自分の「好き」を再インストール。時代が決めた「正しい顔」は手放した
とうたった旬のカラーもテクスチャーも毎日身にまとって武装しているはずなのに、ひどく心許なかった。
私は誰のために毎日お化粧をしているんだろう?
何に急かされて、足早に変わる流行をこんなにも追っているのだろう。
……そうだ、私は時代に置いていかれたくなかっただけなんだ。感度の高い周りの綺麗な女の子たちに、ダサいと思われるのが怖かった。流行をまとうことで、時代の半歩先を歩く彼女たちのようになれたと思い込んでいたかったんだ。
きらきらな憧れの女の子になりたいと思って始めた私のメイクはいつしか、目に見えない時代が決めた「流行」という監視者に見張られて、ひどく窮屈なものになっていた。
■自分の「好き」を再インストールし、流行を手放した
その日から私は、流行を調べることをやめた。そして、どんどんアップデートされて溢れかえる流行の中に隠れてしまった自分の「好き」を探した。
インスタグラムに保存している写真、ピンタレストにクリップしてあった写真。過去に自分が「好き」だった作品を見返して、ひたすらに自分の「好き」を再インストールした。その中で、ふと、目に止まった写真がある。たしか、雑誌の特集の1ページだった。