って歌う時、これはピッタリな例かどうかはわからないんですが、「心は揺れる」の歌詞をリズムに乗って歌おうとすると、「ゆ」と「れ」の間に小さいR音が入ってしまうんですね。そういうところを今回は丁寧に掴まえるように心がけました。それが、僕の歌い方として自然に出てくるものとぶつかる部分もあったのですが、そういうところはできるだけ日本の方が聴いても不自然にならないように歌うようにしました。−−今回、日本語だけのアルバムを歌ってみて、改めて感じた日本語曲のよさは何ですか?歌詞ですね。歌詞がすごくいいと思いました。少し前に笑い話としてお話したんですけど、「桃源郷」って今生きてる人は誰も見たことがない場所で、ただイメージとしてだけ存在する「何か」ですよね。でも、そういったものを表現できるということ、そんな想像力豊かな歌詞が日本の曲には多いと感じました。僕が求めていたもの、考えていたことが日本の曲にはあるんですよね。先ほどもお話しした、空は青空ばかりじゃないということを表現してみたくて、歌詞を書いてみたことがあるんですが、そういう感性的な曲が今回のアルバムには詰まっています。僕の感性に合う曲が日本には多いと思いました。−−日本で初めてのソロ・アルバムですが、出来に満足していますか?すべてにおいて完全に満足だとは言えないかもしれませんが、たくさんの曲の中から僕が選んで、歌いたい曲を歌わせていただきました。ガイドだけを聴いた時、特に英語でガイドが歌われている場合、さまざまなことが起こり得るんですよね。イマイチかなと思った曲がレコーディングで素晴らしく変化することもあるし、ガイドではいい曲になりそうだと思った曲がそうでもなかったり…。だからこそ音楽制作は面白くもあり、難しくもありますね。−−このアルバムを作るにあたって思い描いていたこと、やりたかったことはありますか?思い描いていたことは、僕の声の詰まったアルバムにするということですね。そのために軍隊に行く前から準備をしていて、カバー曲に関しては4、5年前にレコーディングしたんです。だから今の僕の歌い方とは少し異なる部分もあるのですが、その時の僕が感じた感情が込められています。だから今、例えば「キラキラ」を歌うとしたら、アルバムに収録されている「キラキラ」とは少し違うんじゃないかと思います。僕はたぶん死ぬまで自分が完全に満足したと言い切れるアルバムはできないと思っています。「次はもっとこうしたい」というのはどうしても出てしまいますし、今よりもっとうまくなりたいので、「今回はここがまだまだだった」というのを自分で探してしまうのが、ある意味、僕の宿命なんです。韓国には「始まりが半分(何事も、始めてさえしまえば半分は成し遂げたようなものという意味)」という言葉があるのですが、だから半分は成し遂げたことになるのではないでしょうか(笑)。−−昨年、新しい歌い方や発声法について模索中だというお話をしていましたが、その歌い方は今回のアルバムで生かされていますか?たくさん使いました。レコーディング当時はある程度、自分自身が思い描いていた声で歌うことができたんですよ。でも最近、過渡期なのかうまく歌えなくて、また考えなきゃいけないなと思っているところです。まるで人生のようですよね。できる時もあれば、今みたいにできなくなることもありますし。−−日本で初となるソロツアー「ONEW Japan 1st Concert Tour 2022 ~Life goes on~」が、7月8日(金)の日本武道館公演を皮切りに、大阪、名古屋、福岡など4都市6公演で開催されます。どんな公演になりそうですか?公演に向けて準備していること、公演への意気込みを教えてください。僕は今まで、すべてにおいて完璧であろうと本当に努力をしてきましたが、時にはそれが「毒」になることもある、ということに気づきました。完璧であることを求めると、それだけ時間もかかりますし、できなかった時の自分への失望も大きいんです。なので、折り合いをつけることも必要だなと思ったんですよね。例えばツアーをする時も、ファンのみなさんと会えることだけでも楽しいのに、みなさんもずっと待っていてくださっているのに、自分の満足だけを追い求めるのはやめようと思うようになりました。だからこれからは、僕に足りないものがあっても、みなさんにずっと、少しずつでも会いに来たいと思いました。そうすればいつかは僕が思い描く目標に到達するのではないかと思っています。−−先ほどアルバムの満足度についてのお話を聞いている時も思ったのですが、自分に課している目標が非常に高いんですね。僕、めちゃくちゃ高いと思います(笑)。だからいつも自分に自信が持てませんでした。「僕はできない」ってずっと考えてたんですよ。でも今は、ツアーをやりたいという話をして、ツアーに向かって動き始めていますよね。だから、ひとまずは動き始めているということを念頭に置いて、そこで完璧な姿を見せられなくても、いつかは僕が思い描く理想にたどり着いてみなさんにお見せするので、それまでしばらく待っていてほしいです。−−でも、韓国のことわざで「始まりが半分」と言いますから、すでに半分は成し遂げたことになりますよね。そうは言っても僕の性格上、適当にはできないので、今、現在のONEWができうる限りの一生懸命なツアーにはなると思います。−−SHINeeのメンバーたちは今回のアルバム、そして日本ツアーについてどう言ってくれていますか?