2020年6月4日 11:00
肺炎の重症化を防ぐため「気道クリアランスの維持を」を医師
と語る。
「じつは、健康なときの日常生活で使われているのは肺のごく一部。ふだん肺の上部は血流が少なくほとんど休んでいる状態なのですが、激しい運動をしたときや、発熱により体内の酸素が足りなくなった際に、その力が必要になります。これが『肺の予備力』です。しかし、肺がんで肺の一部を切除した人や、喫煙によってCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの既往症がある人はこの予備力が低下。肺炎になりやすく、かつ、重症化しやすくなってしまうのです」
そこで、日ごろから肺を守り肺の予備力を保っておくことが、一般的な肺炎と同様、新型コロナウイルス肺炎の予防においても重要であると生島先生は続ける。そのうえで欠かせないのが「気道クリアランスの維持」だ。
「気道クリアランスとは、大気中に無数に存在する細菌やカビ、ウイルスを排除するべく体に備わっている防御機構のひとつです。
のどの奥にある気管支の内側の粘膜には細かい線毛がびっしりと生えていて、異物が入ってくると上へ上へと動いて、その異物を押し出そうとしてくれます。その表面には川のように粘液が流れているので、これが異物を絡めとり、排除してくれるのです」
そもそも肺炎とは文字どおり、細菌やウイルス感染による炎症が、気道・気管支を越えて肺の肺胞に及んだ状態を指す。