ようになります。さらにエスカレートすると隣で寝ているベッドパートナーに手が当たったり、ベッド柵などに手をぶつけて傷めてしまうこともあります。あるいはベッドから転落したり、壁にぶつかってけがをするということもあります。
一緒に寝ていた奥様が「あなた、どうしたの」と訊いてみると、「こんな夢を見ていたんだ」と話した内容から、夢の中と同じ行動をしていたということがわかって、これはおかしいということで睡眠科へ来られるというのがひとつの典型例です。
レム睡眠行動障害とパーキンソン病など脳の変性疾患との関係
レム睡眠行動障害は脳の変性疾患(レビー小体型認知症やパーキンソン病、多系統萎縮症など)の一部分症状、もしくはそれに移行する前駆症状ではないかと捉えられています。実際にレム睡眠行動障害が見つかった方は、その後10年ほど経過するとこれらの神経変性疾患に移行していく割合が一般の方に比べると多いことは事実です。私が、レム睡眠行動障害の方に必ず確認するのは、嗅覚障害がないかということです。嗅覚障害はパーキンソン病などの非運動症状の中でも早くからみられる症状なので、嗅覚障害とレム睡眠行動障害の両方があるとパーキンソン病などのごく初期もしくはパーキンソン病などに進展する可能性が考えられます。