メンバーたちからはものすごく祝われました(笑)。ついに我らがオンユさんがツアーをやるんだねって。メンバーもずっと願ってきたことなんだそうです。僕がステージで歌う姿をずっと見たかったって言ってました。メンバーは毎回同じステージに立って、同じ曲を歌って、お互いをステージ上で見守ってはきたけれど、ステージの下から僕を見ることはなかったじゃないですか。だからずっと見たかったって。僕もその気持ちは少しわかる気がしますね。時間さえできればメンバーにもツアーを見にきてほしいんですけど、今はご時世的に日本に来るのが難しくて…。みんな、見に来たいとは言ってくれてるんですけどね。−−初めてのソロツアーです。公演以外で楽しみにしていることはありますか?日本に来て活動しながら長く滞在したことは今までもありますが、一人で3か月、日本にいるのは初めてで、これも挑戦の一つですよね。ここまでとても楽しく過ごせています。周りのスタッフのみなさんも、今までずっと一緒にやってきた方ばかりなんですよ。だから今回久しぶりにお会いすると、「ただいまー!」って挨拶してるんです。スタッフのみなさんとはSHINeeの公演で出会ってもう5、6年になるので、僕からみなさんに話しかけにいきたいし、心地よく過ごせてます。−−日本初地上波冠番組「HELLO オニュ」が放送されますね。(編集部注:取材日は、地上波フジテレビでの放送前でした。完全版は、7/30(土)21:00〜フジテレビTWOにて放送予定)僕はこれまで、ヘアメイクをして、衣装を着て初めてONEWになると思っていました。だから実生活と仕事をあまりにも切り離しすぎてきたんですよね。でも最近は、そういうことってこれからも必要なのかな?と思って。なにかの仮面をかぶって人に会いたくないなと思ったんですよね。人と対峙する時に、僕の心からわきあがる気持ちで正直に向き合いたいと思いましたし、僕自身もいい人間でありたいですし、そういった境界を少しずつなくそうとしている最中です。番組を見てくださる方にとっては僕の日常ってすごく面白みがなく映るかもしれないんですけど……僕は家にいる時、本当になんにもしないんですよ(笑)。だから、僕という人間が仕事に向き合う時はどうなのか、遊ぶ時や家にいる時はどんな人か、ありのままの僕を見ていただければと思います。がっかりする方もいるかもしれないですけど、僕という人間にはこういう一面もあるんだねと興味深く見てくださる方もいるかもしれないですしね。いろんな方が見ると思うので、評価についてはあまり気にしすぎないようにしたいと思っています。以前はいろんなことを気にしすぎて、こういうインタビューの場でもいつも笑っていたんですよ。でも今は、一人の人間としての僕を見せたいと思うようになりました。どんな時も僕は僕で、同じ人間ですから。−−そう考えるようになったきっかけはあるんですか?たぶん、入隊して一人で考える時間が増えたことですね。それまでは自分のことは自分が一番よく知っていると思っていたし、自分のことがわからないなんて考えたこともなかったです。でも自分のことを考える時間が増えて、僕ってこんな人だったかもしれない、昔はこんなことを考えていたかもしれないって、ふと思い出したんです。歌手として過ごす時間が長くなって、僕は自分のことをよく見せようとしすぎていたのかもしれないなって。それって辛い時はより辛いし、幸せな時も心から楽しめないですよね。それに、僕が僕として立って初めて、人にいい影響を与えられるんじゃないかと思うようになりました。ずっとそばにいてくれているマネージャーさんたちからしたら大変かもしれないですけどね。昔は笑っているだけだった子が、今では「これは違うと思う」と言うようになったんですから(笑)。でも、その場その場で言うべきことを言ったほうが、我慢を積み重ねて後で爆発するよりはずっといいと思います。それまでずっといい姿を見せ続けていたとしても、たった一度でも爆発してしまえば、そういう人だと思われてしまいますし。−−日本での活動も期待していますが、日本でやりたいことはありますか?ツアーが始まるので、まずはツアーですね。日本のアーティストというと、小田和正さんが真っ先に浮かぶんですけど、小田さんは今もまだ現役でツアーをしていらっしゃいますよね。僕もそうなりたいです。あとは、まだ僕が知らない日本のいいところ、観光地や安らげる場所を探して行ってみたいです。僕にとって日本は二番目に上手に言語が話せる国なので、すごく楽なんですよね。だから日本でできることは何でもやってみたいです。今すぐやりたいことというよりも、もっと深く日本を知りたいです。日本に長く滞在して、例えば日本の方も知らないような日本を味わいたいです。韓国でもソウルの人はソウルしか知らなかったりするじゃないですか。そういう人に地方のことを聞いても、人気はあるけど味はそんなに、というお店しか知らなかったり(笑)。そうじゃなく、日本の本当に深いところまで知りたいですね。そして新しい文化も体験したいです。©ユニバーサルミュージックONEW(オンユ)1989年12月14日生まれ。韓国の人気グループSHINeeのリーダーでありメインボーカル。包み込むように柔らかく伸びのある歌声の持ち主。InformationONEW(SHINee)のJAPAN 1st ALBUM『Life goes on』が好評発売中!写真・北尾 渉 取材、文・尹 秀姫
2022年07月23日