性交渉の経験がある人は注意。“無症状の性感染症”が引き起こす「不妊症のリスク」
それが現在は、網羅的に菌を調べることができるようになってきたのです(網羅的検査)。このようにして、狙っていない菌(予測していない菌)の存在も明らかになってきました。
例えば、私のクリニックでも不妊治療を行っている方に対し、子宮内フローラ検査という検査を行うことがあります。子宮の中の菌環境が妊娠率や出産率に関わることが分かってきているからです。子宮の中の菌環境が乱れていても症状がないことも多いため、狙いをつけるのは難しいのですが、子宮内フローラ検査により子宮の中にいる菌の種類と割合を網羅的に調べることができます。子宮の中に悪玉菌が多いと着床不全などの不妊原因になることがありますし、マイコプラズマやウレアプラズマなど流早産を引き起こす可能性のある菌が検出された場合は治療を行っています。この検査も2017年に誕生しているので、最近できるようになってきたことです。
この網羅的検査の良い点は、ほかにもあります。
それは、適切な抗菌薬を処方できるということです。どんな菌に感染しているかを確認しないまま、広域性抗菌薬を処方してしまうと良い菌まで排除することになってしまうからです。
また、21世紀に入ってから、新たな抗菌薬はほとんど開発されていませんが、既存の抗菌薬に対する薬剤耐性化は進んでおり、今ある抗菌薬を上手く使っていかなくてはいけません。