熱中症対策で“水がぶ飲み”に罠…「水中毒」を医師が警鐘
発汗の多い夏場に、とにかく水を飲みたくなるのはこのためです。体が水分と同時に塩分を欲しているときに、塩分を含まない水を多量に飲んでしまうと、体水分の中の塩分濃度が極端に下がり、『低ナトリウム血症』になってしまうんです」
この状態が水中毒であり、進行度によってさまざまな症状が現れる、と小川さんは解説する。
「血液中のナトリウムイオン(Na+)の正常値(基準値)は138~145ミリイクイバレント(以下、同単位)。水を大量に飲むことで130を下回ると『軽度の疲労感』をおぼえ、120を下回ると『頭痛』『嘔吐』『精神症状』などを訴えるようになります。110を下回ると『痙攣』や『昏睡』状態に陥り、100以上では神経の伝達が阻害され『呼吸困難』などで死亡することがあるんです」
この低ナトリウム血症はさらに「甲状腺機能低下症」や「ネフローゼ症候群」(=血液中のタンパク質濃度が薄くなり、むくみなどが起きる)などの疾患や、「腎不全」「心不全」なども引き起こすことがあるという。熱中症対策には「水分補給」が必須なのは間違いないが、水中毒も避けるためには「水分と塩分を適量だけ補給することが大事」と小川さんは話す。