【お医者さんに聞いてみよう!】Q:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?
質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?
現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。
がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?
愛知県:とちおとめ♪さん(30)
回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。
――「ぼうこうがん」の遺伝性
ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。
がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。
義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。
<「卵巣がん」の遺伝性>
一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。