安易なマネはNG!グルテンフリーダイエットの本来の意味とは?
「糖質オフダイエット」や「置き換えダイエット」など、世の中には、数えきれないほどのダイエット法が存在しており、健康や美容を気にしている人にとっては強い味方になっています。しかし、なかには本来の意味と異なる捉え方をされているものもあり、安易にマネをするのはNG。「グルテンフリーダイエット」の本来の意味を指摘する慶應義塾大学循環器内科の福田芽森先生に話を聞きました。
グルテンフリーはダイエット向けの食事法ではない
グルテンとは、「小麦」や「大麦」、「ライ麦」などの穀物から生成されるたんぱく質の一種で、グルテンフリーダイエットは、これらの穀物を摂取しない食事法のことです。
そもそもグルテンフリーはどんな人が行う食事法なのでしょうか?
「グルテンフリーとは、『グルテン関連障害』と呼ばれるグルテンによって、体の不調を引き起こしてしまう人のための食事法です。例えば、グルテン関連障害のひとつである『自己免疫系:セリアック病』の場合、グルテンを摂取することで、腸の粘膜が障害され、十分に栄養を吸収できなくなる病気です。腹痛や下痢、便秘、疲労などの症状を引き起こしてしまうため、グルテンを摂取しないようにします」(福田先生、以下同)
グルテンフリーは、あくまでも病気を抱えている人が、体調を崩さないようにし、栄養をちゃんと吸収できるようにするための食事法であり治療法で、そもそもダイエット目的のものではないと福田先生は指摘します。
健康な人がグルテンフリーをすると、どうなる?
病気の治療法であるにもかかわらず、実際にはダイエットとしてグルテンフリーを行っている人がいるのはたしか。
しかし、『グルテン関連障害』でない人が、グルテンフリーを続けると栄養失調になる可能性も…。
「日ごろの食事にグルテンフリーを取り入れると、ファストフードやパン、麺類などを避けることになり、体重が減ることはあるでしょう。しかし、グルテンフリーを続けることで、体に良い食物も避けてしまう可能性があります。過去の研究結果(※)で、全粒穀物(精製されていない穀物)が冠動脈疾患の発症リスクや心血管死亡率の低下に関連していることが判明しています。グルテンフリーではパンを避けるので、全粒粉を用いたパンも一緒に避けてしまう可能性があるのです。このため、不必要なグルテンフリーは心血管リスクの観点からは推奨されない、とする研究者もいます」
また、福田先生によると、グルテンフリーが注目を集めた背景には、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチ氏が体調コントロールとして、取り入れたことが挙げられるそうです。しかし、同氏の体調が劇的に改善されたのは、「小麦」や「乳製品」にアレルギーを持っていたからなのだとか。
健康な人がグルテンフリーを実践しても、より健康になる確証はなく、むしろ心臓病などのリスクを高める可能性があることを忘れないようにしましょう。
「どんな食事をすればいいのかは千差万別なので、一概にいえることではありません。でも、大切なお子さんのためにも、ダイエット法や健康サプリ、民間療法など、メディア上の流行には惑わされないようにしてください」と福田先生。
グルテンフリーに限らず、「なんとなく話題になっているから」、「有名人がやっているから」、「海外で注目されているから」といった理由で、なんでも試してみるのはNG。気になるものがあれば、事前にしっかり調べることが大切です。
(文・奈古善晴/考務店)
※BMJ2016;357:i2716., JAMA Intern Med2015;357:373-84.
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