© Y's harmony - stock.adobe.com
強い風が吹きつけたりニット帽を脱いだ時、不意に鼻を刺激する頭皮のニオイ。きちんとシャンプーしたつもりなのに、なぜかにおう…そんなことはありませんか?
いつも通りにお手入れをしていても、体のコンディションによっては頭が臭くなることもあるんですって! ここでは、
頭皮のニオイの原因やニオイを消すための対策方法をご紹介します。
【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生
婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。
著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。
■頭皮が臭くなるのはどうして?
汗をかいたから頭がにおう、という理由なら多くの人がうなずくことでしょう。でも、納得のいかないことがあるからこそ、この記事にたどり着いたはず。
清潔にしているつもりでも、頭皮から嫌なニオイがすることもあるのです。
▼頭皮が臭い原因
髪の毛に隠れているせいか顔ほどは気にならないものの、実は頭皮からも
皮脂が活発に分泌されています。その量はなんと、
Tゾーンの約2倍、そしてワキの約9倍だというから驚きです。
分泌された皮脂はやがて遊離脂肪酸に分解。頭皮にたまった皮脂や脂肪酸をそのままにしていると、
雑菌が繁殖し頭皮が臭くなってしまうというわけです。さらに、脂肪酸は皮ふへの刺激となるため、臭いだけでなく
かゆみの原因となることも。
もちろん、こういった皮脂や脂肪酸はシャンプーで取り除くことができ、嫌なニオイもリセットすることができるのは周知の事実。におうのを予防すべく、シャンプーを念入りにしていることでしょう。
でも、そのシャンプーの仕方で本当に大丈夫ですか?
頭皮のニオイを気にするあまり、頭を
ゴシゴシと洗ってはいませんか? 洗いすぎると頭皮が
炎症を起こしたり、皮ふの
乾燥を招きます。乾燥すると皮脂が過剰に分泌され、
かえってベタついてにおうことに…。
反対に、洗い足りないのも問題です。頭皮に汚れや皮脂が残っていると、頭皮の肌トラブルを引き起こしたり、ニオイの原因となることもあります。頭皮をきれいにしたいからといってシャンプーを使いすぎても、すすぎ残しが出て
湿疹の原因になることもあります。
いずれにしても、頭皮に残る皮脂がニオイの原因であることは確かです。正しいお手入れをすることで、頭皮のニオイは防ぐことができそうです。
次は、
ホームケアでは解決がむずかしいケースについてご紹介しましょう。
▼頭皮が臭いのは皮ふトラブルかも?
洗い流しきれなかった皮脂や角質が原因で頭皮がにおうこともありますが、このほかに皮ふトラブルが起こっている可能性もあります。
<脂漏性皮ふ炎(しろうせいひふえん)>
乳児と30~70歳代の人に多く見られる病気。なかでも、男性に多く出る症状です。頭皮や髪の生え際に炎症が起こり、脂ぎった黄色い皮脂やフケが出るとともにかゆみを感じます。皮脂が酸化して嫌なニオイがすることも。
ストレスを受けたときや寒い時期に悪化するのだとか。夏に比べて冬はニオイに関して油断しがちなので、気をつけたいところです。
きちんとシャンプーをしても頭皮が臭い時や、かゆみやフケなどの不快な症状がある時には病院で診察してもらいましょう。
© lena Ozerova- stock.adobe.com
▼におうのは頭皮ではなく加齢臭が原因かも
女性でも年を重ねるごとに女性ホルモンが減るため、相対的に
男性ホルモンの働きが強くなってきます。
これにより、皮脂分泌も増加。皮脂が酸化して、古い油のようなニオイの
加齢臭が漂います。
男性ホルモンのせいで皮脂の分泌が増えるのが、首の後ろや耳のまわり。頭皮に近い場所であることから、頭皮が臭いのと加齢臭を混同してしまうこともあるようです。
▼加齢と頭皮のニオイの関係
体臭がきついのは女性よりも男性だというイメージはありませんか? 実はこれ、女性ホルモンのおかげなのです。女性ホルモンが
皮脂の酸化を抑えてくれているので、女性の体臭は男性ほどきつくないようなのです。
しかし、女性ホルモンの分泌が
減少すると皮脂が酸化しやすくなり、これまでには感じたことのなかったニオイがするようになるのです。
加齢臭の原因物質である
「ノネナール」は、
40歳を過ぎたころから増加(資生堂調べ)。
女性ホルモンが減少する時期と同時期であることも手伝って、年を重ねることで頭皮のニオイが気になる人も出てくるようです。