自分の「好き」を再インストール。時代が決めた「正しい顔」は手放した
雑誌の名前はもう思い出せない。雑多な街中の路地でシンプルなTシャツとジーンズをラフに着こなし、女優がかっこよくポーズを決めている写真。黒髪に強めのアイシャドウにマスカラ、艶やかな赤いリップ。シンプルな装いなのに、彼女は目を引いた。写真の中で、彼女はきらきらしていた。流行を追うことに必死になっている私とは違う。 時代の正解なんてかまわない、自分を持ったきらきら。
しっかりとアイラインを引き、ボリュームのあるまつ毛が特徴のちょっと濃いメイクに変えたのは、強めの女性が好きだと再認識した私なりの実験だった。
ちょうど漫画『NANA』の大崎ナナのような感じ。それは、側から見るとかなり派手なものだったが、地味な田舎顔の私にはよく映えた。
メイクは武装だ。外に出ると、街中のガラスにチラッと映った自分が少し強く見える。中身はお子様のままだが、正解を追い求めない、自分自身で選び取った外見に心地良さを感じることができた。今なら思う。憧れたモデルさんたちだって、流行を手当たり次第に追うのではなく、自分のスタイルに合わせて上手に取り入れていたからこそ、きらきらに見えたのだろう。
流行を少しずつ手放したことで予想外の効果もあった。