イヴ・サンローランのリップで、“意思のある隙”を纏う
一歩進んで半歩下がりまた一歩進む。今の私にはこのペースがちょうどいい。
ふとパソコンを開くと、オンラインサイトのカートにセール品が数点入っている。物欲を満たすための深夜のショッピング、購入ボタンを押し忘れていた。
なんでこれを買おうと思ったのか。
本当は何かが欲しいだけなのだ。では、その"何か"とはなんなのか。何を保ち、何を得たいのか、きっとそれは捨てなければ見えてこない。
幸いにも彼のサーマルカットソーは動きやすく、片付けにぴったりだった。
心が迷子になったとき、開くのは財布ではなくクローゼット。思い立って始まった断捨離に静かに時間が流れ、唇の縦じわに色味が落ちる頃、心がすっかり軽くなるのを感じた。