2018年7月26日 16:00
がん検査のレポート見過ごすことも…病院に求められる意識改革
乳がんの検診マンモグラフィ読影認定医師でも、ほぼ同等の精度といわれています」
ということは、優秀な医師でも10~20%以上の見落としの可能性があるということになる。さらに経験の浅い医師では、その可能性が上がるのではないだろうか。数字の差は、どこで生じるのか。常磐病院(福島県いわき市)の乳腺外科医・尾崎章彦さんが語る。
「大きな病院であれば“複数の医師の目”でチェックされるので、リスクを下げられます。私自身も先輩医師に指摘されて、スルーしていた影に気づき、ヒヤリとしたことがあります」
人間ならではの“思い込み”もあるという。
「病気は、教科書どおりの典型的な見え方をするケースばかりではありません。このような画像であれば異常、ここまでなら正常として考えられるという微妙なラインを自分なりに引いて診断をするのですが、経験が少ない医師においては、その線引きが大きくずれることがありえます。
加えて、画像診断において、医師は前回検査を参考にします。大きく変化がなければ『正常』として流してしまうリスクがあります」
このような人間の感覚を補うのが、人工知能のAIだ。まだ研究ベースというが、がんの発見率は80~90%にも上るという。